JP2019185920A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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博行 井関
武文 福本
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武文 福本
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Abstract

【課題】優れた電池特性及び優れた熱安定性を両立するリチウムイオン二次電池の提供。【解決手段】層状岩塩構造のLiaNibCocMdDeOf(MはAl及びMnから選択される。Dはドープ元素である。a、b、c、d、e、fは、0.2≦a≦2、0.8≦b、0≦c≦0.2、0≦d≦0.2、b+c+d+e=1、0≦e<0.2、1.7≦f≦3を満足する。)で表される第1正極活物質、及び、オリビン構造のLiMhPO4(MはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、Te、Moから選ばれる少なくとも1の元素である。hは0<h<2を満足する。)を炭素被覆した第2正極活物質を含有する正極活物質層を具備する正極と、電解質の濃度が1.5mol/L以上の電解液を備え、第2正極活物質の反応抵抗が20Ω以下、かつ、BET比表面積が25m2/g以下であるリチウムイオン二次電池。【選択図】なし

Description

本発明は、層状岩塩構造の正極活物質とオリビン構造の正極活物質を備えるリチウムイオン二次電池に関する。
二次電池の正極活物質として種々の材料を用い得ることが知られており、正極活物質として複数の材料を採用したリチウムイオン二次電池もまた知られている。
例えば、LiCoO、LiNi0.5Mn0.5、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の層状岩塩構造のリチウム金属複合酸化物は、高容量な正極活物質であることが知られている。また、LiFePOに代表されるオリビン構造の化合物は熱安定性に優れた正極活物質であることが知られている。これらの正極活物質は、高容量と熱安定性との両立を図るために併用される場合がある。
例えば、特許文献1には、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む層状岩塩構造の正極活物質と、オリビン構造のLiMPO(MはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、Te、Moから選ばれる少なくとも1の元素である。hは0<h<2を満足する。)を炭素で被覆した正極活物質を正極に含有するリチウムイオン二次電池が記載されており、層状岩塩構造の正極活物質の体積抵抗に対する、オリビン構造のLiMPOを炭素で被覆した正極活物質の体積抵抗の比が、0.034以下の場合に、熱安定性に優れることが記載されている。
また、特許文献2などに、リチウムイオン二次電池に用いられる電解液として、電解質である金属塩の濃度が比較的高い、高濃度の電解液を採用することが提案されている。
国際公開第2016/139957号 国際公開第2016/143294号
産業界からは、好適な電池特性及び熱安定性を両立したリチウムイオン二次電池が望まれている。層状岩塩構造の正極活物質とオリビン構造の正極活物質を併用した正極を備えるリチウムイオン二次電池は、一定程度の電池特性及び一定程度の熱安定性を両立したものである。
ここで、本発明者は、さらに高容量なリチウムイオン二次電池を提供することを志向した。層状岩塩構造のリチウム金属複合酸化物に含まれ得る遷移金属のうち、Niは充放電反応時の活性が高いことが知られている。そのため、Ni組成比が高いリチウム金属複合酸化物は、高容量の正極活物質であると認識されている。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、Ni組成比が高い層状岩塩構造の正極活物質とオリビン構造の正極活物質とを併用したリチウムイオン二次電池であって、優れた電池特性及び優れた熱安定性を両立するリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
鋭意検討の結果、Ni組成比が高い層状岩塩構造の正極活物質は、その体積抵抗が低下する傾向を示すことを本発明者は見出した。そうすると、特許文献1で開示された、層状岩塩構造の正極活物質の体積抵抗に対するオリビン構造の正極活物質の体積抵抗の比が、0.034を超える場合が想定される。
しかしながら、上記した比が0.034を超えた正極を備えるリチウムイオン二次電池であっても、特定の物性を示すオリビン構造の正極活物質を採用することで、優れた電池特性及び優れた熱安定性の両立が可能であることを本発明者は見出した。そして、優れた電池特性及び優れた熱安定性の両立が、高濃度の電解液を用いたリチウムイオン二次電池で発揮されることも、本発明者は実証した。以上の知見に基づき、本発明者は本発明を完成した。
本発明のリチウムイオン二次電池は、
層状岩塩構造のLiNiCo(MはAl及びMnから選択される。Dはドープ元素である。a、b、c、d、e、fは、0.2≦a≦2、0.8≦b、0≦c≦0.2、0≦d≦0.2、b+c+d+e=1、0≦e<0.2、1.7≦f≦3を満足する。)で表される第1正極活物質、及び、オリビン構造のLiMPO(MはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、Te、Moから選ばれる少なくとも1の元素である。hは0<h<2を満足する。)を炭素で被覆した第2正極活物質を含有する正極活物質層を具備する正極と、
電解質の濃度が1.5mol/L以上の電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記第2正極活物質の反応抵抗が20Ω以下であり、かつ、前記第2正極活物質のBET比表面積が25m/g以下であることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池は、優れた電池特性及び優れた熱安定性を両立する。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限x及び上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、並びに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで新たな数値範囲を構成し得る。更に、上記の何れかの数値範囲内から任意に選択した数値を新たな数値範囲の上限、下限の数値とすることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、
層状岩塩構造のLiNiCo(MはAl及びMnから選択される。Dはドープ元素である。a、b、c、d、e、fは、0.2≦a≦2、0.8≦b、0≦c≦0.2、0≦d≦0.2、b+c+d+e=1、0≦e<0.2、1.7≦f≦3を満足する。)で表される第1正極活物質、及び、オリビン構造のLiMPO(MはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、Te、Moから選ばれる少なくとも1の元素である。hは0<h<2を満足する。)を炭素で被覆した第2正極活物質を含有する正極活物質層を具備する正極と、
電解質の濃度が1.5mol/L以上の電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記第2正極活物質の反応抵抗が20Ω以下であり、かつ、前記第2正極活物質のBET比表面積が25m/g以下であることを特徴とする。
第1正極活物質は、本発明のリチウムイオン二次電池の容量の大部分を担う活物質である。第2正極活物質は、本発明のリチウムイオン二次電池の容量の一部分を担う活物質であって、第1正極活物質よりも熱安定性に優れる活物質である。
第1正極活物質は、ニッケル組成比bが0.8≦bであるため、高容量である。
Dのドープ元素としては、W、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vを例示できる。
第1正極活物質の上記一般式において、上記b、c及びdの値は、上記条件を満足するものであれば特に制限はないが、bに関して0.8≦b≦0.95、0.83≦b≦0.92、0.85≦b≦0.9、0.86≦b≦0.89を、cに関して0<c≦0.2、0.01≦c≦0.15、0.05≦c≦0.13を、dに関して0<d≦0.2、0.01≦d≦0.15、0.02≦d≦0.1を、それぞれ好適な範囲として例示できる。
a、e、fについては一般式で規定する範囲内の数値であればよく、aは、0.5≦a≦1.5の範囲内が好ましく、0.7≦a≦1.3の範囲内がより好ましく、0.9≦a≦1.2の範囲内がさらに好ましい。e、fについては、0≦e≦0.1、0≦e≦0.05、e=0、1.8≦f≦2.5、1.9≦f≦2.2、f=2を例示することができる。
ニッケル組成比bが高い第1正極活物質は、その体積抵抗が、ニッケル組成比bが低い層状岩塩構造の正極活物質と比較して、低い。
例えば、特許文献1には、LiNi0.5Co0.3Mn0.2の体積抵抗が253Ω・cmであり、LiNi0.5Co0.2Mn0.3の体積抵抗が991Ω・cmであり、LiNi1/3Co1/3Mn1/3の体積抵抗が2831Ω・cmであったことが記載されている。
これらに対して、ニッケル組成比bが高い第1正極活物質の一態様であるLiNi0.87Co0.1Al0.03の体積抵抗は、5.8Ω・cmであった。
第1正極活物質の体積抵抗としては、0.01〜100Ω・cmの範囲内が好ましく、0.1〜50Ω・cmの範囲内がより好ましく、1〜20Ω・cmの範囲内がさらに好ましい。なお、本明細書における体積抵抗の値は、抵抗測定装置を用いて、試料2gを直径2cmの円筒管に入れて、荷重20kNで圧縮した際の測定値を意味する。
第1正極活物質の平均粒子径は、50μm以下が好ましく、0.1〜30μmの範囲内がより好ましく、1〜20μmの範囲内がさらに好ましく、3〜12μmの範囲内が特に好ましい。第1正極活物質の平均粒子径が0.1μm未満では、電極を製造した際に集電体との密着性が損なわれやすいなどの不具合を生じることがある。第1正極活物質の平均粒子径が50μmを超えると電極の大きさに影響を与えたり、リチウムイオン二次電池を構成するセパレータを損傷したりするなどの不具合を生じることがある。なお、本明細書における平均粒子径とは、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で計測した場合のD50の値を意味する。
第1正極活物質のBET比表面積は、0.1〜5m/gの範囲内が好ましく、0.3〜3m/gの範囲内がより好ましく、0.5〜2m/gの範囲内がさらに好ましく、0.7〜1.5m/gの範囲内が特に好ましい。第1正極活物質のBET比表面積が0.1m/g未満では、第1正極活物質の内部の金属が充放電に十分に関与できないおそれがある。第1正極活物質のBET比表面積が5m/gを超えると、電解液との反応性が過剰に増加して、不都合な副反応が生じるおそれがある。
第2正極活物質は、その反応抵抗が20Ω以下であり、かつ、そのBET比表面積が25m/g以下である。両条件を満足することで、好適なリチウムイオン二次電池を提供できる。
反応抵抗とは、正極活物質の反応の速度限界に伴う抵抗成分である。
第2正極活物質の反応抵抗が高すぎると、正極と負極の短絡時に、熱安定性に優れる第2正極活物質に対するリチウムイオンの挿入反応が進行しがたく、熱安定性に劣る第1正極活物質に対するリチウムイオンの挿入反応が優先的に進行する結果、リチウムイオン二次電池が過剰に発熱することが懸念される。
第2正極活物質の反応抵抗としては、0.1〜15Ωの範囲内が好ましく、0.6〜10Ωの範囲内がより好ましく、1〜5Ωの範囲内がさらに好ましい。
ここで、第2正極活物質の反応抵抗の測定方法を示す。
第2正極活物質のみを正極活物質として含有する正極、リチウム箔からなる負極、及び、電解液を備えるセルを組み、当該セルのインピーダンス測定を行う。得られた複素インピーダンス平面プロットの曲線から、定法に従い、反応抵抗を算出する。
好適な反応抵抗を示す第2正極活物質を準備するには、市販されている第2正極活物質の反応抵抗を実測して選定してもよいし、第2正極活物質を粉砕して適切なBET比表面積の粉末を製造し、その粉末の反応抵抗を実測して選定してもよい。
第2正極活物質のBET比表面積としては、5〜23m/gの範囲内が好ましく、10〜23m/gの範囲内がより好ましく、12〜22m/gの範囲内がさらに好ましい。第2正極活物質のBET比表面積が5m/g未満では、第2正極活物質の内部の金属が充放電に十分に関与できないおそれがある。第2正極活物質のBET比表面積が25m/gを超えると、電解液との反応性が過剰に増加して、不都合な副反応が生じるおそれがある。
第2正極活物質の平均粒子径は、0.1〜10μmの範囲内が好ましく、0.5〜8μmの範囲内がより好ましく、1〜7μmの範囲内がさらに好ましく、2〜6μmの範囲内が特に好ましい。第2正極活物質の平均粒子径が0.1μm未満では、BET比表面積の値が大きくなりすぎる場合がある。第2正極活物質の平均粒子径が10μmを超えると、BET比表面積の値が小さくなりすぎる場合がある。
第2正極活物質におけるLiMPOのMは、Mn、Fe、Co、Ni、Mg、V、Teから選ばれる少なくとも1の元素であるのが好ましく、また、Mが2種類以上の元素で構成されるのがさらに好ましい。また、hは0.6<h<1.1であるのが好ましい。当該Mは、Mn、Fe及びVから選択されるのがより好ましく、h=1であるのがより好ましい。
LiMPOとしては、Mn及びFeが必須の構成元素であるLiMnFePO(x、yは、x+y=1、0<x<1、0<y<1を満足する。)で表されるものが、さらに好ましい。x及びyの範囲として、0.5≦x≦0.9、0.1≦y≦0.5や、0.6≦x≦0.8、0.2≦y≦0.4も例示できる。
オリビン構造の正極活物質としてはLiFePOが汎用されているが、Mn及びFeが共存するLiMnFePOは、LiFePOよりも反応電位が高いことが知られている。
第2正極活物質としてLiMnFePOを採用することで、第1正極活物質の反応電位と第2正極活物質の反応電位が接近又は一部重複するため、正極と負極の短絡時に、熱安定性に優れる第2正極活物質での還元反応が、熱安定性に劣る第1正極活物質での還元反応と競争的に進行するといえる。その結果、熱安定性に劣る第1正極活物質での還元反応のみが優先的に進行する事態を回避でき、リチウムイオン二次電池の過剰発熱を抑制できるといえる。
第2正極活物質の体積抵抗としては、0.01Ω・cm〜1×10Ω・cmの範囲内が好ましく、0.1Ω・cm〜1×10Ω・cmの範囲内がより好ましく、1Ω・cm〜1×10Ω・cmの範囲内がさらに好ましい。
(第2正極活物質の体積抵抗)/(第1正極活物質の体積抵抗)の値としては、0.1〜1×10の範囲内、1〜1×10の範囲内、10〜1×10の範囲内を例示できる。
第2正極活物質の炭素量としては、0.5〜8質量%、1〜6質量%、2〜5質量%の各範囲を例示できる。
第1正極活物質及び第2正極活物質を含有する正極活物質層において、第1正極活物質と第2正極活物質との質量比は、70:30〜85:15の範囲内が好ましく、72:28〜80:20の範囲内がより好ましく、74:26〜78:22の範囲内がさらに好ましい。
正極活物質層に対する、第1正極活物質及び第2正極活物質の合計量の割合は、90〜98質量%の範囲内が好ましく、92〜97質量%の範囲内がより好ましく、94〜97質量%の範囲内がさらに好ましい。
電解液には、電解質と有機溶媒が含まれる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、ニッケル組成比bが高い第1正極活物質を用いる高容量型のリチウムイオン二次電池である。高容量型のリチウムイオン二次電池の活物質に、適時にリチウムイオンを供給するためには、電解質であるリチウム塩の濃度は高い方が好ましい。
電解質であるリチウム塩の濃度としては、イオン伝導度と電池特性の関係から、1.5〜4mol/Lの範囲が好ましく、1.7〜3mol/Lの範囲がより好ましく、1.9〜2.5mol/Lの範囲がさらに好ましい。
電解質としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(FSO等のリチウム塩を例示できる。
リチウム塩としては、1種類を採用してもよいし、複数種類を採用してもよい。溶解時の粘度などの物性の観点や、正極集電体や負極表面に好適な被膜を形成し得る点から、LiPF、LiBF及びLiN(FSOからリチウム塩を選択するのが好ましい。
有機溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、鎖状カーボネート、鎖状エステル、エーテル類等が使用できる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートを例示でき、環状エステルとしては、ガンマブチロラクトン、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネートを例示でき、鎖状エステルとしては、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。有機溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部又は全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。
特に、有機溶媒としては、鎖状カーボネートとフルオロエチレンカーボネートとの混合溶媒を選択するのが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、具体的な電池構成要素として、正極、負極、電解液、及び、セパレータを備える。正極は、具体的には、集電体と、集電体の表面に形成されている正極活物質層とを具備する。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。
正極の電位をリチウム基準で4V以上とする場合には、正極用集電体としてアルミニウムを採用するのが好ましい。
具体的には、正極用集電体として、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを用いるのが好ましい。ここでアルミニウムは、純アルミニウムを指し、純度99.0%以上のアルミニウムを純アルミニウムと称する。純アルミニウムに種々の元素を添加して合金としたものをアルミニウム合金と称する。アルミニウム合金としては、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Si系、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系が挙げられる。
また、アルミニウム又はアルミニウム合金として、具体的には、例えばJIS A1085、A1N30等のA1000系合金(純アルミニウム系)、JIS A3003、A3004等のA3000系合金(Al−Mn系)、JIS A8079、A8021等のA8000系合金(Al−Fe系)が挙げられる。
集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
正極活物質層は、正極活物質以外に、導電助剤、結着剤、分散剤などの添加剤を含むことがある。なお、正極活物質層には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、第1正極活物質及び第2正極活物質以外の公知の正極活物質が含有されていてもよい。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。
導電助剤は化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、及び各種金属粒子等が例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて正極活物質層に添加することができる。
導電助剤の形状は特に制限されないが、その役割からみて、導電助剤の平均粒子径は小さいほうが好ましい。導電助剤の好ましい平均粒子径として10μm以下が例示され、より好ましい平均粒子径として0.01〜1μmの範囲が例示される。
導電助剤の配合量は特に限定されないが、あえて正極活物質層における導電助剤の配合量を挙げると、0.5〜7質量%の範囲内が好ましく、1〜5質量%の範囲内がより好ましく、2〜4質量%の範囲内がさらに好ましい。
結着剤は、正極活物質や導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂を例示することができる。また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基が例示される。親水基を有するポリマーの具体例として、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸、ポリ(p−スチレンスルホン酸)を挙げることができる。
結着剤の配合量は特に限定されないが、あえて正極活物質層における結着剤の配合量を挙げると、0.5〜7質量%の範囲内が好ましく、1〜5質量%の範囲内がより好ましく、2〜4質量%の範囲内がさらに好ましい。結着剤の配合量が少なすぎると正極活物質層の成形性が低下するおそれがある。また、結着剤の配合量が多すぎると、正極活物質層における正極活物質の量が相対的に減少するため、好ましくない。
導電助剤及び結着剤以外の分散剤などの添加剤は、公知のものを採用することができる。
集電体の表面に正極活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に正極活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、溶剤、並びに必要に応じて結着剤及び導電助剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
本発明の趣旨から、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法の工程として、オリビン構造のLiMPO(MはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、Te、Moから選ばれる少なくとも1の元素である。hは0<h<2を満足する。)を炭素で被覆した正極活物質の、反応抵抗とBET比表面積を確認する工程、及び、上述の正極活物質のうち、第2正極活物質を選定する工程を含むことが好ましい。
負極は、集電体と、集電体の表面に形成された負極活物質層を有する。負極活物質層は負極活物質を含み、さらに、導電助剤、結着剤、分散剤などの添加剤を含むことがある。集電体及び導電助剤は、正極で説明したものを適宜適切に採用すればよい。分散剤は公知のものを採用することができる。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、リチウムと合金化可能な元素を有する化合物、あるいは高分子材料などを例示することができる。
炭素系材料としては、難黒鉛化性炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類が例示できる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。高分子材料としては、具体的にポリアセチレン、ポリピロールを例示できる。
リチウムと合金化可能な元素としては、具体的にNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biが例示でき、特に、Si又はSnが好ましい。
リチウムと合金化可能な元素を有する化合物としては、具体的にZnLiAl、AlSb、SiB、SiB、MgSi、MgSn、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSiOあるいはLiSnOを例示できる。また、リチウムと合金化反応可能な元素を有する化合物として、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)などの錫化合物を例示できる。
また、負極活物質として、国際公開第2014/080608号に記載のシリコン材料を採用してもよい。当該シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するものである。シリコン材料は、例えば、CaSiと酸とを反応させてポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成する工程、さらに、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させる工程を経て製造されるものである。
シリコン材料の製造方法を、酸として塩化水素を用いた場合の理想的な反応式で示すと以下のとおりとなる。
3CaSi+6HCl → Si+3CaCl
Si → 6Si+3H
ただし、ポリシランであるSiを合成する上段の反応では、副生物や不純物除去の観点から、通常、反応溶媒として水が用いられる。そして、Siは水と反応し得るため、上段の反応を含む層状シリコン化合物を合成する工程において、層状シリコン化合物がSiのみを含むものとして製造されることはほとんどなく、層状シリコン化合物はSi(OH)(Xは酸のアニオン由来の元素若しくは基、s+t+u=6、0<s<6、0<t<6、0<u<6)で表されるものとして製造される。なお、上記の化学式においては、残存し得るCaなどの不可避不純物については、考慮していない。そして、当該層状シリコン化合物を加熱して得られるシリコン材料も、酸素や酸のアニオン由来の元素を含む。
既述のとおり、シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有する。リチウムイオン等の電荷担体が効率的に吸蔵及び放出されるためには、板状シリコン体は厚さが10nm〜100nmの範囲内のものが好ましく、20nm〜50nmの範囲内のものがより好ましい。板状シリコン体の長手方向の長さは、0.1μm〜50μmの範囲内のものが好ましい。また、板状シリコン体は、(長手方向の長さ)/(厚さ)が2〜1000の範囲内であるのが好ましい。板状シリコン体の積層構造は走査型電子顕微鏡などによる観察で確認できる。また、この積層構造は、原料のCaSiにおけるSi層の名残りであると考えられる。
シリコン材料には、アモルファスシリコン及び/又はシリコン結晶子が含まれるのが好ましい。特に、上記板状シリコン体において、アモルファスシリコンをマトリックスとし、シリコン結晶子が当該マトリックス中に点在している状態が好ましい。シリコン結晶子のサイズは、0.5nm〜300nmの範囲内が好ましく、1nm〜100nmの範囲内がより好ましく、1nm〜50nmの範囲内がさらに好ましく、1nm〜10nmの範囲内が特に好ましい。なお、シリコン結晶子のサイズは、シリコン材料に対してX線回折測定を行い、得られたX線回折チャートのSi(111)面の回折ピークの半値幅を用いたシェラーの式から算出される。
シリコン材料に含まれる板状シリコン体、アモルファスシリコン及びシリコン結晶子の存在量や大きさは、主に加熱温度や加熱時間に左右される。加熱温度は、400℃〜950℃の範囲内が好ましく、500℃〜900℃の範囲内がより好ましい。
負極活物質としては、理論上のエネルギー密度が高い点から、珪素酸化物やシリコン材料などの珪素を含有するSi含有負極活物質が特に好ましい。Si含有負極活物質は炭素で被覆されていてもよい。炭素で被覆されたSi含有負極活物質は導電性に優れる。
負極用の結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、スチレンブタジエンゴムなどの公知のものを採用すればよい。
また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーを結着剤として具備する本発明のリチウムイオン二次電池は、より好適に容量を維持できる。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基などリン酸系の基などが例示される。中でも、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸などの分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p−スチレンスルホン酸)などのスルホ基を含むポリマーが好ましい。
ポリアクリル酸、あるいはアクリル酸とビニルスルホン酸との共重合体など、カルボキシル基及び/又はスルホ基を多く含むポリマーは水溶性となる。親水基を有するポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましく、化学構造でいうと、一分子中に複数のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含むポリマーが好ましい。
分子中にカルボキシル基を含むポリマーは、例えば、酸モノマーを重合する方法や、ポリマーにカルボキシル基を付与する方法などで製造することができる。酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸、クロトン酸、ペンテン酸、アンジェリカ酸、チグリン酸など分子中に一つのカルボキシル基をもつ酸モノマー、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、2−ペンテン二酸、メチレンコハク酸、アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、2,4−ヘキサジエン二酸、アセチレンジカルボン酸など分子内に二つ以上のカルボキシル基をもつ酸モノマーなどが例示される。
上記の酸モノマーから選ばれる二種以上の酸モノマーを重合してなる共重合ポリマーを結着剤として用いてもよい。
また、国際公開第2016/063882号に開示される、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーをジアミンで架橋した架橋ポリマーを、結着剤として用いてもよい。
架橋ポリマーに用いられるジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の含飽和炭素環ジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ベンジジン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
また、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーと、ポリアミドイミドとの混合物又は反応物を結着剤として用いてもよい。
ポリアミドイミドとは、分子内にアミド結合とイミド結合をそれぞれ2つ以上有する化合物を意味する。ポリアミドイミドは、アミド結合及びイミド結合におけるカルボニル部分となる酸成分と、アミド結合及びイミド結合における窒素部分となるジアミン成分又はジイソシアネート成分を反応させることで製造される。ポリアミドイミドを得るには、当該方法で製造しても良いし、また、市販のポリアミドイミドを購入しても良い。
ポリアミドイミドの製造に用いられる酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビス(カルボキシフェニル)スルホン、ビス(カルボキシフェニル)エーテル、ナフタレンジカルボン酸、及び、これらの無水物、酸ハロゲン化物、誘導体を挙げることができる。酸成分としては、上記の化合物を単独で又は複数で採用すればよいが、ただし、イミド結合を形成させる点から、カルボキシル基が結合している炭素の隣接炭素にカルボキシル基が存在する酸成分又はその同等物が、必須となる。酸成分としては、反応性、耐熱性などの点から、トリメリット酸無水物が好ましい。また、ポリアミドイミドの引っ張り強度、引っ張り弾性率、電解液耐性の点から、トリメリット酸無水物に加えて、酸成分の一部として、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物を採用するのが好ましい。
ポリアミドイミドの製造に用いられるジアミン成分としては、上述した架橋ポリマーに用いられるジアミンを採用すればよい。耐熱性、溶解性の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−トリレンジアミン、o−トリジン、ナフタレンジアミン、イソホロンジアミンが好ましい。ポリアミドイミドの引っ張り強度、引っ張り弾性率の点からはo−トリジン、ナフタレンジアミンが好ましい。
ポリアミドイミドの製造に用いられるジイソシアネート成分としては、上記ジアミン成分のアミンをイソシアネートで置き換えたものを挙げることができる。
負極活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:結着剤=1:0.005〜1:0.3であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
リチウムイオン二次電池の具体的な製造方法について説明する。例えば、正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例及び比較例などを示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
以下の表1のとおりの物性を示す、Li、Mn、Fe、P及びOの組成がLiMn0.7Fe0.3POで表されるオリビン構造の化合物が炭素で被覆された第2正極活物質を準備した。なお、表1におけるNo.1〜No.4の第2正極活物質において、炭素量は2〜5質量%であった。
Figure 2019185920
反応抵抗は、以下のとおり、反応抵抗測定用セルを製造して、測定した値である。
第2正極活物質を85質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを7.5質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを7.5質量部、及び、適量のN−メチル−2−ピロリドンを混合して、スラリーを製造した。集電体としてアルミニウム箔を準備した。アルミニウム箔の表面に上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたアルミニウム箔を乾燥することで、N−メチル−2−ピロリドンを除去した。その後、当該アルミニウム箔をプレスし接合物を得た。得られた接合物を乾燥機で加熱乾燥して、反応抵抗測定用の正極を製造した。
負極として、リチウム箔を準備した。
ジメチルカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートを質量比81:19で混合した混合有機溶媒に、LiPFを2mol/Lの濃度となるように溶解した溶液を電解液とした。
セパレータとしてガラスフィルター(ヘキストセラニーズ社)及び単層ポリプロピレンであるcelgard2400(ポリポア株式会社)を準備した。セパレータを正極と負極で挟持し電極体とした。この電極体をコイン型電池ケースCR2032(宝泉株式会社)に収容し、さらに電解液を注入して、コイン型電池を得た。これを反応抵抗測定用セルとした。
反応抵抗測定用セルにつき、室温にて周波数1×10〜0.2Hzの範囲でのインピーダンス測定を行った。測定には、Solartron社製1255B型周波数応答アナライザ(FRA)を用いた。得られた複素インピーダンス平面プロットの曲線から、定法に従い、反応抵抗を算出した。
体積抵抗の値は、三菱化学アナリテック製抵抗測定装置(商品名 MCP−PD51)を用いて、試料2gを直径2cmの円筒管に入れて、荷重20kNで圧縮した際の測定値である。
(実施例1)
(実施例1−half)
第1正極活物質として層状岩塩構造のLiNi0.87Co0.10Al0.03を73質量部、第2正極活物質として表1のNo.1の正極活物質を22質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを2質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを3質量部、及び、適量のN−メチル−2−ピロリドンを混合して、スラリーを製造した。正極用集電体としてアルミニウム箔を準備した。アルミニウム箔の表面に上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたアルミニウム箔を乾燥することで、N−メチル−2−ピロリドンを除去した。その後、当該アルミニウム箔をプレスし接合物を得た。得られた接合物を乾燥機で加熱乾燥して、正極活物質層が形成されたアルミニウム箔からなる実施例1の正極を製造した。
なお、第1正極活物質のBET比表面積は1.3m/gであり、体積抵抗は5.8Ω・cmであった。第1正極活物質の体積抵抗は、表1の第2正極活物質の体積抵抗以下であった。
負極として、リチウム箔を準備した。
ジメチルカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートを質量比81:19で混合した混合有機溶媒に、LiPFを2mol/Lの濃度となるように溶解した溶液を電解液とした。
セパレータとしてガラスフィルター(ヘキストセラニーズ社)及び単層ポリプロピレンであるcelgard2400(ポリポア株式会社)を準備した。セパレータを実施例1の正極と負極で挟持し電極体とした。この電極体をコイン型電池ケースCR2032(宝泉株式会社)に収容し、さらに電解液を注入して、コイン型電池を得た。これを実施例1−halfのリチウムイオン二次電池した。
(実施例1−full)
正極として、実施例1の正極を採用した。
負極活物質として炭素被覆したシリコン材料を80.8質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを10.2質量部、結着剤としてポリアミドイミドを9質量部、及び、適量のN−メチル−2−ピロリドンを混合して、スラリーを製造した。負極用集電体として銅箔を準備した。この銅箔の表面に上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布された銅箔を乾燥することでN−メチル−2−ピロリドンを除去して、負極活物質層が形成された負極を製造した。
ジメチルカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートを質量比81:19で混合した混合有機溶媒に、LiPFを2mol/Lの濃度となるように溶解した溶液を電解液とした。
セパレータとして、ポリオレフィン製の多孔質膜を準備した。
実施例1の正極と負極とでセパレータを挟持し、極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに上記電解液を注入した。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群および電解液が密閉された実施例1−fullのリチウムイオン二次電池を製造した。
(実施例2:実施例2−half、実施例2−full)
第2正極活物質として表1のNo.2の正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2−halfのリチウムイオン二次電池及び実施例2−fullのリチウムイオン二次電池を製造した。
(比較例1:比較例1−half、比較例1−full)
第2正極活物質として表1のNo.3の正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1−halfのリチウムイオン二次電池及び比較例1−fullのリチウムイオン二次電池を製造した。
(比較例2:比較例2−half、比較例2−full)
第2正極活物質として表1のNo.4の正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2−halfのリチウムイオン二次電池及び比較例2−fullのリチウムイオン二次電池を製造した。
(評価例1:出力試験)
3Vから4.28Vまで充電した後にSOC(State of Charge)15%まで放電した実施例1−halfのリチウムイオン二次電池につき、25℃、1Cレートの電流にて、10秒間放電させて、10秒放電時の出力を算出した。
実施例2−half、比較例1−half、及び、比較例2−halfのリチウムイオン二次電池についても同様の試験を行った。
出力試験の結果を、第2正極活物質の反応抵抗及びBET比表面積の値と共に、表2に示す。
Figure 2019185920
表2の結果から、実施例のリチウムイオン二次電池の出力特性が、比較例のリチウムイオン二次電池よりも優れていることがわかる。第2正極活物質のBET比表面積が25m/g程度よりも低い値であれば、出力特性が好適化するといえる。
比較例1及び比較例2の結果から、高濃度の電解液の存在下で、第2正極活物質のBET比表面積の値が25m/gを超える場合には、第2正極活物質の活性が向上して、電解液と第2正極活物質の界面に、充放電に不都合な分解物に因る被膜が形成されること、及び、当該被膜に因り、出力特性が劣ることが示唆される。
他方、第2正極活物質の反応抵抗の値はSOC15%での出力特性にそれほど影響を与えていないといえるが、第2正極活物質のBET比表面積の値が25m/gを超える場合には、反応抵抗の値が小さいと、出力特性を劣化させるともいえる。
(評価例2:強制短絡試験)
実施例1−fullのリチウムイオン二次電池に対し、4.5Vの電位で安定するまで定電圧充電を行った。その後、リチウムイオン二次電池を放電して、特定のSOCに調整した。
調整後のリチウムイオン二次電池を、径20mmの孔を有する拘束板上に配置した。上部に釘が取り付けられたプレス機に拘束板を配置した。釘が拘束板上の電池を貫通して、釘の先端部が拘束板の孔内部に位置するまで、釘を上部から下部に20mm/sec.の速度で移動させた。釘貫通後の電池の表面温度を測定して、過剰な発熱が生じない場合を合格とした。なお、使用した釘の形状は径8mm、先端角度60°であり、釘の材質はJIS G 4051で規定するS45Cであった。
上述の試験を、低SOC側から順に行い、不合格となるSOCまで実施した。
実施例2−full、比較例1−full、及び、比較例2−fullのリチウムイオン二次電池についても同様の試験を行った。
それぞれのリチウムイオン二次電池について、合格SOCのうち最も高い値を、第2正極活物質の反応抵抗及びBET比表面積の値と共に、表3に示す。
Figure 2019185920
表3の結果から、第2正極活物質の反応抵抗の値が高いと、熱安定性に劣ることがわかる。
表2及び表3の結果から、高濃度の電解液の存在下で、優れた出力特性及び優れた熱安定性を両立するためには、反応抵抗及びBET比表面積の両パラメータが好適な範囲内にある第2正極活物質を採用することが必要といえる。

Claims (3)

  1. 層状岩塩構造のLiNiCo(MはAl及びMnから選択される。Dはドープ元素である。a、b、c、d、e、fは、0.2≦a≦2、0.8≦b、0≦c≦0.2、0≦d≦0.2、b+c+d+e=1、0≦e<0.2、1.7≦f≦3を満足する。)で表される第1正極活物質、及び、オリビン構造のLiMPO(MはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、Te、Moから選ばれる少なくとも1の元素である。hは0<h<2を満足する。)を炭素で被覆した第2正極活物質を含有する正極活物質層を具備する正極と、
    電解質の濃度が1.5mol/L以上の電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記第2正極活物質の反応抵抗が20Ω以下であり、かつ、前記第2正極活物質のBET比表面積が25m/g以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記LiMPOのMが2種類以上の元素で構成される請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記正極活物質層において前記第1正極活物質と前記第2正極活物質との質量比が、70:30〜85:15の範囲内である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
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