以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限a及び上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値とすることができる。
本発明の電極は、活物質及び第1結着剤を含む活物質層と、前記活物質層の表面に、セラミックス及び第2結着剤を含むセラミックス含有層と、を具備する電極であって、
第1結着剤又は第2結着剤のいずれか一方が第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーであり、他方がケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーであることを特徴とする。
第1結着剤は、一種類のポリマーでもよいし、複数種類のポリマーでもよい。第2結着剤についても同様である。
第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーとは、その分子内のアルキル基の炭素又は芳香環の炭素に結合した−NH2又は−NHR(Rは炭化水素)を含有するポリマーを意味する。以下、本明細書において、アルキル基の炭素又は芳香環の炭素に結合した−NH2及び−NHR(Rは炭化水素)を、アミノ基ということがある。
第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーのアミノ基と、ケトン基含有ポリマーのケトン基、アルデヒド基含有ポリマーのアルデヒド基、エステル基含有ポリマーのエステル基又はカルボキシル基含有ポリマーのカルボキシ基とは、化学反応して共有結合を形成し得る。本発明の電極における活物質層とセラミックス含有層との界面の結着力が強いのは、活物質層とセラミックス含有層との界面で、各層に含まれる結着剤が共有結合を形成しているためであると考えられる。
例えば、第一級アミンポリマーの一態様であるP1−CH2−NH2と、ケトン基含有ポリマーの一態様であるP2−CH2−C=O−CH3とは、以下の反応式のとおり反応して結合できる。なお、P1及びP2はそれぞれポリマー鎖を意味する。
P1−CH2−NH2 + P2−CH2−C=O−CH3
→ P1−CH2−N=C(CH3)−CH2−P2 + H2O
第一級アミンポリマーの一態様であるP1−CH2−NH2と、アルデヒド基含有ポリマーの一態様であるP2−CH2−CH=Oとは、以下の反応式のとおり反応して結合できる。
P1−CH2−NH2 + P2−CH2−CH=O
→ P1−CH2−N=CH−CH2−P2 + H2O
また、第二級アミンポリマーの一態様であるP1−CH2−NHCH3と、ケトン基含有ポリマーの一態様であるP2−CH2−C=O−CH3とは、以下の反応式のとおり反応して結合できる。第二級アミンポリマーとアルデヒド基含有ポリマーとの反応に関しても、同様である。
P1−CH2−NHCH3 + P2−CH2−C=O−CH3
→ P1−CH2−NCH3−C(CH3)=CH−P2 + H2O
第一級アミンポリマーの一態様であるP1−CH2−NH2と、エステル基含有ポリマーの一態様であるP2−C=O−OCH3とは、以下の反応式のとおり反応して結合できる。また、第二級アミンポリマーとエステル基含有ポリマーとの反応に関しても、同様である。
P1−CH2−NH2 + P2−C=O−OCH3
→ P1−CH2−NH−C=O−P2 + CH3OH
第一級アミンポリマーの一態様であるP1−CH2−NH2と、カルボキシル基含有ポリマーの一態様であるP2−C=O−OHとは、以下の反応式のとおり反応して結合できる。また、第二級アミンポリマーとカルボキシル基含有ポリマーとの反応に関しても、同様である。
P1−CH2−NH2 + P2−C=O−OH
→ P1−CH2−NH−C=O−P2 + H2O
なお、第三級アミンでは、上述の反応式に示す反応は進行しない。また、アミド:−CONH2におけるNH2は隣接するC=Oと相互作用するため、第一級アミン及び第二級アミンほどの求核力がなく、上述の反応式に示す反応を進行させることは困難である。
第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーは、ポリマーを構成するモノマーのすべてがアミノ基を含有するものでもよいし、ポリマーを構成するモノマーの一部がアミノ基を含有するものでもよく、また、ポリマーの末端がアミノ基であるものでもよい。
第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーとしては、公知のものを採用すればよい。第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーの具体例としては、ポリアミド、ポリアミドイミドを例示できる。通常、ポリアミドやポリアミドイミドの化学構造の末端にはアミノ基が存在する。
また、第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーとして、国際公開第2016/063882号に開示される、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーをジアミンなどのポリアミンで架橋した架橋ポリマーを用いてもよい。通常、架橋ポリマーには、未反応のアミノ基が存在する。
架橋ポリマーに用いられるジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の含飽和炭素環ジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ベンジジン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーの重量平均分子量としては、5000〜8000000、10000〜6000000、25000〜5000000、50000〜4000000の範囲を例示できる。
ケトン基含有ポリマーとは、その分子内のアルキル基の炭素又は芳香環の炭素に結合したケトン基:−C=O−R(Rは炭化水素)を含有するポリマーを意味する。アルデヒド基含有ポリマーとは、その分子内のアルキル基の炭素又は芳香環の炭素に結合したアルデヒド基:−CH=Oを含有するポリマーを意味する。エステル基含有ポリマーとは、その分子内のアルキル基の炭素又は芳香環の炭素に結合したエステル基:−C=O−OR(Rは炭化水素)を含有するポリマーを意味する。カルボキシル基含有ポリマーとは、その分子内のアルキル基の炭素又は芳香環の炭素に結合したカルボキシル基:−C=O−OHを含有するポリマー若しくはその塩を意味する。
ケトン基含有ポリマーは、ポリマーを構成するモノマーのすべてがケトン基を含有するものでもよいし、ポリマーを構成するモノマーの一部がケトン基を含有するものでもよく、また、ポリマーの末端がケトン基であるものでもよい。アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーについても同様である。
ケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー及びカルボキシル基含有ポリマーのなかでは、第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーのアミノ基との反応性に優れる点から、ケトン基含有ポリマー又はアルデヒド基含有ポリマーが好ましい。
ケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーとしては、公知のものを採用すればよい。また、公知のポリマーの水酸基等の官能基を、周知の方法で変換することで、製造してもよい。
具体的なケトン基含有ポリマーとして、脂肪族ポリケトン、芳香族ポリケトン、脂肪族ポリエーテルケトン、芳香族ポリエーテルケトン、脂肪族ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルアルコールの一部の水酸基をCH3COCH2COO−で置換したものを例示できる。具体的なアルデヒド基含有ポリマーとして、ポリアセタール、特開昭51−125484号公報に開示の重合体、特開昭50−109281号公報に開示の共重合体を例示できる。具体的なエステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーとして、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、カルボキシメチルセルロース及びこれらのエステルを例示できる。また、末端にカルボキシル基が存在する、ポリエステル、ポリアミド及びポリアミドイミド、並びに、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーをジアミンなどのポリアミンで架橋した架橋ポリマーを例示できる。
その他の具体的なケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーとして、前段落で述べた具体的なポリマーを構成する各種のモノマーを共重合させた共重合体を例示できる。また、後述する活物質層用結着剤のうち、ケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーに該当するものを採用してもよい。
ケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーの重量平均分子量としては、5000〜8000000、10000〜6000000、25000〜5000000、50000〜4000000の範囲を例示できる。
ポリマーには、第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーであり、かつ、ケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーであるポリマーも存在する。その場合、第1結着剤及び第2結着剤は、同一のポリマーであってもよい。もちろん、第1結着剤及び第2結着剤は、互いに異なるポリマーであってもよい。
本発明の電極は、正極でもよいし、負極でもよい。本発明の電極の具体的な態様は、集電体と、集電体の表面に形成された活物質層と、活物質層の表面に形成されたセラミックス含有層とを具備する構成である。
集電体は、リチウムイオン二次電池などの二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体の材料は、使用する活物質に適した電圧に耐え得る金属であれば特に制限はない。集電体の材料としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
正極の電位をリチウム基準で4V以上とする場合には、正極用集電体としてアルミニウムを採用するのが好ましい。
具体的には、正極用集電体として、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを用いるのが好ましい。ここでアルミニウムは、純アルミニウムを指し、純度99.0%以上のアルミニウムを純アルミニウムと称する。純アルミニウムに種々の元素を添加して合金としたものをアルミニウム合金と称する。アルミニウム合金としては、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Si系、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系が挙げられる。
また、アルミニウム又はアルミニウム合金として、具体的には、例えばJIS A1085、A1N30等のA1000系合金(純アルミニウム系)、JIS A3003、A3004等のA3000系合金(Al−Mn系)、JIS A8079、A8021等のA8000系合金(Al−Fe系)が挙げられる。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
活物質層は、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出し得る活物質、及び、第1結着剤、並びに必要に応じて導電助剤を含む。活物質層には、活物質が活物質層全体の質量に対して、60〜99質量%で含まれるのが好ましく、70〜95質量%で含まれるのがより好ましい。
正極活物質としては、層状岩塩構造の一般式:LiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物、Li2MnO3を挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn2O4等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePO4FなどのLiMPO4F(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBO3などのLiMBO3(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、電荷担体(例えば充放電に寄与するリチウムイオン)を含まないものを用いても良い。例えば、硫黄単体、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiS2などの金属硫化物、V2O5、MnO2などの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。リチウム等の電荷担体を含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極及び/又は負極に、公知の方法により、予め電荷担体を添加しておく必要がある。電荷担体は、イオンの状態で添加しても良いし、金属等の非イオンの状態で添加しても良い。例えば、電荷担体がリチウムである場合には、リチウム箔を正極及び/又は負極に貼り付けるなどして一体化しても良い。
高容量及び耐久性などに優れる点から、正極活物質として、層状岩塩構造の一般式:LiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3) で表されるリチウム複合金属酸化物を採用することが好ましい。
上記一般式において、b、c、dの値は、上記条件を満足するものであれば特に制限はないが、0<b<1、0<c<1、0<d<1であるものが良く、また、b、c、dの少なくともいずれか一つが10/100<b<90/100、10/100<c<90/100、5/100<d<70/100の範囲であることが好ましく、20/100<b<80/100、12/100<c<70/100、10/100<d<60/100の範囲であることがより好ましく、30/100<b<70/100、15/100<c<50/100、12/100<d<50/100の範囲であることがさらに好ましい。
a、e、fについては、上記一般式で規定する範囲内の数値であればよく、好ましくは0.5≦a≦1.5、0≦e<0.2、1.8≦f≦2.5、より好ましくは0.8≦a≦1.3、0≦e<0.1、1.9≦f≦2.1をそれぞれ例示することができる。
具体的な正極活物質として、スピネル構造のLixAyMn2―yO4(Aは、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、P、Ga、Geから選ばれる少なくとも1の元素、及び遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素、0<x≦2.2、0≦y≦1)を例示できる。より具体的には、LiMn2O4、LiNi0.5Mn1.5O4を例示できる。
具体的な正極活物質として、LiFePO4、Li2FeSiO4、LiCoPO4、Li2CoPO4、Li2MnPO4、Li2MnSiO4、Li2CoPO4Fを例示できる。他の具体的な正極活物質として、Li2MnO3−LiCoO2を例示できる。
正極活物質は1種類を用いても良いし、複数種類を併用しても良い。正極活物質の併用例として、層状岩塩構造の一般式:LiaNibCocMndDeOf(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物と、LiMPO4、LiMVO4又はLi2MSiO4(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)で表されるポリアニオン系化合物との併用を挙げることができる。リチウム複合金属酸化物とポリアニオン系化合物との併用において、これらの質量比は、リチウム複合金属酸化物:ポリアニオン系化合物=90:10〜50:50の範囲内が好ましく、80:20〜60:40の範囲内がより好ましい。また、正極活物質は炭素で被覆されていてもよい。
負極活物質としては、電荷担体を吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。したがって、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はない。たとえば、負極活物質としてLiや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すればよい。合金又は化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiOx(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質して、Nb2O5、TiO2、Li4Ti5O12、WO2、MoO2、Fe2O3等の酸化物、又は、Li3−xMxN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
高容量化の可能性の点から、好ましい負極活物質として、黒鉛、Si含有材料、Sn含有材料を挙げることができる。
Si含有材料の具体例として、Si単体や、Si相とケイ素酸化物相との2相に不均化されたSiOx(0.3≦x≦1.6)を例示できる。SiOxにおけるSi相は、リチウムイオンを吸蔵及び放出でき、二次電池の充放電に伴って体積変化する。ケイ素酸化物相はSi相に比べて充放電に伴う体積変化が少ない。つまり、負極活物質としてのSiOxは、Si相により高容量を実現するとともに、ケイ素酸化物相を有することにより負極活物質全体の体積変化を抑制する。なお、xが下限値未満であると、Siの比率が過大になるため、充放電時の体積変化が大きくなりすぎて二次電池のサイクル特性が低下する。一方、xが上限値を超えると、Si比率が過小になってエネルギー密度が低下する。xの範囲は0.5≦x≦1.5であるのがより好ましく、0.7≦x≦1.2であるのがさらに好ましい。
なお、上記したSiOxにおいては、リチウムイオン二次電池の充放電時にリチウムとSi相のケイ素とによる合金化反応が生じると考えられている。そして、この合金化反応がリチウムイオン二次電池の充放電に寄与すると考えられている。後述するSn含有材料についても、同様に、スズとリチウムとの合金化反応によって充放電できると考えられている。
Sn含有材料の具体例として、Sn単体、Cu−SnやCo−Snなどのスズ合金、アモルファススズ酸化物、スズケイ素酸化物を例示できる。アモルファススズ酸化物としてはSnB0.4P0.6O3.1を例示でき、スズケイ素酸化物としてはSnSiO3を例示できる。
上記したSi含有材料、及び、Sn含有材料は、炭素材料と複合化して負極活物質とすることが好ましい。複合化に因り、特にケイ素及び/又はスズの構造が安定し、負極の耐久性が向上する。上記複合化は、既知の方法で行えば良い。複合化に用いられる炭素材料としては、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等を採用すればよい。黒鉛は、天然黒鉛でもよく、人造黒鉛でもよい。
Si含有材料の具体例として、国際公開第2014/080608号などに開示されるシリコン材料(以下、単に「シリコン材料」という。)を挙げることができる。
シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するものである。シリコン材料は、例えば、CaSi2と酸とを反応させてポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成する工程、さらに、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させる工程を経て製造されるものである。
シリコン材料の製造方法を、酸として塩化水素を用いた場合の理想的な反応式で示すと以下のとおりとなる。
3CaSi2+6HCl → Si6H6+3CaCl2
Si6H6 → 6Si+3H2↑
ただし、ポリシランであるSi6H6を合成する上段の反応では、副生物や不純物除去の観点から、通常、反応溶媒として水が用いられる。そして、Si6H6は水と反応し得るため、上段の反応を含む層状シリコン化合物を合成する工程において、層状シリコン化合物がSi6H6のみを含むものとして製造されることはほとんどなく、層状シリコン化合物はSi6Hs(OH)tXu(Xは酸のアニオン由来の元素若しくは基、s+t+u=6、0<s<6、0<t<6、0<u<6)で表されるものとして製造される。なお、上記の化学式においては、残存し得るCaなどの不可避不純物については、考慮していない。そして、当該層状シリコン化合物を加熱して得られるシリコン材料も、酸素や酸のアニオン由来の元素を含む。
既述のとおり、シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有する。リチウムイオン等の電荷担体が効率的に吸蔵及び放出されるためには、板状シリコン体は厚さが10nm〜100nmの範囲内のものが好ましく、20nm〜50nmの範囲内のものがより好ましい。板状シリコン体の長手方向の長さは、0.1μm〜50μmの範囲内のものが好ましい。また、板状シリコン体は、(長手方向の長さ)/(厚さ)が2〜1000の範囲内であるのが好ましい。板状シリコン体の積層構造は走査型電子顕微鏡などによる観察で確認できる。また、この積層構造は、原料のCaSi2におけるSi層の名残りであると考えられる。
シリコン材料には、アモルファスシリコン及び/又はシリコン結晶子が含まれるのが好ましい。特に、上記板状シリコン体において、アモルファスシリコンをマトリックスとし、シリコン結晶子が当該マトリックス中に点在している状態が好ましい。シリコン結晶子のサイズは、0.5nm〜300nmの範囲内が好ましく、1nm〜100nmの範囲内がより好ましく、1nm〜50nmの範囲内がさらに好ましく、1nm〜10nmの範囲内が特に好ましい。なお、シリコン結晶子のサイズは、シリコン材料に対してX線回折測定を行い、得られたX線回折チャートのSi(111)面の回折ピークの半値幅を用いたシェラーの式から算出される。
シリコン材料に含まれる板状シリコン体、アモルファスシリコン及びシリコン結晶子の存在量や大きさは、主に加熱温度や加熱時間に左右される。加熱温度は、350℃〜950℃の範囲内が好ましく、400℃〜900℃の範囲内がより好ましい。
シリコン材料は炭素で被覆されていてもよい。炭素で被覆されたシリコン材料は導電性に優れる。
シリコン材料の平均粒子径は、2〜7μmの範囲内が好ましく、2.5〜6.5μmの範囲内がより好ましい。平均粒子径が小さすぎるシリコン材料を用いると、凝集性や濡れ性の観点から、負極製造が困難になる場合がある。具体的には、負極製造時に調製するスラリー中において、平均粒子径が小さすぎるシリコン材料が凝集する場合がある。他方、平均粒子径が大きすぎるシリコン材料を用いた負極を具備するリチウムイオン二次電池は、好適な充放電ができない場合がある。平均粒子径が大きすぎるシリコン材料においては、リチウムイオンが当該シリコン材料の内部まで十分に拡散し得ないことが原因と推測される。なお、本明細書における平均粒子径とは、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で試料を測定した場合におけるD50を意味する。
シリコン材料の平均粒子径を一定の範囲内とするには、シリコン材料を粉砕する、篩過にて分級するなどの方法を採用すればよい。粉砕方法としては、公知の粉砕装置を用いる方法であればよい。特に、ジェットミルを用いた粉砕が好ましい。シリコン材料を炭素で被覆する場合には、粉砕後のシリコン材料を炭素で被覆するのが好ましい。
以下、シリコン材料を炭素被覆する炭素被覆工程について説明する。同工程は、具体的には、アルゴンや窒素などの非酸化性雰囲気下及び加熱条件下にて、シリコン材料を有機物と接触させて、シリコン材料の表面に有機物が炭素化してなる炭素層を形成させる工程である。
有機物としては、固体、液体、気体のものがある。特に、気体状態の有機物を用いることで、シリコン材料の外表面に均一な炭素層を形成できるだけでなく、シリコン材料の内部の粒子表面にも炭素層を形成できる。気体状態の有機物を用いて炭素層を生成させる方法は、一般に熱CVD法と呼ばれている方法を応用したものである。熱CVD法を応用して被覆工程を行う場合には、ホットウォール型、コールドウォール型、横型、縦型などの型式の、流動層反応炉、回転炉、トンネル炉、バッチ式焼成炉、ロータリーキルンなどの公知のCVD装置を、炭素被覆装置として用いればよい。
有機物としては、非酸化性雰囲気下での加熱によって熱分解して炭化し得るものが用いられ、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、エチレン、プロピレン、アセチレンなどの不飽和脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、ナフタレン、フェノール、クレゾール、安息香酸、サリチル酸、ニトロベンゼン、クロルベンゼン、インデン、ベンゾフラン、ピリジン、アントラセン、フェナントレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル類、脂肪酸類などから選択される一種又は混合物が挙げられる。
炭素被覆工程における処理温度は、有機物の種類によって異なるが、有機物が熱分解する温度より50℃以上高い温度とすることが望ましい。しかし、加熱温度が過度に高すぎると、系内に遊離炭素(煤)が発生する場合があるので、遊離炭素(煤)が発生しない条件を選択することが好ましい。好適な温度として750〜950℃の範囲を、より好適な温度として850〜900℃の範囲を例示できる。形成される炭素層の厚さは、処理時間によって制御することができる。
炭素被覆工程は、シリコン材料を流動状態にして行うことが望ましい。このようにすることで、シリコン材料の全表面を有機物と接触させることができ、より均一な炭素層を形成することができる。シリコン材料を流動状態にするには、流動床を用いるなど各種方法があるが、シリコン材料を撹拌しながら有機物と接触させるのが好ましい。例えば、内部に邪魔板をもつ回転炉を用いれば、邪魔板に留まったシリコン材料が回転炉の回転に伴って所定高さから落下することで撹拌され、その際に有機物と接触して炭素層が形成されるので、シリコン材料の全体に均一な炭素層を形成することができる。
活物質層には、結着剤として第1結着剤のみを含んでいてもよいが、第1結着剤以外の結着剤(以下、活物質層用結着剤ということがある。)を含んでいてもよい。活物質層における、第1結着剤と活物質層用結着剤との質量比の範囲としては、10:0.1〜0.1:10、10:1〜1:10、10:2〜2:10、10:4〜4:10を例示できる。
活物質層用結着剤としては、第1結着剤と化学的に反応しないものが好ましい。例えば、第1結着剤が第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーである場合は、活物質層用結着剤としては、ケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー及びカルボキシル基含有ポリマーに該当しないものが好ましい。同様に、第1結着剤がケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーである場合は、活物質層用結着剤としては、第一級アミンポリマー及び第二級アミンポリマーに該当しないものが好ましい。
活物質層用結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、スチレンブタジエンゴムなどの公知のものを採用すればよい。
また、活物質層用結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーを結着剤として具備する本発明の二次電池は、より好適に容量を維持できる。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基などリン酸系の基などが例示される。中でも、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸などの分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p−スチレンスルホン酸)などのスルホ基を含むポリマーが好ましい。
ポリアクリル酸、あるいはアクリル酸とビニルスルホン酸との共重合体など、カルボキシル基及び/又はスルホ基を多く含むポリマーは水溶性となる。親水基を有するポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましく、化学構造でいうと、一分子中に複数のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含むポリマーが好ましい。
分子中にカルボキシル基を含むポリマーは、例えば、酸モノマーを重合する方法や、ポリマーにカルボキシル基を付与する方法などで製造することができる。酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸、クロトン酸、ペンテン酸、アンジェリカ酸、チグリン酸など分子中に一つのカルボキシル基をもつ酸モノマー、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、2−ペンテン二酸、メチレンコハク酸、アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、2,4−ヘキサジエン二酸、アセチレンジカルボン酸など分子内に二つ以上のカルボキシル基をもつ酸モノマーなどが例示される。
上記の酸モノマーから選ばれる二種以上の酸モノマーを重合してなる共重合ポリマーを活物質層用結着剤として用いてもよい。
また、例えば特開2013―065493号公報に記載されたような、アクリル酸とイタコン酸との共重合体のカルボキシル基どうしが縮合して形成された酸無水物基を分子中に含んでいるポリマーを活物質層用結着剤として用いることも好ましい。一分子中にカルボキシル基を二つ以上有する酸性度の高いモノマー由来の構造が活物質層用結着剤にあることにより、充電時に電解液分解反応が起こる前にリチウムイオンなどを活物質層用結着剤がトラップし易くなると考えられている。さらに、当該ポリマーは、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸に比べてモノマーあたりのカルボキシル基が多いため、酸性度が高まるものの、所定量のカルボキシル基が酸無水物基に変化しているため、酸性度が高まりすぎることもない。そのため、当該ポリマーを活物質層用結着剤として用いた負極を備える二次電池は、初期効率が向上し、入出力特性が向上する。
また、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーと、ポリアミドイミドとの混合物又は反応物を活物質層用結着剤として用いてもよい。
ポリアミドイミドとは、分子内にアミド結合とイミド結合をそれぞれ2つ以上有する化合物を意味する。ポリアミドイミドは、アミド結合及びイミド結合におけるカルボニル部分となる酸成分と、アミド結合及びイミド結合における窒素部分となるジアミン成分又はジイソシアネート成分を反応させることで製造される。ポリアミドイミドを得るには、当該方法で製造しても良いし、また、市販のポリアミドイミドを購入しても良い。
ポリアミドイミドの製造に用いられる酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビス(カルボキシフェニル)スルホン、ビス(カルボキシフェニル)エーテル、ナフタレンジカルボン酸、及び、これらの無水物、酸ハロゲン化物、誘導体を挙げることができる。酸成分としては、上記の化合物を単独で又は複数で採用すればよいが、ただし、イミド結合を形成させる点から、カルボキシル基が結合している炭素の隣接炭素にカルボキシル基が存在する酸成分又はその同等物が、必須となる。酸成分としては、反応性、耐熱性などの点から、トリメリット酸無水物が好ましい。また、ポリアミドイミドの引っ張り強度、引っ張り弾性率、電解液耐性の点から、トリメリット酸無水物に加えて、酸成分の一部として、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物を採用するのが好ましい。
ポリアミドイミドの製造に用いられるジアミン成分としては、第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーの説明で述べた架橋ポリマーに用いられるジアミンを採用すればよい。耐熱性、溶解性の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−トリレンジアミン、o−トリジン、ナフタレンジアミン、イソホロンジアミンが好ましい。ポリアミドイミドの引っ張り強度、引っ張り弾性率の点からはo−トリジン、ナフタレンジアミンが好ましい。
ポリアミドイミドの製造に用いられるジイソシアネート成分としては、上記ジアミン成分のアミンをイソシアネートで置き換えたものを挙げることができる。
特に、正極活物質層用結着剤としては、充電条件下でも安定性に優れる、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂が好適である。また、負極活物質層用結着剤としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、アルコキシシリル基含有樹脂、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシル基含有ポリマーをジアミンで架橋した架橋ポリマー、カルボキシル基含有ポリマーとポリアミドイミドとの混合物又は反応物が好適である。
活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、活物質:結着剤=1:0.005〜1:0.3であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、および各種金属粒子などが例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが例示される。これらの導電助剤を単独又は二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、活物質:導電助剤=1:0.01〜1:0.5であるのが好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、結着剤、溶剤、並びに必要に応じて導電助剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
活物質層の表面に形成されたセラミックス含有層について説明する。セラミックス含有層は活物質層の表面に形成されることで、例えば、二次電池の短絡時であっても、当該活物質層と他の活物質層との接触を抑制する役割を果たしている。また、セラミックス含有層は活物質層と電解液との直接接触を一部抑制し得るため、電解液の過剰な分解及びSEI(Solid Electrolyte Interface)の過剰な生成を抑制し得る。さらに、セラミックス含有層は、充放電に伴う活物質の膨張収縮時に電解液を活物質近傍に保液する役割も担っている。これらのセラミックス含有層の役割を鑑みると、セラミックス含有層は、SEIを生成し、かつ膨張収縮の程度が大きい負極活物質層の表面に形成されるのが好ましいといえる。
セラミックス含有層はセラミックス及び第2結着剤を含む。
セラミックスとしては、Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、MgO、SiC、AlN、BN、CaCO3、MgCO3、BaCO3、タルク、マイカ、カオリナイト、CaSO4、MgSO4、BaSO4、CaO、ZnO、ゼオライトを例示できる。セラミックス含有層には、1種又は複数種のセラミックスが含まれる。
セラミックスの形態としては粉末が好ましい。セラミックス粉末の粒径としては、平均粒子径が0.1〜10μmのものが好ましく、0.2〜5μmのものがより好ましく、0.3〜3μmのものが特に好ましい。平均粒子径が小さすぎると、電荷担体が通過できる空間をセラミックス含有層に形成するのが困難になる場合がある。平均粒子径が大きすぎるとセラミックス含有層の厚みが増加するため、厚みの増加に因り生じる抵抗が二次電池の出力に悪影響を与える恐れがある。なお、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置などの一般的な粒度分布測定装置にて測定すればよい。
セラミックス含有層には、結着剤として第2結着剤のみを含んでいてもよいが、第2結着剤以外の結着剤(以下、セラミックス含有層用結着剤ということがある。)を含んでいてもよい。セラミックス含有層用結着剤としては、活物質層についての説明で述べた活物質層用結着剤を例示できる。また、セラミックス含有層用結着剤として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、及び、スチレン−アクリル酸共重合体、並びにこれらの誘導体を例示できる。セラミックス含有層における、第2結着剤とセラミックス含有層用結着剤との質量比の範囲としては、10:0.1〜0.1:10、10:1〜1:10、10:2〜2:10、10:4〜4:10を例示できる。
セラミックス含有層用結着剤としては、第2結着剤と化学的に反応しないものが好ましい。例えば、第2結着剤が第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーである場合は、セラミックス含有層用結着剤としては、ケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー及びカルボキシル基含有ポリマーに該当しないものが好ましい。同様に、第2結着剤がケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーである場合は、セラミックス含有層用結着剤としては、第一級アミンポリマー及び第二級アミンポリマーに該当しないものが好ましい。
セラミックス含有層におけるセラミックスと結着剤との質量比の範囲としては5:1〜50:1、7:1〜30:1、8:1〜10:1を例示できる。セラミックス含有層において結着剤の配合量が少なすぎると、活物質層に対するセラミックス含有層の結着力の低下、又は、セラミックス含有層中のセラミックス間の結着力の低下によるセラミックス含有層の崩壊の恐れがあるので好ましくない。加えて、セラミックス含有層全体の柔軟性が失われ、電極に加わる圧力でセラミックス含有層が割れる恐れがあるので好ましくない。セラミックス含有層において結着剤の配合量が多すぎると、セラミックス含有層自体の硬度が低下する懸念があるし、正極及び負極間の電荷担体の移動経路の距離が増加すること、及び移動経路が閉塞されて移動経路自体の数が減少することも懸念されるので好ましくない。
セラミックス含有層の厚みは特に制限が無いが、0.1〜20μmが好ましく、0.5〜15μmがより好ましく、1〜12μmが特に好ましい。
活物質層の表面にセラミックス含有層を設けるには、例えば、セラミックス及び結着剤を溶剤に分散させてセラミックス含有層形成用組成物を調製する工程、及び、当該セラミックス含有層形成用組成物を活物質層の表面に塗布する工程を実施した後、乾燥工程を実施すれば良い。セラミックス含有層形成用組成物の調製に用いる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、エタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。塗布工程では、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いればよい。乾燥工程は、常圧条件で行っても良いし、真空乾燥機を用いた減圧条件下で行っても良い。乾燥温度は結着剤が分解しない範囲内で適宜設定すればよく、上記溶剤の沸点以上、又は、第1結着剤と第2結着剤との反応で副生される水などの沸点以上の温度が好ましい。乾燥時間は塗布量及び乾燥温度に応じ適宜設定すればよい。
本発明の電極においては、第1結着剤が第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーであり、第2結着剤がケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーであってもよく、また、第1結着剤がケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーであり、第2結着剤が第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーであってもよい。
本発明の電極としては、第1結着剤が第一級アミンポリマー又は第二級アミンポリマーであり、第2結着剤がケトン基含有ポリマー、アルデヒド基含有ポリマー、エステル基含有ポリマー又はカルボキシル基含有ポリマーである態様が好ましい。その理由は、活物質層に含まれる第1結着剤のアミノ基がセラミックス含有層のセラミックスと配位結合などの化学結合を形成することで、活物質層とセラミックス含有層との界面における結着力がさらに向上する可能性があるためである。
本発明の二次電池は本発明の電極を具備する。本発明の二次電池において、正極及び負極の両者が本発明の電極であってもよいし、電極のいずれか一方が本発明の電極であって、他方がセラミックス含有層を具備しない一般的な電極であってもよい。本発明の二次電池は、負極が本発明の電極であるものが好ましい。
本発明の二次電池における電極以外の具体的な構成として、セパレータ及び電解液を挙げることができる。以下、本発明の二次電池の代表例として、電荷担体がリチウムイオンである本発明のリチウムイオン二次電池についての説明をする。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
電解液は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質とを含んでいる。
非水溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類等が使用できる。環状エステル類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部又は全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。
電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を例示できる。
電解液としては、フルオロエチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの非水溶媒に、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3などのリチウム塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
本発明のリチウムイオン二次電池の具体的な製造方法について述べる。
例えば、正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例及び比較例などを示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
氷浴中の36質量%HCl水溶液に、アルゴンガス雰囲気下、CaSi2を加えて撹拌した。反応液を濾過し、残渣を蒸留水及びアセトンで洗浄し、さらに、減圧乾燥して、ポリシランを含む層状シリコン化合物を分離した。層状シリコン化合物をアルゴンガス雰囲気下、900℃で1時間加熱して、シリコン材料を得た。シリコン材料に対して、プロパン−アルゴン混合ガスの通気下にて880℃、滞留時間60分間の条件で熱CVDを行い、炭素被覆シリコン材料を得た。
以下のとおり、炭素被覆シリコン材料を用いて、実施例1の負極及びリチウムイオン二次電池を製造した。
負極活物質として炭素被覆シリコン材料72.5質量部、導電助剤としてアセチレンブラック13.5質量部、第1結着剤の前駆体としてポリアクリル酸と4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの混合物14質量部、及び、適量のN−メチル−2−ピロリドンを混合して、スラリーを製造した。負極用集電体として銅箔を準備した。この銅箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布された銅箔を乾燥することでN−メチル−2−ピロリドンを除去して、負極活物質層が形成された負極前駆体を製造した。
セラミックスとして平均粒子径が0.5μmのAl2O389質量部、第2結着剤であるケトン基含有ポリマーとしてポリビニルアルコールの一部の水酸基をCH3COCH2COO−で置換したポリビニルアルコール誘導体(商品名ゴーセネックスZ−410、日本合成化学工業株式会社)3質量部、セラミックス含有層用結着剤としてポリビニルアルコール4.5質量部及びスチレン−アクリル酸共重合体含有結着剤(商品名Joncryl537J、BASF社)3.5質量部、並びに、水を混合し、セラミックス含有層形成用組成物を調製した。
負極前駆体の負極活物質層の表面に、マイクログラビア(登録商標)塗工装置を用いて、セラミックス含有層形成用組成物を厚み3〜10μmの膜状に塗布し、その後、200℃で乾燥して、実施例1の負極を製造した。
なお、第1結着剤の前駆体として用いたポリアクリル酸と4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの混合物は、200℃での乾燥にて脱水反応が進行して、ポリアクリル酸を4,4’−ジアミノジフェニルメタンで架橋した架橋ポリマーである第1結着剤に変化する。当該架橋ポリマーは、ベンゼン環の炭素に結合した−NH2を末端に含有する第一級アミンポリマーである。また、200℃での乾燥条件下、第1結着剤の−NH2と第2結着剤のケトン基とが脱水反応することにより、第1結着剤と第2結着剤は負極活物質層とセラミックス含有層との界面で共有結合を形成したと推察される。
正極活物質としてLiNi5/10Co3/10Mn2/10O2を69質量部、正極活物質として炭素被覆されたLiFePO4を25質量部、導電助剤としてアセチレンブラック3質量部、正極活物質層用結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部、及び、適量のN−メチル−2−ピロリドンを混合して、スラリーを製造した。正極用集電体としてアルミニウム箔を準備した。アルミニウム箔の表面に、ドクターブレードを用いて上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたアルミニウム箔を乾燥することで、N−メチル−2−ピロリドンを除去した。その後、当該アルミニウム箔をプレスし接合物を得た。得られた接合物を乾燥機で加熱乾燥して、正極活物質層が形成されたアルミニウム箔からなる正極を製造した。
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを3:3:4の体積比で混合した有機溶媒に、LiPF6を加えて溶解させて、LiPF6を1mol/Lの濃度で含有する電解液を製造した。
セパレータとして、ポリオレフィン製の多孔質膜を準備した。正極と実施例1の負極とでセパレータを挟持し、極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに上記電解液を注入した。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群および電解液が密閉された実施例1のリチウムイオン二次電池を製造した。
(比較例1)
セラミックスとしてAl2O389質量部、結着剤としてポリビニルアルコール5.5質量部及びスチレン−アクリル酸共重合体含有結着剤(商品名Joncryl537J、BASF社)5.5質量部、並びに、水を混合し、セラミックス含有層形成用組成物を調製した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の負極及びリチウムイオン二次電池を製造した。
(評価例1)
実施例1及び比較例1のリチウムイオン二次電池について、温度25℃の条件下、4.24Vまで充電を行った後に2.8Vまで放電を行うとの充放電サイクルを、3回繰り返す充放電試験を実施した。その後に、各リチウムイオン二次電池を解体して、負極を取り出した。粘着性テープを、負極のセラミックス含有層に張り付けた後に、粘着性テープを剥がして、負極に存在する層を強制的に剥離させた。
比較例1の負極においては、負極活物質層とセラミックス含有層との界面で剥離が生じた。他方、実施例1の負極においては、負極活物質層の中間部分で剥離が生じた。これらの結果から、実施例1の負極においては、負極活物質層とセラミックス含有層との界面の強度が著しく増加したといえる。本発明の電極においては、活物質層とセラミックス含有層との界面における結着力が強いことが裏付けられた。
(評価例2)
実施例1及び比較例1のリチウムイオン二次電池につき、以下の方法で強制短絡試験としての釘刺し試験を行った。
リチウムイオン二次電池に対し、4.5Vの電位で安定するまで定電圧充電を行った。充電後のリチウムイオン二次電池を、径20mmの孔を有する拘束板上に配置した。上部に釘が取り付けられたプレス機に拘束板を配置した。釘が拘束板上の電池を貫通して、釘の先端部が拘束板の孔内部に位置するまで、釘を上部から下部に20mm/sec.の速度で移動させた。釘貫通後の電池の表面温度を経時的に測定した。測定された表面温度のうち、最高温度を表1に示す。なお、使用した釘の形状は径8mm、先端角度60°であり、釘の材質はJIS G 4051で規定するS45Cであった。
表1から、実施例1のリチウムイオン二次電池においては、強制短絡試験の条件下であっても、セラミックス含有層と負極活物質層との結合が強固であったため、セラミックス含有層が絶縁体としての機能を十分に発揮して、正極活物質層と負極活物質層との短絡状態を著しく短時間で終了させたと推定される。本発明の電極及び二次電池が、熱安定性の面でも優れていることが裏付けられたといえる。
他方、比較例1のリチウムイオン二次電池においては、セラミックス含有層と負極活物質層との結着力が比較的弱いため、強制短絡試験の条件下、セラミックス含有層が負極活物質層の表面を被覆する状態を十分に保持することができず、その結果、正極活物質層と負極活物質層との短絡状態が比較的長く継続して、リチウムイオン二次電池の表面温度が著しく上昇したと推定される。
図1に、厚さ方向から見た、本発明の二次電池の一態様の模式図を示す。