JP6743159B2 - Si粒子結合体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なSi粒子及びその製造方法、並びに新規なSi粒子を用いた非水電解質二次電池に関するものである。
Siは、太陽電池の材料、二次電池用活物質材料、感光体材料など様々な用途に用いられている。
近年、非水電解質二次電池の一つであるリチウムイオン二次電池の負極活物質として、炭素材料の理論容量を大きく超える充放電容量を持つ珪素や珪素化合物などの珪素系材料が検討されている。例えば、特許文献1(国際公開第2014/080608号)には、CaSiと酸とを反応させてCaを除去して得られた層状ポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成すること、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させたシリコン材料を製造すること、及び、当該シリコン材料を活物質として具備するリチウムイオン二次電池が記載されている。
一般に、珪素系材料を負極活物質として用いると、充放電におけるリチウム(Li)の吸蔵及び放出に伴って、負極活物質が膨張及び収縮することが知られている。負極活物質が膨張及び収縮することで、負極活物質を集電体に保持するバインダーに負荷がかかる。それにより、負極活物質と集電体との密着性の低下や、電極内の導電パスの破壊のおそれがある。その結果、電極の抵抗が増大し、電池の容量低下が生じるおそれがある。また、膨張と収縮の繰り返しにより、負極活物質に歪が生じて、微細化し、電極から脱離するおそれがある。そのため、負極活物質の膨張及び収縮は、電池のサイクル特性低下にも影響する。負極活物質である珪素系材料の膨張及び収縮の影響を抑制するために、例えば、珪素系材料の微粒子化が検討されている。
珪素系材料の微粒子化方法としては、ノズルから流下する溶融Siにガスを吹き付けて溶融Siの微小液滴を形成するガスアトマイズ法や溶融Siを高速回転する皿形ディスクに入れ遠心力を作用させて小滴として飛散させる回転ディスク法、などが知られている。
特許文献2(特開2005−320195号公報)には、回転ディスク法によって粒径が10μm〜50μmであるSi粒子を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、回転ディスク法で製造された粒径が10μm〜50μmのSi粒子を含む分散液を製造し、その分散液を加圧して小径ノズルを通過させる操作を繰り返すことによって粒径を小さくしたナノメータサイズのSi粒子を得ることが開示されている。
国際公開第2014/080608号 特開2005−320195号公報
しかしながら、リチウムイオン二次電池の負極活物質に対する要求は増加しており、より優れた負極活物質となり得る新たなSi粒子の提供が熱望されている。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、負極活物質となり得る新たな形態のSi粒子を提供することを目的とする。
本発明者は、プラズマ内に原料Si粉末を投入し、原料Si粉末を気体又は液体状態にすること、そして、プラズマ外を冷却し、プラズマ内外の極端な温度差を利用して、生成物を急冷しSi粒子を得ることを想起した。本発明者が、試行錯誤を繰り返して鋭意検討したところ、原料Si粉末を導入流にて、プラズマ内に導入し、導入流がプラズマ内を通過した後の通過流を通過流に対向する冷却ガス流で冷却することで、新規な形態のSi粒子結合体が得られたことを確認した。また、冷却時にSiに炭素源ガスを接触させることによって、上記Si粒子結合体に炭素含有被膜を形成させることができることを確認した。特に、プラズマ出力が5kW以上15kW未満の条件下で、または冷却ガス中の炭素源ガスの供給位置を特定することで、特別な炭素含有被膜を形成させることができることを見出した。そして、本発明者はかかる知見に基づき、Si粒子結合体又は被膜付きSi粒子結合体を具備する負極を製造し、該負極を具備するリチウムイオン二次電池が正常に動作することを確認して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のSi粒子結合体は、Si粒子と、Si粒子に結合する繊維状Siと、を有し、Si粒子の粒径は、繊維状Siの繊維径よりも大きいことを特徴とする。
本発明により、負極活物質となり得る新たな形態のSi粒子を提供できる。
本発明のSi粒子結合体の模式図である。 プラズマ発生装置の模式図である。 実施例1の粉末断面の走査型電子顕微鏡(以下、適宜、断面SEMと称す。)観察結果である。 図3の10倍の倍率での断面SEM観察結果である。 図3の100倍の倍率での断面SEM観察結果である。 実施例1の粉末の透過型電子顕微鏡(以下、適宜、TEMと称す。)観察結果である。 実施例1の粉末のSi粒子の粒度分布図である。 実施例1の粉末のエネルギー分散型X線分光法(以下、適宜、EDS(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)と称す。)による観察結果である。 図8の観察結果を示す模式図である。 実施例1の粉末のTEM観察結果を示す模式図である。 図10における繊維状Si20の電子エネルギー損失分光法(以下、適宜EELS(Electron Energy−Loss Spectroscopy)と称す。)による観察結果である。 図11の観察結果を示す模式図である。 実施例1の粉末、比較例1の粉末及び比較例2の粉末のX線光電子分光法(以下、適宜、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)と称す。)の測定結果である。 実施例1の粉末、比較例1の粉末及び比較例2の粉末における各被膜のラマン分光法によるラマンスペクトルである。 実施例1の粉末、実施例3の粉末、実施例4の粉末における各被膜のXPS測定結果である。 実施例4の粉末、参考例1の粉末及び参考例2の粉末の各被膜の熱分解ガスクロマトグラフィー(Pyrolysis Gas Chromatography、以下、適宜、Py−GCと称す。)の結果である。 実施例1〜4の粉末及び実施例6の粉末の粉末X線回折法(以下、適宜、XRDと称す。)による測定結果のXRDチャートである。 実施例A及び比較例Aのリチウムイオン二次電池の充放電曲線である。 実施例B、実施例C及び実施例Dのリチウムイオン二次電池の充放電曲線である。 実施例B、実施例C及び実施例Dのリチウムイオン二次電池のサイクル数と容量維持率の関係を示すグラフである。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
(Si粒子結合体)
本発明のSi粒子結合体は、Si粒子と、Si粒子に結合する繊維状Siと、を有し、Si粒子の粒径は、繊維状Siの繊維径よりも大きいことを特徴とする。
Si粒子結合体の形態には、Si粒子一個とそのSi粒子に結合する繊維状Si一個の組み合わせ、Si粒子一個とそのSi粒子に結合する繊維状Si二個以上の組み合わせ、Si粒子二個とその両者に結合する繊維状Si一個の組み合わせ、複数のSi粒子と複数の繊維状Siとが結合する組み合わせが含まれる。Si粒子結合体において、繊維状Siは、複数のSi粒子に結合していることが好ましい。また、Si粒子結合体は、複数のSi粒子と複数の繊維状Siとが結合する組み合わせが好ましい。
Si粒子結合体は繊維状Siを含むため、Si粒子の表面積に比べて、Si粒子結合体の表面積は格段に大きい。
Si粒子の粒径は、10nm以上1500nm以下であることが好ましく、20nm以上1200nm以下であることがより好ましく、30nm以上1000nm以下であることがさらに好ましい。ここでのSi粒子の粒径は、Si粒子結合体を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡で観察した場合における、観察されたSi粒子像の長径を意味する。
複数のSi粒子を有するSi粒子結合体、又は、Si粒子結合体の凝集体若しくは集合体におけるSi粒子の平均粒径は、10nm以上300nm以下であることが好ましく、20nm以上200nm以下であることがより好ましく、50nm以上150nm以下であることがさらに好ましい。ここでの平均粒径は、上記Si粒子の粒径のD50又は算術平均値を意味する。ここで、D50とはレーザー回析法による粒度分布測定における体積分布の積算値が50%に相当する粒径のことである。つまり、D50とは、体積基準で測定したメディアン径を意味する。算術平均値は、例えば、200個のSi粒子の粒径の測定結果から求めることができる。
Si粒子の形状は、特に限定されないが、球形、楕円球形、液滴形状が例示される。
繊維状Siの繊維径は、4nm以上25nm以下であることが好ましく、5nm以上20nm以下であることがより好ましく、6nm以上18nm以下であることがさらに好ましい。繊維状Siの繊維径は、Si粒子結合体を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡で観察した場合における、観察された繊維状Si像の繊維径を意味する。
繊維状Siの繊維長は、10nm以上20μm以下であることが好ましく、15nm以上5μm以下であることがより好ましく、20nm以上2μm以下であることがさらに好ましい。繊維状Siの繊維長は、Si粒子結合体を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡で観察した場合における、観察された繊維状Si像の繊維長を意味する。
繊維状Siは、繊維径に比べて繊維長が長い繊維状であれば、形状は特に限定されない。繊維状Siは、その繊維長方向の端部においてSi粒子に結合している。
Si粒子の粒径は、繊維状Siの繊維径より大きい。Si粒子の粒径は、繊維径の2倍以上300倍以下であることが好ましく、4倍以上100倍以下であることがより好ましく、6倍以上20倍以下であることがさらに好ましい。
複数のSi粒子結合体は凝集して凝集体の形態となる場合がある。凝集体は、全体の長手方向の大きさが1μm以上150μm以下であることが好ましく、3μm以上100μm以下であることがより好ましく、5μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。凝集体全体の長手方向の大きさは、凝集体を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡で観察した場合における、観察された凝集体像の長手方向の長さを意味する。
Si粒子結合体には、その形態から、空隙が含まれる。特に、複数のSi粒子と複数の繊維状Siとが結合する組み合わせを有するSi粒子結合体は、多数の空隙を含む。Si粒子結合体を非水電解質二次電池の負極活物質として使用した場合、充放電時にSiが膨張、収縮しても、空隙が緩衝因子となるため、Si粒子結合体の全体の大きさはほとんど変動しないことが予想される。
図1に本発明のSi粒子結合体の模式図を示す。図1において、各繊維状Si20は、複数のSi粒子10に結合して、1個のSi粒子結合体40を形成している。また、図1に示すSi粒子結合体40は、空隙30を有する。図1においては、複数のSi粒子10に結合する複数の繊維状Si20は網目状構造を形成している。
Si粒子結合体に含まれるSiは、Si結晶を有することが好ましい。さらに、Si粒子及び繊維状Siは両者ともSi結晶を含むことが好ましい。Si粒子結合体をXRDで測定し、そのXRD測定データにおいてSi結晶のピークが確認できればSi粒子結合体にSi結晶が含まれることがわかる。
(被膜付きSi粒子結合体)
本発明の被膜付きSi粒子結合体は、上記Si粒子結合体と、Si粒子結合体の表面に配置された炭素含有被膜と、を有することを特徴とする。
Si粒子結合体は上記で説明したものである。Si粒子結合体の表面とは、Si粒子の表面、繊維状Siの表面及びSi粒子と繊維状Siとの結合部の表面を指す。炭素含有被膜はSi粒子結合体の表面全体に配置されていることが好ましい。Si粒子結合体の表面に被膜が形成されることによって、表面が保護されて、酸素含有雰囲気下にあってもSi粒子結合体が酸化されにくい。また、Si粒子結合体の表面に被膜が形成されることによって、Si粒子結合体の構造が保持されやすい。
炭素含有被膜の厚みは、特に限定されない。炭素含有被膜の厚みは1nm以上20nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下であることがより好ましく、1nm以上5nm以下であることがさらに好ましい。ここでの炭素含有被膜の厚みは、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡で観察した場合における厚みを指す。
炭素含有被膜は、少なくとも炭素を有する。炭素含有被膜はさらに水素、酸素を含んでもよい。Siは導電性が低いため、炭素含有被膜を有することで導電性を向上できると推測される。なお、本発明の被膜付きSi粒子結合体が電池の負極活物質として使用された場合、電池特性が向上できることが期待される。
炭素含有被膜は、アモルファスカーボンを含むことが好ましい。アモルファスカーボンを含む炭素含有被膜を有する本発明の被膜付きSi粒子結合体が電池の負極活物質として使用された場合、充放電時にSiの膨張、収縮が起こっても、炭素含有被膜がSi粒子結合体の表面から剥がれにくいことが期待され、電池特性が向上できることが期待される。
炭素含有被膜は、C、H、O元素を含む被膜であることが好ましい。炭素含有被膜をX線光電子分光法(XPS)によって分析した場合、C1s軌道の高分解能スペクトルにおいて、287eV〜290eVにピークを有することが好ましい。287eV〜290eVに観察されるピークはO=C−Oに由来する。また、炭素含有被膜のラマン分光法によって得られるラマンスペクトルにおいて、1420cm−1〜1480cm−1の範囲にピークトップを有することが好ましい。1420cm−1〜1480cm−1の範囲に見られるピークトップは、CH又はCHに由来する。
炭素含有被膜がXPSによるC1s軌道の高分解能スペクトルにおいて、上記ピークを有することにより、炭素含有被膜はエステル骨格を有すると推測される。
C、H、O元素を含む被膜は、270℃までの熱分解温度における熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(以下、適宜、熱分解GC−MSと称す。)において、テルペン類のフラグメントが検出されることが好ましい。
本発明の被膜付きSi粒子結合体は、Si粒子結合体の表面に被膜が形成されているため、酸素含有雰囲気下にあってもSi粒子結合体が酸化されにくい。本発明の被膜付きSi粒子結合体の酸素含有量は10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、6%以下であることがさらに好ましい。
(Si粒子結合体及び被膜付きSi粒子結合体の製造方法)
本発明のSi粒子結合体及び被膜付きSi粒子結合体の製造方法を以下にまとめて説明する。
本発明のSi粒子結合体の製造方法は、原料Si粉末を導入流にて、プラズマ出力が5kW以上15kW未満であるプラズマ内に導入する工程と、導入流がプラズマ内を通過した後の通過流を通過流に対向する冷却ガス流で冷却する冷却工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の被膜付きSi粒子結合体の製造方法は、原料Si粉末を導入流にて、プラズマ出力が5kW以上15kW未満であるプラズマ内に導入する工程と、導入流がプラズマ内を通過した後の通過流を通過流に対向する炭素源ガスを含む冷却ガス流で冷却し、通過流内のSiを炭素源ガスと接触させてSiに炭素含有被膜を形成させる冷却工程と、を含むことを特徴とする。
原料Si粉末は市販のSi粉末を使用すればよい。原料Si粉末のD50は特に限定されないが、1μm〜100μmが好ましく、1μm〜40μmがより好ましく、2μm〜10μmがさらに好ましい。原料Si粉末のD50が小さすぎると、静電気などにより原料Si粉末を移動させにくいおそれがあり、原料Si粉末のD50が大きすぎると、原料Si粉末を均一に移動させにくいおそれがあるし、またプラズマ内で原料Si粉末の導入量全量を気化または液体状態にするのが困難になるおそれがある。D50は粒度分布測定法によって計測できる。ここで、D50とはレーザー回析法による粒度分布測定における体積分布の積算値が50%に相当する粒子径のことである。つまり、D50とは、体積基準で測定したメディアン径を意味する。
本発明のSi粒子結合体及び被膜付きSi粒子結合体の製造方法は、プラズマ発生装置を用いて実施される。プラズマは、アーク放電、多相アーク放電、高周波電磁誘導、マイクロ波加熱放電などで発生させればよい。
高周波電磁誘導式のプラズマ発生装置の場合、その周波数は、例えば0.5MHz〜400MHzの範囲内、好ましくは1MHz〜80MHzの範囲内とすればよい。プラズマ出力は、5kW以上15kW未満であり、5kW以上10kW以下とすればより好ましい。プラズマ出力が5kW以上15kW未満であれば、冷却ガスとして炭素源ガスを含むガスを用いる場合において、SiCが生成されにくい。
プラズマ発生装置内の圧力は適宜設定すればよく、例えば10kPa〜大気圧の範囲内を例示できる。プラズマ出力やプラズマ発生装置内の圧力を変動させることで、Si粒子の平均粒径を変化させることができる。例えば、プラズマ発生装置内の圧力を大気圧に近づけることで、Si粒子の平均粒径を小さくすることができる。
導入流はプラズマへ向かう気体の流動によって発生する。導入流としては、プラズマの安定性を考慮して、プラズマ下で使用し得る気体を主流とするのが好ましい。導入流を構成する気体、つまり、導入ガスとしては、ヘリウム、アルゴンなどの希ガスや水素が好ましい。導入ガス流量としては、20L/min.〜120L/min.を例示できる。
プラズマ発生装置の種類によるが、本発明のSi粒子結合体及び被膜付きSi粒子結合体の製造方法においては、導入ガスとして、原料Si粉末を運搬するキャリヤーガス、キャリヤーガスとは別にコイル内に導入されるインナーガス、及び、プラズマ発生部位を不活性雰囲気下にするためのプロセスガスを採用するのが好ましい。
キャリヤーガスの流量としては、1L/min.〜10L/min.を例示できる。キャリヤーガスの流量としては、1L/min.〜5L/min.が好ましい。インナーガスの流量としては、1L/min.〜10L/min.を例示できる。インナーガスの流量としては、1L/min.〜5L/min.が好ましい。プロセスガスの流量としては、15L/min.〜100L/min.を例示できる。プロセスガスの流量としては、30L/min.〜100L/min.が好ましい。導入流量は、キャリヤーガスの流量、インナーガスの流量及びプロセスガスの流量を合計したものとなる。
また、プロセスガスには、アルゴンのみを用いることが好ましい。プロセスガスとしてアルゴンとヘリウムとの混合ガスを用いるとアルゴンのみをプロセスガスとして用いる場合に比べてプラズマ内の温度が高くなる。ヘリウムとアルゴンとの比率にもよるが、実施例の装置を用いる場合には、アルゴンのみをプロセスガスとして用いる場合のプラズマ内の温度は10,000℃程度であり、アルゴンとヘリウムとの混合ガスをプロセスガスとして用いる場合のプラズマ内の温度は15,000℃程度である。
原料Si粉末の供給速度は、50mg/min.〜1000mg/min.が好ましく、50mg/min.〜500mg/min.がより好ましい。原料Si粉末の供給速度が速くなりすぎると、多くのSi粉末が気化する。多くのSi粉末の気化にプラズマの熱エネルギーが奪われプラズマ内の温度が低下しすぎる場合がある。
冷却工程では、導入流がプラズマ内を通過した後の通過流が対向する冷却ガス流で冷却される。プラズマ内は高温状態であり、プラズマ外の雰囲気温度は室温であるので、通過流がプラズマ内からプラズマ外に出るだけで通過流は急激に冷却されることになる。またプラズマ発生装置の全体を冷却水などで冷却することによりプラズマ外の雰囲気温度をさらに下げることもできる。通過流に対向する冷却ガス流を通過流に向かって噴射させることによって、冷却ガス流と通過流とが良好に接触し、通過流が均一に冷却される。また、通過流に対向する冷却ガス流が通過流に向かって噴射されることにより、通過流中のSiが冷却ガス流に乗って対流する。
ここで、本発明のSi粒子結合体の生成機構について考察する。プラズマ内の温度は、8,000℃〜20,000℃程度である。冷却工程において、まず2,000℃〜2,300℃程度でSiの核が生成され、核を中心にして多数の粒子が生成すると考えられる。通過流の冷却に伴って、生成した粒子に他の粒子が凝集することで、粒子が成長すると考えられる。通過流中のSiが冷却ガス流に乗って対流すると、冷却程度の異なるSi、つまり粒子径の異なるSiが対流中に互いに接触する。本発明のSi粒子結合体は、粒子径の異なるSiが対流中に結合することによって形成されると推測される。なお、本発明のSi粒子結合体における繊維状Siは、理由は不明であるが、粒子径が小さなSi粒子が連なって繊維状Siになったものと考えられる。
冷却ガスとしては、ヘリウム、アルゴンなどの希ガスが好ましい。冷却ガスの温度は室温でもよいし、室温以下でもよい。冷却ガスの流量としては、導入流よりも小さい流量であればよく、例えば0.1L/min.〜30L/min.の範囲内を例示できる。冷却ガスの流量は、0.2L/min.以上25L/min.以下であることが好ましく、0.3L/min.以上20L/min.以下であることがより好ましい。
被膜付きSi粒子結合体を製造する場合は、冷却工程において、炭素源ガスを含む冷却ガス流で冷却し、通過流内のSiを炭素源ガスと接触させてSiに炭素含有被膜を形成させる。炭素源ガスを含む冷却ガス流を通過流に向かって噴射させる場合、プラズマ内に炭素源ガスが混入されないようにすることが好ましい。プラズマ内に炭素源ガスが混入されるとSiとCが反応して不純物であるSiCが生成するおそれがある。SiCが生成すると、Siが消費されて、Si粒子の量が減るおそれがある。また、1700K(約1427℃)以下であれば、SiCが生成しにくいため、反応場が1700K(約1427℃)以下の雰囲気となるように、炭素源ガスが通過流に向かって噴射されることが望ましい。例えば、プラズマ出力の調整、炭素源ガスの噴射位置の調整などを行なうことで、反応場の温度雰囲気を調整できる。
炭素源ガスとしては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類、アセチレン、メチルアセチレン、ブチン、ペンチン、へキチン、ヘプチン、オクチン等のアルキン類、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキテン、ヘプテン、オクテン等のアルケン類、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピルブチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等位のエーテル類、フルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、フルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、フルオロ酢酸、フルオロスルホン酸、クロロジフルオロメタン等のフルオロカーボン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン、フラン等の芳香族類が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。炭素源ガスとしては、アルカン類、アルキン類、アルケン類が好ましい。
被膜付きSi粒子結合体を製造する場合は、冷却ガスとして炭素源ガスのみを用いてもよいし、炭素源ガスと希ガスとを併用してもよい。冷却ガスにおける炭素源ガスの割合は、希ガス:炭素源ガス=0:100〜99.5:0.5が好ましく、希ガス:炭素源ガス=80:20〜99:1がより好ましく、希ガス:炭素源ガス=85:15〜98.5:1.5がさらに好ましい。炭素源ガスの流量としては、例えば0.1L/min.〜10L/min.の範囲内を例示でき、0.1L/min.以上5L/min.以下であることが好ましく、0.1L/min.以上3L/min.以下であることがより好ましい。
被膜付きSi粒子結合体を製造する場合は、単位時間あたりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数を調節することで、被膜の構造を調整することができる。例えば、単位時間あたりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間あたりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siを1.5以下とすることでSiCの生成を抑制することができる。また、C/Siを0.5以上とすれば、容易に炭素含有被膜をSi粒子結合体の表面に製造できる。C/Siが大きすぎると、SiCが発生しやすくなり、C/Siが小さすぎると炭素含有被膜がSi粒子結合体の表面に形成しにくくなる。
被膜付きSi粒子結合体を製造する場合は、冷却工程後に、冷却工程にて形成された炭素含有被膜付きSi粒子結合体を酸素含有雰囲気下に保持し、炭素含有被膜に酸素を導入する酸素導入工程を有してもよい。冷却工程において、反応場の温度が低い場合又は反応時間が短い場合は、炭素源ガスに含まれるHがすべて解離せずに、Si粒子結合体の表面には、ラジカル状態のCHが存在することが推測される。そのため、冷却工程後に、ラジカル状態のCHを有する炭素含有被膜を酸素含有雰囲気下におくと、ラジカル状態のCHに酸素が結合し、炭素含有被膜に容易に酸素が導入される。また、酸素とラジカル状態のCHが接触することによって、Si粒子結合体の表面は安定すると考えられる。つまり、酸素導入工程は、被膜付きSi粒子結合体の安定化工程とも言える。
本発明の被膜付きSi粒子結合体の他の製造方法は、原料Si粉末を導入流にてプラズマ内に導入する工程と、導入流がプラズマ内を通過した後の通過流を通過流に対向する炭素源ガスを含む冷却ガス流で冷却し、通過流内のSiを炭素源ガスと接触させてSiに炭素含有被膜を形成させる冷却工程と、を含み、冷却工程において、冷却ガス流は、炭素源ガス及び希ガスを含み、炭素源ガスの供給位置は、希ガスの供給位置よりも、通過流の通過方向に対して下流であることを特徴とする。
冷却ガスを通過流に対向させて噴射する場合、希ガスを供給する開口部と、炭素源ガスを供給する開口部とを別にし、炭素源ガスを供給する開口部の位置を、希ガスを供給する開口部の位置よりも通過流の通過方向に対して下流である位置に設定すればよい。実施例で用いたプラズマ発生装置の場合、希ガス供給管の開口とプラズマ発生装置内の開口との距離よりも、炭素源ガス供給管の開口とプラズマ発生装置内の開口との距離を50mm以上大きくするのが好ましい。
被膜付きSi粒子結合体を製造するには、プラズマ出力、原料Si粉末の供給速度、炭素源ガスの流速及び炭素源ガスの供給位置を適宜調整する。例えば、プラズマ出力の大きさに合わせて、原料Si粉末の供給速度、炭素源ガスの流速及び炭素源ガスの供給位置を調整すればよい。プラズマ出力を大きくすれば、プラズマ内の温度を大きく低下することなく、原料Si粉末の供給速度を大きくできる。プラズマ出力を大きくする場合は、炭素源ガスの供給位置を希ガスの供給位置よりも、通過流の通過方向に対してさらに下流にすればよい。炭素源ガスの供給位置を通過流の通過方向に対してさらに下流にすることによって、原料Si粉末の供給速度を大きくしても、不純物であるSiCの生成を抑制できる。
プラズマ出力は3kW〜300kWが好ましく、5kW〜100kWがより好ましく、5kW〜20kWがさらに好ましい。
プラズマ出力当たりの原料Si粉末の供給速度は、0.01g/min./kW〜1g/min./kWが好ましく、0.01g/min./kW〜0.5g/min./kWがより好ましく、0.01g/min./kW〜0.1g/min./kWがさらに好ましい。
炭素源ガスの供給位置は、希ガスの供給位置よりも、通過流の通過方向に対して下流とする場合、単位時間あたりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間あたりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siを1.5以上としても、SiCの生成を抑制することができる。
本発明のSi粒子結合体又は被膜付きSi粒子結合体は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池の負極活物質として使用することができる。本発明のSi粒子結合体又は被膜付きSi粒子結合体を含む負極活物質を本発明の負極活物質と呼ぶ。
また、本発明の負極活物質から派生した本発明の第2負極活物質として、以下の発明を把握できる。
本発明の第2負極活物質は、Si粒子と、該Si粒子の表面に配置され、C、H、Oを含む炭素含有被膜と、を有し、該炭素含有被膜は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析において、テルペン類のフラグメントが検出されることを特徴とする。
Si粒子は、上記プラズマ発生装置を用いて製造されたものであれば、いかなる形状のものでもかまわない。
本発明の第2負極活物質に関するその他の事項は、本発明の負極活物質の説明を援用する。以下、本発明の負極活物質又は第2負極活物質を具備する負極を本発明の負極と呼び、本発明の負極を具備する非水電解質二次電池を本発明の非水電解質二次電池と呼ぶ。リチウムイオン二次電池を例にして、本発明の非水電解質二次電池を説明する。
(リチウムイオン二次電池)
本発明のリチウムイオン二次電池における負極は、集電体と、集電体の表面に結着された負極活物質層とを有する。
負極活物質としては、既述したとおり、本発明の負極活物質又は本発明の第2負極活物質を用いる。本発明のリチウムイオン二次電池における負極活物質層は、本発明の負極活物質又は本発明の第2負極活物質以外にも、他の公知の負極活物質、結着剤、導電助剤、その他の添加剤を含有し得る。
他の公知の負極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、リチウムと合金化可能な元素を有する化合物、あるいは高分子材料などを例示することができる。他の公知の負極活物質としては、炭素系材料が好ましい。
炭素系材料としては、難黒鉛化性炭素、黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類が例示できる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
リチウムと合金化可能な元素としては、具体的にNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biが例示できる。
リチウムと合金化可能な元素を有する化合物としては、具体的にZnLiAl、AlSb、SiB、SiB、MgSi、MgSn、NiSi、TiSi、MoSi、 CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSiO あるいはLiSnOを例示できる。
高分子材料としては、具体的にポリアセチレン、ポリピロールを例示できる。
負極活物質層全体を100質量%としたときの負極活物質の量は、百分率で、60質量%〜99質量%の範囲内が好ましく、65質量%〜98質量%の範囲内がより好ましく、70質量%〜97質量%の範囲内が特に好ましい。
結着剤は、負極活物質や導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、スチレンブタジエンゴムを例示することができる。また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基が例示される。親水基を有するポリマーの具体例として、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸などの分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p−スチレンスルホン酸)などのスルホ基を含むポリマーが挙げられる。
また、国際公開第2016/063882号に開示される、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーをジアミンなどのポリアミンで架橋した架橋ポリマーを、結着剤として用いてもよい。
架橋ポリマーに用いられるジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の含飽和炭素環ジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ベンジジン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
結着剤の配合量は特に限定されないが、あえて負極活物質層における結着剤の配合量を挙げると、0.5質量%〜10質量%の範囲内が好ましく、1質量%〜7質量%の範囲内がより好ましく、2質量%〜5質量%の範囲内が特に好ましい。結着剤の配合量が少なすぎると負極活物質層の成形性が低下するおそれがある。また、結着剤の配合量が多すぎると、負極活物質層における負極活物質の量が相対的に減少するため、好ましくない。
導電助剤は化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、及び各種金属粒子等が例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて負極活物質層に添加することができる。
導電助剤の形状は特に制限されないが、その役割からみて、導電助剤の平均粒径は小さいほうが好ましい。導電助剤の好ましい平均粒径として10μm以下が例示され、より好ましい平均粒径として0.01μm〜1μmの範囲が例示される。
導電助剤の配合量は特に限定されないが、あえて負極活物質層における導電助剤の配合量を挙げると、0.5質量%〜10質量%の範囲内がよく、1質量%〜7質量%の範囲内が好ましく、2質量%〜5質量%の範囲内が特に好ましい。
導電助剤及び結着剤以外の分散剤などの添加剤は、公知のものを採用することができる。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていてもよい。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いてもよい。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
集電体の表面に負極活物質層を結着させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に負極活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、溶剤、並びに必要に応じて結着剤及び導電助剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮してもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の一態様として、本発明の負極、正極、電解液及びセパレータを具備するものが挙げられる。
正極は、集電体と、集電体上に結着された正極活物質層とを有する。正極活物質層は、正極活物質と、結着剤とを含み、さらには導電助剤及びその他の添加剤を含んでもよい。正極活物質、導電助剤及び結着剤は、特に限定はない。
正極活物質としては、Li等の電荷担体を吸蔵及び放出可能なものを使用すればよい。正極活物質としては、層状化合物のLiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn、LiMn等のスピネル、及びスピネルと層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、充放電に寄与するリチウムイオンを含まない正極活物質材料、たとえば、硫黄単体(S)、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiSなどの金属硫化物、V、MnOなどの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。リチウムを含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極及び/又は負極に、公知の方法により、予めイオンを添加させておく必要がある。ここで、当該イオンを添加するためには、金属又は当該イオンを含む化合物を用いればよい。
正極に用いる集電体は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼など、リチウムイオン二次電池の正極に一般的に使用されるものであればよく、それ以外は負極で説明した集電体と同様である。
正極に用いる導電助剤については、負極で説明したものを同様の配合割合で適宜適切に採用すればよい。正極に用いる結着剤については、負極で説明したものを同様の配合割合で適宜適切に採用すればよい。
電解液は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質とを含んでいる。
非水溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類等が使用できる。環状エステル類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部又は全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用してもよい。
電解質としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を例示できる。
電解液としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネートなどの非水溶媒に、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、本発明の負極を配設する工程を含む。具体的には、以下のとおりである。
正極および負極に必要に応じてセパレータを挟装させ電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極を捲いた捲回型のいずれの型にしてもよい。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電を実行されればよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部に二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、たとえば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
図2に示すプラズマ発生装置を用いて、実施例1の粉末を製造した。図2におけるプラズマ発生装置において、粉体供給器1より原料粉体が供給され、キャリヤーガス経路6を通じて原料粉体がプラズマ発生装置内11に導入される。キャリヤーガスはキャリヤーガス経路6を通じてプラズマ発生装置内11に導入され、プロセスガスはプロセスガス経路7を通じてプラズマ発生装置内11に導入され、インナーガスはインナーガス経路8を通じてプラズマ発生装置内11に導入される。電力供給装置2によって電力が供給され、プラズマ発生装置内11にプラズマが発生する。冷却ガス経路9を通じて運ばれた冷却ガスはプラズマ内を通過した後の通過流に対向する方向に噴射される。冷却ガス供給管91の開口とプラズマ発生装置内11の開口との距離は200mmであった。また各ガスはフィルター4が設けられている排気部3を通じて装置外に排気される。製造物は自重で落下し、内部チャンバー5の下部に収容される。図2に示すプラズマ発生装置において、白抜き矢印は冷却水を表す。
原料Si粉末として、D50が3μmのSi粉末(株式会社高純度化学研究所製、品番SIE23PB)を準備した。
原料Si粉末を粉体供給器に配置した。
プラズマ発生装置内に、プロセスガスとしてアルゴンガスを60L/min.で供給し、インナーガスとしてアルゴンガスを5L/min.で供給し、キャリヤーガスとしてアルゴンガスを3L/min.で供給し、冷却ガスとしてメタンガスを0.32L/min.で供給した。メタンガスの流速は、供給管に取り付けた浮き子式流量計を用いて測定した。この時、電力供給装置から電力を供給し、周波数4MHzの磁場をコイルに印加して、出力10kWのプラズマを発生させた。なお、プラズマ発生装置内の圧力は大気圧とした。
プラズマの安定後、粉体供給器を作動させ、原料Si粉体を400mg/min.の速度で、キャリヤーガスとともに、プラズマ内へ導入した。プラズマ内を通過した後の通過流とともに放出された粉末を収集し、酸素雰囲気下で1時間保持した。得られた粉末を実施例1の粉末とした。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは1.0である。
(形態観察)
実施例1の粉末断面をSEM観察した。断面SEM観察結果を図3、図4、図5に示す。図4は図3の10倍倍率の結果であり、図5は図3の100倍倍率での結果である。図3、図4、図5には、凝集体の形態を有する被膜付きSi粒子結合体が観察された。図4には、Si粒子が凝集体の中で分散している様子が明確に観察された。
断面SEM観察結果から、実施例1の粉末のSi粒子結合体の凝集体全体の長手方向の大きさを測定した。Si粒子結合体の凝集体を100個測定した結果、実施例1の粉末のSi粒子結合体の凝集体全体の長手方向の大きさは、20μm以上150μm以下であった。
次に、実施例1の粉末をTEM観察した。実施例1の粉末のTEM観察結果を図6に示す。図6には、Si粒子10と、繊維状Si20が観察された。図6には、Si粒子10には、複数の繊維状Siが結合しており、また繊維状Si20は複数のSi粒子と結合していることが観察された。また、図6には、繊維状Siの繊維径は10nm程度であること、Si粒子の粒径は100nm程度であることが観察された。
TEM観察結果から、実施例1の粉末のSi粒子の粒径を測定した。実施例1の粉末の各Si粒子の長径を200個分測定した。実施例1の粉末のSi粒子の粒径は、30nm以上1000nm未満であった。測定数値を用いて実施例1の粉末のSi粒子の粒度分布図を作成した。粒度分布図を図7に示す。実施例1の粉末のSi粒子のD50は、70nmであった。
実施例1の粉末のTEM観察結果から、繊維状Siの繊維径を測定した。実施例1の粉末の各繊維状Siの繊維径を100個分測定した。繊維状Siの繊維径は8nm以上15nm以下であった。測定値より算出した実施例1の粉末の繊維状Siの繊維径の算術平均値は10nmであった。
実施例1の粉末のTEM観察結果から、繊維状Siの繊維長を測定した。実施例1の粉末の各繊維状Siの繊維長を100個分測定した。繊維状Siの繊維長は30nm以上1μm以下であった。
実施例1の粉末のSi粒子結合体の表面を透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(以下、TEM−EDSと称す。)で観察した。結果を図8に示す。さらに図8の観察結果を模式図にして図9に示す。図8において、Si粒子10の表面及びSi粒子10と繊維状Siとの結合部50の表面には、厚み2nmの被膜60が形成されていることが観察された。TEM−EDS測定によれば、Si粒子10においてSiが測定され、かつ結合部50の中心部においてSiが測定された。つまり、結合部50において、繊維状SiとSi粒子10とは一体化していることが観察された。また、被膜はSi粒子にも繊維状Siにも結合部にも観察されたことから、被膜はSi粒子結合体の構造を補強する効果をなしていることが推測される。
また、TEM−EDS測定によれば、被膜60にはCとOとが測定された。被膜60にCとOとが含まれるメカニズムとして、以下のことが考えられる。実施例1の粉末の製造時に、プラズマ内を通過した後の粉末は、酸素雰囲気下で1時間保持された。プラズマ内を通過した後の粉末の表面には、ラジカル状態のCHが存在することが推測される。そのため、ラジカル状態のCHを有する被膜を酸素含有雰囲気下におくと、ラジカル状態のCHに酸素が結合し、被膜に容易に酸素が導入される。その結果、粉末の表面の被膜60にCとOとが含まれることになったと推測される。
実施例1の粉末のTEM観察結果の模式図を図10に示す。TEM観察において、図10に示す、2個のSi粒子10と、Si粒子10を連結する繊維状Si20が観察された。さらに、図10における繊維状Si20を透過型電子顕微鏡−電子エネルギー損失分光法(以下、TEM−EELSと称す。)で観察した。TEM−EELS観察結果を図11に示す。また、図11の観察結果を模式図にして図12に示す。図11において、TEM−EELS測定によれば、繊維状Siの表面には被膜が観察された。TEM−EELS測定により得られた損失スペクトルにより、繊維状Siにおいて、結晶性Siが測定された。また、被膜においては、CとOとが測定された。
(実施例2)
冷却ガスとしてアルゴンガスを20L/min.で供給し、メタンガスを供給しなかった以外は実施例1の粉末と同様にして実施例2の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは0であった。
(実施例3)
冷却ガスとしてメタンガスを0.16L/min.で、供給した以外は、実施例1の粉末と同様にして実施例3の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは0.5であった。
(実施例4)
冷却ガスとしてメタンガスを0.48L/min.で、供給した以外は実施例1の粉末と同様にして実施例4の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは1.5であった。
(実施例5)
冷却ガスとしてメタンガスを0.576L/min.で供給した以外は実施例1の粉末と同様にして実施例5の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは1.8であった。
(実施例6)
冷却ガスとしてメタンガスを0.64L/min.で供給した以外は実施例1の粉末と同様にして実施例6の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは2.0であった。
(実施例7)
冷却ガス供給管の開口とプラズマ発生装置内の開口との距離を150mmとし、冷却ガスとしてメタンガスを0.56L/min.で供給し、原料Si粉体を700mg/min.の速度とした以外は、実施例1の粉末と同様にして実施例7の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは1であった。
(比較例1)
プラズマ出力を15kWとした以外は、実施例1の粉末と同様にして比較例1の粉末を得た。
(比較例2)
プラズマ出力を20kWとした以外は、実施例1の粉末と同様にして比較例2の粉末を得た。
(TEM観察結果)
実施例1〜実施例7の粉末のTEM観察を行なった。実施例2の粉末において、Si粒子一個とそのSi粒子に結合する繊維状Si一個の組み合わせのSi粒子結合体が多く観察された。実施例3の粉末において、Si粒子一個とそのSi粒子に結合する繊維状Si一個の組み合わせのSi粒子結合体が多く観察された。また、実施例7の粉末において、Si粒子一個とそのSi粒子に結合する繊維状Si一個の組み合わせのSi粒子結合体が多く観察された。また、実施例7の粉末において、繊維状Siの繊維長は、実施例1〜6の粉末における繊維状Siの繊維長に比べて短かった。実施例1の粉末、実施例4〜6の粉末において、複数のSi粒子と複数の繊維状Siの組み合わせのSi粒子結合体が多く観察された。
実施例1〜6の粉末のTEM観察結果から、C/Si比が高いほど複数のSi粒子と複数の繊維状Siの組み合わせのSi粒子結合体になりやすいと考えられた。
(SiのXPS分析)
実施例1の粉末、比較例1の粉末及び比較例2の粉末の各表面のSiの構造をXPSで分析した。図13には、各試料のSi2pの高分解能スペクトルを並記して示す。図の横軸は結合エネルギー(eV)であり、縦軸は強度(a.u.)である。図13に示すように、実施例1の粉末のSi2pの高分解能スペクトルにおいて、99ev近辺と104eV近辺にピークが観察された。99eV近辺のピークはSi−Si結合に由来するピークであり、104eV近辺のピークはSiOに由来するピークである。実施例1の粉末に対して、比較例1の粉末及び比較例2の粉末のSi2pの高分解能スペクトルにおいて、99ev近辺と104eV近辺にピークは観察されず、102eV近辺にピークが観察された。102eV近辺のピークはSiCに由来するピークである。このことから、プラズマ出力が15kW以上であると、SiはCと化学反応を起こしてSiCになりやすいことが確認された。
(被膜の解析1−1)
実施例1の粉末の被膜、比較例1の粉末の被膜及び比較例2の粉末の被膜について、ラマン分光装置を用いて、ラマンスペクトルを測定した。図14に実施例1の粉末の被膜、比較例1の粉末の被膜及び比較例2の粉末の被膜の各ラマンスペクトルを示す。図の横軸は波数(cm−1)であり、縦軸は散乱強度である。測定条件は波長532nm、測定範囲450cm−1−1700cm−1、測定時間30秒、積算回数50回とした。得られた実施例1の粉末、比較例1の粉末及び比較例2の粉末のラマン分光法によるラマンスペクトルには、1590cm−1付近に見られるGバンドと1350cm−1付近に見られるDバンドの両方のピークが観察された。Gバンドはグラファイトに起因するピークであり、Dバンドはアモルファスカーボン等のダングリングボンドを持つ炭素原子に起因するピークである。このことから、実施例1の粉末の被膜、比較例1の粉末の被膜及び比較例2の粉末の被膜にはグラファイトとアモルファスカーボンが含まれることが確認できた。また、実施例1の粉末のラマンスペクトルには、さらに、1230cm−1〜1270cm−1、1420cm−1〜1480cm−1の範囲にピークが観察された。これらのピークは比較例1の粉末及び比較例2の粉末のラマンスペクトルには見られなかった。1230cm−1〜1270cm−1の範囲のピークはSi−CH及び/又はSi−CHに由来するピークであり、1420cm−1〜1480cm−1の範囲のピークは、CH及び/又はCHに由来するピークである。このことから、比較例1の粉末の被膜及び比較例2の粉末の被膜とは異なり、実施例1の粉末の被膜にはH元素が残っており、CH及び/又はCHに由来する構造を有していることが確認された。
実施例1の粉末において被膜がCH及び/又はCHに由来する構造を有するメカニズムとしては、以下のことが考えられる。実施例1の粉末は、プラズマ出力が10kWで製造され、製造時に炭素源ガスを含む冷却ガスによって冷却された。炭素源ガスに含まれる炭化水素ガスは、熱プラズマによりHの解離が進行する。C−H結合の解離エネルギーは約480kJ/molであり、例えば、CHからHが全て解離するには約1600kJ/molのエネルギーが必要になる。実施例1の粉末の製造で使用されたプラズマ出力が10kWであり、プラズマ出力が15kW及び20kWで製造された比較例1の粉末及び比較例2の粉末と比べて、実施例1の粉末の製造時のプラズマのエネルギーは小さい。そのため、実施例1の粉末の製造時には、プラズマ内を通過した通過流の有するエネルギーが小さくて、冷却ガスに含まれるCHは、C単体までは分解されずに、Hが残った状態でSi表面を被覆したため、被膜はCH及び/又はCHに由来する構造を有するものになったと推測される。比較例1の粉末及び比較例2の粉末では、製造時のプラズマ出力が15kW、20kWと実施例1の粉末の製造時より高エネルギーであったため、CHはC単体まで分解されて、被膜はCH及び/又はCHに由来する構造を有さなかったものと推測される。
(被膜の解析2)
実施例1の粉末、実施例3の粉末、実施例4の粉末において、被膜に含まれるC、Oの構造をXPSで分析した。実施例1の粉末、実施例3の粉末、実施例4の粉末の各被膜のXPS測定結果を図15に示す。図の横軸は結合エネルギー(eV)であり、縦軸は強度(a.u.)である。図15に示すのは、各試料のC1s軌道の高分解能スペクトルの並記である。図15に示すように、各試料のC1s軌道の高分解能スペクトルにおいて、共に287eV〜290eVにピークが観察された。287eV〜290eVに見られるピークは、R−COO−R’に由来するピークであると推定される。従って、被膜に含まれるC、Oの構造には、O=C−Oが含まれると考えられる。従って、被膜はエステル骨格を有することが推測される。また、実施例1の粉末、実施例3の粉末、実施例4の粉末のC1s軌道の高分解能スペクトルを比較すると、C/Si比が増えるにつれて、287eV〜290eVに見られるピークは高エネルギー側にシフトしていることが観察された。
(被膜の解析3)
実施例4の粉末の被膜、並びに以下に示す参考例1の粉末の被膜及び参考例2の粉末の被膜を熱分解ガスクロマトグラフィーで測定した。測定での加熱条件は25℃〜270℃、昇温速度10℃/min.とした。25℃〜270℃の温度範囲において熱分解ガスクロマトグラフィーが吸着した物質を分析した。図16に、実施例4の粉末の被膜、参考例1の粉末の被膜及び参考例2の粉末の被膜の測定結果を示す。なお、参考例1の粉末及び参考例2の粉末は以下の炭素被膜付きのSi系の粉末である。
(参考例1)
濃度36質量%のHCl水溶液を氷浴中で0℃とし、アルゴンガス雰囲気下にてCaSiを加えて撹拌した。発泡が完了したのを確認した後に混合溶液を室温まで昇温し、室温でさらに撹拌した後、蒸留水を加えてさらに撹拌した。得られた混合溶液を濾過し、得られた残渣を蒸留水で洗浄した後、エタノールで洗浄した。洗浄後の残渣を真空乾燥して層状ポリシランを得た。この層状ポリシランを、Oを1体積%以下の量で含むアルゴンガス中にて500℃で1時間保持する熱処理を行なってから、粉砕し、D50が5μmのシリコン材料を得た。
得られたシリコン材料をロータリーキルン型の反応器に入れ、20体積%プロパンガス通気下にて880℃、滞留時間30分間の条件で熱CVD(Chemical Vapor Deposition)を行って、炭素で被覆されたシリコン材料を得た。この炭素で被覆されたシリコン材料を参考例1の粉末とした。反応器の炉芯管は水平方向に配設されており、炉心管の回転速度は1rpmとした。炉心管の内周壁には邪魔板が配設されており、炉心管の回転に伴って邪魔板上に堆積した内容物が所定の高さで邪魔板から落下するように構成されているため、反応中に内容物が撹拌される。参考例1の粉末の被膜の厚みの平均値は15nmであった。
(参考例2)
株式会社高純度化学研究所製、D50が3μmのSi粉末を上記参考例1の粉末と同様にして、ロータリーキルンにて熱CVDを行なって炭素で被覆されたSi粉末を作成した。この炭素で被覆されたSi粉末を参考例2の粉末とした。参考例2の粉末の被膜の厚みの平均値は15nmであった。
図16に示す熱分解ガスクロマトグラフィーの結果から、実施例4の粉末の被膜の熱分解物は、イソプレン骨格を有するテルペン類、及びエステル骨格を有する化合物を有することがわかった。この結果から、実施例4の粉末の被膜がイソプレン骨格及びエステル骨格を有することが示唆される。参考例1の粉末の被膜及び参考例2の粉末の被膜の熱分解ガスクロマトグラフィーの結果から、参考例1の粉末の被膜及び参考例2の粉末の被膜の熱分解物は、様々な鎖状炭化水素やナフタレンを有することが確認された。参考例1の粉末の被膜及び参考例2の粉末の被膜は、ロータリーキルン型の反応器において熱CVD法でプロパンガスを熱分解してできた生成物によって形成された薄膜であった。このことから実施例4の粉末の被膜は、ロータリーキルン型の反応器において製造された被膜とは異なる被膜であるといえる。
(被膜の解析4)
実施例7の粉末を分析したところ、Si粒子の表面に多数のSiCの結晶が存在することが確認できた。SiCの結晶の存在のため、実施例1の粉末の被膜に比べて、実施例7の粉末の被膜は、Si粒子の表面の被覆面積が小さいことが推測される。実施例1と実施例7の粉末の製造条件において、実施例7の方が実施例1よりも冷却ガスの噴出口の位置がプラズマ発生装置内に近く、炭素源ガスとSi粒子との接触時の温度が高くて、実施例7の粉末において、SiCが発生しやすかったと推察される。また、SiCが多く存在すると、製造時の酸素導入工程において、被膜に酸素が導入されにくいと推察される。従って、実施例7の粉末の被膜は、実施例1の粉末の被膜に比べて被膜に導入された酸素量が少なく、被膜に含まれるエステル骨格も少ないことが推察される。
(酸素含有量の測定)
実施例2の粉末、実施例3の粉末、実施例4の粉末、実施例6の粉末の酸素含有量を株式会社堀場製作所、酸素分析装置EMGA−820を用いて測定した。酸素含有量の測定結果を表1に示す。
Figure 0006743159
実施例2の粉末は炭素含有被膜を有さないSi粒子結合体からなるものである。実施例3の粉末、実施例4の粉末、実施例6の粉末は、炭素含有被膜を有するSi粒子結合体からなるものである。酸素含有量の結果から、炭素含有被膜が形成されている粉末は、炭素含有被膜が形成されていない粉末に対して、粉末全体の酸素含有量が低くなることがわかった。従って、炭素含有被膜の存在によって、粉末全体の酸化が抑制されるといえる。また、C/Si比が高いものの方が、粉末全体の酸素含有量が低くなることが確認された。このことから、C/Si比が高いものの方が、炭素含有被膜はSi粒子結合体の全体を均一に被覆していると推測される。
(Si結晶及びSiCの確認)
実施例1〜4の粉末及び実施例6の粉末をXRD装置で測定し、結果のXRDチャートを図17に示す。図17に見られるように、実施例1〜4の粉末及び実施例6の粉末にはいずれもSi結晶のピークが観察された。実施例1〜4の粉末及び実施例6の粉末にはSi結晶が存在することがわかった。また、実施例6の粉末にはSiCが存在することがわかった。実施例1〜4の粉末では、SiCの存在はほとんど確認できなかった。単位時間あたりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siを1.5以下とすれば、SiCが形成されにくいことがわかった。
<リチウムイオン二次電池の製造>
(実施例A)
以下のとおり、実施例Aの負極及びリチウムイオン二次電池を製造した。
負極活物質として実施例4の(C/Si=1.5)粉末70質量部、天然黒鉛15質量部、導電助剤としてアセチレンブラック5質量部、結着剤としてポリアクリル酸と4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの混合物10質量部を混合した。この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、スラリー状の負極活物質層用組成物を製造した。
集電体として厚み20μmの銅箔を準備した。上記銅箔の表面に負極活物質層用組成物を載せ、ドクターブレードを用いて負極活物質層用組成物が膜状になるように塗布した。負極活物質層用組成物を塗布した銅箔を乾燥することで、N−メチル−2−ピロリドンを揮発により除去し、銅箔表面に負極活物質層を形成された実施例Aの負極を製造した。なお、結着剤として用いたポリアクリル酸と4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの混合物は、乾燥にて脱水反応が進行して、ポリアクリル酸を4,4’−ジアミノジフェニルメタンで架橋した架橋ポリマーに変化する。
上記の手順で作製した実施例Aの負極を作用極として用い、リチウムイオン二次電池(ハーフセル)を作製した。対極は金属リチウム箔とした。作用極及び対極、並びに両極の間に介装させるセパレータ(ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルター及びCelgard社製「Celgard2400」)を配設して電極体とした。この電極体を電池ケース(CR2032型コイン電池用部材、宝泉株式会社製)に収容した。電池ケースに、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1で混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解した非水電解液を注入し、電池ケースを密閉して、実施例Aのリチウムイオン二次電池を得た。
(比較例A)
実施例4の粉末に代えて参考例1の粉末を用いた以外は、実施例Aと同様の方法で、比較例Aの負極及び比較例Aのリチウムイオン二次電池を製造した。
(実施例B)
負極活物質として実施例4の(C/Si=1.5)粉末40質量部、天然黒鉛40質量部、導電助剤としてアセチレンブラック5質量部、結着剤としてポリアミドイミド樹脂15質量部を混合し、この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、スラリー状の負極活物質層用組成物を製造した以外は、実施例Aの負極と同様にして、実施例Bの負極を製造した。そして、実施例Bの負極を用いた以外は実施例Aのリチウムイオン二次電池と同様にして実施例Bのリチウムイオン二次電池を製造した。
(実施例C)
実施例4の粉末に代えて実施例3の(C/Si=0.5)粉末を用いた以外は実施例Bと同様にして実施例Cのリチウムイオン二次電池を製造した。
(実施例D)
実施例4の粉末に代えて実施例7の粉末を用いた以外は実施例Bと同様にして実施例Dのリチウムイオン二次電池を製造した。
<充放電曲線測定>
(評価例1)
実施例A及び比較例Aのリチウムイオン二次電池の充放電曲線を測定した。室温で、1.0Vから0.01Vまでの放電及び0.01Vから1.0Vまでの充電を、0.1Cレート相当の0.2mAで行なった。この時の充放電曲線を図18に示す。実施例Aの放電容量は1625mAh/gであり、比較例Aの放電容量は、1574mAh/gであった。また、実施例Aの充電容量は1338mAh/gであり、比較例Aの充電容量は、1239mAh/gであった。このことから、実施例Aのリチウムイオン二次電池の放電容量は、比較例Aのリチウムイオン二次電池の放電容量よりも大きいことがわかった。実施例Aの負極に用いられた実施例4の粉末に含まれるSi粒子結合体は繊維状Siを有するため、比較例Aの負極に用いられた参考例1の粉末に比べて、表面積が大きく、リチウムイオン二次電池の放電容量が大きくなったものと推測される。
また、各充電容量及び放電容量から初期効率を算出した。初期効率は下記の式から算出した。初期効率(%)=(充電容量/放電容量)×100
実施例Aのリチウムイオン二次電池の初期効率は82.3%であり、比較例Aのリチウムイオン二次電池の初期効率は78.7%であった。このことから、Si粒子結合体を用いた実施例Aのリチウムイオン二次電池は、参考例1の粉末を用いた比較例Aのリチウムイオン二次電池に比べて、初期効率が高いことが確認された。
ここで、実施例Aのリチウムイオン二次電池と比較例Aのリチウムイオン二次電池の放電曲線を比較すると、比較例Aのリチウムイオン二次電池の放電曲線では、X軸における0mAh/g〜300mAh/gの近辺で、実施例Aのリチウムイオン二次電池の放電曲線よりも電位が高いことが観察された。この電位は電解液の分解電流によるものと推測される。実施例Aのリチウムイオン二次電池の放電曲線では、この電位が高い部分は観測されなかったことから、実施例Aのリチウムイオン二次電池では電解液の分解が抑制されていると考えられる。上記被膜の解析2で記載したように、実施例Aの負極に用いられた実施例4の粉末の被膜では、XPS測定において、R−COO−R’に由来するピークが観察された。つまり、被膜はエステル骨格を有することが確認された。また、上記被膜の解析3で記載したように、熱分解クロマトグラフィーの結果から、比較例Aの負極に用いられた参考例1の粉末の被膜の熱分解物は様々な鎖状炭化水素やナフタレンを有すること、それに対して、実施例Aの負極に用いられた実施例4の粉末の被膜の熱分解物はイソプレン骨格を有するテルペン類やエステル骨格を有する化合物を有することが確認された。このことから、実施例Aのリチウムイオン二次電池において、負極活物質の被膜がエステル骨格を有することにより、電解液の分解が抑制されると推察される。エステル骨格を有する被膜は、電解液で用いられる有機溶媒と構造が類似しており、また電解液で用いられる有機溶媒と類似の還元電位窓を有していると推測される。従って、エステル骨格を有する被膜が負極活物質の表面に存在することにより、電解液の分解が抑制されると推測される。図18から、本発明の負極活物質又は第2負極活物質を具備する負極を具備するリチウムイオン二次電池は、電池容量、初期効率に優れていることが裏付けられた。
(評価例2)
実施例B、実施例C及び実施例Dのリチウムイオン二次電池の充放電曲線を測定した。室温で、1.0Vから0.01Vまでの放電及び0.01Vから1.0Vまでの充電を、0.1Cレート相当の0.2mAで行なった。この時の充放電曲線を図19に示す。図19において、実施例Bのリチウムイオン二次電池の初期効率は75.7%であり((864/1142)×100=75.7%)、実施例Cのリチウムイオン二次電池の初期効率は60.5%であり((851/1406)×100=60.5%)、実施例Dのリチウムイオン二次電池の初期効率は54.0%であった((791/1466)×100=54.0%)。粉末のTEM観察結果で記載したように、実施例Bのリチウムイオン二次電池に用いられた実施例4の粉末と、実施例Cのリチウムイオン二次電池に用いられた実施例3の粉末と、実施例Dのリチウムイオン二次電池に用いられた実施例7の粉末とを比較すると、実施例4の粉末において、複数のSi粒子と複数の繊維状Siとの組み合わせを有するSi粒子結合体が多く観察された。実施例3の粉末及び実施例7の粉末では、一個のSi粒子と一個の繊維状Siとの組み合わせを有するSi粒子結合体が多く観察された。このことから、複数のSi粒子と複数の繊維状Siとの組み合わせを有するSi粒子結合体では、リチウムイオン二次電池において、不可逆容量が少なくなって、初期効率が高くなることが推察される。
また、実施例Dのリチウムイオン二次電池と実施例B及び実施例Cのリチウムイオン二次電池の放電曲線を比較すると、実施例Dのリチウムイオン二次電池の放電曲線では、X軸における0mAh/g〜300mAh/gの近辺で、実施例B及び実施例Cのリチウムイオン二次電池の放電曲線よりも電位が高いことがわかった。この電位は電解液の分解電流によるものと推測される。実施例B及び実施例Cのリチウムイオン二次電池の放電曲線ではこの電位が高い部分は観測されなかったことから、実施例B及び実施例Cのリチウムイオン二次電池では電解液の分解が抑制されていると考えられる。被膜の解析4で記載したように、実施例7の粉末の被膜のエステル骨格を有する割合が、実施例4及び実施例3の粉末の被膜のエステル骨格を有する割合よりも小さいと考えられる。そのため、粉末の被膜がエステル骨格をより多く有することで、電解液の分解を抑制する効果が高くなると推測される。
<サイクル特性評価>
実施例B、実施例C及び実施例Dのリチウムイオン二次電池に対し、室温で、1.0Vから0.01Vまでの放電及び0.01Vから1.0Vまでの充電を、0.5mAで20回行う充放電サイクル試験を行った。1回目の放電容量を初期容量とし、サイクル毎の放電容量を測定して、容量維持率を下記式から算出した。
容量維持率(%)=(各サイクル時の放電容量/初期容量)×100
実施例B〜実施例Dのリチウムイオン二次電池のサイクル数と容量維持率の関係を示すグラフを図20に示す。
図20から、実施例B、実施例C及び実施例Dのリチウムイオン二次電池は、20サイクル目においても容量維持率が80%以上であり、容量維持率に優れていることが確認された。実施例Bのリチウムイオン二次電池は、容量維持率が20サイクル目においても90%以上あり、特に優れていることが確認された。実施例Bのリチウムイオン二次電池に用いられる実施例4の粉末において、複数のSi粒子と複数の繊維状Siとの組み合わせを有するSi粒子結合体が多く観察された。複数のSi粒子と複数の繊維状Siとの組み合わせを有するSi粒子結合体では、多数の空隙を含むため、充放電時にSiが膨張、収縮しても、空隙が緩衝因子となって、Si粒子結合体の全体の大きさの変動が特に少なかったと推測される。そのため、実施例Bのリチウムイオン二次電池は特に容量維持率が高くなったと考えられる。図20から、本発明のリチウムイオン二次電池は、容量維持率に優れていることが裏付けられた。
(実施例8)
図2に示すプラズマ発生装置の一部を改良した装置を用いて、実施例8の粉末を製造した。改良装置においては、図2における冷却ガス供給管91を複数の供給管とし、一部は希ガス供給管、他の一部は炭素源ガス供給管とした。希ガス供給管の開口とプラズマ発生装置内11の開口との距離は150mmとした。そして、炭素源ガス供給管の開口とプラズマ発生装置内11の開口との距離は200mmとした。プラズマ発生装置内に、プロセスガスとしてアルゴンガスを60L/min.で供給し、インナーガスとしてアルゴンガスを5L/min.で供給し、キャリヤーガスとしてアルゴンガスを3L/min.で供給した。希ガス供給管から、希ガスとして、アルゴンガスを20L/min.で供給した。炭素源ガス供給管から、炭素源ガスとしてメタンガスを0.096L/min.で供給した。メタンガスの流速は、熱式流量センサーを用いた流量計(コフロック社製、小型マスフローコントローラーModel EX250S シリーズ)を用いて測定した。この時、電力供給装置から電力を供給し、周波数4MHzの磁場をコイルに印加して、出力10kWのプラズマを発生させた。なお、プラズマ発生装置内の圧力は大気圧とした。プラズマの安定後、粉体供給器を作動させ、原料Si粉体を400mg/min.の速度で、キャリヤーガスとともに、プラズマ内へ導入した。プラズマ内を通過した後の通過流とともに放出された粉末を収集し、酸素雰囲気下で1時間保持した。得られた粉末を実施例8の粉末とした。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは0.3であった。
(実施例9)
炭素源ガスとしてメタンガスを0.22L/min.で、供給した以外は、実施例8の粉末と同様にして実施例9の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは0.69であった。
(実施例10)
炭素源ガスとしてメタンガスを0.33L/min.で、供給した以外は実施例8の粉末と同様にして実施例10の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは1.03であった。
(実施例11)
炭素源ガスとしてメタンガスを0.8L/min.で供給した以外は実施例8の粉末と同様にして実施例11の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは2.5であった。
(実施例12)
炭素源ガスとしてメタンガスを0.96L/min.で供給した以外は実施例8の粉末と同様にして実施例12の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは3.0であった。
(実施例13)
炭素源ガスとしてメタンガスを1.24L/min.で供給した以外は実施例8の粉末と同様にして実施例13の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは3.87であった。
(実施例14)
原料Si粉体を100mg/min.の速度で、キャリヤーガスとともに、プラズマ内へ導入したこと、及び炭素源ガスとしてメタンガスを0.08L/min.で供給したこと以外は、実施例8の粉末と同様にして、実施例14の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは1.0であった。
(実施例15)
原料Si粉体を700mg/min.の速度で、キャリヤーガスとともに、プラズマ内へ導入したこと、及び炭素源ガスとしてメタンガスを0.56L/min.で供給したこと以外は、実施例14の粉末と同様にして、実施例15の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは1.0であった。
(実施例16)
プラズマ出力を15kWとしたこと、炭素源ガス供給管の開口とプラズマ発生装置内の開口との距離を350mmとしたこと、及び炭素源ガスとしてメタンガスを0.32L/min.で供給したこと以外は、実施例8の粉末と同様にして、実施例16の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは1.0であった。
(実施例17)
プラズマ出力を20kWとしたこと以外は、実施例16の粉末と同様にして、実施例17の粉末を製造した。単位時間当たりの原料Si粉末の供給モル数に対する単位時間当たりの炭素源ガスの供給モル数の比であるC/Siは1.0であった。
(TEM観察結果)
実施例8〜17の粉末のTEM観察を行なった。実施例8〜17の粉末のいずれにおいても、複数のSi粒子と複数の繊維状Siの組み合わせのSi粒子結合体、及び、Si粒子一個とそのSi粒子に結合する繊維状Si一個の組み合わせのSi粒子結合体が多く観察された。
(被膜の解析1−2)
被膜の解析1−1と同様にして、実施例8〜実施例17の粉末の被膜について、ラマン分光装置を用いて、ラマンスペクトルを測定した。得られた実施例8〜17の粉末の被膜のラマン分光法によるラマンスペクトルには、1590cm−1付近に見られるGバンドと1350cm−1付近に見られるDバンドの両方のピークが観察された。このことから、実施例8〜17の粉末の被膜にはグラファイトとアモルファスカーボンが含まれることが確認できた。また、実施例8〜17の粉末の被膜のラマンスペクトルには、さらに、1230cm−1〜1270cm−1、1420cm−1〜1480cm−1の範囲にピークが観察された。実施例8〜17の粉末の被膜にはH元素が残っており、CH及び/又はCHに由来する構造を有していることが確認された。
プラズマ出力15kWで製造された実施例16の粉末及びプラズマ出力20kWで製造された実施例17の粉末において、被膜がCH及び/又はCHに由来する構造を有するメカニズムとしては、以下のことが考えられる。比較例1及び比較例2の粉末の製造時では、冷却ガス供給管の開口とプラズマ発生装置内の開口との距離を200mmとしたのに対して、実施例16及び17の粉末の製造時において、希ガス供給管の開口とプラズマ発生装置内の開口との距離を150mmとし、炭素源ガス供給管の開口とプラズマ発生装置内の開口との距離を350mmとした。実施例16及び17の粉末の製造時において、比較例1及び比較例2の粉末の製造時と比べて、希ガス供給管の開口を高くし、炭素源ガス供給管の開口を低くしたため、プラズマ出力が15kW及び20kWであっても、炭素源ガスに含まれるCHは、C単体までは分解されずに、Hが残った状態でSi表面を被覆したと推測される。
(Si結晶及びSiCの確認2)
実施例8〜17の粉末をXRD装置で測定した。実施例8〜17の粉末にはいずれもSi結晶のピークが観察された。実施例8〜17の粉末にはSi結晶が存在することがわかった。また、実施例13及び実施例17の粉末にはSiCが存在することがわかった。実施例8〜12、14〜16の粉末では、SiCの存在はほとんど確認できなかった。実施例13の粉末の製造方法においては、炭素源ガスの流速が速く、実施例17の粉末の製造方法においては、プラズマ出力が高いため、SiCが発生したものと考えられる。実施例13及び実施例17の粉末の製造方法においても、さらに炭素源ガス供給管の開口とプラズマ発生装置内の開口との距離を大きくすることによって、SiCの発生は抑制されると推測される。
1:粉体供給器、2:電力供給装置、3:排気部、4:フィルター、5:内部チャンバー、6:キャリヤーガス経路、7:プロセスガス経路、8:インナーガス経路、9:冷却ガス経路、10:Si粒子、11:プラズマ発生装置内、20:繊維状Si、30:空隙、40:Si粒子結合体、50:結合部、60:被膜、91:冷却ガス供給管。

Claims (19)

  1. 粒径が10nm以上1500nm以下であるSi粒子と、複数の該Si粒子に結合する繊維状Siと、を有し、前記Si粒子のSi相と前記繊維状SiのSi相とは両者の結合部で一体化しており、
    該繊維状Siは、繊維径に比べて繊維長が長く、
    該Si粒子の粒径は、該繊維状Siの繊維径よりも大きいことを特徴とするSiのみ又はSiとOのみからなるSi粒子結合体と、
    前記Si粒子結合体の表面に配置された炭素含有被膜と、
    を有する被膜付きSi粒子結合体。
  2. 粒径が10nm以上1500nm以下であるSi粒子と、複数の該Si粒子に結合する繊維状Siと、を有し、前記Si粒子のSi相と前記繊維状SiのSi相とは両者の結合部で一体化しており、
    該繊維状Siは、繊維径に比べて繊維長が長く、
    該Si粒子の粒径は、該繊維状Siの繊維径よりも大きいことを特徴とするSiのみ又はSiとOのみからなるSi粒子結合体を具備する負極
  3. 複数の前記Si粒子と、複数の前記繊維状Siと、を有する請求項1に記載の被膜付きSi粒子結合体。
  4. 前記繊維状Siの繊維径は5nm以上20nm以下である請求項1又は3に記載の被膜付きSi粒子結合体。
  5. 前記Si粒子結合体は、Si結晶を含む請求項1、3〜のいずれか一項に記載の被膜付きSi粒子結合体。
  6. 前記Si粒子結合体は空隙を有する請求項1、3〜のいずれか一項に記載の被膜付きSi粒子結合体。
  7. 以下の(1)〜(4)の少なくとも1つを満足する請求項2に記載の負極
    (1)前記Si粒子結合体は複数の前記Si粒子と複数の前記繊維状Siとを有する
    (2)前記繊維状Siの繊維径は5nm以上20nm以下である
    (3)前記Si粒子結合体はSi結晶を含む
    (4)前記Si粒子結合体は空隙を有する
  8. 前記Si粒子結合体前記Si粒子結合体の表面に配置された炭素含有被膜有する被膜付きSi粒子結合体である請求項2又は7に記載の負極
  9. 粒径が10nm以上1500nm以下であるSi粒子と、該Si粒子に結合する繊維状Siと、を有し、該Si粒子の粒径は、該繊維状Siの繊維径よりも大きいSi粒子結合体と、
    前記Si粒子結合体の表面に配置された炭素含有被膜と、を有し、
    前記炭素含有被膜は、ラマン分光法のラマンスペクトルにおいて、1420cm−1〜1480cm−1の範囲にピークトップを有することを特徴とする被膜付きSi粒子結合体。
  10. 酸素含有量が10%以下である請求項9に記載の被膜付きSi粒子結合体。
  11. Si粒子と、該Si粒子に結合する繊維状Siと、を有し、
    該Si粒子の粒径は、該繊維状Siの繊維径よりも大きいSi粒子結合体の製造方法であって、
    原料Si粉末を導入流にて、プラズマ出力が5kW以上15kW未満であるプラズマ内に導入する工程と、
    前記導入流がプラズマ内を通過した後の通過流を該通過流に対向する冷却ガス流で冷却する冷却工程と、
    を含むことを特徴とするSi粒子結合体の製造方法。
  12. Si粒子と、該Si粒子に結合する繊維状Siと、を有し、
    該Si粒子の粒径は、該繊維状Siの繊維径よりも大きいSi粒子結合体と、
    前記Si粒子結合体の表面に配置された炭素含有被膜と、
    を有する被膜付きSi粒子結合体の製造方法であって、
    原料Si粉末を導入流にて、プラズマ出力が5kW以上15kW未満であるプラズマ内に導入する工程と、
    前記導入流がプラズマ内を通過した後の通過流を該通過流に対向する炭素源ガスを含む冷却ガス流で冷却し、前記通過流内のSiを前記炭素源ガスと接触させてSiに炭素含有被膜を形成させる冷却工程と、
    を含むことを特徴とする被膜付きSi粒子結合体の製造方法。
  13. 前記冷却工程の後で、酸素含有雰囲気下、前記炭素含有被膜に酸素を導入する酸素導入工程を含む請求項12に記載の被膜付きSi粒子結合体の製造方法。
  14. 請求項1、3〜6、9〜10のいずれか一項に記載の被膜付きSi粒子結合体を具備する負極。
  15. 請求項2、7、8、14のいずれか一項に記載の負極を具備する非水電解質二次電池。
  16. 粒径が10nm以上1500nm以下であるSi粒子と、
    該Si粒子の表面に配置され、C、H、Oを含む炭素含有被膜と、を有し、
    該炭素含有被膜は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析において、テルペン類のフラグメントが検出されることを特徴とする負極活物質。
  17. 前記炭素含有被膜は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析において、さらにエステル骨格のフラグメントが検出される請求項16に記載の負極活物質。
  18. 請求項16又は17に記載の負極活物質を具備する非水電解質二次電池。
  19. Si粒子と、該Si粒子に結合する繊維状Siと、を有し、
    該Si粒子の粒径は、該繊維状Siの繊維径よりも大きいSi粒子結合体と、
    前記Si粒子結合体の表面に配置された炭素含有被膜と、
    を有する被膜付きSi粒子結合体の製造方法であって、
    原料Si粉末を導入流にてプラズマ内に導入する工程と、
    前記導入流がプラズマ内を通過した後の通過流を該通過流に対向する炭素源ガスを含む冷却ガス流で冷却し、前記通過流内のSiを前記炭素源ガスと接触させてSiに炭素含有被膜を形成させる冷却工程と、
    を含み、
    前記冷却工程において、前記冷却ガス流は、前記炭素源ガス及び希ガスを含み、前記炭素源ガスの供給位置は、前記希ガスの供給位置よりも、前記通過流の通過方向に対して下流であることを特徴とする被膜付きSi粒子結合体の製造方法。
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