JP2019183958A - チェーン用スプロケットおよびエンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦損失を低減することができるチェーン用スプロケットを提供する。【解決手段】回転軸に取付けられるとともに、ローラチェーン又はブシュチェーンが噛み合うようにチェーン用スプロケット9の周方向に配設された複数の歯11,12を備えるチェーン用スプロケット9において、複数の歯11,12は、それぞれ、回転方向一方側に配置される第一側面11c、12cと、回転方向他方側に配置される第二側面11b,12bと、を有し、第一側面11c,12cの回転軸方向の幅が第二側面11b,12bの回転軸方向の幅よりも狭くなるように、第一側面11c,12cにおける両側縁部の少なくとも一方には面取りされたカット部21,22,23,24が設けられている。【選択図】図3
Description
本発明は、チェーン用スプロケットに関し、より特定的には、チェーンに噛み合って動力を伝達するチェーン用スプロケット、およびそのスプロケットを備えたエンジンに関するものである。
車載用エンジンに用いられる従来のスプロケットは、たとえば特開平11−336879号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1には、スプロケットの外周に複数の歯が形成されるとともに、各歯の底面である歯底面に歯すじ方向に沿ってその中央部を頂きとする曲面が形成されたスプロケットが開示されている。このような構成のスプロケットにおいては、スプロケットの装着される支軸が撓むような場合であっても、スプロケットの歯底面の端縁からローラチェーンのローラに対して押し上げる力等は加わらず、ローラチェーンのローラはスプロケットの歯底面に対し、均等に面圧がかかった状態で摺接されるようになる。このため、ローラチェーンのローラとスプロケットの歯底面との間の面圧が均等に維持され、それらスプロケット及びローラチェーン間のフリクションが低減される。
ところで、車載用エンジンにおいては、一般的に、クランクシャフトの回転力を用いてカムシャフトを回転させ、カムシャフトに取付けられたカムにより吸気および排気バルブを駆動させる方法が採用されている。この構造では、クランクシャフトに取り付けられたチェーン用スプロケット及びカムシャフトに取り付けられたチェーン用スプロケットにタイミングチェーンが噛み合うように、両チェーン用スプロケットにタイミングチェーンが掛けられる。そして、クランクシャフトの回転は、クランクシャフトのチェーン用スプロケットから、タイミングチェーン、およびカムシャフトのチェーン用スプロケットを介してカムシャフトへ伝達される。
上記のようにタイミングチェーンがチェーン用スプロケットに噛み合うことでクランクシャフトから動力が伝達されるが、タイミングチェーンがチェーン用スプロケットに噛み合う時には両部材が摩擦摺動するため摩擦損失が発生する。エンジンの燃費向上のためには、このタイミングチェーンがチェーン用スプロケットに噛みあう際の摩擦損失を低減する必要がある。
そこで、この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、チェーンとの噛み合い時の摩擦損失を低減することが可能なチェーン用スプロケット、およびそのチェーン用スプロケットを備えたエンジンを提供することを目的とするものである。
本発明者は、チェーン用スプロケットの歯とチェーンとが噛み合う過程における摩擦損失を低減するために鋭意検討を行った。一方向に動力を伝達するチェーン用スプロケットとチェーンとの組み合わせ(逆回転しないチェーン用スプロケットとチェーンとの組み合わせ)においては、チェーン用スプロケットの歯の特定部分にチェーンとの間の最大の押しつけ力が加わるため、この部分では歯の軸方向幅を大きくする必要がある。しかしながら、他の部分でも歯の軸方向幅を大きくすると、歯とチェーンとの接触面積が大きくなるため、歯とチェーンが接触する際の摩擦損失が大きくなる。また、スプロケットの各歯における特定部分以外の部分では、押し付け力が特定部分よりも小さくなるため、歯の軸方向幅を特定部分ほど大きくする必要はない。そのため、スプロケットの歯において、チェーンとの間での押しつけ力が小さい部分では歯の軸方向幅を小さくすることでチェーンと歯との接触を抑制して、摩擦損失を低減できることを見出した。そして、たとえばチェーン用スプロケットを車載用エンジンで用いた場合には、チェーンとスプロケットの摩擦損失を低減することで燃費の向上を図ることができる。
このような知見によりなされたこの発明に従ったチェーン用スプロケットは、回転軸に取付けられるとともに、ローラチェーン又はブシュチェーンが噛み合うようにチェーン用スプロケット周方向に配設された複数の歯を備えるチェーン用スプロケットにおいて、複数の歯は、それぞれ、回転方向一方側に配置される第一側面と、回転方向他方側に配置される第二側面と、を有し、第一側面の回転軸方向の幅が第二側面の回転軸方向の幅よりも狭くなるように、第一側面における両側縁部の少なくとも一方には面取りされたカット部が設けられている。
このように構成されたチェーン用スプロケットにおいては、チェーンとの押しつけ力が最大となる部分を第二側面とすることで、回転軸方向の幅が広い第二側面において最大の押しつけ力を受けることができる。これに対して、第一側面の回転軸方向の幅が小さいため、第一側面とチェーンとの間の摩擦損失を低減することができる。第一側面の回転軸方向の幅は小さいが、第一側面にはチェーンとの間の最大押しつけ力が加わらないようにすることで、信頼性を確保して動力を確実に伝達することができる。さらに、第一の側面の回転軸方向の幅を小さくすることで、第一の側面の回転軸方向の幅を小さくしない場合と比較してチェーン用スプロケットを軽量化することができる。特に外周部分に位置する歯を軽量化することで、チェーン用スプロケットの回転軸まわりの慣性モーメントを小さくすることができる。その結果、このチェーン用スプロケットをたとえばエンジンに用いるとチェーン用スプロケットを回転させるためのエネルギーを小さくすることができ燃費を向上させることができる。
好ましくは、複数の歯の第一側面はローラチェーンのローラ又はブシュチェーンのブシュと接触する面であり、ローラ又はブシュとの押しつけ力に応じて第一側面の回転軸方向の幅が設定されており、ローラ又はブシュとの押しつけ力が小さい部分の幅がローラ又はブシュとの押しつけ力が大きい部分の幅よりも狭くなるようにカット部が設けられている。この場合、ローラ又はブシュとの押しつけ力に対して必要十分な第一側面の回転軸方向の幅を確保することができ、第一側面を最大限に軽量化することができる。
好ましくは、駆動軸及び従動軸に取付けられた上記のチェーン用スプロケットと、駆動軸のチェーン用スプロケット及び従動軸のチェーン用スプロケットの両方に噛み合うように巻き掛けられたローラチェーン又はブシュチェーンからなるタイミングチェーンとを備える。
この場合、チェーン用スプロケットとタイミングチェーンとの摩擦損失を低減することができるため、燃焼により生じたエネルギーを損失させることなく多くのエネルギーを走行のために用いることができるため、燃費に優れたエンジンを提供することができる。
この発明に従えば、チェーンとの摩擦損失を低減することができるチェーン用スプロケットを提供することができる。
さらに燃費が優れたエンジンを提供することができる。
以下、各実施形態に係るチェーン用スプロケットについて図を参照して説明する。以下の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
(構成)
図1は、実施の形態1に従ったチェーン用スプロケットと、そのチェーン用スプロケットに噛み合うチェーンとを示す正面図である。図1で示すように、チェーン用スプロケット9は外周部に位置する歯面10と、歯面10より内側に位置するボス部8とを有する。歯面10にチェーン4が噛み合っている。
(構成)
図1は、実施の形態1に従ったチェーン用スプロケットと、そのチェーン用スプロケットに噛み合うチェーンとを示す正面図である。図1で示すように、チェーン用スプロケット9は外周部に位置する歯面10と、歯面10より内側に位置するボス部8とを有する。歯面10にチェーン4が噛み合っている。
チェーン4は内プレート2a、外プレート2b、ローラ1を有する。内プレート2aは対となってローラ1を挟み込む。外プレート2bは、対となってローラ1および内プレート2aを挟み込む。
ローラ1は、内プレート2aおよび外プレート2bによって回転可能に保持されている。より詳しくは、内プレート2aおよび外プレート2bを貫通するようにピン(図示せず)が設けられている。ピンは内プレート2aおよび外プレート2bとともに、チェーン4に加えられる荷重を保持し、かつ、内プレート2aおよび外プレート2bが互いに屈曲するようにこれらを保持する。ピンの外周にローラ1が設けられており、ピンとローラ1との間にはカラーが設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。
この実施の形態では、ローラ1は内プレート2aおよび外プレート2bに対して回転する例を示しているが、ローラ1が回転しなくてもよい。ローラ1が回転しない、いわゆるブシュチェーンの場合には、ローラ1を回転させるための機構を省略することができるので、ピンを大型化することができる。その結果、チェーンに加わる荷重を大きくすることができる。
チェーン用スプロケット9がたとえばクランクシャフトに取り付けられると、図1に示すように、チェーン用スプロケット9はクランクシャフトとともに矢印Rで示す方向にのみ回転する。この一方向の回転に伴って、歯面10に噛み合うチェーン4に回転力が付与される。
図2は、図1中のIIで囲んだ部分を拡大して示すことでチェーン用スプロケットとチェーンとの噛み合い部分を示す正面図である。図2で示すように、チェーン用スプロケット9の歯面10は複数の歯11,12を有する。歯11,12は、回転方向一方側の第一側面11c,12cと、回転方向他方側の第二側面12b,12bと、第一側面11c,12cと第二側面11b,12bの間の頂面11a,12aとを有する。
歯11と歯12との間の溝7にローラ1が入り込む。チェーン用スプロケット9が回転するとローラ1が第二側面11bと接触して第二側面11bからローラ1へ回転力が付与される。これにより、チェーン用スプロケット9の回転がチェーン4へ伝達される。
図3は、図2中の矢印IIIで示す方向から見たチェーン用スプロケットの平面図である。図3で示すように、チェーン用スプロケット9は複数の歯11,12を備える。複数の歯11,12は、回転方向一方側の第一側面11c、12cと、回転方向他方側の第二側面11b、12bと、を有する。第一側面11c、12cにおける両側縁部の少なくとも一方は面取りされてカット部21,22,23,24が設けられている。第一側面11c、12cの回転軸方向(矢印L)の幅は、第二側面11b、12bの回転軸方向の幅よりも狭い。
この実施の形態では、第一側面11c,12cの両側にカット部21,22,23,24を設けたが、少なくとも一部分にカット部21,22,23,24が設けられていればよい。たとえば、第一側面11cにカット部21,22のいずれか一方が設けられればよい。第一側面12cにカット部23,24のいずれか一方が設けられればよい。第一側面11cにカット部21,22のいずれか一方が設けられ、第一側面12cにカット部23,24が設けられなくてもよい。カット部21,22,23,24の幅は頂面11a,12aから遠ざかるにつれて小さくなっている。
チェーン用スプロケット9がクランクシャフトに取り付けられる場合には、ボス部8にクランクシャフトが挿入される。ボス部8の回転軸方向長さは、他の部分よりも長くなっている。これは、ボス部8にシャフトを挿入し、シャフトから大きな力が加わるからである。
図4は、実施の形態1に従ったチェーン用スプロケットを用いたエンジンの正面図である。図4で示すようにチェーン用スプロケット9は、エンジン100(4ストロークエンジン)のクランクシャフト101に取り付けられる。チェーン用スプロケット9はチェーン4(タイミングチェーン)と噛み合っている。チェーン4は吸気側のカムシャフト102に接続されるチェーン用スプロケット109および排気側のカムシャフト103に接続されるチェーン用スプロケット209にも噛み合う。図4ではエンジンの構成要素であるシリンダブロック、シリンダヘッドなどは省略し、3つのチェーン用スプロケット9,109,209と、それらに巻きかけられるチェーン4のみが図示されている。
クランクシャフトの回転に伴ってチェーン用スプロケット9が回転すると、この回転がチェーン4を介してチェーン用スプロケット109,209に伝達される。これにより、吸気側および排気側のカムシャフト102,103が回転する。チェーン用スプロケット9,109,209のいずれかに、図2および図3で示すカット部21から24の少なくとも一つが設けられればよい。
図5は、2つの歯の間で移動するチェーンのローラを示す正面図である。図5で示すように、歯11と歯12との間の溝7にローラ1が嵌り合う。チェーン用スプロケット9が駆動軸に取付けられた場合には、チェーン用スプロケット9が駆動してチェーン4を動かすことになる。すなわち、チェーン4のローラ1はチェーン用スプロケット9から矢印Rで示す方向の回転力を受けることとなり、チェーン4のローラ1は、チェーン用スプロケット9の1つの歯12の第一側面12cから回転方向と反対側に隣合う歯11の第二側面11bへと移動する。また、チェーン用スプロケット9が従動軸に取付けられる場合には、チェーン4がチェーン用スプロケット9を回転させるので、チェーン4のローラ1は、チェーン用スプロケット9の1つの歯11の第二側面11bから回転方向と反対側に隣り合う歯12の第一側面12cへと移動する。
図6は、図5中のVI−VI線に沿った断面図である。図6で示すように、カット部23,24が存在するため、ローラ1と第一側面12cとの接触面積が小さくなる。カット部23,24の断面の輪郭は図6で示すように直線状であってもよく、曲線状であってもよい。
(効果1:摩擦低減による燃費の向上)
図7は、従来の溝内でのローラの位相(横軸)と、ローラと側面との接触部での押しつけ力F(縦軸)との関係を示すグラフである。従来のスプロケットでは、カット部21,22,23,24が設けられていないため、歯の幅が一定である。図7で示すように、ローラ1の位相と押しつけ力Fとは関連し、位相に応じて押しつけ力Fが変化する。押しつけ力Fを接触面積S(接触長さと歯の幅との積)で割ったものが接触面圧P(=F/S)である。従来のチェーン用スプロケット9では、接触長さおよび歯の幅が一定である。一方の頂面11aから他方の頂面12aの間の歯面にローラ1が接触する。チェーン用スプロケット9が矢印Rで示す方向に回転することでチェーン4に動力を伝達する場合には、ローラ1に最大押しつけ力を与える点が第二側面11b上に存在する。チェーン用スプロケット9の設計においては、この最大押しつけ力に耐えうる軸方向の幅を有するように歯11,12のプロファイルを決定する。従来は第一側面11c,12cと第二側面11b,12bの幅がほぼ等しかったため、第一側面12cおよび第二側面11bにおいて矢印d1からd4で示す余裕(最大押しつけ力と実際の押しつけ力との差)があった。すなわち押しつけ力が小さい部分においても、必要以上(最大押しつけ力に耐えうるような)の軸方向の幅を歯11,12に付与していた。この必要以上の幅が与えられた部分では、ローラ1と歯11,12との接触面積が増加していた。チェーン4とチェーン用スプロケット9との摩擦損失が発生する要因としては(1)チェーン4の張力と、(2)ローラ1および歯11,12間の接触面積と、がある。ここで、ローラ1と歯11,12との接触面積が大きいとローラ1と歯11,12とが固体接触する領域が大きくなるので、摩擦損失が増加することとなる。
図7は、従来の溝内でのローラの位相(横軸)と、ローラと側面との接触部での押しつけ力F(縦軸)との関係を示すグラフである。従来のスプロケットでは、カット部21,22,23,24が設けられていないため、歯の幅が一定である。図7で示すように、ローラ1の位相と押しつけ力Fとは関連し、位相に応じて押しつけ力Fが変化する。押しつけ力Fを接触面積S(接触長さと歯の幅との積)で割ったものが接触面圧P(=F/S)である。従来のチェーン用スプロケット9では、接触長さおよび歯の幅が一定である。一方の頂面11aから他方の頂面12aの間の歯面にローラ1が接触する。チェーン用スプロケット9が矢印Rで示す方向に回転することでチェーン4に動力を伝達する場合には、ローラ1に最大押しつけ力を与える点が第二側面11b上に存在する。チェーン用スプロケット9の設計においては、この最大押しつけ力に耐えうる軸方向の幅を有するように歯11,12のプロファイルを決定する。従来は第一側面11c,12cと第二側面11b,12bの幅がほぼ等しかったため、第一側面12cおよび第二側面11bにおいて矢印d1からd4で示す余裕(最大押しつけ力と実際の押しつけ力との差)があった。すなわち押しつけ力が小さい部分においても、必要以上(最大押しつけ力に耐えうるような)の軸方向の幅を歯11,12に付与していた。この必要以上の幅が与えられた部分では、ローラ1と歯11,12との接触面積が増加していた。チェーン4とチェーン用スプロケット9との摩擦損失が発生する要因としては(1)チェーン4の張力と、(2)ローラ1および歯11,12間の接触面積と、がある。ここで、ローラ1と歯11,12との接触面積が大きいとローラ1と歯11,12とが固体接触する領域が大きくなるので、摩擦損失が増加することとなる。
実施の形態1では、チェーン4のローラ1との押しつけ力が小さくなるチェーン用スプロケット9の周方向に配置された複数の歯11,12における第一側面11c,12cにカット部21,22,23,24を設けることで、第一側面11c,12cとローラ1との接触面積を減少させている。その結果、第一側面11c,12cとローラ1との摩擦損失を低減させることで、エンジンで発生したエネルギーを摩擦で損失させることなく駆動力として用いることができる。その結果、燃費が向上する。
さらに、ローラ1と第一側面11c,12cとの接触時の押しつけ力に応じて第一側面11c,12cの回転軸方向の幅が決められる場合には、第一側面11c、12cの幅を最大限減少させることができるため、摩擦損失を最小限にすることができる。すなわち、ローラ1との押しつけ力が小さい部分の幅がローラ1との押しつけ力が大きい部分の幅よりも狭くなるようにカット部21,22,23,24が設けられる。
(効果2:軽量化および慣性モーメント低減による燃費の向上)
チェーン用スプロケット9をクランクシャフトまたはカムシャフト等に接続すると、チェーン用スプロケット9はクランクシャフトの回転数またはクランクシャフトの回転数の半分の回転数で回転する。このように高速回転するチェーン用スプロケット9にカット部21,22,23,24を設けることでチェーン用スプロケット9を回転させるために必要なエネルギーを小さくすることができる。特に、歯11,12はチェーン用スプロケット9の外周に位置するため、外周にカット部21,22,23,24を設けることで、内周側を軽量化した場合と比較して回転軸周りの慣性モーメントを減少させることができる。慣性モーメントは回転半径の二乗に比例するため、外周部にカット部21,22,23,24を設けて質量を減少させることにより、慣性モーメントを効果的に減少させることができる。その結果、チェーン用スプロケット9を回転させるためのエネルギーを小さくして、多くのエネルギーを駆動力として用いることができる。その結果、燃費が向上する。
チェーン用スプロケット9をクランクシャフトまたはカムシャフト等に接続すると、チェーン用スプロケット9はクランクシャフトの回転数またはクランクシャフトの回転数の半分の回転数で回転する。このように高速回転するチェーン用スプロケット9にカット部21,22,23,24を設けることでチェーン用スプロケット9を回転させるために必要なエネルギーを小さくすることができる。特に、歯11,12はチェーン用スプロケット9の外周に位置するため、外周にカット部21,22,23,24を設けることで、内周側を軽量化した場合と比較して回転軸周りの慣性モーメントを減少させることができる。慣性モーメントは回転半径の二乗に比例するため、外周部にカット部21,22,23,24を設けて質量を減少させることにより、慣性モーメントを効果的に減少させることができる。その結果、チェーン用スプロケット9を回転させるためのエネルギーを小さくして、多くのエネルギーを駆動力として用いることができる。その結果、燃費が向上する。
(効果3:信頼性の維持)
チェーン用スプロケット9の信頼性は、基本的に接触面圧と曲げ応力で決定される。接触面圧は、チェーン用スプロケット9の歯11,12の各部位の材質が同じであると仮定すると押しつけ力と回転軸方向の幅(厚み)で決定される。幅が大きい場合には接触面積が大きくなるので、接触面圧を低下させることができる。このため、この実施形態では、最大接触面圧がかかる側の面である第二側面11b,12bの特定部分にはカット部21,22,23,24を設けることがない。具体的には、図7において、第二側面11bで押しつけ力Fが最も大きい部分にはカット部21,22,23,24を設けない。このため、押しつけ力Fが最も大きい部分において接触面圧が増加することなく、チェーン用スプロケット9の信頼性が悪化するという問題は発生しない。これに対して、図7において押しつけ力が最大の部分以外では、最大押しつけ力と実際の押しつけ力との差に応じた幅のカット部21,22,23,24を設ける。なお、カット部21,22,23,24が設けられる第一側面11c、12cにおいても、接触面圧が曲げ応力限界よりも小さくなるように、カット部21,22,23,24の幅が調整される。
チェーン用スプロケット9の信頼性は、基本的に接触面圧と曲げ応力で決定される。接触面圧は、チェーン用スプロケット9の歯11,12の各部位の材質が同じであると仮定すると押しつけ力と回転軸方向の幅(厚み)で決定される。幅が大きい場合には接触面積が大きくなるので、接触面圧を低下させることができる。このため、この実施形態では、最大接触面圧がかかる側の面である第二側面11b,12bの特定部分にはカット部21,22,23,24を設けることがない。具体的には、図7において、第二側面11bで押しつけ力Fが最も大きい部分にはカット部21,22,23,24を設けない。このため、押しつけ力Fが最も大きい部分において接触面圧が増加することなく、チェーン用スプロケット9の信頼性が悪化するという問題は発生しない。これに対して、図7において押しつけ力が最大の部分以外では、最大押しつけ力と実際の押しつけ力との差に応じた幅のカット部21,22,23,24を設ける。なお、カット部21,22,23,24が設けられる第一側面11c、12cにおいても、接触面圧が曲げ応力限界よりも小さくなるように、カット部21,22,23,24の幅が調整される。
なお、これらの効果1から3は、チェーン用スプロケット9がチェーン4を駆動する場合のみならず、チェーン4がチェーン用スプロケット9を駆動する場合でも奏することできる。チェーン4がチェーン用スプロケット9を駆動する場合にはチェーン用スプロケット9が矢印Rで示す方向に回転するとすれば、図2の歯11,12の左側の面において最大接触面圧の点が存在することとなるため、各歯11,12の左側が第二側面11b、12bとなり、右側が第一側面11c,12cとなり、第一側面11c,12cにカット部21から24の少なくとも一つが設けられる。
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2に従ったチェーン用スプロケットの正面図である。図9は、図8中のIXで囲んだ部分を拡大して示す正面図である。図8および図9で示すように、チェーン用スプロケット9は矢印RRで示す方向に回転する。歯の数が多いチェーン用スプロケット9において、カット部22,24を設けてもよい。チェーン用スプロケット9は、たとえばカムシャフトに取り付けられる。
図8は、実施の形態2に従ったチェーン用スプロケットの正面図である。図9は、図8中のIXで囲んだ部分を拡大して示す正面図である。図8および図9で示すように、チェーン用スプロケット9は矢印RRで示す方向に回転する。歯の数が多いチェーン用スプロケット9において、カット部22,24を設けてもよい。チェーン用スプロケット9は、たとえばカムシャフトに取り付けられる。
カムシャフトは従動軸であり、チェーン用スプロケット9により回転させられる。チェーン4のローラ1が歯11,12に回転力を与えることで、チェーン用スプロケット9が矢印RRで示す方向に回転する。チェーン4のローラ1は、チェーン用スプロケット9に係合してから係合が解除されるまでの間において、溝7内を移動し、ローラ1からチェーン用スプロケット9へ回転力が付与されている間は、ローラ1は第二側面11bに接触している。
図10は、図9中の矢印Xで示す方向から見たチェーン用スプロケットの平面図である。実施の形態2のチェーン用スプロケット9ではカット部21,22の幅がほぼ一定である。なお、チェーン用スプロケット9の歯数が多くなると図10のようなカット部21,22の形状にする必要はなく、歯数の多いチェーン用スプロケット9であっても、実施の形態1のカット部21,22と同様の形状としてもよい。
チェーン用スプロケット9がカムシャフトに取り付けられる場合には、動力の伝達経路が実施の形態1と異なる。カムシャフトはそれ自身で駆動せず、チェーン4がカムシャフトを駆動させる。そのため、回転力はチェーン4のローラ1からチェーン用スプロケット9の歯11,12へ伝達される。
なお、チェーン用スプロケット9は、エンジン内で用いられる場合には、たとえばバランサを回転させるためのチェーン用スプロケット9として用いられていてもよい。さらに、エンジン外でチェーン用スプロケット9が用いられていてもよい。
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、たとえばエンジンのチェーン用スプロケットにおいて用いることができる。
1 ローラ、2a 内プレート、2b 外プレート、4 チェーン、7 溝、8 ボス部、9,109,209 チェーン用スプロケット、10 歯面、11,12 歯、11a,12a 頂面、11b,12b 第二側面、11c,12c 第一側面、21,22,23,24 カット部、100 エンジン。
Claims (3)
- 回転軸に取付けられるとともに、ローラチェーン又はブシュチェーンが噛み合うようにチェーン用スプロケットの周方向に配設された複数の歯を備えるチェーン用スプロケットにおいて、
前記複数の歯は、それぞれ、回転方向一方側に配置される第一側面と、回転方向他方側に配置される第二側面と、を有し、
前記第一側面の回転軸方向の幅が前記第二側面の回転軸方向の幅よりも狭くなるように、前記第一側面における両側縁部の少なくとも一方には面取りされたカット部が設けられている、チェーン用スプロケット。 - 前記複数の歯の前記第一側面は前記ローラチェーンのローラ又は前記ブシュチェーンのブシュと接触する面であり、前記ローラ又はブシュとの押しつけ力に応じて前記第一側面の回転軸方向の幅が設定されており、前記ローラ又はブシュとの押しつけ力が小さい部分の幅が前記ローラ又はブシュとの押しつけ力が大きい部分の幅よりも狭くなるように前記カット部が設けられている、請求項1に記載のチェーン用スプロケット。
- 駆動軸及び従動軸に取付けられた請求項1または2に記載のチェーン用スプロケットと、
前記駆動軸のチェーン用スプロケット及び前記従動軸のチェーン用スプロケットの両方に噛み合うように巻き掛けられたローラチェーン又はブシュチェーンからなるタイミングチェーンとを備えた、エンジン。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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