JP2019183375A - シート状物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維絡合体からなる不織布と高分子弾性体からなるシート状物において、高密度で、コードバン調の緻密で高級感のある表面外観と硬質な素材感を有するシート状物を提供する。【解決手段】繊維絡合体からなる不織布と高分子弾性体からなるシート状物であって、前記高分子弾性体の割合が0.01質量%以上10質量%以下であり、かつシート状物の断面の空隙率が0.1%以上20%以下であることを特徴とするシート状物である。【選択図】なし

Description

本発明は、高密度で、コードバン調の緻密で高級感のある表面外観と硬質な素材感を有するシート状物に関するものである。
従来から天然皮革調のシート状物は、天然皮革に類似した柔軟性と機械的性能を得るために、一般的に繊維を3次元絡合させた不織布に高分子弾性体を付与して製造されている。
一方で、天然皮革の中でも独特の硬質な素材感と高い硬度を持つ“コードバン”は、希少価値の高い馬の臀部から採れる皮革であり、極めて高密度な構造を有し、緻密で高級感のある表面外観を有しつつ、耐久性に優れている。
高密度なシート状物を得るための手段として例えば、長繊維を3次元絡合させた不織布に2段階にわたって高分子弾性体を付与することによる高密度なシート状物が提案されている(特許文献1〜3参照)。
特開2008−207323号公報 特開2008−207325号公報 特開2015−63782号公報
特許文献1〜3が開示する方法のように、シート状物における高分子弾性体の付量を増加させることで、シート状物の高密度化を達成することはある程度可能である。しかしながら、これらの提案ではシート状物における高分子弾性体の割合が高いために、風合いがしなやかであり、コードバン調の硬質な素材感は得られない。また、これらの提案では長繊維を3次元絡合させた不織布を用いているため、短繊維を3次元絡合させた不織布と比較して、シート状物の厚み方向に絡合する繊維本数が少なく、緻密な表面外観が得られにくいという課題があった。
そこで本発明の目的は、繊維絡合体からなる不織布と高分子弾性体からなるシート状物において、高密度で、コードバン調の緻密で高級感のある表面外観と硬質な素材感を有するシート状物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、繊維絡合体からなる不織布を熱収縮させ、さらに高絡合処理した後に、高分子弾性体を付与することで、高分子弾性体の付着量を抑えながら高密度化を達成し、コードバン調の緻密で高級感のある表面外観と硬質な素材感を有するシート状物を得た。
すなわち本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、本発明のシート状物は、繊維絡合体からなる不織布と高分子弾性体からなるシート状物であって、前記高分子弾性体の割合が0.01質量%以上10質量%以下であり、かつシート状物の断面の空隙率が0.1%以上20%以下であることを特徴とするシート状物である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記不織布を構成する繊維の平均繊維長が15mm以上90mm以下である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、シート状物の厚み方向の断面SEM画像において、シート状物0.5mmに相当する画像領域に対し、高分子弾性体の画像領域が0.00001mm相当以上0.05mm相当以下である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、剛軟度が50mm以上180mm以下である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、シート状物の断面の空隙率の変動係数(CV)が30%以下である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記不織布を構成する繊維が、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6およびその共重合体から選ばれた少なくとも1種を素材とするものである。
本発明のシート状物の製造方法は、(a)不織布(繊維絡合体)形成工程と、(b)不織布緻密化工程を含むシート状物の製造方法であって、前記(a)不織布(繊維絡合体)形成工程は、沸騰水収縮率が20%以上40%以下である原綿からなる繊維ウェブをニードルパンチ処理して不織布を形成する工程であって、前記(b)不織布緻密化工程は、前記不織布を1MPa以上60MPa以下の圧力でウォータージェットパンチ処理をする工程である。
本発明によれば、従来のシート状物に対してシート状物の断面の空隙率が低く、かつ高分子弾性体の割合が低いことで、コードバン調の緻密で高級感のある表面外観と硬質な素材感を有するシート状物を得ることができる。
本発明のシート状物は、繊維絡合体からなる不織布と高分子弾性体からなるシート状物であって、前記高分子弾性体の割合が10質量%以下であり、かつシート状物の断面の空隙率が0.1%以上、20%以下であることを特徴とするシート状物である。以下に、その構成要素について詳細について説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
[不織布]
本発明のシート状物を構成する不織布は、繊維絡合体からなるものである。繊維絡合体を構成する繊維の種類としては、例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維および合成繊維などを使用することができる。中でも、耐久性、特には機械的強度、耐熱性および耐光性の観点から、合成繊維が好ましい。
繊維絡合体に合成繊維を用いる場合には、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等適宜用途に応じて使用することができるが、機械的強度、耐熱性等の観点から、ポリエステル、ポリアミドであることが好ましい。
本発明に用いることのできるポリエステルとしては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、繊維として用いることが可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、中でも収縮性の高いエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好適に使用される。
前記の共重合成分としては、製糸性や高収縮特性の発現性の観点から、イソフタル酸やビスフェノールAが好ましく用いられる。また、共重合成分の含有量は高収縮特性を十分付与するために2モル%以上であることが好ましい。しかしながら、共重合成分を、20モル%を超えて含有させると、紡糸時に糸切れが多発することから、共重合成分の含有量は20モル%以下であることが好ましい。
本発明に用いることのできるポリアミド(PA)としては、たとえばポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド12、等のアミド結合を有するポリマーを挙げることができる。本発明は、中でも染色性に優れるポリアミド6が好適に使用される。
繊維絡合体に合成繊維を用いる場合には、繊維を形成するポリマーには、種々の目的に応じて、酸化チタン粒子等の無機粒子、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤および抗菌剤等を添加することができる。
繊維の断面形状としては、加工操業性の観点から、丸断面にすることが好ましいが、楕円、扁平および三角などの多角形、扇形および十字型、中空型、Y型、T型、およびU型などの異形断面の断面形状を採用することもできる。
繊維絡合体を構成する繊維は平均単繊維直径が0.01μm以上10μm以下の極細繊維であることが好ましい。平均単繊維直径は、好ましくは0.1μm以上8μm以下、より好ましくは0.5μm以上6μm以下である。0.01μm未満であると、シート状物の強度が低下するため好ましくない。また10μmを越えると、表面の緻密さが損なわれるため好ましくない。
本発明において平均単繊維直径とは、シート状物の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに10本選び、単繊維直径を測定して10本の平均値を計算することにより算出されるものとする。ただし、異型断面の極細繊維を採用した場合には、まず単繊維の断面積を測定し、当該断面積となる円の直径を以下の式で算出する。これより得られた直径をその単繊維の単繊維直径とする。
・単繊維直径(μm)=(4×(単繊維の断面積)/π)1/2
本発明のシート状物を構成する不織布の形態としては、長繊維不織布および短繊維不織布のいずれも用いられるが、シート状物の厚み方向に絡合する繊維本数が多く、緻密性のある表面外観を得やすいことから、短繊維不織布であることが好ましく、短繊維不織布を構成する繊維の平均繊維長は、好ましくは15mm以上90mm以下である。繊維長を90mmより低くすることにより、良好な品位と風合いとなり、繊維長を15mmより高くすることにより、耐摩耗性に優れたシート状物とすることができる。繊維長は、より好ましくは25mm以上80mm以下であり、さらに好ましくは30mm以上70mm以下である。
シート状物を構成する不織布の目付は、100g/m以上2000g/mの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは300g/m以上1800g/m以下の範囲である。不織布の目付が100g/m未満では、シート状物がペーパーライクとなり風合いに乏しいものとなる。また、不織布の目付が2000g/mを超えると、シート状物が極端に厚くなるため、雑貨や衣料用途での実用面で適さない。
[高分子弾性体]
本発明のシート状物を構成する高分子弾性体は、シート状物を構成する繊維を把持するバインダーであるため、本発明のシート状物の硬質な風合いを考慮すると、用いられる高分子弾性体としては、ポリウレタン、SBR、NBRおよびアクリル樹脂等が挙げられる。中でも、ポリウレタンを主成分として用いることが好ましい態様である。ポリウレタンを用いることにより、充実感のある触感、皮革様の外観および実使用に耐える物性を備えたシート状物を得ることができる。また、ここでいう主成分とは、高分子弾性体全体の質量に対してポリウレタンの質量が50質量%より多いことをいう。
本発明においてポリウレタンを用いる場合には、有機溶剤に溶解した状態で使用する有機溶剤系ポリウレタンと、水に分散した状態で使用する水分散型ポリウレタンのどちらも採用することができる。また、ポリウレタンとしては、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタンが好ましく用いられる。
また、高分子弾性体には、目的に応じて各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤、凝固調整剤および染料などを含有させることができる。
シート状物における高分子弾性体の割合は、0.01質量%以上10質量%以下であることが重要であり、好ましくは0.1質量%以上8質量%以下である。高分子弾性体の割合が10質量%より多いと、シート状物の風合いが柔軟になる傾向がある。一方で、高分子弾性体の割合が0.01質量%より少ないと、シート状物の耐摩耗性が低下する傾向がある。
高分子弾性体の割合は、高分子弾性体が有機溶剤系の場合は、シート状物をN,N’−ジメチルホルムアミドに浸漬させ、高分子弾性体を溶解させた後に、残存する不織布の質量を測定することで、高分子弾性体の質量を算出し、溶解した高分子弾性体の質量に対して、浸漬前のシート状物の質量を除することで、高分子弾性体の割合を算出する。また、高分子弾性体が水分散系の場合は、シート状物を、不織布を構成する繊維を溶解する溶媒に浸漬させ、不織布を構成する繊維を溶解させた後に、残存する高分子弾性体の質量を測定し、高分子弾性体の質量に対して、浸漬前のシート状物の質量を除することで、高分子弾性体の割合を算出する。
シート状物の厚み方向の断面SEM画像において、シート状物0.5mmに相当する画像領域に対し、高分子弾性体の画像領域が0.00001mm相当以上0.05mm相当以下となるように構成されることが好ましい。すなわち、あるシート状物の断面において、高分子弾性体の断面積の比率が断面全体に対し、0.002%以上10%以下であることが好ましい。
高分子弾性体の画像領域が0.05mmより大きいと、風合いがゴムライクな箇所が発生する。一方で、高分子弾性体の画像領域が0.00001mmより小さいと、複数の単繊維を把持することが困難であり、強度が低下する傾向がある。
本発明において高分子弾性体の画像領域は、シート状物の高分子弾性体を含む厚み方向に垂直な断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を100倍で撮影し、最大の高分子弾性体が存在する箇所を判断して、再度500倍で撮影し、抽出した10ヶ所の高分子弾性体の断面積を測定することで、高分子弾性体の画像領域を求める。
[シート状物]
本発明のシート状物の見掛け密度は0.5g/cm以上1.3g/cm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.6g/cm以上1.2g/cm以下の範囲である。見掛け密度が0.50g/cmより低くなると風合いが柔軟になり、コードバンのような硬質な素材感が得られない。一方で、見掛け密度が1.3g/cmより高くなるとシート状物が極端に厚くなるため、雑貨や衣料用途での実用面で適さない。
本発明のシート状物の厚みはJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.1 厚さ(ISO法)」の「6.1.1 A法」によって測定され、0.3mm以上1.7mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5mm以上1.5mm以下の範囲である。
本発明のシート状物の目付はJIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量(ISO法)」によって測定され、150g/m以上2100g/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは300g/m以上1950g/m以下の範囲である。目付が150g/mより低くなると耐摩耗性が低下する傾向を示す。一方で、目付が2100g/mより高くなるとシート状物の立体保持性が著しく高くなるため、雑貨や衣料用途での実用面で適さない。
本発明のシート状物の断面の空隙率は0.1%以上20%以下であることが重要であり、好ましくは1%以上15%以下であり、さらに好ましくは2%以上10%以下の範囲である。空隙率が0.1%より低くなると風合いがペーパーライクとなる。一方で、20%より高くなると風合いが柔軟になる。
本発明のシート状物の断面の空隙率の変動係数(CV)は、シート状物の断面における空隙の偏りをあらわす指標とも言え、本発明においては、30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下である。変動係数(CV)が30%より高くなると、空隙に偏りが生じ、風合いが部分的に柔軟になる。
シート状物の断面の空隙率は、シート状物の厚み方向に垂直な断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を500倍で撮影し、二値化した写真全体(白色領域、黒色領域)に対する黒色領域の割合を空隙率として算出する。これを10ヶ所で行い、平均値と変動係数(CV)を算出する。なお、変動係数は以下の式により算出する。
・空隙率の変動係数(%)=(空隙率の標準偏差)/(空隙率の平均値)×100。
本発明のシート状物の剛軟度は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7 剛軟度(JIS法及びISO法)」の「6.7.1 a) 41.5°カンチレバー法(ISO法)」において、41.5°カンチレバー形試験機のプラットホームの水平面からの角度を41.5°から45°に変更した試験機(45°カンチレバー形試験機と称する)を用いて測定される値を指す。本発明のシート状物の剛軟度は、50mm以上180mm以下であることが好ましく、70mm以上160mm以下であることがさらに好ましい。剛軟度が50mmより低くなると風合いが柔軟になり、コードバンのような硬質な素材感が得られない。また、180mmより高くなると、シート状物が硬すぎて、切断等の加工が困難になるため、雑貨や衣料用途での実用面で適さない。
[シート状物の製造方法]
次に、本発明のシート状物を製造する方法について説明する。
本発明のシート状物は、例えば次の工程を組み合わせることにより得られる。すなわち、(a)複合繊維ウェブ形成工程、(b)不織布(繊維絡合体)形成工程、(c)極細繊維形成工程(不織布緻密化工程)、(d)高分子弾性体付与・固化工程、(e)研削・仕上げ工程である。
なお、本発明において、極細繊維束が絡合してなる不織布を得る手段として、海島型繊維等の極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい。極細繊維から直接不織布を製造することは困難であるが、極細繊維発生型繊維から不織布を製造し、この不織布における極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させることにより、極細繊維束が絡合してなる不織布を得ることができる。以下、この例に従って、さらに詳細を説明する。
(a)複合繊維ウェブ形成工程
本工程では、極細繊維発生型繊維(複合繊維)を複合紡糸し、原綿をカットして、複合繊維ウェブを形成する。
極細繊維発生型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分に用い、溶剤などを用いて海成分を溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面に放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。
海島型繊維には、海島型複合用口金を用い海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する海島型複合繊維や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸繊維などがあるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点、また十分な長さの極細繊維が得られシート状物(繊維絡合体)の強度にも資する点から、海島型複合繊維が特に好ましく用いられる。
なお、海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合させた共重合ポリエステル、およびポリ乳酸などを用いることができる。紡糸安定性の点ではポリスチレンが好ましいが、有機溶剤を使用せずに容易に除去できる点でスルホン基を有する共重合ポリエステルが好ましい。
極細繊維発生型繊維の原綿の沸騰水収縮率は20%以上40%以下であることが重要であり、より好ましくは25%以上35%以下である。沸騰水収縮率が20%より低いと、シート状物の密度が低くなる。一方で、40%より高いと、シート状物の表面に皺が入り、好ましくない。
原綿の収縮率は、原綿(30cm)を沸騰水の入った収縮槽に10分間浸漬した後の原綿の長さの変化率から算出する。
(b)不織布(繊維絡合体)を形成する工程
続いて、前記の複合繊維ウェブに絡合処理を施して、不織布を形成する。
不織布を得る方法としては、例えば、繊維ウェブをニードルパンチやウォータージェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、メルトブロー法、および抄紙法などを採用することができ、なかでも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、高目付な複合繊維ウェブの絡合が可能であるニードルパンチの処理を経る事が重要である。
ニードルパンチ処理において、バーブの本数は1本以上9本以下であることが好ましい。本数を1本以上とすることで、効率的な繊維の絡合が可能となる。一方、本数を9本以下とすることで、繊維損傷を抑えることができる。バーブに引っかかる極細繊維発生型繊維の本数は、バーブの形状と極細繊維発生型繊維の直径によって決定される。極細繊維発生型繊維を3本以上9本以下引掛けるために、ニードルパンチ工程で用いられる針のバーブ形状は、キックアップ0μm以上50μm以下、アンダーカットアングル0°以上40°以下、スロートデプス40μm以上80μm以下、スロートレングス0.5mm以上1.0mm以下のものが好ましく用いられる。
パンチング本数は、1000本/cm以上7500本/cm以下であることが好ましい。パンチング本数を1000本/cm以上とすることで、緻密性が得られ高精度の仕上げを得ることができる。一方、パンチング本数を7500本/cm以下とすることで、加工性の悪化、繊維損傷および強度低下を防ぐことができる。
ニードルパンチ処理後の極細繊維発生型繊維からなる不織布の見掛け密度は、0.2g/cmより高く、0.7g/cm以下であることが好ましい。見掛け密度を0.2g/cmより高くすることで、シート状物が十分な形態安定性と寸法安定性が得られる。一方、見掛け密度を0.7g/cmより低くすることで、ニードルパンチ処理の際に針折れを防止することが可能になる。
(c)極細繊維を形成する工程(不織布を緻密化する工程)
さらに、前記複合繊維から複合繊維を構成している易溶解性ポリマーを溶解除去あるいは物理的または化学的作用により剥離・分割し、極細繊維を形成する。
極細繊維発生型繊維から易溶解性ポリマー(海成分)を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィンであればトルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒を用いることができ、海成分がポリ乳酸や共重合ポリエステルであれば水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いることができる。また、極細繊維発生加工(脱海処理)は、溶剤中に極細繊維発生型繊維からなる不織布を浸漬し、窄液することによって行うことができる。
極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させるには、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の公知の装置を用いることができる。
また、繊維束が絡合してなる不織布をさらに緻密化するためには、ウォータージェットパンチ処理することが重要である。ウォータージェットパンチ処理する際には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。具体的には、直径0.05mm以上1mm以下のノズルから圧力1MPa以上60MPa以下で水を噴出させることが重要である。
なお、ウォータージェットパンチ処理は、極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させる前に実施してもよいし、極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させる後に実施してもよいが、不織布をより緻密化させるためには、極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させる後に実施するのが好ましい。
ウォータージェットパンチ処理で得られる不織布の見掛け密度は、シート状物の硬質な素材感を得るためには、0.5g/cm以上であることが好ましく、噴出させた水がシート状物を完全に貫通するために1.1g/cm以下であることが好ましい。
(d)高分子弾性体付与・固化工程
ここで、ポリウレタンを主成分とした高分子弾性体を前記の不織布に付与し、高分子弾性体を実質的に凝固し固化させる工程について説明する。
なお、不織布への高分子弾性体の付与は、極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させる前に付与してもよいし、極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させる後に付与してもよいが、高分子弾性体の付量を低くするためには、極細繊維発生型繊維から極細繊維を発生させる後に付与するのが好ましい。
高分子弾性体としてポリウレタンを付与させる際に用いられる溶媒としては、N,N’−ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等が好ましく用いられる。また、ポリウレタンを水中にエマルジョンとして分散させた水分散型ポリウレタン液としてもよい。
不織布を、溶媒に溶解した高分子弾性体溶液に浸漬する等して前記高分子弾性体を前記不織布に付与し、その後、乾燥することによって高分子弾性体を実質的に凝固し固化させる。溶剤系のポリウレタン溶液の場合は、非溶解性の溶剤に浸漬することにより凝固させることができ、ゲル化性を有する水分散型ポリウレタン液の場合は、ゲル化させた後乾燥する乾式凝固方法等で凝固させることができる。乾燥にあたっては、不織布および高分子弾性体の性能が損なわれない程度の温度で加熱してもよい。
不織布に高分子弾性体を付与後、得られたシート状物を、シート厚み方向に半裁ないしは数枚に分割することは、生産効率に優れ好ましい態様である。
(e)研削・緻密化工程
最後に、研削処理を施し表面を緻密化する工程を行うことができる。
本発明のシート状物は、少なくとも片面が研削されていても良い。研削処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて行うことができる。特に、サンドペーパーを用いることにより、均一かつ緻密性のある表面構造を形成することができる。
本発明のシート状物は、例えば、染料、顔料、柔軟剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤および耐候剤等の機能性薬剤を含んでいてもよい。
以上に例示された製造方法によって得られる本発明のシート状物は、コードバン調の緻密で高級感のある表面外観と硬質な素材感を有しており、家具、椅子および車両内装材から衣料用途まで幅広く用いることができる。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
[測定方法および評価用加工方法]
(1)目付(g/m
不織布またはシート状物からランダムに縦方向50cm×横方向50cmの試料を3個採取して、各試料の質量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、小数点以下第一位を四捨五入した。
(2)見掛け密度(g/cm
目付測定で採取した3個のサンプルの厚みをダイヤルシクネスゲージ(尾崎製作所製、商品名“ピーコックH”)により測定し、目付から割り返して密度を計算し、小数点以下第四位を四捨五入した。
(3)平均繊維長(mm)
任意の3箇所から、それぞれ繊維を10本抜き出して伸長しないようにまっすぐ伸ばし繊維長を測定した。測定した30本分の繊維長の数平均を求めた。
(4)平均単繊維直径(μm)
平均単繊維直径は、シート状物断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに10本選び、単繊維直径を測定して10本の平均値を計算することにより算出した。なお、本実施例・比較例においては、キーエンス社製「VE−7800」型走査型電子顕微鏡を用いた。異型断面の極細繊維を採用した場合には、まず単繊維の断面積を測定し、当該断面積となる円の直径を以下の式で算出した。これより得られた直径をその単繊維の単繊維直径とした。
・単繊維直径(μm)=(4×(単繊維の断面積)/π)1/2
(5)沸騰水収縮率(%)
原綿(30cm)を沸騰水の入った収縮槽に10分間浸漬した後の原綿の長さの変化率から、原綿の沸騰水収縮率を算出した。
(6)高分子弾性体の画像領域(mm
高分子弾性体の画像領域は、シート状物の高分子弾性体を含む厚み方向に垂直な断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を100倍で撮影し、最大の高分子弾性体が存在する箇所を判別して、再度500倍で撮影し、抽出した10ヶ所の高分子弾性体の断面積を測定することで、高分子弾性体の画像領域を求めた。なお、本実施例・比較例においては、キーエンス社製「VE−7800」型走査型電子顕微鏡を用いた。
(7)高分子弾性体の割合(%)
前述の通り、シート状物を、不織布を構成する繊維を溶解する溶媒に浸漬させ、不織布を構成する繊維を溶解させた後に、残存する高分子弾性体の質量を測定し、高分子弾性体の質量に対して、浸漬前のシート状物の質量を除することで、高分子弾性体の割合を算出した。
(8)シート状物の空隙率(%)および変動係数(CV)
シート状物の厚み方向に垂直な断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を500倍で撮影した。なお、本実施例・比較例においては、キーエンス社製「VE−7800」型走査型電子顕微鏡を用いた。続いて、撮影した写真をペイントソフトにてモノクロビットマップ画像として保存することで二値化し、画像解析ソフト「ImageJ」を用いて写真全体(白色領域、黒色領域)に対する黒色領域の割合を空隙率として算出した。これを10ヶ所で行い、シート状物の断面の空隙率の平均値と変動係数を算出した。なお、変動係数は以下の式により算出した。
・空隙率の変動係数(%)=(空隙率の標準偏差)/(空隙率の平均値)×100。
(9)シート状物の剛軟度(mm)
前記の方法により、45°カンチレバー形試験機を用いて剛軟度を測定した。
(10)シート状物の表面外観
シート状物の表面外観は、健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、下記の評価を視覚で判別を行い、最も多かった評価を表面外観とした。評価が同数となった場合は、より高い評価をそのシート状物の表面外観とすることとした。本発明の良好なレベルは「AまたはB」とした。
A:非常に緻密である。
B:緻密である。
C:粗い。
D:非常に粗い。
[実施例1]
<原綿〜繊維絡合体>
島成分と海成分からなる海島型複合構造を有する極細繊維発現型繊維を、以下の条件で溶融紡糸した。
・島成分: イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸添加率10%、チップの固有粘度(IV値):0.67、表1内では「i−PET」と略す)
・海成分: ポリスチレン(MFR:2.0g/10min)
・口金: 島数が36本/ホールの海島型複合用口金
・紡糸温度: 285℃
・島部/海部 質量成分比: 55/45
・吐出量: 1.0g/(分・ホール)
・紡糸速度: 1100m/分。
次いで、90℃とした紡糸用油剤液浴中で3.4倍に延伸した。そして、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理した後、複合繊維の繊維長が51mmになるようにカットし、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。この海島型複合繊維の平均単繊維直径は15.5μm、捲縮数が14山/インチ、沸騰水収縮率が35%であった。
この原綿を用いて、カードおよびクロスラッパーの工程を経て不織布を形成した。次いで、プレパンチ300本/cmのニードルパンチを行い、目付質量1320g/mの不織布(フェルト)を形成した。その後、上面側と下面側から交互に計2700本/cmのニードルパンチを行い、目付質量が1500g/m、見掛け密度が0.430g/cmの繊維絡合体を得た。
<シート状物>
上記の繊維絡合体を96℃の温度の熱水で収縮させた後、5%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、温度110℃の熱風で10分間乾燥することにより、繊維絡合体の質量に対するPVA質量が4質量%のシートを得た。このシートをトリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維が絡合してなる脱海シートを得た。このようにして得られた脱海シートを、0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で表裏を交互に表10MPa、裏10MPa、表20MPa、裏20MPaのノズルヘッドから噴出された水の圧力で、4回処理し、PVAの除去とともに絡合を行い、110℃にて乾燥して脱海シートを得た。なお、このウォータージェットパンチ処理におけるノズルヘッドから噴出される水の圧力(表1では単に「WJP処理圧力」と示している)について、表1においては「1回目の表の圧力(MPa)/2回目の裏の圧力(MPa)/3回目の表の圧力(MPa)/4回目の裏の圧力(MPa)」の順に示している。次いで、13%の水系ポリウレタンエマルジョン(日華化学(株)製“エバファノールAPC−55”)に浸漬させ、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、平均単繊維直径が1.9μmの極細繊維(島成分)とポリウレタンからなるシート状物基体を得た。
このようにして得られたシート状物基体をサンドペーパー番手320番のエンドレスサンドペーパーで研削し、コードバン調の緻密な表面を形成させた。このようにして得られたシート状物は、見掛け密度が0.980g/cm、シート状物におけるポリウレタンの割合が7%、ポリウレタンの画像領域が0.010mm、空隙率が7%、空隙率の変動係数(CV)が6%、剛軟度が142mm、と硬質で非常に緻密な表面外観であるシート状物が得られた。結果を表1に示す。
[実施例2]
上記の実施例1において、0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で表裏を交互に表15MPa、裏15MPa、表20MPa、裏20MPaのノズルヘッドから噴出された水の圧力で、4回処理したこと以外は、実施例1と同一条件で加工してシート状物を得た。このようにして得られたシート状物は、極細繊維の平均単繊維直径が1.9μm、見掛け密度が1.072g/cm、シート状物におけるポリウレタンの割合が7%、ポリウレタンの画像領域が0.010mm、空隙率が3%、空隙率の変動係数(CV)が3%、剛軟度が151mm、と硬質で非常に緻密な表面外観であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
上記の実施例1において、0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で表裏を交互に表20MPa、裏20MPa、表20MPa、裏20MPaのノズルヘッドから噴出された水の圧力で、4回処理したこと以外は、実施例1と同一条件で加工してシート状物を得た。このようにして得られたシート状物は、極細繊維の平均単繊維直径が1.9μm、見掛け密度が1.168g/cm、シート状物におけるポリウレタンの割合が7%、ポリウレタンの画像領域が0.010mm、空隙率が1%、空隙率の変動係数(CV)が1%、剛軟度が156mm、と硬質で非常に緻密な表面外観であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
上記の実施例1において、島部と海部の質量成分比を80/20、島数を16本、複合繊維の平均単繊維直径が19.7μm、原綿の沸騰水収縮率が33%にしたこと以外は、実施例1と同一条件で加工してシート状物を得た。このようにして得られたシート状物は、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μm、見掛け密度が0.739g/cm、シート状物におけるポリウレタンの割合が7%、ポリウレタンの画像領域が0.010mm、空隙率が18%、空隙率の変動係数(CV)が14%、剛軟度が116mm、と硬質で非常に緻密な表面外観であった。結果を表1に示す。
[実施例5]
上記の実施例4において、0.1mmの孔径で、0.6mm間隔のノズルヘッドからなるウォータージェットパンチにて、1m/分の処理速度で表裏を交互に表15MPa、裏15MPa、表20MPa、裏20MPaのノズルヘッドから噴出された水の圧力で、4回処理したこと以外は、実施例4と同一条件で加工してシート状物を得た。このようにして得られたシート状物は、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μm、見掛け密度が0.843g/cm、シート状物における高分子弾性体の割合が7%、ポリウレタンの画像領域が0.010mm、空隙率が13%、空隙率の変動係数(CV)が11%、剛軟度が130mmと、硬質で非常に緻密な表面外観であった。結果を表1に示す。
[実施例6]
上記の実施例1において、島成分としてイソフタル酸変性ではないポリエチレンテレフタレート(チップの固有粘度(IV値):0.73、表1内では「PET」と略す)を使用したこと以外は、実施例1と同一条件で加工してシート状物を得た。このようにして得られたシート状物は、極細繊維の平均単繊維直径が1.9μm、見掛け密度が0.954g/cm、シート状物におけるポリウレタンの割合が9%、ポリウレタンの画像領域が0.010mm、空隙率が14%、空隙率の変動係数(CV)が14%、剛軟度が121mm、と硬質で緻密な表面外観であった。結果を表1に示す。
[実施例7]
上記の実施例1において、島成分としてポリアミド6(相対粘度(ηr):2.70)、海成分としてポリスチレン(MFR:2.0g/10分)からなる質量成分比を40/60、島数を200本、複合繊維の平均単繊維直径が23.9μm、原綿の沸騰水収縮率が25%にしたこと以外は、実施例1と同一条件で加工してシート状物を得た。このようにして得られたシート状物は、極細繊維の平均単繊維直径が1.1μm、見掛け密度が0.568g/cm、シート状物におけるポリウレタンの割合が9%、ポリウレタンの画像領域が0.010mm、空隙率が17%、空隙率の変動係数(CV)が14%、剛軟度が87mm、と硬質で緻密な表面外観であった。結果を表1に示す。
[実施例8]
上記の実施例1において、複合繊維の繊維長が85mmであること以外は、実施例1と同一条件で加工してシート状物を得た。このようにして得られたシート状物は、極細繊維の平均単繊維直径が1.9μm、見掛け密度が0.872g/cm、シート状物におけるポリウレタンの割合が9%、ポリウレタンの画像領域が0.010mm、空隙率が16%、空隙率の変動係数(CV)が14%、剛軟度が122mm、と硬質で緻密な表面外観であった。結果を表1に示す。
[実施例9]
上記の実施例1において、以下の条件で溶融紡糸して得た海島型複合繊維をネット上に捕集し、表面温度40℃の金属ロールでネット上の海島型複合長繊維ウェブを軽く押さえ、ネットから剥離して得た海島型複合長繊維ウェブをクロスラッパーにより積層し、ニードルパンチ処理した以外は、実施例1と同一条件で加工してシート状物を得た。このようにして得られたシート状物は、極細繊維の平均単繊維直径が1.9μm、繊維長が150mm、見掛け密度が0.895g/cm、シート状物におけるポリウレタンの割合が9%、ポリウレタンの画像領域が0.010mm、空隙率が16%、空隙率の変動係数(CV)が15%、剛軟度が135mm、と硬質で緻密な表面外観であった。結果を表1に示す。
・島成分: イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸添加率10%、チップの固有粘度(IV値):0.67、表1内では「i−PET」と略す)
・海成分: ポリスチレン(MFR:2.0g/10min)
・口金: 島数が36本/ホールの海島型複合用口金
・紡糸温度: 285℃
・島部/海部 質量成分比: 55/45
・吐出量: 3.2g/(分・ホール)
・紡糸速度: 3500m/分(エジェクター使用)。
Figure 2019183375
[比較例1]
海成分の溶解除去後に、ウォータージェットパンチ処理を実施しない以外は、実施例1と同一条件で加工してシート状物を得た。このようにして得られたシート状物は、極細繊維の平均単繊維直径が1.9μm、見掛け密度が0.412g/cm、シート状物におけるポリウレタンの割合が23%、ポリウレタンの画像領域が0.015mm、空隙率が25%、空隙率の変動係数(CV)が21%、剛軟度が41mm、としなやかな風合いで、粗い表面外観であった。結果を表1に示す。
[比較例2]
海成分の溶解除去後に、ウォータージェットパンチ処理は実施しない以外は、実施例8と同一条件で加工してシート状物を得た。このようにして得られたシート状物は、極細繊維の平均単繊維直径が1.1μm、見掛け密度が0.342g/cm、シート状物におけるポリウレタンの割合が33%、ポリウレタンの画像領域が0.015mm、空隙率が30%、空隙率の変動係数(CV)が21%、剛軟度が38mm、としなやかな風合いで、粗い表面外観であった。結果を表1に示す。
Figure 2019183375
表1の実施例1〜9に示すように、海成分の溶解除去後に、ウォータージェットパンチ処理を実施した場合、シート状物の空隙率が0.1%以上20%以下かつ高分子弾性体の割合が10%以下となるため、硬質で緻密な表面外観を有するシート状物となる。
これに対し、表2の比較例1や2に示すように、海成分の溶解除去後に、ウォータージェットパンチ処理を実施しない場合、シート状物の空隙率、および高分子弾性体の割合が大きくなるため、しなやかな風合いで、粗い表面外観を有するシート状物となる。
表1の実施例1と実施例4および実施例2と実施例5に示すように、成分と加工条件が同一の場合、平均単繊維直径が小さいほど、緻密に繊維が積層して、シート状物の空隙率は10%以下、剛軟度は140mm以上となり、より硬質で緻密な表面外観を有するシート状物となる。
また、表1の実施例1と実施例9に示すように、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれを使用しても、硬質で緻密な表面外観を有するシート状物を得ることができるが、短繊維不織布をした場合、硬質で非常に緻密な表面外観を有するシート状物となる。
本発明のシート状物は、コードバン調の緻密で高級感のある表面外観と硬質な素材感を有しており、家具、椅子および車両内装材から衣料用途まで幅広く用いることができる。

Claims (7)

  1. 繊維絡合体からなる不織布と高分子弾性体からなるシート状物であって、前記高分子弾性体の割合が0.01質量%以上10質量%以下であり、かつシート状物の断面の空隙率が0.1%以上20%以下であることを特徴とするシート状物。
  2. 前記不織布を構成する繊維の平均繊維長が15mm以上90mm以下である、請求項1に記載のシート状物。
  3. 前記シート状物の厚み方向の断面SEM画像において、シート状物0.5mmに相当する画像領域に対し、高分子弾性体の画像領域が0.00001mm相当以上0.05mm相当以下である、請求項1または2に記載のシート状物。
  4. 剛軟度が50mm以上180mm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のシート状物。
  5. 前記シート状物の断面の空隙率の変動係数(CV)が30%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のシート状物。
  6. 前記不織布を構成する繊維が、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6およびその共重合体から選ばれた少なくとも1種を素材とするものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のシート状物。
  7. (a)不織布(繊維絡合体)形成工程と、(b)不織布緻密化工程を含むシート状物の製造方法であって、
    前記(a)不織布(繊維絡合体)形成工程は、沸騰水収縮率が20%以上40%以下である原綿からなる繊維ウェブをニードルパンチ処理して不織布を形成する工程であって、
    前記(b)不織布緻密化工程は、前記不織布を1MPa以上60MPa以下の圧力でウォータージェットパンチ処理をする工程である、
    シート状物の製造方法。
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