JP2019183313A - 裏地付きスカート及びその製造方法 - Google Patents

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知佐 吉澤
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Abstract

【課題】ストッキング対して優れた滑り性を有し、かつ裏地のずれ上がりが防止されることで、ストッキングを着用した場合であっても足さばきが良好で優れた着用快適性を有するとともにシルエットにも優れる裏地付きスカート及びその製造方法の提供。【解決手段】表地と、下記(1)及び(2)の要件:(1)裏地表面とストッキングとの縦方向同士の摩擦係数μxが0.5以下であること、及び(2)表地裏面と裏地裏面との縦方向同士の摩擦係数μyが前記摩擦係数μxよりも大きいこと、を満たす低摩擦裏地とを有する、裏地付きスカート、及びその製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、裏地付きスカート及びその製造方法に関する。
スカートの裏地は、着脱時及び着用動作時に、なめらかで肌触りが良く、着用時の動きに追随し、動作を妨げないものが好ましい。昨今、洋服のタイト化傾向に伴い、ストレッチ性が高い表地が主流となり、洋服の裏地においても、それに追随するため、ストレッチ性を付与したものが開発されている。
これまでに、緯糸に与えた組織クリンプにより、5〜12%の軽微なストレッチ性を付与した織物裏地及びその製造方法(特許文献1)、また、経糸に撚りを付与し、経糸を真円に近い形状にし、緯糸に与えた組織クリンプを更に大きくすることで、12〜20%にまでストレッチ性を高めた裏地及びその製造方法(特許文献2)、が提案されている。
また、固有粘度の異なる2種のポリエステル系重合体をサイドバイサイドに貼り合わせた糸を用い、延伸後に生じた歪差で捲縮性を得ることで、織物裏地の経及び/又は緯に高いストレッチ性を付与するといった技術(特許文献3)、織物裏地の緯糸にポリウレタン弾性繊維とセルロース系繊維からなる複合糸を用い、15〜30%まで緯ストレッチ性を高めた織物(特許文献4)も提案されている。前者は、組織クリンプに加え、2種のポリエステル重合体の熱収縮挙動の差による微細な捲縮により、後者は、ポリウレタン弾性繊維とセルロース系繊維の複合による捲縮により、それぞれ高いストレッチ性を得ている。
国際公開第99/31309号 国際公開第2008/012869号 特開2001−303394号公報 特開2016−141902号公報
しかし、特許文献1及び2においては、裏地の表側(着用者の肌面側)とストッキングとの間の摩擦が考慮されていないため、素足では問題ないが、ストッキング着用時には、裏地とストッキングとの間の摩擦が大きいために、着用動作で裏地の引っ掛かりを感じることで快適性が達成できないという課題があった。また、裏地のストレッチ性は緯方向のみでせん断変形しにくく、丸みのある身体に沿わないため、日常の一般的な着用動作で表地の物性を発揮することができない、違和感をもたらすといった課題があった。また、特許文献3及び4に記載される技術では、ストッキング着用時の摩擦が捲縮により一層大きく、動作毎に裏地が引っ掛かる、脚にまとわりついて動作を阻害し、裏地及び表地の物性を発揮することができないという欠点に加え、洋服のシルエットにも影響を及ぼす、という欠点があった。
従って、素足だけではなくストッキングを着用した時でも、滑り性が良好で、裏地のずれ上がりが防止されて良好な着用感及びシルエットを与える裏地、及びそのような裏地が付いたスカートはこれまで存在しなかった。
本発明は、上記の課題を解決し、ストッキング対して優れた滑り性を有し、かつ裏地のずれ上がりが防止されることで、ストッキングを着用した場合であっても足さばきが良好で優れた着用快適性を有するとともにシルエットにも優れる裏地付きスカート及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、表地の、裏地に対向する側の面を表地裏面、該表地裏面と反対側の面を表地表面とし、裏地の、表地に対向する側の面を裏地裏面、該裏地裏面と反対側の面を裏地表面としたときに、裏地表面(すなわち着用者の肌面側の面)とストッキングとの摩擦が小さく、且つ、裏地裏面と表地裏面との摩擦が、裏地表面とストッキングとの摩擦よりも大きくなるように裏地付きスカートを形成することによって、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はまた、裏地が織物の場合、丸みのある身体に沿いつつ、日常の一般的な着用動作に追随するようにする目的で、裏地をバイアス方向に伸張させたときの初期応力を小さくすることが好ましいことを見出した。
すなわち、本発明は、下記のとおりのものである。
[1] 表地と、下記(1)及び(2)の要件:
(1)裏地表面とストッキングとの縦方向同士の摩擦係数μxが0.5以下であること、及び
(2)表地裏面と裏地裏面との縦方向同士の摩擦係数μyが前記摩擦係数μxよりも大きいこと、
を満たす低摩擦裏地とを有する、裏地付きスカート。
[2] 前記低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力が1.2N以下である、上記態様1に記載の裏地付きスカート。
[3] 前記低摩擦裏地が織物であり、前記低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力が1.0N以下である、上記態様2に記載の裏地付きスカート。
[4] 前記低摩擦裏地の総面積が、前記表地の総面積に対して50%以上である、上記態様1〜3のいずれかに記載の裏地付きスカート。
[5] 前記低摩擦裏地の前身頃における総面積が、前記表地の前身頃の総面積に対して80%以上である、上記態様1〜4のいずれかに記載の裏地付きスカート。
[6] 表地と、下記(1)及び(2)の要件:
(1)裏地表面とストッキングとの縦方向同士の摩擦係数μxが0.5以下であること、及び
(2)表地裏面と裏地裏面との縦方向同士の摩擦係数μyが前記摩擦係数μxよりも大きいこと、
を満たす低摩擦裏地とを有する、裏地付きスカートの製造方法であって、
前記低摩擦裏地を前記表地に固定する工程を含む、方法。
[7] 前記低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力が1.2N以下である、上記態様6に記載の方法。
[8] 前記低摩擦裏地が織物であり、前記低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力が1.0N以下である、上記態様7に記載の方法。
[9] 前記低摩擦裏地の総面積が、前記表地の総面積に対して50%以上である、上記態様6〜8のいずれかに記載の方法。
[10] 前記低摩擦裏地の前身頃における総面積が、前記表地の前身頃の総面積に対して80%以上である、上記態様6〜9のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、ストッキングに対して優れた滑り性を有し、かつ裏地のずれ上がりが防止されることで、ストッキングを着用した場合であっても足さばきが良好で優れた着用快適性を有するとともにシルエットにも優れる裏地付きスカート及びその製造方法が提供される。
図1は、本発明の一態様に係る裏地付きスカートの例を示す図である。 図2は、本発明の一態様に係る裏地付きスカートにおける低摩擦裏地の配置例を示す図である。 図3は、本発明の一態様に係る裏地付きスカートにおける低摩擦裏地の配置例を示す図である。 図4は、本発明の一態様に係る裏地付きスカートにおける低摩擦裏地の部分配置例を示す図である。 図5は、本発明の一態様に係る裏地付きスカートにおける低摩擦裏地の部分配置例を示す図である。 図6は、本発明の一態様に係る裏地付きスカートにおける低摩擦裏地の部分配置例を示す図である。 図7は、本発明の一態様に係る裏地付きスカートにおける低摩擦裏地の部分配置例を示す図である。 図8は、裾ずれ上がり測定について説明する図である。
以下、本発明を実施するための例示の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、図面に付与された同一の符号は、同様の構成又は機能を有する要素を意味する。
本実施の形態は、
表地と、下記(1)及び(2)の要件:
(1)裏地表面とストッキングとの縦方向同士の摩擦係数μxが0.5以下であること、及び
(2)表地裏面と裏地裏面との縦方向同士の摩擦係数μyが摩擦係数μxよりも大きいこと、
を満たす低摩擦裏地とを有する、裏地付きスカートを提供する。
本実施の形態の裏地付きスカート(以下、単に、裏地付きスカート、又はスカートともいう。)において、「裏地裏面」とは、裏地の表地に対向する面、「裏地表面」とは、裏地裏面と反対側の面(すなわち着用者の肌側の面)を意味し、また、「表地裏面」とは、表地の裏地に対向する面、「表地表面」とは、表地裏面と反対側の面(すなわちスカートの外側の面)を意味する。裏地は、低摩擦裏地のみで構成されてもよいし、低摩擦裏地と、これとは異なる追加の裏地との組み合わせで構成されていてもよい。
図1は、本発明の一態様に係る裏地付きスカートの例を示す図である。図1を参照し、裏地付きスカート10は、裏地11及び表地12を有し、裏地11及び表地12は、それぞれ、右後身頃11a,12a、左後身頃11b,12b、及び前身頃11c,12cから構成される。図1では、裏地11が、前身頃及び後身頃の全域に配置される例を示しているが、裏地11の配置はこれに限定されず、例えば、前身頃の全部及び後身頃の一部、前身頃の一部及び後身頃の一部、等の位置に配置されてもよい。
本発明者は、裏地付きスカートがストッキング着用時にも優れた滑り性及び動作追随性を有するためには、裏地とストッキングとの摩擦を低くするのみでなく、表地と裏地との摩擦が裏地とストッキングとの摩擦よりも大きくなるようにスカートを構成することが重要であることを見出した。また、裏地とストッキングとの間、及び裏地と表地との間のそれぞれの摩擦のうち、特に縦方向(すなわち着用者身長方向と平行の方向)の摩擦が、滑り性及び動作追従性に大きく影響することを見出した。
本実施の形態の裏地付きスカートは、表地と裏地との摩擦が裏地とストッキングとの摩擦よりも大きくなるように構成された低摩擦裏地を有する。好ましい態様において、低摩擦裏地は、前身頃の一部又は全部の領域に少なくとも存在する。より好ましい態様において、低摩擦裏地は、前身頃の一部又は全部と後身頃の一部又は全部の領域とに存在する。
「摩擦係数μx」は、測定用ストッキングを用い、本開示の[実施例]の項に記載される方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定される値である。
測定用ストッキングとしては、本開示の[実施例]の項に記載される方法で作製されたストッキング、又はこれと同等品であることが当業者に理解されるストッキング(例えば、市販品の例として、グンゼ(株)製品名:SABRINA、型番:SP−73MW、素材:ナイロン、ポリウレタン)を用いる。
「摩擦係数μy」は、本開示の[実施例]の項に記載される方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定される値である。
本実施の形態において、本開示の摩擦係数μxを所定の範囲とすることは、単に裏地表面の摩擦係数を小さくすることとは異なる。摩擦係数μxは、測定用ストッキングという特定の表面に対する摩擦の指標であるところ、測定用ストッキングは天竺編で構成されており、縦方向(すなわち着用者身長方向と平行の方向)と、これと直角の横方向とで摩擦係数の異方性がある。本発明者は、スカートの着用時には、着用者の身長方向の動きに付随する裏地とストッキングとの摩擦が滑り性及び動作追随性に大きく影響し、これにより着用快適性を大きく左右すること、縦方向同士での裏地とストッキングとの摩擦係数を制御することがスカートの着用快適性の改善に有効であることを見出した。
摩擦係数μxは、良好な滑り性及び動作追随性を得る観点から、0.5以下であり、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.43以下、更に好ましくは0.42以下である。摩擦係数μxは、低摩擦裏地の製造容易性の観点から、例えば、0.2以上、又は0.3以上、又は0.35以上であってよい。
摩擦係数μyは、裏地のストッキングに対する良好な滑り性を得るとともに裏地のずれ上がりを防止して良好な着用快適性を得る観点から、摩擦係数μxよりも大きくされる。すなわち、(摩擦係数μy)−(摩擦係数μx)>0である。裏地のストッキングに対する摩擦係数が相対的に小さいことで着用時に裏地とストッキングとの間の良好な滑り性が得られるとともに、裏地の表地に対する摩擦係数が相対的に大きいことで着用時の裏地のずれ上がりを防止できる。(摩擦係数μy)−(摩擦係数μx)の値は、良好な裾ずれ上がり防止性を得る観点から、好ましくは0.02より大きく、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.10以上である。(摩擦係数μy)−(摩擦係数μx)の値は、表地と裏地とのある程度の滑り性を付与してスカートの良好なシルエットを得る観点から、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.22以下、更に好ましくは0.20以下である。
摩擦係数μyは、(摩擦係数μy)−(摩擦係数μx)の値を0超に調整することが容易である点で、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.45以上、更に好ましくは0.47以上であり、良好なシルエットを維持する観点から、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.58以下、更に好ましくは0.55以下である。
本実施の形態の所望の摩擦係数μx及びμyを得るための具体的な手段としては、表地及び低摩擦裏地の、素材、組織(例えば、織物の場合の織組織、又は編物の場合の編組織)、繊維径、密度(例えば、織物の場合の織密度、又は編物の場合の編密度)等のうち1つ又は2つ以上を調整することが挙げられる。表地及び低摩擦裏地はそれぞれ、単層布帛でも積層布帛でもよいが典型的には単層布帛である。
低摩擦裏地の素材としては、キュプラ、レーヨン等の再生セルロース繊維や、ジアセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリトリメチレンテレフタレート(PTT))、ナイロン(例えばナイロン6やナイロン66)等の合成繊維が挙げられる。低摩擦裏地を構成する繊維は、長繊維の原糸が好ましいが、ストッキングとの摩擦特性に影響を及ぼさない範囲で、長繊維の原糸に代えて又はこれと混用して複合糸(カバリング糸、エア混繊糸等)を使用してもよく、また長繊維の原糸に代えて又はこれと混用して捲縮糸(例えば、ポリエステル捲縮糸、ポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート等のコンジュゲート糸等)、弾性糸(例えば、ポリウレタン弾性糸、等)等、低摩擦裏地に伸縮性を付与する糸を使用してもよい。
低摩擦裏地を構成する繊維の繊維径は、強度や耐摩耗性等の消費性能上の観点から、好ましくは33dex以上、より好ましくは56dtex以上であり、良好な風合い及び動作追随性を得る観点から、好ましくは110dtex以下、より好ましくは84dtex以下である。
低摩擦裏地の織密度は、繊維径や組織によって異なるが、例示として、33dtex〜84dtexの長繊維、及び一般的なエアジェット織機やウォータージェット織機を使った場合、好ましくは経糸密度100〜240本/2.54cm、緯糸密度80〜150本/2.54cmであってよい。
低摩擦裏地の編密度は、繊維径によって異なるが、例示として、好ましくは33dtex〜56dtexの長繊維、及び28GG〜40GGの編機を用いた場合、仕上げ密度がコース数:50〜80/2.54cm、ウェール数:45〜65/2.54cm、より好ましくはコース数:60〜73/2.54cm、ウェール数:48〜60/2.54cmであってよい。
強度や耐摩耗性等の消費性能の維持の観点から、低摩擦裏地の目付は、好ましくは50g/m2以上、より好ましくは55g/m2以上、更に好ましくは60g/m2以上であってよく、一方、被服材料の薄地軽量化のトレンドと着用快適性の観点から、好ましくは90g/m2以下、より好ましくは85g/m2以下、更に好ましくは80g/m2以下であってよい。
同じく、強度や耐摩耗性等の消費性能の維持の観点から、低摩擦裏地の厚みは、好ましくは0.09mm以上、より好ましくは0.1mm以上であってよく、一方、被服材料の薄地軽量化のトレンドと着用快適性の観点から、好ましくは0.25mm以下、より好ましくは0.22mm以下であってよい。
低摩擦裏地の組織としては、緻密な生地を形成して摩擦係数μxを良好に低減する観点から、織物では平組織、綾組織、朱子組織、及び平、綾、朱子の変化組織が好ましい。織機は、生産性に鑑み、汎用的なエアジェット織機、ウォータージェット織機等を用いて良い。再生セルロース繊維を用いる場合は、エアジェット織機が好ましい。
編物ではトリコット、ハーフトリコット、デンビ等の経編が好ましい。編機は、生産性と裏地の編地品位と均一性とに鑑み、28GG以上のハイゲージ編機が好ましい。中でも、ラッセル編機、トリコット編機等32GG以上のハイゲージ編機を選定するとよい。
表地を構成する繊維は、限定されないが、天然繊維(例えば、羊糸、シルク、綿)、再生セルロース繊維(例えば、キュプラ、レーヨン、リヨセル等)、合繊繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ナイロン、アクリル、ポリウレタン等)、半合成繊維(例えば、アセテート等)の1種又は2種以上の組合せが例示され、原糸でも、加工糸でも、複合糸であってもよい。
表地の繊維径は限定されないが、例えば、消費性能や厚み、目付のバランスから、好ましくは33dtex〜200dtex、より好ましくは56dtex〜167tex、綿番手ならば、30番手〜80番手、毛番手ならば、48番手〜120番手であってよい。
表地の、KES−FB4表面特性試験器で測定される裏面経方向の摩擦係数は、所望の摩擦係数μyを得ることが容易である点で、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.12以上、であり、表地と低摩擦裏地との滑り性を適度に維持してスカートの良好なシルエットを維持する観点から、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.18以下である。
所望の摩擦係数μyを得る観点から、表地と低摩擦裏地との間の摩擦は小さくなりすぎないようにするのがよい。例えば、表地が羊毛糸からなり、低摩擦裏地がキュプラ、レーヨン等の再生セルロース長繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、二成分のポリエチレンテレフタレートによるサイドバイサイド型複合糸、から選ばれる糸からなる組合せは好ましい。
本発明者は更に、僅かな力でバイアス方向(すなわち縦方向及び横方向と45度をなす方向)に伸張しやすい特性を裏地に加えること、すなわちバイアス方向のストレッチ性に優れた裏地を用いることで、様々な日常着用動作に追随でき、特に丸みを帯びた身体に沿いやすく、表地の物性が良好に発揮されたスカートを提供できることを見出した。バイアス方向の伸張特性が重要な理由は、ヒトの皮膚は、動作時に縦方向(体長方向)、横方向(体長と垂直方向)いずれか一方に限って伸びるのではなく、両方向同時、斜め方向にも伸展するためである。生地のバイアス方向の10%伸張応力を下げることで、日常動作時に感じる被服構成生地の突っ張り感や不快感、衣服とのずれは大きく低減できる。
上記のような観点から、低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力は、好ましくは1.2N以下、より好ましくは1.0N以下、更に好ましくは0.6N以下である。本開示で、バイアス方向10%伸張応力とは、低摩擦裏地をバイアス方向に20%伸張したときの、10%伸張時の応力を意味する。
通常、織物は単位面積当たりの組織拘束点が多いため、低摩擦裏地が織物である場合には、低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力を特に低く制御することが好ましい。一態様においては、低摩擦裏地が織物であり、かつ低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力が、好ましくは1.0N以下、より好ましくは0.6N以下、更に好ましくは0.4N以下である。
バイアス方向10%伸張応力を上記の範囲に調整する手段としては、低摩擦裏地の拘束点の結節力を弱め、せん断変形を大きくさせること、ストッキングとの摩擦特性μxに影響を及ぼさない範囲で、低摩擦裏地に組織的なクリンプを与えること、低摩擦裏地の構成糸の一部又は全部に、前述のような捲縮糸及び弾性糸から適切な糸を選択して用いることが挙げられる。バイアス方向10%伸張応力を1.2N以下とするために好ましい低摩擦裏地としては、経糸及び/又は緯糸のポリウレタン弾性繊維の混率を0〜10質量%(生地の全構成繊維100質量%基準で)とした生地が挙げられる。ポリウレタン弾性繊維は、複合糸(例えば、ポリウレタン繊維を他の繊維でカバリングしてなるカバリング糸等)でもよいが、ポリウレタン弾性繊維を単独で用いることが好ましい。バイアス方向のストレッチ性に優れた織物は、例えば国際公開第99/031309号、国際公開第2008/012869号等に記載される織物であってもよい。また、ポリウレタン弾性繊維を単独若しくは複合糸として緯糸に用いる場合は、低摩擦特性を達成するために、この複合糸が裏地表面にできるだけ露出しないことが好ましく、その場合は、綾、朱子等の組織を選定するか、緯糸を他の長繊維と一本交互に用いる等の手法を選定することが好ましい。また、仕上げ時に、μxとμy−μxの関係を所定の範囲内に収めることを考慮しながら、経糸及び/又は緯糸の過度な緊張は避け、経糸の追い込みや、緯糸の巾出しをしない、といった方法が好適に用いられる。
裏地が低摩擦裏地に加えて追加の裏地を更に有する場合、該追加の裏地及びこれを構成する繊維の構成は、摩擦係数μx及びμyが本開示の低摩擦裏地の要件を満たさないことを条件に低摩擦裏地と同様でも異なっていてもよい。例示の態様において、追加の裏地の好適使用例としては、特に皮膚の伸展が大きい後身頃について、皮膚伸展に伴う被服構成生地の突っ張り感を軽減するために、経糸及び/又は緯糸にポリウレタン弾性繊維、若しくはその複合糸を用いた裏地を配置してもよい。
低摩擦裏地の総面積の、表地の総面積に対する面積比率は、滑り性と動作追随性を良好に得る観点から、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上である。上記面積比率は、一態様においては90%以上95%以下であることが好ましいが、例えば、高ストレッチ性の付与等、機能付与のための裏地を追加するという観点では、80%以下、又は60%以下であってもよい。
好ましい態様においては、後身頃の後中心を含む部位に追加の裏地を用い、それ以外の部位に低摩擦裏地を縫合等によって接ぎ合わせて用いる。この場合、裏地全体に対する低摩擦裏地の面積比率は例えば約80%以上とすることができる。また、前身頃全面に低摩擦裏地、後身頃全面に追加の裏地を用いてもよい。この場合の裏地全体に対する低摩擦裏地の面積比率は例えば約50%となる。勿論、前後身頃共に低摩擦裏地を配置してもよい。
低摩擦裏地は、ストッキングを履いた脚との脚さばき性を高めるために、前身頃に用いることが特に好ましい。低摩擦裏地の前身頃における総面積の、表地の前身頃の総面積に対する面積比率は、滑り性と動作追随性を良好に得る観点から、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、である。上記面積比率は、一態様においては95%であることが好ましいが、高ストレッチ性の付与等、機能付与のための裏地を追加するという観点では、例えば、95%以下、又は90%以下であってもよい。
図2及び3は、本発明の一態様に係る裏地付きスカートにおける低摩擦裏地の配置例を示す図であり、図4〜7は、本発明の一態様に係る裏地付きスカートにおける低摩擦裏地の部分配置例を示す図であり、表地の剥ぎ枚数が、前後合計4枚以上のスカートにおける裏地の配置例を示している。図2〜7はいずれも、裏地が前身頃及び後身頃の全域に配置される例を示している。図2は、裏地21の全部(すなわち、右後身頃21a、左後身頃21b、及び前身頃21cの全部)が低摩擦裏地111である例を示し、図3は、裏地31のうち、前身頃31cの全部が低摩擦裏地111であり、かつ右後身頃31a及び左後身頃31bの全部が追加の裏地112である例を示している。なお図2〜7では、裏地の裾の位置H1が、裏地と表地とが重ねられたときの当該表地の裾となる位置H2よりも上になるように(すなわち裏地の丈が表地の丈よりも短くなるように)裏地が配置される例を示している。
図4〜7を参照し、本実施形態の裏地付きスカートは、表地が縦長の布帛を複数枚接ぎ合わせたものであるスカート(すなわち、ゴアードスカート)であってよい。表地としては、図4及び5を参照し、後身頃42a,52a及び前身頃42c,52cがそれぞれ、後中心CB又は前中心CFを対象とした一枚と脇に配置された二枚との合計三枚剥ぎであるもの、図6及び7を参照し、前身頃62c,72cが前中心CFを対象とした一枚と脇に配置された二枚との合計三枚剥ぎ、後身頃62a,72aが後中心CBにも縫い目を用いた四枚剥ぎであるもの等を例示できる。
裏地は、表地の剥ぎ部位の一部又は全部に対応する位置となるように剥ぎ部位を有して縦長の布帛を複数枚接ぎ合わせたものであってよい。
図4は、表地が三枚剥ぎの後身頃42a及び三枚剥ぎの前身頃42cを有し、裏地が一枚布の後身頃41a及び三枚剥ぎの前身頃41cを有し、裏地の前身頃41cの総面積の約50%が低摩擦裏地111、残りが追加の裏地112であり、裏地全体(すなわち後身頃41a及び前身頃41c)に対する低摩擦裏地111の面積比率が約25%である例を示している。
図5は、表地が三枚剥ぎの後身頃52a及び三枚剥ぎの前身頃52cを有し、裏地が一枚布の後身頃51a及び三枚剥ぎの前身頃51cを有し、前身頃51cの総面積の約60%が低摩擦裏地111、残りが追加の裏地112であり、裏地全体(すなわち後身頃51a及び前身頃51c)に対する低摩擦裏地の面積比率が約30%である例を示している。
図6は、表地が四枚剥ぎの後身頃62a及び三枚剥ぎの前身頃62cを有し、裏地が一枚布の後身頃61a及び三枚剥ぎの前身頃61cを有し、前身頃61cの総面積の約60%が低摩擦裏地111、残りが追加の裏地112であり、裏地全体(すなわち後身頃61a及び前身頃61c)に対する低摩擦裏地の面積比率が約30%である例を示している。
図7は、表地が四枚剥ぎの後身頃72a及び四枚剥ぎの前身頃72cを有し、裏地が三枚剥ぎの後身頃71a及び一枚布の前身頃71cを有し、前身頃71cの総面積の約95%及び後身頃71aの総面積の約50%が低摩擦裏地111、残りが追加の裏地112であり、裏地全体(すなわち後身頃71a及び前身頃71c)に対する低摩擦裏地111の面積比率が約75%である例を示している。
前述したような構成の裏地付きスカートは、前述の低摩擦裏地を前述の表地に固定する工程を含む方法によって製造できる。固定は、裏地付きスカートの製造において一般的な縫製等の方法で行うことができる。裏地を縫製で固定する場合、縫製部位強度保持の面から、4針ないしは5針/1cmのピッチで、本縫いにて縫うことが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
[測定用ストッキングの作製]
22デシテックス2フィラメントの丸断面ポリウレタン弾性糸をドラフト2.7倍に伸ばして芯糸とし、14デシテックス7フィラメントの丸断面ナイロン66糸をカバリング糸として、カバリング機により撚数1700T/mのシングルカバードヤーンを得た。このカバードヤーンを用い、針本数400本、釜径4inchのパンティストッキング用丸編機にて、天竺組織にて脚部を編成した。このとき、度目は、標準サイズのパンストのファッショニングに設定した。続いて、定法のナイロン染色、柔軟処理後、プレセット条件98℃20分、セット条件110℃、20秒で、仕上げ、型板セットして、ゾッキストッキング脚部を測定用ストッキングとして作製した。
[裏地の物性測定]
20℃、65%RHの環境に保たれた恒温室にて布帛を一昼夜保管した後、測定した。
(1)性量
経糸・緯糸密度(1インチあたりの本数):デンシメーターで計測した。
目付(g/m2):精密電子天秤で計測した。
厚み:織物については、JIS L 1096規格に準拠した厚み計(ピーコック 定圧厚み計 FFA10、荷重23.5kPa)により測定した。
編物については、JIS L 1018規格に準拠した厚み計(ピーコック 定圧厚み計 FFG11、荷重0.7kPa)により測定した。
(2)摩擦係数μx及びμyの測定
上記ストッキングの大腿部を、表面が測定面になるよう、また、コース数C:100±2/2.54cm、ウェール数W:50±2/2.54cmになるよう、バイオスキンプレート平型(195×130×5mm、ビューラックス社製)に、伸張状態で一重にセットした。カトーテックKES−SE摩擦感テスターの測定台上に、このプレートを固定し、高感度(H)にて、裏地とストッキングとの間の動摩擦係数を測定した。ストッキングの編地経方向(着用時の縦方向に対応)と、裏地の経方向(着用時の縦方向に対応)とが合致するよう、また、ストッキングと裏地表面とが摩擦されるよう、摩擦子に裏地を取り付けた。摩擦時は、おもり25gfと摩擦子25gfを併せて50gfの荷重をかけ、摩擦子の移動速度は1mm/secとした。測定は3回行い、その平均値を摩擦係数μxとした。
(3)裏地のバイアス方向10%伸張応力の測定
各種裏地を、表面(すなわち着用者の肌面側の面)を表にして、正バイアス45°方向に長さ15cm、逆バイアス方向(正バイアスと垂直方向)に長さ5cmのサイズでカットした。カット後のサンプルを、前チャック巾縦2.5cm、横5cm、後ろチャック巾縦2.5cm、横2.5cmのチャックに経長の方向に向けて挟み、引っ張り試験器を用い、10cm/minの速さで20%まで伸張させた。この時の10%伸張時の応力を3回測定し、その平均値を10%応力として得た。
(4)表地の総面積に対する低摩擦裏地の総面積の比率(%)の算出
裏地付きスカートの表地及び裏地をそれぞれ切り取り、CADを用いた画像処理により、型紙として出力する。出力された表地の型紙と裏地の型紙との重量比から、低摩擦裏地の面積占有率を算出した。なお低摩擦裏地のキセを含めて100%以上となる場合は、100%とした。
[スカートの着用試験]
身長158cm〜163cm、体重45kg〜53kgの成人女性10名を用い、着用試験を行った。測定環境は、温度25℃±1℃、相対湿度60%±5%とした。
(1)スカートの裾ずれ上がり測定
図8は、裾ずれ上がり測定について説明する図である。各人に、まずストッキングを履かない状態で試作スカートを履かせ、静立位(図8(A))でスカート裾と右脚の経中心線との交点に印Xを打った。その後、試作ストッキングを履かせ、同じ裾位置になることを確認し、座面高が42cmの椅子に、静かに着席させた(図8(B))。この時、動作と共に移動したスカート裾と、右脚の経中心線との交点に印Yを打ち、静立位の印Xからの直線距離(XY)をスカートの裾ずれ上がり量とし、5cm以下が良好とした。なお、XY測定は静立位−座位の繰り返し3回の測定の平均値とした。
(2)スカートの圧迫感申告
上記(1)の試験において、静立位から座位への動作中に、大腿部から鼠蹊部に感じる圧迫感を申告させた。評価は5段階とし、10人の被験者の平均値を算出した。3以上を良好とした。
1 圧迫が強い
2 圧迫がやや強い
3 どちらでもない
4 圧迫が弱い
5 圧迫は殆ど感じない
(3)スカートの動作時の摩擦抵抗感申告
各スカートにおける、上記動作時のストッキングとスカート裏地との摩擦抵抗感を申告させた。評価は5段階とし、10人の被験者の平均値を算出した。3以上を良好とした。
1 摩擦抵抗が強い
2 摩擦抵抗がやや強い
3 どちらでもない
4 摩擦抵抗が弱い
5 摩擦抵抗は感じない
(4)スカートの総合的な着心地評価
上記(2)の圧迫感と上記(3)の摩擦抵抗感との申告平均値とした。
1 着心地が悪い
2 着心地がやや悪い
3 どちらでもない
4 着心地が良い
5 着心地が大変良い
[スカートの作製]
(1)表地Aの作製
経糸2/72、緯糸2/72のウールトップ染めによる紡績糸を、定法のウール織物の仕上げ工程を経て、製品密度が経86本/2.54cm、緯67本/2.54cmの綾織表地Aを得た。
(2)表地Bの作製
経糸2/72、緯糸1/40のウールトップ染めによる紡績糸を、定法のウール織物の仕上げ工程を経て、製品密度が経79本/2.54cm、緯72本/2.54cmの綾織表地Bを得た。
(3)裏地の作製
[裏地1]
経糸にキュプラアンモニウムレーヨン(旭化成(株)製登録商標ベンベルグ)84dtex/45fを用い、緯糸にキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/54fを用いた、平織物の生機(経糸密度:112本/2.54cm、緯糸密度:90本/2.54cm)を作製した。得られた生機を染色加工工程1に投入し、裏地1(経糸密度:119本/2.54cm、緯糸密度:92本/2.54cm)を得た。
[裏地2]
経糸にキュプラアンモニウムレーヨン(旭化成(株)製登録商標ベンベルグ)56dtex/30fを用い、緯糸にキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/54fのS撚糸(撚数1000回/m)を用いた、平織物の生機(経糸密度:133本/2.54cm、緯糸密度:85本/2.54cm)を作製した。得られた生機を染色加工工程1に投入し、裏地2(経糸密度:153本/2.54cm、緯糸密度:86本/2.54cm)を得た。
[裏地3]
経糸にポリエステル56dtex/24fを用い、緯糸にポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートのコンジュゲート繊維(帝人ファイバー(株)製)56dtex/36fをS方向に撚った糸(撚数300回/m)を用いた、綾織物の生機(経糸密度:154本/2.54cm、緯糸密度:84本/2.54cm)を作製した。得られた生機を染色加工工程3に投入し、裏地3(経糸密度:205本/2.54cm、緯糸密度:90本/2.54cm)を得た。
[裏地4]
経糸にポリエステル56dtex/24fを用い、緯糸にポリエステル(ユニチカトレーディング(株)製Z10)56dtex/12fをZ方向に撚った糸(撚数680回/m)を用いた、綾織物の生機(経糸密度:144本/2.54cm、緯糸密度:99本/2.54cm)を作製した。得られた生機を染色加工工程3に投入し、裏地4(経糸密度:192本/2.54cm、緯糸密度:106本/2.54cm)を得た。
[裏地5]
36ゲージのトリコット編機のフロント側にポリエステル33dtex/12f、バック側にキュプラアンモニウムレーヨン(登録商標ベンベルグ)33dtex/12fを用い、ハーフトリコットの生機(機上密度C:75/2.54cm、W:36/2.54cm)を編成した。得られた生機を染色加工工程5に投入し、裏地5(C数:68/2.54cm、W数:53/2.54cm)を得た。
[裏地6]
経糸にキュプラアンモニウムレーヨン(旭化成(株)製登録商標ベンベルグ)56dtex/30fを用い、緯糸にキュプラアンモニウムレーヨン84dtex/54fを用いた、平織物の生機(経糸密度:131本/2.54cm、緯糸密度:83本/2.54cm)を作製した。得られた生機を染色加工工程1に投入し、裏地6(経糸密度:133本/2.54cm、緯糸密度:85本/2.54cm)を得た。
[裏地7]
経糸にキュプラアンモニウムレーヨン(登録商標ベンベルグ)の56dtex/30fを用い、緯糸にキュプラアンモニウムレーヨン56dtex/40fと17dtex/1fのポリウレタン弾性繊維(旭化成(株)製登録商標ロイカ)のカバリング糸を用いてエアージェットルーム織機により600rpmの緯入れ回転数にて平織物の生機(経糸密度:127本/2.54cm、緯糸密度:93本/2.54cm)を作製した。尚、緯糸に用いるキュプラアンモニウムレーヨンとポリウレタン弾性繊維のカバリング条件は、下記の条件とした。
ポリウレタン弾性繊維のドラフト:2.8
カバリング回数:S方向800t/m
回転数:7500rpm
得られた生機を染色加工工程4に投入し、裏地7(経糸密度:148本/2.54cm、緯糸密度:94本/2.54cm)を得た。
[裏地8]
経糸にポリエステル(33dtex/12f)、緯糸にポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレートが1:1の重量比で繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維を用いて、平織物の生機(経糸密度:143本/2.54cm、緯糸密度:95本/2.54cm)を作製した。得られた生機を染色加工工程3に投入し、裏地8(経糸密度:179本/2.54cm、緯糸密度:102本/2.54cm)を得た。
[裏地9]
経糸にポリエステル56dtex/36f、緯糸にポリエステル84dtex/36fを用いて、ウォータージェットルーム織機により平織物の生機(経糸密度:120本/2.54cm、緯糸密度:80本/2.54cm)を作製した。得られた生機を染色加工工程3に投入し、裏地9(経糸密度:106本/2.54cm、緯糸密度:85本/2.54cm)を得た。
染色加工工程1〜5は下記のとおりである。
<染色加工工程1>(キュプラ100%について)
生機―連続精練・乾燥―パッドスチーム染色・ソーピング・乾燥―樹脂加工―検査
<染色加工工程2>(キュプラ、ポリエステル交織について)
生機―連続精練・乾燥―ビーム分散染色・ソーピング・乾燥―パッドスチーム反応染色・ソーピング・乾燥―樹脂加工―検査
<染色加工工程3>(ポリエステル100%について)
生機―連続精練―プレセット−減量加工・水洗・乾燥―液流染色・ソーピング―ファイナルセット−検査
<染色加工工程4>(キュプラ、ポリウレタン交織について)
生機−連続精練−プレセット−パッドスチーム染色・ソーピング・乾燥−樹脂加工−検査
<染色加工工程5>(キュプラ、ポリエステル交編ニットについて)
生機−精練−液流分散染色−液流反応染色−水洗・ソーピング−熱セット−検査
(4)裏地付きスカートの作製
図1に示すタイトスカートの型紙を用い、表地Aと各種裏地との組み合わせでタイトスカート1〜9を縫製し、また表地Bと各種裏地との組み合わせでタイトスカート10〜13を縫製した。いずれのスカートにおいても、表地、裏地の縫い代は8mm、裏地のキセは、1シーム5mmとした。
[実施例1]
表地A、裏地1により、裏地1の表地Aに対する面積率を95%としたタイトスカート1を作製した。
[実施例2]
表地A、裏地2により、裏地2の表地Aに対する面積率を95%としたタイトスカート2を作製した。
[実施例3]
表地A、裏地3により、裏地3の表地Aに対する面積率を95%としたタイトスカート3を作製した。
[実施例4]
表地A、裏地4により、裏地4の表地Aに対する面積率を95%としたタイトスカート4を作製した。
[実施例5]
表地A、裏地5により、裏地5の表地Aに対する面積率を95%としたタイトスカート5を作製した。
[実施例6]
表地を表地Bに変える以外は、実施例1と同じようにして、タイトスカート10を作製した。
[実施例7]
表地を表地Bに変える以外は、実施例2と同じようにして、タイトスカート11を作製した。
[比較例1]
表地A、裏地6により、裏地6の表地Aに対する面積率を95%としたタイトスカート6を作製した。
[比較例2]
表地A、裏地7により、裏地7の表地Aに対する面積率を95%としたタイトスカート7を作製した。
[比較例3]
表地A、裏地8により、裏地8の表地Aに対する面積率を95%としたタイトスカート8を作製した。
[比較例4]
表地A、裏地9により、裏地9の表地Aに対する面積率を95%としたタイトスカート9を作製した。
[比較例5]
表地を表地Bに変える以外は、比較例1と同様にして、タイトスカート12を作製した。
[比較例6]
表地を表地Bに変える以外は、比較例2と同様にして、タイトスカート13を作製した。
[実施例8]
表地A、裏地1により、裏地1の前身頃の表地Aに対する面積率を95%、全体の表地Aに対する面積率を63%、その他の裏地として裏地7を用いて、前身頃三枚剥ぎ、後ろ身頃四枚剥ぎスカート14を作製した。
[実施例9]
表地A、裏地2により、裏地2の前身頃の表地Aに対する面積率を95%、全体の表地Aに対する面積率を72%、その他の裏地として裏地7を用いて、前身頃四枚剥ぎ、後ろ身頃四枚剥ぎスカート15を作製した。
[実施例10]
表地A、裏地2により、裏地2の前身頃の表地Aに対する面積率を80%、全体の表地Aに対する面積率を40%、その他の裏地として裏地7を用いて、前身頃三枚剥ぎ、後ろ身頃三枚剥ぎスカート16を作製した。
裏地、表地及びスカートの構成、並びに評価結果を表1〜6に纏める。
<表中の略語>
Cu:キュプラ
PET:ポリエチレンテレフタレート
Pu:ポリウレタン
T400:東レ・オペロンテックス社製 ライクラ(登録商標)T400ファイバー(商標)
Z−10:ユニチカトレーディング社製 Z−10(登録商標)(2種類の異なるポリマーを複合させたサイドバイサイド型ポリエステル繊維)
本発明に係る裏地付きスカートは、特に、ストッキングの着用が予定される種々の用途(例えば、ユニフォーム等)に好適に適用され得る。
10 裏地付きスカート
11,21,31 裏地
12 表地
11a,12a,21a,31a 右後身頃
11b,12b,21b,31b 左後身頃
11c,12c,21c,31c,41c,42c,51c,52c,61c,62c,71c,72c 前身頃
41a,42a,51a,52a,61a,62a,71a,72a 後身頃
111 低摩擦裏地
112 追加の裏地
H1,H2 位置

Claims (10)

  1. 表地と、下記(1)及び(2)の要件:
    (1)裏地表面とストッキングとの縦方向同士の摩擦係数μxが0.5以下であること、及び
    (2)表地裏面と裏地裏面との縦方向同士の摩擦係数μyが前記摩擦係数μxよりも大きいこと、
    を満たす低摩擦裏地とを有する、裏地付きスカート。
  2. 前記低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力が1.2N以下である、請求項1に記載の裏地付きスカート。
  3. 前記低摩擦裏地が織物であり、前記低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力が1.0N以下である、請求項2に記載の裏地付きスカート。
  4. 前記低摩擦裏地の総面積が、前記表地の総面積に対して50%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の裏地付きスカート。
  5. 前記低摩擦裏地の前身頃における総面積が、前記表地の前身頃の総面積に対して80%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の裏地付きスカート。
  6. 表地と、下記(1)及び(2)の要件:
    (1)裏地表面とストッキングとの縦方向同士の摩擦係数μxが0.5以下であること、及び
    (2)表地裏面と裏地裏面との縦方向同士の摩擦係数μyが前記摩擦係数μxよりも大きいこと、
    を満たす低摩擦裏地とを有する、裏地付きスカートの製造方法であって、
    前記低摩擦裏地を前記表地に固定する工程を含む、製造方法。
  7. 前記低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力が1.2N以下である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記低摩擦裏地が織物であり、前記低摩擦裏地のバイアス方向10%伸張応力が1.0N以下である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記低摩擦裏地の総面積が、前記表地の総面積に対して50%以上である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記低摩擦裏地の前身頃における総面積が、前記表地の前身頃の総面積に対して80%以上である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
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