JP2019183300A - 成形体及び成形体の製造方法 - Google Patents

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一樹 坂田
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Abstract

【課題】タンパク質を利用した成形体であって、耐水性等の様々な機能性が有利に付与された成形体を得ること。【解決手段】タンパク質を含有する成形体前駆体と、タンパク質と反応して結合を形成可能な第一の反応性基を2つ以上有する第一の反応剤とを反応させて、中間体を得る第一の工程と、中間体と、第一の反応性基と反応して結合を形成可能な第二の反応性基を1つ有する第二の反応剤とを反応させて、成形体を得る第二の工程と、を備える、成形体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、成形体及び成形体の製造方法に関する。
近年、環境保全意識の高まりから、石油由来の材料の代替物質の検討が進められており、強度などの点でタンパク質がその候補として挙げられている。例えば、特許文献1には、動物繊維の集合体を圧縮成形して、応力−ひずみ特性等の機械的特性が高い動物繊維成形物を得る方法が開示されている。
特開2017−110132号公報
本発明は、タンパク質を利用した成形体であって、耐水性等の様々な機能性が有利に付与された成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、タンパク質を含有する成形体前駆体と、上記タンパク質と反応して結合を形成可能な第一の反応性基を2つ以上有する第一の反応剤とを反応させて、中間体を得る第一の工程と、上記中間体と、上記第一の反応性基と反応して結合を形成可能な第二の反応性基を1つ有する第二の反応剤とを反応させて、成形体を得る第二の工程と、を備える、成形体の製造方法に関する。
本発明の他の一側面は、タンパク質架橋体を含有する成形体であって、上記タンパク質架橋体が、ポリペプチド骨格と、タンパク質と反応して結合を形成可能な第一の反応性基を2つ以上有する第一の反応剤の残基である第一の残基と、上記第一の反応性基と反応して結合を形成可能な第二の反応性基を1つ有する第二の反応剤の残基である第二の残基と、をそれぞれ複数有し、上記第一の残基の少なくとも一つが、上記ポリペプチド骨格を架橋しており、上記第一の残基の少なくとも一つが、一端でポリペプチド骨格と結合し、他端で前記第二の残基と結合している、成形体に関する。
本発明によれば、タンパク質を利用した成形体であって、耐水性等の様々な機能性が有利に付与された成形体及びその製造方法が提供される。
改変フィブロインのドメイン配列を示す模式図である。 天然由来のフィブロインのz/w(%)の値の分布を示す図である。 天然由来のフィブロインのx/y(%)の値の分布を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
一実施形態に係る成形体の製造方法は、タンパク質を含有する成形体前駆体と、上記タンパク質と反応して結合を形成可能な第一の反応性基を2つ以上有する第一の反応剤とを反応させて、中間体を得る第一の工程と、中間体と、第一の反応性基と反応して結合を形成可能な第二の反応性基を1つ有する第二の反応剤とを反応させて、成形体を得る第二の工程と、を備える。
成形体前駆体が含有するタンパク質の種類は特に制限されず、例えば構造タンパク質であってよい。構造タンパク質とは、生体構造を形成するタンパク質又はそれに由来するタンパク質を示す。すなわち、構造タンパク質は、天然由来の構造タンパク質であってよく、天然由来の構造タンパク質のアミノ酸配列に依拠してそのアミノ酸配列の一部(例えば、当該アミノ酸配列の10%以下)を改変した改変タンパク質であってもよい。
構造タンパク質としては、例えば、フィブロイン、コラ−ゲン、レシリン、エラスチン及びケラチン、並びにこれら由来のタンパク質等を挙げることができる。フィブロインは、例えば、絹フィブロイン、クモ糸フィブロイン、及びホーネットシルクフィブロインからなる群より選択される1種以上であってよい。構造タンパク質は、絹フィブロイン、クモ糸フィブロイン又はこれらの組み合わせであってもよい。絹フィブロインとクモ糸フィブロインとを併用する場合、絹フィブロインの割合は、例えば、クモ糸フィブロイン100質量部に対して、40質量部以下、30質量部以下、又は10質量部以下であってよい。
フィブロインとしては、以下のような改変フィブロインを用いることもできる。改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。改変フィブロインは、ドメイン配列のN末端側及びC末端側のいずれか一方又は両方に更にアミノ酸配列(N末端配列及びC末端配列)が付加されていてもよい。N末端配列及びC末端配列は、これに限定されるものではないが、典型的には、フィブロインに特徴的なアミノ酸モチーフの反復を有さない領域であり、100残基程度のアミノ酸からなる。
本明細書において「改変フィブロイン」とは、人為的に製造されたフィブロイン(人造フィブロイン)を意味する。改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列とは異なるフィブロインであってもよく、天然由来のフィブロインとアミノ酸配列と同一であるフィブロインであってもよい。本明細書における「天然由来のフィブロイン」もまた、式1:[(A)nモチーフ−REP]mで表されるドメイン配列を含むタンパク質である。
「改変フィブロイン」は、本実施形態で特定されるアミノ酸配列を有するものであれば、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列をそのまま利用したものであってもよく、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列に依拠してそのアミノ酸配列を改変したもの(例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列を改変することによりアミノ酸配列を改変したもの)であってもよく、また天然由来のフィブロインに依らず人工的に設計及び合成したもの(例えば、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより所望のアミノ酸配列を有するもの)であってもよい。
本明細書において「ドメイン配列」とは、フィブロイン特有の結晶領域(典型的には、アミノ酸配列の(A)nモチーフに相当する。)と非晶領域(典型的には、アミノ酸配列のREPに相当する。)を生じるアミノ酸配列であり、式1:[(A)nモチーフ−REP1]mで表されるアミノ酸配列を意味する。ここで、例えば、式1:[(A)nモチーフ−REP1]mで表されるドメイン配列を含むタンパク質が挙げられる。ここで、式1中、(A)nモチーフの、Aはアラニン残基を示し、nは2〜27の整数が好ましく、4〜20、8〜20、10〜20、4〜16、8〜16、10〜16の整数であって良く、かつ(A)nモチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数は40%以上であれば良く、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%(アラニン残基のみで構成されることを意味する)であっても良い。REP1は10〜200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示す。mは10〜300の整数を示す。複数存在する(A)nモチーフは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。複数存在するREP1は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。このようなフィブロインとしては、具体的には配列番号9で示されるアミノ酸配列(PRT410)を含むタンパク質をあげることができる。
改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列に対し、例えば、1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行うことで得ることができる。アミノ酸残基の置換、欠失、挿入及び/又は付加は、部分特異的突然変異誘発法等の当業者に周知の方法により行うことができる。具体的には、Nucleic Acid Res.10,6487(1982)、Methods in Enzymology,100,448(1983)等の文献に記載されている方法に準じて行うことができる。
天然由来のフィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質であり、具体的には、例えば、昆虫又はクモ類が産生するフィブロインが挙げられる。
昆虫が産生するフィブロインとしては、例えば、ボンビックス・モリ(Bombyx mori)、クワコ(Bombyx mandarina)、天蚕(Antheraea yamamai)、柞蚕(Anteraea pernyi)、楓蚕(Eriogyna pyretorum)、蓖蚕(Pilosamia Cynthia ricini)、樗蚕(Samia cynthia)、栗虫(Caligura japonica)、チュッサー蚕(Antheraea mylitta)、ムガ蚕(Antheraea assama)等のカイコが産生する絹タンパク質、スズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)の幼虫が吐出するホーネットシルクタンパク質が挙げられる。
昆虫が産生するフィブロインのより具体的な例としては、例えば、カイコ・フィブロインL鎖(GenBankアクセッション番号M76430(塩基配列)、AAA27840.1(アミノ酸配列))が挙げられる。
クモ類が産生するフィブロインとしては、例えば、オニグモ、ニワオニグモ、アカオニグモ、アオオニグモ及びマメオニグモ等のオニグモ属(Araneus属)に属するクモ、ヤマシロオニグモ、イエオニグモ、ドヨウオニグモ及びサツマノミダマシ等のヒメオニグモ属(Neoscona属)に属するクモ、コオニグモモドキ等のコオニグモモドキ属(Pronus属)に属するクモ、トリノフンダマシ及びオオトリノフンダマシ等のトリノフンダマシ属(Cyrtarachne属)に属するクモ、トゲグモ及びチブサトゲグモ等のトゲグモ属(Gasteracantha属)に属するクモ、マメイタイセキグモ及びムツトゲイセキグモ等のイセキグモ属(Ordgarius属)に属するクモ、コガネグモ、コガタコガネグモ及びナガコガネグモ等のコガネグモ属(Argiope属)に属するクモ、キジロオヒキグモ等のオヒキグモ属(Arachnura属)に属するクモ、ハツリグモ等のハツリグモ属(Acusilas属)に属するクモ、スズミグモ、キヌアミグモ及びハラビロスズミグモ等のスズミグモ属(Cytophora属)に属するクモ、ゲホウグモ等のゲホウグモ属(Poltys属)に属するクモ、ゴミグモ、ヨツデゴミグモ、マルゴミグモ及びカラスゴミグモ等のゴミグモ属(Cyclosa属)に属するクモ、及びヤマトカナエグモ等のカナエグモ属(Chorizopes属)に属するクモが産生するスパイダーシルクタンパク質、並びにアシナガグモ、ヤサガタアシナガグモ、ハラビロアシダカグモ及びウロコアシナガグモ等のアシナガグモ属(Tetragnatha属)に属するクモ、オオシロカネグモ、チュウガタシロカネグモ及びコシロカネグモ等のシロカネグモ属(Leucauge属)に属するクモ、ジョロウグモ及びオオジョロウグモ等のジョロウグモ属(Nephila属)に属するクモ、キンヨウグモ等のアズミグモ属(Menosira属)に属するクモ、ヒメアシナガグモ等のヒメアシナガグモ属(Dyschiriognatha属)に属するクモ、クロゴケグモ、セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ及びジュウサンボシゴケグモ等のゴケグモ属(Latrodectus属)に属するクモ、及びユープロステノプス属(Euprosthenops属)に属するクモ等のアシナガグモ科(Tetragnathidae科)に属するクモが産生するスパイダーシルクタンパク質が挙げられる。スパイダーシルクタンパク質としては、例えば、MaSp(MaSp1及びMaSp2)、ADF(ADF3及びADF4)等の牽引糸タンパク質、MiSp(MiSp1及びMiSp2)等が挙げられる。
クモ類が産生するフィブロインのより具体的な例としては、例えば、fibroin−3(adf−3)[Araneus diadematus由来](GenBankアクセッション番号AAC47010(アミノ酸配列)、U47855(塩基配列))、fibroin−4(adf−4)[Araneus diadematus由来](GenBankアクセッション番号AAC47011(アミノ酸配列)、U47856(塩基配列))、dragline silk protein spidroin 1[Nephila clavipes由来](GenBankアクセッション番号AAC04504(アミノ酸配列)、U37520(塩基配列))、major ampullate spidroin 1[Latrodectus hesperus由来](GenBankアクセッション番号ABR68856(アミノ酸配列)、EF595246(塩基配列))、dragline silk protein spidroin 2[Nephila clavata由来](GenBankアクセッション番号AAL32472(アミノ酸配列)、AF441245(塩基配列))、major ampullate spidroin 1[Euprosthenops australis由来](GenBankアクセッション番号CAJ00428(アミノ酸配列)、AJ973155(塩基配列))、及びmajor ampullate spidroin 2[Euprosthenops australis](GenBankアクセッション番号CAM32249.1(アミノ酸配列)、AM490169(塩基配列))、minor ampullate silk protein 1[Nephila clavipes](GenBankアクセッション番号AAC14589.1(アミノ酸配列))、minor ampullate silk protein 2[Nephila clavipes](GenBankアクセッション番号AAC14591.1(アミノ酸配列))、minor ampullate spidroin−like protein[Nephilengys cruentata](GenBankアクセッション番号ABR37278.1(アミノ酸配列)等が挙げられる。
天然由来のフィブロインのより具体的な例としては、更に、NCBI GenBankに配列情報が登録されているフィブロインを挙げることができる。例えば、NCBI GenBankに登録されている配列情報のうちDIVISIONとしてINVを含む配列の中から、DEFINITIONにspidroin、ampullate、fibroin、「silk及びpolypeptide」、又は「silk及びprotein」がキーワードとして記載されている配列、CDSから特定のproductの文字列、SOURCEからTISSUE TYPEに特定の文字列の記載された配列を抽出することにより確認することができる。
改変フィブロインは、改変絹フィブロイン(カイコが産生する絹タンパク質のアミノ酸配列を改変したもの)であってもよく、改変クモ糸フィブロイン(クモ類が産生するスパイダーシルクタンパク質のアミノ酸配列を改変したもの)であってもよい。それらのうちでも改変クモ糸フィブロインが、好適に用いられる。
改変フィブロインの具体的な例として、クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来する改変フィブロイン、グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロイン、(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロイン、グリシン残基の含有量、及び(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインが挙げられる。
クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来する改変フィブロインとしては、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質が挙げられる。クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来する改変フィブロインは、式1中、nは3〜20の整数が好ましく、4〜20の整数がより好ましく、8〜20の整数が更に好ましく、10〜20の整数が更により好ましく、4〜16の整数が更によりまた好ましく、8〜16の整数が特に好ましく、10〜16の整数が最も好ましい。クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来する改変フィブロインは、式1中、REPを構成するアミノ酸残基の数は、10〜200残基であることが好ましく、10〜150残基であることがより好ましく、20〜100残基であることが更に好ましく、20〜75残基であることが更により好ましい。クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来する改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるアミノ酸配列中に含まれるグリシン残基、セリン残基及びアラニン残基の合計残基数がアミノ酸残基数全体に対して、40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来する改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるアミノ酸配列の単位を含み、かつC末端配列が配列番号14〜16のいずれかに示されるアミノ酸配列又は配列番号14〜16のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列であるポリペプチドであってもよい。
配列番号14に示されるアミノ酸配列は、ADF3(GI:1263287、NCBI)のアミノ酸配列のC末端の50残基のアミノ酸からなるアミノ酸配列と同一であり、配列番号15に示されるアミノ酸配列は、配列番号14に示されるアミノ酸配列のC末端から20残基取り除いたアミノ酸配列と同一であり、配列番号16に示されるアミノ酸配列は、配列番号14に示されるアミノ酸配列のC末端から29残基取り除いたアミノ酸配列と同一である。
クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来する改変フィブロインのより具体的な例として、(1−i)配列番号17で示されるアミノ酸配列、又は(1−ii)配列番号17で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
配列番号17で示されるアミノ酸配列は、N末端に開始コドン、His10タグ及びHRV3Cプロテアーゼ(Human rhinovirus 3Cプロテアーゼ)認識サイトからなるアミノ酸配列(配列番号18)を付加したADF3のアミノ酸配列において、第1〜13番目の反復領域をおよそ2倍になるように増やすとともに、翻訳が第1154番目アミノ酸残基で終止するように変異させたものである。配列番号17で示されるアミノ酸配列のC末端のアミノ酸配列は、配列番号3で示されるアミノ酸配列と同一である。
(1−i)の改変フィブロインは、配列番号17で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、グリシン残基の含有量が低減されたアミノ酸配列を有する。当該改変フィブロインは、天然由来のフィブロインと比較して、少なくともREP中の1又は複数のグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたことに相当するアミノ酸配列を有するものということができる。
グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、REP中のGGX及びGPGXX(但し、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)から選ばれる少なくとも一つのモチーフ配列において、少なくとも1又は複数の当該モチーフ配列中の1つのグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロインは、上述のグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたモチーフ配列の割合が、全モチーフ配列に対して、10%以上であってもよい。
グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含み、上記ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフから上記ドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列中の全REPに含まれるXGX(但し、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)からなるアミノ酸配列の総アミノ酸残基数をzとし、上記ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフから上記ドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列中の総アミノ酸残基数をwとしたときに、z/wが30%以上、40%以上、50%以上又は50.9%以上であるアミノ酸配列を有するものであってもよい。(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数は83%以上であってよいが、86%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましく、100%であること(アラニン残基のみで構成されることを意味する)が更により好ましい。
グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロインは、GGXモチーフの1つのグリシン残基を別のアミノ酸残基に置換することにより。XGXからなるアミノ酸配列の含有割合を高めたものであることが好ましい。グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロインは、ドメイン配列中のGGXからなるアミノ酸配列の含有割合が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、6%以下であることが更により好ましく、4%以下であることが更によりまた好ましく、2%以下であることが特に好ましい。ドメイン配列中のGGXからなるアミノ酸配列の含有割合は、下記XGXからなるアミノ酸配列の含有割合(z/w)の算出方法と同様の方法で算出することができる。
z/wの算出方法を更に詳細に説明する。まず、ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列に含まれる全てのREPから、XGXからなるアミノ酸配列を抽出する。XGXを構成するアミノ酸残基の総数がzである。例えば、XGXからなるアミノ酸配列が50個抽出された場合(重複はなし)、zは50×3=150である。また、例えば、XGXGXからなるアミノ酸配列の場合のように2つのXGXに含まれるX(中央のX)が存在する場合は、重複分を控除して計算する(XGXGXの場合は5アミノ酸残基である)。wは、ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列に含まれる総アミノ酸残基数である。例えば、図1に示したドメイン配列の場合、wは4+50+4+100+4+10+4+20+4+30=230である(最もC末端側に位置する(A)モチーフは除いている。)。次に、zをwで除すことによって、z/w(%)を算出することができる。
ここで、天然由来のフィブロインにおけるz/wについて説明する。まず、上述のように、NCBI GenBankにアミノ酸配列情報が登録されているフィブロインを例示した方法により確認したところ、663種類のフィブロイン(このうち、クモ類由来のフィブロインは415種類)が抽出された。抽出された全てのフィブロインのうち、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含み、フィブロイン中のGGXからなるアミノ酸配列の含有割合が6%以下である天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から、上述の算出方法により、z/wを算出した。その結果を図2に示す。図2の横軸はz/w(%)を示し、縦軸は頻度を示す。図2から明らかなとおり、天然由来のフィブロインにおけるz/wは、いずれも50.9%未満である(最も高いもので、50.86%)。
グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロインにおいて、z/wは、50.9%以上であることが好ましく、56.1%以上であることがより好ましく、58.7%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが更により好ましく、80%以上であることが更によりまた好ましい。z/wの上限に特に制限はないが、例えば、95%以下であってもよい。
グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列から、グリシン残基をコードする塩基配列の少なくとも一部を置換して別のアミノ酸残基をコードするように改変することにより得ることができる。このとき、改変するグリシン残基として、GGXモチーフ及びGPGXXモチーフにおける1つのグリシン残基を選択してもよいし、またz/wが50.9%以上になるように置換してもよい。また、例えば、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から上記態様を満たすアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列からREP中のグリシン残基を別のアミノ酸残基に置換したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行ってもよい。
上記の別のアミノ酸残基としては、グリシン残基以外のアミノ酸残基であれば特に制限はないが、バリン(V)残基、ロイシン(L)残基、イソロイシン(I)残基、メチオニン(M)残基、プロリン(P)残基、フェニルアラニン(F)残基及びトリプトファン(W)残基等の疎水性アミノ酸残基、グルタミン(Q)残基、アスパラギン(N)残基、セリン(S)残基、リシン(K)残基及びグルタミン酸(E)残基等の親水性アミノ酸残基が好ましく、バリン(V)残基、ロイシン(L)残基、イソロイシン(I)残基及びグルタミン(Q)残基がより好ましく、グルタミン(Q)残基が更に好ましい。
グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロインのより具体的な例として、(2−i)配列番号3、配列番号4、配列番号10若しくは配列番号12で示されるアミノ酸配列、又は(2−ii)配列番号3、配列番号4、配列番号10若しくは配列番号12で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
(2−i)の改変フィブロインについて説明する。配列番号3で示されるアミノ酸配列は、天然由来のフィブロインに相当する配列番号1で示されるアミノ酸配列のREP中の全てのGGXをGQXに置換したものである。配列番号4で示されるアミノ酸配列は、配列番号3で示されるアミノ酸配列から、N末端側からC末端側に向かって2つおきに(A)モチーフを欠失させ、更にC末端配列の手前に[(A)モチーフ−REP]を1つ挿入したものである。配列番号10で示されるアミノ酸配列は、配列番号4で示されるアミノ酸配列の各(A)モチーフのC末端側に2つのアラニン残基を挿入し、更に一部のグルタミン(Q)残基をセリン(S)残基に置換し、配列番号4の分子量とほぼ同じとなるようにN末端側の一部のアミノ酸を欠失させたものである。配列番号12で示されるアミノ酸配列は、配列番号9で示されるアミノ酸配列中に存在する20個のドメイン配列の領域(但し、当該領域のC末端側の数アミノ酸残基が置換されている。)を4回繰り返した配列のC末端にHisタグが付加されたものである。
配列番号1で示されるアミノ酸配列(天然由来のフィブロインに相当)におけるz/wの値は、46.8%である。配列番号3で示されるアミノ酸配列、配列番号4で示されるアミノ酸配列、配列番号10で示されるアミノ酸配列、及び配列番号12で示されるアミノ酸配列におけるz/wの値は、それぞれ58.7%、70.1%、66.1%及び70.0%である。また、配列番号1、3、4、10及び12で示されるアミノ酸配列のギザ比率(後述する)1:1.8〜11.3におけるx/yの値は、それぞれ15.0%、15.0%、93.4%、92.7%及び89.3%である。
(2−i)の改変フィブロインは、配列番号3、配列番号4、配列番号10又は配列番号12で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(2−ii)の改変フィブロインは、配列番号3、配列番号4、配列番号10又は配列番号12で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(2−ii)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(2−ii)の改変フィブロインは、配列番号3、配列番号4、配列番号10又は配列番号12で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつREP中に含まれるXGX(但し、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)からなるアミノ酸配列の総アミノ酸残基数をzとし、上記ドメイン配列中のREPの総アミノ酸残基数をwとしたときに、z/wが50.9%以上であることが好ましい。
上述の改変フィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方にタグ配列を含んでいてもよい。これにより、改変フィブロインの単離、固定化、検出及び可視化等が可能となる。
タグ配列として、例えば、他の分子との特異的親和性(結合性、アフィニティ)を利用したアフィニティタグを挙げることができる。アフィニティタグの具体例として、ヒスチジンタグ(Hisタグ)を挙げることができる。Hisタグは、ヒスチジン残基が4から10個程度並んだ短いペプチドで、ニッケル等の金属イオンと特異的に結合する性質があるため、金属キレートクロマトグラフィー(chelating metal chromatography)による改変フィブロインの単離に利用することができる。タグ配列の具体例として、例えば、配列番号5で示されるアミノ酸配列(Hisタグを含むアミノ酸配列)が挙げられる。
また、グルタチオンに特異的に結合するグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースに特異的に結合するマルトース結合タンパク質(MBP)等のタグ配列を利用することもできる。
さらに、抗原抗体反応を利用した「エピトープタグ」を利用することもできる。抗原性を示すペプチド(エピトープ)をタグ配列として付加することにより、当該エピトープに対する抗体を結合させることができる。エピトープタグとして、HA(インフルエンザウイルスのヘマグルチニンのペプチド配列)タグ、mycタグ、FLAGタグ等を挙げることができる。エピトープタグを利用することにより、高い特異性で容易に改変フィブロインを精製することができる。
さらにタグ配列を特定のプロテアーゼで切り離せるようにしたものも使用することができる。当該タグ配列を介して吸着したタンパク質をプロテアーゼ処理することにより、タグ配列を切り離した改変フィブロインを回収することもできる。
タグ配列を含む改変フィブロインのより具体的な例として、(2−iii)配列番号8、配列番号9、配列番号11若しく配列番号13で示されるアミノ酸配列、又は(2−iv)配列番号8、配列番号9、配列番号11若しく配列番号13で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
配列番号6、7、8、9、11及び13で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1、2、3、4、10及び12で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(Hisタグを含む)を付加したものである。
(2−iii)の改変フィブロインは、配列番号8、配列番号9、配列番号11又は配列番号13で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(2−iv)の改変フィブロインは、配列番号8、配列番号9、配列番号11又は配列番号13で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(2−iv)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(2−iv)の改変フィブロインは、配列番号8、配列番号9、配列番号11又は配列番号13で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつREP中に含まれるXGX(但し、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)からなるアミノ酸配列の総アミノ酸残基数をzとし、上記ドメイン配列中のREPの総アミノ酸残基数をwとしたときに、z/wが50.9%以上であることが好ましい。
上述の改変フィブロインは、組換えタンパク質生産系において生産されたタンパク質を宿主の外部に放出するための分泌シグナルを含んでいてもよい。分泌シグナルの配列は、宿主の種類に応じて適宜設定することができる。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、(A)モチーフの含有量が低減されたアミノ酸配列を有する。当該改変フィブロインのドメイン配列は、天然由来のフィブロインと比較して、少なくとも1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を有するものということができる。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインは、天然由来のフィブロインから(A)モチーフを10〜40%欠失させたことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、少なくともN末端側からC末端側に向かって1〜3つの(A)モチーフ毎に1つの(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、少なくともN末端側からC末端側に向かって2つ連続した(A)モチーフの欠失、及び1つの(A)モチーフの欠失がこの順に繰り返されたことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインは、そのドメイン配列が、少なくともN末端側からC末端側に向かって2つおきに(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含み、N末端側からC末端側に向かって、隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのREPのアミノ酸残基数を順次比較して、アミノ酸残基数が少ないREPのアミノ酸残基数を1としたとき、他方のREPのアミノ酸残基数の比が1.8〜11.3となる隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのアミノ酸残基数を足し合わせた合計値の最大値をxとし、ドメイン配列の総アミノ酸残基数をyとしたときに、x/yが20%以上、30%以上、40%以上又は50%以上であるアミノ酸配列を有するものであってもよい。(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数は83%以上であってよいが、86%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましく、100%であること(アラニン残基のみで構成されることを意味する)が更により好ましい。
x/yの算出方法を図1を参照しながら更に詳細に説明する。図1には、改変フィブロインからN末端配列及びC末端配列を除いたドメイン配列を示す。当該ドメイン配列は、N末端側(左側)から(A)モチーフ−第1のREP(50アミノ酸残基)−(A)モチーフ−第2のREP(100アミノ酸残基)−(A)モチーフ−第3のREP(10アミノ酸残基)−(A)モチーフ−第4のREP(20アミノ酸残基)−(A)モチーフ−第5のREP(30アミノ酸残基)−(A)モチーフという配列を有する。
隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットは、重複がないように、N末端側からC末端側に向かって、順次選択する。このとき、選択されない[(A)モチーフ−REP]ユニットが存在してもよい。図1には、パターン1(第1のREPと第2のREPの比較、及び第3のREPと第4のREPの比較)、パターン2(第1のREPと第2のREPの比較、及び第4のREPと第5のREPの比較)、パターン3(第2のREPと第3のREPの比較、及び第4のREPと第5のREPの比較)、パターン4(第1のREPと第2のREPの比較)を示した。なお、これ以外にも選択方法は存在する。
次に各パターンについて、選択した隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニット中の各REPのアミノ酸残基数を比較する。比較は、よりアミノ酸残基数の少ない方を1としたときの、他方のアミノ酸残基数の比を求めることによって行う。例えば、第1のREP(50アミノ酸残基)と第2のREP(100アミノ酸残基)の比較の場合、よりアミノ酸残基数の少ない第1のREPを1としたとき、第2のREPのアミノ酸残基数の比は、100/50=2である。同様に、第4のREP(20アミノ酸残基)と第5のREP(30アミノ酸残基)の比較の場合、よりアミノ酸残基数の少ない第4のREPを1としたとき、第5のREPのアミノ酸残基数の比は、30/20=1.5である。
図1中、よりアミノ酸残基数の少ない方を1としたときに、他方のアミノ酸残基数の比が1.8〜11.3となる[(A)モチーフ−REP]ユニットの組を実線で示した。以下このような比をギザ比率と呼ぶ。よりアミノ酸残基数の少ない方を1としたときに、他方のアミノ酸残基数の比が1.8未満又は11.3超となる[(A)モチーフ−REP]ユニットの組は破線で示した。
各パターンにおいて、実線で示した隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットの全てのアミノ酸残基数を足し合わせる(REPのみではなく、(A)モチーフのアミノ酸残基数もである。)。そして、足し合わせた合計値を比較して、当該合計値が最大となるパターンの合計値(合計値の最大値)をxとする。図1に示した例では、パターン1の合計値が最大である。
次に、xをドメイン配列の総アミノ酸残基数yで除すことによって、x/y(%)を算出することができる。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインにおいて、x/yは、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが更により好ましく、75%以上であることが更によりまた好ましく、80%以上であることが特に好ましい。x/yの上限に特に制限はなく、例えば、100%以下であってよい。ギザ比率が1:1.9〜11.3の場合には、x/yは89.6%以上であることが好ましく、ギザ比率が1:1.8〜3.4の場合には、x/yは77.1%以上であることが好ましく、ギザ比率が1:1.9〜8.4の場合には、x/yは75.9%以上であることが好ましく、ギザ比率が1:1.9〜4.1の場合には、x/yは64.2%以上であることが好ましい。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインが、ドメイン配列中に複数存在する(A)モチーフの少なくとも7つがアラニン残基のみで構成される改変フィブロインである場合、x/yは、46.4%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、55%以上であることが更に好ましく、60%以上であることが更により好ましく、70%以上であることが更によりまた好ましく、80%以上であることが特に好ましい。x/yの上限に特に制限はなく、100%以下であればよい。
ここで、天然由来のフィブロインにおけるx/yについて説明する。まず、上述のように、NCBI GenBankにアミノ酸配列情報が登録されているフィブロインを例示した方法により確認したところ、663種類のフィブロイン(このうち、クモ類由来のフィブロインは415種類)が抽出された。抽出された全てのフィブロインのうち、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列で構成される天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から、上述の算出方法により、x/yを算出した。ギザ比率が1:1.9〜4.1の場合の結果を図3に示す。
図3の横軸はx/y(%)を示し、縦軸は頻度を示す。図3から明らかなとおり、天然由来のフィブロインにおけるx/yは、いずれも64.2%未満である(最も高いもので、64.14%)。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列から、x/yが64.2%以上になるように(A)モチーフをコードする配列の1又は複数を欠失させることにより得ることができる。また、例えば、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から、x/yが64.2%以上になるように1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から(A)モチーフが欠失したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行ってもよい。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインのより具体的な例として、(3−i)配列番号2、配列番号4、配列番号10若しくは配列番号12で示されるアミノ酸配列、又は(3−ii)配列番号2、配列番号4、配列番号10若しくは配列番号12で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
(3−i)の改変フィブロインについて説明する。配列番号2で示されるアミノ酸配列は、天然由来のフィブロインに相当する配列番号1で示されるアミノ酸配列から、N末端側からC末端側に向かって2つおきに(A)モチーフを欠失させ、更にC末端配列の手前に[(A)モチーフ−REP]を1つ挿入したものである。配列番号4で示されるアミノ酸配列は、配列番号2で示されるアミノ酸配列のREP中の全てのGGXをGQXに置換したものである。配列番号10で示されるアミノ酸配列は、配列番号4で示されるアミノ酸配列の各(A)モチーフのC末端側に2つのアラニン残基を挿入し、更に一部のグルタミン(Q)残基をセリン(S)残基に置換し、配列番号4の分子量とほぼ同じとなるようにN末端側の一部のアミノ酸を欠失させたものである。配列番号12で示されるアミノ酸配列は、配列番号10で示されるアミノ酸配列中に存在する20個のドメイン配列の領域(但し、当該領域のC末端側の数アミノ酸残基が置換されている。)を4回繰り返した配列のC末端にHisタグが付加されたものである。
配列番号1で示されるアミノ酸配列(天然由来のフィブロインに相当)のギザ比率1:1.8〜11.3におけるx/yの値は15.0%である。配列番号2で示されるアミノ酸配列、及び配列番号4で示されるアミノ酸配列におけるx/yの値は、いずれも93.4%である。配列番号10で示されるアミノ酸配列におけるx/yの値は、92.7%である。配列番号12で示されるアミノ酸配列におけるx/yの値は、89.3%である。配列番号1、2、4、10及び12で示されるアミノ酸配列におけるz/wの値は、それぞれ46.8%、56.2%、70.1%、66.1%及び70.0%である。
(3−i)の改変フィブロインは、配列番号2、配列番号4、配列番号10又は配列番号12で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(3−ii)の改変フィブロインは、配列番号2、配列番号4、配列番号10又は配列番号12で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(3−ii)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(3−ii)の改変フィブロインは、配列番号2、配列番号4、配列番号10又は配列番号12で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつN末端側からC末端側に向かって、隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのREPのアミノ酸残基数を順次比較して、アミノ酸残基数が少ないREPのアミノ酸残基数を1としたとき、他方のREPのアミノ酸残基数の比が1.8〜11.3(ギザ比率が1:1.8〜11.3)となる隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのアミノ酸残基数を足し合わせた合計値の最大値をxとし、ドメイン配列の総アミノ酸残基数をyとしたときに、x/yが64.2%以上であることが好ましい。
上述の改変フィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方に上述したタグ配列を含んでいてもよい。
タグ配列を含む改変フィブロインのより具体的な例として、(3−iii)配列番号7、配列番号9、配列番号11若しく配列番号13で示されるアミノ酸配列、又は(2−iv)配列番号7、配列番号9、配列番号11若しく配列番号13で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
配列番号6、7、8、9、11及び13で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1、2、3、4、10及び12で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(Hisタグを含む)を付加したものである。
(3−iii)の改変フィブロインは、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(3−iv)の改変フィブロインは、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(3−iv)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(3−iv)の改変フィブロインは、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつN末端側からC末端側に向かって、隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのREPのアミノ酸残基数を順次比較して、アミノ酸残基数が少ないREPのアミノ酸残基数を1としたとき、他方のREPのアミノ酸残基数の比が1.8〜11.3となる隣合う2つの[(A)モチーフ−REP]ユニットのアミノ酸残基数を足し合わせた合計値の最大値をxとし、ドメイン配列の総アミノ酸残基数をyとしたときに、x/yが64.2%以上であることが好ましい。
上述の改変フィブロインは、組換えタンパク質生産系において生産されたタンパク質を宿主の外部に放出するための分泌シグナルを含んでいてもよい。分泌シグナルの配列は、宿主の種類に応じて適宜設定することができる。
グリシン残基の含有量、及び(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のフィブロインと比較して、(A)モチーフの含有量が低減されたことに加え、グリシン残基の含有量が低減されたアミノ酸配列を有するものである。当該改変フィブロインのドメイン配列は、天然由来のフィブロインと比較して、少なくとも1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに加え、更に少なくともREP中の1又は複数のグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたことに相当するアミノ酸配列を有するものということができる。すなわち、上述した第1の実施形態に係る改変フィブロインと、第2の実施形態に係る改変フィブロインの特徴を併せ持つ改変フィブロインである。具体的な態様等は、第1及び第2の実施形態に係る改変フィブロインで説明したとおりである。
グリシン残基の含有量、及び(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロインのより具体的な例として、(4−i)配列番号4、配列番号10若しくは配列番号12で示されるアミノ酸配列、(4−ii)配列番号4、配列番号10若しくは配列番号12で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。配列番号4、配列番号10若しくは配列番号12で示されるアミノ酸配列を含む改変フィブロインの具体的な態様は上述のとおりである。
コラーゲン由来のタンパク質として、例えば、式2:[REP2]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式2中、pは5〜300の整数を示す。REP2は、Gly−X−Yから構成されるアミノ酸配列を示し、X及びYはGly以外の任意のアミノ酸残基を示す。複数存在するREP2は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には、配列番号19で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号19で示されるアミノ酸配列は、NCBIデータベースから入手したヒトのコラーゲンタイプ4の部分的な配列(NCBIのGenBankのアクセッション番号:CAA56335.1、GI:3702452)のリピート部分及びモチーフに該当する301残基目から540残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
レシリン由来のタンパク質として、例えば、式3:[REP3]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式3中、qは4〜300の整数を示す。REP3はSer−J−J−Tyr−Gly−U−Proから構成されるアミノ酸配列を示す。Jは任意のアミノ酸残基を示し、特にAsp、Ser及びThrからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。Uは任意のアミノ酸残基を示し、特にPro、Ala、Thr及びSerからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。複数存在するREP4は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号20で示されるアミノ酸配列は、レシリン(NCBIのGenBankのアクセッション番号NP 611157、Gl:24654243)のアミノ酸配列において、87残基目のThrをSerに置換し、かつ95残基目のAsnをAspに置換した配列の19残基目から321残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
エラスチン由来のタンパク質として、例えば、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395(ヒト)、I47076(ヒツジ)、NP786966(ウシ)等のアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。具体的には、配列番号21で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号21で示されるアミノ酸配列は、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395のアミノ酸配列の121残基目から390残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
ケラチン由来のタンパク質として、例えば、カプラ・ヒルクス(Capra hircus)のタイプIケラチン等を挙げることができる。具体的には、配列番号22で示されるアミノ酸配列(NCBIのGenBankのアクセッション番号ACY30466のアミノ酸配列)を含むタンパク質を挙げることができる。
上述した構造タンパク質及び当該構造タンパク質に由来する改変構造タンパク質は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<タンパク質の製造方法>
本実施形態に係るタンパク質は、例えば、当該タンパク質をコードする核酸配列と、当該核酸配列に作動可能に連結された1又は複数の調節配列とを有する発現ベクターで形質転換された宿主により、当該核酸を発現させることにより生産することができる。
タンパク質をコードする核酸の製造方法は、特に制限されない。例えば、天然のフィブロインをコードする遺伝子を利用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などで増幅しクローニングし、遺伝子工学的手法により改変する方法、又は、化学的に合成する方法によって、当該核酸を製造することができる。核酸の化学的な合成方法も特に制限されず、例えば、NCBIのウェブデータベースなどより入手したタンパク質のアミノ酸配列情報をもとに、AKTA oligopilot plus 10/100(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)などで自動合成したオリゴヌクレオチドをPCRなどで連結する方法によって遺伝子を化学的に合成することができる。この際に、タンパク質の精製及び/又は確認を容易にするため、上記のアミノ酸配列のN末端に開始コドン及びHis10タグからなるアミノ酸配列を付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸を合成してもよい。
調節配列は、宿主における改変フィブロインの発現を制御する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合配列、転写終結配列等)であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。プロモーターとして、宿主細胞中で機能し、改変フィブロインを発現誘導可能な誘導性プロモーターを用いてもよい。誘導性プロモーターは、誘導物質(発現誘導剤)の存在、リプレッサー分子の非存在、又は温度、浸透圧若しくはpH値の上昇若しくは低下等の物理的要因により、転写を制御できるプロモーターである。
発現ベクターの種類は、プラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、人工染色体ベクター等、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。発現ベクターとしては、宿主細胞において自立複製が可能、又は宿主の染色体中への組込みが可能で、タンパク質をコードする核酸を転写できる位置にプロモーターを含有しているものが好適に用いられる。
宿主として、原核生物、並びに酵母、糸状真菌、昆虫細胞、動物細胞及び植物細胞等の真核生物のいずれも好適に用いることができる。
原核生物の宿主の好ましい例として、エシェリヒア属、ブレビバチルス属、セラチア属、バチルス属、ミクロバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属及びシュードモナス属等に属する細菌を挙げることができる。エシェリヒア属に属する微生物として、例えば、エシェリヒア・コリ等を挙げることができる。ブレビバチルス属に属する微生物として、例えば、ブレビバチルス・アグリ等を挙げることができる。セラチア属に属する微生物として、例えば、セラチア・リクエファシエンス等を挙げることができる。バチルス属に属する微生物として、例えば、バチルス・サチラス等を挙げることができる。ミクロバクテリウム属に属する微生物として、例えば、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム等を挙げることができる。ブレビバクテリウム属に属する微生物として、例えば、ブレビバクテリウム・ディバリカタム等を挙げることができる。コリネバクテリウム属に属する微生物として、例えば、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス等を挙げることができる。シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物として、例えば、シュードモナス・プチダ等を挙げることができる。
原核生物を宿主とする場合、タンパク質をコードする核酸を導入するベクターとしては、例えば、pBTrp2(ベーリンガーマンハイム社製)、pGEX(Pharmacia社製)、pUC18、pBluescriptII、pSupex、pET22b、pCold、pUB110、pNCO2(特開2002−238569号公報)等を挙げることができる。
真核生物の宿主としては、例えば、酵母及び糸状真菌(カビ等)を挙げることができる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス属、ピキア属、シゾサッカロマイセス属等に属する酵母を挙げることができる。糸状真菌としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ(Trichoderma)属等に属する糸状真菌を挙げることができる。
真核生物を宿主とする場合、改変フィブロインをコードする核酸を導入するベクターとしては、例えば、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)等を挙げることができる。上記宿主細胞への発現ベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができる。例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69,2110(1972)〕、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、プロトプラスト法、酢酸リチウム法、コンピテント法等を挙げることができる。
発現ベクターで形質転換された宿主による核酸の発現方法としては、直接発現のほか、モレキュラー・クローニング第2版に記載されている方法等に準じて、分泌生産、融合タンパク質発現等を行うことができる。
タンパク質は、例えば、発現ベクターで形質転換された宿主を培養培地中で培養し、培養培地中に当該タンパク質を生成蓄積させ、該培養培地から採取することにより製造することができる。宿主を培養培地中で培養する方法は、宿主の培養に通常用いられる方法に従って行うことができる。
宿主が、大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物である場合、培養培地として、宿主が資化し得る炭素源、窒素源及び無機塩類等を含有し、宿主の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、上記形質転換微生物が資化し得るものであればよく、例えば、グルコース、フラクトース、スクロース、及びこれらを含有する糖蜜、デンプン及びデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸及びプロピオン酸等の有機酸、並びにエタノール及びプロパノール等のアルコール類を用いることができる。窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及びリン酸アンモニウム等の無機酸又は有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びにペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕及び大豆粕加水分解物、各種発酵菌体及びその消化物を用いることができる。無機塩類としては、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅及び炭酸カルシウムを用いることができる。
大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物の培養は、例えば、振盪培養又は深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行うことができる。培養温度は、例えば、15〜40℃である。培養時間は、通常16時間〜7日間である。培養中の培養培地のpHは3.0〜9.0に保持することが好ましい。培養培地のpHの調整は、無機酸、有機酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム及びアンモニア等を用いて行うことができる。
また、培養中、必要に応じて、アンピシリン及びテトラサイクリン等の抗生物質を培養培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
発現させたタンパク質の単離、精製は通常用いられている方法で行うことができる。例えば、当該タンパク質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、宿主細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液に懸濁した後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー及びダイノミル等により宿主細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、タンパク質の単離精製に通常用いられている方法、すなわち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA−75(三菱化成社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(Pharmacia社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の方法を単独又は組み合わせて使用し、精製標品を得ることができる。
また、タンパク質が細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に宿主細胞を回収後、破砕し、遠心分離を行うことにより、沈殿画分としてタンパク質の不溶体を回収する。回収したタンパク質の不溶体はタンパク質変性剤で可溶化することができる。該操作の後、上記と同様の単離精製法によりタンパク質の精製標品を得ることができる。当該タンパク質が細胞外に分泌された場合には、培養上清から当該タンパク質を回収することができる。すなわち、培養物を遠心分離等の手法により処理することにより培養上清を取得し、その培養上清から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
成形体前駆体の形状は特に限定されず、例えば、フィルム、ファイバー、ゲル、フォーム(多孔質体)、板状、塊状等であってよい。フィルム状の成形体前駆体は、例えば、タンパク質及び溶媒を含有するタンパク質溶液の膜を形成し、形成された膜から溶媒を除去する方法により得られる。ファイバー状の成形体前駆体は、例えば、タンパク質及び溶媒を含有するタンパク質溶液を紡糸し、紡糸されたタンパク質溶液から溶媒を除去する方法により得られる。すなわち、本実施形態に係る成形体の製造方法は、第一の工程の前に、例えばタンパク質及び溶媒を含有するタンパク質溶液から成形体前駆体を成形する成形工程を更に備えていてもよい。
成形工程において用いられる溶媒は、例えば極性溶媒であってよい。極性溶媒は、例えば、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサフルオロアセトン(HFA)、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)及びギ酸からなる群より選択される1種以上の溶媒を含んでいてよい。極性溶媒は、より高濃度の溶液を得る観点からは、ジメチルスルホキシド単独又はジメチルスルホキシドと水との混合溶媒であってよく、環境に対する悪影響を低減する観点からは水であってよい。
タンパク質溶液におけるタンパク質の含有量は、タンパク質溶液の全質量を基準として、15質量%以上、30質量%以上、40質量%以上又は50質量%以上であってよい。タンパク質の含有量は、タンパク質溶液の製造効率の観点から、タンパク質溶液の全質量を基準として、70質量%以下、65質量%以下、又は60質量%以下であってよい。
タンパク質溶液は、タンパク質及び溶媒に加えて、1種又は2種以上の無機塩を更に含有していてもよい。無機塩は、例えば、以下に示すルイス酸とルイス塩基とからなる無機塩が挙げられる。ルイス塩基は、例えば、オキソ酸イオン(硝酸イオン、過塩素酸イオン等)、金属オキソ酸イオン(過マンガン酸イオン等)、ハロゲン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオンなどであってよい。ルイス酸は、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等の金属イオン、アンモニウムイオン等の多原子イオン、錯イオンなどであってよい。無機塩の具体例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、硝酸リチウム、過塩素酸リチウム、及びチオシアン酸リチウムのようなリチウム塩、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、及びチオシアン酸カルシウムのようなカルシウム塩、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硝酸鉄、過塩素酸鉄、及びチオシアン酸鉄のような鉄塩、並びに、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、及びチオシアン酸アルミニウムのようなアルミニウム塩、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硝酸カリウム、過塩素酸カリウム、及びチオシアン酸カリウムのようなカリウム塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、及びチオシアン酸ナトリウムのようなナトリウム塩、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硝酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、及びチオシアン酸亜鉛のような亜鉛塩、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硝酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、及びチオシアン酸マグネシウムのようなマグネシウム塩、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、硝酸バリウム、過塩素酸バリウム、及びチオシアン酸バリウムのようなバリウム塩、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸ストロンチウム、及びチオシアン酸ストロンチウムのようなストロンチウム塩などが挙げられる。
無機塩の含有量は、タンパク質の全量100質量部に対して、1.0質量部以上、5.0質量部以上、9.0質量部以上、15質量部以上又は20.0質量部以上であってよい。無機塩の含有量は、タンパク質の全量100質量部に対して、40質量部以下、35質量部以下又は30質量部以下であってよい。
タンパク質溶液は、必要に応じて、各種の添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、レベリング剤、架橋剤、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、フィラー、及び合成樹脂が挙げられる。添加剤の含有量は、タンパク質の全量100質量部に対して、50質量部以下であってよい。
ゲル状の成形前駆体は、例えば、国際公開第2014/175177号にフィブロイン由来タンパク質よりゲルを製造する方法が記載されており、基本的にこの方法によって得られる。また、フォーム状の成形前駆体は、フィブロイン由来タンパク質より多孔質体を製造する方法が国際公開第2014/175178号に記載されており、基本的にこの方法によって得られる。さらに、板状又は塊状の、例えばモールド成形体からなる成形前駆体は、例えば、国際公開第2017/047504号の明細書にフィブロイン由来タンパク質よりモールド成形体を製造する方法が記載されており、基本的にこの方法によって得られる。
なお、フィブロイン由来タンパク質よりモールド成形体を製造する際には、例えば以下の操作が実施される。即ち、先ず、タンパク質を含む組成物(タンパク質のみ、或いは他の成分を含む)を加圧成形機の金型に導入した後、金型を加熱すると共に組成物に対して加圧する。所定の加圧下でタンパク質が所定の温度に達するまで加熱及び加圧を継続して、加熱加圧された組成物を得る。次いで、冷却器(例えばスポットクーラー)を用いて金型の温度を下降させ、組成物が所定の温度になったところで、内容物を取り出してモールド成形体を得る。加熱は、80〜300℃で行うことが好ましく、100〜180℃がより好ましく、100〜130℃が更に好ましい。加圧は、5kN以上で行うことが好ましく、10kN以上がより好ましく、20kN以上が更に好ましい。また、所定の加熱加圧条件に達した後、その条件での処理を続ける時間(保温条件)は、0〜100分が好ましく、1〜50分がより好ましく、5〜30分が更に好ましい。
第一の工程は、タンパク質を含有する成形体前駆体と第一の反応剤とを反応させる工程である。第一の反応剤は、タンパク質と反応して結合を形成可能な第一の反応性基を2つ以上有する多官能反応剤であり、第一の工程では、第一の反応剤によりタンパク質が架橋されてよい。
タンパク質は、アミド基、ヒドロキシル基、フェノール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、セレノール基、イミダゾリル基、インドリル基及びグアニジノ基からなる群より少なくとも一種の反応性官能基を有している。第一の反応剤が有する第一の反応性基は、上記反応性官能基と反応して結合を形成可能な基であってよい。
第一の反応性基としては、求電子性基が好ましい。第一の反応性基が求電子性基であると、タンパク質の反応性官能基と付加反応によって容易に結合を形成できる。
求電子性基である第一の反応性基としては、例えば、下記式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)、(A−5)又は(A−6)で表される基が好ましい。なお、各式中の波線は、各基の結合手を示す。
Figure 2019183300
式(A−1)中、Xは酸素原子(O)又は硫黄原子(S)を示す。
としては、酸素原子がより好ましい。
式(A−3)中、Xは脱離基を示す。脱離基は特に限定されず、タンパク質の反応性官能基による求核置換反応が可能な基であればよい。脱離基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I))、スルホン酸エステル基(−OSO)、カルボン酸エステル基(−OCOR)、四級アンモニウム基(−NR )等が挙げられる。Rは、例えば、フッ素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基又はハロゲン化アリール基であってよい。Rは、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基又はハロゲン化アリール基であってよい。Rは、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基又はハロゲン化アリール基であってよい。R、R及びRは置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、エステル基及びスルホン酸エステル基がより好ましく、臭素原子、ヨウ素原子、スルホン酸エステル基が更に好ましい。Rとしては、フッ素原子、アルキル基(特に、メチル基、エチル基、ベンジル基、アリル基)、パーフルオロオロアルキル基(特に、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基)、アリール基(特に、フェニル基、トリル基、ナフチル基、フルオロフェニル基)等がより好ましい。Rとしては、アルキル基(特に、メチル基、エチル基、ベンジル基、アリル基)、パーフルオロオロアルキル基(特に、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基)、アリール基(特に、フェニル基、トリル基、ナフチル基、フルオロフェニル基)等がより好ましい。Rとしては、アルキル基(特に、メチル基、エチル基、ベンジル基、アリル基)、アリール基(特に、フェニル基、トリル基、ナフチル基、フルオロフェニル基)等がより好ましい。
式(A−4)中、Xは酸素原子(O)、硫黄原子(S)、−NR−で表される基、又は、−C(R−で表される基を示す。Rは、例えば、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基又はハロゲン化アリール基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基、アシル基、カーバメート基であってよい。Rは、電子求引性基を示す。電子求引性基としては、例えば、カルボニル基、シアノ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。2つのRは互いに同一でも異なっていてもよい。R及びRは置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
としては、酸素原子がより好ましい。Rとしては、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基、アシル基、カーバメート基等がより好ましい。
式(A−5)中、Xは酸素原子(O)又は硫黄原子(S)を示し、Yはハロゲン原子、ヒドロキシル基、−Rで表される基、−ORで表される基、又は、−OCORで表される基を示す。Rは、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基又はハロゲン化アリール基であってよい。Rは置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
としては、酸素原子がより好ましい。Yとしては、ハロゲン原子、−ORで表される基、又は、−OCORで表される基等がより好ましい。Rとしては、アルキル基、アリール基等がより好ましい。
式(A−6)中、Xは酸素原子(O)又は硫黄原子(S)を示し、Yは酸素原子(O)、硫黄原子(S)又はNRで表される基を示す。Rは例えば、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、カーバメート基、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基又はハロゲン化アリール基であってよい。Rは置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
としては、酸素原子がより好ましい。Yとしては、酸素原子がより好ましい。Rとしては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、カーバメート基等がより好ましい。
第一の反応剤は、第一の反応性基を2以上有する化合物であればよい。第一の反応剤が有する第一の反応性基の数は、特に限定されず、例えば2〜10000であってよく、好ましくは2〜1000である。
第一の工程は、例えば、第一の反応剤を含有する第一の反応液と、成形体前駆体とを接触させて加熱することで実施してよい。
第一の反応液は、無溶媒であってよく、溶媒を更に含有していてもよい。第一の反応液の溶媒は特に限定されず、例えば、第一の反応剤を溶解可能であり、且つ、タンパク質の反応性官能基と第一の反応性基との反応を阻害しないものであればよい。第一の反応性基が求電子性基である場合、第一の反応液の溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を好適に用いることができる。
第一の工程における反応条件は特に限定されず、タンパク質の反応性官能基と第一の反応性基とが反応する条件であればよい。
第一の工程では、第一の反応剤の少なくとも一部がタンパク質を架橋し、且つ、第一の反応性基の少なくとも一部が中間体中に残存することが好ましい。すなわち、第一の工程では、第一の反応剤により架橋されたタンパク質を含み、且つ、第一の反応性基を有する中間体が得られることが好ましい。
例えば、第一の反応剤が第一の反応性基を2つ有する化合物であるとき、第一の反応剤の一部は、タンパク質を架橋(すなわち、第一の反応性基の両方がタンパク質と反応)していてよい。また、第一の反応性基の他の一部は、第一の反応性基の一方のみでタンパク質と反応していてよく、このとき、もう一方の第一の反応性基は未反応で、中間体中に残存していてよい。
また、例えば、第一の反応剤が第一の反応性基を3つ以上有する化合物であるとき、第一の反応剤の一部は、全ての第一の反応性基でタンパク質を架橋(すなわち、第一の反応性基の全てがタンパク質と反応)していてよく、第一の反応剤の他の一部は、一部の第一の反応性基がタンパク質と反応し、他の一部の第一の反応性基が未反応で中間体中に残存していてもよい。
第一の工程の反応は、第一の反応剤により、タンパク質の反応性官能基を起点として、架橋構造、又は、第一の反応性基を有する側鎖を形成する反応ということもできる。架橋構造及び側鎖の量は、反応に用いる第一の反応剤の量によって調節することができる。第一の反応剤の使用量を少なくすることで、側鎖が少なく、架橋構造が多く形成される傾向があり、第一の反応剤の使用路由を多くすることで、架橋構造が少なく、側鎖が多く形成される傾向がある。
なお、架橋構造及び側鎖の量の調節は、例えば、第一の工程の実施に先立って、第一の反応剤が有する第一の反応性基の一部に、第二の反応剤が有する第二の反応性基を反応させる前工程を行うことによっても実現できる。このような前工程で用いる第二の反応剤の第一の反応剤に対する量等を適宜に調整することで、前工程で第二の反応性基と反応せずに残存する第一の反応性基の数をコントロールすることができる。それによって、第一の工程で、第一の反応性基のタンパク質との結合量を容易に調節することが可能となり、その結果として、タンパク質の架橋構造及び側鎖の量を容易にコントロールすることができるようになる。
すなわち、本実施形態に係る製造方法は、第一の工程の前に、第一の反応剤の一部と第二の反応剤の一部とを反応させて、第一の反応剤が有する第一の反応性基の一部と、第二の反応剤が有する第二の反応性基の一部とを反応させる前工程を更に備えていてよい。
架橋構造を多く形成することで、成形体の耐水性、機械的強度、耐熱性等が向上する傾向があり、側鎖を多く形成することで、成形体に付与される機能性(例えば、後述の質感)が向上する傾向がある。本実施形態では、所望の特性に応じて、架橋構造及び側鎖の割合を適宜調節してよい。なお、本明細書中、耐水性とは、例えば、水分との接触による収縮量を抑制可能な特性や、水分との接触後の乾燥時における収縮量を抑制可能な特性等を示す。
第一の工程では、タンパク質と第一の反応剤との反応物を含む中間体が得られる。当該反応物中、タンパク質は第一の反応剤により架橋されており、未反応の第一の反応性基が残存していてよい。すなわち、上記反応物は、タンパク質に由来するポリペプチド骨格と、ポリペプチド骨格を架橋する架橋部と、ポリペプチド骨格に結合し、末端に第一の反応性基を有する側鎖部と、を含有していてよい。
第二の工程は、第一の工程で得られた中間体と、第二の反応剤とを反応させる工程である。第二の反応剤は、第一の反応性基と反応して結合を形成可能な第二の反応性基を1つ有している。第二の工程は、中間体中に残存する第一の反応性基を、第二の反応剤と反応させる工程ということもできる。
第二の反応剤が有する第二の反応性基は特に限定されず、第一の反応性基の種類に応じて適宜変更してよい。例えば、第一の反応性基が求電子性基である場合、第二の反応性基は求核性基であることが好ましい。
求核性基である第二の反応性基としては、例えば、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、下記式(B−1)で表される基等が挙げられる。
Figure 2019183300
式(B−1)中、Xは酸素原子(O)又は硫黄原子(S)を示す。
式(B−1)で表される基としては、例えば、下記式(B−1−1)で表される基が挙げられる。
Figure 2019183300
式(B−1−1)中、Yは一価の基を示す。Yは、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルスルフィド基、アリールスルフィド基、1置換アミノ基、2置換アミノ基等であってよく、好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、1置換アミノ基である。Yは置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
第二の反応剤は、第二の反応性基を1つ有する化合物であればよく、第二の工程の反応(第一の反応性基と第二の反応性基との反応)に不活性な機能性基を更に有していてよい。このような第二の反応剤によれば、中間体中の未反応の第一の反応性基を起点として、容易に成形体に機能性基を導入することができる。
機能性基は特に限定されず、成形体に直接的に機能性を付与する基であってよく、成形体に更なる反応剤との反応性を付与する基であってもよい。
機能性基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の炭化水素基;アリール基、複素環基等の環構造を有する基;保護基で保護された反応性基(ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基等);カルボニル基(−C(=O)−)、エーテル結合(−O−)、アミド結合(>NC(=O)−)、ウレタン結合(>NC(=O)O−)、ウレア結合(>N(C=O)N<)カーボネート結合(−OC(=O)O−)等の構造を有する基;アルコキシシリル基、スルホニル基(−S(=O)−)、カルボキシル基(−C(=O)OH)、スルホン酸基(−S(=O)OH)、及び、第四級アンモニウム基等が挙げられる。
例えば、機能性基がアルキル基であると、成形体の質感が向上する。このため、例えば、成形体が繊維状又は布状である場合、機能性基としてアルキル基を有する第二の反応剤を用いることで、質感に優れ、風合いの良い素材を得ることができる。
従来のタンパク質素材は、架橋によって耐水性や強度の向上を図ると、素材の手触りが悪化して、人肌に触れる用途に使用しにくくなる場合があった。しかし、本実施形態によれば、架橋による耐水性及び機械的強度を維持しつつ、機能性基によって優れた質感及び風合いが得られ、人肌に触れる用途に好適に使用可能な素材を得ることができる。
機能性基の導入による。
第二の工程は、例えば、第二の反応剤を含有する第二の反応液と、中間体とを接触させて加熱することで実施してよい。
第二の反応液は、無溶媒であってよく、溶媒を更に含有していてもよい。第二の反応液の溶媒は特に限定されず、例えば、第二の反応剤を溶解可能であり、且つ、第一の反応性基と第二の反応性基との反応を阻害しないものであればよい。第一の反応性基が求電子性基、第二の反応性基が求核性基である場合、第二の反応液の溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を好適に用いることができる。
第二の工程において、第二の反応剤の使用量は特に限定されない。第二の反応剤の使用量は、例えば、中間体中の第一の反応性基の量を超える量であってよい。
第二の工程では、中間体中の第一の反応性基の一部又は全部が第二の反応性基と反応して消費される。成形体中には、可能な限り、第一の反応性基が残存しないことが望ましい。このため、本実施形態では、第一の反応性基の全部が第二の反応性基との反応又は他の副反応により消費されることが好ましい。
第二の工程により、タンパク質架橋体を含有する成形体が得られる。ここで、本実施形態において、タンパク質架橋体は、タンパク質由来のポリペプチド骨格と、第一の反応剤の残基である第一の残基と、第二の反応剤の残基である第二の残基と、をそれぞれ複数有している。また、第一の残基の少なくとも一つは、ポリペプチド骨格を架橋している。また、第一の残基の少なくとも一つ(ポリペプチド骨格を架橋する第一の残基と同じでも異なっていてもよい。)は、一端でポリペプチド骨格と結合し、他端で第二の残基と結合している。
本明細書中、第一の残基は、第一の反応剤から、第一の反応性基を除いた残りの構造を示す。また、第二の残基は、第二の反応剤から、第二の反応性基を除いた残りの構造を示す。
ポリペプチド骨格と第一の残基とは、タンパク質の反応性官能基及び第一の反応性基の反応により形成される結合(例えば、反応性官能基がアミノ基、第一の反応性基がイソシアネート基の場合は、ウレア結合)によって結合している。また、第一の残基と第二の残基とは、第一の反応性基及び第二の反応性基の反応により形成される結合(例えば、第一の反応性基がイソシアネート基、第二の反応性基がヒドロキシル基の場合は、ウレタン結合)によって結合している。
本実施形態に係る製造方法では、第一の反応剤によってタンパク質が架橋され、耐水性、機械的強度、耐熱性等に優れた成形体が得られる。また、本実施形態に係る製造方法では、中間体中に残存する第一の反応性基を起点として第二の反応剤により機能性基を付与できるため、様々な機能性を有する成形体を容易に得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(製造例1:成形体前駆体の製造)
〔(1)改変クモ糸フィブロイン(タンパク質)の製造〕
(改変クモ糸フィブロインをコードする核酸の合成、及び発現ベクターの構築)
配列番号13で示されるアミノ酸配列を有する改変クモ糸フィブロイン(PRT799)を設計した。
配列番号13で示されるアミノ酸配列は、配列番号9で示されるアミノ酸配列中に存在する20個のドメイン配列の領域(但し、当該領域のC末端側の数アミノ酸残基が置換されている。)を4回繰り返した配列のC末端にHisタグが付加されたアミノ酸配列に対し、N末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(Hisタグを含む)を付加したものである。
設計した改変クモ糸フィブロインをコードする核酸を合成した。当該核酸には、5’末端にNdeIサイト、終止コドン下流にEcoRIサイトを付加した。この核酸をクローニングベクター(pUC118)にクローニングした。その後、同核酸をNdeI及びEcoRIで制限酵素処理して切り出した後、タンパク質発現ベクターpET−22b(+)に組換えて発現ベクターを得た。
(改変クモ糸フィブロインの発現)
得られたpET−22b(+)発現ベクターで、大腸菌BLR(DE3)を形質転換した。当該形質転換大腸菌を、アンピシリンを含む2mLのLB培地で15時間培養した。当該培養液を、アンピシリンを含む100mLのシード培養用培地(表1)にOD600が0.005となるように添加した。培養液温度を30℃に保ち、OD600が5になるまでフラスコ培養を行い(約15時間)、シード培養液を得た。
Figure 2019183300
当該シード培養液を500mlの生産培地(下記表2)を添加したジャーファーメンターにOD600が0.05となるように添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持した。
Figure 2019183300
生産培地中のグルコースが完全に消費された直後に、フィード液(グルコース455g/1L、Yeast Extract 120g/1L)を1mL/分の速度で添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持しながら、20時間培養を行った。その後、1Mのイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)を培養液に対して終濃度1mMになるよう添加し、目的とする改変フィブロインを発現誘導させた。IPTG添加後20時間経過した時点で、培養液を遠心分離し、菌体を回収した。IPTG添加前とIPTG添加後の培養液から調製した菌体を用いてSDS−PAGEを行い、IPTG添加に依存した目的とする改変フィブロインに相当するサイズのバンドの出現により、目的とする改変クモ糸フィブロインの発現を確認した。
(改変クモ糸フィブロインの精製)
IPTGを添加してから2時間後に回収した菌体を20mM Tris−HCl buffer(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の菌体を約1mMのPMSFを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(GEA Niro Soavi社製)で細胞を破砕した。破砕した細胞を遠心分離し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、高純度になるまで20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の沈殿物を100mg/mLの濃度になるように8M グアニジン緩衝液(8M グアニジン塩酸塩、10mM リン酸二水素ナトリウム、20mM NaCl、1mM Tris−HCl、pH7.0)で懸濁し、60℃で30分間、スターラーで撹拌し、溶解させた。溶解後、透析チューブ(三光純薬株式会社製のセルロースチューブ36/32)を用いて水で透析を行った。透析後に得られた白色の凝集タンパク質を遠心分離により回収した。回収した凝集タンパク質から凍結乾燥機で水分を除き、目的とする改変フィブロインの凍結乾燥粉末を得た。
得られた凍結乾燥粉末における目的とする改変クモ糸フィブロインの精製度は、粉末のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果をTotallab(nonlinear dynamics ltd.)を用いて画像解析することにより確認した。その結果、いずれの改変クモ糸フィブロインも精製度は約85%であった。
〔(2)改変クモ糸フィブロイン繊維(改変タンパク質繊維)の製造〕
(ドープ液の調製)
ジメチルスルホキシド(DMSO)に、上述のクモ糸フィブロイン(PRT799)を濃度24質量%となるよう添加した後、溶解促進剤としてLiClを濃度4.0質量%となるように添加した。その後、シェーカーを使用して、クモ糸フィブロインを3時間かけて溶解させ、DMSO溶液を得た。得られたDMSO溶液中のゴミと泡を取り除き、ドープ液とした。ドープ液の溶液粘度は90℃において5000cP(センチポアズ)であった。
(紡糸)
上記のようにして得られたドープ液と公知の乾湿式紡糸装置とを用いて乾湿式紡糸を行って、クモ糸フィブロインからなるモノフィラメントを得た。なお、ここでは、乾湿式紡糸を下記の条件で行った。
凝固液(メタノール)の温度:5〜10℃
延伸倍率:6倍
乾燥温度:80℃
上記のようにして得た改変クモ糸フィブロイン繊維を用いて公知の方法により紡績糸を製造し、この改変クモ糸フィブロイン繊維からなる紡績糸と公知の編機とを用いて、横編みにより5cm角の編地を編成した。なお、改変クモ糸フィブロイン繊維からなる紡績糸の番手は58.1Nmであり、編機のゲージ数は18であった。
(実施例1)
製造例1で得た試験サンプル(5cm角の編地)を、ヘキサンジイソアネート(HDI)20mL中に浸漬した。次いで、HDIが含浸した試験サンプルをアルミホイルに挟み、130℃で30分加熱した。加熱後、試験サンプルを取り出し、ブタノール(BuOH)20ml中に浸漬し、100℃で240分反応させた。反応後の試験サンプルをTHFで洗浄し、成形体を得た。
(比較例1)
製造例1で得た試験サンプルを、比較例1の成形体として評価した。
(比較例2)
製造例1で得た試験サンプルを、ヘキサンジイソアネート(HDI)20mL中に浸漬した。次いで、HDIが含浸した試験サンプルをアルミホイルに挟み、130℃で30分加熱した。その後、試験サンプルをTHFで洗浄して、比較例2の成形体を得た。
実施例及び比較例の成形体について、以下の試験方法で耐水性及び質感を評価した。
<耐水性評価>
成形体に鉛筆で3cm角の正方形を描き、評価サンプルとした。評価サンプルをPanasonic製洗濯機(Na−VG1100L)の洗濯モード「お家クリーニング」で洗濯した。次いで、同じ洗濯機で15分脱水し、120分自然乾燥させた。洗濯前後の正方形の縦横の長さをそれぞれ測定し、縦向及び横方向の収縮率を求めた。同じ試験を3回行い、3回の平均値を評価結果とした。結果を表3に示す。
<質感評価>
成形体の肌触りを三段階で評価した。比較例1の成形体(処理前の成形体前駆体)の肌触りを基準(B)とし、それより風合いに優れる成形体をA、肌触りが荒く風合いに劣る成形体をCとして評価した。結果を表3に示す。
Figure 2019183300

Claims (9)

  1. タンパク質を含有する成形体前駆体と、前記タンパク質と反応して結合を形成可能な第一の反応性基を2つ以上有する第一の反応剤とを反応させて、中間体を得る第一の工程と、
    前記中間体と、前記第一の反応性基と反応して結合を形成可能な第二の反応性基を1つ有する第二の反応剤とを反応させて、成形体を得る第二の工程と、
    を備える、成形体の製造方法。
  2. 前記第一の工程において、前記第一の反応剤の少なくとも一部が前記タンパク質を架橋し、且つ、前記第一の反応性基の少なくとも一部が前記中間体中に残存するように、前記タンパク質と前記第一の反応剤とを反応させる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第二の工程において、前記中間体中に残存する前記第一の反応性基と前記第二の反応性基とが反応して結合を形成するように、前記中間体と前記第二の反応剤とを反応させる、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記第一の反応性基が求電子性基であり、前記第二の反応性基が求核性基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記第一の反応性基がイソシアネート基であり、前記第二の反応性基がヒドロキシル基、アミノ基及びチオール基からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記第二の反応性基が、前記第二の反応性基と炭化水素基とからなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記成形体が、ポリペプチド骨格、前記第一の反応剤の残基である第一の残基、及び、前記第二の反応剤の残基である第二の残基を、それぞれ複数有するタンパク質架橋体を含有し、
    前記第一の残基の少なくとも一つが、前記ポリペプチド骨格を架橋しており、
    前記第一の残基の少なくとも一つが、一端で前記ポリペプチド骨格と結合し、他端で前記第二の残基と結合している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 第一の工程の前に、前記第一の反応剤の一部と前記第二の反応剤の一部とを反応させて、前記第一の反応剤が有する前記第一の反応性基の一部と、前記第二の反応剤が有する前記第二の反応性基の一部とを反応させる前工程を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. タンパク質架橋体を含有する成形体であって、
    前記タンパク質架橋体が、ポリペプチド骨格と、タンパク質と反応して結合を形成可能な第一の反応性基を2つ以上有する第一の反応剤の残基である第一の残基と、前記第一の反応性基と反応して結合を形成可能な第二の反応性基を1つ有する第二の反応剤の残基である第二の残基と、をそれぞれ複数有し、
    前記第一の残基の少なくとも一つが、前記ポリペプチド骨格を架橋しており、
    前記第一の残基の少なくとも一つが、一端でポリペプチド骨格と結合し、他端で前記第二の残基と結合している、成形体。
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