JP2019183123A - ゴム組成物、ウェザーストリップ、及びホース - Google Patents

ゴム組成物、ウェザーストリップ、及びホース Download PDF

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Abstract

【課題】伸び性の低下を抑制しつつ、剛性を向上させた、ゴム組成物、ウェザーストリップ、及びホースの提供。【解決手段】エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴムから選ばれる少なくとも一種のゴム成分と、ゴム成分100質量部あたり1.5〜30質量部のフルオレン変性セルロースナノ繊維と、ゴム成分100質量部あたり30〜120質量部の炭素系フィラーとを含有するゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、並びにそのゴム組成物からなるウェザーストリップ及びホースに関する。
特許文献1には、ゴム組成物にセルロースナノ繊維を含有させることにより、ゴム組成物の耐摩耗性や機械的強度を向上させる技術が開示されている。
特許文献2には、セルロースナノ繊維に関して、重合性フルオレン化合物をグラフト結合させたフルオレン変性セルロースナノ繊維とすることにより、樹脂等の有機媒体に対する親和性及び分散性を向上させる技術が開示されている。
ゴム組成物からなるホースとしては、例えば、特許文献3に開示されるように、車両のエンジンの吸気系に配設されるエアクリーナホースが知られている。
特許第5940192号公報 特開2017−222777号公報 特開2005−282449号公報
ところで、ゴム組成物からなるゴム成形品には、剛性と伸び性の両方の性質が求められる場合がある。例えば、エアクリーナホースには、ホース内に作用する吸気負圧に耐えるための剛性が求められる一方、エンジンの振動を吸収すべく、ある程度の変形を許容する伸び性も求められる。しかしながら、ゴム組成物の剛性と伸び性は二律背反の関係にあり、両方の性質を同時に得ることは難しい。
本発明者らは、ゴム組成物において、ゴム成分と、炭素系フィラーと、フルオレン変性セルロースナノ繊維とを特定の割合で含有させることにより、伸び性の低下を抑えつつ、剛性が向上することを見出した。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ゴム組成物、ウェザーストリップ、及びホースについて、伸び性の低下を抑制しつつ、剛性を向上させることにある。
上記の目的を達成するためのゴム組成物は、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴムから選ばれる少なくとも一種のゴム成分と、前記ゴム成分100質量部あたり1.5〜30質量部のフルオレン変性セルロースナノ繊維と、前記ゴム成分100質量部あたり30〜120質量部の炭素系フィラーとを含有する。
上記ゴム組成物において、前記ゴム成分100質量部あたり30〜150質量部のクレーを含有することが好ましい。
上記の目的を達成するためのウェザーストリップは、上記ゴム組成物からなる。
上記の目的を達成するためのホースは、上記ゴム組成物からなる。
上記ホースにおいて、前記ゴム成分は、エチレンプロピレンジエンゴムであり、前記ゴム成分100質量部あたり1.5〜25質量部の前記フルオレン変性セルロースナノ繊維を含有することが好ましい。
上記ホースにおいて、前記ゴム成分は、エチレンプロピレンジエンゴムであり、前記ゴム成分100質量部あたり1.5〜20質量部の前記フルオレン変性セルロースナノ繊維を含有し、エアクリーナホースであることが好ましい。
上記ホースにおいて、前記ゴム成分は、クロロプレンゴムであり、前記ゴム成分100質量部あたり1.5〜9質量部の前記フルオレン変性セルロースナノ繊維を含有し、エアクリーナホースであることが好ましい。
本発明によれば、伸び性の低下を抑えつつ、剛性を向上させることができる。
以下、本発明を具体化したゴム組成物の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態のゴム組成物は、例えば、剛性と伸び性の両方の性質が求められる車両部品等のゴム成形品に適用される。ゴム組成物の成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、及びプレス成形が挙げられる。剛性と伸び性の両方の性質が求められる車両部品としては、例えば、エアクリーナホース、ブレーキホース、リザーバーホース、ウォーターホース等のホース、ウェザーストリップが挙げられる。
本実施形態のゴム組成物は、ゴム成分と、フルオレン変性セルロースナノ繊維と、炭素系フィラーとを含有する。
<ゴム成分>
ゴム成分は、加硫ゴムであり、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴムから選ばれる少なくとも一種である。
エチレンプロピレンジエンゴムは、特に限定されるものではなく、公知のエチレンプロピレンジエンゴムを用いることができる。エチレンプロピレンジエンゴムのジエン成分としては、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンが挙げられる。エチレンプロピレンジエンゴムにおけるエチレンの含量は、例えば、50〜70質量%であり、ジエン成分の含量は、例えば、4.0質量%以上である。
クロロプレンゴムは、特に限定されるものではなく、公知のクロロプレンゴムを用いることができる。
ニトリルゴムは、特に限定されるものではなく、公知のニトリルゴムを用いることができる。
アクリルゴムは、特に限定されるものではなく、公知のアクリルゴムを用いることができる。公知のアクリルゴムとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル、及び2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、2−メトキシプロピルアクリレート等のアクリル酸アルコキシアルキルエステルから選ばれる一種又は二種以上のアクリルエステルモノマーと、2−クロロエチルビニルエーテル、ビニルクロロアセテート等の塩素系モノマー、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ系モノマー又は5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)等のジエン系モノマーとからなるものが挙げられる。
ゴム成分は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
<フルオレン変性セルロースナノ繊維>
フルオレン変性セルロースナノ繊維は、例えば、セルロース繊維に対して、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物が重合性単量体としてグラフト結合した変性セルロース繊維である。
フルオレン変性セルロースナノ繊維を構成するセルロース繊維は、例えば、パルプを微細化(ミクロフィブリル化)したセルロースナノ繊維である。セルロース繊維の原料となるパルプは、特に限定されるものではないが、リグニン、ヘミセルロース等の非セルロース成分の含有量が少ないパルプが好ましい。また、パルプは、パルプ材を機械的に処理した機械パルプであってもよいし、パルプ材を化学的に処理した化学パルプであってもよい。
セルロース繊維にグラフト結合される重合性単量体は、下記一般式(1)で示される9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物である。
一般式(1)において、環Zはアレーン環である。
環Zで表されるアレーン環として、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環には、縮合多環式アレーン環(縮合多環式炭化水素環)、環集合アレーン環(環集合芳香族炭化水素環)などが含まれる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン(例えば、ナフタレンなどの縮合二環式C10−16アレーン)環、縮合三環式アレーン(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)環などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特に、ナフタレン環が好ましい。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよい。
環集合アレーン環としては、ビアレーン環、例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環など)などのビC6−12アレーン環、テルアレーン環、例えば、テルフェニレン環などのテルC6−12アレーン環などが例示できる。好ましい環集合アレーン環としては、ビC6−10アレーン環、特にビフェニル環などが挙げられる。
一般式(1)において、Rは、アルキレン基である。
アルキレン基Rには、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が含まれ、直鎖状アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基(好ましくは直鎖状C2−4アルキレン基、さらに好ましくは直鎖状C2−3アルキレン基、特にエチレン基)が例示でき、分岐鎖状アルキレン基としては、例えば、プロピレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基などの分岐鎖状C3−6アルキレン基(好ましくは分岐鎖状C3−4アルキレン基、特にプロピレン基)などが挙げられる。なお、mが2以上の整数である場合、アルキレン基Rの種類は、同一又は異なっていてもよい。また、アルキレン基Rの種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
一般式(1)において、オキシアルキレン基(OR)の数を示すmは、0又は1以上の整数である。
オキシアルキレン基(OR)の数mは、0〜20の整数(例えば、0〜15の整数)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜10(例えば、1〜8)の整数、好ましくは0〜5(例えば、1〜5)の整数、さらに好ましくは0〜4(例えば、1〜4)の整数、特に0〜3(例えば、1〜3)程度の整数であってもよく、通常、0〜2の整数(例えば、0又は1)であってもよい。
一般式(1)において、X及びXはそれぞれ独立してラジカル重合性基又は水素原子である。ただし、X及びXのうちの少なくとも一方はラジカル重合性基である。
ラジカル重合性基X及びXは、同一又は異なって、下記一般式(2a)で表されるアリル基、下記一般式(2b)で表される(メタ)アクリロイル基、又は下記一般式(2c)で表される基であってもよい。
一般式(2b)において、Rは水素原子又はメチル基である。一般式(2c)において、R3a及びR3bはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基であり、Rは水素原子又はアルキル基である。
3a、R3b、Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基(好ましくはC1−4アルキル基)などが挙げられる。好ましいR3a及びR3bとしては、例えば、R3a及びR3bの双方が水素原子である場合、R3a及びR3bの一方が水素原子であり、他方がアルキル基(特にメチル基)である場合が挙げられる。
このような重合性基X及びXを有するフルオレン化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい重合性基X及びXは、重合性不飽和二重結合を有する多価カルボン酸又はその反応性誘導体に由来する重合性基、例えば、一般式(2c)で表される重合性基が含まれる。この場合には、セルロース繊維とのグラフト反応により、修飾セルロース繊維に活性なカルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を導入できる。なお、一部のカルボキシル基又はアルコキシカルボニル基は、セルロース繊維のヒドロキシル基と反応していてもよい。
一般式(1)において、基[X−(OR)m−](XはX又はXを示す。以下、同じ)の置換数を示すn1及びn2は、それぞれ独立して0又は1以上の整数(例えば、0〜3の整数)である。ただし、同時に「0」であることはなく、n1及びn2のうち少なくとも一方が、環Zの種類に応じて、1以上の整数である。置換数n1及びn2は、例えば、1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数、さらに好ましくは1又は2の整数、特に1であってもよい。なお、置換数n1及びn2は、それぞれの環Zにおいて、同一又は異なっていてもよく、n1及びn2のうちラジカル重合性基を含む置換基の置換数に対応する少なくとも一方は1以上の整数(例えば、1〜3の整数、特に1又は2)であってもよい。
好ましい態様としては、例えば、Xがラジカル重合性基、Xがラジカル重合性基又は水素原子であり、n1及びn2が1である場合が挙げられる。重合性基X及びXは、アリル基、(メタ)アクリロイル基、特に一般式(2c)で表される重合性基が好ましい。
なお、基[X−(OR)m−]は、環Zの適当な位置に置換できる。例えば、環Zがベンゼン環である場合には、フェニル基の2−,3−,4−位(特に、3−位及び/又は4−位)に置換している場合が挙げられる。環Zがナフタレン環である場合には、ナフチル基の5〜8−位である場合が挙げられ、さらに詳しくは、フルオレンの9−位に対してナフタレン環の1−位又は2−位が置換し(1−ナフチル又は2−ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、1,5−位、2,6−位などの関係(特にnが1である場合、2,6−位の関係)で基[X−(OR)m−]が置換している場合が挙げられる。
また、nが2以上である場合、置換位置は、特に限定されない。また、環集合アレーン環Zにおいて、基[X−(OR)m−]の置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9−位に結合したアレーン環及び/又はこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環Zの3−位又は4−位がフルオレンの9−位に結合していてもよく、ビフェニル環Zの4−位がフルオレンの9−位に結合しているとき、基[X−(OR)m−]の置換位置は、2−,3−,2’−,3’−,4’−位のいずれであってもよく、2−,3’−,4’−位、好ましくは2−,4’−位(特に、2−位)に置換していてもよい。
一般式(1)において、Rは置換基である。
置換基Rとしては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基[フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル(トリル)基、ジメチルフェニル(キシリル)基など)、ビフェニル基、ナフチル基などのC6−12アリール基]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC1−10アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロへキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基など)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基など)、アシル基(例えば、アセチル基などのC1−6アシル基など)、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキルアミノ基など)、ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1−4アルキル−カルボニルアミノ基など)などが例示できる。
これらの置換基Rのうち、代表的には、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい置換基Rとしては、アルコキシ基、アルキル基など、特にメチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基が挙げられる。なお、置換基Rがアリール基であるとき、置換基R4は、環Zとともに、環集合アレーン環を形成してもよい。置換基Rの種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
一般式(1)において、置換数を示すpは、0又は1以上の整数である。
置換数pの数は、環Zの種類などに応じて適宜選択でき、例えば、0〜8の整数であり、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは0〜3(例えば、0〜2)の整数である。また、pは、0又は1であってもよい。pが1である場合としては、例えば、環Zがベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環であり、置換基Rがメチル基である場合が挙げられる。
一般式(1)において、Rは、置換基である。
置換基Rとして、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基)、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)などが挙げられる。好ましい置換基Rとしては、アルキル基、カルボキシ基又はC1−2アルコキシ−カルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子など、特にメチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基が挙げられる。
一般式(1)において、置換数を示すkは0〜4の整数である。
置換数kは0〜4(例えば、0〜3)の整数、好ましくは0〜2の整数(例えば、0又は1)、特に0である。なお、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよく、kが2以上である場合、置換基Rの種類は互いに同一又は異なっていてもよく、フルオレン環の2つのベンゼン環に置換する置換基Rの種類は同一又は異なっていてもよい。また、置換基Rの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2−位乃至7−位(2−位、3−位及び/又は7−位など)であってもよい。
一般式(1)で示される重合性フルオレン化合物のうち、代表的な化合物を以下に例示する。
k=0、p=0、n1及びn2=1、X及びXが重合性基(3−カルボキシアクリロイル基)である化合物として、例えば、9,9−ビス(4−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジ(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(6−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニル−3−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−メチル−4−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[4−フェニル−3−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレンが挙げられる。
k=0、p=0、n1及びn2=1、X及びXが重合性基(3−カルボキシアクリロイル基)である化合物として、例えば、9,9−ビス(4−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジ(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(6−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニル−3−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−メチル−4−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[4−フェニル−3−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレンが挙げられる。
k=0、p=0、n1及びn2=1、Xが重合性基(3−カルボキシアクリロイル基)、Xが水素原子である化合物として、例えば、9−(4−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)−9−(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9−(3−メチル−4−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)−9−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9−(3,4−ジ(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)−9−(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9−(6−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)−2−ナフチル)−9−(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、9−(4−フェニル−3−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)フェニル)−9−(4−フェニル−3−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9−[4−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)フェニル]−9−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9−[3−メチル−4−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)フェニル]−9−[3−メチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9−[6−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)−2−ナフチル]−9−[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9−[4−フェニル−3−(2−(3−カルボキシアクリロイルオキシ)エトキシ)フェニル]−9−[4−フェニル−3−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンが挙げられる。
フルオレン変性セルロースナノ繊維において、セルロース繊維に結合した重合性フルオレン化合物の割合は、フルオレン変性セルロースナノ繊維の総量に対して、0.01〜20質量%程度の範囲から選択でき、例えば、0.05〜15質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%(例えば、0.3〜7質量%)、さらに好ましくは0.5〜5質量%(例えば、0.7〜3質量%)である。
フルオレン変性セルロースナノ繊維の平均繊維径は、例えば、1〜1000nm、好ましくは4〜500nm、さらに好ましくは10〜200nm程度であってもよい。
フルオレン変性セルロースナノ繊維の平均繊維長は、例えば、0.01〜500μm程度の範囲から選択でき、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは30μm以上であってもよい。
フルオレン変性セルロースナノ繊維の平均繊維径に対する平均繊維長の割合(アスペクト比)は、例えば、5〜10000である。
フルオレン変性セルロースナノ繊維の飽和吸水率は、例えば、8質量%以下(例えば、5質量%以下)である。また、水分含有量は、例えば、温度25℃、湿度60%の条件下、1昼夜放置したとき、0〜7質量%(例えば、0〜5質量%)、好ましくは5質量%以下(例えば、0.1〜5質量%)、さらに好ましく3質量%程度以下である。
フルオレン変性セルロースナノ繊維の結晶化度は、例えば、40〜95%(例えば、50〜90%)、好ましくは60〜95%(例えば、65〜90%)、さらに好ましくは70〜90%(例えば、75〜85%)程度であってもよく、通常、結晶化度が60%以上(例えば、75〜90%程度)であってもよい。
ゴム組成物におけるフルオレン変性セルロースナノ繊維の含有量は、ゴム成分100質量部あたり1.5〜30質量部であり、2〜30質量部であることが好ましく、2.5〜30質量部であることがより好ましい。上記含有量を1.5質量部以上とすることにより、ゴム組成物の剛性を向上させることができる。上記含有量を30質量部以下とすることにより、ゴム組成物の伸び性の大きな低下を抑制できる。また、フルオレン変性セルロースナノ繊維は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、ゴム組成物が、エチレンプロピレンジエンゴムをゴム成分とするホースに適用される場合、フルオレン変性セルロースナノ繊維の含有量は、ゴム成分100質量部あたり1.5〜25質量部であることが好ましい。さらに、ゴム組成物が、エチレンプロピレンジエンゴムをゴム成分とするエアクリーナホースに適用される場合、フルオレン変性セルロースナノ繊維の含有量は、ゴム成分100質量部あたり1.5〜20質量部であることが好ましい。
また、ゴム組成物が、クロロプレンゴムをゴム成分とするエアクリーナホースに適用される場合、フルオレン変性セルロースナノ繊維の含有量は、ゴム成分100質量部あたり1.5〜9質量部であることが好ましい。
<炭素系フィラー>
炭素系フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、石油コークス、グラファイト、カーボンナノチューブが挙げられる。
炭素系フィラーは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭素系フィラーの平均粒子径(メジアン径)は、例えば、0.4nm〜100μmである。
ゴム組成物における炭素系フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部あたり30〜120質量部であり、60〜120質量部であることがより好ましい。炭素系フィラーの含有量を上記範囲とすることにより、フルオレン変性セルロースナノ繊維による剛性の向上効果を高めることができる。
<プロセスオイル>
ゴム組成物は、好ましくはプロセスオイルを更に含有する。
プロセスオイルは特に限定されるものではなく、公知のプロセスオイルを用いることができる。公知のプロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族炭化水素系オイルが挙げられる。
プロセスオイルは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム組成物におけるプロセスオイルの含有量は、ゴム成分100質量部あたり12〜60質量部であることが好ましい。
<その他成分>
ゴム組成物は、ゴム成分、フルオレン変性セルロースナノ繊維、炭素系フィラー、プロセスオイル以外のその他成分を含有することができる。その他成分としては、例えば、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、加工助剤、充填材、軟化剤、受酸剤、着色剤、スコーチ防止剤が挙げられる。
加硫剤としては、例えば、硫黄、硫黄化合物、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸、チアゾール類、スルフェンアミド類、ジチオカルバミン酸塩類、硫黄系有機化合物、過酸化物、アミン化合物が挙げられる。ゴム組成物における加硫剤の含有量は、例えば、ゴム成分100質量部あたり1〜15質量部である。
加硫促進剤としては、例えば、酸化亜鉛、チラウム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤が挙げられる。ゴム組成物における加硫促進剤の含有量は、例えば、ゴム成分100質量部あたり1〜20質量部である。
また、その他成分として、クレーが挙げられる。クレーを含有させることにより、所望の剛性を得るために必要となる炭素系フィラーの含有量を抑えることができる。そのため、炭素系フィラーの含有量を抑えたい場合には、クレーを含有させることが好ましい。炭素系フィラーの含有量を抑えたい場合としては、例えば、ウェザーストリップのように、車体等の金属製品に接する態様でゴム組成物を用いる場合が挙げられる。この場合、炭素系フィラーの含有量を抑えることによりゴム組成物が高電気抵抗化されて、ゴム組成物に接する金属製品の電食を抑制できる。
クレーとしては、例えば、モンモリロナイト、パイロフィライト、カオリナイト、ハロイサイト、セリサイト等の含水ケイ酸アルミニウムを主成分とするクレーが挙げられる。クレーは、その粒度分布に基づいて、粒径2μm以下の粒子が80質量%以上であるハードクレー、及び粒径2μm以下の粒子が60質量%以下であるソフトクレーに分類できる。ハードクレー及びソフトクレーのいずれも用いることができるが、ハードクレーを用いることがより好ましい。また、クレーの粒子の形状は特に限定されるものではないが、扁平状であることが好ましい。クレーは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム組成物におけるクレーの含有量は、例えば、ゴム成分100質量部あたり30〜150質量部であることが好ましく、60〜150質量部であることがより好ましい。また、炭素系フィラーの含有量が、例えば、ゴム成分100質量部あたり110質量部以下である場合にクレーを含有させることが好ましい。なお、ゴム組成物の高電気抵抗化を図る観点においては、炭素系フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部あたり70質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましい。
次に、本実施形態の作用及び効果について記載する。
(1)ゴム組成物は、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴムから選ばれる少なくとも一種のゴム成分と、ゴム成分100質量部あたり1.5〜30質量部のフルオレン変性セルロースナノ繊維と、ゴム成分100質量部あたり30〜120質量部の炭素系フィラーとを含有する。
上記構成によれば、フルオレン変性セルロースナノ繊維が含有されていることにより、ゴム組成物の剛性が向上する。更に、炭素系フィラーが併用されることにより、フルオレン変性セルロースナノ繊維による剛性の向上効果が顕著に増加する。そのメカニズムとしては、炭素系フィラーとフルオレン変性セルロースナノ繊維との間に結合構造が形成され、この結合構造に基づいてゴム組成物の剛性が向上することが考えられる。
そして、フルオレン変性セルロースナノ繊維による剛性の向上効果が上昇することにより、所望の剛性を得るために必要となるフルオレン変性セルロースナノ繊維の含有量が少なくなる。これにより、フルオレン変性セルロースナノ繊維を多量に含有させることによるゴム組成物の伸び性の低下を抑えることができる。
(2)ゴム組成物からなるホースであって、ゴム成分は、エチレンプロピレンジエンゴムであり、ゴム成分100質量部あたり1.5〜25質量部のフルオレン変性セルロースナノ繊維を含有する。
上記構成によれば、伸び性及び剛性に優れたホースが得られる。
(3)ゴム組成物からなるエアクリーナホースであって、ゴム成分は、エチレンプロピレンジエンゴムであり、ゴム成分100質量部あたり1.5〜20質量部のフルオレン変性セルロースナノ繊維を含有する。
上記構成によれば、伸び性及び剛性に優れたエアクリーナホースが得られる。
(4)ゴム組成物からなるエアクリーナホースであって、ゴム成分は、クロロプレンゴムであり、ゴム成分100質量部あたり1.5〜9質量部のフルオレン変性セルロースナノ繊維を含有する。
上記構成によれば、伸び性及び剛性に優れたエアクリーナホースが得られる。
(5)ゴム成分100質量部あたり30〜150質量部のクレーを含有する。
上記構成によれば、所望の剛性を得るために必要となる炭素系フィラーの含有量が少なくなる。これにより、炭素系フィラーの含有量を抑えることによるゴム組成物の高電気抵抗化を図りつつ、所望の剛性を得ることが容易になる。
(6)ゴム組成物からなるウェザーストリップであって、ゴム成分100質量部あたり30〜150質量部のクレーを含有する。
上記構成によれば、電気抵抗が高く、剛性及び伸び性に優れたウェザーストリップが得られる。
次に、上記実施形態から把握できる別の技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記ゴム成分100質量部あたり12〜60質量部のプロセスオイルを含有するゴム組成物。
(ロ)前記フルオレン変性セルロースナノ繊維は、セルロース繊維に対して重合性単量体がグラフト結合した修飾セルロース繊維であり、前記重合性単量体が、下記一般式(1)で表される9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を含む前記ゴム組成物。
(一般式(1)中、環Zはアレーン環であり、Rはアルキレン基であり、mは0又は1以上の整数であり、X及びXはそれぞれ独立してラジカル重合性基又は水素原子であって、X及びXのうち少なくとも一方はラジカル重合性基であり、n1及びn2は0又は1以上の整数であって、n1及びn2のうちラジカル重合性基を含む置換基の置換数に対応する少なくとも一方は1以上の整数であり、R及びRは置換基であり、pは0又は1以上の整数であり、kは0〜4の整数である。)
次に、試験例を挙げて上記実施形態をさらに具体的に説明する。
<試験1>
炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を併用した場合におけるゴム組成物の剛性の変化について評価した。
表1及び表2の組成欄に示す組成(質量部)となるように、ゴム成分、フルオレン変性セルロースナノ繊維、炭素系フィラー、その他のフィラー、プロセスオイルを混合するとともに、合計で4.5質量部の加硫剤及び加硫促進剤を更に混合してシート状に成形することにより、試験例1〜8のゴム成形体を得た。各成分の詳細は以下のとおりである。
ゴム成分:エチレンプロピレンジエンゴム(三井化学株式会社製「三井EPT3045」)
フルオレン変性セルロースナノ繊維:特許文献2(特開2017−222777号公報)の実施例1のフルオレン変性セルロースナノ繊維
炭素系フィラー:カーボンブラック(東海カーボン株式会社製「シーストG116」)
その他のフィラー:カオリン(アクティブミネラルズ株式会社製「クラウンクレー」)
その他のフィラー:炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製「ホワイトンB」)
プロセスオイル:パラフィンオイル(出光興産株式会社製「ダイアナプロセスオイルPW−380」)
加硫剤:325メッシュの微粉硫黄
加硫促進剤:ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーBZ」)、スルフェンアミド系加硫促進剤(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ」)、チウラム系加硫促進剤(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーTT」)
なお、表1及び表2では、エチレンプロピレンジエンゴムを「EPDM」、フルオレン変性セルロースナノ繊維を「FCNF」とそれぞれ省略して記載している。
次に、試験例1〜8のゴム成形体から切り出したダンベル形状の試験片(ダンベル状5号形:厚さ2mm)を用いて、JIS−K6251に準拠した引張試験を行い、各試験片のM10を求めた。その結果を表1及び表2に示す。試験片のM10は、試験片の伸びが10%になった際の引張力であり、試験片を構成するゴム組成物の剛性に相当するパラメータである。
表1及び表2に示すように、その他のフィラーを含有し、フルオレン変性セルロースナノ繊維を含有しない試験例3及び試験例7と比較して、その他のフィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を含有する試験例4及び試験例8は、M10の数値が増加したものの、その増加度合は1.5〜1.8倍程度である。
これに対して、炭素系フィラーを含有し、フルオレン変性セルロースナノ繊維を含有しない試験例1及び試験例5と比較して、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を含有する試験例2及び試験例6は、M10の数値が、約3.5倍に大きく増加している。これらの結果から、フルオレン変性セルロースナノ繊維による剛性の向上効果は、炭素系フィラーを共に含有させた場合に顕著に得られることが分かる。
<試験2>
炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を併用した場合におけるゴム組成物の剛性及び伸び性の変化について評価した。
表3の組成欄に示す組成(質量部)となるように、ゴム成分、フルオレン変性セルロースナノ繊維、炭素系フィラー、プロセスオイルを混合するとともに、合計で4.5質量部の加硫剤及び加硫助剤を更に混合してシート状に成形することにより、試験例9〜14のゴム成形体を得た。各成分の詳細は試験1と同じである。
次に、試験例9〜14のゴム成形体から切り出した試験片(ダンベル状5号形:厚さ2mm)を用いて、JIS−K6251に準拠した引張試験を行い、各試験片のM10、及びEb求めた。その結果を表3に示す。試験片のEbは、試験片が破断した際の長さの比率(破断時の最大伸長比率)であり、試験片を構成するゴム組成物の伸び性に対応するパラメータである。
表3に示すように、フルオレン変性セルロースナノ繊維の含有量が増加するにしたがって、Ebの数値(伸び性)が低下する。しかしながら、炭素系フィラーとの併用によりフルオレン変性セルロースナノ繊維による剛性の向上効果が高められたことによって、フルオレン変性セルロースナノ繊維の含有量を1.5〜30質量部の範囲内とした試験例11〜14では、Ebが100%以上となる伸び率を確保しつつ、M10が0.5MPa以上となる高い剛性が得られた。
<試験3>
老化防止剤等のその他成分を含む既存のエアクリーナ用ホースに用いられるゴム組成物の組成に、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を加えた場合におけるゴム組成物の剛性及び伸び性について評価した。
既存のエアクリーナ用ホースに用いられるゴム組成物の組成に、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を加えて、表4及び表5の組成欄に示す組成となるように調整した試験例15〜20のシート状のゴム成形体を作製した。
なお、表5では、クロロプレンゴムを「CR」と省略して記載している。
次に、試験2と同様に、試験例15〜20のゴム成形体から切り出した試験片について、JIS−K6251に準拠した引張試験を行い、各試験片のM10、及びEb求めた。その結果を表4及び表5に示す。
表4及び表5に示すように、既存のエアクリーナ用ホースに用いられるゴム組成物の組成においても、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を含有させることにより、高い剛性(M10が0.5MPa以上)と、高い伸び性(Ebが100%以上)が得られることが確認できた。
<試験4>
エアクリーナ用ホース以外の既存のホースに用いられるゴム組成物の組成に、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を加えた場合におけるゴム組成物の剛性及び伸び性について評価した。
既存のブレーキホースに用いられるゴム組成物の組成に、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を加えて、表6の組成欄に示す組成となるように調整した試験例21〜23のシート状のゴム成形体を作製した。
既存のリザーバーホースに用いられるゴム組成物の組成に、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を加えて、表7の組成欄に示す組成となるように調整した試験例24〜26のシート状のゴム成形体を作製した。
既存のウォーターホースに用いられるゴム組成物の組成に、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を加えて、表8の組成欄に示す組成となるように調整した試験例27〜29のシート状のゴム成形体を作製した。
表6に示すように、既存のブレーキホースに用いられるゴム組成物の組成においても、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を含有させることにより、高い剛性(M10が0.5MPa以上)と、高い伸び性(Ebが100%以上)が得られることが確認できた。
表7に示すように、既存のリザーバーホースに用いられるゴム組成物の組成においても、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を含有させることにより、高い剛性(M10が0.5MPa以上)と、高い伸び性(Ebが100%以上)が得られることが確認できた。
表8に示すように、既存のウォーターホースに用いられるゴム組成物の組成においても、炭素系フィラー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を含有させることにより、高い剛性(M10が0.5MPa以上)と、高い伸び性(Ebが100%以上)が得られることが確認できた。
<試験5>
炭素系フィラー、クレー、及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を併用した場合におけるゴム組成物の剛性、電気抵抗、及び伸び性の変化について評価した。
表9の組成欄に示す組成(質量部)となるように、ゴム成分、フルオレン変性セルロースナノ繊維、炭素系フィラー、炭酸カルシウム、クレー、プロセスオイルを混合するとともに、合計で5.1質量部の加硫剤及び加硫促進剤を更に混合してシート状に成形することにより、試験例30〜33のゴム成形体を得た。各成分の詳細は以下のとおりである。
ゴム成分:エチレンプロピレンジエンゴム(JSR株式会社製「NE130」)
フルオレン変性セルロースナノ繊維:特許文献2(特開2017−222777号公報)の実施例1のフルオレン変性セルロースナノ繊維
炭素系フィラー:カーボンブラック(旭カーボン株式会社製「旭#60UGS」)
炭酸カルシウム:白石カルシウム株式会社製「ホワイトンB」
クレー:カオリン(アクティブミネラルズ株式会社製「クラウンクレー」)
プロセスオイル:JXTGエネルギー株式会社製「P−400」
加硫剤:325メッシュの微粉硫黄
加硫促進剤:ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーBZ」)、スルフェンアミド系加硫促進剤(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーMSA−G」)、チウラム系加硫促進剤(大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーTT」)
次に、試験1及び試験2と同様にして、試験例30〜33のM10、及びEb求めた。その結果を表9に示す。また、試験例30〜33のゴム成形体から切り出した試験片を用いて、JIS K6911に準拠して体積固有抵抗ρを求めた。その結果を表9に示す。
試験例30は、既存のウェザーストリップに用いられるゴム組成物の組成例である。試験例31は、試験例30に対して、炭素系フィラーの一部及び炭酸カルシウムをクレーに置換して炭素系フィラーの含有量を半分以下に低下させ、フルオレン変性セルロースナノ繊維を含有させた組成例である。
表9に示すように、試験例31は、炭素系フィラーの含有量を試験例30の半分以下に抑えつつも、試験例30と同等以上の剛性が得られた。加えて、試験例31は、試験例30と比較して、電気抵抗を示す体積固有抵抗ρ、及び伸び性を示すEbの数値が大きく上昇した。この結果から、クレー及びフルオレン変性セルロースナノ繊維を含有させることにより、所望の剛性を得るために必要となる炭素系フィラーの含有量を低下させることができ、その結果、高電気抵抗化できることが分かる。また、クレーを含有させた場合にも、伸び性の向上効果が得られることが分かる。
試験例32は、試験例31からフルオレン変性セルロースナノ繊維を除いた例であり、試験例33は、既存のウェザーストリップの組成例である試験例30から炭素系フィラーの一部を炭酸カルシウムに置換した例であるが、これらの場合には、試験例30と同程度の剛性は得られなかった。これらの結果から、炭素系フィラーの含有量を抑えつつ、所望の剛性を得るためには、炭素系フィラーを単純に炭酸カルシウム等のその他のフィラーに置換するのみでは不十分であり、フルオレン変性セルロースナノ繊維を含有させ、かつ炭素系フィラーをクレーに置換する必要があることが分かる。

Claims (7)

  1. エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴムから選ばれる少なくとも一種のゴム成分と、
    前記ゴム成分100質量部あたり1.5〜30質量部のフルオレン変性セルロースナノ繊維と、
    前記ゴム成分100質量部あたり30〜120質量部の炭素系フィラーとを含有することを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記ゴム成分100質量部あたり30〜150質量部のクレーを含有する請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のゴム組成物からなるウェザーストリップ。
  4. 請求項1又は請求項2に記載のゴム組成物からなるホース。
  5. 前記ゴム成分は、エチレンプロピレンジエンゴムであり、
    前記ゴム成分100質量部あたり1.5〜25質量部の前記フルオレン変性セルロースナノ繊維を含有することを特徴とする請求項4に記載のホース。
  6. 前記ゴム成分は、エチレンプロピレンジエンゴムであり、
    前記ゴム成分100質量部あたり1.5〜20質量部の前記フルオレン変性セルロースナノ繊維を含有し、
    エアクリーナホースであることを特徴とする請求項4に記載のホース。
  7. 前記ゴム成分は、クロロプレンゴムであり、
    前記ゴム成分100質量部あたり1.5〜9質量部の前記フルオレン変性セルロースナノ繊維を含有し、
    エアクリーナホースであることを特徴とする請求項4に記載のホース。
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