JP2019183090A - 2液型硬化性樹脂組成物 - Google Patents

2液型硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】構造物等の補修において、適切な強度と柔軟性、作業性とを兼ね備える2液型硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】2液型硬化性樹脂組成物は、A液とB液とを混合することで硬化する2液型硬化性樹脂組成物であって、A液が、エポキシ樹脂を含有し、B液が、3級アミンを含有し、架橋性ケイ素基含有有機重合体、充填材、希釈剤、シランカップリング剤、触媒が前記A液又は前記B液のいずれか、又は両方に含有され、エポキシ樹脂を、架橋性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対し、10重量部以上100重量部以下含有し、3級アミンを、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.2重量部以上30重量部以下含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、2液型硬化性樹脂組成物に関する。特に、本発明は、構造物の補修において柔軟性と適切な強度とを兼ね備える2液型硬化性樹脂組成物に関する。
従来、補修箇所を、エポキシ樹脂(a)、R(C=N)−で示される官能基を有するケチミン(b)、変性シリコーン樹脂(c)、変性シリコーン樹脂用触媒(d)、及びシラン化合物(e)を含有し、粘度が50〜20000ポイズ(20℃)であり、硬化後の伸びが20〜400%である一液型エポキシ樹脂組成物とアンカーピンとを用いて補修する浮き補修工法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。ただし、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及びフェニル基から選択される。特許文献1に記載の工法によれば、エポキシ樹脂組成物が一液型であるため、作業効率を向上させることができる。
特開平5−10039号公報
壁や柱等のコンクリート構造物や建造物の躯体表面に接着されたモルタルやタイル等は寒暖差、雨水や太陽光等の厳しい外部環境に晒されることから、破損個所(例えば、ひび割れや浮き等)に容易に注入できるだけでなく、硬化後はコンクリートの伸縮に対応する強度・柔軟性を有する硬化性組成物を用いることが望まれる。しかし、特許文献1に記載の工法においては、20℃における粘度が明示された樹脂組成物が開示されているものの、硬化性組成物が硬化して得られる硬化物の強度、及び柔軟性の両立ができるとは限らず、実用においては更なる検討を要する場合がある。
そこで、本発明の目的は、構造物等の補修において、適切な強度と柔軟性、作業性とを兼ね備える2液型硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、A液とB液とを混合することで硬化する2液型硬化性樹脂組成物であって、A液がエポキシ樹脂を含有し、B液が3級アミンを含有し、架橋性ケイ素基含有有機重合体、充填材、希釈剤、シランカップリング剤、触媒が前記A液又は前記B液のいずれか、又は両方に含有され、エポキシ樹脂を、架橋性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対し、10重量部以上100重量部以下含有し、3級アミンを、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.2重量部以上30重量部以下含有する2液型硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の2液型硬化性樹脂組成物によれば、構造物等の補修において、適切な強度と柔軟性、作業性とを兼ね備える2液型硬化性樹脂組成物を提供することができる。
壁や柱等のコンクリート構造物、及び建造物の躯体に接着されたモルタルやタイル等には、様々な外部要因(例えば、寒暖差、雨水や太陽光の照射等)によって劣化や損傷が発生する。そのため、当該劣化や損傷を補修することが要求され、係る補修の方法としては、例えば、ひび割れに専用の注入器具を用いて液状エポキシ樹脂を注入する方法や、タイル等の浮きに対してはアンカーピンを躯体コンクリートまで打ち込んでエポキシ樹脂で固定する方法等が採用されている。しかしながら、通常、エポキシ樹脂の硬度は高いので、寒暖差等によるコンクリートの伸縮にエポキシ樹脂が追従できない場合があり、補修に用いる硬化性組成物に柔軟性を発揮させることが要求される。
そこで、本発明者は、硬化性組成物の硬化物に所定の強度と所定の柔軟性とを兼ね備えさせるべく検討した結果、A液に含まれるエポキシ樹脂の、架橋性ケイ素基含有有機重合体に対する比率を所定の比率にし、B液に含まれるアミンとして3級アミンを採用すると共に3級アミンのエポキシ樹脂に対する比率を所定の比率にすることで、硬化物に所定の強度と所定の柔軟性とを兼ね備えさせ得ることを見出した。なお、所定の強度はタイルに関するJIS規格(外装タイル張り用有機系接着剤:JIS A5557)に準拠した強度であり、所定の柔軟性は注入による補修に関するJIS規格(建築補修用及び建築補強用エポキシ樹脂:JIS A6024)に準拠した柔軟性である。
具体的に、本発明に係る2液型硬化性樹脂組成物は、A液とB液とを混合することで硬化する2液型硬化性樹脂組成物である。そして、A液はエポキシ樹脂を含有し、B液は3級アミンを含有する。架橋性ケイ素基含有有機重合体、充填材、希釈剤、シランカップリング剤、触媒は、A液又はB液のいずれか、又は両方に含有される。すなわち、エポキシ樹脂を含有する液と3級アミンを含有する液とが別々であれば、他の材料はA液とB液とのいずれに含まれていてもよい。ここで、エポキシ樹脂は、架橋性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対し、10重量部以上100重量部以下であることが好ましい。また、3級アミンは、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.2重量部以上30重量部以下であることが好ましい。
[架橋性ケイ素基含有有機重合体]
架橋性ケイ素基含有有機重合体の架橋性ケイ素基(反応性ケイ素基)は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る基である。架橋性ケイ素基としては、例えば、一般式(1)で示される基が好ましい。
Figure 2019183090
式(1)中、Rは、有機基を示す。なお、Rは、炭素数が1〜20の炭化水素基が好ましい。これらの中でRは、特にメチル基が好ましい。Rは、置換基を有していてもよい。Rが2個以上存在する場合、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。Xは水酸基、又は加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する場合、複数のXは同一であっても、異なっていてもよい。aは0、1、2又は3の整数のいずれかである。硬化性を考慮し、十分な硬化速度を有する組成物を得るためには、式(1)においてaは2以上が好ましく、3がより好ましい。十分な柔軟性を有する組成物を得るためには、aは2が好ましい。
加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができる。加水分解性基や水酸基が架橋性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であっても、異なっていてもよい。
Xで示される加水分解性基としては、特に限定されない。例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノオキシ基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの中では、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ない基の方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが、通常、メトキシ基やエトキシ基が用いられる。
架橋性ケイ素基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基、−Si(OR)、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基、−SiR(OR)が挙げられる。ここでRはメチル基やエチル基等のアルキル基である。また、架橋性ケイ素基は1種で用いても、2種以上併用してもよい。架橋性ケイ素基は、主鎖又は側鎖、若しくはいずれに結合していてもよい。組成物の硬化物の引張特性等の硬化物の物性が優れる観点からは、架橋性ケイ素基が分子鎖末端に存在することが好ましい。架橋性ケイ素基含有有機重合体において、架橋性ケイ素基は、有機重合体1分子中に平均して1.0個以上5個以下存在することが好ましく、1.1〜3個存在することがより好ましい。
架橋性ケイ素基含有有機重合体の主鎖骨格としては、具体的には、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの縮合、又はラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体;(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等のモノマーをラジカル重合して得られるビニル系重合体;有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ポリアミド系重合体;ポリカーボネート系重合体;ジアリルフタレート系重合体等が挙げられる。これらの骨格は、架橋性ケイ素基含有有機重合体の中に単独で含まれていても、2種類以上がブロック若しくはランダムに含まれていてもよい。
更に、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましい。また、ポリオキシアルキレン系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、透湿性が高く、深部硬化性に優れることから特に好ましい。
2液型硬化性樹脂組成物の硬化物に求められる柔軟性(大きい伸び特性)や所定の強度を発揮させる観点から、これらの中では、オキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、若しくはこれらの混合物が主鎖骨格として好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体は、本質的に一般式(2)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
−R−O−・・・(2)
一般式(2)中、Rは炭素数が1〜14の直鎖状若しくは分岐アルキレン基であり、炭素数が1〜14の直鎖状若しくは分岐アルキレン基が好ましく、炭素数が2〜4の直鎖状若しくは分岐アルキレン基が更に好ましい。
一般式(2)で示される繰り返し単位の具体例としては、−CHO−、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCH(C)O−、−CHC(CHO−、−CHCHCHCHO−等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にオキシプロピレンを主成分とする重合体からなる主鎖骨格が好ましい。
架橋性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体の分子量は、硬化物の初期の引張特性である引張モジュラスを小さくし、破断時伸びを大きくするため高い分子量が好ましい。本発明においては、オキシアルキレン系重合体の数平均分子量の下限としては15,000が好ましく、18,000以上が更に好ましく、20,000以上がより好ましい。分子量が高くなると重合体の粘度が上昇して組成物の粘度も上昇するので、数平均分子量が20,000以上の重合体を一部に含む重合体も好ましい。また、数平均分子量の上限は50,000、更には40,000が好ましい。なお、本発明に係る数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量である。数平均分子量が15,000未満の場合、引張モジュラスや破断時伸びが十分でない場合があり、50,000を超えると組成物の粘度が大きくなり作業性が低下することがある。
ポリオキシアルキレン系重合体において架橋性ケイ素基の含有量を適度に低下させると、硬化物における架橋密度が低下するので、初期においてより柔軟な硬化物になり、モジュラス特性が小さくなると共に破断時伸び特性が大きくなる。ポリオキシアルキレン系重合体において架橋性ケイ素基は、重合体1分子中に平均して1.2個以上2.8個以下存在することが好ましく、1.3個以上2.6個以下存在することがより好ましく、1.4個以上2.4個以下存在することが更に好ましい。分子中に含まれる架橋性ケイ素基の数が1個未満になると硬化性が不十分になり、また多すぎると網目構造があまりに密になるため良好な機械特性を示さなくなる。そして、主鎖骨格が直鎖である2官能の重合体の場合、当該重合体の架橋性ケイ素基は、重合体1分子中に平均して1.2個以上1.9個未満存在することが好ましく、1.25個以上1.8個以下存在することがより好ましく、1.3個以上1.7個未満存在することが更に好ましい。
架橋性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体は直鎖状でも分岐を有してもよい。引張モジュラスを小さくする観点からは、架橋性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体は直鎖状の重合体が好ましい。特に、無可塑配合の組成物を製造する場合、直鎖状であることが好ましい。また、架橋性ケイ素基を有するオキシアルキレン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は2以下、特には1.6以下が好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、例えば、KOHのようなアルカリ触媒による重合法、例えば、複金属シアン化物錯体触媒による重合法等が挙げられるが、特に限定されない。複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、例えば、トルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体との反応から得られる成分を挙げることができる。
分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を有する官能基、並びに架橋性ケイ素基を反応させることで、ポリオキシアルキレン系重合体へ架橋性ケイ素基を導入できる(以下、高分子反応法という)
高分子反応法の例として、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に架橋性ケイ素基を有するヒドロシランや、架橋性ケイ素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得る方法を挙げることができる。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体は水酸基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
また、高分子反応法の他の例として、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基、並びに架橋性ケイ素基とを反応させる方法や、末端にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン系重合体と水酸基やアミノ基等の活性水素基、並びに架橋性ケイ素基とを反応させる方法を挙げることができる。イソシアネート化合物を用いると、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を容易に得ることができる。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の主鎖を構成する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、各種のモノマーを用いることができる。例えば、アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;脂環式(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;芳香族(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸の誘導体;フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体では、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと共に、以下のビニル系モノマーを共重合することもできる。ビニル系モノマーを例示すると、スチレン、無水マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。また、単量体単位(以下、他の単量体単位とも称する)として、これら以外にアクリル酸、グリシジルアクリレートを含有してもよい。
これらは、単独で用いても、複数を共重合させてもよい。生成物の物性等の観点からは、(メタ)アクリル酸系モノマーからなる重合体が好ましい。また、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを用い、必要に応じて他の(メタ)アクリル酸モノマーを併用した(メタ)アクリル酸エステル系重合体がより好ましい。更に、シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを併用することで、(メタ)アクリル酸エステル系重合体中のケイ素基の数を制御できる。接着性が良いことからメタクリル酸エステルモノマーからなるメタクリル酸エステル系重合体が特に好ましい。また、低粘度化、柔軟性の付与、粘着性の付与をする場合、アクリル酸エステルモノマーを適宜用いることが好ましい。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法は、例えば、ラジカル重合反応を用いたラジカル重合法を用いることができる。ラジカル重合法としては、重合開始剤を用いて所定の単量体単位を共重合させるラジカル重合法(フリーラジカル重合法)や、末端等の制御された位置に反応性シリル基を導入できる制御ラジカル重合法が挙げられる。ただし、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物等を用いるフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなる。したがって、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得る場合には、制御ラジカル重合法を用いることが好ましい。
制御ラジカル重合法としては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法やリビングラジカル重合法が挙げられる。付加−開裂移動反応(ReversibleAddition-FragmentationchainTransfer;RAFT)重合法、遷移金属錯体を用いたラジカル重合法(Transition-Metal-MediatedLivingRadicalPolymerization)、原子移動ラジカル重合法(Atom-Transfer-Radical-Polymerization;ATRP)等の等のリビングラジカル重合法を採用することが好ましい。また、反応性シリル基を有するチオール化合物を用いた反応や、反応性シリル基を有するチオール化合物、及びメタロセン化合物を用いた反応も好ましい。
これらの架橋性ケイ素基を有する有機重合体は、単独で用いても、2種以上併用してもよい。具体的には、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、並びに架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される2種以上をブレンドした有機重合体も用いることができる。特に、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体とをブレンドした有機重合体が優れた特性を有する。本発明に係る2液型硬化性樹脂組成物に適用すると、最大荷重時の伸長率、及び接着力を高めることができる。また、粘度が異なる架橋性ケイ素基を有する有機重合体を2種以上併用する場合、A液とB液とを混合した混合組成物の粘度を調整し、注入性を高めるための希釈剤として機能するため、それらのうちの少なくとも1種を後述する希釈剤として取り扱うことができる。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体とをブレンドした有機重合体の製造方法としては、様々な方法が挙げられる。例えば、架橋性ケイ素基を有し、分子鎖が実質的に、一般式(3):
−CH−C(R)(COOR)− ・・・(3)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数が1〜5のアルキル基を示す)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、一般式(4):
−CH−C(R)(COOR)− ・・・(4)
(式中、Rは前記に同じ、Rは炭素数が6以上のアルキル基を示す)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体に、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法が挙げられる。
一般式(3)のRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数が1〜5、好ましくは炭素数が1〜4、更に好ましくは炭素数が1〜2のアルキル基が挙げられる。なお、Rのアルキル基は単独でもよく、2種以上混合していてもよい。
一般式(4)のRとしては、例えば、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基等の炭素数が6以上、通常は炭素数が7〜30、好ましくは炭素数が8〜20の長鎖のアルキル基が挙げられる。なお、Rのアルキル基はRの場合と同様、単独でも2種以上混合してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の分子鎖は実質的に式(3)及び式(4)の単量体単位からなる。ここで、「実質的に」とは、共重合体中に存在する式(3)及び式(4)の単量体単位の合計が50質量%を越えることを意味する。式(3)及び式(4)の単量体単位の合計は好ましくは70質量%以上である。また式(3)の単量体単位と式(4)の単量体単位との存在比は、質量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40が更に好ましい。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体とをブレンドした有機重合体の製造方法に用いられる架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体として、例えば、架橋性ケイ素基を有し、分子鎖が実質的に(1)炭素数が1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、(2)炭素数が10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位とを含有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体も用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の数平均分子量は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃未満の場合、例えば(メタ)アクリル酸エステル系重合体がアクリル酸ブチル単量体単位から主として構成される場合、20,000以上が好ましく、30,000以上がより好ましく、35,000以上が更に好ましく、40,000以上が特に好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上の場合、例えば(メタ)アクリル酸エステル系重合体がメタクリル酸メチル単量体単位から主として構成される場合、数平均分子量は、600以上10,000以下が好ましく、600以上5,000以下がより好ましく、1,000以上4,500以下が更に好ましい。数平均分子量をこの範囲とすることにより、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体との相溶性が向上する。(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、単独で用いても、2種以上併用してもよい。架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体との配合比には特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃未満の場合、例えば(メタ)アクリル酸エステル系重合体がアクリル酸ブチル単量体単位から主として構成される場合、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とポリオキシアルキレン系重合体との合計100質量部に対して、(メタ)アクリル酸エステル系重合体が30質量部以上90質量部以下の範囲内であることが好ましく、40質量部以上80質量部以下の範囲内であることがより好ましく、50質量部以上70質量部以下の範囲内であることが更に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体が90質量部より多いと粘度が高くなり、作業性が悪化するため好ましくない。また、(メタ)アクリル酸エステル系重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上の場合、例えば(メタ)アクリル酸エステル系重合体がメタクリル酸メチル単量体単位から主として構成される場合、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とポリオキシアルキレン系重合体との合計100質量部に対して、(メタ)アクリル酸エステル系重合体が10質量部以上60質量部以下の範囲内であることが好ましく、20質量部以上50質量部以下の範囲内がより好ましく、25質量部以上45質量部以下の範囲内が更に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体が60質量部より多いと粘度が高くなり、作業性が悪化するため好ましくない。
更に、本発明においては架橋性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体とをブレンドした有機重合体も用いることができる。架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドして得られる有機重合体の製造方法としては、他にも、架橋性ケイ素基を有する有機重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合する方法を利用できる。
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂としては、エポキシ基を含有する各種の化合物が挙げられる。具体的に、エポキシ基を含有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、グリシジルエステル系化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化SBS(SBSは、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を示す。)等が挙げられる。
本発明においてエポキシ樹脂は、架橋性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対し、10重量部以上含有することが好ましく、20重量部以上含有することがより好ましく、30重量部以上含有することが更に好ましい。また、エポキシ樹脂は、架橋性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対し、100重量部以下であることが好ましい。
[充填材]
充填材としては、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、及びカーボンブラック等の補強性充填材;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、硬化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、中空バルーン等の充填材;石綿、ガラス繊維、及びフィラメント等の繊維状充填材等を用いることができる。
これらの充填材の添加により強度の高い硬化物を製造する場合は、主としてフュームドシリカ、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、及び表面処理膠質炭酸カルシウム等から選択される充填材を用いることが好ましい。また、低強度で高伸びの硬化物を製造する場合は、主として酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びシラスバルーン等から選択される充填材を用いることが好ましい。これらの充填材は単独で用いても、2種類以上を混合してもよい。
充填材を用いる場合、架橋性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対し、1重量部以上300重量部以下の範囲で用いることができ、5重量部以上250重量部以下の範囲で用いることが好ましく、5重量部以上100重量部以下の範囲で用いることが更に好ましい。
[希釈剤]
希釈剤は、A液とB液との混合組成物の注入性を向上させることができる。希釈剤としては、従来公知のものを用いることができるが、例えば、有機溶剤等の非反応性希釈剤や、上記の架橋性ケイ素基含有有機重合体で述べたような架橋性ケイ素基含有有機重合体や、グリシジルエーテル等のエポキシ系反応性希釈剤等の反応性希釈剤が挙げられる。非反応性希釈剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。A液とB液とを混合して得られる硬化物の性能維持の観点からは、反応性希釈剤を用いることが好ましい。また、反応性希釈剤としては、接着性に優れる点から上記の架橋性ケイ素基含有有機重合体を用いることが好ましい。希釈剤としては、2液型硬化性樹脂組成物の硬化中等に揮発することを抑制する観点から常温(23℃)で沸点が100℃以上である有機化合物を用いることが好ましい。
希釈剤の配合割合は、架橋性ケイ素基含有有機重合体100質量部に対して、1重量部以上300重量部以下が好ましく、5重量部以上100重量部以下がより好ましい。これら希釈剤は、単独で用いることも2種類以上を併用することもできる。
[シランカップリング剤]
シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1,3−ジアミノイソプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン型シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;ビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート含有シラン類;ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のフェニル基含有シラン類等が挙げられる。また、アミノ基含有シラン類とシラン類を含むエポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、(メタ)アクリロイル基含有化合物とを反応させて、アミノ基を変性した変性アミノ基含有シラン類を用いることもできる。特に、アミノ基含有シラン類や、変性アミノ基含有シラン類は、更に接着性の向上に効果があるため好ましい。
シランカップリング剤の配合割合は、架橋性ケイ素基含有有機重合体100質量部に対して、0.2重量部以上20重量部以下が好ましく、0.5重量部以上10重量部以下がより好ましく、1.0重量部以上5重量部以下が更に好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いることも2種類以上を併用することもできる。
[触媒]
本発明に係る触媒は、架橋性ケイ素基含有有機重合体の硬化触媒として作用する。硬化触媒としては、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の有機錫化合物;カルボン酸錫、カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄等のカルボン酸金属塩;脂肪族アミン類、芳香族アミン類;バーサチック酸等のカルボン酸;ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトセテート)等のチタン化合物、アルミニウム化合物類等のアルコキシ金属;無機酸;三フッ化ホウ素エチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素錯体;アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等の金属キレート化合物;Si−F結合を有するケイ素化合物等を用いることができる。
硬化触媒は、架橋性ケイ素基含有有機重合体の100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下の範囲で用いることが好ましい。
[3級アミン]
3級アミンとしては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリターシャリーブチルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリ2−エチルヘキシルアミン、メチルジ−2−エチルヘキシルアミン、ジブチル2−エチルヘキシルアミン、トリヘキサデシルアミン、トリベンジルアミン等のモノアミン;テトラメチル1,2−ジアミノエタン、テトラメチル1,3−ジアミノプロパン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等のポリアミン;トリエチレンジアミン;N−エチルモルフォリン、ビス(モルホリノエチル)エーテル、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、ビス(2,6−ジメチルモルホリノエチル)エーテル、ビス(3,5−ジメチルモルホリノエチル)エーテル、ビス(3,6−ジメチルモルホリノエチル)エーテル、4−(3,5−ジメチルモルホリノ)−4’−(3,6−ジメチルモルホリノ)ジエチルエーテル等のモルホリン化合物、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられる。
本発明において3級アミンは、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.2重量部以上含有することが好ましく、1重量部以上含有することがより好ましく、2重量部以上含有することが更に好ましい。また、3級アミンは、エポキシ樹脂100重量部に対し、30重量部以下含有することが好ましく、20重量部以下含有することがより好ましい。
[その他の添加剤]
本発明に係る2液型硬化性樹脂組成物には、2液型硬化性樹脂組成物の物性等を損なわない範囲で必要に応じ、粘着付与樹脂、A液若しくはB液に含有される充填材とは異なる充填材、A液若しくはB液に含有されるシランカップリング剤とは異なるシランカップリング剤、増量剤、可塑剤、水分吸収剤、硬化触媒、引張特性等を改善する物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料、フィラー、希釈剤等の各種添加剤を加えてもよい。
[A液及びB液の調製方法]
本発明の2液型硬化性樹脂組成物のA液及びB液は、所定の配合物質を所定量秤量し、配合することで調製できる。調製法に特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサー、ロール、ニーダー等を用いて混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりする等の通常の方法を用いることができる。
例えば、A液は、エポキシ樹脂と、架橋性ケイ素基含有有機重合体、充填材、希釈剤、シランカップリング剤、触媒、及び必要に応じて用いられるその他の添加剤からなる群から選択される配合物質とを配合して調整される。ただし、エポキシ樹脂を除く他の配合物質は、B液に配合してもよい。同様に、B液は、3級アミンと、架橋性ケイ素基含有有機重合体、充填材、希釈剤、シランカップリング剤、触媒、及び必要に応じて用いられるその他の添加剤からなる群から選択される配合物質とを配合して調整される。ただし、3級アミンを除く他の配合物質は、A液に配合してもよい。ここで、架橋性ケイ素基含有有機重合体、充填材、希釈剤、シランカップリング剤、及び触媒については、A液又はB液の少なくともいずれかに配合することを要する。すなわち、例えば、架橋性ケイ素基含有有機重合体をA液に配合しない場合、架橋性ケイ素基含有有機重合体はB液に配合することを要し、架橋性ケイ素基含有有機重合体をB液に配合しない場合はA液に配合することを要する。また、架橋性ケイ素基含有有機重合体をA液及びB液の双方に配合してもよい。充填材、希釈剤、シランカップリング剤、触媒についても同様に、A液及び/又はB液に配合される。
なお、一例として、A液は、架橋性ケイ素基含有有機重合体と、エポキシ樹脂と、充填材とを配合して調製することができ、B液は、希釈剤と、シランカップリング剤と、触媒と、3級アミン化合物とを配合して調製することができるが、A液を構成する配合物質の組み合わせ、及びB液を構成する配合物質の組み合わせはこれに限られない。
[2液型硬化性樹脂組成物の性質]
本発明の2液型硬化性樹脂組成物は、少なくとも架橋性ケイ素基含有有機重合体に対するエポキシ樹脂の比率、及び/又はエポキシ樹脂に対する3級アミンの比率を所定の比率にすることで、2液型硬化性樹脂組成物の初期粘度、粘度上昇率、最大引張強さ、破壊時の伸び、接着強さ、及び平面引張強さの少なくとも1つを所定の範囲にすることができ、その結果、硬化物に所定の強度と所定の柔軟性、作業性とを兼ね備えさせることができる。
(初期粘度)
A液とB液とを混合し、硬化させることで本発明の2液型硬化性樹脂組成物の硬化物が得られる。ここで、A液とB液とを常温(23℃)で混合した時点(混合時)における粘度(初期粘度)は、下限値が10Pa・s以上であることが好ましく、20Pa・s以上であることがより好ましく、上限値が200Pa・s以下であることが好ましく、150Pa・s以下であることがより好ましく、80Pa・s以下であることが更に好ましい。なお、本発明において「混合時」とは、A液とB液とを混合し、全量が実質的に均質になるまでヘラ等で1分間混合した時点をいうものとする。また、本発明において粘度とは、JIS K6833−1に準拠し、BH形粘度計を用いて測定される値である。
(粘度上昇率)
A液とB液とを混合後、A液とB液とを均質になるまでヘラ等により1分間混合した時点から30分後の粘度、及び60分後の粘度を初期粘度で除して算出される増粘率(粘度上昇率)はそれぞれ、以下の範囲であることが好ましい。粘度上昇率が以下の範囲であることで、複数の場所へ移動して使用する場合や、混合から使用までの時間が空いた場合など、A液とB液との混合後、直ちに使用しなかった場合であっても良好な現場施工性を保持することができる。
30分後の増粘率:1.0倍以上2.0倍未満
60分後の増粘率:1.0倍以上2.5倍未満
なお、増粘率は下記式より算出できる。但し、x=30、若しくは60である。
増粘率(倍)=(x分後の粘度)/(初期粘度)
(最大引張強さ、破断時伸び)
A液とB液とを混合し、硬化させて得られる硬化物の最大引張強さは、1.0MPa以上が好ましく、2.0MPa以上がより好ましい。また、当該硬化物の破断時伸びは、50%以上が好ましく、100%以上がより好ましい。なお、最大引張強さ、及び破断時伸びは、例えば、JIS A6024に準拠して測定できる。
(接着強さ)
A液とB液とを混合し、硬化させて得られる硬化物のJIS A6024に準拠した接着強さは、硬化物を23℃50%RH条件下にて1週間養生した場合、3.0MPa以上が好ましく、6.0MPa以上がより好ましい。また、硬化物を5℃2週間養生した場合、23℃水中に1日浸漬させたモルタル試験片を用いて23℃85%RHにて1週間養生した場合、及び23℃50%RH条件下にて1日養生後、60℃温水6時間と60℃恒温槽(乾燥)18時間とのサイクルを3日間実施し、その後23℃50%RH条件下にて1日養生した場合の接着強さは、1.5MPa以上が好ましく、3.0MPa以上がより好ましい。
(平面引張強さ)
A液とB液とを混合し、硬化させて得られる硬化物のJIS A5557に準拠した平面引張強さは、硬化物を23℃50%RHにて4週間養生した場合、0.6N/mm以上が好ましい。また、5℃4週間養生した場合、23℃50%RHにて4週間養生した後に60℃の飽和水酸化カルシウム水溶液に7日間浸漬した場合、23℃50%RHにて4週間養生した後に80℃恒温槽にて2週間養生した場合、及び23℃50%RHにて4週間養生した後に気中凍結(−20℃)2時間、水中融解(20℃)1時間を1サイクルとし、200サイクルした場合には、0.4N/mm以上であることが好ましい。
[補修方法]
本発明の2液型硬化性樹脂組成物を、コンクリートの構造物の破損部、例えば、コンクリート表面等に生じているひび割れに、所定の注入器具を用いて注入する。これにより、2液型硬化性樹脂組成物がひび割れの奥まで侵入し、硬化することで、破損部が補修される。また、構造物表面に設けられているモルタルやタイル等の接着体が構造物表面から浮いている場合(浮いている個所を「浮き部」と称する)、浮き部が存在する領域にアンカーピンを構造物の躯体まで打ち込み、本発明の2液型硬化性樹脂組成物を塗布して固定するか、浮き部に2液型硬化性樹脂組成物を注入若しくは塗布して硬化させることで、浮き部が補修される。
[実施の形態の効果]
本発明に係る2液型硬化性樹脂組成物は、架橋性ケイ素基含有有機重合体に対するエポキシ樹脂の比率、及び/又はエポキシ樹脂に対する3級アミンの比率を所定の比率にしたので、硬化して得られる硬化物に所定の強度、及び所定の柔軟性を発揮させることができる。
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は例示であり、限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(A液)
変成シリコーン樹脂である分子内に反応性ケイ素基を有するポリオキシプロピレン(数平均分子量16,000、商品名:サイリルEST280(株式会社カネカ社製))100重量部に、表面処理膠質炭酸カルシウム(平均粒径:80nm、商品名:白艶華CCR−S(白石カルシウム株式会社製))100重量部、ビスフェノールA−エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂(商品名:jER828(三菱ケミカル株式会社製))を表1〜表3に示す量を添加して、充分混練りした後、真空攪拌し、実施例1〜8、及び比較例1〜8それぞれの2液型硬化性樹脂組成物のA液を調製した。
(B液)
分子内に反応性ケイ素基を有するポリオキシプロピレン(数平均分子量5,000、商品名:サイリルSAT115(株式会社カネカ社製))50重量部に、シランカップリング剤であるN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM603(信越化学工業株式会社製))1重量部、錫触媒(商品名:ネオスタンU−700ES(日東化成株式会社))0.5重量部、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(商品名:TMA EH30(築野食品工業株式会社製))を表1〜3に示す量を添加して、A液と同様の方法で実施例1〜8それぞれの2液型硬化性樹脂組成物のB液を得た。ただし、実施例8では、分子内に反応性ケイ素基を有するポリオキシプロピレン(数平均分子量5,000、商品名:サイリルSAT115(株式会社カネカ社製))を25重量部とした。
比較例1及び比較例3に係るB液は、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(商品名:TMA EH30(築野食品工業株式会社製))を添加しないことを除き、実施例1に係るB液と同様にして調製した。比較例2に係るB液は実施例2に係るB液と同一であり、比較例4に係るB液は実施例5に係るB液と同一である。また、比較例5に係るB液は、分子内に反応性ケイ素基を有するポリオキシプロピレン(数平均分子量5,000、商品名:サイリルSAT115(株式会社カネカ社製))を添加しないことを除き、実施例2に係るB液と同様にして調製した。更に、比較例6に係るB液は、分子内に反応性ケイ素基を有するポリオキシプロピレン(数平均分子量5,000、商品名:サイリルSAT115(株式会社カネカ社製))の添加量を200重量部にした点を除き、実施例2に係るB液と同様にして調製した。
比較例7に係るB液は、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの代わりに3級アミン化合物以外のエポキシ樹脂の硬化剤(商品名:トーマイドTXA−529(株式会社T&K TOKA社製)を25重量部用いた以外は、実施例1に係るB液と同様にして調製した。また、比較例8に係るB液は、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの代わりに3級アミン化合物以外のエポキシ樹脂の硬化剤であるフジキュアーFXJ−8027−H(株式会社T&K TOKA社製))を50重量部用いた以外は、実施例1に係るB液と同様にして調製した。なお、商品名:トーマイドTXA−529(株式会社T&K TOKA社製)、及び商品名:フジキュアーFXJ−8027−H(株式会社T&K TOKA社製)は1級アミンと2級アミンとの混合物である。
(評価:粘度上昇率)
実施例1〜7、及び比較例1〜4において調製したA液とB液との全量を均質になるまでヘラで1分間混合し、直ちに、JIS K6833−1に準拠し、BH形粘度計(ローターはNo.6)を用いて、23℃の温度条件下、回転数20rpmの粘度を測定し、これを初期粘度とした。更に、実施例1〜7、及び比較例1〜4において調製したA液とB液とを均質になるまでヘラにより1分間混合し、混合後30分後の粘度、及び混合後60分後の粘度を初期粘度と同様の測定方法で測定した。それぞれの時間での粘度を初期粘度で割ることにより増粘率を算出した。その結果を表1に示す。
なお、粘度上昇率の評価基準は以下のとおりである。
(混合後30分後)
「◎」:1.0倍以上1.2倍未満
「○」:1.2倍以上1.4倍未満
「△」:1.4倍以上2.0倍未満
「×」:2.0倍以上
(混合後60分後)
「◎」:1.0倍以上1.5倍未満
「○」:1.5倍以上2.0倍未満
「△」:2.0倍以上2.5倍未満
「×」:2.5倍以上
(評価:深部硬化性)
実施例1〜7、及び比較例1〜4において調製したA液とB液とを均質になるまでヘラにより1分間混合し、底のある金属製の円柱容器(直径35mm、高さ10mm)に厚みが10mmとなるように充填した。それぞれの養生条件(23℃1日、5℃7日)で養生後、硬化物を容器から取り出し、接着剤の硬化厚みを確認した。
評価は、23℃1日で接着剤厚みが5mm以上の場合を「◎」、2mm以上5mm未満の場合を「○」、2mm未満の場合を「△」とした。また、5℃7日では接着剤厚みが5mm以上である場合を「◎」、2mm以上5mm未満である場合を「○」、2mm未満の場合は「×」とした。その結果を表1に示す。
(評価:表面硬化性)
実施例1〜7、及び比較例1〜4において調製したA液とB液とを均質になるまでヘラにより1分間混合し、底のある金属製の円柱容器に充填し、5℃環境下で12時間放置後に表面を指で触って確認した。表面が十分に硬化している場合を「○」とし、表面を指で触った際に接着剤が指に付着する場合や未硬化の場合は「×」と評価した。その結果を表1に示す。
(評価:引張強さ、引張特性B法)
実施例1〜7、及び比較例1〜4において調製した組成物の硬化物についてJIS A6024に準拠して、最大引張強さ、及び破断時の伸び率を測定した。測定方法の詳細は、以下のとおりである。
まず、実施例1〜7、及び比較例1〜4において調製したA液、及びB液を均質になるまでヘラにより1分間混合し、真空攪拌した。各々、深さ2mmの型枠に均一に充填し、23℃50%RH条件下で7日間養生した後、JIS K6251に規定するダンベル状5号形試験片を採取した。加熱劣化条件では採取したダンベル試験片を80℃恒温槽にて14日間養生した。得られた試験片を、23℃50%RH条件下で、引張速度を20mm/minに設定し、試験片が破断するまで当該試験片に加力した場合における最大引張強さ(MPa)及び破断時の伸び(%)を測定した。
なお、破断時伸び(%)は、以下の式から算出した。
破断時伸び(%)=((破断時における試験片の長さ)−(試験前の試験片の長さ))/(試験前の試験片の長さ)×100
上記にて得られた測定結果について、硬化物の物性を評価した。評価基準は、最大引張強さが2.0MPa以上である場合を「◎」、1.0MPa以上2.0MPa未満である場合を「○」、1.0MPa未満の場合は「×」とした。また、破断時の伸びが100%以上の場合を「◎」、50%以上100%未満の場合を「○」、50%未満の場合を「×」とした。その結果を表1に示す。
(評価:注入性)
実施例1〜8、及び比較例5〜6において調製したA液とB液との全量を均質になるまでヘラにより1分間混合し、混合組成物を330mlのカートリッジに充填した。深さ5cm×直径2mmの円柱状の凹部を穿孔したコンクリート基材を用意し、ノズルの経口を2mmとしてカートリッジガンを用いて、カートリッジに充填した混合組成物の凹部への注入性を確認した。評価基準は混合組成物の吐出が容易であり注入施工性が良好な場合を「○」、混合組成物の吐出に抵抗が大きい等、注入施工性に難がある場合を「×」とした。その結果を表2に示す。
(評価:接着強さ)
実施例1〜7、及び比較例7〜8において調製した組成物の硬化物についてJIS A6024に準拠して、接着強さを測定した。測定方法の詳細は、以下の通りである。
まず、実施例1〜7、及び比較例7〜8において調製したA液、及びB液の全量を均質になるまでヘラにより1分間混合し、40mm×40mm×80mmの標準モルタル試験片同士を1mm厚みになるよう貼り合わせ、下記それぞれの条件で養生した。そして、それぞれの養生後、四点曲げ試験により接着強さを測定した。
標準養生:23℃50%RH条件下にて1週間養生。
低温養生:5℃2週間養生。
湿潤養生:23℃水中に1日浸漬させたモルタル試験片を使用し、23℃85%RHにて1週間養生。
乾湿繰り返し:23℃50%RH条件下にて1日養生後、60℃温水6時間と60℃恒温槽(乾燥)18時間のサイクルを3日間行い、その後23℃50%RH条件下にて1日養生。
評価は、標準養生条件では接着強さが6.0MPa以上の場合を「◎」、3.0MPa以上6.0MPa未満の場合を「○」、3.0MPa未満の場合を「×」とした。その他の養生条件では接着強さが3.0MPa以上の場合を「◎」、1.5MPa以上3.0MPa未満の場合を「○」、1.5MPa未満の場合を「×」とした。その結果を表3に示す。
(評価:平面引張強さ)
実施例1〜7、及び比較例7〜8において調製した組成物の硬化物についてJIS A5557に準拠して、平面引張強さを測定した。測定方法の詳細は、以下の通りである。
まず、実施例1〜7、及び比較例7〜8において調製したA液、及びB液の全量を均質になるまでヘラにより1分間混合し、標準モルタル試験片にモザイクタイルを貼り合わせて下記それぞれの条件で養生した。それぞれの養生後、平面引張試験により接着強さを測定した。
標準養生:23℃50%RHにて4週間養生。
低温養生:5℃4週間養生。
アルカリ温水浸漬:標準養生後、60℃の飽和水酸化カルシウム水溶液に7日間浸漬。
熱劣化:標準養生後、80℃恒温槽にて2週間養生。
凍結融解:標準養生後、気中凍結(−20℃)2時間、水中融解(20℃)1時間を1サイクルとし、200サイクル。
評価は、標準養生条件では接着強さが0.6N/mm以上の場合を「○」、0.6N/mm未満の場合を「×」とした。その他の養生条件では接着強さが0.4N/mm以上の場合を「○」、0.4N/mm未満の場合を「×」とした。その結果を表3に示す。
(評価:貯蔵安定性(缶保存))
実施例1〜7、及び比較例7〜8において調製したA液、及びB液のそれぞれを空気環境下で別々の金属缶に充填・密封し、2週間後に開封して接着剤表面を確認した。A液、B液の両方とも表面に膜が張っていない場合を「○」、A液、B液の両方、又はどちらか一方の表面に膜が張っている場合を「×」とした。その結果を表3に示す。
表1〜3に実施例及び比較例のA液及びB液に用いた材料を示す。また、評価した結果を示す。なお、表1〜3の材料において、材料の欄の数値の単位は重量部である。
Figure 2019183090
Figure 2019183090
Figure 2019183090
表1〜3を参照すると分かるように、実施例1〜7に係る2液型硬化性樹脂組成物においてはいずれも、適切な初期粘度を有すると共に粘度上昇率も所定の率まで抑えることができ、深部硬化性、及び表面硬化性も良好であることが示された。また、実施例1〜7においては、最大引張強さ、及び破断時伸びも良好な値であることが示された。更に、実施例1〜8においては注入性も良好であり、実施例1〜7においては、接着強さ、平面引張強さ、及び貯蔵安定性のいずれも良好であることが示された。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せのすべてが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点、及び本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である点に留意すべきである。

Claims (5)

  1. A液とB液とを混合することで硬化する2液型硬化性樹脂組成物であって、
    前記A液が、エポキシ樹脂を含有し、
    前記B液が、3級アミンを含有し、
    架橋性ケイ素基含有有機重合体、充填材、希釈剤、シランカップリング剤、触媒が前記A液又は前記B液のいずれか、又は両方に含有され、
    前記エポキシ樹脂を、前記架橋性ケイ素基含有有機重合体100重量部に対し、10重量部以上100重量部以下含有し、
    前記3級アミンを、前記エポキシ樹脂100重量部に対し、0.2重量部以上30重量部以下含有する2液型硬化性樹脂組成物。
  2. 前記A液と前記B液との混合時における粘度を初期粘度とし、前記初期粘度が10Pa・s以上200Pa・s以下(23℃)であり、混合後60分後の粘度を前記初期粘度で除して算出される増粘率が、2.5倍未満であり、
    前記A液と前記B液とを混合後、23℃50%RH条件下で7日間養生後に得られる前記2液型硬化性樹脂組成物の硬化物を試験片とし、23℃50%RH条件下で引張速度20mm/minで測定される最大引張強さが1MPa以上、破断時の伸び率が50%以上であり、
    前記試験片を80℃下14日間養生した後の最大引張強さが1MPa以上、破断時の伸び率が50%以上である請求項1に記載の2液型硬化性樹脂組成物。
    (ただし、破断時の伸び率は、前記試験片の破断時の長さから、得られた当初の前記試験片の長さを減じて得られた値を、得られた当初の前記試験片の長さで除して算出される。)
  3. 前記希釈剤が、前記架橋性ケイ素基含有有機重合体の数平均分子量より小さい数平均分子量の架橋性ケイ素基含有有機重合体である請求項1又は2に記載の2液型硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の2液型硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の2液型硬化性樹脂組成物を、構造物の破損部、又は構造物表面に設けられている接着体の浮き部に注入若しくは塗布する工程を備える破損個所の補修方法。
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