JP2019182944A - エポキシ樹脂組成物、熱伝導性接着剤、樹脂シート、樹脂付金属箔、金属基板、パワー半導体装置及びled基板 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、熱伝導性接着剤、樹脂シート、樹脂付金属箔、金属基板、パワー半導体装置及びled基板 Download PDF

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智雄 西山
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Abstract

【課題】弾性率が低く且つ熱伝導率の高い硬化物が得られるエポキシ樹脂組成物の提供。【解決手段】エポキシ樹脂組成物は、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂と、芳香環の炭素原子に直接結合したアリル基を有するフェノールノボラック樹脂を含む硬化剤と、熱伝導性フィラーと、を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、熱伝導性接着剤、樹脂シート、樹脂付金属箔、金属基板、パワー半導体装置及びLED基板に関する。
エポキシ樹脂は、耐熱性、耐湿性、電気特性及び接着性に優れており、電気絶縁材料、塗料、接着剤等の幅広い分野で使用されている。エポキシ樹脂を電子部品用途に用いる場合、電気絶縁性及び耐熱性の観点から、フェノール樹脂系の硬化剤が用いられる。
硬化剤として用いられるフェノール樹脂には、耐熱性を向上(ガラス転移温度を向上)するために剛直な骨格を導入する場合がある。また、熱伝導性を向上するために結晶性又は液晶性を示す骨格をフェノール樹脂に導入する場合がある。しかし、このような構造を有するフェノール樹脂は、溶融温度及び溶融粘度が高くなり、溶媒又はエポキシ樹脂への溶解性が低下するため、取り扱い難い傾向にある。
そこで、フェノール樹脂に脂溶性置換基を導入したり、フェノール性水酸基を保護して分子間水素結合を抑えたりすることで、フェノール樹脂の溶解性及び溶融粘度を改善することが試みられている。例えば、特許文献1には、フェノール性水酸基の一部がアリルエーテル化されたフェノール系重合体を含むエポキシ樹脂用硬化剤が開示されている。
特開2000−234008号公報
近年、電子部品等のヒートサイクル特性の向上が求められており、ヒートサイクル特性の向上を達成するために、エポキシ樹脂硬化物の低弾性率化の検討が進められている。しかし、特許文献1に記載のエポキシ樹脂用硬化剤を用いて得られるエポキシ樹脂硬化物の弾性率には未だ改良の余地があり、さらなる低弾性率化が必要とされる。
本発明の一形態は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、弾性率が低く且つ熱伝導率の高い硬化物が得られるエポキシ樹脂組成物並びにそれを用いた熱伝導性接着剤、樹脂シート、樹脂付金属箔、金属基板、パワー半導体装置及びLED基板を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂と、芳香環の炭素原子に直接結合したアリル基を有するフェノールノボラック樹脂を含む硬化剤と、熱伝導性フィラーと、を含有するエポキシ樹脂組成物。
<2> 前記フェノールノボラック樹脂が、25℃において液状である<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<3> 前記フェノールノボラック樹脂の25℃における粘度が、200Pa・s以下である<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<4> 前記フェノールノボラック樹脂の水酸基当量が、100g/eq〜300g/eqである<1>〜<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<5> 前記フェノールノボラック樹脂の融点が、90℃以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<6> 硬化促進剤として有機ホスフィン化合物をさらに含む<1>〜<5>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<7> 前記エポキシ樹脂が、下記一般式(I)で表される化合物を含む<1>〜<6>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
[一般式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。]
<8> <1>〜<7>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含む熱伝導性接着剤。
<9> <1>〜<7>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物のシート状成形体を含む樹脂シート。
<10> 金属箔と、前記金属箔上に配置された<1>〜<7>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の半硬化物と、を備える樹脂付金属箔。
<11> 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された<1>〜<7>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物と、前記硬化物上に配置された金属箔と、を備える金属基板。
<12> 金属板、はんだ層及び半導体チップがこの順に積層された半導体モジュールと、放熱部材と、前記半導体モジュールの前記金属板と前記放熱部材との間に配置された<1>〜<7>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物と、を備えるパワー半導体装置。
<13> 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された<1>〜<7>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物と、前記硬化物上に配置された金属箔を含む回路層と、前記回路層上に配置されたLED素子と、を備えるLED基板。
本発明の一形態によれば、弾性率が低く且つ熱伝導率の高い硬化物が得られるエポキシ樹脂組成物並びにそれを用いた熱伝導性接着剤、樹脂シート、樹脂付金属箔、金属基板、パワー半導体装置及びLED基板を提供することができる。
本開示のパワー半導体装置の概略を示す図である。 本開示のLED基板の概略を示す図である。 本開示のLED基板の概略を示す図である。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物、熱伝導性接着剤、樹脂シート、樹脂付金属箔、金属基板、パワー半導体装置及びLED基板の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
<エポキシ樹脂組成物>
本開示のエポキシ樹脂組成物は、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂と、芳香環の炭素原子に直接結合したアリル基を有するフェノールノボラック樹脂を含む硬化剤と、熱伝導性フィラーと、を含有する。
本開示のエポキシ樹脂組成物を用いることで、弾性率が低く且つ熱伝導率の高い硬化物が得られる。本発明者等は、ヒートサイクル特性の向上のため、エポキシ樹脂硬化物の低弾性率化に有用な材料の検討を行った。一般的に、硬化物の弾性率が低いことはすなわち硬化物の架橋密度が低いことを示唆する。なぜなら、硬化物の弾性率を低くするには単位体積中の分子数を減らして分子運動性を高くするために、硬化物の架橋密度を低くする必要があるためである。一方、硬化物の架橋密度が低いと、熱媒体であるフォノンの散乱が起こり易くなるため、熱伝導率が低下し易くなると考えられる。 しかし、本発明者等は、芳香環の炭素原子に直接結合したアリル基を有するフェノールノボラック樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤として用いることで、硬化物の弾性率が低いにもかかわらず硬化物の熱伝導性が向上することを見いだし、本発明を完成させた。
本開示のエポキシ樹脂組成物は、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂と、芳香環の炭素原子に直接結合したアリル基を有するフェノールノボラック樹脂を含む硬化剤と、熱伝導性フィラーとを含有し、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
以下、本開示のエポキシ樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
(エポキシ樹脂)
本開示のエポキシ樹脂組成物は、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「特定エポキシ樹脂」と称することがある。)を含有する。
特定エポキシ樹脂としては、メソゲン骨格を有し、且つ、1分子内に2個のグリシジル基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。特定エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物を用いて形成される硬化物は、高い熱伝導率を示す傾向にある。
特定エポキシ樹脂としては、例えば、3環型エポキシ化合物が挙げられる。
3環型エポキシ化合物としては、ターフェニル骨格を有するエポキシ化合物、1−(3−メチル−4−オキシラニルメトキシフェニル)−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1−(3−メチル−4−オキシラニルメトキシフェニル)−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−ベンゼン、下記一般式(I)で表される化合物等が挙げられる。
より高い熱伝導率を達成する観点から、特定エポキシ樹脂は、エポキシ化合物として1種単独で用いて硬化したときに、高次構造を形成可能であることが好ましく、スメクチック構造を形成可能であることがより好ましい。このようなエポキシ化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物を挙げることができる。特定エポキシ樹脂として下記一般式(I)で表される化合物を用いることにより、より高い熱伝導率を達成することが可能となる。
一般式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1若しくは2のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。また、R〜Rのうちの2個〜4個が水素原子であることが好ましく、3個又は4個が水素原子であることがより好ましく、4個すべてが水素原子であることがさらに好ましい。R〜Rのいずれかが炭素数1〜3のアルキル基である場合、R及びRの少なくとも一方が炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
なお、一般式(I)で表される化合物の好ましい例は、例えば、特開2011−74366号公報に記載されている。具体的に、一般式(I)で表される化合物としては、4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート及び4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
また、特定エポキシ樹脂は、エポキシ化合物であっても、エポキシ化合物を硬化剤等により重合させ部分的に反応させたプレポリマー又はアダクトの状態であってもよい。メソゲン骨格を持つ樹脂は一般に結晶化しやすく、溶媒への溶解度も低いものが多い。しかし、エポキシ化合物の一部を重合させることで結晶化を抑制することができるため、成形性が向上する場合がある。
ここで、高次構造とは、その構成要素がミクロに配列している状態のことであり、例えば、結晶相及び液晶相が相当する。このような高次構造が存在しているか否かは、偏光顕微鏡での観察によって容易に判断することが可能である。すなわち、クロスニコル状態での観察において、偏光解消による干渉模様が見られる場合は高次構造が存在していると判断できる。高次構造は、通常では樹脂中に島状に存在しており、ドメイン構造を形成している。そして、ドメイン構造を形成している島のそれぞれを高次構造体という。高次構造体を構成する構造単位同士は、一般的には共有結合で結合されている。
メソゲン骨格に由来する規則性の高い高次構造には、ネマチック構造、スメクチック構造等がある。ネマチック構造は分子長軸が一様な方向に向いており、配向秩序のみを持つ液晶構造である。これに対して、スメクチック構造は配向秩序に加えて一次元の位置の秩序を持ち、一定周期の層構造を有する液晶構造である。また、スメクチック構造の同一の周期の構造内部では、層構造の周期の方向が一様である。すなわち、分子の秩序性は、ネマチック構造よりもスメクチック構造の方が高い。秩序性の高い高次構造が半硬化物又は硬化物中に形成されると、熱伝導の媒体であるフォノンが散乱するのを抑制することができる。このため、ネマチック構造よりもスメクチック構造の方が、熱伝導率が高くなる。
すなわち、分子の秩序性はネマチック構造よりもスメクチック構造の方が高く、硬化物の熱伝導性もスメクチック構造を示す場合の方が高くなる。一般式(I)で表される化合物を含む樹脂組成物は、硬化剤と反応して、スメクチック構造を形成できるので、高い熱伝導率を発揮できると考えられる。
エポキシ樹脂組成物を用いてスメクチック構造の形成が可能であるか否かは、下記の方法により判断することができる。
CuKα1線を用い、管電圧40kV、管電流20mA、2θが0.5°〜30°の範囲で、X線解析装置(例えば、株式会社リガク)を用いてX線回折測定を行う。2θが1°〜10°の範囲に回折ピークが存在する場合には、周期構造がスメクチック構造を含んでいると判断される。なお、メソゲン骨格に由来する規則性の高い高次構造を有する場合には、2θが1°〜30°の範囲に回折ピークが現れる。
本開示のエポキシ樹脂組成物は、特定エポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
その他のエポキシ樹脂としては、例えば、フェノール化合物(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA及びビスフェノールF)並びにナフトール化合物(例えば、α−ナフトール、β−ナフトール及びジヒドロキシナフタレン)からなる群より選択される少なくとも1種と、アルデヒド化合物(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びサリチルアルデヒド)とを、酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂);ビスフェノール(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF及びビスフェノールS)及びビフェノール(例えば、アルキル置換又は非置換のビフェノール)からなる群より選択される少なくとも1種のジグリシジルエーテル;フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物;フェノール化合物とジシクロペンタジエン及びテルペン化合物からなる群より選択される少なくとも1種との付加物又は重付加物のエポキシ化物;多塩基酸(例えば、フタル酸及びダイマー酸)とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ポリアミン(例えば、ジアミノジフェニルメタン及びイソシアヌル酸)とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酸(例えば、過酢酸)で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;並びに脂環族エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂全体に占める特定エポキシ樹脂の含有率は、20質量%〜100質量%であることが好ましく、40質量%〜100質量%であることがより好ましく、60質量%〜100質量%であることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂の含有率は、4質量%〜30質量%であることが好ましく、6質量%〜28質量%であることがより好ましく、8質量%〜26質量%であることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物の固形分に占める全エポキシ樹脂の含有率は、5質量%〜40質量%であることが好ましく、7質量%〜36質量%であることがより好ましく、9質量%〜32質量%であることがさらに好ましい。
なお、エポキシ樹脂組成物の「固形分」とは、エポキシ樹脂組成物から溶剤等の揮発分を除いた成分をいう。
(硬化剤)
本開示のエポキシ樹脂組成物は、芳香環の炭素原子に直接結合したアリル基を有するフェノールノボラック樹脂(以下、「特定フェノール樹脂」と称することがある。)を含む硬化剤を含有する。
特定フェノール樹脂は、25℃において液状であっても固形であってもよく、取り扱いが容易であることから、25℃において液状であることが好ましい。
特定フェノール樹脂が25℃において液状である場合、25℃における粘度は200Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましく、50Pa・s以下であることがさらに好ましい。
本開示において、粘度は、E型粘度計(コーン角3°、回転数10min−1)を用いて、25℃において測定された値をいう。
特定フェノール樹脂の水酸基当量は、100g/eq〜300g/eqであることが好ましく、110g/eq〜290g/eqであることがより好ましく、120g/eq〜280g/eqであることがさらに好ましい。
本開示において、水酸基当量の測定は、JIS K 0070:1992に準拠して行う。
特定フェノール樹脂の融点は、90℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、10℃以下であることがさらに好ましい。特定フェノール樹脂の融点は、−20℃以上であってもよい。
本開示において、融点の測定は、示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度を5℃/分として得られた溶解ピークの位置から算出される。
特定フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、400〜1400であることが好ましく、500〜1300であることがより好ましく、600〜1200であることがさらに好ましい。
また、特定フェノール樹脂の数平均分子量(Mn)は、300〜1300であることが好ましく、400〜1200であることがより好ましく、500〜1100であることがさらに好ましい。
本開示において、重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された値をいう。GPCによるMw及びMnの測定は、分析用GPCカラムに東ソー株式会社のG2000HXL及び3000HXLを使用し、移動相にはテトラヒドロフランを用い、試料濃度を0.2質量%とし、流速を1.0mL/minとして測定を行う。ポリスチレン標準サンプルを用いて検量線を作成し、ポリスチレン換算値でMw及びMnを計算する。
特定フェノール樹脂は、合成したものを用いても市販品を用いてもよい。特定フェノール樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、フェノールノボラック樹脂におけるフェノール性水酸基を臭化アリル等のハロゲン化アリル化合物によりアリルエーテル化し、次いで、クライゼン転位により芳香環の炭素原子にアリル基を転位させて得られた化合物がケト−エノール互変異性することで得ることができる。
また、特定フェノール樹脂は、レヂトップ(群栄化学工業株式会社)、MEH−8000(明和化成株式会社)等として上市されているものを用いてもよい。
本開示のエポキシ樹脂組成物は、特定フェノール樹脂以外のその他のフェノール樹脂を硬化剤として含んでもよい。
その他のフェノール樹脂としては、例えば、フェノール化合物(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA及びビスフェノールF)並びにナフトール化合物(例えば、α−ナフトール、β−ナフトール及びジヒドロキシナフタレン)からなる群より選択される少なくとも1種と、アルデヒド化合物(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びサリチルアルデヒド)とを、酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂、ビフェニル骨格型フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂及びキシリレン変性ナフトール樹脂が挙げられる。
硬化剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
硬化剤全体に占める特定フェノール樹脂の含有率は、20質量%〜100質量%であることが好ましく、40質量%〜100質量%であることがより好ましく、60質量%〜100質量%であることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物中の硬化剤の含有量は特に制限されない。例えば、硬化剤に含まれるフェノール性水酸基の当量数(フェノール性水酸基当量数)と、エポキシ樹脂のエポキシ基当量数との比(フェノール性水酸基の当量数/エポキシ基の当量数)が0.5〜2.0となることが好ましく、0.8〜1.2となることがより好ましい。
(熱伝導性フィラー)
エポキシ樹脂組成物は熱伝導性フィラー(以下、熱伝導性フィラーを、単に「フィラー」と称することがある。)を含有する。
熱伝導性フィラーとしては、非導電性であっても、導電性であってもよい。非導電性の熱伝導性フィラーを使用することによって絶縁性の低下が抑制される傾向にある。また、導電性の熱伝導性フィラーを使用することによって熱伝導性がより向上する傾向にある。
熱伝導性フィラーとしては、凝集体であってもよい。
熱伝導性フィラーの凝集体を使用することによって、熱伝導性の異方性を低減できる傾向にある。
非導電性の熱伝導性フィラーとしては、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化ホウ素、窒化ケイ素、シリカ(酸化ケイ素)、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。また導電性の熱伝導性フィラーとしては、黒鉛、金、銀、ニッケル、銅等が挙げられる。熱伝導性フィラーは、黒鉛、窒化ホウ素、アルミナ、窒化アルミニウム及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも熱伝導率とコストの観点から、窒化ホウ素及び黒鉛からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
熱伝導性フィラーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱伝導性フィラーとして用いられる黒鉛としては、例えば、放熱性に優れるものを用いることができる。黒鉛としては、膨張黒鉛成型シートからの粉砕粉であってもよく、膨張黒鉛成型シートからの粉砕粉の中で薄片針枝状又は樹枝状の形状を有する粉砕粉であってもよい。黒鉛粉の形状が薄片針枝状又は樹枝状であることにより、黒鉛粒子同士の接触確率が増大し、エポキシ樹脂組成物の硬化後における熱伝導性がさらに向上する傾向にある。
本開示において「薄片針枝状」とは、針葉樹のような尖った葉を平らにした形状を指す。また、本開示において「樹枝状」とは、木の枝のような形状で、複数の小枝が絡み合った形状を指す。なお、これらの形状の確認は、走査型電子顕微鏡を用いて行う。
熱伝導性フィラーは、2種類以上の互いに体積平均粒子径の異なるものを混合して用いることが好ましい。これにより大粒子径のフィラー粒子の空隙に小粒子径のフィラー粒子がパッキングされることによって、単一粒子径の熱伝導性フィラーのみを使用するよりも熱伝導性フィラーが密に充填されるため、より高熱伝導率を発揮することが可能となる。
具体的には、熱伝導性フィラーとして酸化アルミニウムを使用する場合、全フィラーに占める、体積平均粒子径10μm〜80μmの酸化アルミニウムを60体積%〜75体積%、体積平均粒子径1μm〜9μmの酸化アルミニウムを10体積%〜25体積%、体積平均粒子径0.1μm〜0.9μmの酸化アルミニウムを5体積%〜15体積%の範囲の割合で混合することによって、より最密充填化が可能となる。
さらに、熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素及び酸化アルミニウムを併用する場合、全フィラーに占める、体積平均粒子径20μm〜100μmの窒化ホウ素を60体積%〜90体積%、体積平均粒子径2μm〜4μmの酸化アルミニウムを9体積%〜25体積%、体積平均粒子径0.3μm〜0.5μmの酸化アルミニウムを1体積%〜15体積%の範囲の割合で混合することによって、より高熱伝導化が可能となる。
また、熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素及び酸化アルミニウムを併用する場合、全フィラーに占める、体積平均粒子径20μm〜60μmの窒化ホウ素を80体積%〜95体積%、体積平均粒子径0.3μm〜1.0μmの酸化アルミニウムを5体積%〜20体積%の範囲の割合で混合することによっても、高熱伝導化が可能となる。
エポキシ樹脂組成物中のフィラーの体積平均粒子径(D50)を、レーザー回折法を用いて測定する場合、例えば、エポキシ樹脂組成物中のフィラーを抽出し、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター株式会社、商品名:LS230)を用いて測定する。具体的には、有機溶剤、硝酸、王水等を用い、エポキシ樹脂組成物中からフィラー成分を抽出し、超音波分散機等で十分に分散し、この分散液の体積累積粒度分布曲線を測定する。
体積平均粒子径(D50)は、上記測定より得られた体積累積粒度分布曲線において、小径側から累積が50%となる粒子径をいう。
エポキシ樹脂組成物に含まれるフィラーの含有率は特に制限されない。中でも熱伝導性の観点から、エポキシ樹脂組成物の固形分の体積を100体積%とした場合に、エポキシ樹脂組成物の固形分の体積に占めるフィラーの割合は、40体積%以上であることが好ましく、40体積%〜90体積%であることがより好ましく、40体積%〜70体積%であることがさらに好ましい。
フィラーの含有率が40体積%以上であれば、より高い熱伝導率を達成することが可能となる傾向にある。一方、フィラーの含有率が90体積%以下であると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の柔軟性の低下及び絶縁性の低下が抑制される傾向にある。
エポキシ樹脂組成物の固形分に占めるフィラーの割合は、40質量%〜95質量%であることが好ましく、45質量%〜90体積%であることがより好ましく、50質量%〜85体積%であることがさらに好ましい。
(硬化促進剤)
エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでもよい。硬化剤と硬化促進剤とを併用することで、エポキシ樹脂をさらに十分に硬化させることができる。硬化促進剤の種類及び含有率は特に制限されず、反応速度、反応温度及び保管性の観点から、適切なものを選択することができる。
硬化促進剤として具体的には、イミダゾール化合物、第3級アミン化合物、有機ホスフィン化合物、有機ホスフィン化合物と有機ボロン化合物との錯体等が挙げられる。中でも、耐熱性の観点から、有機ホスフィン化合物、及び有機ホスフィン化合物と有機ボロン化合物との錯体からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましく、有機ホスフィン化合物であることがより好ましい。
有機ホスフィン化合物としては、具体的には、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等が挙げられる。
また、有機ホスフィン化合物と有機ボロン化合物との錯体としては、具体的には、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ−p−トリルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・n−ブチルトリフェニルボレート、ブチルトリフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウム・テトラフェニルボレート等が挙げられる。
これら硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤を2種類以上組み合わせて用いる場合、混合割合はエポキシ樹脂組成物に求める特性(例えば、どの程度の柔軟性を必要とするか)に応じて特に制限されることなく決めることができる。
エポキシ樹脂組成物が硬化促進剤を含む場合、エポキシ樹脂組成物中の硬化促進剤の含有率は特に制限されない。成形性の観点からは、硬化促進剤の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計質量の0.2質量%〜3.0質量%であることが好ましく、0.3質量%〜2.0質量%であることがより好ましく、0.4質量%〜1.5質量%であることがさらに好ましい。
(シランカップリング剤)
エポキシ樹脂組成物は、シランカップリング剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。シランカップリング剤は、フィラーの表面とその周りを取り囲むエポキシ樹脂との間で共有結合を形成する役割(バインダ剤に相当)、熱伝導率の向上、及び水分の侵入を妨げることによって絶縁信頼性を向上させる働きを果たすと考えることができる。
シランカップリング剤の種類としては特に限定されず、市販されているものを用いてもよい。エポキシ樹脂と硬化剤との相溶性、及びエポキシ樹脂とフィラーとの界面での熱伝導欠損を低減することを考慮すると、本開示においては、末端にエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基又は水酸基を有するシランカップリング剤を用いることが好適である。
シランカップリング剤の具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、商品名:SC−6000KS2に代表されるシランカップリング剤オリゴマ(日立化成テクノサービス株式会社)等も挙げられる。これらシランカップリング剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物がシランカップリング剤を含む場合、エポキシ樹脂組成物中のシランカップリング剤の含有率は特に制限されない。シランカップリング剤の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計質量の0.01質量%〜3質量%であることが好ましく、0.03質量%〜1質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、上記成分に加えてその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、溶剤及びエラストマを挙げることができる。
エポキシ樹脂組成物は、フィルム形成性及び架橋密度の調整を目的に、熱可塑性樹脂を含んでもよい。
熱可塑性樹脂として、具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を使用することができる。これら熱可塑性樹脂は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物は、応力緩和及び接着性の向上を目的に、エラストマを含んでもよい。
エラストマとして、具体的には、ポリイソプレン、ポリブタジエン、カルボキシ基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、カルボキシ基末端1,2−ポリブタジエン、水酸基末端1,2−ポリブタジエン、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水酸基末端スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシ基、水酸基、(メタ)アクリロイル基又はモルホリノ基をポリマ末端に有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、水酸基末端ポリ(オキシプロピレン)、アルコキシシリル基末端ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ−ε−カプロラクトン等が挙げられる。これらエラストマは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物は、粘度調整等を目的に、溶剤を含んでもよい。
溶剤としては、エポキシ樹脂組成物の硬化反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、通常用いられる有機溶剤を適宜選択して用いることができる。具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。
エポキシ樹脂組成物は、上記各種成分を均一に分散し混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法として、所定の成分を秤量し、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサ等を用いて混合及び混練し、必要に応じて脱泡することによってエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
<熱伝導性接着剤>
本開示の熱伝導性接着剤は、本開示のエポキシ樹脂組成物を含む。本開示の熱伝導性接着剤が本開示のエポキシ樹脂組成物を含むことで、弾性率が低く且つ熱伝導率の高い硬化物を得ることができる。本開示の熱伝導性接着剤は、サーマルインターフェースマテリアル(TIM)として有用である。
本開示の熱伝導性接着剤は本開示のエポキシ樹脂組成物を含むものであれば特に限定されず、本開示のエポキシ樹脂組成物を本開示の熱伝導性接着剤として用いてもよいし、本開示のエポキシ樹脂組成物に他の成分を加えて本開示の熱伝導性接着剤としてもよい。他の成分としては、熱伝導性接着剤の分野で使用される各種添加剤が挙げられる。
熱伝導性接着剤の25℃における粘度は、10Pa・s以下であることが好ましく、8Pa・s以下であることがより好ましく、5Pa・s以下であることがさらに好ましい。熱伝導性接着剤の25℃における粘度は、0.5Pa・s以上であってもよい。
また、熱伝導性接着剤の25℃における揺変指数は、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。熱伝導性接着剤の25℃における揺変指数は、2以上であってもよい。
揺変指数は、25℃に保たれた熱伝導性接着剤について、レオメーターを用いて粘度を測定したときの(0.5s−1のせん断速度での粘度)/(5.0s−1のせん断速度での粘度)の値とした。詳細には、「揺変指数」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のレオメーターを用いて、温度25℃で測定される。
<樹脂シート>
本開示の樹脂シートは、本開示のエポキシ樹脂組成物のシート状成形体を含む。
樹脂シートの密度は特に制限されず、例えば、3.0g/cm〜3.4g/cmとすることができる。樹脂シートの柔軟性と熱伝導率との両立を考慮すると、3.0g/cm〜3.3g/cmであることが好ましく、3.1g/cm〜3.3g/cmであることがより好ましい。
樹脂シートの密度は、例えば、エポキシ樹脂組成物中のフィラー配合量で調整することができる。
樹脂シートの厚さは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂シートの厚さは、10μm〜350μmとすることができ、熱伝導率、電気絶縁性及びシート可とう性の観点から、50μm〜300μmであることが好ましい。
本開示の樹脂シートの製造方法は特に限定されるものではない。例えば、PETフィルム等の支持体上に、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の有機溶剤を添加して調製したワニス状のエポキシ樹脂組成物(以下、「樹脂ワニス」ともいう。)を、ディスペンサー等の樹脂組成物付与手段により付与してエポキシ樹脂組成物層を形成した後、エポキシ樹脂組成物層から有機溶剤の少なくとも一部を乾燥により除去することで製造することができる。
乾燥方法は、樹脂ワニスに含まれる有機溶剤の少なくとも一部を除去できれば特に制限されず、通常用いられる乾燥方法から、樹脂ワニスに含まれる有機溶剤の種類、含有量等に応じて適宜選択することができる。一般には、80℃〜150℃程度で熱処理する方法が挙げられる。
樹脂シートは、硬化反応がほとんど進行していない。このため、可とう性を有するものの、シートとしての柔軟性に乏しい。したがって、PETフィルム等の支持体を除去した状態ではシート自立性に乏しく、取り扱いが困難な場合がある。そこで、樹脂シートは、これを構成するエポキシ樹脂組成物が半硬化状態になるまで、さらに熱処理されてなることが好ましい。
ここで、エポキシ樹脂組成物を乾燥して得られる樹脂シートをAステージシートとも称する。また、Aステージシートをさらに熱処理して得られる半硬化状態の樹脂シートをBステージシートとも称し、Aステージシート又はBステージシートをさらに熱処理して得られる硬化状態のシートをCステージシートとも称する。なお、Aステージ、Bステージ、及びCステージについては、JIS K6900:1994の規定を参照するものとする。
本開示においてBステージシートとは、エポキシ樹脂組成物から形成される樹脂シートであって、粘度が常温(25℃)においては10Pa・s〜1011Pa・sであり、100℃で10Pa・s〜10Pa・sである状態を意味する。なお、上記粘度は、動的粘弾性測定(周波数1Hz、荷重40g、昇温速度3℃/分)によって測定される。
樹脂シートを熱処理してBステージとする条件は、エポキシ樹脂組成物をBステージ状態にまで半硬化することができれば特に制限されず、エポキシ樹脂組成物の構成に応じて適宜選択することができる。熱処理は、樹脂ワニスを塗布する際に生じたエポキシ樹脂組成物層中の空隙(ボイド)を減らす目的から、熱真空プレス、熱ロールラミネート等から選択される方法により行うことが好ましい。これにより、表面が平坦なBステージシートを効率よく製造することができる。
具体的には、例えば、減圧下(例えば、1kPa)、温度50℃〜180℃で、1秒間〜3分間、1MPa〜30MPaのプレス圧で加熱及び加圧処理することで、エポキシ樹脂組成物をBステージ状態に半硬化させることができる。
樹脂シート又はBステージシートを熱処理してCステージとする条件は、樹脂シート又はBステージシートをCステージ状態にまで硬化することができれば特に制限されず、エポキシ樹脂組成物の構成に応じて適宜選択することができる。熱処理は、Cステージシート中のボイドの発生を抑制し、Cステージシートの耐電圧性を向上させる観点から、熱真空プレス等の熱処理方法により行うことが好ましい。これにより平坦なCステージシートを効率よく製造することができる。
具体的には、例えば、加熱温度100℃〜250℃で、1分間〜30分間、1MPa〜20MPaで加熱プレス処理することで樹脂シート又はBステージシートをCステージ状態に硬化することができる。加熱温度は130℃〜230℃であることが好ましく、150℃〜220℃であることがより好ましい。
<樹脂付金属箔>
本開示の樹脂付金属箔は、金属箔と、金属箔上に配置された本開示のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の半硬化物と、を備える。樹脂付金属箔が、本開示のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の半硬化物を有することで、樹脂付金属箔は熱伝導性に優れる。エポキシ樹脂組成物層の半硬化物は、エポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層をBステージ状態になるまで熱処理して得ることができる。
金属箔としては、特に制限されず、金箔、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、一般的には銅箔が用いられる。
金属箔の厚さとしては、例えば、1μm〜350μmが挙げられ、可とう性の観点から、1μm〜220μmであることが好ましい。
また、金属箔としては、ニッケル、ニッケル−リン合金、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等を中間層とし、この両面に銅層を設けた3層構造の複合箔、アルミニウム箔と銅箔とを複合した2層構造の複合箔などが挙げられる。中間層の両面に銅層を設けた3層構造の複合箔では、一方の銅層の厚さを0.5μm〜15μmとし、他方の銅層の厚さを10μm〜300μmとすることが好ましい。
樹脂付金属箔は、例えば、エポキシ樹脂組成物(好ましくは、樹脂ワニス)を金属箔上に付与及び乾燥することによりエポキシ樹脂組成物層(樹脂シート)を形成し、これを熱処理してBステージ状態の半硬化物とすることで製造することができる。エポキシ樹脂組成物層の形成方法は上述の通りである。
樹脂付金属箔の製造条件は特に制限はなく、乾燥後のエポキシ樹脂組成物層において、樹脂ワニスに使用した有機溶剤の80質量%以上が揮発していることが好ましい。乾燥温度としては、特に制限はなく、80℃〜180℃程度が好ましい。乾燥時間としては、樹脂ワニスのゲル化時間との兼ね合いで適宜選択することができる。樹脂ワニスの付与量は、乾燥後のエポキシ樹脂組成物層の厚さが50μm〜350μmとなるように付与することが好ましく、60μm〜300μmとなることがより好ましい。
乾燥後のエポキシ樹脂組成物層は、さらに熱処理されることでBステージ状態の半硬化物になる。エポキシ樹脂組成物層を熱処理する条件はBステージシートにおける熱処理条件と同様である。
<金属基板>
本開示の金属基板は、金属支持体と、金属支持体上に配置された本開示のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物と、硬化物上に配置された金属箔と、を備える。金属基板が、本開示のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物を有するため、本開示の金属基板は熱伝導率に優れる。
金属支持体は、目的に応じて、その素材、厚さ等は適宜選択することができる。具体的には、アルミニウム、鉄等の金属を用い、厚さを0.2mm〜10mmとすることができる。
金属基板における金属箔は、樹脂付金属箔で説明した金属箔と同様のものを用いることができ、好ましい態様も同様である。
本開示の金属基板は、例えば、以下のようにして製造することができる。
金属支持体上に、エポキシ樹脂組成物を付与し乾燥することでエポキシ樹脂組成物層を形成し、さらにエポキシ樹脂組成物層上に金属箔を配置して、エポキシ樹脂組成物層がCステージ状態になるまで熱処理及び加圧処理することでエポキシ樹脂組成物層を硬化して、金属基板を製造することができる。金属支持体上に樹脂組成物を付与し乾燥する方法としては、樹脂付金属箔で説明した方法と同様の方法を用いることができる。また、金属支持体上に、樹脂付金属箔をエポキシ樹脂組成物層が金属支持体に対向するように貼り合わせた後、これをエポキシ樹脂組成物層がCステージ状態になるまで熱処理及び加圧処理することでエポキシ樹脂組成物層を硬化して、金属基板を製造することもできる。
<パワー半導体装置>
本開示のパワー半導体装置は、金属板、はんだ層及び半導体チップがこの順に積層された半導体モジュールと、放熱部材と、半導体モジュールの金属板と放熱部材との間に配置された本開示のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物と、を備える。
パワー半導体装置は、半導体モジュール部分のみが封止材等で封止されていても、パワー半導体モジュール全体がモールド樹脂等でモールドされていてもよい。以下、パワー半導体装置の例を、図面を用いて説明する。
図1は、ハウジング114内に、パワー半導体チップ110が、はんだ層112を介して配置された銅板104と、本開示のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物102と、グリース層108を介して水冷ジャケット120上に配置された放熱ベース106とが積層されて構成されたパワー半導体装置100の概略を示す図である。パワー半導体チップ110の周囲は、封止樹脂146で封止されている。パワー半導体チップ110を含む発熱体が本開示のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物102を介して放熱部材である放熱ベース106と接触していることで、効率よく放熱が行なわれる。尚、放熱ベース106は、熱伝導性を有する銅又はアルミニウムを用いて構成することができる。またパワー半導体チップとしては、例えば、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)及びサイリスタ等を挙げることができる。
<LED基板>
本開示のLED基板は、金属支持体と、金属支持体上に配置された本開示のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物と、硬化物上に配置された金属箔を含む回路層と、回路層上に配置されたLED素子と、を備える。
本開示のLED基板では、金属支持体上に弾性率が低く且つ熱伝導率の高いエポキシ樹脂組成物層の硬化物が配置されていることで、LED素子から放出される熱を効率的に放熱することが可能になる。また、LED基板のヒートサイクル性が向上する。以下、LED基板の例を、図面を用いて説明する。
LED基板200は、図2及び図3に概略を示すように金属支持体214と、金属支持体214上に配置された本開示のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物212と、エポキシ樹脂組成物層の硬化物212上に配置された金属箔を含む回路層210と、回路層210上に配置されたLED素子220と、を備える。
本開示のLED基板は、例えば、上記のようにして得られる金属基板上の金属箔に回路加工して回路層を形成する工程と、形成された回路層上にLED素子を配置する工程と、を含む製造方法で製造することができる。
金属基板上の金属箔に回路加工する工程には、フォトリソ等の通常用いられる方法を適用することができる。また回路層上にLED素子を配置する工程についても、通常用いられる方法を特に制限なく用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下にエポキシ樹脂組成物の調製に用いた材料とその略号を示す。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂A:[4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート、エポキシ当量:212g/eq、特開2011−74366号公報に記載の方法により製造]
・エポキシ樹脂B:トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、製品名:EPPN−502H、日本化薬株式会社、エポキシ当量:168g/eq
(フィラー)
・HP−40[窒化ホウ素粒子、水島合金鉄株式会社、D50:40μm]
・LS235[酸化アルミニウム粒子、日本軽金属株式会社、D50:0.5μm]
(硬化剤)
・ノボラック樹脂1:MEH―8000(水酸基当量:140g/eq、粘度:30Pa・s(25℃)、数平均分子量:493、重量平均分子量:563)
・ノボラック樹脂2:レヂトップ(水酸基当量:148g/eq、粘度:0.8Pa・s(25℃)、数平均分子量:526、重量平均分子量:833)
・ノボラック樹脂3:トリフェニルメタン型ノボラック樹脂、エア・ウォーター株式会社、HE910−10(水酸基当量:104g/eq、粘度:0.1Pa・s(150℃)、数平均分子量:336、重量平均分子量:438)
(硬化促進剤)
・TPP:トリフェニルホスフィン[和光純薬工業株式会社、商品名]
(添加剤)
・KBM−573:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン[シランカップリング剤、信越化学工業株式会社、商品名]
(溶剤)
・CHN:シクロヘキサノン(比重:0.95)
(支持体)
・PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム[帝人フィルムソリューション株式会社、商品名:A53、厚さ50μm]
・銅箔[古河電気工業株式会社、厚さ:105μm、GTSグレード]
<実施例1>
(樹脂組成物の調製)
エポキシ樹脂Aを20.8質量部と、硬化剤としてノボラック樹脂1を13.2質量部と、硬化促進剤としてTPPを0.27質量部と、フィラーとしてHP−40を74.1質量部と、LS235を9.17質量部と、添加剤としてKBM−573を0.08質量部と、溶剤としてCHNを67.9質量部と、を混合し、ワニス状のエポキシ樹脂組成物を調製した。
窒化ホウ素(HP−40)の密度を2.20g/cm、酸化アルミニウム(LS235)の密度を3.98g/cm、及びエポキシ樹脂Aとノボラック樹脂1との混合物の密度を1.20g/cmとして、エポキシ樹脂組成物の固形分の体積に占めるフィラーの割合を算出したところ、49体積%であった。
(評価用の樹脂シート(Cステージシート)の作製)
エポキシ樹脂組成物を、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社の商品名:SHOTMASTER300DS−S)を用いて、塗布移動速度を20mm/sにて、乾燥後のエポキシ樹脂組成物層の大きさが50mm×50mm、厚さが200μmとなるように、銅箔の粗化面上に付与した。その後、オーブン(ESPEC社の商品名:SPHH−201)を用い、常温(20℃〜30℃)で5分、さらに130℃で5分間乾燥させた。
次いで、乾燥後のエポキシ樹脂組成物層の上にPETフィルムを設置し、真空プレスにて熱間加圧(プレス温度:150℃、真空度:1kPa、プレス圧:10MPa、加圧時間:1分)を行い、エポキシ樹脂組成物層をBステージの状態にして樹脂付金属箔を得た。
次いで、樹脂付金属箔からPETフィルムを剥がし、その上に同様に作製した樹脂付金属箔を、エポキシ樹脂組成物層が対向するように配置した。この状態で、真空プレスにて真空熱圧着(プレス温度:180℃、真空度:1kPa、プレス圧:10MPa、加圧時間:6分)した。その後、大気圧条件下で、150℃で2時間、210℃で4時間加熱して、銅箔付のCステージシートを得た。
<物性評価>
(熱伝導率の測定)
作製した銅箔付のCステージシートの銅箔をエッチングして取り除き、Cステージシートを得た。得られたCステージシートを縦10mm、横10mmに切って試料を得た。試料をグラファイトスプレーにて黒化処理した後、キセノンフラッシュ法(NETZSCH社の商品名:LFA447 nanoflash)にて熱拡散率を評価した。この値と、アルキメデス法で測定した密度と、DSC(示差走査熱量測定装置;Perkin Elmer社の商品名:DSC Pyris1)にて測定した比熱との積から、Cステージシートの熱伝導率を求めた。結果を表1に示す。
(弾性率の測定)
作製した銅箔付のCステージシートの銅箔をエッチングして取り除き、Cステージシートを得た。得られたCステージシートを縦35mm、横5mmに切って試料を得た。試料についてDMA(動的粘弾性測定)をティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社、Q800を用いて行い、測定結果から240℃の貯蔵弾性率を得た。周波数は1Hzとし、昇温速度は3℃/分とした。得られた結果を表1に示す。
<実施例2>
(樹脂組成物の調製)
エポキシ樹脂Aを20.3質量部と、硬化剤としてノボラック樹脂2を13.6質量部とした以外は、実施例1と同様に混合し、ワニス状のエポキシ樹脂組成物を調製した。実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物の固形分の体積に占めるフィラーの割合を算出したところ、49体積%であった。
<比較例1>
(樹脂組成物の調製)
エポキシ樹脂Aを23.1質量部と、硬化剤としてノボラック樹脂3を10.9質量部と、硬化促進剤としてTPPを0.27質量部と、フィラーとしてHP−40を74.1質量部と、LS235を9.17質量部と、添加剤としてKBM−573を0.08質量部と、溶剤としてCHNを67.9質量部と、を混合し、ワニス状のエポキシ樹脂組成物を調製した。
窒化ホウ素(HP−40)の密度を2.20g/cm、酸化アルミニウム(LS235)の密度を3.98g/cm、及びエポキシ樹脂Aとノボラック樹脂3との混合物の密度を1.20g/cmとして、エポキシ樹脂組成物の固形分の体積に占めるフィラーの割合を算出したところ、49体積%であった。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして評価用の樹脂シート(Cステージシート)を得た。得られたCステージシートを用いて実施例1と同様にして熱伝導率及び弾性率を評価した。得られた結果を表1に示す。
<比較例2>
(樹脂組成物の調製)
エポキシ樹脂Bを18.5質量部と、硬化剤としてノボラック樹脂1を15.4質量部と、硬化促進剤としてTPPを0.27質量部と、フィラーとしてHP−40を74.1質量部と、LS235を9.17質量部と、添加剤としてKBM−573を0.08質量部と、溶剤としてCHNを50.9質量部と、を混合し、ワニス状のエポキシ樹脂組成物を調製した。
窒化ホウ素(HP−40)の密度を2.20g/cm、酸化アルミニウム(LS235)の密度を3.98g/cm、及びエポキシ樹脂Bとノボラック樹脂1との混合物の密度を1.20g/cmとして、エポキシ樹脂組成物の固形分の体積に占めるフィラーの割合を算出したところ、49体積%であった。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして評価用の樹脂シート(Cステージシート)を得た。得られたCステージシートを用いて実施例1と同様にして熱伝導率及び弾性率を評価した。得られた結果を表1に示す。
<比較例3>
(樹脂組成物の調製)
エポキシ樹脂Bを20.9質量部と、硬化剤としてノボラック樹脂3を13.0質量部と、硬化促進剤としてTPPを0.27質量部と、フィラーとしてHP−40を74.1質量部と、LS235を9.17質量部と、添加剤としてKBM−573を0.08質量部と、溶剤としてCHNを50.9質量部とを混合し、ワニス状のエポキシ樹脂組成物を調製した。
窒化ホウ素(HP−40)の密度を2.20g/cm、酸化アルミニウム(LS235)の密度を3.98g/cm、及びエポキシ樹脂Bとノボラック樹脂3との混合物の密度を1.20g/cmとして、エポキシ樹脂組成物の固形分の体積に占めるフィラーの割合を算出したところ、49体積%であった。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして評価用の樹脂シート(Cステージシート)を得た。得られたCステージシートを用いて実施例1と同様にして熱伝導率及び弾性率を評価した。得られた結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1及び2では、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂とアリル基を有するフェノールノボラック樹脂を含む硬化剤と、熱伝導性フィラーを含むことで、11W/(m・K)を超える熱伝導率と10GPa以下の弾性率を両立できた。一方、比較例1では、実施例1及び2と異なりアリル基を有さないフェノールノボラック樹脂を含む硬化剤を用いており、実施例1及び2に比較して、熱伝導率は1W/(m・K)以上低下し、弾性率も4GPa以上増加した。比較例2では、実施例1及び2と異なりメソゲン骨格を有さないエポキシ樹脂を用いており、実施例1及び2に比較して、熱伝導率は7W/(m・K)以上低下し、弾性率も8GPa以上増加した。比較例3では、実施例1及び2と異なり、メソゲン骨格を有さないエポキシ樹脂を用い、アリル基を有さないフェノールノボラック樹脂を含む硬化剤を用いており、実施例1及び2に比較して、熱伝導率は5W/(m・K)以上低下し、弾性率も10GPa以上増加した。
このように、高熱伝導率と低弾性率を両立するには、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂と芳香環の炭素原子に直接結合したアリル基を有するフェノールノボラック樹脂を含む硬化剤と、熱伝導性フィラーと、を含有するエポキシ樹脂組成物が優れていることがわかる。
100:パワー半導体装置、102:エポキシ樹脂組成物層の硬化物、104:銅板、106:放熱ベース、108:グリース層、110:パワー半導体チップ、112:はんだ層、114:ハウジング、120:水冷ジャケット、146:封止樹脂、200:LED基板、210:回路層、212:エポキシ樹脂組成物層の硬化物、214:金属支持体、220:LED素子

Claims (13)

  1. メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂と、芳香環の炭素原子に直接結合したアリル基を有するフェノールノボラック樹脂を含む硬化剤と、熱伝導性フィラーと、を含有するエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記フェノールノボラック樹脂が、25℃において液状である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記フェノールノボラック樹脂の25℃における粘度が、200Pa・s以下である請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記フェノールノボラック樹脂の水酸基当量が、100g/eq〜300g/eqである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記フェノールノボラック樹脂の融点が、90℃以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 硬化促進剤として有機ホスフィン化合物をさらに含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 前記エポキシ樹脂が、下記一般式(I)で表される化合物を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。

    [一般式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。]
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含む熱伝導性接着剤。
  9. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物のシート状成形体を含む樹脂シート。
  10. 金属箔と、前記金属箔上に配置された請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の半硬化物と、を備える樹脂付金属箔。
  11. 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物と、前記硬化物上に配置された金属箔と、を備える金属基板。
  12. 金属板、はんだ層及び半導体チップがこの順に積層された半導体モジュールと、放熱部材と、前記半導体モジュールの前記金属板と前記放熱部材との間に配置された請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物と、を備えるパワー半導体装置。
  13. 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含むエポキシ樹脂組成物層の硬化物と、前記硬化物上に配置された金属箔を含む回路層と、前記回路層上に配置されたLED素子と、を備えるLED基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7452001B2 (ja) 2019-12-24 2024-03-19 味の素株式会社 発光素子パッケージ及びその製造方法

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