JP2019182197A - 乗物用シート - Google Patents
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Description
シートクッション4は、図1に示すように座面をなす上方視で矩形の部材であり、シートバック6とアームレスト7の下方且つ前方に配置されている。このシートクッション4は、シートクッション4の右周面と左周面の前側に配設された一対の脚部14a,14b(詳細後述)を介してベース部材9上に配設されており、各脚部14a,14bを基点として基本姿勢からタンブル姿勢に変位することが可能である。図1に示す基本姿勢のシートクッション4は、乗員の着座が可能な状態となっており、ベース部材9上で概ね水平に配置されている。また図2及び図3に示すタンブル姿勢のシートクッション4は、各脚部14a,14bを基点に前方に跳ね上げられた状態となっている。
シートクッション4は、図4を参照して、シートパッド4Pを、シートフレーム4F(詳細後述)上に配置したのちシートカバー4Sで被覆することで形成されている。ここでシートパッド4Pは、シートクッション4の外形形状をなしている部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)などの発泡樹脂で形成できる。またシートカバー4Sは、シートの意匠面を構成する各種の面材で形成でき、例えばこの種の面材として、布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)を例示できる。そして本実施例においては、シートカバー4Sの周端部4SA〜4SDの裏側に、後述する複数のフック部材31〜34と面状部材40(プレート部材42)とが取付けられている。
図1、図2及び図4を参照して、左右一対の脚部(右側脚部14a,左側脚部14b)は、それぞれ側面視で矩形をなす板状部材であり、シートフレーム4Fに左右対称となるように配設されている。なお図1及び図2では、便宜上、各脚部の外側を覆うシールドに脚部を示す符号14a,14bを付し、図4では、各脚部の一部をなす部材に脚部を示す符号14a,14bを付す。そして各脚部14a,14bは、後述するようにシートクッション4の姿勢変位時の基点となる部分である。このため各脚部14a,14bは、シートクッション4に対する配設位置が概ね定まっており、本実施例では右周面の前部と左周面の前部に配設位置が設定されている。このため右側脚部14aは、図4及び図5を参照して、シートフレーム4Fの右枠部位4Fcの前部に固定されているとともに、右枠部位4Fcから右方に張出したのち下方に突出している。そして右側脚部14aの下部は、後述するように図1に示すベース部材9に対して起倒(回転)可能に取付けられる。また図1及び図4に示す左側脚部14bは、左枠部位4Fdの前部に固定されており、右側脚部14aと概ね左右対称形状を有している。この左側脚部14bの下部も、後述するように図1に示すベース部材9に対して起倒(回転)可能に取付けられる。
図4に示す複数の係止部材(前側係止部材21,後側係止部材22,右側係止部材23,左側係止部材24)はいずれもワイヤ状の部材であり、シートフレーム4Fに固定された状態でシートクッション4の周面に配設される。前側係止部材21は、前枠部位4Faの前方で左右方向に延びているワイヤ状の部位であり、シートクッション4の前周面(右側と左側を除く部分)に沿うように配設される。この前側係止部材21の右端部E1と左端部E2は、上方に屈曲したのち後方に向けて屈曲しているとともに、両端部E1,E2の末端側が前枠部位4Faに固定されている。また後側係止部材22は、後枠部位4Fbの後方で同枠部位に沿って延びているワイヤ状の部位であり、シートクッション4の後周面(右側を除く部分)に沿うように配設される。この後側係止部材22の右端部E3は、上方に屈曲したのち前方に屈曲して後枠部位4Fbに固定されている。また後側係止部材22の左部は、左枠部位4Fdの後側に回り込んでいるとともに、後側係止部材22の左端部E4は、上方に屈曲したのち右方に屈曲して左枠部位4Fdに固定されている。
そして図4に示す各係止部材21〜24には、対応するフック部材31〜34を係止するための一般部位XM等が設けられている(図4では、特定の一般部位に特定の符号XM1,XM2を付し、その他の一般部位には共通の符号XMを付す)。この一般部位XM等は、各係止部材21〜24の対応する枠部位に沿っている部分であり、シートクッション4の対応する周面に沿って概ね直線的に延びている。また右側係止部材23と左側係止部材24には、それぞれ分割部位YMが設けられており、この分割部位YMによって一般部位(XM1,XM2)が分割された状態となっている。そして分割部位YMは、左右の右側係止部材23と左側係止部材24に左右対称に設けられている以外は概ね同一の基本構成を有している。そこで以下に、右側係止部材23を一例に一般部位(XM1,XM2)と分割部位YMの詳細を説明する。
図4を参照して、シートフレーム4Fの裏側にアンダーカバー10を配設したのち、このシートフレーム4Fを、各脚部14a,14bを介して図1に示すベース部材9に取付けておく。このとき図4に示すアンダーカバー10の底板部11がシートフレーム4Fの裏側を覆い、立壁部12が、シートフレーム4Fの外枠部分を外方から覆った状態で配置される。このようにアンダーカバー10を配置することで、シートフレーム4Fの裏側の外部露出が回避され、図2及び図3に示すタンブル姿勢のシートクッション4の意匠性向上に資する構成となっている。また図4及び図5を参照して、立壁部12の左右の脚用窓部24a(24b)には、それぞれ対応する脚部14a(14b)が挿通されて配置される。そして各脚部14a,14bは、対応する脚用窓部24a(24b)を通じて立壁部12の外側(シートクッション4の周面)に露出して下方に向けて延長している。そこで図1及び図2を参照して、右側脚部14aの下部を、ベース部材9の右面に対して起倒(回転)可能に取付けるとともに、左側脚部14bを、ベース部材9の左面に対して起倒(回転)可能に取付ける。こうして右側脚部14aと左側脚部14bとをそれぞれベース部材9に取付けることにより、シートクッション4を、基本姿勢とタンブル姿勢の間で変位させることが可能となる。
図4を参照して、シートカバー4Sの周端部4SA〜4SDの裏側には複数のフック部材31〜34が取付けられている(図4では、便宜上、主要なフック部材のみを図示している)。これら各フック部材31〜34は、シートカバー4Sの周端部を対応する係止部材21〜24の一般部位XM等に係止するための部材である。そしてシートカバー4Sの前周端部4SAには前側のフック部材31が取付けられ、この前側のフック部材31は前側係止部材21に係止される。またシートカバー4Sの後周端部4SBには後側のフック部材32が複数に分割された状態で取付けられ、この後側のフック部材32は後側係止部材22に係止される。またシートカバー4Sの右周端部4SCには右側のフック部材33が取付けられ、この右側のフック部材33は右側係止部材23に係止される。またシートカバー4Sの左周端部4SDには左側のフック部材34が取付けられ、この左側のフック部材34は左側係止部材24に係止される。そして本実施例では、各フック部材31〜34が概ね同一の基本構成を有し、さらに右側のフック部材33と左側のフック部材34には、図6に示す回避部位38が左右対称となるように設けられている。そこで以下に、右側のフック部材33を一例にその詳細を説明する。
そして右側のフック部材33には、図6に示す回避部位38が設けられているとともに、回避部位38によって、前側フック部位33aと、後側フック部位33bとに区分けされている。この回避部位38は、右側のフック部材33を正面視で概ね矩形に切り欠いてなる部位であり、本実施例では係止爪37から基部36の上部にかけての部分が切り欠かれている。また前側フック部位33aは、回避部位38の前側に配置されているフック部材部分であり、後側フック部位33bは、回避部位38の後側に配置されているフック部材部分である。そして図5及び図9を参照して、後述する右側のフック部材33の係止状態において、回避部位38は、右側係止部材23の分割部位YMに対面状に配置される。また同状態において、前側フック部位33aは、右側係止部材23前側の一般部位XM1に係止されるとともに、後側フック部位33bは、右側係止部材23後側の一般部位XM2に係止される。
図4を参照して、シートカバー4Sの右周端部4SCと左周端部4SDの裏側には、それぞれ面状部材40とプレート部材42が取付けられている。ここで面状部材40とプレート部材42の基本構成は、右周端部4SCと左周端部4SDで概ね同一であるため、以下に右周端部4SCの面状部材40とプレート部材42を一例にその詳細を説明する。図6及び図7に示す右周端部4SCでは、右側のフック部材33と重なるように面状部材40が取付けられる(取付け手法は後述)。この面状部材40は、正面視で概ね矩形状の面材であり、右側のフック部材33の回避部位38を補完可能な寸法を有している。すなわち面状部材40の前後の寸法は、回避部位38の前後の寸法と概ね同一又は若干大きくされている。また面状部材40の上下の寸法は、右側のフック部材33の外面側に沿って配置可能な寸法とされている。すなわち面状部材40を、図11に示すようにJ字状に湾曲させることで、右側のフック部材33の基部36から係止爪37にかけての部分に沿わせるように配置することが可能である。なお面状部材40の素材は、湾曲変形可能である限り特に限定しないが、例えばシートカバー4Sで例示の素材を用いることが可能である。
また図6及び図7に示す面状部材40の下部(末端)側には、正面視で長方形をなす平板状のプレート部材42が取付けられており、このプレート部材42は、前後方向を向いた状態で配置されている。このプレート部材42の前後の寸法L1は、図8を参照して、回避部位38の前後の寸法L2よりも長尺であり、プレート部材42の前端側(42a)と後端側(42b)は、それぞれ回避部位38からはみ出して配置される(図8では、便宜上、プレート部材のはみ出した各端側にハッチを付けて図示している)。またプレート部材42の上下の寸法は、後述する右側のフック部材33の係止状態において、図11に示すように係止爪37に重ねて配置可能な寸法に設定されている。ここでプレート部材42の素材は特に限定しないが、撓み変形可能な素材であることが望ましく、この種の素材として各種の樹脂やエラストマを例示できる。そして本実施例のプレート部材42は、適度な可撓性を備えたポリプロピレンなどの樹脂で構成されているとともに、縫付糸SYによって、面状部材40の下部側に縫付けられて取付けられている。
図4を参照して、シートカバー4Sの周端部4SA〜4SDに、対応するフック部材31〜34と面状部材40(プレート部材42)を取付けておく。ここでシートカバー4Sに対する各部材の取付け手法は概ね同一であるため、シートカバー4Sの右周端部4SCを一例に各部材の取付け手法を説明する。図6及び図7に示す右周端部4SCの裏側に、面状部材40と右側のフック部材33とをこの順で重ね、さらに面状部材40を、右側のフック部材33の回避部位38に対面配置しておく。このとき右側のフック部材33の基部36側を、右周端部4SCの端末に位置合わせしつつ、右側のフック部材33の係止爪37を、右周端部4SCの裏側から突出させて配置しておく。また同様に面状部材40の端末を、右周端部4SCの端末に位置合わせしつつ、プレート部材42を係止爪37側に配置しておく。この状態で右周端部4SCの端末に沿って縫合線SEWを形成し、この縫合線SEWによって右側のフック部材33と面状部材40を右周端部4SCに縫合して取付けることができる。こうして右周端部4SCでは、右側のフック部材33の回避部位38を補完するように面状部材40が配置される。さらにプレート部材42が、回避部位38の両隣(図6の前後両隣)に配置する係止爪37側にはみ出して配置されることとなる。そして本実施例では、右側のフック部材33と面状部材40の双方を、縫合線SEW(共通の取付け手法)にて右周端部4SCに取付けることで、これらを個別の手法で取付ける場合に比してシート構成のシンプル化に資する構成となる。
図4を参照して、シートフレーム4F上にシートパッド4Pを配置したのち、このシートパッド4Pをシートカバー4Sで被覆する。このときシートカバー4Sを、適度にテンションをかけて張った状態として、シートパッド4Pの上面から周面にかけての部分を被覆する。そしてシートカバー4Sの周端部の各フック部材31〜34を、それぞれシートクッション4の周面の対応する各係止部材21〜24の一般部位XM等に係止しておく。こうして各係止部材21〜24と各フック部材31〜34の係止力にて、シートカバー4Sが適度なテンションがかけられた状態で維持されるのであるが、本実施例では、左右の各係止部材(23,24)が部分的に分割されている。この種の構成では、図4及び図5を参照して、左右の各係止部材(23,24)の分割部位YMに対応するフック部材(33,34)が係止されず、シートカバー4Sのテンションが部分的に弱まってしまうおそれがある。
4 シートクッション
6 シートバック
7 アームレスト
8 ヘッドレスト
9 ベース部材
4P シートパッド
4F シートフレーム
4Fa 前枠部位
4Fb 後枠部位
4Fc 右枠部位
4Fd 左枠部位
14a 右側脚部
14b 左側脚部
W 支持ワイヤ
10 アンダーカバー
11 底板部
12 立壁部
20 挿通部
24a,24b 脚用窓部
4S シートカバー
4SA シートカバーの前周端部
4SC シートカバーの右周端部(本発明のシートカバーの端部)
4SD シートカバーの左周端部(本発明のシートカバーの端部)
4SB シートカバーの後周端部
21 前側係止部材
22 後側係止部材
23 右側係止部材(本発明の係止部材)
24 左側係止部材(本発明の係止部材)
E1〜E8 各係止部材の端部
XM,XM1,XM2 一般部位
YM 分割部位
31 前側のフック部材
32 後側のフック部材
33 右側のフック部材(本発明のフック部材)
33a 前側フック部位
33b 後側フック部位
34 左側のフック部材(本発明のフック部材)
36 基部
37 係止爪
38 回避部位
SA 前側の一般部位の後端
SB 後側の一般部位の前端
SC 連結部位
40 面状部材
42 プレート部材
42a プレート部材の前端
42b プレート部材の後端
SEW 縫合線
SY 縫付糸
Claims (5)
- 座部となるシートクッションが、意匠面をなすシートカバーと、該シートカバーの端部裏側に重複して取付けられた板状のフック部材と、前記シートクッションの周面に配設されたワイヤ状の係止部材とを備え、
前記係止部材には、前記シートクッションの周面に沿って延びている一般部位と、該一般部位が分割された箇所である分割部位とが設けられており、
前記シートカバーの端部側を前記係止部材の外側から内側に回り込ませた状態を基準として、断面U字をなす前記フック部材の下部は、前記係止部材に対して内側から外側に回り込んで前記一般部位に係止されているとともに、前記分割部位との重複を避ける切欠き状の回避部位が設けられている乗物用シートにおいて、
前記シートカバーの裏側には、前記回避部位を補完するように面状部材が取付けられているとともに、該面状部材の末端側に設けられたプレート部材が、前記回避部位の両隣に配置するフック部材側にはみ出して配置されており、
前記シートカバーの端部側を前記係止部材の外側から内側に回り込ませた状態を基準として、前記面状部材は、前記分割部位の対面位置で前記係止部材に対して内側から外側に回り込んでいるとともに、前記プレート部材は、前記シートカバーの裏側で前記回避部位の両隣に配置する前記フック部材の下部に重なっている乗物用シート。 - 前記シートクッションは、該シートクッションの周面に設けられた脚部を起点に上方に跳ね上げ可能とされており、前記一般部位は、前記脚部に重複して設けられた分割部位で分割されている請求項1に記載の乗物用シート。
- 前記シートカバーには、前記フック部材と前記面状部材とが縫合して取付けられている請求項1又は2に記載の乗物用シート。
- 前記プレート部材は、可撓性を備えた樹脂部材で構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
- 前記プレート部材は、平板状の部材で構成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
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