JP2019182104A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のアクチュエータ制御量と、車体に発生する力及びモーメントとの係数行列が正則でない場合でも、実際の力及びモーメントが、算出された制御目標値に一致するように各アクチュエータを制御可能な制御装置を提供すること。【解決手段】制御装置は、車体の前後方向の力Fx、横方向の力Fy、上下方向の力Fz、ロールモーメントMx、ピッチモーメントMy及びヨーモーメントMzの制御目標値を演算する。更に、これら制御目標値の列ベクトルytと、サスペンション装置の配置を含む車両の諸元により決定される所定の係数行列Cと各車輪に作用する前後駆動力及び横力を表す目標値の列ベクトルutとの積C・utと、の差分の2乗和と、列ベクトルutの2乗和と、の和が最小になるように、列ベクトルutを演算により決定し、これに基づいて制動用アクチュエータ、駆動用アクチュエータ及び転舵用アクチュエータを駆動させる。【選択図】図5

Description

本発明は、各車輪に作用する制駆動力及び横力を車輪毎に制御することにより、車両の複数の挙動(ロール、ピッチ及びヨー等)を同時に制御することが可能な車両の制御装置に関する。
従来から、車両の車輪内部又はその近傍に配置した電動機により車輪を直接駆動する、所謂インホイールモータ方式の車両が開発されている。インホイールモータ方式の車両においては、各駆動輪に付与される駆動トルク及び制動トルクが駆動輪毎に制御される。このことを利用して、車両走行時の挙動を制御する車両の制御装置が知られている。このような車両の制御装置の一つ(以下、「従来装置」と称呼される。)は、検出される前後加速度、ロール及びピッチの変化等に基づいて、車体に発生する前後力、ロールモーメント、ピッチモーメント及びヨーモーメントに対するそれぞれの制御目標値を演算する。更に、従来装置は、実際に車体に発生する前後力、ロールモーメント、ピッチモーメント及びヨーモーメントを上記4つの制御目標値に一致させるような各車輪(四輪)の制駆動力目標値を算出し、実際の制駆動力が、各車輪の制駆動力目標値に一致するように各車輪の制駆動力を制御する(例えば、特許文献1を参照。)。
特許文献1によれば、各車輪における制駆動力(Ffl、Ffr、Frl及びFrr)と制御目標値(前後力Fx 、ロールモーメントMx 、ピッチモーメントMy 及びヨーモーメントMz )との関係は、下記の(1)式に示したように4行4列の係数行列を用いて表すことができる。よって、各車輪における制駆動力目標値は、係数行列の逆行列を用いて制御目標値を分配した値として算出される。このようにして、従来装置は、実際に車体に発生する前後力、ロールモーメント、ピッチモーメント及びヨーモーメントを制御目標値に一致させるような各車輪の制駆動力(即ち、制駆動力目標値)を算出する。
Figure 2019182104
特開2012−86712号公報(図2)
しかし、例えば、従来装置による上記手法を適用して車輪に横力を発生させる操舵系アクチュエータ(操舵装置)に対する入力も考慮した制御を行うことを考えると、この制御にて扱うアクチュエータ制御量の数は、各駆動輪に対応するインホイールモータ及び制動装置の制御量に操舵系アクチュエータの制御量を加えた5つとなる。この場合、取り扱うべき係数行列は4行5列の行列となる。しかし、この係数行列は正方行列ではない(正則でない)ので、逆行列が求められない。従って、各駆動輪及び操舵系アクチュエータの制御量は求められない。つまり、従来装置の手法は、入力数と出力数が等しい制御系であり且つ係数行列が正則である場合にのみ適用されるので汎用的ではなかった。
本発明は上記課題に対処するために為されたものである。即ち、本発明の目的の一つは、複数のアクチュエータ制御量(車輪に作用する複数の力)と、車体に発生する複数の「力及びモーメント」と、の関係を規定する係数行列が正則でない場合であっても、車体に発生する複数の「力及びモーメント」を制御目標値にそれぞれ一致させるような各車輪に作用する力の目標値を算出し、実際の複数の「力及びモーメント」が、算出された制御目標値に一致するように各アクチュエータを制御可能な車両の制御装置を提供することにある。
そこで、本発明の車両の制御装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、左前輪(WFL)、右前輪(WFR)、左後輪(WRL)及び右後輪(WRR)を含む複数の車輪と、前記複数の車輪のそれぞれに制動力を付与する制動用アクチュエータ(40)と、前記複数の車輪のそれぞれに制動力及び駆動力を付与する駆動用アクチュエータ(31)と、前記左前輪及び前記右前輪の「前輪の組」、並びに、前記左後輪及び前記右後輪の「後輪の組」のうちの少なくとも何れか一方の組の車輪を転舵する転舵用アクチュエータ(50、60)と、ばね上部材とばね下部材との間に前記複数の車輪のそれぞれに対応して配設される複数のサスペンション装置(20)と、を備えた車両(10)に適用される。
本発明装置は、操作量検出センサ(81)と、運動状態量検出センサ(82)と、外乱量検出センサ(83)と、制御部(70)と、を備える。
前記操作量検出センサは、運転者のアクセル操作、ブレーキ操作及びステアリング操作のそれぞれの運転操作量を検出する。
前記運動状態量検出センサは、前記車両の、前後加速度、横加速度、上下加速度、ロールレート、ピッチレート及びヨーレートを含む運動状態量を検出する。
前記外乱量検出センサは、前記複数のサスペンション装置に路面から入力される外乱を表す外乱量を検出する。
前記制御部は、前記検出された運転操作量、前記検出された運動状態量及び前記検出された外乱量に基づいて、前記車両に作用する前後方向の力(Fx )、前記車両に作用する横方向の力(Fy )、前記車両の車体に作用する上下方向の力(Fz )、前記車体のロールモーメント(Mx )、前記車体のピッチモーメント(My )及び前記車体のヨーモーメント(Mz )、を含む車両運動決定因子のそれぞれの制御目標値(Fx'、Fy'、Fz'、Mx'、My'、Mz')を演算する(ステップ520)。前記制御部は、実際の前記車両運動決定因子のそれぞれが前記演算された制御目標値の対応するそれぞれに一致するように、前記制御用アクチュエータ、前記駆動用アクチュエータ及び前記転舵用アクチュエータを駆動させる。
更に、前記制御部は、前記車両運動決定因子を表すベクトル(y)が、前記サスペンション装置の前記車両における配置を含む前記車両の諸元により決定される所定の係数行列(C)と前記複数の車輪が路面に対して発生する力を表す力ベクトル(u)との積(C・u)により表されるとの関係を用いて、前記演算された制御目標値(yt)に対する前記力ベクトルの目標値(ut)を求めるように構成される。
しかし、前述したように、所定の係数行列が正則でない場合、係数行列の逆行列を求めることができないので、従来装置の手法は適用できない。
そこで、前記制御部は、
前記係数行列(C)と前記力ベクトルの目標値(ut)との積(C・ut)と、前記車両運動決定因子の制御目標値(yt)と、の差分の2乗和((C・ut−yt)T(C・ut−yt))と、前記力ベクトルの目標値(ut)の2乗和(utT・ut)と、の和が最小となるように、前記力ベクトルの目標値(ut)を演算により決定し(ステップ530)、前記決定した力ベクトルの目標値(ut)に基づいて前記制動用アクチュエータ、前記駆動用アクチュエータ及び前記転舵用アクチュエータを駆動させる(ステップ540)ように構成される。
発明者の検討によれば、係数行列Cと力ベクトルの目標値utとの積C・ut と、運動決定因子の制御目標値ytと、の差分の2乗和(C・ut−yt)T(C・ut−yt) を最小にし、且つ力ベクトルの目標値utの2乗和utT・ut を最小にする力ベクトルの目標値utは、(CTC+I)-1T・yt と表すことができる。ここで、Iは単位行列である。仮に、係数行列Cが正則でないとしても、行列CTC の各固有値は0以上である。更に、単位行列Iの固有値は全て1であるから、行列(CTC+I) の各固有値は1以上の値(正の値)となる。従って、行列(CTC+I)の行列式 det(CTC+I)は必ず正の値となるので、行列(CTC+I)の逆行列は常に存在し、各アクチュエータ制御量が算出される。
よって、本発明装置によれば、係数行列Cが正則でない場合であっても、実際の車両運動決定因子のそれぞれが、演算された制御目標値ytの対応するそれぞれに一致するように、制動用アクチュエータ、駆動用アクチュエータ及び転舵用アクチュエータを駆動させることができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の制動制御装置が適用される車両の概略構成図である。 図2は、図1に示した車両の斜視図であり、車体の重心に作用する力及びモーメントについての説明図である。 図3は、アクチュエータの駆動により各車輪に作用する前後方向の力と上下力との関係を説明するための図であり、図3(A)は、駆動装置の駆動力が作用している場合、図3(B)は、制動装置の制動力が作用している場合の図である。 図4は、アクチュエータの駆動により各車輪に作用する左右方向の力と上下力との関係を説明するための図であり、図4(A)は前輪側、図4(B)は後輪側を説明するための図である。 図5は、図1に示したECUのCPUが実行する「車体挙動制御ルーチン」を示したフローチャートである。 図6は、前輪とサスペンション装置の配置を説明するための図である。
(構成)
本発明の実施形態に係る車両の制御装置(以下、「本制御装置」とも称呼される。)は、図1に示したように、車両10に適用される。車両10は、サスペンション装置20、駆動装置30、制動装置40、第1転舵装置50、第2転舵装置60、ECU70及び車輪W(WFL、WFR、WRL及びWRR)等を備えている。
以下、車輪毎に設けられる要素については、その符号の末尾に、左前輪を表す添字FL又はfl、右前輪を表す添字FR又はfr、左後輪を表す添字RL又はrl及び右後輪を表す添字RR又はrrをそれぞれ付す。但し、車輪毎に設けられる要素について車輪位置を特定しない場合、それらの添字は省略される。
サスペンション装置20(20FL、20FR、20RL及び20RR)は、その一端が車体11に連結され、他端にて車輪Wを懸架している。一方、車輪Wは、図示しない車輪支持部材により車体11に対して回転可能に支持されている。この車輪支持部材は、サスペンション装置20の図示しないサスペンションアームにより車体11に対して主として上下方向に変位可能に車体11に連結されている。サスペンション装置20は、ショックアブソーバ21及びサスペンションスプリング22等を含んでいる。
ショックアブソーバ21(21FL、21FR、21RL及び21RR)は、上端にて車体11に連結され、下端にて車輪支持部材又はサスペンションアームに連結されている。サスペンションスプリング22(22FL、22FR、22RL及び22RR)は、その一端がショックアブソーバ21のロッドに固定され、その他端がショックアブソーバ21のシリンダに固定されている。サスペンションスプリング22は、路面の上下変位及び車輪Wが路面から受けた衝撃をばね上(車体11)に伝達され難くする。ショックアブソーバ21は、ばね上部材である車体11及びばね下部材である車輪Wが上下に相対変位することによる振動を減衰させる減衰力を発生する。
駆動装置30は、インホイールモータ31(31FL、31FR、31RL及び31RR)、蓄電池32及びインバータ33及びアクセルペダル34等を含んでいる。インホイールモータ31FL、31FR、31RL及び31RRは、左前輪WFL、右前輪WFR、左後輪WRL及び右後輪WRRの内部にそれぞれ組み込まれている。インホイールモータ31FL、31FR、31RL及び31RRの出力軸は、左前輪WFL、右前輪WFR、左後輪WRL及び右後輪WRRに動力伝達可能となるようにそれぞれ連結されている。インホイールモータ31は、交流同期モータにより構成される。
蓄電池32は、充放電が可能な二次電池(例えば、リチウムイオン電池)である。
インバータ33は蓄電池32と電気的に接続されている。インバータ33は、蓄電池32から供給される直流電力を交流電力に変換して各インホイールモータ31に供給する。これにより、各インホイールモータ31は駆動(即ち、力行)され、各車輪に駆動トルクが付与される。一方、各インホイールモータ31が発電機として作動するとき、各車輪の回転(運動)エネルギーが各インホイールモータ31によって電気エネルギーに変換される。インバータ33は、各インホイールモータ31から供給される交流電力を直流電力に変換して蓄電池32に供給することができる。これにより、蓄電池32が充電される。このとき、各車輪には、回生力に基づく制動トルクが付与される。このように、インホイールモータ31は、車輪Wのそれぞれに個別に駆動力を付与する駆動用アクチュエータであり、且つ、車輪Wのそれぞれに個別に制動力(回生制動力)を付与する制動用アクチュエータであるとも言える。
制動装置40は、ブレーキペダル41、マスタシリンダ42、油圧回路43及びホイールシリンダ44等を含んでいる。
車輪Wの制動力は、制動装置40の油圧回路43により、車輪Wに対応するホイールシリンダ44に供給される作動油の圧(油圧、以下、「制動圧」とも称呼される。)が制御されることによって制御される。即ち、左前輪WFL、右前輪WFR、左後輪WRL及び右後輪WRRの制動力は、ホイールシリンダ44FL、44FR、44RL及び44RRのそれぞれの制動圧が制御されることによって制御される。油圧回路43は図示しないリザーバ、オイルポンプ及び種々の弁装置等を含み、ブレーキアクチュエータとして機能する。
ホイールシリンダ44の制動圧は、運転者によるブレーキペダル41の踏込み操作に応じて変化するマスタシリンダ42の圧力(以下、「マスタシリンダ圧」とも称呼される。)Pmに基づいてECU70により制御される。ホイールシリンダ44FL、44FR、44RL及び44RRの制動圧は、更に、互いに独立して個別に制御され得る。
油圧回路43は、図示しない「保持弁及び減圧弁」を各ホイールシリンダ44に対応して備える周知の油圧回路である。油圧回路43は、ホイールシリンダ44FL、44FR、44RL及び44RRの制動圧を、更に、互いに独立して個別に調整することができる。保持弁及び減圧弁は、連通位置及び遮断位置の何れか一方を択一的に選択する周知の二位置電磁弁である。保持弁は、マスタシリンダ42と各ホイールシリンダ44との間に介装されている。減圧弁は図示しないリザーバと各ホイールシリンダ44との間に介装されている。このように、制動装置40は、各車輪のそれぞれに個別に制動力を付与する制動用アクチュエータであると言える。
第1転舵装置50は、ステアリングホイール51、ステアリングシャフト52、ギヤ比可変アクチュエータ53、中間シャフト54、ラックシャフト55及びラック・アンド・ピニオン機構56、及びパワーステアリング装置57等を備えている。ステアリングホイール51とステアリングシャフト52とは一体回転可能に連結されている。ステアリングシャフト52はギヤ比可変アクチュエータ53を介して中間シャフト54に連結されている。中間シャフト54とラックシャフト55とは、周知のラック・アンド・ピニオン機構56により連結されている。ラックシャフト55の両端には、ナックルアーム58L及び58Rを介して左前輪WFL及び右前輪WFRがそれぞれ接続されている。
ステアリングホイール51が運転者により操作されると、ラック・アンド・ピニオン機構56によりステアリングシャフト52(中間シャフト54)の回転運動がラックシャフト55の軸方向の直線運動に変換され、これにより左前輪WFL及び右前輪WFRが転舵される。
ギヤ比可変アクチュエータ53は、図示しない減速機構及び電動機を含む。ギヤ比可変アクチュエータ53は、ステアリングホイール51の操舵角θtに対する前輪の転舵角の比を電動機を用いて変更することができる。
パワーステアリング装置57は、電動機(パワーステアリングモータ)を備え、ECU70からの指令値に基づいて運転者によるステアリング操作をアシストするための駆動力を発生し、その駆動力によってラックシャフト55をその軸方向に駆動する。更に、パワーステアリング装置57は、ECU70からの指令値に基づいて、目標とする横力を発生させるような舵角を前輪に与えるようにラックシャフト55を駆動する。このように構成された第1転舵装置50は、左前輪WFL及び右前輪WFRを転舵する転舵用アクチュエータであると言える。第1転舵装置50は、以下、「第1転舵用アクチュエータ50」とも称呼される。
第2転舵装置60は、転舵力発生機構61、タイロッド62及びナックルアーム63等を備える。転舵力発生機構61は、図示しない「電動機であるアクチュエータ」及び歯車群を含み、アクチュエータの駆動力を転舵力(軸力)に変換する。転舵力発生機構61は、この転舵力をタイロッド62及び左右のナックルアーム63L及び63Rを介して左後輪WRL及び右後輪WRRにそれぞれ伝達することにより、左後輪WRL及び右後輪WRRを転舵させる。転舵力発生機構61は、ECU70からの指令値に基づいて、後輪の転舵方向を前輪の転舵方向に対して同方向又は逆方向に変更することができる。
以下、後輪が前輪の転舵方向と同方向に転舵されている状態は「同位相」と称呼され、後輪が前輪の転舵方向と逆方向に転舵されている状態は「逆位相」と称呼される。前輪と後輪とが同位相である場合、旋回時に車両10に発生するヨーモーメントは大きくされ、前輪と後輪とが逆位相である場合、ヨーモーメントは小さくされる。このような第2転舵装置60は、左後輪WRL及び右後輪WRRを転舵する転舵用アクチュエータであると言える。第2転舵装置60は、以下、「第2転舵用アクチュエータ」とも称呼される。
ECU70は、操作量検出センサ81、運動状態量検出センサ82及び外乱量検出センサ83等と電気的に接続され、これらセンサからの出力信号を受信するようになっている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称であり、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM(又は不揮発性メモリ)及びインタフェースI/F等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現する。
操作量検出センサ81は、車両10の運転者によるステアリングホイール51の操作量(操舵角)θtを検出する操舵角センサ、運転者によるアクセルペダル34の操作量(アクセルペダル踏み込み量)Apを検出するアクセルセンサ、運転者によるブレーキペダル41の操作量(ブレーキペダル踏み込み量)Bpを検出するブレーキセンサ及びマスタシリンダ圧Pmを検出するマスタシリンダ圧センサ等を含んでいる。従って、操作量検出センサ81は、操舵角θtを表す出力信号、アクセルペダル踏み込み量Apを表す出力信号、ブレーキペダル踏み込み量Bpを表す出力信号及びマスタシリンダ圧Pmを表す出力信号を発生するようになっている。
運動状態量検出センサ82は、車体11(ばね上)の上下方向の加速度(上下加速度)Gz を検出するばね上の上下加速度センサ、車体11の左右方向の加速度(横加速度)Gy を検出する横加速度センサ、車体11の前後方向の加速度(加減速度)Gx を検出する加減速度センサ、車体11に発生するヨーレートYrを検出するヨーレートセンサ、車体11に発生するピッチレートPrを検出するピッチレートセンサ、車体11に発生するロールレートRrを検出するロールレートセンサ及び各車輪の回転速度NPを検出する車輪速度センサ等を含んでいる。
従って、運動状態量検出センサ82は、上下加速度Gz を表す出力信号、横加速度Gy を表す出力信号、前後加速度(加減速度)Gx を表す出力信号、ヨーレートYrを表す出力信号、ピッチレートPrを表す出力信号、ロールレートRrを表す出力信号及び各車輪の各車輪の回転速度NPを表す出力信号を発生するようになっている。
外乱量検出センサ83は、各サスペンション装置20のストローク量(外乱量の一つ)Stを検出する図示しないストロークセンサ、及び、各車輪を含む車両10のばね下部材の上下方向の加速度(外乱の大きさを示す外乱量の一つである上下加速度)を検出する図示しない「ばね下の上下加速度センサ」等を含んでいる。従って、外乱量検出センサ83は、各サスペンション装置20のストローク量Stを表す出力信号及びばね下の上下加速度を表す出力信号を発生するようになっている。ばね下の上下加速度は、主として路面の凹凸の大きさと相関している。なお、ストロークセンサが出力するストローク量Stは、サスペンション装置20が基準長(基準位置)から伸びるときに正の値になり、基準長から縮むときに負の値となる。
(作動)
次に、前述した各アクチュエータを作動させることにより、車体11(ばね上部材)の挙動を制御する方法について、図2乃至図4を参照しながら説明する。以下、左前輪WFLに発生させる制駆動力(制動力又は駆動力)は「左前輪前後駆動力Fxfl 」と称呼される。右前輪WFRに発生させる制駆動力は「右前輪前後駆動力Fxfr 」と称呼される。左後輪WRLに発生させる制駆動力は「左後輪前後駆動力Fxrl 」と称呼される。右後輪WRRに発生させる制駆動力は「右後輪前後駆動力Fxrr 」と称呼される。第1転舵用アクチュエータ50を作動させることにより左前輪WFL及び右前輪WFRに発生させる横力は、「前輪横力Fyf」と称呼される。第2転舵用アクチュエータ60を作動させることにより左後輪WRL及び右後輪WRRに発生させる横力は、「後輪横力Fyr」と称呼される。上記の各車輪に作用する6つの力は、以下、「車輪作用力」とも称呼される。
インホイールモータ31のそれぞれが発生する制駆動力及び制動装置40が発生する制動力(左前輪前後駆動力Fxfl 、右前輪前後駆動力Fxfr 、左後輪前後駆動力Fxrl 及び右後輪前後駆動力Fxrr )、第1転舵用アクチュエータ50及び第2転舵用アクチュエータ60がそれぞれ発生する横力(前輪横力Fyf及び後輪横力Fyr)によって各車輪は路面に対する力を発生する。各車輪が路面に対して発生する力によって車両10の挙動を変化させることができる。従って、各車輪が路面に対して発生する力(車輪作用力)は、車両10の前後方向の力Fx 、横方向の力Fy 、上下方向の力Fz 、ロールモーメントMx 、ピッチモーメントMy 及びヨーモーメントMz に配分することができる。上記の6つの「力及びモーメント」は、以下、「車両運動決定因子」とも称呼される。
図2に示したように、前後方向の力Fx (以下、「前後力Fx 」と称呼する。)は、車体11の前後方向と平行な軸(x軸)に沿った力である。横方向の力Fy (以下、「横力Fy 」と称呼する。)は、車体11の横方向と平行な軸(y軸)に沿った力である。上下方向の力Fz (以下、「上下力Fz 」と称呼する。)は、車体11の上下方向と平行な軸(z軸)に沿った力である。ロールモーメントMx はx軸を回転軸とするモーメントである。ピッチモーメントMy はy軸を回転軸とするモーメントである。ヨーモーメントMz はz軸を回転軸とするモーメントである。なお、車両10(車体11)の前方、左方及び上方がx軸、y軸及びz軸の正の方向にそれぞれなるように座標が設定されている。
次に、車両運動決定因子(前後力Fx 、横力Fy 、上下力Fz 、ロールモーメントMx 、ピッチモーメントMy 及びヨーモーメントMz )と、車輪作用力(各アクチュエータを作動させることにより各車輪に発生させる力(Fxfl、Fxfr、Fxrl、Fxrr、Fyf及びFyr))と、の関係について説明する。
前後力Fx は、各車輪に発生する制駆動力の前後方向成分の総和である。従って、前後力Fx は、下記の(2)式にて表される。
Figure 2019182104
横力Fy は、前輪(左前輪WFL及び右前輪WFR)及び後輪(左後輪WRL及び右後輪WRR)に発生する横力の総和である。従って、横力Fy は、下記の(3)式にて表される。
Figure 2019182104
上下力Fz は、サスペンション装置20の車両10における幾何学的な配置により発生する力の総和である。ところで、インホイールモータ31は、サスペンション装置20(ばね下部材)に取り付けられるので、インホイールモータ31の駆動による路面反力は各車輪の接地点に作用する。図3(A)に示したように、水平面GL上を走行している車両10のサスペンション装置20FL及び20RLの瞬間回転中心をそれぞれCxf及びCxrと表すと、左前輪WFLに前後方向の駆動力Fxfl が生じているとき、接地点Pxfと瞬間回転中心Cxfとを結ぶ仮想リンクの方向に沿って駆動力Fxflとつり合う力(−Fxfl/cosθf)が作用する。この仮想リンク方向の力の上下方向(z軸方向)の成分−Fxfl・tanθf が上下力としてサスペンション装置20FLに作用する。同様に、左後輪WRLに前後方向の駆動力Fxrl が生じているとき、接地点Pxrと瞬間回転中心Cxrとを結ぶ仮想リンクの方向に沿って駆動力とつり合う力(Fxrl/cosθr)が作用する。この仮想リンク方向の力のz軸方向の成分Fxrl・tanθr が上下力としてサスペンション装置20RLに作用する。説明は省略するが、右前輪WFR及び右後輪WRRについても左前輪WFL及び右前輪WFRと同様の力が作用する。
一方、ホイールシリンダ44は、サスペンション装置20(ばね下部材)に取り付けられるので、ホイールシリンダ44の制動による路面反力はインホイールモータ31の路面反力と同様に各車輪の接地点に作用する。図3(B)に示したように、左前輪WFLに制動力Fxfl が生じているとき、仮想リンク方向には、制動力Fxfl とつり合う力(−Fxfl/cosθf)が作用する。この仮想リンク方向の力のz軸方向の成分−Fxfl・tanθf が上下力としてサスペンション装置20FLに作用する。同様に、左後輪WRLに制動力Fxrl が生じているとき、仮想リンク方向には、制動力Fxrl とつり合う力(Fxrl/cosθr)が作用する。この仮想リンク方向の力のz軸方向の成分Fxrl・tanθr が上下力としてサスペンション装置20RLに作用する。説明は省略するが、右前輪WFR及び右後輪WRRについても左前輪WFL及び右前輪WFRと同様の力が作用する。以上より、上下力Fz は、下記の(4)式にて表される。
Figure 2019182104
ロールモーメントMx は、車両諸元及びサスペンション装置20の車両10における幾何学的な配置により発生する力であり、下記の(5)式にて表される。
Figure 2019182104
図4の(A)及び/又は(B)に示したように、Tf は前輪のトレッド幅(左前輪WFLの横方向の中心と右前輪WFRの横方向の中心との距離)である。Tr は後輪のトレッド幅(左後輪WRLの横方向の中心と右後輪WRRの横方向の中心との距離)である。Hは重心Cg の路面からの高さである。φf は接地点Pyfr と瞬間回転中心Cyfとを結ぶ直線と路面(水平面)GLとのなす角(アンチロール角)である。φr は接地点Pyrr と瞬間回転中心Cyrとを結ぶ直線と路面(水平面)GLとのなす角(アンチロール角)である。図4(A)において、右前輪WFRに対応するアンチロール角のみ示したが、左前輪WFLに対応するアンチロール角も同様にφf である。図4(B)において、右後輪WRRに対応するアンチロール角のみ示したが、左後輪WRLに対応するアンチロール角も同様にφr である。なお、図4(A)中のFyfl 及びFyfr は前輪横力Fyfを左右に配分した力であり、従って、これらの和は前輪横力Fyfに等しい。同様に、図4(B)中のFyrl 及びFyrr は後輪横力Fyrを左右に配分した力であり、従ってこれらの和は後輪横力Fyrに等しい。なお、図4(A)に示した23FL及び23FR、並びに図4(B)に示した23RL
及び23RRは、サスペンション装置20のロアアームである。図4に示した点Ccはロールセンターである。
ピッチモーメントMy は、車両諸元及びサスペンション装置20の車両10における幾何学的な配置により発生する力であり、下記の(6)式にて表される。Lf は、図3(A)に示したように、重心Cg と左前輪WFLとのx軸方向の距離であり、Lr は重心Cg と左後輪WRLとのx軸方向の距離である。
Figure 2019182104
ヨーモーメントMz は、車両諸元及びサスペンション装置20の車両10における幾何学的な配置により発生する力であり、下記の(7)式にて表される。
Figure 2019182104
次に、車両運動決定因子及び車輪作用力をそれぞれ列ベクトルy及びuにて表すと、列ベクトルy及びuは、下記(8)式及び(9)式にて表される。列ベクトルuは、以下、「力ベクトル」とも称呼される。
Figure 2019182104
上記(2)乃至(7)式より得られる係数行列をCと表すと、列ベクトルyと列ベクトルuとの関係は、下記の(10)式にて表される。ここで、係数行列Cは(11)式にて表される。
Figure 2019182104
Figure 2019182104
次に、車両運動決定因子の制御目標値の列ベクトルを下記の(12)式のように列ベクトルytと表し、車輪作用力の目標値(力ベクトルuの目標値)を下記の(13)式のようにutと表すと、制御目標値yt、車輪作用力の目標値ut及び係数行列Cの間には下記の(14)式に示す関係が成立する。
Figure 2019182104
ここで、係数行列Cの逆行列C-1が存在すれば、上記(14)式から「ut=C-1・yt」の関係が成立する。よって、制御目標値ytは車輪作用力の目標値utに分配され得る。ところが、後述するように、本例の係数行列Cは正則ではないので、逆行列C-1を求めることができない。
より具体的に述べると、上記(11)式から理解されるように、係数行列Cは6行6列の正方行列ではあるが、例えば、係数行列Cの1行目、3行目及び5行目は一次従属の関係にある。従って、係数行列Cは正則ではない。つまり、(14)式に基づく式「ut=C-1・yt」 から力ベクトルの目標値utを算出することはできない。そこで、本制御装置(ECU70)は、以下の手法を用いて、車輪作用力の目標値utを算出する。
制御目標値ytと、係数行列Cと車輪作用力の目標値utとの積C・utと、について、下記の(15)式に示す評価関数Jを適用する。
Figure 2019182104
上記(15)式を展開すると、下記の(16)式が得られる。
Figure 2019182104
(16)式から理解されるように、上記(15)式の右辺第1項は、係数行列Cと力ベクトルの目標値utとの積C・utと、制御目標値ytと、の差分(即ち、誤差)の2乗和を表している。上記(15)式の右辺第2項は、力ベクトルの目標値utの2乗和を表している。
上記(15)式に示した評価関数Jを最小とする車輪作用力の目標値utは、下記の(17)式にて表される。
Figure 2019182104
(17)式における行列(CTC+I) の逆行列は演算可能である。その理由は以下の通りである。括弧内の行列CTCは係数行列Cとその転置行列CTとの積であるので、その各固有値は必ず0以上となる。更に、単位行列Iの固有値は全て1である。従って、行列(CTC+I)の各固有値は1以上の値(正の値)となる。一般に、行列式は固有値の積に等しいので、ある行列Dの固有値が全て正の値であれば、その行列式 det(D)は、必ず正の値となる。従って、このような行列Dの逆行列は常に存在する。以上のことから、行列(CTC+I)の逆行列は常に存在すると言える。従って、(17)式に基づけば、係数行列Cが正則ではない場合であっても、車輪作用力の目標値utを算出することができる。そこで、ECU70は、(17)式に基づいて車輪作用力の目標値utを決定する。
上記(15)及び(16)式から理解されるように、評価関数Jを最小とすることは、係数行列Cと車輪作用力の目標値utとの積C・ut と、制御目標値ytと、の誤差の2乗和を最小とし、且つ車輪作用力の目標値utの2乗和を最小とするような解を求めることを意味する。言い換えると、係数行列Cの逆行列が求められないということは、(14)式にて表される連立方程式の解が一意に定まらないということである。そこで、本制御装置は、誤差の2乗和を最小とする評価に車輪作用力の目標値utの2乗和を最小とするという評価を加えた上記評価関数Jを導入することにより、複数存在し得る「車輪作用力の目標値ut」の解のうち、車輪作用力の目標値utの各力(Fxfl'、Fxfr'、Fxrl'、Fxrr'、Fyf'、Fyr')がそれぞれ最小となる組合せを求めることができる。つまり、本制御装置は、車輪作用力の目標値utの各力の誤差を最小とする車輪作用力のうち各力がそれぞれ最小となる組み合わせを算出する。この手法は、エネルギー消費の観点からも合理的であると言える。
前述した制御目標値yt(Fx'、Fy'、Fz'、Mx'、My'及びMz')は、次のように演算される。ECU70は、操作量検出センサ81の出力信号、運動状態量検出センサ82の出力信号及び外乱量検出センサ83の出力信号に基づいて、実際の「操作量、運動状態量及び外乱量」をそれぞれ取得する(後述のステップ510に対応)。更に、ECU70は、取得された実際の「操作量、運動状態量及び外乱量」に基づいて、車両運動決定因子のそれぞれに対応する制御目標値yt(目標前後力Fx'、目標横力Fy'、目標上下力Fz'、目標ロールモーメントMx'、目標ピッチモーメントMy'及び目標ヨーモーメントMz')を演算する(後述のステップ520に対応)。これら制御目標値ytの演算方法については、周知の演算手法を採用することができるので、その詳細な説明は省略し、概要だけ説明する。
目標前後力Fx':ECU70は、アクセルペダル踏み込み量Ap、ブレーキペダル踏み込み量Bp及び車体速度Vx等の各種検出値と、目標前後力Fx'と、の関係を規定したルックアップテーブルに、実際に検出された各種検出値を適用することにより目標前後力Fx'を演算する。なお、このルックアップテーブル及び以下に述べるルックアップテーブルは予め定められ、ECU70内のROMに格納されている。
目標横力Fy':ECU70は、操舵角θt、車体速度Vx及び路面の凹凸の大きさ等の各種検出値と、目標横力Fy'と、の関係を規定したルックアップテーブルに、実際に検出された各種検出値を適用することにより目標横力Fy'を演算する。
目標上下力Fz':ECU70は、車体速度Vx及び路面の大きさ等の各種検出値と、目標上下力Fz'と、の関係を規定したルックアップテーブルに、実際に検出された各種検出値を適用することにより目標上下力Fz'を演算する。
目標ロールモーメントMx':ECU70は、操舵角θt、車体速度Vx、ロールレートRr及び路面の凹凸の大きさ等の各種検出値と、目標ロールモーメントMx'と、の関係を規定したルックアップテーブルに、実際に検出された各種検出値を適用することにより目標ロールモーメントMx'を演算する。
目標ピッチモーメントMy':ECU70は、アクセルペダル踏み込み量Ap、ブレーキペダル踏み込み量Bp、車体速度Vx、ピッチレートPr及び路面の凹凸の大きさ等の各種検出値と、目標ピッチモーメントMy'と、の関係を規定したルックアップテーブルに、実際に検出された各種検出値を適用することにより目標ピッチモーメントMy'を演算する。
目標ヨーモーメントMz':ECU70は、操舵角θt、車体速度Vx及びヨーレートYr等の各種検出値と、目標ヨーモーメントMz'と、の関係を規定したルックアップテーブルに、実際に検出された各種検出値を適用することにより目標ヨーモーメントMz'を演算する。
次いで、ECU70は、目標前後力Fx'、目標横力Fy'、目標上下力Fz'、目標ロールモーメントMx'、目標ピッチモーメントMy'及び目標ヨーモーメントMz'を以下の手法を用いて各車輪の運動を制御するアクチュエータ(インホイールモータ31、制動装置40、第1転舵用アクチュエータ50及び第2転舵用アクチュエータ60)が発生する力(各車輪の前後駆動力及び横力)に配分する(後述のステップ530を参照。)。
(具体的作動)
以下、本制御装置の実際の作動について説明する。ECU70のCPU(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、一定時間が経過する毎に、図5にフローチャートにより示した車体挙動制御ルーチンを実行するようになっている。
CPUは所定のタイミングにてステップ500から処理を開始して以下に説明するステップ510乃至540を順に進んで、ステップ595に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ510:CPUは、操作量検出センサ81、運動状態量検出センサ82及び外乱量検出センサ83により検出された検出値に基づいて、各操作量、各運動状態量及び外乱量を取得する。
ステップ520:CPUは、取得された各操作量、各運動状態量及び外乱量に基づいて、制御目標値yt(Fx'、Fy'、Fz'、Mx'、My'及びMz')を前述したようにルックアップテーブル等を用いて演算する。
ステップ530:CPUは、前述の(15)式に示した評価関数Jを最小にする車輪作用力の目標値utを演算する。つまり、CPUは、前述の(17)式に、演算された制御目標値yt(Fx'、Fy'、Fz'、Mx'、My'及びMz')を適用して車輪作用力の目標値ut(前後駆動力Fxfl'、Fxfr'、Fxrl'、及びFxrr'、並びに横力Fyf'及びFyr')を演算する。
ステップ540:CPUは、算出された車輪作用力の目標値ut(前後駆動力Fxfl'、Fxfr'、Fxrl'及びFxrr'並びに横力Fyf'及びFyr')に基づいて、以下のように各アクチュエータを制御する。
(1)前後駆動力に基づく制御
CPUは、算出されたそれぞれの目標前後駆動力Fxfl'、Fxfr'、Fxrl'及びFxrr'を、インホイールモータ31を駆動するための目標モータトルクTxfl、Txfr、Txrl及びTxrr に変換する。この変換は、例えば、各車輪の半径を目標前後駆動力に乗じることにより行われる。次いで、CPUは、目標モータトルクTxfl、Txfr、Txrl及びTxrr に従って、インホイールモータ31が目標トルクを発生するように生成した制御信号(例えば、PWM信号)をインバータ33に出力する。これにより、インバータ33のスイッチング素子の作動デューティ比が制御され、目標モータトルクTxfl、Txfr、Txrl及びTxrrに対応した電流がインホイールモータ31に流れ、各車輪に制駆動力が発生する。
目標モータトルクTxfl、Txfr、Txrl及びTxrrが駆動トルクを表している場合、インホイールモータ31が力行制御され、インバータ33からインホイールモータ31に電流が流れる。一方、目標モータトルクTxfl、Txfr、Txrl及びTxrrが制動トルクを表している場合、インホイールモータ31が回生制御され、インホイールモータ31からインバータ33を介して蓄電池32に電流が流れる。目標モータトルクTxfl、Txfr、Txrl及びTxrrが制動トルクを表している場合において、制動トルクが回生制御によって発生し得る最大トルクを超えている場合、CPUは、インホイールモータ31による制動に加え、制動用アクチュエータ40による摩擦制動力を発生させる。
より具体的に述べると、CPUは、各インホイールモータ31にて実際に発生させた回生制動力を取得し、算出された目標制動力と実際に発生させた回生制動力との差分を、要求摩擦制動力として算出する。CPUは、この要求摩擦制動力に基づいて、制動用アクチュエータ40を制御する。CPUは要求摩擦制動力を発生させるために必要な目標制動圧を決定する。CPUは液圧センサにより検出される各車輪に対応するホイールシリンダ44の圧力が目標制動圧に追従するように保持弁及び減圧弁を制御する。
(2)横力に基づく制御
CPUは、算出されたそれぞれの目標横力Fyf及びFyrを第1転舵用アクチュエータ50及び第2転舵用アクチュエータ60を制御するための目標操舵角θft及びθrtに変換する。目標操舵角θft及びθrtへの変換は、目標横力Fyf及びFyrをそれぞれ前輪のコーナリングパワーCf及び後輪のコーナリングパワーCrで除することにより行われる。
より具体的に述べると、コーナリングパワーは、ヨーレートYrが一定であるとき、車輪のスリップ角が比較的小さい領域においては、一定と見做すことができる。従って、ヨーレートYrと前輪コーナリングパワーCfとの関係を規定したルックアップテーブルに実際のヨーレートYrを適用することにより前輪コーナリングパワーCfを算出することができる。同様に、ヨーレートYrと後輪コーナリングパワーCrとの関係を規定したルックアップテーブルに実際のヨーレートYrを適用することにより後輪コーナリングパワーCrを算出することができる。
CPUは、このようにして算出された前輪の目標操舵角θftとラックシャフト55の位置との関係を規定したルックアップテーブルに、算出された前輪の目標操舵角θftを適用することにより、ラックシャフト55の位置を算出する。CPUは、第1転舵用アクチュエータ50を制御して、ラックシャフト55の位置を、算出されたラックシャフトの位置に移動させる。
更に、CPUは、算出された後輪の目標操舵角θrtとタイロッド62の位置との関係を規定したルックアップテーブルに、算出された後輪の目標操舵角θrtを適用することにより、タイロッド62の位置を算出する。CPUは、第2転舵用アクチュエータ60を制御して、タイロッド62の位置を、算出されたタイロッドの位置に移動させる。
このようにして、6つのアクチュエータをそれぞれ制御することにより、各車輪に前後駆動力及び/又は横力を発生させ、車両に作用する前後力Fx 、車両に作用する横力Fy 、車体に作用する上下力Fz 、車体のロールモーメントMx 、車体のピッチモーメントMy 及び車体のヨーモーメントMz を同時に制御することができる。
以上、説明したように、本制御装置は、検出された運転操作量(アクセル操作量、ブレーキ操作量及びステアリング操作量)、検出された運動状態量及び検出された外乱量に基づいて、車両10に作用する前後方向の力Fx 、車両10に作用する横方向の力Fy 、車体11に作用する上下方向の力Fz 、車体11のロールモーメントMx 、車体11のピッチモーメントMy 及び車体11のヨーモーメントMz 、を含む、車両運動決定因子のそれぞれの制御目標値を演算する。本制御装置は、実際の車両運動決定因子のそれぞれが演算された制御目標値の対応するそれぞれに一致するように、制動用アクチュエータ40、駆動用アクチュエータ31及び転舵用アクチュエータ50、60を駆動させる。
更に、本制御装置は、車両運動決定因子を表すベクトルyが、サスペンション装置20の車両10における配置を含む車両10の諸元により決定される所定の係数行列Cと複数の車輪WFL、WFR、WRL及びWRRが路面に対して発生する力を表す力ベクトルuとの積C・u により表されるとの関係を用いて、演算された制御目標値ytに対する力ベクトルの目標値utを求めるように構成される。
このとき、本制御装置は、係数行列Cと力ベクトルの目標値utとの積C・ut と、車両運動決定因子の制御目標値ytと、の差分の2乗和と、力ベクトルの目標値utの2乗和と、の和が最小になるように、力ベクトルの目標値utを演算により決定し、決定した力ベクトルの目標値utに基づいて制動用アクチュエータ40、駆動用アクチュエータ31及び転舵用アクチュエータ50、60を駆動させるように構成される。
従って、本制御装置によれば、係数行列が逆行列を計算できない行列であっても、各アクチュエータの制御量を算出することができる。つまり、本制御装置によれば、制御対象の数と制御すべきアクチュエータの数とが一致していなくてもよいので、拡張性の高い制御装置を実現することができる。
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、以下に述べるように、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
上記実施形態における重心位置6分力に、操舵力を加えた制御について以下に説明する。例えば、パワーステアリング装置57が故障すると、操舵のためのアシスト力が消失する。そのため、運転者の操舵力が変化し、運転者のステアリング操作に影響を及ぼす可能性がある。そこで、重心位置6分力に加え、図6に示したように、操舵輪(本例では前輪)のキングピン軸回りのモーメントMs を制御対象として設定する。キングピン軸周りのモーメントMs は下記の(18)式にて与えられる。
Figure 2019182104
ここで、Lkpは前輪(左前輪WFL)の接地点Pf からのキングピンオフセット(図6(B)を参照。)、Lt はトレール(図6(A)を参照。)である。従って、この場合の係数行列をC’と表すと、車両運動決定因子と力ベクトルuとの関係は下記の(19)式にて表される。
Figure 2019182104
係数行列C’は下記の(20)式にて表される。
Figure 2019182104
このように、係数行列C’は7行6列となるが、本制御装置の採用した手法によれば、各アクチュエータ制御量uを算出することができる。
上記実施形態において、評価関数J又はJ2 は、入力数(アクチュエータ数)が6、出力数(制御目標数)が6の制御系及び入力数が6、出力数が7の制御系に場合について説明したが、入力数が4、出力数が4であり且つ係数行列Cの逆行列が算出可能な制御系に用いられてもよい。この場合、制御目標は、例えば、前後方向の力Fx'、ロールモーメントMx'、ピッチモーメントMy'及びヨーモーメントMz'の4つである。
上記実施形態において、インホイールモータ31は、左前輪WFL、右前輪WFR、左後輪WRL及び右後輪WRRに備えられていたが、本制御装置の適用される車両は、インホイールモータ31が左前輪WFL及び右前輪WFR、又は左後輪WRL及び右後輪WRRの何れか2輪に備えられる二輪駆動車両であってもよい。
上記実施形態において、制御量(アクチュエータ数)は6つであったが、各車輪にそれぞれ対応するサスペンション装置がアクティブサスペンション装置により構成されている場合、アクティブサスペンション装置による上下方向の制御量をこの車体挙動制御に適用して、合計10個のアクチュエータの制御量を制御してもよい。
10…車両、11…車体、20…サスペンション装置、30…駆動装置(駆動用アクチュエータ)、31…インホイールモータ、40…制動装置(制動用アクチュエータ)、43…油圧回路、44…ホイールシリンダ、50…第1転舵装置(第1転舵用アクチュエータ)、60…第2転舵装置(第2転舵用アクチュエータ)、70…電子制御装置(ECU)、81…操作量検出センサ、82…運動状態量検出センサ、83…外乱量検出センサ、WFL…左前輪、WFR…右前輪、WRL…左後輪、WRR…右後輪。

Claims (1)

  1. 左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪を含む複数の車輪と、
    前記複数の車輪のそれぞれに制動力を付与する制動用アクチュエータと、
    前記複数の車輪のそれぞれに制動力及び駆動力を付与する駆動用アクチュエータと、
    前記左前輪及び前記右前輪の前輪の組、並びに、前記左後輪及び前記右後輪の後輪の組、のうちの少なくとも何れか一方の組の車輪を転舵する転舵用アクチュエータと、
    ばね上部材とばね下部材との間に前記複数の車輪のそれぞれに対応して配設される複数のサスペンション装置と、
    を備えた車両に適用され、
    運転者のアクセル操作、ブレーキ操作及びステアリング操作のそれぞれの運転操作量を検出する操作量検出センサと、
    前記車両の、前後加速度、横加速度、上下加速度、ロールレート、ピッチレート及びヨーレートを含む運動状態量を検出する運動状態量検出センサと、
    前記複数のサスペンション装置に路面から入力される外乱を表す外乱量を検出する外乱量検出センサと、
    前記検出された運転操作量、前記検出された運動状態量及び前記検出された外乱量に基づいて、前記車両に作用する前後方向の力、前記車両に作用する横方向の力、前記車両の車体に作用する上下方向の力、前記車体のロールモーメント、前記車体のピッチモーメント及び前記車体のヨーモーメント、を含む車両運動決定因子のそれぞれの制御目標値を演算し、
    実際の前記車両運動決定因子のそれぞれが前記演算された制御目標値の対応するそれぞれに一致するように、前記制動用アクチュエータ、前記駆動用アクチュエータ及び前記転舵用アクチュエータを駆動させる制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記車両運動決定因子を表すベクトル(y)が、前記サスペンション装置の前記車両における配置を含む前記車両の諸元により決定される所定の係数行列(C)と前記複数の車輪が路面に対して発生する力を表す力ベクトル(u)との積(C・u)により表されるとの関係を用いて、前記演算された制御目標値(yt)に対する前記力ベクトルの目標値(ut)を求めるように構成された、
    車両の制御装置において、
    前記制御部は、
    前記係数行列(C)と前記力ベクトルの目標値(ut)との積(C・ut)と、前記車両運動決定因子の制御目標値(yt)と、の差分の2乗和と、前記力ベクトルの目標値(ut)の2乗和と、の和が最小になるように、前記力ベクトルの目標値(ut)を演算により決定し、前記決定した力ベクトルの目標値(ut)に基づいて前記制動用アクチュエータ、前記駆動用アクチュエータ及び前記転舵用アクチュエータを駆動させるように構成された、制御装置。
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