JP2019179852A - 電解液及び電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐電圧が高い電解液を提供すること。【解決手段】電解コンデンサ用の電解液が、オキソ酸基を有する有機酸のエステルを含み、電解液中に存在するオキソ酸基の総数が、Nであり、電解液に含まれるエステルが有するエステル結合の総数が、nであり、100×n/(N+n)と定義されるエステル化度が、10以上80以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、電解液及び電解コンデンサに関する。
電解コンデンサは金属箔の表面の酸化によって形成される皮膜が誘電体膜として機能するコンデンサである。電解コンデンサは、比較的大きい静電容量を有しているので、電源の平滑化又は電源のデカップリング等の目的のために電源回路に多用されてきた。近年では、カーエレクトロニクス分野においても電解コンデンサの需要が増加しつつある。
電解コンデンサの静電容量を増加させるために、無数の細孔(エッチングピット)を陽極箔の表面に形成することが知られている。各細孔の内側には、電解液が充填されている。各細孔内に充填された電解液は、延長された陰極箔として機能する(下記特許文献1参照)。
特開昭52−45049号公報
電解コンデンサに用いられる電解液には、高い耐電圧が要求される。電解液の耐電圧とは、電解液に1対の電極を浸漬し、電極間の電圧を上昇させ、火花が観測された電圧(火花電圧)である。耐電圧は、電解コンデンサの使用開始直後の耐電圧(初期耐電圧)を含意する。
本発明は、耐電圧が高い電解液、及び当該電解液を備える電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る電解液は、電解コンデンサ用の電解液であって、電解液が、オキソ酸基を有する有機酸のエステルを含み、電解液中に存在するオキソ酸基の総数が、Nであり、電解液に含まれる上記エステルが有するエステル結合の総数が、nであり、100×n/(N+n)と定義されるエステル化度(degree of esterification)が、10以上80以下である。
本発明の一側面に係る電解液では、有機酸の分子鎖の炭素数が、6以上14以下であってよい。
本発明の一側面に係る電解液では、有機酸が、2−ブチルオクタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、及びこれらの誘導体であって側鎖を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
本発明の一側面に係る電解コンデンサは、上記電解液と、金属箔、及び金属箔を覆う誘電体膜、を備える陽極箔と、陽極箔に重なる陰極箔と、を含み、電解液が、陽極箔と陰極箔との間に介在する。
本発明によれば、耐電圧が高い電解液、及び当該電解液を備える電解コンデンサが提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面(陽極箔の表面に対して垂直な断面)の模式図である。 図2は、図1に示される陽極箔の表面の一部(領域II)の拡大図である。 図3は、図1及び図2に示される陽極箔の表面の一部の拡大図(正面図)である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。図面において、同等の構成要素には同等の符号を付す。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。各図に示されるX,Y及びZは、互いに直交する3つの座標軸を意味する。各図中のXYZ座標軸其々が示す方向は、各図に共通する。
図1に示されるように、本実施形態に係る電解コンデンサ10は、陽極箔2と、陽極箔2に重なる陰極箔4と、陽極箔2と陰極箔4との間に介在する電解液6及び電解紙8と、を含む。電解液6は電解質を含有し、電解紙8に含浸されている。
図2に示されるように、陽極箔2は、金属箔22と、金属箔22を覆う誘電体膜24と、を備える。誘電体膜24は、金属箔22の表面の少なくとも一部(好ましくは全体)を覆っている。図2及び図3に示されるように、複数(多数)の孔P(細孔)が、陽極箔2の表面に形成されている。孔Pは、ピットと言い換えられてよい。金属箔22の両方の表面が誘電体膜24で覆われていてよく、孔Pが陽極箔2の両方の表面に形成されていてよい。複数(多数)の孔Pは、陽極箔2の表面において分散していてよい。各孔Pの内壁の少なくとも一部(好ましくは全体)は、誘電体膜24で覆われている。電解液6は各孔Pの内側に充填されている。各孔P内に充填された電解液6は、延長された陰極箔4として機能する。
電解液6は、電解質として、オキソ酸基を有する有機酸のエステルを含む。電解液6中に存在するオキソ酸基の総数は、Nと表される。電解液6に含まれる上記エステルが有するエステル結合の総数は、nと表される。100×n/(N+n)と定義されるエステル化度は、10以上80以下である。オキソ酸基を有する有機酸のエステルは、「エステル化された有機酸」と表記される場合がある。オキソ酸基を有する有機酸は、「エステル化されていない有機酸」と表記される場合がある。電解質は、エステル化された有機酸又はその塩に加えて、エステル化されていない有機酸を含んでよい。Nは、電解液6に含まれるエステル化された有機酸が有するオキソ酸基の数と、電解液6に含まれるエステル化されていない有機酸が有するオキソ酸基の数との総数であってよい。nは、電解液6に含まれるエステル化された有機酸が有するエステル結合の総数であってよい。
電解液6を備える電解コンデンサ10の使用に伴ってエステル化度が変化する場合であっても、エステル化度は上記範囲内で変化する。電解コンデンサ10の使用に伴うエステル化度の変化の度合いは、従来の電解コンデンサの使用に伴うエステル化度の変化の度合に比べて小さい。つまり、電解液6では、電解コンデンサ10を使用している間にエステル化度が変化し難い。本実施形態では、電解液6の耐電圧が向上するだけでなく、電解コンデンサ10の使用中におけるガスの発生が抑制され易い。
オキソ酸基を有する有機酸のエステルは、オキソ酸基を有する有機酸に比べて、電解液中で電離し難い。したがって、オキソ酸基を有する有機酸のエステルを含む電解液6の比抵抗は、エステルを含まない従来の電解液に比べて大きく、電解液6の耐電圧は、従来の電解液に比べて高い。しかし、単に電解液がエステルを含むだけでは、十分に高い耐電圧は達成されない。エステル化度が10以上であることにより、電解質の電離が適度に抑制され、電解液6の耐電圧が十分に高くなる。エステル化度が80以下であることにより、オキソ酸基を有する有機酸のエステルが溶媒に溶解し易く、耐電圧が損なわれない程度に電解液6の比抵抗が適度に低減される。ただし、本発明に係る作用効果は、上記の事項に限定されない。
エステルを含まない従来の電解液では、電解コンデンサを使用している間に、電解質の酸と、溶媒のアルコールとが反応して、電解質の酸がエステル化され得る。しかし、電解コンデンサの設計上の寿命を超えるほど長時間電解コンデンサを使用しない限り、エステル化度は10以上になり難い。仮に従来の電解コンデンサを、寿命を超える時間使用した場合、電解コンデンサ内に発生したガス、電解液中に生じた副生成物等の影響により、電解コンデンサは十分に機能しなくなる。また、電解コンデンサの長時間の使用に伴い、電解質の酸とアルコールとの脱水縮合によって水が生じたり、溶媒であるアルコールが減少したりする結果、電解液の組成(例えば濃度)が変化し、電解コンデンサの耐電圧が低下する場合がある。
電解液6は、電解質を溶媒に溶解させることによって得られる。電解質は、オキソ酸基を有する有機酸のエステル又はその塩を含んでよい。有機酸は、複数のオキソ酸基を有してよく、一部のオキソ酸基はエステル化されていてよく、それ以外のオキソ酸基はカウンターイオンと結合していてよい。オキソ酸基を有する有機酸のエステルは、例えば、オキソ酸基を有する有機酸とアルコールとを反応させて、有機酸が有するオキソ酸基の少なくとも一つをエステル化することによって得られてよい。エステル化反応は、オキソ酸基を有する有機酸とアルコールとを混合して混合液を得た後、混合液を加熱することにより行われてよい。オキソ酸基を有する有機酸のエステルの塩は、上記方法によってオキソ酸基を有する有機酸のエステルを得た後、当該エステルとカウンターイオンとを反応させることによって得られてよい。エステル化度100×n/(N+n)は、混合液における有機酸の濃度、混合液におけるアルコールの濃度、エステル化反応の温度又は時間等の因子により制御されてよい。混合液における有機酸の含有量は、例えば、10質量%以上40質量%以下であってよい。混合液におけるアルコールの含有量は、例えば、60質量%以上90質量%以下であってよい。エステル化反応の温度は、例えば、80℃以上190℃以下であってよい。エステル化反応の時間は、例えば、60分間以上600分間以下であってよい。
エステル化度は、30以上70以下、又は40以上60以下であってよい。エステル化度が上記範囲内である場合、電解液6の耐電圧が高くなり易く、電解液6の比抵抗が低くなり易い。
エステル化度は、例えば、以下の方法によって求められてよい。中和滴定法により、電解液6中に存在するオキソ酸基の総数N(エステル結合を構成していないオキソ酸基の総数)を算出する。エステル化される前の全ての有機酸分子が有するオキソ酸基の総数がAと表記される。電解液6に含まれる全てのエステル分子が有するエステル結合の総数nは、A−Nに等しい。エステル化度は、100×n/(N+n)=100×N/Aにより算出される。
オキソ酸基を有する有機酸の分子鎖の炭素数は、6以上22以下、又は6以上14以下であってよい。オキソ酸基を有する有機酸は、側鎖を有してもよい。オキソ酸基を有する有機酸の炭素数が上記下限値以上であると、電解液6の耐電圧が高くなり易い。オキソ酸基を有する有機酸の炭素数が上記上限値以下であると、オキソ酸基を有する有機酸のエステルが溶媒に溶解し易く、電解液6の比抵抗が小さくなり易い。
オキソ酸基は、例えば、カルボキシ基であってよい。オキソ酸基を有する有機酸(有機オキソ酸)は、ジカルボン酸であってよい。オキソ酸基を有する有機酸は、下記化学式(1)で表される化合物であってよい。オキソ酸基を有する有機酸のエステルは、ジカルボン酸のエステルであってよい。オキソ酸基を有する有機酸のエステルは、ジカルボン酸のモノエステル、及び、ジカルボン酸のジエステルのうち少なくともいずれかであってよい。オキソ酸基を有する有機酸のエステルは、下記化学式(2)で表される化合物、及び、下記化学式(3)で表される化合物のうち少なくともいずれかであってよい。
Figure 2019179852
化学式(1)中、Rは、2価の有機基を表す。
は、アルキレン基であってよい。Rは、分岐鎖を有する有機基であってもよい。Rの炭素数は、4以上20以下、又は4以上12以下であってよい。化学式(1)中の水素は、カウンターイオンで置換されていてもよい。
Figure 2019179852
化学式(2)中、Rは、2価の有機基を表す。化学式(2)中、Rは、アルコールに由来する有機基を表す。
は、アルキレン基であってよい。Rは、分岐鎖を有する有機基であってもよい。Rの炭素数は、4以上20以下、又は4以上12以下であってよい。Rは、アルキル基であってよい。Rは、分岐鎖を有する有機基であってもよい。Rの炭素数は、2以上8以下であってよい。化学式(2)中の水素は、カウンターイオンで置換されていてもよい。
Figure 2019179852
化学式(3)中、Rは、2価の有機基を表す。化学式(3)中、Rは、アルコールに由来する有機基を表す。化学式(3)中、Rは、アルコールに由来する有機基を表す。RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、アルキレン基であってよい。Rは、分岐鎖を有する有機基であってもよい。Rの炭素数は、4以上20以下、又は4以上12以下であってよい。Rは、アルキル基であってよい。Rは、分岐鎖を有する有機基であってもよい。Rの炭素数は、2以上8以下であってよい。Rは、アルキル基であってよい。Rは、分岐鎖を有する有機基であってもよい。Rの炭素数は、2以上8以下であってよい。化学式(3)中の水素は、カウンターイオンで置換されていてもよい。
とRとRは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
オキソ酸基を有する有機酸は、2−ブチルオクタン二酸、2−メチルノナン二酸、5−メチルデカン二酸、6−メチルウンデカン二酸、6−メチルドデカン二酸、7−メチルトリデカン二酸、8−メチルペンタデカン二酸、8−メチルヘキサデカン二酸、9−メチルヘプタデカン二酸、9−メチルオクタデカン二酸、10−メチルノナデカン二酸、10−メチルエイコサン二酸、2,2,4−トリメチルヘキサン二酸、2,8−ジメチルノナン二酸、2,4−ジメチル−4−メトキシカルボニルウンデカン二酸、2,4,6−トリメチル−4,6−ジメトキシカルボニルトリデカン二酸、8,9−ジメチル−8,9−ジメトキシカルボニルヘキサデカン二酸、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、及びこれらの誘導体であって側鎖を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。オキソ酸基を有する有機酸は、2−ブチルオクタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、及びこれらの誘導体であって側鎖を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
エステル化に用いるアルコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及びジエチレングリコールジエチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。アルコールが複数のヒドロキシ基を有する場合、一部のヒドロキシ基が有機酸とエステル結合を形成してよく、全てのヒドロキシ基が有機酸とエステル結合を形成してもよい。換言すれば、一つのアルコール分子と一つの有機酸分子とが一つのエステルを構成してよく、一つのアルコールと複数の有機酸分子とが一つのエステルを構成してもよい。
電解質用のカウンターイオンは、アンモニア、トリエチルアミン、1,2,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、及びエチルジメチルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
電解液6に含まれる溶媒は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、水、γ−ブチロラクトン及びN−メチルホルムアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
電解液6における有機酸のエステルの含有量(電解液6中の電解質の含有量)は、例えば、1質量%以上15質量%以下であってよい。
陽極箔2に形成される孔Pの開口面積の平均値aは、例えば、1.2μm以上3.4μm以下、又は1.2μm以上3.0μm以下であってよい。
孔Pの深さDの平均値dは、例えば、50μm以上陽極箔2の厚さの1/2未満、又は40μm以上80μm以下であってよい。孔Pの深さDの平均値dが大きいほど、孔Pの表面積が大きく、陽極箔2全体の表面積が大きく、電解コンデンサ10の静電容量が大きい。孔Pの深さDの平均値dが陽極箔2の厚さの1/2以上である場合、陽極箔2全体の機械的強度が低下し易い。その結果、陽極箔2の加工(例えば、巻回)の際に陽極箔2が破損し易い。ただし、一部の孔Pの深さDは、陽極箔2の厚さの1/2以上であってよい。一部の孔Pが陽極箔2を貫通していてもよい。
各孔Pは、陽極箔2の表面に対して略垂直な方向において略直線的に延びていてよい。換言すれば、各孔Pは、陽極箔2の厚み方向に沿って略直線的に延びていてよい。孔P(特に孔Pの先端)は、棒状(円筒状)であってよい。つまり、孔P(特に孔Pの先端)の内径は略一定であってよい。孔Pが直線的に延びており、孔Pが棒状である場合、隣り合う孔P同士が連通し難く、各孔Pの比表面積が増加し易い。
陽極箔2が有する金属箔22は、アルミニウム、タンタル及びニオブからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含んでよい。金属箔22は、アルミニウム、タンタル及びニオブからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む合金であってもよい。金属箔22は、アルミニウム、タンタル及びニオブからなる群より選ばれる一種のみからなる金属単体であってもよい。金属箔22は、上記の元素に加えて、珪素、鉄、銅、マグネシウム、マンガン、チタン、クロム、亜鉛、ガリウム、バナジウム、ニッケル及びホウ素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を更に含んでもよい。
金属箔22を覆う誘電体膜24は、金属箔22の酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化タンタル、又は酸化ニオブ)を含んでよい。金属箔22を覆う誘電体膜24は、金属箔22の酸化物のみからなっていてもよい。
陰極箔4は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、珪素、鉄、銅、マグネシウム、マンガン、チタン、クロム、亜鉛、ガリウム、バナジウム、ニッケル及びホウ素からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。陰極箔4の組成は、陽極箔2が有する金属箔22の組成と同じであってよい。
電解コンデンサ10がアルミニウム電解コンデンサである場合、金属箔22はアルミニウムを含有してよく、アルミニウム又はアルミニウム合金からなっていてよい。電解コンデンサ10がアルミニウム電解コンデンサである場合、陰極箔4もアルミニウムを含有してよく、アルミニウム又はアルミニウム合金からなっていてよい。
電解紙8は、セルロースを含む繊維であってよい。例えば、電解紙8は、木質繊維及び麻繊維のうち少なくともいずれかを含んでよい。電解紙8は、例えば、クラフト紙及びマニラ紙のうち少なくともいずれかを含んでよい。電解紙8は、多孔質のセパレータと言い換えられてよい。
陽極箔2全体の厚みt2は、例えば、10μm以下200μm以下、又は100μm以上150μm以下であってよい。金属箔22を覆う誘電体膜24の厚みは、例えば、200nm以上1.5μm以下であってよい。陰極箔4の厚みt4は、例えば、10μm以下150μm以下、又は10μm以上100μm以下であってよい。陽極箔2と陰極箔4との間隔は、例えば、20μm以下200μm以下であってよい。電解液6が含浸された電解紙8の厚みt8は、陽極箔2と陰極箔4との間隔と略同じであってよい。陽極箔2が四角形である場合、陽極箔2の縦幅(箔幅)は、例えば、10mm以上300mm以下であってよく、陽極箔2の横幅(箔長さ)は、例えば、100mm以上50m以下であってよい。陰極箔4及び電解紙8其々の寸法(縦幅及び横幅)は、陽極箔2の寸法と同じであってよい。陰極箔4及び電解紙8其々の寸法(縦幅及び横幅)は、陽極箔2の寸法と異なっていてもよい。
本実施形態に係る電解コンデンサ10の製造方法は、例えば以下の通りであってよい。電解コンデンサ10の製造方法は、電解コンデンサ用の陽極箔2の製造方法を含んでよい。陽極箔2の製造方法は、以下に説明するように、前処理工程と、ピット形成工程(エッチング工程)と、ピット径拡大工程と、酸化工程(化成工程)とを備えてよい。以下では、各工程の詳細を説明する。
前処理工程では、金属箔22(例えばアルミニウム箔)の表面に元々形成されていた自然酸化膜の一部又は全部を化学的なエッチングによって除去する。前処理工程後に、下記のピット形成工程を実施してよい。前処理工程で用いるエッチング液は、例えば、塩酸、硫酸及びフッ化水素酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸又はその塩を含む酸性溶液(例えば水溶液)であってよい。前処理工程で用いるエッチング液は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化バリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有するアルカリ性溶液(例えば水溶液)であってもよい。
ピット形成工程(エッチング工程)では、エッチング液中に配置された金属箔22と対極との間に電圧を印加して、金属箔22の表面に複数の孔Pを形成する。ピット形成工程では、金属箔22の電位は、対極の電位よりも高い値に調整される。ピット形成工程では、エッチング液の温度の調整によって、金属箔22のエッチング(金属箔22の溶出)を促進又は抑制してよい。エッチング液の温度は、例えば、60℃以上90℃以下であってよい。アルミニウム電解コンデンサを製造する場合、金属箔22はアルミニウムを含有してよく、アルミニウム又はアルミニウム合金からなっていてよい。金属箔22が一対の対極の間に配置されてよく、金属箔22の両方の表面に複数の孔Pが形成されてよい。
エッチング液は、例えば、塩素イオン、フッ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、シュウ酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、及び水酸化物イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有してよい。エッチング液は、例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、リン酸及び炭酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸若しくはその塩、又は水酸化ナトリウムを含有してよい。エッチング液に含まれる溶媒は、例えば水であってよい。エッチング液は、酸性又はアルカリ性であってよい。金属箔22がアルミニウムを含有する場合、塩化物イオンによる孔食反応によって孔Pが金属箔22の表面に形成され易い。したがって、金属箔22がアルミニウムを含有する場合、エッチング液は、例えば、塩素イオンを含むことが好ましい。塩素イオンを含むエッチング液は、例えば、塩酸の水溶液であってよい。
ピット径拡大工程では、ピット形成工程後に、金属箔22の化学的又は電気化学的なエッチングにより、各孔Pの孔径(内径)を拡大させる。ピット径拡大工程で用いるエッチング液は、例えば、塩酸、硫酸及びフッ化水素酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸又はその塩を含む酸性溶液(例えば水溶液)であってよい。
ピット形成工程後の酸化工程(化成工程)では、金属箔22の表面を酸化して、金属箔22を覆う誘電体膜24を形成する。ピット径拡大工程を行う場合、ピット径拡大工程後に酸化工程(化成工程)が実施される。酸化工程(化成工程)の前には、金属箔22の洗浄より、塩化物イオンを金属箔22から除去したほうがよい。酸化工程では、例えば、酸化工程用の電解液中に配置された金属箔22と対極との間に電圧を印加する。金属箔22の電位は対極の電位よりも高い値に調整される。その結果、金属箔22の表層が酸化され、誘電体膜24になる。酸化工程では、孔Pの内壁を含む金属箔22の表面の少なくとも一部(好ましくは全体)が誘電体膜24で覆われる。酸化工程用の電解液は、例えば、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム及びアジピン酸アンモニウムからなる群より選ばれる一種を含有する溶液(例えば水溶液)であってよい。
以上の工程を得て、陽極箔2が完成する。陽極箔2には、陽極端子(引き出し電極)が接続される。陰極箔4には、陰極端子(引き出し電極)が接続される。陽極箔2、陰極箔4、及び電解液6が含浸された電解紙8を含む積層体の全体が、ケースの開口部を通じて、ケース内に配置される。ケースは、例えば金属製のケースであってよい。ケースの開口部は、封口部(蓋)で封止される。ケースとケース内の積層体との間には、セパレータ(例えば電解紙)が介在する。陽極端子及び陰極端子其々は、封口部を介して、ケースの表面に設置された一対の外部端子と電気的に接続される。
以上の工程を得て、電解コンデンサ10が完成する。
電解コンデンサは、巻回型のコンデンサであってよく、平板型のコンデンサであってもよい。電解コンデンサは、電解質を介して交互に積層された複数の陽極箔及び陰極箔を備えてよい。例えば、電解コンデンサが備える複数の陽極箔が並列に接続されていてよく、電解コンデンサが備える複数の陰極箔が並列に接続されていてよい。
以下では実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[電解質の作製]
オキソ酸基を有する有機酸30質量部と、アルコール70質量部とを混合して、混合液を得た。オキソ酸基を有する有機酸としては、2−ブチルオクタン二酸を用いた。アルコールとしては、エチレングリコールを用いた。混合液を加熱することにより、2−ブチルオクタン二酸のカルボキシ基の少なくとも一部をエチレングリコールでエステル化した。エステル化反応の温度は150℃であった。エステル化反応の時間は480分間であった。エステル化反応後、混合液にアンモニアを添加した。以上の方法で実施例1の電解質を作製した。電解質は、2−ブチルオクタン二酸、2−ブチルオクタン二酸のエステル及びこれらのアンモニウム塩を含んでいた。
[電解液の調製]
実施例1の電解質10質量部と、溶媒80質量部と、ホウ酸と、マンニトールとを混合して、電解液を得た。溶媒としては、エチレングリコールを用いた。実施例1の電解液における電解質の含有量は10質量%であった。
[エステル化度の算出]
中和滴定法により、実施例1の電解液中に存在するカルボキシ基(オキソ酸基)の総数N(エステル結合を構成していないカルボキシ基の総数)を算出した。エステル化される前の全ての2−ブチルオクタン二酸分子が有するカルボキシ基の総数AとNとから、電解液に含まれるエステルが有するエステル結合の総数nを算出した。nは、A−Nに等しい。エステル化度100×n/(N+n)=100×N/Aを算出した。実施例1のエステル化度は、下記表1に示される。
[耐電圧の測定]
実施例1の電解液に1対の電極を浸漬した。電極間に流れる電流を6mA/cm(定電流)に維持しながら、電極間に印加する電圧を増加させた。火花が観測された電圧(火花電圧)を耐電圧として測定した。実施例1の耐電圧は、下記表1に示される。
[比抵抗の測定]
東亜ディケーケー株式会社製の電気伝導率計を用いて、実施例1の電解液の比抵抗を測定した。電解液の温度は30℃であった。実施例1の比抵抗は、下記表1に示される。
(実施例2〜5)
実施例2のエステル化反応の温度は170℃であった。実施例3〜5其々の電解質の作製では、エステル化度が下記表1に記載の値に調整されるように、エステル化反応の温度をさらに高めた。以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2〜5其々の電解液を個別に作製した。
実施例1と同様の方法で、実施例2〜5のエステル化度を算出した。実施例2〜5のエステル化度は下記表1に示される。実施例1と同様の方法で、実施例2〜5の耐電圧を測定した。実施例2〜5の耐電圧は、下記表1に示される。実施例1と同様の方法で、実施例2〜5の比抵抗を測定した。実施例2〜5の比抵抗は、下記表1に示される。
(比較例1)
比較例1の電解液の調製では、電解質として、2−ブチルオクタン二酸アンモニウムを用いた。つまり、比較例1では、2−ブチルオクタン二酸をエステル化しなかった。以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、比較例1の電解液を作製した。
実施例1と同様の方法で、比較例1のエステル化度を算出した。比較例1のエステル化度は下記表1に示される。実施例1と同様の方法で、比較例1の耐電圧を測定した。比較例1の耐電圧は、下記表1に示される。実施例1と同様の方法で、比較例1の比抵抗を測定した。比較例1の比抵抗は、下記表1に示される。
Figure 2019179852
本発明によれば、耐電圧が高い電解コンデンサが提供される。
2…陽極箔、4…陰極箔、6…電解液、8…電解紙、10…電解コンデンサ、22…金属箔、24…誘電体膜、P…孔。

Claims (4)

  1. 電解コンデンサ用の電解液であって、
    前記電解液が、オキソ酸基を有する有機酸のエステルを含み、
    前記電解液中に存在するオキソ酸基の総数が、Nであり、
    前記電解液に含まれる前記エステルが有するエステル結合の総数が、nであり、
    100×n/(N+n)と定義されるエステル化度が、10以上80以下である、
    電解液。
  2. 前記有機酸の分子鎖の炭素数が、6以上14以下である、
    請求項1に記載の電解液。
  3. 前記有機酸が、2−ブチルオクタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、及びこれらの誘導体であって側鎖を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である、
    請求項1又は2に記載の電解液。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解液と、
    金属箔、及び前記金属箔を覆う誘電体膜、を備える陽極箔と、
    前記陽極箔に重なる陰極箔と、
    を含み、
    前記電解液が、前記陽極箔と前記陰極箔との間に介在する、
    電解コンデンサ。
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WO2009057427A1 (ja) * 2007-10-29 2009-05-07 Ube Industries, Ltd. 第二級カルボン酸化合物及びそれを用いた電解コンデンサ用電解液

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