以下、図面を参照して、本発明に係る一実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンを説明する。尚、本願明細書中、図1に示すハニカムスクリーンの正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向をハニカムスクリーンの左側、及び、図示右方向をハニカムスクリーンの右側と定義して説明する。また、図1の正面図を視認する側を前側(室内側)とし、その反対側を後側(室外側)とする。
〔一実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンの全体構成〕
図1及び図2を参照して、本発明による一実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンの概略構成を説明する。図1(a)は本発明による一実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンの概略構成を示す正面図であり、図1(b)はその透視側面図である。また、図2は、本発明による一実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンの概略構成を示す部分的な平面図である。
図1及び図2に示すハニカムスクリーンは、折り畳み可能としたハニカム状生地2が生地押さえ12を用いてヘッドボックス1から昇降可能に吊下支持され、そのハニカム状生地2の下端は生地押さえ13を用いてボトムレール7の上面に取着される。
ハニカム状生地2は、折り畳み可能なハニカム状の筒体としてセル2Nを構成し、当該セル2Nを上下方向に多数連ねて形成される。各セル2Nは、生地を用いて、前生地部2a及び後生地部2cと、その前生地部2a及び後生地部2cを上下方向で区画する隔壁部2cにより形成される。そして、ハニカム状生地2を降下させて遮蔽状態としたときには前後方向では二重の生地が吊下されたものとほぼ同等となり、且つ各セル2Nによる空間が保持される。このため、ハニカム状生地2の厚さや硬さを調節したり、遮光性生地とすることや、透光性生地を用いることで取り込む外光量を調節したり、場合によっては各セル2N内にアルミ箔等を貼付したりすることで、断熱性及び遮光性を高めることができる。
また、ヘッドボックス1から複数本の昇降コード(本例では2本の昇降コードC1,C2)が垂下され、ハニカム状生地2におけるそれぞれの隔壁部2cの前後方向中央に形成される挿通孔2dを経て、各昇降コードC1,C2の下端がボトムレール7に取着される。
尚、詳細は後述するが、各昇降コードC1,C2の下端にはそれぞれ高さ調整装置21が設けられている。高さ調整装置21は、昇降コードC1,C2の各々を保持する保持部材23と、保持部材23に相対回転可能に取着され昇降コードC1,C2の各々を巻き付けて固定し長さ調節を可能とする回転部材25とを備えており、回転部材25はボトムレール7の下面からマイナスドライバやコイン等の回転治具により回転操作可能となっている。そして、各高さ調整装置21にてそれぞれの昇降コードC1,C2の長さを調節して固定することにより、ボトムレール7の高さや傾きを調整できるようになっている。各昇降コードC1,C2に対し、それぞれ高さ調整装置21を設けることで、本実施形態のハニカムスクリーンの設置時や、設置後にそれぞれの昇降コードC1,C2の経時変化に伴う伸びが発生した場合でも、容易にメンテナンスできるようになる。
ボトムレール7に下端が取着された各昇降コードC1,C2の上端は、ヘッドボックス1内で、それぞれ転向滑車を有する支持部材3を経て右方に案内され、詳細に後述するコードガイド5及び制動装置6を経て、コードストッパ4に挿通され、ヘッドボックス1の右端部に設けられる操作装置15の転向滑車15b(図2参照)を経てコード導出口15aから外部に導出される。
制動装置6は、ハニカム状生地2の下降速度を所定以下にするように本例では2本の昇降コードC1,C2の移動を制動する装置である。
そして、コードガイド5は、制動装置6を支持するとともに、制動装置6に対し複数本(本例では2本)の昇降コードC1,C2を区分け可能に案内して導入・導出する部材である。
また、コードストッパ4は、昇降コードC1,C2の直引き操作で、昇降コードC1,C2の移動をロック又は解除するための装置である。
尚、コードストッパ4とコードガイド5及び制動装置6の配置は逆にしてもよい。
コード導出口15aから外部に導出された各昇降コードC1,C2の端部は、コードイコライザ9により操作コード8の上端に連結され、操作コード8の下端はセーフティ部材10を介してボトムレール7に取着される。ここで、コードイコライザ9は、ヘッドボックス1に対する該連結部の当接・非当接で制動装置6によるハニカム状生地2の下降速度を所定値以下に制動する範囲が規制されるようになっている。尚、セーフティ部材10は、操作コード8の連結・非連結を可能とするよう着脱式となっており、必ずしも設ける必要はないが、安全性のため操作コード8に所定値以上の負荷が加わった際に分離するようになっている。
このように、本実施形態のハニカムスクリーンは、複数本(本例では2本)の昇降コードC1,C2をヘッドボックス1のコード導出口15aから引出し、或いはヘッドボックス1に引き込ませることで、ボトムレール7の昇降によるハニカム状生地2の昇降を直引き操作可能となっている。
従って、昇降コードC1,C2をヘッドボックス1から引き出せば、ボトムレール7が引き上げられ、昇降コードC1,C2(或いはコードイコライザ9又は操作コード8)を手放して当該コードストッパ4のロックを作動させれば昇降コードC1,C2のヘッドボックス1内への引き込みを阻止して、ボトムレール7を所望位置に吊下支持させることができる。
また、僅かに昇降コードC1,C2をヘッドボックス1から引き出し当該コードストッパ4のロックを解除させた後、昇降コードC1,C2(或いはコードイコライザ9又は操作コード8)を手放すことで、昇降コードC1,C2をヘッドボックス1内に引き込ませ、ボトムレール7及びハニカム状生地2の重量によりボトムレール7を自重下降させることができる。
ここで、ハニカム状生地2は一般的にプリーツ生地よりも重さがあり、ハニカム状生地2の自重降下は概ね上昇操作時よりも速い速度で降下する。このため、図1に示す本実施形態のハニカムスクリーンでは、詳細に後述するコードガイド5及び制動装置6を経たとしても、ハニカム状生地2が勢いよく自重降下した場合に、当該高さ調整装置21がハニカム状生地2の下端のボトムレール7が床面に衝突するときの衝突音を抑制する機能を有し、尚且つ確実に当該衝突音を防止するためにボトムレール7の下面に緩衝材11が設けられている。緩衝材11はゴムや、スポンジ状の合成樹脂で形成され、本実施形態ではボトムレール7の下面に貼付されている。そして、緩衝材11の一部には、当該高さ調整装置21をマイナスドライバやコイン等の回転治具により回転操作可能とするよう開口部11aが設けられている。
(コードガイド)
図3は、本発明による一実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンにおける一実施例の制動装置6及びコードガイド5の斜視図である。また、図4(a),(b),(c),(d)は、それぞれ本発明による一実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンにおける一実施例のコードガイド5の概略構成を示す斜視図、平面図、A視側面図、及びB視側面図である。
上述したように、制動装置6は、ハニカム状生地2の下降速度を所定以下にするように本例ではハニカム状生地2の自重下降時に2本の昇降コードC1,C2に対し移動抵抗を生じさせその移動を制動する装置である。そして、コードガイド5は、制動装置6を支持するとともに、制動装置6に対し複数本(本例では2本)の昇降コードC1,C2を区分け可能に案内して導入・導出する部材である。尚、複数本(本例では2本)の昇降コードC1,C2を制動装置6に分離案内させる配列は、図示する例に限定する必要はなく用途によって変更可能である。
図3においてコードガイド5を破線で示しているが、図4に示すようにコードガイド5は概ね4つの縦壁で囲まれて上下に貫通する空洞部を内側に持つ略四角箱状に構成され、当該空洞部に制動装置6を収容して固定できるようになっている。具体的には、コードガイド5の下方には角状の開口部51aが設けられ、コードガイド5の前後方向の内壁両側部には凸部52が設けられている。そして、図3に示すように、制動装置6はコードガイド5の下方に設けられた角状の開口部51aから導入され、制動装置6の前後方向の両側部に設けられた係止孔616がコードガイド5の前後方向の内壁両側部に設けられた凸部52に嵌合することで、制動装置6はコードガイド5に固定される。
また、図4に示すように、コードガイド5は制動装置6に対し複数本(本例では2本)の昇降コードC1,C2を区分け可能に案内するために、図4(d)のB視で示されるように、前後・上下でコードねじれを防止する凸状の案内片59が設けられている。本実施形態の例では、2本の昇降コードC1,C2をそれぞれ区分けして案内するものとしているが、3本以上の昇降コードを適宜区分けして案内することができるようになっている。本例では、図3における右側(操作側)にのみ案内片59を設け、図3における左側(レール支持側)には案内片59を設けていない形状としているが、当該左側(レール支持側)のみに案内片59を設ける形状や、その双方に案内片59を設ける形状とすることもできる。
また、図4(a)に示されるように、制動装置6を載置する左右方向で、それぞれ上下一対の軸孔591,592,593,594が設けられている。本例では上下一対の軸孔591,592は制動装置6を載置する前後方向で1箇所ずつ、上下一対の軸孔593,594は、制動装置6を載置する前後方向で1箇所ずつ設けており、上下一対の軸孔591,592,593,594の各軸孔径は図示するように随意異なる径としている。
そして、上下一対の軸孔591,592,593,594を利用して、図4(b)に破線で示されるように、随意、滑車501,502,503,504を軸支できるようになっている。これは、例えば図4(c)のA視で示されるように、制動装置6を避けて一旦コードガイド5内を案内した昇降コード(例えば図示する(C1),(c2))を滑車503,504で転向させ、制動装置6へと導入又は導出できるようにするためである。同様に、例えば図4(d)のB視で示されるように、制動装置6を避けて一旦コードガイド5内を案内した昇降コード(例えば図示する(C1),(c2))を滑車501,502で転向させ、制動装置6へと導入又は導出できるようにするためである。
図1及び図2に示す本実施形態の例では、各支持部材3と操作装置15との間に、制動装置6を配置しているため、このような滑車501,502,503,504を不要としているが、例えば、複数の支持部材3の間に制動装置6を配置する場合などでは、このような滑車501,502,503,504を設けることで、制動装置6へと導入又は導出する昇降コードの案内を円滑化させ、当該昇降コードに対する制動装置6の制動性能を安定化させることができる。従って、図4に示すコードガイド5は、種々の昇降コードの取り回しを可能としつつ制動装置6の制動性能を安定化させるよう自由度の高い構造となっている。
また、コードガイド5は、制動装置6に対し着脱式となっているため、制動性能の異なる種々の制動装置6を取り替えることもできる。本実施例のコードガイド5は、図3に示すように、本実施例の制動装置6をコードガイド5の下方に設けられた角状の開口部51aから導入して固定したときに、制動装置6との干渉を避けるための開口部51bが上面に設けられている。
また、本実施例のコードガイド5は、図3及び図4に示すように、概ね四角箱状の形状を有し、コードガイド5の上面における四隅には図示するような突当面部53及び突起部54が設けられ、コードガイド5の上面における軸上(昇降コードの軸方向)には図示するような突当凸部55,56が設けられている。また、突起部54上にも図4に示すように突当凸部541が設けられている。
突当面部53、及び突当凸部55,56は、図4(c),(d)に示されるようにほぼ同高さに位置しており、突当凸部541を有する突起部54は、これらの突当面部53、及び突当凸部55,56よりも上方に突出する高い位置となっている。これは、本実施例の制動装置6を固定した状態のコードガイド5をヘッドボックス1の内上面に突き当てて固定する際に、ヘッドボックス1の形状に応じて、突当面部53、及び突当凸部55,56による突き当てと、突起部54における突当凸部541による突き当ての2種類の突き当てを可能とする為である。
そして、本実施形態のハニカムスクリーンにおけるヘッドボックス1では、図5に示すように、長手方向に開口した開口部1cが設けられ、左右方向の任意位置で支持部材3を配設し固定して各昇降コードC1,C2を垂下させることができるようになっているが、制動装置6を固定した状態のコードガイド5をヘッドボックス1内に下方から収容するための開口部1dが、ヘッドボックス1の下面に更に設けられている。
開口部1dは、コードガイド5の底部における前後・左右の平面形状に係合する形状(本例では四角平面形状)を有しており、これにより前後・左右方向のガタツキが抑制され、昇降コードC1,C2に対する制動性能を安定化させることができる。
また、図5に示す例では、ヘッドボックス1の内上面1aにコードガイド5の突当面部53、及び突当凸部55,56を突き当てることで上下方向のガタツキが抑制されるようになっており、突起部54を避けるための避孔1bが、ヘッドボックス1の上面に設けられている。尚、避孔1bは、突起部54により前後・左右方向のガタツキの抑制に寄与する孔形状とすることができる。
そして、本実施例のコードガイド5の底部における前後の側壁に、ヘッドボックス1の下面に設けられる開口部1dと係合し且つ固定するための固定部位として爪部57が設けられている。尚、コードガイド5の底部における前後の側壁に、当該固定部位として爪部57を設けてもよい。
このように、本実施形態のハニカムスクリーンでは、図5に示すように、制動装置6を固定した状態のコードガイド5をヘッドボックス1内に下方から収容して固定可能にして組み付け性を高め、尚且つ前後・左右・上下のガタツキを抑制できるようになっている。
尚、ヘッドボックス1の下端には、ハニカム状生地2を吊下する生地押さえ12を係止するための突片1e,1fと、鉤状の係止片1gが設けられている。本例では生地押さえ12の一端12bをヘッドボックス1の突片1fに引掛けた状態で生地押さえ12の他端12aを、ヘッドボックス1の突片1eに引掛けるように弾性変形させながら押し込み、生地押さえ12に形成される略U字片が係止片1gに嵌合することで係止される。
ここで、図5に示すように、コードガイド5及び制動装置6の下面には、それぞれ1個以上(本例ではそれぞれ1個)の柱状(本例では円柱状)の突起部58,694がそれぞれ形成されている。本実施形態では、コードガイド5及び制動装置6の下面にて突起部58,694を必ずしも設けている必要はないが、生地押さえ12に設けられる避孔12d,12eを利用して、コードガイド5及び制動装置6の前後・左右方向のガタツキの抑制に寄与する孔形状とすることができる。尚、コードガイド5及び制動装置6の下面にて形成される突起部58,694は、例えばコードガイド5及び制動装置6をヘッドボックス1の上方から挿入してヘッドボックス1の下面に設けた支持孔で位置決めするときに利用できるものとなっている。
そして、図6(a)に示すように、制動装置6を固定して保持するコードガイド5は、それ自体をヘッドボックス1内に下方から収容して固定可能にして前後・左右・上下のガタツキを抑制できるようにしている。特に、本実施形態では、図6(a)に示すように、制動装置6の底部と、制動装置6を固定保持する逆凹状のコードガイド5の底部の高さが揃うように構成している。このため、図6(b)に示すように、制動装置6とコードガイド5の双方を、コードガイド5の爪部57とは別に補助的に、或いはコードガイド5の爪部57を廃止して主たる支持機能として、生地押さえ12を制動装置6及びコードガイド5の上下のガタツキを抑制する構成となっている。尚、生地押さえ12を利用して上下のガタツキを抑制する構成とする際には、制動装置6の底部とコードガイド5の底部の高さが揃うように構成していればよいため、コードガイド5は正面視で当該逆凹状でなくともよい。
図6(b)に示すように、ハニカムスクリーンは、各セル2Nを上下方向に多数連ねて形成されるハニカム状生地2を昇降可能とするものであるため、ハニカム状生地2を降下させて遮蔽状態としたときには前後方向では二重の生地が吊下されたものとほぼ同等となり、且つ各セル2Nによる空間が保持される。このため、ハニカム状生地の厚さや硬さ、遮光性(又は透光性)を調節したり、場合によっては各セル内にアルミ箔等を貼付したりすることで、断熱性及び遮光性を高めることができる。
そして、本実施形態のハニカムスクリーンでは、コードガイド5によって複数本(本例では2本)の昇降コードC1,C2を区分け可能に案内し、且つ安定化させて保持する制動装置6が設けられ、制動装置6によって、ハニカム状生地2の下降速度を所定以下にするよう制御することができるため、従来技法で生じうるハニカム状生地2からの騒音(セル内の空気圧の変化、静電気、生地の硬さのうち1以上の要因によると推定されるバサバサ音)を抑制することができる。
また、ハニカムスクリーンでは、ハニカム状生地2を昇降コードC1,C2で昇降させるために、セル2Nの内部に形成される隔壁部2cに挿通孔2dを設け、この挿通孔2dに当該昇降コードC1(C2)を挿通させることになるが、上述したように、断熱性を高めるためにはこの挿通孔2dは小径であるほど好ましい。
そこで、本実施形態のハニカムスクリーンでは、当該挿通孔2dを小径化した場合でも、制動装置6による速度制御により昇降コードC1(C2)の摩耗を低減させることができるため、当該摩耗による粉塵を抑制しつつ該粉塵をハニカム状生地のセル内に収まるようにして品質を向上させることができる。
(制動装置)
制動装置6は、ハニカム状生地2の自重下降時には当該昇降コードC1,C2に対し移動抵抗を生じさせ、ハニカム状生地2の上昇操作時には当該昇降コードC1,C2に対する移動抵抗を低減させる方が操作性の観点で好ましい。そこで、本実施例の制動装置6は、図7乃至図9を参照して説明するが、ハニカム状生地2の自重下降時には当該昇降コードC1,C2に対し移動抵抗を生じさせ、ハニカム状生地2の上昇操作時には当該昇降コードC1,C2に対する移動抵抗を低減させるよう当該昇降コードC1,C2を可動で挟み込む可動滑車(アイドルローラー63、ドライブローラー64)を備えるようにしている。図7乃至図9に示す本実施形態では、アイドルローラー63とドライブローラー64の双方を可動滑車とする構成を説明するが、いずれか一方を固定滑車とし他方を可動滑車とした構成としてもよい。
図7は、本発明による一実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンにおける一実施例の制動装置6の概略構成を示す分解斜視図である。図8(a),(b)は、それぞれ本実施例の制動装置6の動作を概略的に示す部分的な平面図である。また、図9は、本実施例の制動装置6におけるギヤ機構6aの透視平面図である。
まず、図7及び図8に示すように、本実施例の制動装置6は、ケース61、スライダー62、コイルスプリングSP、アイドルローラー63、ドライブローラー64、内歯付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67、ウェイト68及びベース69を備える。内歯付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68は、ドライブローラー64の回転に対し制動トルクを発生させるブレーキ部6aとして構成される。
ケース61は、スライダー62とコイルスプリングSPとを収容するスライダー収容部611、及び、ブレーキ部6aを収容するブレーキ収容部612が連なって下方が開口した箱状の形状を有している。尚、ケース61のブレーキ収容部612の内周壁には、内周ギヤ612aが形成されている(図9参照)。また、ケース61におけるブレーキ収容部612の下端は四隅に嵌合受部615を持つ略四角板状に形成され、同じく四隅に嵌合突起片693を持つ略四角板状に形成されるベース69により、ケース61のそれぞれの嵌合受部615とベース69のそれぞれの嵌合突起片693が嵌合して、蓋着されるようになっている。そして、ケース61には、複数本の昇降コード(本例では、2本の昇降コードC1,C2)を挿通可能なコード挿通孔614がスライダー収容部611の左右方向の各壁部に設けられている。また、ケース61の前後方向の両側部に係止孔616が設けられている。
ここで、図3及び図4を参照して説明したように、コードガイド5は、概ね4つの縦壁で囲まれて上下に貫通する空洞部を内側に持つ略四角箱状に構成され、この空洞部に制動装置6を収容して固定できるようになっている。即ち、図7を参照するに、ケース61の上部に位置するスライダー収容部611をコードガイド5の下方の開口部51aから導入し、制動装置6の前後方向の両側部に設けられた係止孔616がコードガイド5の前後方向の内壁両側部に設けられた凸部52に嵌合することで、制動装置6はコードガイド5に固定される。そして、コードガイド5がケース61に載置された状態では、複数本の昇降コード(本例では、2本の昇降コードC1,C2)を確実に分離させてコード同士が絡み合うことが無いよう、当該昇降コードC1,C2を、ケース61のスライダー収容部611の左右方向の各壁部に設けられるコード挿通孔614に対し案内させることができる。
ところで、ケース61におけるスライダー収容部611の上面には、略左右方向に延び僅かに前後方向に屈曲するハの字溝613が形成されており、ハの字溝613におけるそれぞれの溝が、スライダー62に収容されるアイドルローラー63及びドライブローラー64の上側の各ローラー軸631,641をその溝形状に沿って移動可能に軸支するようになっている。
ここで、本例では、各ローラー軸631,641の上方軸支をそれぞれ補強する軸支補強部611aがケース61におけるスライダー収容部611の上面に形成され、各ローラー軸631,641は、スライダー収容部611の上面自体に形成されるハの字溝613と、軸支補強部611aによって支持される。ただし、軸支補強部611aは、単にスライダー収容部611の上面の厚みを増大させて軸支補強する構造としてもよい。
また、アイドルローラー63及びドライブローラー64の上側の各ローラー軸631,641は、それぞれケース61、スライダー62及びベース69の各溝で支持するようになっている。
スライダー62は、左右の縦壁と天壁及び底壁で囲まれて前後方向に貫通する空洞部620を内側に持つ略四角箱状に構成され、アイドルローラー63のローラー部632及びドライブローラー64のローラー部642を空洞部620で収容し、各ローラー部632,642の上側の各ローラー軸631,641については当該天壁にそれぞれ前後方向に延びるよう形成される一対の天壁溝621によって軸支し、各ローラー部632,642の下側の各ローラー軸631,641については一対の天壁溝621に平行して当該底壁にそれぞれ前後方向に延びるよう形成される一対の下壁溝622によって軸支している。これにより、スライダー62は、上記のハの字溝613とは交差する方向となる前後方向で、アイドルローラー63及びドライブローラー64を移動可能に軸支するようになっている。
また、スライダー62がケース61におけるスライダー収容部611に収容された状態では、そのスライダー収容部611の内壁に一端を係止するコイルスプリングSPの他端がスライダー62の係合凹部623に係合するよう載置され、圧縮バネによるコイルスプリングSPによって、常に、スライダー62は、ケース61におけるスライダー収容部611内で一方向(図示左方向)に付勢された状態で左右方向に相対移動(相対スライド移動)可能となっている。
そして、スライダー62の左右の縦壁にはそれぞれ、コード挿通孔624が形成されている。従って、スライダー62がケース61におけるスライダー収容部611に収容された状態では、ケース61におけるコード挿通孔614と、スライダー62のコード挿通孔624とが互いに、左右・前後・上下に相対的にずれることなく配設される状態となり、ケース61におけるコード挿通孔614を通じスライダー62のコード挿通孔624を介して挿通される当該昇降コードC1,C2は、いずれもスライダー62内で、アイドルローラー63のローラー部632及びドライブローラー64のローラー部642に挟み込まれた状態になる。
そして、スライダー62によりスライド可能に軸支されるアイドルローラー63及びドライブローラー64は、ケース61のハの字溝613と協働して、当該昇降コードC1,C2の移動方向に応じて当該昇降コードC1,C2に対する狭圧/非狭圧の状態を切り替えることができるようになる(詳細は後述する)。
アイドルローラー63は、ローラー軸631を軸芯とするローラー部632を有している。ローラー部632より上部のローラー軸631は、スライダー62の一方の天壁溝621とケース61のハの字溝613の一方の溝に軸支され、ローラー部632より下部のローラー軸631は、スライダー62の一方の底壁溝622に軸支され、且つ、ブレーキ部6aとして構成される内歯付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68と干渉することなく、これら各部材の中空部を経て、ベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられる上記のケース61のハの字溝613の一方の溝に対応するハの字溝692に軸支される。
ドライブローラー64は、ローラー軸641を軸芯とするローラー部642と、ローラー部642より下方にて、当該ローラー軸641を軸芯とするピニオンギア644と、を有している。ドライブローラー64のローラー部642より上部のローラー軸641は、スライダー62の他方の天壁溝621とケース61上面におけるハの字溝613の他方の溝に軸支され、ローラー部642とピニオンギア644との間のローラー軸641は、スライダー62の他方の底壁溝622に軸支され、且つ、ブレーキ部6aとして構成される内歯付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68と干渉することなく、これら各部材の中空部を経て、ベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられる上記のケース61のハの字溝613の他方の溝に対応するハの字溝692に軸支される。
尚、本例では、ドライブローラー64のローラー部642の周面にローレットが刻設され、アイドルローラー63のローラー部632の周面にはローレットが刻設されず平周面としているが、ローラー部632の周面にもローレットを刻設してもよい。また、ドライブローラー64及びアイドルローラー63の各軸部には適宜、ワッシャー(図示せず)を介在させることができる。
ブレーキ部6aは、本例ではブレーキ量を多段階で調節可能な遠心ブレーキ構造となっており、内歯付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68によって構成される。特に、ブレーキ部6aは、ピニオンギア644の回転に基づく制動トルク増幅機能と、遠心ブレーキによる制動トルクを多段階で調節可能とする制動トルク調節機能を有するように構成される。
内歯付キャリア65は、略円板状のキャリア本体651の中央に中空部を有し下方に突出する円筒部654が設けられ、円筒部654の内周面に内歯車652が形成されている。この内歯車652がドライブローラー64のピニオンギア644と噛合される。そして、ピニオンギア644は内歯車652と噛合した状態でケース61のブレーキ収容部612に収容される。また、内歯付キャリア65の略円板状のキャリア本体651の下面には、キャリア本体651から下方へ突出する部分の円筒部654の外周上で所定間隔に対称配置される複数(本例では4つ)の遊星歯車653が回転可能に支持されている。
各遊星歯車653は、太陽歯車付ウェイトホルダー67における太陽歯車672と、ケース61のブレーキ収容部612の内周壁に形成される内周ギヤ612aと互いに歯合するようになっている(図9参照)。
そして、内歯付キャリア65の下方に突出する円筒部654の内周面が、ベース69の略中央で円状に隆起する隆起部691の外周壁に係合して回転可能に支持され、内歯車652の中心部を中心軸として回転(公転)することが可能となっている。従って、ドライブローラー64のピニオンギア644の回転が内歯車652に伝達されることにより、内歯付キャリア65が回転し、これに伴い内歯付キャリア65のキャリア本体651に回転可能に支持された各遊星歯車653が回転することで、ピニオンギア644の回転を太陽歯車付ウェイトホルダー67に回転伝達することが可能となる。
太陽歯車付ウェイトホルダー67は、略円筒状のホルダー本体671の下方外周から放射状に突出する突出片673が本例では8つ形成されており、この突出片673が形成されている上方の略円筒状のホルダー本体671の外周面に、太陽歯車672が形成されている。ホルダー本体671の内周面は、内歯付キャリア65の下方に突出する円筒部654の外周面に係合して回転可能に支持され、太陽歯車672の中心部を中心軸として回転(公転)することが可能となっている。
(制動トルク増幅機能)
遠心力は、回転半径が大きいほど、回転速度が大きいほど、質量(ウェイト68自体の重さや個数)が重くなるほど増大するが、実施例1の制動装置6では、図9に示すように、ピニオンギア644の回転は、内歯付キャリア65を介して太陽歯車付ウェイトホルダー67へ回転半径を増加させて回転伝達するようになっているため、制動トルクを増幅する作用が生じ、これにより効率の良い制動力を発生させることができる。
略円筒状のホルダー本体671の下方外周から放射状に突出するように形成される本例では8つの突出片673は、8つの凹部を形成することになり、この8つの凹部にそれぞれ略台形板状のウェイト68を配置することができ、従って、8つの突出片673はケース61におけるブレーキ収容部612の内壁と協働して各ウェイト68を保持することができる。
(制動トルク調節機能)
即ち、制動装置6は、このウェイト68を配置する個数を調節可能とすることで、ピニオンギア644にかかる遠心ブレーキによる制動トルクを調節することができ、ウェイト68を全く配置しない場合を含み本例では合計9段階の調節ができるようになっている。太陽歯車付ウェイトホルダー67にて配置可能とするウェイト68の最大個数を増加(突出片673の数の増加)で、より細かい多段階の遠心ブレーキによる制動トルクの調節が可能となる。
尚、内歯付キャリア65と太陽歯車付ウェイトホルダー67との間には、環状プレート66を介在させている。環状プレート66は、太陽歯車付ウェイトホルダー67における8つの突出片673の先端を含むホルダー本体671の外周径より僅かに縮径した円板形状の中央に、太陽歯車付ウェイトホルダー67における太陽歯車672を含むホルダー本体671の外周径より僅かに拡径してホルダー本体671を挿通する中空部を持つ形状を有している。このため、環状プレート66は、内歯付キャリア65と太陽歯車付ウェイトホルダー67とを係合させたときに、各遊星歯車653の傾きを防止するとともに、各遊星歯車653とウェイト68との干渉を防ぐ機能を有する。
(コード移動検知機能)
また、制動装置6は、スライダー62によりケース61に対しスライド可能に軸支されるアイドルローラー63及びドライブローラー64による一対のローラー部632,642が、ケース61のハの字溝613により各軸が案内されるようになっているため、複数本(本例では2本)の昇降コードC1,C2の移動の有無及び移動方向を検知することができる。そして、昇降コードC1,C2が一方向に移動する際には一対のローラー部632,642により当該昇降コードC1,C2を狭圧し、昇降コードC1,C2が他方向に移動する際には一対のローラー部632,642による狭圧状態を緩和して(非狭圧として)当該昇降コードC1,C2を挟み込むようになっている。
即ち、本実施形態の例では、アイドルローラー63及びドライブローラー64による一対のローラー部632,642が、スライダー62の天壁溝621及び底壁溝622にそれぞれ軸支され、尚且つケース61のハの字溝613により案内されるようになっているため、図8(a)に示すように、昇降コードC1,C2が左方向(ボトムレール7によるレール支持側)に移動する際には、スライダー62も同方向にスライド移動し、一対のローラー部632,642の間の距離が狭まるよう案内されることで一対のローラー部632,642が狭圧して当該昇降コードC1,C2を挟み込むようになる。
一方、図8(b)に示すように、昇降コードC1,C2が右方向(操作側)に移動する際には、スライダー62が右方向(操作側)にスライド移動し、一対のローラー部632,642の間の距離が離れるよう案内されることで一対のローラー部632,642による狭圧状態を緩和して(非狭圧として)当該昇降コードC1,C2を挟み込むようになる。従って、図8(a),(b)に示す例では、スライダー62がケース61に対しΔdだけ相対移動している。
これにより、ハニカム状生地2の下降操作時には、昇降コードC1,C2(或いは操作コード8やコードイコライザ9)の引き操作を停止しコードストッパ4の作動が解除されてハニカム状生地2が自重降下する時には、制動装置6における一対のローラー部632,642の間の距離が近接して狭圧状態、即ち高摩擦状態となり、制動力を生じさせ、ハニカム状生地2の下降を円滑にかつ適当な速度で行うことが実現される。
一方、昇降コードC1,C2(或いは操作コード8やコードイコライザ9)の引き操作に基づくハニカム状生地2の上昇時には、制動装置6における一対のローラー部632,642の間の距離が離間して解放状態、即ち非狭圧状態となり、ハニカム状生地2のスムーズな上昇が実現される。
これにより、速度調整対象のコード(本例では昇降コードC1,C2)について、その一方向の移動のみ制動力を生じさせ、尚且つ、他方向の移動時における当該コードの負荷を軽減することができ、コード劣化の増大や操作性の悪化を抑制することができる。
(高さ調整装置)
次に、図10乃至図13を参照して、図1に示す高さ調整装置21について説明する。図10は、本発明による一実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンにおける一実施例の高さ調整装置21の概略構成を示す斜視図である。また、図11(a)乃至(f)は、それぞれ本実施例の高さ調整装置21の保持部材23の概略構成を示す斜視図、上面図、下面図、側面図、A−A断面図、及びB−B断面図である。そして、図12(a),(b)は、本実施例の高さ調整装置21の回転部材25の概略構成を示す斜視図、及び正面図である。また、図13(a)乃至(f)は、それぞれ本発実施例の高さ調整装置21の組み付け工程を示す斜視図である。尚、図10乃至図13では、ボトムレール7の形状を簡単化して図示している。
まず、図10に示すように、高さ調整装置21は、代表して昇降コードC1について説明するが、昇降コードC1を保持する保持部材23と、保持部材23に相対回転可能に取着され昇降コードC1を巻き付けて固定し長さ調節を可能とする回転部材25とを備えており、回転部材25はボトムレール7の下面からマイナスドライバやコイン等の回転治具により回転操作可能となっている。そして、高さ調整装置21は、回転部材25の回転に伴って昇降コードC1をボトムレール7内に引きこむ引き込み量を変化させることによってボトムレール7の下限位置を調整する機能を有している。本実施例の保持部材23は、ボトムレール7の幅方向中央に設けられたレール71にガイドされる。そして、昇降コードC1の結び玉31で昇降コードC1が高さ調整装置21から引き抜かれることが阻止されるようになっている。
図11(a)乃至(f)に示すように、保持部材23は、概ね角錐台の本体23aを有し、その全長に渡って第1のコード収容溝23bを有しており、この第1のコード収容溝23bに昇降コードC1が収容される。昇降コードC1の先端には、結び玉31が設けられており、結び玉31が第1のコード収容溝23bの周壁に当接することによって昇降コードC1が引き抜かれることが阻止される。また、第1のコード収容溝23bは、ボトムレール7側に開口しているので、昇降コードC1は、第1のコード収容溝23b内において、保持部材23とボトムレール7の間に保持される。尚、本実施形態においては、図10に示したようにボトムレール7の幅方向中央にレール71が設けられており、保持部材23は、第1のコード収容溝23bよりもボトムレール7側に、レール保持溝23cを有している。レール保持溝23cは、第1のコード収容溝23bに連通し且つ第1のコード収容溝23bに平行に延びる。保持部材23は、レール保持溝23cにレール71を挿入することによってレール71に取り付けられる。このような構成により、昇降コードC1は、第1のコード収容溝23bの周壁とレール71とで囲まれた空間に保持される。
保持部材23は、第1のコード収容溝23bを分断する第1のコード収容溝23bの長手方向の中央に、下方から挿入した回転部材25を相対回転可能に嵌合して係止する嵌合孔23dを備え、この嵌合孔23dに回転部材25が挿入されて、保持部材23に相対回転可能に取着される。尚、回転部材25を嵌合孔23dに係止する際に、嵌合孔23dの内周面に形成される上下に2段の段差23fが、図12に示す回転部材25の上下に2段の段差254,255とそれぞれ係合し、回転部材25の爪部251が保持部材23の上面開口部に相対回転可能に嵌合するものとなっている。
図12(a),(b)に示すように、回転部材25は、概ね、段差255を持つ円柱状の基部25aと、この基部25aから段差254を経て延びる二股状の先端部25bと、基部25aから半径方向に突出する(言い換えると、基部25aよりも半径が大きい)フランジ部25cから構成される。先端部25bには半径方向に突出する爪部251が設けられており、回転部材25を嵌合孔23dに挿入したときに爪部251が保持部材23の上面開口部に嵌合して、回転部材25が保持部材23から分離されることを阻止する。先端部25bには、昇降コードC1を通過させる第2のコード収容溝252を備えている。回転部材25を保持部材23に嵌合させた状態では、第2のコード収容溝252は、嵌合孔23dによって分断された一対の第1のコード収容溝23bをつなぐ直線上に配置され、図12(b)に示すように昇降コードC1が通過するようになっている。また、第2のコード収容溝252によって、先端部25bが二股状の嵌合片になっており、各嵌合片は、回転部材25を保持部材23の嵌合孔23dに挿入する際に、半径方向内側に容易に弾性変形可能となる。このため、回転部材25と保持部材23とを容易に嵌合させることができる。
そして、回転部材25が保持部材23に嵌合され、昇降コードC1が第1及び第2のコード収容溝23b,45に収容された状態で回転部材25を回転させると、昇降コードC1が回転部材25の先端部25bに巻き取られる(図12(b)参照)。そして、巻き取られた分だけ、昇降コードC1がボトムレール7内に引きこまれてボトムレール7の下限位置が上昇する。従って、回転部材25の回転によってボトムレール7の下限位置の調整が可能となる。
回転部材25の基部25aの外面側には、回転操作部253が設けられており、この回転操作部253により回転部材25が回転される。本実施形態では、回転操作部253は、直線状(つまり、−(マイナス)形状)の係合溝であるが、回転操作部253の構成は特に限定されず、+(プラス)形状、六角形状など別の形状の係合溝であってもよく、−形状、+形状、六角形状の係合凸部であってもよい。係合溝には、マイナスドライバやコイン、プラスドライバ、六角レンチなどの回転治具の先端を係合させ、その状態で回転治具を回転させることによって回転部材25を回転させることができる。係合凸部の場合は、係合凸部に係合する回転治具を準備し、同様の操作によって回転部材25を回転させることができる。また、単純に、ボトムレール7からの基部25aのはみ出し量を大きくして、はみ出した部分の側面を掴んで回転部材25を回転させるようにしてもよい。この場合、はみ出した部分の側面が回転操作部253となる。いずれの場合であっても、回転操作部253は、ボトムレール7の底面に設けられており、ユーザーが通常の生活を送っている状況では、回転操作部253はユーザーの目に入りにくい。このため、このような位置に回転操作部253を設けても、意匠性が害されることはない。
ボトムレール7は、保持部材23の設置面(つまり、底面)に貫通孔72(図13参照)を有しており、回転部材25は、この貫通孔72を通じてボトムレール7内に挿入される。貫通孔72は、回転部材25の基部25aが挿入可能であり且つフランジ部25cよりもわずかに小さいサイズを有しているので、回転部材25を貫通孔72内に押し込んでいくと、フランジ部25cがボトムレール7の底面に当接して、それ以上の押し込みが阻止される。このとき、爪部251が保持部材23の上面に係合しているので(図12(a)参照)、回転部材25が貫通孔72から抜けることが阻止される。また、回転部材25を挿入する前は、保持部材23はレール71に沿って自由にスライド移動可能であるが、回転部材25との嵌合によってその位置が固定される。尚、本実施例では、フランジ部25cで貫通孔72を完全に塞いでしまうことによって貫通孔72のエッジで手を切る等の事故を防いで安全性を高めているが、フランジ部25cは必須ではなく、保持部材23の全体がボトムレール7内に収容され、回転治具を貫通孔72内に挿入して回転操作部253に係合させて回転部材25を回転させるような形態であってもよい。
更に、本実施例では、回転操作部253は、ボトムレール7の底面側に設けられているが、例えば、生地押さえ13に貫通孔を設け、回転治具をこの貫通孔に挿入して回転部材25の先端部25bに係合させて回転させることや、当該貫通孔を通じて先端部25bを外部に突出させ、この先端部25bを掴んで回転させるように構成してもよい。また、回転部材25を生地押さえ13側から挿入するように、回転部材25及び保持部材23を構成してもよい。
ボトムレール7やハニカム状生地2の自重によって昇降コードC1には常に張力が加わっており、回転部材25はこの張力に逆らって昇降コードC1を巻き取るので、巻き取った後にその状態を保持する機構が無ければ昇降コードC1はすぐに巻き戻されてしまう。そこで、本実施例では、回転部材25と保持部材23が周方向の複数箇所で係合するようにしており、この係合によって昇降コードC1の巻き戻しを阻止している。具体的には、図11(c)に示すように、保持部材23には、第1のコード収容溝23bの両側に係合凹部23eが45度間隔で3つずつ設けられている。また、回転部材25には、基部25aの周囲に段差255より上部で係合凸部256が90度間隔で4つ設けられている。係合凹部23eと係合凸部256が係合する第1の状態では、2つの係合凸部256が第1のコード収容溝23bの位置にあり、残りの2つの係合凸部256が第1のコード収容溝23bの両側に設けられた3つずつの係合凹部23eのうち中央のものに係合する。この状態から回転部材25を回転させると係合が解除され、さらに回転させると、4つの係合凸部256が第1の状態では係合に関与しなかった4つの係合凹部23eと係合する。さらに回転部材25を回転させると、再度、第1の状態と同じ状態になる。このように、係合凹部23eと係合凸部256は、45度の回転毎に複数箇所で係合され、昇降コードC1の巻き戻しを阻止している。尚、係合凹部23eと係合凸部256の位置及び数は、適宜変更可能であり、凹部と凸部を入れ替えてもよい。
保持部材23が回転自在であると回転部材25を回転させたときに係合凹部23eと係合凸部256の係合によって、回転部材25の回転が保持部材23にも伝わり、これによって、保持部材23も回転してしまう。これを阻止するために、保持部材23は、回転部材25の回転軸周りに回転不能であるか、又は回転可能角度が90度以内になるようにボトムレール7上に設置することが好ましい。回転不能であるのが好ましいが、回転部材25を回転させたときに保持部材23が一緒に回転したとしても、それが90度以内であれば、大きな問題ではない。回転部材25をさらに回転させれば、昇降コードC1を巻き取ることができるからである。尚、回転可能角度は、保持部材23が回転しなくなる位置まで回転部材25を一方向に回転させ、その状態から回転部材25を逆方向に回転させたときに保持部材23が回転しなくなるまでの角度を意味する。
次に、図13(a)乃至(f)を参照して、本実施例の高さ調整装置21の組み立て方法について説明する。
まず、図13(a)に示すように、ボトムレール7に設けられた貫通孔72に昇降コードC1を挿通させる。昇降コードC1の端には結び玉31が形成されている。
次に、図13(b)に示すように、保持部材23をボトムレール7の内部に設けられたレール71と係合させ(より具体的には、ボトムレール7の長手方向端部からレール71を保持部材23のレール保持溝23c内に挿入し)、レール71上で保持部材23をスライドさせ、図13(c)に示すように、貫通孔72を超える位置まで移動させる。この動作によって、昇降コードC1が自然に第1のコード収容溝23bに収容される。
次に、図13(d)に示すように、ボトムレール7の内面側から昇降コードC1を貫通孔72から引き抜く。
次に、図13(e)に示すように、保持部材23に設けられた嵌合孔23dの位置とボトムレール7の貫通孔72の位置が一致するように保持部材23をスライドさせる。
次に、図13(f)に示すように、回転部材25をボトムレール7の外面側から貫通孔72を通じて挿入して保持部材23の嵌合孔23dに嵌合させ、高さ調整装置21の組み付けを完了する。
このように、本実施例の構成によれば、高さ調整装置21は、わずか2つの部品で構成され、その組み立ては非常に容易である。
尚、本実施例の高さ調整装置21において、保持部材23とボトムレール7との間には係合構造を設けない構成も可能である。回転部材25の爪部251とフランジ部25cによって保持部材23とボトムレール7が相対回転可能に固定されるので、保持部材23の回転可能角度が90度以下なるようにする機構のみを設ければよい。この場合、爪部251とフランジ部25cには保持部材23とボトムレール7の間に加わる力を保持できる程度の強度を与えるものとする。
以上のように、本実施例の高さ調整装置21は、昇降コードC1,C2の各々を保持する保持部材23と、保持部材23に相対回転可能に取着され昇降コードC1,C2の各々を巻き付けて固定し長さ調節を可能とする回転部材25とを備えており、回転部材25はボトムレール7の下面からマイナスドライバやコイン等の回転治具により回転操作可能となっている。そして、各高さ調整装置21にてそれぞれの昇降コードC1,C2の長さを調節して固定することにより、ボトムレール7の高さや傾きを調整できる。各昇降コードC1,C2に対し、それぞれ高さ調整装置21を設けることで、本実施形態のハニカムスクリーンの設置時や、設置後にそれぞれの昇降コードC1,C2の経時変化に伴う伸びが発生した場合でも、容易にメンテナンスできるようになる。
そして、ハニカム状生地2は比較的重さがあり、ハニカム状生地2が勢いよく自重降下し、ハニカム状生地2の下端のボトムレール7が床面に衝突するときの衝突音を抑制することができる。
尚且つ本実施形態では、ボトムレール7の下面に緩衝材11が設けられている。これにより、確実に当該衝突音を防止することができる。
〔別の実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンの全体構成〕
上述した図1及び図2に示す実施形態の遮蔽装置としてのハニカムスクリーンでは、一種類のハニカム状生地2を吊下し昇降させる例を説明したが、複数種類のハニカム状生地2を上下に連ねて吊下し個別に昇降させるハニカムスクリーンに応用することができる。
図14は、2種類のハニカム状生地2U,2Lを上下に連ねて構成した本発明による別の実施形態のハニカムスクリーンの概略構成を示す正面図である。
図14に示すハニカムスクリーンは、折り畳み可能とした上部ハニカム状生地2Uが生地押さえを用いてヘッドボックス1から昇降可能に吊下支持され、その上部ハニカム状生地2Uの下端は生地押さえを用いて中間レール7Uの上面に取着される。上部ハニカム状生地2U及び当該生地押さえの構造はそれぞれ図1に示すハニカム状生地2及び当該生地押さえ12,13と同様である。
また、ヘッドボックス1から複数本の昇降コード(本例では2本の昇降コードC1U,C2U)が垂下され、上部ハニカム状生地2Uにおけるそれぞれの隔壁部2cの前後方向中央に形成される挿通孔2dを経て、各昇降コードC1U,C2Uの下端が中間レール7Uに取着される。
各昇降コードC1U,C2Uの下端にはそれぞれ高さ調整装置21Uが設けられている。高さ調整装置21Uの構造は、図1に示す高さ調整装置21と同様である。
中間レール7Uに下端が取着された各昇降コードC1U,C2Uの上端は、ヘッドボックス1内で、それぞれ転向滑車を有する支持部材3Uを経て左方に案内され、コードガイド5U及び制動装置6Uを経て、コードストッパ4Uに挿通され、ヘッドボックス1の左端部に設けられる操作装置16のコード導出口16aから外部に導出される。
コードガイド5U及び制動装置6Uの構造は、図1に示すコードガイド5及び制動装置6と同様であり、コードストッパ4Uの機能も図1に示すコードストッパ4と同様である。
コード導出口16aから外部に導出された各昇降コードC1U,C2Uの端部は、コードイコライザ9Uにより操作コード8Uの上端に連結され、操作コード8Uの下端は中間レール7Uに取着される。ここで、コードイコライザ9Uは、ヘッドボックス1に対する該連結部の当接・非当接で制動装置6Uによる上部ハニカム状生地2Uの下降速度を所定値以下に制動する範囲が規制されるようになっている。
このように、本実施形態のハニカムスクリーンは、複数本(本例では2本)の昇降コードC1U,C2Uをヘッドボックス1のコード導出口16aから引出し、或いはヘッドボックス1に引き込ませることで、中間レール7Uの昇降による上部ハニカム状生地2Uの昇降を直引き操作可能となっている。
また、図14に示すハニカムスクリーンは、折り畳み可能とした下部ハニカム状生地2Lが生地押さえを用いて中間レール7Uから昇降可能に吊下支持され、その下部ハニカム状生地2Lの下端は生地押さえを用いてボトムレール7Lの上面に取着される。下部ハニカム状生地2L及び当該生地押さえの構造はそれぞれ図1に示すハニカム状生地2及び当該生地押さえ12,13と同様である。
また、ヘッドボックス1から複数本の昇降コード(本例では2本の昇降コードC1L,C2L)が垂下され、下部ハニカム状生地2Lにおけるそれぞれの隔壁部2cの前後方向中央に形成される挿通孔2dを経て、各昇降コードC1L,C2Lの下端がボトムレール7Lに取着される。
各昇降コードC1L,C2Lの下端にはそれぞれ高さ調整装置21Lが設けられている。高さ調整装置21Lの構造は、図1に示す高さ調整装置21と同様である。
ボトムレール7Lに下端が取着された各昇降コードC1L,C2Lの上端は、ヘッドボックス1内で、それぞれ転向滑車を有する支持部材3Lを経て右方に案内され、コードガイド5L及び制動装置6Lを経て、コードストッパ4Lに挿通され、ヘッドボックス1の右端部に設けられる操作装置15のコード導出口15aから外部に導出される。
コードガイド5L及び制動装置6Lの構造は、図1に示すコードガイド5及び制動装置6と同様であり、コードストッパ4Lの機能も図1に示すコードストッパ4と同様である。
コード導出口15aから外部に導出された各昇降コードC1L,C2Lの端部は、コードイコライザ9Lにより操作コード8Lの上端に連結され、操作コード8Lの下端はボトムレール7Lに取着される。ここで、コードイコライザ9Lは、ヘッドボックス1に対する該連結部の当接・非当接で制動装置6Lによる下部ハニカム状生地2Lの下降速度を所定値以下に制動する範囲が規制されるようになっている。
このように、本実施形態のハニカムスクリーンは、複数本(本例では2本)の昇降コードC1L,C2Lをヘッドボックス1のコード導出口15aから引出し、或いはヘッドボックス1に引き込ませることで、ボトムレール7Lの昇降による下部ハニカム状生地2Lの昇降を直引き操作可能となっている。
従って、昇降コードC1L,C2Lをヘッドボックス1から引き出せば、ボトムレール7Lが引き上げられ、昇降コードC1L,C2L(或いはコードイコライザ9L又は操作コード8L)を手放して当該コードストッパ4Lのロックを作動させれば昇降コードC1L,C2Lのヘッドボックス1内への引き込みを阻止して、ボトムレール7Lを所望位置に吊下支持させることができる。
そして、僅かに昇降コードC1L,C2Lをヘッドボックス1から引き出し当該コードストッパ4Lのロックを解除させた後、昇降コードC1L,C2L(或いはコードイコライザ9L又は操作コード8L)を手放すことで、昇降コードC1L,C2Lをヘッドボックス1内に引き込ませ、ボトムレール7L及び下部ハニカム状生地2Lの重量によりボトムレール7Lを下降させることができる。
また、昇降コードC1U,C2Uをヘッドボックス1から引き出せば、中間レール7Uが引き上げられ、昇降コードC1U,C2U(或いはコードイコライザ9U又は操作コード8U)を手放して当該コードストッパ4Uのロックを作動させれば昇降コードC1U,C2Uのヘッドボックス1内への引き込みを阻止して、中間レール7Uを所望位置に吊下支持させることができる。
そして、僅かに昇降コードC1U,C2Uをヘッドボックス1から引き出し当該コードストッパ4Uのロックを解除させた後、昇降コードC1U,C2U(或いはコードイコライザ9U又は操作コード8U)を手放すことで、昇降コードC1U,C2Uをヘッドボックス1内に引き込ませ、中間レール7U及び上部ハニカム状生地2Uの重量により中間レール7Uを下降させることができる。
このように、本実施形態のハニカムスクリーンにおいて、中間レール7Uをヘッドボックス1の直下まで引き上げて、ヘッドボックス1と中間レール7Uとの間に上部ハニカム状生地2Uを折り畳んだ状態で、ボトムレール7Lを下降させれば、ヘッドボックス1から下部ハニカム状生地2Lが吊下支持された状態となる。
また、ボトムレール7を下限位置まで下降させた状態で、中間レール7Uをボトムレール7L上まで下降させると、中間レール7Uとボトムレール7Lとの間で下部ハニカム状生地2Lが折り畳まれ、ヘッドボックス1と中間レール7Uとの間で上部ハニカム状生地2Uが吊下支持された状態となる。
また、ボトムレール7Lを上限まで引き上げて開放する場合には、中間レール7Uを引き上げる操作を行うことなく、ボトムレール7Lの引き上げ操作のみで、ヘッドボックス1とボトムレール7Lとの間に上部ハニカム状生地2Uと下部ハニカム状生地2Lとを折り畳んだ状態とすることができる。
このように、図14に示すようにハニカムスクリーンにおいても、コードガイド5L,5U及び制動装置6L,6Uによって、それぞれのハニカム状生地2L,2Uの下降速度を所定値以下に制動することができ、従来技法で生じうるハニカム状生地2からの騒音(セル内の空気圧の変化、静電気、生地の硬さのうち1以上の要因によると推定されるバサバサ音)を抑制することができる。
また、図14に示すようにハニカムスクリーンにおいても、それぞれのハニカム状生地2L,2Uの当該挿通孔2dを小径化した場合でも、それぞれの制動装置6L,6Uによる速度制御により昇降コードの摩耗を低減させることができるため、当該摩耗による粉塵を抑制しつつ該粉塵をそれぞれのハニカム状生地2L,2Uのセル内に収まるようにして品質を向上させることができる。
また、図14に示すようにハニカムスクリーンにおいても、それぞれのハニカム状生地2L,2Uが勢いよく自重降下した場合に生じうる当該衝突音を、当該高さ調整装置21によって抑制することができる。
また、図14に示すようにハニカムスクリーンにおいても、確実に当該衝突音を防止するためにボトムレール7Lの下面に緩衝材11を設けるのが好適である。緩衝材11はゴムや、スポンジ状の合成樹脂で形成され、本実施形態ではボトムレール7の下面に貼付されている。そして、緩衝材11の一部には、当該高さ調整装置21をマイナスドライバやコイン等の回転治具により回転操作可能とするよう開口部11aが設けられている。
以上のように、図14に示すようにハニカムスクリーンを構成した場合でも、図1に示すハニカムスクリーンの全ての作用・効果を包含するものとなる。
〔別の実施形態の遮蔽装置としてのプリーツスクリーンの全体構成〕
ところで、図1及び図14に示す遮蔽装置では、遮蔽材としてハニカム状生地2(又は2L,2U)を用いるものとし、そのハニカム状生地2(又は2L,2U)の内部で、昇降コードC1,C2(又はC1L,C1U、或いはC2L,C2U)を貫通させてレール(ボトムレール7,7Lや中間レール7U)を吊下支持する構成としているため、遮蔽材の全閉時(ボトムレール7の下限時)に正面視から昇降コードを見えないように隠すことができる。このように、正面視から昇降コードを見えないように隠すことで、意匠性の向上が可能となる。
換言すれば、遮蔽材の全閉時(ボトムレール7の下限時)に正面視から昇降コードを見えないように隠すためには、例えばプリーツ生地をヘッドボックス1から前後2重に吊下し、その前後のプリーツ生地間に昇降コードを垂下させレールを吊下支持する構成とすることも有効である。
また、遮蔽材として1枚のプリーツ生地をヘッドボックス1から吊下する場合でも、プリーツ生地2Pの全閉時(ボトムレール7の下限時)に正面視から昇降コードを見えないように、例えば図15に例示するように、各昇降コードC1,C2より幅広であるが各昇降コードC1,C2を隠すのに十分な細巾で可撓性の細巾部材18をヘッドボックス1から吊下支持する構成とすることもできる。このような細巾部材18は、生地又はテープ状の合成樹脂で形成することができ、用途によってラダー状とすることもできる。
図15(a),(b)は、それぞれ本発明による別の実施形態の遮蔽装置としてのプリーツスクリーンの概略構成を示す正面図及び部分的な側面図である。
図15に示すプリーツスクリーンは、上下方向に沿ってジグザグ状に折り畳み可能としたプリーツ生地2Pが生地押さえ12を用いてヘッドボックス1から昇降可能に吊下支持され、プリーツ生地2Pの下端は生地押さえ(図示せず)を用いてボトムレール7の上面に取着される。当該生地押さえの構造は図1に示す当該生地押さえ12,13と同様である。
そして、図15(b)に示すように、ヘッドボックス1からピッチ保持コード14がプリーツ生地2Pの背面を垂下してボトムレール7に取着されている。ピッチ保持コード14には、環状の保持部14aが上下方向に沿って等間隔に多数設けられ、環状の保持部14aが対応する昇降コードを貫通させつつプリーツ生地2Pを一定間隔に保つよう保持している。
通常、プリーツ生地2Pには挿通孔2dが設けられている。従って、図15(a)に示すように、ヘッドボックス1から複数本の昇降コード(本例では2本の昇降コードC1,C2)が垂下され、プリーツ生地2Pにおけるそれぞれの挿通孔2dを経て、各昇降コードC1,C2の下端がボトムレール7に取着される。
特に、図15に示すプリーツスクリーンは、プリーツ生地2Pをヘッドボックス1から吊下する場合でも、プリーツ生地2Pの全閉時(ボトムレール7の下限時)に正面視から昇降コードを見えないようにするために、ヘッドボックス1から吊下支持する細巾部材18により各昇降コードC1,C2を隠すようにしている。各細巾部材18は、プリーツ生地2とともに上下の生地押さえで保持される。そして、各細巾部材18は、各昇降コードC1,C2より幅広であるが各昇降コードC1,C2を隠すのに十分な細巾で可撓性の材料で形成され、例えば生地又はテープ状の合成樹脂で形成することができる。これにより、意匠性を向上させることができる。
そして、各昇降コードC1,C2の下端にはそれぞれ図1に示すものと同様の高さ調整装置21が設けられている。
ボトムレール7に下端が取着された各昇降コードC1,C2の上端は、ヘッドボックス1内で、それぞれ転向滑車を有する支持部材3を経て左方に案内され、図1に示すものと同様のコードガイド5及び制動装置6を経て、コードストッパ4に挿通され、ヘッドボックス1の右端部に設けられる操作装置15のコード導出口15aから外部に導出される。
コード導出口15aから外部に導出された各昇降コードC1,C2の端部は、コードイコライザ9により操作コード8の上端に連結され、操作コード8の下端はボトムレール7に取着される。ここで、コードイコライザ9は、ヘッドボックス1に対する該連結部の当接・非当接で制動装置6によるプリーツ生地2Pの下降速度を所定値以下に制動する範囲が規制されるようになっている。
このように、図15に示すプリーツスクリーンは、複数本(本例では2本)の昇降コードC1,C2をヘッドボックス1のコード導出口15aから引出し、或いはヘッドボックス1に引き込ませることで、ボトムレール7の昇降によるプリーツ生地2Pの昇降を直引き操作可能となっている。
従って、昇降コードC1,C2をヘッドボックス1から引き出せば、ボトムレール7が引き上げられ、昇降コードC1,C2(或いはコードイコライザ9又は操作コード8)を手放して当該コードストッパ4のロックを作動させれば昇降コードC1,C2のヘッドボックス1内への引き込みを阻止して、ボトムレール7を所望位置に吊下支持させることができる。
そして、僅かに昇降コードC1,C2をヘッドボックス1から引き出し当該コードストッパ4のロックを解除させた後、昇降コードC1,C2(或いはコードイコライザ9又は操作コード8)を手放すことで、昇降コードC1,C2をヘッドボックス1内に引き込ませ、ボトムレール7及びプリーツ生地2Pの重量によりボトムレール7を下降させることができる。
このように、図15に示すプリーツスクリーンにおいても、コードガイド5及び制動装置6によって、プリーツ生地2Pの下降速度を所定値以下に制動することができ、プリーツ生地2Pからの騒音を抑制することができる。
また、図15に示すプリーツスクリーンにおいても、プリーツ生地2Pの当該挿通孔2dを小径化した場合でも、それぞれの制動装置6による速度制御により昇降コードの摩耗を低減させることができるため、品質を向上させることができる。
また、図15に示すプリーツスクリーンにおいても、プリーツ生地2Pが勢いよく自重降下した場合に生じうる当該衝突音を、当該高さ調整装置21によって抑制することができる。
また、図15に示すプリーツスクリーンにおいても、確実に当該衝突音を防止するためにボトムレール7の下面に緩衝材11を設けるのが好適である。緩衝材11はゴムや、スポンジ状の合成樹脂で形成され、本実施形態ではボトムレール7の下面に貼付されている。そして、緩衝材11の一部には、当該高さ調整装置21をマイナスドライバやコイン等の回転治具により回転操作可能とするよう開口部11aが設けられている。
以上のように、図15に示すプリーツスクリーンにおいても、図1に示すハニカムスクリーンの全ての作用・効果を包含するものとなり、特に、プリーツ生地2Pの全閉時(ボトムレール7の下限時)に正面視から昇降コードを見えないようにヘッドボックス1から吊下支持する細巾部材18により各昇降コードC1,C2を隠すようにしているため、意匠性を向上させることができる。
〔別の実施形態の遮蔽装置としての横型ブラインドの全体構成〕
また、上述した細巾部材18は、横型ブラインドにも有効である。図16(a),(b)は、それぞれ本発明による別の実施形態の遮蔽装置としての横型ブラインドの概略構成を示す正面図及び一部を断面で示す側面図である。
図16に示す横型ブラインドは、ヘッドボックス1内の支持部材3からラダーコードの縦糸17aが吊下され、この縦糸17aに設けられる多数の横糸17bに遮蔽材としての多数段のスラット2Sが支持される。この縦糸17aの下端は、ボトムレール7の下面にて固定部材19により取着される。
通常、スラット2Sには挿通孔2dが設けられている(挿通孔2dの代わりに切欠きでもよい)。従って、図16(a)に示すように、ヘッドボックス1から複数本の昇降コード(本例では2本の昇降コードC1,C2)が垂下され、プリーツ生地2Pにおけるそれぞれの挿通孔2dを経て、各昇降コードC1,C2の下端がボトムレール7に取着される。
特に、図16に示す横型ブラインドは、ラダーコードを用いてスラット2Sをヘッドボックス1から吊下する場合でも、ボトムレール7の下限時に正面視及び背面視から昇降コードを見えないように、ヘッドボックス1からラダーコードの一部を構成する細巾部材18により各昇降コードC1,C2を前後から隠すようにしている。各細巾部材18はラダーコードの経糸18aと一体となって固着され、各細巾部材18の上端は最上段のスラット2Sより上方に位置し、各細巾部材18の下端は当該縦糸17aと一体となってボトムレール7の下面にて固定部材19により取着される。
本例においても、各細巾部材18は、各昇降コードC1,C2より幅広であるが各昇降コードC1,C2を隠すのに十分な細巾で可撓性の材料で形成され、例えば生地又はテープ状の合成樹脂で形成することができる。これにより、意匠性を向上させることができる。また、本例のように、各昇降コードC1,C2の前後で細巾部材18を設けることで、日射等による昇降コードC1,C2の劣化を防止し、且つ制動装置6に対する制動品質を一定にすることができる。
そして、各昇降コードC1,C2の下端にはそれぞれ図1に示すものと同様の高さ調整装置21が設けられている。
ボトムレール7に下端が取着された各昇降コードC1,C2の上端は、ヘッドボックス1内で、それぞれ転向滑車を有する支持部材3を経て左方に案内され、図1に示すものと同様のコードガイド5及び制動装置6を経て、コードストッパ4に挿通され、ヘッドボックス1の右端部に設けられる操作装置15のコード導出口15aから外部に導出される。
コード導出口15aから外部に導出された各昇降コードC1,C2の端部は、コードイコライザ9により操作コード8の上端に連結され、操作コード8の下端はボトムレール7に取着される。ここで、コードイコライザ9は、ヘッドボックス1に対する該連結部の当接・非当接で制動装置6によるプリーツ生地2Pの下降速度を所定値以下に制動する範囲が規制されるようになっている。
このように、図16に示す横型ブラインドは、複数本(本例では2本)の昇降コードC1,C2をヘッドボックス1のコード導出口15aから引出し、或いはヘッドボックス1に引き込ませることで、ボトムレール7の昇降によるスラット2Sの昇降を直引き操作可能となっている。
従って、昇降コードC1,C2をヘッドボックス1から引き出せば、ボトムレール7が引き上げられ、昇降コードC1,C2(或いはコードイコライザ9又は操作コード8)を手放して当該コードストッパ4のロックを作動させれば昇降コードC1,C2のヘッドボックス1内への引き込みを阻止して、ボトムレール7を所望位置に吊下支持させることができる。
そして、僅かに昇降コードC1,C2をヘッドボックス1から引き出し当該コードストッパ4のロックを解除させた後、昇降コードC1,C2(或いはコードイコライザ9又は操作コード8)を手放すことで、昇降コードC1,C2をヘッドボックス1内に引き込ませ、ボトムレール7及びスラット2Sの重量によりボトムレール7を下降させることができる。
このように、図16に示す横型ブラインドにおいても、コードガイド5及び制動装置6によって、スラット2Sの下降速度を所定値以下に制動することができ、スラット2Sからの騒音を抑制することができる。
また、図16に示す横型ブラインドにおいても、スラット2Sの当該挿通孔2dを小径化した場合でも、それぞれの制動装置6による速度制御により昇降コードの摩耗を低減させることができるため、品質を向上させることができる。
また、図16に示す横型ブラインドにおいても、スラット2Sが勢いよく自重降下した場合に生じうる当該衝突音を、当該高さ調整装置21によって抑制することができる。
また、図16に示す横型ブラインドにおいても、確実に当該衝突音を防止するためにボトムレール7の下面に緩衝材11を設けるのが好適である。緩衝材11はゴムや、スポンジ状の合成樹脂で形成され、本実施形態ではボトムレール7の下面に貼付されている。そして、緩衝材11の一部には、当該高さ調整装置21をマイナスドライバやコイン等の回転治具により回転操作可能とするよう開口部11aが設けられている。尚、上述した固定部材19は緩衝材11を避けて配置されている。
以上のように、図16に示す横型ブラインドにおいても、図1に示すハニカムスクリーンの全ての作用・効果を包含するものとなり、特に、ボトムレール7の下限時に正面視及び背面視から昇降コードを見えないようにするために、ヘッドボックス1から吊下支持する細巾部材18により各昇降コードC1,C2を前後で隠すようにしているため、意匠性を向上させ、且つ日射等による昇降コードC1,C2の劣化を防止し、且つ制動装置6に対する制動品質を一定にすることができる。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施形態の例では、制動装置の例として、遠心ブレーキ構造を用いる例を説明したが、摩擦によるものやワンウェイクラッチを利用するものなど、任意の方法で制動力を発生させるものとすることができる。また、遮蔽材の下端のボトムレールが床面に衝突するときの衝突音の防止の観点からは、直引き操作に限らず、駆動軸の回転操作で回転する巻取軸による昇降コードの昇降を行う遮蔽装置の場合にも有効である。