JP2019178485A - 止水工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な工程で低コストであり、しかも止水強度を有し、振動や重力による材料の落下の恐れもなく、長期止水効果が期待できる工法を提供する。【解決手段】コンクリート構造物1の目地部2からの漏水を止める止水工法であって、目地部2にウール4を充填する充填工程Aと、充填されたウール4に止水剤5を注入して硬化させる硬化工程Bと、注入により硬化したウール4と目地部2を急結セメント6で封鎖する封鎖工程Cと、を含む。【選択図】図2
Description
この発明は、トンネル、建造物地下外壁などのコンクリート構造物(躯体)の目地部などからの漏水を止める止水工法に関する。
従来、トンネル、建造物地下外壁などのコンクリート構造物(躯体)の目地部からの漏水を止める止水工法として、例えばコンクリート構造物(躯体)の目地またはクラックからの漏水を止めるため、漏水箇所の表面を水滴のない状態とした後、漏水箇所およびその周辺部の施工面に対してプライマーを塗布し、乾燥した後、さらにこのプライマー上にポリウレア樹脂からなる二液混合熱硬化型の止水剤を塗布し、また目地またはクラックに縁切り材を取り付け、この上からプライマーおよび止水剤を塗布して導水するものが提案されている(特許文献1)。
この特許文献1に記載の防水工法や導水工法では、目地部、打継ぎ部或いはひび割れ部の幅が大きく漏水量が多量に生じている状態では止水処理を、或いは防水、導水処理をすることが困難である。また、地下外壁のように侵入側(外側)が地下部の場合は根本的な処理をすることが困難で時間とコストが嵩む。
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、簡単な工程で低コストであり、しかも止水強度を有し、振動や重力による材料の落下の恐れもなく、長期止水効果が期待できる止水工法を提供することを目的とする。
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、コンクリート構造物の目地部からの漏水を止める止水工法であって、
前記目地部にウールを充填する充填工程と、
前記充填されたウールに止水剤を注入して硬化させる硬化工程と、
を含むことを特徴とする止水工法である。
前記目地部にウールを充填する充填工程と、
前記充填されたウールに止水剤を注入して硬化させる硬化工程と、
を含むことを特徴とする止水工法である。
請求項2に記載の発明は、前記止水剤の注入により硬化したウールと前記目地部を急結セメントで封鎖する封鎖工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の止水工法である。
請求項3に記載の発明は、前記硬化工程は、
前記コンクリート躯体の表面側から削孔し、前記止水剤を前記削孔から注入し、
前記封鎖工程は、
前記削孔を前記急結セメントで封鎖することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の止水工法である。
前記コンクリート躯体の表面側から削孔し、前記止水剤を前記削孔から注入し、
前記封鎖工程は、
前記削孔を前記急結セメントで封鎖することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の止水工法である。
請求項4に記載の発明は、前記硬化工程は、
鉛直方向の下方から上方に向かい前記止水剤を注入し、
注入した前記止水剤を下方から上方に向かい硬化させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の止水工法である。
鉛直方向の下方から上方に向かい前記止水剤を注入し、
注入した前記止水剤を下方から上方に向かい硬化させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の止水工法である。
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
請求項1乃至請求項4に記載の発明では、コンクリート構造物の目地部にウールを充填し、充填されたウールに止水剤を注入し、混合して硬化させる簡単な工程で低コストである。しかもウールに止水剤を注入して硬化させた構成であり、止水強度を有し、振動や重力による材料の落下の恐れもなく、長期止水効果が期待できる。
以下、この発明のトンネル、建造物地下外壁などのコンクリート構造物(躯体)の目地部などからの漏水を止める止水工法の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
図1はトンネル、建造物地下外壁などのコンクリート構造物(躯体)の目地部からの漏水を示す図である。コンクリート構造物(躯体)1の目地部2には、止水板3が配置され、止水板3によって目地部2から水が漏れることを防止している。
ところで、地下水の水量が多くなったり、コンクリート構造物(躯体)1と止水板3との間に隙間が生じたり、あるいはコンクリート構造物(躯体)1にひび割れが生じたりなどによって目地部2から漏水することがある。
図2はコンクリート構造物(躯体)の目地部からの漏水を止める止水工法を説明する工程図である。このトンネル、建造物の地下外壁などをなすコンクリート構造物(躯体)1の目地部2からの漏水を止める止水工法は、目地部2にウール4を充填する充填工程Aと、充填されたウール4に止水剤5を注入して硬化させる硬化工程Bと、止水剤5の注入により硬化したウール4と目地部2を急結セメント6で封鎖する封鎖工程Cと、を含む。
コンクリート構造物(躯体)1には、打ち継ぎ部の目地部2から漏水が発生しているものとするが(図2(a))、漏水が発生している場合に限定されず、漏水が発生していない場合でも事前に漏水を止める目的で止水工法が適用可能である。
(充填工程A)
この充填工程Aでは、目地部2にウール4を充填する。このウール4の充填は、コンクリート構造物(躯体)1の厚みの中心付近または止水板にとどくまでを目標に押し込み、目地部2の表面側に僅かな空間Sが形成されるようにする(図2(b))。
この充填工程Aでは、目地部2にウール4を充填する。このウール4の充填は、コンクリート構造物(躯体)1の厚みの中心付近または止水板にとどくまでを目標に押し込み、目地部2の表面側に僅かな空間Sが形成されるようにする(図2(b))。
ウール4は、自然に伸びた、または人工的に伸ばされた細くしなやかで凝集性のある紐状の素材である。化学的プロセスにより製造される繊維、金属やガラスなど元来は繊維の状態に加工できなかった物質から作られた繊維でもよい。この実施の形態では、非常に微細かつ柔軟なステンレス繊維のたわしが用いられ、スチールウールであり、金たわしとも呼ばれる。ステンレス繊維の製造には、ステンレスが使用され、目的の細さにできるブローチ切削刃で細い繊維状に加工する。
(硬化工程B)
この硬化工程Bでは、充填されたウール4に止水剤5を注入して硬化させる。止水剤5の注入は、コンクリート構造物(躯体)1の表面側から削孔10し、止水剤5を削孔10から注入する(図2(c))。
この硬化工程Bでは、充填されたウール4に止水剤5を注入して硬化させる。止水剤5の注入は、コンクリート構造物(躯体)1の表面側から削孔10し、止水剤5を削孔10から注入する(図2(c))。
削孔10は、削孔機20を用いて目地部2の両側に沿って所定間隔の位置に形成され、コンクリート構造物(躯体)1の表面側から目地部2の内壁に開口する。止水剤5の注入は、注入機21を用いて行い、充填されたウール4に注入して硬化させる。
止水剤5の注入手順は、鉛直方向の下方の目地部2の両側の削孔10から上方に向かい止水剤5を注入し、注入した止水剤5を下方から上方に向かい硬化させる。
図3に示すように、目地部2の両側の下方位置に形成した削孔10から止水剤5を注入し(図3(a))、注入した止水剤5が硬化した後、目地部2の両側の中央位置に形成した削孔10から止水剤5を注入し(図3(b))、注入した止水剤5が硬化した後、目地部2の両側の上方位置に形成した削孔10から止水剤5を注入し、硬化させる((図3(c))。
このように止水剤5を注入することで、下方から止水剤5が硬化し、上方に注入された止水剤5の重量を下方位置の硬化した止水剤5で受け、ウール4に注入された止水剤5が均一に硬化する。
この実施の形態では、コンクリート構造物(躯体)1に削孔10を形成し、止水剤5を削孔10から注入するが、コンクリート構造物(躯体)1の表面側から充填されたウール4に注入ノズルを差し込み、止水剤5を注入して硬化させてもよい。
止水剤5としては、二成分を混合させて瞬時に化学反応硬化させて得られるものであり、図4に示す注入工法が用いられる。この実施の止水剤の注入工法は、二成分を構成するA液をタンク30に貯留し、B液をタンク31に貯留し、それぞれ貯留したA液とB液を注入機21に供給する。注入機21は、圧縮空気でA液とB液を注入ノズル21aに供給し、注入ノズル21aによりA液とB液を混合して注入する。このA液とB液を混合して注入して硬化した止水剤を、図5に示す。
このA液とB液の具体的なものとしては、日本バンデックス(株)社製、
商品「バンデックスフレキシンA−I剤、A−II剤(A液)バンデックスフレキシンB−I剤 BII剤(B液)」などがあげられる。
商品「バンデックスフレキシンA−I剤、A−II剤(A液)バンデックスフレキシンB−I剤 BII剤(B液)」などがあげられる。
この止水剤の物理的性質を説明する。この止水剤は、アクリル系二成分合成樹脂で重合効果後、シーリング力を発揮し、容積変化も少なく、−40℃〜+70℃での範囲で可塑性とシーリング力を保つ。
この止水剤の基本的性質は、
比重(20℃):1.1〜1.2
粘性(mPa・s):12〜13
膨張率:1週間で水を吸収して約200%体積膨張する。
重量硬化時間:約10秒〜約4分
圧縮弾性:100%復元(40%圧縮後)である。
比重(20℃):1.1〜1.2
粘性(mPa・s):12〜13
膨張率:1週間で水を吸収して約200%体積膨張する。
重量硬化時間:約10秒〜約4分
圧縮弾性:100%復元(40%圧縮後)である。
また、止水剤としては、ウレタン樹脂からなるものを用いてもよい。
このウレタン樹脂とは変性イソシアネートと特殊変性ポリオールとの二成分からなるものであり、この二成分を混合させ漏水している水やコンクリート躯体内の水と接触して瞬時に化学反応硬化させて得られるものである。このウレタン樹脂からなる止水剤の具体的なものとしては、日本国、日本バンデックス(株)社製 商品名「バンデストップ50」などが挙げられる。
このウレタン樹脂とは変性イソシアネートと特殊変性ポリオールとの二成分からなるものであり、この二成分を混合させ漏水している水やコンクリート躯体内の水と接触して瞬時に化学反応硬化させて得られるものである。このウレタン樹脂からなる止水剤の具体的なものとしては、日本国、日本バンデックス(株)社製 商品名「バンデストップ50」などが挙げられる。
(封鎖工程C)
この封鎖工程Cでは、止水剤5の注入により硬化したウール4と目地部2と急結止水セメント6で封鎖し、さらに削孔10の注入により硬化した止水剤5を急結止水セメント6で封鎖する。急結止水セメント6は粘土状にしてつめ込むだけで約1分から10分で封鎖することができる。
この封鎖工程Cでは、止水剤5の注入により硬化したウール4と目地部2と急結止水セメント6で封鎖し、さらに削孔10の注入により硬化した止水剤5を急結止水セメント6で封鎖する。急結止水セメント6は粘土状にしてつめ込むだけで約1分から10分で封鎖することができる。
この急結止水セメントの具体的なものとしては、日本バンデックス(株)社製 商品名「バンデックスQ−80」などが挙げられる。また、目地部2については急結止水セメントだけではなく、ウレタン MMA樹脂系のコーキング剤などでの充填も可能である。このウレタンMMA樹脂系のコーキング剤の具体的なものとしては、ベルギー国、RPMベルギー社製 商品名「メタクリル」などが挙げられる。
この実施の形態のコンクリート構造物(躯体)の目地部からの漏水を止める止水工法は、コンクリート構造物(躯体)1の目地部2にウール4を充填し、充填されたウール4に止水剤5を注入して硬化させ、止水剤5の注入により硬化したウール4と目地部2を急結止水セメント6で封鎖する簡単な工程で、かつ短時間で漏水を止めることができ、材料のロスも少ないことから環境にやさしくさらに低コストである。
しかもウール4に止水剤5を注入して硬化させた構成であり、図6に示すように、目地部2の内部になるべく奥までウール4を充填し、止水剤5にて止水を行い、止水剤5は液体からゲル状に変化するまでウール5と絡み合い、一体化して止水強度を有する。ウール4と止水剤5が一体化したものは強度を有し、それにより振動や重力による材料の落下の恐れもなく、長期止水効果が期待できる。
この発明は、トンネル、建造物地下外壁などのコンクリート構造物(躯体)の目地部からの漏水を止める止水工法に適用でき、簡単な工程で低コストであり、しかも止水強度を有し、振動や重力による材料の落下の恐れもなく、長期止水効果が期待できる。
A 充填工程
B 硬化工程
C 封鎖工程
1 コンクリート構造物(躯体)
2 目地部
3 止水板
4 ウール
5 止水剤
6 急結セメント
10 削孔
20 削孔機
21 注入機
21a 注入ノズル
30,31 タンク
B 硬化工程
C 封鎖工程
1 コンクリート構造物(躯体)
2 目地部
3 止水板
4 ウール
5 止水剤
6 急結セメント
10 削孔
20 削孔機
21 注入機
21a 注入ノズル
30,31 タンク
Claims (4)
- コンクリート構造物の目地部からの漏水を止める止水工法であって、
前記目地部にウールを充填する充填工程と、
前記充填されたウールに止水剤を注入して硬化させる硬化工程と、
を含むことを特徴とする止水工法。 - 前記止水剤の注入により硬化したウールと前記目地部を急結セメントで封鎖する封鎖工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の止水工法。
- 前記硬化工程は、
前記コンクリート躯体の表面側から削孔し、前記止水剤を前記削孔から注入し、
前記封鎖工程は、
前記削孔を前記急結セメントで封鎖することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の止水工法。 - 前記硬化工程は、
鉛直方向の下方から上方に向かい前記止水剤を注入し、
注入した前記止水剤を下方から上方に向かい硬化させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の止水工法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2018
- 2018-03-30 JP JP2018066500A patent/JP2019178485A/ja active Pending
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