JP2019177055A - 足関節・足部の運動支援装置 - Google Patents

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Hiroshige Taniguchi
浩成 谷口
彗斗 内田
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彗斗 内田
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Abstract

【課題】足関節・足部の動きの多様性を向上させることができる足関節・足部の運動支援装置を提供することを課題とする。【解決手段】足関節50および足部51の運動を支援する足関節・足部の運動支援装置100であって、足首から末端側の足の挿入が可能とされ、足が挿入された際に足を押圧することにより足の姿勢を調節する第1の空気圧アクチュエータユニット20と、第1の空気圧アクチュエータユニットを保持する保持部30と、保持部を前後左右に傾斜させることを可能にする第2の空気圧アクチュエータユニット40とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、リハビリテーションの際等に足関節・足部の可動域訓練等に使用することが可能な足関節・足部の運動支援装置に関する。
事故や病気により関節を動かすことができない状態が長く続いてしまうと関節に拘縮が生じることがある。拘縮が生じると、関節可動域が縮小して生活活動が著しく制限されてしまう。そのように関節可動域が縮小することを関節可動域制限と呼ぶ。関節可動域制限が発症し得る関節の中でも足関節・足部の関節(「足関節・足部の関節」は、足首から末端までの関節を含む)は、歩行する上で重要な関節である。そこで、従来、足関節・足部の関節の関節可動域制限を予防または改善することが可能な関節可動域訓練装置が開発されており、その一例が非特許文献1に開示されている。
非特許文献1に記載の関節可動域訓練装置は、複数の袋状空気圧アクチュエータを備えており、その複数の袋状空気圧アクチュエータの間に足部を挿入可能となっている。この関節可動域訓練装置においては、各袋状空気圧アクチュエータにより足部を押圧することで、足関節・足部の背屈動作等を行うことが可能となっている。
また、足首の屈伸運動を行う器具として、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1には、床面等に配置される本体部と、この本体部の左右に配置されたステップ部と、このステップ部を回動させるモータとを備えた運動器具が開示されている。この運動器具においては、ステップ部に使用者の足部を配置した状態でモータを駆動することにより足首の屈伸運動を行うことが可能となっている。また、特許文献1の図17には、上記の本体部を床面に対して傾斜させて、上記のステップ部と使用者の足部との位置関係を調節可能とすることが開示されている。
特許第6080332号公報 谷口浩成、他2名,「空気圧アクチュエータによる足関節の関節可動域訓練手法に関する検討」,LIFE2016講演論文集,LIFE2016,2016年9月,p.457−459
ところで、足関節・足部の関節は、底屈、背屈、内転、外転、内返し、外返し、内反、外反といった多様な動作をすることが可能な構造を有しているが、非特許文献1および特許文献1のいずれの技術においても、足関節・足部の関節に上記の8つの動作のうちの限られた動作しかさせることができないという問題があった。
具体的には、特許文献1の技術においては、ステップ部を前後方向に傾斜させることしかできないため、できたとしても足関節に底屈動作および背屈動作をさせることしかできなかった。
また、非特許文献1の技術においては、足関節・足部の関節に底屈動作、背屈動作、内転動作、外転動作をさせることについては記載されているが、内返し動作、外返し動作、内反動作、および外反動作をさせることについては記載されておらず、これら4つの動作については行うことができない可能性があった。
なお、非特許文献1の技術においては、内返し動作、外返し動作等を行うために足裏側の袋状空気圧アクチュエータ(非特許文献1のFig2参照)を足幅方向に並べて、足幅方向両側の袋状空気圧アクチュエータの高さを個別に調節することも考えられる。しかし、足幅方向両側の袋状空気圧アクチュエータどうしの間隔の調節が難しい(間隔が狭すぎるとアクチュエータどうしが干渉し、間隔が広すぎると使用者の足のサイズによってはアクチュエータどうしの隙間に足が嵌ってしまう)という問題があった。また、袋状空気圧アクチュエータに代えてベローズ状空気圧アクチュエータを使用することも考えられるが、ベローズ状空気圧アクチュエータは荷重によって座屈する可能性があるという問題があった。
また、使用者の足関節・足部の関節の可動域限界は外部からは分かりにくい為、使用者の足関節・足部に過度の負担がかからないように慎重に関節可動域訓練を行う必要があり、安全性確保の観点も重要である。
そこで、本願発明では、足関節・足部の運動支援を行う際に足関節・足部に8つの動作を行わせることができる安全な足関節・足部の運動支援装置を提供することを目的とする。
(1)本発明は、足関節・足部の運動を支援する足関節・足部の運動支援装置であって、足首から末端側の足の挿入が可能とされ、当該足が挿入された際に当該足を押圧することにより当該足の姿勢を調節する第1の空気圧アクチュエータと、前記第1の空気圧アクチュエータを保持する保持部と、前記保持部を前後左右に傾斜させることを可能にする第2の空気圧アクチュエータと、を備えることを特徴とする足関節・足部の運動支援装置である。
本発明によれば、第1の空気圧アクチュエータによる姿勢の調節と第2の空気圧アクチュエータによる傾斜とが実行されることによって、足首から末端側の足の姿勢の多様性を向上させ、これにより、足関節・足部の運動支援(足関節・足部の可動域訓練等)を行う際に足関節・足部に8つの動作(底屈、背屈、内転、外転、内返し、外返し、内反、外反)を行わせることが可能となる。
なお、足関節(Ancle joint)は、足首の関節をいい、距腿関節ともいう。また、足部は足首より末端側の部分をいう。足部の関節には、例えば、距骨下関節(Subtalar joint)、ショパール・リスフラン関節( Chopart/Lisfrane joints)等の関節が含まれる。また、「足」は足首から下肢の末端までの部分(足首から足の指まで)をいい、足関節および足部を含む。
また、姿勢の固定・調節を行う第1の空気圧アクチュエータとともに、保持部を前後左右に傾斜させる前記第2の空気圧アクチュエータも空気圧を動力とするものである。このため、可動域訓練を行う際に、可動域が想定より狭い使用者であっても、しなやかに保持部の傾斜角度が変化しうる為、足関節・足部に過大な力が加わらず、使用者の足関節・足部に無理がかからず安全に可動域訓練等を行うことができる。
また、第2の空気圧アクチュエータの駆動および制御は、第1の空気圧アクチュエータと共通のコンプレッサ等および制御部で行いうるため、設備構成が簡易になる。
なお、第1の空気圧アクチュエータおよび第2の空気圧アクチュエータは、各々、複数の空気圧アクチュエータで構成されていてもよいし、単独の空気圧アクチュエータで構成されていてもよい。複数の空気圧アクチュエータで第1の空気圧アクチュエータを構成すれば、複数の空気圧アクチュエータ間で押圧力が分散されるため、よりしなやかに足を押圧することができる。したがって、複数の空気圧アクチュエータで第1の空気圧アクチュエータを構成することが好ましい。第2の空気圧アクチュエータを複数の空気圧アクチュエータで構成した場合においても、よりしなやかに傾斜角度を変化させることができる。
また、第1の空気圧アクチュエータおよび第2の空気圧アクチュエータの種類は特に限定されるものではないが、例えば、袋状の空気圧アクチュエータ(エアバッグ)に空気を出し入れすることによって袋状の空気圧アクチュエータを膨張・収縮させるものであってもよいし、エアシリンダに空気を出し入れすることによってエアシリンダを伸縮させるものであってもよい。袋状の空気圧アクチュエータを採用すれば、空気圧アクチュエータが柔軟性を有するため、よりしなやかに足を押圧し、また、よりしなやかに保持部の傾斜度合いを変化させることができる。したがって、袋状のアクチュエータを採用することが好ましい。
(2)上記(1)の発明において、前記第2の空気圧アクチュエータは、前記保持部の所定の部分を一定高さの基準位置として、当該基準位置が前記保持部の揺動中心となるように前記保持部を前後左右に傾斜させることが可能に構成されていることを特徴とする。
(2)の構成によれば、使用者に対する保持部の相対位置が大きくは変化しないので、使用者は本支援装置の使用中に体幹の姿勢をほとんど変更する必要がなく、使用者の体に掛かる負担を抑えることができる。また、本支援装置の誤作動等に対する安全性を高めることができる。
(3)上記(1)または(2)の発明において、前記第1の空気圧アクチュエータは、前記足における踵部を保持する踵部用空気圧アクチュエータと、前記足における甲部を押圧する甲部用空気圧アクチュエータと、前記足における足裏部を押圧する足裏部用空気圧アクチュエータと、前記足における右側部の前後方向前側部分、前後方向中央部分、および前後方向後側部分のうち前記前後方向前側部分を押圧する右側部用空気圧アクチュエータと、前記足における左側部の前後方向前側部分、前後方向中央部分、および前後方向後側部分のうち前記前後方向前側部分を押圧する左側部用空気圧アクチュエータとを有し、前記踵部用空気圧アクチュエータ、前記甲部用空気圧アクチュエータ、前記足裏部用空気圧アクチュエータ、前記右側部用空気圧アクチュエータ、および前記左側部用空気圧アクチュエータのうち、少なくともいずれか1つによる押圧動作と、前記第2の空気圧アクチュエータによる傾斜動作とが行われることを特徴とする。
(3)の構成によれば、踵部用空気圧アクチュエータ、甲部用空気圧アクチュエータ、足裏部用空気圧アクチュエータ、右側部用空気圧アクチュエータ、および左側部用空気圧アクチュエータのうち、少なくともいずれか1つによる押圧動作と、第2の空気圧アクチュエータによる傾斜動作とが行われることにより、底屈、背屈、内転、外転、内返し、外返し、内反、外反の8つの動作を足関節・足部に行わせることができる。また、これらの8つの動作をこれらの空気圧アクチュエータの組み合わせにより行うことができる。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つの発明において、前記第1の空気圧アクチュエータと前記第2の空気圧アクチュエータとを協働して駆動させるための制御部を備えることを特徴とする。
ここで、「協働して駆動させる」とは、例えば、第1の空気圧アクチュエータと前記第2の空気圧アクチュエータの駆動動作のうち、一方の空気圧アクチュエータの一連の動作が完結してから他の空気圧アクチュエータの一連の動作を開始するのではなく、一方の空気圧アクチュエータの動作と他方の空気圧アクチュエータの動作とを同時的又は、所定のタイミング、所定の順序で逐次的に行うことをいう。
(4)の構成においては、第1の空気圧アクチュエータの動作期間と、第2の空気圧アクチュエータの動作期間とが少なくとも一部の期間において重複していてもよいし、互いの動作期間が必ずしも重複していなくてもよい。例えば、第1の空気圧アクチュエータの動作を開始させた後、第1の空気圧アクチュエータの動作を終了させる前に、第2の空気圧アクチュエータの動作を開始してもよいし、逆に、第2の空気圧アクチュエータの動作を開始させた後、第2の空気圧アクチュエータの動作を終了させる前に、第1の空気圧アクチュエータの動作を開始してもよい。また、第1の空気圧アクチュエータの動作期間と、第2の空気圧アクチュエータの動作期間とが同じであってもよい。つまり、第1の空気圧アクチュエータの動作を開始させるタイミングと、第2の空気圧アクチュエータの動作を開始させるタイミングとが同時であり、第1の空気圧アクチュエータの動作を終了させるタイミングと、第2の空気圧アクチュエータの動作を終了させるタイミングとが同時であってもよい。
(4)の構成によれば、前記第1の空気圧アクチュエータと、第2の空気圧アクチュエータとが協働した動作で足部の姿勢を変化させることができるため、足関節・足部の動作の多様性をさらに向上させることができる。したがって、例えば、使用者の足関節・足部の状態(可動域の大きさ等)に応じて適切な運動支援を行うことができる。また、動作時間を第1の空気圧アクチュエータと前記第2の空気圧アクチュエータを個々別々に行う場合に比べ、短縮することができ、効率よく可動域訓練等が行える。
本発明によれば、足関節・足部の運動支援を行う際に足関節・足部に8つの動作を行わせることができる安全な足関節・足部の運動支援装置を提供することができる。
足関節・足部の8つの動作を示す図であり、(a)は底屈動作、(b)は背屈動作、(c)は内転動作、(d)は外転動作、(e)は内返し動作、(f)は外返し動作、(g)は内反動作、(h)は外反動作を示す図である。 本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置の初期状態の一例を示す図であり、(a)は動作ユニットを右側から見たときの部分断面図、(b)は動作ユニットを上側から見たときの部分断面図、(c)は運動支援装置を左側から見たときの部分断面図、(d)は運動支援装置を右側から見たときの部分断面図である。 本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置の制御系統を示すブロック図である。 本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節・足部に底屈動作を行わせた状態を示す図であり、(a)は動作ユニットを右側から見たときの部分断面図、(b)は動作ユニットを上側から見たときの部分断面図、(c)は運動支援装置を左側から見たときの部分断面図、(d)は運動支援装置を右側から見たときの部分断面図である。 本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節・足部に背屈動作を行わせた状態を示す図であり、(a)は動作ユニットを右側から見たときの部分断面図、(b)は動作ユニットを上側から見たときの部分断面図、(c)は運動支援装置を左側から見たときの部分断面図、(d)は運動支援装置を右側から見たときの部分断面図である。 本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節・足部に内転動作を行わせた状態を示す図であり、(a)は動作ユニットを右側から見たときの部分断面図、(b)は動作ユニットを上側から見たときの部分断面図、(c)は運動支援装置を左側から見たときの部分断面図、(d)は運動支援装置を右側から見たときの部分断面図である。 本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節・足部に外転動作を行わせた状態を示す図であり、(a)は動作ユニットを右側から見たときの部分断面図、(b)は動作ユニットを上側から見たときの部分断面図、(c)は運動支援装置を左側から見たときの部分断面図、(d)は運動支援装置を右側から見たときの部分断面図である。 本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節・足部に内返し動作を行わせた状態を示す図であり、(a)は動作ユニットを右側から見たときの部分断面図、(b)は動作ユニットを上側から見たときの部分断面図、(c)は運動支援装置の左側面図、(d)は運動支援装置の右側面図である。 本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節・足部に外返し動作を行わせた状態を示す図であり、(a)は動作ユニットを右側から見たときの部分断面図、(b)は動作ユニットを上側から見たときの部分断面図、(c)は運動支援装置の左側面図、(d)は運動支援装置の右側面図である。 本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節・足部に内反動作を行わせた状態を示す図であり、((a)は動作ユニットを右側から見たときの部分断面図、(b)は動作ユニットを上側から見たときの部分断面図、(c)は運動支援装置を左側から見たときの部分断面図、(d)は運動支援装置を右側から見たときの部分断面図である。 本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節・足部に外反動作を行わせた状態を示す図であり、(a)は動作ユニットを右側から見たときの部分断面図、(b)は動作ユニットを上側から見たときの部分断面図、(c)は運動支援装置を左側から見たときの部分断面図、(d)は運動支援装置を右側から見たときの部分断面図である。 (a)は実施例に係る足関節・足部の運動支援装置により右足関節・足部に底屈動作を行わせた場合の試験結果と、比較例に係る足関節・足部の運動支援装置により右足関節に底屈動作を行わせた場合の試験結果とを示すグラフであり、(b)は実施例に係る右足関節・足部の運動支援装置により右足関節に内転動作を行わせた場合の試験結果と、比較例に係る足関節・足部の運動支援装置により右足関節・足部に内転動作を行わせた場合の試験結果とを示すグラフである。横軸目盛は被験者番号、縦軸は角度(°)を示す。尚、(a)(b)の両図とも、最大可動域の値も示されている。 (a)は実施例に係る足関節・足部の運動支援装置により右足関節・足部に内返し動作を行わせた場合の試験結果と、比較例に係る足関節・足部の運動支援装置により右足関節・足部に内返し動作を行わせた場合の試験結果とを示すグラフであり、(b)は実施例に係る足関節・足部の運動支援装置により右足関節・足部に内転動作を行わせた場合の試験結果と、比較例に係る足関節・足部の運動支援装置により右足関節・足部に外返し動作を行わせた場合の試験結果とを示すグラフである。横軸目盛は被験者番号、縦軸は角度(°)を示す。尚、(a)(b)の両図とも、最大可動域の値も示されている。 (a)は実施例に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節・足部に内反動作を行わせた場合の試験結果を示すグラフであり、(b)は比較例に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節・足部に内反動作を行わせた場合の試験結果を示すグラフである。
以下、本発明に係る足関節・足部の運動支援装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置は、例えば、リハビリテーションの現場で使用することができるが、これに限定されるものではなく、リハビリテーション以外の目的で使用することも可能である。
底屈動作および背屈動作等には、足関節の他、距骨下関節およびショパール・リスフラン関節も動作に関与する。また、内転動作、外転動作、内返し動作、および外返し動作等には、距骨下関節(Subtalar joint)、ショパール・リスフラン関節の他、足関節も動作に関与する。したがって、これらの動作において、足関節の運動と足部の関節の運動とを分けて考えることは困難である(一般社団法人日本足の外科学会,インターネットURL:
1522393354897_0.pdf
,[平成30年3月28日検索]を参照)。そこで、本明細書では、「足関節・足部」の動作を一体の動きとしてとらえ、「足関節・足部」の動作として表記することとする。
ここで、足関節・足部の動作の種類について、図1を参照しつつ説明する。
図1は足関節・足部の8つの動作を示す図であり、(a)は底屈動作、(b)は背屈動作、(c)は内転動作、(d)は外転動作、(e)は内返し動作、(f)は外返し動作、(g)は内反動作、(h)は外反動作を示す図である。なお、図1には傾斜角度または回転角度の数値が記載されているが、ここに記載されている数値は一例であり、数値の変更は可能である。
底屈動作とは、図1の(a)に示されるように、足関節・足部を足の裏(足底)の方向に折り曲げる運動のことである。具体的には、例えば、爪先立ちするときのように、足(下肢における足関節より末端側の部分)を下腿(すね)からまっすぐにする運動を指す。
背屈動作とは、図1の(b)に示されるように、足の甲(足背)の側に足関節・足部を運動させることである。
内転動作とは、図1の(c)に示されるように、足関節・足部を内側に回転させることである。
外転動作とは、図1の(d)に示されるように、足関節・足部を外側に回転させることである。
内返し動作とは、図1の(e)に示されるように、足底が内方を向くように足関節・足部を運動させることである。
外返し動作とは、図1の(f)に示されるように、足底が外方を向くように足関節・足部を運動させることである。
内反動作とは、図1の(g)に示されるように、底屈動作と内転動作と内返し動作との複合動作である。回外動作とも言う。
外反動作とは、図1の(h)に示されるように、背屈動作と外転動作と外返し動作との複合動作である。回内動作とも言う。
<足関節・足部の運動支援装置とその駆動>
図2は、本実施形態に係る足関節・足部の運動支援装置の初期状態の一例を示す図であり、(a)は動作ユニットを右側から見たときの部分断面図、(b)は動作ユニットを上側から見たときの部分断面図、(c)は運動支援装置を左側から見たときの部分断面図、(d)は運動支援装置を右側から見たときの部分断面図である。なお、図2および図3においては、後述のハウジングを、便宜上、断面で示している。後述の図4〜図11についても同様である(ただし、図8の(c),(d)、図9の(c),(d)を除く)。
動作ユニットは、後述の第1の空気圧アクチュエータユニット20と、この第1の空気圧アクチュエータユニット20を保持する後述のハウジング30とを併せたものをいい、直接足部を圧迫して固定し、所定の方向から足に圧力を加えて足関節・足部を動作させるものである。
傾斜ユニットは、上記動作ユニットを傾斜させるものをいう。上記のハウジング30の底部の下面の略中央部に取り付けられ、ハウジング30を揺動可能に支持する後述のボールジョイント60と、このボールジョイント60を支持する後述の台座70と、動作ユニットを傾斜させるための第2の空気圧アクチュエータユニット40とを備える。
動作ユニットのハウジング30は、アルミ板を箱状に曲げ底部周りをアルミ桟で補強したものである。ハウジング30の底部の略中央にボールジョイント60のソケットが固定されている。傾斜ユニットの台座70は、金属板を桟で補強したものである。この台座70の上面にボールジョント60が立設されている。
なお、図2の(a)において矢印Xで示す方向を前後方向とし、図2の(b)において矢印Yで示す方向を左右方向とする。また、図2の(a),(c),(d)においては、便宜上、後述する左側壁部をその周縁部を除いて向こう側が透けて見えるように記載している。また、図2の(b)においては、便宜上、後述する天井部の図示を省略している。後述の図4〜図11についても同様である。
図2に示されるように、足関節・足部の運動支援装置100(以下、「運動支援装置100」と称する)は、下肢における足首から末端側(先)の部分、すなわち足(foot)が挿入されて足を押圧することにより足の姿勢を調節する第1の空気圧アクチュエータユニット20と、第1の空気圧アクチュエータユニット20を保持するハウジング30と、ハウジング30を揺動可能な状態で支持するボールジョイント60と、ハウジング30を傾斜させることが可能な第2の空気圧アクチュエータユニット40と、ボールジョイント60および第2の空気圧アクチュエータユニット40を支持する台座70とを備えている。第1の空気圧アクチュエータユニット20による姿勢の調節と第2の空気圧アクチュエータユニット40による傾斜とが共に実行されるようになっている。なお、第1の空気圧アクチュエータユニット20には、必ずしも足の全体が挿入されなくてもよく、後述する8つの動作(底屈、背屈、内転、外転、内返し、外返し、内反、外反)を行うことができる程度に、少なくとも足の一部が挿入されて押圧されるとよい。
また、運動支援装置100は、さらに、後述の各空気圧アクチュエータに送る圧縮空気を生成するコンプレッサ(図示略)と、各空気圧アクチュエータ内の空気を排出する排気ポンプ(図示略)と、コンプレッサで生成された圧縮空気を各アクチュエータに送ることが可能であるとともに、各空気圧アクチュエータ内の空気を排気ポンプへ送る可撓性のエアチューブ(図示略)と、このエアチューブに設けられた空気弁(図示略)と、この空気弁を制御する制御部200(図3参照)と、この制御部200に対して使用者が指示を与えることが可能な操作入力部300(図3参照)とを備えている。なお、高圧管、減圧管が装置近傍までひかれているような場合は、高圧管、減圧管にエアチューブを接続すればよいため、コンプレッサや排気ポンプは不要であるが、本実施形態ではコンプレッサと排気ポンプを用いた。
上記運動支援装置100には、空気制御用に常用されるアキュミュレータや、除湿器、その他流量計、圧力計、安全弁等が付設されていることが好ましい。
第1の空気圧アクチュエータユニット20および第2の空気圧アクチュエータユニット40に属する各空気圧アクチュエータに送気又は排気するためのエアチューブの途中には空気弁が設けられている。個別の空気弁の開閉操作を自動または手動で行うこともできるが、一つの部位用の複数の空気圧アクチュエータをまとめて一つの弁で開閉してもよいし、協働動作を行う場合用に、複数の部位の空気圧アクチュエータをまとめて開閉動作してもよい。
第1の空気圧アクチュエータユニット20および第2の空気圧アクチュエータユニット40の協働動作を行うためには、第1の空気圧アクチュエータユニット20および第2の空気圧アクチュエータユニット40に属する特定の空気圧アクチュエータに対し同時又は一定のタイミングで給排気できるようにそれらにつながる空気弁は電磁弁であることが好ましく、電磁弁をシーケンス制御等の制御を行うための制御部を有していることが好ましい。
図3に示される例では、運動支援装置100は、第1の空気圧アクチュエータユニット20および第2の空気圧アクチュエータユニット40の協働動作するための制御部200を備えている。制御部200では、第1の空気圧アクチュエータユニット20および第2の空気圧アクチュエータユニット40における個別の空気圧アクチュエータの膨張、収縮を一定の時系列で行わせるシーケンス制御を行うことが可能である。のみならず、一方の空気圧アクチュエータユニットにおける動作が完全に終了してから他方の空気圧アクチュエータユニットを動作させるのではなく、一方の空気圧アクチュエータユニットにおける個別の空気圧アクチュエータの膨張、収縮が完全に終了する前に、他の空気圧アクチュエータの個別の空気圧アクチュエータの膨張・収縮動作を行うシーケンス動作をも可能とするものである。
また、空気圧アクチュエータ内の圧力を検知する圧力センサのみならず、足にかかる圧力を検知するために、足と接する空気圧アクチュエータ外表面に1乃至複数の圧力センサが設けられていてもよく、それらの検知した値を表示する手段があってもよく、自動制御の場合には制御系への入力値として扱ってもよい。安全性が高まるからである。
以下の説明では、第1の空気圧アクチュエータユニット20と、第1の空気圧アクチュエータユニット20を保持するハウジング30とを総称して、「動作ユニット」と称する場合がある。また、ボールジョイント60と、第2の空気圧アクチュエータユニット40と、台座70とを総称して、「傾斜ユニット」と称する場合がある。
第1の空気圧アクチュエータユニット20(本発明の「第1の空気圧アクチュエータ」に相当する)は、下肢における踵部52を保持する踵部用空気圧アクチュエータ3と、下肢における甲部53を押圧する第1の甲部用空気圧アクチュエータ1および第2の甲部用空気圧アクチュエータ6と、下肢における足裏部54を押圧する足裏部用空気圧アクチュエータ2と、下肢における右側部55を押圧する右側部用空気圧アクチュエータ5と、下肢における左側部56を押圧する左側部用空気圧アクチュエータ4とを備えている。
踵部用空気圧アクチュエータ3(以下、「踵部用アクチュエータ3」と称する)は、ハウジング30の底部の上面に固定されている。踵部用アクチュエータ3は、可撓性を有する複数の袋で構成されている。各袋には、上記のコンプレッサで生成された圧縮空気を上記の袋に送り込む可撓性のエアチューブ(図示略)が接続されている。また、このエアチューブには、上記の袋内の空気を排出する上記の排気ポンプが接続されている。第1の甲部用空気圧アクチュエータ1、第2の甲部用空気圧アクチュエータ6、足裏部用空気圧アクチュエータ2、右側部用空気圧アクチュエータ5、および左側部用空気圧アクチュエータ4においても同様である。
複数(例えば2つ)の袋は、各々、例えば、帆布とアルミニウムシート、およびプラスチックフィルムを積層した積層シートにより構成されている。上記の複数の袋は、例えば四角形状に形成されるとともに、膨らんだときに全体の膨張ストロークが大きくなるように、互いに厚み方向に連結されている。また、袋が膨らんだ状態から、コンプレッサからの圧縮空気の供給を停止し、排気ポンプによって袋内の空気を排出することにより、袋を萎ませることができる。第1の甲部用空気圧アクチュエータ1、第2の甲部用空気圧アクチュエータ6、足裏部用空気圧アクチュエータ2、右側部用空気圧アクチュエータ5、および左側部用空気圧アクチュエータ4においても同様である。
踵部用アクチュエータ3の複数の袋は、空気が入ることにより主に袋の厚みを増す方向に膨らむことにより踵部を後方から包み込むように押圧することができる。
第1の甲部用空気圧アクチュエータ1(以下、「第1の甲部用アクチュエータ1」と称する)は、ハウジング30の天井部(図示略)の下面に固定されている。なお、図2の(b)においては、便宜上、甲部用空気圧アクチュエータ1の図示を省略している。
第1の甲部用アクチュエータ1を構成する複数(例えば3つ)の袋は、空気が入ることにより下方に向かって膨らむことができ、膨らむことにより甲部を上方から押圧することができる。
第2の甲部用空気圧アクチュエータ6(以下、「第2の甲部用アクチュエータ6」と称する)は、第1の甲部用アクチュエータ1よりも後方において、左右方向に延びるように配置されており、その両端部がハウジング30の底部の上面に固定されている。なお、図2の(a)においては、便宜上、第2の甲部用アクチュエータ6の図示を省略している。
第2の甲部用アクチュエータ6を構成する複数(例えば4つ)の袋は、各々、例えば、踵部用アクチュエータ3と同様の素材により構成されている。上記の複数の袋は、空気が入ることにより下方に向かって膨らむことができ、膨らむことにより第1の甲部用アクチュエータ1よりも後方で甲部53を上方から押圧することができる。そして、第2の甲部用アクチュエータ6と踵部用アクチュエータ3とで踵部52を上下から挟み込むことにより、踵部52を保持することができる。
足裏部用空気圧アクチュエータ2(以下、「足裏部用アクチュエータ2」と称する)は、第1の甲部用アクチュエータ1の下方で、かつ、踵部用アクチュエータ3よりも前方に配置されており、ハウジング30の底部の上面に固定されている。なお、図2の(b)においては、便宜上、足裏部用アクチュエータ2の図示を省略している。
足裏部用アクチュエータ2を構成する複数(例えば3つ)の袋は、空気が入ることにより上方に向かって膨らむことができ、膨らむことにより甲部用空気圧アクチュエータ1の下方で足裏部を下方から押圧することができる。
右側部用空気圧アクチュエータ5(以下、「右側部用アクチュエータ5」と称する)は、第1の甲部用アクチュエータ1の右斜め下方で、かつ、踵部用アクチュエータ3の右斜め前方に配置されており、ハウジング30の右側側壁部32の内面に固定されている。なお、図2の(a)においては、便宜上、右側部用アクチュエータ5の図示を省略している。
右側部用アクチュエータ5を構成する複数(例えば3つ)の袋は、空気が入ることにより左側方に向かって膨らむことができ、膨らむことにより第1の甲部用アクチュエータ1の右斜め下方で足の右側部55を押圧することができる。
左側部用空気圧アクチュエータ4(以下、「左側部用アクチュエータ4」と称する)は、第1の甲部用アクチュエータ1の左斜め下方で、かつ、踵部用アクチュエータ3の左斜め前方に配置されており、ハウジング30の左側側壁部33の内面に固定されている。なお、図2の(a)においては、便宜上、左側部用アクチュエータ4の図示を省略している。
左側部用アクチュエータ4を構成する複数(例えば3つ)の袋は、空気が入ることにより右側方に向かって膨らむことができ、膨らむことにより第1の甲部用アクチュエータ1の左斜め下方で足の左側部56を押圧することができる。
ハウジング30は、平面視で四角形状の底部31と、底部31の右側縁から立ち上がる右側側壁部32と、底部31の左側縁から立ち上がる左側側壁部33と、右側側壁部32と上記の左側側壁部33との間を架け渡すように設けられる天井部(図示略)とを備えている。
ハウジング30の後側端部には、開口部34が形成されている。開口部34は、足を挿通可能な大きさを有している。使用者は、この開口部34を通じてハウジング30内に足を挿入することができる。
ボールジョイント60は、棒状部材の先端に金属球を設けた構造のボールスタッドと、上記の金属球に球面接触するソケットとを備えている。本実施形態では、例えば、ボールスタッドが下側に位置してソケットが上側に位置した状態で、ボールジョイント60は台座70の上に立設されている。ボールジョイント60は、ハウジング30の底板部の略中央部を一定高さで揺動可能に支持する。これにより、第2の空気圧アクチュエータユニット40は、ハウジング30における底部の略中央部を一定高さの基準位置として、この基準位置がハウジング30の揺動中心となるようにハウジング30を前後左右に傾斜させることが可能となる。なお、ボールジョイント60は、ハウジング30と使用者との距離を略一定に保ちつつハウジング30の傾斜角度が前後左右に変えられるものであればよく、ボールとソケット相当部分はユニバーサルジョイント等であってもよいがボールジョイント60はその動作等がシンプルであるため好ましい。
第2の空気圧アクチュエータユニット40(本発明の「第2の空気圧アクチュエータ」に相当する)は、ハウジング30の左側前部の下方に設けられた第1の左側前部空気圧アクチュエータ7および第2の左側前部空気圧アクチュエータ11と、ハウジング30の左側後部の下方に設けられた第1の左側後部空気圧アクチュエータ9および第2の左側後部空気圧アクチュエータ13と、ハウジング30の右側前部の下方に設けられた第1の右側前部空気圧アクチュエータ8および第2の右側前部空気圧アクチュエータ12と、ハウジング30の右側後部の下方に設けられた第1の右側後部空気圧アクチュエータ10および第2の右側後部空気圧アクチュエータ14とを備えている。
第1の左側前部空気圧アクチュエータ7(以下、「第1の左側前部アクチュエータ7」と称する)および第2の左側前部空気圧アクチュエータ11(以下、「第2の左側前部アクチュエータ11」と称する)は、台座70の上面に固定された第2の左側前部アクチュエータ11の上に第1の左側前部アクチュエータ7を位置させた状態で互いに上下2段に連結された状態で配置されている。
第1の左側前部アクチュエータ7および第2の左側前部アクチュエータ11は、可撓性を有する袋で構成されている。各袋には、上記のコンプレッサで生成された圧縮空気を上記の袋に送り込む上記のエアチューブが接続されている。また、このエアチューブには、上記の袋内の空気を排出する上記の排気ポンプが接続されている。第1の左側後部空気圧アクチュエータ9、第2の左側後部空気圧アクチュエータ13、第1の右側前部空気圧アクチュエータ8、第2の右側前部空気圧アクチュエータ12、第1の右側後部空気圧アクチュエータ10、および第2の右側後部空気圧アクチュエータ14についても同様である。
各袋は、各々、例えば、アルミニウムシートにプラスチックフィルムを積層した積層シートにより構成されている。各袋は、空気が入ることにより上下方向に膨らむことができるとともに、膨らんだときに例えば柱状となるように形成され、膨らむことによりハウジング30の左側前部を持ち上げることができる。また、袋が膨らんだ状態から、コンプレッサからの圧縮空気の供給を停止し、排気ポンプによって袋内の空気を排出することにより、袋を萎ませることができる。第1の左側後部空気圧アクチュエータ9、第2の左側後部空気圧アクチュエータ13、第1の右側前部空気圧アクチュエータ8、第2の右側前部空気圧アクチュエータ12、第1の右側後部空気圧アクチュエータ10、および第2の右側後部空気圧アクチュエータ14についても同様である。
第2の空気圧アクチュエータユニット40を構成する各空気圧アクチュエータは、上記例では、すべて袋式のものであるが、袋式以外のものを採用してもよい。例えば、軸方向に伸縮するエアシリンダと、このエアシリンダの上下に設けられたボールジョイント60のような角度可変連結具とを備えたエアシリンダ式のアクチュエータを採用し、このシリンダ式のアクチュエータにより、ハウジング30の底板部31と台座70とを連結してもよい。この場合、エアシリンダへの空気の出し入れによりエアシリンダの長さを調整することができる。また、第2の空気圧アクチュエータを構成する空気圧アクチュエータには、袋式のアクチュエータとエアシリンダ式のアクチュエータとが混在していてもよい。この場合、各々の袋又はエアシリンダへの空気の出し入れにより、ハウジング30の傾斜角度を前後左右自在な角度に調整してその角度を固定することができる。
第2の空気圧アクチュエータユニット40を構成する各空気圧アクチュエータ7〜14は、前部(指先側)の左方及び右方と後部(足首側)の左方及び右方とに計4か所配置されており、上段(ハウジング30側)の4つの空気圧アクチュエータ7〜10と下段(台座70側)の4つの空気圧アクチュエータ11〜14とが高さ方向に2段に積まれた構造になっている。空気の満杯充填時には下段(台座70側)の空気圧アクチュエータ11〜14の方が上段(ハウジング30側)の空気圧アクチュエータ7〜10よりも高く、高さが1.5倍程度にされている。下段の4つの空気圧アクチュエータ11〜14は空気の満杯充填時は互いに同じ高さになるように構成されており、同様に上段の4つの空気圧アクチュエータ7〜10も空気の満杯充填時は互いに同じ高さになるように構成されている。
第2の空気圧アクチュエータユニット40を構成する各空気圧アクチュエータ7〜14は、いずれも、空気の満杯充填時は半径が互いに等しい円柱状の形状をなしており、上段の空気圧アクチュエータ7〜10の下方の底面と下段の空気圧アクチュエータ11〜14の上方の底面とが合わされて縫合されている。
例えば本運動支援装置100を用いた関節可動域訓練の初期状態においては足の指先側を上げるが、この場合は第2の空気圧アクチュエータユニット40を構成する空気圧アクチュエータ7〜14のうち、前部(指先側)の左右の空気圧アクチュエータ7、8、11、12は、上段の空気圧アクチュエータ7、8及び下段の空気圧アクチュエータ11、12のいずれも満杯に空気が充填されるが、後部(足首側)の左右の空気圧アクチュエータ9、10、13、14は、上段の空気圧アクチュエータ9、10及び下段の空気圧アクチュエータ13、14のいずれも空気の充填量を少なくして高さを下げる。
しかし、関節可動域訓練の内、外転、内転動作の時には、後述するようにハウジング30の底部を水平状態に保ち第1の空気圧アクチュエータユニット20により横方向につま先を押すが、この水平状態を保つためには、第2の空気圧アクチュエータユニット40を構成する空気圧アクチュエータ7〜14のうち下段の各空気圧アクチュエータ11〜14は満杯に空気が充填され、上段の各空気圧アクチュエータ7〜10は空気の充填量を少なくして同じ高さ(ボールジョイント60の高さ)とされる。
なお、第2の空気圧アクチュエータユニット40の一部を他のアクチュエータ、例えばXYテーブル式やリンク式の機構に置き換えてもよい。少なくとも一部が空気圧アクチュエータであることにより下記のように剛構造ではなく柔構造になる。ただ、すべてが空気式の場合には、より柔構造になるため、又、駆動・制御を第1の空気圧アクチュエータユニット20と同種のものにできるため、好ましい。
袋状の空気圧アクチュエータは、その内部で空気が圧縮されることにより柔軟性(弾力性)を有する。したがって、第2の空気圧アクチュエータユニット20を構成する個々の空気圧アクチュエータ間で力が分散され、しなやかにハウジング30の傾斜も変化しうる為、使用者の足に過大な力が加わらず安全である。
このように第2の空気圧アクチュエータユニット40が上下に複数の袋状の空気圧アクチュエータ7〜14が高さ方向に積まれているものであれば、更にしなやかな構造となり、過度の力がかかった場合には柔軟に変形することができる為、より安全である。
第1の左側後部空気圧アクチュエータ9(以下、「第1の左側後部アクチュエータ9」と称する)および第2の左側後部空気圧アクチュエータ13(以下、「第2の左側後部アクチュエータ13」と称する)は、台座70の上面に固定された第2の左側後部アクチュエータ13の上に第1の左側後部アクチュエータ9を位置させた状態で互いに上下2段に連結された状態で配置されている。
第1の左側後部アクチュエータ9および第2の左側後部アクチュエータ13は、各々、空気が入ることにより上下方向に膨らむことができるとともに、膨らんだときに例えば柱状となるように形成され、膨らむことによりハウジング30の左側後部を持ち上げることができる。
第1の右側前部空気圧アクチュエータ8(以下、「第1の右側前部アクチュエータ8」と称する)および第2の右側前部空気圧アクチュエータ12(以下、「第2の右側前部アクチュエータ12」と称する)は、台座70の上面に固定された第2の右側前部アクチュエータ12の上に第1の右側前部アクチュエータ8を位置させた状態で互いに上下2段に連結された状態で配置されている。
第1の右側前部アクチュエータ8および第2の右側前部アクチュエータ12は、各々、空気が入ることにより上下方向に膨らむことができるとともに、膨らんだときに例えば柱状となるように形成され、膨らむことによりハウジング30の右側前部を持ち上げることができる。
第1の右側後部空気圧アクチュエータ10(以下、「第1の右側後部アクチュエータ10」と称する)および第2の右側後部空気圧アクチュエータ14(以下、「第2の右側後部アクチュエータ14」と称する)は、台座70の上面に固定された第2の右側後部アクチュエータ14の上に第1の右側後部アクチュエータ10を位置させた状態で互いに上下2段に連結された状態で配置されている。
第1の右側後部アクチュエータ10および第2の右側後部アクチュエータ14は、各々、空気が入ることにより上下方向に膨らむことができるとともに、膨らんだときに例えば柱状となるように形成され、膨らむことによりハウジング30の右側後部を持ち上げることができる。
個別の空気圧アクチュエータにつながる空気弁のスイッチを並べた操作盤を用いて各動作に対する動作制御を行うことができるが、「ひねり」動作を含む動作は左右の回転を含むため第1の空気圧アクチュエータユニット20と第2の空気圧アクチュエータユニット40とを協働させて駆動させることが好ましい。この場合には、そのような運動動作ごとの一連の第1の空気圧アクチュエータユニット20と第2の空気圧アクチュエータユニット40中の特定のアクチュエータの駆動順序(同期を含む)、駆動タイミングを予めプログラム化してそのように制御させるための制御部を有することが好ましい。各空気圧アクチュエータに通じる空気弁は電気回路で制御できるため電磁弁であることが好ましい。
制御部200は、コンプレッサおよび排気ポンプ、多数の電磁弁等の制御に関する所定のプログラムおよびデータが記憶されたROMおよびRAMと、ROMおよびRAMに記憶されたプログラムおよびデータに基づいて、所定の処理を実行可能なCPUとを備えている。
操作入力部300は、例えば、底屈、背屈、内転、外転、内返し、外返し、内反、外反といった足関節の動作の中から任意の動作を選択することが可能な動作選択ボタンと、電源のオン、オフを指示することが可能な電源ボタンとを備えている。電源ボタンを操作して電源をオンにすることにより、例えば、運動支援装置100を後述の初期状態にセットすることができる。また、運動支援装置100を初期状態にセットした後、機能選択ボタンを操作して上記の8つの動作の中から動作を選択することにより、選択した動作を行うための所定の動作を運動支援装置100に行わせることができる。
次に、運動支援装置100の動作について説明する。なお、ここでは、右足の足関節50および足部51の運動支援を行う場合について説明する。
運動支援装置100は、上述のように、足を挿入可能とされた第1の空気圧アクチュエータユニット20で直接足を圧迫する動作ユニットと、動作ユニットを第2の空気圧アクチュエータユニット40で傾斜させる傾斜ユニットと、動作ユニットを揺動可能に支持するボールジョイント60とその台座70とを備えている。動作ユニットおよび傾斜ユニットを組み合わせて動かすことで、ROM訓練(関節可動域訓練。自力で身体を自由に動かすことが難しい患者が、関節の拘縮・変形を起こさないために実施する訓練をいう)を実現している。これにより、底屈,背屈,内転,外転,内返し,外返し,内反,外反の8動作を行うことができる。運動支援装置100においては、図2に示すように足を挿入した状態で空気圧アクチュエータ3,6,7,8,11,12に空気を供給した状態が初期状態である。空気圧アクチュエータ3,6は踵部52の固定を行っており、空気圧アクチュエータ7,8,11,12で動作ユニットを手前(後側)に約45度傾けている。初期状態で動作ユニットを手前に傾けることで、足関節50の角度が90度に近づくため、運動支援時や実験時に足関節50の角度の変位を測定しやすくなる。以下に各動作の実現方法を示す。図に示す動作はすべて右足の動作である。
まず、底屈動作の実現方法を図4を参照しつつ説明する。ROM訓練を受ける者は、座位または仰向け位にて、動作ユニットの中に右足を入れる(以下他の動作も同様である)。最初に動作ユニット内の空気圧アクチュエータ1に空気を供給し足のつま先を浮かないように押さえ込むと同時に、傾斜ユニットの内、空気圧アクチュエータ7,8,11,12の空気を排出し、空気圧アクチュエータ13,14に空気を供給する。これらの動作を同時に行うことでROM訓練時間を短縮することができる。そして、動作ユニットが奥(前側)に約10度傾いた時に空気圧アクチュエータ9,10に空気を供給し、動作ユニットをさらに奥(前側)に傾けることで底屈動作を実現する。
次に、背屈動作の実現方法を図5を参照しつつ説明する。初期状態から空気圧アクチュエータ2に空気を供給することで背屈動作を実現する。なお、底屈と背屈の両方とも右足と左足とで実現方法が同じである。
次に、内転動作の実現方法を図6を参照しつつ説明する。最初に空気圧アクチュエータ1に空気を供給し足のつま先を浮かないように押さえ込むと同時に、空気圧アクチュエータ7,8の空気を排出し、空気圧アクチュエータ13,14に空気を供給する。これらの動作を同時に行うことでROM訓練時間を短縮することができる。そして、動作ユニットが略水平になった後に、空気圧アクチュエータ5に空気を供給し、つま先を左側に向かって押すことで内転動作を実現する。また、内転動作の最後に空気を供給する対象を空気圧アクチュエータ5から空気圧アクチュエータ4に変更し、つま先を押す方向を左側から右側に変更することで外転動作になる(図7参照)。なお、第1の空気圧アクチュエータユニット20に左足を挿入した場合は、右足を挿入した場合の内転動作が外転動作になり、右足を挿入した場合の外転動作が内転動作になる。
次に、内返し動作の実現方法を図8を参照しつつ説明する。最初に空気圧アクチュエータ1に空気を供給し足のつま先を浮かないように押さえ込むと同時に、空気圧アクチュエータ7,8の空気を排出し、空気圧アクチュエータ13,14に空気を供給する。これらの動作を同時に行うことでROM訓練時間を短縮することができる。そして、動作ユニットが略水平になった後に、空気圧アクチュエータ12,14の空気を排出し空気圧アクチュエータ7,9に空気を供給して、動作ユニットを右側に傾けることで内返し動作を実現する。また、内返し動作の最後に空気を排出する対象を空気圧アクチュエータ12,14から空気圧アクチュエータ11,13に変更し、空気を供給する対象を空気圧アクチュエータ7,9から空気圧アクチュエータ8,10に変更し、動作ユニットを傾ける方向を右側から左側に変更することで外返し動作になる(図9参照)。なお、第1の空気圧アクチュエータユニット20に左足を挿入した場合は、右足を挿入した場合の内返し動作が外返し動作になり、右足を挿入した場合の外返し動作が内返し動作になる。
次に、内反動作の実現方法を図10を参照しつつ説明する。最初に空気圧アクチュエータ1に空気を供給し足のつま先を浮かないように押さえ込むと同時に、空気圧アクチュエータ7,8,11,12の空気を排出し、空気圧アクチュエータ13,14に空気を供給する。これらの動作を同時に行うことでROM訓練時間を短縮することができる。そして、動作ユニットが奥(前側)に約10度傾いた時に空気圧アクチュエータ9,10に空気を供給し、動作ユニットをさらに奥に傾けることで底屈動作を実現する。底屈動作を実現した後に空気圧アクチュエータ5に空気を供給し、つま先を左側に向かって押すことで内反動作を実現する。底屈動作が実現する前につま先を左側に向かって押してしまうと、足がずれてROM訓練が失敗する可能性が高くなるため、底屈動作が実現した後に次の動作をすることでROM訓練の精度を高めている。なお、第1の空気圧アクチュエータユニット20に左足を挿入した場合は、最後に空気を供給する対象を空気圧アクチュエータ5から空気圧アクチュエータ4に変更し、つま先を押す方向を左側から右側に変更することで内反動作を実現することができる。
次に、外反動作の実現方法を図11を参照しつつ説明する。最初に空気圧アクチュエータ2に空気を供給し背屈動作を実現する。背屈動作を実現した後に空気圧アクチュエータ4に空気を供給し、つま先を右側に向かって押すことで外反動作を実現する。背屈動作が実現する前につま先を右側に向かって押してしまうと、足がずれてROM訓練が失敗する可能性が高くなるため、背屈動作が実現した後に次の動作をすることでROM訓練の精度を高めている。なお、第1の空気圧アクチュエータユニット20に左足を挿入した場合は、最後に空気を供給する対象を空気圧アクチュエータ4から空気圧アクチュエータ5に変更し、つま先を押す方向を右側から左側に変更することで外反動作を実現することができる。
なお、動作ユニットと傾斜ユニットとを一方のユニットにおける動作が完全に終了してから他方のユニットを動作させる場合は、足関節50を最大可動域まで動かすことはできるが、所要時間が増える可能性がある。例えば、底屈動作の場合は動作ユニットの動作期間と傾斜ユニットの動作期間とを上記のように重複させることにより約45秒で底屈動作を行うことができるが、一方のユニットにおける動作が完全に終了してから他方のユニットを動作させる場合は、約1.5倍位(約1分10秒位)の時間を要する。すなわち、動作ユニットの動作期間と傾斜ユニットの動作期間とを重複させる場合には、一方のユニットにおける動作が完全に終了してから他方のユニットを動作させる場合と比べて、動作時間を短縮することができる。したがって、足関節50および足部51に行わせる動作の種類に応じて、適宜、動作期間を重複させたり、或いは、一方のユニットにおける動作が完全に終了してから他方のユニットを動作させる、といったように各ユニットの動作のさせ方を使い分けてもよい。例えば、比較的短い時間で足関節50および足部51の動作を行いたい場合には、2つのユニットの動作期間を重複させてもよい。また、ゆっくりと時間をかけて足関節50および足部51の動作を行いたい場合には、一方のユニットにおける動作が完全に終了してから他方のユニットを動作させてもよい。
以上に説明した運動支援装置100における制御部200の役割をまとめると以下の通りである。
最初に、支援装置100を初期状態とするため、ハウジング30の傾斜角度を所定の角度に戻し、使用者が片足を動作ユニット中においた状態でその片足を仮固定する。
次に、8つの動作の内の特定の動作のスタート姿勢になるように、第2の空気圧アクチュエータユニット40を作動させて動作ユニットを適宜傾斜させ、動作ユニットの第1の空気圧アクチュエータユニット20中の必要な空気圧アクチュエータを膨張させて足を適切な姿勢に固定する。
次に、選んだ動作により動作ユニット中の第1の空気圧アクチュエータユニット20における足を加圧する側にある空気圧アクチュエータを膨張させ、反対側の空気圧アクチュエータを収縮させ、所定の位置でそれ以上凹まないような圧力を維持するように足を固定する。この時、足にひねりを加えて3次元的な運動をさせるためには、傾斜ユニットを用いて、動作ユニットのハウジング30の姿勢を三次元の特定角度になるようにさせるため、第1の空気圧アクチュエータユニット20中の適切な一又は複数の空気圧アクチュエータと第2の空気圧アクチュエータユニット40中の適切な一又は複数の空気圧アクチュエータを膨張及び又は収縮させる。
この第1の空気圧アクチュエータユニット20と第2の空気圧アクチュエータユニット40の動作を、協働的に、同時あるいは細かく逐次的に行えば、足に無理な力をかけず、必要な方向からの機械的圧力付加操作ができ、1セットの動作時間も短時間で行うことができるため好ましい。
8つの動作ごとに足の特定部分の軌跡を想定し、更に個人の可動域データを加味することにより、各空気圧アクチュエータの膨張速度、収縮速度、及び加速度等を予め想定し設定して各空気圧アクチュエータ等を制御することにより、より安全円滑に運動動作をすることができる。
このように、第1の空気圧アクチュエータユニット20による姿勢の調節と、第2の空気圧アクチュエータユニット40による傾斜とが協働して行われることによって、足の姿勢の多様性を向上させ、これにより、足関節50および足部51の運動支援(足関節50および足部51の可動域訓練等)を行う際に足関節50および足部51に8つの動作(底屈、背屈、内転、外転、内返し、外返し、内反、外反)を行わせることが可能となる。特に、内返し、外返し、内反、外反のような足関節50および足部51をひねるような動作については、上記の協働した動作が極めて有効である。
第1の空気圧アクチュエータユニット20と第2の空気圧アクチュエータユニット40とを同時に制御した場合、第1の空気圧アクチュエータユニット20の動作と、第2の空気圧アクチュエータユニット40の動作とが合成された動作となり、その合成された動作で足の姿勢を変化させることができるため、足関節50および足部51の動作の多様性をさらに向上させることができる。したがって、例えば、使用者の足関節50および足部51の状態(可動域の大きさ等)に応じて適切な運動支援を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の空気圧アクチュエータユニット20による足の固定と加圧と第2の空気圧アクチュエータユニット40によるハウジングの傾斜が行われるので、足の姿勢の多様性を向上させ、これにより、足関節50および足部51の動作の多様性を向上させることができる。
具体的には、底屈動作、背屈動作、内転動作、外転動作、内返し動作、外返し動作、内反動作、外反動作の全てを足関節50および足部51に行わせることができる。したがって、例えばリハビリテーションの現場において、足関節50および足部51が拘縮状態になることを効果的に抑制することができる。また、空気圧アクチュエータを使用しているので、足関節50および足部51に無理な負荷が加わりにくく、安全に運動を行うことができる。
また、ハウジング30は、その底部の略中心部の位置が一定高さとなるようにボールジョイント60により支持されている。したがって、使用者に対するハウジング30の位置がほとんど変化しないので、使用者は本支援装置100を使用する際に体幹の姿勢をほとんど変える必要がなく、使用者の体に掛かる負担を抑えることができ、本運動支援装置100を安全に使用することができる。
また、第2の空気圧アクチュエータユニット40は、ハウジング30を前後左右に傾斜させることが可能とされている。したがって、ハウジング30を前後左右に傾斜させることで、足の姿勢の多様性をより一層向上させ、これにより、足関節50の動きの多様性を効果的に向上させることができる。また、リンク式やXY支持台等ではなく、空気圧アクチュエータを使用するので、本運動支援装置100を安全に使用することができる。
また、第1の空気圧アクチュエータユニット20による足の固定および加圧動作と、第2の空気圧アクチュエータユニット40によるハウジング30の傾斜動作とが協働して行われるので、足関節50および足部51の動作の多様性をさらに向上させることができる。したがって、例えば、使用者の足関節50および足部51の状態(可動域の大きさ等)に応じて適切な運動支援を行うことができる。また、足関節50および足部51に無理な力をかけず、必要な方向からの機械的圧力付加操作を行うことができ、1セットの動作時間も短時間で行うことができる。
<実施例>
上記の実施形態に係る運動支援装置100を、実施例に係る運動支援装置100として、以下の試験を行った。運動支援装置100は、複数の空気圧アクチュエータ(甲部用アクチュエータ1、足裏部用アクチュエータ2、踵部用アクチュエータ3、左側部用アクチュエータ4、右側部用アクチュエータ5、甲部用アクチュエータ6、第1の左側前部アクチュエータ7、第1の右側前部アクチュエータ8、第1の左側後部アクチュエータ9、第1の右側後部アクチュエータ10、第2の左側前部アクチュエータ11、第2の右側前部アクチュエータ12、第2の左側後部アクチュエータ13、第2の右側後部アクチュエータ14)を有する運動支援装置本体と、上記の空気圧アクチュエータ1〜6を保持するハウジング30と、各空気圧アクチュエータを駆動するためのコンプレッサ、排気ポンプ、電磁弁と、それらコンプレッサ、排気ポンプ、電磁弁を制御する制御部200とを備えている。運動支援装置本体は、足を挿入する開口部を有するアルミ板製のハウジング30の内側に、帆布、アルミニウムシート、およびプラスチックフィルムを積層した積層シートにより構成されてなる複数の空気圧アクチュエータ1〜6が取り付けられた動作ユニットと、動作ユニットを前後左右に搖動するための複数の空気圧アクチュエータ7〜14、ハウジング30の底板の略中央部が一定高さで揺動中心となるようにこの底板の略中央部を支持するボールジョイント60、ボールジョイント60を支持する台座70を有する傾斜ユニットと、を備えている。
(関節可動域訓練の試験)
次に、実施例に係る運動支援装置100で足関節50および足部51の運動を行った場合と、比較例に係る運動支援装置で足関節および足部の運動を行った場合とについて、足関節の可動角度についての試験を行った。
(試験方法)
図2(a)に示される動作ユニットを、比較例に係る運動支援装置とした。
被験者は健康な成人男性5名とした。実施例に係る運動支援装置100と、比較例に係る運動支援装置の両方とも右足を対象とした。また、底屈、内転、内返し(実施例のみ)、外返し(実施例のみ)、内反の5動作について3回ずつ足関節の可動角度を測定した。空気圧アクチュエータに空気を入れる圧力は比較例では20kPa、実施例の第1の空気圧アクチュエータでは20kPa、第2の空気圧アクチュエータでは15kPaとした。
まず、被験者の最大関節可動域を自らの手で曲げて測定した。その後、ベッドに仰向けで横たわってもらい、実施例に係る運動支援装置100および比較例に係る運動支援装置を使用して関節可動域訓練を行った。
底屈動作については、以下のように行った。被験者は、座位または仰向け位にて、動作ユニットの中に右足を入れる(以下他の動作も同様である)。最初に動作ユニット内の空気圧アクチュエータ1に空気を供給し足のつま先を浮かないように押さえ込むと同時に、傾斜ユニットの内、空気圧アクチュエータ7,8,11,12の空気を排出し、空気圧アクチュエータ13,14に空気を供給する。そして、動作ユニットが奥(前側)に約10度傾いた時に空気圧アクチュエータ9,10に空気を供給し、動作ユニットをさらに奥(前側)に傾けることで底屈動作を実現した。
内転動作については、以下のように行った。最初に空気圧アクチュエータ1に空気を供給し足のつま先を浮かないように押さえ込むと同時に、空気圧アクチュエータ7,8の空気を排出し、空気圧アクチュエータ13,14に空気を供給した。そして、動作ユニットが略水平になった後に、空気圧アクチュエータ5に空気を供給し、つま先を左側に向かって押すことで内転動作を実現した。
内返しの動作については、以下のように行った。最初に空気圧アクチュエータ1に空気を供給し足のつま先を浮かないように押さえ込むと同時に、空気圧アクチュエータ7,8の空気を排出し、空気圧アクチュエータ13,14に空気を供給した。そして、動作ユニットが略水平になった後に、空気圧アクチュエータ12,14の空気を排出し空気圧アクチュエータ7,9に空気を供給して、動作ユニットを右側に傾けることで内返し動作を実現した。また、内返し動作の最後に空気を排出する対象を空気圧アクチュエータ12,14から空気圧アクチュエータ11,13に変更し、空気を供給する対象を空気圧アクチュエータ7,9から空気圧アクチュエータ8,10に変更し、動作ユニットを傾ける方向を右側から左側に変更することで外返し動作を行った。
また、内反動作については、以下のように行った。最初に空気圧アクチュエータ1に空気を供給し足のつま先を浮かないように押さえ込むと同時に、空気圧アクチュエータ7,8,11,12の空気を排出し、空気圧アクチュエータ13,14に空気を供給した。そして、動作ユニットが奥(前側)に約10度傾いた時に空気圧アクチュエータ9,10に空気を供給し、動作ユニットをさらに奥に傾けることで底屈動作を実現した。底屈動作を実現した後に空気圧アクチュエータ5に空気を供給し、つま先を左側に向かって押すことで内反動作を実現した。
実施例に係る運動支援装置100を使った場合の関節可動角度と、比較例に係る運動支援装置を使った場合の関節可動角度とを測定し、それぞれについて平均値を算出した。測定方法はハウジングへの足の挿入部、踵の位置、爪先の位置をもとに目視でデジタル角度計をあてて測定した。内反は角度の測定が困難だったため、被験者に主観で評価をしてもらい、内反動作ができている=〇、内反動作ができているがもう少し曲がると思う=△、内反動作ができていない=×、として評価してもらった。
図12の(a)は実施例に係る運動支援装置により足関節50および足部51に底屈動作を行わせた場合の試験結果と、比較例に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節および足部に底屈動作を行わせた場合の試験結果とを示すグラフであり、(b)は実施例に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節および足部に内転動作を行わせた場合の試験結果と、比較例に係る足関節・足部の運動支援装置により足関節および足部に内転動作を行わせた場合の試験結果とを示すグラフである。なお、縦軸は角度、横軸は被験者番号である。なお、(a)(b)の両図ともに、使用者が自分で測定した最大可動域の値も示されている。
図12の(a)から分かるように、底屈の際の足関節の可動角度について、実施例は比較例を大きく上回っており、最大可動域に近い値を示している。また、図12の(b)から分かるように、内転の際の足関節の可動角度について、実施例は比較例を大きく上回っており、最大可動域に近い値を示している。したがって、足関節50の可動角度を効果的に大きくすることができる。具体的には、比較例に係る運動支援装置では、足関節の可動角度を広げると足部51の保持も不安定となり安定した運動支援ができず、また、限られた大きさの装置内で実現できる可動角度も限られていた。一方、実施例に係る運動支援装置100では、動作ユニットで足を安定的に固定圧迫できる範囲で動かしつつ、さらに傾斜ユニットで動かすことで、足関節50および足部51に不適切な負荷をかけることなく、足部51を安定に保持しつつ足関節50の可動角度を大きくすることができる。
図13の(a)は実施例に係る運動支援装置100により足関節50および足部51に内返し動作を行わせた場合の試験結果と最大可動域値を示すグラフであり、(b)は実施例に係る運動支援装置100により足関節に外返し動作を行わせた場合の実験結果と最大可動域値を示すグラフである。
なお、比較例に係る運動支援装置では、内返し動作、外返し動作を行わせることができなかった。
図13の(a)から分かるように、実施例に係る運動支援装置100によれば、内返し動作および外返し動作を行うことができる。したがって、足関節50の動きの多様性を向上させることができる。実施例では、動作ユニットで足部51を安定的に固定圧迫しつつ、さらに傾斜ユニットで左右に傾けることにより、足部51を安定的に保持しつつ足関節50および足部51に内返し動作および外返し動作を行わせることが可能となる。
図14の(a)は運動支援装置100により足関節50および足部51に内反動作を行わせた場合の試験結果を示すグラフであり、(b)は比較例に係る運動支援装置により足関節および足部に内反動作を行わせた場合の試験結果を示すグラフである。前述のように内反動作は角度の測定が困難であったため、被験者に主観で評価をしてもらい、内反動作ができている=〇、内反動作ができているがもう少し曲がると思う=△、内反動作ができていない=×、として評価してもらったが、図14の(a)からわかるように、実施例に係る運動支援装置100によれば、9割以上で内反動作ができているとの被験者の主観評価が得られている。一方、図14の(b)によれば、比較例に係る運動支援装置によれば、内反動作ができているとの評価は5割にとどまっていた。
また、実施例では、動作ユニットと傾斜ユニットとが協働して動作することで、足部51を安定的に固定圧迫できる範囲で動作ユニットを作動させつつ、動作ユニットの動作状況に合わせて傾斜ユニットを作動させることで、足部51がずれることなく精度よく、短時間で動作を行うことができた。
図12〜図14の試験結果から、実施例に係る運動支援装置100によれば、足関節50の動きの多様性を向上させるとともに、可動範囲を効果的に大きくできることが示された。
本発明によれば、足関節・足部の多様な可動域訓練を安全に行うことができるので、例えばリハビリテーションの現場等において、理学療法士の負担を減らしつつ、効果的に拘縮を抑制することが可能となる。また、空気圧アクチュエータの反復動作によってマッサージ効果も得ることも可能となる。
1 第1の甲部用空気圧アクチュエータ(第1の空気圧アクチュエータユニット20)
2 足裏部用空気圧アクチュエータ(第1の空気圧アクチュエータユニット20)
3 踵部用空気圧アクチュエータ(第1の空気圧アクチュエータユニット20)
4 左側部用空気圧アクチュエータ(第1の空気圧アクチュエータユニット20)
5 右側部用空気圧アクチュエータ(第1の空気圧アクチュエータユニット20)
6 第2の甲部用空気圧アクチュエータ(第1の空気圧アクチュエータユニット20)
7 第1の左側前部空気圧アクチュエータ(第2の空気圧アクチュエータユニット40)
8 第1の右側前部空気圧アクチュエータ(第2の空気圧アクチュエータユニット40)
9 第1の左側後部空気圧アクチュエータ(第2の空気圧アクチュエータユニット40)
10 第1の右側後部空気圧アクチュエータ(第2の空気圧アクチュエータユニット40)
11 第2の左側前部空気圧アクチュエータ(第2の空気圧アクチュエータユニット40)
12 第2の右側前部空気圧アクチュエータ(第2の空気圧アクチュエータユニット40)
13 第2の左側後部空気圧アクチュエータ(第2の空気圧アクチュエータユニット40)
14 第2の右側後部空気圧アクチュエータ(第2の空気圧アクチュエータユニット40)
20 第1の空気圧アクチュエータユニット
30 ハウジング
40 第2の空気圧アクチュエータユニット
60 ボールジョイント
70 台座
100 足関節・足部の運動支援装置
200 制御部

Claims (4)

  1. 足関節・足部の運動を支援する足関節・足部の運動支援装置であって、
    足首から末端側の足の挿入が可能とされ、当該足が挿入された際に当該足を押圧することにより当該足の姿勢を調節する第1の空気圧アクチュエータと、
    前記第1の空気圧アクチュエータを保持する保持部と、
    前記保持部を前後左右に傾斜させることを可能にする第2の空気圧アクチュエータと、
    を備える
    ことを特徴とする足関節・足部の運動支援装置。
  2. 前記第2の空気圧アクチュエータは、前記保持部の所定の部分を一定高さの基準位置として、当該基準位置が前記保持部の揺動中心となるように前記保持部を前後左右に傾斜させることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の足関節・足部の運動支援装置。
  3. 前記第1の空気圧アクチュエータは、
    前記足における踵部を保持する踵部用空気圧アクチュエータと、
    前記足における甲部を押圧する甲部用空気圧アクチュエータと、
    前記足における足裏部を押圧する足裏部用空気圧アクチュエータと、
    前記足における右側部の前後方向前側部分、前後方向中央部分、および前後方向後側部分のうち前記前後方向前側部分を押圧する右側部用空気圧アクチュエータと、
    前記足における左側部の前後方向前側部分、前後方向中央部分、および前後方向後側部分のうち前記前後方向前側部分を押圧する左側部用空気圧アクチュエータとを有し、
    前記踵部用空気圧アクチュエータ、前記甲部用空気圧アクチュエータ、前記足裏部用空気圧アクチュエータ、前記右側部用空気圧アクチュエータ、および前記左側部用空気圧アクチュエータのうち、少なくともいずれか1つによる押圧動作と、前記第2の空気圧アクチュエータによる傾斜動作とが行われる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の足関節・足部の運動支援装置。
  4. 前記第1の空気圧アクチュエータと前記第2の空気圧アクチュエータとを協働して駆動させるための制御部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の足関節・足部の運動支援装置。
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JP2020081680A (ja) * 2018-11-30 2020-06-04 株式会社フジ医療器 施療機及びそれを備えた椅子型マッサージ機
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