JP2019173099A - ステンレス鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】一定の耐腐食性を有し、かつ、接合性が高いステンレス鋼材を実現する。【解決手段】本発明の一態様のステンレス鋼材は、表面粗さRaが0.5μm以下であり、孔食電位が0.35V(vsSCE)以上であり、結晶粒径が30μm以下であり、結晶粒のアスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の割合が前記結晶粒の集合全体の80%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、拡散接合に好適に用いることができるステンレス鋼材に関する。
ステンレス鋼材同士の接合方法の一つに拡散接合があり、拡散接合によって組み立てられたステンレス鋼拡散接合製品は、熱交換器、機械部品、燃料電池部品、家電製品部品、プラント部品、装飾品構成部材、建材など、種々の用途に適用されている。拡散接合方法には、インサート材を接合界面に挿入し固相拡散または液相拡散により接合する「インサート材挿入法」と、双方のステンレス鋼材の表面同士を直接接触させて拡散接合する「直接法」がある。
直接法はインサート材挿入法に比べ一般に十分な接合強度を得ることが難しいとされる。しかし、製造コスト低減の面で有利となる可能性を含んでいることから、直接法に関しても種々の方法が検討されてきた。
例えば、拡散接合時にフェライト相がオーステナイト相へ変態するときの駆動力を利用
すること(特許文献1)や、結晶粒成長の駆動力を利用すること(特許文献2)により、
特別な高温加熱や高面圧を付与することなく、インサート材挿入法と同等の作業負荷で直接法によって実施できる拡散接合品の製造方法が知られている。また、拡散接合に供するステンレス鋼材の表面酸化物をできるだけ低減して拡散接合性を高める方法(特許文献3、4)が知られている。
特開2013−103271号公報 特開2013−173181号公報 特開2013−204149号公報 特開2013−204150号公報
しかしながら、拡散接合製品に使用されるステンレス鋼材にはより一層の接合性の向上が求められている。また、ステンレス鋼材には、一定の耐腐食性が求められる。
本発明の一態様は、一定の耐腐食性を有し、かつ、接合性が高いステンレス鋼材を実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るステンレス鋼材は、拡散接合に用いられるステンレス鋼材であって、表面粗さRaが0.5μm以下であり、孔食電位が0.35V(vsSCE)以上であり、結晶粒径が30μm以下であり、前記ステンレス鋼材の表面を電解研磨で鏡面研磨して観察面とし、当該観察面を電子線後方散乱回折法によって解析して得られた、結晶方位差が15°以上の境界を結晶粒界と見なしたときに、当該結晶粒界によって規定される結晶粒のアスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の割合が前記結晶粒の集合全体の80%以上である。
一般に、ステンレス鋼材の結晶粒径を小さくするほど、拡散接合性が向上することが知られている。その点上記構成によれば、ステンレス鋼材の結晶粒径が30μm以下であることから、拡散接合が起こりやすくなっている。
また、拡散接合においては、表面粗さRaが小さくなるほど、拡散接合性が向上することが知られている。上記の構成によれば、表面粗さRaが0.5μm以下としているため、拡散接合が起こりやすくなっている。
さらに、上記アスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の割合が結晶粒の集合全体の80%以上となっている。これにより、高温加圧時において粒界すべりによるクリープ変形が容易となるため、拡散接合性が高いステンレス鋼材を実現することができる。
また、孔食電位が0.35V(vsSCE)以上となっているため、耐腐食性が高いステンレス鋼材となっている。
また、本発明の一態様に係るステンレス鋼材において、前記結晶粒の平均粒径が、30μm以下である。
上記の構成によれば、結晶粒の粒径が小さいため、拡散接合性を向上させることができる。
また、本発明の一態様に係るステンレス鋼材において、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.1〜6.0%、P:0.05%以下、S:0.030%以下、Ni:0.1〜20.0%、Cr:15.0〜30.0%、N:0.3%以下、Ti:0.15%以下、Al:0.15%以下を含む。
また、本発明の一態様に係るステンレス鋼材において、さらに、質量%で、Nb:1.0%以下、Mo:0.01〜4.0%、Cu:0.01〜4.0%、V:0.01〜0.50%の1種または2種以上を含む。
本発明の一態様によれば、一定の耐腐食性を有し、接合性が高いステンレス鋼材を実現することができる。
本発明の実施例としてのステンレス鋼材、および比較例としてのステンレス鋼材の成分組成を示す図である。 本発明の実施例としてのステンレス鋼材、および比較例としてのステンレス鋼材における、(1)孔食電位が0.35V(vsSCE)以上であるか否か、(2)表面粗さRa、(3)結晶粒の平均粒径、(4)アスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の、結晶粒の集合全体に対する割合、および(5)接合率が90%以上であるか否かを示す図である。
以下、本発明の一実施形態のステンレス鋼材について、詳細に説明する。本実施形態におけるステンレス鋼材は、拡散接合に好適に用いられるステンレス鋼材である。
(成分組成)
本実施形態におけるステンレス鋼材は、拡散接合が進行する温度域(具体的には、900〜1200℃、以降では拡散接合温度とも呼称する)において、フェライト相またはオーステナイト相となるように、成分組成が決められる。本実施形態におけるステンレス鋼材は、具体的には、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.1〜6.0%、P:0.05%以下、S:0.030%以下、Ni:0.1〜20.0%、Cr:15.0〜30.0%、N:0.3%以下、Ti:0.15%以下、Al:0.15%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。なお、本実施形態に係るステンレス鋼材が、Feおよび不可避不純物の他、上述の含有量のC、Si、Mn、P、S、Ni、Cr、N、TiおよびAlのみを実質的に含んでいる場合であっても、拡散接合が進行する上記の温度域でフェライト相またはオーステナイト相であれば、一定の耐腐食性を有し、かつ、接合性が高いステンレス鋼材に製造するという課題を解決できる。
さらに、質量%で、Nb:1.0%以下、Mo:0.01〜4.0%、Cu:0.01〜4.0%、V:0.01〜0.50%の1種または2種以上を含むことができる。
以下、ステンレス鋼材に含まれる成分について説明する。
C(炭素)は、固溶強化によりステンレス鋼の強度、硬さを向上させる、他方、C含有量が多くなると、ステンレス鋼の加工性、靱性が低下してしまう。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.1質量%以下のC含有量とすることが好ましい。なお、本実施形態におけるステンレス鋼は、0.06質量%以下とすることがより好ましく、0.03質量%以下とすることがより一層好ましい。
Si(ケイ素)は、脱酸元素として有用な元素であり、ステンレス鋼が有する耐酸化性を向上させる元素である。その一方で、Siは、ステンレス鋼を硬化させる性質を有する。加工の容易性という観点から、本実施形態におけるステンレス鋼材は、1.0質量%以下のSi含有量とすることが好ましい。
Mn(マンガン)は、高温酸化特性を向上させる元素である。他方、Mn含有量が多くなると、加工硬化して冷間加工性を低下させる。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.1〜6.0質量%のMn含有量とすることが好ましい。
P(リン)は、不可避的不純物であり、粒界腐食性を高めるとともに、靱性の低下を招く。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.05質量%以下のP含有量とすることが好ましい。
S(硫黄)は、不可避的不純物であり、熱間加工性を低下させる。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.030質量%以下、好ましくは0.010質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下のS含有量である。
Ni(ニッケル)は、オーステナイト相を生成する元素であり、また、還元性酸環境中での耐食性を向上させる。本実施形態におけるステンレス鋼材では、0.1〜20.0質量%のNi含有量とすることが好ましい。なお、フェライト単相とする場合は0.1〜2.0質量%のNi含有量とすることが好ましく、オーステナイト単相とする場合は6.0〜20.0質量%のNi含有量とすることが好ましい。
Cr(クロム)は、不動態被膜を形成することにより耐食性を確保する上で重要なステンレス鋼の成分である。その一方で、Crは、多量に添加すると鋼を硬質化させるので延性が低下する原因となる元素である。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、15.0質量%〜30.0質量%のCrを含む。
N(窒素)は、不可避的不純物であり、冷間加工性を低下させる。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.30質量%以下のN含有量とすることが好ましい。なお、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.20質量%以下とすることがより好ましく、0.10質量%以下とすることがより一層好ましい。
Ti(チタン)は、CおよびNを固定する作用を有するため、耐食性や加工性を改善する上で有効な元素である。他方、Tiは、易酸化性元素であるため、鋼材表面の酸化被膜中に含まれるTi酸化物は、真空拡散接合の熱処理において還元されにくい。したがって、Ti酸化物が多いと、拡散接合時において表面酸化物被膜が消失しにくくなる。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.15質量%以下のTi含有量とすることが好ましい。
Al(アルミニウム)は、脱酸素剤としての作用を有する元素である。他方、Alは、易酸化性元素であるため、鋼材表面の酸化被膜中に含まれるAl酸化物は、真空拡散接合の熱処理において還元されにくい。したがって、Al酸化物が多いと、拡散接合時において表面酸化物被膜が消失しにくくなる。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.15質量%以下のAl含有量とすることが好ましい。
Nb(ニオブ)は、炭化物または炭窒化物を形成し、鋼の結晶粒を微細化して靱性を向上させる効果を有する。他方、過多であると加工性の低下を招く。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、1.0質量%以下のNb含有量とすることが好ましい。
Mo(モリブデン)は、強度を低下させることなく耐食性を向上させる作用を有する。他方、過多であると、加工性の低下を招く。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.01〜4.0質量%以下のMo含有量とすることが好ましい。
Cu(銅)は、耐食性を向上させるのに効果的であり、また、フェライト相を生成する作用を有する。他方、過多であると、加工性の低下を招く。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.01〜4.0質量%以下のCu含有量とすることが好ましい。
V(バナジウム)は、固溶炭素を炭化物として固定することにより、加工性や靱性の向上に寄与する元素である。他方、過多であると、製造性の低下を招く。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材は、0.01〜0.50質量%以下のV含有量とすることが好ましい。
上記以外の元素については、用途に応じて種々の元素を適宜含ませてもよい。
上記化学組成を有する単相系ステンレス鋼として、下記(a)式で示されるγmaxを適用することができる。
γmax=420C−11.5Si+7Mn+23Ni−11.5Cr−12Mo+9Cu−49Ti−47Nb−52Al+470N+189・・・(a)式
γmaxは、固溶化熱処理した状態でのオーステナイト相の量(体積%)を表す指標である。γmaxが100以上の場合はオーステナイト単相となる鋼種であるとみなすことができ、γmaxが0以下の場合はフェライト単相となる鋼種であるとみなすことができる。
また、本実施形態のステンレス鋼材は、Cr+3.3Mo+16Nが20以上、好ましくは22以上、より好ましくは24以上である。当該条件を満たすことにより、本実施形態のステンレス鋼材は、良好な耐食性を有する。
(結晶粒の平均結晶粒径)
拡散接合性を向上させるためには、結晶粒の粒径を小さくすることが好ましい。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材では、結晶粒の平均粒径が30μm以下であることが好ましい。なお、本明細書における結晶粒径は、ステンレス鋼材の拡散接合前の平均結晶粒径であり、冷間圧延方向に平行な板厚断面の金属組織を連続した1mm以上で観察し、求積法を用いて単位面積内に含まれる結晶粒の個数を算出し、結晶粒1つ当たりの平均面積を1/2乗した値を用いる。
(表面粗さ)
拡散接合性を向上させるためには、接合面の粗さ(表面粗さ)を小さくすることが好ましい。そのため、本実施形態におけるステンレス鋼材では、表面粗さRaを0.5μm以下とする。なお、本明細書における表面粗さRaは、圧延方向に対して直角方向の表面粗さを用いる。
(結晶粒のアスペクト比)
本実施形態のステンレス鋼材は、ステンレス鋼材の表面を電解研磨で鏡面研磨して観察面とし、当該観察面を電子線後方散乱回折法によって解析して得られた、結晶方位差が15°以上の境界を結晶粒界と見なしたときに、当該結晶粒界によって規定される結晶粒のアスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の割合が結晶粒の集合全体の80%以上である。本明細書における「結晶粒のアスペクト比」とは、結晶粒における長軸に対する短軸の比のことを意味する。
本実施形態のステンレス鋼材は、上記アスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の割合が結晶粒の集合全体の80%以上となっていることにより、高温加圧時において粒界すべりによるクリープ変形が容易となる。そのため、本実施形態のステンレス鋼材は、従来のステンレス鋼材に比べて拡散接合性が高いステンレス鋼材となっている。
(製造方法)
本実施形態におけるステンレス鋼材の製造方法は、鋳造工程、熱間圧延工程、焼鈍工程、酸洗工程、冷間圧延工程、焼鈍・酸洗工程、および仕上工程を含む。
<鋳造工程>
鋳造工程は、溶鋼を鋳型に流し込み、冷却することで、鋼のスラブを製造(作製)する工程である。冷却後、前記スラブは所望の長さに切り分けられて、後の工程に用いられる。前記溶鋼は、本鋳造工程前に、電気炉において目標成分に合わせて配合された鉄、クロムなどの合金鉄やスクラップを溶解し、転炉や真空脱ガスで不純物を取り除かれたものが用いられる。
<熱間圧延工程>
熱間圧延工程は、鋳造工程において製造されたスラブを高温で圧延する(熱間圧延する)ことにより、所定の厚みのステンレス鋼帯を製造する工程である。
<焼鈍工程>
焼鈍工程は、熱間圧延工程で得られた鋼帯を加熱することによって、鋼帯の軟質化を図る工程である。本実施形態のステンレス鋼材を製造するため、焼鈍温度を950〜1100℃にする。焼鈍温度が低すぎると、熱間圧延工程で圧延方向に伸長した結晶粒が再結晶せず、冷延焼鈍後も残存してしまう。この残存した結晶粒が拡散接合性を低下させる要因となるため、上述した温度範囲で再結晶させる必要がある。焼鈍工程において用いられる焼鈍炉は、連続焼鈍炉、バッチ炉等公知ものが用いられる。
<酸洗工程>
酸洗工程は、焼鈍工程において鋼帯の表面へ付着したスケールを、塩酸または硝酸とフッ化水素酸との混合液等の酸洗液を用いて洗い落とす工程である。スケールを除去する装置としては、公知の装置・手法が用いられる。
<冷間圧延工程>
冷間圧延工程は、酸洗工程においてスケールを除去された鋼帯を、さらに薄く圧延する工程である。本実施形態のステンレス鋼材を製造するため、冷間圧延におけるトータルの圧下率((熱延圧延工程後の鋼帯の厚み−冷間圧延工程後の鋼帯の厚み)/熱延圧延工程後の鋼帯の厚み×100)が60%以上とする。これにより、熱間圧延工程において生成した、圧延方向に伸長した結晶粒をひずみにより分断し、結晶粒を整粒化することができる。
なお、冷間圧延工程は、トータルの圧下率が60%とすればよく、冷間圧延、焼鈍を繰り返してもよい。その際、1回の冷間圧延における圧延率を40%以上とすればよく、好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上とすればよい。上記のように冷間圧延工程を行うことにより、圧延時に伸長した結晶粒をひずみで分断し、焼鈍することにより再結晶化させることで、結晶粒を整粒化する(結晶粒のアスペクト比を0.5〜1.0の範囲にする)ことができる。
<焼鈍・酸洗工程>
焼鈍・酸洗工程は、冷間圧延工程において薄く圧延された鋼帯を加熱することによって、ひずみを除去し鋼帯の軟質化を図るとともに、鋼帯の表面へ付着したスケールを硝酸とフッ化水素酸との混合液等の酸洗液を用いて洗い落とす工程である。本工程における焼鈍工程についても、焼鈍温度を950〜1100℃にする。
焼鈍工程において用いられる焼鈍炉は、公知の連続焼鈍炉が用いられる。また、スケールを除去する装置としては、公知の装置・手法が用いられる。また、焼鈍工程において用いられる焼鈍炉は、公知の光輝焼鈍炉が用いられてもよい。その場合は、酸洗工程は省略してもよい。また、前記工程までに鋼帯が所望の板厚まで圧延されていない場合は、冷間圧延工程および焼鈍・酸洗工程をもう一度繰り返して行ってもよい。また、冷間圧延工程および焼鈍・酸洗工程は数回繰り返してもよい。
<仕上工程>
仕上工程は、冷間圧延工程において圧延された鋼帯を、仕上げる工程である。具体的には、仕上げ工程では、例えば、調質圧延を行ったり、所望の重量、長さおよび板幅に鋼帯を切除したりする。また、仕上げ工程において研磨することにより、ステンレス鋼材の表面粗さRaを1.0μm以下に調整することができる。
以上のように、本実施形態におけるステンレス鋼材は、(1)結晶粒径が30μm以下のフェライト相またはオーステナイト相であり、(2)表面粗さRaが0.5μm以下であり、かつ、(3)ステンレス鋼材の表面を電解研磨で鏡面研磨して観察面とし、当該観察面を電子線後方散乱回折法によって解析して得られた、結晶方位差が15°以上の境界を結晶粒界と見なしたときに、当該結晶粒界によって規定される結晶粒のアスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の割合が結晶粒の集合全体の80%以上となっている。
本実施形態におけるステンレス鋼材は、上記(1)を満たすことにより、高温加圧時のクリープ変形を容易とし、拡散接合性が高い。
ここで、拡散接合においては、表面粗さRaが小さくなるほど、拡散接合性が向上することが知られている。本実施形態におけるステンレス鋼材は、上記(2)を満たすことにより、拡散接合性が高い。
さらに、本実施形態におけるステンレス鋼材は上記(3)を満たすことにより、高温加圧時において粒界すべりによるクリープ変形が容易となる。そのため、本実施形態のステンレス鋼材は、従来のステンレス鋼材に比べて拡散接合性が高いステンレス鋼材となっている。
さらに、本実施形態のステンレス鋼材は、孔食電位が0.35V(vsSCE)以上であり、高い耐腐食性を有している。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の実施例について以下に説明する。本実施例では、本発明のステンレス鋼材の実施例としての実施例1、2のステンレス鋼材、および本発明のステンレス鋼材の比較例としての比較例1〜5のステンレス鋼材を使用した。図1は、実施例1、2のステンレス鋼材、および比較例1〜5のステンレス鋼材の成分組成を示す図である。
なお、図1の各成分組成比は、各成分の質量%の組成比を示している。実施例1および比較例1〜4は、拡散接合温度でフェライト相単相であるステンレス鋼材ある。実施例2および比較例6のステンレス鋼材は、拡散接合温度でオーステナイト相単相であるステンレス鋼材である。
図2は、実施例1、2のステンレス鋼材、および比較例1〜5のステンレス鋼材における、(1)孔食電位が0.35V(vsSCE)以上であるか否か、(2)表面粗さRa、(3)結晶粒の平均粒径、(4)アスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の、結晶粒の集合全体に対する割合、および(5)接合率が90%以上であるか否かを示す図である。
なお、図2に示す表面粗さRaは、表面粗さ測定装置(東京精密社製SURFCOM2900DX)によって測定した。
また、図2に示す結晶粒の平均粒径は、室温における拡散接合前の平均結晶粒径であり、冷間圧延方向に平行な板厚断面の金属組織を連続した1mm以上で観察し、求積法を用いて単位面積内に含まれる結晶粒の個数を算出し、結晶粒1つ当たりの平均面積を1/2乗した値を用いた。
また、図2に示すアスペクト比は、以下のようにして算出した。まず、ステンレス鋼材の圧延面を電解研磨で約30μm鏡面研磨し、観察面を形成した。次に、形成した観察面に対して、電子線後方散乱回折装置(日本電子株式会社製JSM−7000F)を用いた電子線後方散乱回折法によって、50μm角のマッピング画像において、結晶方位差が15°以上の境界を特定した。次に、結晶方位差が15°以上の境界を結晶粒界と見なし、当該結晶粒界によって規定される領域を結晶粒とした。次に、特定したすべての結晶粒のアスペクト比(結晶粒における長軸に対する短軸の比)を算出した。なお、観察視野数は、無作為に選択した重複しない10視野以上とした。
また、「接合率」は、以下のようにして算出した。まず、各鋼板から20mm×20mmの平板試験片を取り出し、以下の方法で拡散接合を行った。同一鋼材2枚の試験片を互いに表面同士が接触するように積層した状態とし、錘を有する冶具を用いて、これら2枚の試験片の接触表面に付与される面圧を0.3MPaとなるように調整した。以下、積層した平板試験片を「鋼材」という。当該鋼材が積層された状態のものを「積層体」という。
その後、冶具と積層体を真空炉に挿入し、真空引きを行って圧力1.0×10−3〜1.0×10−4Paの初期真空度とした後、1100℃まで約1hで昇温し、接触面圧が0.3MPa、1100℃で2h保持した後、冷却室に移して冷却した。冷却は900℃まで上記真空度を維持し、その後Arガスを導入して90kPaのArガス雰囲気中で約100℃以下まで冷却した。
上記熱処理を終えた積層体について、超音波厚さ計(オリンパス社製;Model35DL)を用いて、20mm×20mmの積層体表面上に3mmピッチで設けた49箇所の測定点において厚さ測定を行った。プローブ径は1.5mmとした。ある測定点での板厚測定値が2枚の鋼材の合計板厚を示す場合には、その測定点に対応する両鋼材の界面位置では原子の拡散によって両鋼材が一体化しているとみなすことができる。一方、板厚測定値が両鋼材の合計板厚に満たない場合には、その測定点に対応する両鋼材の界面位置に未接合部(欠陥)が存在する。
加熱処理後の積層体の断面組織と、この測定手法により得られた測定結果との対応関係を調べたところ、測定結果が両鋼材の合計板厚となった測定点の数を測定総数49で除した値(これを、以下「接合率」という。)によって、接触面積に占める接合部分の面積率が精度良く評価できることを確認した。本実施例では、測定結果が両鋼材の合計板厚となった測定点の数を測定総数49で除した値を「接合率」とし、接合率が90%以上であるか否かによって拡散接合性を評価した。
図2に示すように、比較例2〜5のステンレス鋼材は、(1)表面粗さRaが0.5より大きい(比較例5)、または、(2)結晶粒径が30μmより大きい(比較例3、4)、または、(3)アスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の割合が結晶粒の集合全体の80%未満(比較例2)となっており、拡散接合性が低かった。
また、比較例1、比較例4および比較例5のステンレス鋼材は、孔食電位が0.35V(vsSCE)未満であり、耐食性が低かった。
実施例1、実施例2および比較例1のステンレス鋼材は、表面粗さRaが0.5以下であり、かつ、結晶粒径が30μm以下、かつ、アスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の割合が結晶粒の集合全体の80%以上となっており、拡散接合性が高かった。しかし、比較例1のステンレス鋼材では、孔食電位が0.35V(vsSCE)未満であり、耐腐食性が低かった。一方、実施例1および実施例2のステンレス鋼材では、孔食電位が0.35V(vsSCE)以上であった。すなわち、実施例1および実施例2のステンレス鋼材は、一定の耐腐食性を有し、かつ、接合性が高かった。

Claims (4)

  1. 拡散接合に用いられるステンレス鋼材であって、
    表面粗さRaが0.5μm以下であり、
    孔食電位が0.35V(vsSCE)以上であり、
    結晶粒径が30μm以下であり、
    前記ステンレス鋼材の表面を電解研磨で鏡面研磨して観察面とし、当該観察面を電子線後方散乱回折法によって解析して得られた、結晶方位差が15°以上の境界を結晶粒界と見なしたときに、当該結晶粒界によって規定される結晶粒のアスペクト比が0.5〜1.0となる結晶粒の割合が前記結晶粒の集合全体の80%以上であることを特徴とするステンレス鋼材。
  2. 前記結晶粒の平均粒径が、30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のステンレス鋼材。
  3. 質量%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.1〜6.0%、P:0.05%以下、S:0.030%以下、Ni:0.1〜20.0%、Cr:15.0〜30.0%、N:0.3%以下、Ti:0.15%以下、Al:0.15%以下を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のステンレス鋼材。
  4. さらに、質量%で、Nb:1.0%以下、Mo:0.01〜4.0%、Cu:0.01〜4.0%、V:0.01〜0.50%の1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項3に記載のステンレス鋼材。
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