JP2019172716A - アルキレンオキシド誘導体、洗浄剤、潤滑剤、湿潤剤及び皮膚洗浄剤組成物 - Google Patents

アルキレンオキシド誘導体、洗浄剤、潤滑剤、湿潤剤及び皮膚洗浄剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】汚れ成分に対する洗浄力が高く、潤滑性が良好で、湿潤効果に優れ、室温液状でハンドリング性に優れるアルキレンオキシド誘導体の提供。【解決手段】下記の式(I)で表されるアルキレンオキシド誘導体。Y−{O−(AO)g−[(PO)h/(EO)k]−H}m・・・(I)(Yは水酸基の数mが2〜9の化合物の水酸基を除いた残基、AOは炭素数3又は4のオキシアルキレン基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。g、h、kはそれぞれオキシアルキレン基、オキシプロピレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦g≦50、1≦h≦50、1≦k≦150、(g+h+k)≧10であり、0.2≦g/(h+k)≦2.0である。[(PO)h/(EO)k]はhモルのPOとkモルのEOがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基を示し、ランダム率zが0.1≦z<1である。)【選択図】なし

Description

本発明は、新規なアルキレンオキシド誘導体、洗浄剤、潤滑剤、湿潤剤及び皮膚洗浄剤組成物に関する。詳細には、室温液状で汚れ成分に対する洗浄力が高く、潤滑性が良好で、湿潤効果に優れる新規なアルキレンオキシド誘導体、このアルキレンオキシド誘導体からなる洗浄剤、潤滑剤および湿潤剤、ならびにこのアルキレンオキシド誘導体を含有する皮膚洗浄剤組成物に関する。
非イオン性界面活性剤には様々なタイプがあり、その1つとしてアルキレンオキシド誘導体が挙げられる。アルキレンオキシド誘導体は、オキシエチレン基やオキシプロピレン基などの付加モル数により、親水性、親油性のバランス及び分子量を制御することができる有用な界面活性剤である。中でも、親油基にポリオキシプロピレン基、親水基にポリオキシエチレン基を有するプルロニック型界面活性剤は、臨界ミセル濃度が低く、低濃度でも使用でき、低泡性であることから、洗浄剤、乳化可溶化剤、湿潤剤、浸透剤、潤滑剤として様々な産業用途に使用されている。
近年、医薬品や化粧品、トイレタリー分野では、水系製剤で汚れ成分に対する洗浄力を向上したいといったニーズや、潤滑油分野においても冷却効率に優れる水系製剤において潤滑性を付与したいというニーズが高まっている。
しかし、前述のプルロニック型界面活性剤を用いて汚れ成分に対する洗浄力や潤滑性を向上させる為には、親油基であるポリオキシプロピレン基の分子量を大きくすることが求められる。一方、水溶性を付与する為には親水基であるポリオキシエチレン基の分子量も増大させる必要があり、ポリオキシエチレン基は結晶性が高いことから室温で固体であるので、前述のプルロニック型界面活性剤ではハンドリング性が悪いといった課題があった。
こうした状況を鑑み、例えば特許文献1には、多価アルコールにオキシエチレン基とテトラメチレングリコール基をランダムに導入した潤滑油用基油が、室温で液状であり水溶性及び潤滑性に優れることが開示されているが、この化合物は、汚れ成分に対する洗浄力が不十分であった。
また、特許文献2には、油脂と多価アルコールの混合物にポリオキシプロピレン基を導入後、オキシプロピレン基とオキシエチレン基をランダムに導入した発酵用消泡剤が開示されている。しかし、この化合物は、室温で液状であり消泡効果に優れるものの、水溶性が不十分で水系製剤への応用が難しいという課題や界面活性剤としての本質的な機能である湿潤性が不十分であるという課題があった。
一方で、室温で液状であり、低泡性、湿潤性に優れる界面活性剤として、炭化水素基にポリオキシプロピレン基を導入後、オキシエチレン基とオキシプロピレン基をランダムに導入したアルキレンオキサイド付加物も開示されている(特許文献3)。この界面活性剤は、低温での流動性が良好で、低泡性、消泡性に優れることが特許文献3に記載されているが、潤滑性については十分満足できるものではなかった。
このように、室温で液状であり、汚れ成分に対する洗浄力が高く、潤滑性が良好で、湿潤効果に優れるアルキレンオキシド誘導体はいずれの特許文献にも開示されていなかった。
一方、汚れ成分を水系製剤で洗浄する場合、洗浄性や湿潤性が高い界面活性剤を使用することで、汚れ成分に対する洗浄力を向上することができる。しかし、洗顔料やメイク落とし(クレンジング)のように、皮膚に対する洗浄を行う皮膚洗浄剤の場合、洗浄力を向上させる為に界面活性剤を高配合すると皮膚に対する刺激(ひりひり感)が生じたり、べたつきが生じるという課題があった。
こうした状況を鑑み、例えば特許文献4には、ポリオキシエチレン基とポリオキシプロピレン基のブロック重合体もしくはランダム重合体を含有する皮膚洗浄料が開示されている。この皮膚洗浄料は、化粧料除去効果が高く、洗い流し易く、使用性、安全性に優れるが、ブロック重合体を含有する場合、高配合するとひりひり感やべたつきが生じるという課題があり、ランダム重合体を含有する場合、水系製剤では洗浄力が不十分であるという課題があった。
特開2012−214706号公報 特開2001−178446号公報 特開2014−240378号公報 特開2003−221310号公報
本発明の目的は、上記のとおり、汚れ成分に対する洗浄力が高く、潤滑性が良好で、湿潤効果に優れ、室温液状でハンドリング性に優れるアルキレンオキシド誘導体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、油脂や化粧料などの汚れ成分を洗浄するための洗浄剤、相接する固体の摩擦を減少させる潤滑剤、固体と液体との界面張力を変化させ,固体表面を濡れ易くする作用を有する湿潤剤を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、洗顔料やメイク落とし(クレンジング)などの皮膚洗浄剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定構造を有するアルキレンオキシド誘導体が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は下記のとおりである。
即ち本発明は、下記の式(I)で表されるアルキレンオキシド誘導体である。
Y−{O−(AO)−[(PO)/(EO)]−H} ・・・(I)
(Yは水酸基の数mが2〜9の化合物の水酸基を除いた残基、AOは炭素数3又は4のオキシアルキレン基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。g、h、kはそれぞれオキシアルキレン基、オキシプロピレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦g≦50、1≦h≦50、1≦k≦150、(g+h+k)≧10であり、0.2≦g/(h+k)≦2.0である。[(PO)/(EO)]はhモルのPOとkモルのEOがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基を示し、ランダム率zが0.1≦z<1である。)
また本発明は、本発明のアルキレンオキシド誘導体からなる洗浄剤;本発明のアルキレンオキシド誘導体からなる潤滑剤:本発明のアルキレンオキシド誘導体からなる湿潤剤である。
さらに本発明は、本発明のアルキレンオキシド誘導体を0.5〜20質量%含有する皮膚洗浄剤組成物である。
本発明のアルキレンオキシド誘導体は、汚れ成分に対する洗浄力が高く、潤滑性が良好で、湿潤浸透効果に優れ、室温液状でハンドリング性に優れる。
本発明のアルキレンオキシド誘導体からなる洗浄剤によれば、油脂や化粧料などの汚れ成分を高い洗浄力で洗浄することができる。
本発明のアルキレンオキシド誘導体からなる潤滑剤によれば、相接する固体間の摩擦係数を減少させることができる。
本発明のアルキレンオキシド誘導体からなる湿潤剤によれば、ガラス、金属、樹脂などの種々の固体に対する表面濡れ性を向上させることができる。
本発明のアルキレンオキシド誘導体を所定量含有する皮膚洗浄剤組成物によれば、洗浄力が高く、べたつきが無く、刺激(ひりひり感)が少ないという効果が得られる。
なお、本発明において「室温液状」とは、25℃にて液体の状態であることをいう。
以下、本発明のアルキレンオキシド誘導体、洗浄剤、潤滑剤、湿潤剤、及び皮膚洗浄剤組成物について順次説明する。
<アルキレンオキシド誘導体>
本発明のアルキレンオキシド誘導体は下記の式(I)で表される。
Y−{O−(AO)−[(PO)/(EO)]−H} ・・・(I)
Yは炭素数が2以上で、2〜9個の水酸基を有する化合物から全ての水酸基を除いた残基であり、mはYの化合物の水酸基の数で2〜9である。
2〜9個の水酸基を有する化合物としては、m=2であればエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、m=3であればグリセリン、トリメチロールプロパン、m=4であればエリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ジグリセリン、アルキルグリコシド、m=5であればキシリトール、m=6であればジペンタエリスリトール、ソルビトール、イノシトール、m=8であればショ糖、トレハロース、m=9であればマルチトール等が挙げられる。また、2〜9個の水酸基を有する化合物として、これら化合物の混合物を用いても良い。
mは好ましくは2〜6であり、特に好ましくは2〜3である。mが1の場合、潤滑性が低下する可能性がある。またmが10以上の場合、洗浄力や湿潤効果が低下する可能性がある。
AOは炭素数3又は4のオキシアルキレン基であり、オキシプロピレン基、オキシイソブチレン基、オキシ1−エチルエチレン基、オキシ2−ブチレン基、オキシテトラメチレン基が例示できる。
AOの平均付加モル数gが2以上の場合、2以上のAOは同種の基であっても、異種の基であってもよい。AOが2種以上の異種の基である場合は、ランダム状付加でもブロック状付加のいずれでもよい。
AOとしては、炭素数3のオキシプロピレン基が好ましい。
POはオキシプロピレン基で、EOはオキシエチレン基である。式(I)中のg、h、kは、それぞれ、AO、PO、EOの1分子あたりの平均付加モル数である。
gは1〜50であり、好ましくは5〜30、特に好ましくは10〜20である。gが0の場合、洗浄力が低下し、gが大きすぎると、湿潤効果が低下することがある。
hは1〜50であり、好ましく3〜30、特に好ましくは4〜20である。hが0の場合、室温で固体となりハンドリング性が低下することがあり、hが大きすぎると、洗浄力が低下することがある。
kは1〜150であり、好ましくは5〜60、特に好ましくは10〜30である。kが0の場合、水溶性が損なわれたり、洗浄力や湿潤効果が低下することがあり、kが大きすぎると、結晶性が高まり室温で固体となりハンドリング性が低下したり、潤滑性が低下することがある。
(g+h+k)は10以上であり、好ましくは15以上、特に好ましくは20以上である。(g+h+k)が10未満であると洗浄力や潤滑性が低下することがある。また、(g+h+k)の上限は200が好ましく、150が特に好ましく、100がさらに好ましい。
また、[g/(h+k)]は0.2以上2.0以下であり、好ましくは0.3以上1.5以下、特に好ましくは0.4以上1.0以下である。[g/(h+k)]が0.2未満であると洗浄力や潤滑性が低下し、2.0を超えると湿潤効果が低下したり、水溶性が損なわれることがある。
式(I)におけるEOおよびPOの結合部分は[(PO)/(EO)]と記載され、この記載は本発明においてhモルのPOとkモルのEOが、ブロック状ではなく、ランダム状に結合していることを示す。EOおよびPOがブロック状に結合していると、室温で固体となり、湿潤効果や潤滑性が低下することがある。
本発明の式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体は、ランダム率をzとすると、0.1≦z<1であり、好ましくは0.2≦z<1、特に好ましくは0.3≦z≦0.95、更に好ましくは0.4≦z≦0.90である。
ランダム率zが小さすぎると、室温で固体の性状を示しハンドリング性が低下したり、湿潤効果が低下することがある。
式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体中のランダム率は、式(I)中のAO、PO、EOの1分子あたりの各平均付加モル数g、h、kから下記の式(II)により求めることができる。
z=(h+k)/(g+h+k) (II)
本発明の式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えば、多価アルコールにアルカリ触媒下、50〜160℃、0.5MPa(ゲージ圧)以下にてアルキレンオキシドを付加重合した後に、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物を付加重合し、塩酸、リン酸、酢酸などの酸にて中和し、さらに水分及び中和塩を除去することで得ることができる。
<洗浄剤>
本発明の洗浄剤は、本発明の式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体からなる。
本発明の洗浄剤は、式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体が水性成分に溶解された製剤として用いることができる。水性成分としては、水;エチルアルコールやプロピルアルコールなどの低級アルコール;水及び低級アルコールの混合液などが挙げられ、これらの中でも水が好ましい。
本発明の洗浄剤におけるアルキレンオキシド誘導体の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%であり、特に好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。アルキレンオキシド誘導体の含有量が上記範囲であれば、洗浄力を良好なものとすることができる。
本発明の洗浄剤の洗浄対象は、上記の水性成分に溶解しない又は溶解が困難な汚れ成分である。かかる汚れ成分としては、例えば、牛脂油やダイズ油などの油脂;香料、不飽和化合物、飽和化合物などの油性成分が挙げられる。
本発明の洗浄剤は、その他の任意成分として、洗浄剤に一般的に用いられている成分を含有していてもよい。
<潤滑剤>
本発明の潤滑剤は、本発明の式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体からなる。
本発明の潤滑剤は、式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体が水性成分に溶解された製剤として用いることができる。水性成分としては、上記の水性成分が挙げられ、これらの中でも水が好ましい。
本発明の潤滑剤におけるアルキレンオキシド誘導体の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%であり、特に好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。アルキレンオキシド誘導体の含有量が上記範囲であれば、起泡が生じにくく潤滑性を良好なものとすることができる。
本発明の潤滑剤は、その他の任意成分として、潤滑剤に一般的に用いられている成分を含有していてもよい。
<湿潤剤>
本発明の湿潤剤は、本発明の式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体からなる。
本発明の湿潤剤は、式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体が水性成分に溶解された製剤として用いることができる。水性成分としては、上記の水性成分が挙げられ、これらの中でも水が好ましい。
本発明の湿潤剤におけるアルキレンオキシド誘導体の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%であり、特に好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。アルキレンオキシド誘導体の含有量が上記範囲であれば、起泡が生じにくく湿潤性を良好なものとすることができる。
本発明の湿潤剤は、その他の任意成分として、湿潤剤に一般的に用いられている成分を含有していてもよい。
<皮膚洗浄剤組成物>
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、本発明の式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体を含有し、さらに上記水性成分を少なくとも含有する。
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、肌(皮膚)の洗浄を目的として使用することができ、肌(皮膚)に対する刺激(ひりひり感)が生じ難く、べたつきが生じ難いという効果を奏する。したがって、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、炎症や汗疹等の皮膚障害を発症した部位、及びデリケートゾーンなどの敏感な部位に対しても安心して使用することができ、皮膚の敏感部位用洗浄剤組成物として、例えばデリケートゾーン用洗浄剤組成物として好適に使用することができる。
本発明の皮膚洗浄剤組成物におけるアルキレンオキシド誘導体の含有量は、0.5〜20質量%であり、好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは1.5〜8質量%、さらに好ましくは2〜5質量%である。アルキレンオキシド誘導体の含有量が少なすぎる場合、油性成分などの汚れ成分に対する洗浄力が不十分になることがあり、逆にこの含有量が多すぎる場合、塗布時のべたつきやひりひり感が生じることがある。
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、その他の任意成分として、化粧品に一般的に用いられている成分を含有していてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、以下の「%」は、特段の記載がない限り、「質量%」を意味する。
<実施例1〜7および比較例1〜5>
〔合成例1:化合物1の合成〕
プロピレングリコール50gと触媒としての水酸化カリウム3.2gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を溶解した。引続き、120℃、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)にて、滴下装置によりプロピレンオキシド1200gを滴下させ、3時間攪拌した。続いて120℃、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)にて滴下装置よりエチレンオキサイド1578g、プロピレンオキサイド400gの混合物を滴下させ、2時間攪拌した。その後、オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため、減圧−0.095MPa(ゲージ圧)、100℃で1時間処理することで除去した。更に、処理後に生成した塩を除去するために濾過を行い、化合物1を得た。
また、JIS K1557−1に準じた水酸基価測定によって得られる水酸基価からエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の数平均分子量を求め、その数平均分子量から式(I)におけるg、h、kの値を特定した。
〔合成例2:化合物2〜10、12の合成〕
出発原料ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの各付加量を変更し、アルキレンオキシドとして1,2−ブチレンオキシドを使用したこと以外は、合成例1と同様の方法にて、化合物2としてアルキレンオキシド誘導体を得た。同様の合成方法にて化合物3〜10、12を合成した。出発原料およびアルキレンオキシドの種類、水酸基の数m、アルキレンオキシド、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの各平均付加モル数(g、h、k)、各平均付加モル数の合計(g+h+k)、[g/(h+k)]、およびランダム率zを表1に示す。また、以下の比較例で用いた化合物11を表1に併せて示す。
Figure 2019172716
上記化合物1〜12を用いて実施例1〜7および比較例1〜5とし、洗浄力、潤滑性、湿潤効果について評価を行なった。洗浄力の結果を表2に、潤滑性の結果を表3に、湿潤効果の結果を表4にそれぞれまとめた。また、上記化合物1〜12の凝固点を表2〜4に併せて示す。なお、凝固点はJISK−0065−1992に準じた方法によって測定した。
(a)洗浄力
実施例1〜7および比較例1〜5の化合物の洗浄剤としての洗浄力を評価する為に、各化合物の5%水溶液を使用した。洗浄力の試験は、リーナッツ改良洗浄試験法(JIS 3370 4.9)に準じて行った。25℃で3分間洗浄後、1分間すすぎを行ない、洗浄前後の重量より洗浄率(%)を下記式により求め、洗浄力を評価した。
なお、牛脂(10g)、大豆油(10g)、モノオレイン酸グリセリル(0.25g)、スダンIII(0.1g)をクロロホルム60mlに溶解したものを人工汚垢として用いた。
洗浄率(%)={(洗浄後のスライドガラス重量)−(汚垢付着前のスライドガラス重量)}/(汚垢付着量)
洗浄力は以下の基準に従い評価した。
◎:洗浄力が強い(洗浄率70%以上)。
○:洗浄力がやや高い(洗浄率60%以上70%未満)。
△:洗浄力がやや弱い(洗浄率50%以上60%未満)。
×:洗浄力が弱い(洗浄率50%未満)。
(b)潤滑性
実施例1〜7および比較例1〜3、5の化合物の潤滑剤としての潤滑性を評価する為に、各化合物の5%水溶液を使用した。潤滑性の試験は、SRV Lubricant and Material Test System(OPTIMOL社製)を用いて行った。試験はボール/ディスクで行い、試験片はそれぞれSUJ−2製を用いた。試験条件は温度40℃、荷重40N、振幅1mm、振動数50Hzで、アルキレンオキシド誘導体の5%水溶液を用いて摩擦係数(μ)を測定した。それぞれの潤滑性について、下記の評価基準にて潤滑性を評価した。
◎:摩擦係数(μ)が0.11以下である。
○:摩擦係数(μ)が0.11より大きく、0.12以下である。
△:摩擦係数(μ)が0.12より大きく、0.13以下である。
×:摩擦係数(μ)が0.13より大きい。
(c)湿潤効果
実施例1〜7および比較例1〜4の化合物の湿潤剤としての湿潤力を評価する為に、各化合物の5%水溶液を使用し、ガラス板(MICRO SLIDE GLASS, 松浪硝子工業株式会社)、冷間圧延鋼板(SPCC−SD, JIS G3141)、人工皮革(サプラーレPBZ13001, イデアテックスジャパン株式会社)に対する接触角(測定装置:協和界面科学株式会社製、Drop Masterシリーズ、DM−501)を測定した。試験溶液を、テフロンコート針18Gを装着したガラスシリンジに充填し、液滴量を2.0μLに調整し、着滴10秒後の接触角の測定を行った。
なお、1サンプルにつき5回の測定を行い、その平均値を接触角の値とすることとした。水の接触角をブランクとし、各化合物(5%水溶液)の各種基材に対する接触角を比較し、下記式にて接触角の減少率を算出した。なお、評価は以下の基準で行った。
接触角減少率(%)={1−(試験化合物の接触角)/(ブランクの接触角)}×100
◎:何れの基材に対しても接触角の減少率が25%以上である。
○:何れの基材に対しても接触角減少率が15%以上、25%未満である。
△:何れかの基材に対する接触角減少率が15%未満である。
×:全ての基材に対する接触角減少率が15%未満である。
Figure 2019172716
Figure 2019172716
Figure 2019172716
表2〜4より明らかなように、実施例1〜7で用いた化合物1〜7は、いずれも凝固点が9℃以下であるから、室温液状でありハンドリング性が良好である。また、実施例1〜7の洗浄剤、潤滑剤、湿潤剤はいずれも優れた性能を有していた。
これに対して表2〜4より明らかなように、本発明のアルキレンオキシド誘導体に該当しない化合物8〜12を用いた比較例1〜5では、室温で液状であること、汚れ成分に対する洗浄力が高いこと、潤滑性が良好であること、湿潤効果に優れること、を全て満たすものはなかった。
<実施例8〜12および比較例6〜8>
表1に記載の化合物1〜3、8、9と表5に記載の成分を表5に示した比率となるように室温にて均一になるまで混合し、皮膚洗浄剤組成物を調製した。
<皮膚洗浄剤組成物の評価>
専門パネラー10名による使用感テストを行った。調製した皮膚洗浄剤組成物をコットンに取りメイクを落としてもらい、下記の1)洗浄効果、2)洗浄中のベタつき感のなさ、3)洗浄後のひりひり感について、パネラー各人が下記の絶対評価にて4段階に評価し、評点をつけた。
1)洗浄効果
コットンにてメイクを落としてもらい、そのクレンジング効果について、以下の基準にて評価した。10名のパネラーの評価の平均点が3.0以上を合格とした。
4点:メイクの落ちが非常によく、十分なクレンジング効果を実感できる。
3点:メイクの落ちがよく、クレンジング効果を実感できる。
2点:メイクの落ちがあまりよくなく、クレンジング効果をあまり実感できない。
1点:メイクがほとんど落ちず、クレンジング効果を全く実感できない。
2)ベタつき感のなさ
コットンにてメイクを落としている最中のベタつき感について、以下の基準にて評価した。「◎」および「○」を合格とした。
◎:10名中、9名以上が、ベタつき感がないと回答した。
○:10名中、7〜8名が、ベタつき感がないと回答した。
△:10名中、5〜6名が、ベタつき感がないと回答した。
×:10名中、4名以下が、ベタつき感がないと回答した。
3)洗浄後のひりひり感
10名のパネラーが、実施例および比較例の各皮膚洗浄剤組成物50μLを前腕に30分間閉塞貼付した。30分以内に貼付部に感じた刺痛をスティンギングとして、下記評価基準で評価し、評点をつけた。10名のパネラーの評価の平均が2.0以上を「○」(良好)、1.0以上2.0未満を「△」(普通)、1.0未満を「×」(不良)とした。ただし、2名以上のパネラーが0点の評点をつけた場合は「×」(不良)とした。
3点:貼付部に刺痛を感じなかった。
1点:貼付部に僅かに刺痛を感じた。
0点:貼付部に明らかに刺痛を感じた。
Figure 2019172716
表5より明らかなように、本発明のアルキレンオキシド誘導体に相当する化合物1〜3を用いた実施例8〜12では、1)洗浄効果、2)洗浄中のベタつき感のなさ、3)洗浄後のひりひり感のいずれも良好または合格の評価であった。
これに対して本発明のアルキレンオキシド誘導体を含有しない比較例6〜8では、1)洗浄効果、2)洗浄中のベタつき感のなさ、3)洗浄後のひりひり感の全てが良好または合格の評価であるものはなかった。

Claims (5)

  1. 下記の式(I)で表されるアルキレンオキシド誘導体。
    Y−{O−(AO)−[(PO)/(EO)]−H} ・・・(I)
    (Yは水酸基の数mが2〜9の化合物の水酸基を除いた残基、AOは炭素数3又は4のオキシアルキレン基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。g、h、kはそれぞれオキシアルキレン基、オキシプロピレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦g≦50、1≦h≦50、1≦k≦150、(g+h+k)≧10であり、0.2≦g/(h+k)≦2.0である。[(PO)/(EO)]はhモルのPOとkモルのEOがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基を示し、ランダム率zが0.1≦z<1である。)
  2. 請求項1に記載のアルキレンオキシド誘導体からなる洗浄剤。
  3. 請求項1に記載のアルキレンオキシド誘導体からなる潤滑剤。
  4. 請求項1に記載のアルキレンオキシド誘導体からなる湿潤剤。
  5. 請求項1に記載のアルキレンオキシド誘導体を0.5〜20質量%含有する皮膚洗浄剤組成物。
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