JP2019171280A - 樹脂ガラス板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコーンポリマーを改質した二酸化ケイ素膜について、耐摩耗性、耐熱性、耐候性を向上させた樹脂ガラス板及びその製造方法の提供。【解決手段】樹脂基板10上にハードコート層12を湿式法によりシリコーンポリマーを用いて形成する工程と、このハードコート層の表面に、伸縮性の樹脂メッシュマスク13を表面に接して配置する工程と、波長172nm以下のエキシマランプ15により真空紫外光線を照射して二酸化ケイ素膜に改質する工程により、シリコーンポリマーの表面の所定の厚みを二酸化ケイ素膜に改質する。【選択図】図10

Description

本発明は、車両の窓、又は建築材として窓、扉、屋根、壁、床などの透視用材料、採光用材料として使用できる樹脂ガラス板及びその製造方法に関する。
無色透明なポリカーボネート基板は、強度が高く、軽量であり、かつ加工や成形が容易であることから、ガラスに代わる樹脂ガラス板として利用が広まっている。ポリカーボネート基板は、無機ガラスの基板に比べ、軽量であり、成形性に優れるものの、表面は非常に傷がつきやすい。そこでポリカーボネート基板上にハードコートと称する硬質薄膜を形成し、耐擦傷性の向上を図ることが行われている。このハードコート層は、ポリカーボネート基板の表面にアクリル樹脂あるいはシリコーンポリマー、あるいはそれらをハイブリッド化した樹脂を塗布し、熱や紫外線により硬化することによって得られる。
硬質薄膜にさらに強度を持たせるため、シリコーンポリマーに含まれるSi−O−Si結合を、レーザー照射によって二酸化ケイ素に改質する技術が、例えば、特許文献1により知られている。特許文献1によれば、Si−O−Si結合を含む固体化合物膜あるいは二酸化ケイ素膜への微細パターンを形成し、Fレーザーリソグラフィー用レジストとして適用可能な固体化合物膜を提供するものである。この方法によれば、Si−O−Si結合を含む固体化合物膜を二酸化ケイ素に改質することができる。
特許文献2によれば、大面積の窓やメガネレンズ等に適用可能な二酸化ケイ素の改質膜を有する樹脂ガラスを提供するにあたり、二酸化ケイ素膜の厚さを0.6μm(マイクロ メートル)未満とした樹脂ガラス板が開示されている。この特許文献では、0.6μm以上に二酸化ケイ素の改質部の膜厚を厚くすれば強度を強化するどころか、逆に使用中に改質部の内部からクラックが生ずることが開示されている。
特許文献3によれば、円形の開口を有する金属製のマスクを使用し、シリコーンゴム上にFレーザーを照射することにより、レーザー照射部の隆起と組成改質を同時に行い、二酸化ケイ素製のマイクロレンズを形成できることが示されている。
特許第3950967号公報 特許第4536824号公報 特許第3629544号公報
炎天下に晒される、例えば、車両用の窓として樹脂ガラス板を用いる場合、樹脂ガラス板には高温に晒されても割れや劣化が起こらないような耐熱性が要求される。また、ワイパーにより表面が摩耗されるフロントガラス等の用途においては耐擦傷性の向上が要求される。さらに、太陽光の紫外線や降雨による劣化に対して優れた耐候性が求められる。上記特許文献においては、硬度を高めることによる耐擦傷性の向上について示されているが、耐熱性と耐候性の向上について十分な開示がなされていない。
また、上記従来技術は、いずれも平面基板を対象としたもので、曲面形状を有する基板のメッシュマスクの適用と、耐擦傷性や耐熱性および耐候性の向上を目的としたメッシュマスク使用の最適な開口サイズや開口率やその効果についての開示はなされていない。
本発明は、樹脂基板上に形成したシリコーンポリマーを光化学的に改質して得られる二酸化ケイ素膜について、耐擦傷性のみならず、耐熱性と耐候性を向上させた樹脂ガラス板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の樹脂ガラス板とその製造方法は、樹脂基板をハードコート層により被覆した樹脂ガラス板の製造方法であって、前記ハードコート層を湿式法によりシリコーンポリマーを用いて形成する工程と、このハードコート層の表面に、波長172nm以下のエキシマランプにより真空紫外光線を照射して二酸化ケイ素膜に改質する際に、樹脂製の伸縮性を有するメッシュマスクを介して前記真空紫外光線を照射することを特徴とする。
本発明の樹脂ガラス板は、透明樹脂基板を被覆するハードコート層を有し、該ハードコート層はシリコーンポリマーを湿式法により形成されており、その表面に波長172nm以下のエキシマランプにより真空紫外光線を照射し、光化学的な改質反応を誘起することにより得られた二酸化ケイ素膜が、メッシュマスクを使用することにより行列状に形成されている。このとき、行列の格子部は紫外線照射が行われないか、あるいはほとんど光照射が行われない。また、メッシュマスクの格子部は樹脂製の繊維で構成されており、その線径が6μm〜170μmの範囲であり、メッシュマスクの開口長は50μm〜1.4mmで、かつ開口率が80%以上となるように選択することにより、上記真空紫外光線を格子部の直下にまで回り込むようにすることを特徴とする。
また、メッシュマスクの材質として、ポリウレタン繊維を含む樹脂製とすることにより伸縮性を付与し、曲面形状に追従することで、曲面樹脂ガラスの表面に均一な光化学改質を行うことを特徴とする。
ここで、上記の伸縮性を有するメッシュマスクは、引き伸ばした状態で基板に接触させることにより、その開口の形状が、四角から円形に近くなるようにすることにより、改質部端部に生ずる組成改質に伴う引張応力の集中を緩和することができるという特徴を有する。
本発明によれば、高温環境下や太陽光による紫外線照射に加え、高温多湿など複合的に作用する環境においてもクラックの生じない樹脂ガラス板を得ることができる。
樹脂ガラス板の断面を模式的に示した図であり、図1Aは波長172nmのエキシマランプを使用してメッシュマスク無しで形成した樹脂ガラス板の断面図、図1Bは上記エキシマランプをメッシュマスク有りで形成した樹脂ガラス板の断面図、図1Cはメッシュマスクの開口部と格子部の面積比すなわち開口率の定義を説明する図、図1Dは、検討に用いた金属メッシュマスクの仕様を示す図である。 波長172nmのエキシマランプにおける照射エネルギーと二酸化ケイ素の膜厚の関係を示した図である。 エキシマランプ照射後の樹脂ガラス基板表面の光学顕微鏡観察結果を示した図で有り、図3Aは波長172nmのエキシマランプ照射後を示し、図3Bは波長157nmのFレーザー照射後を示している。 エキシマランプとFレーザーにおける光の回り込みの様子を示す模式図であり、図4Aはエキシマランプの場合の様子を示し、図4Bはレーザーの場合を示し、図4Cは図4AおよびBの断面におけるメッシュマスク上の位置関係を示す。 メッシュマスクの開口長を変化させたときの耐熱性試験におけるクラック耐性を示す図(耐熱試験の温度は110℃)である。 メッシュマスクの開口長および開口率を変化させたときのテーバー摩耗試験ASTM D1044の1000cycleにおけるΔヘイズ(ΔH1000)の値を、照射エネルギーを横軸に取って示した図である。 メッシュマスクの開口率を変化させたときの耐摩耗性および耐熱性を示す図であり、図7Aはテーバー摩耗試験1000cycleにおける耐摩耗性を示す図、図7Bは耐熱性試験におけるメッシュマスクの開口率および照射エネルギーに対する依存性を示す図である。 編み物のメッシュマスクの光学顕微鏡写真を示す図であり、図8Aは編み物のメッシュマスクを樹脂ガラス板に装着した状態、図8Bは編み物のメッシュマスクを樹脂ガラス板に装着する前の伸張しない状態を夫々示している。 編み物によるメッシュマスクについての測定値を加えた図であり、図9Aはメッシュマスクの開口長および開口率を変化させたときのテーバー摩耗試験1000cycleのΔヘイズ(ΔH1000)の値を、照射エネルギーを横軸に取って示した図、図9Bはテーバー摩耗試験1000cycleのΔヘイズ(ΔH1000)のメッシュマスクの開口率および照射エネルギーに対する依存性を示した図、図9Cは耐熱性試験におけるメッシュマスクの開口率および照射エネルギーに対する依存性を示した図である。 実施例1の構成図を示した図であり、図10Aは実施例1の構成の断面図、図10Bはエキシマランプの管長が樹脂ガラス板の幅よりも長い場合におけるX−Y電動ステージの移動の様子を示す図、図10Cはエキシマランプの管長よりも樹脂ガラス板の幅が長い場合のX−Y電動ステージの移動方法の説明図である。 実施例1における耐熱性試験結果を示した図であり、図11Aは伸縮性樹脂メッシュマスクを使用しエキシマランプを照射した樹脂ガラス表面の耐熱性試験後の光学顕微鏡写真を示す図、図11Bは、メッシュマスクを使用しないでエキシマランプを照射した樹脂ガラス表面の耐熱性試験後の光学顕微鏡写真を示す図である。 実施例1における耐紫外線性試験結果を示した図であり、図12Aは伸縮性樹脂メッシュを使用した場合の試料表面の光学顕微鏡観察結果を示し、図12Bはメッシュマスクを使用しない場合の試料表面の光学顕微鏡観察結果を示す。 実施例2の構成図を示した図であり、図13Aは樹脂ガラス板の構成図、図13Bは樹脂ガラス板とエキシマランプの位置関係を示す図である。
出願人によるPCT/JP2016/064282「樹脂ガラス板及びその製造方法」によれば、シリコーンポリマーにセルロースナノファイバーを添加して真空紫外線照射により二酸化ケイ素に改質した例が示されている。この出願に開示された発明の効果として、適量のセルロースを添加することにより、耐熱性が向上する。この出願においては、適量のセルロースが添加され、真空紫外線による二酸化ケイ素への改質が行われる。シリコーンポリマーに添加されたセルロースは、真空紫外線を吸収し二酸化ケイ素の膜厚を成長させるのに大きなエネルギーを必要とした。
二酸化ケイ素膜は、その膜厚を厚く成長させた方が耐擦傷性を向上させる。特許文献1においては、直径1mmの金属マスクを利用して、極めて小面積の二酸化ケイ素膜を生成し、かつ1μm以上の膜厚の実現を示唆している。一方、特許文献2においては、改質の際の体積変化により内部応力が保持され、改質部にクラックが生じるため、面積を広くして膜厚を厚くするには限界があることが示されている。
さらに、出願人による特願2017−045596号(以下、「出願人による先願1」)と称する)においては、3mm、1mm、300μm、150μm及び50μmのメッシュマスクを使用し、光照射領域すなわち改質面積を細分化することにより、二酸化ケイ素膜の膜厚を増した場合に生ずるクラックを抑制が可能である一方、耐熱性試験において生ずるクラックは抑制できないことを示した。出願人による先願1では、この解決手法として、耐熱性試験におけるクラックを抑制し、耐熱性を向上するために、スチールウールにより擦傷処理を行うことが適していることを示した。
発明者らは、このような背景において、二酸化ケイ素膜を表面に有する樹脂ガラス板として耐熱性を向上させることの検討を行った。合わせて、二酸化ケイ素膜の膜厚を厚くして、耐擦傷性の向上を図ることも検討した。
図1A、図1Bは、本発明に係る樹脂ガラス板の断面を模式的に示した図である。
樹脂ガラス板100は、樹脂基板1と、その上に形成されたプライマー層2と、その上を被覆したハードコート層3とから構成される。プライマー層2及びハードコート層3はそれぞれディップコーティング法により形成され、該ハードコート層3の表面側の一部に二酸化ケイ素からなる改質層(硬質薄膜)4が形成されている。図1Aは、樹脂ガラス板100の表面に波長172nmのエキシマランプ光5を直に照射するが、図1Bの樹脂ガラス板100は、正方形の金属製メッシュマスク6(図1C)により被覆した後に、波長172μmのエキシマランプ光5を照射する。これにより、図1Bの構成においては、エキシマランプ光5を縦横の行列に整列した多数の小領域からなるパターン状でハードコート層3に照射し、二酸化ケイ素からなる改質層4を形成する。メッシュマスク6は、レーザーを通さない縦横行列状の窓を構成する格子部7と、格子部7の窓にエキシマランプ光5を通す正方形状の透過部8が設けられている。
メッシュマスクとしては、金属製メッシュマスクや樹脂製メッシュマスクが知られている。これらは、縦線と横線を織ったものである。図1Dに、上市されている金属製メッシュマスク6について、透過部8の一辺の開口長t、格子部7の格子線幅wおよび、開口率を示した。金属製メッシュのメッシュ番号は、1インチ(25.4mm)あたりの目の数を示している。メッシュマスクとしてマスクメーカが公称している公称値と、開口長tの実際の測定値には若干の偏差がある。以下の、公称値を開口長tとして用いることにする。
図1Dにおいて、例えばメッシュ番号100は、1インチ当たり100個の目の数を有し、縦線、横線として使われる金属線の直径は0.087mmである。よって、((25.4/100)−0.087)mmがおよそ実際の開口長tであり、(t/(t+0.087))が、開口率である。メッシュマスクを形成する金属線の直径(格子線幅w)は、メッシュ番号により所定の直径を持つものが使用されている。
樹脂製メッシュマスクは、ナイロンメッシュクロス、ポリエステルメッシュクロス、ポリテトラフルオロエチレンメッシュクロス、ポリプロピレンメッシュクロス等が上市されているが、金属製メッシュのメッシュと同様に、縦横に糸を織った織物である。おおよその目安として、金属製メッシュマスクのメッシュ番号16に対応する樹脂製メッシュマスクは、開口長1.0mmであり、開口率70−40%(製品による、ナイロンメッシュの場合の糸の太さは330μm)である。また、メッシュ番号100に対応する樹脂製メッシュマスクは、開口長150μmであり、開口率は50−30%(製品による、ナイロンメッシュの場合の糸の太さは93μm)である。金属製メッシュマスクも樹脂製メッシュマスクも、エキシマランプ光5に対して透過部8以外は不透過である。
次に、樹脂ガラス板100の構成について説明する。
樹脂基板1は、樹脂であれば材質は問わないが、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート又はスチレン系重合体等の透明樹脂、あるいは各種オレフィン系樹脂の板が望ましい。
プライマー層2としては、樹脂基板1とハードコート層3との密着性の向上、耐衝撃性や耐候性の向上等の目的で設けられるが、本発明に於いては、樹脂基板1の表面に生じている傷を消失する効果も有する。このようなプライマー層2は、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等の各樹脂を使用することが可能である。
ハードコート層3は、シリコーンポリマーからなり、具体的には、アルコキシシランをベースとして、縮合反応を経由して得られたシロキサンゾルを、加水分解して得られるシロキサン樹脂を用いる。あるいは、光開始剤を含有した光硬化型アクリル・シリコーンハイブリッドポリマーを用いてもよく、さらに硬度や耐擦傷性を高めるために、コロイダルシリカ等の硬質の粒子を適量添加してもよい。また、上記プライマー層の機能とハードコートの機能を包括した1層構成のシリコーンポリマーを用いることも、本発明の効果を損なうものではない。
改質層4は、ハードコート層3の表面側の一部をエキシマランプ光5により改質したものであり、二酸化ケイ素を主成分とする薄膜からなる。エキシマランプとしては、その波長が126nm(Ar)、146nm(Kr)、172nm(Xe)が使用可能である。
図2は、エキシマランプの照射エネルギーと二酸化ケイ素の膜厚との関係を示している。エキシマランプとしては、波長172nmのキセノン(Xe)エキシマランプを用いた。メッシュマスク6の有無に拘わらず、4000mJ/cm程度の照射により0.6μm程度の膜厚、8000mJ/cm程度の照射によりにより1μm程度の膜厚の二酸化ケイ素膜が形成される。但し、膜厚が厚くなるに従って、二酸化ケイ素に改質するための酸素が大気中から酸素が取り込めず、ハードコート層3内の酸素が欠乏してくるため、膜厚の成長の速度は鈍化する。また二酸化ケイ素膜の光吸収係数は、波長172nmにおいて1×10cm−1程度であるため、1.3μm程度でその膜厚は飽和する。波長が短くなるに従い、二酸化ケイ素膜の光源波長に対する透過率は低下し、波長146nm(Kr)の場合は約0.8μm、波長126nm(Ar)の場合は約0.4μmで二酸化ケイ素の膜厚が飽和する。従って、より厚い二酸化ケイ素膜を得るためには、波長172nm(Xe)を用いることが望まれる。
以降、本明細書において使用したエキシマランプは波長172nmのXeエキシマランプである。
図3は、エキシマランプを9000mJ/cm照射し、約1μmの膜厚の二酸化ケイ素を形成したときの樹脂ガラス板100の表面の光学顕微鏡写真である。図3Aは開口長が150μmの金属製メッシュマスク5を使用した場合であり、図3Bは、比較のためエキシマランプに代えて波長157nmのFレーザーを同じく9000mJ/cm照射した場合である。Fレーザーを照射した表面は、メッシュマスクの開口形状に対応した行列状の正方形パターンが認められ、この正方形の内側がレーザー照射により二酸化ケイ素に改質されたため、若干の表面の後退(くぼみ)が生じている。これに対し、エキシマランプを照射した場合は、このメッシュマスクによるパターンが認められない。これは、エキシマランプの場合は、メッシュマスクの格子部分の直下に光が回り込むために、改質に伴うくぼみは、なだらかな傾斜を描いたものとなるために、その判別ができなくなったものと考えられる。
図4は、図4Cにおけるa−a’の線に沿った断面について、Xeエキシマランプ(図4A)とFレーザー(図4B)における光の格子部直下の回り込みの様子を模式的に示したものである。インコヒーレントなエキシマランプの光の回り込みにより、深さ方向のみならず、横方向にも二酸化ケイ素(SiO)からシリコーン樹脂(SiO−R、Rは有機官能基)に徐々に組成が変化する傾斜組成が形成されていると想定される。後の実験例において述べる様に、エキシマランプを移動しながら照射することにより、回り込みの影響は顕著である。これに対しコヒーレント光であるFレーザーの場合は、その直進性の強さゆえ、マスクの格子部直下への光の回り込みはほとんど生じず、レーザー照射部と非照射部の境界には、二酸化ケイ素とシリコーン樹脂の明確な界面が生じる。特に、レーザーは単色光で直進性が強く、改質領域と未改質領域の境界p1においては、明確な界面が生じることにより、二酸化ケイ素形成時の収縮に伴う強い引張応力が生じているものと想定される。Fレーザーの場合には移動しながら照射しても回り込みは期待できない。
レーザーの場合は、出願人による先願1で示されているように、メッシュマスクの開口長を小さくすることにより、特許文献2でクラックが生じない限界の膜厚とされる0.6μmを超えて膜厚が増加してもクラックの発生を抑制することが可能だが、加熱時のクラックを抑制することはできないため、出願人による先願1に示されたような表面の擦傷処理を行う必要があった。
図5は、エキシマランプを用いた場合におけるメッシュマスクの開口長を変化させたときの耐熱性試験でのクラック耐性を示す図である。耐熱性試験の温度は110℃で、試験時間は1000時間である。また、ランプの照射エネルギーは、0〜12000mJ/cmの間で変化させた。図中○印はクラックが生じない条件で、×印はクラックが生じた条件を示す。メッシュマスクを使用しない場合は開口長が十分長い場合に相当する。結果によれば、開口長を小さくするに従い、照射エネルギーが高い場合においても耐熱性試験においてクラックが生じない。開口長が1.4mm以下のとき、照射エネルギーに関わらず、耐熱性試験においてクラックが生じなかった。
ここにおいては、エキシマランプを用いた場合に限定すれば、開口長1.4mm以下のメッシュマスクを使用することにより、出願人による先願1に示された擦傷処理を行う場合と同様に耐熱性を向上させることができることが判明した。
しかしながら、図1Dに示したように、開口長が大きくなると開口率も大きくなる。メッシュマスクが無い場合は、開口率が100%に相当する。よって、開口率がクラックに影響を与えている可能性は否定できない。
図6は、エキシマランプを用いた場合におけるメッシュマスクの開口長および開口率を変化させたときのテーバー摩耗試験1000cycleのΔヘイズ(ΔH1000)の値を、照射エネルギーを横軸に取って示した図である。図中に、メッシュの開口長を変えた複数のプロットを示した。使用したメッシュマスクは、公称値150μm(開口率40%)の金属メッシュマスクと、公称値2mm(開口率71%)のポリテトラフルオロエチレン製樹脂メッシュマスクである。なお、ΔHはテーバー摩耗試験前後のヘイズの変化を示し、数値が低いほど優れた耐摩耗性を示す。ちなみに、自動車における運転視界に係る窓には、ΔH1000≦2%が必要とされている。
以上の結果から、エキシマランプの照射エネルギーの増加とともにΔHは減少することが明らかであり、ΔHはメッシュマスクの開口長に依存しない。メッシュマスクを使用しない場合の方が、メッシュマスクを使用した場合に比べて、同一のエネルギー照射で最も低いΔHが得られている。言い換えれば、光が照射される面積の割合が大きいほど耐摩耗性が改善される傾向が見られ、メッシュマスクを使用しなければ光が照射される面積の割合を最大にすることができる。しかしながら、上市されているメッシュマスクによれば、エキシマランプを用い、開口率71%として最大となる公称値150μmのメッシュマスクを用いたとしても、メッシュマスクを使用しない場合の2000mJ/cmと同程度の耐摩耗性を得ることはできず、倍の4000mJ/cmを照射しないとΔH1000を2%以下にできないことが判明した。
図7にメッシュマスクの開口率を変化させたときの耐摩耗性および耐熱性を示す。図7Aは、テーバー摩耗試験1000cycleにおけるΔヘイズ(ΔH1000)のメッシュマスクの開口率および照射エネルギーに対する依存性を示す。この図において開口率100%はメッシュマスクを使用しない場合を示す。メッシュマスクを使用しない場合に対し、メッシュマスクの開口率が低下するに従い、ΔH1000が2%以下とするために必要な照射エネルギーは高くなる。これは、メッシュマスクの格子部分が光を遮蔽することにより、二酸化ケイ素に改質されない部分が生じ、これにより耐摩耗性を低下したことが原因と考えられる。従って、メッシュマスクの格子部分の面積を小さくすることにより開口率を高めた結果、低い照射エネルギーにおいても、高い耐摩耗性が得られるものと考えられる。
また、図7Bに、耐熱性試験におけるメッシュマスクの開口率および照射エネルギーに対する依存性を示す。クラックは照射エネルギーが高くなるほど生じやすくなり、開口率に依存するかのような傾向がみられた。
ここまでの検討においては、高い耐摩耗性を高める為には開口率を高くして、二酸化ケイ素の膜厚を厚くするのが望ましいが、開口長1.4mm若しくは開口率71%を超えると、クラックが生じ易くなることが実験値で得られたということである。
開口長が1.4mm以下のメッシュマスクとして上市されている金属製メッシュマスクの開口率は開口長1.4mmのものが最も大きくて71%であり、開口長が短くなるにつれて開口率も減少する傾向である。樹脂製メッシュマスクについても、開口長が金属製メッシュマスクの1.4mmに相当する樹脂製メッシュマスクを含め、さらに開口長の小さい樹脂製メッシュマスクは、開口率が小さいものしか存在しない。
開口長が1.4mm以下であり、かつ開口率が71%を超える場合については、上市されているメッシュマスクが無い状態であった。ちなみに、1.4mmの開口長を有するメッシュマスクにおいて、80%以上の開口率を得るためには、格子線幅は170μm以下とする必要がある。170μm以下の金属線若しくは樹脂糸の細線で、1.4mmを開口長とするメッシュマスクを具現化することは困難である。
発明者らは、開口長と開口率との関係について鋭意探求を行った。発明者らは、ポリウレタン繊維とナイロン繊維とを束ねて緯編(よこあみ)と呼ばれる方法で編み込んだ編み物で伸縮性を有するものがメッシュマスクとして利用できることを見いだした。この編み物は、ストッキングやタイツの名称で市販されている靴下であり、50デニール以下の繊維径を有する編み物(以下、「編み物のメッシュマスク」と称する)である。
編み物のメッシュマスクは、市販されているものは人間の足のサイズに筒状に編み上げられており、伸縮性に富み、樹脂ガラス板を筒状の編み物の中に挿入したときに、伸張状態で樹脂ガラス板に密着する。従って、樹脂ガラス板が凸状に湾曲していても、その形状に追従が容易であるし、樹脂ガラスに被覆するための特別なサポート材が必要無い。また、筒状であるため、樹脂ガラス表面を被服した一方側が真空紫外線照射により傷んでも、樹脂ガラス裏側を被覆した他方側が利用できる。
図8Aに編み物のメッシュマスクを樹脂ガラス板に装着した状態の光学顕微鏡写真を示す。メッシュの格子部の幅が約60μm、開口長が700μm程度になっている。編み物のメッシュマスクの透過率を、ヘイズメータ(日本電色、NDH4000)にて測定したところ86%と測定された。従って編み物のメッシュマスクの開口率は86%であることが明らかとなった。図8Bに編み物のメッシュマスクを樹脂ガラス板101に装着する前の伸張しない状態における光学顕微鏡写真を示す。この状態における開口率は69%と測定された。従って樹脂ガラス板に装着する際に編み物のメッシュマスクが引き伸ばされることにより開口率が高くなったことは明らかである。また、樹脂ガラス板に装着する前の編み物のメッシュマスクは、開口部の形が三角形に近いが、装着後は円形に近い形状となっている。改質部の形状に鋭角部分が存在すると改質に伴い生ずる引張応力が鋭角部分に集中するため好ましくない。従って、図8Aのような円形に近い形状が応力の影響を除くためにも望ましいものと考えられる。
図9には、編み物によるメッシュマスクについての測定値を図6と図7の測定値に追加して示した。図9Aは、図6に対応しており、エキシマランプを用いた場合におけるメッシュマスクの開口長および開口率を変化させたときのテーバー摩耗試験1000cycleのΔヘイズ(ΔH1000)の値を、照射エネルギーを横軸に取って示した図である。編み物によるメッシュマスクを伸張して開口長500μm、開口率は80%にした場合と、さらに伸張して開口長600μm、86%にした2つの場合を追加している。開口率を10%広げた80%となっただけで、照射エネルギー2000mJ/cmでも、容易にΔH1000を2%以下になることが判明した。また、さらに6%広げると、メッシュマスクの無い状態(開口率100%)に近づくことも判明した。
照射エネルギーは、照射する時間によって設定することが一般的で有り、照射エネルギーが少なくて済むことは、エネルギー消費量や、ランプの寿命についての利点の他に、単位時間当たりの生産性が向上するという利点がある。

図9Bは、図7Aに対応しており、テーバー摩耗試験1000cycleにおけるΔヘイズ(ΔH1000)のメッシュマスクの開口率および照射エネルギーに対する依存性を示す。
図9Cは、図7Bに対応しており、耐熱性試験におけるメッシュマスクの開口率および照射エネルギーに対する依存性を示す。図7Bにおいては、限定的な開口率の条件でしか検討できなかったので、照射エネルギーが高くなるほどクラックが生じやすく、かつ開口率も71%(開口長1.4mm)より小さい方が良いとみることもできたが、開口率を80%以上に高めたものについて検証できるようになった結果、クラックは開口率に依存しないことが判明した。
すなわち、先の図5の段階では、クラックの発生は開口長に依存することはあきらかであったが、開口率に依存するかどうか不明であった。しかし、図9Cの結果により開口率には依存しないことが明らかとなったのである。
1.4mm以下の開口長を有する織物のメッシュマスクとして上市されているものの中には、開口率が80%以上の物は本願出願時点においては存在しない。一般的な織物のメッシュマスクは、図1Dに示したように、メッシュマスクの開口長が決まれば、線径が決まり、これにより開口長が小さくなるに従い、開口率は低下するからである。もし、将来的に織物のメッシュマスクとして、80%以上の開口率を有するものが出現した場合、1.4mmの開口長を有する織物のメッシュマスクに換算すると80%以上の開口率を得るためには、格子線幅は170μm以下とする必要がある。また、開口長が小さいほど耐熱性の向上が認められたが、例えば開口長が50μmの場合に80%以上の開口率を得るためには、格子線幅は6μm以下とする必要がある。これは樹脂繊維において0.5デニール以下の繊維径に相当する。この繊維径のものは通常、不織布として利用される。従って、織物のメッシュマスクを作製する場合は、格子線幅は6μm以上、開口長を50μm以上とすることが必要となる。
以上をまとめると、エキシマランプと組み合わせて使用するメッシュマスクは、編み物、織物を含め開口サイズが50μm〜1.4mmで、かつ開口率が80%以上であり、これを満たすメッシュマスクの格子幅は、6μm〜170μmの範囲に存在する。
(実施例1)
以上の実験結果を基に、実施例について説明する。
図10に実施例1の構成を示す。厚さ3mmで平板状の透明ポリカーボネート基板10上にプライマー層11として熱硬化型のアクリル樹脂モメンティブSHP470−FT2050をディップコーティング法にて塗布した。塗布後に130℃30分の硬化を行い、次いで、ハードコート層12として熱硬化型シリコーン樹脂モメンティブAS4700Fをディップコーティング法にて塗布した。塗布後に120℃30分の硬化を行った。硬化後の各層の膜厚は、干渉式膜厚計によりプライマー層11が約3μm、ハードコート層12が約7μmと測定された。以上のプライマー層11およびハードコート層12を塗布した透明ポリカーボネート基板10を樹脂ガラス板101とした。次いで編み物のメッシュマスク13を、樹脂ガラス板101上のハードコート層12に接触して設置した。ここで使用する編み物のメッシュマスク13は、ポリウレタン繊維とナイロン繊維とを束ねて緯編(よこあみ)と呼ばれる方法で編み込んだもので伸縮性を有するものとした。1本当たりの繊維径は30μm程度(約10デニール)とした。メッシュマスク13を伸張して樹脂ガラス板101を被覆し、メッシュの格子部の幅を約60μm、開口長を700μm程度とした。編み物のメッシュマスク13の透過率は、86%である。
続いて、メッシュマスク13を装着した樹脂ガラス板101をX−Y電動ステージ14上に設置し、Xeエキシマランプ15を照射した。Xeエキシマランプ15の管面と樹脂ガラス板101表面との距離は5mmとし、この空間に窒素ガス16を導入し、酸素をパージした。このときXeエキシマランプ15直下の酸素濃度は、ジルコニア式酸素濃度計による測定によれば、1%以下であった。
図10Bに、X−Y電動ステージ14の移動方法を示す。この例は、Xeエキシマランプ15の管長が、樹脂ガラス板101の幅よりも長い場合を想定したものである。この場合、X−Y電動ステージ14を一軸方向に一定速度で動かし(走査し)、樹脂ガラス板101の表面全体に均一に真空紫外線が照射されるようにした。Xeエキシマランプ15による照射エネルギーは、あらかじめ紫外線照度計(浜松ホトニクス、C9536/H9535−172)を用いて測定し、X−Y電動ステージ14の移動速度を決定した。
図10Cに、Xeエキシマランプ15の管長よりも、樹脂ガラス板101の幅が大きい場合のX−Y電動ステージ14の移動方法を示す。Xeエキシマランプ15の管長に対し直角方向に走査する場合は現在の照射領域17内を一定速度v1で移動させ、隣の照射領域17に移動する場合は速度v1よりも早い速度v2で移動することにより、移動時の照射エネルギーの増加を抑制した。あるいは、隣の照射領域18への移動は、樹脂ガラス板101の外で行ってもよい。また、樹脂ガラス板101の幅が、Xeエキシマランプ15の管長の整数倍でない場合、実際はこの場合のほうが多いが、Xeエキシマランプ15を樹脂ガラス板101からはみ出した状態で走査してもよい。Xeエキシマランプ15の有効照射長の端部が、隣の照射領域18と接するようにしてX−Y電動ステージ14を一定速度にて移動させるのがよい。
図11に実施例1における、耐熱性試験の結果を示す。開口長約700μm、格子線幅60μmの伸縮性樹脂メッシュマスクを使用した場合と、使用しない場合の耐熱性試験の結果を示す。照射エネルギーは、9000mJ/cmで110℃1000時間後の基板表面の顕微鏡観察結果である。メッシュマスクを使用しない場合は、多数のクラックが生じたが、メッシュマスクを使用した場合にはクラックは認められなかった。
図12に実施例1における耐紫外線性試験の結果を示す。本試験は、1kWの高圧水銀灯の管面の直下50mmの位置に樹脂ガラス表面がくるように設置し、40時間連続で照射した後の、光学顕微鏡観察像を示したものである。エキシマランプの照射エネルギーは4500mJ/cmとした。図12Aは実施例1の樹脂製メッシュマスクを使用した結果で、図12Bは比較のためにメッシュマスクを使用せずにエキシマランプを照射した場合である。樹脂製メッシュマスクを使用しない場合は、無数のクラックが生じているが、樹脂製メッシュマスクを使用することにより、クラックはほとんど生じていないことが明らかで、そのクラック抑制効果が非常に大きいことが示された。
さらに、メタルハライドランプを用いた超促進耐候性試験を行った結果、樹脂製メッシュマスクを使用した場合は、500時間経過後もクラックやハードコートの剥離等の問題は起こらなかった。
(実施例2)
図13に、実施例2の構成を示す。図13Aは本実施例における樹脂ガラス板の構成図であり、射出圧縮成形法により製作し、厚さ5mmの曲面形状を有する、大きさ1m×1.5mの透明ポリカーボネート基板20の凸状の表面全体に、実施例1と同様の光化学改質による二酸化ケイ素膜を形成するものである。
実施例1と同様の方法で、プライマー層21およびハードコート層22を形成し、これを樹脂ガラス板201とした。次いで、編み物のメッシュマスク23を伸張した状態でハードコート層22に接触して装着した。樹脂ガラス板201に装着する前のメッシュマスク23の格子線幅および開口長は実施例1と同一とした。図13Bに樹脂ガラス板とエキシマランプとの位置関係を示す。メッシュマスク23をハードコート層22に接触させる前に、樹脂ガラス板201に接触する側のメッシュマスク23の面にあらかじめ再剥離可能なスプレー式の粘着剤24を噴霧塗布し乾燥させた。これにより凸状の樹脂ガラス板201表面の曲率Rが比較的小さい場合でも樹脂製メッシュマスク23がずれることはなかった。この樹脂ガラス板201を搬送用アーム25に固定し、あらかじめ設定されたプログラムに従って可動させることにより、Xeエキシマランプ26の管面から最短で5mm程度の距離を維持しながら樹脂ガラス板201の表面全体に照射した。Xeエキシマランプ26は蛍光灯のような円筒状をなしており、曲面形状の樹脂ガラス板201に対して、最短距離d1を5mmとした場合には、その他の部位における距離d2は5mm以上となり、樹脂ガラス板201の曲率Rが小さいほど距離の開きが大きくなる。距離が近いほど、Xeエキシマランプ26の光が減衰せずに樹脂ガラス板201表面に到達するため、照射エネルギーが大きくなり、逆に距離が大きいと照射エネルギーが小さく、この付近における搬送速度を低くしたとしても、部位や形状の違いによる照射エネルギーの分布が生じやすい。本実施例では、Xeエキシマランプ26の管面に近い場合は、樹脂製メッシュマスク23の開口長を小さくした状態で樹脂ガラス板201表面に固定し、また、エキシマランプの管面より樹脂ガラス板201表面が離れている場所(距離d2)は、樹脂製メッシュマスク23の開口長を大きくして単位面積当たりの照射エネルギーを均一にすることができる。
以上、凸状の成形体表面の改質について説明したが、凹状の表面についても粘着剤24により、メッシュマスク23を成形体表面に固定することが可能である。
1 樹脂基板
2 プライマー層
3 ハードコート層
4 改質層
5 エキシマランプ光
6 メッシュマスク
7 格子部
8 透過部
100 樹脂ガラス板
10 ポリカーボネート基板
11 プライマー層
12 ハードコート層
13 メッシュマスク
14 X−Y電動ステージ
15 Xeエキシマランプ
16 窒素ガス
17 照射領域
18 照射領域
101 樹脂ガラス板
20 ポリカーボネート基板
21 プライマー層
22 ハードコート層
23 メッシュマスク
24 粘着剤
25 搬送用アーム
201 樹脂ガラス板
本発明の樹脂ガラス板の製造方法は、樹脂基板をハードコート層により被覆した樹脂ガラス板の製造方法であって、
前記ハードコート層を湿式法によりシリコーンポリマーを用いて形成する工程と、
波長172nm以下のエキシマランプを光源とした紫外光源とハードコート層との間に編み物のメッシュマスクを引き伸ばして配置する工程と、
このハードコート層の表面に、前記紫外光源の真空紫外光線を照射して二酸化ケイ素膜に改質する工程とからなり、
上記メッシュマスクは、前記引き伸ばしたとき、ヘイズメータの測定値が80%以上100%未満の開口率であり、縦横1.4mm以下の開口とされていることを特徴とする。
また、本発明の他の樹脂ガラス板の製造方法は、樹脂基板をハードコート層により被覆した樹脂ガラス板の製造方法であって、
前記ハードコート層を湿式法によりシリコーンポリマーを用いて形成する工程と、
波長172nm以下のエキシマランプを光源とした紫外光源とハードコート層との間に織物のメッシュマスクを設ける工程と、
このハードコート層の表面に、前記紫外光源の真空紫外光線を照射して二酸化ケイ素膜に改質する工程とからなり、上記メッシュマスクは開口長が50μm〜1.4mmで、かつ開口率が80%以上100%未満であることを特徴とする
また、メッシュマスクの材質として、ポリウレタン繊維を含む樹脂製とすることにより伸縮性を付与し、曲面形状に追従することで、曲面樹脂ガラスの表面に均一な光化学改質を行うことを特徴とする。
本発明の樹脂ガラス板は、所定の厚さだけ二酸化ケイ素に改質された多数の二酸化ケイ素膜の領域が離散的にシリコーン樹脂層の表面に設けられており、
隣合う前記二酸化ケイ素膜の領域の間は、当該隣合う両側の二酸化ケイ素膜の領域の端から始まり二酸化ケイ素からシリコーン樹脂に徐々に組成が変化する傾斜組成になっており、
かつ、前記各二酸化ケイ素膜の領域の縦横一辺が50μm〜1.4mmの範囲内であり、隣合う前記二酸化ケイ素膜の領域の間の幅は、前記二酸化ケイ素膜の領域の一辺が50μmのときに6μmであり、前記二酸化ケイ素膜の領域の一辺が1.4mmとのときに170μmとすることにより前記二酸化ケイ素膜の領域の割合が前記シリコーン樹脂層の表面の80%以上100%未満とされていることを特徴とする。

Claims (5)

  1. 樹脂基板をハードコート層により被覆した樹脂ガラス板の製造方法であって、
    前記ハードコート層を湿式法によりシリコーンポリマーを用いて形成する工程と、
    ハードコート層と上記紫外光源の間にメッシュマスクを設ける工程と、
    このハードコート層の表面に、波長172nm以下のエキシマランプを光源とした真空紫外光線を照射して二酸化ケイ素膜に改質する工程とからなり、上記メッシュマスクは開口長が50μm〜1.4mmで、かつ開口率が80%以上であることを特徴とする樹脂ガラス板の製造方法。
  2. 前記メッシュマスクは伸縮性を有し、曲面形状の樹脂基板の表面に接触した状態で、上記紫外光線の照射を行うことを特徴とする請求項1に記載の樹脂ガラス板の製造方法。
  3. 前記メッシュマスクは、少なくともポリウレタン糸を含む樹脂繊維を編み込んだものであり、引き伸ばすことにより開口の長さおよび開口率が変化させられることを特徴とする請求項1に記載の樹脂ガラス板の製造方法。
  4. 前記メッシュマスクに再剥離可能な粘着剤を塗布し、その後前記メッシュマスクを前記樹脂ガラス板の表面に固定することを特徴とする請求項1の記載の樹脂ガラス板の製造方法。
  5. 請求項1の製造方法により作成された樹脂ガラス板。
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