JP2019170962A - ガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローとその使用方法 - Google Patents

ガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローとその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】あらかじめ希釈液を充填して凍結したストローに、ガラス化した胚を載置したガラス化器具を挿入して封入し、ストローごと微温湯に投入することで、自動的にガラス化胚を融解希釈し、そのまま移植器に装填して移植できるようにすることを目的とする。【解決手段】ストロー内に適宜間隔の空気層を介して前記ガラス化器具の端部の胚載置部位まで到達しない位置に希釈液層が充填され、かつ加温による融解によって前記空気層が膨張することと脱気孔により圧力調整されることにより、直ちに希釈液層が前記ストロー内を前記ガラス化器具の端部の胚載置部位まで移動し、前記希釈液層で哺乳動物胚を希釈して胚移植することを可能としたことを特徴とするガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストロー。【選択図】図5

Description

本発明は、ガラス化した哺乳動物胚を、ストロー型容器内において超低温状態で保存し、加温により融解および希釈して胚移植するためのストローおよびその使用方法に関する。
[技術的背景1]
哺乳動物胚の凍結保存は、特定の系統や品種の遺伝資源の長期保存を可能とし、絶滅の危機に瀕している動物種の維持にも有効である。畜産業においては凍結保存した胚の胚移植により、家畜の改良速度等が飛躍的に向上し、家畜の中ではウシにおいて胚移植が最も普及している。ウシの胚移植においては、ストローと呼ばれるプラスチック製の容器に凍結保存液と共に胚を封入して凍結し、液体窒素中に保存するのが一般的となっている。
現在、農家現場において一般的に利用されている緩慢凍結法で胚を凍結する場合、凍結保存液に含まれる凍害防止剤の濃度は10%程度で、胚に対する毒性が低いことから、融解したストローをそのまま移植器に装填して、雌牛の子宮に注入(胚移植)する直接移植法(ダイレクト移植法)が可能となっている。
[技術的背景2]
緩慢凍結法では、−30℃前後までは緩慢冷却により細胞外の氷晶形成と細胞の脱水が徐々に進むことで、細胞内および細胞周辺の凍結保存液は塩類や凍害防止剤の濃度が高まっていく。塩類や凍害防止剤の濃度が適度に高まった段階で液体窒素に投入して急速冷却すると、氷晶が形成されずにガラス化状態となり、細胞はほとんど障害を受けない状態で凍結保存されることとなる。
一方、ガラス化保存法は、緩慢冷却によって生じた細胞内と細胞外の状況、すなわち、凍害防止剤や塩類が濃縮されてガラス化されやすい状態を、ガラス化保存液を用いてつくりだした後、液体窒素で急速冷却することで細胞内と細胞周辺だけでなく、ガラス化保存液全体をガラス化する方法である。
ガラス化保存法では、通常40〜60%程度の高濃度の凍害防止剤が含まれるガラス化保存液が用いられ、胚に対して毒性が強いことから、ストロー内で融解した胚は一旦ストローから取り出し、シャーレ等にて濃度の低い希釈液に移し替え、胚の中に浸透している凍害防止剤を希釈して除去しなければならず、移植には胚を再びストロー内に吸引収納して移植器に装填する必要があった。この時の胚の操作には実体顕微鏡等が必要で、衛生的な取り扱いが求められることから、農家現場での作業は困難であった。
そこで、ストロー内でガラス化した胚から凍害防止剤を希釈して直接移植する方法の開発が進められてきた。例としては、ストロー内にガラス化保存液と希釈液を空気層を挟んで配置し、融解時にストローを振ることで2つの層を混ぜ合わせて、胚から凍害防止剤を希釈する方法(振とう法)や密度差を利用して2つの層を混ぜ合わせることで、凍害防止剤が胚から希釈される方法(重層法)などがあげられる。
以下にその代表的な例を示す。
特開平5−176946号公報(特許文献1参照)−重層法の例
特開平10−277067号公報(特許文献2参照)−振とう法の例
しかし、高濃度の凍害防止剤を含むガラス化保存液は粘性が高いため、希釈液との混和が安定しないこと、また、ストローを使う方法では冷却や融解に伴う各種障害(例えば、脱ガラス化等による氷晶形成障害およびフラクチャー障害)を完全に防ぐことができないといった課題が残され、普及には至らなかった。
[技術的背景3]
近年、これまでのストローを用いたガラス化法ではなく、極少量のガラス化保存液に胚を収めた極細のストローやチップ、あるいは極微量のガラス化保存液と一緒に胚を載せた特殊なループやフィルム等を直接液体窒素に触れさせて、より急速に胚を冷却する超急速ガラス化法が開発されている。これらの方法は、冷却や融解の過程で氷晶形成されやすい危険温度域を極めて短時間で通過させることが可能で、凍害防止剤の濃度を30%程度までに抑えることもでき、氷晶形成障害やフラクチャー傷害が発生しないことから、非常に高い生存率が得られている。近年ではヒトの生殖補助医療分野において臨床応用が進んでいるところであり、家畜においても活用が期待されている。
以下にその代表的な例を示す。
特開2001−252293号公報(特許文献3参照)−ゲルローディングチップ法
特開2007−126471号公報(特許文献4参照)−クライオループ法
特開2002−315573号公報(特許文献5参照)、特開2006−271395号公報(特許文献6参照)−クライオトップ法
しかし、これらの超急速ガラス化法は、微量のガラス化保存液と胚を取り扱うための特殊なガラス化器具を用いることから、胚を移植するためにはシャーレ等にて融解して凍害防止剤を希釈した後、移植用ストローに吸引収納して移植器に装填する必要があった。これらの作業は実体顕微鏡を用いて衛生的に行う必要があり、また作業が非常に煩雑であった。そこで、超急速ガラス化した胚においてもストロー内で融解して凍害防止剤を希釈し、そのまま移植器に装填して直接移植するための技術開発が進められてきた。
以下にその代表的な例を示す。
特開2006−149231号公報(特許文献7参照)
特開2014−184056号公報(特許文献8参照)
特開2018−7662号公報(特許文献9参照)
特開平5−176946号公報 特開平10−277067号公報 特開2001−252293号公報 特開2007−126471号公報 特開2002−315573号公報 特開2006−271395号公報 特開2006−149231号公報 特開2014−184056号公報 特開2018−7662号公報
しかし、超急速ガラス化保存した胚をストロー内で融解して凍害防止剤を希釈する場合、一般的な緩慢凍結−直接移植法に比べて作業が煩雑となっている。
以下により詳しく説明する。
1)あらかじめ希釈液を充填して凍結したストローに、ガラス化した胚を収納したガラス化器具を挿入(合体)して保存しておき、ストローごと微温湯で加温融解し、凍害防止剤を希釈して移植する技術の開発が続けられているが、ストローを微温湯に投入して融解した後、胚載置部位を希釈液に移動させる操作が必要なため煩雑であった。
2)特許文献7ではガラス化器具に磁石が取り付けてあり、融解後に磁石でガラス化器具を誘導して胚載置部位を希釈液に移動させる操作が必要となっている。
3)特許文献8および特許文献9では、ガラス化器具をストローにはめ込む構成で、融解後にガラス化器具をスライドさせて胚載置部位を希釈液に移動させる操作が必要となっている。
4)また、特許文献9には、ストロー内に収容したガラス化器具を希釈液層に落下させる方式も示されているが、融解後に落下させるという操作が必要となっている。
そこで本発明は、あらかじめ希釈液を充填して凍結したストローに、ガラス化した胚を載置したガラス化器具を挿入して封入し、ストローごと微温湯に投入するだけで、特段の操作を必要とせずストロー内で自動的にガラス化した胚を融解希釈し、そのまま移植器に装填して移植できるようにしたものである。
本発明は、ガラス化した哺乳動物胚(ヒト胚を除く、以下同じ)の保存および融解、希釈、移植用ストローであって、ストロー本体はその長さ方向の端部壁面には脱気孔が形成されており、かつストロー本体の当該位置の外周には該脱気孔の外面を封止する弾性チューブが取り付けてあり、
前記ストローに収納されて哺乳動物胚を保持するガラス化器具は、先端に設けた胚載置部位およびこれを所望の位置に固定するための適宜長さの支持体と、該支持体を前記ストローに取り付ける固定部位および錘体部位とを備えており、
前記ストロー内に適宜間隔の空気層を介して前記ガラス化器具の端部の胚載置部位まで到達しない位置に希釈液層が充填され、かつ加温による融解によって前記空気層が膨張することと脱気孔により圧力調整されることにより、直ちに希釈液層が前記ストロー内を前記ガラス化器具の端部の胚載置部位まで移動し、前記希釈液層で哺乳動物胚を自動的に融解および希釈して胚移植することを可能としたことを特徴とするものである。
ちなみに本発明において希釈とは、胚に浸透した凍害防止剤を希釈して除去することを意味するものである。
本発明のガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローにおいて、前記脱気孔の外面を封止する弾性チューブは、シリコンゴム、合成ゴム、軟質プラスチックを含む素材から選ばれたことをも特徴とするものである。
本発明のガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローにおいて、前記ガラス化器具の適宜位置に取り付けた錘体部位は、比重の大きい素材によって形成されていて、液体窒素中における浮き上がりを防止できるようにしたことをも特徴とするものである。
また本発明のガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローの使用方法は、ストロー本体の長さ方向の端部壁面に脱気孔を形成し、かつストロー本体の当該位置の外周には該脱気孔の外面を封止する弾性チューブが取り付けてある哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローを準備するとともに、
前記ストローにはガラス化器具を収納して、適宜長さの支持体を介してその端部に設けた胚載置部位に哺乳動物胚を保持することにより前記ストロー内の所望の位置に固定し、
前記ストロー内に適宜間隔の空気層を介して前記ガラス化器具の端部の胚載置部位まで到達しない位置に希釈液層を充填した上、液体窒素中で保存し、かつ加温による融解によって前記空気層が膨張することと脱気孔により圧力調整されることにより自動的かつ迅速に希釈液層が前記ストロー内を前記ガラス化器具の端部の胚載置部位まで移動し、前記希釈液層で哺乳動物胚を希釈した後、胚移植するようにしたことを特徴とするものである。
本発明のガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローの使用方法において、前記ストロー内に形成される空気層と希釈液層の対が、適宜間隔で複数対形成されていることをも特徴とするものである。
本発明のガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローの使用方法において、前記ストロー内に形成された希釈液層が、前記ストロー内に設ける空気層の数を増やすか、または空気層の容積を大きくすることで、冷却による空気層の体積収縮および加温による空気層の体積膨張と脱気孔による圧力調整との作用により、移動量を調整されていることをも特徴とするものである。
本発明において、哺乳動物とは、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ウサギ、マウス等の家畜や実験動物のほか、他のヒト以外の哺乳動物全てが含まれ、ウシが最も好適である。胚としては人工授精後採卵された体内受精胚、体外受精により生産された体外受精胚、雌雄判別胚などを広く用いることができる。また、胚のステージについては、特に限定されないが、桑実胚〜拡張胚盤胞期のものが好適である。
本発明において、ストローは、一般的に使用される人工授精または胚移植用のものが広く用いることができる。例えば、ポリ塩化ビニル製またはポリエチレンテレフタレート製の0.25mL規格のストローは、一般的な移植器に装填して使用できることから好適である。
本発明において、ガラス化保存液は、公知のものを広く採用できて特に限定されない。例えば、ダルベッコリン酸緩衝液などに、グリセロール、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、プロピレングリコール、ブタンジオールなどを単独で、または適宜組み合わせて溶解し、用いることができる。また、シュクロース、グルコース、牛血清アルブミン、トレハロース、パーコール、ポリエチレン、グリコール、ポリビニルピロリドン、フィコール血清、などを適宜添加してもよい。
また、希釈液は、公知のものを広く採用でき特に限定されない。例えば、0.1〜0.6Mシュクロースを添加したダルベッコリン酸緩衝液などを用いることができる。また、10〜30%血清を適宜含有させてもよい。
本発明のガラス化器具において、支持体の材質については、液体窒素などによる超低温状態に耐えうるものであればよく、公知のものを広く採用でき、特に限定されない。例えば、アルミやステンレス鋼といった金属類の他、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、メタクリレート−スチレン共重合体、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体など)、ポリアミド(例えば、6ナイロン,66ナイロンなど)、ポリスルホン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリ塩化ビニルなどの耐寒性樹脂を適宜用いてもよい。支持体の末端が固定部位をかねており、ストロー開口部と溶着させて封入する場合は、ストローと同じ材質、ポリ塩化ビニルまたはポリエチレンテレフタレートなどが好適である。
本発明のガラス化器具において、固定部位の材質については、液体窒素などによる超低温状態に耐えうるものであればよく、公知のものを広く採用でき、特に限定されない。例えば、アルミやステンレス鋼といった金属類の他、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、メタクリレート−スチレン共重合体、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体など)、ポリアミド(例えば、6ナイロン,66ナイロンなど)、ポリスルホン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリ塩化ビニルなどの耐寒性樹脂を適宜用いてもよい。固定部位をストロー開口部と溶着させて封入する場合はストローと同じ材質、ポリ塩化ビニルまたはポリエチレンテレフタレートなどが好適である
また、ガラス化器具の固定部位とストロー開口部とを固定してストローを封入する方法は、液体窒素などによる超低温状態においても固定や封密状態を保つことができる方法であれば広く採用でき、特に限定されない。例えば、接着、圧着、嵌合、冠着、螺着、溶着などの方法を適宜用いてもよい。固定部位をストローと同じ材質にすることで、固定部位をストロー開口部と溶着させる方法は、ガラス化器具の固定とストロー封入を同時にかつ簡単に行うことができることから好適である。
本発明のガラス化器具において、錐体部位については、比重の高い材質のものであれば公知のものを広く採用でき、特に限定されない。例えば、金、銀、銅、鉛、鉄やステンレス鋼などの金属部材を用いてもよく、ステンレス鋼は、耐凍性や耐腐食性などの利点から好適である。
本発明のガラス化器具において、胚載置部位については、特に限定するものはなく、胚載置部位を希釈液に浸漬する方式のガラス化用胚載置部位であって、ストロー内に収容できる大きさであれば公知のものを広く採用できる。例えば、クライオトップやクライオループといったガラス化器具の胚載置部位が使用できる。
本発明によれば、ストロー内に設ける空気層の数を増やすか、または空気層の容積を大きくすることで、冷却による空気層の体積収縮および加温による空気層の体積膨張と脱気孔による圧力調整との作用により、希釈液層をストロー内で移動させ、特段の操作を必要とせずにストロー内に固定されたガラス器具の胚載置部位を希釈液層に自動的に浸漬(希釈液層が自動的に移動)させることができ、非常に操作性が向上して迅速に胚を希釈液で希釈することができる。
すなわち、胚を収納した部位を移動させる動作が必要なくなり、操作が非常に簡便になった。
本発明のストローに希釈液層と空気層とを交互に充填した状態の概略図である。 希釈液層と空気層とを交互に充填したストローを液体窒素内で凍結しようとする状態の概略図である。 本発明のストローにガラス化器具を収納しようとする状態の概略図である。 ガラス化器具を収納したストローの開口部を熱シールしようとする状態の概略図である。 ガラス化器具を収納したストローを融解する段階を示す概略図である。 移植時にガラス化器具をストローから取り出そうとする状態を示す概略図である。 牛の体内に胚を移植しようとする状態を示す概略図である。
以下本発明のストローおよびその使用方法について図1ないし図7に基づいて詳細に説明する。
まず、図1に示すように、ストロー11のストロー本体12の開口部13側には脱気孔14が設けられており、該脱気孔14を弾性チューブ15で覆って通常の状態では脱気孔14の外面を封止するようにしてある。もちろん、前記ストロー11内部の内圧が高まれば弾性チューブ15は脱気弁として機能する。
またストロー本体12内には希釈液層16と空気層17とが交互になるよう充填されており、前記開口部13側の希釈液層16はガラス化した胚を融解希釈するためにやや長くなるように充填されている。18はストロー本体12の末端に所定間隔で取り付けられた一対の綿栓で封止用のストローパウダーを挟み込んでいる。なお、前記希釈液層16は該一対の綿栓18に浸透するが、ストローパウダーがゲル化して水密状態になるためそれ以上には進むことはない。
次に、図2は希釈液層16と空気層17とを交互に充填したストロー11を液体窒素内で凍結した際の変化を説明するためのものである。
すなわち、図2(a)の状態の希釈液層16と空気層17とを交互に充填したストロー11を、図2(b)のように液体窒素内に浸漬して凍結すると、空気層が収縮して希釈液層16が綿栓18方向に移動するのである。
実際に使用する際には、前記ストロー11には、図3のようにガラス化器具21が前記開口部13から収納され、熱シールによって開口部13は図4(a)の状態から図4(b)のように密閉される。
前記ガラス化器具21は、先端に設けた胚載置部位22(この図においてはステンレス細線で作成したクライオループ)およびこれを所望の位置に固定するための適宜長さの支持体23と、該支持体23を前記ストローに取り付ける固定部位24および錘体部位25とを備えている。26は胚である。
なお前記錘体部位25はストロー11を液体窒素内に浸漬して保存しようとする際に浮き上がることを防ぐためのものである。
使用に際しては、図5(a)の状態から加温して融解する。その融解時の加温によって空気層17が膨張(圧力上昇)して上端の空気層17の空気は脱気孔14から放出されて圧力調整(圧力減少)されることから希釈液層16を押し上げ、図5(b)に示すように、少なくとも前記ガラス化器具21の先端に設けた胚載置部位22が前記希釈液層16内に浸漬され、希釈される。
その後、図6(a)に示すように前記錘体部位25の位置でストロー11をカットし、前記ガラス化器具21をストロー11から取り出すのである。
このようにして得たストロー11は、胚移植器31の先端に取り付けられて、図7に示すように牛の体内に胚が移植される。
以下実施例を用いて本発明の内容を説明する。
<ストローのカラム構成等の検討>
あらかじめ希釈液を充填して凍結しておいたストロー内に、ガラス化器具を封入して保存、融解、希釈する技術を確立するため、脱気孔および希釈液層と空気層のカラム構成について検討した。
<ストロー本体への脱気孔の作成>
人工授精および胚移植用の市販ストロー(長さ133mm容量0.25ml、ポリ塩化ビニル製)を用い、脱気孔としてストロー先端の開口部から10mmの位置に加熱したステンレス針を用いて直径約0.5mmの穴を設けた。弾性チューブは、外径3.0mm、内径2.0mm、幅5mmのシリコンチューブを用い、脱気孔を塞ぐように被嵌した。
(実施例1−1)
ストローの開口部から、最初に綿栓を塞ぐための希釈液層を15mm吸引した後、5mmの空気層を隔て、5mmの希釈液層と5mmの空気層を交互に4回吸引、さらにガラス化した胚を希釈するため希釈液層を30mm吸引してカラムを作成した。
(実施例1−2)
ストローの開口部から、最初に綿栓を塞ぐための希釈液層を15mm吸引した後、5mmの空気層を隔て、10mmの希釈液層と10mmの空気層を交互に2回吸引、さらにガラス化した胚を希釈するため希釈液層を30mm吸引してカラムを作成した。
(実施例1−3)
ストローの開口部から、最初に綿栓を塞ぐための希釈液層を15mm吸引した後、5mmの空気層を隔て、20mmの希釈液層と20mmの空気層を吸引、さらにガラス化した胚を希釈するため希釈液層を30mm吸引してカラムを作成した。
(比較例1−4)
比較対照として脱気孔がないストローでカラムを作成した。脱気孔を作成していないストローの開口部から、最初に綿栓を塞ぐための希釈液層を15mm吸引した後、5mmの空気層を隔て、10mmの希釈液層と10mmの空気層を交互に2回吸引、さらにガラス化した胚を希釈するため希釈液層を30mm吸引することで、カラムを作成した(1−2と同じカラム構成)。
表1に各実施例1−1〜1−3および比較例1−4のカラム構成を示す。
<ストローの凍結保存>
綿栓部位から徐々に液体窒素に当てて冷却することで、ストロー内の空気層Cを収縮させながら、希釈液層BおよびCを室温状態時より綿栓側に移動させた状態にして凍結することがきる。
凍結後の希釈液層Bの開口部側の先端液面の位置を記録した後、開口部をヒートシーラーで熱シールしてストローを密封し、液体窒素に投入して保存した。
なお、以上の凍結作業は、発泡スチロール製容器の中に液体窒素を1/3程度満たし、液体窒素の液面上に浮かべたアルミ製バットを作業スペースとして使用し、発泡スチロール容器内に充満した液体窒素内で行った。
<ストローの融解>
液体窒素中からストローを取り出して38℃の温湯に浸漬して加温融解を行った。融解時には、加温により空気層Cが膨張して希釈液層BおよびCが移動するので、融解後の希釈液層Bの先端液面の位置を記録し、凍結時の先端液面の位置から移動した距離を計測した。
結果について表2に示す。
ストローの開口部等を封入しない状態で、液体窒素等を用いて凍結し、後からストローの開口部を封入すると、ストロー内には流入した液体窒素や冷却された空気等、低温状態のため高密度に収縮した気体が充填された状態となる。また、液体窒素で冷却されたガラス化機器をストロー内に挿入して封入すると、液体窒素もストロー内に混入する場合がある。ストローが密閉されたままの状態で、融解により加温されると収縮していた気体や液体窒素が急激に膨張し、ストローの内圧が上昇してストローが破損等する危険性がある。したがって、本発明のようにあらかじめ希釈液を充填して凍結したストローに、ガラス化した胚を収納したガラス化器具を挿入して封入するような方法においては、ストロー内で圧力が上昇した場合に圧力を逃がす工夫が必要となる。
なお、一般的な緩慢凍結−直接移植法では、空気中の常温状態でストロー開口部を封入した後で凍結するため、液体窒素等がストロー内に混入することがなく、空気層が冷却により若干収縮した状態で凍結され、融解により加熱されても空気層が元に戻るだけで、ストロー内で大きな圧力上昇は生じることはない。
本発明では、ストローの内圧が上昇してもストロー側面に設けた脱気孔と弾性チューブにより脱気されて圧力調整ができることから、1−1、1−2、1−3いずれの実施例においてもストローの破損等は発生しなかった。
しかし、脱気孔のない比較例1−4の場合、ストローの大きな破損は見られなかったが、熱シールの融着が弱い部分から隙間が生じ、ガス等が漏れ出た事例が確認された。また、液体窒素が混入した場合はストローが破損したり綿栓部が抜けたりする事例が別試験において確認されている。
また、本発明のように、脱気孔を設けることで空気層Aに混入した液体窒素等の圧力を放出させることと、空気層Cを通常より多くまたは大きく配置することで、加温により膨張した空気層Cに押される形で希釈液層BおよびCをガラス化器具側方向へ移動させることができた。
すなわち、融解により加温されると空気層においては圧力が上昇するが、脱気孔により空気層Aはガス等を放出することで常圧まで圧力調整される。一方、空気層Cは圧力を逃がすことができないことから、凍結前と同じ体積まで希釈液層BおよびCを空気層Aの方向へ押出して移動させることで、常圧まで圧力調整される。この圧力調整の作用により希釈液層をガラス化器具側方向へ移動させることができる。
通常、ストロー内の液層を空気層で隔てる場合、3mmより小さい空気層は、凍結時の体積収縮により液層との境界面が崩れてしまうことから、3〜5mm程度の空気層を配置する。3〜5mm程度の空気層単体の収縮により移動できる希釈液層の距離は小さいことから、希釈液層Bの移動距離を確実に確保するためには、空気層Cの数を増やすか容積を大きくすることが必要と考えられる。
今回、希釈液量と空気量は同じだがカラム構成を変えた3種の実施例において希釈液層の移動距離を比較したところ、5mmの空気層を多数配置するより、10mmや20mmといった通常より大きい空気層を小数配置した方が、希釈液層の移動距離が大きいことも確認された。
加温により希釈液層が移動する時、希釈液層の一部は凍結したままの状態で移動が始まる。すなわち、ストロー外壁に接する部分が先に溶けるため、中心部がまだ凍結した氷柱を含む希釈液が移動することとなる。移動距離が大きい場合、希釈液内の氷柱が胚載置部位に強く押し当てられ、破損することが考えられた。したがって、希釈液層の移動距離としては、胚載置部位の大きさと同じ6mm程度の移動距離が得られる実施例1−2のカラム構成が望ましいと考えられた。
また、比較例1−4のように脱気孔がない状態では、空気層Aには液体窒素が混入して密閉されており、加温により高圧状態となるが圧力が逃げないため、空気層Cがさらに圧縮され、希釈液層Bがガラス化器具側とは反対の綿栓側にさらに移動する。したがって、脱気孔のないストローではガラス器具の胚載置部位を希釈液層に自動的に浸漬させることができないため、本発明においては脱気孔が不可欠であることも確認された。
なお、ガラス化器具を収納する空気層を設け、希釈液を移動させるために空気層を大きくする、または、空気層を多くすると、ストローが軽くなり液体窒素の中でストローが浮きあがることが確認された。浮き上がりによるストローの紛失等を防止するためにも、封入するガラス化器具にある程度の重量がない場合は、ストローを液体中に沈めるための錐体が必要とされることも判明した。
<本発明と従来の超急速ガラス化保存法および従来の緩慢凍結法における凍結融解後の胚の生存性の比較>
(実施例2−1)
<本発明による実施例>
<基礎培地>
20%(V/V)子牛血清(CS)を含むダルベッコリン酸緩衝液を、胚の取り扱いに用いる基礎培地として使用した。
<前処理液>
7.5%(V/V)エチレングリコール(EG)および7.5%(V/V)ジメチルスルホキシド(DMSO)、20%(V/V)子牛血清(CS)を含むダルベッコリン酸緩衝液を、ガラス化前の前処理液として使用した。
<ガラス化保存液>
15%(V/V)エチレングリコール(EG)および15%(V/V)ジメチルスルホキシド(DMSO)、0.5Mシュクロース、20%(V/V)子牛血清(CS)を含むダルベッコリン酸緩衝液を、ガラス化保存液として使用した。
<希釈液>
0.2Mシュクロースおよび20%(V/V)子牛血清(CS)を含むダルベッコリン酸緩衝液を、ガラス化胚から耐凍剤を希釈するための希釈液として使用した。
<培養液>
10%(V/V)牛胎児血清を含むHepes緩衝TCM−199培地を、胚の体外培養に用いる培養液として使用した。
<ストロー>
実施例1−2に準じて希釈液を充填し凍結したストローを使用した。
<ガラス化器具>
ストローを加熱により軟化させ、引き延ばして作成した径0.3〜1.0mmのポリ塩化ビニル製細管を、支持体部位および固定部位に用いた。錘体部位は20Gステンレス製注射針を10mm幅に切断したものを用い、前述細管に被嵌して固定した。また、実施例2−1aの胚載置部位には市販のガラス化器具(クライオトップ、北里サプライ)の胚載置部位である0.1mm厚の樹脂製フィルムを約6mmの長さで切り取り、シアノアクリレート系瞬間接着剤で支持体先端部に固定したものを用い、実施例2−1bの胚載置部位にはクライオループと呼ばれている幅0.5〜0.8mm、長さ4mm〜5mmの輪状構造を、直径0.05mmのステンレス線で作成したものを、支持体先端部に圧着固定したものを用いた。
<供試胚>
受精後7〜8日目に胚盤胞または拡張胚盤胞まで発育したウシ体外受精胚を用いた。
<ガラス化の手順>
胚を基礎培地からガラスピペットにて前処理液に移動し、ピペッティング洗浄後3分間静置した。その後、ガラス化保存液に移動させてピペッティング洗浄後、極少量のガラス化保存液と共にガラス化器具の胚載置部位に載置した。胚をガラス化液中へ移動させてから1分後に、液体窒素を用いて胚載置部位を急速冷却することでガラス化を行った。
<ガラス化器具のストロー内への固定および封入>
液体窒素中において、あらかじめ準備しておいたストロー(実施例1−2に準じ作成)に、胚載置部位が希釈液層先端の液面に隣接する位置までガラス化器具を挿入し、ガラス化器具の固定部位とストロー開口部をヒートシーラーで溶着することで、固定および封入を行った。
<保存>
封入したストローは液体窒素中に投入した後、液体窒素ボンベ中のストロー用キャニスターに収容して保存した。
<融解希釈>
ストローを液体窒素ボンベから取り出し、38℃の温湯に投入して加温融解した。温湯による加熱によりストロー内の空気層が膨張し、希釈液層がガラス化器具側に移動することで胚載置部位が自動的に希釈液に浸漬され、ガラス化した胚から耐凍剤を希釈した。
<融解希釈後の培養>
融解から5分後にストロー内液をシャーレに取り出し、胚を基礎培地に移動してピペッティング洗浄した後5分間静置した。その後、胚を培養液に移動して38.5℃および5%02、5%CO2の環境の培養器内で72時間培養を行った。
<胚の生存性判定>
培養開始から24時間の生存率および72時間後の孵化率を調査した。生存率は胚が胞胚腔を再形成したものを、孵化率は胚が透明帯から完全に脱出したものを観察により確認することで調査した。
(比較例2−2)
<従来の超急速ガラス化保存法の比較例>
基礎培地および前処理、ガラス保存化液、希釈液、培養液、供試胚、ガラス化の手順、融解希釈後の培養、胚の生存性判定は実施例2−1と同様とした。
<ガラス化器具>
市販のガラス化器具(クライオトップ、北里サプライ)をガラス化器具として使用した。
<保存>
ガラス化した胚を載置したクライオトップに、専用のストロー型保存キャップを取り付けて、液体窒素ボンベ中のストロー用キャニスターに収容して保存した。
<融解希釈>
液体窒素ボンベから取り出したクライオトップからストロー型保存キャップを取り外し、38℃に保温したシャーレ内に満たした希釈液に、クライオトップの胚載置部位を浸漬した。顕微鏡で胚が希釈液中に移動したことが確認できたら、ピペッティング洗浄後5分間静置することで、ガラス化した胚から耐凍剤を希釈した。
(比較例2−3)
<従来の緩慢凍結法の比較例>
<基礎培地>
前述実施例と同じく、20%(V/V)子牛血清(CS)を含むダルベッコリン酸緩衝液を、胚の取り扱いに用いる基礎培地として使用した。
<凍結保存液>
10%(V/V)エチレングリコール(EG)および0.1Mシュクロース、20%(V/V)子牛血清(CS)を含むダルベッコリン酸緩衝液を、凍結保存液として使用した。
<ストロー>
前記実施例と同じ人工授精および胚移植用の0.25mL規格のストローを用いた。
<ストロー内への胚の封入>
胚を基礎培地からガラスピペットにて凍結保存液中に移動しピペッティング洗浄後、胚を含む凍結液をストロー内に吸引し、開口部をヒートシーラーで溶着した。
<緩慢凍結>
ストローを−7℃に設定したプログラムリーザーに投入して2分で植氷を行い8分間保持後、−0.3℃/分で−30℃まで冷却後、液体窒素中に投入して保存した。
<保存>
前述実施例と同じく、液体窒素ボンベ中のストロー用キャニスターに収容して保存した。
<融解>
融解は8秒のエアーソーイング後30℃温湯で20秒加温、ストロー内液をシャーレに取り出し3分間静置した。
<融解後の培養>
胚を凍結液から基礎培地液に移動してピペッティング洗浄した後5分間静置した。その後、前述実施例と同じく、胚を培養液に移動して培養器内で72時間培養を行った。
<胚の生存性判定>
前記実施例と同じく、培養開始から24時間の生存率および72時間後の孵化率を調査した。
結果を表3に示す。
実施例2−1aと2−1bの結果から、ガラス化に用いる胚載置部位の種類が違っていても、共にストロー内において融解が可能であり、融解後の生存性もほぼ90%以上と良好な成績が得られることが明らかとなった。これにより、本発明においては、胚載置部位を希釈液に浸漬する方式のガラス化器具で、胚載置部位がストロー内に収容できる大きさであれば、ストロー内に封入して使用できることができると判断された。
また実施例2−1と比較例2−2の比較により、本発明によりガラス化した胚を融解しても、従来の顕微鏡下でシャーレを用いてガラス化した胚を融解したものと、生存性に差が見られないことが分かった。このことから、本発明により、ガラス化した胚でも胚移植用ストローを用いて温湯に投入するだけの簡単な操作で融解希釈でき、高い生存性が得られることが明らかとなった。
さらに、実施例2−1と比較例2−3の比較により、本発明によりガラス化した胚を融解希釈した場合、従来の緩慢凍結法で胚を凍結保存して融解したものと比べ、高い生存性が得られることが明らかとなった。
本発明により、ガラス化した胚でもストローを用いて温湯に投入するだけの簡単な操作で融解希釈でき、ストローをそのまま移植器に装填して直接移植(受胚牛の子宮に注入)できることから、高い受胎率が得られることが期待された。
本発明のガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローおよびその使用方法は、ウシの胚移植技術として農家現場での普及が大いに期待できる。
その他、ヒト以外の哺乳動物胚のガラス化保存および融解技術として利用することも可能である。
11 ストロー
12 ストロー本体
13 開口部
14 脱気孔
15 弾性チューブ
16 希釈液層
17 空気層
18 綿栓
21 ガラス化器具
22 胚載置部位
23 支持体
24 固定部位
25 錘体部位
26 胚
31 移植器

Claims (6)

  1. ガラス化した哺乳動物胚(ヒト胚を除く、以下同じ)の保存および融解、希釈、移植用ストローであって、ストロー本体はその長さ方向の端部壁面には脱気孔が形成されており、かつストロー本体の当該位置の外周には該脱気孔の外面を封止する弾性チューブが取り付けてあり、
    前記ストローに装着されて哺乳動物胚を保持するガラス化器具は、先端に設けた胚載置部位およびこれを所望の位置に固定するための適宜長さの支持体と、該支持体を前記ストローに取り付ける固定部位および錘体部位とを備えており、
    前記ストロー内に適宜間隔の空気層を介して前記ガラス化器具の端部の胚載置部位まで到達しない位置に希釈液層が充填され、かつ加温による融解によって前記空気層が膨張することと脱気孔により圧力調整されることにより、直ちに希釈液層が前記ストロー内を前記ガラス化器具の端部の胚載置部位まで移動し、前記希釈液層で哺乳動物胚を希釈して胚移植することを可能としたことを特徴とするガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストロー。
  2. 前記脱気孔の外面を封止する弾性チューブは、シリコンゴム、合成ゴム、軟質プラスチックを含む素材から選ばれたことを特徴とする請求項1に記載のガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストロー。
  3. 前記ガラス化器具の適宜位置に取り付けた錘体部位は、比重の大きい素材によって形成されていて、液体窒素中における浮き上がりを防止できるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストロー。
  4. ストロー本体の長さ方向の端部壁面に脱気孔が形成し、かつストロー本体の当該位置の外周には該脱気孔の外面を封止する弾性チューブが取り付けてある哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローを準備するとともに、
    前記ストローにはガラス化器具を収納して、適宜長さの支持体を介してその端部に設けた胚載置部位に哺乳動物胚を保持することにより前記ストロー内の所望の位置に固定し、
    前記ストロー内に適宜間隔の空気層を介して前記ガラス化器具の端部の胚載置部位まで到達しない位置に希釈液層を充填した上、液体窒素中で保存し、かつ加温による融解によって前記空気層が膨張することと脱気孔により圧力調整されることにより自動的かつ迅速に希釈液層が前記ストロー内を前記ガラス化器具の端部の胚載置部位まで移動し、前記希釈液層で哺乳動物胚を希釈した後、胚移植するようにしたことを特徴とするガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローの使用方法。
  5. 前記ストロー内に形成される空気層と希釈液層の対が、適宜間隔で複数対形成されていることを特徴とする請求項4に記載のガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローの使用方法。
  6. 前記ストロー内に形成された希釈液層が、前記ストロー内に設ける空気層の数を増やすか、または空気層の容積を大きくすることで、冷却による空気層の体積収縮および加温による空気層の体積膨張と脱気孔による圧力調整との作用により、移動量を調整されていることを特徴とする請求項4または5いずれかに記載のガラス化した哺乳動物胚の保存および融解、希釈、移植用ストローの使用方法。
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