JP2019170371A - ゼリー剤造粒物、及び該ゼリー剤造粒物を含有する食品 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)アルギン酸塩、カルシウム塩、クエン酸、及び糖類を含有し、前記アルギン酸塩の含有量を1とした時に、質量比で、前記カルシウム塩に由来する総カルシウムの含有量が0.05〜0.15、及び前記総カルシウムの含有量を1とした時に、質量比で、前記クエン酸の含有量(無水基準)が0.5〜3.0であり、且つ、前記糖類、及び前記クエン酸の平均粒子径が150μm以下であるゼリー剤造粒物。
(2)前記カルシウム塩が、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、及びリン酸カルシウムから選ばれる1種又は2種以上である(1)に記載のゼリー剤造粒物。
(3)前記アルギン酸塩が、アルギン酸ナトリウムである(1)又は(2)に記載のゼリー剤造粒物。
(4)前記糖類が、ショ糖及び/又はデキストリンである(1)〜(3)のいずれか1つに記載のゼリー剤造粒物。
(5)(1)〜(4)のいずれか1つに記載のゼリー剤造粒物を含有する食品。
(6)アルギン酸塩、カルシウム塩、及び糖類を含有し、並びに、クエン酸、及び/又はリンゴ酸を含有し、前記アルギン酸塩の含有量を1とした時に、質量比で、前記カルシウム塩に由来する総カルシウムの含有量が0.05〜0.15、及び前記総カルシウムの含有量を1とした時に、質量比で、前記クエン酸(無水基準)、及び前記リンゴ酸の合計含有量が0.5〜3.0であり、且つ、前記糖類、前記クエン酸、及び前記リンゴ酸の平均粒子径が150μm以下であるゼリー剤造粒物。
本発明のゼリー剤造粒物は、アルギン酸塩、カルシウム塩、クエン酸、及び糖類を含有し、前記アルギン酸塩の含有量を1とした時に、質量比で、前記カルシウム塩に由来する総カルシウムの含有量が0.05〜0.15、及び前記総カルシウムの含有量を1とした時に、質量比で、前記クエン酸の含有量(無水基準)が0.5〜3.0であり、且つ、前記糖類、及び前記クエン酸の平均粒子径が150μm以下であることを特徴とする。
また、本発明のゼリー剤造粒物は、アルギン酸塩、カルシウム塩、及び糖類を含有し、並びに、クエン酸、及び/又はリンゴ酸を含有し、前記アルギン酸塩の含有量を1とした時に、質量比で、前記カルシウム塩に由来する総カルシウムの含有量が0.05〜0.15、及び前記総カルシウムの含有量を1とした時に、質量比で、前記クエン酸(無水基準)、及び前記リンゴ酸の合計含有量が0.5〜3.0であり、且つ、前記糖類、前記クエン酸、及び前記リンゴ酸の平均粒子径が150μm以下であることを特徴とする。
ここで本発明における造粒物とは、粉末状の原料が、結着・凝集して顆粒化している状態を指す。本発明のゼリー剤造粒物の平均粒子径は、好ましくは100〜400μm、より好ましくは130〜350μm、最も好ましくは150〜300μmである。平均粒子径が上記の範囲にあると、本発明のゼリー剤造粒物は分散性に優れる。
なお、本発明のゼリー剤造粒物の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%の粒径である。
本発明のゼリー剤造粒物は、アルギン酸塩を含有する。アルギン酸塩は、アルギン酸のカルボキシル基の一部が金属イオンと結合した中性塩である。アルギン酸とは、2種類のウロン酸(マンヌロン酸及びグルロン酸)がランダムに直鎖重合した構造を有する多糖類であり、コンブ、ワカメ等の天然の褐藻類に豊富に含まれている。
アルギン酸塩の粘度は、粘度計(例えば、TOKIMEC社製、型番:VISCOMETER(MODEL:BM))のローターNo.1(回転数30rpm)を用いて、アルギン酸塩の1質量%水溶液について、20℃における粘度を測定することで特定される。
本発明のゼリー剤造粒物中に含まれるカルシウム塩は、食用に使用される水溶性のカルシウム塩であれば特に限定されることなく使用できる。例えば、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等が挙げられるが、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、及びリン酸カルシウムから選ばれる1種または2種以上を含有することが好ましく、クエン酸カルシウムを含有することがより好ましい。
〔クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、及びリン酸カルシウム〕
クエン酸カルシウムは、実際には、クエン酸三カルシウム四水和物であり、炭酸カルシウムは、実際には、炭酸カルシウム(無水)であり、リン酸カルシウムは、実際には、リン酸三カルシウムであって、これらのカルシウム塩は食用として使用可能なものを用いることができる。
なお、カルシウム塩に由来する総カルシウムの含有量は、カルシウム塩の種類別に、{カルシウムの結合数×カルシウムの原子量/カルシウム塩の分子量}からカルシウム塩中のカルシウム含有量を算出し、カルシウム塩の含有量に乗じ、合算して求める。
本発明のゼリー剤造粒物は、平均粒子径が150μm以下のクエン酸を含有する。クエン酸には、クエン酸(無水)とクエン酸(結晶)があるが、いずれも使用でき、食用として使用可能なものを用いればよいが、クエン酸(無水)を使用することが好ましい。
前記クエン酸の平均粒子径は、10〜150μmが好ましく、15〜120μmがより好ましく、40〜100μmが最も好ましい。平均粒子径が上記の範囲にあると、本発明のゼリー剤造粒物を溶解した食品は、ゼリーむらの無い均質なゼリーになる。
なお、本発明のゼリー剤造粒物は、クエン酸(結晶)を含有する場合は、上記の各数値に{クエン酸(結晶)の分子量/クエン酸(無水)の分子量}を掛け算した値の数値範囲内となる量を秤量して配合することが好ましい。
本発明のゼリー剤造粒物は、平均粒子径が150μm以下のリンゴ酸を含有する。リンゴ酸は、食用として使用可能なものを用いることができる。
前記リンゴ酸の平均粒子径は、10〜150μmが好ましく、30〜150μmがより好ましく、100〜150μmが最も好ましい。平均粒子径が上記の範囲にあると、本発明のゼリー剤造粒物を溶解した食品は、ゼリーむらの無い均質なゼリーになる。
本発明のゼリー剤造粒物は、平均粒子径が150μm以下の糖類を含有する。本発明において、糖類とは、増粘多糖類以外の糖類及び糖アルコールのことを指す。具体的には、ショ糖(砂糖、粉糖、グラニュー糖)、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、デキストリン、還元澱粉、加工澱粉、オリゴ糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース等が挙げられる。
本発明のゼリー剤造粒物は、ショ糖及び/又はデキストリンを含有することが好ましい。クエン酸由来の酸味を抑制する観点では、ショ糖及びデキストリンを含有することが好ましい。
前記糖類の平均粒子径は、10〜150μmが好ましく、15〜120μmがより好ましく、40〜100μmが最も好ましい。平均粒子径が上記の範囲にあると、本発明のゼリー剤造粒物を溶解した食品は、ゼリーむらの無い均質なゼリーになる。
本発明のゼリー剤造粒物は、本発明の効果を妨げない範囲で、着色料、香料、高甘味度甘味料等を含有することができる。
本発明のゼリー剤造粒物の造粒方法は、例えば、流動層造粒法、撹拌造粒法、転動式造粒法、スプレードライ法、押し出し造粒法、転動造粒法、及びコーティング造粒法が挙げられる。流動層造粒法が特に好ましい。
本発明のゼリー剤造粒物を10℃の水に溶解して3質量%水溶液としたときの、溶解後15分後における10℃のゼリーの硬さは、700〜3000N/m2であることが好ましく、800〜2500N/m2であることがより好ましく、900〜2200N/m2であることがさらに好ましく、1000〜2000N/m2であることが最も好ましい。15分後のゼリーの硬さが上記の範囲にあると、ゼリーが硬すぎず、口腔内でゼリーを潰しやすく、飲み込みやすくなる。
本発明のゼリー剤造粒物は、食品に溶解させることで、ゼリー状食品の調製に使用できる。特に咀嚼・嚥下困難者向けゼリー状食品の調製のために好適に使用できる。ゼリー剤造粒物を添加する対象食品は、特に限定されるものではないが、pH4以上、かつカルシウム濃度0.015w/v%以下の液状食品が好ましく、水、茶飲料が特に好ましい。これらに直接添加して液体をゼリー化させることができる。
本発明のゼリー剤造粒物を含有する食品は、本発明のゼリー剤造粒物が均一に溶解してゼリー化した食品(ゼリー状食品)である。ゼリー剤造粒物を添加する対象食品としては、前述の通り、pH4以上、かつカルシウム濃度0.015w/v%以下の液状食品が好ましく、水、茶飲料が特に好ましいが、これらに限られない。
本発明のゼリー剤造粒物を含有する食品中のゼリー剤造粒物の含有量は、対象食品によっても異なるが、例えば、水や茶飲料の場合、2〜4質量%であることが好ましく、2.5〜3.5質量%であることがより好ましい。
実施例及び比較例のゼリー剤造粒物を流動層造粒法により表1〜3に記載の配合に従って、以下の手順で製造した。
なお、配合原料はすべて市販品を使用した。アルギン酸ナトリウムは、1質量%水溶液としたときの20℃における粘度が352mPa・sであるものを使用した。クエン酸はクエン酸(無水)、クエン酸カルシウムはクエン酸三カルシウム四水和物、リン酸カルシウムはリン酸三カルシウム、炭酸カルシウムは炭酸カルシウム(無水)を使用した。
下記の方法で、上記で製造したゼリー剤造粒物のそれぞれについて、分散性、ゼリー化、及びゼリーむらを評価した。
200mLのガラスビーカーに水(商品名:南アルプスの天然水、サントリー(株)製)97gと3cmのスターラーチップを投入する。スターラーチップを700rpmで回転させ、上記で製造したゼリー剤造粒物(実施例1〜6、及び比較例1〜8)を3g投入し、30秒間撹拌した後、5人の専門評価者が液面の状態を目視で確認して、下記の採点基準に従って採点し、5人の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表1〜3に示す。
(採点基準)
2点:ダマが発生していない
1点:ダマが若干発生している
0点:ダマが多数発生している
(評価基準)
9点以上10点以下:◎(非常に良好)
7点以上点8以下 :○(良好)
0点以上6点以下 :×(不良)
上記の分散性の評価において、撹拌を終了してから静置15分後にビーカーを90℃傾け、5人の専門評価者が溶液の状態を目視で確認して、下記の採点基準に従って採点し、5人の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表1〜3に示す。
(採点基準)
2点:ゼリー化し、流動性が完全に失われている
1点:ゼリー化しているが、流動性が失われていない
0点:ゼリー化していない
(評価基準)
9点以上10点以下:○
0点以上8点以下 :×
上記のゼリー化の評価結果が“○”のサンプルについて、5人の専門評価者がゼリーの状態を目視で確認した後、ゼリーを食して食感を確認し、下記の採点基準に従って採点した。そして、5人の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表1〜3に示す。
(採点基準)
2点:ゼリーむらが認められず、均質な食感
1点:ゼリーむらが若干認められるが、均質な食感
0点:ゼリーむらが多数認められ、不均質(ゼリーの粒が感じられる)な食感
(評価基準)
9点以上10点以下:◎(非常に良好)
7点以上点8以下 :○(良好)
0点以上6点以下 :×(不良)
また、表1〜3中の「Ca塩中の総Ca」は、カルシウム塩に由来する総カルシウムの含有量(質量%)を指す。同様に、「総Ca/アルギン酸塩」は、アルギン酸塩の含有量を1とした時の、総カルシウムの含有量の質量比を指し、「クエン酸/総Ca」は、総カルシウムの含有量を1とした時の、クエン酸の含有量(無水基準)の質量比を指す。
10℃の市販の茶飲料(商品名:おーいお茶 ほうじ茶 伊藤園(株)製)97gをスパーテルで撹拌しながら、実施例2のゼリー剤造粒物を3g添加したところ、ただちに液中全体に分散し溶解した。また、上記の方法で、10℃で15分間静置後のゼリーの硬さをレオメーターで測定したところ、1059N/m2であった。得られた茶飲料のゼリーは、外観にゼリーむらが認められず、食したところ、酸味を感じることなく風味は良好で、均質な食感のゼリーであり、舌でつぶしやすく飲み込みやすい物性であった。
表4の配合に従い、上記の「ゼリー剤造粒物の製造−1」と同様にゼリー剤造粒物を製造した。なお、配合原料はすべて市販品(「ゼリー剤造粒物の製造−1」の使用原料と同等品)を使用した。表中のリンゴ酸は、平均粒子径が144μmのものを使用した。
上記の「ゼリー剤造粒物の評価−1」と同様に、分散性、ゼリー化、及びゼリーむらを評価した。結果を表4に示す。
Claims (6)
- アルギン酸塩、カルシウム塩、クエン酸、及び糖類を含有し、前記アルギン酸塩の含有量を1とした時に、質量比で、前記カルシウム塩に由来する総カルシウムの含有量が0.05〜0.15、及び前記総カルシウムの含有量を1とした時に、質量比で、前記クエン酸の含有量(無水基準)が0.5〜3.0であり、且つ、前記糖類、及び前記クエン酸の平均粒子径が150μm以下であるゼリー剤造粒物。
- 前記カルシウム塩が、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、及びリン酸カルシウムから選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載のゼリー剤造粒物。
- 前記アルギン酸塩が、アルギン酸ナトリウムである請求項1又は2に記載のゼリー剤造粒物。
- 前記糖類が、ショ糖及び/又はデキストリンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のゼリー剤造粒物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゼリー剤造粒物を含有する食品。
- アルギン酸塩、カルシウム塩、及び糖類を含有し、並びに、クエン酸、及び/又はリンゴ酸を含有し、前記アルギン酸塩の含有量を1とした時に、質量比で、前記カルシウム塩に由来する総カルシウムの含有量が0.05〜0.15、及び前記総カルシウムの含有量を1とした時に、質量比で、前記クエン酸(無水基準)、及び前記リンゴ酸の合計含有量が0.5〜3.0であり、且つ、前記糖類、前記クエン酸、及び前記リンゴ酸の平均粒子径が150μm以下であるゼリー剤造粒物。
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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繊維学会誌, vol. 65, no. 12, JPN6022043606, 2009, pages 444 - 448, ISSN: 0004897712 * |
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