JP2019170286A - ハード系焼菓子用水中油型乳化物及びそれを用いたハード系焼菓子およびその製造法 - Google Patents

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Takehito Watanabe
岳仁 渡邉
祥夫 山脇
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祥夫 山脇
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Yumie Usuba
弓英 薄葉
淳 垣本
Atsushi Kakimoto
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Abstract

【課題】焼菓子練り込み用油脂組成物とその使用に関し、焼菓子単独、あるいは焼菓子とチョコレート類が組み合わされたような複合菓子において、焼菓子表面に粉をふいたような白色化が発生するのを抑制する効果を有する油脂組成物、及び当該油脂組成物を使用することにより、白色化が抑制された焼菓子または複合菓子の提供。【解決手段】ラウリン系油脂を4〜24重量%含有する、ハード系焼菓子用水中油型乳化物、及びハード系焼菓子用水中油型乳化物を配合してなるハード系焼菓子。【効果】本来用いられることのない水中油型乳化物を用い、さらにラウリン系油脂を多く含む油脂を水中油型乳化物の油相として用いる事で焼菓子の白色化現象を強く抑制することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、ハード系焼菓子用水中油型乳化物及びそれを用いたハード系焼菓子とその製造法に関するものである。
従来より、マーガリンあるいはショートニングといった油脂を生地中に含有したビスケットやクッキー、プレッツェルなどといったハード系焼菓子が存在している。
それらの焼菓子のなかでも、チョコレートやファットクリーム等油性食品をコーティングあるいはサンド、または、チップ状・チャンク状等に成型したチョコレート等油性食品素材やココアパウダーをベーカリー製品の生地に練りこんだり、埋め込んだりした後に焼成等の加熱をするなどした組み合わせ菓子、さらには、チョコレート等油性食品素材と焼成済のハード系焼菓子と貼り合わせた組み合わせ菓子は、市場での人気の高い商品である。
これらの組み合わせ菓子において、組み合わされる油性食品中に含まれる油脂と、焼菓子生地中に含まれる油脂とは組成や物性の異なることが多い。
しかし、そういった焼菓子、更にはチョコレートなどの油性食品を組み合わせた複合菓子においては、焼菓子表面に粉をふいたような白色化(ブルーム)が発生する場合がある。
単独の場合は、ビスケットやクッキーなどに使われているショートニングやマーガリンの液体油成分と比較的融点の高い油脂成分との間に起こる固液分離と固体側の結晶の粗大化により起こるとされる。
また、特に組成の異なる油脂を含む食品同士を組み合わせた場合においては、ビスケットやクッキーなどに使われているショートニングやマーガリンの液体油成分がチョコレートやファットクリームにマイグレーション(移行)し、ビスケットの白変化、チョコレートの軟化、白変化の発生などの現象の起こることが知られている。
この様な現象は、その外観上の悪化だけでなく、それら食品の商品としての価値を著しく低下させるものであり、望ましくない。
従来、このような油脂のマイグレーションを防止する方法として、例えば油脂のマイグレーションに於いて、より多くの液体油を含む油脂相に於ける固液分離を添加剤等で抑制し、マイグレーションを防止しようとする方法がある。(例えば非特許文献1・特許文献1)
しかしながら、上記方法では添加剤などが風味食感へ影響を及ぼす点、またある程度の抑制は出来るもののまだ十分ではない。
ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をエステル交換した油脂を、油相中に80〜100質量%含有することを特徴とする油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物が提案されている。(例えば特許文献2)
しかしながら、成後経時的に発生する白色化を抑制するとの効果があるとされるが、パーム分別軟部油の量が多すぎる為、焼成品の食感が悪くなりねちゃついた食感になるといった問題点がある。
特許文献3は、発明の名称を「油脂性素材配合ベーカリー食品におけるブルーム、白色化及び油脂性素材糊化現象の抑制緩和方法」とする出願であり、請求項1には「油脂を30重量%以上含有し、該油脂のSFCが10℃で5〜35%、20℃で3〜20%で、40℃で0〜5%であることを特徴とする、油脂性素材配合ベーカリー食品練り込み用油脂組成物。」と記載されている。しかしSFCの規定のみでは十分な効果があるとは認められなかった。
一方で、クッキーやビスケットといったハード系焼菓子は、小麦粉に代表される穀粉類と油脂組成物、糖類、ベーキングパウダーを主に配合されるが、ここで言う油脂組成物は、大概の場合、バターやマーガリンといった油中水型乳化物やショートニングのような油脂単独、すなわち油脂が連続相のものを使うことが多い。
水相が連続相となる水中油型乳化物を焼菓子に用いることは希であり、一例では、小麦粉、油中水型油脂類、卵、砂糖類及びベーキングパウダーよりなる主成分原料と、風味原料と、を用いてクッキーを製造する方法において、油中水型油脂類の代わりに水中油型乳化物を使用することを特徴とするクッキーの製造方法を提案されている(特許文献4)。
しかし、この発明においても、ショートニングやマーガリンに当時多く含まれていたトランス脂肪酸を低減するのが目的であり、用いた水中油型乳化物中の油脂の組成についても触れられていない。
また、焼菓子用の油脂組成物にラウリン系の油脂を用いるのは、すでに行われている。例えば、可塑性油脂組成物を構成する油脂成分において、融点が30℃以上のラウリン系油脂を10〜40重量%含有し、且つ油脂成分中の飽和脂肪酸含量が35%以下、トランス酸含量が5%以下であることを特徴とする可塑性油脂組成物が開示されている(特許文献5)。しかしながら、これも栄養学的に最適な脂肪酸組成に調整され、かつ口溶け性と可塑性を付与する事を課題としており、白変化の課題にも油脂の乳化型に対する検討もなされていない。
特開昭63─126457号公報 特開2007−143433号公報 特開2004-16096号公報 特開2007−222011号公報 特開2002−161294号公報
Confectionaly Production, G.Talbot,et al,April,256,(1990)
本発明は、焼菓子練り込み用油脂組成物とその使用に関し、焼菓子単独、あるいは焼菓子とチョコレート類が組み合わされたような複合菓子において、焼菓子表面が白色化を抑制する効果を有する油脂組成物、および当該油脂組成物を使用することにより、白変化が抑制された焼菓子または複合菓子を提供することを課題とする。
前述の通り、従来技術においては、配合上様々な素材の添加をおこなったりしているが、簡便ではなく、商品の配合上の自由度を損ないかねず、しかも白変化を抑制するという点においても十分なものではなかった。本発明者は上記課題を解決すべく種々検討を行い、本来用いられることのない水中油型乳化物を用い、さらにラウリン系油脂を多く含む油脂を水中油型乳化物の油相として用いる事で焼菓子の白変化を強く抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)ラウリン系油脂を4〜24重量%含有する、ハード系焼菓子用水中油型乳化物、
(2)(1)記載のハード系焼菓子用水中油型乳化物を配合してなるハード系焼菓子、
(3)水中油型ではない油脂組成物を配合してなる(1)乃至(2)のいずれか1項記載のハード系焼菓子、
(4)チップ状油性食品を分散することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項記載のハード系焼菓子の製造法、
(5)有色素材を分散することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1項記載のハード系焼菓子の製造法、
(6)水相が連続相でない状態である状態で(1)記載のクッキー用水中油型乳化物を添加することを特徴とするハード系焼菓子の製造法である、
本発明によるラウリン系油脂を主とする水中油型乳化物を焼菓子の製造に用いるという、きわめて平易な手段をもちいる事で、焼菓子単独あるいは、焼菓子とチョコレート類などと組み合わせた複合菓子において、焼菓子表面に粉をふいたような白変化が発生するのを抑制することができる。
比較例1と実施例2のクッキーの白変化状態を示す図面代用写真である。 比較例2と実施例4の複合菓子の白変化状態を示す図面代用写真である。
<ハード系焼菓子>
ビスケットやクッキーに明確な定義はないが、いずれも小麦粉を主材料とし、砂糖、油脂を含有するドウを焼成して得られるサクサク感のある洋菓子ということができる。ビスケットとクッキーはもともと同じものであり、アメリカではクッキーと呼ばれイギリスではビスケットと呼ばれたりする。日本では、公正競争規約において、ビスケットを「小麦粉、糖類、食用油脂および食塩を原料とし必要により澱粉、乳製品、卵製品、膨張剤、食品添加物の原料を配合し、または、添加したものを混合機、成型機およびビスケットオーブンを使用し製造した食品をいう。」と規定し、ビスケットのうち「手作り風の外観を有し、糖分、脂肪分の合計が重量百分比で40%以上のもので、嗜好に応じ、卵、乳製品、ナッツ、乾果、蜂蜜などにより製品の特徴づけをおこなって風味よく焼き上げたもの。」をクッキーとしている。
本発明におけるハード系焼菓子は、上記公正競争規約に規定するビスケットおよびクッキーの両方を、さらにはサブレ、クラッカー、パイなどが挙げられ、焼成後の水分量が10%以下望ましくは5%以下のものを指す。
<ハード系焼菓子用水中油型乳化物>
従来のハード系焼菓子に配合される油脂源は、主にショートニングや油中水型乳化油脂組成物、すなわち油脂が連続相である油脂組成物であることがもっぱらであるが、本発明においては、水中油型乳化物として配合する必要がある。その際に既存の油脂組成物と併用してもよい。(配合のタイミングは後述。)
<水中油型乳化物中ラウリン酸・油脂種・油脂量(対粉基準)>
本発明においては、水中油型乳化物中の油脂に含まれる形でラウリン酸を含有する油脂が生地に供給されることが重要であり、対粉基準でラウリン系油脂の量として4〜24重量%、望ましくは6〜16重量%である。尚、対粉とは小麦粉類および澱粉類の合計に対する重量比を表す。
ここでラウリン酸とは炭素数12の脂肪酸であり、ラウリン系油脂として天然に多く存在している。また、ラウリン系油脂とはラウリン酸を主要な構成脂肪酸とする油脂のことで、具体的にはヤシ油、パーム核油およびこれらを分別、硬化等の加工を施したものいずれか1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ただ、ラウリン系油脂にもラウリン酸の量は様々なものがあり、また水中油型乳化物の油分も様々なものがある。望ましくは対粉基準のラウリン酸の量として規定してもよく、2〜12重量%、望ましくは3〜8重量%である。
上記規定を満たす油脂を水相と合わせ水中油型の乳化系で乳化することで、本発明のハード系焼菓子用水中油型乳化物が得られ、対粉規定のラウリン系油脂または、ラウリン酸量が含まれていれば、本発明の白変化防止効果が得られる。
水中油型乳化物としての含油率も、水中油型乳化物に用いられる油脂としてラウリン系油脂またはラウリン酸が規定量含まれてさえいれば、従来の水中油型乳化物の含油率を適宜用いることができる。好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%以上含有している事が望ましい。
対粉でラウリン系油脂あるいはラウリン酸が下限未満であると、白変化しかねない。また、上限を上回っても白変化防止効果があるものの、配合された水中油型乳化物としての物性が生地への混ぜ込みなどの作業性に影響が出かねない。
<水中油型乳化物の配合量>
さらに、本発明の水中油型乳化物の配合量についても同様に、上記対粉のラウリン酸を満たしていれば特に限定はされず、従来の水中油型乳化物の配合量を適宜用いることができ、対粉で1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%以上、である。
上記の通り、対粉のラウリン系油脂またはラウリン酸の量の規定を満たせば、従来の水中油型乳化物に用いられる配合比率や添加量を適宜用いることができ、水中油型乳化物として、従来の物性のものが得られれば特に限定はされない。
<水中油型乳化物中の乳化剤の規定>
本発明においては、水中油型に乳化してさえすれば、特に乳化剤の種類や量には限定されず、従来の水中油型乳化物に用いられる乳化剤を適宜用いる事ができる。例えば、レシチン、モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等の合成乳化剤が例示でき、これらの乳化剤の中から1種又は2種以上を選択して適宜使用することが出来る。
さらに本発明の乳水中油型乳化物には、必要により、澱粉類、無機塩、有機酸塩、ゲル化剤、増粘多糖類、着香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等を配合してもよい。
<非ラウリン系油脂組成物の配合>
従来の焼菓子において油脂源としてよく用いられるショートニングや油中水型乳化油脂組成物、といった油脂が連続相である油脂組成物にも、水中油型乳化物と併用できる。その配合も従来のショートニングや油中水型乳化油脂組成物を適宜用いる事が出来る。本発明の水中油型乳化物は特に種類の異なる油脂組成(例えば生地中のマーガリンとチョコレートチップ中のハードバターやマーガリン中の液油とハードストック)同士が混在している時に発生しがちな粗大結晶による白変化現象に対して効果がある為、ラウリン系ではない油脂組成物に対して、特に効果が得られやすい。
この場合、水中油型乳化物に入っているラウリン脂の全油脂に対する割合が1/10〜4/5、望ましくは1/6〜1/2、更に望ましくは1/4〜1/3であることが望ましい。ラウリン脂は特に水中油型乳化物だけに入っている必要はなく、ショートニングや油中水型乳化物にもの入っていてかまわないが、その分ラウリン脂ではない油脂の配合量が制限される。上記水中油型乳化物中ラウリン脂の全油脂に対する割合が規定より低い場合には、白変化防止効果が限定的になりかねない。一方高い場合には、白変化防止効果は得られるものの水中油型乳化物として物性や作業性が損なわれる場合がある。
<水中油型乳化物中の添加>
前述のとおり、本発明においては水中油型乳化物を焼菓子原料に配合する必要があるが、焼菓子生地を作成する工程で生地の水が連続相でない状態で添加されることがのぞましい。ただし、水が連続相であるかないかを知るには、乳化物を顕微鏡下に観察すれば容易に判定できるが、その他の方法として乳化物に電流を流すことによっても容易に判定することが可能である。通電すれば水が連続相、通電しなければ連続相ではない状態である。
ビスケット類の代表的な生地調製方法は、例えばバター等の油脂と砂糖をすり混ぜてクリーム状にした後、徐々に卵を混ぜ合わせ、最後に小麦粉などの粉体を合わせて生地を調製する方法(シュガーバッター法)であったり、また、バターと小麦粉を混ぜた後に、砂糖、水などの原料を加える方法や、すべての原料を一度に混ぜ合わせる方法など様々なものがあるが、特にシュガーバッター法が好適であり、上記の製造工程のなかでは、バター等油脂と砂糖をすり混ぜた状態にて水中油型乳化物が添加される事が望ましい。また他の方法においても卵などの水性原料を添加する前の状態で添加されれば、その効果は発揮される。
<他の原料の規定>
本発明のビスケット類には、油脂源としてバター類といった油中水型乳化物やショートニングのような油脂類、本発明における必須の配合物である水中油型乳化物以外には、従来のビスケット類に用いることのできる原料が挙げられる。例えば、小麦粉や米粉などの穀粉類、さらに穀粉や芋などの原料から得られる澱粉類、糖類、乳製品、卵製品、食塩、膨張剤、着色料、香料などを用途や好みに応じて、機械適性や焼成後の商品設計上望ましい食感を妨げない範囲で、適宜使用することができる。
<チップ入りの焼菓子>
こうして得られた焼菓子用油脂組成物、ならびにそれを用いた油脂含有焼菓子は、他の油性食品、特にチョコレート様食品との組み合わせ菓子において、油脂成分のマイグレーションを抑制する効果をより効果的に発揮することができる。
組み合わせ菓子における油脂のマイグレーションは異なる油脂組成を持つ隣接した2種の油脂相間で起きるため、上記のような組み合わせ菓子においてこそ特に好適に用いられる。
なお、本発明において言うところの油性食品とは、油脂が連続相を為す食品であれば特に限定はされないが、一例を挙げると、チョコレートやチョコレート様食品、グレーズ様食品(糖を油脂中に分散させたもので上掛けなどの目的で用いられる)といったものが挙げられる。
またチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(昭和46年3月29日、公正取引委員会告示第16号)による「チョコレート生地」及び「準チョコレート生地」を含むものであって、カカオ豆から調製したカカオマス、カカオ脂、ココアパウダー及び糖類を原料とし、必要により他の食用油脂、乳製品、香料等を加え、チョコレート製造の工程を経たものをいい、またカカオマスを使用しない所謂ホワイトチョコレート生地をも包含するものである。
さらにチョコレート様食品とはチョコレートに加え、製造の際のテンパリング操作の必要のない、所謂ノーテンパリングタイプチョコレートをも含めたものを指す。
焼成前の組み合わせ菓子の生地の段階では通常、適当な温度では可塑性を有しており、容易に成形が可能である。形状及び成形方法は特に限定されないが、油性食品が焼菓子の生地に練り込んで用いる場合は、油性食品自体の形状はモールドに流し込んで型抜きをしたものや、搾り出し、冷却した棒状、チップ状、カッターで小片に切り分けたチャンク状などが挙げられ、これら成形した油性食品組み合わせ菓子生地に分散・上載せなどの複合を行い、加熱工程に供する。組み合わせ菓子生地を成型した後にチョコレートを塗布してもよい。または組み合わせ菓子を焼成した後に塗布・注入・サンド・含浸、さらには、固化した状態のチョコレートを載置してもよい。
どんな状態であっても組み合わせ菓子がチョコレートとそれ以外の生地部分が接触をしていれば、本発明の効果は発揮される。
本発明における有色素材とは白色以外の呈色を示す素材を指し、生地には有色素材が生地中に分散している事で、白変化現象の発生抑止効果より顕著に表れる点で望ましい。その素材や量も特に限定はされないものの、全体の色調が元の生地より明らかに濃厚な色であるほど、白変化現象の抑制は顕著に表れる。一例としては、ココアや抹茶パウダー、アーモンド、チェリー、フルーツ類、ベジタブル類等、ペースト状または粉末状のものが例示される。これらの色素含有物は、粉体及びペーストのどちらでもよく、特に限定はされない。
<成形方法>
本発明における焼菓子の生地は、焼成前にソフトな焼菓子の種類に応じた従来公知の方法で成形することができる。例えば、ソフトクッキーの場合もその成形方法は特に制限されるものではないが、包あん機、デポジッター、エクストルーダー、摺込み機、ワイヤーカット機などが例示できる。
<焼成条件>
本発明の焼菓子を焼成するに際し、加熱条件は焼成温度、時間などは特に制限するものではなく、公知の焼菓子の温度や時間を利用することができる。焼菓子の厚みなどにもよるが、例えば、80〜240℃で5〜300分という条件であったり、他にも低温・高温を組み合わせた多段焼成などであってもよい。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるのもではない。なお、例中、%および部はいずれも重量基準を意味する。
<ハード系焼菓子用水中油型乳化物の調製方法>
表1に示された「水中油型乳化物1」の配合に従い以下の工程でハード系焼菓子用水中油型乳化物を調整した。
1.油脂を60〜70℃にて融解し、レシチン、大豆リゾレシチン、シュガーエステル(HLB=5)、コハク酸モノグリセリド部を溶解し油相とした。
2.水に脱脂粉乳を溶解し、60〜70℃に加温して水相とした。
3.ホモミキサーで水相を攪拌しているところへ油相を徐々に添加し、水中油型に乳化した。
4.高圧ホモゲナイザーを使用し、3000kPaにて処理した。
5.5℃24時間放置し、ハード系焼菓子用水中油型乳化物とした。
(表1)
精製パーム核油:不二製油株式会社製(ラウリン系油脂、ラウリン酸含有量48%)
パーム油中融点画分:不二製油社製(パーム油系、ラウリン系油脂は含まれない)
パーム油低融点画分:商品名「パームエース」、不二製油社製(パーム油系、ラウリン系油脂は含まれない)
(実施例1〜4、比較例1・2)
<ハード系焼菓子の作成方法(クッキー:シュガーバッター法)>
市販の製菓用ショートニングA(商品名「パンパスBBLT30」、不二製油株式会社製、パーム油系主体の一般的な製菓用ショートニングでラウリン系油脂は未配合)とグラニュー糖を混合し、比重が0.85となるまでホイップした。
つぎに、全卵に炭酸アンモニウムと重曹を加え、生地に数回に分けて加え混合する。
ここで先に作成してあった水中油型乳化物1を無添加(比較例1)、10部(実施例1)、20部(実施例2)と変えた系にて、水中油型乳化物を添加する場合は数回に分けて添加し、生地に十分に練り込んだ。なお、水中油型乳化物を添加する直前の生地は、水が連続相の状態ではなく、通電しなかった。
得られた生地に、薄力粉とココアパウダー(不二製油社製 商品名「ココアDF780」)を混合し、更にホイップし最終生地比重0.80にした。
別途この生地に市販チップチョコレート(製品名:チップチョコスイート150、不二製油株式会社製)を加えた生地を作成し(比較例2・実施例3、実施例4)、得られた生地を円形に成型し、オーブンにて焼成しクッキーまたはチョコレート複合菓子を得た。
焼成条件は、天板を2枚重ねた状態で、上火190℃、下火180℃、焼成時間12分とした。
(表2)
<保存試験>
得られた複合菓子は、15℃の各恒温条件、及び17℃/30.5℃のサイクルテスト(1日周期で温度を変動)での保存試験に供し、随時表面の白変化を評価した。
(表3)
評価
−:白変化無し
±:よく見ると白変化が確認できる
+:容易に白変化が確認できる
評価の状態が最初に出現した日数をもって評価した。ただし(40-)は最終評価日においても白変化が発生していない(この場合は40日目)を示す。)
従来型の製菓用ショートニングのみを添加したクッキーは15℃の一定の温度状態で7日目、サイクルテストでも14日目には明らかな白変化(+評価)が観察されたが、乳化物1を用いた実施例1でそれぞれ18日目・27日目に+評価が、乳化物1を20部まで増やした実施例2においては40日目になってもそのひとつ前の段階である±評価にすら到達せず、−評価を維持し続けた。
また、チップチョコレートを加えた系においても同様の傾向があった。
これにより一般的なショートニングにラウリン酸を多く含む水中油型乳化物を添加すると白変化防止に効果があることが明らかとなった。
(実施例2、4、比較例1〜6)
表1の配合に従い作成した水中油型乳化物2(パーム油中融点画分主体)と水中油型乳化物3(パーム油低融点画分主体)を用い、表4の配合に従い、実施例1と同様の工程を経て比較例3と比較例4のクッキーを作成した。また、実施例3の工程に従い、それぞれの配合にチョコレートチップを40重量部配合して、比較例5、6のチョコチップ入りの複合菓子を作成した。
(表4)
<保存試験>
先の実験で用いた実施例2と比較例1の複合菓子、そのチョコレートチップが配合されたタイプの実施例4と比較例2も加えて、15℃の各恒温条件、及び17℃/28℃のサイクルテスト(1日周期で温度を変動)での保存試験に供し、随時表面の白変化を評価した。
(表5)
評価
−:白変化無し
±:よく見ると白変化が確認できる
+:容易に白変化が確認できる
評価の状態が最初に出現した日数をもって評価した。ただし(31-)は最終評価日においても白変化が発生していない(この場合は31日目)を示す。
なお、本保存テストにおいては±から+に移行した日数をもって記載している。
これらは水中油型乳化物に用いた油脂以外は実施例2と同条件のクッキーであるが、ラウリン系油脂を用いた実施例2は31日目になってもそのひとつ前の段階である±評価にすら到達せず、−評価を維持し続けた。
一方、水中油型乳化物にパーム系油脂を用いた比較例3・4、そしてチョコレートチップを配合した比較例5・6は双方とも+評価が期間中に現れた。水中油型乳化物2のパーム油中融点部は融点がパーム油低融点部より高く、融解特性だけ見るとパーム核油に近い油脂ではあるが、保存テストにおいてはパーム核油の白変化防止には及ばないことが明らかとなった。
(実施例2、4、5、6・比較例7〜12)
表1の配合に従い作成した水中油型乳化物1を用い、表6の配合に従い、市販の製菓用ショートニングAとショートニングB(商品名「パンパスCRS」、不二製油株式会社製、ヤシ油とパーム油主体の製菓用ショートニングでラウリン酸含有量24%、なおヤシ油はラウリン系油脂である)を用い類外は実施例1と同様の工程を経て、実施例2、5、比較例7〜9のクッキーを作成した。また、実施例3の工程に従い、それぞれの配合にチョコレートチップを40重量部配合して、実施例4、実施例6、10〜12のチョコチップ入りの複合菓子を作成した。
(表6)
<保存試験>
上記クッキーと複合菓子を15℃の各恒温条件、及び17℃/28℃のサイクルテスト(1日周期で温度を変動)での保存試験に供し、随時表面の白変化を評価した。
(表7)
評価
−:白変化無し
±:よく見ると白変化が確認できる
+:容易に白変化が確認できる
評価の状態が最初に出現した日数をもって評価した。ただし(32-)は最終評価日においても白変化が発生していない(この場合は32日目)を、ただし(32±)は最終評価日においても±評価を維持している状態(この場合は32日目)を示す。
なお、本保存テストにおいては±から+に移行した日数をもって記載している。
これらは水中油型乳化物以外に用いたショートニングなどの油脂を変えた以外は実施例2と同条件のクッキーであるが、ラウリン系油脂を用いた実施例2は32日目になってもそのひとつ前の段階である±評価にすら到達せず、−評価を維持し続けた。
また、水中油型乳化物1を用いながら、ショートニングにパーム系のショートニングAではなく、ラウリン酸を含有するショートニングBを用いた実施例5でも同様に最終日の32日目まで−評価を維持できた。これより、水中油型乳化物を添加する生地に元々配合される油脂は、ラウリン系であってもパーム系であってもかまわないということが示された。
一方、比較例7のショートニングBは配合するが、水中油型乳化物1を用いなかった場合は白変化を抑制する効果が弱かった。
さらに比較例8の水中油型乳化物に含まれるラウリン系油脂に相当する分を水中油型に乳化して添加するのではなく、パーム核油の形で添加した場合、比較例9のパーム核ではなくパーム油低融点部にした場合は、白変化を抑制する効果が弱かった。
これにより、ラウリン系油脂は水中油型乳化物の形で添加しないと白変化に対しては効果が得られない事がわかる。
チップチョコレートを配合した系も同様の傾向が見られたが、特にチップチョコレート配合の方が概して白変化しやすい傾向がある。しかし、それでも水中油型乳化物1を用いた実施例5と実施例2は、保存期間中は±はおろか−評価を維持した。これより、チョコレートなどの油性食品と接触している系において、特に本発明は白変化を抑制する効果が高いことがわかる。
A:比較例1のクッキー
B:実施例2のクッキー
C:比較例2の複合菓子
D:実施例4の複合菓子
本発明により、本来用いられることのない水中油型乳化物を用い、さらにラウリン系油脂を多く含む油脂を水中油型乳化物の油相として用いる事で焼菓子の白色化現象を強く抑制することができること可能となった。

Claims (6)

  1. ラウリン系油脂を4〜24重量%含有する、ハード系焼菓子用水中油型乳化物。
  2. 請求項1記載のハード系焼菓子用水中油型乳化物を配合してなるハード系焼菓子。
  3. 水中油型ではない油脂組成物を配合してなる請求項1乃至請求項2のいずれか1項記載のハード系焼菓子。
  4. チップ状油性食品を分散することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のハード系焼菓子の製造法。
  5. 有色素材を分散することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のハード系焼菓子の製造法。
  6. 水相が連続相でない状態である状態で請求項1記載のクッキー用水中油型乳化物を添加することを特徴とするハード系焼菓子の製造法。
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