JP2019167402A - 乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体の製造方法 - Google Patents

乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加圧濾過を採用して精製度の高い乳酸—グリコール酸共重合体を工業的に、簡便に製造する。【解決手段】(1)乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉状の固相成分と、アセトンおよび水を含む液相成分とを含有し、その液相中のアセトン濃度が12重量%以下の固液混合物(A1)を調製する工程、(2)固液混合物(A1)から、加圧条件下で、固相成分を含む湿潤固体と液相とに分離する工程、および(3)湿潤固体に残存する液相成分を除去して、乾燥した乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体を作製する工程、を含む乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、加圧濾過を用いた乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体の製造方法に関する。
乳酸−グリコール酸共重合体またはその塩などは、生体内分解性重合体として知られており、例えば、徐放性製剤として用いる生理活性物質を内包させるためのマイクロカプセル等の材料として有用である。
そして、本願出願人は、乳酸−グリコール酸共重合体またはその塩を工業的に簡便な方法で粉末状に製造する方法を特許文献1にて提案している。
ただし、一般的に、粉体として取り出す際には、「減圧濾過」により固液分離が行われる。しかしながら、工業的には、減圧濾過よりも加圧濾過が汎用されており、加圧濾過における効率的な条件に付いては十分に検討されていなかった。
WO2014/168134
減圧濾過での条件をそのまま加圧濾過に当てはめても、濾過時に、乳酸−グリコール酸共重合体粉末ケーキが圧縮されて収縮して塊状化するという問題点があった。塊状化したケーキは餅状となり、さらさらした粉体として取り出すことができず、ハンドリング性が著しく低くなるという問題があった。このため、本発明は、加圧濾過を採用して精製度の高い乳酸―グリコール酸共重合体を工業的に、簡便に製造することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉状の固相成分と、アセトンおよび水を含む液相成分とを含有し、その液相中のアセトン濃度を調整することで、加圧濾過であっても、粉体として、乳酸−グリコール酸共重合体を取り出すことが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1](1)乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体である固相成分と、アセトンおよび水を含む液相成分とを含有し、その液相中のアセトン濃度が12重量%以下の固液混合物(A1)を調製する工程、
(2)固液混合物(A1)から、加圧条件下で、固相成分を含む湿潤固体と液相とに分離する工程、および
(3)湿潤固体に残存する液相成分を除去して、乾燥した乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体を作製する工程、を含む
乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体の製造方法。
[2]前記(1)工程において、
前記(1)工程において、
乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体を、アセトンおよび水に、
混合させて、その液相中のアセトン濃度が12重量%を超える混合物(A2)を調製したのち、混合物(A2)を水に添加して、その液相中のアセトン濃度を12重量%以下とした固液混合物(A1)を調製することを特徴とする[1]の製造方法。
[3]前記(2)工程において、
固液分離を0.001〜0.98MPaの条件で加圧濾過で行うことを特徴とする[1]の製造方法。
本発明によれば、加圧濾過時の乳酸−グリコール酸共重合体ケーキの圧縮性が改善され、濾過時に、乳酸−グリコール酸共重合体粉末ケーキが圧縮されて収縮して塊状化することなく、粉体として取り出すことができる。このため、乳酸−グリコール酸共重合体の回収時のハンドリング性が高い。このため、本発明によれば、乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体の生産性を大きく向上できる。
このようにして製造された乳酸―グリコール酸共重合体は、例えば徐放性製剤などに好適である。
本発明の実施の態様を以下に示す。
本発明の乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体の製造方法は、
(1)乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉状の固相成分と、アセトンおよび水を含む液相成分とを含有し、その液相中のアセトン濃度が12重量%以下の固液混合物(A1)を調製する工程(固液混合物の準備工程)、
(2)固液混合物(A1)から、加圧条件下で、固相成分を含む湿潤固体と液相とに分離する工程(固液分離工程)、および
(3)湿潤固体に残存する液相成分を除去して、乾燥した乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体を作製する工程(乾燥工程)、を含む。
(1)固液混合物の調製工程
本発明では、乳酸―グリコール酸共重合体を原料として用いる。この乳酸―グリコール酸共重合体は、乳酸単位及びグリコール酸単位を有する重合体である。前記乳酸―グリコール酸共重合体は、乳酸単位を通常40〜90モル%、好ましくは50〜85モル%含み、グリコール酸単位を通常60〜10モル%、好ましくは50〜15モル%含む(ただし、乳酸単位およびグリコール酸単位の合計100モル%とする。)。なお、上記乳酸―グリコール酸共重合体)には、エステル誘導体単位が含まれていてもよい。エステル誘導体単位としては、例えば、モノオール類残基、ジオール類残基、ポリオール類残基などが挙げられる。これらの残基は、重合時に使用される開始剤に由来する。
前記乳酸―グリコール酸共重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常4,500〜110,000、好ましくは4,500〜105,000、より好ましくは5,000〜90,300、さらに好ましくは5,000〜80,000、よりさらに好ましくは8,000〜80,000である。前記乳酸―グリコール酸共重合体の分子量分布、すなわち重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は通常1.5〜7.0、好ましくは1.8〜6.0である。また、上記Mw/Mnは、好ましくは1.5〜5.0、特に好ましくは1.8〜4.7であることも望ましい。なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)および重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定により求めた標準ポリスチレン換算の値である。
前記乳酸−グリコール酸共重合体は、例えば、乳酸の環状二量体であるラクタイド、およびグリコール酸の環状二量体であるグリコライドを原料とし、必要に応じて開始剤、触媒などを添加することにより開環重合法にて製造できる。また、前記乳酸−グリコール酸共重合体は、乳酸とグリコール酸を、必要に応じて触媒存在下で、共重合することによっても製造できる。
開始剤に乳酸、グリコール酸のようなヒドロキシカルボン酸類を用いると、乳酸―グリコール酸共重合体の分子末端はカルボキシル基となる。開始剤にヘキサノール、オクタノール、ドデカノールのようなモノオール類を用いると、分子末端にエステル誘導体単位を有する。開始剤にエチレングリコール、プロピレングリコールのようなジオール類を用いると、分子内部にエステル誘導体単位を有する乳酸―グリコール酸共重合体となる。開始剤にグリセリン、マンニトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、グルコース、シクロデキストリンのようなポリオールを用いると、分子内部にエステル誘導体単位を有した分岐構造の乳酸―グリコール酸共重合体となる。
また、前記乳酸−グリコール酸共重合体は塩となっていてもよく、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属などの無機金属の塩であってもよく、トリエチルアミン等の塩基性有機化合物との塩であってもよい。
本発明では乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体が使用される。粉体は、液相成分と混合または溶解できる程度の大きさであれば、粒径は特に制限されないが、1μm〜500μmの程度にあるものが使用される。
乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉状の固相成分と、アセトンおよび水を含む液相成分とを含有し、その液相中のアセトン濃度が12重量%以下の固液混合物(A1)を調製する。
このような固液混合物は、たとえば、乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体を、アセトンおよび水に、混合させて、その液相中のアセトン濃度が12重量%を超える混合物(A2)を調製したのち、混合物(A2)に水を添加してアセトン濃度を調整して調製できる。
・乳酸−グリコール酸溶液の調製
乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体を、アセトンと混合する。乳酸−グリコール酸共重合体はアセトンに対し高い溶解度を有するため、乳酸−グリコール酸溶液の調製できる。乳酸−グリコール酸共重合体のアセトン溶液の濃度は、使用する乳酸−グリコール酸共重合体の重量平均分子量(Mw)、乳酸単位とグリコール酸単位とのモル比などに応じて、所望の共重合体の粉体、好ましくは精製された共重合体の粉体が得られるように適切な濃度とすることができるが、好ましくは0.1〜9.8重量%の範囲であり、濾過し易さ等の観点から、0.1〜6.4重量%の範囲とすることが好ましい。なお、濃度を高くしすぎると、繊維状の重合体が生成することがある。
アセトンへの溶解は、通常15〜35℃程度、好ましくは20〜30℃程度の温度で行えばよいが、必要に応じて加熱下で溶解を行ってもよい。
また、アセトンに加えて、炭素数3〜5のケトン;アセトニトリル等の炭素数2〜5の有機シアン化物;テトラヒドロフラン等の炭素数2〜5の環状エーテル;酢酸エチル等の炭素数2〜5のカルボン酸エステル;N,N−ジメチルホルムアミド等の炭素数2〜5のアミド化合物;ジメチルスルホキシド等の炭素数2〜5の含硫黄有機化合物、水なども加えてもよい。
例えば、得られた乳酸−グリコール酸共重合体のアセトン溶液に、少量の水を添加して、乳酸−グリコール酸共重合体を含む溶液とし、これを乳酸−グリコール酸溶液として用いてもよい。このとき液相中のアセトン濃度が12重量%を超えるように、水が添加される。なお液相には、溶解した乳酸−グリコール酸共重合体は含まない。該混合液を調製するためには、前記アセトン溶液に水を添加した後、攪拌し、混合すればよい。
また水以外に、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖をもつ脂肪族アルコールが挙げられる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、およびブチルアルコールなどを含んでいてもよいが、好ましくは純水のみを使用する。
なお、水は、貧溶媒であるため、過剰に添加すると、乳酸−グリコール酸共重合体が析出してしまうことがあるため、析出しない量の水の添加が好ましく、通常、アセトンの0.05重量倍から2.5重量倍が好ましく、0.15重量倍から1.5重量倍がより好ましい。
水を、前記乳酸−グリコール酸共重合体アセトン溶液と混合する際の温度は、通常15〜35℃程度、好ましくは20〜30℃程度の温度で行えばよいが、必要に応じて加熱下で混合を行ってもよい。
乳酸−グリコール酸共重合体のアセトン溶液に水を混合すると、溶液中の共重合体の溶解度が低下する。そして、アセトン溶液に、水を少量ずつ添加していくと、次第に白濁を生じる。この白濁が生じ始めた量で添加した状態が、共重合体の溶解度がある程度低下しつつも、溶媒中に共重合体が比較的安定した状態で存在する状態であり、調製される混合溶液として比較的好ましい一態様となる。
・乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体の析出
乳酸−グリコール酸溶液を、貧溶媒である水中に添加して、精製された乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体を析出させて、液相中のアセトン濃度が12重量%以下の固液混合物(A1)を調製する。
乳酸−グリコール酸溶液の水への添加は連続的に行っても、断続的に行ってもよい。上記添加としては滴下が好ましく、液滴状に滴下することが特に好ましい。添加時間は特に限定されるものではないが、例えば0.05〜20時間、好ましくは0.3〜3時間である。乳酸−グリコール酸溶液の添加速度も特に限定されるものではないが、例えば水量に対しての添加速度、典型的には滴下する場合の滴下速度は、10〜10000g/時間/kg、好ましくは100〜2000g/時間/kgである。液滴状の滴下する場合の滴下速度は水の量に対して、300〜1000g/時間/kgである。
水の温度としては、凝固点の0℃以上25℃以下が好ましい。温度が25℃を超えると、水飴状または塊状の共重合体が析出しやすくなる傾向にある。
所定量滴下後、0.1〜20時間、熟成してもよく、熟成中は混合物全体が流動するように、撹拌してもよい。熟成時の温度は、通常水の温度が維持されるが、特に制限されない。熟成によって、ケーキ性状が良くなり濾過性が向上するが、熟成は必ずしも行わなくてもよい。
水は、乳酸−グリコール酸溶液に含まれるアセトンに対して0.1重量倍以上の量で使用することが好ましく、3.4重量倍以上8.7重量倍以下の量で使用することがより好ましい。水量が少ないと、水飴状または塊状の共重合体が析出しやすくなる傾向にある。この析出を行った後、液相中のアセトン濃度が12重量%を超える場合には、液相中のアセトン濃度が12重量%以下となるように調整する。また、アセトン濃度が12重量%を超える場合には、水を添加して液相中の濃度を調整すればよい。なお、液相中のアセトン濃度が12重量%を超えると、濾過する際に粉体を含むケーキが圧縮されて収縮して餅のように塊状化することがある。
液相中のアセトン濃度が、前記上限を超えた場合、濾過後のケーキ剥離性が悪いものの、たとえば撹拌機付きの濾過器を使用し、そのまま濾過器内に洗浄液を追加してリスラリーすれば取り出すことも可能である。
本発明では、乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体である固相成分と、アセトンおよび水を含む液相成分とを含有し、その液相中のアセトン濃度が12重量%以下の固液混合物(A1)を調製する工程を含むため、粉状の固相成分の回収、乾燥等が容易となるだけではなく、乳酸−グリコール酸共重合体に取り込まれている乳酸−グリコール酸共重合体と親和性が高い非常に分子量が小さい成分、例えば、ラクタイド、グリコライドなどの二量体や、それら二量体が加水分解した乳酸、グリコール酸などのモノマーなどを液相中に溶出させ、精製乳酸−グリコール酸共重合体から除去することも可能となる。
また、共重合体の粉体を得るためには、用いる設備は、ホモジナイザー等の高いせん断能力を有する機器は必要とせず、一般的な実験設備、工業設備で用いられる攪拌装置(例えば、いかり型撹拌羽、三日月型撹拌羽根などの撹拌羽根、回転撹拌子など)を備えた機器中に添加、例えば、1分当たり200〜600回転、先端速度0.7〜2.0m/秒、好ましくは1分当たり300回転、先端速度1m/秒程度の低速度の撹拌速度条件で撹拌した機器中に、混合溶液を添加、好ましくは滴下することにより、粉状となった精製乳酸−グリコール酸共重合体の粉体を得ることができる。
(2)固液分離工程
固液混合物(A1)から、加圧条件下で、固相成分を含む湿潤固体と液相とに分離する。
本発明の製造方法において、固液混合物(A1)の濾過は、圧力をかけながら行う加圧濾過であることが好ましい。加圧濾過は、外周面に金網を備えた筒状の濾過部材に回転式ローラーを設置し、固液混合物(A1)を押し潰しながら濾過する装置や、遠心脱水機、加圧ピストンを備えたシリンダー等の公知ものを特に制限なく使用できる。
濾過装置には、固液混合物(A1)を撹拌、混合できる部位が設けられていることが好ましい。
濾過装置の濾過面に用いられる濾材は、例えば金網や濾布、ろ紙等が挙げられ、このうち濾布を使用することが好ましい。
加圧濾過の際の圧力は、0.001〜0.98MPaであることが好ましく、0.001〜0.20MPaであることがより好ましく、0.001〜0.15MPaであることがさらに好ましい。前記圧力が低いと、濾過ができないことがあり、また圧力が高いと、濾材側の濾過ケーキが押しつぶされて、板状となり、乾燥後に解砕等の処理が必要となる場合がある。
濾過ケーキは必要に応じて水により洗浄してもよい。洗浄方法としては、精製乳酸−グリコール酸共重合体を水中で撹拌し再分散させた後、洗浄するスラリー法や洗浄液を通液するリンス法等が行えるが、それに限定するものではない。洗浄水は、通常、凝固点の0℃以上25℃以下の冷水が使用される。
水・アセトンやアセトンに溶解した残留ラクタイドやグリコライドなどの二量体は、濾液として排出することができ、ラクタイド、グリコライドのような二量体の含有量を低減した精製乳酸−グリコール酸共重合体を得ることができる。
(3)乾燥工程
回収された精製乳酸−グリコール酸共重合体の湿潤固体に残存する液相成分を除去して、乾燥した乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体を作製する。
本発明では、典型的には粉体として回収されているために、非常に低温の乾燥条件、例えば減圧下30〜40℃で乾燥が可能である。そのため、乾燥によって、乳酸−グリコール酸共重合体またはその塩が熱分解、変性する等の危険性も極めて低い。また固体の状態、典型的には粉体であるため、アセトンも所定量以下に調整されているので、乾燥時に再溶解することもなく、溶媒蒸発による発泡も見られず容易に固体状のまま、典型的には粉体のまま乾燥できる。
さらに精製度が高い精製乳酸−グリコール酸共重合体を得る為に、再度アセトンに溶解させて、以上の工程(1)〜(3)を繰り返してもよい。
このようにして得られた、精製乳酸−グリコール酸共重合体は、乳酸単位を通常40〜90モル%、好ましくは50〜85モル%含み、グリコール酸単位を通常60〜10モル%、好ましくは50〜15モル%含む(ただし、乳酸単位およびグリコール酸単位の合計100モル%とする。)。また、精製乳酸−グリコール酸共重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常5,000〜120,000の範囲、好ましくは8,000〜85,000の範囲である。精製乳酸−グリコール酸共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは6,000〜95,000の範囲、特に好ましくは6,500〜90,000であってもよい。
また、精製乳酸−グリコール酸共重合体のMw/Mnは、通常1.5〜7.0の範囲、好ましくは1.8〜6.0の範囲である。精製乳酸−グリコール酸共重合体)のMw/Mnは、通常1.2〜3.5の範囲、好ましくは1.2〜3.2の範囲であってもよい。
さらに、精製乳酸−グリコール酸共重合体のラクタイド含有量は通常0.6重量%以下であり、好ましくは0.1重量%以下である。
乾燥によって得られる精製乳酸−グリコール酸共重合体は、好ましくは粒径1mm以下が全体の80重量%以上を占める最大粒径3mm以下の粉体である。なお、精製乳酸−グリコール酸共重合体の平均粒径は0.5mm以下が好ましい。
原料が乳酸−グリコール酸共重合体の塩である場合には、精製乳酸−グリコール酸共重合体は塩の状態で得られる。
このようにして本発明により得られた精製乳酸−グリコール酸共重合体またはその塩の精製度は高いため、高純度な乳酸−グリコール酸共重合体またはその塩を必要とする用途に好適である。例えば、前記精製乳酸−グリコール酸共重合体またはその塩を含む徐放性製剤を製造するのに好適である。
以下、実施例に基づきさらに本発明をより具体的に説明するが、これら実施例により本発明は限定されるものではない。
(1)粒度分布測定
以下の実施例および比較例での粒度分布の測定には、集束ビーム反射測定法を採用しているIn Situ粒子計測装置(商品名:FBRM(登録商標)、メトラー・トレド社製)を使用した。
[比較例1]
PLGA(乳酸−グリコール酸共重合体)の粗体30.7gを秤量し、デュラン瓶中室温にてアセトン482gに溶解させた。溶解確認後水を73g追加し滴下用の溶液とした。
続いて2Lのジャケット付セパラブルフラスコに水を1519g装入し、撹拌羽根(三枚後退翼)を設置し500rpmにて2℃まで冷却した。
その温度と回転数を維持しながら、調製した滴下液をポンプにて約1.5時間、一定流量にてセパラブルフラスコに滴下装入した。滴下に伴い粉状のPLGAが分散していることを確認している。滴下終了後は、同一条件にて5時間の熟成を行なった。熟成後、FBRM(登録商標)にて粒径を計測すると平均粒径72μmであった。なおこの時点の液中のアセトン濃度は23.2重量%である。
本析出スラリーをヌッチェ濾過器にろ紙を敷いたものに装入し、真空条件にて濾過を行なった。濾過終了後の湿潤ケーキの状態は粉末状を保持している。
ろ過後、ろ過機上の湿潤ケーキを洗浄水30gでリスラリーし、同じ装置で真空濾過を行なった。湿潤ケーキの剥離はろ過後同様に容易であり、湿潤ケーキ取り出し後は30〜40℃の条件で真空乾燥を行ない、精製PLGAの粉体を得た。
ただし本真空濾過を用いた粉体取り出し方法は、実験室では行うことができるものの、設備をもちいた実機製造では行うことが困難である。
[比較例2]
析出操作および熟成を行なうところまでは、比較例1に記載の方法で行った。
得られたスラリーを加圧ろ過装置にて0.04〜0.10MPaの圧力にて濾過を行なった。濾過圧力0.04MPaでは脱液後の性状がゴム状、0.10MPaでは固い板状となっており、この時点で粉状のPLGAを取得することが不可能となった。
[実施例1]
PLGA(乳酸−グリコール酸共重合体)の粗体15.4gを秤量し、デュラン瓶中室温にてアセトン241gに溶解させた。溶解確認後水を36g追加し滴下用の溶液とした。この時点のPLGA濃度は5.3重量%と比較例1と同等であった。
続いて2Lのジャケット付セパラブルフラスコに水を1881g装入し、撹拌羽根(三枚後退翼)を設置し500rpmにて2℃まで冷却した。
その温度と回転数を維持しながら、調製した滴下液をポンプにて約1.5時間、一定流量にてセパラブルフラスコに滴下装入した。滴下に伴い粉末状のPLGAが分散していることを確認している。滴下終了後は、同一条件にて5時間の熟成を行なった。熟成後、FBRM(登録商標)にて粒径を計測すると平均粒径114μmであった。なおこの時点の液中のアセトン濃度は11.2重量%であった。
得られたスラリーを加圧ろ過装置にて0.04MPaの圧力にて濾過を行なった。濾過は1479kg/hr/m2で継続して行うことが可能であり、濾過終了後の湿潤ケーキの状態は粉状を保持していた。
ろ過後、ろ過機上の湿潤ケーキを洗浄水40gでリスラリーし、同じ装置で加圧濾過0.04MPaにて行なった。湿潤ケーキの剥離はろ過後同様に容易であり、湿潤ケーキ取り出し後は30〜40℃の条件で真空乾燥を行ない、精製PLGAの粉体を得た。
[実施例2]
析出操作および熟成を行なうところまでは、実施例1に記載の方法で行った。
得られたスラリーを加圧ろ過装置にて0.10MPaの圧力にて濾過を行なった。濾過は2324kg/hr/m2で継続して行うことが可能であり、濾過終了後の湿潤ケーキの状態は粉状を保持していた。
ろ過後、ろ過機上の湿潤ケーキを洗浄水40gでリスラリーし、同じ装置で加圧濾過0.10MPaにて行なった。湿潤ケーキの剥離はろ過後同様に容易であり、湿潤ケーキ取り出し後は30〜40℃の条件で真空乾燥を行ない、精製PLGAの粉体を得た。
[実施例3]
析出操作および熟成を行なうところまでは、実施例1に記載の方法で行った。
得られたスラリーを加圧ろ過装置にて0.15MPaの圧力にて濾過を行なった。濾過は3025kg/hr/m2で継続して行うことが可能であり、濾過終了後の湿潤ケーキの状態は粉状を保持している。
ろ過後、ろ過機上の湿潤ケーキを洗浄水40gでリスラリーし、同じ装置で加圧濾過0.15MPaにて行なった。湿潤ケーキの剥離はろ過後同様に容易であり、湿潤ケーキ取り出し後は30〜40℃の条件で真空乾燥を行ない、精製PLGAの粉体を得た。

Claims (3)

  1. (1)乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉状の固相成分と、アセトンおよび水を含む液相成分とを含有し、その液相中のアセトン濃度が12重量%以下の固液混合物(A1)を調製する工程、
    (2)固液混合物(A1)から、加圧条件下で、固相成分を含む湿潤固体と液相とに分離する工程、および
    (3)湿潤固体に残存する液相成分を除去して、乾燥した乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体を作製する工程、を含む
    乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体の製造方法。
  2. 前記(1)工程において、
    乳酸−グリコール酸共重合体を含む粉体を、アセトンおよび水に、
    混合させて、その液相中のアセトン濃度が12重量%を超える混合物(A2)を調製したのち、混合物(A2)を水に添加して、その液相中のアセトン濃度を12重量%以下とした固液混合物(A1)を調製することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記(2)工程において、
    固液分離を0.001〜0.98MPaの条件で加圧濾過で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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