JP2019164271A - 偏光フォトクロミック光学物品、その製造方法、および該光学物品を備えた積層物品 - Google Patents

偏光フォトクロミック光学物品、その製造方法、および該光学物品を備えた積層物品 Download PDF

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力宏 森
百田 潤二
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Abstract

【課題】偏光機能とフォトクロミック機能の両方を併せ持つ効果的な防眩性を有し、更に密着性も良好である偏光フォトクロミック光学物品を提供する。【解決手段】偏光機能を有するレンズ基材、プライマー層、およびフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層をこの順で有する偏光フォトクロミック光学物品であって、該光学物品の偏光度が30〜100%であり、該フォトクロミック層が発色した時の該光学物品の視感透過率が5〜40%であり、該フォトクロミック層が発色していない時の該光学物品の視感透過率が10〜80%である偏光フォトクロミック光学物品を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、新規な偏光フォトクロミック光学物品、および該偏光フォトクロミック光学物品の新規な製造方法に関する。さらには、該偏光フォトクロミック光学物品上に機能層(その他の機能層)を備えた新規な偏光フォトクロミック積層物品に関する。
近年米国を中心として、防眩性を有するサングラスなどに、軽量で透明性を有するプラスチック基材の需要が急速に高まっている。そして、このようなプラスチック製サングラスにおいては、フォトクロミック特性を組み合わせることによって、周囲の明るさ(紫外線量)に応じて透過率が変化することにより防眩性を調節できるプラスチック製フォトクロミックサングラスが急速に人気を得ている。このようなサングラスは、以下の方法により製造されている。
例えば、レンズ基材上に、フォトクロミック化合物を含有する組成物を、コーティングより積層する方法が知られている(特許文献1参照)。具体的には、フォトクロミック化合物を(メタ)アクリル系モノマーに溶解してコーティング組成物とし、スピンコートによりレンズ基材上にフォトクロミック層を積層する方法である。この方法により、フォトクロミック光学物品を製造することが出来る。
また、ハードコート付きプラスチックレンズ上に、防眩性を有する偏光層とフォトクロミック層を積層する方法が知られている(特許文献2参照)。具体的には、前記ハードコート付きプラスチックレンズのハードコート層を研磨して配列層を形成した後に、二色性色素を含有するコート液を塗布し偏光層を積層し、次いで中間層、フォトクロミック層を積層する方法である。この方法により、偏光フォトクロミック光学物品を製造することが出来る。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、従来の方法では、以下の点で改善の余地があることが分かった。例えば、特許文献1の方法によって製造されるフォトクロミック光学物品は、周囲の明るさ(紫外線量)に応じて透過率が変化することにより防眩性を調節することはできるが、太陽光が水面等で反射した際のぎらつきを抑制することは出来ないことが分かった。また、特許文献2の方法によって製造される偏光フォトクロミックレンズは、サングラスが好んで使用される高温多湿の環境下における密着性が十分でないことが分かった。
国際公開WO2003/011967号パンフレット 特開2016−170291号公報
さらには、これまでの偏光フォトクロミック光学物品においては、偏光フォトクロミック光学物品の偏光度、フォトクロミック層が発色した時の該光学物品の透過率、及び該フォトクロミック層が発色していない時の該光学物品の透過率の3つの要件を同時に高度に満足していないものであり、改善の余地があった。つまり、レンズを着用する環境変化に応じて、効果的に防眩性を発揮し、かつ透過率の高いレンズが存在していないというのが現状であった。
したがって、本発明の目的は、偏光機能とフォトクロミック機能の両方を併せ持つ効果的な防眩性を有し、さらに密着性も良好である偏光フォトクロミック光学物品、およびそれを備えた新規な積層物品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、偏光機能を有するレンズ基材上に、プライマー層、およびフォトクロミック化合物を有するフォトクロミック層をこの順で有する光学物品において、プライマー層の組成および厚みの検討、並びにフォトクロミック化合物の種類およびフォトクロミック層の厚みの検討を行うことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)偏光機能を有するレンズ基材、プライマー層、およびフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層をこの順で有する偏光フォトクロミック光学物品(単に「光学物品」とする場合もある。)であって、
該光学物品の偏光度が30〜100%であり、
該フォトクロミック層が発色した時の該光学物品の視感透過率が5〜40%であり、
該フォトクロミック層が発色していない時の光学物品の視感透過率が10〜80%であることを特徴とする偏光フォトクロミック光学物品である。
本発明は以下の態様をとることができる。
(2)フォトクロミック層の膜厚が、1〜100μmである前記(1)の偏光フォトクロミック光学物品。
(3)偏光機能を有するレンズ基材が、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、又はチオエポキシ樹脂からなる基材と、偏光フィルムとからなる前記(1)の偏光フォトクロミック光学物品。
(4)前記プライマー層がウレタン樹脂からなり、該プライマー層の厚みが1〜20μmである前記(1)の偏光フォトクロミック光学物品。
(5)偏光機能を有するレンズ基材上に、ウレタン樹脂、又は硬化してウレタン樹脂となるモノマーを含むプライマーコート組成物を塗布した後、該プライマーコート組成物を硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程、及び
該プライマー層上に、フォトクロミック化合物を含むフォトクロミックコート組成物を塗布した後、該フォトクロミックコート組成物を硬化させてフォトクロミック層を形成するフォトクロミック層形成工程
を含む前記(1)の偏光フォトクロミック光学物品の製造方法。
(6)前記(1)偏光フォトクロミック光学物品上に、さらに機能層を備えた偏光フォトクロミック積層物品(以下、単に「積層物品」とする場合もある。)。
本発明によれば、偏光機能とフォトクロミック機能の両方を併せ持つことで効果的な防眩性を有し、さらには優れた密着性に優れた偏光フォトクロミック光学物品、および該光学物品を備えた積層物品を提供することができる。
本発明の偏光フォトクロミック光学物品の好ましい態様を示す断面図である。
本発明は、偏光機能を有するレンズ基材、プライマー層、およびフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層をこの順で有する偏光フォトクロミック光学物品であって、特定の偏光度、及びフォトクロミック層の発色時、及び退色時(発色していない時)の透過率が特定の範囲を満足するものである。以下、順を追って説明する。
<偏光フォトクロミック光学物品>
本発明の偏光フォトクロミック光学物品は、偏光機能を有するレンズ基材、プライマー層、およびフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層を少なくとも有し、この順で有する光学物品である。
そのため、偏光機能を有する前記レンズ基材、前記プライマー層、および前記フォトクロミック層との間に、これら以外の他の層を形成することができる。例えば、ハードコート層、反射防止膜、防汚コート層、撥水コート層などの層を積層していてもよく、これらの層は複数層積層されていても構わない。具体的には、偏光機能を有する前記レンズ基材がポリカーボネート樹脂からなる場合には、耐溶剤性、及び密着性の観点から、前記レンズ基材と前記プライマー層との間に、ハードコート層、および/又は保護層を形成することもできる。なお、当然のことではあるが、本発明の光学物品においては、前記レンズ基材、前記プライマー層、および前記フォトクロミック層との間に、他の層を有する場合であっても、偏光度が30〜100%であり、発色時の視感透過率が5〜40%であり、退色時の視感透過率が10〜80%でなければならない。
本発明の光学物品は、以上のような積層構造を有することができるが、その中でも、偏光フォトクロミック光学物品の生産性を向上するためには、偏光機能を有する前記レンズ基材の表面に、直接、前記プライマー層を有し、さらに、該プライマー層の表面に、直接、前記フォトクロミック層を形成したものであることが好ましい。具体的には、図1に示すように、偏光フォトクロミック光学物品 1は、偏光機能を有するレンズ基材 2の表面に、直接、プライマー層 3が形成され、さらには、該プライマー層 3の表面に、直接、フォトクロミック層 4が形成されていることが好ましい。
本発明の偏光フォトクロミック光学物品は、該光学物品の偏光度が30〜100%であり、該フォトクロミック層が発色した時(以下、単に「発色時」とする場合もある)の該光学物品の視感透過率が5〜40%であり、該フォトクロミック層が発色していない時(以下、単に「退色時」とする場合もある。)の該光学物品の視感透過率が10〜80%でなければならない。偏光度、透過率が上記範囲を満足することにより、天候、気温等の外的環境に左右され難い、偏光機能とフォトクロミック機能の両方を併せ持つ効果的な防眩性を有する偏光フォトクロミック光学物品となる。
本発明において、偏光フォトクロミック光学物品の偏光度が30%未満となる場合は、防眩性が不十分であるため、好ましくない。そのため、水面やガラス面等からの反射光によるぎらつきを抑制する観点から、該偏光度は30〜100%でなければならず、好ましくは80〜100%であり、より好ましくは90〜100%である。
本発明において、偏光フォトクロミック光学物品の発色時の視感透過率が40%を超える場合は、まぶしさを抑制する遮光性が十分でないため、好ましくない。また、5%未満の場合には、視感透過率が低くなり過ぎ、遮光性は高くなるものの視界が暗くなり過ぎてしまうため、好ましくない。そのため、まぶしさを抑制し、眼を光から保護する観点から、発色時の該視感透過率は5〜40%が好ましく、より好ましくは7〜30%であり、最も好ましくは8〜20%である。
本発明において、偏光フォトクロミック光学物品の退色時の視感透過率が10%未満となる場合は、その状態で防眩性の機能として十分であり、更にフォトクロミック層が発色して視感透過率を下げる効果がほとんどないため、好ましくない。また、80%を超える場合には、偏光度30〜100%との両立が困難であり、防眩性が不十分となるため好ましくない。そのため、本発明の偏光フォトクロミック光学物品の発色時、及び発色していない時の防眩性を考慮すると、退色時の該視感透過率は10〜80%であることが好ましく、より好ましく10〜60%であり、最も好ましくは10〜50%である。
本発明において、偏光フォトクロミック光学物品の製造方法は、特に制限されるものではないが、以下の方法により製造することが好ましい。次に、製造方法について説明する。
<偏光機能を有するレンズ基材>
<基材>
本発明において、偏光機能を有する前の基材(以下、単に「基材」とする場合もある)としては、公知の合成樹脂を何等制限なく使用できる。該合成樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂を使用することができる。また、(メタ)アクリル系モノマー組成物、アリル系モノマー組成物、チオウレタン系モノマー組成物、ウレタン(ウレア)系モノマー組成物、およびチオエポキシ系モノマー組成物等を硬化させてなる熱硬化性樹脂を使用することもできる。
<偏光機能を発揮する部位>
偏光機能を有するレンズ基材(以下、単に「レンズ基材」とする場合がある。)は、二色性色素を含有する組成物を前記基材表面に塗工して偏光層を付与したものであってもよい。
また、該レンズ基材は、延伸したポリビニルアルコール(PVA)フィルムを二色性色素で染色した偏光フィルム(以下、単に偏光フィルムとする場合がある。)を基材表面、もしくは基材内に配置(埋設)することで準備できる。偏光フィルムを使用する場合、前記偏光フィルムの両表面には、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアミドなどの樹脂シートが、アクリルやウレタン系の接着剤を介して接合されていてもよい。さらには、前記樹脂シートの表面には、アクリル系やシランカップリング剤系のコート層が形成されていてもよい。また、該偏光フィルムは、最終的に得られる光学物品と同等の曲率を有する形状に加工したものを使用することもできる。
また、前記二色性色素としては、市販の二色性色素が制限なく使用できる。例えば、アゾ系、アントラキノン系等の色素が挙げられる。具体的には、クロランチンファストレッド(C.I.28160)、コンゴーレッド(C.I.22120)、ブリリアントブルーB(C.I.24410)、ベンゾパープリン(C.I.23500)、クロラゾールブラックBH(C.I.22590)、ダイレクトブルー2B(C.I.22610)、ジアミングリーン(C.I.30295)、クリソフェニン(C.I.24895)、シリウスイエロー(C.I.29000)、ダイレクトファーストレッド(C.I.23630)、アシドブラック(C.I.20470)、ダイレクトスカイブルー(C.I.24400)、ソロフェニルブルー4GL(C.I.34200)、ダイレクトコッパーブルー2B(C.I.24185)、ニッポンブリリアントヴァイオレットBKconc(C.I.27885)等が挙げられる。これらの二色性色素の中から目的に応じて2色以上の色素を選択して用いることもできる。なお、括弧内には、有機合成協会編「新版 染料便覧」(丸善株式会社、1970年)に記載のColour Index No.を示した。
<偏光機能を有するレンズ基材の特性>
前記レンズ基材は、偏光度が30〜100%となることが好ましい。これを満足することにより、最終的に得られる偏光フォトクロミック光学物品の偏光度が30〜100%となるものを容易に製造できる。そのため、最終的に得られる光学物品の特性を考慮すると、レンズ基材の偏光度は、より好ましくは80〜100%であり、さらに好ましくは90〜100%である。
本発明において、前記レンズ基材は、特に制限されるものではないが、最終製品である光学部材の視感透過率を考慮すると、視感透過率は10〜80%であることが好ましい。このようなレンズ基材を使用することにより、最終的に得られる光学物品の視感透過率を調整し易くなる。そのため、前記レンズ基材の視感透過率は、より好ましくは10〜60%であり、さらに好ましくは10〜50%である。
また、前記レンズ基材の厚みは、使用する材質、用途等に応じて適宜決定すればよいが、得られる光学物品の用途を考慮すると1〜50mmであることが好ましい。
なお、前記レンズ基材は、プライマー層を形成する前に、プライマー層との密着性向上のために、アルカリ溶液、酸溶液などによる化学的処理、コロナ放電、プラズマ放電、研磨処理などによる物理的処理を施用したものであってもよい。
<プライマー層;プライマーコート組成物>
本発明において、偏光フォトクロミック光学物品におけるプライマー層は、該光学物品の偏光度、透過率が本発明の要件を満足するようにすれば、特にその製造方法等は制限されるものではない。中でも、光学物品自体の生産性、およびその他の層等との密着性、特に、フォトクロミック層との密着性を向上するために、以下の方法で、前記レンズ基材表面に、直接、形成することが好ましい。
本発明において、前記プライマー層は、公知の接着樹脂を使用して形成できる。例えば、湿気硬化型ポリウレタン系、ポリイソシアネート−ポリエステル系の二液型、ポリイソシアネート−ポリエーテル系の二液型、ポリイソシアネート−ポリアクリル系の二液型、ポリイソシアネート−ポリウレタンエラストマー系の二液型、エポキシ系、エポキシ−ポリウレタン系の二液型、ポリエステル系、ポリウレタンウレア系の一液型、水分散性ポリウレタン系等の接着剤を使用することが好ましい。特に、最終的に得られる光学物品の視感透過率、および接合強度を高く維持するためには、プライマー層がウレタン樹脂からなることが好ましい。その中でも、ウレタン樹脂、又は硬化してウレタン樹脂となるモノマーを含むプライマーコート組成物を前記レンズ基材表面に塗布した後、該プライマーコート組成物を硬化させてプライマー層を形成することが好ましい(プライマー層形成工程)。
本発明のプライマー層としては、公知のウレタン樹脂を使用することが可能である。その中でも、密着性の観点から、日本国特許第4405833号公報に記載されているような湿気硬化型ウレタン樹脂/その前駆体、または日本国特許第5016266号公報、日本国特許5084727号公報に記載されているような水分散ウレタン樹脂エマルジョンからなるプライマー層であることが好ましい。その中でも、レンズ基材とフォトクロミック層とのより強固な密着性を発現させるために、前記湿気硬化型ウレタン樹脂/その前駆体からなるプライマー層を採用することがより好ましい。次に、プライマー層を形成する好適なプライマーコート組成物について説明する。
(湿気硬化型ウレタン樹脂からなるプライマー層)
湿気硬化型ウレタン樹脂及び/ 又はその前駆体(以下、単に湿気硬化型ウレタン樹脂とする)とは、分子中に複数存在するイソシアネート基の一部が例えば大気中の水分と反応してカルバミン酸を生じた後に脱炭酸してアミンを生成し、該アミンと残存イソシアネート基が反応して尿素結合を生じることにより架橋硬化するイソシアネート基含有化合物またはこのような化合物の前駆体となる化合物、又はそれら化合物の組合せである。なお、水分とイソシアネートとの反応の結果、ウレア結合が生成するが、本発明におけるプライマー層は、このようなウレア結合が含まれるウレタン樹脂(ウレタンウレア樹脂)を含むこともできる。
中でも、湿気硬化型ウレタン樹脂は、比較的低温で優れた密着性を発現できる観点から、脂肪族イソシアネート化合物からなるポリイソシアネート化合物、および/又は該脂肪族イソシアネート化合物と活性水素を有するような化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させたポリイソシアネートオリゴマー化合物から形成されることが好ましい。
特に、塗膜性の点から環状脂肪族イソシアネート化合物からなるポリイソシアネート化合物、および/ 又は該環状脂肪族イソシアネート化合物と活性水素を有する化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させたポリイソシアネートオリゴマー化合物から形成されることが好ましい。
また、湿気硬化型ウレタン樹脂は、得られるポリイソシアネート化合物またはポリイソシアネートオリゴマー化合物が空気中の水分などと反応して硬化する速度が速いという観点から、芳香族イソシアネート化合物からなるポリイソシアネート化合物、および/又は該芳香族イソシアネート化合物と活性水素を有するような化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させたまたはポリイソシアネートオリゴマー化合物から形成することもできる。
なお、ポリイソシアネートオリゴマー化合物を使用する場合において、活性水素を有する化合物としては、ポリアルキレングリコール類、3個以上のヒドロキシ基を含有するポリオール類、ポリアルキレンアジペート類、ポリアルキレンカーボネート類、ポリカプロラクトン類、ポリエステルポリオール類を使用することが好ましい。なお、上記した活性水素を有する化合物は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、湿気硬化型ウレタン樹脂及び/ 又はその前駆体の分子量は、比較的高いほうが好ましい。分子量を高くする方法としては、前記ポリイソシアネート化合物と活性水素を有する化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させる際に、イソシアネート基の残る量を少なくするように調整すればよい。また、分子量を高くする方法として、湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/ 又はその前駆体の分子中に複数存在するイソシアネート基を鎖延長剤などにより結合する方法が例示できる。ここで、鎖延長剤としては、活性水素を有する前記化合物、およびエチレンジアミン等のジアミン化合物が挙げられる。その中でも、鎖延長反応の制御のし易さという観点から、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール類や、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類が好適に用いられる。
以上のような湿気硬化型ウレタン樹脂を、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの有機溶剤で希釈し、更に必要に応じてレベリング剤を配合してプライマーコート組成物とすることが好ましい。そして、得られたプライマーコート組成物を、前記レンズ基材上に塗布、乾燥し、プライマー層を形成することが好ましい。この際、プライマー層の厚みは、1〜20μmとすることが好ましい。
(水分散ウレタン樹脂エマルジョンからなるプライマー層)
本発明においては、プライマー層を形成するために、水分散ウレタン樹脂エマルジョンを含むプライマーコート組成物を使用することができる。この水分散ウレタン樹脂エマルジョンとは、ウレタン樹脂が水に分散してエマルジョンを形成しているものである。
水分散ウレタン樹脂エマルジョンに含まれるウレタン樹脂は、活性水素を有する化合物(活性水素基含有成分)として、少なくとも、ポリオール化合物、アニオン性基活性水素基含有化合物、活性水素基含有アクリレート化合物、および/またはアルコキシシリル基含有ポリアミン化合物を使用することが好ましい。そして、それら活性水素基含有成分とポリイソシアネート化合物とを反応させることにより得られるウレタン樹脂であることが好適である。水分散ウレタン樹脂の原料であるポリオール化合物、およびポリイソシアネート化合物は、前記湿気硬化型ウレタン樹脂の原料と同様なものを使用することができる。
水分散ウレタン樹脂の原料であるアニオン性基活性水素基含有化合物は、例えば、カルボキシル基、スルホニル基、リン酸基、スルホベタインなどのべタイン構造含有基などのアニオン性基を1つ以上有し、かつ、イソシアネート基と反応し得る、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基などの活性水素基を2つ以上有する化合物である。例えば、1つのアニオン性基を有し、かつ、2つ以上の活性水素基を有する化合物が挙げられる。具体的には、カルボキシル基を有するアニオン性基活性水素基含有化合物として、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのジヒドロキシルカルボン酸などが挙げられる。また、リジン、アルギニンなどのジアミノカルボン酸などが挙げられる。
水分散ウレタン樹脂の原料である活性水素基含有アクリレート化合物は、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物である。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。
水分散ウレタン樹脂の原料であるアルコキシシリル基含有ポリアミン化合物としては、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物が挙げられる。具体的には、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル アミノプロピルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジエトキシシラン、N,N’−ビス〔α−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミンなどが挙げられる。
本発明において、水分散ウレタン樹脂は、活性水素基含有成分(すなわち、少なくとも、ポリオール化合物、アニオン性基活性水素基含有化合物、活性水素基含有アクリレート化合物、および/またはアルコキシシリル基含有ポリアミン化合物)と、ポリイソシアネート成分(すなわち、ポリイソシアネート化合物)とを、ワンショット法やプレポリマー法などに反応させることにより合成することができ、プレポリマー法がより好ましい。また鎖伸長剤を使用することもできる。
鎖伸長剤として、アルコキシシリル基含有ポリアミン化合物以外の、他のアミン類、ヒドラジン類(他のアミン類、ヒドラジン類は、活性水素基含有成分に含まれる。)を併用することもできる。例えば、そのような他のアミン類としては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−イソシアナトメチル−3,5 ,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジアミン) 、4,4 ’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどのジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリアミン類などが挙げられる。
以上のような各成分を反応して得られる水分散ウレタン樹脂エマルジョンは、最終的に水にウレタン樹脂が分散しているが、必要に応じて、水やレベリング剤、更には有機溶剤などを配合してプライマーコート組成物とすることが好ましい。そして、本発明においては、該プライマーコート組成物を前記レンズ基材上に塗布、乾燥し、プライマー層を形成することが好ましい。この際、プライマー層の厚みは、1〜20μmとすることが好ましい。
本発明においては、以上の方法で形成したプライマー層上に、フォトクロミック層を形成することが好ましい。次に、フォトクロミック層、およびそれを形成するためのフォトクロミックコート組成物について説明する。
<フォトクロミック層;フォトクロミックコート組成物>
本発明においては、得られる光学物品の偏光度、および視感透過率が本発明の要件を満足するようにすれば(少なくとも、レンズ基材/プライマー層/フォトクロミック層とからなる物品の偏光度、および視感透過率が本発明の要件を満足すようにすれば)、フォトクロミック層の製造方法等は制限されるものではない。前記プライマー層上に、その他の層を形成することもできるが、直接、該プライマー層上にフォトクロミック層を形成することが好ましい。その中でも、光学物品自体の生産性、およびその他の層等との密着性、特に、プライマー層との密着性を向上するために、以下の方法で、前記プライマー層上に、直接、形成することが好ましい。
すなわち、フォトクロミック化合物を含むフォトクロミックコート組成物を前記プライマー層上に塗布した後、該フォトクロミックコート組成物を硬化させてフォトクロミック層を形成するフォトクロミック層形成工程を実施することが好ましい。
前記フォトクロミックコート組成物は、特に制限されるものではないが、フォトクロミック化合物、(メタ)アクリルモノマー及び重合開始剤を含んでなる組成物が好適に使用される。このようなフォトクロミックコート組成物としては、従来のコーティング法で使用可能なフォトクロミックコート組成物が特に限定なく使用できる。中でも、フォトクロミック特性、光学特性およびフォトクロミック層の耐溶剤性、表面硬度、および密着性の観点から、国際公開第03/011967号パンフレット、国際公開第04/050775号パンフレット、国際公開第05/014717号パンフレット、国際公開2011/125956号パンフレット、日本国特許5991980号公報、国際公開2013/008825号公報、特開2013−072000号公報、特開2015−025063号公報、国際公開2014/136919号パンフレット、国際公開2014/136804号パンフレット、国際公開2015/068798号パンフレット、国際公開2016/013677号パンフレット、特開2017−052869号公報、特開2017−19973号公報、国際公開2017/038957号パンフレット等に記載されているフォトクロミックコート組成物を使用するのが好適である。
本発明において、フォトクロミックコート組成物は、公知の(メタ)アクリルモノマーを特に制限なく含むことができる。具体的には、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ビスフェノールA ジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、平均分子量628の2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン、平均分子量804の2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン、平均分子量776の2,2−ビス(4−アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン、平均分子量468のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエチレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、平均分子量330のポリエチレングリコールジメタクリレート、平均分子量536のポリエチレングリコールジメタクリレート、平均分子量736のポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、平均分子量536のポリプロピレングリコールジメタクリレート、平均分子量258のポリエチレングリコールジアクリレート、平均分子量308のポリエチレングリコールジアクリレート、平均分子量508のポリエチレングリコールジアクリレート、平均分子量708のポリエチレングリコールジアクリレート、ポリカーボネートジオールと(メタ)アクリル酸との反応生成物であるポリカーボネートジ(メタ)アクリレート、ウレタンオリゴマーテトラアクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサメタクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレートなどの多官能性ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレートなどの多官能ポリエステル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル基を有し、かつケージ状、ハシゴ状、ランダムといった種々の構造を有するシルセスキオキサンモノマー、(メタ)アクリル基を側鎖に有するポリロタキサン化合物、2−イソシアナトエチルメタクリレート、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等を挙げることができる。
また、前記フォトクロミックコート組成物には、フォトクロミック化合物として、フォトクロミック作用を示す化合物を採用することができる。例えば、フルギド化合物、クロメン化合物、およびスピロオキサジン化合物等のフォトクロミック化合物がよく知られており、本発明においては、これらのフォトクロミック化合物を何ら制限なく使用できる。これらは、単独使用でもよく、2種類以上を併用しても構わない。前記のフルギド化合物、クロメン化合物、及びスピロオキサジン化合物としては、例えば特開平2−28154号公報、特開昭62−288830号公報、WO94/22850号パンフレット、WO96/14596号パンフレット等に記載されている化合物が挙げられる。
また、優れたフォトクロミック性を有する化合物として本発明者等が新たに見出した化合物、例えば特開2001−114775号、特開2001−031670号、特開2001−011067号、特開2001−011066号、特開2000−347346号、特開2000−344762号、特開2000−344761号、特開2000−327676号、特開2000−327675号、特開2000−256347号、特開2000−229976号、特開2000−229975号、特開2000−229974号、特開2000−229973号、特開2000−229972号、特開2000−219687号、特開2000−219686号、特開2000−219685号、特開平11−322739号、特開平11−286484号、特開平11−279171号、特開平10−298176号、特開平09−218301号、特開平09−124645号、特開平08−295690号、特開平08−176139号、特開平08−157467号、米国特許5645767号公報、米国特許5658501号公報、米国特許5961892号公報、米国特許6296785号公報、日本国特許第4424981号公報、日本国特許第4424962号公報、WO2009/136668号パンフレット、WO2008/023828号パンフレット、日本国特許第4369754号公報、日本国特許第4301621号公報、日本国特許第4256985号公報、WO2007/086532号パンフレット、特開平2009−120536号、特開2009−67754号、特開2009−67680号、特開2009−57300号、日本国特許4195615号公報、日本国特許4158881号公報、日本国特許4157245号公報、日本国特許4157239号公報、日本国特許4157227号公報、日本国特許4118458号公報、特開2008−74832号、日本国特許3982770号公報、日本国特許3801386号公報、WO2005/028465号パンフレット、WO2003/042203号パンフレット、特開2005−289812号、特開2005−289870号、特開2005−112772号、日本国特許3522189号公報、WO2002/090342号パンフレット、日本国特許第3471073号公報、特開2003−277381号、WO2001/060811号パンフレット、WO2000/071544号、WO2005/028465号パンフレット、WO2011/16582号パンフレット、WO2011/034202号パンフレット、WO2012/121414号パンフレット、WO2013/042800号パンフレット、日本国特許6031035号公報等に開示されている化合物を好適に用いることができる。
これらのフォトクロミック化合物の中でも、発色濃度、初期着色、耐久性、退色速度などのフォトクロミック特性の観点から、インデノ〔2,1−f〕ナフト〔1,2−b〕ピラン骨格を有するクロメン化合物を1種類以上用いることがより好ましい。さらにこれらのクロメン化合物中でもその分子量が540以上の化合物は、発色濃度及び退色速度に特に優れるため好適である。
フォトクロミック化合物の使用量は、特に制限されないが、フォトクロミック層を形成する(メタ)アクリルモノマーの合計100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、さらに1〜10質量部であることがより好ましい。
また、フォトクロミックコート組成物には、重合開始剤を配合することもできるが、重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリルモノマーの合計100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部の範囲である。
前記重合開始剤としては、光重合開始剤を使用するのが好適であり、公知のものを採用することが可能である。該光重合開始剤として具体的には、ベンゾフェノン;2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;1,2−ジフェニルエタンジオン、メチルフェニルグリコキシレート等のα−ジカルボニル系化合物;2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,6−ジクロルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキシド系化合物;1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルなどが挙げられる。
後述するスピンコーティング法により、フォトクロミックコート組成物を塗布する際には、均一な厚さのフォトクロミック層を得易いという理由から、フォトクロミックコート組成物の25℃における粘度は、50〜1,000cP、特に100〜500cPの範囲に調整することが好ましい。
本発明において、フォトクロミックコート組成物には、前述の成分以外にも、例えば、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤を必要に応じて混合することができる。
界面活性剤としては、シリコーン鎖(ポリアルキルシロキサンユニット)を疎水基とするシリコーン系の界面活性剤、またフッ化炭素鎖を有するフッ素系の界面活性剤などの、公知の界面活性剤が何ら制限なく使用できる。界面活性剤を添加することにより、フォトクロミックコート組成物から形成されるフォトクロミック層のフォトクロミック特性、および該層の密着性に悪影響を与えることなく、プライマー層に対する濡れ性を向上させることができる。加えて、形成されるフォトクロミック層の外観不良を抑制できる。
本発明において、好適に使用できるシリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を具体的に例示すると、東レ・ダウコーニング株式会社製『L−7001』、『L−7002』、『L−7604』、『FZ−2123』、大日本インキ化学工業株式会社製『メガファックF−470』、『メガファックF−1405』、『メガファックF−479』、住友スリーエム社製『フローラッドFC−430』等を挙げることができる。界面活性剤の使用に当たっては、2種以上を混合して使用しても良い。
界面活性剤の使用量は、特に制限されるものではないが、フォトクロミックコート組成物において、前記(メタ)アクリルモノマーの合計100質量部に対して、0.001〜1質量部である。
前記フォトクロミックコート組成物には、紫外線安定剤を配合することが好ましい(形成されるフォトクロミック層に紫外線安定剤が存在することが好ましい。)。紫外線安定剤を配合することにより、フォトクロミック化合物の耐久性をさらに向上させることができる。紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止、イオウ系酸化防止剤を好適に使用することができる。好適な例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、旭電化工業(株)製アデカスタブLA−52、LA−57、LA−62、LA−63、LA−67、LA−77、LA−82、LA−87、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール、2,6−エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のIRGANOX 1010、1035、1075、1098、1135、1141、1222、1330、1425、1520、259、3114、3790、5057、565等を挙げることができる。
この紫外線安定剤の使用量は特に制限されるものではないが、前述の(メタ)アクリルモノマーの合計100質量部に対して、各紫外線安定剤の配合量が0.1〜10質量部である。これらの紫外線安定剤は、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、前記成分を含むフォトクロミックコート組成物を使用して、フォトクロミック層を形成することが好ましい。
(好適なプライマー層形成工程、およびフォトクロミック層形成工程)
本発明において、フォトクロミック層は、プライマー層を前記レンズ基材上に積層後、さらに、前記プライマー層上にフォトクロミックコート組成物を積層することにより得られる。そして、プライマー層、およびフォトクロミック層は、連続して形成することが好ましい。
本発明において、プライマー層、およびフォトクロミック層を形成するためには、プライマー組成物、及びフォトクロミックコート組成物を、公知の方法で塗布する方法(コーティング法)が何ら制限なく使用できる。具体的には、前記組成物等をスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ディップ−スピンコーティング等の方法で塗布する方法が挙げられる。これら塗布方法の中でも膜厚の制御が容易で、外観の良好な塗膜が得られるという理由から、スピンコーティングを採用するのが好ましい。
コーティング法によりプライマーコート組成物を塗布する場合には、前記レンズ基材上に、スピンコーティング法などにより該プライマーコート組成物を塗布した後、該組成物が水や有機溶媒を含む場合には、適当な条件で乾燥させることによりプライマー層を形成できる。中でも、プライマー層とフォトクロミック層との密着性の観点から、プライマーコート組成物を前記レンズ基材上に塗布後、10〜40℃で5〜30分乾燥させた後に、得られたプライマー層上にフォトクロミックコート組成物を塗布し、窒素などの不活性ガス中に設置し、UV照射により、フォトクロミック層の光硬化を行う方法が好適である。
スピンコーティングにより、プライマーコート組成物を塗布する際には、均一な厚さのプライマー層を得易いという理由から、プライマーコート組成物の25℃における粘度は、5〜200cP 、特に10〜100cPの範囲に調整することが好ましい。粘度の調整は、分散媒の種類や量を変えることにより行うことができる。
前記レンズ基材上に形成されるプライマー層の厚さは、良好な光学特性、及びレンズ基材とプライマー層間、プライマー層とフォトクロミック層との密着性の観点から、乾燥後に形成されるプライマーコート層の厚さが1〜20μmとなることが好ましい。さらには、1〜10μm、特に好ましくは、1〜7μmとなるような厚さとするのが好適である。
本発明においては、最終的に得られる光学物品において、フォトクロミック層の密着性をより向上させるためには、該フォトクロミック層の厚みを1〜100μmとすることが好ましい。また、該フォトクロミック層の厚みが前記範囲を満足することにより、最終的に得られる光学物品の発色時の視感透過率を5〜40%とし、退色時の視感透過率を10〜80%とし易くなる(該光学物品の製造が容易となる。)。そのため、良好な光学特性、フォトクロミック特性、及びプライマー層とフォトクロミック層との密着性の観点から、フォトクロミック層の厚みはm特に10〜40μmとなることが好ましい。
本発明において、フォトクロミックコート組成物を光重合させる際には、重合条件のうち、特に紫外線(UV)強度は得られるフォトクロミック層の性状に影響を与える。この照度条件は、光重合開始剤の種類と量や、(メタ)アクリルモノマーの種類によって影響を受けるので一概に限定はできないが、一般的に365nmの波長で、50〜500mW/cmのUV光を、0.5〜5分の時間で光照射するように条件を選ぶのが好ましい。
本発明においては、フォトクロミック層をUV硬化により積層した後、前記レンズ基材と前記プライマー層間、及び前記プライマー層と前記フォトクロミック層間との密着性をより高めるため、60〜120℃の温度範囲で0.5〜6時間程度加熱処理することが好ましい。こうすることにより、全ての界面における密着性が良好な偏光フォトクロミック光学物品を得ることができる。
以上のような方法に従って、プライマー層、及びフォトクロミック層を形成することにより、本発明の偏光フォトクロミック光学物品を製造できる。なお、前記の通り、レンズ基材、プライマー層、及びフォトクロミック層からなる偏光フォトクロミック光学物品において、偏光度が30〜100%であり、フォトクロミック層の発色時の視感透過率が5〜40%であり、退色時の視感透過率が10〜80%であれば、通常の用途であれば、その他の層を設けた光学物品であっても、前記偏光度、及び透過率を満足するものとなる。
次に、その他の機能層について説明する。
<偏光フォトクロミック積層物品;その他の機能層>
本発明においては、前記偏光フォトクロミック光学物品上に、さらに、その他の機能層を有する、偏光フォトクロミック積層物品とすることもできる。例えば、前記光学物品における、偏光機能を有する前記レンズ基材、およびフォトクロミック層の外表面等に、これらその他の機能層を形成することができる。
その他の機能層は、特に制限されるものではなく、通常の光学レンズで用いられる前記の膜(層)を形成することができる。具体的には、分散染料などの染料を用いる染色を有する層/シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾルを主成分とするハードコート層/SiO、TiO、ZrO等の金属酸化物の薄膜の蒸着、および有機高分子の薄膜の塗布による反射防止層/防汚コート層/撥水コート層/これら層の密着性を向上させるためのプライマーコート層等が挙げられる。これらの層は複数層積層されていても構わない。
本発明の光学物品は、偏光機能とフォトクロミック機能の両方を併せ持つ効果的な防眩性を有する光学物品である。そのため、前記機能層をさらに設けたとしても、それらの機能を高度に維持したものとなる。つまり、本発明の偏光フォトクロミック積層物品は、その他の機能層を設けたとしても、該積層物品の偏光度を30〜100%とし、発色時の該積層物品の視感透過率を5〜40%とし、退色時の該積層物品の視感透過率を10〜80%とすることができる。
偏光度、および視感透過率は、偏光機能を有するレンズ基材/プライマー層/フォトクロミック層のこの3つの部位に大きく影響される。そのため、本発明においては、この3つの部位を少なくとも有する光学物品において、偏光度が30〜100%であり、発色時の視感透過率が5〜40%であり、該退色時の視感透過率が10〜80%を満足しているため、全て層を含む状態(最終成型品)の積層物品においても、前記偏光度、および視感透過率を満足するものを容易に製造できる。中でも、反射防止膜をフォトクロミック層上に形成した場合には、視感透過率を向上させることができる。
また、本発明の積層物品には、帯電防止処理等の加工および2次処理を施すことも可能である。
次に、実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。先ず、使用した各成分について説明する。
(プライマーコート組成物)
PR1;湿気硬化型プライマー(製品名;TR−SC−P、(株)トクヤマ製)。
PR2;水分散ウレタンエマルジョン(製品名;NJ−321A、(株)トクヤマ製)。
(レンズ基材)
レンズ1;偏光度99.2%、視感透過率16.0%、色調Grayの偏光フィルムをレンズ中に有する屈折率1.67のチオウレタン系偏光レンズ(レンズ厚3mm)。
レンズ2;偏光度80.3%、視感透過率49.3%、色調Grayの偏光フィルムをレンズ中に有する屈折率1.67のチオウレタン系偏光レンズ(レンズ厚3mm)。
レンズ3;偏光度34.8%、視感透過率76.3%、色調Grayの偏光フィルムをレンズ中に有する屈折率1.67のチオウレタン系偏光レンズ(レンズ厚3mm)。
レンズ4;偏光度96.8%、視感透過率30.5%、色調Grayの偏光フィルムをレンズ中に有する屈折率1.67のチオウレタン系偏光レンズ(レンズ厚3mm)。
レンズ5;偏光度96.8%、視感透過率30.5%、色調Grayの偏光フィルムをレンズ中に有する屈折率1.60のチオウレタン系偏光レンズ(レンズ厚3mm)。
レンズ6;偏光度96.8%、視感透過率30.5%、色調Grayの偏光フィルムをレンズ中に有する屈折率1.58のポリカーボネート系偏光レンズ(レンズ表面に、ハードコート層を有する。レンズ厚3mm。)。
レンズ7;偏光度96.8%、視感透過率30.5%、色調Grayの偏光フィルムをレンズ中に有する屈折率1.50のアリル系製偏光レンズ(レンズ厚3mm)。
レンズ8;偏光度96.8%、視感透過率30.5%、色調Grayの偏光フィルムをレンズ中に有する屈折率1.56のウレタン系製偏光レンズ(レンズ厚3mm)。
レンズ9;屈折率1.67のチオウレタン系レンズ(レンズ厚3mm)。
フォトクロミック化合物
クロメン1;下記式で示される化合物。
Figure 2019164271
実施例1
偏光度99.2%、視感透過率16.0%、色調Grayの偏光フィルムをレンズ中に有する屈折率1.67のチオウレタン系偏光レンズ(レンズ厚3mm;レンズ1)の表面に、スピンコーター(1H−DX2、MIKASA製)を用いて、湿気硬化型プライマー(製品名;TR−SC−P、(株)トクヤマ製;PR1)を回転数70rpmで15秒、続いて1000rpmで10秒コートした。その後、室温(約23℃)で、10分間乾燥を行ってプライマー層を形成した。プライマー層の厚みは、7μmであった。
なお、この偏光レンズ(レンズ1)は、事前に10質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、50℃で5分間のアルカリエッチングを行い、その後十分に蒸留水で洗浄を実施したものである。
別途、以下のようにしてフォトクロミック組成物を準備した。該フォトクロミックコート組成物は、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20質量部、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン35質量部、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート10質量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート20質量部、およびグリシジルメタクリレート10質量部からなる重合性単量体の合計100質量部に、クロメン1を3質量部、安定剤としてビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを5質量部、重合開始剤としてCGI148(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を0.3質量部、並びにCGI819(ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)を0.3質量部添加して十分に攪拌し、脱気することにより準備した。
次いで、前記方法で形成したレンズ基材のプライマー層上に、前記フォトクロミックコート組成物2.0gを、形成されるフォトクロミック層の膜厚が15μmになるようスピンコートにより塗布した後、無電極ランプより発生させたUV光を窒素ガス雰囲気中で、ワークの上方200mmの高さより80秒間照射した。この時、ワーク表面での365nmのUV強度は125mW/cm、積算光量は12Jであった。その後、さらに80℃で1時間加熱して、フォトクロミック層を有する偏光フォトクロミック光学物品を作製した。
表1に使用したレンズ基材、プライマー組成物、プライマー層の厚み、およびフォトクロミック層の厚みを示した。
<評価結果>
得られた偏光フォトクロミック光学物品は、下記の方法で測定した偏光度99.2%、フォトクロミック層が発色していない時(退色時)の視感透過率15.5%、フォトクロミック層が発色した時(発色時)の視感透過率6.5%、耐久性が80%であり、初期密着性が100、煮沸密着性が5時間、防眩性および視認性が屋内80%、屋外100%であった。この結果を表2に示した。
〔偏光度の評価方法〕
得られた偏光フォトクロミック光学物品を試料とし、島津製作所製紫外可視分光光度計UV−2550を用いて、単体透過率(Ts)、平行透過率(Tp)および直交透過率(Tc)を測定し、偏光度(P)を次式により求めた。
偏光度(P)(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
なお、上記Ts、TpおよびTcは、JIS Z 8701の2度視野(C光源)により測定し、視感度補正を行ったY値である。
〔視感透過率(フォトクロミック層が発色していない時(退色時))の評価方法〕
得られた偏光フォトクロミック光学物品を試料とし、島津製作所製紫外可視分光光度計UV−2550を用いて、偏光フォトクロミック光学物品の紫外線照射前の視感透過率を測定した。
〔視感透過率(フォトクロミック層が発色している時(発色時))の評価方法〕
得られた偏光フォトクロミック光学物品を試料とし、これに、(株)浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100を、エアロマスフィルター(コーニング社製)を介して23℃、積層体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm、245nm=24μW/cmで120秒間照射して発色させ、偏光フォトクロミック光学物品の視感透過率を測定した。
上記視感透過率の測定には、(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディレクターMCPD1000)を使用した。
〔耐久性〕
耐久性(%)=〔(A96/A0)×100〕:光照射による発色の耐久性を評価するために次の劣化促進試験を行った。すなわち、得られた偏光フォトクロミック光学物品をスガ試験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により96時間促進劣化させた。その後、前記発色濃度の評価を試験の前後で行い、試験前の発色濃度(A0)および試験後の発色濃度(A96)を測定し、〔(A96)/A0〕×100〕の値を残存率(%)とし、発色の耐久性の指標とした。残存率が高いほど発色の耐久性が高い。
〔初期密着性〕
密着性は、JISD−0202に準じてクロスカットテープ試験によって行った。即ち、カッターナイフを使い、得られた偏光フォトクロミック光学物品のフォトクロミック層の表面に約1mm間隔に切れ目を入れ、マス目を100個形成させる。その上にセロファン粘着テープ(ニチバン(株)製セロテープ(登録商標))を強く貼り付け、次いで、表面から90°方向へ一気に引っ張り剥離した後、フォトクロミック層が残っているマス目を評価した。
〔煮沸密着性〕
沸騰した蒸留水中に、試験片である偏光フォトクロミック光学物品を1時間毎に浸漬した後、偏光フォトクロミック光学物品を取り出し、水滴を拭き取り、室温で1時間放置した後に、初期密着性と同様にして密着性を評価した。密着性を保持している偏光フォトクロミック光学物品に関しては、煮沸時間が合計5時間になるまで試験を実施した。3)と同様に残っているマス目を測定した。評価結果は、密着性を保持した(95/100以上)試験時間で示した。
〔防眩性、及び視認性の評価〕
前記方法で作製した偏光フォトクロミック光学物品からなる眼鏡レンズを作製した。該眼鏡レンズを使用して、以下の方法により防眩性、及び視認性を評価した。この防眩性、及び視認性は、3月の10時〜15時(場所;日本)の晴れた日において、当該眼鏡レンズを着用して被験者10人に屋内、及び屋外を繰り返し移動してもらい、上記眼鏡レンズ装着時の防眩性、及び視認性に満足した人の割合で評価した。
実施例2−11、比較例1
表1に示したプライマーコート組成物、プライマー層の厚み、レンズ基材、フォトクロミック層厚を適用した以外は、実施例1と同様な方法で偏光フォトクロミック光学物品を作製し、評価を行った。また、評価結果を表2に示した。
Figure 2019164271
Figure 2019164271
上記実施例1〜11から明らかなように、本発明の偏光フォトクロ光学物品は、防眩性に優れるばかりではなく、密着性にも優れている。一方、比較例1に示すように、偏光機能を有さないフォトクロミック光学物品は、防眩性が不十分であった。
1 偏光フォトクロミック光学物品
2 偏光機能を有するレンズ基材
3 プライマー層
4 フォトクロミック層

Claims (6)

  1. 偏光機能を有するレンズ基材、プライマー層、およびフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層をこの順で有する偏光フォトクロミック光学物品であって、
    該光学物品の偏光度が30〜100%であり、
    該フォトクロミック層が発色した時の該光学物品の視感透過率が5〜40%であり、
    該フォトクロミック層が発色していない時の該光学物品の視感透過率が10〜80%であることを特徴とする偏光フォトクロミック光学物品。
  2. 前記フォトクロミック層の膜厚が、1〜100μmである請求項1記載の偏光フォトクロミック光学物品。
  3. 偏光機能を有する前記レンズ基材が、
    ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、又はチオエポキシ樹脂からなる基材と、
    偏光フィルムと
    からなる請求項1に記載の偏光フォトクロミック光学物品。
  4. 前記プライマー層がウレタン樹脂からなり、該プライマー層の厚みが1〜20μmである請求項1記載の偏光フォトクロミック光学物品。
  5. 偏光機能を有するレンズ基材上に、ウレタン樹脂、又は硬化してウレタン樹脂となるモノマーを含むプライマーコート組成物を塗布した後、該プライマーコート組成物を硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程、及び
    該プライマー層上に、フォトクロミック化合物を含むフォトクロミックコート組成物を塗布した後、該フォトクロミックコート組成物を硬化させてフォトクロミック層を形成するフォトクロミック層形成工程
    を含む請求項1に記載の偏光フォトクロミック光学物品の製造方法。
  6. 請求項1に記載の偏光フォトクロミック光学物品上に、さらに機能層を備えた偏光フォトクロミック積層物品。
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