JP2019163344A - 擬ポリロタキサン、ポリロタキサン、及びそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低包接の擬ポリロタキサン又はポリロタキサンの提供及び/又は該擬ポリロタキサン又はポリロタキサンを選択的に且つ高収率で得る製造方法の提供。【解決手段】α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である環状分子の開口部が水溶性直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンであって、環状分子の−OH基の一部が−O−(CHR1)n−CHR2−OH(式中、R1はH、メチル基又はエチル基であり、R2はH、メチル基又はエチル基であり、nは1〜6の整数である)で置換されてなり、水溶性直鎖状分子の長さと環状分子の厚みから規定される規定包接率を100%とするとき、該環状分子の包接率が1〜22%である、擬ポリロタキサンにより、上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、擬ポリロタキサン、特に環状分子のOH基が基の一部が、−O−(CHR−CHR−OH(式中、RはH、メチル基又はエチル基であり、RはH、メチル基又はエチル基であり、nは1〜6の整数である)で表される基で置換される、いわゆるヒドロキシプロピル化擬ポリロタキサンに関する。
また、本発明は、該擬ポリロタキサンの直鎖状分子の両端に環状分子が脱離しないように封鎖基を配置するポリロタキサン、特にいわゆるヒドロキシプロピル化ポリロタキサンに関する。
さらに、本発明は、上記擬ポリロタキサン及び上記ポリロタキサンの製造方法に関する。
近年、架橋ポリロタキサン材料の発明(特許文献1、特許文献2)を発端に、塗料や様々な高分子材料とポリロタキサンとの複合材料への応用が進んでいる。
最も重要な中間体であるポリロタキサンは、水や有機溶媒への溶解性が非常に低いため、いかなる応用をする場合でも化学修飾による溶解性の制御は必須であり、合成プロセスが非常に複雑となる結果、膨大なコストがかかっていた。
この問題を解決する方法として、メチル化シクロデキストリンが示す下限臨界共溶温度(LCST)を用いるポリロタキサン合成法がある(特許文献3、非特許文献1)が、生成するポリロタキサンは、環状分子の包接率が非常に高いポリロタキサン(高包接ポリロタキサン)と包接率が低いポリロタキサン(低包接ポリロタキサン)とが同時に得られる。高包接ポリロタキサンは分子被爆導線やドラッグデリバリーに非常に有用である。一方、ポリロタキサンを用いる複合材料において、ポリロタキサンの環状分子が直鎖状分子に沿って移動することによる効果、例えば高弾性、高伸長度などを奏するためには、用いるポリロタキサンが低包接ポリロタキサンでないとその効果が生じない。
そのため、低包接ポリロタキサンを選択的に且つ高収率で得られる合成法が求められている。
特許第3475252号。 特許第4482633号。 特許第4821005号。
T. Higashi, L. Jun, X. Song, J. Zhu, M. Taniyoshi, F. Hirayama, D. Iohara, K. Motoyama, H. Arima, "Thermoresponsive Formation of Dimethyl Cyclodextrin Polypseudorotaxanes and Subsequent One-pot Synthesis of Polyrotaxanes"ACS Macro Lett., 5(2), 158-162 (2016)。
そこで、本発明の目的は、低包接の擬ポリロタキサン又は低包接のポリロタキサンを選択的に且つ高収率で得られる合成法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的に加えて、低包接の擬ポリロタキサン及び低包接のポリロタキサンを提供することにある。
本発明者らは、次の発明を見出した。
<1> α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である環状分子の開口部が水溶性直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンであって、
前記環状分子の−OH基の一部が、−O−(CHR−CHR−OH(式中、RはH、メチル基又はエチル基であり、RはH、メチル基又はエチル基であり、nは1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の整数である)で置換されてなり、
前記水溶性直鎖状分子の長さと前記環状分子の厚みから規定される規定包接率を100%とするとき、該環状分子の包接率が1〜22%、好ましくは1〜15%、より好ましくは1〜10%、最も好ましくは1〜8%である、擬ポリロタキサン。
<2> 上記<1>において、環状分子が、α−シクロデキストリンであるのがよい。
<3> 上記<2>において、一部とは、α−シクロデキストリン一分子に存在する18個の−OH基がすべて置換された状態を100%とするときの2〜80%、好ましくは3〜50%、より好ましくは3〜30%であるのがよい。
<4> 上記<2>又は<3>において、α−シクロデキストリンの−OH基の一部が、2位OH及び/又は6位OH、特に6位OHであるのがよい。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれかにおいて、水溶性直鎖状分子が、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリペプチド、及びポリエチレングリコールを含む共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種、好ましくはポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、及びポリエチレングリコールを含む共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはポリエチレングリコール及びポリエチレンイミンからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがよい。
<6> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、RがHであり且つRがメチル基であるか、又はRがメチル基であり且つRがHであるのがよい。
<7> 上記<1>〜<6>のいずれかの擬ポリロタキサン;及び封鎖基を有するポリロタキサンであって、擬ポリロタキサンの水溶性直鎖状分子の両端に環状分子が脱離しないように封鎖基を配置するポリロタキサン。
<8> a)水溶性直鎖状分子を準備する工程;
b)α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である環状分子を準備する工程;
c)環状分子の−OH基の一部を、−O−(CHR−CHR−OH(式中、RはH、メチル基又はエチル基であり、RはH、メチル基又はエチル基であり、nは1〜6の整数である)で置換する工程;
d) 工程c)で得られた環状分子、工程a)で得られた水溶性直鎖状分子、及び水を有する混合液を調製する工程;及び
e)得られた混合液を攪拌する工程;
を有することにより、擬ポリロタキサンを得る、上記方法。
<9> 上記<8>において、擬ポリロタキサンは、上記<1>〜<6>のいずれかの擬ポリロタキサンであるのがよい。
<10> 上記<8>又は<9>において、擬ポリロタキサンを、混合液の上澄みに、及び/又は前記混合物の沈殿物に、好ましくは混合液の上澄みに、得るのがよい。
<11> 上記<8>〜<10>のいずれかの工程c)において、
c)−1)α−シクロデキストリンを10mol/L水酸化ナトリウム水溶液で処理する工程;及び
c)−2)上記工程c)−1)で得られた液に、プロピレンオキサイドを添加してα−シクロデキストリンの6位OH基の一部を、−O−(CHR−CHR−OHに置換する工程;
を有し、
包接率が1〜22%、好ましくは1〜15%、より好ましくは1〜10%、最も好ましくは1〜8%である擬ポリロタキサンを、混合液の上澄みに、及び/又は混合物の沈殿物に、好ましくは混合液の上澄みに、得るのがよい。
<12> f) 上記<8>〜<11>のいずれかの方法で得られた擬ポリロタキサンを有する混合物に、封鎖剤を添加する工程;
をさらに有し、
擬ポリロタキサンの水溶性直鎖状分子の両端に環状分子が脱離しないように封鎖基を配置するポリロタキサンを混合物中に得る、ポリロタキサンの製造方法。
本発明により、低包接の擬ポリロタキサン又は低包接のポリロタキサンを選択的に且つ高収率で得られる合成法を提供することができる。
また、本発明の目的は、上記目的に加えて、低包接の擬ポリロタキサン及び低包接のポリロタキサンを提供することができる。
以下、本願に記載する発明を詳細に説明する。
本願は、擬ポリロタキサン、特に環状分子のOH基が基の一部が、−O−(CHR−CHR−OH(式中、RはH、メチル基又はエチル基であり、RはH、メチル基又はエチル基であり、nは1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の整数である)で表される基で置換される、いわゆるヒドロキシプロピル化擬ポリロタキサンを提供する。
また、本願は、該擬ポリロタキサンの直鎖状分子の両端に環状分子が脱離しないように封鎖基を配置するポリロタキサン、特にいわゆるヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを提供する。
さらに、本願は、上記擬ポリロタキサン及び上記ポリロタキサンの製造方法を提供する。
以下、順に説明する。
<擬ポリロタキサン>
本願の擬ポリロタキサンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である環状分子の開口部が水溶性直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる。
また、本願の擬ポリロタキサンは、該環状分子の一部が、−O−(CHR−CHR−OH(式中、RはH、メチル基又はエチル基であり、RはH、メチル基又はエチル基であり、nは1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の整数である)で表される基で置換されてなる。
さらに、本願の擬ポリロタキサンは、水溶性直鎖状分子の長さと環状分子の厚みから規定される規定包接率を100%とするとき、該環状分子が、擬ポリロタキサン一分子に含まれる率である包接率が1〜22%、好ましくは1〜15%、より好ましくは1〜10%、最も好ましくは1〜8%であるのがよい。
なお、「擬ポリロタキサン」とは、「ポリロタキサン」と比較して規定すると、「ポリロタキサン」が直鎖状分子の両末端に封鎖基を有する一方、「擬ポリロタキサン」は該封鎖基を有していない点で異なる、と規定される。
<<環状分子>>
本願の擬ポリロタキサンを構成する環状分子は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくはα−シクロデキストリン(なお、以降、「シクロデキストリン」を単に「CD」と略記する場合がある)であるのがよい。
該環状分子の一部が、上述の−O−(CHR−CHR−OH基で置換されてなる。
なお、ここで「一部」とは、環状分子一分子のOH基の一部、擬ポリロタキサン一分子に含まれる全ての環状分子の一部、及び全ての擬ポリロタキサンに含まれる全ての環状分子の一部、のことを総て指す意である。
特に「一部」とは、α−CD一分子に存在する18個の−OH基がすべて置換された状態を100%とするときの2〜80%、好ましくは3〜50%、より好ましくは3〜30%であるのがよい。なお、このように、環状分子の一分子のOH基の一部を規定すれば、「一部」とは自ずと擬ポリロタキサン一分子に含まれる全ての環状分子の一部となり、且つ全ての擬ポリロタキサンに含まれる全ての環状分子の一部となる。
該「一部」であるか否かについては、得られた擬ポリロタキサン(又はポリロタキサン)からプロトン核磁気共鳴により求めることができる。具体的には、α−CDを用いた場合を例とすると、H−NMRにおけるα−CDの1位の炭素のメチンプロトンを表すピーク(ケミカルシフトで約4.8ppmの位置)の積分値と、RまたはRのメチル基又はエチル基におけるメチルプロトンが表すピーク(例えばRがH、Rがメチル基の場合:約1.1ppmの位置)の積分値との比から求めることができる。
環状分子の−OH基の一部が、上述の−O−(CHR−CHR−OH基で置換されてなるとき、該−OH基は、2位OH及び/又は6位OH、特に6位OHであるのがよい。
なお、完全な理論に基づくものではないが、環状分子の−OH基の一部が、上述の−O−(CHR−CHR−OH基で置換されると、該−O−(CHR−CHR−OH基同士、即ちいわゆる疎水性基同士が近くに配置されることを避けるため、該基を備える環状分子同士も避けるように配置され、それによって擬ポリロタキサンにおける環状分子の配置が決まるものと考えられる。また、この環状分子の配置が、後述の「包接率」をもたらすものと考えられる。
この際、環状分子、特にα−CDの2位OH及び/又は6位OHが、上記−O−(CHR−CHR−OH基に置換されるのがよく、特に環状分子、特にα−CDの6位OHが上記−O−(CHR−CHR−OH基に置換されるのがよい。
これも、完全な理論に基づくものではないが、上記の位置に−O−(CHR−CHR−OH基同士、即ちいわゆる疎水性基同士が配置されることにより、後述の「包接率」をもたらすものと考えられるからである。
上述の−O−(CHR−CHR−OH基で表される置換基のうち、RがHであり且つRがメチル基であるか、又はRがメチル基であり且つRがHであるのがよい。
<<水溶性直鎖状分子>>
本願の擬ポリロタキサンは、水溶性直鎖状分子を有して構成される。
該水溶性直鎖状分子は、水溶性、例えば水1Lに1g溶解することが可能という特性を有するのであれば、特に限定されない。
水溶性直鎖状分子として、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリペプチド、及びポリエチレングリコールを含む共重合体を挙げることができるが、これに限定されない。
即ち、水溶性直鎖状分子は、上記に挙げたポリマー種からなる群から選ばれる少なくとも1種、好ましくはポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、及びポリエチレングリコールを含む共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはポリエチレングリコール及びポリエチレンイミンからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがよい。
水溶性直鎖状分子の分子量(数平均分子量又は重量平均分子量)は、特に限定されないが、数平均分子量5,000〜1,000,000、好ましくは数平均分子量7,000〜200,000、より好ましくは数平均分子量10,000〜50,000であるのがよい。
<<包接率>>
本願において、包接率とは、擬ポリロタキサン(又はポリロタキサン)に含まれる環状分子の割合をいう。
また、規定包接率とは、擬ポリロタキサン(又はポリロタキサン)に用いた水溶性直鎖状分子及び環状分子から算術的に規定される包接率をいい、具体的には上述の水溶性直鎖状分子の長さと上述の環状分子の厚みから規定される。
具体的に規定包接率を説明する。
水溶性直鎖状分子として、ポリエチレングリコールを用い、環状分子としてα−CDを用いる場合を考慮する。
ポリエチレングリコールの繰り返し単位2つ分がα−CDの厚さと同じであることが分子モデル計算から知られている。したがって、α−CDのモルと繰り返し単位の数との比が1:2のときを規定包接率100%とする。
得られる擬ポリロタキサン(又はポリロタキサン)に含まれる環状分子の割合、即ち包接率は、H−NMRから求めることができる。
具体的には、得られる擬ポリロタキサン(又はポリロタキサン)のH−NMRにおけるα−CDの1位の炭素のメチンプロトンを表すピーク(ケミカルシフトで約4.8ppmの位置)の積分値とPEGのメチレンプロトンを表すピーク(約3.5ppmの位置)の積分値との比から求めることができる。
より具体的には、H−NMRスペクトルで4.8ppm付近に現れるα−CDのグルコースの1位の炭素のメチンプロトンの実測積分値Xと、3.5ppm付近に現れるPEGの繰り返し単位のメチレンプロトンの実測積分値Yとの比であるX/Yを求める。この実測積分値の比X/Yが3:4の時、上記のようにα−CDとPEGの繰り返し単位の数とのモル比が1:2の規定包接率100%であることを示している。
このことから、包接率は、式:(包接率(%))=(実測積分値の比X/Y)×4/3×100から求めることができる。例えば、実測積分値の比X/Yが1/4のとき、包接率は33.3%となる。
このようにすることにより、擬ポリロタキサン(又はポリロタキサン)の包接率を求めることができる。
本願において、擬ポリロタキサン(又はポリロタキサン)の包接率は、規定包接率を100%とするとき、1〜22%、好ましくは1〜15%、より好ましくは1〜10%、最も好ましくは1〜8%であるのがよい。
<ポリロタキサン>
本願は、上述の擬ポリロタキサン;及び封鎖基を有するポリロタキサンであって、擬ポリロタキサンの水溶性直鎖状分子の両端に、環状分子が脱離しないように、封鎖基を配置するポリロタキサンを提供する。
上述したように、「擬ポリロタキサン」と「ポリロタキサン」との違いは、「封鎖基」の有無であり、本願は、「擬ポリロタキサン」と共に「ポリロタキサン」も提供する。
<<封鎖基>>
封鎖基は、擬ポリロタキサンの水溶性直鎖状分子の両端に配置され、用いる環状分子が脱離しないように作用する基であれば、特に限定されない。
例えば、封鎖基として、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、シルセスキオキサン類、ピレン類、置換ベンゼン類(置換基として、アルキル、アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、スルホニル、カルボキシル、アミノ、フェニルなどを挙げることができるがこれらに限定されない。置換基は1つ又は複数存在してもよい。)、置換されていてもよい多核芳香族類(置換基として、上記と同じものを挙げることができるがこれらに限定されない。置換基は1つ又は複数存在してもよい。)、及びステロイド類からなる群から選ばれるのがよい。なお、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、シルセスキオキサン類、及びピレン類からなる群から選ばれるのが好ましく、より好ましくはアダマンタン基類又はシクロデキストリン類であるのがよい。
本願は、低包接の擬ポリロタキサン及び低包接のポリロタキサンを提供することができる。本願の擬ポリロタキサン又はポリロタキサンは、従来と同様に、ポリロタキサン同士の架橋体、ポリロタキサンと他のポリマーとの架橋体を提供することができるが、低包接の擬ポリロタキサン又はポリロタキサンを用いることにより、従来とは異なる特性、例えば高伸長性、高破断応力等の強靱性あるいは溶媒や溶質の透過特性において異なる特性を有する架橋体又は該架橋体を有する材料を提供することができる。
例えば、該材料として、固形ポリロタキサン材料を挙げることができるがこれらに限定されない。
にある。
また、本願の低包接の擬ポリロタキサン及びポリロタキサンを用いて、さらに修飾した擬ポリロタキサン及びポリロタキサン、特に修飾したポリロタキサンを得ることができる。
例えば、さらに修飾する手法として、本願で得られた−O−(CHR−CHR−OH基を有する環状分子のうち、該−O−(CHR−CHR−OH基の「−OH基」をさらに修飾する手法;等を挙げることができるがこれらに限定されない。
この修飾したポリロタキサンを用いることによっても、包接率の違い、特に低包接率に由来して、従来とは異なる特性、例えば高伸長性、高破断応力等の強靱性あるいは溶媒や溶質の透過特性において異なる特性を有する材料を得ることが期待できる。
<擬ポリロタキサンの製造方法>
本願は、擬ポリロタキサンの製造方法を提供する。
即ち、a)水溶性直鎖状分子を準備する工程;
b)α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である環状分子を準備する工程;
c)環状分子の−OH基の一部を、−O−(CHR−CHR−OH基で置換する工程;
d) 工程c)で得られた環状分子、工程a)で得られた水溶性直鎖状分子、及び水を有する混合液を調製する工程;及び
e)得られた混合液を攪拌する工程;
を有することにより、
α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である環状分子の開口部が水溶性直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンであって、環状分子の−OH基の一部が、−O−(CHR−CHR−OH基で置換される擬ポリロタキサンを得ることができる。
「水溶性直鎖状分子」、「環状分子」、「−O−(CHR−CHR−OH」の語は、上述と同じ定義を有する。
なお、従来、環状分子の−OH基の一部を、−O−(CHR−CHR−OHで表される基で置換したポリロタキサンが存在するが、該ポリロタキサンの製造方法は、一旦、ポリロタキサンを得た後、該ポリロタキサンに存在する環状分子の−OH基を置換する方法であったため、従来の製法では、−O−(CHR−CHR−OHで表される基で置換した擬ポリロタキサンを得ることができなかった。
工程a)は、水溶性直鎖状分子を準備する工程である。
該水溶性直鎖状分子は、市販購入可能なものを購入しても、別途、製造してもよい。
工程b)は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である環状分子を準備する工程である。
該環状分子は、市販購入可能なものを購入しても、別途、製造してもよい。
工程c)は、環状分子の−OH基の一部を、−O−(CHR−CHR−OH基で置換する工程である。
−O−(CHR−CHR−OH基で表される置換基を有する環状分子(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及び/又はγ−シクロデキストリン)が市販購入可能であれば、該市販品を購入することによりこの工程を行ってもよい。
一方、工程c)を、別途、行ってもよい。工程c)を行う場合、次のように行うのがよい。
工程b)で準備した環状分子を適切な溶媒に溶解する。溶媒として、用いる環状分子、その後に反応させる−O−(CHR−CHR−OH基の元となる原料などに依存するが、例えば水、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジンなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
なお、環状分子としてα−CDを用いる場合、溶媒として10mol/L NaOH水溶液を用いることにより、後述の工程で、α−CDの6位OH基が−O−(CHR−CHR−OH基に置換される置換体を主に得ることができる。また、環状分子としてα−CDを用いる場合、溶媒として1mol/L NaOH水溶液を用いることにより、後述の工程で、α−CDの2位OH基が−O−(CHR−CHR−OH基に置換される置換体を主に得ることができる。
環状分子の溶解後、−O−(CHR−CHR−OH基の元となる原料を加えて反応を行う。
なお、この反応で用いる原料、即ち−O−(CHR−CHR−OH基の元となる原料として、所望とするR1、及びnなどに依存するが、例えば、エポキシプロパン、エチレンオキシド、ブチレンオキシドを挙げることができるがこれに限定されない。
反応は、用いる環状分子、所望とするR1、及びnなどに依存するが、次の条件で行うのがよい。即ち、温度0〜25℃、大気圧下、時間24〜28時間であるのがよい。
工程d)は、工程c)で得られた環状分子、工程a)で得られた水溶性直鎖状分子、及び水を有する混合液を調製する工程である。
工程d)は、用いる工程c)で得られた環状分子、水溶性直鎖状分子、所望とする擬ポリロタキサンなどに依存するが、次の条件で行うのがよい。即ち、温度0〜25℃、大気圧下、1〜48時間で調製するのがよい。
混合液は、水以外の溶媒を含んでも、含まなくともよい。
水以外の溶媒は、水との相溶性があるものであれば、特に限定されない。例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、テトラヒドロフラン、アセトンなどを挙げることができるがこれに限定されない。
水以外の溶媒を含む場合、該溶媒の種類にも依存するが、水と水以外の溶媒との混合比は、水:水以外の溶媒が100:5〜100:100であるのがよい。
工程e)は、工程d)で得られた混合液を攪拌する工程である。
攪拌する時間は、用いる工程c)で得られた環状分子、水溶性直鎖状分子、工程d)で用いた溶媒、所望とする擬ポリロタキサンなどに依存するが、時間:2〜48時間、温度:4℃〜30℃であるのがよい。なお、工程e)は、用いる温度によっては、攪拌工程後に静置する工程を設けるものであってもよい。
工程a)〜工程e)を経ることにより、混合液に、具体的には混合液の上澄みに、及び/又は前記混合物の沈殿物に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である環状分子の開口部が水溶性直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンであって、環状分子の−OH基の一部が、−O−(CHR−CHR−OH基で置換される擬ポリロタキサンを得ることができる。特に、本願の方法は、工程a)〜e)をワンポットで行うことができる。
また、本願の擬ポリロタキサンの製造方法により、水溶性直鎖状分子の長さと環状分子の厚みから規定される規定包接率を100%とするとき、該環状分子の包接率が上述の範囲である、擬ポリロタキサンを得ることができる。
なお、混合液の上澄みと沈殿物とを分離するために、従来公知の手法を用いることができる。例えば、遠心分離、静置、ろ過などを挙げることができるがこれらに限定されない。
なお、混合液の上澄みにおいて、包接率が1〜15%、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは1〜8%、より好ましくは1〜6%、最も好ましくは1〜5%である、擬ポリロタキサンを得ることができる。
また、混合液の沈殿物において、包接率が7〜22%、好ましくは10〜22%、より好ましくは14〜22%である、擬ポリロタキサンを得ることができる。
具体的には、工程c)において、c)−1)α−シクロデキストリンを10mol/L水酸化ナトリウム水溶液で処理する工程;及び
c)−2)上記工程c)−1)で得られた液に、プロピレンオキサイドを添加してα−シクロデキストリンの6位OH基の一部を、−O−(CHR−CHR−OHに置換する工程;
を有することにより、
包接率が1〜15%、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは1〜8%、より好ましくは1〜6%、最も好ましくは1〜5%である擬ポリロタキサンを混合液の上澄みに、
包接率が7〜22%、好ましくは10〜22%、より好ましくは14〜22%である擬ポリロタキサンを混合液の沈殿物に、
それぞれ得ることができる。
また、工程c)において、c)−3)α−シクロデキストリンを1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で処理する工程;及び
c)−4) 上記工程c)−3)で得られた液に、プロピレンオキサイドを添加してα−シクロデキストリンの2位OH基の一部を、−O−(CHR−CHR−OHに置換する工程;
を有することにより、
包接率が1〜15%、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは1〜8%、より好ましくは1〜6%、最も好ましくは2〜4%である擬ポリロタキサンを混合液の上澄みに、
包接率が7〜22%、好ましくは10〜22%、より好ましくは10〜20%である擬ポリロタキサンを混合液の沈殿物に、
それぞれ得ることができる。
このように、本願の製造方法により、包接率の制御を行うことができる。
本願の擬ポリロタキサンの製造方法は、工程a)〜工程e)以外の工程を含んでもよい。例えば、工程a)の前、工程e)の後、各工程間に、必要であれば、工程を含んでもよい。そのような工程として、工程e)後に行うのがよい、上述した、沈殿物と上澄みとの分離工程を挙げることができる。分離工程として、例えば、上述したように遠心分離、静置、ろ過などの従来公知の手法を挙げることができるがこれに限定されない。また、透析や限外ろ過後の凍結乾燥などによる上澄み内に溶解しているポリロタキサンの精製などを挙げることができるが、これらに限定されない。
<ポリロタキサンの製造方法>
本願は、ポリロタキサンの製造方法も提供する。
具体的には、上述の擬ポリロタキサンの製造方法に、
f) 擬ポリロタキサンを有する混合物に、封鎖剤を添加する工程;
をさらに有することにより、
擬ポリロタキサンの水溶性直鎖状分子の両端に環状分子が脱離しないように封鎖基を配置するポリロタキサンを混合物中に得ることができる。
本願のポリロタキサンの製造方法は、従来の、環状分子の−OH基の一部を、−O−(CHR−CHR−OHで表される基で置換したポリロタキサンの製造方法とは、擬ポリロタキサンにおいて、既に、環状分子の−OH基の一部が−O−(CHR−CHR−OHで表される基で置換されている点で異なる。
また、本願のポリロタキサンの製造方法は、擬ポリロタキサンの製造方法で上述したように、包接率の制御を行うことができる点において異なる。
工程f)は、用いる擬ポリロタキサン、封鎖基となる、用いる封鎖剤などに依存するが、溶媒除去や擬ポリロタキサンの精製をせずそのまま水中で反応を行うのがよい。例えば、擬ポリロタキサンが上記混合物の沈殿物中に存在しても上記混合物の沈殿物中に存在する場合であっても、そこへ塩基および上記封鎖基を添加することで行うのがよい。
なお、工程e)後に、上述したような、沈殿物と上澄みとの分離工程を設ける場合、目的とするポリロタキサンに応じて、双方に、又はいずれか一方に封鎖剤を添加するのがよい。
本願のポリロタキサンの製造方法は、工程a)〜工程f)以外の工程を含んでもよい。例えば、工程a)の前、工程f)の後、各工程間に、必要であれば、工程を含んでもよい。そのような工程として、<擬ポリロタキサンの製造方法>で挙げた工程などを挙げることができるが、これらに限定されない。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
<合成例A1: 6−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(CD:HP=1:0.8)>
α−シクロデキストリン(以下、「シクロデキストリン」を単に「CD」と略記する場合がある)(10g)を10mol/L NaOH水溶液に溶解した。その後、得られた溶液を0℃とし、攪拌しながら、該溶液にエポキシプロパン(7mL)を滴下した。得られた混合物を室温で48時間、さらに攪拌した。その後、塩酸を用いて反応溶液のpHを7に調整し、溶媒をロータリエバポレータにより除去して粗生成物を得た。該粗生成物を再度、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、精製のため該溶液をアセトンに注入する工程を3回繰り返した。最終生成物を遠心分離により収集し、40℃で真空乾燥し、α−CDの6位のOH基が−O−(CHR−CHR−OH基で置換された題記化合物(なお、−OH基の「H」が「−(CHR−CHR−OH」で置換されたことから、以降、単に「ヒドロキシプロピル化」又は「ヒドロキシプロピル」と略記する場合がある)を得た(収率63%)。
得られた題記化合物をH−NMRにより、該化合物において、CD一分子に対して、ヒドロキシプロピルが0.8個存在することがわかった。
<合成例A2: 6−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(CD:HP=1:0.66)>
合成例A1において、全ての量を二倍に代えた以外、合成例A1と同様な方法により、α−CDの6位のOH基が−O−(CHR−CHR−OH基で置換された題記化合物を得た。
得られた題記化合物をH−NMRにより、該化合物において、CD一分子に対して、ヒドロキシプロピルが0.66個存在することがわかった。
<合成例B1: 2−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン>
合成例A1において、「10mol/L NaOH水溶液」の代わりに1mol/L NaOH水溶液を用いた以外、合成例A1と同様な方法により、題記化合物を得た(収率73%)。
合成例A1と同様の測定により、得られた題記化合物の一分子に対して、ヒドロキシプロピルが1個存在することがわかった。
(実施例A1)
<ポリロタキサンHPPR−10k−rtの調製>
市販の2−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(1g、CD:ヒドロキシプロピル=1:4.5)を3mL水に溶解し、その後、得られた溶液に両末端にNH基を有するポリエチレングリコール(数平均分子量:1万、200mg)(以下、ポリエチレングリコールを単に「PEG」と略記する場合がある)を加えた。得られた混合物を室温で30分間攪拌し、その後、室温で24時間、維持した結果、白色ペースト状混合物を得た。その後、得られた混合物に、NaHCO(60mg)及び1mol/Lピクリルスルホン酸水溶液0.2mLを加え、攪拌を室温下、一晩行った。その後、水相及び沈殿物を遠心分離により分離し、未反応のPEG及び2−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリンを除去するために、各々を透析した(MWCO:10,000)。最終生成物を凍結乾燥により収集し、水相からポリロタキサンHPPR−10k−rtを得た。
得られたポリロタキサンについて、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnを求めた。それらの結果を表1に示す。
なお、包接率については、H−NMRにより求めた。また、Mn、Mw、及びMw/Mnは、GPCにより求めた。
(実施例A2)
<ポリロタキサンHPPR−20k−rtの調製>
実施例A1において、PEGの数平均分子量を1万から2万に変更した以外、実施例A1と同様な方法により、ポリロタキサンHPPR−20k−rtを得た。
得られたポリロタキサンについて、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnなどを求めた。それらの結果を表1に示す。
(実施例A3)
<ポリロタキサンHPPR−20k−rtの調製>
実施例A1において、PEGの数平均分子量を1万から3万に変更した以外、実施例A1と同様な方法により、ポリロタキサンHPPR−30k−rtを得た。
得られたポリロタキサンについて、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnなどを求めた。それらの結果を表1に示す。
Figure 2019163344
表1から次のことがわかる。
直鎖状分子であるPEGの分子量を変化させると、包接率が変化することがわかる。したがって、従来法であるポリロタキサンを得た後にα−CDのOH基の「H」をヒドロキシプロピル化する方法で得られるポリロタキサンとは異なり、直鎖状分子であるPEGの分子量が変化すると包接率が変化するため、包接率の制御可能であることを示唆している。
また、水相から得られたポリロタキサンは、一般に低い包接率を有することがわかる。
さらに、水相から得られたポリロタキサンは一般に、高い収率であることがわかる。
(実施例B1)
<ポリロタキサンHPPR−10k−4℃の調製>
実施例A1において、調製温度を4℃から室温に変更した以外、実施例A1と同様な方法により、ポリロタキサンHPPR−10k−4℃を得た。
得られたポリロタキサンについて、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnなどを、実施例A1と同様に求めた。それらの結果も表1に示す。
(実施例B2)
<ポリロタキサンHPPR−20k−4℃の調製>
実施例B1と同様に、実施例A2において、調製温度を4℃から80℃に変更した以外、実施例A2と同様な方法により、ポリロタキサンHPPR−20k−80℃を得た。
得られたポリロタキサンについて、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnなどを、実施例A1と同様に求めた。それらの結果も表1に示す。
(実施例B3)
<ポリロタキサンHPPR−30k−4℃の調製>
実施例B1と同様に、実施例A3において、調製温度を4℃から室温に変更した以外、実施例A3と同様な方法により、ポリロタキサンHPPR−30k−4℃を得た。
得られたポリロタキサンについて、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnなどを、実施例A1と同様に求めた。それらの結果も表1に示す。
表1、特に実施例A1とB1とを、実施例A2とB2とを、実施例A3とB3とを、比較すると、次のことがわかる。
調製時の温度を上げることにより、包接率が低下することがわかる。例えば調製時4℃(実施例B1)では包接率:1.6%であるが、調製時の温度を室温にすると(実施例A1)、包接率;1.1%と多少ではあるが減少する。実施例A2とB2とを比較すると、調製時の温度を高くすると包接率が低くなることが顕著である(室温:3.0%が80℃:1.8%へと低下する)。
これらの結果から、調製時の温度を変化させることにより、包接率の制御が可能となることが示唆される。
また、実施例A1〜A3においても、実施例B1〜B3においても、水相から得られたポリロタキサンは一般に、高い収率であることがわかる。
(実施例C1)
<架橋ポリロタキサンC1の調製>
実施例B3で得られたポリロタキサンHPPR−30k−4℃を用いて、該ポリロタキサン同士の架橋体を調製した。
架橋体の調製は、従来の手法(例えば特許第3475252号に記載された方法)に準じて、ポリロタキサンHPPR−30k−4℃:0.1g;溶媒:ジメチルスルホキシド(DMSO)0.5mL;架橋剤:1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)20mg、触媒:ジアザビシクロウンデセン(DBU)を用い、反応条件:60℃、一晩、で行った。
その結果、弾性を有する架橋体C1を得た。
(比較例XC1)
従来法であるポリロタキサンを得た後にα−CDのOH基の「H」をヒドロキシプロピル化する方法で得られたポリロタキサンHAPR35(アドバンスト・ソフトマテリアルズ社の市販品)を用いて、該ポリロタキサン同士の架橋体を調製した。
架橋体の調製は、実施例C1と同じとした。即ち、ポリロタキサンとして、上記市販品を用いた以外、実施例C1と全く同条件で行った。
その結果、弾性を有する架橋体XC1を得た。
本発明のポリロタキサンを用いて得た架橋体C1と従来のポリロタキサンを用いて得た架橋体XC1とについて、弾性特性、具体的にはヤング率(kPa)、伸長率(%)、破断時の最大応力(kPa)を、伸張モード歪み制御型レオメーターRSAIII(TA Instrument社製)より求めた。測定結果を表2に示す。
Figure 2019163344
表2から次のことがわかる。
架橋体C1(実施例C1)は、架橋体XC1(比較例XC1)と同様に、弾性特性を有することがわかる。特に、架橋体C1(実施例C1)は、架橋体XC1(比較例XC1)よりも、ヤング率、伸長率及び破断最大歪みの3項目全てにおいて高い値を有している。これは、包接率に影響するものと考えられる。即ち、包接率が低いと、環状分子であるα−CDが直鎖状分子であるPEG上をより容易に且つ比較的長い距離を移動することができ、移動の容易性などが弾性に影響を及ぼしているものと考えられる。
これらのことから、低い包接率を有するポリロタキサンを提供する本発明により、弾性特性を制御したポリロタキサン、該ポリロタキサンを有する種々の材料であって弾性特性などを制御した材料を提供できることが示唆される。
(実施例D1)
<ポリロタキサン6−0.8HP−HPPR−10k−top及びポリロタキサン6−0.8HP−HPPR−10k−downの調製>
合成例A1で得られた6−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(1g、CD:ヒドロキシプロピル=1:0.8)を水3mLに溶解し、その後、得られた溶液に両末端にNH基を有するポリエチレングリコール(数平均分子量:1万、200mg)(以下、ポリエチレングリコールを単に「PEG」と略記する場合がある)を加えた。得られた混合物を室温で30分間攪拌し、その後4℃で24時間、維持した結果、白色ペースト状混合物を得た。その後、得られた混合物に、NaHCO(60mg)及び1mol/Lピクリルスルホン酸水溶液0.2mLを加え、攪拌を室温下、一晩行った。その後、水相及び沈殿物を遠心分離により分離し、未反応のポリエチレングリコール及び6−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリンを除去するために、各々を透析した(MWCO:10,000)。最終生成物を凍結乾燥により収集し、水相からポリロタキサン6−0.8HP−HPPR−10k−top、及び沈殿物からポリロタキサン6−0.8HP−HPPR−10k−downを得た。
得られたポリロタキサンについて、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnを求めた。それらの結果を表3に示す。
なお、包接率については、H−NMRにより求めた。また、Mn、Mw、及びMw/Mnは、GPCにより求めた。本願の実施例及び表において、「down」と記載されるのは「沈殿物」に由来することを意味し、「top」と記載されるのは「水相」に由来することを意味する。
(実施例D2)
<ポリロタキサン6−0.6HP−HPPR−10k−top及びポリロタキサン6−0.6HP−HPPR−10k−downの調製>
実施例D1において、合成例A1で得られた6−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(CD:ヒドロキシプロピル=1:0.8)の代わりに、合成例A2で得られた6−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(CD:ヒドロキシプロピル=1:0.66)を用いた以外、実施例D1と同様な方法により、水相からポリロタキサン6−0.6HP−HPPR−10k−top、及び沈殿物からポリロタキサン6−0.6HP−HPPR−10k−downを得た。
本実施例で得られたポリロタキサンについても、実施例D1と同様に、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnを求めた。それらの結果を表3に示す。
(実施例D3)
<ポリロタキサン6−0.6HP−2PEG−HPPR−10k−top及びポリロタキサン6−0.6HP−2PEG−HPPR−10k−downの調製>
実施例D2において、PEG(数平均分子量:1万)の量を200mgから400mgとした以外、実施例D2と同様な方法により、水相からポリロタキサン6−0.6HP−2PEG−HPPR−10k−top、及び沈殿物からポリロタキサン6−0.6HP−2PEG−HPPR−10k−downを得た。
本実施例で得られたポリロタキサンについても、実施例D1と同様に、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnを求めた。それらの結果を表3に示す。
(実施例D4)
<ポリロタキサン6−0.8HP−1.5CD−HPPR−10k−top及びポリロタキサン6−0.8HP−1.5CD−HPPR−10k−downの調製>
実施例D1において、合成例A1で得られた6−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(CD:ヒドロキシプロピル=1:0.8)の量を1gから1.5gへと変更した以外、実施例D1と同様な方法により、水相からポリロタキサン6−0.6HP−1.5CD−HPPR−10k−top、及び沈殿物からポリロタキサン6−0.6HP−1.5CD−HPPR−10k−downを得た。
本実施例で得られたポリロタキサンについても、実施例D1と同様に、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnを求めた。それらの結果を表3に示す。
(比較例XD1)
実施例D1において、合成例A1で得られた6−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(CD:ヒドロキシプロピル=1:0.8)の代わりに、未修飾α−CDを用いた以外、実施例D1とほぼ同様な方法により、α−CD未修飾のポリロタキサンAPR−10kを沈殿物において調製した。詳細な方法は次のとおりであった。
即ち、未修飾α−CD(1g)を水3mLに溶解し、その後、得られた溶液に両末端にNH基を有するPEG(数平均分子量:1万、200mg)の水溶液(水0.5mL)を加えた。得られた混合物を室温で一晩攪拌した結果、白色ペースト状混合物を得た。その後、得られた混合物に、水1mL、NaHCO(60mg)及び1mol/Lピクリルスルホン酸水溶液0.2mLを加え、攪拌を室温下、一晩行った。その後、沈殿物を遠心分離により分離し粗生成物を得た。該粗生成物をジメチルスルホキシドに溶解し、未反応のポリエチレングリコール及びα−CDを除去するために、透析した(MWCO:10,000)。最終生成物を凍結乾燥により収集し、α−CD未修飾のポリロタキサンAPR−10kを得た。
本比較例で得られたポリロタキサンについても、実施例D1と同様に、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnを求めた。それらの結果を表3に示す。
(比較例XD2)
従来の方法、即ちポリロタキサンを得た後に、環状分子のα−CDをヒドロキシプロピル化する方法で得たポリロタキサンHAPR(PEGの数平均分子量:1万)をアドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)社から購入し、該ポリロタキサンHAPRについて、包接率を求めた。それらの結果を表3に示す。
(比較例XD3〜XD5)
比較例XD2において、PEGの数平均分子量を1万から2万に変更したポリロタキサンHAPR(比較例XD3)、3.2万に変更したポリロタキサンHAPR(比較例XD4)、10万に変更したポリロタキサンHAPR(比較例XD5)を、それぞれアドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)社から購入し、該ポリロタキサンHAPRについて、包接率を求めた。それらの結果を表3に示す。
Figure 2019163344
表3から次のことがわかる。
比較例XD1及び比較例XD2〜XD5から、未修飾α−CDを用いたポリロタキサン又は従来のヒドロキシプロピル化ポリロタキサンの場合、包接率が29.4%(未修飾α−CDを用いたポリロタキサン、即ち比較例XD1)であるか、又は包接率が25〜30%(従来のヒドロキシプロピル化ポリロタキサン、即ち比較例XD2〜XD5)であった。
一方、本実施例B1及びD1〜D4のポリロタキサンは、包接率が2%〜22%と可変とすることができる。即ち、本発明により、ヒドロキシプロピル化ポリロタキサンにおいて、包接率が2〜22%の範囲で調節が可能であることがわかる。
実施例D1〜D4の「top」で表されるポリロタキサンの包接率と、「down」で表されるポリロタキサンの包接率とを比較すると、「top」で表されるポリロタキサンの包接率の方が低いことがわかる。また、CD:HPの比におけるHPの値に関して、「top」で表されるポリロタキサンの方が、「down」で表されるポリロタキサンよりも高いことがわかる。
これらの結果から、α−CDにおけるヒドロキシプロピル化が高い(CD:HPの比におけるHPの値が高い)と、PEG鎖上のα−CD同士が互いに離間して存在することとなり、その結果、包接率が低くなり、それによって水相への親和性(溶解性)が高まることがわかる。逆にいうと、水相において包接率が低いポリロタキサンを得ることができる。
具体的には、水相では、包接率が3.7〜5.2%とすることができた一方、沈殿物では、包接率が13.8〜22%であった。
(実施例E1)
<ポリロタキサン6−0.8HP−HPPR−30k−top及びポリロタキサン6−0.8HP−HPPR−30k−downの調製>
実施例D1において、PEGの数平均分子量を「1万」から3万へと変更した以外、実施例D1と同様な方法により、水相からポリロタキサン6−0.8HP−HPPR−30k−top、及び沈殿物からポリロタキサン6−0.8HP−HPPR−30k−downを得た。
本実施例で得られたポリロタキサンについても、実施例D1と同様に、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnを求めた。それらの結果を表4に示す。
(実施例E2)
<ポリロタキサン6−0.8HP−2CD−HPPR−30k−top及びポリロタキサン6−0.8HP−2CD−HPPR−30k−downの調製>
実施例E1において、合成例A1で得られた6−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリンの量を1gから2gへと変更した以外、実施例E1と同様な方法により、水相からポリロタキサン6−0.8HP−2CD−HPPR−30k−top、及び沈殿物からポリロタキサン6−0.8HP−2CD−HPPR−30k−downを得た。
本実施例で得られたポリロタキサンについても、実施例D1と同様に、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnを求めた。それらの結果を表4に示す。
(比較例XE1)
比較例XD1において、PEGの数平均分子量を「1万」から3.2万へと変更した以外、比較例XD1と同様に、ポリロタキサンAPR−32kを得た。
本比較例で得られたポリロタキサンについても、比較例XD1と同様に、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnを求めた。それらの結果を表4に示す。
また、PEGの数平均分子量を3.2万としたポリロタキサンHAPR(比較例XD4)の包接率についても表4に示す。
Figure 2019163344
表4から、及び表4と表3から、次のことがわかる。
表4においても表3と同様に、本発明により、直鎖状分子の長さである数平均分子量が異なるヒドロキシプロピル化ポリロタキサンにおいても、包接率の調節が可能であることが示唆される。
また、本発明により、直鎖状分子の長さである数平均分子量が異なるヒドロキシプロピル化ポリロタキサンにおいても、水相において包接率が低いポリロタキサンを得ることができることが示唆される。
なお、比較例XD2〜XD5から、従来法、即ちポリロタキサンを得た後に、環状分子のα−CDをヒドロキシプロピル化する方法で得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサンでは、直鎖状分子の長さである数平均分子量が異なったとしても、その包接率が25〜30%の範囲でほぼ変化しないことがわかる。
(実施例F1)
<ポリロタキサン2−1HP−HPPR−10k−top及びポリロタキサン2−1HP−HPPR−10k−downの調製>
実施例D1において、合成例A1で得られた6−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(CD:ヒドロキシプロピル=1:0.8)の代わりに、合成例B1で得られた2−O−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(CD:ヒドロキシプロピル=1:1)を用い、維持する温度を4℃から室温へと変更した以外、実施例D1と同様な方法により、水相からポリロタキサン2−1HP−HPPR−10k−top、及び沈殿物からポリロタキサン2−1HP−HPPR−10k−downを得た。
本実施例で得られたポリロタキサンについても、実施例D1と同様に、包接率、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、Mw/Mnを求めた。それらの結果を、実施例D1及び比較例XD1での結果と共に、表5に示す。
Figure 2019163344
表5から、次のことがわかる。
α−CDの6位のOH基をヒドロキシプロピル化した場合も2位のOH基をヒドロキシプロピル化した場合も、沈殿物と上澄みのそれぞれにおいて包接率はほとんど変化しないが、2位のOH基をヒドロキシプロピル化することで上澄みにおける収量が増加している。つまり、上澄み中の低包接のポリロタキサンが必要な場合は2位を、沈殿物中の高包接のポリロタキサンが必要な場合は6位をそれぞれヒドロキシプロピル化したα−CDを用いることで、それぞれの収率を向上させることができる。

Claims (11)

  1. α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である環状分子の開口部が水溶性直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンであって、
    前記環状分子の−OH基の一部が、−O−(CHR−CHR−OH(式中、RはH、メチル基又はエチル基であり、RはH、メチル基又はエチル基であり、nは1〜6の整数である)で置換されてなり、
    前記水溶性直鎖状分子の長さと前記環状分子の厚みから規定される規定包接率を100%とするとき、該環状分子の包接率が1〜22%である、擬ポリロタキサン。
  2. 前記環状分子が、α−シクロデキストリンである請求項1記載の擬ポリロタキサン。
  3. 前記一部は、α−シクロデキストリン一分子に存在する18個の−OH基がすべて置換された状態を100%とするときの2〜80%である請求項2記載の擬ポリロタキサン。
  4. 前記水溶性直鎖状分子が、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、プルラン、水溶性セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリペプチド、及びポリエチレングリコールを含む共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項記載の擬ポリロタキサン。
  5. がHであり且つRがメチル基であるか、又はRがメチル基であり且つRがHである請求項1〜5のいずれか1項記載の擬ポリロタキサン。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の擬ポリロタキサン;及び封鎖基を有するポリロタキサンであって、前記擬ポリロタキサンの前記水溶性直鎖状分子の両端に前記環状分子が脱離しないように前記封鎖基を配置するポリロタキサン。
  7. a)水溶性直鎖状分子を準備する工程;
    b)α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である環状分子を準備する工程;
    c)前記環状分子の−OH基の一部を、−O−(CHR−CHR−OH(式中、RはH、メチル基又はエチル基であり、RはH、メチル基又はエチル基であり、nは1〜6の整数である)で置換する工程;
    d) 工程c)で得られた環状分子、工程a)で得られた水溶性直鎖状分子、及び水を有する混合液を調製する工程;及び
    e)得られた混合液を攪拌する工程;
    を有することにより、混合液中に上記擬ポリロタキサンを得る、上記方法。
  8. 前記擬ポリロタキサンは、請求項1〜6のいずれか1項記載の擬ポリロタキサンである、請求項9記載の方法。
  9. 前記擬ポリロタキサンを、前記混合液の上澄みに得る請求項9又は請求項10記載の方法。
  10. 前記工程c)において、
    c)−1)α−シクロデキストリンを10mol/L水酸化ナトリウム水溶液で処理する工程;及び
    c)−2)上記工程c)−1)で得られた液に、プロピレンオキサイドを添加してα−シクロデキストリンの6位OH基の一部を、−O−(CHR−CHR−OHに置換する工程;
    を有し、
    前記包接率が1〜22%である擬ポリロタキサンを、前記混合液の上澄みに、及び/又は前記混合物の沈殿物に、得る、請求項7〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. f) 請求項7〜10のいずれか1項記載の方法で得られた擬ポリロタキサンを有する混合物に、封鎖剤を添加する工程;
    をさらに有し、
    前記擬ポリロタキサンの前記水溶性直鎖状分子の両端に前記環状分子が脱離しないように前記封鎖基を配置するポリロタキサンを混合物中に得る、ポリロタキサンの製造方法。
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