JP2019162242A - シートクッション - Google Patents

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Abstract

【課題】 着座者の体格によらず、様々な体型に対応することが可能で、体圧分散性に優れ、長時間の着座においても痛みやしびれ等の不快を感じにくい良好な着座感が得られると共に、適度なサポート性を有することで正しい着座姿勢を促すシートクッションを提供する。【解決手段】シートクッション本体Aを備えるシートクッションであって、シートクッション本体Aは、設置箇所に載置される基部aと、曲げ変形が可能で復元性を有する素材からなり、上記基部aの側部に設けられ、基部の側部から外方へ斜め上方に向かい形成された、側部支持部b、cとを備え、シートクッション本体Aに着座者の臀部が乗載されて側部支持部b,cが体重を受けたとき、上記側部支持部b,cが臀部に対して反力を生じながら下方へ曲げ変形することにより、側部支持部b,cと基部aとが着座者の体圧を分散させると共に、上記側部支持部が着座者の身体の傾きを抑制する機能を発揮する。【選択図】 図1

Description

この発明は、車椅子用シートクッション、家具用シートクッション、車両、船舶、航空機等の輸送機器に用いられるシートクッションに関する。
車椅子や家具用の座部として一般に用いられているシートクッションは、軟質発泡ウレタンフォーム、天然繊維や人工繊維からなる綿、羽毛、樹脂の連続線条ランダムループからなる三次元網状クッション体等の、柔軟で着座者の体重が加えられることにより容易に圧縮変形する素材が平坦な形状に成形されたものである。
一般に用いられているような、軟質なクッション材からなるシートクッションに着座者が着座すると、着座者の体重とクッション材からの反力が均衡する時点までクッション材が圧縮変形して着座者の身体が下方へ沈み込み、着座者の体形と体重に応じた凹部が形成される。
不特定多数の着座者の体重や体形は多様であり、着座姿勢も個人差があるため、形成される凹部の形状も多様となる。すなわちクッション材が同一であっても着座者が小柄で体重が軽い場合には凹部は浅く小さくなり、大柄で体重が重い場合は凹部が深く大きくなる。
特開2016−16715号公報 特開2017−70628号公報 特開2017−121334号公報
近年、長時間のデスクワークが健康に与える影響が懸念されつつある。乗り物の座席に用いられているシートも同様であり、飛行機や船などの長時間に及ぶ航行後は少なからず身体の痛みや疲れを感じることが一般的である。長時間の着座でも痛みや不快を感じず、正しい姿勢での着座を促し、心地よい座り心地を得られるシートクッションは長年求められ続けてきた。
しかし、一般に用いられてきた軟質なクッション材からなる従来のシートクッションにはいくつかの問題点があった。
まず、軟質なクッション材からなるシートクッションは通常、ある程度の厚みが必要となるが、着座者の体型や体重によっては、クッション材の圧縮変形による沈み込みが不十分で、着座により着座者の臀部形状に相似した凹部を形成することができないまま底突きしてしまう場合がある。これにより、着座者は痛みや不快を感じ、長時間の着座が困難となるおそれがあった。
また、従来使用されてきたクッション材は容易に変形する軟質な素材であるため、着座者の姿勢が崩れた場合でも、その身体の傾きを支え、押し留めるような剛性を有しておらず、例えば自らの姿勢を正しく維持するための筋力がない老人や障害者の場合には、長時間正しい着座姿勢を維持することが困難で、腰痛や褥瘡を生じる等の問題があった。
特許文献1は車両用シートに関する発明であり、高張力鋼などからなり、左右端をシートフレームに固定されたクッションパンに左右の傾斜面を設けることによって、車両の旋回時等、車両幅方向に沿って揺動した着座要員の骨盤をシートクッションの中央に戻すセンタリング力を得るものである。
乗員が着座した状態で車両幅方向に揺動があった場合、柔軟なクッション層の下部に傾斜角を設けて設置された剛性を持ったクッションパンが身体の横方向への移動を押し留めようとする働きをするため、平坦なクッションパンを有する一般的なシートに比べサポート性に優れる。
しかし、剛性を持ったクッションパンは乗員の体重によって抑え込まれている中央部とシートフレームに接し支持されている左右端の二点支持の梁状構造となっており、着座者の体形に沿うような柔軟な変形は困難であり、良好な着座感を得る事はできなかった。
特許文献2は乗員の幅方向一方側から他方側に向けてクッション材よりも曲げ剛性が高い面状の弾性付与部材を発泡樹脂製のクッション材に埋設したものである。シートパッドに乗員の荷重が作用するとシートパッドのクッション材が圧縮されると共に、弾性付与部材が変形して乗員の荷重を支持するとされている。
しかしながら、クッション材に弾性付与部材を埋設することによってリサイクル時の分別作業が困難、あるいは不可能になるという問題があった。また、良好な着座感を得るためクッション材を柔軟にした場合、あるいは着座者の体重が重い場合には、シートパッド中央の沈み込みが大きくなり、その結果、埋設された弾性付与材の両端部が臀部を挟みつけるように変形するため、着座者に違和感を与えることがあった。
特許文献3は、支持構造物としての剛性と可撓性とを兼ね備え、使用者の臀部形状を包囲する形状である三次元形状を成したベース材と、ベース材とは別体であり身体部位側の面を覆う平坦なクッション材とを備えており、着座により使用者の体重が加えられた際にクッション材をベース材の内部表面形状に押し付け変形させつつ、ベース材も撓ませることによって使用者の体形にあった形がクッション材に付けられることを特徴としたものである。ベース材は剛性と可撓性を併せ持ち、好ましくは剛性を有する樹脂製板材であり、予め一般的な臀部形状を模した三次元形状とした成形品である。
しかしながら、特許文献3に示されるような、臀部を包囲するような三次元形状を持ち、全体を一体で成形された剛性を有するベース材では、不特定多数の身体形状に対し柔軟に変形し相似した凹部を形成することができず、良好な体圧分散性と姿勢保持機能とを得ることが困難であった。
この発明の目的は、不特定多数である着座者の体格によらず、体圧分散性に優れ、良好な着座感が得られると共に、適度なサポート性を有することで正しい着座姿勢を促し、かつ軽量でリサイクル性に優れたシートクッションを提供することである。
第1の発明は、シートクッション本体が、着座時、座骨が当接する周辺部位に位置し、また設置箇所に載置される基部と、曲げ変形が可能で復元性を有する素材からなり、基部の左右側部に設けられ、基部の左右側部からシートクッション外方へ斜め上方に向かい形成された、側部支持部とを備え、上記シートクッション本体に着座者の臀部が乗載されて上記側部支持部が体重を受けとき、上記側部支持部が臀部に対して反力を生じながら下方へ曲げ変形することにより、臀部形状に沿い、基部と共に臀部全体を包み込むような形態となることによって体圧を分散させると共に、側部支持部が着座者の姿勢保持を補助する機能を有するシートクッションである。
本発明のシートクッションに着座者が着座すると側部支持部が身体の重みにより臀部形状に沿うように曲げ変形し、基部と共に臀部に相似した凹部が形成される。シートクッション外周側が自由端である片持ち梁構造の側部支持部は着座する者の身体形状により柔軟に変形することができるため、不特定多数の着座者の体格に対してもそれぞれの臀部形状に相似した凹部を形成することができる。
また、側部支持部は体重を受けた際、反力を生じながら変形するため、体重は中央の基部のみではなく、側部支持部でも支えられ、体圧を有効に分散することができる。また、姿勢変化により側部支持部をさらに変形させる際には、相応の反力が加わる。このため身体が傾いた時には、その傾きを押しとどめるような反力が側部支持部から生じ、これによって姿勢保持を補う効果を発揮するものである。
第2の発明は、上記側部支持部が、側方支持部と後方支持部とからなり、上記シートクッション本体の後方部側に、上記側方支持部と後方支持部を曲げ変形させるための切込みが、上記基部から上記シートクッション本体の外方端に向けて形成されている。側部支持部として、シートクッション本体の斜め後方に、着座者の体幹のサポートが可能な上記後方支持部を設けることで、着座者は着座時に包み込まれるような感覚が得られ、安心感が高まり、より良好な着座感が得られる。
また、上記切込みが形成されることで、上記側方支持部や後方支持部が切込みを境に分離され、体重を受けた際に、上記側方支持部や後方支持部が臀部形状に沿って変形しやすくなるため、体圧を有効に分散させることができると共に、着座者の姿勢保持を補助することができる。
第3の発明は、シートクッション本体が、シートクッション本体の前方部分に形成された、着座者の大腿部を乗せる大腿乗載部を備え、大腿乗載部と後方の基部の左右側面に設けた側部支持部との間に切込みを設けている。これにより、側部支持部が構造的に分離され、独立して変形しやすくなり、体圧を効果的に分散させることができると共に、着座者の姿勢保持を補助することができる。
第4の発明は、上記大腿乗載部の裏面が、平坦またはシートクッションの載置箇所に載置可能な形状であって、左右方向における、大腿乗載部の裏面の長さを、上記基部の裏面の長さよりも長く形成している。これにより、シートクッションを既存の椅子、車椅子の座面に置いた際の左右方向の安定性を高めた構造とすることができる。
第5の発明は、上記シートクッション本体が合成樹脂発泡体により形成されている。
シートクッション本体を合成樹脂発泡体で形成することで、シートクッションを軽量なものとすることができる。
第6の発明における上記合成樹脂発泡体は、ポリオレフィン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との複合樹脂からなる。
上記素材でシートクッション本体を形成することにより、側部支持部を柔軟に曲げ変形させて撓ませることができ、復元性にも優れるため、より安定して、体圧を分散させることができると共に、着座者の姿勢保持を補助することができる。
第7の発明における合成樹脂発泡体は、JIS K 7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nである。
上記範囲とすることで、着座により側部支持部がより良好に撓むことができる。
第8の発明は、シートクッション本体にクッション材を積層している。
軟質なクッション材を上部に積層することにより、着座する瞬間に接触した感触を高め、より臀部との密着性を高めることができる。
この発明のシートクッションによれば、側部支持部が着座により曲げ変形し臀部形状に沿った凹部を形成することにより体圧を分散させるとともに、身体が傾き姿勢が崩れた場合には、押し下げられた側部支持部が相応の反力を生じ、補助的に身体の傾きを本来の位置に戻そうとする。そのため、着座者は良好な着座感を得ることができると共に、リラックスして正しい姿勢のまま長時間、無理なく着座することができる。
また、着座時、人は無意識に複数の筋肉が緊張した状態で身体を支えており、着座が長時間に及ぶと筋肉の疲労から不快や痛みを感じる。特に身体機能が低下している高齢者や腰痛患者、長時間座り続けるオフィスワーカーにおいては、長時間にわたって正しい着座姿勢を維持することは、平坦で軟質なクッション材からなる従来のシートクッションでは疲労が蓄積され困難であった。
一方、本発明によるシートクッションは、自ら座位を保つことが困難な障害者に用いられる座位保持装置のように身体を所定の形態に固定するものではないが、側部支持部が身体の傾きを抑制し本来の位置に押し戻そうとする機能を有しているため、正しい着座姿勢に導くことを補助し、筋肉の緊張を和らげるので、長時間の着座に伴う不快感を改善できるものである。
実施形態1のシートクッション本体を斜め上方から見た斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII―III線断面図である。 実施形態1のシートクッション本体の裏面の斜視図である。 実施形態2のシートクッション本体を斜め上方から見た斜視図である。 実施形態2のシートクッション本体を側面から見た平面図である。 図5のVII−VII線断面図である。 図5のVIII-VIII線断面図である。 実施形態2のシートクッション斜め後方部分(後方支持部)の裏面の拡大図である。 実施形態2のシートクッションの裏面の斜視図である。 実施形態2のシートクッションの上部に軟質ウレタンを積層し、カバーがけをした状態における、側部支持部の左右方向垂直断面図である。
図1〜4に示した実施形態1のシートクッションは、その設置箇所として、例えば、一般の椅子、あるいは事務用椅子に載せて使用するものであり、体力の衰えた老人、腰痛患者、長時間着座しての作業が続く作業者等に供するものであり、取り扱いを容易にするため非常に軽量である特徴を有している。
図1はこの実施形態1のシートクッションを構成するクッション本体Aの全体斜視図、図2は図1のII-II線断面図、図3は図1のIII-III線断面図、図4はシートクッション本体Aの裏側を表した図である。
なお、本明細書において、「前後方向」とは、水平面上で、着座者の正面方向及び背面方向(着座者の前方及び後方)であり、「左右方向」とは、「前後方向」に対して水平面上で直交する方向(着座者の側面方向(着座者の左方及び右方))である。
本発明のシートクッション本体Aを構成する素材は、曲げ変形が可能で復元性を有する素材であり、金属、合成樹脂またはそれらの複合体が挙げられるが、これらの中でも合成樹脂を用いることが加工性に優れるため好ましい。さらに、軽量性に優れる観点から、合成樹脂は合成樹脂発泡体であることがより好ましい。上記曲げ変形が可能で復元性を有する素材で側部支持部を形成することにより、臀部による押圧を受けた際、側部支持部が曲げ変形して撓み、臀部に相似した曲面を形成しうるという柔軟性と、曲げ変形する際に体重を分担して支えうる反力を生じ、かつ荷重が取り除かれた後は速やかに形状を回復するという性質とを発現させやすくなる。
また合成樹脂発泡体の具体例としては、ポリプロピレン系樹脂発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体等のポリオレフィン系樹脂発泡体や、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との複合樹脂からなる発泡体が例示される。上記の合成樹脂発泡体で側部支持部あるいはシートクッション本体を構成することで、極めて軽量かつ適度な曲げ剛性と復元性が得られ、後で説明する側部支持部による効果を効果的に発現させることができる。
また、合成樹脂発泡体としては、押出法により得られる押出発泡体や、発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体が挙げられる。特に、発泡粒子成形体の場合、シートクッション本体Aを一体成型することが可能であるため、製造を合理化でき経済的で外観が良好なシートクッション本体Aを製造することができる。
本実施形態1では、シートクッション本体Aの中央に位置し、上記椅子などの設置箇所に載置される基部aと、その両側に連続する側部支持部を構成する側方支持部b、及び後方支持部cとは合成樹脂発泡体であるポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体からなり、一体成形されている。
なお、上記合成樹脂発泡体の具体的な物性としては、有効スパン100mm、幅25mmのサンプルを用い、サンプルの片側を固定し、対する端部を下方に押し下げ、サンプル先端を5mm下方へ押し下げた際に要する荷重が3N〜20Nであることが望ましい。上記範囲であることで、側部支持部が臀部による押圧を受けた際に、臀部形状に相似した曲面への変形が可能であると共に、曲げ変形時に体重を支えるために必要な反力が得られ、体圧分散性や体幹支持性能がより良好となる。
さらに、上記合成樹脂発泡体は、軽量性に優れるとともに、良好な撓み特性が得られる観点から、その見かけ密度が、15kg/m〜120kg/mであることが好ましく、さらに好ましくは20kg/m〜90kg/mである。
特に、ポリプロピレン系樹脂発泡体を用いる場合には、30kg/m〜60kg/mであることが好ましく、ポリエチレン系樹脂発泡体を用いる場合には、40kg/m〜80kg/mであることが好ましい。
合成樹脂発泡体の見掛け密度は、合成樹脂発泡体から所定寸法に切り出した試験片の縦、横、高さの寸法を測定して体積を算出すると共に、試験片の重量を測定し、試験片の体積を試験片の重量で除することで求められる。
さらにまた、上記合成樹脂発泡体は、JIS K 7221−2:2006記載の方法(23℃±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気下でスキンを取り除いた長さ350mm、幅100mm、厚さ25mmの試験片を支点間距離300mm、試験速度20±1mm/minで撓み量が最大90mmとなるまで押圧を加え、押圧撓み曲線を記録する。)に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上であり、かつ20mm撓み時の荷重が2N〜100Nであることが好ましい。上記物性を満たすことで、側部支持部として望ましい柔軟性と反力を生じさせることができるため、体圧分散性に優れ、良好な着座感が得られるとともに、適度なサポート性を有するシートクッションを安定して得ることができる。
上記したような、曲げ撓み量が20mmとなる時の荷重等を満たす材料を得るために、ポリプロピレン系樹脂発泡体を用いる場合であれば、その見掛け密度を20kg/m〜90kg/mとすることが好ましく、より好ましくは30kg/m〜60kg/mである。また、ポリエチレン系樹脂発泡体を用いる場合であれば、その見掛け密度を30kg/m〜80kg/mとすることが好ましい。
一般に合成樹脂発泡体は緩衝材として使われる事が多いため、比較的軟質で高い剛性を有しないものが多く荷重を受け持つ構造材として使用される例は少なかった。しかし本発明のように比較的小さい荷重を受け曲げ変形をする構造の場合、合成樹脂発泡体は、曲げ強さを決定する要素の中で最も影響の大きい部材の厚みを厚くすることで、同じ樹脂量を用いた場合の無発泡の合成樹脂と比べ、その曲げ強さを大きく高めるとともに、極めて軽量化することができる。
ただし、合成樹脂発泡体を用いると、厚みが必要になるためシートクッション全体も厚みを増すこととなる。既存の椅子等の上に置く、あるいは既存のシートクッションと差し替えて使用する場合等、厚みが一定以上に厚くなると座位が上がりすぎ着座が難しくなることがある。そのような場合にはインジェクション成形した無発泡の樹脂、あるいは金属を用いてその厚みを減じることもできる。
上記のような発泡粒子成形体からなるシートクッション本体Aは、設置箇所に載置され、着座者の着座時、座骨周辺部位が当接する基部aと、上記基部aの両側に、基部aに連続した側方支持部(側部支持部)b,b及び斜め後方の後方支持部(側部支持部)c,cとを備えている。
そして、上記基部1は、左右の側方支持部b、斜め後方の後方支持部cと共に臀部に相似した凹部を形成するため、全方向から中心部に向かって浅く緩やかに湾曲させ、着座時に座骨周辺が接する部分である座骨周辺部eが最も低く、前後方向、そして左右方向にかけて徐々に高さが高くなる形状となっている。
また、基部1は、圧迫によって痛みやしびれを感じやすい座骨周辺、尾骨周辺に対応する位置に、凹部あるいは貫通孔を設けても良い。本実施形態1では座骨に当接する部分に一対の座骨包囲部となる凹部f,fを形成し、座骨への圧迫をさらに弱める構造としている。
また、基部aの裏面であり既存の椅子の座面と当接する裏面gは平坦または当接するスリングシート等の座面に密接できる形態等のシートクッションの載置箇所に載置可能な形状とすることが好ましい(図4参照)。この場合、シートクッション本体Aが安定するよう、ゴム引きの素材等で、上記裏面gに滑り止め処理を行う事が好ましい。
上記基部aには、左右両側に設けたシートクッション本体Aの側方に向かって斜め上方に延びる側方支持部b,bと、シートクッション本体Aの後方に向かって斜め上方に延びる後方支持部c,cが固設、あるいは一体成形されている。そして、上記側方支持部b,b、後方支持部c,cは臀部形状に近似した形状に湾曲させるとともに、滑らかに連続する曲面としている。
側部支持部は、基部からシートクッション本体Aの外方端へ向かって斜め上方に伸びており、左右方向における、側部支持部と基部との境界部付近の垂直断面の形状が凹形状となる緩やかな曲面形状であることが、より容易に臀部形状に相似した変形を得やすいために好ましい。上記形状とすることで、曲げ変形が可能で復元性を有する材料からなる側部支持部は着座によって体重が加えられた際、反力を生じながら臀部形状に沿うような形状に曲げ変形しやすくなり、基部と共に臀部に相似した凹部を形成して体圧を効果的に分散させることができる。
なお、上記側部支持部は曲げ変形可能な素材からなるため、予め着座者の臀部形状に沿うような形状に形成する必要はなく、直線状であっても機能を発揮するが、生じる反力による体圧分散の効果を高めるため、上部が凹となる緩やかな曲面であることが好ましい。
また、着座前の状態で基部aと側部支持部からなる凹面の曲率は想定する使用者の臀部形状と同等か、それよりも小さいことが好ましい。また、シートクッション本体Aの上に軟質なクッション層を積層する場合には、その厚みを加算して曲率を決定することが好ましい。
上記のようにした側部支持部を構成する側方支持部b,b及び後方支持部c,cは、上記基部aに臀部が乗載されて体重が作用したとき、側方支持部b,b及び後方支持部c,cが弾力的に撓みながら上記体圧を分散させるとともに、側方支持部b,b及び後方支持部c,cに生じる反力によって、着座者に対して姿勢保持機能及び姿勢復元機能を発揮する。
左右の側方支持部bは基部aの左右辺に固設、または一体成形されており、基部と接する部分を支点として上部から臀部による押圧を受けた際、図4に示す左右方向hに撓む。
シートクッション本体Aの左右後方の後方支持部cは、基部aの斜め後方に固設、または一体成形されており、上部から臀部による押圧を受けた際、斜め後方向i(図4参照)に撓む。
着座時にそれぞれ異なる方向へ曲げ変形する左右あるいは後方の上記側部支持部が、互いに干渉して変形が阻害されないよう、外方へ開放された形態の切込みによってこれらが分割され、独立して変形可能とされていることが好ましい。基部aからシートクッション本体Aの外周方に向かって切込みdを設け、側方支持部bと後方支持部cとを分断させることで、それぞれの側方支持部b及び後方支持部cが互いの干渉を受けず自由に変形しやすくなる。
なお、切込みdは、シートクッション本体の左右に設けられた側方支持部の基部に接する部分からシートクッション外周端までの長さ、あるいは後方支持部の基部に接する部分からシートクッション外周端までの長さと同等またはそれ以上の長さ、より望ましくはいずれか長い側と同等かそれ以上の長さであることが好ましい。いずれかより短い場合には、側方支持部あるいは後方支持部に設計上期待された自由で独立した変形量を制限することとなる。
また、上記切込みdの幅は着座により側方あるいは後方支持部が押し下げられた場合、開く方向であるため一定の最低幅を確保する必要はなく、容易に製造可能な任意の寸法としてよい。シートクッション上部に柔軟なクッション層を積層しない場合、幅15mmを超えると着座時の感触が好ましくなく、また切込み部分に物が挟まる等、破損しやすくなるため好ましくない。
なお、スツール型やベンチ型を除いた一般的なシートの場合、シートクッション後方には、シートバックが設けられていることが多く、シートバックが身体を後方で支える機能を有する。身体を支える面積も大きく角度を可変できるものもあり、体幹保持の目的上、有利である。
しかしこのようなシートであっても、斜め後方に体幹サポートが可能な後方支持部を設けることにより、着座時に腰部が包み込まれるような感覚を得て安心感をより感ずると共に、体幹の支持にも一定の効果があることがわかった。
斜め後方に後方支持部c,cを設ける場合、上記側方支持部b,bと後方支持部c,cの相互に独立した自由な曲げ変形を可能とするため、上記基部から上記シートクッション本体の外方端に向けて切込みを形成することが望ましい。
上記基部aの左右に設ける側方支持部の左右方向の長さは、対象とする利用者の想定される体格によって設定すべきであるが、標準的なアジア人の体形であれば一般に、左右方向における側方支持部bの基部側端から外方端までの長さが50mm〜140mmであることが好ましい。これを大きく下回る場合は側部支持部としての効果、すなわち臀部に相似した凹部を形成する撓みを生じにくくなる。一方、上記寸法を大きく上回る場合は、結果的に座面に当接する基部の裏面gの左右方向における長さが小さくなり、既存の椅子などに載置した際の安定性に劣る。ただし、既存の椅子等の構造物の座面に載せて使用するのではなく、既存の椅子等の座面自体と差し替えて使用し、椅子の構造部材に何らかの方法で直接固定して使用する場合には、この限りではない。
なお、シートクッション本体Aの全幅(左右方向の長さ)は標準的なアジア人の体形であれば概ね300mm〜500mmであることが好ましい。また、基部の前後方向の長さは概ね250mm〜450mmであることが好ましい。
また、基部a及び側方支持部の好ましい厚みは、その構成する材料および形態により異なる。金属、無発泡の合成樹脂ならば概ね10mm以内、合成樹脂発泡体なら10mm〜40mmであることが好ましい。ただしリブ等の曲げ剛性を高めるための形態、あるいは複数の材料を積層し一体化された複合構造の場合はこの限りではない。
シートクッション本体の後方に位置する後方支持部は基部から外方端または外方上端までの長さが50mm〜100mmであることが好ましいが、シートバックとしての機能を兼ねて上方まで延長する場合にはその限りではない。また、既存の背もたれがある椅子に置いて使用するため、後方側への身体の支持がシートクッションに求められない場合は、図示していない変形しない後部保持部を設けたり、あるいは後方支持部及び後部保持部を省略したりすることができる。
実施形態1では、基部と側方支持部b,b及び後方支持部c,cから構成される凹部形状、及び身体が傾いた際に生じる側方支持部及び後方支持部の反力が姿勢維持を補助するため、着座者はリラックスしたまま自然と正しい着座姿勢を長時間維持できるものである。
なお、上記特許文献3に示されるような、使用者の臀部形状に適合する三次元形状を一体的に成形したベース材においては、ベース材の両側部に着座者の体重が加わった際、ベース材の両側部と後方側部とが連続して形成されているため、両側部は独立して撓みにくい。
大腿部を除き略球形である臀部がベース材に乗る場合、臀部に押されたベース材は左右及び後方へ押し広がるように撓もうとするが、ベース材は全体が一体成形されているため、それぞれ異なる方向へ自由に変形できない。すなわちベース材の左右に押し広げるような撓みが生じている部分に隣接する部分が左右ではなく後方へ撓もうとする場合、撓む方向が異なるため両者に挟まれた部分には結果的に引張力が働くこととなる。ベース材に高い剛性がある場合、生じる引張力に抗うため左右方向へも後方へも十分な撓みは生じない。また、仮にベース材が軟質なゴム状で柔軟に伸びて変形するとすれば、左右及び後方へそれぞれ十分な変形が可能であるが、柔軟であるがゆえに身体の重みを支えることができず、体圧分散や姿勢保持機能を有することができない。また、ベース材の材質が剛性に劣り、かつ柔軟ではない場合には、引張力に抗うことができず破断することとなる。
そのため、ベース部は着座者の臀部形状に追随し自由に変形することが難しく、臀部形状に相似した凹部を形成することが困難である。上部に柔軟なクッション材を積層しても有効な体圧分散をはかりにくく良好な着座感を得ることが困難であった。
これに対し、本発明においては、着座により左右及び後方に設けた側部支持部が独立して自由に撓むことができるため、基部と共に着座者の臀部形状に合わせた凹部を形成し、有効な体圧分散をはかることができる。また、側部支持部が柔軟なだけではなく相応の反力を伴いながら曲げ変形するため、姿勢の維持を補助する機能を有しており、不特定多数の着座者に対しても良好な着座感を与えることができると共に、正しい着座姿勢に導くことができる。
また、上記実施形態1では、より良い体圧分散効果を得るべく側部支持部の側方支持部b,bを側方に向かって湾曲させ、後方支持部c,cを後方に向かって湾曲させているが、側方支持部b,b及び後方支持部c,cのそれぞれは柔軟な素材からなるため、平板状にしてもよい。
一般に、座骨結節部は着座時、上半身の体重が最も集中する部分である。また座骨結節部には多数の神経や血管が集中し、多数の筋肉が付着している。従って長時間の着座で座骨結節部への圧迫が続くと、うっ血し痛みを生じやすく、神経の圧迫によってしびれも生じやすい。
一方、従来使用されてきた軟質ウレタンフォームや繊維状物などの軟質なクッション材は、圧縮変形と共に徐々に反力が高まり、一定の変形まで達すると、それ以上の変形が困難となり反力が急激に上昇する、いわゆる底突きを起こす。そのため最も体重が集中し沈み込み量が大きい座骨結節部が強く圧迫されやすく、不快を感じやすかった。また、軟質なクッション材は、着座者の身体を前後左右方向に支える剛性がなく、着座者の身体が傾いた際に、身体を押し留め支えることが難しい。そのため、着座者は長時間の着座が続く場合、無意識に姿勢を保つよう様々な筋肉を緊張させることとなり、これが疲労を生み腰痛につながりかねない原因の一つとなるおそれがあった。また筋力が衰えた老人や身障者にとって長時間の着座は、疲労や痛みを伴いやすく困難であった。
この実施形態1では、シートクッション本体Aが、その中央の最も低い位置に設けられた基部aと、曲げ変形が可能で復元性を有する素材からなり、一端が基部aの周囲に一体成形または固設され、対する一端が外方端側へ斜め上方に向かい形成された自由端である側部支持部とからなる。そして、上記側部支持部の下方に空間部を設け、シートクッション本体Aの上に着座すると上記側部支持部が着座者の体重を受けて反力を生じながら下方へ曲げ変形し、撓むことによって臀部形状に沿う形態となる。このように、側部支持部が基部aと共に臀部を広く包み込むような形態となることによって、体圧を有効に分散し、姿勢維持を補う機能を有するシートクッションとなる。
本発明によるシートクッションは、側部支持部によって支えられる体重と、中央の基部で支持する体重の割合を、側部支持部の面積や片持ち梁としての有効スパン、材質や厚みなど多数の要素により、あらかじめ設計段階から制御、設定することが可能である。このため痛みなどの不快を感じやすい座骨周辺に集中する体圧を効果的に分散することができ、使用する際にも複雑な動作や操作を必要としない。
また、上部に積層する既知の軟質なクッション材を適切に選択することで着座時の感触を更に良くし、身体への密着性を更に高めることができる。
さらに、シートクッションとしての体圧分散性や体幹支持機能はシートクッション本体である基部と側部支持部が有しているため、上部に積層する軟質なクッション層は、補助的なものであり厚みを減じることが可能で、シートクッション全体としてかさばることがない。さらに基部や側部支持部を合成樹脂発泡体とすれば、極めて軽量とすることが可能で、障害者が自ら容易に取り扱いすることが可能である。
また、本発明によるシートクッションは従来の一般的な軟質なクッション材を使用したシートクッションとは異なり、姿勢維持を補助する機能を有している。着座時に身体が傾く際には、押し下げられた側部支持部が相応の反力を生じ、補助的に身体の傾きを抑制し本来の位置に戻そうとするため、着座者を正しい着座姿勢に導くことができる。
実施形態1では、シートクッション本体Aは材料としてポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を使用しており、前後方向の長さ360mm、左右方向の長さ360mm、側部支持部の厚み30mm、重量120gである。
非常に軽量であるという特徴から、野外へ持ち出しキャンプや釣りなどで用いることができ、その場合は合成樹脂発泡体だけの構成で使用可能であり、吸水性がないため水濡れを避ける必要もなく、断熱性があることから冬季は暖かく着座できる。
また、厚み20mmの軟質ウレタンフォームを上部に積層した実施形態1は、より着座時の感触が向上しており、カバーがけをして高齢者や長時間の着座作業が続くオフィスワーカーなどへ供するに適した形態である。
図5〜11に記載の実施形態2は主に車椅子用シートクッション、腰痛患者に供する目的で製作したものである。図5はシートクッション本体Bの全体図、図6は側面図、図7は図5のVII-VII線断面図、図8は図5のVIII-VIII線断面図、図9は斜め後方部分の裏側の形状を示したもの、図10はシートクッション本体の裏側全体の形状を示したもの、図11はシートクッション本体Bの上に軟質ウレタンフォームpを積層し、カバーoがけをした状態の左右方向断面を示している。
図5に示した実施形態2は、基部aに連続する、着座者の大腿部を載せる大腿乗載部m、着座者の臀部の後部を支える後部保持部nを設けると共に、大腿乗載部mの両側にサイドサポートl,lを起立させたもので、その他の構成は上記実施形態1と同じである。
なお、大腿乗載部mには、一対の凹部m1,m1が形成され、これらの凹部m1,m1を互いに略平行にしている。
シートクッション本体Bの前端部は大腿が載る部分となる大腿乗載部mであり臀部に比べ左右方向に支持する必要性が低いため、側部支持部を設けておらず、シートクッション本体Bの裏面である裏面gにおいて上記大腿乗載部mに対応する面は、図10に示したようにシートクッションの幅と等しい全てを平坦としている。
ここで、臀部が当接する基部aの側部には側部支持部を設けるが、その下方には側方支持部b及び後方支持部cが曲げ変形し、自由に撓む空間部を設ける必要がある。そのためクッション本体Bを既存の座面に載せる際、座面と当接する部分は左右の側部支持部b,cに挟まれた中央の基部aに相当する裏面部分のみとなる。
そこで、実施形態2のように、大腿乗載部mの裏面あるいは後部保持部nの裏面を基部裏面より左右方向に幅広く平坦に形成することで、シートクッション本体B全体が左右に傾きにくくなり、座面に置いた際の左右方向の安定性を高めることができる。なお、基部、大腿乗載部mあるいは後部保持部の裏面を平坦面ではなく、スリングシート等、当接する座面に合致した形状とすることにより、使用時の安定性を高めることもできる。
また、大腿乗載部mの後方には側方支持部bが設けられているが、左右の側方支持部bの前端と、大腿乗載部mとの間には、基部aからシートクッション本体Bの外方端へ向かって切込みkを設けることで、側方支持部が自由に曲げ変形することを可能としている。
後方支持部cは、基部に固設または一体成形せず、側方支持部bに固設または一体成形することができる。
左右の側部支持部の後方、シートクッション本体Bの斜め後方となる後方支持部cは、左右の側部支持部(側方支持部b)の後部が延長され、斜め後方まで回り込むような形態となっており、基部後方部とは基部aからシートクッション本体Bの外方端へ向かって形成された切込みjによって分断されている。左右の側部支持部(側方支持部b)の片持ち梁としての支点は、基部aの左右辺(基部と接する部分)であるが、斜め後方の側部支持部(後方支持部c)は、左右の側方支持部bの後部端(後方支持部に接している部分)を支点としており、基部aを支点とはしていない。
しかし、当該部分は左右に撓む左右の側方支持部bの変形と、側方支持部bの後方端を支点として後方に撓む変形が相乗することで、側方支持部bと後方支持部cとを別個に設けなくとも、着座時に包み込まれるような感覚を着座者に与えられると共に、着座者の体幹を支持することができるため、側部支持部の構造を簡素化することができる。
なお、上記側部支持部(側方支持部及び後方支持部)を曲げ変形させるための切込みの形態は、側方支持部と後方支持部とのそれぞれが基部上に支点を有するように切込みを形成する形態や、主に側方支持部が基部上に支点を有する(側方支持部と後方支持部とが連続する)ように切込みを形成する形態を含む。
さらに、上記側部支持部の側方支持部b,b及び後方支持部c,cを、他の部分から独立して撓みやすくするために、2か所に切込みj,jとk,kとを形成している。一方の切込みj,jは、前後方向とほぼ平行に形成して、側部支持部を区画し、他方の切込みk,kは、左右方向とほぼ平行となるように、シートクッション本体Bの側方端に向かって形成し、側部支持部を区画している。
中央の基部aは、着座時に座骨が当節する座骨周辺部eが最も低く、前方にかけて緩やかに高まる形態であり、左右方向では側部支持部と共に着座時に臀部に相似した凹部を形成するよう緩やかな凹面形状となっている。また、押圧により不快を感じやすい座骨、尾骨周辺には圧力の高まりを避けるため、凹部または貫通孔fを設けている。
またシートクッション本体Bの前方部の大腿乗載部mには、中央に緩やかな凸部を、左右端にはサイドサポート状の突起(サイドサポートl)を設けても良い。なお、これらを設ける目的は、競技用車両用シートでの強い横Gに耐える目的、あるいは身体を支えられない重度の身障者のための姿勢保持装置としての目的とは異なり、大腿部を望ましい位置に誘導し、正しい着座姿勢に導くためのものである。
上記大腿乗載部mは、上記基部aよりも前方に向かって緩やかな湾曲を描きながら徐々に高くなる形状にし、着座時に大腿から臀部にかけて自然な体圧分散をはかれるようにしている。
また、切込みj,j及びk,kは側方支持部b,b及び後方支持部c,cがそれぞれ独立して自由に曲げ変形可能とするために設けられている。
なお、この実施形態では、切込みj,j及びk,kを形成しているが、これらは必須の要素ではない。シートクッション本体Bの形状によって、側方支持部b,b及び後方支持部c,cが他の部分とは独立して撓みやすくすることもできる。
なお、上記シートクッション本体上に、軟質発泡ウレタンフォーム、繊維状物、樹脂製三次元スプリング状クッション、三次元立体織物等、既知の軟質クッション材(図示していない)を配置し、それらをカバー等で一体化してもよい。これにより、着座時の感触を高め、臀部への密着性を更に高めることができる。
実施形態2では、図11に示したように、着座時の感触を高め、また臀部との密着性を更に高め体圧の分散性を更に高める目的で、上部に厚み22mmの軟質ウレタンフォームpを積層し、厚み3mmの立体織物からなるカバーoで軟質ウレタンフォームpとシートクッションBとを包み込み、通気性を維持し長時間の着座によっても蒸れや熱がこもることを防止した。なお、カバーoの底面側には滑り止め機能を有するゴム引きの布qを設けた。
実施形態2では、図1に示した実施形態1よりも前後方向の長さを大きくし、座面を拡大している。実施形態2ではシートクッションの幅(左右方向の長さ)400mm、前後方向の長さ390mmである。
着座時の臀部形状を模した形状の押圧冶具を製作し本発明からなるシートクッションの姿勢維持を補助する機能を確認する確認実験を行った。
なお、押圧冶具は、全体寸法が、左右方向の長さ85mm、前後方向の長さ35mmであり、水平面Xと、その左右方向一端に連続する、45℃上方に傾いた斜面Yとからなる上面と、下方に突出した曲面からなる裏面とを備えている。この裏面の左右方向における裏面の曲率は120Rである。また、上記水平面Xの他端側の厚み(垂直面の高さ)は30mmであり、左右方向の面B側の一端側(斜面Y)の厚み20mmである。
実験には、一般に多用されている平板形状の高弾性軟質ウレタンフォーム(見掛け密度35kg/m、厚み40mm)と、本発明のシートクッションに係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体(見掛け密度45kg/m)からなる厚み22mmの側部支持部を有する合成樹脂発泡成形体(曲率:120R)を用いた。
上記押圧冶具を、軟質ウレタンフォームあるいは側部支持部を有する合成樹脂発泡成形体に乗せ、押圧冶具を垂直方向に押圧した後、押圧冶具の斜面Yを、垂直方向に押圧した。斜面Yの押圧により、軟質ウレタンフォームあるいは合成樹脂発泡成形体の側部支持部を垂直方向に10mm押し下げるために要した力をフォースゲージで測定した。
なお、軟質ウレタンフォームを用いた場合、着座時に準じるため、軟質ウレタンフォームの厚みが垂直方向に10mmの厚さとなるよう押し下げた後、押圧冶具の斜面Yを、斜面Yに対して直交する方向に押圧し、斜面Yの先端に接する部分の軟質ウレタンフォームを垂直方向に10mm押し下げるために要する力を測定した。
その結果、斜面Yの押圧により、対象物を10mm押し下げるために要した力は高弾性軟質ウレタンフォームでは2N以下であったが、本発明のシートクッションに係る合成樹脂発泡成形体では26.6Nであり、軟質ウレタンフォームをクッション材に使用したシートクッションと本発明によるシートクッションとでは明確な差異があることを確認することができた。すなわち、シートクッションに着座し、身体が傾いた際、従来の軟質なクッション材のみで構成されたシートクッションは、ほとんど傾きに抵抗せず、身体を押し留めようとする反力を生じることなく変形してしまうのに対し、本発明によるシートクッションは、身体の傾きに相応した反力を生じ、傾きを押し留めようとする機能を発揮することがわかった。
体圧分散性に優れ、姿勢の維持を補助する機能を有し、正しい着座姿勢へ導き着座時の快適性を得られるシートクッションであり、車椅子、家具、車両、船舶、航空機等の輸送機器等に用いられるシートクッションである。
A,B…シートクッション本体 a…基部 b…(側部支持部)側方支持部 c…(側部支持部)後方支持部 d,j,k…切込み、m…大腿乗載部、p…(クッション材)ウレタンフォーム

Claims (8)

  1. シートクッション本体を備えるシートクッションであって、
    上記シートクッション本体は、
    設置箇所に載置される基部と、
    曲げ変形が可能で復元性を有する素材からなり、上記基部の左右側部に設けられ、基部の左右側部から外方へ斜め上方に向かい形成された、側部支持部とを少なくとも備え、
    上記シートクッション本体に着座者の臀部が乗載されて上記側部支持部が体重を受けたとき、上記側部支持部が臀部に対して反力を生じながら下方へ曲げ変形することにより、上記側部支持部と上記基部とが着座者の体圧を分散させると共に、上記側部支持部が着座者の身体の傾きを抑制する機能を発揮するシートクッション。
  2. 上記側部支持部が、側方支持部と後方支持部とからなり、
    上記シートクッション本体の後方部分に、上記側方支持部と上記後方支持部を曲げ変形させるための切込みが、上記基部から上記シートクッション本体の外方端に向けて形成された請求項1に記載のシートクッション。
  3. 上記シートクッション本体が、当該シートクッション本体の前方部分に形成された、着座者の大腿部を乗せる大腿乗載部を備え、
    上記大腿乗載部と上記側部支持部との間には、上記側部支持部を曲げ変形させるための切込みが、上記基部から上記シートクッション本体の外方端に向けて形成された請求項1または2に記載のシートクッション。
  4. 上記大腿乗載部の裏面が、平坦またはシートクッションの設置箇所に載置可能な形状であると共に、左右方向における、大腿乗載部の裏面の長さが、上記基部の裏面の長さよりも長く形成された請求項3に記載のシートクッション。
  5. 上記シートクッション本体が、合成樹脂発泡体により形成された請求項1〜4のいずれか1に記載のシートクッション。
  6. 上記合成樹脂発泡体が、
    ポリオレフィン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との複合樹脂からなる請求項5に記載のシートクッション。
  7. 上記合成樹脂発泡体は、
    JIS K 7221−2:2006記載の方法に準じて測定した曲げ撓み量が20mm以上、かつ20mm撓み時の荷重が2〜100Nである請求項5または6に記載のシートクッション。
  8. 上記シートクッション本体にクッション材が積層された請求項1〜7のいずれか1に記載のシートクッション。
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