JP2019157165A - 浸漬塗布装置、制御プログラム、制御方法および浸漬塗布方法 - Google Patents

浸漬塗布装置、制御プログラム、制御方法および浸漬塗布方法 Download PDF

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宮西 晋太郎
Shintaro Miyanishi
晋太郎 宮西
松尾 力也
Rikiya Matsuo
力也 松尾
竜廣 森田
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竜廣 森田
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Abstract

【課題】少ない工程で、有機/無機材料を組み合わせた多彩な積層構造膜を作製できる。【解決手段】浸漬塗布装置(10)は、塗布部12および電圧印加部18を含み、塗布部12は、導電性材料で形成される塗工槽14、塗布液貯留槽16を有する。塗布液貯留槽16には、表面が帯電性物質で構成される攪拌部材164が設けられ、攪拌部材164が回転されることによって、塗布液Lに含まれる微粒子が帯電される。塗布液Lの電位が所定の電位に達すると、金属部材Aが塗工槽14に収容された塗布液Lに浸漬される。電圧印加部18は、金属部材Aの少なくとも一部が塗布液Lに浸漬された後に、金属部材Aおよび塗工槽14の間に所定の電圧を印加する。【選択図】図2

Description

この発明は、金属部材に有機/無機材料を用いた積層膜を形成するための微粒子分散液を用いる浸漬塗布装置、制御プログラム、制御方法および浸漬塗布方法に関するものである。
近年、金属部材に有機/無機材料を組み合わせた積層膜を形成するための方法として、簡単かつ低コストの観点から、塗布型製膜方法が注目されている。このような塗布型製膜方法の一種である電気泳動堆積法(EPD法)は、溶媒中にセラミックス粒子を正に帯電させて分散、そのサスペンション液に電極を浸漬、電圧を印加することで、セラミックス粒子を電極基板上に直接堆積させ、薄膜、厚膜、積層構造、傾斜組成変調等を作製する方法としてよく知られている。しかしながら、従来の電気泳動堆積法では、通常水溶媒を用いるので、水の電気分解による気泡が発生、堆積構造体が多孔質状になるといった課題が有る。
この課題に対して、特許文献1に開示されるセラミックス成形体の製造方法では、電気泳動堆積法によるセラミックス成形体製造時の気泡発生の影響を抑え、セラミックスの水系サスペンション液からでもマクロ気孔のない堆積体を得ることが可能である。
特開2001―105413号公報
しかしながら、背景技術の電気泳動堆積法では、溶液中のpHの制御および電極表面での反応抑止が必要であり、また高粘度の非水系分散溶液では、電気泳動堆積手法が使えないといった課題が有る。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、浸漬塗布装置、制御プログラム、制御方法および浸漬塗布方法を提供することである。
この発明の他の目的は、少ない工程で、有機/無機材料を組み合わせた多彩な積層構造膜を作製できる、浸漬塗布装置、制御プログラム、制御方法および浸漬塗布方法を提供することである。
第1の発明は、浸漬塗布装置であり、塗布槽、帯電手段、昇降手段および印加手段を備える。塗布槽は、導電性を有し、非水系溶剤を含む微粒子分散塗布液を収容する。帯電手段は、微粒子分散塗布液に含まれる微粒子を帯電させる。昇降手段は、導電性を有する被塗布体を昇降して、被塗布体を微粒子分散塗布液に浸漬させたり被塗布体を微粒子分散塗布液から引き上げたりする。印加手段は、被塗布体の少なくとも一部が微粒子分散塗布液に浸漬された後に、被塗布体および塗布槽の間に所定の電圧を印加する。
第2の発明は、第1の発明に従属する浸漬塗布装置であって、塗布槽に連通され、当該塗布槽に供給される微粒子分散塗布液を収容する塗布液貯留槽をさらに備え、帯電手段は、塗布液貯留槽に設けられる。
第3の発明は、第1または第2の発明に従属する浸漬塗布装置であって、微粒子分散塗布液の電位を検出する検出手段および検出手段によって検出された微粒子分散塗布液の電位が、所定の電位に達しているかどうかを判定する判定手段をさらに備え、昇降手段は、判定手段によって微粒子分散塗布液の電位が所定の電位に達していると判定された場合に、被塗布体を微粒子分散塗布液に浸漬させる。
第4の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明に従属する浸漬塗布装置であって、印加手段は、微粒子の表面の極性に応じた極性の直流電圧を被塗布体および塗布槽の間に印加する。
第5の発明は、第4の発明に従属する浸漬塗布装置であって、印加手段は、微粒子の表面の極性とは反対極性の直流電圧を被塗布体および塗布槽の間に印加する。
第6の発明は、第4の発明に従属する浸漬塗布装置であって、印加手段は、微粒子の表面の極性と同極性の直流電圧を被塗布体および塗布槽の間に印加する。
第7の発明は、第1ないし第6のいずれかの発明に従属する浸漬塗布装置であって、印加手段は、被塗布体および塗布槽の間へ直流電圧を印加した後に、交流電圧を被塗布体および塗布槽の間に印加する。
第8の発明は、第1ないし第7のいずれかの発明に従属する浸漬塗布装置であって、微粒子は、無機微粒子および/または有機微粒子である。
第9の発明は、第1ないし第7のいずれかの発明に従属する浸漬塗布装置であって、微粒子は、格子定数が4〜5Åの酸化物の粒子である。
第10の発明は、第1ないし第7のいずれかの発明に従属する浸漬塗布装置であって、微粒子は、格子定数が4〜5Åの窒化物の粒子である。
第11の発明は、非水系溶剤を含む微粒子分散塗布液を収容し、導電性を有する塗布槽を備える浸漬塗布装置の制御プログラムであって、浸漬塗布装置のプロセッサを、微粒子分散塗布液に含まれる微粒子を帯電させる帯電手段、導電性を有する被塗布体を昇降して、被塗布体を微粒子分散塗布液に浸漬させたり被塗布体を微粒子分散塗布液から引き上げたりする昇降手段および被塗布体の少なくとも一部が微粒子分散塗布液に浸漬された後に、被塗布体および塗布槽の間に所定の電圧を印加する印加手段として機能させる。
第12の発明は、非水系溶剤を含む微粒子分散塗布液を収容し、導電性を有する塗布槽を備える浸漬塗布装置の制御方法であって、(a)微粒子分散塗布液に含まれる微粒子を帯電させるステップ、(b)導電性を有する被塗布体を微粒子分散塗布液に浸漬させるステップ、(c)ステップ(b)で被塗布体を微粒子分散塗布液に浸漬させた後に、被塗布体を微粒子分散塗布液から引き上げるステップおよび(d)被塗布体の少なくとも一部が微粒子分散塗布液に浸漬された後に、被塗布体および塗布槽の間に所定の電圧を印加するステップを含む、制御方法である。
第13の発明は、導電性を有する塗布槽に収容された非水系溶剤を含む微粒子分散塗布液に導電性を有する被塗布体を浸漬して当該被塗布体の表面に塗膜を形成する浸漬塗布方法であって、(a)微粒子分散塗布液に含まれる微粒子を帯電させるステップ、(b)被塗布体を微粒子分散塗布液に浸漬させるステップ、(c)ステップ(b)で被塗布体を微粒子分散塗布液に浸漬させた後に、被塗布体を微粒子分散塗布液から引き上げるステップ、および(d)被塗布体の少なくとも一部が微粒子分散塗布液に浸漬された後に、被塗布体および塗布槽の間に所定の電圧を印加するステップを含む、浸漬塗布方法。
本発明によれば、少ない工程で、有機/無機材料を組み合わせた多彩な積層構造膜を作製できる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1はこの発明の塗布装置の構成を模式的に示す概略断面図である。 図2は塗布装置が備える塗布部の構成を模式的に示す図解図である。 図3は図1に示す塗布装置の電気的な構成を示すブロック図である。 図4(A)は第1実施形態における感光体の構成を示す模式図である。図4(B)は第1実施形態における感光体の構成を示す概略断面図である。 図5は撹拌部材で撹拌された微粒子の帯電の推移の一例を示した模式図である。 図6は撹拌部材で撹拌された微粒子の帯電の推移の他の例を示した模式図である。 図7は撹拌部材で撹拌された微粒子の帯電の推移の他の例を示した模式図である。 図8は撹拌部材で撹拌された微粒子の帯電の推移の他の例を示した模式図である。 図9(A)は微粒子が正に帯電された状態の塗布液中の微粒子の位置を示す模式図である。図9(B)は微粒子が正に帯電された状態で負電圧が印加された場合の塗布液中の微粒子の位置を示す模式図である。図9(C)は微粒子が正に帯電された状態で正電圧が印加された場合の塗布液中の微粒子の位置を示す模式図である。 図10(A)は微粒子が負に帯電された状態の塗布液中の微粒子の位置を示す模式図である。図10(B)は微粒子が負に帯電された状態で正電圧が印加された場合の塗布液中の微粒子の位置を示す模式図である。図10(C)は微粒子が負に帯電された状態で負電圧が印加された場合の塗布液中の微粒子の位置を示す模式図である。 図11は図1に示す塗布装置のRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。 図12は図1に示す塗布装置のCPUの塗布処理の一例を示すフロー図である。 図13(A)は第2実施形態における感光体の構成を示す模式図である。図13(B)は第2実施形態における感光体の構成を示す概略断面図である。 図14(A)は第2実施形態における第1層用の塗布液塗布後の印可電圧と微粒子の位置を示す模式図である。図14(B)は第2実施形態における第2層用の塗布液塗布後の印可電圧と微粒子の位置を示す模式図である。 図15は第2実施形態における塗布処理の一例の一部を示すフロー図である。 図16は第2実施形態の塗布処理の一例の一部であって、図16に後続するフロー図である。 図17(A)は第3実施例における塗布液塗布後の印可電圧と微粒子の位置の一例を示す模式図である。図17(B)は第3実施例における塗布液塗布後の印可電圧と微粒子の位置の他の例を示す模式図である。 図18は第3実施形態における塗布装置のCPUの塗布処理の一例の一部を示すフロー図である。 図19は第4実施例における有機太陽電池形成体の構成を示す模式図である。
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に記載する実施の形態は、本発明の具体的な一例に過ぎず、本発明は、これらによって限定されるものではない。
図1はこの発明の浸漬塗布装置10の構成を模式的に示す概略断面図である。図2は浸漬塗布装置10が備える塗布部の構成を模式的に示す図解図である。なお、図2では、簡単のため、ポンプ24は省略してある。
図1に示すように、本発明の浸漬塗布装置10は、塗布部12および昇降機構部(昇降手段)50を含む。
塗布部12は、塗工槽(塗布槽)14、塗布液貯留槽(塗布液タンク)16、塗布液供給部20、塗布液回収部30および循環部40を備える。
塗工槽14は、被塗布体としての金属部材Aを浸漬してその表面に塗膜を形成するための微粒子分散塗布液(以下、単に「塗布液」ということがある。)Lを収容する。塗工槽14は、略円筒状をなし、上端が開口部として開口され、下端が底部として閉鎖され、少なくとも金属部材Aが収容可能な大きさに形成される。また、塗工槽14は、導電性を有し、たとえば、その少なくとも一部が導電性材料によって形成される。
塗布液貯留槽16は、塗布液供給部20、塗布液回収部30および循環部40を介して塗工槽14に連通され、塗工槽14に供給される塗布液Lを貯留する。塗布液貯留槽16は、塗布液Lを循環させるために最低限必要な量の塗布液Lおよび金属部材Aの体積分の塗布液Lを収容できる容積があればよい。
また、塗布液貯留槽16には、蓋160、撹拌モータ162、攪拌部材164および電位センサ166が設けられる。蓋160は、塗布液Lの追加が可能なように、塗布液貯留槽16の上部に開閉可能に設けられる。撹拌モータ162は、攪拌部材164を回転させるための汎用のモータである。
攪拌部材164は、塗布液貯留槽16に収容された塗布液Lを攪拌混合するための部材であり、図2に示すように、回転軸(シャフト)164aおよび複数の羽根(ブレード)164bを含む。攪拌部材164が回転されると、ブレード164bによって塗布液Lが撹拌混合される。また、攪拌部材164は、塗布液Lに接する部分の少なくとも一部が、帯電性物質で構成される。たとえば、攪拌部材164は、ブレード164bの表面が帯電性物質で構成される。ただし、ブレード164bの表面が帯電性物質でコーティングされていても良いし、ブレード164bが帯電性物質で形成されていても良いし、攪拌部材164全体が帯電性物質で形成されていても良い。また、シャフト164aの表面も帯電性物質で構成されていても良い。
帯電性物質とは、正または負に帯電しやすい材料のことである。詳細は後述するが、帯電性物質としては、たとえば、窒化ケイ素または4フッ化エチレン樹脂(PTFE)等を用いることができ、塗布液Lに含まれる微粒子の仕事関数(フェルミ準位)に応じて最適な帯電性物質が選択される。詳細は後述するが、攪拌部材164が回転されると、ブレード164bの表面の帯電性物質と、塗布液Lに含まれる微粒子とが接触する。このとき、攪拌部材164(帯電性物質)および塗布液Lに含まれる微粒子のそれぞれの仕事関数の差によって、一方から他方へ電荷(電子)が移動し、塗布液Lに含まれる微粒子の表面が正または負に帯電される(摩擦帯電)。すなわち、撹拌モータ162および攪拌部材164は、塗布液Lに含まれる微粒子を帯電させるための帯電手段として機能する。
電位センサ166は、塗布部12を循環する塗布液Lの電位を検出するためのセンサである。電位センサ166は、たとえば蓋160に設けられ、蓋160に絶縁体の板をはめ込んで形成されたのぞき窓(不図示)を介して、塗布液Lに含まれる帯電した微粒子からの電気力線を検出する。なお、電位センサ166は、後述する給液路22または循環部40に設けられても良い。この場合、給液路22または循環部40の一部は、有機系の材料で形成されたケーブルで構成される。また、電位センサ166は、給液路22または循環部40のうち、有機系の材料で形成されたケーブルに設けられ、塗布液Lからの電気力線を絶縁体のケーブルを介して検出する。
塗布液供給部20は、塗工槽14に塗布液を供給して塗工槽14からオーバーフローさせる機能を有し、給液路22およびポンプ24を含む。給液路22は、管状をなし、塗布液貯留槽16の底壁に形成された流出口と、塗工槽14の底壁に形成された流入口に接続される。
ポンプ24は、給液路22の途中に設けられる。このポンプ24が作動されることによって、塗布液貯留槽16に収容される塗布液Lが、給液路22を通って塗工槽14に供給される。ポンプ24としては、サインポンプ、マグネットポンプおよびギアポンプ等が用いられる。
塗布液回収部30は、液受け形成部32および上壁部34を含む。液受け形成部32は、円環状をなし、塗工槽14の上端面よりも少し低い位置において、塗工槽14の外周面に沿って設けられる。液受け形成部32は、断面略L字状に形成されており、塗工槽14の外周面と一体となって、断面略U字状の液受け部を形成する。ただし、液受け形成部32の内側の端部と、塗工槽14の外周面との間は、液密に封止される。
上壁部34は、液受け形成部32の上端に連設され、上壁部34には、金属部材Aを塗工槽14内に出し入れ可能とする孔34aが形成される。
循環部40は、管状をなす循環路を含む。循環路は、塗布液回収部30の液受け形成部32の一部に形成された流出口と、塗布液貯留槽16の上端部分に形成された流入口とに接続される。ただし、循環路の塗布液回収部30側の流出口は、塗布液貯留槽16側の流入口よりも高い位置に形成されており、循環部40は、塗布液回収部30側の流出口と塗布液貯留槽16側の流入口とを直線的に接続する。すなわち、循環部40は、塗布液回収部30側の流出口から塗布液貯留槽16側の流入口に向かうにつれて下方に向かうように傾斜する。このため、塗工槽14からオーバーフローされた塗布液Lは、塗布液回収部30に回収された後、循環部40を通って塗布液貯留槽16に戻される。
昇降機構部50は、金属部材Aと塗工槽14とを相対的に移動させて金属部材Aを塗布液L中に浸漬(浸液)させたり、引き上げたりするために設けられており、駆動部52および可動部54を含む。
駆動部52は、上下方向に延びるボールねじ52aと、ボールねじ52aに平行に設けられるガイドシャフト52bと、ボールねじ52aの下端を回転可能に保持しかつガイドシャフト52bの下端を保持する下連結部材52cと、ボールねじ52aの上端を回転可能に保持しかつガイドシャフト52bの上端を保持する上連結部材52dと、上連結部材52dに取り付けられてボールねじ52aを回転させる昇降モータ52eとを備える。
可動部54は、ボールねじ52aに螺合するねじ孔およびガイドシャフト52bを挿通させるガイド孔を有する昇降板54aと、昇降板54aの下面に連設されて金属部材Aの上端を保持する保持部54bとを含む。
なお、保持部54bは、金属部材Aの上端を保持できるものであれば特に限定されない。たとえば、金属部材Aの上端面に突起部を設け、金属部材Aの突起部を着脱可能に掴むチャック爪機構を保持部54bに設けることによって、保持部54bが金属部材Aの上端を保持するようにしても良い。また、金属部材Aの上端面にループ部を設け、金属部材Aのループ部に係脱可能なフック部を保持部54bに設けることによって、保持部54bが金属部材Aの上端を保持するようにしても良い。
このように構成された昇降機構部50では、昇降モータ52eが正回転または逆回転することに従って、ボールねじ52aが回転し、昇降板54aと共に金属部材Aが上昇したり、下降したりする。
また、図2に示すように、浸漬塗布装置10は、電圧印加部18を含む。電圧印加部18は、電源制御回路18aおよび導線18bを含み、金属部材Aおよび塗工槽14の間に電圧を印加する。
図3は図1に示す浸漬塗布装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図3を参照して、浸漬塗布装置10はCPU82を含む。CPU82には、バス80を介してRAM84、ROM86、昇降モータ制御回路88、撹拌モータ制御回路90、電源制御回路18aおよび電位センサ166が接続される。また、昇降モータ制御回路88には昇降モータ52eが接続され、撹拌モータ制御回路90には撹拌モータ162が接続される。
CPU82は、浸漬塗布装置10の全体的な制御を司る。RAM84は、CPU82のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。ROM86は、浸漬塗布装置10の起動プログラムおよび各種情報についてのデフォルト値等を記憶する。
昇降モータ制御回路88は、CPU82の指示の下、昇降モータ52eを所定の回転方向に所定の回転速度(目標値)で駆動するための電圧(駆動電圧)を生成し、生成した駆動電圧を昇降モータ52eに印加する。昇降モータ52eは、たとえば、正逆回転可能な汎用のモータであって、昇降モータ制御回路88から駆動電圧が印加されることによってモータ軸が回転される。
撹拌モータ制御回路90は、CPU82の指示の下、撹拌モータ162を所定の回転速度で駆動するための駆動電圧を生成し、生成した駆動電圧を撹拌モータ162に印加する。撹拌モータ162は、たとえば、汎用のモータであって、撹拌モータ制御回路90から駆動電圧が印加されることによってモータ軸が回転される。
電源制御回路18aは、CPU82の指示に従って、金属部材Aおよび塗工槽14の間に電圧を印加するための制御回路である。電源制御回路18aは、商用電源を降圧および整流し、金属部材Aおよび塗布液Lに所定の直流電圧を供給および停止する。
電位センサ166は、塗布部12を循環する塗布液Lの電位に応じた電気信号を出力するセンサである。
なお、図3に示す浸漬塗布装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。
次に、第1実施形態における浸漬塗布装置10を用いた金属部材Aの塗膜の形成方法(浸漬塗布方法)について説明する。ただし、第1実施形態では、電子写真方式の画像形成装置に用いられる電子写真感光体(以下、単に「感光体」と言う。)60を作製する場合を例に挙げて説明する。
簡単に説明すると、感光体60は、円筒状の導電性基体(素管)62の表面に感光層64が形成されたものである。したがって、金属部材Aは、感光体60用の円筒状の素管62であり、塗布液Lは、感光層64を形成する材料液(感光層用塗布液)である。
まず、感光体60の具体的な構成を説明する。図4(A)は第1実施形態における感光体60の構成を示す模式図である。図4(B)は第1実施形態における感光体60の構成を示す概略断面図である。図4(A)および図4(B)に示すように、感光体60は、素管62と、当該素管62の表面に形成された感光層64とを有する。
素管62は、導電性支持体とも称され、感光体60の電極としての役割を果たす。また、素管62は、その上に形成される感光層64の支持部材としても機能する。なお、本実施形態では、素管62の形状は、円筒状であるが、これに限定されず、たとえば、円柱状、シート状、無端ベルト状等であってもよい。
素管62は、少なくとも一部が導電性材料で構成される。この導電性材料としては、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金のような導電性金属、アルミニウム合金のような導電性合金、酸化錫、酸化インジウムのような導電性金属酸化物等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、素管62は、その全体が導電性材料で構成されていなくてもよく、たとえば、素管62は、導電性を有さない基部の表面に導電性層が形成されるようにしても良い。この場合、基部は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレンのような高分子材料、硬質の紙材料、ガラス材料等で構成される。導電性層は、各種導電性高分子材料等で構成することができる。この導電性層は、基部の表面に、たとえば、導電性材料で構成される箔(シート材)をラミネートすること、導電性材料を蒸着または塗布すること等により形成することができる。なお、導電性層は、所定の形状に加工されて使用される。
なお、素管62の表面には、必要に応じて、画像の品質に影響のない範囲で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水等による表面処理、着色処理、または粗面化処理等のような乱反射処理が施されてもよい。
感光層64は、たとえば電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂および粒子化された顔料(微粒子)66を含む単層型感光層であり、感光体60の表面層を構成する。この感光層64の膜厚は、10〜40μm程度であることが好ましい。
ただし、図4(B)に示すように、第1実施形態の感光層64は、微粒子66が、感光層64の厚さ方向において、感光層64の表面側に偏在するように構成される。
電荷発生物質(感光体材料)は、光を吸収することによって電荷を発生する物質である。この電荷発生物質としては、各種有機光導電性材料および各種無機光導電性材料のうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。有機光導電性材料としては、たとえば、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料のようなアゾ系顔料、インジゴ、チオインジゴのようなインジゴ系顔料、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物のようなペリレン系顔料、アントラキノン、ピレンキノンのような多環キノン系顔料、金属フタロシアニン(たとえば、オキソチタニウムフタロシアニン化合物)、無金属フタロシアニンのようなフタロシアニン系化合物、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素等が挙げられる。一方、無機光導電性材料としては、たとえば、セレン、セレン合金、アモルファスシリコン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等が挙げられる。
電荷輸送物質は、感光層64中に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する物質である。この電荷輸送物質としては、ホール輸送物質または電子輸送物質を用いることができる。電荷輸送物質として用いられるホール輸送物質としては、たとえば、カルバゾール誘電体、イミダゾール誘電体、オキサゾール誘電体、チアジアゾール誘電体、多環芳香族系化合物、アニリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、芳香族アミン系化合物、トリフェニルアミン系化合物およびその2量体、トリフェニルメタン系化合物、テトラフェニルブタジエン系化合物、エナミン系化合物およびスチルベンゼン系化合物、ならびにこれらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリ―N−ビニルカルバゾール等の重合体などが挙げられる。
また、電荷輸送物質として用いられる電子輸送物質としては、たとえば、フルオレン誘電体、ジベンゾチオフェン誘電体、インデノ地オフェン誘電体、フェナンスレンキノン誘電体、インデノピリジン誘電体、チオキサントン誘電体、ベンゾ[c]シンノリン誘電体、フェナジンオキサイド誘電体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどが挙げられる。
さらに、上述した物質のうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて電荷輸送物質として用いることもできる。
結着樹脂は、感光層64の機械的強度、耐久性および素管62の表面との結着性を有していれば良い。
結着樹脂としては、たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合樹脂(塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル―酢酸ビニル―無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル―スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。また、上述した樹脂のうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて結着樹脂として使用することが出来る。
微粒子66としては、無機微粒子および/または有機微粒子を用いることができる。無機微粒子は硬度が高いため、微粒子66として無機微粒子を用いた場合には、感光層64の耐摩耗性を向上させることができる。有機微粒子は、結着樹脂との密着性(親和性)が高いため、微粒子66として有機微粒子を用いた場合には、感光層64が接触部材との接触によって削られても、微粒子66が感光層64から脱落し難い。また、無機微粒子および有機微粒子の双方を用いることもでき、この場合には、無機微粒子により得られる効果と有機微粒子により得られる効果の双方が発揮される。
無機微粒子を構成する物質としては、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、コロイダルシリカおよび窒化ケイ素などが挙げられる。
有機微粒子を構成する物質としては、たとえば、フッ素系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
フッ素樹脂としては、たとえば、PTFE、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂、これらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂等が挙げられる。
また、無機微粒子は、分散性向上および表面改質等を目的として、無機物または有機物で表面処理されていてもよい。有機物による表面処理としては、たとえば、フッ素系シランカップリング剤を用いた表面処理、高級脂肪酸を用いた表面処理、高分子材料の共重合による表面処理のような撥水処理等が挙げられる。一方、無機物による表面処理としては、たとえば、アルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカによる表面処理等が挙げられる。
ただし、微粒子66の平均1次粒径は、10〜300nm程度、好ましくは、20〜200nm程度が望ましい。平均1次粒径が10nm未満では、分散安定性が低く凝集体の発生する可能性が高くなると共に塗布液のポットライフが低下する恐れがある。また、300nmを超えると、可視光の光を散乱するために、画像形成に影響を及ぼす恐れがある。
また、感光層64には、必要に応じて、酸化防止剤、粘弾性調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、増感剤、可塑剤、レベリング剤のような各種添加剤を添加するようにしてもよい。たとえば、感光層64のオゾン、窒素酸化物のような酸化性ガスに対する劣化を低減させることを目的として、感光層64中に酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、たとえば、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物、アミン系化合物等が挙げられる。これらの酸化防止剤の中でも、ヒンダードフェノール誘導体、ヒンダードアミン誘導体、またはこれらの混合物が好適に用いられる。
また、たとえば、感光層64の成膜性、表面平滑性を向上させることを目的として、感光層64中に可塑剤またはレベリング剤等を添加することができる。可塑剤としては、たとえば、フタル酸エステルのような二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィン、エポキシ型可塑剤等が挙げられる。また、レベリング剤としては、たとえば、シリコーン系レベリング剤等が挙げられる。
次に、感光体60の感光層64の形成方法について説明する。感光層64の形成方法としては、感光層64を構成する物質を適当な有機溶剤中に混合(溶解または分散)して、感光層用塗布液(塗布液Lに相当)を調製し、得られた感光層用塗布液を素管62の表面に塗布する方法が用いられる。
感光層用塗布液の有機溶剤としては、たとえば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロプロパンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジメトキシメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類、安息香酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジフェニルスルフィドなどの含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノールなどのフッ素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、エチレングルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、などが挙げられ、これらは単独または混合溶剤として使用できる。
感光層用塗布液の塗布方法としては、上述した浸漬塗布装置10を用いた浸漬塗布法が挙げられる。簡単に説明すると、浸漬塗布法は、昇降機構部50の保持部54bに素管62を取り付け、素管62を感光層用塗布液で満たした塗工槽14に浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で塗工槽14から引上げることによって、素管62の表面に層(感光層64)を形成する方法である。かかる方法は、比較的簡単で、生産性および製造コストに優れているため、感光体60を製造する場合に広く利用されている。
まず、感光層用塗布液が調製され、浸漬塗布装置10に投入されると、感光層用塗布液が所定の電位に達するまで、攪拌部材164が回転される。上述したように、攪拌部材164の表面に設けられる帯電性物質は、感光層用塗布液に含まれる微粒子66の仕事関数に応じて最適な帯電性物質が選択される。したがって、攪拌部材164が回転されると、攪拌部材164の帯電性物質と、塗布液貯留槽16に収容された感光層用塗布液に含まれる微粒子66とが接触することによって、微粒子66は、正または負に帯電される。以下、図面を参照して微粒子66の微粒子の帯電の推移を説明する。
図5は攪拌部材164で撹拌された微粒子66の帯電の推移の一実施例を示した模式図である。図6は攪拌部材164で撹拌された微粒子66の帯電の推移の他の実施例を示した模式図である。図7は攪拌部材164で撹拌された微粒子の帯電の推移の他の実施例を示した模式図である。図8は攪拌部材164で撹拌された微粒子の帯電の推移の他の実施例を示した模式図である。
図5に示す実施例では、攪拌部材164(ブレード164b)の表面は、窒化ケイ素でコーティングされる。また、微粒子66は、酸化チタンで構成され、その表面がシリカまたはアルミナでコーティングされている。ただし、窒化ケイ素の仕事関数は−3.65eVであり、シリカの仕事関数は−4.4eVであり、アルミナの仕事関数は−5.0eVであり、酸化チタンの仕事関数は−6.1eVである。この場合、攪拌部材164が回転されると、攪拌部材164の窒化ケイ素と、感光層用塗布液に含まれる微粒子66とが接触することによって、攪拌部材164の窒化ケイ素から、微粒子66の表面のアルミナまたはシリカ、並びに微粒子66を構成する酸化チタンに電子が移動する。また、微粒子66の表面のアルミナまたはシリカから、微粒子66を構成する酸化チタンに電子が移動する。したがって、図5に示す例では、微粒子66の表面は、正に帯電する。
図6に示す実施例では、攪拌部材164の表面は、窒化ケイ素でコーティングされる。また、微粒子66は、PTFEで構成される。ただし、PTFEの仕事関数は−6.0eVである。この場合、攪拌部材164が回転されると、攪拌部材164の窒化ケイ素と、微粒子66とが接触することによって、攪拌部材164の窒化ケイ素から、微粒子66を構成するPTFEに電子が移動する。したがって、図6に示す例では、微粒子66の表面は、負に帯電する。
図7に示す実施例では、攪拌部材164の表面は、PTFEでコーティングされる。また、微粒子66は、窒化ケイ素で構成され、その表面がシリカまたはアルミナでコーティングされている。この場合、攪拌部材164が回転されると、攪拌部材164のPTFEと、微粒子66とが接触することによって、微粒子66を構成する窒化ケイ素から、微粒子66の表面のアルミナまたはシリカ、並びに攪拌部材164のPTFEに電子が移動する。このとき、アルミナまたはシリカの表面に電子が偏在するので、図7に示す例では、微粒子66の表面は、負に帯電する。
図8に示す実施例では、攪拌部材164の表面は、窒化ケイ素でコーティングされる。また、微粒子66は、PTFEで構成され、その表面がシリカでコーティングされている。この場合、攪拌部材164が回転されると、攪拌部材164の窒化ケイ素と、微粒子66とが接触することによって、攪拌部材164の窒化ケイ素から、微粒子66の表面のシリカ、および微粒子66を構成するPTFEに電子が移動する。また、微粒子66の表面のシリカから、微粒子66を構成するPTFEに電子が移動する。したがって、図8に示す例では、微粒子66の表面は、正に帯電する。
以上のように、攪拌部材164の表面に設けられる帯電性物質と、微粒子66を構成する物質との組み合わせによって、攪拌部材164が回転されると、微粒子66の表面が、正に帯電されたり、負に帯電されたりする。
感光層用塗布液が所定の電位に達すると、浸漬塗布装置10の昇降モータ52eが駆動されて、素管62が塗工槽14内に降下され、感光層用塗布液に浸漬される。ただし、感光層用塗布液の電位が、所望の電位に達していなければ、感光層用塗布液が所定の電位に達するまでの間、攪拌部材164の回転速度が上昇される。
図9(A)は微粒子が正に帯電された状態の塗布液L中の微粒子の位置を示す模式図である。図9(B)は微粒子が正に帯電された状態で負電圧が印加された場合の塗布液L中の微粒子の位置を示す模式図である。図9(C)は微粒子が正に帯電された状態で正電圧が印加された場合の塗布液L中の微粒子の位置を示す模式図である。図10(A)は微粒子が負に帯電された状態の塗布液L中の微粒子の位置を示す模式図である。図10(B)は微粒子が負に帯電された状態で正電圧が印加された場合の塗布液L中の微粒子の位置を示す模式図である。図10(C)は微粒子が負に帯電された状態で負電圧が印加された場合の塗布液L中の微粒子の位置を示す模式図である。
素管62が感光層用塗布液に浸漬されてから所定時間(第1所定時間T1)が経過すると、電圧印加部18によって素管62および塗工槽14の間に所定の直流電圧が印加される。なお、素管62の全体が感光層用塗布液に浸漬される前に、つまり、素管62の少なくとも一部が感光層用塗布液に浸漬された時点で、素管62および塗工槽14の間に所定の直流電圧が印加されても良い。
図9(A)および図10(A)に示すように、微粒子66が正および負のいずれに帯電されていても、電圧が印加される前の状態では、微粒子66は、感光層用塗布液中に分散されている。
ただし、図9(B)に示すように、微粒子66が正に帯電された状態で、素管62および塗工槽14の間に負電圧が印加されると、微粒子66は、素管62側に引き寄せられる。同様に、図10(B)に示すように、微粒子66が負に帯電された状態で、素管62および塗工槽14の間に正電圧が印加されると、微粒子66は、素管62側に引き寄せられる。
つまり、微粒子66の表面の極性とは反対極性の電圧が印加されることによって、微粒子66を素管62側(感光体60の径方向の内側)に偏在させることができる。このままの状態で感光層用塗布液が乾燥されることによって、素管62側に微粒子66が偏在した感光層64を形成することができる。
一方、図9(C)に示すように、微粒子66が正に帯電された状態で、素管62および塗工槽14の間に正電圧が印加されると、微粒子66は、素管62から離れるように感光層用塗布液の表面側に移動する。同様に、図10(C)に示すように、微粒子66が負に帯電された状態で、素管62および塗工槽14の間に負電圧が印加されると、微粒子66は、素管62から離れるように感光層用塗布液の表面側に移動する。
つまり、微粒子66の表面の極性と同極性の電圧が印加されることによって、微粒子66を感光層用塗布液の表面側(感光体60の径方向の外側)に偏在させることができる。このままの状態で感光層用塗布液が乾燥されることによって、層の表面側に微粒子66が偏在した感光層64を形成することができる。
図4(B)に示したように、感光体60の感光層64では、微粒子66が、感光層64の厚さ方向(感光体60の径方向)において、感光層64の表面側に偏在するように構成されれば良い。このため、感光層64を形成する場合には、図9(C)または図10(C)に示すように、微粒子66の表面の極性と同極性の電圧が印加されれば良い。
素管62および塗工槽14の間に所定の直流電圧が印加されてから所定時間(第2所定時間T2)が経過すると、浸漬塗布装置10の昇降モータ52eが駆動されて、素管62が塗工槽14から引き上げられる。
素管62が塗工槽14から引き上げられてから所定時間(第3所定時間T3)が経過すると、素管62および塗工槽14の間への直流電圧の印加が停止される。そして、素管62の表面に塗布された感光層用塗布液が乾燥されると、感光層64が形成される。
ただし、上述の各工程における第1所定時間T1〜第3所定時間T3の各々は、感光層用塗布液の種類、粘度等によって適正な時間に設定される。これらの所定時間としては、概ね数秒から数百秒の間が望ましい。たとえば、第3所定時間T3は、感光層用塗布液が完全に乾燥される時間でなくても良く、感光層用塗布液中で微粒子66が移動しない程度に感光層用塗布液が乾燥される時間に設定されていても良い。
さらに、素管62および感光層用塗布液に印可される直流電圧の電圧値についても、感光層用塗布液の種類、粘度等によって適正な電圧値に設定される。上述したように、感光層用塗布液に有機溶剤を使用することから、直流電圧の電圧値としては、概ね20V以下が望ましい。
浸漬塗布装置10の上記のような動作は、浸漬塗布装置100のCPU82がRAM84に記憶された浸漬塗布装置10用の情報処理プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
図11は図1に示す浸漬塗布装置10のRAM84のメモリマップ300の一例を示す図解図である。図11に示すように、RAM84は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。RAM84のプログラム記憶領域302には、上述したように、浸漬塗布装置10用の情報処理プログラムが記憶される。この浸漬塗布装置10用の情報処理プログラムは、撹拌プログラム302a、電位検出プログラム302b、判定プログラム302c、昇降プログラム302dおよび電圧印加プログラム302eを含む。
撹拌プログラム302aは、撹拌モータ制御回路90を制御して、撹拌モータ162の駆動および停止を制御するためのプログラムである。
電位検出プログラム302bは、電位センサ166の出力に応じて、塗布液Lの電位を検出するためのプログラムである。
判定プログラム302cは、電位検出プログラム302bに従って検出された塗布液Lの電位が、所定の電位に達しているかどうかを判定するためのプログラムである。
昇降プログラム302dは、昇降モータ制御回路88を制御して、昇降モータ52eの駆動および停止を制御するためのプログラムである。ただし、CPU82は、判定プログラム302cに従って塗布液Lの電位が所定の電位に達していると判定されたときに、昇降プログラム302dに従って昇降モータ52eを駆動させ、金属部材Aを降下させる。また、CPU82は、電位検出プログラム302bに従って検出された塗布液Lの電位が、所定の電位に達しているときに、昇降プログラム302dに従って昇降モータ52eを駆動させ、金属部材Aを降下させて、金属部材Aを塗布液Lに浸漬させる。また、金属部材Aおよび塗布液Lに所定の電圧が印加されてから所定時間が経過すると、昇降プログラム302dに従って昇降モータ52eを駆動させ、金属部材Aを上昇させて、金属部材Aを塗工槽14から引き上げる。
電圧印加プログラム302eは、電源制御回路18aを制御して、金属部材Aおよび塗工槽14の間に所定の電圧を印加するためのプログラムである。
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、上述した各プログラムを適宜に組み合わせることで浸漬塗布装置10の動作を統括的に制御するための統括制御プログラム、および浸漬塗布装置10が備える各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
また、RAM84のデータ記憶領域304には、閾値データ304aおよび時間データ304bなどが記憶される。
閾値データ304aは、塗布液Lの電位が、所定の電位に達しているかどうかを判断するための閾値についての数値データであり、塗布液Lの種類、粘度等に応じて事前に設定される。時間データ304bは、第1所定時間T1〜第3所定時間T3についてのデータである。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、浸漬塗布装置10用の情報処理プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、浸漬塗布装置10用の情報処理プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)またはレジスタが設けられたりする。
図12は図1に示す浸漬塗布装置10のCPUの塗布処理の一例を示すフロー図である。図12に示すように、浸漬塗布装置10のCPU82は、塗布処理を開始すると、ステップS1で、撹拌モータ162を駆動させ、攪拌部材164を回転させて、塗布液貯留槽16に収容された塗布液Lを攪拌し、ステップS3で、電位センサ166の出力に応じて塗布液Lの電位を検出し、ステップS5で、塗布液Lの電位が所定の電位に達しているかどうかを判断する。ステップS5で“NO”であれば、つまり、塗布液Lの電位が所定の電位に達していないと判断した場合は、ステップS1に戻る。
一方、ステップS5で“YES”であれば、つまり、塗布液Lの電位が所定の電位に達していると判断した場合は、ステップS7で、昇降モータ52eを駆動させ、金属部材Aを降下させて、金属部材Aを塗布液Lに浸漬させ、ステップS9で、金属部材Aが塗布液Lに浸漬されてから第1所定時間T1が経過したかどうかを判断する。ステップS9で“NO”であれば、つまり、第1所定時間T1が経過していないと判断した場合は、ステップS7に戻る。
一方、ステップS9で“YES”であれば、つまり、第1所定時間T1が経過したと判断した場合は、ステップS11で、金属部材Aおよび塗工槽14の間に所定の直流電圧を印加して、ステップS13で、金属部材Aおよび塗工槽14の間に所定の直流電圧を印加してから第2所定時間T2が経過したかどうかを判断する。ステップS13で“NO”であれば、つまり、第2所定時間T2が経過していないと判断した場合は、ステップS11に戻る。
一方、ステップS13で“YES”であれば、つまり、第2所定時間T2が経過したと判断した場合は、ステップS15で、昇降モータ52eを駆動させ、金属部材Aを塗工槽14から引き上げて、ステップS17で、金属部材Aを塗工槽14から引き上げてから第3所定時間T3が経過したかどうかを判断する。ステップS17で“NO”であれば、つまり、第3所定時間T3が経過していないと判断した場合は、ステップS15に戻る。
一方、ステップS17で“YES”であれば、つまり、第3所定時間T3が経過したと判断した場合は、ステップS19で、金属部材Aおよび塗工槽14の間への直流電圧の印加を停止して、塗布処理を終了する。
この第1実施形態では、塗布液Lに含まれる微粒子66を正または負に帯電させ、金属部材に塗布液Lが塗布された状態で金属部材および塗工槽14の間に電圧を印加することによって、微粒子66を金属部材A側に偏在させたり、層の表面側に偏在させたりすることができる。このため、微粒子66を設けるための工程を省略することができ、少ない工程で、有機/無機材料を組み合わせた多彩な積層構造膜を作製できる。
なお、第1実施形態では、金属部材Aが塗布液Lに浸漬される前に、塗布液Lが所定の電位に達するかどうかを判断するようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、金属部材Aが塗布液Lに浸漬されているときに、塗布液Lが所定の電位に達するかどうかを継続的に判断しても良い。
[第2実施形態]
第2実施形態では、浸漬塗布装置10を用いて画像形成装置に用いられる感光体60に塗膜を形成する方法について説明するが、金属部材Aに形成される塗膜が二層である点が第1実施形態と異なる。ただし、第1実施形態と異なる内容について詳しく説明し、重複した説明については省略する。
図13(A)は第2実施形態における感光体60の構成を示す模式図である。図13(B)は第2実施形態における感光体60の構成を示す概略断面図である。
第2実施形態では、金属部材Aに第1層および第1層の上に形成される第2層が積層される。その一例として、図13(A)および図13(B)に示すように、第2実施形態の感光体60では、素管62(金属部材A)と感光層(第2層)64との間に、下引き層(第1層)68が形成される。
下引き層68は、中間層とも称され、感光体60の帯電性の向上、素管62と感光層64との接着性の向上、感光層64の成膜性の向上、画像のかぶり等による画像欠陥の発生防止等を目的として設けられる。この下引き層68の膜厚は、0.01〜2μm程度であることが好ましい。
下引き層68には、樹脂材料で構成される樹脂層を用いることができる。下引き層68を構成する樹脂材料としては、たとえば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、あるいは、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、あるいは、ポリウレタン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の3次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。なお、以上のような樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、下引き層68には、微粒子70が含まれる。この微粒子70としては、微粒子66と同様の、無機微粒子および/または有機微粒子を用いることができる。また、微粒子70の平均1次粒径は、微粒子66の平均1次粒径と同程度が望ましい。
次に、感光体60の下引き層68および感光層64の形成方法について説明する。下引き層68および感光層64の形成方法としては、第1実施形態で説明した浸漬塗布法が挙げられる。
ただし、図示は省略するが、第2実施形態の浸漬塗布装置10では、塗布部12は、下引き層用の塗布部(第1層用の塗布部)と、感光層用の塗布部(第2層用の塗布部)とを含む。また、下引き層用の塗布部および感光層用の塗布部のそれぞれが、上述した塗工槽14、塗布液貯留槽16、塗布液供給部20、塗布液回収部30および循環部40を備える。さらに、第2実施形態の浸漬塗布装置10には、素管62を、下引き層用の塗布部から感光層用の塗布部に移動させる機構が設けられる。
まず、下引き層用塗布液が調製され、下引き層用の塗布部に投入されると、下引き層用塗布液が所定の電位に達するまで、下引き層用塗布液を収容する塗布液貯留槽16(第1塗布液貯留槽)に設けられた攪拌部材が回転される。そして、下引き層用塗布液が所定の電位に達すると、素管62が所定の速度で下引き層用の塗工槽14に降下され、素管62が下引き層用塗布液に浸漬される。その後、第1所定時間T1が経過すると、電圧印加部18によって素管62および塗工槽14の間に所定の直流電圧が印加される。
図14(A)は第2実施形態における第1層用の塗布液塗布後の印可電圧と微粒子の位置を示す模式図である。図14(B)は第2実施形態における第2層用の塗布液塗布後の印可電圧と微粒子の位置を示す模式図である。
たとえば、図14(A)に示すように、微粒子70の表面の極性とは反対極性の電圧が素管62および塗工槽14の間に印加されれば、微粒子70は、素管62側に移動される。また、図示は省略するが、感光層64を形成する際と同様に、微粒子70の表面の極性と同極性の電圧が素管62および塗工槽14の間に印加されれば、微粒子70は、下引き層用塗布液の表面側にされる。
また、素管62および塗工槽14の間に所定の直流電圧が印加されてから第2所定時間が経過すると、素管62が塗工槽14から引き上げられる。さらに、素管62が塗工槽14から引き上げられてから第3所定時間T3が経過し、素管62の表面に塗布された下引き層用塗布液が乾燥される(下引き層68が形成される)と、直流電圧の印加が停止され、素管62が感光層用の塗布部に移動される。
なお、感光層64の具体的な形成方法は、第1実施形態と同じであるので詳細な説明を省略する。図14(B)に示すように、素管62の表面に下引き層68が形成された後に、感光層用塗布液を下引き層68の表面に塗布され、感光層用塗布液が乾燥されることによって、下引き層68上に感光層64が形成される。
以下、フロー図を用いて、第2実施形態における塗布処理について説明するが、第1実施例で説明した塗布処理と重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
図15は第2実施形態における塗布処理の一例の一部を示すフロー図である。図16は第2実施形態の塗布処理の一例の一部であって、図16に後続するフロー図である。図15に示すように、浸漬塗布装置10のCPU82は、塗布処理を開始すると、ステップS31で、第1塗布液貯留槽に収容された第1層用の塗布液Lを攪拌する。なお、ステップS33〜ステップS49のそれぞれは、第1実施形態で説明した塗布処理のステップS3〜ステップS19のそれぞれに対応する処理であるので、詳しい説明を省略する。また、ステップS31〜ステップS49の処理は、第1層用の塗布部において実行される。
ステップS49で、直流電圧の印加を停止すると、素管62を第2層用の塗布部に移動させて、図16に示すステップS51で、第2塗布液貯留槽に収容された第2層用の塗布液Lを攪拌する。なお、ステップS53〜ステップS69のそれぞれは、第1実施形態で説明した塗布処理のステップS3〜ステップS19のそれぞれに対応する処理であるので、詳しい説明を省略する。
この第2実施形態では、金属部材Aに形成される複数の層を形成する際に、微粒子を金属部材側に偏在させたり、層の表面側に偏在させたりすることができる。このため、微粒子を設けるための工程を省略することができ、少ない工程で、有機/無機材料を組み合わせた多彩な積層構造膜を作製できる。
なお、第2実施形態では、金属部材Aに二つの層が形成される場合を例に挙げて説明したが、金属部材Aに三つ以上の層が形成されても良い。
[第3実施形態]
第3実施形態では、金属部材Aに二つの層が形成された後に、金属部材Aおよび塗工槽14の間に所定の交流電圧を印加するようにした以外は第2実施形態と同じであるため、第2実施形態と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
この第3実施形態の浸漬塗布装置10では、電源制御回路18aは、商用電源を降圧および整流し、金属部材Aおよび塗布液Lに所定の直流電圧を供給および停止したりするのに加え、商用電源を降圧し、金属部材Aおよび塗布液Lに所定の交流電圧を供給および停止したりもする。
第3実施形態では、第2実施形態と同じ方法で、素管62に下引き層用塗布液および感光層用塗布液が塗布される。ただし、感光層用塗布液は、下引き層用塗布液が完全に乾燥する前に塗布される。このとき、図14(B)に示すように、下引き層用塗布液に含まれる微粒子70と、感光層用塗布液に含まれる微粒子66とが、感光体60の径方向において、外側または内側に偏在(整列)した状態となっている。その後、下引き層用塗布液および感光層用塗布液が完全に乾燥する前に、素管62および塗工槽14の間に所定の交流電圧が印加される。
図17(A)は第3実施例における塗布液塗布後の印可電圧と微粒子の位置の一例を示す模式図である。図17(B)は第3実施例における塗布液塗布後の印可電圧と微粒子の位置の他の例を示す模式図である。
図17(A)および図17(B)に示すように、素管62および塗工槽14の間に所定の交流電圧が印加されると、微粒子70および微粒子66のそれぞれは、図14(B)に示すように層の内側または外側に整列した状態から、感光体60の径方向において不均一な位置にそれぞれ移動する。この状態で、引き層用塗布液および感光層用塗布液が乾燥されることによって、微粒子70および微粒子66が感光体60の径方向において不均一な位置に存在する下引き層68および感光層64が形成される。
ただし、素管62および感光層用塗布液に印可される交流電圧の電圧値については、塗布液Lの種類、粘度および素管62に塗布された塗布液Lの乾燥具合等によって適正な電圧値に設定される。交流電圧の電圧値としては、概ね100V以下が望ましい。また、素管62および塗工槽14の間に所定の交流電圧が印加されてから所定時間(第4所定時間T4)が経過し、素管62の表面に塗布された引き層用塗布液および感光層用塗布液が完全に乾燥されると、素管62および塗工槽14の間への直流電圧の印加が停止される。
以下、フロー図を用いて、第3実施形態における塗布処理について説明するが、第2実施例で説明した塗布処理と重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
図18は第3実施形態における塗布処理の一例の一部を示すフロー図である。図18に示すように、浸漬塗布装置10のCPU82は、塗布処理を開始すると、ステップS69で、直流電圧の印加を停止して、ステップS71で、金属部材Aおよび塗工槽14の間に所定の交流電圧を印加して、ステップS73で、金属部材Aおよび塗工槽14の間に所定の交流電圧を印加してから第4所定時間T4が経過したかどうかを判断する。ステップS73で“NO”であれば、つまり、第4所定時間T4が経過していないと判断した場合は、ステップS71に戻る。
一方、ステップS73で“YES”であれば、つまり、第4所定時間T4が経過したと判断した場合は、ステップS75で、交流電圧の印加を停止する。なお、ステップS69までの処理は、第2実施形態と同じであるので、説明を省略する。ただし、第3実施形態では、第1層および第2層が形成される際の第3所定時間T3は、塗布液Lが完全に乾燥しない程度の時間に設定される。
この第3実施形態では、金属部材Aに形成される複数の層の各々において、微粒子を意図的に分散させることができる。このため、有機/無機材料を組み合わせた多彩な積層構造膜を作製できる。
なお、上述の実施形態では、電子写真方式の画像形成装置に用いられる感光体60を作製する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、感光体60に限定されず、浸漬塗布法によって形成される積層構造膜を有する物を作製する際に適用することができる。たとえば、本発明は、ペロブスカイト太陽電池に用いられる太陽電池形成ドラムまたは二次電池の電極板等を作製する際に、適用することができる。
図19に示すように、ペロブスカイト太陽電池に用いられる太陽電池形成ドラムは、導電性基体110と、当該導電性基体110の表面に設けられた中間層112と、中間層112の上(外側)に設けられた電荷輸送層114とを有する。
導電性基体110の形状は、円筒状、円柱状、シート状、無端ベルト状等である。導電性基体110の表面は、上述した素管62と同様に、導電性材料で構成される。
中間層112は、ペロブスカイトの結晶成長を促進するための種結晶層として設けられる。この中間層112には、樹脂材料で構成され、感光体材料が混合された樹脂層を用いることができる。中間層112の厚さとしては、300〜400nm程度が望ましい。なお、中間層112に感光体材料を混合せずに、感光体材料を含む感光層を中間層112上に形成しても良い。
中間層112を構成する樹脂材料としては、下引き層68を構成する樹脂材料と同様の材料を用いることができる。
感光体材料としては、第1実施例で説明した感光層64の電荷発生物質と同様に、各種有機光導電性材料および各種無機光導電性材料のうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、変換効率の高いペロブスカイト化合物を用いても良い。PbI2とCH3NH3Iとを1:1〜3(モル比)で混合した溶液やSnI2とCH3NH3Iとを1:1〜3(モル比)で混合した溶液が挙げられる。
また、中間層112には、微粒子116が含まれる。この微粒子116としては、微粒子66,70と同様に、無機微粒子および/または有機微粒子を用いることができる。ただし、微粒子116としては、ペロブスカイト化合物やフタロシアニン系化合物の結晶成長を促進するために、格子状数が4〜5Åの酸化物あるいは窒化物の粒子が望ましく、中でもルチル型の酸化チタン、さらに酸化チタン微粒子の表面が窒化された窒化チタンでコーティングされた微粒子が望ましい。
電荷輸送層114は、たとえば電荷輸送物質および結着樹脂を含む。電荷輸送層114の厚さとしては、100〜300nm程度が望ましい。
電荷輸送物質としては、第1実施例で説明した感光層64の電荷輸送物質と同様に、ホール輸送物質または電子輸送物質の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することが出来る。
結着樹脂としては、第1実施例で説明した感光層64の結着樹脂で使用される樹脂のうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて電荷輸送層114の結着樹脂として使用することが出来る。
中間層112および電荷輸送層114の形成方法としては、中間層112を構成する物質を含む中間層用塗布液と、電荷輸送層114を構成する物質を含む電荷輸送層用塗布液とをそれぞれ調製し、得られた中間層用塗布液を導電性基体110の表面に塗布し、中間層用塗布液を乾燥させて、導電性基体110の表面に中間層112が形成された後に、電荷輸送層用塗布液を中間層112の表面に塗布する。また、以上の構成とは別に、PbI2またはSnI2の溶液を独立、または混合した塗布液で塗膜を形成し、加熱乾燥後、CH3NH3I溶液に浸水し結晶成長を行ってもよい。さらに、ペロブスカイト太陽電池多層膜が形成し終わった後、表面に透明導電シートを貼りつけることにより、太陽電池素子が完成される。透明導電シートとしては、有機フィルムにカーボンナノチューブのネットワークを形成し、Ag等の導電性金属の細線が形成されたものが望ましい。
ただし、中間層用塗布液および電荷輸送層用塗布液を塗布する際には、本発明の浸漬塗布装置10を用いて、上述の実施形態と同様の方法で塗布すれば良い。このとき、中間層112に含まれる微粒子116は、導電性基体110側(太陽電池形成ドラムの径方向の内側)に偏在されることが望ましい。すなわち、微粒子116が中間層112の膜面内方向に均一に分布することが望ましい。このようにすれば、ペロブスカイト層で発生したキャリアの電子は、微粒子116(たとえばTiO2粒子)の表面/界面を介して効率よく導電性基体110側に伝達することが出来る。これにより太陽電池としての変換効率が向上する。
また、上述の実施形態では、帯電手段が撹拌モータ162および攪拌部材164である場合について説明したが、これに限定される必要は無い。たとえば、撹拌モータ162および攪拌部材164に代えて、塗布液貯留槽16、塗布液供給部20、塗布液回収部30および循環部40のいずれかに、表面が帯電性物質で構成されるフィルタが設けられても良い。このようにすれば、塗布部12を循環する塗布液Lがフィルタを通過する際に、塗布液Lに含まれる微粒子とフィルタの帯電性物質とが接触する。したがって、塗布液Lに含まれる微粒子の表面が正または負に帯電される。
さらに、上述の実施形態では、金属部材Aおよび塗工槽14の間に所定の電圧が印加された後に、金属部材Aを塗工槽14から引き上げるようにしたが、これに限定されるようにしても良い。たとえば、金属部材Aが塗工槽14から引き上げられている途中に、金属部材Aおよび塗工槽14の間に所定の電圧が印加されても良いし、金属部材Aが塗工槽14から引き上げられた後、塗布液Lが乾燥する前に、金属部材Aおよび塗工槽14の間に所定の電圧が印加されても良い。
さらにまた、上述の実施形態で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。また、上述の実施形態で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。
10 …浸漬塗布装置
12 …塗布部
14 …塗工槽
16 …塗布液貯留槽
18 …電圧印加部
162…撹拌モータ
164…撹拌部材
164b…帯電性物質
50 …昇降機構部
A …金属部材

Claims (13)

  1. 非水系溶剤を含む微粒子分散塗布液を収容し、導電性を有する塗布槽、
    前記微粒子分散塗布液に含まれる微粒子を帯電させる帯電手段、
    導電性を有する被塗布体を昇降して、前記被塗布体を前記微粒子分散塗布液に浸漬させたり前記被塗布体を前記微粒子分散塗布液から引き上げたりする昇降手段、および
    前記被塗布体の少なくとも一部が前記微粒子分散塗布液に浸漬された後に、前記被塗布体および前記塗布槽の間に所定の電圧を印加する印加手段を備える、浸漬塗布装置。
  2. 前記塗布槽に連通され、当該塗布槽に供給される前記微粒子分散塗布液を収容する塗布液貯留槽をさらに備え、
    前記帯電手段は、前記塗布液貯留槽に設けられる、請求項1記載の浸漬塗布装置。
  3. 前記微粒子分散塗布液の電位を検出する検出手段、および
    前記検出手段によって検出された前記微粒子分散塗布液の電位が、所定の電位に達しているかどうかを判定する判定手段をさらに備え、
    前記昇降手段は、前記判定手段によって前記微粒子分散塗布液の電位が所定の電位に達していると判定された場合に、前記被塗布体を前記微粒子分散塗布液に浸漬させる、請求項1または2記載の浸漬塗布装置。
  4. 前記印加手段は、前記微粒子の表面の極性に応じた極性の直流電圧を前記被塗布体および前記塗布槽の間に印加する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の浸漬塗布装置。
  5. 前記印加手段は、前記微粒子の表面の極性とは反対極性の直流電圧を前記被塗布体および前記塗布槽の間に印加する、請求項4記載の浸漬塗布装置。
  6. 前記印加手段は、前記微粒子の表面の極性と同極性の直流電圧を前記被塗布体および前記塗布槽の間に印加する、請求項4記載の浸漬塗布装置。
  7. 前記印加手段は、前記被塗布体および前記塗布槽の間へ直流電圧を印加した後に、交流電圧を前記被塗布体および前記塗布槽の間に印加する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の浸漬塗布装置。
  8. 前記微粒子は、無機微粒子および/または有機微粒子である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の浸漬塗布装置。
  9. 前記微粒子は、格子定数が4〜5Åの酸化物の粒子である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の浸漬塗布装置。
  10. 前記微粒子は、格子定数が4〜5Åの窒化物の粒子である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の浸漬塗布装置。
  11. 非水系溶剤を含む微粒子分散塗布液を収容し、導電性を有する塗布槽を備える浸漬塗布装置の制御プログラムであって、
    前記浸漬塗布装置のプロセッサを、
    前記微粒子分散塗布液に含まれる微粒子を帯電させる帯電手段、
    導電性を有する被塗布体を昇降して、前記被塗布体を前記微粒子分散塗布液に浸漬させたり前記被塗布体を前記微粒子分散塗布液から引き上げたりする昇降手段、および
    前記被塗布体の少なくとも一部が前記微粒子分散塗布液に浸漬された後に、前記被塗布体および前記塗布槽の間に所定の電圧を印加する印加手段として機能させる、制御プログラム。
  12. 非水系溶剤を含む微粒子分散塗布液を収容し、導電性を有する塗布槽を備える浸漬塗布装置の制御方法であって、
    (a)前記微粒子分散塗布液に含まれる微粒子を帯電させるステップ、
    (b)導電性を有する被塗布体を前記微粒子分散塗布液に浸漬させるステップ、
    (c)前記ステップ(b)で前記被塗布体を前記微粒子分散塗布液に浸漬させた後に、前記被塗布体を前記微粒子分散塗布液から引き上げるステップ、および
    (d)前記被塗布体の少なくとも一部が前記微粒子分散塗布液に浸漬された後に、前記被塗布体および前記塗布槽の間に所定の電圧を印加するステップを含む、制御方法。
  13. 導電性を有する塗布槽に収容された非水系溶剤を含む微粒子分散塗布液に導電性を有する被塗布体を浸漬して当該被塗布体の表面に塗膜を形成する浸漬塗布方法であって、
    (a)前記微粒子分散塗布液に含まれる微粒子を帯電させるステップ、
    (b)前記被塗布体を前記微粒子分散塗布液に浸漬させるステップ、
    (c)前記ステップ(b)で前記被塗布体を前記微粒子分散塗布液に浸漬させた後に、前記被塗布体を前記微粒子分散塗布液から引き上げるステップ、および
    (d)前記被塗布体の少なくとも一部が前記微粒子分散塗布液に浸漬された後に、前記被塗布体および前記塗布槽の間に所定の電圧を印加するステップを含む、浸漬塗布方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110819844A (zh) * 2019-11-19 2020-02-21 刘海涛 一种基于电极反应原理的铝合金门框制作装置

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