JP2019157008A - 二置換ハロゲン化ポリエーテルおよびそれを含むポリマー電解質 - Google Patents

二置換ハロゲン化ポリエーテルおよびそれを含むポリマー電解質 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化耐性が高く、かつ溶媒や他のポリマーとの相溶性が良い二置換ハロゲン化ポリエーテル、前記ポリエーテルを含むポリマー電解質、前記ポリマー電解質を含む二次電池、および二置換ハロゲン化ポリエーテルの製造方法。【解決手段】一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する二置換ハロゲン化ポリエーテル。(式中、Rfは炭素鎖1〜4の少なくともフッ素原子を一つ有するフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、新規な二置換ハロゲン化ポリエーテル、前記ポリエーテルを含むポリマー電解質、前記ポリマー電解質を含む二次電池、および前記二置換ハロゲン化ポリエーテルの製造方法に関する。
二次電池の電解質として、従来の非水電解液の替わりに固体のポリマーを用いる開発が進められている。蒸気圧が高く引火点が低い有機溶媒を用いる非水電解液の替わりに、固体であるポリマーを電解質として使用することで、電池の安全性や信頼性を向上させることができる。また、他の長所としては、可燃性の有機溶媒の液漏れ対策のために電池の外部材料として、厚く重く耐久性の高い金属製の材料を用いる必要がなくなり、小型化、軽量化にも寄与する。さらに、形状の自由度が増し、セル全体の容量向上や製造工程の低コスト化も期待できる。
そのため、ポリマー電解質に関する開発が活発に行われており、特許文献1では、ポリエチレンオキシド(PEO)とポリトリフルオロプロピレンオキシド(PTFPO)のブロック共重合体を電解質として用いていて、そのポリマーの製造方法が開示されている。PEOは他のポリマーとの相溶性が優れる樹脂としても知られている。特許文献2では、エーテル化合物にフッ素置換基を導入した構造のポリマー電解質が酸化耐性に優れる電解質として用いられている。
近年、二次電池の高容量化に対する需要は年々増しており、エネルギー密度を高めることを目的として高電圧(例えば5V以上)まで充電する開発が行われている。そのため、高電圧下でも安定なポリマー電解質が望まれている。
特開平08−222270号公報 特開2015−225859号公報 特開2001−226481号公報
Chem. Mater.,2015年、第27巻、597頁-603頁
しかしながら、例えば、特許文献1に記載のPEOとPTFPOを含む電解質は、優れた電解質ではあるが、電圧が高くなると、特にPEOが容易に酸化されてしまう。特許文献2では、エーテル化合物にフッ素置換基を導入したポリマー電解質が酸化耐性に優れる旨が開示されているが、高電圧(典型的には5V以上)の条件では耐性が十分ではなく、この理由としては、フッ素置換基の含量が低いことが一因と考えられる(後述の比較例1,2も参照)。
これを解決する一つの有効な手段は、ポリマー電解質の樹脂成分中のハロゲン含有量、特にフッ素含有量を高めるという方策である。この点、全フッ素化ポリエーテルとして古くから知られているポリヘキサフルオロプロピレンオキシド(PHFPO)やパーフルオロポリエーテル(PFPE)は、フッ素含有量が高く、酸化耐性に優れた樹脂である(P
HFPOは下記式(8)で表される繰り返し単位で表され、PFPEは下記式(9)で表される繰り返し単位の共重合体である)。PHFPOの製造方法は、例えば特許文献3で開示されている。
Figure 2019157008
Figure 2019157008
しかし、これらの全フッ素化ポリエーテルは、フッ素を含まない樹脂との混合(ブレンド)において相溶性が低いため相分離を起こすといった、材料としての扱いづらさが知られており使用法は限られていた。例えば非特許文献1では、全フッ素化ポリエーテルと、フッ素を含まない樹脂との相溶性が測定されており、全フッ素化ポリエーテルは、混合比その他の条件によって、相分離が起こりやすいことが開示されている(後述の比較例3,4も参照)。
これらのポリマー電解質では、例えばイオン電導度向上を目的として、溶媒や他の樹脂を添加し混合することが検討されており、相溶性の良さは重要な要素である(特許文献1)。
このように、従来知られているポリマー電解質では、耐酸化特性と、溶媒や他の樹脂との相互溶解特性とをバランス良く満たす、という点では未だ改善の余地があった。本発明ではこれら両特性に優れる二置換ハロゲン化ポリエーテル、該ポリエーテルを含むポリマー電解質、該ポリマー電解質を含む二次電池、および該二置換ハロゲン化ポリエーテルの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため分子構造設計を含め鋭意検討を重ねた。その結果、式(1)で表される繰り返し単位を含有する二置換ハロゲン化ポリエーテル
Figure 2019157008
(式中、Rfは炭素鎖1〜4の少なくともフッ素原子を一つ有するフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)
に想到した。当該二置換ハロゲン化ポリエーテルは新規な構造を持つポリマーであり、金属塩を溶解させる性質を示し、該金属塩を溶解させた複合体はポリマー電解質として機能することが判った。そして、該ポリマー電解質は、5V以上の高電圧条件まで安定な酸化耐性を有し(実施例1〜8を参照)、しかも、溶媒や他のポリマーとの高い相溶性を持つこと(実施例9〜11を参照)が、発明者らによって見出された。
式(1)のようにフッ素含有量が低い、全フッ素化されていない繰り返し単位を有するポリエーテルであっても、5V以上の高電圧条件まで安定な酸化耐性を示すことは、大変意外な結果であった。この理由として、酸素原子のα位がハロゲン基またはRf基によって少なくとも1つ置換された構造の特異性にあるものと考えている。
本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテルは、金属塩を溶解させることによって、耐酸化特性と、溶媒や他の樹脂との相互溶解特性をバランス良く満たすポリマー電解質として機能することが見出された(実施例12を参照)。このポリマー電解質を用いれば、優れた二次電池が構成できる。
さらに、本発明者らは該二置換ハロゲン化ポリエーテル(新規ポリマー)の、量産規模での生産にも適した優れた製造方法を見出し、発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、次の各発明である。
[発明1]
下記式(1)で表される繰り返し単位を含有する二置換ハロゲン化ポリエーテル。
Figure 2019157008
(式中、Rfは炭素鎖1〜4の少なくともフッ素原子を一つ有するフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)
[発明2]
Rfがトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基、XがF又はClであることを特徴とする発明1に記載の二置換ハロゲン化ポリエーテル。
[発明3]
重量平均分子量が1,000〜1,000,000の範囲であることを特徴とする発明1又は2に記載の二置換ハロゲン化ポリエーテル。
[発明4]
重量平均分子量が3,000〜100,000の範囲であることを特徴とする発明1〜3の何れかに記載の二置換ハロゲン化ポリエーテル。
[発明5]
発明1〜4の何れかに記載の二置換ハロゲン化ポリエーテルを含有することを特徴とする、金属塩を溶解させポリマー電解質を形成するために用いる固体媒体。
[発明6]
発明1〜4の何れかに記載の二置換ハロゲン化ポリエーテルと、
金属塩と、
を含むポリマー電解質。
但し、前記金属塩は、カチオンとして、
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びマグネシウムイオンからなる群より選ばれる、1種以上を有する。
[発明7]
前記金属塩が、アニオンとして、
ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ビス(オキサラト)ホウ酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドイオン、(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドイオン、(ペンタフルオロエタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、及びビス(ジフルオロホスホニル)イミドイオンからなる群から選ばれる1種以上を有する、発明6に記載のポリマー電解質。
[発明8]
前記二置換ハロゲン化ポリエーテルが、
オキシラン類、ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテル、シラン類、ビニルシラン、アリルエーテル、ビニルエステル、スチレン化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル化合物、オレフィン、含フッ素オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル及びノルボルネン化合物からなる群より選ばれた一種以上の単量体と、
下記式(2)で表される二置換ハロゲン化エポキシドとの共重合体
であることを特徴とする発明6または7に記載のポリマー電解質。
Figure 2019157008
(式中、Rfは炭素鎖1〜4の少なくともフッ素原子を一つ有するフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)
[発明9]
前記二置換ハロゲン化ポリエーテルが、さらに下記式(3)〜(5)及び(6−1)〜(6−3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる一種以上の繰り返し単位を有することを特徴とする発明6または7に記載のポリマー電解質。
Figure 2019157008
Figure 2019157008
Figure 2019157008
Figure 2019157008
Figure 2019157008
Figure 2019157008
(上の式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、炭素数6〜12の芳香環基を表し、Rは炭素数6〜12の芳香環基を表す。)
[発明10]
さらにポリエーテル、ポリビニルエーテル、含フッ素ポリビニルエーテル、ポリシロキサン、ポリビニルシラン、ポリアリルエーテル、ポリビニルエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン化合物、ポリオレフィン、含フッ素ポリオレフィン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、含フッ素ポリアクリル酸エステル、含フッ素ポリメタクリル酸エステル及びポリノルボルネン化合物からなる群より選ばれる一種以上の樹脂を含むことを特徴とする発明6〜9の何れかに記載のポリマー電解質。
[発明11]
さらに非水溶媒を含むことを特徴とする発明6〜10の何れかに記載のポリマー電解質。
[発明12]
前記非水溶媒が、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトンからなる群から選ばれる一種以上の溶媒であることを特徴とする発明11に記載のポリマー電解質。
[発明13]
発明6〜12の何れかに記載のポリマー電解質と、
正極と、負極と、
を少なくとも備えた二次電池。
[発明14]
前記二次電池がリチウムイオン電池である、発明13に記載の二次電池。
[発明15]
下記式(2)
Figure 2019157008
で表される二置換ハロゲン化エポキシドに、ルイス酸を反応させることにより、式(1)
Figure 2019157008
で表される繰り返し単位を含有する二置換ハロゲン化ポリエーテルを製造する方法。
(前記式(1)および式(2)において、Rfは炭素鎖1〜4の少なくともフッ素原子を一つ有するフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)
[発明16]
下記の二工程を含むことによる式(1)
Figure 2019157008
で表される繰り返し単位を含有する二置換ハロゲン化ポリエーテルを製造する方法。
第1工程(エポキシ化):下記式(7)
Figure 2019157008
で表される二置換ハロゲノオレフィンに、次亜フッ素酸、アルカリ金属次亜塩素酸塩またはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩を反応させることにより、式(2)
Figure 2019157008
で表される二置換ハロゲン化エポキシドを得る工程。
第2工程(ポリマー化):前記二置換ハロゲン化エポキシドに、ルイス酸を反応させることにより、式(1)で表される繰り返し単位を含有する二置換ハロゲン化ポリエーテルを得る工程。
(前記式(1)、式(2)及び式(7)において、Rfは炭素鎖1〜4の少なくともフッ素原子を一つ有するフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)
[発明17]
前記ルイス酸がハロゲン化アルミニウムであることを特徴とする発明15又は16に記載の二置換ハロゲン化ポリエーテルの製造方法。
本発明によれば、耐酸化特性と、溶媒や他の樹脂との相互溶解特性とをバランス良く満たす二置換ハロゲン化ポリエーテルが提供されるという効果を奏する。
また本発明の別の態様によれば、該二置換ハロゲン化ポリエーテルを構成成分として含む、耐酸化特性と、溶媒や他の樹脂との相互溶解特性とをバランス良く満たす「金属塩を溶解させポリマー電解質を形成するために用いる固体媒体」、「ポリマー電解質」、「前記ポリマー電解質を含む二次電池」を各々提供できる、という効果を奏する。
さらに本発明の別の態様によれば、該二置換ハロゲン化ポリエーテルの製造方法を提供できるという効果を奏する。その製造方法は、工業的に簡便であり、かつ多量生産にも適している。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の一例であり、これらの具体的内容に限定はされない。その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書の「発明を実施するための形態」の欄において、「[」および「]」、「<」および「>」で表示する事項は、単なる記号であって、それ自体に意味を有しない。
本明細書においてポリマー電解質とは、支持塩となる金属塩とポリマーとの複合材料であり、イオン伝導体として使用することができ、ポリマーを主成分として含有する電解質である。
本明細書においてポリマー電解質とは、別途注釈のない限り、有機溶媒などを添加する必要のない、いわゆる全固体ポリマー電解質(ドライポリマー電解質)のことも、また水系あるいは非水系電解液をポリマーで固定化する、いわゆるゲルポリマー電解質のことも意味する。
本明細書において酸化耐性とは、高電圧下でポリマーが分解や反応等を起こさず安定であることを意味し、高電圧とは5V以上の電圧であることを意味する。
本明細書において、「ポリマー」と「樹脂」とは同義語であり、別途注釈のない限り、高分子化合物を意味する。
以下、次の順で説明を行う。
1.二置換ハロゲン化ポリエーテルについて
2.その他の樹脂との混合(ブレンド)について
3.金属塩について
4.非水溶媒について
5.その他添加剤について
6.二次電池について
7.ポリマー電解質の電極への塗布方法について
8.二置換ハロゲン化ポリエーテルの製造方法(第2工程)について
9.二置換ハロゲン化エポキシドの製造方法(第1工程)について。
1.二置換ハロゲン化ポリエーテルについて。
[式(1)で表される繰り返し単位]
本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテルにおける、式(1)で表される繰り返し単位
Figure 2019157008
(Rfは少なくともフッ素原子を一つ有する炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)
について説明する。なお、本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテルは新規物質であるが、その製造(合成)方法は、後にまとめて記す。
Rfとして、具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、n−ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、n−ノナフルオロブチル基、ノナフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−sec−ブチル基、ノナフルオロ−tert−ブチル基などを挙げることができる。
Rfとしては、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、n−ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ヘプタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
Xとしては、F、Clが特に好ましい。
また、式(1)で表される繰り返し単位としてRfがトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基で、XがF又はClであるものは、特に好ましいものの1つである。
式(1)で表される繰り返し単位として、具体的には下記のものが、好ましいものとして例示できる。
Figure 2019157008
Figure 2019157008
Figure 2019157008
なお、本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテルにおいて、上記の繰り返し単位は1種単独でホモポリマーを形成してもよいし、2種以上が組み合わされて共重合体を形成しても構わない。
[共重合体(従繰り返し単位)]
本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテルが共重合体である場合、上述の繰り返し単位に該当するものの異種どうしが、共重合体を形成していてもよい。
一方、それ以外の繰り返し単位が含まれて共重合体を形成していてもよい。そのような繰り返し単位を本明細書では「従繰り返し単位」と記載し、従繰り返し単位の単量体を「従単量体」と記載することとする。
従単量体の種類としては、特段の制限はないものの、オキシラン類、ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテル、シラン類、ビニルシラン、アリルエーテル、ビニルエステル、スチレン化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル化合物、オレフィン、含フッ素オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル及びノルボルネン化合物からなる群より選ばれた一種以上の単量体が挙げられる。これらは一種を単独で用いても良く、二種以上を用途に合わせて任意の組合せ、比率で混合して用いても良い。
上記に例示した従単量体の従繰り返し単位とは、従単量体がオキシラン類である場合、開環重合することで得られるエーテル結合を持つ繰り返し単位のことであり、従単量体がシラン類であるときは、シラン類を加水分解し生成したシラノールを脱水縮合することで得られるシロキサン結合(−Si−O−)を持つ繰り返し単位のことである。従単量体がそれ以外に例示した化合物である場合は、分子中に含まれる重合性二重結合が開裂して形成された繰り返し単位のことを意味する。
従繰り返し単位の中でも、下記式(3)〜(5)及び(6−1)〜(6−3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる一種以上の繰り返し単位は反応性に富み、本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテルの中に共重合成分として取り込まれやすいため、特に好ましい。
Figure 2019157008
Figure 2019157008
Figure 2019157008
Figure 2019157008
Figure 2019157008
Figure 2019157008
(上の式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、炭素数6〜12の芳香環基を表し、Rは炭素数6〜12の芳香環基を表す。)
式(6−1)で表される繰り返しは二官能シラン類を単量体として、式(6−2)で表される繰り返しは三官能シラン類を単量体として、式(6−3)で表される繰り返しは四官能シラン類を単量体として、それぞれ形成される。なお、式(6−2)、式(6−3)のような従繰り返し単位が含まれる場合、本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテルは全体として網目構造の分子となる。
共重合体を合成するための、具体的な原料化合物(従単量体)としては「2.その他の樹脂と混合(ブレンド)について」で記載する単量体を挙げることができる。
尤も、共重合成分として従繰り返し単位を、本発明の式(1)で表される繰り返し単位と共に、樹脂中に取り込もうとする場合、反応条件を最適化する必要があり、却って操作が煩雑なこともある。それゆえ、本発明の「ポリマー電解質」中に、他の樹脂の特性を取り込みたい場合には、後述するような「その他の樹脂との混合(ブレンド)」の方が簡便なことも多い。どちらの手法を採用するかは当業者が適宜選択することができる。
このように式(1)の繰り返し単位と、従繰り返し単位からなる共重合体の場合、式(1)で表される繰り返し単位の含有量は、50〜99質量%が好ましく、60〜99質量%がより好ましく、70〜99質量%が特に好ましい。
共重合体である場合は、式(1)の繰り返し単位以外の量が多いと、酸化耐性は低下する傾向があるので、共重合体の質量に対して、式(1)の繰り返し単位は50質量%以上含まれていることが好ましい。耐酸化性を追及したいという場合には、本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテルの繰り返し単位のみからなる重合体を用い、かつその他の樹脂を混合しないことは、特に好ましい態様の1つである。逆に、用途によって5Vほどの高電位における耐酸化性が求められない場合に、式(1)の繰り返し単位を50質量%未満となるように使用するとしても、ポリマー全体としての耐酸化性はその分、比較的僅かではあるが向上するため、本発明において、そのような少量の使用が妨げられるわけではない。上記二置換ハロゲン化ポリエーテルが共重合体であるとき、ランダム共重合体であってもよいし、交互共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。それぞれの特性を局所的にではなく適度に分散させる観点から、ランダム共重合体であることが好ましい。
上記二置換ハロゲン化ポリエーテルの分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量で1,000〜1,000,000が好ましく、3,000〜100,000がより好ましい。重量平均分子量1,000未満では、ポリマーとしての強度が低下し、ポリマー電解質としての機能を維持できない場合があるので、重量平均分子量は1,000以上が好ましい。一方、1,000,000を超えるとポリマー鎖の絡まりが多くなると思われることに起因して、ポリマー中で金属塩の伝導性が低下する傾向があるため、重量平均分子量は1,000,000未満が好ましい。
分散度(Mw/Mn)は、1.01〜5.00が好ましく、1.01〜4.00がより好ましく、1.01〜3.00が特に好ましい。
本発明にかかる二置換ハロゲン化ポリエーテルは、後述する1種または2種以上の金属塩を溶解させポリマー電解質を形成するための固体媒体として使用することができる。
ここで本発明の式(1)で表される繰り返し単位が有する置換基の効果について、明確ではないが以下のように推察する。ただし、本発明はここに記述する効果に限定されるものではない。
上記二置換ハロゲン化ポリエーテルは酸素原子のα位がハロゲン基またはRf基で少なくとも1つ置換されており、十分な酸化耐性を持ち高電圧下でも分解が抑制される。これは、ハロゲン基またはRf基の電子吸引効果により酸素原子の電子密度が低下し、またHOMOエネルギー準位が負に大きくなることで酸化反応が起きにくくなるためと考えられる。また、ポリマー電解質とするために上記二置換ハロゲン化ポリエーテルに金属塩を添加してもよい。その場合はポリマーの酸素原子に金属塩が配位する構造をとると考えられる。上記二置換ハロゲン化ポリエーテル中のハロゲン基またはRf基の電子吸引効果により、酸素原子と金属塩との配位結合は、ハロゲン基またはRf基が置換していないポリエーテルと比較し弱くなり、そのためアルカリ金属塩が動きやすい状態となり、電池特性も向上する効果があると考えられる。このような効果は、ハロゲン基がフッ素原子のときに最大になると考えられる。
上述の通りPHFPO、PFPEなどの全フッ素化ポリエーテルは高い酸化耐性を示すものの、溶解する溶媒が限られる、フッ素を含まないポリマーとの相溶性が十分とは言えないため相分離を起こす等、材料として扱いづらさが知られており、使用法は限られている。これに対し、本発明である二置換ハロゲン化ポリエーテルはハロゲン基またはRf基の数を調整することにより、溶媒やその他の樹脂と高い相溶性を持つことを可能にしたものと考えることができ、その結果、例えばブレンド材料として幅広く使用することができる。
2.その他の樹脂との混合(ブレンド)について
本発明にかかる二置換ハロゲン化ポリエーテルは、その他の樹脂と優れた相溶性を示すため、これらと混合(ブレンド)して、本発明の「固体媒体」として用いることは、本発明の優れた態様の1つである。以下、混合(ブレンド)がなされている場合に、「固体媒体」といったときには、「本発明にかかる二置換ハロゲン化ポリエーテル」と「その他の樹脂」の混合物を指す。
以下、その混合(ブレンド)について詳述する。上記1.で述べた通り、「その他の樹脂成分」に対応する分子構造を「共重合体」の形で本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテルに取り込んでも良いが、それに対し「樹脂を混合(ブレンド)する」という形態を取る方が、重合反応の最適条件まで考慮しなくてよい分、簡便と言える。共重合体の形を取るか、ブレンドの形を取るかは、当業者が適宜選択することができる。また、二置換ハロゲン化ポリエーテルとして共重合体を用いつつ、それとは別に、その他の樹脂をブレンドすることも妨げられない。
このように混合して用いる場合、「固体媒体(二置換ハロゲン化ポリエーテルとその他
樹脂の混合物)」の総質量に対する、本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテル中の(1)で表される繰り返し単位の占める質量%は、通常50〜99質量%であり、60〜99質量%がより好ましく、70〜99質量%が特に好ましい。残余は、後述する「その他の樹脂」又は「二置換ハロゲン化ポリエーテルに共重合された従単量体に起因する繰り返し単位」である。式(1)で表される繰り返し単位の組成が50質量%未満の場合、高電圧下での酸化耐性が低下する傾向があるため、(1)で表される繰り返し単位の占める質量%は、50質量%以上であることが好ましい。
但し、上記の共重合体の項で述べたのと同様、耐酸化性能以外の性能にも重きを置く場合に、その他の樹脂を多めに用い、本発明の二置換ハロゲン化ポリエーテルが少なくなるように(とりわけ、式(1)の繰り返し単位が50質量%未満になるように)用いたとしても、少量の二置換ハロゲン化ポリエーテルを用いたことによる耐酸化性能の向上は見られるので、そのような使用形態も、決して排除されるものではない。
混合(ブレンド)に用いる樹脂の分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量で1,000〜1,000,000が好ましく、3,000〜100,000がより好ましい。重量平均分子量1,000未満では、ポリマーとしての強度が低下し、ポリマー電解質としての機能を維持できない場合があるので、重量平均分子量は1,000以上が好ましい。一方、1,000,000を超えるとポリマー鎖の絡まりが多くなると思われることに起因して、ポリマー中で金属塩の伝導性が低下する傾向があるため、重量平均分子量は1,000,000未満が好ましい。
混合(ブレンド)に用いる樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.01〜5.00が好ましく、1.01〜4.00がより好ましく、1.01〜3.00が特に好ましい。
混合(ブレンド)に用いる樹脂としては、特に限定されないが、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、含フッ素ポリビニルエーテル、ポリシロキサン、ポリビニルシラン、ポリアリルエーテル、ポリビニルエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン化合物、ポリオレフィン、含フッ素ポリオレフィン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、含フッ素ポリアクリル酸エステル、含フッ素ポリメタクリル酸エステル及びポリノルボルネン化合物からなる群より選ばれる一種以上の樹脂であり、一種を単独で用いても良く、二種以上を用途に合わせて任意の組合せ、比率で混合して用いても良い。中でも、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、ポリシロキサン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン化合物、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルが好ましく、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、ポリシロキサン、ポリスチレン化合物が特に好ましい。
ポリエーテルとしては、オキシラン類を開環重合することで得られるポリマーを使用することができる。単量体であるオキシラン類として、具体的には、エチレンオキシド、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、3,3,3−トリフルオロ−1,2−プロピレンオキシド、1,2−エポキシ−2−メチルプロパン、1,2−エポキシブタン、3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシドデカン、(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニル)オキシラン、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、グリシドール、2,3−ジメチルオキシラン、エチルグリシジルエーテル、グリシジルプロパルギルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、グリシジル(4−メトキシフェニル)エーテル、グリシジル(2−メチルフェニル)エーテル、グリシジル(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)エーテル、グリシジル(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)エーテル、グリシジルオクチルエーテル、グリシジルデシルエーテル、2,3−ジメチル−2,3−エポキシブタン、3,3−ジメチル−1,2−エポキシブタン、グリシドアルデヒドジエチルアセタール、2−(4−フルオロフェニル)オキシラン、2−(4−クロロフェニル)オキシラン、2−(4−ブロモフェニル)オキシラン、1,2−エポキシオクタン、3,4−エポキシ−2−フェニル−1,1,1−トリフルオロ−2−ブタノール、ベンジルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エポキシノルボルナン、スチレンオキシド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、スルフリルグリシジルエーテル、1,3−ブタンジエンジエポキシド、1,4−ブタンジオールジグリシジエルエーテル、2−メチル−2−ビニルオキシラン、レゾルシノールジグリシジルエーテル、トリメチレンオキシド、3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3,3−ジメチルオキセタン、3−ブロモメチル−3−メチルオキセタン、3−オキセタノン、3−ブロモオキセタン、3−イオドオキセタンなどが例示できる。
ポリエーテルの単量体として好ましくは、エチレンオキシド、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、3,3,3−トリフルオロ−1,2−プロピレンオキシド、トリメチレンオキシドであり、より好ましくは、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、3,3,3−トリフルオロ−1,2−プロピレンオキシド、トリメチレンオキシドであり、特に好ましくはエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシドである。
ポリビニルエーテル、含フッ素ポリビニルエーテルとしては、以下の単量体を具体的に挙げることができる。単量体として、例えば、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基を含有してもよいアルキル基を有するアルキルビニルエーテルであって、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。また、環状構造内に酸素原子やカルボニル結合を有する環状型ビニルエーテル、またそれらの環状型ビニルエーテルの水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された単量体、例えば、シクロヘキシルビニルエーテルなども使用できる。なお、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルシランについても公知の化合物であれば特に制限なく使用することが可能である。
ポリビニルエーテルの単量体として好ましくは、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ジエチルビニルオルトホルメート、ジエチレングリコールビニルエーテルである。
ポリシロキサンとしては、シラン類のポリマーを用いることができる。ここで言うシラン類のポリマーとは、単量体であるシラン類を加水分解し、生成したシラノールを脱水縮合することで得られるシロキサン結合(−Si−O−)を持つポリマーのことである。以下、単量体であるシラン類の具体例を挙げる。
シラン類として、三官能シラン類が好適に用いられる。具体的には、アルキルトリアルコキシシラン類またはアルキルトリクロロシラン類、アルケニルトリアルコキシシラン類またはアルケニルトリクロロシラン類、芳香環含有トリアルコキシシラン類または芳香環含有トリクロロシラン類を挙げることができる。
アルキルトリアルコキシシラン類またはアルキルトリクロロシラン類としては、例えば
、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチル(トリ-n-プロポキシ)シラン、メチル(トリ-iso-プロポキシ)シラン、メチル(トリ-n-ブトキシ)シラン、メチル(トリ-sec-ブトキシ)シラン、メチル(トリ-tert-ブトキシ)シラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチル(トリ-n-プロポキシ)シラン、エチル(トリ-iso-プロポキシ)シラン、エチル(トリ-n-ブトキシ)シラン、エチル(トリ-sec-ブトキシ)シラン、エチル(トリ-tert-ブトキシ)シラン、エチルトリフェノキシシラン、エチルビストリス(トリメチルシロキシ)シラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリクロロシラン、(n-プロピル)トリメトキシシラン、(n-プロピル)トリエトキシシラン、(n-プロピル)(トリ-n-プロポキシ)シラン、(n-プロピル)(トリ-iso-プロポキシ)シラン、(n-プロピル)(トリ-n-ブトキシ)シラン、(n-プロピル)(トリ-sec-ブトキシ)シラン、(n-プロピル)(トリ-tert-ブトキシ)シラン、(n-プロピル)トリフェノキシシラン、(n-プロピル)トリアセトキシシラン、(n-プロピル)トリクロロシラン、(iso-プロピル)トリメトキシシラン、(iso-プロピル)トリエトキシシラン、(iso-プロピル)(トリ-n-プロポキシ)シラン、(iso-プロピル)(トリ-iso-プロポキシ)シラン、(iso-プロピル)(トリ-n-ブトキシ)シラン、(iso-プロピル)(トリ-sec-ブトキシ)シラン、(iso-プロピル)(トリ-tert-ブトキシ)シラン、(iso-プロピル)トリフェノキシシラン、(n-ブチル)トリメトキシシラン、(n-ブチル)トリエトキシシラン、(n-ブチル)(トリ-n-プロポキシ)シラン、(n-ブチル)(トリ-iso-プロポキシ)シラン、(n-ブチル)(トリ-n-ブトキシ)シラン、(n-ブチル)(トリ-sec-ブトキシ)シラン、(n-ブチル)(トリ-tert-ブトキシ)シラン、(n-ブチル)トリフェノキシシラン、(n-ブチル)トリクロロシラン、(2-メチルプロピル)トリメトキシシラン、(2-メチルプロピル)トリエトキシシラン、(2-メチルプロピル)(トリ-n-プロポキシ)シラン、(2-メチルプロピル)(トリ-iso-プロポキシ)シラン、(2-メチルプロピル)(トリ-n-ブトキシ)シラン、(2-メチルプロピル)(トリ-sec-ブトキシ)シラン、(2-メチルプロピル)(トリ-tert-ブトキシ)シラン、(2-メチルプロピル)トリフェノキシシラン、(1-メチルプロピル)トリメトキシシラン、(1-
メチルプロピル)トリエトキシシラン、(1-メチルプロピル)(トリ-n-プロポキシ)シラン、(1-メチルプロピル)(トリ-iso-プロポキシ)シラン、(1-メチルプロピル)(トリ-n-ブトキシ)シラン、(1-メチルプロピル)(トリ-sec-ブトキシ)シラン、(1-メチルプロピル)(トリ-tert-ブトキシ)シラン、(1-メチルプロピル)トリフェノキシシラン、(tert-ブチル)トリメトキシシラン、(tert-ブチル)トリエトキシシラン、(tert-ブチル)(トリ-n-プロポキシ)シラン、(tert-ブチル)(トリ-iso-プロポキシ)シラン、(tert-ブチル)(トリ-n-ブトキシ)シラン、(tert-ブチル)(トリ-sec-ブトキシ)シラン、(tert-ブチル)(トリ-tert-ブトキシ)シラン、(tert-ブチル)トリフェノキシシラン、(tert-ブチル)トリクロロシランなどを挙げることができる。
アルケニルトリアルコキシシラン類またはアルケニルトリクロロシラン類としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(トリ-n-プロポキシ)シラン、ビニル(トリ-iso-プロポキシ)シラン、ビニル(トリ-n-ブトキシ)シラン、ビニル(トリ-sec-ブトキシ)シラン、ビニル(トリ-tert-ブトキシ)シラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリル(トリ-n-プロポキシ)シラン、アリル(トリ-iso-イソプロポキシ)シラン、アリル(トリ-n-ブトキシ)シラン、アリル(トリ-sec-ブトキシ)シラン、アリル(トリ-tert-ブトキシ)シラン、アリルトリフェノ
キシシラン、アリルトリクロロシランなどを挙げることができる。
芳香環含有トリアルコキシシラン類としては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、(4-メチルフェニル)トリメトキシシラン、(4-エチルフェニル)トリメトキシシラン、(4-メトキシフェニル)トリメトキシシラン、(4-フェノキシフェニル)トリメトキシシラン、(4-ヒドロキシフェニル)トリメトキシシラン、(4-アミノフェニル)トリメトキシシラン、(4-ジメチルアミノフェニル)トリメトキシシラン、(4-アセチルアミノフェニル)トリメトキシシラン、(3-メチルフェニル)トリメトキシシラン、(3-エチルフェニル)トリメトキシシラン、(3-メトキシフェニル)トリメトキシシラン、(3-フェノキシフェニル)トリメトキシシラン、(3-ヒドロキシフェニル)トリメトキシシラン、(3-アミノフェニル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノフェニル)トリメトキシシラン、(3-アセチルアミノフェニル)トリメトキシシラン、(2-メチルフェニル)トリメトキシシラン、(2-エチルフェニル)トリメトキシシラン、(2-メトキシフェニル)トリメトキシシラン、(2-フェノキシフェニル)トリメトキシシラン、(2-ヒドロキシフェニル)トリメトキシシラン、(2-アミノフェニル)トリメトキシシラン、(2-ジメチルアミノフェニル)トリメトキシシラン、(2-アセチルアミノフェニル)トリメトキシシラン、(2,4,6-トリメチルフェニル)トリメトキシシラン、(4-メチルベンジル)トリメトキシシラン、(4-エチルベンジル)トリメトキシシラン、(4-メトキシベンジル)トリメトキシシラン、(4-フェノキシベンジル)トリメトキシシラン、(4-ヒドロキシベンジル)トリメトキシシラン、(4-アミノベンジル)トリメトキシシラン、(4-ジメチルアミノベンジル)トリメトキシシラン、(4-アセチルアミノベンジル)トリメトキシシランなどを挙げることができる。
芳香環含有トリクロロシラン類としては、例えば、フェニルトリクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、(4-メチルフェニル)トリクロロシラン、(4-エチルフェニル)トリクロロシラン、(4-メトキシフェニル)トリクロロシラン、(4-フェノキシフェニル)トリクロロシラン、(4-ヒドロキシフェニル)トリクロロシラン、(4-アミノフェニル)トリクロロシラン、(4-ジメチルアミノフェニル)トリクロロシラン、(4-アセチルアミノフェニル)トリクロロシラン、(3-メチルフェニル)トリクロロシラン、(3-エチルフェニル)トリクロロシラン、(3-メトキシフェニル)トリクロロシラン、(3-フェノキシフェニル)トリクロロシラン、(3-ヒドロキシフェニル)トリクロロシラン、(3-アミノフェニル)トリクロロシラン、(3-ジメチルアミノフェニル)トリクロロシラン、(3-アセチルアミノフェニル)トリクロロシラン、(2-メチルフェニル)トリクロロシラン、(2-エチルフェニル)トリクロロシラン、(2-メトキシフェニル)トリクロロシラン、(2-フェノキシフェニル)トリクロロシラン、(2-ヒドロキシフェニル)トリクロロシラン、(2-アミノフェニル)トリクロロシラン、(2-ジメチルアミノフェニル)トリクロロシラン、(2-アセチルアミノフェニル)トリクロロシラン、(2,4,6-トリメチルフェニル)トリクロロシラン、(4-メチルベンジル)トリクロロシラン、(4-エチルベンジル)トリクロロシラン、(4-メトキシベンジル)トリクロロシラン、(4-フェノキシベンジル)トリクロロシラン、(4-ヒドロキシベンジル)トリクロロシラン、(4-アミノベンジル)トリクロロシラン、(4-ジメチルアミノベンジル)トリクロロシラン、(4-アセチルアミノベンジル)トリクロロシランなどを挙げることができる。
これらのなかでも、反応性、物質の取り扱い容易性の観点から、好ましくは、フェニルトリメトキシシラン、(4-メチルフェニル)トリメトキシシラン、(4-メトキシフェニル)トリメトキシシラン、(4-メチルベンジル)トリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチル(トリ-n-プロポキシ)シラン、メチル(トリ-iso-プロポキシ)シラン、メチル(トリ-n-ブトキシ)シラン、メチル(トリ
-sec-ブトキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチル(トリ-n-プロポキシ)シラン、エチル(トリ-iso-プロポキシ)シラン、エチル(トリ-n-ブトキシ)シラン、エチル(トリ-sec-ブトキシ)シラン、(n-プロピル)トリメトキシシラン、(n-プロピル)トリエトキシシラン、(n-プロピル)(トリ-n-プロポキシ)シラン、(n-プロピル)(トリ-iso-プロポキシ)シラン、(n-プロピル)(トリ-n-ブトキシ)シラン、(n-プロピル)(トリ-sec-ブトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランが挙げられる。
また、上記以外のシラン類の具体例として、二官能シラン類である、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル(ジ-n-プロポキシ)シラン、ジメチル(ジ-iso-プロポキシ)シラン、ジメチル(ジ-n-ブトキシ)シラン、ジメチル(ジ-sec-ブトキシ)シラン、ジメチル(ジ-tert-ブトキシ)シラン、ジメチルジフェノキシシランなどを挙げることができる。中でも、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
他にシラン類の具体例として、四官能シラン類である、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-iso-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラクロロシランなどが挙げられる。中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
ポリスチレン化合物の単量体としては、スチレン、フッ素化スチレン、ヒドロキシスチレンなどの他、ヘキサフルオロアセトンをベンゼン環に付加したスチレン化合物、トリフルオロメチル基でベンゼン環の水素原子を置換したスチレンまたはヒドロキシスチレン、α位にハロゲン原子、アルキル基、含フッ素アルキル基が結合した上記スチレン化合物などが使用可能である。
ポリスチレン化合物の単量体として好ましくは、スチレン、4−ヒドロキシスチレン、スチレン、ペンタフルオロスチレン、2−トリフルオロメチルスチレン、4−トリフルオロメチルスチレン、3,5−ビストリフルオロメチルスチレン、4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)スチレン、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)スチレンである。
ポリオレフィンの単量体としては、エチレン、プロピレン、ビニレンカーボネートなど、含フッ素ポリオレフィンの単量体としては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテンなどが例示できる。
ポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルは、単量体であるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合性二重結合が開裂して形成される樹脂のことであり、そのエステル側鎖について、特に制限なく使用できる。単量体として、具体的には、メチルアクリレート又はメタクリレート、エチルアクリレート又はエチルメタクリレート、n‐プロピルアクリレート又はメタクリレート、イソプロピルアクリレート又はメタクリレート、n‐ブチルアクリレート又メタクリレート、イソブチルアクリレート又はメタクリレート、n‐ヘキシルアクリレート又はメタクリレート、n‐オクチルアクリレート又はメタクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート又はメタクリレート、ラウリルアクリレート又はメタクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート又はメタクリレート、エチレングリコール基を含有したアクリレート又はメタクリレート、プロピレングリコール基を含有したアクリレート又はメタクリレート、テトラメチレングリコール基を含有したアクリレート又はメタクリレート、アルコキシシリル基含有のアクリレートまたはメタクリレート、tert‐ブチルアクリレート又はメタクリレート、グリシジルアクリレート又はメタクリレート、3‐オキソシクロヘキシルアクリレート又はメタクリレート、アダマンチルアクリレート又はメタクリレート、アルキルアダマンチルアクリレート又はメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート又はメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート又はメタクリレート、ラクトン環やノルボルネン環などの環構造を有したアクリレート又はメタクリレート、以下に挙げるポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社製の製品名:A−200、A−400、A−600)、ウレタンアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社製の製品名:UA−122P、UA−4HA、UA−6HA、UA−6LPA、UA−11003H、UA−53H、UA−4200、UA−200PA、UA−33H、UA−7100、UA−7200)などが挙げられる。
Figure 2019157008
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また、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、N‐メチロールポリアクリルアミド、N‐メチロールポリメタクリルアミド、ジアセトンポリアクリルアミドなどの不飽和ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリルなどのポリアクリロイル基含有化合物も使用することができる。さらに、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸のポリマーなども使用することができる。
含フッ素ポリアクリル酸エステル、含フッ素ポリメタクリル酸エステルの単量体としては、フッ素原子を有する基をアクリロイル基のα位またはエステル部位に有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである。例えば、アクリロイル基のα位に含フッ素アルキル基が導入された重合体としては、上述した非フッ素系のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルにおいて、アクリロイル基のα位にトリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基などが置換した重合体が好適に採用される。
一方、そのエステル部位に含フッ素基を有する含フッ素ポリアクリル酸エステルまたは含フッ素ポリメタクリル酸エステルの場合、その含フッ素基はパーフルオロアルキル基またはフルオロアルキル基、また、その環炭素がフッ素原子またはトリフルオロメチル基で置換された含フッ素ベンゼン環、含フッ素シクロペンタン環、含フッ素シクロヘキサン環、含フッ素シクロヘプタン環等の含フッ素環状基である。そのような含フッ素ポリアクリル酸エステルまたは含フッ素ポリメタクリル酸エステル単位のうち特に代表的な単量体を例示するならば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルポリアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルアクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルメタクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルメタクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルアクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。またエステル部位の含フッ素基がフッ素原子を有するt−ブチル基であるアクリル酸またはメタクリル酸エステルなども挙げられる。
また、本明細書に記載されるポリアクリル酸エステルまたは含フッ素ポリアクリル酸エステルにおいて、アクリロイル基のα位にシアノ基が導入されたポリアクリル酸エステルまたは含フッ素ポリアクリル酸エステルも使用することができる。
ポリノルボルネン化合物は、一核または複数の核構造を有するノルボルネン重合体であって、これらは特に制限なく使用することが可能である。この際、アリルアルコール、含フッ素アリルアルコール、アクリル酸、α−フルオロアクリル酸、メタクリル酸、本明細書で記載したすべてのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなどの不飽和化合物と、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンを用いたディールス アルダー(Diels Alder)付加反応により得られるノルボルネン化合物の重合物が好ましく使用できる。
上記以外の樹脂として、以下の単量体の重合性二重結合が開裂して形成される樹脂を例示することができる。単量体として具体的には、ノルボルネン、1−メチルノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、トリシクロ[4.3.0.12.5 ]−3−デセン、トリシクロ[4.4.0.12.5]−3−ウンデセン、テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、[ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]トリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−[2−(N−ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、アリルトリクロロシラン、トリクロロビニルシラン、3−メチル−1−ペンテン−4−イン−3−オール、2−(フルフリルチオ)エチルアミン、trans−アコニット酸、アクリル酸、4−アミノけい皮酸、アンゲリカ酸、2−アセトアミドアクリル酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、2−ブロモけい皮酸、4−ブロモクロトン酸、2−ベンジルアクリル酸、カフェイン酸、4−クロロけい皮酸、trans−けい皮酸、シトラコン酸、trans−p−クマル酸、trans−o−クマル酸、trans−m−クマル酸、クロトン酸、α−シアノけい皮酸、1−シクロヘキセン−1−カルボン酸、1−シクロペンテンカルボン酸、α−シアノ−4−ヒドロキシけい皮酸、トラウマチン酸、trans−2−デセン酸、3,4−ジメトキシけい皮酸、trans−2,3−ジメトキシけい皮酸、trans−2,5−ジクロロけい皮酸、フマル酸、フマル酸モノエチル、trans−2−ヘキセン酸、2−ヘプテン酸、イタコン酸モノメチル、マレイン酸 モノアミド、メサコン酸、メタクリル酸、4−メチル−2−ペンテン酸、trans,trans−ムコン酸、ムコブロム酸、ムコクロロ酸、3−メチルクロトン酸、4−メトキシけい皮酸、こはく酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、3−(5−ニトロ−2−フリル)アクリル酸、3−(3−ピリジル)アクリル酸、α−フェニルけい皮酸、シキミ酸、チグリン酸、2−チオフェンアクリル酸、3−(トリフルオロメチル)けい皮酸、4−(トリフルオロメチル)けい皮酸、2−(トリフルオロメチル)けい皮酸、アリルメルカプタン、アリルグリシジルエ−テル、1,3−ブタジエンモノエポキシド、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセン、アロバルビタール、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、ジシクロペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、ジイソプロピリデンアセトン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ジアリルマロン酸ジエチル、1,3−ジベンジリデン−2−シクロヘキサノン、2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン、1,5,9−デカトリエン、9,10−エポキシ−1,5−シクロドデカジエン、ファルネシルアセタート、ゲラニル−リナロール、ゲラニル ニトリル、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、イソプレン、(±)−リモネン、ミルセン、メチルシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、1,7−オクタジエン、フマル酸モノエチル、マレイン酸水素エチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノイソプロピル、こはく酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、6−アクリルアミドヘキサン酸、アリルアミン、1−アリル−2−チオ尿素、1−アリル−3−(2−ヒドロキシエチル)−2−チオ尿素、アリル尿素、3−アミノクロトン酸メチル、3−アミノ−5,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、S−アリル−L−システイン、3−アミノ−4,4,4−トリフルオロクロトン酸エチル、3−アミノ−2−シクロヘキセン−1−オン、3−ベンザルブチルアミド、クロトンアミド、けい皮酸アミド、2−(1−シクロヘキセニル)エチルアミンなどが具体的に挙げられる。
本発明にかかる二置換ハロゲン化ポリエーテルとその他の樹脂との混合(ブレンド)は、例えば、樹脂同士を混合後撹拌し均一化することで行うことができる。混合する工程で両樹脂が溶解する溶媒を用い均一化後溶媒を除去する方法(solvent−cast法)でもよいし、加熱下で加圧する方法(ホットプレス法)で行っても構わない。
3.金属塩について
本発明にかかる二置換ハロゲン化ポリエーテルは、金属塩を溶解させる性質に富むため、金属塩を溶解するための固体媒体として好ましく機能する。そうして得られた、1種または2種以上の金属塩が該二置換ハロゲン化ポリエーテルに溶解した複合体は、ポリマー電解質として好ましく機能する。
以下、当該金属塩について説明する。
添加する金属塩の量は、本発明にかかる「二置換ハロゲン化ポリエーテルを含む固体媒体(二置換ハロゲン化ポリエーテルとその他樹脂の混合物)」の総質量を100質量%として、通常5〜100質量%であり、5〜50質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。添加する金属塩の量は5質量%未満の場合、ポリマー電解質としての電気伝導度が十分得られないことがある。添加する金属塩の量)100質量%を超える場合、金属塩が十分に溶解しないことがあり、ポリマー電解質としての硬さが増し、加工性が低下することがある。
前記金属塩は、カチオンとしてリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びマグネシウムイオンからなる群より選ばれる、少なくとも1種を有する。
前記金属塩のアニオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ビス(オキサラト)ホウ酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ビス(オキサラト)ジフルオロリン酸イオン、(オキサラト)テトラフルオロリン酸イオン、ジフルオロリン酸イオン、(オキサラト)ジフルオロホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドイオン、(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドイオンイオン、(ペンタフルオロエタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドイオンなどを挙げることができる。これらの金属塩は、1種を単独で用いても良く、2種以上を用途に合わせて任意の組合せ、比率で混合して用いても良い。
中でも、電池としてのエネルギー密度、出力特性、寿命等から考えると、カチオンはリチウム、ナトリウムが好ましく、アニオンはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドイオンが好ましい。
4.非水溶媒について
本発明のポリマー電解質は、さらに非水溶媒を含むことができる。非水溶媒を含むことによって溶解する金属塩のイオン伝導性を向上できるといったメリットが生じることがある。尤も、本発明のポリマー電解質は後述の実施例で示すように、非水溶媒を全く使わなくても、5V以上の高電位において耐性があり、かつ良好なサイクル特性を示し、二次電池用に好ましく使用可能である。このため、本発明のポリマー電解質として、非水溶媒を全く含有させないという態様は、特に好ましいものの1つである。
非水溶媒を添加して用いる場合、「固体媒体と非水溶媒」の総質量を100質量%としたとき、そのうち固体媒体の含量は通常50〜99質量%であり、60〜90質量%がより好ましく、70〜90質量%が特に好ましい。残余は後述する溶媒である。非水溶媒があまり多くなり、固体媒体の含量が50質量%未満の場合、ポリマー電解質の高電圧下での酸化耐性が十分でなくなるため、固体媒体の含量は50質量%以上とすることが望ましい。
非水溶媒としては、非プロトン性の溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類、イミド類、スルホン類等が使用できる。また、単一の溶媒だけでなく、二種類以上の混合溶媒でもよい。具体例としては、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトン等を挙げることができる。環状カーボネート及び鎖状カーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することがより好ましく、環状カーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが特に好ましい。環状カーボネートの例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートを挙げることができ、鎖状カーボネートの例としては、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネートを挙げることができる。
5.その他添加剤について
本発明にかかる二置換ハロゲン化ポリエーテルに、その他添加剤を加えポリマー電解質としても構わない。
その他添加剤としては、例えば無機フィラーが挙げられる。無機フィラーは樹脂の機械的強度を高めるために特に有用である。無機フィラーとしては、溶融シリカ(SiO)、結晶シリカ、アルミナ、チタニア、窒化アルミ、窒化ホウ素が挙げられる。これらのうち1種、あるいは2種以上を組み合せて用いることができる。無機フィラーは、特に好ましくは溶融シリカである。無機フィラーの添加量は、「二置換ハロゲン化ポリエーテルを含む固体媒体(二置換ハロゲン化ポリエーテルとその他樹脂の混合物)」の総質量を100質量%として、0.1〜20質量%であり、0.5〜10質量%がより好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。
6.二次電池について
本発明の二次電池は、少なくとも、正極と、負極と、その間に配置される上記のポリマー電解質とを備える。
上記のポリマー電解質は、有機溶媒を添加する必要のない、いわゆる全固体ポリマー電解質(ドライポリマー電解質)として使用することができるし、また水系あるいは非水系電解系をポリマーで固定化する、いわゆるゲルポリマー電解質としても使用することができる。
電極としては、電極活物質を含むものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリマー電解質中のカチオンがリチウムの場合、正極としては、特に限定されないが、リチウムイオンやナトリウムイオンを始めとするアルカリ金属イオン、又はマグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンが可逆的に挿入−脱離可能な材料が用いられ、負極活物質としては、特に限定されないが、リチウムイオンやナトリウムイオンを始めとするアルカリ金属イオン、又はマグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンが可逆的に挿入−脱離可能な材料が用いられる。
[正極]
正極は、従来知られている正極の材料を用いることができる。正極活物質として、例えば、LiCoO、Li[Ni1/2Mn1/2]O、Li[Co1/3Ni1/3Mn1/3]Oなどのリチウム遷移金属複合酸化物、LiFePO、LiMnPOなどのリチウム含有オリビン型リン酸塩、LiMnなどのリチウムマンガン複合酸化物などが挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
また、正極は、正極集電体を有する。正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金等を用いることができる。
正極活物質層は、例えば、上述の正極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とにより構成される。結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、又はスチレンブタジエンゴム(SBR)樹脂等が挙げられる。導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、又は黒鉛(粒状黒鉛や燐片状黒鉛)等の炭素材料を用いることができる。正極においては、結晶性の低いアセチレンブラックやケッチェンブラックを用いることが好ましい。
[負極]
負極は、従来知られている負極の材料を用いることができる。以下、負極活物質として使用することができる材料の具体例を挙げる。
負極活物質としてX線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料を用いることができる。例えば熱分解炭素類、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、有機高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等が挙げられ、これらは黒鉛化したものでもよい。
また、負極活物質としてX線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料を用いることができる。当該物質として非晶質炭素が挙げられ、これは、2000℃以上の高温で熱処理してもほとんど積層秩序が変化しない炭素材料である。例えば、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、1500℃以下で焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソペーズビッチカーボンファイバー(MCF)等が例示される。株式会社クレハ製のカーボトロン(登録商標)P等が挙げられる。
また、負極活物質としてSi、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物を用いることができ、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な、例えば酸化シリコン、酸化スズ等が挙げられる。
また、負極活物質としてSi、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金を用いることができ、例えばシリコン、スズ、アルミニウム等の金属、シリコン合金、スズ合金、アルミニウム合金等が挙げられ、これらの金属や合金が、充放電に伴いリチウムと合金化した材料も使用できる。
また、負極活物質としてリチウムチタン酸化物、例えば、スピネル構造を有するチタン酸リチウム、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム等を使用することができ、LiTi12などが例示できる。
負極は、負極集電体を有する。負極集電体としては、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金等を用いることができる。
負極は、例えば負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が形成される。負極活物質層は、例えば、上述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とにより構成される。結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、又はスチレンブタジエンゴム(SBR)樹脂等が挙げられる。導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、又は黒鉛(粒状黒鉛や燐片状黒鉛)等の炭素材料を用いることができる。
カチオンがナトリウム主体となるナトリウムイオン二次電池の場合、負極活物質として
ハードカーボンやTiO、V、MoO等の酸化物等が用いられる。また、正極活物質としてNaFeO、NaCrO、NaNiO、NaMnO、NaCoO等のナトリウム含有遷移金属複合酸化物、それらのナトリウム含有遷移金属複合酸化物のFe、Cr、Ni、Mn、Co等の遷移金属が複数混合したもの、それらのナトリウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属の一部が他の遷移金属以外の金属に置換されたもの、NaFeP、NaCo(PO等の遷移金属のリン酸化合物、TiS、FeS等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、及びポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が使用される。
正極と負極の接触を防ぐためのセパレーターを用いてもよい。セパレーターとして、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンや、紙、又はガラス繊維等で作られた不織布や多孔質シートが使用される。これらのフィルムは、樹脂がしみ込んでイオンが透過し易いように、微多孔化されているものが好ましい。
ポリオレフィンセパレーターとしては、例えば多孔性ポリオレフィンフィルム等の微多孔性高分子フィルムといった正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜が挙げられる。多孔性ポリオレフィンフィルムの具体例としては、例えば多孔性ポリエチレンフィルム単独、又は多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンフィルムとを重ね合わせて複層フィルムとして用いてもよい。また、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとを複合化したフィルム等が挙げられる。
[デバイス]
以上の各要素からコイン状、円筒状、角形、又はアルミラミネートシート型等の形状の電気化学デバイスが組み立てられる。
[二次電池の製造方法]
本発明の二次電池は、上記のポリマー電解質をあらかじめフィルム状に成形し、正極と負極との間に挟み込むことによって製造することができる。フィルム状に代えてあらかじめゲル状に形成したポリマー電解質を配置することもできる。中でも、ポリマー電解質を予め電極へ塗布し、その電極の間にフィルム状のポリマー電解質を挟み込み二次電池を製造する方法は好ましい態様の一つである。二次電池を組み立てる前に前記4.で例示した非水溶媒を用いて電極を洗浄してから用いても良い。
7.ポリマー電解質の電極への塗布方法について
上述した本発明のポリマー電解質は電極に塗布することで用いてもよい。以下、塗布方法について説明する。
[塗布溶媒について]
本発明のポリマー電解質の塗布方法は、塗布溶媒を使用することが好ましい。
塗布に使用される溶媒としては、本発明にかかるポリマー電解質を溶解できる非水溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類、イミド類、スルホン類等、アルコール類、ケトン類が使用できる。また、単一の溶媒だけでなく、二種類以上の混合溶媒でもよい。前記4.で例示した非水溶媒を塗布溶媒として用いることがとりわけ好ましい。塗布溶媒として具体的には、前記4.で例示した非水溶媒以外に、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類を挙げることができる。塗布溶媒として、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノールが好ましく、アセトニ
トリルが特に好ましい。
上記ポリマー電解質に塗布溶媒を添加したときの固形分の濃度は、塗布のし易さや被膜形成の容易さの観点から、1〜30質量%が好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
塗布溶媒は、ポリマ―電解質を電極表面に塗布した後、乾燥させ、ポリマー電解質に残存させないことが好ましい。ただし、塗布溶媒が前記4.で例示した非水溶媒である場合はその限りではなく、塗布後、ポリマー電解質中の非水溶媒が所望の含有量になるまで非水溶媒を乾燥すればよい。
[塗布方法について]
電極の表面にポリマー電解質を塗布する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ディップコーター、スピンコーター等の適当な塗布装置を使用することにより、電極の表面上にポリマー電解質を好適に塗布することができる。
[乾燥方法について]
ポリマー電解質を塗布した後の電極は、70〜150℃で加熱することにより溶媒を除去しすることができる。加熱は重量減少が確認されなくなるまで行う。なお、前述の通り、前記4.で例示した非水溶媒を塗布溶媒として用いる場合は、溶媒を完全に除去する必要がなく、ポリマー電解質中の非水溶媒が所望の含有量になるまで加熱すればよい。加熱する際は、大気圧下でもよいし、加圧下でもよいし、減圧下でもよい。さらには、大気中で行ってもよいし、不活性雰囲気下で行ってもよいし、所定のガスをフローしながら行ってもよい。
上記の加熱の温度が70℃未満であると上記溶媒が残留しやすく、150℃超であるとPVDF等の電極バインダーの融解現象が生じ、電極性能低下や初充電時のガス発生量の増大を招くことがあるので、注意を要する。上記の加熱の温度が100〜150℃であると、電極の構造を壊すことなく、溶媒を除去しやすいため、より好ましい。
ここで、電極に形成されるポリマー電解質は、電極の全面に形成されてもよく、一部に形成されていてもよい。例えば、正極集電体に正極活物質を含有する正極活物質層が被覆された構造を有する正極においては、その正極活物質層の表面の全部又は一部に上述したポリマー電解質が形成されていればよい。また、正極が粒子状の正極活物質を含有する場合には、その表面の全部又は一部に上述した被膜が形成されていればよく、粒子状の正極活物質の全面又は一部に被膜が形成されていればよい。
得られるポリマー電解質の厚みは、好ましくは1μm以上である。ポリマー電解質が1μm未満の厚みになると、ポリマー電解質の機械的な強度が低下することがある。
8.二置換ハロゲン化ポリエーテルの製造方法(第2工程)について
上記式(1)で表される繰り返し単位を含む二置換ハロゲン化ポリエーテルは、下記のスキームのように対応する二置換ハロゲン化エポキシドのエポキシド部分を開環させるカチオン重合反応によって、好ましく製造することができる(本明細書では、この反応工程を「第2工程」と呼ぶ)。以下、この第2工程について説明する。
Figure 2019157008
式(2)のRf、Xの意味は、式(1)と同じである。
当該式(2)で表される二置換ハロゲン化エポキシドは、特願2018−012147号に記載の方法で製造することが好ましい(本明細書では、当該二置換ハロゲン化エポキシドの製造工程のことを「第1工程」とも呼ぶ)。特願2018−012147号は現時点において未公開であるため、その詳細な製造方法については後の項目(「第1工程」)で説明する。
また、該二置換ハロゲン化エポキシドは不斉炭素を有するため、下記に示すような単一の不斉化合物に区別することができるが、これらのうち一種単独であっても二種以上を混合し製造に用いても構わない。
Figure 2019157008
第2工程は、式(2)で表される二置換ハロゲン化エポキシドに、重合開始剤としてルイス酸を反応させることにより実施することができる。
特に好ましいルイス酸として下記のルイス酸群(以下、「特に好ましいルイス酸群」と記載する)を挙げることができる。具体的には、ハロゲン化金属または有機金属化合物などが挙げられ、Al、Ti、Sn、Sr、Sb、B、Be、Fe、Zn、Zr、Gaの塩化物および臭化物など金属のハロゲン化物などが使用できる。例えば、AlCl、AlBr、EtAlCl、EtAlCl、EtAl、MeAl、EtAl(OEt)、EtAl(OEt)、TiCl、SnCl、SrCl、SbCl,BBu、BF、BF・OEt、BF・HO、BCl、BeCl,FeCl、FeBr、ZnCl、EtZn、ZrCl、EtMgBrなどが挙げられる。このルイス酸群の中でも、AlCl、AlBr、EtAlCl、EtAlCl、EtAl、MeAl、TiCl、SnCl、BF・OEt、EtZnが好ましく、AlCl、AlBr、EtAlCl、EtAlCl、EtAl、MeAlがより好ましく、AlCl、AlBrが特に好ましい。
該ルイス酸は、単独で用いてもよいし、あるいはプロトンまたはカルボカチオンを生成する化合物などで例示される、不対電子をもつ化合物と組み合わせて使用しても良い。ここで、プロトンまたはカルボカチオンを生成する化合物などで例示される、不対電子をもつ化合物としては、アセトンなどのケトン系化合物、メタノール、エタノールなどのアルコール類、トリクロロ酢酸などのカルボン酸化合物、フッ化水素、水、過塩素酸、塩化水素、(CHCCl、CCHCl、(CCClなどが挙げられる。
上記した「特に好ましいルイス酸群」以外のルイス酸としては、開環カチオン重合に一
般的に使用されるルイス酸を用いることが好ましい。カチオン重合、配位重合に使用される公知のルイス酸を用いても良い。また、前記ルイス酸と併せて添加剤を使用することにより、リビング重合を行うことも可能であり、添加剤として公知ものを使用することができる。このリビング重合の添加剤については後に具体例を記載する。それぞれの重合方法としては、周知の方法が適用できる。
「特に好ましいルイス酸群」以外のルイス酸として、具体例には、プロトン酸、ハロゲン、紫外線等のエネルギー線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)、加熱等により酸を発生する化合物(熱酸発生剤)が挙げられる。これらのルイス酸は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。中でもプロトン酸、光酸発生剤、熱酸発生剤が好ましい。
プロトン酸としては、例えば、過塩素酸、塩化水素、臭化水素、フッ化水素、硝酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、硫酸、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。また、リンタングステン酸などのヘテロポリ酸、シリカまたはアルミナなどの酸性金属酸化物および硫化物、硫酸アルミニウムと硫酸を結合させた錯合体などで例示されるAl、Fe、Crなどの硫酸塩との錯合体、ポリスチレンスルホン酸やNafionなどを有するイオン交換樹脂などが挙げられる。
紫外線等のエネルギー線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)としては、芳香族スルホン酸、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム、チアンスレニウム、チオキサントニウム、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)(1−メチルエチルベンゼン)鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ペンタフルオロフェニルボレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンの対からなるオニウム塩である。これらの光酸発生剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。
光酸発生剤としては、例えば、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、S−ビフェニル2−イソプロピルチオキサントニウムヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)(1−メチルエチルベンゼン)鉄ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)(1−メチルエチルベンゼン)鉄ヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)(1−メチルエチルベンゼン)鉄テトラフルオロボレート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)(1−メチルエチルベンゼン)鉄テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。光酸発生剤としては、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートが特に好ましい。
市販の光酸発生剤としては、例えば、サンアプロ株式会社製の製品名:CPI−100P、CPI−110P、CPI−101A、CPI−200K、CPI−210S、ダウ・ケミカル日本株式会社製の製品名:サイラキュア光硬化開始剤UVI−6990、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6992、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6976、株式会社ADEKA製の製品名:アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172、アデカオプトマーSP−300、日本曹達株式会社製の製品名:CI−5102、CI−2855、三新化学工業株式会社製の製品名:サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−180L、サンエイドSI−110、サンエイドSI−180、ランベルティ社製の製品名:エサキュア1064、エサキュア1187、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製の製品名:イルガキュア250などが挙げられる。
加熱等により酸を発生する化合物(熱酸発生剤)としては、例えば、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどを使用することができる。市販の熱酸発生剤としては、例えば、株式会社ADEKA製の製品名:アデカオプトンCP77、アデカオプトンCP66、日本曹達株式会社製の製品名:CI−2639、CI−2624、三新化学工業株式会社製の製品名:サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100Lを使用することもできる。
ルイス酸の使用量は、二置換ハロゲン化エポキシド100質量部に対して、通常は0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部である。
前述の通り、前記ルイス酸と併せて添加剤を使用することにより、リビング重合を行ってもよい。リビング重合は、ポリマー成長種の末端の反応性を制御することができるため、第2工程の生成物(二置換ハロゲン化ポリエーテル)の分散度を調整する方法として好ましい態様である。添加剤として、公知のものであれば特に制限はないが、例えばエーテル化合物、エステル化合物、第四級アンモニウム塩が挙げられる。第四級アンモニウム塩としては、アルキル基で置換された第四級アンモニウムカチオンとハロゲンアニオンとの組み合わせである塩を用いることが好ましい。添加剤の使用量は、二置換ハロゲン化エポキシド100質量部に対して、通常は0.01〜5質量部であり、好ましくは0.1〜1質量部であり、重合開始剤の使用量より少ないことが好ましい。
なお、本発明者らが鋭意検討を行った結果、式(2)で表される二置換ハロゲン化エポキシドに対し、通常のアニオン重合で使用される開始剤を作用させる場合、重合反応が満足に進行しない、という知見が得られた。具体的には、このような場合、反応自体は進むものの、得られた生成物のGPC測定による重量平均分子量は1,000未満となり、低分子量体が生成するに留まった。本発明者らが検討した「アニオン重合の開始剤」は、メチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミドなどのグリニャール試薬、tert- ブトキシカリウム、水素化アルミニウムリチウムなどである。これら開始剤は、前記に具体例を挙げた「ルイス酸」に該当せず、これらを用いる反応は、本発明の第2工程とは異なる。
換言すれば、式(2)で表される二置換ハロゲン化エポキシドがルイス酸の存在下で十分重合するという事実も、本発明者が見出した特徴的事実の1つである。
重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。また、重合反応においては、重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては、重合を阻害しないものが好ましく、代表的なものとしては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素の溶媒、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物の溶媒などがある。またフロン系、芳香族系などの溶媒を使用することも可能である。これらの重合溶媒は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。通常はクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、等のハロゲン化炭化水素の溶媒が特に好ましい。重合溶媒の使用量は、二置換ハロゲン化エポキシド100質量部に対して、通常は100質量部以上であり、上限は無いが、あまりに多量の有機溶媒を使用すると製造効率が低下するので、5000質量部以下が好ましく、更に好ましくは1000質量部以下である。
重合は、重合開始剤存在下で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、又は乳化重合などの公知の重合方法により、回分式、半連続式、又は連続式のいずれかの操作で行えばよい。
重合温度は重合開始剤あるいは重合開始源により適宜変更され、通常は−78〜150℃が好ましく、−30〜100℃がより好ましく、0〜100℃が特に好ましい。
重合時間は、通常は0.1〜48時間、好ましくは0.5〜24時間であるが、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や核磁気共鳴装置(NMR)などの分析機器を使用し、原料である二置換ハロゲン化エポキシドが消費された時点を重合の終点とすることが好ましい。重合終了後はメタノールなどアルコール類やアミン類や水などで例示される開環カチオン重合禁止剤を添加することで、反応を停止させることができる。
得られる樹脂の溶液又は分散液から、有機溶媒又は水を除去して樹脂を得る方法として、再沈殿、ろ過、減圧下での加熱留出などの方法が可能である。重合後の後処理方法として特に好ましい例として、以下の操作を挙げることができる。得られる樹脂の溶液又は分散液に、樹脂が溶解する有機溶媒を加え抽出を行う。このとき加えられる抽出溶媒はジエチルエ−テル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒、トルエンなどの炭化水素溶媒が好ましい。その後、樹脂を含む抽出液の溶媒を減圧下で加熱留去し粗樹脂を得る。このとき加熱する温度は150℃以下、減圧度は500hPa以下であることが好ましい。得られた粗樹脂をアセトンなど樹脂が溶解する良溶媒を用いて溶解後、水などの樹脂が溶解しない貧溶媒へ加え再沈殿を行う。その後結晶として得られる粗樹脂をろ別し、再度アセトンなど樹脂が溶解する良溶媒を用いて溶解後、もう一度ろ過を行い、不溶分である不純物等を除去する。ろ液として得られた樹脂を含む溶液を減圧下で加熱留去による乾燥を行うことで、目的とする樹脂を精製することができる。
9.二置換ハロゲン化エポキシドの製造方法(第1工程)について
(特願2018−012147号の概要)
第1工程は、式(7)
Figure 2019157008
で表される二置換ハロゲノオレフィンに、次亜フッ素酸、アルカリ金属次亜塩素酸塩またはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩を反応させることにより、上記式(2)で表される二置換ハロゲン化エポキシドを得る工程である。当該二置換ハロゲン化エポキシドの製造方法に限定はないが、この第1工程の反応によれば、比較的安価な原料から、量産規模で該二置換ハロゲン化エポキシドを製造できるため、特に好ましい。この第1工程については、既に出願済みの特願2018−012147号に詳述されているが、特願2018−012147号は現時点において未公開であるため、その方法について、ここで説明する。
第1工程の原料である上記二置換ハロゲノオレフィンにおける置換基RfとXについては、本明細書で上記したものを再び挙げることができ、特段の制限はない。この原料となる二置換ハロゲノオレフィンはすでに工業的に量産されているものがあり、例えば1−フルオロ−3,3,3−トリフルオロメチルプロペン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロメチルプロペンが好ましいものとして挙げられる。これらの化合物はE体とZ体の構造異性体が存在するが、本発明の原料として両異性体とも使用可能である。当該1−フルオロ−3,3,3−トリフルオロメチルプロペンは、フッ素系の溶剤や洗浄剤としても用いられている化合物である。
本工程で用いられる次亜フッ素酸、アルカリ金属次亜塩素酸塩またはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩は酸化剤として機能すると考えられるため、本明細書内で、これらの3つの試剤を「酸化剤」と言うことがある。
すなわち第1工程の反応は、酸化剤によって、二置換ハロゲノオレフィンの二重結合を酸化して、対応するエポキシド骨格(またはオキシラン骨格とも言う)を形成する。
酸化剤のうち、アルカリ金属次亜塩素酸塩及びアルカリ土類金属次亜塩素酸塩の具体例は、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ルビジウム、次亜塩素酸セシウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。
本発明で用いる酸化剤のうち、次亜フッ素酸、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウムが好ましく、次亜フッ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムが特に好ましい。
ここで、酸化剤のうち、次亜フッ素酸の調製方法について記載する。次亜フッ素酸は、ニトリル溶媒中、水とフッ素ガスを反応させることで発生させ、発生させた溶液を反応に使用することができる。用いるニトリル溶媒としては具体的にアセトニトリル、プロパンニトリル、ブタンニトリル、ペンタンニトリルが挙げられ、アセトニトリル、プロパンニトリルが好ましく、アセトニトリルが特に好ましい。
使用するフッ素ガスについては1〜40%に希釈されたものを使用するのが好ましい。フッ素ガスを希釈するガスについては特に制限は無いが、フッ素ガスと反応しにくいガスであれば良く、具体的には窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンが挙げられる。
次亜フッ素酸を発生させる際の温度は10℃以下であれば良く、−70℃〜+5℃が好ましく、−40℃〜0℃が特に好ましい。
次亜フッ素酸の発生形態については特に制限は無いが、通常の反応器にディップ管でフッ素ガスを導入して反応器内に次亜フッ素酸を発生させても良いし、マイクロリアクターのような装置を採用して連続的に発生させても良い。
次亜フッ素酸の発生法については前述の方法や実施例に記載されているものだけでなく、特許文献1やMing.H.Hung. et al、J.Org.Chem.1991,56,3187−3189.等に記載の方法を参考に実施して良い。
アルカリ金属次亜塩素酸塩またはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩については、水和物として用いることができ、本発明では、濃度範囲が、概ね21質量%以上となるように調整したアルカリ金属次亜塩素酸塩またはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩の水溶液を用いるのが好ましい(市販されているものを利用しても良いし、反応器内でこの濃度範囲になるように水溶液を調整しても良いが、後者の方法が簡便である)。
酸化剤の使用量としては、通常、式[7]で表される二置換ハロゲノオレフィン1モルに対して0.5モル以上用いれば良く、0.75モル〜20モルが好ましく、1モル〜10モルが特に好ましい。
反応温度は+150℃以下であれば良く、−50℃〜+120℃が好ましく、−25℃〜+100℃が特に好ましい。
本工程では、反応に溶媒を用いることができる。溶媒は含フッ素オレフィンと酸化剤と反応しにくい溶媒であれば良く、水、ニトリル系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には水、アセトニトリル、プロピオニトリル、ヘキサン、ペプタン、ノナン、デンカン、シクロプロパン、メチルシクロプロパン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリド、2−クロロ−ベンゾトリフルオリド、2、4−ジクロロ−ベンゾトリフルオリド、2,6−ジクロロ−ベンゾトリフルオリド等が挙げられ、水、アセトニトリル、ヘプタン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリドが好ましく、水、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゾトリフルオリドが特に好ましい。これらの溶媒を単独若しくは組み合わせて使用しても良い。
なお、酸化剤として次亜フッ素酸を用いる際は、前述した、発生させる際の使用済の水とニトリル系溶媒でもって、本発明の溶媒に取って代えることが可能であり、別途上記溶媒を用いる必要は必ずしもない。
本工程における反応において、溶液が二層に分離している場合は相間移動触媒を反応系内に添加することは、特に好ましい態様である。相間移動触媒としてはハロゲン化4級アンモニウム塩及びハロゲン化4級ホスホニウム塩が挙げられる。具体的にはテトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムフルオリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラヘプチルアンモニウムフルオリド、テトラヘプチルアンモニウムクロリド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムフルオリド、テトラヘキシルアンモニウムクロリド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラオクチルアンモニウムフルオリド、テトラオクチルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムヨージド、テトラデシルアンモニウムフルオリド、テトラデシルアンモニウムクロリド、テトラデジルアンモニウムブロミド、テトラデシルアンモニウムヨージド、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムフルオリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムヨージド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムフルオリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムヨージド、トリオクチルメチルアンモニウムフルオリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムブロミド、トリオクチルメチルアンモニウムヨージド、オクチルトリメチルアンモニウムフルオリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルホスホニウムフルオリド、テトラチルホスホニムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムヨージド、テトラオクチルホスホニウムフルオリド、テトラオクチルホスホニウムクロリド、テトラオクチルホスホニウムブロミド、テトラオクチルホスホニウムヨージド、テトラフェニルホスホニウムフルオリド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨージド、ベンジルトリフェニルホスホニムフルオリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムヨージドが挙げられ、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプルピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラオクチルホスホニウムクロリド、テトラオクチルホスホニウムブロミドが好ましく、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルアンモニウムブロミドが特に好ましい。
相間移動触媒の使用量としては、式[7]で表される二置換ハロゲノオレフィン1molに対して0.00001mol〜1molであれば良く、0.0001mol〜0.75molが好ましく、0.001mol〜0.5molが特に好ましい。
さらに、本工程では、反応系内に塩基性化合物を添加しても良い。塩基性化合物としてはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩が挙げられ、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物が特に好ましい。具体的には水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウムが挙げられ、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましく、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが特に好ましい。
なお、後述する実施例で示すように、酸化剤としてアルカリ金属次亜塩素酸塩及びアルカリ土類金属次亜塩素酸塩を用いる際に塩基性化合物を加えることは、反応が効率よく進行することからも、特に好ましく用いられる。
反応に使われる反応器は、耐熱性と耐食性を有する材質で作られれば良く、ステンレス鋼、ハステロイTM、モネルTM、ニッケル、白金などの金属製容器や、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、そしてガラスなどを内部にライニングしたもの等、常圧又は加圧下で十分反応を行うことができる反応器を使用することができる。
反応終点については特に制限はないが、通常、二置換ハロゲノオレフィンの導入が終了した後、核磁気共鳴装置(NMR)、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の手段により、反応変換率が所定の値に達したとき、もしくは生成物の量に変化がなくなった時点を終点とすることが好ましい。
反応後の後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、一般式[2]で表される二置換ハロゲン化エポキシドを、特に本発明では、二置換ハロゲノオレフィンの立体異性体(シス体、トランス体)を予め分離精製し、それを第1工程の原料に供すれば、該エポキシドのシス体またはトランス体を選択的に製造することが可能である(次の化学式を参照。なお式中のRfとXの意味は、既出の意味と同じである)。
Figure 2019157008
Figure 2019157008
粗生成物は必要に応じて活性炭処理、分別蒸留、カラムクロマトグラフィー等により高い純度に精製することが可能である。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限られない。
なお、得られた共重合体の物性の測定は以下の方法で行なった。
19F−NMR測定は日本電子株式会社製 GSX−270型を用いた。
各重合体の重量平均分子量は、GPC装置は東ソー株式会社製HLC−8320GPCを用い、GPCカラムとしてTSKgelα−Mを使用した。東ソー株式会社製標準ポリスチレンを標準物質として用い、各重合体の重量平均分子量を求めた。
[単量体(M−1)合成例]
500mlPFA製反応容器に水10ml、アセトニトリル100mlを入れ、−10℃に冷却した。その後、マスフローコントローラーを用いて、窒素で希釈した20%フッ素ガスを流速50sccmで約180分間導入した。この時の溶液温度は−10℃〜−9℃であった。希釈フッ素ガスの導入が終了した後、窒素ガスを流速50sccmで約10分間導入した。
ここで得られた次亜フッ素酸含有溶液に対し、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン2.6g(20.0mmol)を導入し、その後3時間反応させた。この時の溶液温度は−8.6℃〜15℃であった。反応終了後、反応液に内部標準物質を加えて19F NMRで定量したところ、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンオキシド13.4mmol(収率67%、以降M−1と表記)含まれていた。このとき、異性体であるトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンオキシドは19F NMRでは確認できなかった。
<M−1の物性>
H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=3.57(m,1H),5.20(sex,1H)ppm.
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:ヘキサフルオロベンゼン:−162.2ppm);δ=−66.6(d,3F)ppm.
[単量体(M−2)合成例]
単量体(M−1)合成例に記載の方法と同様の操作で次亜フッ素酸含有溶液を調製した。得られた溶液にシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン2.3g(20.0mmol)を導入し、その後3時間反応させた。この時の溶液温度は−11.9℃〜−8.7℃であった。反応終了後、反応液に内部標準物質を加えて19F NMRで定量したところ、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンオキシド19.1mmol(収率95%、以降M−2と表記)含まれていた。このとき、異性体であるトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンオキシドは19F NMRでは確認できなかった。
<M−2の物性>
H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=3.31(m,1H),5.64(dq,1H)ppm.
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:ヘキサフルオロベンゼン:−162.2ppm);δ=−164.9(dq,1F),−68.9(d,3F)ppm.
[単量体(M−3)合成例]
単量体(M−1)合成例に記載の方法と同様の操作で次亜フッ素酸含有溶液を調製した。得られた溶液にトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン2.0g(17.6mmol)を導入し、その後3時間反応させた。この時の溶液温度は−15.6℃〜−6.2℃であった。反応終了後、反応液に内部標準物質を加えて19F NMRで定量したところ、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンオキシド11.5mmol(収率65%、以降M−3と表記)含まれていた。このとき、異性体であるシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンオキシドは19F NMRでは確認できなかった。
<M−3の物性>
H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=3.67(m,1H),5.66(dq,1H)ppm.
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:ヘキサフルオロベンゼン:−162.2ppm);δ=−156.2(d,1F),−73.5(d,3F)ppm.
[樹脂の製造]
下記の重合性単量体(A−1)〜(A−3)は、後述する樹脂重合例で上記M−1〜M−3の共重合の相手として使用した。
A−1:1,2−プロピレンオキシド(東京化成工業株式会社製)
立体異性体の混合物
A−2:スチレン(東京化成工業株式会社製)
A−3:エチルビニルエーテル(東京化成工業株式会社製)
Figure 2019157008
[樹脂(P−1)重合例]
単量体(M−2)合成例で得られたシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロぺンオキシドを窒素気流下で蒸留して精製M−2を得た。窒素置換されたグローブバッグ内で、100mlガラス製反応容器に重合開始剤として AlCl0.25g(1.87mmol)とヘプタン10mLを充てんし、氷浴した。反応容器を密封した後、窒素置換され
たグローブバッグ内で上記精製M−2を6.50g(50.0mmol)量りとり、シリンジでヘプタンと重合開始剤が充てんされた反応容器内へ加え、0〜15℃で1時間重合を行なった。反応終了後、水10gを加えて反応を停止させ、反応生成物をジイソプロピルエーテル10gで抽出した。ジイソプロピルエーテル層をエバポレーターで濃縮後、アセトン20gでポリマーを溶解させ、不溶分をろ過して取り除いた。ろ液として得られるアセトン層をエバポレーター濃縮後、減圧乾燥してポリマー4.07gを得た。得られたポリマーの収率は62%で、GPC重量平均分子量は14.0×10であった。
[樹脂(P−2)重合例]
合成例3で得られたトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(M−3)を窒素気流下で蒸留して精製M−3を得た。重合開始剤としてAlCl0.05g(0.37mmol)を充てんした100ml耐圧反応容器へ、得られた精製M−3を1.32g(10.2mmol)加え、100℃で24時間重合を行った。反応終了後、水10gを加えて反応を停止させ、反応生成物をジイソプロピルエーテル10gで抽出した。ジイソプロピルエーテル層をエバポレーターで濃縮後、アセトン20gでポリマーを溶解させ、不溶分をろ過して取り除いた。ろ液として得られるアセトン層をエバポレーター濃縮後、減圧乾燥してポリマー0.61gを得た。得られたポリマーの収率は46%で、GPC重量平均分子量は11.8×10であった。
[樹脂(P−3)重合例]
窒素置換されたグローブバッグ内で、ガラス製の反応容器に重合開始剤として AlCl0.26g(1.95mmol)とヘプタン10mLを充てんし、氷浴した。密封後、樹脂(P−1)重合例と同様に精製したM−2を6.51g(50.1mmol)と、窒素気流下で蒸留した1,2−プロピレンオキシド0.30g(5.2mmol)を、重合開始剤が充てんされた反応容器内へ加えた。このとき2つの単量体同士の相分離は観察されなかった。0〜15℃で1時間重合を行なった。反応終了後、水10gを加えて反応を停止させ、反応生成物をジイソプロピルエーテル10gで抽出し、水層を取り除いた。ジイソプロピルエーテル層をエバポレーターで濃縮後、アセトン20gでポリマーを溶解させ、不溶分をろ過して取り除いた。ろ液として得られるアセトン層をエバポレーター濃縮後、減圧乾燥してポリマー4.56gを得た。得られたポリマーの収率は67%で、GPC重量平均分子量は16.6×10であった。
[樹脂(P−4〜P−8)重合例]
原料組成を表1に示すように変更した以外は、上記の樹脂重合例P−1〜P−3と同様の手順で樹脂P−4〜P−8を製造した。上記樹脂P−4〜P−8は目視で相分離が観察されなかったことから、オキシラン類、スチレン化合物、ビニルエーテルなどの汎用的なモノマーと問題なく共重合できたことが確認された。
Figure 2019157008
[比較樹脂(P’−1)重合例]
窒素置換されたグローブバッグ内で、ガラス製の反応容器に重合開始剤として AlCl0.08g(0.60mmol)とヘプタン10mLを充てんし、氷浴した。密封後、窒素気流下で蒸留した3,3,3−トリフルオロ−1,2−プロピレンオキシド2.21g(20.0mmol、ナカライテクス株式会社製)を、重合開始剤が充てんされた反応容器内へ加え、0〜15℃で1時間重合を行なった。反応終了後、水10gを加えて反応を停止させ、反応生成物をジイソプロピルエーテル10gで抽出し、水層を取り除いた。ジイソプロピルエーテル層をエバポレーターで濃縮後、アセトン20gでポリマーを溶解させ、不溶分をろ過して取り除いた。ろ液として得られるアセトン層をエバポレーター濃縮後、減圧乾燥してポリマー1.13gを得た。得られたポリマーの収率は51%で、GPC重量平均分子量は16.5×10であった。
[参考重合例1](ルイス酸を用いない重合)
単量体(M−2)合成例で得られたシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロぺンオキシドを窒素気流下で蒸留して精製M−2を得た。窒素置換されたグローブバッグ内で、200mlガラス製反応容器に、上記精製M−2を6.51g(50.1mmol)と1,2−ジメトキシエタン50ml(予めMS4Aを用いて脱水処理)を充てんし、氷浴した。その後、窒素置換されたグローブバッグ内で重合開始剤であるtert-ブトキシカリウム0.21g(1.87mmol)を量りとり、M−2と1,2−ジメトキシエタンが充てんされた反応容器内へ加え、25℃で1日間重合を行なった。反応終了後、水10gを加えて反応を停止させ、反応生成物をジイソプロピルエーテル10gで抽出した。ジイソプロピルエーテル層をエバポレーターで濃縮後、アセトン20gで生成物を溶解させ、不溶分をろ過して取り除いた。ろ液として得られるアセトン層をエバポレーター濃縮後、減圧乾燥して油状物0.72gを得た。得られた油状物の収率は11%で、GPC重量平均分子量は520であった。
[参考重合例2〜8](ルイス酸を用いない重合)
窒素置換されたグローブバッグ内で、上記の参考重合例1と同様の手順で参考重合例2〜8の重合反応を実施した。用いた単量体と重合開始剤、重合条件である重合温度と重合時間、そしてその結果を表2にまとめた。重合結果として、得られた生成物の収率とGPC重量平均分子量を記載した。
Figure 2019157008
上記参考重合例1〜7の結果から分かるように、アニオン重合で一般的に用いられる開始剤では、得られた生成物の重量平均分子量は1,000未満となり低分子量体が生成するに留まり、重量平均分子量が1,000以上のポリマーを得ることはできなかった。
[実施例1]
窒素置換されたグローブバッグ内で、10.1gの樹脂P−1を、上部から電極を挿入できるよう作製されたガラス製サイクリックボルタンメトリー(CV)測定用セル(BAS株式会社)に充てんし、CV測定に供した。
[実施例2〜8、比較例1〜2]
窒素置換されたグローブバッグ内で、実施例1と同様に樹脂P−2〜P−8、及びP’−1をCV測定用セルに充てんし、CV測定に供した。
[サイクリックボルタンメトリー(CV)測定]
CV測定はBAS株式会社 ALS650E型を用いた。測定において、挿引速度(スキャンスピード)5mV/Sで、25℃窒素雰囲気下、3.5〜6.0V(対Li/Li)の電位範囲で行った。また、3極セルにおいて作用極としてグラッシーカーボン電極(BAS株式会社)を、参照極および対極としてリチウム金属(本城金属株式会社製)を使用した。CV測定の結果を表2にまとめた。また、酸化電位は電流値が5×10−5μA/cm2を超えた際の電位とした。
Figure 2019157008
CV測定に使用したポリマーの構造式を下記に示した。なお、P−2はP−1の立体異性体を原料としたもの、P−6とP−7はそれぞれP−3とP−4の立体異性体を原料としたものであるため省略した。
Figure 2019157008
上記比較例1〜2の樹脂のCV測定結果は、5Vを下回る不十分なものあった。ここで生じるピークとは、樹脂が酸化反応あるいは分解反応に由来するものと考えられ、高電圧下の樹脂の安定性が不足していることが確認された。
一方、本発明である上記実施例1〜8の樹脂は、5.4Vまでピークが観測されなかった。5Vを上回る高電圧まで安定な樹脂であることが確認された。
[相溶性評価]
以下、異なる樹脂を混合(ブレンド)したときの相溶性について評価した。混合において、まず溶媒を用いて樹脂を溶解し溶液化した後に、溶媒を減圧乾燥することで除去し膜を作製した(solvent−cast法)。成膜できたかどうか、膜の相分離の有無を確認し、その結果を表3にまとめた。
[実施例9]
0.24gの樹脂P−1と0.25gのポリスチレン(以下PSと表記。aldric
h製、Mw3.5×10)をアセトン4.89gに溶解し樹脂溶液を調製した。この溶液は均一であることが確認された。この樹脂溶液をガラス製シャーレに入れて室温にて1時間静置し、80℃にて14時間減圧乾燥を行い、シャーレから剥離することにより、膜状であるポリマー膜PF−1を得た。得られたポリマー膜PF−1は目視で相分離が観察されなかった。
[実施例10]
0.25gの樹脂P−1と0.25gのPEO(和光純薬工業株式会社製、Mw500×10)リスチレンをアセトニトリル4.93gに溶解し樹脂溶液を調製した。この溶液は均一であることが確認された。この樹脂溶液をガラス製シャーレに入れて室温にて1時間静置し、80℃にて14時間減圧乾燥を行い、シャーレから剥離することにより、膜状であるポリマー膜PF−2を得た。得られたポリマー膜PF−2は目視で相分離が観察されなかった。
[実施例11]
0.25gの樹脂P−1と0.26gのポリアクリル酸(以下PAAと表記。aldrich製、Mw450×10)を水2.45gとメタノール2.51gの混合溶液に溶解し樹脂溶液を調製した。この溶液は均一であることが確認された。この樹脂溶液をガラス製シャーレに入れて室温にて1時間静置し、80℃にて12時間減圧乾燥を行い、シャーレから剥離することにより、膜状であるポリマー膜PF−3を得た。得られたポリマー膜PF−3は目視で相分離が観察されなかった。
[比較例3]
0.25gのパーフルオロポリエーテル(以下PFPEと表記。ソルベイガルデン(R))と0.25gのポリスチレンをメチルエチルケトン10.1gに溶解し樹脂溶液を調製した。この溶液は均一であることが確認された。この樹脂溶液をガラス製シャーレに入れて室温にて1時間静置し、80℃にて14時間減圧乾燥後に粉状の固体が析出し膜を得ることができなかった。
[比較例4]
0.27gのパーフルオロポリエーテル(以下PFPEと表記。ソルベイガルデン(R))と0.25gのPEOをメチルエチルケトン10.3gに溶解し樹脂溶液を調製した。この溶液は均一であることが確認された。この樹脂溶液をガラス製シャーレに入れて室温にて1時間静置し、80℃にて14時間減圧乾燥後、シャーレから剥離することにより、膜状であるポリマー膜PF’−1を得た。得られたポリマー膜PF’−1は目視で相分離が観察された。
Figure 2019157008
上記比較例3の樹脂(全フッ素ポリエーテル)の相溶性評価の結果は、他の樹脂(全フッ素化されていない樹脂)と相分離が観察された。すなわち全フッ素ポリエーテルはフッ素を含まない汎用ポリマーとの混合(ブレンド)において相溶性が低いため、例えばブレンド材料としての使用法は限られる。
一方、本発明の樹脂を含む実施例9〜11では、フッ素を含まない樹脂との混合において相分離が観察されなかった。すなわち、フッ素を含まない汎用ポリマーとの混合(ブレンド)において相溶性が良好であることが確認された。ポリマー電解質として、他の樹脂と混合して使用する場合、ブレンド材料の適用範囲が大きいポリマーであると言える。
[実施例12]
0.23gの樹脂P−1と0.05gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドをアセトニトリル3.69gに溶解しアルカリ金属塩含有樹脂溶液を調製した(樹脂中の酸素原子とアルカリ金属塩中のリチウムの比率がO:Li=10:1である)。この溶液は均一であることが確認された。この樹脂溶液をガラス製シャーレに入れて室温にて1時間静置し、110℃にて14時間減圧乾燥を行い、シャーレから剥離することにより、膜状であるポリマー膜を得た。得られた膜を、事前に調製したエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの3:7(体積比)混合液を0.21gに浸し、室温で3時間静置したところ、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合液は全てポリマー膜に吸収され、膨潤したポリマー電解質膜PF−4を得た。得られたポリマー膜PF−4は目視で相分離が観察されず均一な膜であった。このポリマー膜PF−4をイオン伝導度評価に供した。その結果、ポリマー電解質膜PF−4のイオン伝導度は、3×10−4[S/cm]であった。
[イオン伝導度評価]
イオン伝導度は、以下の手法で測定した。電極として銅を、スペーサーとしてPTFE膜を用いた。電解質膜と銅箔電極を密着させ、電極に電気化学インピーダンス測定装置(Solarton社製、1255B型)を接続し、20℃にて周波数1Hz〜1MHzの領域で交流インピーダンス測定を行い、交流抵抗を求めた。測定により得られた抵抗値(R)と電極間距離(L)と電解質膜の面積(S)からイオン伝導度(σ)を算出した。算出に用いた式はσ=L/(S×R)である。
本発明の樹脂を含む実施例12では、カーボネート類である汎用溶媒との混合において相分離が観察されなかった。すなわち、汎用溶媒との混合(ブレンド)において相溶性が良好であることが確認された。
また、本発明の樹脂を用いたポリマー電解質膜は、特許文献1で開示されているイオン伝導度10−3〜10−4[S/cm]と同等であることが確認された。


Claims (17)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位を含有する二置換ハロゲン化ポリエーテル。
    Figure 2019157008
    (式中、Rfは炭素鎖1〜4の少なくともフッ素原子を一つ有するフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)
  2. Rfがトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基、XがF又はClであることを特徴とする請求項1に記載の二置換ハロゲン化ポリエーテル。
  3. 重量平均分子量が1,000〜1,000,000の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二置換ハロゲン化ポリエーテル。
  4. 重量平均分子量が3,000〜100,000の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の二置換ハロゲン化ポリエーテル。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の二置換ハロゲン化ポリエーテルを含有することを特徴とする、金属塩を溶解させポリマー電解質を形成するために用いる固体媒体。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載の二置換ハロゲン化ポリエーテルと、
    金属塩と、
    を含むポリマー電解質。
    但し、前記金属塩は、カチオンとして、
    リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びマグネシウムイオンからなる群より選ばれる、1種以上を有する。
  7. 前記金属塩が、アニオンとして、
    ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ビス(オキサラト)ホウ酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドイオン、(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドイオン、(ペンタフルオロエタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、及びビス(ジフルオロホスホニル)イミドイオンからなる群から選ばれる1種以上を有する、請求項6に記載のポリマー電解質。
  8. 前記二置換ハロゲン化ポリエーテルが、
    オキシラン類、ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテル、シラン類、ビニルシラン、アリルエーテル、ビニルエステル、スチレン化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル化合物、オレフィン、含フッ素オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エス
    テル、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル及びノルボルネン化合物からなる群より選ばれた一種以上の単量体と、
    下記式(2)で表される二置換ハロゲン化エポキシドとの共重合体
    であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のポリマー電解質。
    Figure 2019157008
    (式中、Rfは炭素鎖1〜4の少なくともフッ素原子を一つ有するフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)
  9. 前記二置換ハロゲン化ポリエーテルが、さらに下記式(3)〜(5)及び(6−1)〜(6−3)で表される繰り返し単位からなる群より選ばれる一種以上の繰り返し単位を有することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のポリマー電解質。
    Figure 2019157008
    Figure 2019157008
    Figure 2019157008
    Figure 2019157008
    Figure 2019157008
    Figure 2019157008
    (上の式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、炭素数6〜12の芳香環基を表し、Rは炭素数6〜12の芳香環基を表す。)
  10. さらにポリエーテル、ポリビニルエーテル、含フッ素ポリビニルエーテル、ポリシロキサン、ポリビニルシラン、ポリアリルエーテル、ポリビニルエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン化合物、ポリオレフィン、含フッ素ポリオレフィン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、含フッ素ポリアクリル酸エステル、含フッ素ポリメタクリル酸エステル及びポリノルボルネン化合物からなる群より選ばれる一種以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載のポリマー電解質。
  11. さらに非水溶媒を含むことを特徴とする請求項6〜10の何れかに記載のポリマー電解質。
  12. 前記非水溶媒が、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジエチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトンからなる群から選ばれる一種以上の溶媒であることを特徴とする請求項11に記載のポリマー電解質。
  13. 請求項6〜12の何れかに記載のポリマー電解質と、
    正極と、負極と、
    を少なくとも備えた二次電池。
  14. 前記二次電池がリチウムイオン電池である、請求項13に記載の二次電池。
  15. 下記式(2)
    Figure 2019157008
    で表される二置換ハロゲン化エポキシドに、ルイス酸を反応させることにより、式(1)
    Figure 2019157008
    で表される繰り返し単位を含有する二置換ハロゲン化ポリエーテルを製造する方法。
    (前記式(1)および式(2)において、Rfは炭素鎖1〜4の少なくともフッ素原子を一つ有するフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)
  16. 下記の二工程を含むことによる式(1)
    Figure 2019157008
    で表される繰り返し単位を含有する二置換ハロゲン化ポリエーテルを製造する方法。
    第1工程(エポキシ化):下記式(7)
    Figure 2019157008
    で表される二置換ハロゲノオレフィンに、次亜フッ素酸、アルカリ金属次亜塩素酸塩またはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩を反応させることにより、式(2)
    Figure 2019157008
    で表される二置換ハロゲン化エポキシドを得る工程。
    第2工程(ポリマー化):前記二置換ハロゲン化エポキシドに、ルイス酸を反応させることにより、式(1)で表される繰り返し単位を含有する二置換ハロゲン化ポリエーテルを得る工程。
    (前記式(1)、式(2)及び式(7)において、Rfは炭素鎖1〜4の少なくともフッ素原子を一つ有するフルオロアルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)
  17. 前記ルイス酸がハロゲン化アルミニウムであることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の二置換ハロゲン化ポリエーテルの製造方法。

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