JP2019156943A - フィルム、合わせガラス用中間膜および合わせガラス - Google Patents

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勝彦 岡本
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克正 深川
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Takanori TADA
貴則 多田
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Abstract

【課題】合わせガラスの中間膜として用いることで、ガラスの制振性と衝撃吸収性能を向上させ、かつ透明性を維持できる樹脂フィルムを提供すること。【解決手段】本発明のフィルムは、下記要件(1)および(2)を満たすことを特徴とする:(1)0℃から100℃の温度範囲において粘弾性装置を用いて測定した損失正接tanδのピーク値が1.0以上である;(2)1mm厚みで測定した内部ヘイズが10%未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、スマートフォンやタブレットの画面、自動車のフロントガラスやサイドガラス、または建材用窓ガラスなどに用いられる、合わせガラス用中間膜として好適なフィルムおよび該フィルムを用いてなる合わせガラスに関する。
スマートフォンやタブレットでは、ポリカーボネート、アクリル樹脂またはガラスを用いた画面が採用されているが、持ち運び時に落下すると画面が破損することがある。そのため、保護用フィルムなどを画面に張り付けることで落下から画面を守っているが、性能が劣ることから、画面用の素材として合わせガラスを用いることが検討されている。
また、自動車のフロントガラスやサイドガラス、ビルや住宅などの建築物のガラスなどは、破損時における破片の飛散防止化の要求や単板ガラスで対応できない場合の耐風圧性能確保の面より、合わせガラスのニーズが拡大している。
ガラスとガラスの間に積層する保護フィルム(中間膜)としては、従来、ポリビニルブチラールが広く使用されてきた。しかしながら、ポリビニルブチラールを中間膜に有する合わせガラスでは、屋外での使用時または屋内での長期使用時における外観の耐久性の点で改善の余地があった。すなわち、ポリビニルブチラールを中間膜とする合わせガラスを、屋外で使用する、または、屋内で長期使用すると、ガラスの周辺部分が白化してしまう。
特許文献1では、合わせガラス積層体周面部をシール材で包み込み、水分の浸透による周辺部分の白化を抑制し、屋外や長期使用時における耐久性を改善する方法が提案されている。しかし、周面部をシール材で包み込むには手間と原材料費が必要となる。
また、特許文献2には、ポリビニルブチラールとポリエチレンを積層して合わせガラスとする方法が示されている。しかし、ポリエチレンを前記用途に用いる検討を行ったものの、制振性や衝撃吸収性能などの特性は高くなく、合わせガラス中間膜としての性能は十分ではなかった。
特開平7−157344号公報 特開平8−073244号公報
本発明の課題は、合わせガラスの中間膜として用いることで、ガラスの制振性と衝撃吸収性能を向上させ、かつ透明性を維持できる樹脂フィルムを提供することである。
本発明のフィルムは、下記要件(1)および(2)を満たすことを特徴とする:
(1)0℃から100℃の温度範囲において粘弾性装置を用いて測定した損失正接tanδのピーク値が1.0以上である;
(2)1mm厚みで測定した内部ヘイズが10%未満である。
本発明のフィルムは、オレフィン系共重合体(A)、ならびに、芳香族ビニル化合物共重合体およびその水添物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、オレフィン系共重合体(A)100質量部と、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が10,000以下である炭化水素系オリゴマー(B)0〜150質量部とを含むオレフィン系共重合体樹脂組成物(X)から得られることがより好ましい。
前記オレフィン系共重合体(A)は、炭素数3〜6のα−オレフィン由来の構成単位(a)50〜95mol%と、前記構成単位(a)とは異なる、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位(b)5〜50mol%とを含有する(ただし、構成単位(a)および(b)の合計を100mol%とする。)ことが好ましい。
前記構成単位(a)は、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位であることが好ましい。
前記炭化水素系オリゴマー(B)は、パラフィン系オイルまたは石油樹脂であることが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、上述した本発明のフィルムを含むことを特徴とする。
本発明の積層体は、上述した本発明のフィルムと、1つ以上の基材とが積層していることを特徴とする。前記基材は、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の材料からなる板状体を含むことが好ましい。
本発明の合わせガラスは、上述した本発明の合わせガラス用中間膜または積層体を含むことを特徴とする。
本発明のフィルムを合わせガラスの中間膜として用いれば、ガラスの制振性と衝撃吸収性能を向上させ、かつ透明性を維持することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[フィルム]
本発明に係るフィルムは、下記要件(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
(1)0℃から100℃の温度範囲において粘弾性装置を用いて測定した損失正接tanδのピーク値が1.0以上、好ましくは1.0〜3.5、より好ましくは1.1〜3.0である。
(2)1mm厚みで測定した内部ヘイズが10%未満、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
上記要件(1)を満たすことにより、合わせガラスの中間膜として用いた場合に、ガラスの制振性と衝撃吸収性能を向上させることができる。また、上記要件(2)を満たすことにより、透明性に優れる。
このような本発明のフィルムは、オレフィン系共重合体(A)、ならびに、芳香族ビニル化合物共重合体およびその水添物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、前記オレフィン系共重合体(A)100質量部と、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が10,000以下である炭化水素系オリゴマー(B)0〜150質量部とを含むオレフィン系共重合体樹脂組成物(X)から得られることがより好ましい。
<オレフィン系共重合体(A)>
前記オレフィン系共重合体(A)(以下、単に「共重合体(A)」ともいう。)は、炭素数3〜6のα−オレフィン由来の構成単位(a)50〜95mol%と、前記構成単位(a)とは異なる、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位(b)5〜50mol%とを含有する(ただし、構成単位(a)および(b)の合計を100mol%とする。)ことが好ましい。
前記構成単位(a)の含有割合は、好ましくは55〜92モル%、より好ましくは60〜90モル%であり、前記構成単位(b)の含有割合は、好ましくは8〜45モル%、より好ましくは10〜40モル%である(ただし、構成単位(a)および(b)の合計を100モル%とする。)。
前記構成単位(a)は、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位であることが好ましい。以下、前記構成単位(a)が4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位である場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
共重合体(A)に用いられる、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα-オレフィンとしては、例えば直鎖状または分岐状のα−オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、官能基化ビニル化合物等が挙げられる。前記共重合体(A)では、前記α−オレフィンには非共役ポリエンを含まないものとする。
直鎖状α−オレフィンとしては、炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜10であり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられ、好ましくはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
分岐状のα−オレフィンとしては、好ましくは炭素原子数5〜20、より好ましくは5〜15であり、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。
環状オレフィンとしては、炭素原子数3〜20、好ましくは5〜15であり、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロへプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクテンなどが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等のモノまたはポリアルキルスチレンなどが挙げられる。
共役ジエンとしては、炭素原子数4〜20、好ましくは4〜10であり、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどが挙げられる。
官能基化ビニル化合物としては、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン、(メタ)アクリル酸、プロピオン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸などの不飽和カルボン酸、アリルアミン、5−ヘキセンアミン、6−ヘプテンアミンなどの不飽和アミン、(2,7−オクタジエニル) コハク酸無水物、ペンタプロペニルコハク酸無水物、上記不飽和カルボン酸から得られた無水物などの不飽和カルボン酸無水物、上記不飽和カルボン酸から得られたハロゲン化物などの不飽和カルボン酸ハライド、4−エポキシ−1−ブテン、5−エポキシ−1−ペンテン、6−エポキシ−1−ヘキセン、7−エポキシ−1−ヘプテン、8−エポキシ−1−オクテン、9−エポキシ−1−ノネン、10−エポキシ−1−デセン、11−エポキシ−1−ウンデセン等の不飽和エポキシ化合物、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのエチレン性不飽和シラン化合物等が挙げられる。
上記水酸基含有オレフィンとしては、水酸基含有のオレフィン系化合物であれば特に制限されないが、例えば末端水酸基化オレフィン系化合物が挙げられる。末端水酸基化オレフィン系化合物としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、水酸化−1−ブテン、水酸化−1−ペンテン、水酸化−1−ヘキセン、水酸化−1−オクテン、水酸化−1−デセン、水酸化−1−ウンデセン、水酸化−1−ドデセン、水酸化−1−テトラデセン、水酸化−1−ヘキサデセン、水酸化−1−オクタデセン、水酸化−1−エイコセン等の炭素原子数2〜20、好ましくは2〜15の直鎖状の水酸化−α−オレフィン、水酸化−3−メチル−1−ブテン、水酸化−3−メチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ペンテン、水酸化−3−エチル−1−ペンテン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ヘキセン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、水酸化−4−エチル−1−ヘキセン、水酸化−3−エチル−1−ヘキセンなどの好ましくは炭素数5〜20、より好ましくは炭素数5〜15の分岐状の水酸化−α−オレフィンが挙げられる。
上記ハロゲン化オレフィンとしては、塩素、臭素、ヨウ素等の周期表第17族原子を有するハロゲン化−α−オレフィンであり、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化−1−ブテン、ハロゲン化−1−ペンテン、ハロゲン化−1−ヘキセン、ハロゲン化−1−オクテン、ハロゲン化−1−デセン、ハロゲン化−1−ドデセン、ハロゲン化−1−ウンデセン、ハロゲン化−1−テトラデセン、ハロゲン化−1−ヘキサデセン、ハロゲン化−1−オクタデセン、ハロゲン化−1−エイコセン等の炭素原子数が2〜20、好ましくは2−15の直鎖状のハロゲン化−α−オレフィン、ハロゲン化−3−メチル−1−ブテン、ハロゲン化−4−メチル−1−ペンテン、ハロゲン化−3−メチル−1−ペンテン、ハロゲン化−3−エチル−1−ペンテン、ハロゲン化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、ハロゲン化−4−メチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−4−エチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−3−エチル−1−ヘキセンなどの好ましくは炭素数5〜20、より好ましくは炭素数5〜15の分岐状のハロゲン化−α−オレフィンが挙げられる。
本発明では、特に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、水酸化−1−ウンデセンが好適である。
上記α−オレフィンは1種類であってもよく、2種以上を組み合せて用いることもできる。また、本発明では、必要に応じて、非共役ポリエンを組み合せてもよい。
非共役ポリエンとしては、炭素原子数5〜20、好ましくは5〜10であり、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエンなどが挙げられる。
非共役ポリエンとしては5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンが好適である。
共重合体(A)は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
本発明においては、柔軟性、応力吸収性、応力緩和性などの点から、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィンとしては、炭素原子数が2〜10の直鎖状のα−オレフィンが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンがより好ましく、高い応力吸収性、ポリオレフィン改質性も得られる点で、エチレンおよびプロピレン、さらに好ましく、プロピレンが特に好ましい。
共重合体(A)は、135℃のデカリン中での極限粘度[η]が好ましくは0.01〜5.0(dL/g)、より好ましくは0.05〜4.0(dL/g)、さらに好ましくは0.1〜3.0(dL/g)、特に好ましくは0.5〜2.5(dL/g)の範囲にある。後述する触媒を用いれば、分子量分布を損なうことなく重合体を得ることができる。また後述するように重合中に水素を併用すると分子量を制御でき、低分子量体から高分子量体まで自在に得ることが出来る。
共重合体(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との割合(Mw/Mn)が、好ましくは1.0〜3.5、より好ましくは1.5〜3.0、さらに好ましくは1.5〜2.5の範囲である。Mw/Mnの値が大きいと、組成分布や低分子量ポリマーの影響が懸念されて、該重合体の機械特性、成形性、耐摩耗性を発現しないおそれがあり、成形時にべたつきがあり不具合を生じる。Mw/Mnの値が1.0〜3.5の範囲にあれば、上記特性を発現するのに有利であり、工業的に価値がある。後述する触媒を用いれば分子量を損なうことなく、Mw/Mnの値が上記範囲内にある重合体を得ることができる。
共重合体(A)は、酢酸メチルによる抽出量が、好ましくは0〜1.5重量%、より好ましくは0〜1.0重量%、さらに好ましくは0〜0.8重量%、特に好ましくは0〜0.6重量%である。酢酸メチル抽出量は成形時のべたつきの指標となり、この値が大きいと、得られたポリマーは組成分布が大きく低分子量ポリマーを含み、成形時に不具合を生じる。酢酸メチル抽出量が上記範囲内であると、成形時のべたつきによる不具合は生じない。
共重合体(A)は、GPCにより求められる重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で、好ましくは500〜10,000,000、より好ましくは1,000〜5,000,000、さらに好ましくは1,000〜2,500,000である。
共重合体(A)は、13C−NMRにより測定した共重合モノマーの連鎖分布のランダム性を示すパラメータB値が、好ましくは0.9〜1.5、より好ましくは0.9〜1.3、さらに好ましくは0.9〜1.2である。パラメータB値が上記範囲内であると、重合体中のモノマーの連鎖分布のランダム性が良好であり、重合体中の組成分布がなくなり、例えば透明性、柔軟性、応力吸収性、応力緩和性に優れる。
共重合体(A)は、DSCにより測定した融点(Tm)が、好ましくは110℃未満または認められない、より好ましくは100℃未満または認められない、さらに好ましくは85℃未満または認められない。共重合体(A)の融点は、コモノマー種およびコモノマー組成によって任意に変えることができ、融点が上記範囲内にある場合は柔軟性と靭性に優れる。
共重合体(A)は、ASTM D 1505(水中置換法)に従って測定された密度が、好ましくは0.810〜0.850g/cm3、より好ましくは0.820〜0.850g/cm3、さらに好ましくは0.830〜0.850g/cm3である。
<共重合体(A)の製造方法>
次に,オレフィン系共重合体(A)、特に4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体の製造方法について説明する。
本発明に係る共重合体の製造には、従来公知の触媒、例えばマグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/027124号パンフレット、特開平3-193796号公報あるいは特開平02-41303号公報中に記載のメタロセン触媒などが好適に用いられる。さらに好ましくは、下記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン化合物を含有するオレフィン重合触媒が好適に用いられる。
Figure 2019156943
Figure 2019156943
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、水素、炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1からR4までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、R5からR12までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、
Aは一部不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基であり、AはYと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよく、
Mは周期表第4族から選ばれた金属であり、
Yは炭素またはケイ素であり、
Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれ、
jは1〜4の整数である。
上記一般式(1)または(2)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14は水素、炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
炭化水素基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数7〜20のアルキルアリール基であり、1つ以上の環構造を含んでいてもよい。また、炭化水素基の一部または全部に水酸基、アミノ基、ハロゲン基、フッ素含有炭化水素基などの官能基で置換されていても良い。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1,1−ジエチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、ネオペンチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル、メンチル、ノルボルニル、ベンジル、2−フェニルエチル、1−テトラヒドロナフチル、1−メチル−1−テトラヒドロナフチル、フェニル、ビフェニル、ナフチル、トリル、クロロフェニル、クロロビフェニル、クロロナフチル等が挙げられる。
ケイ素含有炭化水素基としては、好ましくはケイ素数1〜4かつ炭素原子数3〜20のアルキルシリル基またはアリールシリル基であり、その具体例としては、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。
フルオレン環上のR5からR12までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。そのような置換フルオレニル基として、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、オクタヒドロジベンゾフルオレニル、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル等を挙げることができる。
また、フルオレン環上のR5からR12の置換基は、合成上の容易さから左右対称、すなわちR5=R12、R6=R11、R7=R10、R8=R9であることが好ましく、フルオレン環が、無置換フルオレン、3,6−二置換フルオレン、2,7−二置換フルオレンまたは2,3,6,7−四置換フルオレンであることがより好ましい。ここでフルオレン環上の3位、6位、2位、7位はそれぞれR7、R10、R6、R11に対応する。
上記一般式(1)のR13とR14は、水素、炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。好ましい炭化水素基の具体例としては、上記と同様のものを挙げることができる。
Yは炭素またはケイ素である。一般式(1)の場合は、R13とR14はYと結合し、架橋部として置換メチレン基または置換シリレン基を構成する。好ましい具体例として、例えば、メチレン、ジメチルメチレン、ジイソプロピルメチレン、メチルtert−ブチルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、フルオロメチルフェニルメチレン、クロロメチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、ジクロロフェニルメチレン、ジフルオロフェニルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジビフェニルメチレン、ジp−メチルフェニルメチレン、メチル−p−メチルフェニルメチレン、エチル−p−メチルフェニルメチレン、ジナフチルメチレンまたはジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、メチル−tert−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、フルオロメチルフェニルシリレン、クロロメチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジp−メチルフェニルシリレン、メチル−p−メチルフェニルシリレン、エチル−p−メチルフェニルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン等を挙げることができる。
一般式(2)の場合は、Yは一部不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基Aと結合し、シクロアルキリデン基またはシクロメチレンシリレン基等を構成する。好ましい具体例として、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレン等を挙げることができる。
一般式(1)および(2)のMは、周期表第4族から選ばれる金属であり、Mとしてはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
Qはハロゲン、炭素原子数1〜20の炭化水素基、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組み合わせで選ばれる。ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、炭化水素基の具体例としては、上記と同様のものを挙げることができる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基、アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基、メシレート、トシレート等のスルホネート基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。これらのうち、Qは同一でも異なった組み合わせでもよいが、少なくとも一つはハロゲンまたはアルキル基であるのが好ましい。
本発明における上記メタロセン化合物の具体例として、国際公開第01/027124号パンフレット、国際公開第2006/025540号パンフレットまたは国際公開第2007/308607号パンフレット中に例示される化合物が好適に挙げられるが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。
本発明に係る共重合体の製造にメタロセン化合物を用いる場合、触媒成分は、
(A)メタロセン化合物(たとえば、上記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン化合物)と、
(B)(B−1) 有機アルミニウム化合物、
(B−2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B−3) メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
さらに必要に応じて、
(C)微粒子状担体と
から構成される。製造方法としては、例えば国際公開第01/027124号パンフレットに記載の方法を採用することが出来る。
また、有機アルミニウム化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)、前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)から選ばれる少なくても1種の化合物(B)、また、粒子状担体(C)の具体的としては、これらの化合物または担体としてオレフィン重合の分野において従来公知のもの、たとえば、国際公開第01/027124号パンフレットに記載された具体例が挙げられる。
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法いずれによっても実施できる。
液相重合法においては、不活性炭化水素溶媒を用いてもよく、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、ならびにこれらの混合物などを挙げることができる。
また4−メチル−1−ペンテンおよびα−オレフィンを溶媒とする塊状重合を実施することもできる。
また本発明では、重合条件を段階的に変えて製造する多段重合を行うことにより、組成分布が制御された共重合体を得ることも可能である。
重合を行うに際して、成分(A)は、反応容積1リットル当り、周期律表第4族金属原子換算で通常10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モルとなるような量で用いられる。成分(B−1)は、成分(B−1)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(B−1)/M]が、通常0.01〜5000、好ましくは0.05〜2000となるような量で用いられる。成分(B−2)は、成分(B−2)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(B−2)/M]が、通常10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いられる。成分(B−3)は、成分(B−3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(B−3)/M]が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
重合温度は、通常−50〜200℃、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜100℃の範囲である。
重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
重合に際して生成ポリマーの分子量や重合活性を制御する目的で水素を添加してもよく、その量は共重合体1kgあたり、0.001〜100NL程度である。
前記共重合体(A)は、その一部が極性モノマーによりグラフト変性されていてもよい。このような極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸またはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、ビニル基含有有機ケイ素化合物、カルボジイミド化合物などが挙げられる。
極性モノマーとしては、特に不飽和カルボン酸またはその誘導体およびビニル基含有有機ケイ素化合物が好ましい。
不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物等を挙げることができ、不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。これらの化合物は従来公知のものが使用でき、特に限定されない。具体例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔商標〕(エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸;またはその誘導体である、酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等が挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ナジック酸ジメチル(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジメチル)、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸およびその誘導体は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジック酸〔商標〕またはこれらの酸無水物が好ましく用いられる。
ビニル基含有有機ケイ素化合物としては、従来公知のものが使用でき、特に制限されない。具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシーエトキシシラン)、γ−グリシドキシプロピルートリピルトリーメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルメチルジメメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが使用できる。好ましくは、γ−グリシドキシプロピルトリピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アクロキシプロピルトリメトキシシラン、さらに好ましくは、立体障害が小さくグラフト変性効率の高いビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アクロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
極性モノマーは、1種類単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。極性モノマーは、本発明に係る共重合体100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部の量で使用される。
このグラフト重合は、通常ラジカル開始剤の存在下に行なわれる。ラジカル開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などを用いることができる。
具体的には、例えばジグミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート等のパーオキシエステル類;ジシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;およびこれらの混合物等が挙げられる。
ラジカル開始剤は、共重合体および極性モノマーとそのまま混合して使用することもできるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。この有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく用いることができる。
また極性モノマーをグラフト重合させる際には、還元性物質を用いてもよい。還元性物質を用いると、極性モノマーのグラフト量を向上させることができる。
グラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、たとえば共重合体を有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、60〜200℃、好ましくは80〜260℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させることによりできる。
また押出機などを用いて、無溶媒で、共重合体(A)と極性モノマーとを反応させて製造することもできる。この反応は、通常エチレン系重合体の融点以上、具体的には120〜250℃の温度で、通常0.5〜10分間行なわれることが望ましい。
前記より得られた共重合体(A)の変性量(極性モノマーのグラフト量)は、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜30重量%、さらに好ましくは0.2〜10重量%である。
本発明において、共重合体(A)に、グラフト変性された共重合体が含まれると、他の樹脂との接着性、相溶性に優れ、また成形体表面の濡れ性が改良されうる。
またグラフト変性された共重合体は、架橋することによって、架橋電線、架橋パイプにも好適に利用することができる。
また共重合体(A)の少なくとも一部または全部が架橋剤により架橋する場合、架橋剤として、特に制限されず、硫黄、有機過酸化物、SiH基含有化合物等が挙げられる。
架橋剤としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−tert−ブチルパーオキシヘキシン等の有機過酸化物、硫黄、モルフォリンジスルフィド等を挙げることができ、これらは架橋助剤、例えばステアリン酸、酸化亜鉛等と併用することができる。
硫黄を用いる場合は、好ましくは、共重合体(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部である。有機過酸化物の場合は、共重合体(A)100重量部に対して、0.05〜15重量部であることが好ましい。SiH基含有化合物である場合は、共重合体(A)100重量部に対して、0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部である。また、SiH基含有化合物を用いる際に、触媒、および任意成分としてシランカップリング剤および/または反応抑制剤を加えても良い。
前記共重合体(A)には、その成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め結晶化速度を速めるために、核剤が配合されていてもよい。核剤としては、ジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2-メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6−ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド等が挙げられる。配合量は、特に限定されないが、好ましくは、共重合体100重量部に対して、0.1〜1重量部である。核剤は、重合中、重合後、あるいは成形加工時など適宜添加が可能である。
前記共重合体(A)には、発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、耐候安定剤、耐熱安定剤、耐電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、(透明)核剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤、離型剤、衝撃改良剤、抗UV剤(紫外線吸収剤)、充填剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤、加工助剤等の添加剤が配合されていてもよい。
添加剤の具体例としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、4,4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、トコフェロール類、アスコルビン酸、ジラウリルチオジプロピオネート、リン酸系安定剤、脂肪酸モノグリセライド、N,N−[ビス−2−ヒドロキシエチル]アルキルアミン、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、ステアリン酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、クレイ、石膏、ガラス繊維、チタニア、炭酸カルシウム、カーボンブラックが挙げられる。
軟化剤の例としては、従来公知の軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン類、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルトおよびワセリンなどの石油系物質;コールタールおよびコールタールピッチなどのコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油および椰子油などの脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウおよびラノリンなどのロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−水酸化ステアリン酸、モンタン酸、オレイン酸およびエルカ酸などの脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂およびアタクチックポリプロピレンなどの合成高分子;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペートおよびジオクチルセバケートなどのエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、および液状ポリブタジエンまたはその変性物もしくは水添物;液状チオコールなどが挙げられる。
<芳香族ビニル化合物共重合体およびその水添物>
本発明のフィルムに用いることができる芳香族ビニル化合物共重合体およびその水添物としては、例えば、スチレン系エラストマー、スチレン系ゴムなどが挙げられる。
芳香族ビニル化合物共重合体を形成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。また、共重合性モノマーとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等の共役ジエンなどが挙げられる。
≪スチレン系エラストマー≫
スチレン系エラストマーは、硬質部(結晶部)となるポリスチレンブロックと、軟質部となるイソプレン、ブタジエンなどの共役ジエン系モノマーブロックとのブロック共重合体(SBC)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソブチレン・スチレン共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレン共重合体(SIB)などを例示することができる。スチレン系エラストマーは、1種単独で、または2種類以上を組み合せて用いられる。
上記SEBSとしては、例えば、クレイトンジャパン社製の商品名クレイトンG1641H、G1651H、G1657M、旭化成社製の商品名タフテックH1043、H1051、H1041、クラレ社製の商品名セプトン8104等が挙げられる。
上記SEPSとしては、例えば、クラレ社製の商品名セプトン2104等が挙げられる。
共役ジエンがイソプレンである場合、中間ブロックがビニル−ポリイソプレンであることが好ましく、また中間ブロックを構成する共役ジエン由来の構成要素は水素添加されていてもされていなくてもよい。そのようなスチレン・イソプレン・スチレン共重合体としては、例えば株式会社クラレ製「ハイブラー(登録商標)5127」(スチレン含有量20wt%、tanδピーク値=1.1、ピーク値温度=19℃)を挙げることができる。
また、共役ジエンがブタジエンである場合、スチレン・ブタジエン共重合体のブタジエン由来の構成要素は水素添加されていてもよく、軟質部にスチレン部分が共重合されていてもよい。このようなスチレン・ブタジエン・スチレン共重合体としては、例えば旭化成ケミカルズ株式会社製「S.O.E.(登録商標)S1606」(スチレン含量=51wt%、tanδピーク値=1.7、ピーク値温度=8℃)、「S.O.E.(登録商標)S1605」(スチレン含量=67wt%、tanδピーク値=1.5、ピーク値温度=17℃)などを挙げることができる。
<オレフィン系共重合体樹脂組成物(X)>
本発明のフィルムを製造する際に好適に用いられるオレフィン系共重合体樹脂組成物(X)(以下、単に「組成物(X)」ともいう。)は、前記オレフィン系共重合体(A)100質量部と、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が10,000以下である炭化水素系オリゴマー(B)0〜150質量部、好ましくは5〜130質量部、より好ましくは10〜120質量部とを含む。
≪炭化水素系オリゴマー(B)≫
前記炭化水素系オリゴマー(B)は、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が10,000以下、好ましくは8,000〜100、より好ましくは6,000〜100の炭化水素系オリゴマーであれば特に限定されない。
前記炭化水素系オリゴマー(B)としては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系プロセス油、石油樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、ロジン系樹脂などが挙げられる。これらの中では、パラフィン系オイルおよび石油樹脂が好ましい。
石油樹脂としては、たとえば、タールナフサのC5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂およびそれらの共重合石油樹脂が挙げられる。すなわち、C5系石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分を重合した樹脂)、C9系石油樹脂(ナフサ分解油のC9留分を重合した樹脂)、C5C9共重合石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分とC9留分とを共重合した樹脂)が挙げられ、タールナフサ留分のスチレン類、インデン類、クマロン、その他ジシクロペンタジエンなどを含有しているクマロンインデン系樹脂、p−ターシャリブチルフェノールとアセチレンの縮合物に代表されるアルキルフェノール類樹脂、ο−キシレン、p−キシレンまたはm−キシレンをホルマリンと反応させてなるキシレン系樹脂なども挙げられる。
前記炭化水素系オリゴマー(B)は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記炭化水素系オリゴマー(B)は、常法により適宜製造してもよいし、市販品を用いることもできる。市販品としては、たとえばイーストマンケミカル株式会社製の商品名「Regalrez」、「Plastolyn」、「Eastotac」、荒川化学工業株式会社製の商品名「アルコン」、三井化学株式会社製の商品名「FTR」、出光興産株式会社製の商品名「ダイアナプロセスオイル」、エクソンモービル株式会社製の商品名「オペラ」、「エスコレッツ」などが挙げられる。
≪その他の成分≫
前記組成物(X)は、さらに、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて含んでいてもよい。
<フィルムの製造方法>
本発明のフィルムは、前記オレフィン系共重合体(A)、ならびに、芳香族ビニル化合物共重合体およびその水添物からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む材料、好ましくは前記組成物(X)を用いて、公知の方法、例えば、押出し法、カレンダー法、プレス法等によりシート状に製膜する方法により製造することができる。
<フィルムの物性>
本発明のフィルムの引張弾性率は、衝撃吸収性能の観点から積層するガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂よりも低いことが望ましい。具体的には、好ましくは2,000MPa以下、より好ましくは1,500MPa以下、さらに好ましくは1,000MPa以下である。
また、破壊時のフィルム材料強度の観点から、本発明のフィルムの破断点強度は、好ましくは4MPa以上、より好ましくは7MPa以上、さらに好ましくは10MPa以上であることが望ましい。
[合わせガラス用中間膜]
本発明に係る合わせガラス用中間膜(以下、単に「本発明の中間膜」ともいう。)は、上述した本発明のフィルムを含むことを特徴とする。
本発明の中間膜の膜厚は、特に制限はないが、最小限必要な耐貫通性や耐候性を考慮すると、実用的には通常の透明な中間膜と同様に、一般に、0.1〜5.0mm、好ましくは0.2〜4.0mm、より好ましくは0.2〜3.0mmの膜厚範囲が好ましい。
本発明の中間膜の表面は、膜同士のブロッキング防止、ガラス板、ポリマーフィルムまたはポリマーシートと中間膜とを重ね合わせる際の取扱い作業性(ガラス板との滑り性)、ガラス板との貼り合わせ加工時の脱気性をよくするために、荒れた表面であること、例えば多少の凹凸を有することが好ましい。エンボスロールなどを用いて多数の微細なエンボスが形成されていることも好ましい態様の一つである。
エンボス加工は、本発明の中間膜の少なくとも片面、好ましくは両面に施されていることが、合わせガラス製造時に脱気を効率よく行なうことができるという点で好ましい。さらに、ガラスと接する面、全体にエンボス加工が施されていることが、効率的な脱気を可能にするため好ましい。
前記中間膜にエンボスを形成するために用いられるエンボスロールは、一般に金属ロールの表面にブラスト処理、エッチング処理、彫金処理、彫刻ミル(マザーミル)等の処理を施すことにより凹凸を形成する方法により製造される。
本発明の中間膜は、前記組成物(X)からなる層と、可塑化ポリビニルブチラールからなる層とが積層されていてもよい。可塑化ポリビニルブチラールは、吸水性があるが、前記組成物(X)は吸水性が非常に低くかつ振動制御性(制振性など)に優れる。そのため組成物(X)からなるシートとの積層化により可塑化ポリビニルブチラールの使用量を減らすことができ、合わせガラスとしての使用時にPVBの吸水による失透、白化など、外観の悪化を抑制することができるため、好ましい。
また、可塑化ポリビニルブチラールシートの膜厚は、特に制限はない。最小限必要な耐貫通性や耐候性を考慮すると、本発明のフィルムからなる層と、可塑化ポリビニルブチラールから得られる層とを含む中間膜が、実用的には通常の透明な中間膜と同様に、一般に、合計0.3〜5mmの膜厚範囲が好ましい。
本発明の中間膜の膜厚のうち、可塑化ポリビニルブチラールシートの厚み割合は、吸水による合わせガラスの外観悪化を抑制するため、80%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。下限は特に限定されないが、可塑化ポリビニルブチラールを使用する場合には5%以上が好ましい。
ポリビニルブチラール樹脂に用いられる可塑剤としては、ポリビニルブチラール樹脂に用いられる公知の可塑剤、例えば、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキソエート、トリエチレングリコール−ジ−カプリレート、トリエチレングリコール−ジ−n−オクトエート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプトエート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプトエートが好適に用いられる。
このような可塑剤は、樹脂100重量部に対して、一般に20〜60重量部の範囲で含有され、特に30〜55重量部の範囲で含有されるのが好ましい。可塑剤の含有量が20重量部未満では製膜が難しくなり、また得られる樹脂膜の伸びが悪くなる。逆に、可塑剤の含有量が60重量部を越えると、得られる樹脂膜から可塑剤がブリードして透明性が悪くなる。
可塑化ポリビニルブチラールシートの表面は、膜同士のブロッキング防止、ガラス板と中間膜とを重ね合わせる際の取扱い作業性(ガラス板との滑り性)、ガラス板との貼り合わせ加工時の脱気性をよくするために、荒れた表面であること、例えば多少の凹凸を有することが好ましい。エンボスロールなどを用いて多数の微細なエンボスが形成されていることも好ましい態様の一つである。
シート表面のエンボス加工は、少なくとも片面、好ましくは、両面に施されていることが効率よく脱気することができるという点で好ましい。さらに、本発明のフィルムと接する面全体にエンボス加工が施されていることが、効率的な脱気を可能にするため好ましい。
本発明の一態様である、積層された合わせガラス用中間膜は、例えば、各樹脂膜をそれぞれ別々に成形し、これらの各樹脂膜を、二枚のガラス板の間に重ねて加熱加圧することにより一体化して、合わせガラスの製造と同時に積層成形する方法、或いは各樹脂膜を多層押出法により一体的に積層成形する方法、或いは各樹脂膜を重ねて加熱加圧することにより一体的に積層成形する方法等により製造することができる。
本発明の中間膜において、本発明のフィルムからなる層は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。また可塑化ポリビニルブチラールからなる層が積層されている場合、可塑化ポリビニルブチラールからなる層は1層であっても2層以上であってもよい。
[積層体]
本発明のフィルムは、上述した可塑化ポリビニルブチラールからなる層との積層体以外の態様の積層体としてもよい。すなわち、本発明の積層体は、本発明のフィルムと、1つ以上の基材とが積層していることを特徴とする。
前記基材としては、特に限定されないが、合わせガラス用途を考慮すると、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の材料からなる板状体の基材が好ましい。
積層方法は、本発明の目的を損なわない限り特に限定されず、公知の方法を採用することができ、必要に応じて、本発明のフィルムと上記基材との間に接着層を設けてもよい。
本発明の積層体の具体的な構成としては、たとえば、以下のような構成を挙げることができる:
基材に前記中間膜が積層された多層積層体;
基材に前記中間膜が積層され、さらにその上に基材層が積層された多層積層体;
基材/中間膜/基材/中間膜/基材の順で積層された多層積層体;
基材/中間膜(/基材/中間膜)n/基材の順で積層された多層積層体(nは2以上の整数、例えば2〜10)。
上記例示において、中間膜の層を2層以上有する場合は、中間膜同士の組成は同一でも異なっていてもよい。また基材層を2層以上有する場合は、基材層同士は同一でも異なっていてもよい。
本発明の積層体において、本発明の中間膜の表面には、エチレン・メタクリル酸共重合体や、そのアイオノマーや、エチレン・酢酸ビニル共重合体や、他のポリマー(例えば変性ナイロン、変性ポリオレフィン等)の接着層を設けることもできる。
なお、基材層としては、特に限定されず、一般に使用されている透明板を使用することができる。このような、ガラス板としては、例えば、フロート板ガラス、熱線吸収ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス等の各種無機ガラス:ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板、ポリエチレンテレフタレート板、アクリル板等の有機ガラス板が挙げられる。これらのガラス板は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。なお、これらのガラス板の厚みは、用途によって適宜選択されればよく、特に限定されるものではないが、一枚の厚さが1〜3mmのものが望ましい。また、用いるガラスは、透明性を重視しない場合は、不透明であってもよい。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体を製造するには、特に制限はないが、通常の合わせガラスの製法と同様の方法により製造することができる。例えば、少なくとも二枚の基材ガラス板の間に、上述の中間膜を挟み、これを押圧ロールに通して扱くか、好ましくは、ゴムバッグに入れて減圧吸引し、ガラス板と中間膜との間に残留する空気を脱気しながら約70〜110℃で予備接着して積層体とし、次いでこの脱気された積層体をオートクレーブに入れるか或いはプレスを行い、約120〜150℃で、約1〜1.5MPaの圧力で本接着を行うことにより製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<組成>
共重合体(A)中の各構成単位(4−メチル−1−ペンテン(4MP)及びα−オレフィン)の含有率(モル%)は、13C−NMRにより測定した。
・測定装置:核磁気共鳴装置(日本電子(株)製「ECP500」)
・観測核:13C(125MHz)
・シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
・パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
・繰り返し時間:5.5秒
・積算回数:1万回以上
・溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
・試料濃度:55mg/0.6mL
・測定温度:120℃
・ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
<各種測定用プレスシートの作製>
200℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用いて、評価用組成物を10MPaの圧力でシート成形した。0.4〜3mm厚のシート(スペーサー形状;240×240×2mm厚の板に80×80×0.4〜3mm、4個取り)の場合、余熱を5〜7分程度とし、10MPaで1〜2分間加圧した後、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用いて10MPaで圧縮し、5分程度冷却して測定用試料を作成した。熱板として、5mm厚の真鍮板を用いた。得られたサンプルを用いて各種物性評価を行った。
<動的粘弾性>
動的粘弾性の測定では、厚さ3mmのプレスシートを測定試料として用い、さらに動的粘弾性測定に必要な45mm×10mm×3mmの短冊片を切り出した。ANTONPaar社製「MCR301」を用いて、10rad/sの周波数で−40〜150℃までの動的粘弾性の温度依存性を測定し、0〜100℃の範囲でガラス転移温度に起因する損失正接(tanδ)がピーク値(最大値)となる際の温度(以下「ピーク値温度」ともいう。)、およびその際の損失正接(tanδ)の値を測定した。
<機械特性(引張破断強度、引張破断伸び、引張弾性率)>
厚みが1mmのプレスシートをJIS K7127 5号ダンベル状に切断したものを試験片として用いた。JIS K7127(1999)に準拠し、引張試験機(インストロン製「万能引張試験機3380」)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度200mm/min、及び温度23℃の条件で、試験片の引張弾性率(YM)(単位:MPa)、引張破断伸び(EL)(単位:%)、および引張破断強度(TS)(単位:MPa)を測定した。
<全ヘイズ、内部ヘイズ>
厚さ1mmの試験片を用いて、日本電色工業(株)製のデジタル濁度計「NDH‐20D」にて測定した。
<吸水率>
約0.5gのシート片を用いて、カールフィッシャー法により含有する水分を測定し吸水率を求めた。
[使用した材料]
実施例および比較例では、以下の材料を用いて評価用組成物を調製した。
(A−1)三井化学社製「アブソートマー EP−1001」(4MP含量=72mol%)
(A−2)三井化学社製「アブソートマー EP−1013」(4MP含量=85mol%)
(A−3)クラレ社製「ハイブラー5127」
(B−1)イーストマンケミカル社製「Regalrez1126」
(B−2)出光興産社製「ダイアナプロセスオイル PW−90」
(C−1)積水化学工業社製ポリビニルブチラール「BM−SZ」
(C−2)Proviron社製トリエチレングリコール−ビス−2−エチルヘキサノエール
(C−3)三井化学社製オレフィン系樹脂「タフマーA4050S」
[実施例1]
(A−1)三井化学社製「アブソートマー EP−1001」ペレット100重量部に対して、二次抗酸化剤としてのトリ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートを0.1重量部、および耐熱安定剤としてのn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピネート0.1重量部を配合した。次いで、(株)東洋精機製作所ラボプラストミルを用いて、設定温度180℃、50rpmで5分間混練して評価用組成物を得た。得られた評価用組成物を用いて上述した評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
(A−1)三井化学社製「アブソートマー EP−1001」ペレット100重量部に対して、(B−1)イーストマンケミカル社製「Regalrez1126」20重量部、ならびに、実施例1と同じ種類および配合量の二次抗酸化剤および耐熱安定剤を配合した後、実施例1と同様にして評価用組成物を得た。得られた評価用組成物を用いて上述した評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
(A−1)三井化学社製「アブソートマー EP−1001」ペレット100重量部に対して、(B−1)イーストマンケミカル社製「Regalrez1126」100重量部、ならびに、実施例1と同じ種類および配合量の二次抗酸化剤および耐熱安定剤を配合した後、実施例1と同様にして評価用組成物を得た。得られた評価用組成物を用いて上述した評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
(A−1)三井化学社製「アブソートマー EP−1001」ペレット100重量部に対して、(B−2)出光興産社製「ダイアナプロセスオイル PW−90」30重量部、ならびに、実施例1と同じ種類および配合量の二次抗酸化剤および耐熱安定剤を配合した後、実施例1と同様にして評価用組成物を得た。得られた評価用組成物を用いて上述した評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
(A−1)三井化学社製「アブソートマー EP−1001」ペレット75重量部および(A−2)三井化学社製「アブソートマー EP−1013」25重量部に対して、(B−2)出光興産社製「ダイアナプロセスオイル PW−90」30重量部、ならびに、実施例1と同じ種類および配合量の二次抗酸化剤および耐熱安定剤を配合した後、実施例1と同様にして評価用組成物を得た。得られた評価用組成物を用いて上述した評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
(A−2)三井化学社製「アブソートマー EP−1013」100重量部に対して、(B−1)イーストマンケミカル社製「Regalrez1126」40重量部、ならびに、実施例1と同じ種類および配合量の二次抗酸化剤および耐熱安定剤を配合した後、実施例1と同じ混練装置を用いて、設定温度190℃、回転数50rpmで5分間混練して評価用組成物を得た。得られた評価用組成物を用いて上述した評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
(A−3)クラレ社製「ハイブラー5127」ペレット100重量部に対して、実施例1と同じ種類および配合量の二次抗酸化剤および耐熱安定剤を配合した後、実施例1と同様にして評価用組成物を得た。得られた評価用組成物を用いて上述した評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
(C−1)積水化学工業社製ポリビニルブチラール「BM−SZ」100重量部に対して、(C−2)Proviron社製トリエチレングリコール−ビス−2−エチルヘキサノエール27重量部、ならびに、実施例1と同じ種類および配合量の二次抗酸化剤および耐熱安定剤を配合した後、実施例1と同じ混練装置を用いて、設定温度150℃、回転数50rpmで5分間混練して評価用組成物を得た。得られた評価用組成物を用いて上述した評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
(C−3)三井化学社製「タフマーA4050S」ペレット100重量部に対して、実施例1と同じ種類および配合量の二次抗酸化剤および耐熱安定剤を配合した後、実施例1と同様にして評価用組成物を得た。得られた評価用組成物を用いて上述した評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2019156943

Claims (10)

  1. 下記要件(1)および(2)を満たすことを特徴とするフィルム:
    (1)0℃から100℃の温度範囲において粘弾性装置を用いて測定した損失正接tanδのピーク値が1.0以上である;
    (2)1mm厚みで測定した内部ヘイズが10%未満である。
  2. 前記フィルムが、オレフィン系共重合体(A)、ならびに、芳香族ビニル化合物共重合体およびその水添物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記フィルムが、オレフィン系共重合体(A)100質量部と、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が10,000以下である炭化水素系オリゴマー(B)0〜150質量部とを含むオレフィン系共重合体樹脂組成物(X)から得られることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 前記オレフィン系共重合体(A)が、炭素数3〜6のα−オレフィン由来の構成単位(a)50〜95mol%と、前記構成単位(a)とは異なる、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位(b)5〜50mol%とを含有する(ただし、構成単位(a)および(b)の合計を100mol%とする。)ことを特徴とする請求項2または3に記載のフィルム。
  5. 前記構成単位(a)が、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位であることを特徴とする請求項4に記載のフィルム。
  6. 前記炭化水素系オリゴマー(B)が、パラフィン系オイルまたは石油樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムを含むことを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムと、1つ以上の基材とが積層していることを特徴とする積層体。
  9. 前記基材が、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の材料からなる板状体を含むことを特徴とする請求項8に記載の積層体。
  10. 請求項7に記載の合わせガラス用中間膜または請求項8もしくは9に記載の積層体を含むことを特徴とする合わせガラス。
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