JP2016108383A - 表面保護部材用樹脂組成物及びそれを用いた表面保護フィルムまたはシート - Google Patents

表面保護部材用樹脂組成物及びそれを用いた表面保護フィルムまたはシート Download PDF

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幸一郎 山本
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Koji Morimoto
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Abstract

【課題】幅広い温度領域でも安定的に適度な粘着性を発揮することができ、剥離時の被着体への耐汚染性にも優れる表面保護部材用樹脂組成物を提供すること。【解決手段】本発明の表面保護部材用樹脂組成物は、少なくとも(A)高圧法低密度ポリエチレン、(B)線状低密度ポリエチレン、(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体を含む表面保護部材用樹脂組成物であって、当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、成分(C)を5質量部以上、25質量部以下含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、表面保護部材用樹脂組成物及びそれを用いた表面保護フィルムまたはシートに関する。
従来から、合成樹脂板、化粧板、金属板等の表面を保護する部材として、ポリエチレン系の樹脂を主材とする接着剤層を備えた表面保護フィルムが存在している(例えば特許文献1〜3)。
上記のように表面保護フィルムの接着剤層としてポリエチレン系の樹脂が用いられる理由としては、当該ポリエチレン系の樹脂が適度な粘着性を発現し、また、剥離も容易であることが挙げられる。
また、同時に特定の物性を有するポリエチレン系樹脂を用いた表面保護フィルムやシートの開発も鋭意なされている。
特開平4−55488号公報 特開平8−311419号公報 特開平11−228755号公報
ところで、近年は液晶表示装置、プラズマ表示装置、有機薄膜EL装置などの構成部材である液晶パネル板、反射板、位相差板、プリズムシート、導光板、偏光板、プラズマ表示パネル板、有機蛍光体薄膜もしくは透明電極またはフレキシブルプリント基板、リジッドプリント基板などの精密電子部材の表面を、上記のようなポリエチレン系樹脂を主材とした接着剤層を備える表面保護部材で保護する試みがなされている。
ここで、上記のような精密電子部材の表面を保護するにあたっては、以下の課題があることがわかってきた。
すなわち、上記のような表面保護部材を用いた場合、加熱や経時による粘着力の昂進がみられたり、剥離する際に被着体である精密電子部材を汚染するという欠点があり、それらを改良できる材料の開発が求められている。
そこで、本発明は、幅広い温度領域でも安定的に適度な粘着性を発揮することができ、剥離時の被着体への耐汚染性にも優れる表面保護部材用樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、以下に示す三種類の成分を組み合わせた上で、非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量を特定の範囲に調整することが有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
少なくとも(A)高圧法低密度ポリエチレン、(B)線状低密度ポリエチレン、(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体を含む表面保護部材用樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、
成分(C)を5質量部以上、25質量部以下含有する、表面保護部材用樹脂組成物が提供される。
さらに本発明によれば、
上記表面保護部材用樹脂組成物からなる層を備える、表面保護フィルムまたはシートが提供される。
本発明によれば、幅広い温度領域で安定的に適度な粘着性を発揮することができ、剥離時の被着体への耐汚染性にも優れる表面保護部材用樹脂組成物、及びそれからなる層を備える表面保護フィルムまたはシートを提供することができる。
実施例および比較例の樹脂組成物から得られたフィルムについて動的粘弾性測定を行った結果を示す図である。
以下に、本発明における実施の形態について説明する。なお、本明細書中において「〜」は特に断りがなければ以上から以下を示す。
本実施形態における表面保護部材用樹脂組成物は、少なくとも(A)高圧法低密度ポリエチレン、(B)線状低密度ポリエチレン、(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体を含む。
以下、各成分について説明する。
[(A)高圧法低密度ポリエチレン]
本実施形態で用いられる(A)高圧法低密度ポリエチレンは、エチレンを高圧ラジカル法で重合したポリエチレンであって、必要に応じ他のα−オレフィンモノマーが少量共重合されていてもよい。
重合に用いる反応器としては、オートクレーブ型反応器でもチューブラー型反応器でも良い。
本実施形態で用いられる(A)高圧法低密度ポリエチレンは、密度(JIS K 7112)が910kg/m3以上930kg/m3以下であり、好ましくは915kg/m3以上925kg/m3以下の範囲にある。密度が上記範囲にある(A)高圧法低密度ポリエチレンを用いると、押出加工性に優れた樹脂組成物が得られる。
また、この(A)高圧法低密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR(190℃、2160g荷重、JIS K 7210−1999))は、0.1〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分、更に好ましくは15〜30g/10分の範囲にある。メルトフローレートが上記範囲にある(A)高圧法低密度ポリエチレンを用いると、押出加工性が向上する。
本実施形態の樹脂組成物中における(A)高圧法低密度ポリエチレンの含有量の下限値は、樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、例えば50質量部以上であり、より好ましくは55質量部以上であり、特に好ましくは60質量部以上である。(A)高圧法低密度ポリエチレンの含有量を上記下限値以上に設定することで、効果的に耐熱性及び被着体への耐汚染性を発現することができる。
また、本実施形態の樹脂組成物中における(A)高圧法低密度ポリエチレンの含有量の上限値は、樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、例えば80質量部以下であり、より好ましくは75質量部以下であり、特に好ましくは70質量部以下である。(A)高圧法低密度ポリエチレンの含有量を上記上限値以下に設定することで、粘着強度を適度に制御することができる。
[(B)線状低密度ポリエチレン]
本実施形態で用いられる(B)線状低密度ポリエチレンの密度(JIS K 7112)は910kg/m以上930kg/m以下であり、好ましくは915kg/m以上925kg/m以下の範囲にある。
本実施形態で用いられる(B)線状低密度ポリエチレンはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体(好ましくはランダム共重合体)である。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなど炭素数3〜10のα−オレフィンが通常使用されている。エチレンとα−オレフィンを公知のチーグラー触媒やメタロセン触媒により溶液法、スラリー法、気相法を用いて重合する。
また、(B)線状低密度ポリエチレンは、フィルム強度、加工性などを考慮すると、メルトフローレート(MFR(190℃、2160g荷重、JIS K7210−1999))が、0.1〜50g/10分の範囲にあることが好ましく、1.0〜20g/10分の範囲にあることがより好ましい。
(B)線状低密度ポリエチレンを製造する方法には特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、チーグラー型触媒を代表例とするマルチサイト触媒を用いた方法や、メタロセン触媒を代表例とするシングルサイト触媒を用いた方法が挙げられる。
チーグラー型触媒としては、高活性チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物触媒成分とからなる組み合わせ触媒を例示することができる。
またメタロセン触媒としては、メタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とからなる組み合わせ触媒を例示することができる。
本実施形態の樹脂組成物中における(B)線状低密度ポリエチレンの含有量の下限値は、樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、例えば10質量部以上であり、より好ましくは13質量部以上であり、特に好ましくは15質量部以上である。(B)線状低密度ポリエチレンの含有量を上記下限値以上に設定することで、適度な粘着性を付与することができる。
また、本実施形態の樹脂組成物中における(B)線状低密度ポリエチレンの含有量の上限値は、樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、例えば30質量部以下であり、より好ましくは25質量部以下であり、特に好ましくは20質量部以下である。(B)線状低密度ポリエチレンの含有量を上記上限値以下に設定することで、適度な粘着性を付与することができ、被着体への耐汚染性も発現することができる。
[(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体]
本実施形態に用いられる(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体は、先述の成分(B)に該当するものでなく、非晶性あるいは結晶化度25%以下のエチレン・α−オレフィン共重合体であって、DSC法に基づく結晶化度が25%以下、好ましくは20%以下である。
この非晶性あるいは結晶化度25%以下のエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン成分を50モル%を超えて含有する。
ここで結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)にて測定した(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体の融解潜熱量を、ポリエチレン完全結晶の融解潜熱量(290.5kJ/kg)を基に算出した割合のことである。
エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンは、エチレン以外のα−オレフィンであり、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等である。これらのうち、α−オレフィンとしては、他の成分との相溶性の観点から、プロピレン、1−ブテンを用いることが好ましく、また、粘着性付与の観点から1−ブテンを用いることがより好ましい。
α−オレフィンは、1種類であってもよく、また、複数種類用いてもよい。
(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体の密度(ASTM D 1505)は、加工性の観点から、850kg/m以上900kg/m以下であることが好ましく、880kg/m以上890kg/m以下であることがより好ましい。
また、(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体は、フィルム強度、加工性などを考慮すると、メルトフローレート(MFR(190℃、2160g荷重、ASTM D 1238))が、0.1〜50g/10分の範囲にあることが好ましく、1.0〜20g/10分の範囲にあることがより好ましい。
また、(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン含有量は加工性の観点から80モル%以上であることが好ましく、粘着性を向上させる観点から95モル%以下であることが好ましい。
(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体は、上述したエチレン・α−オレフィン共重合体を1種類含むものであってもよく、また2種類以上含むものであってもよい。
本実施形態の樹脂組成物中における(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量の下限値は、樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、5質量部以上であり、好ましくは8質量部以上であり、より好ましくは10質量部以上である。(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量を上記下限値以上に設定することで、効果的に粘着性を付与することができる。
また、本実施形態の樹脂組成物中における(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量の上限値は、樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、25質量部以下であり、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは18質量部以下である。(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量を上記上限値以下に設定することで、適度な粘着性を付与することができる。
[添加剤]
本実施形態の表面保護部材用樹脂組成物は、上述した成分(A)〜(C)のほかに、性能を損なわない範囲で他の成分を含有していても良い。
他の成分としては、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、粘着性付与剤等がある。
ここで、本実施形態の表面保護部材用樹脂組成物は、用途によっては上記のうち粘着性付与剤を実質的に含まない態様を好ましい態様の一つとして挙げることができる。
ここで「粘着性付与剤」とは、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン類、スチレン系樹脂が挙げられる。
また、本明細書中において「実質的に含まない」とは、この粘着剤付与剤を意図的に添加する態様を排除する趣旨で用いており、製造プロセス上、この粘着付与剤の混入を避けることが不可避である態様は許容するものである。
具体的には、樹脂組成物全体に対して、この粘着付与剤の含有量を100ppm未満に制御することであり、好ましくは50ppm未満に制御することであり、より好ましくは10ppm未満に制御することを指す。
すなわち、本実施形態の表面保護部材用樹脂組成物は幅広い温度領域であっても粘着性を維持できるため、上述の粘着性付与剤を含ませなくても一定の粘着性を発現することができる。
例えば、前述したような精密電子部材の製造プロセスに、表面保護部材を適用させることを想定すると、樹脂組成物に含まれる粘着性付与剤が精密電子部材に転写されて、その表面が汚染されてしまう可能性がある。
そのため、上記のように実質的に粘着性付与剤を表面保護部材用樹脂組成物に含ませない態様が好ましいといえる。
なお、上記の「粘着性付与剤」としては具体的に以下に挙げられる化合物群を指す。
脂肪族系炭化水素樹脂としては、例えばブテン、イソブチレン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン等のC及び/又はCのオレフィン、ジオレフィン等を主成分とした重合体が挙げられる。
脂環族系炭化水素樹脂としては、例えばスペントC〜C留分中のジエン成分を環化二量体化後重合した樹脂、シクロペンタジエンなどの環状モノマーを重合した樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を核内水添した樹脂(水素添加芳香族炭化水素樹脂)等が挙げられる。
芳香族系炭化水素樹脂としては、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレン等のC8〜C10のビニル芳香族炭化水素を主成分とする樹脂が例示できる。
ポリテルペン系樹脂としては具体的にはα−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン・フェノール共重合体等が挙げられる。
ロジン類としてはロジン、重合ロジン、水添ロジン、ロジンのグリセリンエステル及びその水添物又はその重合体及びロジンのペンタエリスリットエステル及びその水添物又はその重合体等が挙げられる。
スチレン系樹脂としてはスチレン系モノマーの単独重合体、スチレン・オレフィン共重合体、ビニルトルエン・α−メチルスチレン共重合体等が例示できる。
脂肪族系炭化水素樹脂としては、例えば、日本ゼオン社製のクイントン100シリーズ(C5留分から抽出された高純度の1、3−ペンタジエンを主原料とした石油樹脂)が挙げられる。
脂環族系炭化水素樹脂としては、例えば、日本ゼオン社製のクイントン1000シリーズ(C5留分から抽出された高純度のシクロペンタジエンを主原料とした石油樹脂)が挙げられる。
さらに、水素添加芳香族炭化水素樹脂としては、荒川化学社製のアルコンが挙げられる。
なお、上記では「粘着性付与剤」を実質的に含ませない態様を好ましい態様の一つとして説明したが、例えば金属板に対して適用する態様等、粘着性付与剤の転写が問題とならず、また、より高い水準の粘着性が求められる用途によっては、適宜粘着性付与剤を含ませることもできる。
この場合であっても、本実施形態の表面保護部材用樹脂組成物自体がある程度の粘着性を有しているため、粘着性付与剤の添加量の低減に資することができる。
この場合、粘着性付与剤の含有量の下限値としては、例えば樹脂組成物全体を100質量部としたときに、0.1質量部以上である。
粘着性付与剤の含有量の上限値としては、例えば樹脂組成物全体を100質量部としたときに、2質量部以下である。
[樹脂組成物の調製方法]
本実施形態の樹脂組成物は、例えば、成分(A)〜(C)、その他の添加剤などを同時あるいは逐次的にドライブレンドまたはメルトブレンドすることにより得られる。
ドライブレンドには、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーなどの各種ミキサーを用いることができる。
また、メルトブレンドする場合は、1軸または2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの混練装置を用いることができ、例えば、140℃以上230℃以下程度の温度で溶融混練する。
[樹脂組成物の物性]
ここで、本実施形態の樹脂組成物は以下の物性を満たすことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の密度(JIS K 7112)は905kg/m以上925kg/m以下であることが好ましく、より好ましくは910kg/m以上920kg/m以下の範囲にある。
本実施形態の樹脂組成物のメルトフローレート(MFR(190℃、2160g荷重、JIS K7210−1999))は、0.1〜50g/10分の範囲にあることが好ましく、1〜20g/10分の範囲にあることがより好ましい。更には4〜20g/10分の範囲にあることがより好ましい。
メルトフローレートをこのような範囲に設定することにより、安定的に粘着性を発現することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、例えば以下の条件で測定されるΔtanδの上限値を0.08以下に制御することが好ましく、0.06以下に制御することがより好ましく、0.05以下に制御することが特に好ましい。このΔtanδを上記のように制御することにより、幅広い温度領域であっても安定的に粘着性を発現することができる。
また、このΔtanδの下限値は0である。
なお、本実施形態の樹脂組成物は、上述の三種以上の成分を適切に組み合わせて配合されているため、上記のような値を満足させることができる。
ここで、Δtanδの測定条件としては以下の通りである。
まず、本実施形態の樹脂組成物からキャスト成形法により厚さ90μmのフィルムを作製する。
続いて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における、0℃から50℃までの範囲におけるtanδ(損失正接)の最大値をtanδmax、tanδ(損失正接)の最小値をtanδminとして求める。
最後に、tanδmaxとtanδminとの差からΔtanδを算出する。
また、上記の条件で粘弾性測定した場合における、室温(23℃)でのE'(貯蔵弾性率)の値としては、例えば100MPa〜1000MPaの範囲に設定することが好ましく、120MPa〜500MPaの範囲に設定することがより好ましい。
また、50℃でのE'(貯蔵弾性率)の値としては10MPa〜100MPaの範囲に設定することが好ましく、30MPa〜80MPaの範囲に設定することがより好ましい。
また、上記の条件で粘弾性測定した場合における、室温(23℃)でのE''(損失弾性率)の値としては、10MPa〜100MPaの範囲に設定することが好ましく、15MPa〜80MPaの範囲に設定することがより好ましい。
また、50℃でのE''(損失弾性率)の値としては1MPa〜30MPaの範囲に設定することが好ましく、5MPa〜20MPaの範囲に設定することがより好ましい。
[表面保護フィルムまたは表面保護シート]
本実施形態の表面保護フィルムおよびシートは先述の樹脂組成物からなる層を接着剤層として備えるものである。
このとき、本実施形態の樹脂組成物からなる層を単層として表面保護フィルムまたはシートを製造することもでき、また、他の基材を組み合わせて表面保護フィルムまたはシートを製造することもできる。
本実施形態の表面保護フィルムまたはシートは、例えばインフレーション法、キャスト法、カレンダー成形法等、公知のフィルム成形方法により作製することができる。また延伸処理したものであってもよい。
表面保護フィルムの厚さは用途に合わせて適宜設定することができるが、例えばフィルム全体として5μm以上500μm未満の範囲である。一方、表面保護用のシートの厚さは、例えばシート全体として500μm以上1mm以下である。
多層とする場合は、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等から構成される他の基材を組み合わせることが出来る。
三層以上の表面保護フィルムまたはシートを作製する場合には、フィルムやシート全体としての材料費の低減を目的として中間層として廉価な樹脂材料からなる層を介在させることもできるし、その他の機能を発現させるために、公知の機能性材料からなる層を介在させることもできる。
[用途]
本実施形態の表面保護部材用樹脂組成物は、例えばフィルム成形またはシート成形することにより、合成樹脂板、化粧板、金属板等の表面を保護する部材のみならず、精密電子部材の表面を保護するためにも好ましく用いられる。
もちろん、本実施形態の表面保護部材用樹脂組成物の用途は上記に限定されるものではなく、本実施形態の樹脂組成物を各種用途に合わせて組成等の最適化ができることは言うまでもない。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下に、本実施形態を実施例および比較例により説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
<原料の説明>
1.ベース樹脂
(1)HP−LDPE:高圧法低密度ポリエチレン
MFR(190℃、2160g荷重、JIS K7210−1999):20g/10分
密度(JIS K 7112):920kg/m
(2)LLDPE:線状低密度ポリエチレン(チーグラー型触媒を用いて製造)
MFR(190℃、2160g荷重、JIS K7210−1999):2g/10分
密度:(JIS K 7112):920kg/m
(3)LLDPE:線状低密度ポリエチレン(メタロセン触媒を用いて製造)
MFR(190℃、2160g荷重、JIS K7210−1999):4g/10分
密度:(JIS K 7112):915kg/m
2.低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体
MFR(190℃、2160g荷重、ASTM D 1238):4g/10分
密度:(ASTM D 1505):885kg/m
結晶化度:(DSC法):17%
*)DSC測定条件:10℃/minで150℃まで昇温し、次に10℃/minで0℃まで降温、さらに10℃/minで150℃まで昇温しながら融解潜熱を測定
(実施例1、比較例1)
表1に示す割合で各成分を配合し、溶融混練を行うことで樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物の物性値と合わせて表1に示す。
なお、得られた樹脂組成物について、MFRはJIS K7210−1999に準拠し、190℃、2160g荷重の条件で測定しており、密度はJIS K 7112に準拠して測定している。
続いて、実施例1および比較例1で得られた樹脂組成物については、厚さ90μmの単層キャストフィルムを作製し、以下の条件で動的粘弾性測定を行った。
装置:TAインスツルメントジャパン株式会社製、固体試料用動的粘弾性測定装置RSAIII
測定モード:伸長変形
測定周波数:10Hz
昇温速度:3℃/min
測定温度範囲:−10℃〜60℃
上記の条件での動的粘弾性測定で得られたE'(貯蔵弾性率)、E''(損失弾性率)、tanδのチャートを図1として示す。
また、実施例1および比較例1の樹脂組成物によって得られた単層フィルム23℃におけるE'(貯蔵弾性率)、E''(損失弾性率)、50℃におけるE'(貯蔵弾性率)、E''(損失弾性率)については以下の表1に示す。
また、0℃から50℃までの範囲におけるtanδの最大値tanδmax、tanδの最小値tanδmin、tanδmaxとtanδminとの差であるΔtanδについても以下の表1に示す。
さらに、得られた樹脂組成物について、別途厚さ90μmの単層キャストフィルムを作製し、以下に示す条件にて[粘着強度]と[耐汚染性]の評価を行った。結果を表1に示す。
[粘着強度]
JIS Z0237に準拠し、被着体としてアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、アクリライト(登録商標)S)を用い、アクリル板の片面に上記の単層キャストフィルムを2kgの手動式ローラーで2往復圧着により張り合わせ、以下の条件でエージングした。
条件1:23℃×1日(50%RH)
条件2:60℃オーブン×30分
エージング後、引取り速度:300mm/min、180度の角度で剥がし、粘着力を測定し、粘着強度の評価を行った。
[耐汚染性]
被着体としてアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、アクリライト(登録商標)S)を用い、アクリル板の両面にそれぞれ上記の単層キャストフィルムを2kgの手動式ローラーで2往復圧着により張り合わせ、以下の条件でエージングした。
条件1:23℃×1日(50%RH)
条件2:60℃オーブン×30分
エージング後、フィルムを剥がして目視にてアクリル板の汚染の程度(耐汚染性)の評価を行った。評価方法としては以下の通りである。
○:ブランクのアクリライト(登録商標)Sとの差異が見られない
△:ブランクのアクリライト(登録商標)Sに比べ、わずかに汚染が観測される。
×:ブランクのアクリライト(登録商標)Sに比べ、明らかに汚染されているように観測される。
Figure 2016108383
これらの結果は、実施例によって得られた表面保護部材用樹脂組成物から表面保護部材を作製した場合、この表面保護部材は周囲の温度に影響されることなく、一定の粘着性を維持し、部材を剥離した後の被着体への耐汚染性が発現できることを裏付けるものである。
従って、本発明の表面保護部材用樹脂組成物は温度変化に曝される物品の表面を保護する用途にも好ましく用いることができる。
本発明の表面保護部材用樹脂組成物は、幅広い温度領域でも安定的に適度な粘着性を発揮することができ、剥離時の被着体への耐汚染性にも優れる。そのため、種々の物品の表面を保護する用途にて好ましく用いることができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも(A)高圧法低密度ポリエチレン、(B)線状低密度ポリエチレン、(C)非晶性あるいは低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体を含む表面保護部材用樹脂組成物であって、
    当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、
    成分(C)を5質量部以上、25質量部以下含有する、表面保護部材用樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の表面保護部材用樹脂組成物であって、
    脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン類およびスチレン系樹脂からなる群から選ばれる粘着性付与剤を実質的に含まない、表面保護部材用樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の表面保護部材用樹脂組成物であって、
    以下の条件で測定されるΔtanδが0.08以下である表面保護部材用樹脂組成物。
    (条件)
    まず、当該樹脂組成物からキャスト成形法により厚さ90μmのフィルムを作製する。
    続いて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分の条件下で粘弾性測定した場合における、0℃から50℃までの範囲におけるtanδの最大値をtanδmax、tanδの最小値をtanδminとして求める。
    最後に、tanδmaxとtanδminとの差からΔtanδを算出する。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の表面保護部材用樹脂組成物であって、
    当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、
    成分(A)を50質量部以上、80質量部以下含有する、表面保護部材用樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の表面保護部材用樹脂組成物であって、
    当該樹脂組成物の全量を100質量部としたとき、
    成分(B)を10質量部以上、30質量部以下含有する、表面保護部材用樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の表面保護部材用樹脂組成物であって、
    精密電子部材の表面を保護するために用いられる、表面保護部材用樹脂組成物。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の表面保護部材用樹脂組成物からなる層を備える、表面保護フィルムまたはシート。
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