JP2019153423A - 電磁誘導加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スイッチング素子に流れる電流を低減し所望の電力を効率良く供給できるインバータ方式の電磁誘導加熱装置を提供すること。【解決手段】電磁誘導加熱装置は、直流電圧を供給する直流電源1と、直流電源の正負電極間に接続される上下アーム3と、被加熱物を誘導加熱する加熱コイル11、21と、を備え、上下アームを用いたインバータで加熱コイルを含む共振負荷回路に高周波電流を供給し、共振負荷回路は、第一から第三の共振負荷回路を構成でき、第一の共振負荷回路70は、第一の加熱コイル11と第一の共振コンデンサ12の直列体と、直列体に第二の共振コンデンサ22が接続されたものであり、第二の共振負荷回路80は、第二の加熱コイル21と第二の共振コンデンサが直列に接続されたものであり、第三の共振負荷回路90は、直列体と第二の加熱コイル21を直列に接続したものである。【選択図】図1

Description

本発明は、被加熱物に対し所望の電力を供給して誘導加熱を行うインバータ方式の電磁誘導加熱装置に関するものである。
近年、火を使わずに金属製鍋を誘導加熱するインバータ方式の電磁誘導加熱装置が広く用いられるようになってきている。電磁誘導加熱装置は、加熱コイルに高周波電流を流し、この加熱コイルの上方に近接配置した金属製鍋の鍋底に渦電流を発生させ、鍋底自体の電気抵抗により発熱させるものである。電磁誘導加熱装置の従来例として、特許文献1に開示されるような誘導加熱調理器がある。
特許文献1の方式は、同文献の図1等に示されるように、2つのスイッチング素子をオンオフするハーフブリッジ形のインバータにより加熱コイルと共振コンデンサの直列共振回路に高周波電流を流し、金属製鍋を誘導加熱するものである。
特開平2001−126853号公報
特許文献1では、図2Bを用いて後述するように、導通しているスイッチング素子には、加熱コイルと同じ値の電流が流れる。このため、例えば、大火力を用いたい場合や、抵抗の低い金属鍋を加熱するために加熱コイルに大電流を流す場合は、スイッチング素子にも同様の大電流が流れるため、スイッチング素子での導通損失やターンオフ損失の増大を招くという問題があった。
本発明の目的は、上記の課題に対処することであり、特に、金属鍋の材質に拘らずスイッチング素子に流れる電流を低減し所望の電力を効率良く供給できるインバータ方式の電磁誘導加熱装置を提供することである。
上記課題を達成するために、本発明の電磁誘導加熱装置は、直流電圧を供給する直流電源と、該直流電源の正負電極間に接続される上下アームと、被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、を備え、前記上下アームを用いたインバータで該加熱コイルを含む共振負荷回路に高周波電流を供給し、前記共振負荷回路は、第一から第三の共振負荷回路を構成でき、前記第一の共振負荷回路は、第一の加熱コイルと第一の共振コンデンサの直列体と、該直列体に第二の共振コンデンサが接続されたものであり、前記第二の共振負荷回路は、第二の加熱コイルと前記第二の共振コンデンサが直列に接続されたものであり、前記第三の共振負荷回路は、前記直列体と前記第二の加熱コイルを直列に接続したものである。
本発明によれば、スイッチング素子に流れる電流を小さくし、スイッチング素子での導通損失およびターンオフ損失を大幅に低減しつつ、加熱コイルには所望の大電流を流すことができるため、インバータ回路を小型化でき、金属製鍋に所望の電力を効率良く供給することができる。
実施例1の電磁誘導加熱装置の回路構成図。 図1の電磁誘導加熱装置の動作波形。 従来の電磁誘導加熱装置の動作波形。 図1の共振負荷回路に流れる電流経路の説明図。 図1の共振負荷回路に流れる電流経路の説明図。 図1の共振負荷回路に流れる電流経路の説明図。 図1の共振負荷回路に流れる電流経路の説明図。 実施例2の電磁誘導加熱装置の回路構成図。 図4の電磁誘導加熱装置の動作波形。 実施例3の電磁誘導加熱装置の回路構成図。 実施例4の電磁誘導加熱装置の回路構成図。 実施例5の電磁誘導加熱装置の回路構成図。 図8の電磁誘導加熱装置の動作波形。 図8の電磁誘導加熱装置の動作波形。 実施例6の電磁誘導加熱装置の加熱コイル平面図と断面斜傾図。 実施例7の電磁誘導加熱装置の加熱コイル平面図と断面斜傾図。 実施例8の電磁誘導加熱装置の加熱コイル平面図と断面斜傾図。
以下、本発明の実施例について、図面を用いながら説明する。なお、各図において、参照番号が同一のものは同一の構成要件あるいは類似の機能を備えた構成要件を示しており、適宜重複説明を省略している。
図1は実施例1の電磁誘導加熱装置の回路構成図である。図1において、直流電源1は、図示しない商用交流電源から供給される交流電圧を整流し直流電圧を出力する電源である。この直流電源1の正電極と負電極間には、パワー半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)5aと5bが直列に接続された上下アーム3が接続されている。
スイッチング素子5a、5bのそれぞれにはダイオード6a、6bが逆方向に並列接続されており、また、スイッチング素子5aと5bのそれぞれにはスナバコンデンサ7a、7bが並列に接続されている。このスナバコンデンサ7a、7bは、スイッチング素子5a又は5bのターンオフ時の遮断電流によって充電あるいは放電され、両スイッチング素子に印加される電圧の変化が低減することによりターンオフ損失を抑制するものである。
上下アーム3の出力端子と直流電源1の負電極の間には、第一の加熱コイル11と第一の共振コンデンサ12の直列体に第二の共振コンデンサ22が並列接続された第一の共振負荷回路70と、第二の加熱コイル21との直列回路が接続されている。ここで、第二の加熱コイル21と第二の共振コンデンサ22は第二の共振負荷回路80を構成し、第二の加熱コイル21と第一の加熱コイル11および第一の共振コンデンサ12は第三の共振負荷回路90を構成している。
特許文献1との違いは、本実施例では、第二の加熱コイル21と第二の共振コンデンサ22が追加されている点であり、第二の加熱コイル21は、加熱コイルの役割と共に複数の共振負荷回路の構成要素となる。すなわち、加熱コイル21は加熱コイルの役割と複合共振用インダクタの役割を兼ねる点が本実施例の大きな特徴である。尚、加熱コイル11と第一の共振コンデンサ12を入れ替えた構成や、第一の共振負荷回路70と第二の加熱コイル21を入れ替えた構成でも構わない。また、第一の共振負荷回路70と第二の加熱コイル21を上下アーム3の出力端子と直流電源1の正電極の間に接続しても構わない。
図2Aは、本実施例におけるスイッチング周波数一周期分の動作波形である。また、図2Bには、本実施例の効果を説明するための比較例として、第二の加熱コイル21と第二の共振コンデンサ22を持たない特許文献1の電磁誘導加熱装置の動作波形を示す。図中の波形は、上から、スイッチング素子のゲート信号v(5a)、v(5b)、上下アーム出力電圧v(A-B)、加熱コイルの電流i(11)、i(21)、素子の電流ic(5a)、ic(5b)、id(6a)、id(6b)、共振コンデンサの電圧v(22)である。
スイッチング素子と加熱コイルが直接接続された特許文献1の回路構成(特許文献1の図1参照)では、図2Bのコイル電流i(11)と素子電流ic(5a)、ic(5b)の比較から分かるように、オン状態のスイッチング素子の電流がそのまま加熱コイルに流れるため、スイッチング素子と加熱コイルの電流の振幅は同じ値となる。
一方、図2Aに示すように、本実施例の回路構成を適用した場合には、スイッチング素子に流れる電流ic(5a)、ic(5b)の振幅は、加熱コイル11に流れる電流i(11)よりも小さくなっており、本実施例1を適用しない図2Bの場合と比較しても小さくなっている。このように、本実施例1においては、第二の加熱コイル21と第二の共振コンデンサ22からなる第二の共振負荷回路80を設けたことにより、第二の共振コンデンサ22に図2Aのv(22)のような共振電圧を発生させ、この共振電圧を利用することによって第一の共振負荷回路70に大きな電流を流すことが可能である。
図3Aから図3Dは、本実施例における第一の加熱コイル11と第二の加熱コイル21に流れる電流経路の一例を示している。スイッチング素子5a、5bを交互にオンオフすることにより、第二の加熱コイル21に右方向の電流が流れている場合は図3A、図3Bのような電流経路となり、左方向の電流が流れる場合は図3C、図3Dのような電流経路となる。共振負荷回路に流れる電流は、加熱コイル21と金属製鍋との結合による等価インダクタンスと共振コンデンサ22との共振電流と、加熱コイル11と金属製鍋との結合による等価インダクタンスと共振コンデンサ12、22との共振電流と、加熱コイル11、12と金属製鍋との結合による等価インダクタンスと共振コンデンサ12との共振電流が存在する。本実施例では、上下アームの出力電圧より加熱コイル11の電流が遅れ位相になるように、各共振負荷回路の共振定数を設定する。この結果、各スイッチング素子がターンオンする際は、スイッチング素子の電圧がゼロボルトの状態でスイッチングを行うことができターンオン損失は発生しない。出力電力を調整するには、上下アーム3のスイッチング周波数もしく直流電源1の直流電圧を可変することにより制御できる。
以上で説明した本実施例の電磁誘導加熱装置によれば、第二の加熱コイル21と第二の共振コンデンサ22の効果により、スイッチング素子に流れる電流を小さくでき、導通損失およびターンオフ損失を大幅に低減できるため、インバータ回路を小型化でき、金属製鍋に所望の電力を効率良く供給することができる。
図4は実施例2の電磁誘導加熱装置の回路構成図である。図1と同一部分については同一符号を付しており説明は省略する。
本実施例では、第一の共振コンデンサ12と並列に第三の共振コンデンサ13とリレー20の直列回路が接続されている。
ここで、加熱コイル11、21と被加熱物である金属製鍋(図示せず)は磁気的に結合するため、金属製鍋を加熱コイル11、21側からみた等価回路に変換すると、金属製鍋の等価抵抗と等価インダクタンスが直列に接続された構成になる。等価抵抗及び等価インダクタンスは、金属製鍋の材質によって異なり、低抵抗の銅やアルミなど非磁性体の場合は等価抵抗及び等価インダクタンスのどちらも小さくなり、高抵抗の鉄など磁性体の場合はどちらも大きくなる。
ここで、低抵抗の非磁性体は等価抵抗が小さいため所望の出力を得るには大きな電流を流す必要がある。被加熱物の表皮抵抗は周波数の平方根に比例する特徴があり、低抵抗の被加熱物を加熱する場合には、周波数を高くすることが有効である。従って、インバータを例えば約90kHzの周波数で駆動できるように第一の共振コンデンサ12の容量を設定する。
一方、被加熱物が鉄鍋等の高抵抗の磁性体を加熱する場合は、等価抵抗が大きいため加熱コイル11、21には電流が流れ難い。また、前述の銅やアルミの場合は抵抗が小さいためインバータの周波数を約90kHzに高め表皮抵抗を大きくしたが、鉄の場合は元々抵抗が大きいため、むしろ周波数を低くし、例えば約40kHzの周波数で駆動することが望ましい。そこで、本実施例では、被加熱物が鉄鍋等の高抵抗の磁性体を加熱する場合は、リレー20をオンし、第一の共振コンデンサ12に第三の共振コンデンサ13を並列に接続することで共振負荷回路70、90の共振周波数を下げることが可能である。
図5は、リレー20をオン状態とした場合におけるスイッチング周波数一周期分の動作波形である。図中の波形は、上から、スイッチング素子のゲート信号v(5a)、v(5b)、上下アーム出力電圧v(A−B)、加熱コイルの電流i(11)、i(21)、素子の電流ic(5a)、ic(5b)、id(6a)、id(6b)、共振コンデンサの電圧v(22)、リレーの駆動信号v(20)である。
図5に示すように、リレー20をオン状態として共振負荷回路70、90の共振周波数を下げ、インバータの周波数を下げた場合においても、スイッチング素子に流れる電流ic(5a)、ic(5b)の振幅は、加熱コイル11に流れる電流i(11)よりも小さくなっている。
前述の実施例1の図1と同様に、本実施例でも、第二の加熱コイル21と第二の共振コンデンサ22からなる第二の共振負荷回路80を設けたことにより、第二の共振コンデンサ22にv(22)のような共振電圧を発生させ、この共振電圧を利用することによって第一の共振負荷回路70に大きな電流を流すことが可能である。
このように、本実施例では、実施例1同様の効果が得られるとともに、リレー20の切替えにより、共振負荷回路70、90の共振コンデンサの容量を切替えができる。従って、インバータの駆動周波数の設定範囲を広げることができ被加熱物の材質に合わせて最適な周波数で加熱することができる。
図6は実施例3の電磁誘導加熱装置の回路構成図である。図1と同一部分については同一符号を付しており説明は省略する。
本実施例では、実施例1の第一の共振コンデンサ12と第二の共振コンデンサ22に加え、それらの接続点と直流電源1の正電極間に第四の共振コンデンサ14と、第五の共振コンデンサ24が接続されている。
このように、第四の共振コンデンサ14と第五の共振コンデンサ24を更に設けることにより、実施例1の構成に比べ、直流電源1に流れるスイッチング周波数に起因するリップル電流を軽減することができる。
図7は実施例4の電磁誘導加熱装置の回路構成図である。図6と同一部分については同一符号を付しており説明は省略する。
本実施例では、第一の共振コンデンサ12と並列に第三の共振コンデンサ13とリレー20の直列回路が接続されている。
本実施例の構成によれば、実施例3の構成で得られる効果に加え、実施例2の構成で得られる効果が加わり、インバータの駆動周波数の設定範囲を広げることができ被加熱物の材質に合わせて最適な周波数で加熱することができる。
図8は実施例5の電磁誘導加熱装置の回路構成図である。図4と同一部分については同一符号を付しており説明は省略する。
本実施例では、直流電源1の正電極と負電極間には、スイッチング素子5cと5dが直列に接続された第二の上下アーム4が接続されており、第一の上下アーム3の出力端子と第二の上下アーム4の出力端子間に共振負荷回路70、80、90が接続されている。
スイッチング素子5c、5dのそれぞれにはダイオード6c、6dが逆方向に並列接続されており、また、スイッチング素子5cと5dのそれぞれにはスナバコンデンサ7c、7dが並列に接続されている。このスナバコンデンサ7c、7dは、前述のスナバコンデンサ7a、7bと同様の役割を果たし、スイッチング素子5c又は5dのターンオフ時の遮断電流によって充電あるいは放電され、両スイッチング素子に印加される電圧の変化が低減することによりターンオフ損失を抑制するものである。以下では、図9と図10に示すスイッチング周波数一周期の動作波形を用いて、アルミ鍋などの非磁性体加熱時に用いるハーフブリッジ回路方式(図9)と、鉄鍋などの磁性体加熱時のフルブリッジ回路方式(図10)の違いを説明する。
被加熱物が銅鍋やアルミ鍋等の非磁性体の場合は、ハーフブリッジ回路方式のインバータを用いて金属製鍋を誘導加熱する。具体的には、図9に示すようにリレー20をオフし、第一の上下アーム3のスイッチング素子5a、5bを交互にオンオフし、第二の上下アーム4のスイッチング素子5cを常時オフ状態、スイッチング素子5dを常時オン状態とするSEPP(Single Ended Push-Pull)方式のインバータで加熱を行う。前述の図2Aに示す動作波形との違いは、加熱コイル21の正方向の電流がスイッチング素子5dに流れ、負方向の電流がダイオード6dに流れる点である。尚、第二の上下アーム4のスイッチング素子5cを常時オン状態、スイッチング素子5dを常時オフ状態としても構わない。その場合は、加熱コイル21の正方向の電流がダイオード6cに流れ、負方向の電流がスイッチング素子5cに流れることになる。
前述のように、低抵抗の非磁性体は等価抵抗が小さいため所望の出力を得るには大きな電流を流す必要がある。被加熱物の表皮抵抗は周波数の平方根に比例する特徴があり、銅又はアルミなどの低抵抗の被加熱物を加熱する場合には、周波数を高くすることが有効である。従って、第一の上下アーム3を例えば約90kHzの周波数で駆動できるように第一の共振コンデンサ12の容量を設定する。
一方、被加熱物が鉄鍋等の磁性体の場合は、フルブリッジ回路方式のインバータを用いて金属製鍋を誘導加熱する。具体的には、図10に示すようにリレー20をオンし、第一の上下アーム3のスイッチング素子5a、5bを交互にオンオフし、第二の上下アーム4のスイッチング素子5c、5dを交互にオンオフし、フルブリッジ方式のインバータで加熱を行う。
前述のように、高抵抗の磁性体は等価抵抗が大きいため加熱コイル11、21には電流が流れ難い。従って、フルブリッジ回路方式に切替えることによりインバータの出力電圧、即ち二つの上下アームの出力電圧を図13のv(A−B)のようにハーフブリッジ回路方式の2倍に高め所望の出力を得ることができる。前述の銅やアルミの場合は抵抗が小さいためインバータの周波数を約90kHzに高め表皮抵抗を大きくしたが、鉄の場合は元々抵抗が大きいため、例えば約40kHzの周波数で第一の上下アーム3、第二の上下アーム4を駆動することが望ましい。このため、第一の共振コンデンサ12と第三の共振コンデンサ13の合成容量が約40kHzの駆動周波数になるように、第三の共振コンデンサ13の容量を設定する。
出力電力を調整するには、上下アーム3、4のスイッチング周波数もしく直流電源1の直流電圧を可変することにより制御できる。また、本実施例では、上下アーム3と上下アーム4の位相差制御によっても出力電力を調整できるため、電力調整の制御性が向上する。
このように、本実施例では上下アーム3、4の駆動条件を切り替えることにより、フルブリッジ回路方式とハーフブリッジ回路方式の切り替えが可能となり、リレー20の切り替えによって共振負荷回路70、90の共振コンデンサの容量を切替えができる。従って、インバータの出力電圧範囲と駆動周波数の設定範囲を広げることができ被加熱物の材質に合わせて最適なインバータ電圧と周波数で加熱することができる。
図11は、実施例6の電磁誘導加熱装置の加熱コイル平面図と、平面図上に示したab間の断面斜傾図である。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略している。
図11において、第一、第二の加熱コイル11、21は、ほぼ同一平面上にそれぞれ内側と外側に同心円になるように配置されている。加熱コイル11、21は高周波抵抗の低いリッツ線を同心円状に巻回した構造であり、断面斜傾図では半月状の塊として表している。その加熱コイル11、21の下面にはコイル中心から同じ角度毎に放射状に配置されたU字の磁性体を設けている。ここでは、磁性体51a〜51lの12本を30度毎に配置している。これらの磁性体は加熱コイル11、21の下面と側面方向に対する漏れ磁界を抑制し、加熱コイル11、21の上面方向、即ち被加熱物である鍋へ磁束を誘導する。
図11においては、大きな電流が流れる第一の加熱コイル11を内側に、小さな電流が流れる第二の加熱コイル21を外側に配置しているが、逆に配置することも可能である。しかしながら、本実施例のように大きな電流が流れる第一の加熱コイル11を内側に配置することにより、外径の小さい金属製鍋を加熱する場合においても効率良く加熱することができる。また、図2Aで示したように、小さな電流が流れる第二の加熱コイル21を外側に配置することにより、鍋以外に漏れる磁界を低減する効果も得られる。
実施例6の図11では、図2Aに示すように加熱コイル11と加熱コイル21に流れる電流値が大きく異なるものの各々の電流に位相差があるため、磁性体51a〜51lの上に加熱コイル11、21がある場合は、加熱コイル11、21が作る磁界を打ち互いに打ち消す方向に作用するという課題が生じる。そこで、この課題を解決するための本実施例の加熱コイルについて説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略している。
図12は、実施例7の電磁誘導加熱装置の加熱コイル平面図と、平面図上に示したab間の断面斜傾図である。実施例6の図11と異なる点は、加熱コイル11と21の間で磁気的な結合を抑制するために、各々に分離独立した磁性体51a〜51lと71a〜71lを備えている点である。
コイル間の磁気的結合を抑制するには二つのコイル間の隙間は広いほうが良いが、限られた外径寸法で各々の加熱コイルの巻数を増やし電流を低減すには、コイル間を狭くする必要がある。そこで、本実施例では、内側の磁性体51a〜51lを30度の角度毎に配置し、外側の磁性体71a〜71lを内側の磁性体51a〜51lに対し15度ずらして配置している。
これにより、磁性体51a〜51lの外側立ち上がり部分と磁性体71a〜71lの内側立ち上がり部分がコイル中心からほぼ同じ距離rの位置となり、加熱コイル11と加熱コイル21の隙間を狭くし、限られたスペースにより多くの巻数を確保することができる。
実施例6、実施例7では、大きな電流が流れる第一の加熱コイル11を内側に配置しているため、外径が大きい鍋を加熱する場合には、内側の磁界が強く加熱むらが生じる課題がある。そこで、この課題を解決するための加熱コイルについて説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略している。
図13は、実施例8の電磁誘導加熱装置の加熱コイル平面図と、平面図上に示したab間の断面斜傾図である。前述の実施例6,7(図11、図12)と異なる点は、加熱コイルを同心円状に内、中、外に分割し、第一の加熱コイル11を内側と外側に分割配置し、第二の加熱コイル21を挟み込むように三重巻きの構造になっている点である。その結果、内側と外側に配置した第一の加熱コイル11に大きな電流を流して誘導加熱を行うことにより、前述のような加熱むらを防止することができる。
1 直流電源、
3、4 上下アーム、
5a〜5d スイッチング素子、
6a〜6d ダイオード、
7a〜7d スナバコンデンサ、
12〜14、22、24 共振コンデンサ、
11、21 加熱コイル、
20 リレー、
51a〜51l、71a〜71l 磁性体、
70 第一の共振負荷回路、
80 第二の共振負荷回路、
90 第三の共振負荷回路

Claims (7)

  1. 直流電圧を供給する直流電源と、
    該直流電源の正負電極間に接続される上下アームと、
    被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、を備え、
    前記上下アームを用いたインバータで該加熱コイルを含む共振負荷回路に高周波電流を供給する電磁誘導加熱装置であって、
    前記共振負荷回路は、第一から第三の共振負荷回路を構成でき、
    前記第一の共振負荷回路は、第一の加熱コイルと第一の共振コンデンサが直列に接続された第一の直列体と、該第一の直列体に第二の共振コンデンサが並列に接続されたものであり、
    前記第二の共振負荷回路は、第二の加熱コイルと前記第二の共振コンデンサが直列に接続されたものであり、
    前記第三の共振負荷回路は、前記第一の直列体と前記第二の加熱コイルが直列に接続されたものであることを特徴とする電磁誘導加熱装置。
  2. 請求項1に記載の電磁誘導加熱装置において、
    前記第一の共振コンデンサの一端、および、前記第二の共振コンデンサの一端は負電極に接続されており、
    前記第一の共振負荷回路は、さらに、前記第一の加熱コイルと第四の共振コンデンサが直列に接続された第二の直列体と、該第二の直列体に並列に接続された第五の共振コンデンサを有しており、
    前記第二の共振負荷回路は、前記第二の加熱コイルと前記第二の共振コンデンサの接続点と正電極の間に、前記第五の共振コンデンサを接続したものであり、
    前記第三の共振負荷回路は、前記第一の加熱コイルと第一の共振コンデンサの接続点と正電極の間に、前記第四の共振コンデンサを接続したものであることを特徴とする電磁誘導加熱装置。
  3. 請求項1に記載の電磁誘導加熱装置において、
    前記上下アームは、第一の上下アームと、第二の上下アームと、を備え、
    前記第一から第三の共振負荷回路を、前記第一の上下アームの出力端子と前記第二の上下アームの出力端子の間に接続したことを特徴とする電磁誘導加熱装置。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の電磁誘導加熱装置において、更に、
    前記第一の共振コンデンサに並列に第三の共振コンデンサと、
    該第一の共振コンデンサから該第三の共振コンデンサを切り離すリレーを備え、
    該リレーは、前記被加熱物が非磁性体の場合にオフ状態となり、
    前記被加熱物が磁性体の場合にオン状態となることを特徴とする電磁誘導加熱装置。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載の電磁誘導加熱装置において、
    前記第一、第二の加熱コイルは、略同一平面上に配置され、
    前記第一、第二の加熱コイルが発生する磁束が下面と側面方向に対して漏れることを抑制する磁性体を備え、
    前記磁性体を、前記第一、第二の加熱コイルの下面に放射状に略均等角度に配置したことを特徴とする電磁誘導加熱装置。
  6. 請求項5に記載の電磁誘導加熱装置において、
    前記第一、第二の加熱コイルは、同心円状に配置され
    前記磁性体は、前記第一、第二の加熱コイルの下面にそれぞれ放射状に略均等角度に配置したU字形状の磁性体であり、
    内側の加熱コイルの下面に配置した前記磁性体と、外側の加熱コイルの下面に配置した前記磁性体を略均等角度にずらして互い違いに配置し、
    内側の磁性体の外側立ち上がり部と、外側の磁性体の内側立ち上がり部が、コイル中心から略同距離に位置することを特徴すると電磁誘導加熱装置。
  7. 請求項5に記載の電磁誘導加熱装置において、
    前記第一の加熱コイルは、同心円状の内側と外側に分割配置され、
    前記第二の加熱コイルは、内側と外側に分割配置された第一の加熱コイルとの間に配置されたことを特徴とする電磁誘導加熱装置。
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