JP2011150799A - 誘導加熱装置 - Google Patents

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武 北泉
Akira Kataoka
章 片岡
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Abstract

【課題】整流回路を共用化した構成で2つのインバータを動作させる方式において、加熱コイル間の周波数差を可聴域以上に設けても干渉音が発生する。
【解決手段】同時動作の際にはインバータ4、5の駆動周波数間に可聴周波数以上の周波数差を設けるとともに、周波数が低い側のインバータは導通比率50%を維持した周波数制御を行い、高い側のインバータには周波数の上限を設けることで半導体スイッチの損失を軽減させかつ干渉音を防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高周波磁界による誘導加熱を利用して被加熱物の加熱を行う誘導加熱調理装置に関するものである。
従来この種の誘導加熱装置は複数の加熱コイルと複数のインバータを構成しているものがある(例えば、特許文献1参照)。図12は、従来の誘導加熱装置の回路構成を示す図である。図12に示すように、交流電源21と商用電源を整流する整流回路22と、整流回路22の電圧を平滑する平滑コンデンサ29と、平滑コンデンサ29の出力を高周波電力に変換し第1及び第2の加熱コイル26、27に高周波電力を供給する第1及び第2のインバータ24、25と、交流電源21からの入力電流を検出する入力電流検出手段23と、入力電流検出手段23の値が設定値となるように第1及び第2のインバータ24、25内にある半導体スイッチの動作状態を制御するマイクロコンピュータなどで構成される制御手段28より構成されている。
続いて、従来の誘導加熱装置の動作を説明する。制御手段28は、交流電源21からの入力電流をカレントトランスなどので構成される入力電流検出手段23で検出し、入力電流が予め設定された電流値になるように、第1及び第2のインバータ24、25内の半導体スイッチの導通時間を制御することで第1及び第2のインバータ24、25に接続された第1及び第2の加熱コイル26、27に必要な高周波電流を供給する。
そして、第1及び第2の加熱コイル26、27に供給された高周波電流により、第1及び第2の加熱コイル26、27より高周波磁界が発生し、加熱コイルと磁気的に結合する鍋などの負荷に高周波磁界が印可される。この印可された高周波磁界により、鍋などの負荷に渦電流が発生し、この渦電流と鍋自身が持つ表皮抵抗により鍋自身が発熱する。また、制御手段28は入力電流値を変えることで、鍋の加熱量を調整するため第1及び第2のインバータ24、25内の半導体スイッチの駆動周波数や導通比率を変えることになる。
そして、第1及び第2の加熱コイル26、27(第1及び第2のインバータ24、25)が異なる周波数で動作した場合、第1の加熱コイル26に流れる電流の周波数と第2の加熱コイル27に流れる電流の周波数の差の周波数が可聴域の周波数となると(概ね20kHz以下)、差の周波数による音(以下干渉音)が機器使用者に聞こえることになる。
そのため、可聴域以上(概ね20kHz以上)の周波数差を付けて加熱する方法などが提案されている。
米国特許出願公開第2007/7135037号明細書 実開昭57−179296号公報
しかしながら、前記従来の構成では、一方の加熱コイルにおいて、鍋の種類や加熱コイルへの供給電力の調整をインバータ内の半導体スイッチの駆動周波数を変えて行う場合には可聴域以上(おおよそ概ね20kHz程度)の幅が必要とされるため、干渉音をさけるためには、もう一方の加熱コイルのインバータ内の半導体スイッチの駆動周波数が60〜
80kHz程度になってしまい、半導体スイッチのスイッチング動作時の損失が大幅に増える課題が生じることになる。
一方、この課題を解決するために周波数を一定にしてインバータ内での半導体スイッチの導通時間の比率(以下導通比率)で電力を調整する方法がある。しかし、図13に示す様に導通比率が50%の際には駆動周波数(図13では20kHz)の高調波として3次高調波(図13では60kHz)が多くを占めているものが(図13(a)参照)、導通比率が50%からずれるに従い駆動周波数の2次高調波(図13では40kHz)が多く発生することになる(図13(b)参照)。特に、従来の誘導加熱装置のように一つの平滑コンデンサより複数の加熱コイルとインバータを動作させる際には、それぞれの加熱コイル電流で発生した周波数成分が共通部品である平滑コンデンサを通してお互いに加熱コイルに重畳することになる。
具体的には、図14に示すように第1のインバータが20kHzで駆動し、第2のインバータが44kHzで駆動している場合には、第1のインバータの2次高調波である40kHzと第2のインバータの駆動周波数である44kHzの差の4kHzの成分が加熱コイル電流の発生し、鍋を通して干渉音として発生するという課題を有している。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、整流回路を共用化した構成で2つのインバータを動作させる方式において、干渉音の発生が少なくかつ半導体スイッチの損失が大きく増加しない誘導加熱装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために本発明の誘導加熱装置は、交流電源を整流する整流回路と、前記整流回路の出力を平滑する平滑コンデンサと前記平滑コンデンサの出力を半導体スイッチを用い所定の周波数の電力に変換し第1および第2の加熱コイルに高周波電力を供給するために並列に配置された第1および第2のインバータと、前記第1のインバータ及び第2のインバータ内の半導体スイッチの導通時間を制御する制御手段とを備え、前記第1のインバータの駆動周波数と前記第2インバータの駆動周波数を可聴域以上(概ね20kHz以上)離し、かつ前記第1のインバータ及び第2のインバータの入力電力を導通比率を略50%かつ駆動周波数を可変することで変化させると共に、前記第2インバータの駆動周波数に上限を設ける誘導加熱装置としたものである。
これによって、整流回路を共用化した構成で2つのインバータを動作させる方式において、干渉音の発生が少なく、かつ半導体スイッチの損失が大きく増加しない誘導加熱装置を実現できる。
本発明の誘導加熱装置は、整流回路を共用化した構成で2つのインバータを動作させる方式において、一方のインバータの駆動周波数をもう一方のインバータの駆動周波数より可聴域以上(概ね20kHz)以上離すと共に、駆動周波数の低い側を導通比率が略50%で周波数制御を行い、周波数の高い側では導通比率が略50%で周波数制御を行いかつ周波数に上限を設けることで、加熱コイル間に発生する干渉音を少なくすることができ、かつ駆動周波数が高い側のインバータの半導体スイッチの損失を抑えることができるため、動作中の音が少ない静かな誘導加熱装置とすることができる。
本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の回路構成を示す図 本発明の実施の形態1における誘導加熱装置のインバータの駆動信号を示す図 本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の電力特性を示す図 本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の電力制御の方法を示す図 本発明の実施の形態1における誘導加熱装置のインバータの駆動信号を示す図 本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の電力特性示す図 本発明の実施の形態2における誘導加熱装置の電力制御の方法を示す図 本発明の実施の形態2における誘導加熱装置の電力制御の方法を示す図 本発明の実施の形態3における誘導加熱装置の電力制御の方法を示す図 本発明実施の形態3における誘導加熱装置の電力制御の方法を示す図 本発明実施の形態4における誘導加熱装置の構成を示す図 従来の誘導加熱装置の回路構成を示す図 従来の誘導加熱装置の加熱コイルの周波数解析の例を示す図 従来の誘導加熱装置の加熱コイルの周波数解析の例を示す図
第1の発明は、交流電源を整流する整流回路と、前記整流回路の出力を平滑する平滑コンデンサと前記平滑コンデンサの出力を半導体スイッチを用い所定の周波数の電力に変換し第1および第2の加熱コイルに高周波電力を供給するために並列に配置された第1および第2のインバータと、前記第1のインバータ及び第2のインバータ内の半導体スイッチの導通時間を制御する制御手段とを備え、前記第1のインバータの駆動周波数と前記第2インバータの駆動周波数を可聴域以上離し、かつ前記第1のインバータ及び第2のインバータの入力電力を、導通比率を略50%かつ駆動周波数を可変することで変化させると共に、前記第2インバータの駆動周波数に上限を設けることにより、整流回路を共用化した構成で2つのインバータを動作させる方式において、干渉音の発生が少なくかつ半導体スイッチの損失が大きく増加しない誘導加熱装置を実現することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、第2のインバータの駆動周波数の上限に到達後、入力電力を減少させる際には導通比率を可変することで入力電力を変化させることにより、干渉音の発生が少なくかつ低電力まで電力制御が可能な誘導加熱装置を実現することができる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、第2のインバータの駆動周波数の上限に到達後、入力電力を減少させる際にはデューティを変えることで入力電力を変化させることにより、干渉音の発生が少なくかつ低電力まで電力制御が可能な誘導加熱装置を実現することができる。
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明において、第1にインバータの駆動周波数に上限を設け、上限に到達後デューティを変えることで入力電力を変化させることにより、第1のインバータの周波数の変動範囲を少なく抑えることができ、結果第2のインバータの周波数も低く抑えることができるため、干渉音の発生が少なくかつ半導体スイッチの損失の少ない誘導加熱装置を実現することができる。
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明において、第2のインバータの周波数上限を第1のインバータの周波数上限の2倍とすることにより、上限に到達後に電力制御を行う際に、第1のインバータの2次高調波が第2のインバータの基本波の周波数と同一となるため干渉音が発生しない誘導加熱装置を実現することができる。
第6の発明は、特に、第5の発明において、第1のインバータ及び第2のインバータの双方が周波数上限で制御を行う際には導通比率を変化させることで入力電力を可変させることにより、低電力まで電力制御が可能で、干渉音の発生が少なく、かつ半導体スイッチ
の損失の少ない誘導加熱装置を実現することができる。
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1つの発明において、第1の加熱コイルの最大電力を第2の加熱コイルの最大電力よりも大きくすることにより、冷却効率の悪い径の小さな加熱コイルの出力を抑える構成となるため、冷却構成を簡素化でき音の静かな誘導加熱装置を実現することができる。
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明において、第1の加熱コイルの外径を第2の加熱コイルの外径より大きくすることにより、冷却効率の悪い径の小さな加熱コイルの出力を抑える構成となるため、冷却構成を簡素化でき音の静かな誘導加熱装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態は請求項1〜2に係わる。図1は本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の回路構成を示す図である。図1において、交流電源1と、交流電源1を整流する整流回路2と、整流回路2の出力を平滑する平滑コンデンサ9と、平滑コンデンサ9の出力を高周波電力に変換する第1及び第2のインバータ4、5と、それぞれのインバータに接続されインバータから高周波電流が供給される第1及び第2の加熱コイル6、7と、交流電源1から整流回路2に流れる電流をカレントトランスなどで検出する入力電流検出手段3と、入力電流検出手段3の検出値が設定値になる様に第1及び第2のインバータ内の半導体スイッチを制御する制御手段8より構成される。
なお、制御手段8の目標値としては、入力電流以外に加熱コイルの電流や電圧などあるが特に限定するものではない。
また、第1のインバータ4は、平滑コンデンサ9に並列に接続される第1の半導体スイッチ11と第2の半導体スイッチ12の直列接続体と第1の及び第2の半導体スイッチ11、12の直列接続体の中点と平滑コンデンサ9の一端または両端に接続される第1の加熱コイル6と第1の共振コンデンサ13の直列接続体で構成されるハーフブリッジ回路で構成する場合が多いが、フルブリッジ回路であっても特に問題はない。半導体スイッチは、IGBTやMOSFETと各素子に逆方向に並列接続したダイオードで構成する場合が多い。
同様に、第2インバータ5は、平滑コンデンサ9に並列に接続される第3の半導体スイッチ14と第4の半導体スイッチ15の直列接続体と第3及び第4の半導体スイッチ14、15の直列接続体の中点と平滑コンデンサ9の一端または両端に接続される第1の加熱コイル6と第2の共振コンデンサ16の直列接続体で構成されるハーフブリッジ回路である。
第1のインバータ4と第1の加熱コイル6、及び第2のインバータ5と第2の加熱コイル7は、制御手段8の指令に従い、それぞれの加熱コイルに20kHz〜60kHz程度の高周波電流を供給し、この高周波電流によって加熱コイルから発生した高周波磁界が鍋などの負荷に供給される。
この高周波磁界による鍋の表面に渦電流が発生し、渦電流と鍋などの負荷自身の抵抗により、鍋を誘導加熱することになる。
一方、図1の様に第1の加熱コイル6と第1の共振コンデンサ13の直列共振回路を利
用した第1のインバータ4では、制御手段8は鍋の材質あるいは入力電力を変えるために鍋を載置した第1の加熱コイル6のインダクタンスと第1の共振コンデンサ13の容量で決まる共振周波数に対して駆動周波数を変化させることで、入力電流などが所定値になるように第1及び第2の半導体スイッチ11、12を制御する場合が多い。第2の加熱コイル7と第2の共振コンデンサ16の直列共振回路を利用した第2のインバータ5も同様である。その際、第1の加熱コイルと第2の加熱コイルが同時に動作する際に、それぞれが異なる周波数で動作し、かつ駆動周波数の差が20kHz以内である場合には干渉音として機器使用者に聞こえることになる。
本実施の形態では、第1の加熱コイル6と第2の加熱コイル7の駆動周波数が可聴域以上(概ね20kHz以上)離れる様にそれぞれのインバータを設計して動作させる。そこで、第1のインバータ4が負荷の違いや電力制御範囲を考慮すると使用する駆動周波数は20kHz〜40kHz程度になるため、第2のインバータ5の駆動周波数は60kHz〜80kHzとなる。一方、第1のインバータ4の駆動周波数を低くするために、駆動周波数を一定にして導通時間の比率で電力制御を行おうとすると、従来の誘導加熱装置で示した様に第1の加熱コイル6及び第1にインバータ4では2次高調波が増加し、平滑コンデンサ9を通して第2の加熱コイル7に重畳されるため、第2の加熱コイル7と第2のインバータ5の駆動周波数と間で干渉音が発生することになる。
図2は本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置のインバータの起動信号を示す図である。図2において、第1のインバータ4の駆動信号を示しており、第1のインバータ4の内、第1の半導体スイッチ11の駆動信号をa)及びc)に、第2の半導体スイッチ12の駆動信号をb)及びd)に示している。
図3は本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の電力特性を示す図である。
本実施の形態1のインバータでは図3に示すように駆動周波数を高くすると入力電力が下がる特性を利用する場合が多い。そこで、図2のa)、b)の様に駆動周波数が低い(周波数:fa)ときには入力電力が大きく、c)、d)の様に駆動信号が高い(周波数:fb)場合には入力電力が低くなる。
ここで、駆動周波数が低い第1のインバータ4では、2次高調波の発生が影響を押さえるため第1のインバータ4の駆動周波数が、導通比率50%を維持する様に周波数変化のみで電力制御を行っている。
一方、駆動周波数が第1にインバータ4の駆動周波数より20kHz以上高い第2のインバータ5では、第1のインバータ4同様に駆動周波数を変化させるのみで電力制御を行うと周波数が高くなりすぎ、半導体スイッチのスイッチング損失が増加することになる。
そこで、駆動周波数に上限(fd)を設けて、駆動周波数の上限に達した後、他の制御方法で電力を下げる方式とすることで、駆動周波数の上昇を抑制し、半導体スイッチの損失増加を抑制している。
図4は本発明の第1の実施の形態1における誘導加熱装置の電力制御の方法を示す図である。
本実施の形態では図4に示すように、第2のインバータ5は高出力時は周波数制御を行い、低出力時などで駆動周波数が上限に達した後は駆動周波数を一定にして(fd)導通時間で制御を行っている。
一方、第1のインバータ4は、2次高調波が抑えられるように導通比率が略50%で、周波数制御を行っている。本実施の形態では、周波数の上限を低出力時と記載しているが、どの出力に周波数の上限値を持ってきても特に問題ではない。
図5は本発明の第1の実施の形態のおける誘導加熱装置のインバータの駆動信号を示す図であり、第2のインバータ5の内、半導体スイッチ2a114の駆動信号をa)、c)に、半導体スイッチ2b15の駆動信号をb)、d)に示している。
図6は本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の電力特性示す図である。
本実施の形態のインバータでは、図6に示すように導通時間比率を下げると入力電力が下がる特性を利用している。図5のa)、b)の様に導通比率が略50%に近い場合は入力電力が大きく、c)、d)の様に導通比率が低い場合には入力電力が低くなる。本実施の形態ではこの特性を利用して電力制御を行っている。第2のインバータ5において、導通比率制御を行った場合、第2のインバータ5で発生する高調波は、差の周波数が可聴域となる基本周波数がないため、問題にならない。
なお、第2のインバータ5の制御を周波数一定にして高出力から低出力まで導通比率のみで制御すると、周波数変化と導通比率の変化を併用したものに比べ、導通比率に対する分解能が悪くなるため、電力制御の精度が悪化するなどの課題も生じる。
以上のように本実施の形態では、第2のインバータ5の駆動周波数を第1のインバータ4の駆動周波数と20kHz以上離すとともに、第2インバータ5の駆動周波数に上限を設けることにより、整流回路2を共用化した構成で2つのインバータを動作させる方式において、干渉音の発生が少なくかつ半導体スイッチの損失が大きく増加しない誘導加熱装置を実現できるものである。
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態は請求項3に係わる。本実施の形態の構成は実施の形態1と同一である。
本実施の形態の動作に関して説明する。本実施の形態は、実施の形態1と同様な動作を行うが、第2のインバータ5の駆動周波数が上限に達した後の動作のみ異なる。
図7は本発明の第2の実施の形態における誘導加熱装置の電力制御の方法を示す図である。本実施の形態では、第2のインバータ5が、高出力時は周波数制御を行い、低出力時などで駆動周波数が上限に達した後は駆動周波数を一定にして(fd)導通比率50%を維持しながら、インバータの動作時間で制御を行うデューティ制御を行っている。
図8は、本発明の第2の実施の形態における誘導加熱装置の電力制御の方法を示す図であり、インバータの動作時間を示すものである。期間t1では、インバータは導通状態を継続しており、オフ期間はインバータは非導通状態となっている。導通状態では、インバータ内の半導体スイッチが所定の駆動周波数で交互にスイッチング動作をしており、この状態を連続的継続する期間をオン期間とし、連続的に半導体スイッチが動作しない期間をオフ期間としている。このオン期間(t1(sec))とオフ期間(t2(sec))の比率とオン期間での入力電力により平均的な入力電力が決定される。本方式の制御では、導通時間比率が50%を維持し、かつ第2のインバータ5が低出力の時でも、駆動周波数が上げずに電力調整ができるため半導体スイッチの損失も大きく増加しないことになる。
以上のように本実施の形態では、第2のインバータ5の駆動周波数を第1のインバータ
4の駆動周波数と20kHz以上離すとともに、第2インバータ5の駆動周波数に上限を設けることにより、整流回路2を共用化した構成で2つのインバータを動作させる方式において、干渉音の発生が少なくかつ半導体スイッチの損失が大きく増加しない誘導加熱装置を実現できるものである。
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態は請求項4〜6に係わる。本実施の形態の構成は実施の形態1と同一である。
本実施の形態の動作に関して説明する。本実施の形態は、実施の形態1及び実施の形態2と同様な動作を行うが、第1のインバータ4の駆動周波数の上限を設けている点が異なる。
図9は本発明の第3の実施の形態における誘導加熱装置の電力制御の方法を示す図である。本実施の形態では、第1のインバータ4が、高出力時は周波数制御を行い、低出力時などで駆動周波数が上がる場合に、上限を設けている。第1のインバータ4の駆動周波数が低出力時などで周波数の上限に達した後は、駆動周波数を一定にして(fd)導通比率50%を維持しながら、インバータの動作時間で制御を行うデューティ制御を行っている。この様に第1のインバータ4の駆動周波数に上限を設けることにより、第1のインバータ4から可聴域以上駆動周波数を離す第2のインバータ5の駆動周波数も低く設定することが可能になるため駆動周波数の上昇を抑え、半導体スイッチの損失を低く抑えることが可能になる。
また、第2のインバータ5の駆動周波数上限を第1のインバータ4の駆動周波数の上限の2倍の周波数にすることで、2つのインバータが低出力などで周波数一定で動作している場合には、第1のインバータ4で導通比率制御を行って2次高調波が発生しても、第2のインバータ5の駆動周波数と同じになるため干渉音は発生しない。
図10は本発明の第3の実施の形態における誘導加熱装置の電力制御の方法を示す図である。
そこで、図10に示す様に第1のインバータ4と第2のインバータ5が周波数上限にある場合には、第1のインバータ4が導通比率制御を行うことで、同時動作時の第1のインバータ4の制御性が向上することになる。
以上のように本実施の形態では、第2のインバータ5の駆動周波数を第1のインバータ4の駆動周波数と20kHz以上離すとともに、第1インバータ4の駆動周波数に上限を設けることにより、整流回路2を共用化した構成で2つのインバータを動作させる方式において、干渉音の発生が少なくかつ半導体スイッチの損失が大きく増加しない誘導加熱装置を実現できるものである。
(実施の形態4)
本発明の第4の実施の形態を説明する。本実施の形態は請求項7〜8に係わる。本実施の形態の構成が実施の形態1と異なるのは、第1の加熱コイルの外径を第2の加熱コイルの外径より大きくしている点である。
本実施の形態の動作に関して説明する。図11は本発明の第4の実施の形態における誘導加熱装置の構成を示す図である。トッププレート18下の配置される加熱コイルの内、形状の大きな第1の加熱コイル6を手前側に、形状の小さな第2の加熱コイル7を奥に配置しており、第1の加熱コイルの前には誘導加熱装置の操作や装置の状態を表示する操作
・表示部が配置されている。
加熱コイルと共振コンデンサが直列に接続される構成のハーフブリッジあるいはフルブリッジインバータでは、鍋などの負荷を含む加熱コイルのインダクタンスと共振コンデンサの容量で決まる共振周波数より、駆動周波数を高く設定し、共振周波数から駆動周波数をずらしていくことで負荷の材質、形状に対する対応や電力調整を行っている。そのため、共振周波数と最大電力時の駆動周波数は近い周波数になる場合が多い。
ここで、第1のインバータ4と第2にインバータ5は駆動周波数が2倍程度になるため、共振周波数も2倍程度異なることが望ましい。
ここで、共振周波数を2倍程度にするためには共振周波数が加熱コイルのインダクタンスと共振コンデンサの容量の積の平方根に反比例することから、加熱コイルのインダクタンスと共振コンデンサの容量の積を小さくする必要がある。
一方、加熱コイルのインダクタンスは巻数の2乗と外径に比例して大きくなるため、外径が小さく巻数も多く取れない形状の小さくな加熱コイルはインダクタンスが小さくなる傾向になる。
そこで、形状の小さな加熱コイル側の共振周波数を高く設定することで無理なく周波数差を設けることができることになる。
また、形状の大きな第1の加熱コイル6の最大電力を大きくすることで、インバータの損失が大きくなる高周波動作を行う第2の加熱コイル7の最大電力を抑え、損失が増加することを防止することができる。
以上の様に本実施の形態では、第1の加熱コイルの外径を第2の加熱コイルの外径より大きくすることにより、加熱コイルの素線の構成を大きく変えることなく加熱コイルとインバータ内の共振コンデンサより構成される共振回路の共振周波数を上げることが出来るために、駆動周波数を容易にあげることができ、安価な構成で干渉音が低減でき、音の静かな誘導加熱装置を実現できるものである。
以上のように、本実施の形態にかかる誘導加熱装置は、整流回路を共用化した構成で2つのインバータを動作させる方式において、干渉音の発生が少なくかつ半導体スイッチの損失が大きく増加させないので、インバータを使用した機器への用途に適用できる。
1 交流電源
2 整流回路
3 入力電流検出手段
4 第1のインバータ
5 第2のインバータ
6 第1の加熱コイル
7 第2の加熱コイル
8 制御手段
9 平滑コンデンサ
11 第1の半導体スイッチ
12 第2の半導体スイッチ
14 第3の半導体スイッチ
15 第4の半導体スイッチ

Claims (8)

  1. 交流電源を整流する整流回路と、前記整流回路の出力を平滑する平滑コンデンサと前記平滑コンデンサの出力を半導体スイッチを用い所定の周波数の電力に変換し第1および第2の加熱コイルに高周波電力を供給するために並列に配置された第1および第2のインバータと、前記第1のインバータ及び第2のインバータ内の半導体スイッチの導通時間を制御する制御手段とを備え、前記第1のインバータの駆動周波数と前記第2インバータの駆動周波数を可聴域以上離し、かつ前記第1のインバータ及び第2のインバータの入力電力を、導通比率を略1/2かつ駆動周波数を可変することで変化させると共に、前記第2インバータの駆動周波数に上限を設ける誘導加熱装置。
  2. 第2のインバータの駆動周波数の上限に到達後、入力電力を減少させる際には導通比率を可変することで入力電力を変化させる請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 第2のインバータの駆動周波数の上限に到達後、入力電力を減少させる際にはデューティを変えることで入力電力を変化させる請求項1に記載の誘導加熱装置。
  4. 第1にインバータの駆動周波数に上限を設け、上限に到達後デューティを変えることで入力電力を変化させる請求項1〜3いずれか1項に記載の誘導加熱装置。
  5. 第2のインバータの周波数上限を第1のインバータの周波数上限の2倍とする請求項1〜4いずれか1項に記載の誘導加熱装置。
  6. 第1のインバータ及び第2のインバータの双方が周波数上限で制御を行う際には導通比率を変化させることで入力電力を可変させる請求項5に記載の誘導加熱装置。
  7. 第1の加熱コイルの最大電力を第2の加熱コイルの最大電力よりも大きくする請求項1〜6のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
  8. 第1の加熱コイルの外径を第2の加熱コイルの外径より大きくする請求項1〜7のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
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