JP2023109320A - 電磁誘導加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被加熱物に対して所望の電力を効率良く供給できるインバータ方式の電磁誘導加熱装置を提供する。【解決手段】 被加熱物を誘導加熱するための複数の加熱コイルと、直流電圧を出力する直流電源と、該直流電源が出力した直流電圧を交流電圧に変換して前記複数の加熱コイルに供給するインバータ回路と、を備えた電磁誘導加熱装置であって、前記インバータ回路は、前記直流電源の正電極と負電極の間に、3個のスイッチング素子の直列体であるレグを並列接続したものであり、一方のレグの出力端子と他方のレグの出力端子との間には、加熱コイルと共振コンデンサの直列体が接続され、同一のレグの2つの出力端子間には、加熱コイルと共振コンデンサの直列体が接続されている電磁誘導加熱装置。【選択図】 図1
Description
本発明は、金属鍋などの被加熱物に対し所望の電力を供給して誘導加熱を行うインバータ方式の電磁誘導加熱装置に関するものである。
近年、火を使わずに金属鍋などの被加熱物を加熱するインバータ方式の電磁誘導加熱装置が広く用いられるようになってきている。電磁誘導加熱装置は、加熱コイルに高周波電流を流し、加熱コイルに近接して配置された金属製の被加熱物(鍋など)に渦電流を発生させ、被加熱物自体の電気抵抗により発熱させるものである。
複数の加熱コイルを併用して被加熱物を誘導加熱する従来技術として、特許文献1に開示される誘導加熱調理装置がある。この誘導加熱調理装置は、同文献の図2に示されるように、3つスイッチング素子(Q11、Q12、Q13)の直列体を有しており、第一のスイッチング素子Q11には第一のワーキングコイルL11(加熱コイル)と第一の主共振用コンデンサC14(共振コンデンサ)の直列体を並列接続し、かつ、第三のスイッチング素子Q13には第二のワーキングコイルL12(加熱コイル)と第二の主共振用コンデンサC15(共振コンデンサ)の直列体を並列接続するとともに、各々の加熱コイルと共振コンデンサの接続点と入力電圧の正極もしくは負極間に共振コンデンサの電圧を入力電圧に制限する補助ダイオードD14、D15を接続している。
この従来例は、スイッチング素子の直列体を共有して複数のハーフブリッジインバータを構成し、構成された各々のハーフブリッジインバータを時分割で制御することで、各加熱コイルに所望の電力を供給し被加熱物を誘導加熱するものである。
特許文献1の誘導加熱調理装置では、加熱コイルと共振コンデンサの直列体に入力電圧を印加できる期間がスイッチング周期の半周期のみとなるため、所望の電力を得るには、その期間に必要となる電流が流れるように加熱コイルの巻数を設定する必要がある。したがって、誘導加熱調理装置の高出力化を図る場合には、加熱コイルの巻数を増やしても起磁力を増やすことが難しく、巻数を減らして電流を増やす必要があり、銅損やスイッチング損失の増加により加熱効率の低下を招く問題があった。また、鍋の材質に応じて共振負荷回路の周波数を変えることはできないため、適切な周波数で加熱することができず加熱効率の低下を招く問題があった。
本発明の目的は、上記の課題に対処することであり、複数の加熱コイルを併用して被加熱物を誘導加熱する場合、被加熱物に対して所望の電力を効率良く供給できるインバータ方式の電磁誘導加熱装置を提供することである。
上記課題を達成するために、本発明の電磁誘導加熱装置は、被加熱物を誘導加熱するための複数の加熱コイルと、直流電圧を出力する直流電源と、該直流電源が出力した直流電圧を交流電圧に変換して前記複数の加熱コイルに供給するインバータ回路と、を備えた電磁誘導加熱装置であって、前記インバータ回路は、前記直流電源の正電極と負電極の間に、3個のスイッチング素子の直列体であるレグを並列接続したものであり、一方のレグの出力端子と他方のレグの出力端子との間には、加熱コイルと共振コンデンサの直列体が接続され、同一のレグの2つの出力端子間には、加熱コイルと共振コンデンサの直列体が接続されているものとした。
本発明の電磁誘導加熱装置によれば、複数の加熱コイルを併用して被加熱物を誘導加熱する場合、鍋底の加熱部位や加熱コイル上の鍋の有無に応じて複数の加熱コイルに流れる電流を制御することで、被加熱物対して所望の電力を効率良く供給することができる。
以下、本発明の電磁誘導加熱装置の実施例について、図面を用いながら説明する。なお、各図において、符号が同一のものは同一の構成要件あるいは類似の機能を備えた構成要件を示しており、適宜重複説明を省略している。
図1は、本発明の実施例1の電磁誘導加熱装置の回路構成図である。なお、本実施例の電磁誘導加熱装置は、金属筐体の上部に耐熱ガラス製のトッププレートを設置し、そのトッププレートの下方に配置した加熱コイルに高周波電流を供給することで、トッププレート上面の所定位置に載置した金属製の被加熱物(鍋など)を誘導加熱するものであるが、以下ではこのような周知構成の説明は省略する。
図1において、直流電源1は、200Vまたは100Vの商用交流電源から供給される交流電圧を整流し直流電圧を出力する電源である。図2は、直流電源1の具体構成の一例であり、ここに例示する直流電源1は、商用交流電源100から供給される交流電圧をダイオード101a~101dで整流し、インダクタ102とコンデンサ103から構成されるノーマルフィルタを介して得られる非平滑の直流電源である。
このような直流電源1の正電極Pと負電極Nとの間には、図1に示すように、パワー半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)5a、5b、5cを直列接続した第一の上中下アーム51(第一のレグ)と、スイッチング素子5d、5e、5fを直列接続した第二の上中下アーム52(第二のレグ)が並列に接続されている。
そして、スイッチング素子5a~5fのそれぞれには、ダイオード6a~6fが逆方向に並列接続されており、また、スナバ用のコンデンサ7a~7fが並列に接続されている。なお、スナバ用のコンデンサ7a~7fは、スイッチング素子5a~5fのターンオフ時の遮断電流によって充電あるいは放電され、各スイッチング素子に印加される電圧の変化が低減することによりターンオフ損失を抑制するものである。
ここで、第一の上中下アーム51のスイッチング素子5a、5bの接続点を出力端子OA、スイッチング素子5b、5cの接続点を出力端子OBと称し、第二の上中下アーム52のスイッチング素子5d、5eの接続点を出力端子OD、スイッチング素子5e、5fの接続点を出力端子OEと称すると、図1に示す電磁誘導加熱装置では、出力端子OAには第一の加熱コイル11の一端が接続され、出力端子ODには第二の加熱コイル12の一端が接続され、第一の加熱コイル11の他端と第二の加熱コイル12の他端の間には第一の共振コンデンサ21が接続されている。
また、出力端子OBには第三の加熱コイル13の一端が接続され、出力端子OEには第四の加熱コイル14の一端が接続され、第三の加熱コイル13の他端と第四の加熱コイル14の他端の間には第二の共振コンデンサ22が接続されている。また、第一の加熱コイル11の他端と第三の加熱コイル13の他端の間には第三の共振コンデンサ23が接続され、第二の加熱コイル12の他端と第四の加熱コイル14の他端の間には第四の共振コンデンサ24が接続されている。
従って、本実施例の電磁誘導加熱装置では、第一の上中下アーム51と第二の上中下アーム52の駆動方法を変更することにより、第一の共振負荷回路(第一の加熱コイル11と第二の加熱コイル12と第一の共振コンデンサ21を含む共振負荷回路)と、第二の共振負荷回路(第三の加熱コイル13と第四の加熱コイル14と第二の共振コンデンサ22を含む共振負荷回路)とを、並列接続もしくは直列接続の状態に切り替えできるだけでなく、加熱コイルに流れる電流の位相を同位相か逆位相かに変更して被加熱物を加熱することができる。
同様に、各上中下アームの駆動方法を適切に設定し、第一と第二の共振コンデンサ21、22の容量に対して第三と第四の共振コンデンサ23、24の容量を変えることで、第一および第二の共振負荷回路の共振周波数とは異なる共振周波数特性を有した第三の共振負荷回路(第一の加熱コイル11と第三の加熱コイル13と第三の共振コンデンサ23を含む共振負荷回路)と、第四の共振負荷回路(第二の加熱コイル12と第四の加熱コイル14と第四の共振コンデンサ24を含む共振負荷回路)を構成することも可能であり、第一から第四の共振負荷回路の何れか一つを選択して通電し被加熱物を加熱したり、インバータ方式もフルブリッジ方式かハーフブリッジ方式に切り替え、かつ駆動周波数も変更して被加熱物を加熱したりすることができる。以下、本実施例の電磁誘導加熱装置によって実現可能な、表1に示す11パターンの通電制御の作用や効果などの特徴を、順次詳細に説明する。なお、以下では、図1に示す一点鎖線の矢印方向を、加熱コイル11から14に流れる電流i11からi14の正方向とする。
<第一パターン>
まず、図3A、図3Bを用いて、フルブリッジ方式で第一と第二の共振負荷回路を並列接続し、加熱コイル11から14に同位相の電流を流す、第一パターンの制御を説明する。
まず、図3A、図3Bを用いて、フルブリッジ方式で第一と第二の共振負荷回路を並列接続し、加熱コイル11から14に同位相の電流を流す、第一パターンの制御を説明する。
図3Aは、第一パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図3Bは、図3Aのゲート駆動制御により、加熱コイル11から14に同位相の電流が流れている場合の動作波形である。なお、図3Bに示す波形は、上から順に、(a)スイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5f、(b)第一の共振負荷回路(加熱コイル11、12、共振コンデンサ21)に印加される電圧v1、第二の共振負荷回路加熱コイル13、14、共振コンデンサ22)に印加される電圧v2、加熱コイル11、12、13、14の電流i11、i12、i13、i14、(c)上中下アーム51、52の各素子の電流i5a~i5f、i6a~i6fである。
インバータ方式をフルブリッジ方式とし、第一と第二の共振負荷回路を並列接続して加熱コイル11から14に同位相の電流i11、i12、i13、i14を流す場合は、図3Aに示すように、第一の上中下アーム51と第二の上中下アーム52の中アーム(スイッチング素子5b、5e)を常時オンとするとともに、第一の上中下アーム51の上アームと第二の上中下アーム52の下アーム(スイッチング素子5a、5f)が同時にオンしている期間と、第一の上中下アーム51の下アームと第二の上中下アーム52の上アーム(スイッチング素子5c、5d)が同時にオンしている期間を交互に設ける。なお、両期間が重複しないように、各期間の前後には所定の時間間隔を設けている。
これにより、スイッチング素子5aと5fが同時にオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5a、加熱コイル11、共振コンデンサ21、加熱コイル12、スイッチング素子5e、スイッチング素子5fの経路と、直流電源1からスイッチング素子5a、スイッチング素子5b、加熱コイル13、共振コンデンサ22、加熱コイル14、スイッチング素子5fの経路で電流が流れる。したがって、図3B(b)に示すように、加熱コイル11から14の電流i11、i12、i13、i14は同位相になる。その結果、スイッチング素子5a~5fはダイオード6a~6fに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。
ここで、図3B(b)に示すように、第一の共振負荷回路(加熱コイル11、12、共振コンデンサ21)の電圧v1と第二の共振負荷回路(加熱コイル13、14、共振コンデンサ22)の電圧v2はスイッチング周期の全周期で電圧を印加でき、スイッチング周期の半周期しか電圧を印加できない特許文献1の2倍の電圧を共振回路に印加することできる。そのため、特許文献1よりも加熱コイルの巻数を増やして起磁力を得ることが可能であり、電流増加分を低減できることから高効率化に効果的である。
<第二パターン>
次に、図4A、図4Bを用いて、フルブリッジ方式で第一と第二の共振負荷回路を直列接続し、加熱コイル11、12と加熱コイル13、14に逆位相の電流を流す、第二パターンの制御を説明する。
次に、図4A、図4Bを用いて、フルブリッジ方式で第一と第二の共振負荷回路を直列接続し、加熱コイル11、12と加熱コイル13、14に逆位相の電流を流す、第二パターンの制御を説明する。
図4Aは、第二パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図4Bは、図4Aのゲート駆動制御により、加熱コイル11、12と加熱コイル13、14に逆位相の電流が流れている場合の動作波形である。なお、図4Bのvg5a等の意味は図3Bと同等である。
インバータ方式をフルブリッジ方式とし、第一と第二の共振負荷回路を直列接続して加熱コイル11、12と加熱コイル13、14に逆位相の電流i11、i12、i13、i14を流す場合は、図4Aに示すように、第一の上中下アーム51の上下アームと第二の上中下アーム52の中アーム(スイッチング素子5a、5c、5e)が同時にオンしている期間と、第一の上中下アーム51の中アームと第二の上中下アーム52の上下アーム(スイッチング素子5b、5d、5f)が同時にオンしている期間を交互に設ける。
これにより、スイッチング素子5a、5c、5eが同時にオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5a、加熱コイル11、共振コンデンサ21、加熱コイル12、スイッチング素子5e、加熱コイル14、共振コンデンサ22、加熱コイル13、スイッチング素子5cの経路で電流が流れる。したがって、図4B(b)に示すように、加熱コイル11、12の電流i11、i12と加熱コイル13、14の電流i13、i14は逆位相になる。その結果、スイッチング素子5a~5fはダイオード6a~6fに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。
ここで、図4B(b)に示すように、第一の共振負荷回路(加熱コイル11、12、共振コンデンサ21)の電圧v1と第二の共振負荷回路(加熱コイル13、14、共振コンデンサ22)の電圧v2はスイッチング周期の全周期で電圧を印加でき、スイッチング周期の半周期しか電圧を印加できない特許文献1の2倍の電圧を共振回路に印加することできる。
このように、本実施例は、第一、第二の加熱コイル11、12と第一の共振コンデンサ21と、第三、第四の加熱コイル13、14と第二の共振コンデンサ22の直列共振回路を負荷回路とするフルブリッジ方式インバータ回路として機能する。
<第三パターン>
次に、図5A、図5Bを用いて、ハーフブリッジ方式で第一と第二の共振負荷回路を並列接続し、加熱コイル11から14に同位相の電流を流す、第三パターンの制御を説明する。
次に、図5A、図5Bを用いて、ハーフブリッジ方式で第一と第二の共振負荷回路を並列接続し、加熱コイル11から14に同位相の電流を流す、第三パターンの制御を説明する。
図5Aは、第三パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図5Bは、図5Aのゲート駆動制御により、加熱コイル11から14に同位相の電流が流れている場合の動作波形である。なお、図5Bのvg5a等の意味は図3Bと同等である。
インバータ方式をハーフブリッジ方式とし、第一と第二の共振負荷回路を並列接続して加熱コイル11から14に同位相の電流i11、i12、i13、i14を流す場合は、図5Aに示すように、第一の上中下アーム51の中アームと第二の上中下アーム52の中下アーム(スイッチング素子5b、5e、5f)を常時オンとし、第二の上中下アーム52の上アーム(スイッチング素子5d)を常時オフとするとともに、第一の上中下アーム51の上下アーム(スイッチング素子5a、5c)が相補にオンオフするようにする。
これにより、スイッチング素子5aがオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5a、加熱コイル11、共振コンデンサ21、加熱コイル12、スイッチング素子5e、5fの経路と、直流電源1からスイッチング素子5a、スイッチング素子5b、加熱コイル13、共振コンデンサ22、加熱コイル14、スイッチング素子5fの経路で電流が流れる。したがって、図5B(b)に示すように、加熱コイル11から14の電流i11、i12、i13、i14は同位相になる。その結果、スイッチング素子5a、5cはダイオード6a、6cに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。
ここで、図5B(b)に示すように、第一の共振負荷回路(加熱コイル11、12、共振コンデンサ21)の電圧v1と第二の共振負荷回路(加熱コイル13、14、共振コンデンサ22)の電圧v2はスイッチング周期の半周期のみ電圧が印加され、電流i11からi14の大きさは図3B(b)と比べると振幅を1/2まで減少できる。第一と第二の共振負荷回路のインピーダンスが同じであれば、電力は1/4まで減少し周波数制御と組み合わせることによって広い出力電力範囲をカバーすることができるため出力制御性の向上に効果的である。
なお、第二の上中下アーム52の下アーム(スイッチング素子5f)を常時オフとし、第二の上中下アーム52の上アーム(スイッチング素子5d)を常時オンとしても構わない。また、上中下アーム51、52のスイッチング素子の駆動信号をそれぞれ入れ替えても構わない。
<第四パターン>
次に、図6A、図6Bを用いて、ハーフブリッジ方式で第一と第二の共振負荷回路を直列接続し、加熱コイル11、12と加熱コイル13、14に逆位相の電流を流す、第四パターンの制御を説明する。
次に、図6A、図6Bを用いて、ハーフブリッジ方式で第一と第二の共振負荷回路を直列接続し、加熱コイル11、12と加熱コイル13、14に逆位相の電流を流す、第四パターンの制御を説明する。
図6Aは、第四パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図6Bは、図6Aのゲート駆動制御により、加熱コイル11、12と加熱コイル13、14に逆位相の電流が流れている場合の動作波形である。なお、図6Bのvg5a等の意味は図3Bと同等である。
インバータ方式をハーフブリッジ方式とし、第一と第二の共振負荷回路を直列接続して加熱コイル11、12と加熱コイル13、14に逆位相の電流i11、i12、i13、i14を流す場合は、図6Aに示すように、第二の上中下アーム52の中アーム(スイッチング素子5e)を常時オンとし、第二の上中下アーム52の上下アーム(スイッチング素子5d、5f)を常時オフとするとともに、第一の上中下アーム51の上下アーム(スイッチング素子5a、5c)が同時にオンしている期間と、第一の上中下アーム51の中アーム(スイッチング素子5b)がオンしている期間を交互に設ける。
これにより、スイッチング素子5a、5cがオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5a、加熱コイル11、共振コンデンサ21、加熱コイル12、スイッチング素子5e、加熱コイル14、共振コンデンサ22、加熱コイル13、スイッチング素子5cの経路で電流が流れる。したがって、図6B(b)に示すように、加熱コイル11、12の電流i11、i12と加熱コイル13、14の電流i13、i14は逆位相になる。その結果、スイッチング素子5aから5cはダイオード6aから6cに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。
ここで、図6B(b)に示すように、第一の共振負荷回路(加熱コイル11、12、共振コンデンサ21)の電圧v1と第二の共振負荷回路(加熱コイル13、14、共振コンデンサ22)の電圧v2はスイッチング周期の半周期のみ電圧が印加され、電流i11からi14の大きさは図4B(b)と比べると振幅を1/2まで減少できる。
なお、上中下アーム51、52のスイッチング素子の駆動信号をそれぞれ入れ替えても構わない。
このように、本実施例は、第一の加熱コイル11と第一の共振コンデンサ21と第二の加熱コイル12、第三の加熱コイル13と第二の共振コンデンサ22と第四の加熱コイル14の直列共振回路を負荷回路とするハーフブリッジ方式インバータ回路として機能する。
<第五パターン>
次に、図7A、図7Bを用いて、フルブリッジ方式で加熱コイル11、12に電流を流す、第五パターンの制御を説明する。
次に、図7A、図7Bを用いて、フルブリッジ方式で加熱コイル11、12に電流を流す、第五パターンの制御を説明する。
図7Aは、第五パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図7Bは、図7Aのゲート駆動制御により、加熱コイル11、12に電流が流れている場合の動作波形である。なお、図7Bのvg5a等の意味は図3Bと同等である。
インバータ方式をフルブリッジ方式とし、加熱コイル11、12に電流i11、i12を流す場合は、図7Aに示すように、第一の上中下アーム51と第二の上中下アーム52の下アーム(スイッチング素子5c、5f)を常時オンとするとともに、第一の上中下アーム51の上アームと第二の上中下アーム52の中アーム(スイッチング素子5a、5e)が同時にオンしている期間と、第一の上中下アーム51の中アームと第二の上中下アーム52の上アーム(スイッチング素子5b、5d)が同時にオンしている期間を交互に設ける。
これにより、スイッチング素子5a、5eが同時にオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5a、加熱コイル11、共振コンデンサ21、加熱コイル12、スイッチング素子5e、5fの経路で電流が流れる。したがって、図7B(b)に示すように、加熱コイル11、12に電流i11、i12が流れる。その結果、スイッチング素子5a、5b、5d、5eはダイオード6a、6b、6d、6eに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。
ここで、図7B(b)に示すように、第一の共振負荷回路(加熱コイル11、12と共振コンデンサ21)の電圧v1はスイッチング周期の全周期で電圧を印加でき、スイッチング周期の半周期しか電圧を印加できない特許文献1の2倍の電圧を共振回路に印加することできる。そのため、特許文献1よりも加熱コイルの巻数を増やして起磁力を得ることが可能であり、電流増加分を低減できることから高効率化に効果的である。
<第六パターン>
次に、図8A、図8Bを用いて、フルブリッジ方式で加熱コイル13、14に電流を流す、第六パターンの制御を説明する。
次に、図8A、図8Bを用いて、フルブリッジ方式で加熱コイル13、14に電流を流す、第六パターンの制御を説明する。
図8Aは、第六パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図8Bは、図8Aのゲート駆動制御により、加熱コイル13、14に電流が流れている場合の動作波形である。なお、図8Bのvg5a等の意味は図3Bと同等である。
インバータ方式をフルブリッジ方式とし、加熱コイル13、14に電流i13、i14を流す場合は、図8Aに示すように、第一の上中下アーム51と第二の上中下アーム52の上アーム(スイッチング素子5a、5d)を常時オンとするとともに、第一の上中下アーム51の中アームと第二の上中下アーム52の下アーム(スイッチング素子5b、5f)が同時にオンしている期間と、第一の上中下アーム51の下アームと第二の上中下アーム52の中アーム(スイッチング素子5c、5e)が同時にオンしている期間を交互に設ける。
これにより、スイッチング素子5b、5fが同時にオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5a、スイッチング素子5b、加熱コイル13、共振コンデンサ22、加熱コイル14、スイッチング素子5fの経路で電流が流れる。したがって、図8B(b)に示すように、加熱コイル13、14に電流i13、i14が流れる。その結果、スイッチング素子5b、5c、5e、5fはダイオード6b、6c、6e、6fに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。
ここで、図8B(b)に示すように、第二の共振負荷回路(加熱コイル13、14と共振コンデンサ22)の電圧v2はスイッチング周期の全周期で電圧を印加でき、スイッチング周期の半周期しか電圧を印加できない特許文献1の2倍の電圧を共振回路に印加することできる。
このように、本実施例は、第一の加熱コイル11と第一の共振コンデンサ21と第二の加熱コイル12、または、第三の加熱コイル13と第二の共振コンデンサ22と第四の加熱コイル14の直列共振回路を負荷回路とするフルブリッジ方式インバータ回路として機能する。
<第七パターン>
次に、図9A、図9Bを用いて、ハーフブリッジ方式で加熱コイル11、12に電流を流す、第七パターンの制御を説明する。
次に、図9A、図9Bを用いて、ハーフブリッジ方式で加熱コイル11、12に電流を流す、第七パターンの制御を説明する。
図9Aは、第七パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図9Bは、図9Aのゲート駆動制御により、加熱コイル11のみに電流が流れている場合の動作波形である。なお、図9Bのvg5a等の意味は図3Bと同等である。
インバータ方式をハーフブリッジ方式とし、加熱コイル11、12に電流i11、i12を流す場合は、図9Aに示すように、第一の上中下アーム51の下アームと第二の上中下アーム52の中下アーム(スイッチング素子5c、5e、5f)を常時オンとし、第二の上中下アーム52の上アーム(スイッチング素子5d)を常時オフとするとともに、第一の上中下アーム51の上中アーム(スイッチング素子5a、5b)が相補にオンオフするようにする。
これにより、スイッチング素子5aがオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5a、加熱コイル11、共振コンデンサ21、加熱コイル12、スイッチング素子5e、5fの経路で電流が流れる。したがって、図9B(b)に示すように、加熱コイル11、12に電流i11、i12が流れる。その結果、スイッチング素子5a、5bはダイオード6a、6bに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。
ここで、図9B(b)に示すように、第一の共振負荷回路(加熱コイル11、12、共振コンデンサ21)の電圧v1はスイッチング周期の半周期のみ電圧が印加され、電流i11の大きさは図7B(b)と比べると振幅を1/2まで減少できる。共振負荷回路のインピーダンスが同じであれば、電力は1/4まで減少し周波数制御と組み合わせることによって広い出力電力範囲をカバーすることができるため出力制御性の向上に効果的である。
なお、第二の上中下アーム52の上アーム(スイッチング素子5d)を常時オンとし、第二の上中下アーム52の中アーム(スイッチング素子5e)を常時オフとしても構わない。また、上中下アーム51と52のスイッチング素子の駆動信号をそれぞれ入れ替えても構わない。
<第八パターン>
次に、図10A、図10Bを用いて、ハーフブリッジ方式で加熱コイル13、14に電流を流す、第八パターンの制御を説明する。
次に、図10A、図10Bを用いて、ハーフブリッジ方式で加熱コイル13、14に電流を流す、第八パターンの制御を説明する。
図10Aは、第八パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図10Bは、図10Aのゲート駆動制御により、加熱コイル13、14に電流が流れている場合の動作波形である。なお、図10Bのvg5a等の意味は図3Bと同等である。
インバータ方式をハーフブリッジ方式とし、加熱コイル13、14に電流i13、i14を流す場合は、図10Aに示すように、第一の上中下アーム51の上アームと第二の上中下アーム52の上下アーム(スイッチング素子5a、5d、5f)を常時オンとし、第二の上中下アーム52の中アーム(スイッチング素子5e)を常時オフとするとともに、第一の上中下アーム51の中下アーム(スイッチング素子5b、5c)が相補にオンオフするようにする。
これにより、スイッチング素子5bがオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5a、スイッチング素子5b、加熱コイル13、共振コンデンサ22、加熱コイル14、スイッチング素子5fの経路で電流が流れる。したがって、図10B(b)に示すように、加熱コイル13、14に電流i13、i14が流れる。その結果、スイッチング素子5b、5cはダイオード6b、6cに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。
ここで、図10B(b)に示すように、第二の共振負荷回路(加熱コイル13、14、共振コンデンサ22)の電圧v2はスイッチング周期の半周期のみ電圧が印加され、電流i12の大きさは図8B(b)と比べると振幅を1/2まで減少できる。
なお、第二の上中下アーム52の中アーム(スイッチング素子5e)を常時オンとし、第二の上中下アーム52の下アーム(スイッチング素子5f)を常時オフとしても構わない。また、上中下アーム51、52のスイッチング素子の駆動信号をそれぞれ入れ替えても構わない。
このように、本実施例は、第一の加熱コイル11と第一の共振コンデンサ21と第二の加熱コイル12、または、第三の加熱コイル13と第二の共振コンデンサ22と第四の加熱コイル14の直列共振回路を負荷回路とするハーフブリッジ方式インバータ回路として機能する。
<第九パターン>
次に、図11A、図11Bを用いて、ハーフブリッジ方式で第三と第四の共振負荷回路の加熱コイル11、14と加熱コイル12、13に逆位相の電流を流す、第九パターンの制御を説明する。
次に、図11A、図11Bを用いて、ハーフブリッジ方式で第三と第四の共振負荷回路の加熱コイル11、14と加熱コイル12、13に逆位相の電流を流す、第九パターンの制御を説明する。
図11Aは、第九パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図11Bは、図11Aのゲート駆動制御により、加熱コイル11、14と加熱コイル12、13に逆位相の電流が流れている場合の動作波形である。なお、図11Bのvg5a等の意味は図3Bと同等である。
インバータ方式をハーフブリッジ方式とし、第三と第四の共振負荷回路の加熱コイル11、14と加熱コイル12、13に逆位相の電流i11、i12、i13、i14を流す場合は、図11Aに示すように、第一の上中下アーム51の上下アームと第二の上中下アーム52の上下アーム(スイッチング素子5a、5c、5d、5f)が同時にオンしている期間と、第一の上中下アーム51の中アームと第二の上中下アーム52の中アーム(スイッチング素子5b、5e)が同時にオンしている期間を交互に設ける。
これにより、スイッチング素子5a、5c、5d、5fが同時にオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5a、加熱コイル11、共振コンデンサ23、加熱コイル13、スイッチング素子5cの経路と、直流電源1からスイッチング素子5d、加熱コイル12、共振コンデンサ24、加熱コイル14、スイッチング素子5fの経路で電流が流れる。したがって、図11B(b)に示すように、加熱コイル11、14の電流i11、i14と加熱コイル12、13の電流i12、i13は逆位相になる。その結果、スイッチング素子5a~5fはダイオード6a~6fに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。
ここで、図11B(b)に示すように、第三の共振負荷回路(加熱コイル11、13、共振コンデンサ23)の電圧v3と第四の共振負荷回路(加熱コイル12、14、共振コンデンサ24)の電圧v4はスイッチング周期の半周期のみ電圧が印加される。
<第十パターン>
次に、図12A、図12Bを用いて、ハーフブリッジ方式で第三の共振負荷回路の加熱コイル11、13に逆位相の電流を流す、第十パターンの制御を説明する。
次に、図12A、図12Bを用いて、ハーフブリッジ方式で第三の共振負荷回路の加熱コイル11、13に逆位相の電流を流す、第十パターンの制御を説明する。
図12Aは、第十パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図12Bは、図12Aのゲート駆動制御により、加熱コイル11、13に逆位相の電流が流れている場合の動作波形である。なお、図12Bのvg5a等の意味は図3Bと同等である。
インバータ方式をハーフブリッジ方式とし、第三の共振負荷回路の加熱コイル11と13に逆位相の電流i11、i13を流す場合は、図12Aに示すように、第二の上中下アーム52の上中下アーム(スイッチング素子5d、5e、5f)を常時オフとし、第一の上中下アーム51の上下アーム(スイッチング素子5a、5c)が同時にオンしている期間と、第一の上中下アーム51の中アーム(スイッチング素子5c)がオンしている期間を交互に設ける。
これにより、スイッチング素子5a、5cが同時にオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5a、加熱コイル11、共振コンデンサ23、加熱コイル13、スイッチング素子5cの経路で電流が流れる。したがって、図12B(b)に示すように、加熱コイル11の電流i11と加熱コイル13の電流i13は逆位相になる。その結果、スイッチング素子5a~5cはダイオード6a~6cに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。また、第十パターン制御によれば、第一および第二の共振負荷回路の共振周波数とは異なる共振周波数特性を有した第三の共振負荷回路を構成することができるため、鍋の材質に応じた適切な周波数で金属鍋を効率よく加熱することができる。
ここで、図12B(b)に示すように、第三の共振負荷回路(加熱コイル11、13、共振コンデンサ23)の電圧v3はスイッチング周期の半周期のみ電圧が印加される。
<第十一パターン>
次に、図13A、図13Bを用いて、ハーフブリッジ方式で第四の共振負荷回路の加熱コイル12、14に逆位相の電流を流す、第十一パターンの制御を説明する。
次に、図13A、図13Bを用いて、ハーフブリッジ方式で第四の共振負荷回路の加熱コイル12、14に逆位相の電流を流す、第十一パターンの制御を説明する。
図13Aは、第十一パターン制御時のスイッチング素子5a~5fのゲート駆動信号vg5a~vg5fである。また、図13Bは、図13Aのゲート駆動制御により、加熱コイル12、14に逆位相の電流が流れている場合の動作波形である。なお、図13Bのvg5a等の意味は図3Bと同等である。
インバータ方式をハーフブリッジ方式とし、第四の共振負荷回路の加熱コイル12と14に逆位相の電流i12、i14を流す場合は、図13Aに示すように、第一の上中下アーム51の上中下アーム(スイッチング素子5a、5b、5c)を常時オフとし、第二の上中下アーム52の上下アーム(スイッチング素子5d、5f)が同時にオンしている期間と、第一の上中下アーム52の中アーム(スイッチング素子5e)がオンしている期間を交互に設ける。
これにより、スイッチング素子5d、5fが同時にオンしている場合は、直流電源1からスイッチング素子5d、加熱コイル12、共振コンデンサ24、加熱コイル14、スイッチング素子5fの経路で電流が流れる。したがって、図13B(b)に示すように、加熱コイル12の電流i12と加熱コイル14の電流i14は逆位相になる。その結果、スイッチング素子5d~5fはダイオード6d~6fに電流が流れている期間にターンオンさせることができており、スイッチング損失の少ないソフトスイッチング動作が可能となる。また、第十一パターン制御によれば、第一および第二の共振負荷回路の共振周波数とは異なる共振周波数特性を有した第四の共振負荷回路を構成することができるため、鍋の材質に応じた適切な周波数で金属鍋を効率よく加熱することができる。
ここで、図13B(b)に示すように、第四の共振負荷回路(加熱コイル12、14、共振コンデンサ24)の電圧v4はスイッチング周期の半周期のみ電圧が印加される。
このように、本実施例は、第一の加熱コイル11と第三の共振コンデンサ23と第三の加熱コイル13、または、第二の加熱コイル12と第四の共振コンデンサ24と第四の加熱コイル14の直列共振回路を負荷回路とするハーフブリッジ方式インバータ回路として機能する。
以上で説明した制御を鍋底の加熱部位や加熱コイル上の鍋の有無に応じて使い分けることで、電磁誘導加熱装置は、設定火力の実現に必要な所望の電力を被加熱物に供給することができる。
<加熱コイルの具体的な配置の一例>
図14は、図1に示した加熱コイル11から14と、上中下アーム51、52の接続方法を、電磁誘導加熱装置における第一から第四の加熱コイル11から14の具体的な配置とともに示した構成図である。この電磁誘導加熱装置では、1つの被加熱物(金属鍋など)を誘導加熱するための1つの環状加熱コイルを、略扇状に巻回した第一の加熱コイル11から第四の加熱コイル14を組み合わせて形成しており、この加熱コイルと各上中下アームを図示するように接続している。
図14は、図1に示した加熱コイル11から14と、上中下アーム51、52の接続方法を、電磁誘導加熱装置における第一から第四の加熱コイル11から14の具体的な配置とともに示した構成図である。この電磁誘導加熱装置では、1つの被加熱物(金属鍋など)を誘導加熱するための1つの環状加熱コイルを、略扇状に巻回した第一の加熱コイル11から第四の加熱コイル14を組み合わせて形成しており、この加熱コイルと各上中下アームを図示するように接続している。
本実施例では、第一の加熱コイル11と第二の加熱コイル12を電磁誘導加熱装置の奥側に、第三の加熱コイル13と第四の加熱コイル14を電磁誘導加熱装置の手前側に配置し、上中下アーム51の出力端子OAを第一の加熱コイル11の外周部に、第一の共振コンデンサ21の一端を第一の加熱コイル11の内周部に、上中下アーム52の出力端子ODを第二の加熱コイル12の外周部に、第一の共振コンデンサ21の他端を第二の加熱コイル12の内周部に接続している。また、上中下アーム51の出力端子OBを第三の加熱コイル13の外周部に、第二の共振コンデンサ22の一端を第三の加熱コイル13の内周部に、上中下アーム52の出力端子OEを第四の加熱コイル14の外周部に、第二の共振コンデンサ22の他端を第四の加熱コイル14の内周部に接続している。第三の共振コンデンサ23は第一の加熱コイル11の内周部と第三の加熱コイル13の内周部との間に、第四の共振コンデンサ24は第二の加熱コイル12の内周部と第四の加熱コイル14の内周部との間に接続している。なお、ここでは、第一の加熱コイル11と第二の加熱コイル12を奥側に配置し、第三の加熱コイル13と第四の加熱コイル14を手前側に配置した構成を例示しているが、各加熱コイルの直線部同士を対向させ、各加熱コイルの円弧部で一つの円周を構成するように配置した構成であれば、各加熱コイルの設置方向は上記の例に限定されない。
図14のように、第一の加熱コイル11を外周から内周に向かって右巻に巻回し、第二の加熱コイル12を外周から内周に向かって左巻に巻回し、第三の加熱コイル13を外周から内周に向かって右巻に巻回し、第四の加熱コイル14を外周から内周に向かって左巻に巻回すると、第一パターン(図3B)や第三パターン(図5B)のように、加熱コイル11から14に同位相の電流を流して加熱する場合は、図14の一点鎖線の矢印に示すように、第一の加熱コイル11と第二の加熱コイル12が対向する直線部における電流i11と電流i12は逆位相となり、第一の加熱コイル11と第三の加熱コイル13が対向する直線部における電流i11と電流i13は逆位相となり、第二の加熱コイル12と第四の加熱コイル14が対向する直線部における電流i12と電流i14は逆位相となり、第三の加熱コイル13と第四の加熱コイル14が対向する直線部における電流i13と電流i14は逆位相となる。そのため、磁束のキャンセルが生じて各加熱コイルの直線部に位置する鍋の発熱量は抑えられ、鍋の外周部に所望の発熱量を得ることができる。
一方、第九パターン(図11B)のように、加熱コイル11、14の電流i11、i14に対して加熱コイル12、13の電流i12、i13が逆位相となる場合は、図15の一点鎖線の矢印に示すように、各加熱コイルが対向する直線部における電流は同位相となる。そのため、各加熱コイルが作る大きな磁束によって、各加熱コイルの直線部に位置する鍋には大きな磁束を打ち消す方向に大きな渦電流が流れ所望の発熱量を得ることができる。
このように、加熱コイルの電流の位相を制御することで、鍋底の発熱箇所を変更できるため、鍋の材質や大きさ等に合わせて適切な加熱制御が可能となる。
また、本実施例の上中下アーム51、52と加熱コイル11から14の接続方法は、各加熱コイル同士が近接する部分の電位差を抑えることができるため、加熱コイル間の隙間を狭くしても、十分な絶縁距離を確保することが可能である。
なお、各加熱コイルの巻回方法と、上中下アームおよび共振コンデンサとの接続を変更することにより、鍋底の発熱部位を変更することは容易である。
図16は、実施例2の電磁誘導加熱装置の回路構成図である。図1と同一部分については同一符号を付しており重複説明は省略する。
図16においては、出力端子OAに第一の共振コンデンサ31の一端が接続され、第一の共振コンデンサ31の他端と第一の加熱コイル11の一端が接続され、出力端子ODには第二の共振コンデンサ32の一端が接続され、第二の共振コンデンサ32の他端と第二の加熱コイル12の一端が接続され、第一の加熱コイル11と第二の加熱コイル12の他端同士が接続されている。同様に、出力端子OBに第三の共振コンデンサ33の一端が接続され、第三の共振コンデンサ33の他端と第三の加熱コイル13の一端が接続され、出力端子OEには第四の共振コンデンサ34の一端が接続され、第四の共振コンデンサ34の他端と第四の加熱コイル14の一端が接続され、第三の加熱コイル13と第四の加熱コイル14の他端同士が接続されている。また、第一の加熱コイル11と第二の加熱コイル12の接続点と第三の加熱コイル13と第四の加熱コイル14の接続点との間には第五の共振コンデンサ35が接続されている。
従って、本実施例の電磁誘導加熱装置では、第一の上中下アーム51と第二の上中下アーム52の駆動方法を変更することにより、第一の加熱コイル11と第二の加熱コイル12と第一の共振コンデンサ31と第二の共振コンデンサ32を含む第一の共振負荷回路と、第三の加熱コイル13と第四の加熱コイル14と第三の共振コンデンサ33と第四の共振コンデンサ34を含む第二の共振負荷回路とを、並列接続もしくは直列接続の状態に切り替えできるだけでなく、加熱コイルに流れる電流の位相を同位相か逆位相かに変更して被加熱物を加熱することができる。
同様に、各上中下アームの駆動方法を適切に設定し、第一から第四の共振コンデンサ31から34の容量に対して第五の共振コンデンサ35の容量を変えることで、第一および第二の共振負荷回路の共振周波数とは異なる共振周波数特性を有した第一の加熱コイル11と第三の加熱コイル13と第一の共振コンデンサ31と第三の共振コンデンサ33と第五の共振コンデンサ35を含む第三の共振負荷回路と、第二の加熱コイル12と第四の加熱コイル14と第二の共振コンデンサ32と第四の共振コンデンサ34と第五の共振コンデンサ35を含む第四の共振負荷回路を構成することも可能であり、第一から第四の共振負荷回路の何れか一つを選択して通電し被加熱物を加熱したり、インバータ方式もフルブリッジ方式かハーフブリッジ方式に切り替え、かつ駆動周波数も変更して被加熱物を加熱したりすることができる。
本実施例では第一の共振負荷回路は第一の共振コンデンサ31と第二の共振コンデンサ32が直列接続されるため、第一、第二の共振コンデンサの耐圧を下げることができる。同様に、第二の共振負荷回路は第三の共振コンデンサ33と第四の共振コンデンサ34が直列接続されるため、第三、第四の共振コンデンサの耐圧を下げることができる。 更に、第三の共振負荷回路は第一の共振コンデンサ31と第三の共振コンデンサ33と第五の共振コンデンサ35が直列に接続され、第四の共振負荷回路は第二の共振コンデンサ32と第四の共振コンデンサ34と第五の共振コンデンサ35が直列に接続されるため、第五の共振コンデンサの耐圧も下げることができる。
<加熱コイルの具体的な配置の他例>
本実施例の電磁誘導加熱装置は、インバータ回路を複数備え、各インバータ回路が、トッププレートに載置された被加熱物と対向する加熱コイルにのみ電流を供給する構成としても良い。例えば、図17は、図1又は図16に例示したインバータを6組(2A、2B、2C、2D、2E、2F)備えた電磁誘導加熱装置を上方から見た平面図であり、同心円状に巻回した加熱コイル11から14を1組として縦に2つ横に3つ並べてトッププレート110の下方に配置した構成図である。なお、以下では、回路構成2Aから2Fの加熱コイル11から14をそれぞれ11Aから14Fと称する。
本実施例の電磁誘導加熱装置は、インバータ回路を複数備え、各インバータ回路が、トッププレートに載置された被加熱物と対向する加熱コイルにのみ電流を供給する構成としても良い。例えば、図17は、図1又は図16に例示したインバータを6組(2A、2B、2C、2D、2E、2F)備えた電磁誘導加熱装置を上方から見た平面図であり、同心円状に巻回した加熱コイル11から14を1組として縦に2つ横に3つ並べてトッププレート110の下方に配置した構成図である。なお、以下では、回路構成2Aから2Fの加熱コイル11から14をそれぞれ11Aから14Fと称する。
図18Aに示す位置に被加熱物200(金属鍋など)が置かれた場合には、インバータ2Eと2Fのみ駆動する。具体的には、インバータ2Eを第六パターン(図8B)か第八パターン(図10B)の何れかにより加熱コイル13E、14Eに電流を流し、インバータ2Fを第一パターン(図3B)から第四パターン(図6B)と第九パターン(図11B)の何れかにより加熱コイル11Fから加熱コイル14Fの全てに電流を流して加熱することで所望の発熱量を得ることができる。
一方、図18Bに示す位置に2つの被加熱物200Aと200Bが置かれた場合には、インバータ2B、2D、2Eのみ駆動する。具体的には、インバータ2Bを第十一パターン(図13B)により加熱コイル12B、14Bに電流を流し、インバータ2Dを第十パターン(図12B)により加熱コイル11D、13Dに電流を流し、インバータ2Eを第一パターン(図3B)から第四パターン(図6B)と第九パターン(図11B)の何れかにより加熱コイル11Eから加熱コイル14Eの全てに電流を流して加熱することで所望の発熱量を得ることができる。
このように、本実施例では加熱コイル上の鍋の有無に応じて通電する加熱コイルを決定し、インバータ方式をフルブリッジ方式かハーフブリッジ方式かに切り替え、かつ駆動周波数も変更して制御することで、鍋の材質や大きさ等に合わせて適切な加熱制御が可能となる。
1 直流電源、
2、2A~2F インバータ、
5a~5f スイッチング素子、
6a~6f、101a~101d ダイオード、
7a~7f、103 コンデンサ、
11、11A~11F 第一の加熱コイル、
12、12A~12F 第二の加熱コイル、
13、13A~13F 第三の加熱コイル、
14、14A~14F 第四の加熱コイル、
21、31 第一の共振コンデンサ、
22、32 第二の共振コンデンサ、
23、33 第三の共振コンデンサ、
24 34 第四の共振コンデンサ、
35 第五の共振コンデンサ
51 第一の上中下アーム、
52 第二の上中下アーム、
100 商用交流電源、
102 インダクタ、
110 トッププレート、
200、200A、200B 被加熱物
2、2A~2F インバータ、
5a~5f スイッチング素子、
6a~6f、101a~101d ダイオード、
7a~7f、103 コンデンサ、
11、11A~11F 第一の加熱コイル、
12、12A~12F 第二の加熱コイル、
13、13A~13F 第三の加熱コイル、
14、14A~14F 第四の加熱コイル、
21、31 第一の共振コンデンサ、
22、32 第二の共振コンデンサ、
23、33 第三の共振コンデンサ、
24 34 第四の共振コンデンサ、
35 第五の共振コンデンサ
51 第一の上中下アーム、
52 第二の上中下アーム、
100 商用交流電源、
102 インダクタ、
110 トッププレート、
200、200A、200B 被加熱物
Claims (13)
- 被加熱物を誘導加熱するための複数の加熱コイルと、
直流電圧を出力する直流電源と、
該直流電源が出力した直流電圧を交流電圧に変換して前記複数の加熱コイルに供給するインバータ回路と、
を備えた電磁誘導加熱装置であって、
前記インバータ回路は、
前記直流電源の正電極と負電極の間に、3個のスイッチング素子の直列体であるレグを並列接続したものであり、
一方のレグの出力端子と他方のレグの出力端子との間には、加熱コイルと共振コンデンサの直列体が接続され、
同一のレグの2つの出力端子間には、加熱コイルと共振コンデンサの直列体が接続されていることを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項1に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記複数の加熱コイルとは4つの加熱コイルであり、
前記インバータ回路は、
前記直流電源の正電極と負電極の間に、3個のスイッチング素子の直列体である第一レグと、3個のスイッチング素子の直列体である第二レグと、を並列に備え、
前記第一レグの第一出力端子と前記第二レグの第一出力端子との間には、第一加熱コイルと第一共振コンデンサと第二加熱コイルの直列体である第一共振負荷回路が接続され、
前記第一レグの第二出力端子と前記第二レグの第二出力端子との間には、第三加熱コイルと第二共振コンデンサと第四加熱コイルの直列体である第二共振負荷回路が接続され、
前記第一レグの第一出力端子と第二出力端子との間には、前記第一加熱コイルと第三共振コンデンサと前記第三加熱コイルの直列体である第三共振負荷回路が接続され、
前記第二レグの第一出力端子と第二出力端子との間には、前記第二加熱コイルと第四共振コンデンサと前記第四加熱コイルの直列体である第四共振負荷回路が接続されていることを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項1に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記複数の加熱コイルとは4つの加熱コイルであり、
前記インバータ回路は、
前記直流電源の正電極と負電極の間に、3個のスイッチング素子の直列体である第一レグと、3個のスイッチング素子の直列体である第二レグと、を並列に備え、
前記第一レグの第一出力端子と前記第二レグの第一出力端子との間には、第一加熱コイルと第一共振コンデンサと第二加熱コイルと第二共振コンデンサの直列体である第一共振負荷回路が接続され、
前記第一レグの第二出力端子と前記第二レグの第二出力端子との間には、第三加熱コイルと第三共振コンデンサと第四加熱コイルと第四共振コンデンサの直列体である第二共振負荷回路が接続され、
前記第一レグの第一出力端子と第二出力端子との間には、前記第一加熱コイルと前記第一共振コンデンサと第五共振コンデンサと前記第三加熱コイルと前記第三共振コンデンサの直列体である第三共振負荷回路が接続され、
前記第二レグの第一出力端子と第二出力端子との間には、前記第二加熱コイルと前記第二共振コンデンサと前記第五共振コンデンサと前記第四加熱コイルと前記第四共振コンデンサの直列体である第四共振負荷回路が接続されていることを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項2もしくは3に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記インバータ回路は、各スイッチング素子の駆動を変更することで、フルブリッジ方式インバータかハーフブリッジ方式として動作することを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項2もしくは3に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記インバータ回路は、各スイッチング素子の駆動を変更することで、前記第一共振負荷回路と前記第二共振負荷回路を並列接続または直列接続することを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項2もしくは3に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記インバータ回路は、各スイッチング素子の駆動を変更することで、前記第一共振負荷回路と前記第二共振負荷回路に同位相または逆位相の電流を流すことを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項2もしくは3に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記インバータ回路は、各スイッチング素子の駆動を変更することで、前記第一共振負荷回路または前記第二共振負荷回路の一方にのみ電流を流すことを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項2もしくは3に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記インバータ回路は、各スイッチング素子の駆動を変更することで、前記第三共振負荷回路または前記第四共振負荷回路の一方にのみ電流を流すことを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項2もしくは3に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記4つの加熱コイルは共に略扇状に巻回した加熱コイルであり、
前記4つの加熱コイルの直線部同士が対向するように配置したことを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項9に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記インバータ回路は、前記4つの加熱コイルの直線部に同位相の電流を流すことを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項9に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記インバータ回路は、前記4つの加熱コイルの直線部に逆位相の電流を流すことを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項2もしくは3に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記第一共振負荷回路と前記第三共振負荷回路の共振周波数が異なることを特徴とする電磁誘導加熱装置。 - 請求項2もしくは3に記載の電磁誘導加熱装置において、
前記第二共振負荷回路と前記第四共振負荷回路の共振周波数が異なることを特徴とする電磁誘導加熱装置。
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JP2022010761A JP2023109320A (ja) | 2022-01-27 | 2022-01-27 | 電磁誘導加熱装置 |
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