JP2019152314A - 車両の制御装置及び車両の制御方法 - Google Patents

車両の制御装置及び車両の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Low戻しを確実に行うことと、コーストストップ制御の実行機会を増やすことを両立させることを目的とする。【解決手段】コントローラ10は、アクセルオフ且つブレーキオンを含む所定条件が成立するまで車両100の走行中におけるエンジン1の自動停止を禁止する制御部を有する。コントローラ10は、所定条件の成立後、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1未満の状態でロックアップクラッチ2aが解放されると、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1よりも大きい第2閾値R2以上になるまでエンジン1の自動停止の禁止を継続する。さらに、コントローラ10は、所定条件の成立後、バリエータ30の変速比Rが第2閾値R2以上になるまでエンジン1の回転速度Neがアクセルオフ且つブレーキオフであるコースト走行時と比較して高くなるように変速線の変更を行う。【選択図】図2

Description

本発明は、車両の制御装置及び車両の制御方法に関する。
特許文献1には、車両停止中にアイドリングストップを行う際に、より燃費を向上させるため、車両の停止直前にエンジン自動停止を行うコーストストップ制御が開示されている。
特開2012−51468号公報
コーストストップ制御を行うに際して、車両の再発進性を確保するために車両の停止直前までにバリエータを最Low変速比に戻したいという要請がある(以下では、バリエータの変速比を最Low変速比に戻すことを、「Low戻し」という。)。なお、バリエータを変速させるためには、バリエータが回転している必要がある。言い換えると、車両停止且つエンジン停止の状態ではバリエータを変速させることはできない。
そのため、コーストストップ制御を行うに際して、確実にLow戻しを行うことができる状況でのみコーストストップ制御を行うことが考えられる。しかしながら、この場合、コーストストップ制御の実行機会が減る可能性がある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、Low戻しを確実に行うことと、コーストストップ制御の実行機会を増やすことを両立させることを目的とする。
本発明のある態様によれば、車両の制御装置は、駆動源と、駆動源の下流に配置され且つロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、トルクコンバータの下流に配置されたバリエータと、を有する無段変速機と、を有する車両を制御する。さらに、車両の制御装置は、アクセルオフ且つブレーキオンを含む所定条件が成立するまで車両の走行中における駆動源の自動停止を禁止する制御部を有し、制御部は、所定条件の成立後、バリエータの変速比が第1閾値未満の状態でロックアップクラッチが解放されると、バリエータの変速比が第1閾値よりも大きい第2閾値以上になるまで駆動源の自動停止の禁止を継続し、制御部は、所定条件の成立後、バリエータの変速比が第2閾値以上になるまで駆動源の回転速度がアクセルオフ且つブレーキオフであるコースト走行時と比較して高くなるように変速線の変更を行うことを特徴とする。
この態様によれば、Low戻しを確実に行うことと、コーストストップ制御の実行機会を増やすことを両立できる。
本発明の実施形態に係る車両の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る自動変速機を制御するための変速線の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るコーストストップ制御のフローチャートである。 本発明の実施形態に係るコーストストップ制御の判定条件を示す表である。 本発明の実施形態に係るコーストストップ制御におけるエンジン回転速度とタービン回転速度のタイミングチャートの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るコーストストップ制御における変速比のタイミングチャートの一例を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、車両100の概略構成図である。車両100は、エンジン1と、無段変速機としての自動変速機3と、オイルポンプ5と、駆動輪6と、制御装置としてのコントローラ10と、を備える。
エンジン1は、ガソリン、軽油等を燃料とする内燃機関であり、走行用駆動源として機能する。エンジン1は、コントローラ10からの指令に基づいて、回転速度、トルク等が制御される。
自動変速機3は、トルクコンバータ2と、締結要素31と、バリエータ30と、油圧コントロールバルブユニット40(以下では、単に「バルブユニット40」ともいう。)と、オイル(作動油)を貯留するオイルパン32と、を備える。
トルクコンバータ2は、エンジン1と駆動輪6の間の動力伝達経路上に設けられる。トルクコンバータ2は、流体を介して動力を伝達する。また、トルクコンバータ2は、ロックアップクラッチ2aを締結することで、エンジン1からの駆動力の動力伝達効率を高めることができる。
締結要素31は、トルクコンバータ2とバリエータ30の間の動力伝達経路上に配置される。締結要素31は、図示しない前進クラッチ及び後進ブレーキを備える。締結要素31は、コントローラ10からの指令に基づき、オイルポンプ5の吐出圧を元圧としてバルブユニット40によって調圧されたオイルによって制御される。締結要素31としては、例えば、ノーマルオープンの湿式多板クラッチが用いられる。
バリエータ30は、締結要素31と駆動輪6との間の動力伝達経路上に配置され、車速やアクセル開度等に応じて変速比を無段階に変更する。バリエータ30は、プライマリプーリ30aと、セカンダリプーリ30bと、両プーリ30a,30bに巻き掛けられたベルト30cと、を備える。プーリ圧によりプライマリプーリ30aの可動プーリとセカンダリプーリ30bの可動プーリとを軸方向に動かし、ベルト30cのプーリ接触半径を変化させることで、変速比を無段階に変更する。なお、プライマリプーリ30aに作用するプーリ圧及びセカンダリプーリ30bに作用するプーリ圧は、オイルポンプ5からの吐出圧を元圧としてバルブユニット40によって調圧される。
バリエータ30のセカンダリプーリ30bの出力軸には、図示しない終減速ギヤ機構を介してディファレンシャル12が接続される。ディファレンシャル12には、ドライブシャフト13を介して駆動輪6が接続される。
オイルポンプ5は、エンジン1の回転がベルトを介して伝達されることによって駆動される。オイルポンプ5は、例えばベーンポンプによって構成される。オイルポンプ5は、オイルパン32に貯留されるオイルを吸い上げ、バルブユニット40にオイルを供給する。バルブユニット40に供給されたオイルは、各プーリ30a,30bの駆動や、締結要素31の駆動、自動変速機3の各要素の潤滑などに用いられる。
コントローラ10は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ10は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。具体的には、コントローラ10は、自動変速機3を制御するATCU、シフトレンジを制御するSCU、エンジン1の制御を行うECU等によって構成することもできる。なお、本実施形態における制御部とは、コントローラ10の後述するコーストストップ制御を実行する機能を仮想的なユニットとしたものであり、物理的な存在を意味するものではない。
コントローラ10には、エンジン1の回転速度を検出する第1回転速度センサ51、トルクコンバータ2の出力側であるタービンの回転速度(タービン回転速度Nt)を検出する第2回転速度センサ52、締結要素31の出力回転速度Nout(=プライマリプーリ30aの回転速度)を検出する第3回転速度センサ53、セカンダリプーリ30bの回転速度を検出する第4回転速度センサ54、車速Vを検出する車速センサ55、バリエータ30のセレクトレンジ(前進、後進、ニュートラル及びパーキングを切り替えるセレクトレバー又はセレクトスイッチの状態)を検出するインヒビタスイッチ56、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ57、ブレーキの踏力を検出する踏力センサ58等、からの信号が入力される。コントローラ10は、入力されるこれら信号に基づき、エンジン1及び自動変速機3の各種動作を制御する。
コントローラ10は、燃料消費量を抑制するために、以下に説明するコーストストップ制御を行う。
コーストストップ制御とは、車両100が低車速域で走行している間、エンジン1を自動的に停止(コーストストップ)させて燃料消費量を抑制する制御である。アクセルオフ時に実行される燃料カット制御とは、エンジン1への燃料供給が停止される点で共通するが、ロックアップクラッチ2aを解放してエンジン1と駆動輪6との間の動力伝達経路を絶ち、エンジン1の回転を完全に停止させる点において相違する。なお、アクセルオフ時に実行される燃料カット制御は、ロックアップクラッチ2aが解放されると解除され、エンジン1の自立状態を維持するために燃料噴射が再開される。
コーストストップを実行するにあたっては、コントローラ10は、まず、以下に示すコーストストップ条件(a)〜(c):
(a):アクセルペダルから足が離されている(アクセル開度APO=0)
(b):ブレーキペダルが踏み込まれている(ブレーキ踏力またはブレーキ圧が所定値以上)
(c):車速が所定の低車速(例えば、10〜20km/h)以下
を判断する。これらの条件は、言い換えれば、運転者に停車意図があるかを判断するための条件である。コントローラ10は、これらの条件(a)〜(c)が全て成立した場合にコーストストップ条件成立と判断する。
なお、ロックアップクラッチ2aは、変速マップ上に設定されるロックアップ解除線(不図示)を高速側または高回転側から低速側又は低回転側に横切った場合に解放される。
コーストストップの際には、車両の発進性を確保するために、車両停止直前までにバリエータ30の変速比を好ましくは最Lowの変速比に戻したいという要請がある(以下では、バリエータ30の変速比を最Low変速比に戻すことを、「Low戻し」という。)。
Low戻しは、車速Vの低下に応じてバリエータ30の変速比をLow側、つまり変速比が大きくなる方向に変更する変速制御であり、コーストストップ中を含むコースト走行中に、例えば、図2に示すコースト線(コースト走行時の変速線)に従ってバリエータ30のダウンシフトを行うことで行われる。
しかしながら、コーストストップでは、エンジン1への燃料供給が停止されるため、エンジン1の動力によって駆動されるオイルポンプ5から流量や油圧が低下する。このため、Low戻し等に必要な流量や油圧が不足し、バリエータ30の変速比を最Lowまで戻すことができなくなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、Low戻しを確実に行うことができる状況でのみコーストストップ制御を実行しつつ、コーストストップ制御の実行機会をできるだけ増やすようにする。以下に、本実施形態におけるコーストストップ制御について、図3及び図4を参照しながら具体的に説明する。
図3は、本実施形態におけるコーストストップ制御の流れを示すフローチャートである。本実施形態のコーストストップ制御は、コントローラ10にあらかじめ記憶されたプログラムを実行することにより行われる。
ステップS1では、アクセルがOFFか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、アクセル開度センサ57によって検出されたアクセル開度に基づいて、アクセルがOFFになっているか否かを判定する。アクセルがOFFであると判定されれば、ステップS2に進む。また、アクセルがOFFでないと判定されれば、上記コーストストップ条件を満たしていないので、ENDに進む。
ステップS2では、ブレーキがONか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、踏力センサ58によって検出されたブレーキの踏力に基づいて、ブレーキがONになっているか否かを判定する。ブレーキがONであると判定されれば、ステップS3に進む。また、ブレーキがONでないと判定されれば、上記コーストストップ条件を満たしていないので、ENDに進む。
ステップS3では、コーストストップ制御が実行可能か否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、図4に示す判定条件に基づいて、コーストストップ(エンジン1の自動停止)が実行可能か否かを判定する。
ここで、ステップS3での判定条件について、図4を参照しながら説明する。
ブレーキがON、且つ、アクセルがOFFの状態(以下では、この状態を「所定条件の成立後」ともいう。)において、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1未満であるときには、この時点でのコーストストップ制御の実行(エンジン1の自動停止)を禁止する。バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1未満で、エンジン1を停止してしまうと、オイルポンプ5からの油圧が低下し、変速比Rを最Lowにするための油圧(Low戻しのための油圧)を確保できない。このため、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1未満では、コントローラ10は、ロックアップクラッチ2aがON(締結状態)かOFF(解放状態)かにかかわらず、この時点でのコーストストップ制御の実行(エンジン1の自動停止)を禁止する。なお、変速比Rは、第3回転速度センサ53によって検出されたプライマリプーリ30aの回転速度と、第4回転速度センサ54によって検出されたセカンダリプーリ30bの回転速度と、に基づいて求めることができる。
このように、所定条件の成立後(ステップS1及びS2での判定後)、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1未満の場合には、ステップS3において、この時点でのコーストストップ制御の実行が可能でないと判定され、ステップS4に進む。
次に、所定条件の成立後、バリエータ30の変速比Rが第2閾値R2以上であるときについて説明する。この場合には、コントローラ10は、ロックアップクラッチ2aがON(締結状態)かOFF(解放状態)かにかかわらず、コーストストップ制御の実行(エンジン1の自動停止)を許可する。バリエータ30の変速比Rが第2閾値R2以上である場合には、エンジン1を停止しても、変速比Rを最Lowにするための油圧を確保できるので、コントローラ10は、この時点でのコーストストップ制御の実行(エンジン1の自動停止)を許可する。逆を言うと、第2閾値R2は、この時点でコーストストップ制御を実行しても、Low戻しが完了できるような値に設定される。
このように、所定条件の成立後(ステップS1及びS2での判定後)、バリエータ30の変速比Rが第2閾値R2以上の場合には、ステップS3において、コーストストップ制御の実行が可能と判定され、ステップS8に進む。
次に、所定条件の成立後、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1以上であって第2閾値R2未満であるときについて説明する。この場合には、ロックアップクラッチ2aがOFF(解放状態)であれば、この時点でのコーストストップ制御の実行(エンジン1の自動停止)を禁止する。バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1以上であっても第2閾値R2未満であるときに、ロックアップクラッチ2aがOFF(解放状態)であると、エンジン1の回転速度が、ロックアップクラッチ2aがON(締結状態)の時に比べて低下している。このため、オイルポンプ5からの油圧も低下しているので、変速比Rを最Lowにするための油圧を確保できない。したがって、この場合には、コントローラ10は、この時点でのコーストストップ制御の実行(エンジン1の自動停止)を禁止する。
このように、所定条件の成立後(ステップS1及びS2での判定後)、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1以上であって第2閾値R2未満であり、且つ、ロックアップクラッチ2aがOFFの場合には、ステップS3において、この時点でのコーストストップ制御の実行が可能でないと判定され、ステップS4に進む。
これに対し、ロックアップクラッチ2aがON(締結状態)であれば、エンジン1の回転速度がある程度維持されているので、変速比Rを最Lowにするための油圧が充分確保できる。したがって、コントローラ10は、この時点でのコーストストップ制御の実行(エンジン1の自動停止)を許可する。
このように、所定条件の成立後(ステップS1及びS2での判定後)、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1以上であって第2閾値R2未満であり、且つ、ロックアップクラッチ2aがONの場合には、ステップS3において、コーストストップ制御の実行が可能と判定され、ステップS8に進む。
続けて、ステップS4以下のフローについて説明する。
ステップS4では、ロックアップクラッチ2aがOFFか否かを判定する。ロックアップクラッチ2aがOFFであれば、ステップS5に進み、ロックアップクラッチ2aがOFFでなければ、ロックアップクラッチ2aがOFFになるまでステップS4の判定を繰り返す。なお、ロックアップクラッチ2aは、車速の低下とともに解放される。
ステップS5では、回転速度差Dが所定値D1以上であるか否かを判定する。具体的には、第1回転速度センサ51によって検出されたエンジン1の回転速度Neと、第2回転速度センサ52によって検出されたタービン回転速度Ntと、の回転速度差Dが、所定値D1以上であるか否かを判定する。
ブレーキがON、且つ、アクセルがOFFの状態になると、車速が低下し、これに伴って、エンジン回転速度Ne及びタービン回転速度Ntも低下する。ロックアップクラッチ2aが締結されている状態では、エンジン回転速度Ne及びタービン回転速度Ntは等しい。これに対し、ロックアップクラッチ2aが解放されると、エンジン1に駆動輪6から伝達されるトルク(車両100のコースト走行に起因するトルク)が低下する。これにより、エンジン回転速度Neは、タービン回転速度Ntよりも速く低下する。したがって、エンジン回転速度Neとタービン回転速度Ntとの間に回転速度差Dが生じる。
ステップS5において、回転速度差Dが所定値D1以上であると判定されれば、ステップS6に進み、回転速度差Dが所定値D1未満であると判定されれば、エンジン回転速度Ne及びタービン回転速度Ntがさらに低下し、回転速度差Dが所定値D1以上になるまでステップS5の判定を繰り返す。
ステップS6では、変速線(コースト線)を変更する。具体的には、コントローラ10は、トルクコンバータ2のエンジン回転速度Ne及びタービン回転速度Ntを上昇させるように変速線を変速線Cに切り換える(図2参照)。
コントローラ10は、変速線を変速線Cに切り換えることにより、エンジン回転速度Neを上昇させるとともに、バリエータ30の変速比を制御してトルクコンバータ2のタービン回転速度Ntを上昇させる。エンジン回転速度Neが上昇すると、エンジン1によって駆動されるオイルポンプ5の回転速度が上昇し、オイルポンプ5からの油圧が上昇する。これにより、バリエータ30のLow戻しのための油圧を確保することができる。
ステップS7では、変速比Rが第2閾値R2以上であるか否かを判定する。変速比Rが第2閾値R2以上であればステップS8に進み、変速比Rが第2閾値R2未満であれば、車速が低下し、変速比Rが第2閾値R2以上になるまでステップS7の判定を繰り返す。
ステップS8では、コーストストップ制御を実行する。具体的には、コントローラ10は、エンジン1への燃料噴射を停止し、エンジン1を停止させる。エンジン1が停止しても、車両100がコースト走行しているので、駆動輪6は回転している。駆動輪6の回転によるトルクは、バリエータ30、締結要素31及びトルクコンバータ2を介して、エンジン1に伝達される。このとき、タービン回転速度Ntを上昇させるように変速線が切り換えられているので、エンジン1の回転速度は上昇する。これにより、オイルポンプ5の回転速度も速くなるので、バリエータ30のLow戻しのための油圧を確保することができる。したがって、Low戻しを確実に実行することができる。また、オイルポンプ5からの油圧を確保することで、コーストストップ制御の実行機会を増やすことができる。
なお、コントローラ10は、ステップS4からステップS7の判定を行っている場合に、Low戻しが間に合わないと判定すれば、コーストストップ制御に関する制御を中断し、エンジン1を駆動した状態に維持する。
次に、本実施形態におけるコーストストップ制御を図5(A)及び図5(B)に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。図5(A)は、エンジン回転速度Neとトルクコンバータ2のタービン回転速度Ntの変化の一例を示すタイミングチャートである。図5(B)は、変速比の変化の一例を示すタイミングチャートである。
アクセルペダルから足が離され、ブレーキペダルが踏まれた状態で車両100が走行しているときに、車速が低下しロックアップクラッチ2aが解放されると(時刻t1)、トルクコンバータ2の入力軸(ポンプ側)と出力軸(タービン側)との機械的な接続が切り離される。そして、車速の低下に伴って、エンジン回転速度Ne及びタービン回転速度Ntが低下する。このとき、ロックアップクラッチ2aが解放されているため、上述のようにエンジン回転速度Neはタービン回転速度Ntよりも速く低下する。これにより、エンジン回転速度Neとタービン回転速度Ntとの間に回転速度差Dが生じる。
回転速度差Dが所定値D1(例えば、100rpm〜200rpm)になると(時刻t2)、コントローラ10は、変速線を変速線Cに切り換える。これにより、エンジン回転速度Ne及びタービン回転速度Ntが上昇を開始する。タービン回転速度Ntが上昇すると、変速比RがLow側に移行する速度が上昇する。
また、エンジン回転速度Neを上昇させることにより、オイルポンプ5の回転速度も上昇する。これにより、オイルポンプ5からの油圧を上昇させることができるので、バリエータ30のLow戻しのための油圧を充分確保することができる。
なお、回転速度差Dが所定値D1となったときに変速線を切り換えることにより、変速線の切り換えに伴う減速度の急変を抑制する。つまり、回転速度差Dが所定値D1となったときに変速線を切り換えることにより、変速線の切り換えに伴うショックを低減することができる。
このようにして変速比Rが第2閾値R2以上になると(時刻t3)、コントローラ10は、コーストストップ制御を実行する。具体的には、コントローラ10は、エンジン1への燃料噴射を停止し、エンジン1を停止する。このとき、コントローラ10は、タービン回転速度Ntをさらに上昇させるように制御する。これにより、駆動輪6の回転によるトルクが、バリエータ30、締結要素31及びトルクコンバータ2を介して、エンジン1に伝達され、エンジン1の回転速度Neが上昇する。つまり、エンジン1への燃料噴射を停止した後も、タービン回転速度Ntを上昇させることで、エンジン1の回転速度Neを上昇させる。これにより、オイルポンプ5からの油圧を確保して、バリエータ30のLow戻しための油圧を確保することができる。したがって、Low戻しを確実に実行することができる。また、オイルポンプ5からの油圧を確保することで、コーストストップ制御の実行機会を増やすことができる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
コントローラ10(制御装置)は、駆動源(エンジン1)と、駆動源(エンジン1)の下流に配置され且つロックアップクラッチ2aを有するトルクコンバータ2と、トルクコンバータ2の下流に配置されたバリエータ30と、を有する無段変速機(自動変速機3)と、を有する車両100を制御する。
コントローラ10(制御装置)は、アクセルオフ且つブレーキオンを含む所定条件が成立するまで車両100の走行中における駆動源(エンジン1)の自動停止を禁止する制御部を有する。コントローラ10(制御部)は、所定条件の成立後(ステップS1及びS2での判定後)、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1未満の状態でロックアップクラッチ2aが解放されると、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1よりも大きい第2閾値R2以上になるまで駆動源(エンジン1)の自動停止の禁止を継続する。さらに、コントローラ10(制御部)は、所定条件の成立後(ステップS1及びS2での判定後)、バリエータ30の変速比Rが第2閾値R2以上になるまで駆動源(エンジン1)の回転速度Neがアクセルオフ且つブレーキオフであるコースト走行時と比較して高くなるように変速線の変更を行う。
ロックアップクラッチ2aを解放すると、駆動源(エンジン1)の回転速度Neが低下する。そこで、駆動源(エンジン1)は即座に止めず、駆動源(エンジン1)の回転速度Neが高くなるように変速線を変更する。これにより、Low戻しに必要な駆動源(エンジン1)の回転エネルギーを確保することで、駆動源(エンジン1)によって駆動されるオイルポンプ5からのLow戻しに必要な油圧を確保する。
また、変速線を変更することにより、バリエータ30の変速比Rが第2閾値R2以上になるまで、駆動源(エンジン1)の回転速度Neをアクセルオフ且つブレーキオフであるコースト走行時と比較して速くする。これにより、駆動源(エンジン1)によって駆動されるオイルポンプ5からのLow戻しに必要な油圧を確保する。
よって、本実施形態のコーストストップ制御によれば、Low戻しを確実に行うことと、コーストストップ制御の実行機会を増やすことを両立できる。(請求項1、5に対応する効果)。
コントローラ10(制御部)は、所定条件の成立後(ステップS1及びS2での判定後)、バリエータ30の変速比Rが第1閾値R1以上の状態でロックアップクラッチ2aが解放されると、駆動源(エンジン1)の自動停止を実行する。
所定条件成立時に充分にダウンシフトできている状態であれば、Low戻しを確実にできるので即座に駆動源(エンジン1)の自動停止を実行する。これにより、駆動源(エンジン1)の停止している機会を増やすことができ、燃費を向上させることができる(請求項2に対応する効果)。
コントローラ10(制御部)は、ロックアップクラッチ2aの締結時にアクセルオフ且つブレーキオンになった場合にバリエータ30の変速比Rが第1閾値R1以上であるときは、バリエータ30の変速比Rが第2閾値r2未満であっても駆動源(エンジン1)の自動停止を許可する。
ロックアップクラッチ2aが締結している状態で、変速比Rが第1閾値R1以上の場合には、Low戻しが充分にできる範囲とみなすことができる。このため、駆動源(エンジン1)の自動停止をすぐに行うことにより、燃費を向上させることができる(請求項3に対応する効果)。
コントローラ10(制御部)は、ロックアップクラッチ2aの解放後、トルクコンバータ2の出力側回転速度(タービン回転速度Nt)が入力側回転速度(エンジン回転速度Ne)よりも所定回転速度以上になるまで、バリエータ30の変速線の変更を禁止する。
トルクコンバータ2の出力側回転速度(タービン回転速度Nt)と入力側回転速度(エンジン回転速度Ne)との回転速度差Dが無い状態(回転速度差Dが所定値D1未満)で変速線を切り換えてしまうと、変速線の切り換えに伴って減速度が急変し、ショックが発生するおそれがある。このため、回転速度差Dが所定値D1未満では、バリエータ30の変速線の変更を禁止する。つまり、回転速度差Dが所定値D1となったときに変速線を変速線Cに切り換えることで、変速線の切り換えに伴う減速度の急変を抑制し、ショックの発生を抑制できる(請求項4に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記実施形態では、ブレーキONの判定を踏力センサ58によって検出された踏力に基づいて行っていたが、これに限らず、ブレーキ圧を検出し、検出されたブレーキ圧に基づいてブレーキONの判定を行ってもよい。
1 エンジン(駆動源)
2 トルクコンバータ
2a ロックアップクラッチ
3 自動変速機(無段変速機)
5 オイルポンプ
10 コントローラ(制御装置、制御部)
30 バリエータ
100 車両

Claims (5)

  1. 駆動源と、
    前記駆動源の下流に配置され且つロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、前記トルクコンバータの下流に配置されたバリエータと、を有する無段変速機と、を有する車両を制御する車両の制御装置であって、
    アクセルオフ且つブレーキオンを含む所定条件が成立するまで前記車両の走行中における前記駆動源の自動停止を禁止する制御部を有し、
    前記制御部は、前記所定条件の成立後、前記バリエータの変速比が第1閾値未満の状態で前記ロックアップクラッチが解放されると、前記バリエータの変速比が前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上になるまで前記駆動源の自動停止の禁止を継続し、
    前記制御部は、前記所定条件の成立後、前記バリエータの変速比が前記第2閾値以上になるまで前記駆動源の回転速度がアクセルオフ且つブレーキオフであるコースト走行時と比較して高くなるように変速線の変更を行うことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両の制御装置において、
    前記制御部は、前記所定条件の成立後、前記バリエータの変速比が前記第1閾値以上の状態で前記ロックアップクラッチが解放されると、前記駆動源の自動停止を実行することを特徴とする車両の制御装置。
  3. 請求項1に記載された車両の制御装置において、
    前記制御部は、前記ロックアップクラッチの締結時にアクセルオフ且つブレーキオンになった場合に前記バリエータの変速比が前記第1閾値以上であるときは、前記バリエータの変速比が前記第2閾値未満であっても前記駆動源の自動停止を許可することを特徴とする車両の制御装置。
  4. 請求項1または2に記載された車両の制御装置において、
    前記制御部は、前記ロックアップクラッチの解放後、前記トルクコンバータの出力側回転速度が前記トルクコンバータの入力側回転速度よりも所定回転速度以上になるまで、前記バリエータの変速線の変更を禁止することを特徴とする車両の制御装置。
  5. 駆動源と、
    前記駆動源の下流に配置され且つロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、前記トルクコンバータの下流に配置されたバリエータと、を有する無段変速機と、を有する車両を制御する車両の制御方法であって、
    アクセルオフ且つブレーキオンを含む所定条件が成立するまで前記車両の走行中における前記駆動源の自動停止を禁止し、
    前記所定条件の成立後、前記バリエータの変速比が第1閾値未満の状態で前記ロックアップクラッチが解放されると、前記バリエータの変速比が前記第1閾値よりも大きい第2閾値以上になるまで前記駆動源の自動停止の禁止を継続し、
    前記所定条件の成立後、前記バリエータの変速比が前記第2閾値以上になるまで前記駆動源の回転速度がアクセルオフ且つブレーキオフであるコースト走行時と比較して高くなるように変速線の変更を行うことを特徴とする車両の制御方法。
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