JP2019151806A - 油性顔料インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶媒を用いた油性顔料インク組成物において、塩ビ等のプラスチック製フィルムからなる印刷媒体に印刷可能であり、しかも屋外の使用環境に堪えられる定着性に優れた油性顔料インク組成物を提供すること。【解決手段】顔料、顔料誘導体、顔料分散剤、定着性樹脂および有機溶媒を少なくとも含む油性顔料インク組成物であって、該有機溶媒は、ジプロピレングリコール系化合物、ジエチレングリコール系化合物及び含酸素複素環化合物を含み、該顔料分散剤は、顔料の含有量に対して、10〜50重量%の量で含まれる、油性顔料インク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、顔料、顔料分散剤、定着性樹脂および有機溶媒を少なくとも含む油性顔料インク組成物に関し、とくにインクジェット記録方式用の油性顔料インク組成物に関する。
インクジェット記録方式では、圧力、熱、電界などを駆動源として液状のインクをインクジェットプリンタのノズルから記録媒体に向けて吐出させ、文字、画像等を記録媒体上に印刷する。このような記録方式は、ランニングコストが低く、高画質印刷が可能であり、また水性や油性などの各種のインクを使用して印刷できることから、近年、市場を拡大している。
このような状況下、水性顔料インクを用いたA−Oサイズに対応できる大型のインクジェットプリンタが開発され、屋内用のポスター、CAD図面の出力、印刷の色あわせのためのプルーフィング用の出力に用いられてきている。また、透明フィルムを印刷面にラミネートすることにより、印刷物は屋外用途にも用いられている。
一方、屋外用のポスターなど、屋外用途の需要が高まるにつれ、印刷物にラミネートを施さずに使用でき、ポリ塩化ビニル(以下、単に「塩ビ」という)などのフィルムに直接印刷できるとともに、乾燥性や定着性に優れた油性顔料インクの開発が行われている。
油性顔料インクは、水性顔料インクとは異なり、有機溶媒を使用しているため、フィルムに直接印刷した後、ラミネート処理も不要であり、低コストで印刷可能である。例えば、特許文献1には、顔料と、高分子化合物と、グリコール系溶媒と含酸素複素環化合物とを使用した油性顔料インクが提案されている。この油性顔料インクでは、塩ビフィルムに印刷する用途の場合、グリコール系溶媒の種類と配合量により印刷物の乾燥性を調整し、定着性樹脂の溶解性を確保し、含酸素複素環化合物により塩ビを溶解して、印刷物の定着性を確保することができる。
特許文献2には、顔料と、高分子分散剤と、定着樹脂と、ポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテル及び環状エステルとを含む有機溶剤とを使用した油性顔料インクが提案されている。この油性顔料インクでは、上記有機溶剤が塩ビなどのプラスチック基材への浸透性に優れ、印刷物の定着性を確保することができる。
しかしながら、屋外の広告看板や、バスや電車などのラッピング車両など、昨今の需要の多様化に対応するために、印刷物の定着性を更に向上させることが要求されている。
特開2008−120992号公報 特開2016−44206号公報
本発明の目的は、このような事情に照らして、有機溶媒を用いた油性顔料インク組成物において、塩ビ等のプラスチック製フィルムからなる印刷媒体に印刷可能であり、しかも屋外の使用環境に堪えられる定着性に優れた油性顔料インク組成物を提供することである。
本発明は、顔料、顔料誘導体、顔料分散剤、定着性樹脂および有機溶媒を少なくとも含む油性顔料インク組成物であって、
該有機溶媒は、ジプロピレングリコール系化合物、ジエチレングリコール系化合物及び含酸素複素環化合物を含み、
該顔料分散剤は、顔料の含有量に対して、10〜55重量%の量で含まれる、
油性顔料インク組成物を提供する。
ある一形態においては、ジプロピレングリコール系化合物とジエチレングリコール系化合物との重量混合比は81:19〜99:1である。
ある一形態においては、ジプロピレングリコール系化合物は、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル化合物、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物、ジエチレングリコール系化合物は、ジエチレングリコールジアルキルエーテル化合物及びジエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
ある一形態においては、含酸素複素環化合物は、ラクトン構造を有する。
ある一形態においては、定着性樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂および塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
ある一形態においては、定着性樹脂は、10,000〜25,000の重量平均分子量を有する塩化ビニル系樹脂である。
ある一形態においては、上記油性顔料インク組成物は、駆動周波数20KHz以上のインクジェットプリンタに用いられる。
本発明によれば、印刷物の乾燥性、および長期の保存安定性にすぐれるとともに、受容層のない塩ビなどの安価なフィルムからなる印刷媒体にも印刷可能であり、しかも屋外の使用環境に堪えられる定着性に優れた油性顔料インク組成物が提供される。
実施例4のインク組成物で得られた塗布面に対し、定着性試験と耐アルコール性試験を行った後の印刷物の外観を示す写真である。 比較例4のインク組成物で得られた塗布面に対し、定着性試験と耐アルコール性試験を行った後の印刷物の外観を示す写真である。 実施例5のインク組成物で得られた塗布面に対し、定着性試験と耐アルコール性試験を行った後の外観を示す写真である。 比較例5のインク組成物で得られた塗布面に対し、定着性試験と耐アルコール性試験を行った後の外観を示す写真である。
以下、本発明の油性顔料インク組成物の実施の形態を挙げて本発明をより詳細に説明する。
本発明で使用される有機溶媒としては、ジプロピレングリコール系化合物、ジエチレングリコール系化合物、含酸素複素環化合物とを必須成分とする。すなわち有機溶媒として、特定のジプロピレングリコール系化合物、ジエチレングリコール系化合物と含酸素複素環化合物を併用しているので、従来の油性顔料インクでは問題となっていた受容層のない塩ビフィルムに対しても乾燥性が良く印刷でき、さらに印刷物の定着性に優れており、とりわけインクジェット記録方式用インクに適している。
特に、ジプロピレングリコール系化合物とジエチレングリコール系化合物との重量混合比が81:19〜99:1であることが好ましい。この配合比率を用いると、顔料の分散性や定着性樹脂の溶解性だけでなく、粘度や乾燥性をコントロールしやすい。ジプロピレングリコール系化合物とジエチレングリコール系化合物との重量混合比は、好ましくは82:18〜98:2、より好ましくは83:17〜97:3である。
更に、ジプロピレングリコール系化合物は、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル化合物、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物、ジエチレングリコール系化合物は、ジエチレングリコールジアルキルエーテル化合物、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物からなる群から選ばれる有機溶媒であることが好ましい。具体的には、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル化合物として、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテルなど、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物として、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートなど、ジエチレングリコールジアルキルエーテル化合物として、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなど、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物として、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ジプロピレングリコール系化合物とジエチレングリコール系化合物の使用量は、インク組成物の全重量を基準に、20〜85重量%、好ましくは40〜80重量%である。その使用量が、20重量%未満であると、顔料の分散性を保ちにくくなるため、保存安定性に問題が生じやすくなる可能性があり、85重量%を越えると、印字した際のインクの乾燥が遅くなることが懸念される。
また、ジプロピレングリコール系化合物とジエチレングリコール系化合物は、インク組成物の乾燥性や臭気の点から、150〜250℃の範囲の沸点を有するのが望ましい。
本発明のインク組成物は、上記のジプロピレングリコール系化合物とジエチレングリコール系化合物に加えて、基材としての塩ビを溶解し顔料を定着させることを目的として、有機溶媒として含酸素複素環化合物を含む。
含酸素複素環化合物とは、酸素を含む2種類以上の元素により構成される環式化合物である。含酸素複素環化合物として、塩ビを溶解する溶媒は既知であり、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状エーテル化合物や、2−アセチルブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−ラクトン、カプロラクトンなどのラクトン構造を有する化合物が挙げられる。
特に、ラクトン構造を有する化合物は、高引火点、低臭でかつ塩ビ溶解性などにすぐれる特性を持ち、臭気が少なく安全性にすぐれたものが多く、特に好ましい。また、樹脂の溶解性に優れているにもかかわらず、顔料の再凝集を引き起こしにくく、分散安定性を長期間保ちやすい。
含酸素複素環化合物の使用量は、インク組成物の全重量を基準に、1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは16〜33重量%である。含酸素複素環化合物の使用量が1重量%未満では、十分な塩ビ溶解能が得られない。一方、50重量%を超えると、塩ビ溶解力の効果が飽和するとともに、インクの揮発性が不十分になり、印刷した際にたれ、にじみなどを生じやすい。また、含酸素複素環化合物の使用量が多すぎると、ヘッドに使用しているプラスチック部材や接着剤を溶解し、プリンタ運転性が悪化する。
本発明のインク組成物は、有機溶媒として、ジプロピレングリコール系化合物、ジエチレングリコール系化合物、含酸素複素環化合物とを併用するが、これら3種の有機溶媒に加えて、必要により、これら以外の一般的な有機溶媒、例えば、アルコール系化合物、ケトン系化合物、エステル系化合物、アミン系化合物、グリコール系化合物、グリコールエーテル系化合物、芳香族系化合物などを併用することもできる。ただし、他の有機溶媒は、本発明の特徴を損なうことのない種類を選択し、本発明の効果の達成を妨げない量で使用すべきことは、言うまでもない。これらの有機溶媒は、インク組成物全量に対して、通常30〜99重量%、好ましくは50〜98重量%の割合で用いられる。
本発明のインク組成物は、組成物全体として、好ましくは61〜100℃、より好ましくは65〜95℃の引火点を有する。引火点が61℃未満の場合、国際的輸送関係法規における船舶輸送の場合の危険物の中でも高引火点引火性液体に分類され、輸送、運搬などに際して制約を受けるだけでなく、漏洩などのトラブルの際、引火などの危険を伴いやすい。これに対し、引火点が61℃以上となるようにすると、このような問題をすべて回避することができる。また、引火点が100℃以上のインク組成物は、乾燥しにくく、裏移りなどの原因となるため、あまり好ましくない。
また、上記有機溶媒以外に、これと相溶して単一の連続する液相を形成可能な範囲で水溶性有機溶剤を添加することができる。この水溶性有機溶剤としては特に限定されず、従来公知のものを使用できる。
本発明で使用される顔料は特に限定されず、従来公知の無彩色および有彩色の有機顔料だけでなく、無機顔料も使用できる。ただし、インク中の顔料が無機顔料のみのインクについては本発明の効果はさほど顕著でない。これら顔料の使用量は、着色力やインクの流動性などの点より、インク組成物全量に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜12重量%、より好ましくは0.5〜8重量%の割合とするのがよい。
例えば、有機顔料は、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ジアセトアセトアリライド系などが挙げられる。また、酸性、中性または塩基性カーボンからなるカーボンブラックも用いられる。
シアンインク組成物に使用される顔料の種類としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60などが挙げられる。好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4から選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
マゼンタインク組成物に使用される顔料の種類としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112,122,123,168,184、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19などが挙げられる。好ましくは、C.I.ピグメントレッド57:1、122、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19から選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
イエローインク組成物に使用される顔料の種類としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、130、138、150、151、154、155、180、185などが挙げられる。好ましくは、C.I.ピグメントイエロー14、74、83、109、110、120、150、151、155、180から選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
ブラックインク組成物に使用される顔料の種類としては、三菱化学社製のHCF、MCF、RCF、LFF、SCF、キャボット社製のモナーク、リーガル、デグサ・ヒュルス社製のカラーブラック、スペシャルブラック、プリンテックス、東海カーボン社性のトーカブラック、コロンビア社製のラヴェンなどが挙げられる。好ましくは、三菱化学社製のHCF#2650、#2600、#2350、#2300、MCF#1000、#980、#970、#960、MCF88、LFFMA7、MA8、MA11、MA77、MA100、デグサ・ヒュルス社製のプリンテックス95、85、75、55、45、25などから選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
例えば、無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、リトポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカなどが用いられる。これらの顔料は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である。
本発明で使用される顔料誘導体は、従来公知の顔料分子もしくは染料分子を土台とし、酸性基や塩基性基など極性をもった官能基や、アルキル基など有機溶剤との親和性を向上する官能基を導入して合成された化学組成物が使用できる。その導入する官能基としては、塩素基、スルホン酸基、スルホン酸アミド基、カルボン酸基、カルボン酸アミド基、アミノ基、アミノメチル基、イミド基、イミドメチル基、フタルイミド基、フタルイミドメチル基、ニトロ基、シアノ基、リン酸基などが挙げられる。
これら顔料誘導体の使用量は、顔料の種類や分散に用いる溶媒、分散条件などにより異なるが、通常は、顔料の含有量を基準にして、0.1〜200重量%とする。顔料誘導体の使用量が顔料の含有量を基準にして0.1重量%未満であると、顔料の分散に必要な顔料誘導体が不足するため、インク中の分散安定性が悪化し、プリンタでの吐出が不安定になることや、塗膜中の顔料分散均一性が悪化し、定着性に悪影響を与えることとなり、200重量%を超えると、塗膜中の顔料よりも顔料誘導体の比率が多くなるため、塗膜中における耐水性や耐光性が極端に悪化することとなる。顔料誘導体の使用量は、顔料の含有量を基準にして、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは、1〜20重量%である。例えば、有機顔料を使用する場合、顔料誘導体の使用量は、顔料の含有量を基準にして0.5〜200重量%であることが好ましい。
その顔料誘導体の大きさは、結晶構造を構成する顔料一分子レベルの大きさ、すなわち染料分子レベルから、数個〜数百個の顔料分子の会合体レベル、数nm〜数十nmの顔料結晶粒子レベルまで、分子会合工程や結晶化工程など合成方法を調整し、用途に応じて適宜使用することができる。
顔料誘導体の種類としては、導入する物質が例えば、不溶性アゾ系、アゾレーキ系、縮合アゾ系などであるアゾ系顔料誘導体や、アントラキノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、ピロコリン系、フルオルビン系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリミジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系などであるの多環式顔料誘導体などが挙げられる。
本発明においては、インク組成物の分散安定性を向上する観点から、顔料と顔料誘導体とを併用する必要があり、顔料誘導体の選定は、使用する顔料と同一構造であるか、または使用する顔料と類似した構造を持つ物質であることが好ましい。例えば、顔料としてキナクリドン系顔料を用いた場合、顔料誘導体としてキナクリドン系顔料誘導体を使用することが好ましく、顔料として銅フタロシアニン系顔料を用いた場合、顔料誘導体として銅フタロシアニン系顔料誘導体を使用することが好ましい。特に、銅フタロシアニン系有機顔料と銅フタロシアニン系顔料誘導体とを使用するシアン色のインク組成物において、分散安定性の効果が顕著であり、より好ましい。具体的に、銅フタロシアニン系顔料誘導体は、銅フタロシアニンの塩素化誘導体、銅フタロシアニンのスルホン化誘導体、銅フタロシアニンのスルホン酸金属塩誘導体、銅フタロシアニンのスルホン酸アルキルアミン塩誘導体、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド化誘導体、銅フタロシアニンのカルボン酸誘導体、銅フタロシアニンのアルキルアミン誘導体、銅フタロシアニンのジアルキルアミノアルキルスルホン酸アミド誘導体、銅フタロシアニンのフタルイミド誘導体などが挙げられる。具体的には、日本ルーブリゾール社製の「ソルスパース5000(銅フタロシアニンのスルホン酸アルキルアミン塩誘導体)、ソルスパース12000(銅フタロシアニンのスルホン酸誘導体)などが挙げられる。また、アゾ系顔料誘導体は、日本ルーブリゾール社製の「ソルスパース22000(ベンジジンイエロースルホン酸アンモニウム塩誘導体)などが挙げられる。
顔料分散剤としては、使用する着色剤を溶剤中に安定に分散させるものであれば特に制限されないが、中でも高分子分散剤を使用することが好ましい。すなわち、顔料分散剤としては、イオン性または非イオン性の界面活性剤や、アニオン性、カチオン性またはノニオン性の高分子化合物が用いられているが、分散安定性、耐水性、耐搾過性など印字物の強度面からは、高分子化合物が好ましく、特に、カチオン性基またはアニオン性基を含む高分子化合物が好ましい。顔料分散剤は、有機溶媒中で顔料と分散剤との酸塩基相互作用にて吸着し、分散安定化しているため、顔料吸着サイトであるカチオン性基かアニオン性基の少なくとも一方を含むことが必須であり、顔料の種類等により分散剤中のカチオン性基やアニオン性基の種類と量をコントロールすることが重要である。
この顔料分散剤の使用量は、顔料の種類や分散に用いる溶媒、分散条件などにより異なるが、顔料の含有量を基準にして、10〜55重量%とする。一般に、油性顔料インク組成物では、顔料を均一に分散させる観点から、分散顔料分散剤は、顔料の含有量を基準にして55重量%を上回る量で使用されてきた。
これに対し、本発明の油性顔料インク組成物では、顔料分散剤の使用量を上記範囲に調節する。そのことで、印刷物の定着性が向上し、しかも顔料分散性が損なわれることもない。理論に限定されることを意図しないけれども、顔料分散剤の使用量を制限することで塗膜の樹脂成分が均質化され、塗膜の強度が向上するために、印刷物の定着性が向上すると考えられる。顔料分散剤の使用量は、顔料の含有量を基準にして、好ましくは30〜50重量%、より好ましくは40〜45重量%である。例えば、有機顔料を使用する場合、顔料分散剤の使用量は、顔料の含有量を基準にして30〜45重量%であることが好ましい。
顔料分散剤として、具体的には、日本ルーブリゾール社製の「SOLSPERSE」、ビックケミー社製の「DISPERBYK」、エフカアディティブズ社製の「EFKA」、コグニス社製の「TEXAPHOR」の名称で市販されているものが好ましい。これらの中でも、SOLSPERSE13940(ポリエステルアミン系)、同17000、同18000(脂肪族アミン系)、同24000、同32000、同32500、同32550、同32600、同35100、同36600、同37500、同39000(以上、日本ルーブリゾール社製)、DISPERBYK101、同109、同130、同161、同162、同163、同164、同165、同166、同167、同168(以上、ビックケミー社製)、EFKA400、同401、同402、同403、同450、同451、同453(変性ポリアクリレート)、同46、同47、同48、同49、同4010、同4050、同4055、同4060(変性ポリウレタン)(以上、エフカアディティブズ社製)、TEXAPHOR P60、同P61、同P63、同SF73(以上、コグニス社製)、デモールP、同EP、ポイズ520、同521、同530、ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)(以上、花王社製)、ディスパロンKS−860、同KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)(以上、楠本化成社製)、ディスコール202、同206、同OA−202、同OA−600(多鎖型高分子非イオン系)(以上、第一工業製薬社製)が特に好ましい。これらを顔料、溶媒の種類にあわせて用いることにより、インク組成物として効果が発揮される場合が多い。市販の顔料分散剤は、固形分100%品や、固形分1〜99%の溶媒希釈品の形態のどちらかで提供されるが、本発明では、溶媒希釈品の場合も、顔料の含有量を100%と基準として、顔料分散剤の固形分の使用量を10〜55重量%と定義する。
定着性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロースよりなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましく用いられる。これらの樹脂は、塩ビに対する定着性に優れるものが多く、樹脂中の官能基、構造などを変えることで、耐水性、分散安定性、印字性などをコントロールすることができる。特に好ましいのは塩化ビニル系樹脂である。この定着性樹脂の使用量としては、その種類や分子量、顔料や溶媒の種類などにより異なるが、通常は、顔料に対して、5〜200重量%とするのが好ましい。
具体的には、アクリル系樹脂として、ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリル」、積水化学社製の「エスレックP」、ポリエステル系樹脂として、ユニチカ社製の「エリーテル」、東洋紡社製の「バイロン」、ポリウレタン系樹脂として東洋紡社製の「バイロンUR」、大日精化社製の「NT−ハイラミック」、大日本インキ化学工業社製の「クリスボン」、日本ポリウレタン社製の「ニッポラン」、塩化ビニル系樹脂として、日信化学工業社製の「ソルバイン」、積水化学社製の「セキスイPVC−TG、セキスイPVC−HA」、ダウ・ケミカル社製の「UCARシリーズ」、ニトロセルロースとしては、旭化成社製の「HIG、LIG、SL、VX」、ダイセル化学社製の「工業用ニトロセルロースRS、SS」などが好ましい。
このような定着性樹脂は、重量平均分子量が2,000〜100,000であるものが好ましい。すなわち、重量平均分子量が2,000より小さいと、媒体と顔料粒子との定着性を高める効果が得られにくく、塗膜強度が十分に得られないおそれがある。また、重量平均分子量が100,000より大きいと、インクの粘度が高くなり、流動性が十分に発揮されないおそれがある。なお、この明細書において、高分子化合物の重量平均分子量とは、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算分子量として求められる値を意味するものである。
安定した吐出性と定着性を両立するためには、高分子化合物が重量平均分子量10,000〜25,000の塩化ビニル系樹脂であることが、特に好ましい。これは、有機溶媒への溶解度が高く、かつ顔料の分散安定化や染料の可溶化を促進する作用があることに起因している。その結果、インクの粘性抵抗が不均一に変化することが抑制され、高速印刷時における吐出安定性が向上する。その添加量は、インク組成物全量に対して、0.5〜10.0重量%の範囲が好ましく、1.0〜7.0重量%の範囲がより好ましい。
具体的には、ソルバインCL(分子量25,000)、同AL(分子量22,000)、同TAO(分子量15,000)、同MK6(分子量13,000)、同CNL(分子量12,000、以上、日信化学工業社製)、UCAR Solution Vinyl Resin VYHD(分子量22,000)、同VMCC(分子量19,000)、同VMCA(分子量15,000)、同VERR−40(分子量15,000)、同VAGD(分子量22,000)、同VAGC(分子量24,000)、同VROH(分子量15,000)、同Ucarmag569(分子量22,000、以上、ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。
顔料分散剤および定着性樹脂などの高分子化合物は、水およびエタノールに対する溶解度ができるだけ低いものが望ましい。すなわち、顔料分散剤および定着性樹脂は、インクジェット記録方式による印字後、基材の表面または表層部に残り、乾燥して定着する。樹脂成分が水に易溶であると、印字物の耐水性に欠け、屋外で使用する際に雨などで印字物が流れるおそれがある。また、印字物をポスターなどとして使用する際、表面にコート剤などを吹き付けて使用する場合があり、このコート剤にはアルコール成分を主溶媒とするものが多いため、高分子化合物がアルコール溶剤に易溶であると、印字物がコート剤により垂れ落ちるおそれがある。
尚、本発明によるインク組成物には、顔料、顔料誘導体、顔料分散剤、有機溶媒のほかに、顔料の分散安定性やインクの吐出安定性に影響せず、インクの液相に完全に相溶する範囲で、必要により、定着用樹脂、pH調整剤、界面活性剤、表面調整剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、電荷付与剤、殺菌剤、防腐剤、防臭剤、電荷調整剤、湿潤剤、皮はり防止剤、香料などの公知の一般的な添加剤を使用することができる。
本発明のインク組成物における製造方法は、従来公知の製造方法が適用できる。まず、顔料や顔料誘導体、顔料分散剤、有機溶剤を使用して製造する分散体を得る際には、ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミル、ビーズミルなどの高速回転ミル、攪拌槽型ミルなどの媒体攪拌ミル、ディスパーなどの簡単な分散機により、よく撹拌混合し、分散させればよい。
次に、インク組成物として機能を付与する目的で、この分散体に、粘度調整や塩ビ基材を溶解せせるための有機溶剤、定着用樹脂やpH調整剤などの添加剤などの上記の各成分を添加した後、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパー、ホモジナイザーなどの簡単な攪拌機を用い、均一に混合する。また、ラインミキサーなどの混合機を用いて、混合してもよい。さらに、析出粒子をより微細化する目的で、ビーズミルや高圧噴射ミルなどの分散機を用いて、混合してもよい。また、顔料の粗大粒子を除去する目的で、遠心分離機やフィルター、クロスフローなどの分級処理を用いてもよい。
このようにして得られた本発明のインク組成物は、顔料(固体相)が単一の連続する液相に分散した状態であり、顔料に顔料誘導体が吸着すると共に、顔料誘導体自体も凝集しないでよく分散している必要がある。インク組成物の液相中で顔料誘導体が良好に分散していることを確認するためには、粒度分布計を用いて粒度分布や粗大粒子の有無を確認する方法や、グラスファイバー製のろ紙やメンブランフィルターを用いたろ過試験により、インクが通過する速度や残留物の有無を確認する方法、インクジェットプリンタを用いて、インク製造直後のインク組成物、もしくは長期放置後のインク組成物を充填し連続印刷試験を行い吐出安定性を確認する方法などが挙げられる。
本発明のインク組成物は、水分量がインク全量の0.5重量%未満の範囲となるように調整されることが好ましい。より好ましくは0.3重量%未満の範囲となるように調整される。我々の実験では水分量は少ないほどインクの保存安定性は良好であるが、インクに用いられる有機溶剤にはメーカーで製造された段階や、インク製造工程で空気中の水分を取り込むので実際には含有水分量を皆無にするのは不可能である。しかし、水分量が0.1重量%未満であると実質的な悪影響はない。水分量がインク全量の0.5重量%未満の範囲では優れた顔料の分散安定性及びインクジェットヘッドノズルからの吐出安定性を示すインク組成物が得られる。
従来、顔料や顔料誘導体、顔料分散剤、有機溶剤などの各成分は、その保湿性により微量の水を含有することがある。また、各成分の水分は、インク製造工程(例えば原材料の調合工程や顔料を分散する工程)における吸放湿により変動することがある。また、インク組成物の水分量も、調製中の吸放湿により変動する。そのため、インク調製後における水分量は、最終的に得られる油性インクの水分量と必ずしも一致しない。したがって、水の調節量は、使用される有機溶剤の種類および保湿性、顔料分散時の環境条件、各成分の保存条件等によって異なるが、通常、油性インク全量に対して0.1重量%程度とされる。なお、本発明において、水分量はカールフィッシャー法に基づいて測定した値を意味する。
本発明においては、この水分量は、通常、上記各成分を混合して油性インクを調製する際に、製造方法として脱水工程を用いることにより調整できる。脱水工程としては、絶対湿度が16g/m以下である温度および湿度調整された環境下で製造する方法、有機溶剤の蒸発速度が水よりも遅い場合はと水分との蒸発速度の差異により水分を優先的に蒸発させる方法、原材料や油性インクの保管において空気の代わりに窒素やアルゴンなどのガスを充填し密封して保管する方法、現材料や油性インクをモレキュラーシーブなどの脱水剤にて処理する方法などが挙げられる。
本発明の油性インクは、業務用インクジェットプリンタ、例えば、駆動周波数20KHz以上のインクジェットプリンタで使用するのに適している。すなわち、印刷速度の向上にはプリンタヘッドの駆動周波数が高いことが必要であるが、ヘッド管内でのインクの流動性やドット液滴形成の均一性は顔料の分散安定性に依存する。本発明の油性インクは分散安定性に優れるため、ノズル内で剪断速度が頻繁に変化する場合でも、インクの粘性抵抗が不均一に変化することが抑制され、高速印刷時における吐出安定性が向上する。そして、かかるインクジェットプリンタで使用することにより、高速化と印刷物の定着性を両立することができる。
上記のようなインクジェットプリンタのヘッドからの安定した吐出性を得るためには、25℃における粘度が1〜30mPa・sとなるようにインクを調製することが好ましい。粘度が30mPa・sより大きいインクは、流動性が極端に悪く、また、粘度が1mPa・sより小さいインクは、油性インクの構成成分となる組成バランスが不適切であり、定着性や耐水性、耐候性などの耐久性が不十分である。かかる粘度調整は、非水溶性有機溶剤やその他の成分の種類や量を適宜選択することによって行える。
本発明の油性インクは、25℃での表面張力が20〜35mN/mであるものが好ましい。また、顔料粒子の分散平均粒子径は30〜200nmであるのが好ましく、より好ましくは50〜160nmである。また、ヘッドでの目詰まりなどを避けるため、顔料粒子の最大分散粒子径は1000nm以下であるものが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下で「部」及び「%」は、特に断らない限り重量基準である。
<油性顔料分散体の製造>
表2の組成に基づき、直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントコンディショナー(東洋精機(株)製)により2時間分散した後、遠心分離機により14000Gの条件にて30分間分級処理を行い、分散体A〜Jを得た。
(実施例1〜5及び比較例1〜5)
<油性顔料インク組成物の製造>
この分散液A〜Jと表3の組成をビーカーに計り取り、インク温度が50℃になるように温調機により調整しながら、マグネチックスターラーにより60分間攪拌後、グラスファイバー製のろ紙GFP(桐山製作所製、補足粒子0.8μm)を用いて、吸引ろ過を行い、油性顔料インク組成物1〜10を作製した。
本発明で行った油性インクの評価項目と方法は以下の通りである。
<乾燥性>
インク組成物を、温度25℃湿度30%の恒温室で、No.8ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて、光沢塩ビ(リンテック株式会社製、P−224RW)に塗布した。この塗布面に指で触れたときに付かなくなった時間を測定した。判定は以下のように評価した。
○:1分以内のもの
△:5分以内のもの
×:5分以上経っても指に付くもの
<定着性>
インク組成物を、温度25℃湿度30%の恒温室で、No.8ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて、光沢塩ビ(リンテック社製、P−224RW)に塗布した。24時間後、塗布面に対し、直径7mmの消しゴム(トンボ社製、モノ)を摺動部材とし、摺動試験機(HEIDON社製、HEIDON−14DR)を用いて、摺動試験を行った。摺動の条件は、速度1,000mm/分、摺動幅20mm、摺動回数10回で、1,000gの分銅により荷重をかけて行った。判定は以下のように評価した。
◎:塗布面が全く剥ぎ取られなかったもの
○:わずかに色が落ちたもの
△:一部色が落ちたもの
×:剥ぎ取られ、基材が見えたもの
<耐アルコール性>
インク組成物を、温度25℃湿度30%の恒温室で、No.8ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて、光沢塩ビ(リンテック社製、P−224RW)に塗布した。24時間後、塗布面に対し、水/エタノール混合溶液(重量比5/5)を染み込ませた綿棒(ジョンソン アンド ジョンソン社製ジョンソン綿棒)で、摺動試験機(HEIDON社製、HEIDON−14DR)を用いて、摺動試験を行った。摺動の条件は、速度1,000mm/分、摺動幅20mm、摺動回数10回で、300gの分銅により荷重をかけて行った。判定は以下のように評価した。
◎:塗布面が全く剥ぎ取られなかったもの
○:わずかに色が落ちたもの
△:一部色が落ちたもの
×:剥ぎ取られ、基材が見えたもの
<保存安定性>
インク組成物を蓋付きビンに密封し、60℃の恒温槽に42日間放置した後、グラスファイバー製のろ紙GFP(桐山製作所製、補足粒子0.8μm)を用いて、吸引ろ過を行い、ろ紙上の残留物の状態を確認した。判定は以下のように評価した。
○:残留物なし
△:少し残留物あり
×:多量の残留物あり
<プリンタ運転性>
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置を用いて、インク組成物を充填し、連続印刷試験を行い、吐出安定性を確認した。このインクジェット記録装置は、ロールtoロール式であり、インク供給系として、インクカートリッジ、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、及びピエゾヘッドを備え、インク乾燥系として、プレヒーター、プラテンヒーター、アフターヒーターといった3種のヒーターを保有している。また、ヘッド直前の前室インクタンクとピエゾヘッドには、インクのゴミを除去するフィルター(SUSメッシュ)を備えている。また、液滴サイズを約4pl、解像度を540×1080dpiでインク吐出できるよう、駆動周波数50kHzでインクジェット記録装置を駆動した。判定は以下のように評価した。
◎:吐出不良が全くなく、極めて安定した吐出状態である
〇:わずかにサテライト滴が発生するが、安定した吐出状態である
△:サテライト滴が発生し、やや不安定な状態である
×:印字抜けやサテライト滴が多発し、不安定な状態である
図1は、実施例4のインク組成物で得られた塗布面に対し、定着性試験と耐アルコール性試験を行った後の外観を示す写真である。図2は、比較例4のインク組成物で得られた塗布面に対し、定着性試験と耐アルコール性試験を行った後の外観を示す写真である。
図3は、実施例5のインク組成物で得られた塗布面に対し、定着性試験と耐アルコール性試験を行った後の外観を示す写真である。図4は、比較例5のインク組成物で得られた塗布面に対し、定着性試験と耐アルコール性試験を行った後の外観を示す写真である。
実施例1〜5のインク組成物は、インクジェット記録方式用の油性顔料インク組成物に要求される全ての性能について評価が良好であった。これに対し、比較例1〜5のインク組成物は保存安定性の評価が明確に悪く、乾燥性、定着性及び耐アルコール性の評価も悪かった。

Claims (7)

  1. 顔料、顔料誘導体、顔料分散剤、定着性樹脂および有機溶媒を少なくとも含む油性顔料インク組成物であって、
    該有機溶媒は、ジプロピレングリコール系化合物、ジエチレングリコール系化合物及び含酸素複素環化合物を含み、
    該顔料分散剤は、顔料の含有量に対して、10〜55重量%の量で含まれる、
    油性顔料インク組成物。
  2. ジプロピレングリコール系化合物とジエチレングリコール系化合物との重量混合比が81:19〜99:1である請求項1に記載の油性顔料インク組成物。
  3. ジプロピレングリコール系化合物は、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル化合物、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物、ジエチレングリコール系化合物は、ジエチレングリコールジアルキルエーテル化合物及びジエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の油性顔料インク組成物。
  4. 含酸素複素環化合物は、ラクトン構造を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の油性顔料インク組成物。
  5. 定着性樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂および塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の油性顔料インク組成物。
  6. 定着性樹脂は、10,000〜25,000の重量平均分子量を有する塩化ビニル系樹脂である請求項1〜5のいずれか一項に記載の油性顔料インク組成物。
  7. 駆動周波数20KHz以上のインクジェットプリンタに用いる請求項1〜6のいずれか一項に記載の油性顔料インク組成物。
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