JP2019151719A - ポリイミドフィルム、その製造方法および光硬化樹脂層付きポリイミドフィルム - Google Patents

ポリイミドフィルム、その製造方法および光硬化樹脂層付きポリイミドフィルム Download PDF

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Tomoyuki Nemoto
友幸 根本
善史 八木
Yoshifumi Yagi
善史 八木
覚 桃平
Satoru Momohira
覚 桃平
二郎 杉山
Jiro Sugiyama
二郎 杉山
弘行 谷山
Hiroyuki Taniyama
弘行 谷山
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Abstract

【課題】特別な表面処理をしなくても硬化樹脂組成物を塗布することができる新たなポリイミドフィルムを提供することにあり、さらに好ましくは、塗れ性(表面張力)、透明性、色調(黄色味)、引張弾性率、線膨張係数に優れ、且つ、溶剤キャスト成形及び押出キャスト成形のいずれでも成形可能であり、且つ溶融熱安定性、二次加工適性に優れたポリイミドフィルムを提供する。【解決手段】所定の式で表される構造単位のうちの少なくとも一方を有し、且つ下記式(3)で表される構造単位を有するポリイミドを含むポリイミドフィルムであり、フィルム表面の表面張力が40mN/m以上であることを特徴とするポリイミドフィルムを提案する。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルム及びその製造方法、並びに、そのポリイミドフィルムを用いた光硬化樹脂層付きポリイミドフィルムに関するものである。
従来から、ポリイミドフィルムは、耐熱性や機械物性、耐薬品性、電気特性等に優れるため、自動車、電気、電子、電池、工業等の各分野において使用されている。
ポリイミドフィルムを構成するポリイミド原料は、一般的に耐熱性に優れる反面、明瞭なガラス転移温度を有さない熱硬化性樹脂であり、成形用に使用する場合には、焼結成形等の特殊な手法を採用する必要がある。更に、ポリイミド原料は全芳香族骨格を有するため、往々にして成形品が着色しやすい傾向にある。このため、例えばディスプレイ部材など、着色を嫌う用途への適用は困難な状況にあった。
前記成形加工性改善のため、汎用な熱可塑性樹脂と同様に一定温度以上で溶融成形可能な熱可塑性ポリイミドが検討されている。例えば、特許文献1には、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸骨格を基本骨格とする熱可塑性ポリイミドが記載されている。また、ポリイミド原料の製造方法として、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸樹脂溶液を溶液中でイミド化する方法が記載されている。
一方、着色性改善のために、脂環式テトラカルボン酸二無水物及び脂肪族系ジアミンのうち、少なくとも一方を用いた透明ポリイミドが検討されている。例えば、特許文献2には、3,4,3’,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物骨格を用いた透明ポリイミドの記載があり、その製造方法として、ポリアミック酸溶液の溶液流延法による成形及び加熱イミド化によって透明ポリイミド成形体を得る方法が記載されている。また、特許文献3には脂肪族テトラカルボン酸骨格を有するポリアミック酸樹脂を溶液中でイミド化し、ポリイミド原料を得る方法が記載されている。
特許文献4には、脂環構造を有するポリイミドの立体構造を制御することにより、有機溶媒への溶解性に優れたポリイミド原料を得る記載がある。
さらに特許文献5には、ポリイミド樹脂と支持体からの剥離性、あるいはポリアミック酸溶媒のレベリング性改良などを目的として、フッ素骨格を導入したポリイミド樹脂の記載がある。
特開平4−331231号公報 特開平8−104750号公報 特開2005−15629号公報 特開2006-143996号公報 特開2015−101710号公報
特許文献1記載のポリイミド原料はガラス転移温度が高く、しかも結晶性を有するため、通常の工業プロセスにおける溶融温度の上限において溶融状態とすることが困難であり、成形方法が通常、溶媒キャスト法(溶液流延法)に制限される。また、芳香族骨格が多いため、得られるポリイミド原料は色調、透明性が不十分となる傾向にある。
特許文献2記載の方法は、溶媒キャスト法によりポリイミドフィルムを成形する方法であるが、例えば、38μm以下の薄膜しか、フィルム化できず、用途が限定されること、溶媒乾燥に時間を要するため、往々にして生産速度が遅く、生産性が低い状況にある。
また、ポリアミック酸溶液は空気中の水分で容易に加水分解するため、保管途中で分子量が変わり、粘度が低下する問題がある。更に、本発明者らの検討によれば、ポリイミド原料のイミド化率が不十分であり、末端に1級アミノ基が残存しているため、溶融熱安定性が不十分であり、そのことが着色の原因にもなるという課題も見出された。
一方、特許文献3にはポリイミド原料を溶媒と混合した溶液状態で用いる溶媒キャスト法が記載されているが、これも特許文献2と同様に、薄膜状のフィルムしか製造することができず、その用途が限定されること、溶媒乾燥に時間を要すること、及びそのためにコストが高くなることなどの課題があり、更にはポリイミドの末端に1級アミノ基が残存しており、着色の原因となる課題も見出された。また、溶媒と混合したポリイミド溶液を溶融成形してポリイミド成形体を得る方法においても、ポリイミドに溶媒が含まれるため溶融時に著しい発泡が散見される、或いは可燃性ガスが発生するなどの不具合を生じる可能性が高く、さらなる改善が必要とされる状況にある。
しかしながら、特許文献4においても従来の溶媒キャスト法を用いた成形方法が用いられており、上記特許文献2及び3において挙げたような課題がある。
特許文献2〜4に記載されているような脂環構造を有するポリイミドは熱可塑性であり、また、透明性や耐熱性に優れることからフレキシブルデバイスや有機EL等の用途に用
いるポリイミドフィルム用原料として期待されるが、ポリイミドフィルムが薄膜でしか得られず、厚膜化が困難であること、可燃性ガスが発生しうることなどの課題があることを見出した。
本発明者らは上記のような溶媒キャスト法における課題は溶融押出成形法により解決す
ることが可能である反面、特許文献2〜4に記載されている脂環構造を有するポリイミドは、溶融押出成形法を適用可能なほど溶融熱安定性を有していないことがわかった。
さらに特許文献5記載のように、フッ素骨格を有するポリイミド原料を用いた場合、溶媒キャスト(溶媒流延)法におり、ポリイミドフィルムを成膜する際のレベリング性あるいは、成膜後、ポリイミドフィルムを支持体から剥離する際の剥離性は良好な反面、フィルム表面の表面張力は往々にして低いものであった。そのため、そのようなフィルムを用いて、例えば、有機溶媒で希釈した光硬化性樹脂組成物をフィルム表面に塗布する場合、光硬化性樹脂形成用塗布液が幅縮みしたり、はじきが発生したりするなど、所望する塗布幅を有するハードコートフィルムを得るのが困難な場合があった。
そこで本発明の目的は、特別な表面処理をしなくても硬化樹脂組成物を塗布することができる新たなポリイミドフィルムを提供することにあり、さらに好ましくは、塗れ性(表面張力)、透明性、色調(黄色味)、引張弾性率、線膨張係数に優れ、且つ、溶剤キャスト成形及び押出キャスト成形のいずれでも成形可能であり、且つ溶融熱安定性、二次加工適性に優れたポリイミドフィルムを提供することにある。
本発明は、下記式(1)及び(2)で表される構造単位のうちの少なくとも一方を有し、且つ下記式(3)で表される構造単位を有するポリイミドを含むポリイミドフィルムであり、フィルム表面の表面張力が40mN/m以上であることを特徴とするポリイミドフィルムを提案する。
Figure 2019151719
Figure 2019151719
Figure 2019151719
上記式(3)において、R1〜R8はそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4の水酸基である。これらの中でも、水素原子又はメチル基が好ましい。Xは直接結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4のアルキレン基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフィド基、カルボニル基、アミド基、エステル基又は2級アミノ基である。これらの中でも、直接結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4のアルキレン基、スルホニル基又はアミド基が好ましく、特に酸素原子が好ましい。nは0〜4の整数である。nは好ましくは1〜4の整数である。R1〜R8、X、nは必ずしも全て同一でなくともよい。特に、nが2以上の整数である場合、Xは異なる構造であってもよい。
本発明が提案するポリイミドフィルムは、特別な表面処理をしなくても硬化樹脂組成物を塗布することができる。しかも、塗れ性(表面張力)、透明性、色調(黄色味)、引張弾性率、線膨張係数に優れ、且つ、溶剤キャスト成形及び押出キャスト成形のいずれでも成形可能であり、且つ溶融熱安定性、二次加工適性に優れたポリイミドフィルムを提供することが可能である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本ポリイミド>
本発明の実施形態の一例に係るにポリイミド(「本ポリイミド」と称する)は、耐熱性、生産性の観点から、下記式(1)または下記式(2)で表される構造単位の少なくとも一方を有するものである。
Figure 2019151719
Figure 2019151719
上記式(1)及び(2)で表される構造単位は、テトラカルボン酸二無水物に由来するものであっても、ジアミン化合物に由来するものであってもよい。但し、通常は、テトラカルボン酸二無水物によりポリイミド類に導入される。従って、本発明で用いるポリイミドは、原料のテトラカルボン酸二無水物として、少なくとも無水ピロメリット酸二無水物及び/又は3,3’,4,4’−シクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物を用いて製造されたものが好ましい。
また、本ポリイミドは、耐熱性の観点から、下記式(3)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2019151719
上記式(3)において、R1〜R8はそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4の水酸基である。これらの中でも、水素原子又はメチル基が好ましい。
上記式(3)において、Xは直接結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4のアルキレン基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフィド基、カルボニル基、アミド基、エステル基又は2級アミノ基である。これらの中でも、直接結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4のアルキレン基、スルホニル基又はアミド基が好ましく、特に酸素原子が好ましい。上記式(3)において、nは0〜4の整数である。nは好ましくは1〜4の整数である。
なお、ポリイミド1分子全体における式(3)で表される構造単位において、R1〜R8、X、nは必ずしも全て同一でなくともよい。特に、nが2以上の整数である場合、Xは異なる構造であってもよい。
上記式(3)で表される構造単位はテトラカルボン酸二無水物に由来するものであっても、ジアミン化合物に由来するものであってもよい。通常は、ジアミン化合物によりポリイミドに導入される。
さらに、本ポリイミドは、成形性の観点から、H−BPDA(及びH−PMDA(以外の酸二無水物の共重合割合が、全ての酸二無水物の共重合割合の50mol%以下であるのが好ましく、中でも40mol%以下、その中でも30mol%以下、その中でも20mol%以下であるのがさらに好ましい。
<本ポリイミドの製造方法>
本ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを原料として用い、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を得た後、該ポリアミック酸をイミド化することにより製造することができる。
イミド化の方法としては、熱的に環化させる加熱イミド化、化学的に環化させる化学イミド化等を挙げることができる。
化学イミド化は、ポリイミド前駆体を溶媒存在下で、脱水縮合剤を用いて化学的にイミド化することにより、ポリイミド組成物を得ることができる。
脱水縮合剤としては、例えば、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N−ジ
フェニルカルボジイミド等のN,N−2置換カルボジイミド;無水酢酸、無水トリフルオ
ロ酢酸等の酸無水物;塩化チオニル、塩化トシル等の塩化物;アセチルクロライド、アセ
チルブロマイド、プロピオニルアイオダイド、アセチルフルオライド、プロピオニルクロ
ライド、プロピオニルブロマイド、プロピオニルアイオダイド、プロピオニルフルオライ
ド、イソブチリルクロライド、イソブチリルブロマイド、イソブチリルアイオダイド、イ
ソブチリルフルオライド、n−ブチリルクロライド、n−ブチリルブロマイド、n−ブチ
リルアイオダイド、n−ブチリルフルオライド、モノ−,ジ−,トリ−クロロアセチルク
ロライド、モノ−,ジ−,トリ−ブロモアセチルクロライド、モノ−,ジ−,トリ−アイ
オドアセチルクロライド、モノ−,ジ−,トリ−フルオロアセチルクロライド、無水クロ
ロ酢酸、フェニルホスフォニックジクロライド、チオニルクロライド、チオニルブロマイ
ド、チオニルアイオダイド、チオニルフルオライド等のハロゲン化化合物;三塩化リン、
亜リン酸トリフェニル、ジエチルリン酸シアニド等のリン化合物;等を挙げることができる。これらのイミド化反応は単独で行っても、複数組み合わせて行ってもよい。
他には、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物から直接ポリイミド組成物を製造することもできる。
(テトラカルボン酸二無水物)
テトラカルボン酸二無水物としては、鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テ
トラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
中でも、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物(「H−BPDA」)及び1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸1,2:4,5−二無水物(「H−PMDA))以外の酸二無水物が用いられる場合、H−BPDA及びH−PMDA以外の酸二無水物の量は、原料として用いられる全ての酸二無水物に対して50mol%以下とするのが好ましく、中でも40mol%以下、その中でも30mol%以下、その中でも20mol%以下とするのが特に好ましい。
鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二
無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラ
カルボン酸二無水物等を挙げることができる。
脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビスシクロ
ヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二
無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−
シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3
,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフ
リル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−11,2−ジカルボン酸無水物、トリシクロ
[6.4.0.02,7]ドデカン−1,8:2,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシ
クロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、4
−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ
ナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4−テトラメチルー1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、4,4‘−(イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,3‘,4,4’,−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフランー5−カルボン酸)1,4−フェニレン、ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボン酸)エチレン等を挙げることができる。
(ジアミン化合物)
ジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、鎖状脂肪族ジアミン化合物、脂環式
ジアミン化合物等を挙げることができる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
芳香族ジアミン化合物としては、例えば、1,4−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−(ビフェニル−2,5−ジイルビスオキシ)ビスアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、N−(4−アミノフェノキシ)−4−アミノベンズアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ノルボルナンジアミン、2,7−ジアミノフルオレン、1,5−ジアミノナフタレン、及び3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェン5,5−ジオキシド、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2、2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、2,2’−ジチオジアニリン、4,4’−ジチオジアニリン、4,4’−エチレンジアニリン等を挙げることができる。
鎖状脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、2,3−ジアミノ−2,3−ブタンジアミン、及び2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,14−ジアミノー3,6,9,12−テトラオキサテトラデカン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチエルジシロキサン等を挙げることができる。
脂環式ジアミン化合物としては、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、及び4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)等を挙げることができる。
(その他の成分)
ポリイミドの製造には、さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基等を有する化合物(以下、「その他のモノマー」と称す場合がある。)を用いてもよい。
<本ポリイミドフィルム>
本発明の実施形態の一例に係るポリイミドフィルム(「本ポリイミドフィルム」と称する)は、上記本ポリイミドを主成分樹脂として含有するフィルムである。
ここで、主成分樹脂とは、フィルムを構成する樹脂の中で最も含有割合の多い樹脂を意味する。
本ポリイミドフィルムにおいては、本ポリイミドが70モル%以上、中でも80モル%以上、その中でも90モル%以上(100モル%を含む)を占めるのが好ましい。
(粒子)
本ポリイミドフィルムは、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を含有してもよい。
配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子を挙げることができる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜2μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において種々の表面機能層を設ける際に不具合を生じる場合がある。
(フィルム厚み)
本ポリイミドフィルムの厚みは、用途上、フィルム厚みとして、10μm以上、好ましくは12μm以上、さらに好ましくは25μm以上が好ましい。上限に関しては特に限定されるものではないが、500μm以下、好ましくは350μm以下、さらに好ましくは250μm以下の範囲がよい。
(Y,I値)
本ポリイミドフィルムのY.I(イエローインデックス)値はフィルムの色調、特に黄色味を規定するための指標として用いる。Y.I値に関して、1.5以下であるのが好ましく、さらに好ましくは1.3以下、もっとも好ましくは1.1以下がよい。前記Y.I値の範囲を満足することにより、例えば、ディスプレイ用途など、着色を嫌う用途への対応が可能となる。
(引張弾性率)
本ポリイミドフィルムの引張弾性率に関しては、例えば、フォルダブル用など、ディスプレイ部材に用いる場合には、折り曲げ耐性を確保するため、2.0GPa以上であることが好ましい。さらに好ましくは2.5GPa以上、最も好ましくは3.0GPa以上がよい。
(線膨張係数)
本ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)は80ppm/℃以下であるのが好ましく、さらに好ましくは60ppm/℃以下がよい。当該範囲を満足することで、例えば、銅箔など、異種材料をポリイミドフィルム上に積層した積層体構成とした際にカールしにくいなどの効果が得られ、本発明のポリイミドフィルムが適用可能な分野が広がる利点を有する。
(550nmでの光線透過率)
本ポリイミドフィルムの550nmでの光線透過率は液晶表示装置、有機ELディスプレイ、有機EL照明、電子ペーパー、タッチパネルなどのディスプレイ用途への適用を考慮した場合、88%以上が好ましく、特に90%以上がさらによい。
(表面張力)
本ポリイミドフィルムのフィルム表面の表面張力は、フィルム表面に光硬化樹脂層を設ける際の塗布性などを考慮し、二次加工適性を良好とするために、40mN/m以上であるのが好ましく、中でも44mN/m以上であるのがさらに好ましい。
上記表面張力を達成するための方法としては、例えば、撥水性の高いレベリング剤(例えば、シリコーン系など)を用いないようにする方法、ポリイミドフィルム巻取時に離型処理したフィルムと合わせて巻き取らないようにする方法、ポリイミドフィルムを構成するポリイミドにおいて、フッ素骨格を持たない原料を用いる方法などの手法が例示される。但し、これらの方法に限定するものではない。
<本ポリイミドフィルムの製造方法>
本ポリイミドフィルムは、本ポリイミドを含有する樹脂組成物をフィルム形状又はシート形状に成形することにより製造することができる。
フィルムの製造方法は特に限定するものではない。例えば、Tダイを用いる押出キャスト法、カレンダー法、或は、溶媒キャスト法(溶媒流延法)などを採用することができる。中でも、次に説明する押出キャスト法或いは溶媒キャスト法(溶媒流延法)を採用するのが好ましい。
また、樹脂組成物を無延伸シートまたは延伸シートとして製造することができる。
(押出キャスト法)
押出キャスト法は、例えば、樹脂組成物を溶融混合する工程、溶融混合された樹脂組成物を押出成形する工程、および、成形された樹脂組成物を冷却する工程により、無延伸シートを得る方法である。
樹脂組成物を溶融混合する場合、単軸押出機、二軸押出機などの従来から公知の混合機を用いることができる。
樹脂組成物の溶融温度は、樹脂の種類、混合比率、添加剤の有無や種類に応じて適宜決定するのが好ましい。通常は300℃以上、好ましくは320℃以上、さらに好ましくは340℃以上であり、上限に関しては、通常、400℃以下、好ましくは380℃以下、さらに好ましくは360℃以下である。
押出成形は、例えば、Tダイなどの金型を用いて、樹脂組成物を押出成形することができる。
押出成形された樹脂組成物を冷却するには、例えば、冷却されたキャストロールなどの冷却機に、樹脂組成物を接触させ、急冷する。これにより、樹脂組成物が固化され、無延伸シートが得られる。
冷却温度は、溶融温度よりも低温であれば特に限定するものではない。例えば、300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下であり、下限に関しては、通常、100℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。
なお、本発明で言う「無延伸シート」とは、シートの強度を高める目的で、積極的には延伸しないシートである。但し、ここでは、押出成形時に延伸ロールによって2倍未満に延伸されたシートも無延伸シートに含むものとする。
(溶媒キャスト法(溶媒流延法))
溶媒キャスト法(溶媒流延法)とは、重合されたポリイミド前駆体溶液を支持体上に流延成膜して、ポリイミドフィルムを製造する方法である。
ポリイミド前駆体溶液の塗布方式は、特に限定されるわけではなく、スキージコート、リバースコート、ダイコート、アプリケータコート、ワイヤーバーコート等、従来公知の塗布方式を用いることができる。
支持体としては、ガラス板、アルミニウム箔、循環ステンレスベルト、ステンレスドラム、樹脂フィルムなどを使用することができる。
加熱温度は、溶媒の種類に応じて好適な温度を用いることができる。加熱温度は、通常40℃以上、好ましくは60℃以上であり、一方、通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下である。加熱温度が40℃以上である場合、溶媒が十分揮発される点で好ましい。また、加熱温度が400℃以下である場合、有機溶媒の揮発が急激に起こらないため、得られるポリイミド膜への気泡発生防止対策にもなる。このことは、得られるポリイミド膜の外観を良好とする。
加熱の雰囲気は、空気下でも不活性雰囲気下でもよく、特に制限はない。ポリイミドフィルムに無色透明性が要求される場合は、着色抑制のために窒素などの不活性雰囲気下で加熱することが好ましい。
本発明では、二段階の乾燥工程からなるポリイミドフィルムの製造例について、以下に具体的に説明するが、これらに何ら限定されるわけではない。
第一乾燥工程(フィルム成膜工程)における乾燥条件としては、乾燥温度は、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜125℃であり、さらに好ましくは90〜120℃である。上記温度範囲を満足することにより、急激な分子量低下などを誘発することが防止できる。
第一乾燥工程の乾燥時間としては、好ましくは5分間〜60分間、より好ましくは5分間〜50分間、さらに好ましく5分間〜40分間がよい。また、70〜130℃の範囲で温度を段階的に昇温、乾燥してもよい。
次に、第二乾燥工程(フィルム中の残留溶媒低減など)においては、乾燥温度は好ましくは150〜350℃、より好ましくは180〜300℃であり、さらに好ましくは180〜250℃である。
第二乾燥工程の乾燥時間としては、好ましくは5分間〜60分間、より好ましくは10分間〜50分間、さらに好ましく20分間〜45分間がよい。また、150〜350℃の範囲で温度を段階的に昇温、乾燥してもよい。
<本光硬化樹脂層付きポリイミドフィルム>
本発明の実施形態の一例に係る光硬化樹脂層付きポリイミドフィルム(「本光硬化樹脂層付きポリイミドフィルム」と称する)は、上記本ポリイミドフィルムの少なくとも片面に光硬化樹脂層を設けてなる構成を備えたものである。
本光硬化樹脂層付きポリイミドフィルムは、本ポリイミドフィルムの片面に光硬化樹脂層を設けてなる構成を備えていればよいから、他方の片面に光硬化樹脂層又はその他の層を設けることは任意である。例えば、本ポリイミドフィルムの一側片面に光硬化樹脂層を設け、本ポリイミドフィルムの他側片面は、表面張力が40mN/m以上であるフィルム表面としておくこともできる。
また、上記光硬化樹脂層の表面に他の層を設けることも任意である。
(光硬化樹脂層)
本ポリイミドフィルムの少なくとも片面に光硬化樹脂層を設けることにより、ハードコート性などの機能性を付与することができる。
ここで、「光硬化樹脂層」とは、光照射によって硬化された樹脂層の意味である。
光硬化樹脂層は、例えばフレキシブルディスプレイ用途への適用を可能とするため、表面硬度と屈曲性とを両立させる観点から、アクリル酸エステル共重合体を含有する光硬化性樹脂組成物から形成することが好ましい。さらに好ましくは、メタクリロイル基を有するアクリル酸エステル共重合体を含有するのがよい。
ここで、「光硬化性樹脂組成物」とは、光照射によって硬化する性質を備えた樹脂を含有する組成物の意味である。
なお、本発明において「(メタ)アクリル酸エステル系重合体」とは、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを原料として得られる重合体を意味する。
また、本発明において「(メタ)アクリレート」という表現を用いる場合、「アクリレート」及び「メタクリレート」の一方又は両方を意味するものとし、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」等の表現を用いる場合についても同様である。
光硬化樹脂層は、例えば、次に説明するメタクリロイル基を有するアクリル酸エステル共重合体、単官能(メタ)アクリレート及びその誘導体及び多官能(メタ)アクリレート、メタクリロイル基を有する化合物のうちの何れか又はこれらの2種類以上と、触媒、光重合開始剤及び光重合開始剤とを含有する光硬化性樹脂組成物を、本ポリイミドフィルム上に塗工して光照射することで形成することができる。但し、これに限定するものではない。
(メタクリロイル基を有するアクリル酸エステル共重合体)
メタクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を製造する方法として、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、イソシアネート基などの官能基を有するアクリル酸エステル共重合体を製造した後、メタクリロイル基を有する化合物と触媒存在下で反応させる方法が例示される。
エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、イソシアネート基などの官能基を有するアクリル酸エステル共重合体を製造するために使用する原料モノマーとしては、以下に示す、単官能(メタ)アクリレート及びその誘導体、多官能(メタ)アクリレートが例示される。
(単官能(メタ)アクリレート及びその誘導体)
単官能(メタ)アクリレート及びその誘導体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびそのカチオン化剤による変性体、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびそのカチオン化剤による変性体、シアノエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイルプロピルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(多官能(メタ)アクリレート)
多官能(メタ)アクリレートとしては、具体的にはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
(メタクリロイル基を有する化合物)
メタクリロイル基を有する化合物と官能基を有するアクリル酸エステル共重合体とにおいて、以下に示す組み合わせで用いるのが好ましい。
例えば、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るために用いられるエポキシ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、下記式(4)で表されるものが挙げられる。これらは、1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2019151719
ここで、上記式(4)において、R1は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、pは1〜8の整数を示す。
また、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体と反応させるメタクリロイル基を有する化合物としては、例えば、アクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、グリセリンジアクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水フタル酸の付加物等を挙げることができる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るために用いられるカルボキシル基を有するビニルモノマーとしては例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、多塩基酸変性(メタ)アクリレート等が例示される。次に、得られたカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体と反応させるメタクリロイル基を有する化合物として、例えば、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等が例示される。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るために用いられる水酸基を有するビニルモノマーとしては例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等を挙げることができる。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体と反応させるメタクリロイル基を有する化合物として、例えば、アクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、グリセリンジアクリレートと無水コハク酸の付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水コハク酸の付加物等を挙げることができる。
(触媒)
上記触媒として、トリフェニルホスフィン、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミン等を挙げることができる。
これら触媒の1種又は2種以上存在下に、反応温度としては通常、80〜150℃、好ましくは90〜130℃の範囲である。また、反応時間としては通常、3〜9時間反応させればよい。
触媒の添加量は、原料(メタ)アクリル酸エステル系重合体、並びにアクリロイル基を有する化合物等の化合物の合計100質量部に対して0.5〜3質量部の割合で用いるのがよい。
(光重合開始剤)
上記光重合開始剤は、特に制限されず、従来から公知のものを用いることができる。例えばBASF社製のイルガキュア184、1173、2959、907、369E、127、ダロキュア1116、1173、ルシリンTPO、8893;UCB社製のユベクリルP36;フラテッリ・ランベルティ社製のエザキュアーKIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が例示される。
光重合開始剤の含有量は、硬化性を高める観点から、アクリロイル基を有するアクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、好ましくは0.01質量部以上であり、より好ましくは0.05質量部以上であり、更に好ましくは0.1質量部以上である。また、光重合開始剤の含有量は、光硬化性樹脂組成物の安定性の観点から、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下であり、更に好ましくは5質量部以下である。
(有機溶媒)
上記有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、光硬化樹脂層を形成する際に用いる基材の種類、基材への塗布方法等を考慮して適宜選択することができる。
有機溶媒の具体例としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、2,3−ジメチルヘキサン、2−メチルヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等を挙げることができる。これら有機溶媒は1種類で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ポリイミドフィルム上に光硬化性樹脂組成物を塗工する方法としては、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等の従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著1979年発行に記載例がある。
また、光硬化性樹脂組成物にプラスチックシートを浸漬する、若しくは、剥離シート上に形成した光硬化性樹脂組成物をプラスチックシートに転写する方法により、プラスチックシート上に光硬化性樹脂組成物を塗工してもよい。
ポリイミドフィルム上に形成された光硬化性樹脂組成物(膜)は、乾燥させ、光硬化性樹脂組成物(膜)に紫外線を照射することにより硬化させることができ、光硬化樹脂層を形成することができる。
光硬化性樹脂組成物膜の上記乾燥の条件は、80〜150℃で15〜120秒加熱すればよい。
また、紫外線照射の照射条件は積算光量で100〜1000mJ/cmの範囲が好ましい。紫外線照射には高圧水銀灯を用いることができる。
(光硬化樹脂層の厚み)
光硬化樹脂層の厚み(乾燥後)は、硬度の観点から、1μm以上であるのが好ましく、中でも2μm以上、その中でも4μm以上であるのがさらに好ましい。一方、耐クラック性の観点から、30μm以下であるのが好ましく、中でも20μm以下、その中でも10μm以下であるのがさらに好ましい。
<本ポリイミドフィルムの用途>
本発明のポリイミドフィルムは、例えば液晶表示装置、有機ELディスプレイ(例えば、有機ELを保護するカバーフィルム用など)、有機EL照明、電子ペーパー、タッチパネルなど、ディスプレイ部材として用いることができる。但し、これらの用途に限定するものではない。
<用語の説明>
本発明において「フィルム」とは、長さおよび幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K6900(1994年))。他方、「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明の範囲が以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、以下の実施例・比較例で用いた測定法および評価方法について説明する。
(1)ガラス転移温度
動的熱機械測定装置(SIIナノテクノロジー株式会社製、DMS/SS6100)を
用い、下記の測定条件にてサンプルの振動荷重に対するサンプルの貯蔵弾性率、損失弾性
率を測定し、損失正接よりガラス転移温度(Tg)を求めた。このガラス転移温度(Tg
)は、ポリイミド(サンプル)のガラス転移温度(Tg)に相当し、Tgが高いほど耐熱性に優れたものと評価される。
(DMS測定条件)
ポリイミドフィルム(サンプル)の試験片の貯蔵弾性率(E’)を損失弾性率(E”)で除した損失正接(tanδ)のピークトップをガラス転移温度と定義した。
(2)550nm下での光線透過率
装置名(日立ハイテクノロジーズ社製、型式U−3900H)にて550nmの光線透過率を測定した。
(3)Y.I(イエローインデックス):色調代用評価)
装置名(スガ試験機社製、型式SC−T)にてY.I値を測定し、フィルム色調代用評価とした。
(4)引張弾性率
JIS K7127に準拠して温度23℃の条件で測定した。
(5)線膨張係数(CTE)
ポリイミドフィルム(サンプル)を4mm×10mmのサイズとし、熱機械分析(TMA)装置(日立ハイテクサイエンス社製、型式:TMA/SS7100)にて1mNの荷重を加えながら一定の昇温速度(5℃/min)で23℃から300℃の温度範囲で引張り試験を行い、温度に対するポリイミドフィルムの伸び量から線膨張係数(CTE)を測定した。
(6)表面張力
ポリイミドフィルム(サンプル)の各表面に、表面張力が既知の各溶媒(水・ジヨードメタン)を滴下して、接触角計(協和界面化学株式会社製 型式:Drop Master500)を用いて、接触角を測定した。次に下記計算式により、表面張力(γL)を算出した。
Figure 2019151719
Figure 2019151719
(7)二次加工適性(光硬化性樹脂組成物の塗布性)
実施例および比較例で得られた、各ポリイミドフィルムにおいて、フィルム表面に光硬化性樹脂組成物を塗布、熱風乾燥する過程を目視観察し、下記判定基準により判定を行った。
(判定基準)
○(good):塗布、乾燥後の光硬化性樹脂組成物の塗布幅が設定塗布幅の90%以上を確保。
×(poor):塗布、乾燥後の光硬化性樹脂組成物の塗布幅が設定塗布幅の90%未満またはハジキが発生。塗布性不良。
実施例および比較例において使用した各種材料は、以下のようにして準備したものである。
<合成例1:1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物(H−BPDA)の合成>
Figure 2019151719
1,1’−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物150gを水593gと水酸化ナトリウム83.3gの溶液に溶解して得られる1,1’−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸四ナトリウム塩の水溶液をRu/C触媒を用いて、10MPaG、120℃で核水素化した。次いで49%硫酸水溶液429gを滴下して析出、濾過して、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸157g(収率81%)を得た。
温度計、攪拌機、ジムロート冷却管を備えた300mlの3つ口フラスコに、窒素下にて上記で得られたジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸(H−BTC)33.7g(0.98mol)、無水酢酸90gを添加した。これを攪拌下、昇温して還流温度(130℃〜140℃)で3時間反応させた。反応後、10℃まで冷却し、濾過を行い、白色の結晶を得た。得られた結晶をトルエンにて洗浄し、減圧乾燥機にて乾燥を実施して、上記式(5)で示される1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物(H−BPDA)含有組成物23.5g(収率78%)を得た。
<製造例1:ポリイミド組成物の製造>
特開2014-133887(段落[0117]及び[0118]記載の合成例の第2工程及び第3工程)に記載の方法に従って、4,4’―ジアミノジフェニルエーテル24.03g(0.12mol)の代わりに1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)35.08g(0.12mol)を使用した以外は同様の方法でポリイミドの個体を得た。
<製造例2:ポリイミド溶液(ワニス)の製造>
製造例1で作製したポリイミドをDMF(ジメチルホルムアミド)/トルエン=9:1の混合溶媒で希釈し、固型分濃度30質量%のポリイミド溶液(ワニス)を得た。
<製造例3:メタクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造>
下記原料を下記割合で配合することにより、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、下記式(6)で表される構造を有する化合物Aの溶液を得た。反応液の組成はA/PGM=30/70(質量比)であった。
グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)98質量部
メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」) 1質量部
エチルアクリレート(和光純薬工業社製) 1質量部
メルカプトプロピルトリメトキシシラン
(信越化学社製「KBM803」) 1.9質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM) 157.3質量部
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
(和光純薬工業社製「V−65」) 1質量部
V−65 0.5質量部
p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製) 0.45質量部
PGM 138.1質量部
トリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製) 3.1質量部
アクリル酸(三菱化学社製) 50.7質量部
Figure 2019151719
<実施例1>
(ポリイミドフィルムの製造)
製造例1で作製したポリイミドを同方向二軸押出機のホッパーに供給した後、300℃で溶融押出する。次に200℃に設定した冷却ロール上に押出しして、冷却固化させて、厚さ50μmのポリイミドフィルム(サンプル)を得た。
次に、得られたポリイミドフィルム(サンプル)の片側表面に、下記組成からなる光硬化性樹脂組成物を塗布厚み(乾燥後)が5μmになるように塗布した。次に、90℃、1分間、熱風乾燥した後、積算光量で400mJ/cmの紫外線照射を行い、光硬化樹脂層付きポリイミドフィルムを得た。
(光硬化性樹脂組成物)
製造例3のメタクリロイル基を有するアクリル酸エステル共重合体:100質量部
(固型分濃度:30質量%)
光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製「イルガキュア(登録商標)184」):2.5質量部
<実施例2>
(ポリイミドフィルムの製造)
製造例2で得られたポリイミド溶液(ワニス)を、フィルム樹脂支持体(三菱ケミカル社製 ダイアホイルT100タイプ:厚み100μmのポリエステルフィルム)の片側表面に塗布し、第一乾燥工程(フィルム成膜)である、3つの熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度で120℃×3分、120℃×3分、120℃×3分間乾燥し、ポリエステルフィルムの片側にポリイミド層を備えた、厚さ50μmのポリイミドフィルム(ポリイミド層/ポリエステルフィルム)を得た。
得られたポリイミドフィルム(ポリイミド層/ポリエステルフィルム)のポリエステルフィルムを剥離して、得られたポリイミド層のみからなるフィルムを、第二乾燥工程(残留溶媒低減)である連続式の乾燥炉に通し、3つの熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度230℃にて合計45分間熱処理した後、室温まで冷却して、ポリイミド層のみからなるポリイミドフィルム(サンプル)を得た。
次に、このポリイミドフィルム(サンプル)の片側表面に、実施例1と同様の光硬化性樹脂組成物を塗布厚み(乾燥後)が5μmになるように塗布した。次に、90℃、1分間、熱風乾燥した後、積算光量で400mJ/cmの紫外線照射を行い、光硬化樹脂層付きポリイミドフィルム(光硬化樹脂層/ポリイミドフィルム)を得た。
<比較例1>
実施例2で得たポリイミド層のみからなるポリイミドフィルムに離型フィルム(パナック製:TP01、ノンシリコーンタイプ、38μmPETフィルム基材)を貼り合わせて積層体(ポリイミドフィルム/離型フィルム)を得た。
<比較例2>
製造例2のポリイミド溶液(ワニス)を製造する際、製造例1で作製したポリイミド100質量部に対して0.08質量部のレベリング剤(東レ・ダウコーニング社製SH−193:変性シリコーン)を加えて、製造例2と同様に、ポリイミド溶液(ワニス)を製造した。
そして、このポリイミド溶液(ワニス)に変更した以外、実施例2と同様にポリイミドフィルム(サンプル)を得た。
上記実施例および比較例で得られた各ポリイミドフィルム(サンプル)の特性を表2に示す。
Figure 2019151719
表2における「*1」は、離型フィルムを剥離して、その剥離した側のポリイミドフィルムの表面の表面張力を測定したことを示している。
また、表2における「*2」は、光硬化樹脂層を設ける側のポリイミドフィルム(サンプル)の表面を測定対象としたことを示している。
「Y.I」はイエロ−インデックスの略記である。
「H−BPDA」は1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物を示している。
「TPE−R」は1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンを示している。
(考察)
上記実施例及びこれまで発明者が行ってきた試験結果から、特定構成のポリイミドを用い、フィルム成形を行えば、従来品との比較において、フィルム表面の表面張力が大きく、有機溶剤で希釈した光硬化性樹脂組成物(塗布液)をポリイミドフィルム表面に塗布する際にはじきの発生も極力少なく、二次加工適性も良好である、光硬化樹脂層付きポリイミドフィルムを得ることが出来た。
比較例1においては、ポリイミドフィルムを離型フィルムと貼り合わせたため、離型フィルムの離型成分がポリイミドフィルム表面に転着して、その結果、離型フィルムを剥がした側のポリイミドフィルム表面の表面張力が低下したものと推定される。
また、比較例2では、流延法によるポリイミドフィルムの成形性を良好とするため、シリコーン系レベリング剤を配合したため、当該成分がポリイミドフィルム表面に存在するため、ポリイミドフィルムの表面張力が低下したものと推定される。
本発明によれば、透明性、色調(黄色味)、引張弾性率、塗れ性(表面張力)、線膨張係数に優れ、溶剤キャスト成形あるいは押出キャスト成形のいずれでも使用可能であり、且つ溶融熱安定性、二次加工適性に優れたポリイミドフィルムを提供することが可能である。特に高度な視認性が必要とされる液晶表示装置、有機ELディスプレイ(例えば、有機ELを保護するカバーフィルム用など)、有機EL照明、電子ペーパー、タッチパネルなどのディスプレイ用途に好適である。

Claims (9)

  1. 下記式(1)及び(2)で表される構造単位のうちの少なくとも一方を有し、且つ下記式(3)で表される構造単位を有するポリイミドを含むポリイミドフィルムであり、フィルム表面の表面張力が両面ともに40mN/m以上であることを特徴とするポリイミドフィルム。
    Figure 2019151719
    Figure 2019151719
    Figure 2019151719
    (上記式(3)において、R1〜R8はそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4の水酸基である。Xは、直接結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4のアルキレン基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフィド基、カルボニル基、アミド基、エステル基又は2級アミノ基である。nは0〜4の整数である。R1〜R8、X、nは必ずしも全て同一でなくともよい。)
  2. 前記ポリイミドは、 1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物(H−BPDA)及び1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸1,2:4,5−二無水物(H−PMDA)以外の酸二無水物の共重合割合が、全ての酸二無水物の共重合割合の50mol%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
  3. 請求項1又は2に記載のポリイミドフィルムの少なくとも片面に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有する光硬化樹脂層を設けてなる構成を備えた光硬化樹脂層付きポリイミドフィルム。
  4. 請求項1又は2に記載のポリイミドフィルムの一側片面に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有する光硬化樹脂層を設け、当該ポリイミドフィルムの他側片面は、表面張力が40mN/m以上であるフィルム表面であることを特徴とする、請求項3に記載の光硬化樹脂層付きポリイミドフィルム。
  5. 前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、メタクリロイル基を有するものである請求項3又は4に記載の光硬化樹脂層付きポリイミドフィルム。
  6. 請求項1又は2に記載のポリイミドフィルムの製造方法であって、溶媒キャスト法(溶媒流延法)でフィルム成形することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  7. 請求項1又は2に記載のポリイミドフィルムの製造方法であって、押出キャスト法でフィルム成形することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  8. ディスプレイ部材として用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミドフィルム。
  9. ディスプレイ部材として用いることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の光硬化樹脂層付きポリイミドフィルム。
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