JP2019151659A - 部分精製された廃グリセロールの製造 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の産業用途向けの、部分精製された廃グリセロールを製造する新規なグリセロール純化プロセス、及び発酵グレードのグリセロールとして適する塩含有性の、部分精製されたグリセロール組成物の提供。【解決手段】有機不純物を抽出するために疎水性溶媒を用いて脱油する段階、高温で乾燥させることによって脱水する段階及び塩を沈殿させるための極性溶媒を用いて脱塩する段階を含むことを特徴とする有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって部分精製された廃グリセロールを製造する方法。【選択図】なし

Description

分野
本開示は、種々の産業用途向けの部分精製された廃グリセロールを製造する新規なグリセロール純化プロセスに関する。本明細書において、本開示は、発酵グレードのグリセロールとして適する塩含有性の部分精製されたグリセロール組成物を包含する。
背景
バイオディーゼルは、植物油および植物性脂肪から作られる、ディーゼルエンジン用の、天然かつ再生可能な家庭用燃料の代替的選択肢の1つである。それは非毒性かつ生分解性であることから、石油から作られる燃料に代わる有望な選択肢になってきている。バイオディーゼルは環境を汚染せずに燃焼する。このため、その結果として、スモッグおよび地球温暖化の一因となる汚染物質の種類が著しく少なくなる。バイオディーゼルが放出する発がん性作用物質は最大で85パーセント少なく、これは米国環境保護局(Environmental Protection Agency)(EPA)によって承認されている唯一の代替燃料である。これは大気浄化法のすべての健康影響試験に合格しており、カリフォルニア大気資源委員会(CARB)の要求基準を満たしている。しかしながら、バイオディーゼルは依然として製造に比較的コストがかかり、その副産物であるグリセロールを利用することは、バイオディーゼルの製造コストを埋め合わせる有望な選択肢の1つである。
グリセロールには、食品、医薬品および化粧品(すなわち、USPグレードのグリセロール)から塗料、コーティング剤および他の種類の産業用途(すなわち、工業グレードのグリセロール)までの範囲にわたる数多くのさまざまな産業において、1500種を上回る公知の用途がある。これは、バイオディーゼルの製造中に作り出される、最も多用途で価値のある副生成物である。1ガロンのバイオディーゼルからは約1.05ポンドの粗製グリセロールが生じる。1年に3000万ガロンを処理するプラントからは、約11,500トンの純度99.9パーセントのグリセロールが生じる。世界市場では2016年までにおよそ370億ガロンのバイオディーゼルが生成されると推測されており、これは40億ガロンまたは1650万メートルトンの粗製グリセロールが製造されることを示唆する。これにより、精製グリセロールの市場に有害な影響を及ぼす可能性のある過剰な粗製グリセロールが作り出されると考えられている(Yang et al. (2012) Biotechnology for Biofuels 5: 13(非特許文献1))。EPAによれば、この不純形態のグリセロールはある一定の期間内に処分されなければならず、そのためグリセロールを副生成物として製造する企業には高額の処分料がかかることになる。それ故に、未加工の有機グリセロールを利用するための持続可能な方法の開発が望ましく、一方で、粗製生成物と精製生成物のバランスが相殺されないことも同様に望ましい。
ほとんどのバイオディーゼル製造には、ナトリウムメチラートなどの均質なアルカリ触媒が用いられる。メタノールによるトリアシルグリセリドのエステル交換反応によって、メチルエステル相およびグリセロール相が作り出される。触媒、石鹸、メタノールおよび水を含む不純物は、通常、グリセロール相の中に濃縮される。グリセロール相は一般に酸によって中和され、触媒のカチオン性構成成分は塩として組み入れられる。このため、バイオディーゼル製造の副生成物としてのグリセロールの塩含有量が5〜7パーセントであることは珍しいことではない。このように塩含有量が多いことから、従来の純化手法ではコストがかかる。粗製グリセロールを純化するための方法には、分別蒸留、一連のNF膜およびRO膜の段階を使用する膜技術(NF/RO膜)、電気透析膜技術(電気透析膜)、両極性膜技術(両極性膜)およびイオン交換樹脂吸着技術(イオン交換樹脂吸着)を含む、さまざまな方法がある。分別蒸留は最も一般的に行われている方法である。これにより、高純度のグリセロールが高収量で得られるが、これはまた、資本集約的、労働集約的、かつエネルギー集約的でもある。グリセロールは熱容量が高く、それ故に蒸発のためには大量のエネルギー投入を必要とする。グリセロールの純化のための別の一般的な手法は、古典的なイオン交換法である。しかし、バイオディーゼル製造の結果としてのグリセロールは塩含有量が多いことから、古典的なイオン交換は経済的な選択肢とはならない。特に、樹脂の化学的再生コストは、グリセロール中の塩含有量が5〜7パーセントに近づくと非常に高額になる。
グリセロールを純化するために用いられているほとんどの方法は、粗製グリセロール水を用いる水性技術に基づいており、すなわち、それらは供給物として、水を約60〜70パーセント含有するグリセロールを用いる。分別蒸留では、メタノール精留および水蒸発を経た、水を約6〜8パーセント含有する粗製グリセロールを用いることによってグリセロールを精製する。利用可能なあらゆる技術のうち、電気透析膜、両極性膜およびイオン交換樹脂吸着は主として脱塩プロセスである。それらはいずれも、別々の脱油(deoiling)(すなわち、脱油(de-oiling))加工処理段階を必要とし、大量の廃水を生じる。イオン交換樹脂吸着法は、主として低塩精白用途に用いられる。NF/RO膜では、グリセロールの脱塩および脱油の両方を行うことができる、グリセロール精製プロセス用の多段階膜ユニットを用いる。
また、粗製グリセロールを純化するためのハイブリッド方式もある。例えば、グリセロールを純化するためのあるハイブリッド方式では、主なプロセスとして膜技術、副次的なプロセスとして蒸留を使用することができ、これらは両方ともグリセロールをいわゆる濃縮物流および透過物流として回収することができる。この種のシステムでは、濃縮物流は不純物の多い(dirty)グリセロール水を含有し、一方、透過物流は不純物のより少ない(cleaner)グリセロール水を含有する。濃縮物流の中に含有されるグリセロールは回収することもでき、または損失分として排出することもできる。膜技術のいずれかを適用するプロセス(すなわち、膜プロセス)において透過物流を含有する各段階は、塩が少なく、かつ有機物も少ないグリセロール-水中間体を含む。膜プロセスにおいて濃縮物流を含有する各段階は、グリセロール、水、濃縮された塩、および濃縮された有機不純物を含む。分別蒸留をハイブリッド方式に用いることもできる。分別蒸留はグリセロールの脱塩および脱油を行いうる点で膜システムに類似しているが、それは高真空下での連続的な塩除去に依拠している。分別蒸留を使用するハイブリッド方式では、グリセロールが膜プロセスの濃縮物流中に回収される。
分別蒸留およびNF/RO膜ではいずれも発酵に適したグリセロールが製造されるものの、製造コストの高さが欠点となる。現在、大規模な産業的商用プロセスの大半は分別蒸留を使用している。粗製グリセロールの分別蒸留の設備コストは、高真空下での連続的な塩除去が必要という理由から高い(例えば、Glycerine a Key Cosmetic Ingredient, Cosmetic Science and Technology Series (1991) by Marcel Dekker, Inc(非特許文献2);およびBailey's Industrial Oil and Fat Products, Sixth Edition, Six Volume Set (2005) by John Wiley and Sons, Inc. (非特許文献3)を参照)。
純化または精製されたグリセロール(すなわち、USPグレードのグリセロール)は、芳香剤から化粧品、医薬品までに至る数多くの用途があり、高く評価されている商用生成物である。純化グリセロールの製造は、既存の純化方法の大半が分別蒸留を使用しているため(前記)、コストがかかる。しかし、USPグレードのグリセロールは、率直に言って製造にあまりにもコストがかかり過ぎる上、産業用途(例えば、塗料、コーティング剤、接着剤など)には不必要なほどに純粋であるため、すべての用途に適するわけではない。工業用グレードのグリセロールは産業用途により適するが、その製造も分別蒸留に依拠しており、そのため、コスト効果の高い代替的選択肢ではない。このため、工業グレードのグリセロールの一形態を産業用途に許容される程度に十分に低いコストで製造する方法が必要とされている。加えて、精製グリセロールまたは粗製グリセロールにほとんど依拠しているものを上回る域に達する再生可能な方法および生分解性生成物に対して要求される規格を満たす特性を備える、新形態の工業グレードのグリセロールに対する需要も存在する。
Yang et al. (2012) Biotechnology for Biofuels 5: 13 Glycerine a Key Cosmetic Ingredient, Cosmetic Science and Technology Series (1991) by Marcel Dekker, Inc Bailey's Industrial Oil and Fat Products, Sixth Edition, Six Volume Set (2005) by John Wiley and Sons, Inc.
概要
本開示の1つの局面は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、有機不純物を抽出するために疎水性溶媒を用いて脱油する段階;高温で乾燥させることによって脱水する段階;および、塩を沈殿させるための極性溶媒を用いて脱塩する段階、を含むプロセスを提供する。
本開示の別の局面は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離させて、脱油(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させる段階、を含むプロセスを提供する。1つの局面において、本プロセスは、脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるためにDOグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む。別の局面において、本プロセスは、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階をさらに含む。別の局面において、本プロセスは、純化されたDOWSグリセロールを生成させるために前記軽い相から極性溶媒を除去する段階をさらに含む。別の局面において、本プロセスは、DOWグリセロールを極性溶媒に供する前に、該DOWグリセロールを部分的に蒸発させる段階をさらに含む。1つの態様において、DOWSグリセロールは発酵グレードのグリセロールである。別の態様において、発酵グレードのグリセロールは塩含有グリセロールである。別の態様において、疎水性溶媒は、トリアシルグリセリド、アルカン、アルケン、アセタート(acetate)、および/または脂肪酸アルコールエステルから選択される。さらなる別の態様において、トリアシルグリセリドは植物油である。さらなる別の態様において、アセタートは酢酸ブチルである。さらに別の態様において、アルカンはヘキサンである。別の態様において、本プロセスは、油溶性である有機不純物を含む。1つの態様において、DOグリセロールは約195ppm未満の油溶性有機不純物を含む。別の態様において、DOWグリセロールは約0.5パーセント未満の水を含む。別の態様において、極性溶媒はアルコールである。1つの態様において、アルコールはイソプロパノールまたはブタノールである。別の態様において、極性溶媒を除去する段階はフラッシュ蒸発によって行われる。
本開示の別の局面は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに、脱油(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階、を含むプロセスを提供する。1つの局面において、本プロセスは、極性溶媒とDOグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOグリセロールに供し、極性溶媒とDOグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに、極性溶媒とDOグリセロールの混合物を、脱油および脱塩されたグリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階、を含むプロセスを提供する。別の局面において、本プロセスは、脱油、脱塩および脱水された(DOWS)グリセロールを生成させるために、脱油および脱塩されたグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む。1つの態様において、DOWSグリセロールは発酵グレードのグリセロールである。別の態様において、発酵グレードのグリセロールは塩含有グリセロールである。別の態様において、疎水性溶媒は、トリアシルグリセリド、アルカン、アルケン、アセタート、および/または脂肪酸アルコールエステルから選択される。さらなる別の態様において、トリアシルグリセリドは植物油である。さらなる別の態様において、アセタートは酢酸ブチルである。さらに別の態様において、アルカンはヘキサンである。別の態様において、本プロセスは、油溶性である有機不純物を含む。1つの態様において、DOグリセロールは約195ppm未満の油溶性有機不純物を含む。別の態様において、DOWグリセロールは約0.5パーセント未満の水を含む。別の態様において、極性溶媒はアルコールである。1つの態様において、アルコールはイソプロパノールまたはブタノールである。別の態様において、極性溶媒を除去する段階はフラッシュ蒸発によって行われる。
本開示はさらに、発酵グレードのグリセロールの塩含有量を調整する段階をさらに含む、上記の通りのプロセス(前記)を想定している。1つの態様において、本プロセスは、発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約8.2パーセントの塩に調整する段階を含む。別の態様において、本プロセスは、発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約3.5パーセントの塩に調整する段階を含む。別の態様において、本プロセスは、発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約1.0パーセントの塩に調整する段階を含む。
本開示の別の局面は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに、脱油(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階、を含むプロセスを提供する。1つの態様において、分離は、重力デカンテーション、液体サイクロン分離、および/または遠心分離の少なくとも1つによって起こる。1つの局面において、本プロセスは、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を加熱する段階をさらに含む。1つの態様において、本プロセスは、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約20℃〜約95℃に加熱する段階を含む。別の態様において、本プロセスは、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約55℃〜約65℃に加熱する段階を含む。別の局面において、本プロセスは、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を混合する段階をさらに含む。1つの態様において、本プロセスは、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約5分間〜約30分間にわたって混合する段階を含む。
本開示の別の局面は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに、脱油(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階、を含むプロセスを提供する。1つの局面において、本プロセスは、脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるためにDOグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む。1つの態様において、乾燥は約60℃〜約130℃で起こる。
本開示は、上記のプロセス(前記)によって製造される生成物をさらに想定している。1つの局面において、本開示は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、有機不純物を抽出するために疎水性溶媒を用いて脱油する段階;高温で乾燥させることによって脱水する段階;および、塩を沈殿させるための極性溶媒を用いて脱塩する段階、を含むプロセスによって製造される生成物を提供する。別の局面において、本開示は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに、脱油(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階、を含むプロセスによって製造される生成物を提供する。別の局面において、本開示は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階;ならびに、脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるためにDOグリセロールを乾燥させる段階、を含むプロセスによって製造される生成物を提供する。別の局面において、本開示は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階;脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるためにDOグリセロールを乾燥させる段階;極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階、を含むプロセスによって製造される生成物を提供する。別の局面において、本開示は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階;脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるためにDOグリセロールを乾燥させる段階;極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階;ならびに、純化されたDOWSグリセロールを生成させるために該軽い相から極性溶媒を除去する段階、を含むプロセスによって製造される生成物を提供する。
本開示は、天然脂肪および天然油の加工処理に由来する部分精製された廃グリセロールであって、粗製グリセロールと比較して塩および/または有機不純物が減少している部分精製された廃グリセロールをさらに包含する。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールは、約0.05パーセント〜約8.2パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、約0.05パーセント〜約3.5パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、約0.05パーセント〜約2.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する。さらなる別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、約0.05パーセント〜約1.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、発酵グレードのグリセロールである。
本開示の別の局面は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、脱水グリセロールを製造するために粗製グリセロールを乾燥させる段階;脱水グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために脱水グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに、脱油され脱水された(DOW)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱水グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階、を含むプロセスを提供する。1つの局面において、本プロセスは、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階をさらに含む。
本開示の別の局面は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、脱水グリセロールを製造するために粗製グリセロールを乾燥させる段階;極性溶媒と脱水グリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒を脱水グリセロールに供し、極性溶媒と脱水グリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに、極性溶媒と脱水グリセロールの混合物を、脱水および脱塩されたグリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階、を含むプロセスを提供する。1つの局面において、本方法は、脱水および脱塩されたグリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱水および脱塩されたグリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに、脱水、脱塩および脱油された(DOWS)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱水および脱塩されたグリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階をさらに含む。
本開示の別の局面は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、極性溶媒と粗製グリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒を粗製グリセロールに供し、極性溶媒と粗製グリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに、極性溶媒と粗製グリセロールの混合物を、脱塩グリセロールおよび極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階、を含むプロセスを提供する。1つの局面において、本プロセスは、脱塩グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱塩グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに、脱油され脱塩されたグリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱塩グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階をさらに含む。別の局面において、本プロセスは、脱塩、脱油および脱水された(DOWS)グリセロールを生成させるために、脱油され脱塩されたグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む。
本開示は、粗製グリセロールを精製するプロセスであって、有機不純物を除去し、脱油された(DO)グリセロールを生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるためにDOグリセロールを乾燥させる段階;ならびに、塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを生成させるために、極性溶媒をDOWグリセロールに供する段階、を含むプロセスをさらに想定している。
本開示の別の局面は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階;脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるためにDOグリセロールを乾燥させる段階;極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階、を含むプロセスを提供する。別の局面において、本プロセスは、DOWグリセロールを極性溶媒に供する前に、該DOWグリセロールを部分的に蒸発させる段階をさらに含む。別の局面において、本プロセスは、純化されたDOWSグリセロールを生成させるためにDOWSグリセロールから極性溶媒を蒸発させる段階をさらに含む。1つの態様において、蒸発はフラッシュ蒸発である。1つの態様において、DOWグリセロールは約0.5パーセント未満の水を有する。別の態様において、DOWSグリセロールは発酵グレードのグリセロールである。さらなる別の態様において、発酵グレードのグリセロールは塩含有グリセロールである。
本開示は、粗製グリセロールを精製するプロセスであって、有機不純物を除去し、脱油された(DO)グリセロールを生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;脱油および脱水された(DOW)グリセロールを作り出すためにDOグリセロールを乾燥させる段階;DOWグリセロールの約75パーセントを、塩を伴わないグリセロール蒸留物として部分的に蒸発させる段階;蒸発放出残留物(evaporation discharge bottom)の状態のDOWグリセロールの残りの部分を回収する段階;ならびに、塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを作り出すために、極性溶媒を該蒸発放出残留物に添加する段階、を含むプロセスをさらに包含する。1つの態様において、極性溶媒はIPAである。
本開示の別の局面は、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、有機不純物を除去し、脱油された(DO)グリセロールを生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階を含むプロセスを提供し、該DOグリセロールは、部分精製された廃グリセロールを包含する。1つの態様において、本プロセスは、脱油および脱水された(DOW)グリセロールを作り出すためにDOグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む。別の態様において、本プロセスは、塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを作り出すために、極性溶媒をDOWグリセロールに添加する段階をさらに含む。1つの態様において、DOWSグリセロールは、発酵グレードのグリセロールを含む。さらなる態様において、脱油プロセスの諸段階、脱水プロセスの諸段階、および脱塩プロセスの諸段階の順序は、DO → DOW → DOWSという上記のプロセスとは異なる。さらに別の態様において、疎水性溶媒には、トリアシルグリセリド、アルカン、アルケン、アセタート、脂肪酸アルコールエステルが非限定的に含まれる。1つの態様において、トリアシルグリセリドは植物油または植物性脂肪である。別の態様において、疎水性溶媒はアセタートである。別の態様において、アセタートは酢酸ブチルまたは酢酸エチルである。さらに別の態様において、アルカンはヘキサンである。さらなる別の態様において、有機不純物は油溶性である。別の態様において、油溶性有機不純物は、疎水性溶媒による液体-液体抽出を通じて除去される。別の態様において、DOグリセロールは約195ppm未満の油溶性有機不純物を含む。別の態様において、DOWグリセロールは約0.5パーセント未満の水を含む。さらに別の態様において、極性溶媒はアルコールである。1つの態様において、極性溶媒はイソプロパノールまたはブタノールである。別の態様において、塩は極性溶媒による抽出を通じて沈殿されられる。別の態様において、本プロセスは、極性溶媒による抽出の前に、部分的なグリセロール蒸発をさらに含む。別の態様において、本プロセスは、グリセロールと溶媒の混合物からの極性溶媒の蒸発、および湿った沈殿塩の脱溶媒をさらに含む。1つの態様において、蒸発はフラッシュ蒸発である。別の態様において、発酵グレードのグリセロールは塩含有グリセロールである。別の態様において、発酵グレードのグリセロールは、約0.05〜約8.2パーセントの塩という調整された塩含有量を有する。別の態様において、発酵グレードのグリセロールは、約0.05〜約3.5パーセントの塩という調整された塩含有量を有する。さらなる別の態様において、発酵グレードのグリセロールは、約0.05〜約2.0パーセントの塩という調整された塩含有量を有する。1つの態様において、発酵グレードのグリセロールは、約0.05〜約1.0パーセントの塩という調整された塩含有量を有する。
本開示の別の局面は、天然脂肪および天然油の加工処理に由来する部分精製された廃グリセロールであって、粗製グリセロールと比較して塩および/または有機不純物が減少している部分精製された廃グリセロールを想定している。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールは、ある塩化ナトリウム含有量を有する。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、約0.05パーセント〜約8.2パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、約0.05パーセント〜約3.5パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、約0.05パーセント〜約2.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する。さらに別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、約0.05パーセント〜約1.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する。さらなる別の態様において、部分精製された廃グリセロールは発酵グレードのグリセロールである。
本開示の別の局面は、粗製グリセロールを精製するプロセスであって、有機不純物を除去し、脱油された(DO)グリセロールを作り出すために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;脱油および脱水された(DOW)グリセロールを作り出すためにDOグリセロールを乾燥させる段階;ならびに、塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを作り出すために、極性溶媒をDOWグリセロールに添加する段階、を含むプロセスを提供する。1つの態様において、DOグリセロールは部分精製された廃グリセロールを含む。別の態様において、DOWSグリセロールは発酵グレードのグリセロールをさらに含む。疎水性溶媒には、トリアシルグリセリド、アルカン、アルケン、アセタート、脂肪酸アルコールエステルなどが非限定的に含まれる。1つの態様において、トリアシルグリセリドは植物油である。別の態様において、アセタートは酢酸ブチルである。別の態様において、アルカンはヘキサンである。さらに別の態様において、有機不純物は油溶性である。さらに別の態様において、油溶性有機不純物は、疎水性溶媒による液体-液体抽出を通じて除去される。1つの態様において、DOグリセロールは約195ppm未満の油溶性有機不純物を含む。別の態様において、DOWグリセロールは約0.5パーセント未満の水を含む。他の態様において、極性溶媒は、イソプロパノールまたはブタノールなどのアルコールである。別の態様において、塩は極性溶媒による抽出を通じて沈殿させられる。別の態様において、本プロセスは、極性溶媒による抽出の前に、部分的なグリセロール蒸発をさらに含む。さらなる別の態様において、本プロセスは、極性溶媒の蒸発および脱溶媒を含む。1つのさらなる態様において、本プロセスは、フラッシュ蒸発である蒸発を含む。さらに別の態様において、発酵グレードのグリセロールは塩含有グリセロールである。
本開示は、粗製グリセロールを精製するプロセスであって、有機不純物を除去し、脱油された(DO)グリセロールを作り出すために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;脱油および脱水された(DOW)グリセロールを作り出すためにDOグリセロールを乾燥させる段階;DOWグリセロールの約75パーセントを、塩を伴わないグリセロール蒸留物として部分的に蒸発させる段階;蒸発放出残留物の状態のDOWグリセロールの残りの部分を回収する段階であって、DOWグリセロールの残りの部分が約25パーセントである段階;ならびに、塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを作り出すために、極性溶媒を該蒸発放出残留物に添加する段階、を含むプロセスをさらに包含する。1つの態様において、極性溶媒はイソプロピルアルコール(IPA)である。
本開示の別の局面は、塩を生成または沈殿させるプロセスであって、有機不純物を除去し、脱油された(DO)グリセロールを作り出すために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;脱油および脱水された(DOW)グリセロールを作り出すためにDOグリセロールを乾燥させる段階;ならびに塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを作り出すために、極性溶媒をDOWグリセロールに添加する段階を含むプロセスを想定しており、沈殿した塩は、副生成物として生成される。沈殿させられる塩には、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、リン酸ナトリウム(Na3PO4)、硝酸ナトリウム(NaNO3)、酢酸ナトリウム(C2H3NaO2)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、ギ酸ナトリウム(HCOONa)、乳酸ナトリウム(C3H5NaO3)、グルコン酸ナトリウム(C6H11NaO7)、クエン酸ナトリウム(C6H5Na3O7)、メタンスルホン酸ナトリウム(CH3NaO3S)、塩化カリウム(KCl)、硫酸カリウム(K2SO4)、リン酸カリウム(K3PO4)、硝酸カリウム(KNO3)、酢酸カリウム(CH3CO2K)、炭酸カリウム(K2CO3)、ギ酸カリウム(CHKO2)、乳酸カリウム(C3H5KO3)、グルコン酸カリウム(C6H11KO7)、クエン酸カリウム(C6H5K3O7)、およびメタンスルホン酸カリウム(CH3KO3S)が非限定的に含まれる。
[本発明1001]
有機不純物を抽出するために疎水性溶媒を用いて脱油する段階;
高温で乾燥させることによって脱水する段階;および
塩を沈殿させるための極性溶媒を用いて脱塩する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1002]
粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1003]
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1004]
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
をさらに含む、本発明1003の方法。
[本発明1005]
純化されたDOWSグリセロールを生成させるために、前記軽い相から極性溶媒を除去する段階をさらに含む、本発明1004の方法。
[本発明1006]
DOWグリセロールを極性溶媒に供する前に、該DOWグリセロールを部分的に蒸発させる段階をさらに含む、本発明1004の方法。
[本発明1007]
極性溶媒とDOグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOグリセロールに供し、極性溶媒とDOグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOグリセロールの混合物を、脱油および脱塩されたグリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1008]
脱油、脱塩および脱水された(DOWS)グリセロールを生成させるために、前記脱油および脱塩されたグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、本発明1007の方法。
[本発明1009]
DOWSグリセロールが発酵グレードグリセロールである、本発明1005の方法。
[本発明1010]
疎水性溶媒が、トリアシルグリセリド、アルカン、アルケン、アセタート、および脂肪酸アルコールエステルからなる群より選択される、本発明1002の方法。
[本発明1011]
トリアシルグリセリドが植物油である、本発明1010の方法。
[本発明1012]
アセタートが酢酸ブチルである、本発明1010の方法。
[本発明1013]
アルカンがヘキサンである、本発明1010の方法。
[本発明1014]
有機不純物が油溶性である、本発明1002の方法。
[本発明1015]
DOグリセロールが約195ppm未満の油溶性有機不純物を含む、本発明1002の方法。
[本発明1016]
DOWグリセロールが約0.5パーセント未満の水を含む、本発明1003の方法。
[本発明1017]
極性溶媒がアルコールである、本発明1004の方法。
[本発明1018]
アルコールがイソプロパノールまたはブタノールである、本発明1017の方法。
[本発明1019]
極性溶媒を除去する段階がフラッシュ蒸発によって行われる、本発明1005の方法。
[本発明1020]
発酵グレードのグリセロールが塩含有グリセロールである、本発明1009の方法。
[本発明1021]
発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約8.2パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1022]
発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約3.5パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1023]
発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約1.0パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1024]
分離が、重力デカンテーション、液体サイクロン分離、および遠心分離の少なくとも1つによって起こる、本発明1002の方法。
[本発明1025]
粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約20℃〜約95℃に加熱する段階をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1026]
粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約55℃〜約65℃に加熱する段階をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1027]
粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約5分間〜約30分間にわたって混合する段階をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1028]
乾燥が約60℃〜約130℃で起こる、本発明1003の方法。
[本発明1029]
本発明1002の方法によって製造される生成物。
[本発明1030]
本発明1003の方法によって製造される生成物。
[本発明1031]
本発明1005の方法によって製造される生成物。
[本発明1032]
天然脂肪および天然油の加工処理に由来する部分精製された廃グリセロールであって、粗製グリセロールと比較して塩および有機不純物の含有量が減少している、部分精製された廃グリセロール。
[本発明1033]
約0.05パーセント〜約8.2パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、本発明1032の部分精製された廃グリセロール。
[本発明1034]
約0.05パーセント〜約3.5パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、本発明1032の部分精製された廃グリセロール。
[本発明1035]
約0.05パーセント〜約2.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、本発明1032の部分精製された廃グリセロール。
[本発明1036]
約0.05パーセント〜約1.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、本発明1032の部分精製された廃グリセロール。
[本発明1037]
発酵グレードのグリセロールである、本発明1032の部分精製された廃グリセロール。
[本発明1038]
脱水グリセロールを生成させるために粗製グリセロールを乾燥させる段階;
脱水グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱水グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱油され脱水された(DOW)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱水グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1039]
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
をさらに含む、本発明1038の方法。
[本発明1040]
脱水グリセロールを製造するために、粗製グリセロールを乾燥させる段階;
極性溶媒と脱水グリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒を脱水グリセロールに供し、極性溶媒と脱水グリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒と脱水グリセロールの混合物を、脱水および脱塩されたグリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1041]
脱水および脱塩されたグリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱水および脱塩されたグリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱水、脱塩および脱油された(DOWS)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱水および脱塩されたグリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
をさらに含む、本発明1040の方法。
[本発明1042]
極性溶媒と粗製グリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒を粗製グリセロールに供し、極性溶媒と粗製グリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒と粗製グリセロールの混合物を、脱塩グリセロールおよび極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1043]
脱塩グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱塩グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱油され脱塩されたグリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱塩グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
をさらに含む、本発明1042の方法。
[本発明1044]
脱塩、脱油および脱水された(DOWS)グリセロールを生成させるために、前記脱油され脱塩されたグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、本発明1043の方法。
[本発明1045]
有機不純物を除去し、脱油された(DO)グリセロールを生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階;ならびに
塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを生成させるために、極性溶媒をDOWグリセロールに供する段階
を含む、粗製グリセロールを精製する方法。
[本発明1046]
粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;
脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階;
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階;
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相に分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1047]
DOWSグリセロールが発酵グレードのグリセロールである、本発明1046の方法。
[本発明1048]
DOWグリセロールが約0.5パーセント未満の水を含む、本発明1046の方法。
[本発明1049]
DOWグリセロールを極性溶媒に供する前に、該DOWグリセロールを部分的に蒸発させる段階をさらに含む、本発明1046の方法。
[本発明1050]
純化されたDOWSグリセロールを生成させるために、DOWSグリセロールから極性溶媒を蒸発させる段階をさらに含む、本発明1046の方法。
[本発明1051]
前記蒸発がフラッシュ蒸発を含む、本発明1051の方法。
[本発明1052]
発酵グレードのグリセロールが塩含有グリセロールである、本発明1047の方法。
[本発明1053]
有機不純物を除去し、脱油(DO)グリセロールを作り出すために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを作り出すために、DOグリセロールを乾燥させる段階;
DOWグリセロールの約75パーセントを、塩を伴わないグリセロール蒸留物として部分的に蒸発させる段階;
蒸発放出残留物(evaporation discharge bottom)の状態のDOWグリセロールの残りの部分を回収する段階
;ならびに
塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを作り出すために、極性溶媒を該蒸発放出残留物に添加する段階
を含む、粗製グリセロールを精製する方法。
[本発明1054]
極性溶媒がIPAである、本発明1053の方法。
[本発明1055]
本発明1001の方法によって製造される生成物。
本開示は、好ましい態様を例示する役割を果たす添付の図面と併せて読むと、最も適切に理解される。しかし、本開示が、図面中に開示された具体的な態様に限定されないことが理解されよう。
部分精製された廃グリセロールを粗製グリセロールから製造するためのプロセスの5種類の態様を示している構成図を示している。 部分精製された廃グリセロールを粗製グリセロールから製造するためのプロセスの5種類の態様を示している構成図を示している。 本開示の1つの態様を示している構成図である。ここで図2は、塩含有性の発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールを製造するための製造サイクルのブロック図を示しており、諸段階はグリセロールの脱油、脱水および脱塩を包含している。本プロセスは、トリアシルグリセリド(TAG)の使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出;水分乾燥;極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む。イソプロパノール(IPA)は極性溶媒として示されており、それはこのプロセスにおいて再利用される。 本開示の別の態様を示している構成図である。ここで図3は、塩含有性の発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールを製造するための製造サイクルのブロック図を示しており、諸段階はグリセロールの脱油、脱水および脱塩を包含している。本プロセスは、疎水性溶媒を蒸発させて(例えば、フラッシュ蒸発を通じて)再利用する、アルカン、アルケン、アルコールエステルまたはアセタート(ここではヘキサンが示されている)の使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出;水分乾燥、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む。IPAは極性溶媒として示されており、それはこのプロセスにおいて再利用される。 本開示の別の態様を示している構成図である。ここで図4は、塩含有性の発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールを製造するための製造サイクルのブロック図を示しており、諸段階はグリセロールの脱油、脱水および脱塩を包含している。本プロセスは、トリアシルグリセリド(TAG)の使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出、水分乾燥、任意でのグリセロール蒸発、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含むハイブリッドプロセスである。ここで、極性溶媒を添加する前に極性溶媒抽出段階における加工処理量を減少させるために、グリセロールを任意で蒸発させてもよい。IPAは極性溶媒として示されており、それはこのプロセスにおいて再利用される。 本開示の別の態様を示している構成図である。ここで図5は、塩含有性の発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールを製造するための製造サイクルのブロック図を示しており、諸段階はグリセロールの脱油、脱水および脱塩を包含している。本プロセスは、疎水性溶媒が蒸発して(例えば、フラッシュ蒸発を通じて)再利用される、アルカン、アルケンまたはアセタート(ここではヘキサンが示されている)の使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出;水分乾燥、任意でのグリセロール蒸発、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含むハイブリッドプロセスである。ここで、極性溶媒を添加する前にグリセロールを任意で蒸発させてもよい。イソプロパノール(IPA)は極性溶媒として示されており、それはこのプロセスにおいて再利用される。 本開示の別の態様を示しているグラフである。ここで図6は、IPAのグリセロールに対する重量比(IPA:グリセロール)と、残りのDOWSグリセロール中に残存するNaClの塩濃度との関係を示すグラフを示している。
詳細な説明
簡単な概観
本開示は、塩含有性の発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールを製造するための、効率的でコスト効果の高いプロセスを提供する。産業環境において、グリセロールは、バイオディーゼル製造、ならびにバイオ燃料およびバイオ炭化水素を製造するための方法を含む他の脂肪分解プロセスの副生成物である。バイオディーゼルおよび脂肪分解プロセスに由来する粗製グリセロールは、有機不純物(すなわち、油溶性および水溶性の不純物)ならびに塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カリウム(K2SO4)などを含む塩などの無機不純物;重金属;ならびにグリセロールの源および使用するプロセスに応じたボイラー内無機化学物質を有する。原料物質または供給原料としての粗製グリセロール中にある不純物は、産業用途において、あらゆる具体的な最終生成物の成績に影響を及ぼす恐れがある。発酵用途の場合、成績には収量、生産性および力価が含まれる。したがって、本開示は、USPグリセロールの純度基準をさらに満たすことなくグリセロール中の有機不純物および無機不純物を実質的に減少させ、その結果、多くの産業用途に用いることが可能な、塩含有性の発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールが得られる、粗製グリセロールの純化プロセスを提供する。
定義
「グリセロール」および「グリセリン(glycerin)」および「グリセリン(glycerine)」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、化学式CH2(OH)CH(OH)CH2OHに該当する分子のことを指す。グリセロールはまた、三価アルコール;プロパン-1,2,3-トリオール;1,2,3-プロパントリオール;1,2,3-トリヒドロキシプロパン;グリセリトール;グリセリン;および/またはグリシルアルコールとも称され、これらはすべて本明細書の範囲に含まれる。
「粗製グリセロール」という用語は、グリセロール、ならびにメタノール、水、極性および非極性のいずれもの有機物ならびに/または塩を非限定的に含む不純物によって大半が構成される物質のことを指す。1つの態様において、粗製グリセロールはメタノール、水、石鹸および塩を含有し、グリセロール含有量は約40〜約89パーセントである。別の態様において、出発材料としての粗製グリセロールは、水、塩および/または有機物質を約0〜約90%含有する。別の態様において、粗製グリセロールはエステル交換反応プロセスの副生成物である。さらなる別の態様において、粗製グリセロールは、バイオディーゼルの製造による副生成物である。バイオディーゼルの製造に由来する粗製グリセロールは、トリグリセリドを約70%〜約80%含有し、かつ有機不純物および無機不純物を含む不純物を全体で約20%〜約30%含有する(例えば、表1Aを参照)。別の態様において、粗製グリセロールは脂肪分解プロセスの副生成物である。別の態様において、粗製グリセロールは石鹸製造プロセスの副生成物である。
「部分精製された廃グリセロール」とは、本明細書に記載の純化プロセスによって製造されるグリセロールのことを指す。いくつかの態様において、これは天然脂肪および天然油の加工処理に由来する。他の態様において、これは粗製グリセロールと比較して塩不純物が減少し、有機不純物が減少しているものを包含する。そのため、これは典型的には、微量レベルの油溶性有機不純物および塩(例えば、NaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4など)を含有してよく、かつ、塩濃度に応じて、約90パーセント〜約99パーセント、より一般的には約95パーセント〜約99パーセント、最も一般的には約97パーセント〜約99パーセントの範囲にわたる純度基準を有する。部分精製された廃グリセロールにおける塩濃度は、0パーセント〜約8.2パーセントの範囲にわたりうる。1つの態様において、塩含有性の部分精製された廃グリセロールは、NaClもしくはKClもしくはNa2SO4もしくはK2SO4、またはそれらの組み合わせを含有する。別の態様において、塩含有性の部分精製された廃グリセロールは、NaClもしくはKClもしくはNa2SO4もしくはK2SO4、または時には、これらの塩の複数、またはバイオディーゼル反応に用いられる均質な塩基触媒の酸との中和によって生じる任意の他の塩を含有する。塩基触媒は、バイオディーゼル反応混合物中に可溶性である、一価カチオン性酸化物(例えば、Na2O、K2O)、カチオン性水酸化物(例えば、NaOH、KOH)、ならびに/またはカチオン性メチル化物およびエチル化物(例えば、NaOCH3、NaOC2H5、KOCH3、KOC2H5)であってよい。酸は無機酸または有機酸のいずれであってもよい。無機酸の例には、HCl、SO3、H2SO4、H3PO4、HNO3などがある。有機酸の例には、H2CO3、酢酸、ギ酸、乳酸、グルコン酸、クエン酸、コハク酸などがある。その結果として得られる塩の例は、表IB(下記)に列記されている。部分精製された廃グリセロールは、塗料、コーティング剤、接着剤、繊維、木材、金属、洗剤、石鹸、冷却液、洗浄剤、紙などを非限定的に含む多くの産業的および/または商業的用途において、助剤(aid)または構成成分として適している。
「発酵グレードのグリセロール」は、約0.05パーセントの塩〜約8.2パーセント未満の塩(例えば、NaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4)、より詳細には約0.05パーセントの塩〜約2.0パーセントの塩の範囲にわたる特定の塩含有量を有する、塩含有性の部分精製された廃グリセロールの一例である。典型的には、発酵グレードのグリセロールは、ほとんどの場合はNaClもしくはKClもしくはNa2SO4もしくはK2SO4を含有し、または時にはこれらの塩のうち複数、または他の塩(下記の表1B参照)または他の塩の組み合わせ(下記の表1B参照)を含有する。発酵グレードのグリセロールは、発酵手順用の供給原料として特に適している。本明細書において、発酵グレードのグリセロールは、製造用宿主として発酵培養物中に使用される多種多様な微生物に適している。そのような微生物宿主の例には、エシェリキア属(Escherichia)、バチルス属(Bacillus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、シネココッカス属(Synechococcus)、シネコシスティス属(Synechoystis)、シュードモナス属(Pseudomonas)、アスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、ニューロスポラ属(Neurospora)、フザリウム属(Fusarium)、ヒューミコーラ属(Humicola)、リゾムコール属(Rhizomucor)、クリベロミセス属(Kluyveromyces)、ピキア属(Pichia)、ムコール属(Mucor)、ミセリオフトラ属(Myceliophtora)、ペニシリウム属(Penicillium)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、プレウロタス属(Pleurotus)、トラメテス属(Trametes)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ステノトロホモナス属(Stenotrophamonas)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、ヤロウイア属(Yarrowia)、またはストレプトミセス属(Streptomyces)に由来する生物が非限定的に含まれる。1つの態様において、微生物宿主は大腸菌である。他の態様において、微生物宿主は、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus lichenoformis)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・クラウジ(Bacillus clausii)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、枯草菌(Bacillus subtilis)、および/またはバチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)である。他の態様において、微生物宿主は、シネココッカス属種PCC7002、シネココッカス・エロンガタス(Synechococcus elongatus)PCC 7942、シネコシスティス属種PCC 6803、シネココッカス・エロンガタスPCC6301、プロクロロコッカス・マリヌス(Prochlorococcus marinus)CCMP1986(MED4)、アナベナ・バリアビリス(Anabaena variabilis)ATCC29413、ノストック・パンクチフォルメ(Nostoc punctiforme)ATCC29133(PCC73102)、グロエオバクター・ビオラセウス(Gloeobacter violaceus)ATCC29082(PCC7421)、ノストック属種ATCC27893(PCC7120)、シアノセイス属種(Cyanothece sp.)PCC7425(29141)、シアノセイス属種ATCC51442、および/またはシネココッカス属種ATCC27264(PCC7002)である。他の態様において、微生物宿主は、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガータス(Aspergillus fumigates)、アスペルギルス・フェチダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、ヒューミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ヒューミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginose)、ロドコッカス・オパクス(Rhodococcus opacus)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)、および/またはムコール・ミエヘイ(Mucor michei)である。他の態様において、微生物宿主はアクチノミセス類(Actinomycetes)である。さらに他の態様において、微生物宿主は、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)および/またはストレプトミセス・ムリヌス(Streptomyces murinus)である。他の態様において、微生物宿主細胞はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
「疎水性溶媒」という用語は、水と混ざらずに容易に分かれる、かつ/または疎水性を有する物質と混和しうる、化合物のことを指す。疎水性溶媒の例には、アセタート(例えば、酢酸ブチル、酢酸エチル)、脂肪酸アルコールエステル(例えば、脂肪酸メチルエステル(FAME)、脂肪酸エチルエステル(FAEE)および脂肪酸イソプロピルエステル)、トリアシルグリセリド(例えば、植物油)、アルカン(例えば、ヘキサン、イソヘキサンおよびオクタン)およびアルケン(例えば、ヘキセンおよびオクテン)が非限定的に含まれる。
「極性溶媒」という用語は、本明細書および特許請求の範囲において、グリセロールと容易に混和し、塩を仮に可溶化させるとしても低レベルでしか可溶化させず、かつグリセロールよりも低い融点を有する化合物のことを意味する。そのような極性溶媒の例は、イソプロパノールまたはイソプロピルアルコール(IPA)、1-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、エタノール、およびメタノールを非限定的に含むアルコールである。極性溶媒の別の例はフェノールである。
「DOグリセロール」という用語は、本明細書および特許請求の範囲において、脱油することによって部分精製されたグリセロールの一形態を意味する。1つの態様において、DOグリセロールは、油溶性有機不純物を粗製グリセロールよりも少ししか含有しない、すなわち、油溶性有機不純物はほとんど除去されており、約195ppm未満しか存在しない。
「DOWグリセロール」という用語は、本明細書および特許請求の範囲において、脱油および脱水がいずれかの順序で行われたグリセロールの一形態を意味する。DOWグリセロールは、水の大半が除去されるようにDOグリセロールを乾燥させた結果である。1つの態様において、DOWグリセロールは水を約0.5パーセント未満しか含有しない。
「DOWSグリセロール」という用語は、本明細書および特許請求の範囲において、脱油、脱水および脱塩がいずれかの順序で行われたグリセロールの一形態を意味する。DOWSグリセロールは、塩の大半が除去されるようにDOWグリセロールを脱塩した結果である。1つの態様において、発酵用途用のDOWSグリセロールは塩を約0.05パーセント〜約2.0パーセント含有する。
グリセロール
グリセロールは三価アルコールの1つであり、すなわち、これは3つのアルコール基によって構成される。グリセロールの化学構造はCH2(OH)CH(OH)CH2OHである。これは透明で無臭の粘性液体であり、天然の甘味がある。グリセロールおよびグリセリンという用語はしばしば互換的に用いられるが、グリセロールはグリセリンの主な構成成分であり、例えば、グリセロールが約96パーセントであるものがグリセリンであることもある。グリセロールは沸点が高く、水およびアルコールに溶解しうるが、通常は油には溶解しない。粗製グリセロールは、脂肪および油の加工処理に由来する自然な副生成物である。例えば、これはバイオディーゼル製造プロセス(前記)のエステル交換反応に際して生成される。これに対して、USPグレードのグリセロール(USPグリセロール)は、純度の高い医薬品グレードのグリセロールと判断される。USPという略号は、米国薬局方(すなわち、1820年に最初に刊行され、医師によって標準的な参考資料として用いられている文書)のことである。今日では、USPは、ほとんどの有効成分に関する化学的記載、識別試験および純度試験を含んでいる。USPに列記されている材料はすべて、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)(FDA)要求基準の対象になると判断される。このため、USPグリセロールの場合のように製品または物質にUSPとラベル表示することは、それがFDAの要求基準に適合していることを意味する。USPグリセロールは特定の純度ガイドラインを満たす必要があるが、これはそれが医薬品、食品、パーソナルケア、化粧品、芳香剤および他の特殊用途のために用いられるためである。USPグリセロールの乾燥量基準での組成は99.7〜100パーセントの純度基準を満たさねばならず、いかなる微量の不純物もUSPの規格値を満たさなければならない。これは製品にとっては高い基準であり、製造コストに反映されることになる。USPグレードのグリセロールは主として分別蒸留(前記)によって製造される。グリセロールの別のカテゴリーは工業グレードのグリセロールであり、これはUSPグレードのグリセロールと同じ純度基準を満たす必要はないが、工業製品(例えば、塗料、コーティング剤、ゲル、接着剤など)に用いるのに適するように、粗製グリセロールよりも不純物が少なくなくてはならない。工業用グレードのグリセロールは、典型的には、その混入物の大半が除去される(すなわち、メタノールがなく、石鹸がなく、塩がない、など)ように純化される(例えば、純度約80〜約97パーセント)。その結果として、工業グレードのグリセロールは製造するのに費用がかかるが、これはUSPグレードのグリセロールと同様に、それが主として分別蒸留(前記)によって製造されるためである。
部分精製された廃グリセロール
本開示は、グリセロールの新しい形態、例えば、部分精製された廃グリセロールなどを開示する。部分精製された廃グリセロールは粗製グリセロールよりも不純物が少ない新規組成を有するが、USPグリセロールまたは工業グレードのグリセロールよりも高度に純化されてはおらず、特にそれは、微量レベルの油溶性有機不純物および/または塩を含有しうる。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールは、塩をある程度含有する。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは塩を含まない。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、グリセロール製品の使用のために適合されている調整された塩濃度を含みうる。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールは、粗製グリセロールよりも不純物が少ないものの、微量レベルの油溶性有機不純物を含有する。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、粗製グリセロールよりも不純物が少ないものの、微量レベルの油溶性有機不純物および塩を含有する。さらに別の態様において、部分精製された廃グリセロールは粗製グリセロールよりも不純物が少ないものの、塩を含有する。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールは0パーセント〜約8.2パーセントの塩濃度を有する。発酵グレードのグリセロールは、部分精製された廃グリセロールの一例である。1つの態様において、発酵グリセロールは、約0.05パーセント〜約2.0パーセントを含む、約0.05パーセント〜約8.2パーセント未満の塩濃度を有する。別の態様において、発酵グレードのグリセロールは、生きている生物が製造用宿主として用いられる発酵培養物中に用いるのに特に適する(例えば、米国特許第8,372,610号;第8,323,924号;第8,313,934号;第8,283,143号;第8,268,599号;第8,183,028号;第8,110,670号;第8,110,093号;および第8,097,439号を参照されたく、これらはすべて、参照により本明細書に組み入れられる)。
発酵グレードのグリセロール
発酵グレードのグリセロールは、部分精製された廃グリセロールの一例であり、ここでグリセロール組成物の塩含有量は、発酵法に用いられる生物の必要性に合わせることができる。所望の化学物質(例えば、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、脂肪アルカン、脂肪アルケン、有機酸、二酸、テルペノイド、モノマー、ポリマーなど)を製造する目的で、微生物を発酵培養物における製造用宿主として用いることができる。これらの微生物または宿主細胞は、炭素源または供給原料を食物およびエネルギーの形態として用いる(例えば、グリセロールを含む炭素源が供給原料として用いられる発酵プロセスにおいて脂肪酸誘導体を産生する宿主細胞。例えば、米国特許第8,372,610号;第8,323,924号;第8,313,934号;第8,283,143号;第8,268,599号;第8,183,028号;第8,110,670号;第8,110,093号;および第8,097,439号を参照されたく、これらはすべて、参照により本明細書に組み入れられる)。
天然環境では、微生物はそれぞれ、塩に関してある特定の所定の耐性を有し、すなわち、各微生物はその無機栄養素の要求基準(例えば、塩化ナトリウム、リン酸塩など)を満たす特定レベルの塩を必要とする。自然界は一般に、微生物に対して十分な塩を供給する。逆に、塩レベルが高すぎる場合にはそれらは毒性となり、微生物は最終的には非活動状態となるかまたは死滅する。バイオディーゼルの粗製グリセロールの塩含有量は約6〜8パーセントであり、これは多くの微生物の耐性レベルを上回る。したがって、発酵ブロス中の供給原料としてのグリセロールの塩含有量が高すぎる場合、微生物は非活動状態になる。このことは、発酵に用いられる微生物に対して、より高度の純度基準を満たす、または塩もしくは他の不純物を通常多くは含有しない供給原料(例えば、コーンシロップ、サトウキビ汁、USPグリセロールなど)がなぜ与えられるかの説明となる。逆に、発酵ブロス中の供給原料としてのグリセロールの塩含有量が少なすぎる(すなわち、それがある特定のレベルを下回る)場合には、微生物は効率的に機能することができなくなる。例えば、海洋生物は発酵ブロス中の塩が約3.5パーセントであれば良好に生育し、一方、大腸菌は約0.5〜約1.0パーセントを好み、発酵ブロス中に約2パーセント以下であれば一般に耐性である。発酵ブロスの塩濃度を上昇させることにより、微生物の生産性を期待されるレベルに高めることができる。これは典型的には、発酵実行中に必要に応じて余分に塩を追加することによって実現されるが、その理由は、供給原料として用いる場合にグリセロールが通常、単独では塩含有量に寄与しない高純度グリセロールであるためである。しかし、発酵グリセロールを用いた場合には、発酵ブロスにさらなる塩を追加することは不要であった(実施例、表3および4(下記)ならびに図6を参照)。理論に拘束されることは望まないが、発酵グレードのグリセロールは微生物が至適な機能のために必要とするちょうど適正な量の塩を微生物に供給するため、発酵グレードのグリセロールは十分に許容されることが示唆される。微生物が広範囲にわたる塩濃度の中で生育しうることはよく知られているが、産業的に意義のある微生物の大半は、増殖培地中にある特定のオスモル濃度を必要とし、それはほとんどの場合、塩の追加によって与えられる。有益なオスモル濃度の範囲は一般に、1リットル当たり約25〜約500mOsmol(mOsmol/L)である。至適な成績のために塩を必要とする微生物を用いるあらゆる発酵は、発酵グレードのグリセロールによって恩恵を受けると考えられるが、これは、それが過度の毒性もなく、塩を全く含まないわけでもないためである。したがって、発酵グレードのグリセロールは望ましいものであり、培養下にある特定の微生物の必要性に合わせて塩含有量を調整することができる組成物は特に望ましい。
1つの態様において、本開示は、調整された塩含有量を有する発酵グレードグリセロール組成物であるグリセロール組成物を提供する。別の態様において、本開示は、約0.05パーセント〜約2パーセントの塩含有量の範囲にわたる調整された塩含有量を有する、発酵グレードのグリセロール組成物を提供する。別の態様において、本開示は、約0.06パーセント〜約2パーセントの塩含有量の範囲にわたる調整された塩含有量を有する、発酵グレードのグリセロール組成物を提供する。別の態様において、本開示は、約0.07パーセント〜約2パーセントの塩含有量の範囲にわたる調整された塩含有量を有する、発酵グレードのグリセロール組成物を提供する。さらに別の態様において、本開示は、約0.08パーセント〜約2パーセントの塩含有量の範囲にわたる調整された塩含有量を有する、発酵グレードのグリセロール組成物を提供する。さらなる別の態様において、本開示は、約0.09パーセント〜約2パーセントの塩含有量の範囲にわたる調整された塩含有量を有する、発酵グレードのグリセロール組成物を提供する。別の態様において、本開示は、約0.1パーセント〜約2パーセントの塩含有量の範囲にわたる調整された塩含有量を有する、発酵グレードのグリセロール組成物を提供する。さらなる態様において、本開示は、約0.2パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約0.3パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約0.4パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約0.5パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約0.6パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約0.7パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約0.8パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約0.9パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約1パーセント〜約2パーセントの塩含有量;および約1.1パーセント〜約2パーセントの塩含有量の範囲にわたる調整された塩含有量を非限定的に含む、発酵グレードのグリセロール組成物を提供する。さらなる態様において、本開示は、約1.2パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約1.3パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約1.4パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約1.5パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約1.6パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約1.7パーセント〜約2パーセントの塩含有量;約1.8パーセント〜約2パーセントの塩含有量;および約1.9パーセント〜約2パーセントの塩含有量の範囲にわたる調整された塩含有量を非限定的に含む、発酵グレードのグリセロール組成物を提供する。1つの別の態様において、本開示は、約0.05パーセント〜約8.2パーセント未満の塩含有量の範囲にわたる調整された塩含有量を有する、発酵グレードのグリセロール組成物を提供する。別の態様において、本開示は、約0.05パーセント〜約3.5パーセントの塩含有量;約0.05〜約3パーセントの塩含有量;約0.05〜約2.8パーセントの塩含有量;および約0.05〜約2.5パーセントの塩含有量の範囲にわたる調整された塩含有量を非限定的に含む、発酵グレードのグリセロール組成物を提供する。
多くの産業用途(すなわち、粗製グリセロールでは不純物が十分に除かれていないためにUSPグリセロールが現在用いられている用途)では、不純物がより少ないグリセロール代替物が望ましいと考えられるが、その理由は、純度基準が必ずしも99パーセントに近い必要はないためである。発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールは、多くの産業用途にとって望ましい90〜99パーセントという純度基準を満たすことができ、同時にはるかに低コストで製造される。典型的には、部分精製された廃グリセロールは、塩濃度および水分含量に応じて、約90パーセント〜約99パーセント(例えば、約91パーセント〜約99パーセント、約92パーセント〜約99パーセント、約93パーセント〜約99パーセント、約94パーセント〜約99パーセント、約95パーセント〜約99パーセント、約96パーセント〜約99パーセントまたは約97パーセント〜約99パーセントまたは約98パーセント〜約99パーセント)の純度を有する。バイオディーゼル製品の増加に伴ってより多量の粗製グリセロールが生成されることが予想されることから、より多量の粗製グリセロールを発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールに変換することを可能にすることは、粗製グリセロールが世界市場で余剰になることを防止しうる。これはさらに、粗製グリセロールの毒性廃棄物の処分にかかる高いコストを解消し、バイオディーゼルプラントの所有者にとって新たな利幅を生み出す可能性もある。
発酵におけるグリセロール
発酵手順では、毒性条件下では生存できない生きている生物を使用する。発酵環境は、培養下にある微生物の生育を支えるように調節される必要がある。グリセロールは発酵手順における供給原料として用いられるため、それは微生物の消費に適していなければならず、また、毒性のある副生成物をほとんど含まないものであるべきである。本開示は、有機抽出および塩沈殿を含むグリセロールの純化または精製のためのプロセスであって、微生物の生育を支えられるようグリセロール中の毒性不純物が減少し、その一方で微生物が生き延びるのに十分な塩は依然として残るプロセスを提供する。1つの態様において、本プロセスは、グリセロールからの油溶性有機不純物の除去を可能にする。別の態様において、本プロセスは、グリセロールからのある種の無機不純物の除去を可能にする。1つの態様において、不純物は、疎水性溶媒、例えば、アセタート(例えば、酢酸ブチル、酢酸エチル)、脂肪酸アルコールエステル(例えば、脂肪酸メチルエステル(FAME)、脂肪酸エチルエステル(FAEE)および脂肪酸イソプロピルエステル)、トリアシルグリセリド(TAG)(例えば、植物油)、アルカン(例えば、ヘキサン、イソヘキサンおよびオクタン)、アルケン(例えば、ヘキセンおよびオクテン)などを用いることによる抽出または脱油の手法を通じて除去される。その結果として、グリセロールの毒性は実質的に低下し、発酵中に起こる可能性のある混入が最小限に抑えられる。本明細書において記載されるような不純物の抽出は、低コストの動作環境で機能するハイスループットプロセスであってもよい。
別の態様において、本プロセスは、発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールを製造することを目的とする、グリセロールにおける塩含有量の微調整を可能にする。そのため、本プロセスは、最終生成物としてのグリセロール組成物における最終塩含有量を調整することを可能にする。部分精製された廃グリセロールの塩含有量を調整できることは、発酵ブロス中の各微生物が塩に関してある特定の所定の耐性を有する、すなわち、ブロス中の塩濃度が高すぎる場合には微生物は最終的には非活動状態となるかまたは死滅することから(前記)、望ましい。逆に、各微生物は、その無機栄養素の要求基準を満たし、かつ発酵ブロス中で至適に生育するために、ある特定のレベルの塩を必要とすることもある。したがって、供給原料としてのグリセロールにおける塩含有量が高すぎるかまたは低すぎる場合には、微生物は適正に機能することができなくなる(例えば、グリセロールが供給原料として用いられる発酵プロセスにおいて脂肪酸誘導体を産生する微生物宿主については、例えば、米国特許第8,372,610号;第8,323,924号;第8,313,934号;第8,283,143号;第8,268,599号;第8,183,028号;第8,110,670号;第8,110,093号;および第8,097,439号を参照されたく、これらはすべて、参照により本明細書に組み入れられる)。1つの態様において、発酵グレードのグリセロールにおける塩含有量は発酵ブロス中で約0.05〜約8.2パーセント未満となるように調節され、それは発酵培養物中で宿主として用いられる微生物に有益でありうる。1つの態様において、発酵グレードのグリセロールにおける塩含有量は発酵ブロス中で約0.05〜約2.0パーセントとなるように調節され、それは発酵培養物中で製造用の宿主として用いられる微生物に有益でありうる。別の態様において、発酵グレードのグリセロールにおける塩含有量は、発酵ブロス中で約0.05〜約1.0パーセントとなるように調節され、それは発酵培養物中で製造用の宿主として用いられる微生物に有益でありうる。さらに別の態様において、発酵グリセロールにおける塩含有量は発酵ブロス中で約0.05〜約3.5パーセントとなるように調節される。
1つの態様において、本方法は、アルコール(例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、1-ペンタノール(1-pantanol)、1-ブタノールなど)を用いて既存の塩を沈殿させ、その後にアルコールを蒸発させ;続いて、発酵グレードのグリセロールにおける塩レベルをさらなる抽出および蒸発によって微調整することによって、粗製グリセロールにおける塩レベル(例えば、NaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4)を低下させることができる。本明細書において、塩除去は、具体的な微生物に対して、かつ所望の最終生成物(すなわち、ある特定の塩含有量を有するさまざまな発酵グレードのグリセロール組成物)に基づいて、制御すること、および専用に調整することができる。脱塩および蒸発の段階はハイスループット加工処理の一部であってよく、そのためにこの方法の全体運転コストがさらに低くなる。それ故に、その塩含有量が調整され、油溶性有機不純物が減少した発酵グレードのグリセロールを、本明細書(下記)において考察される通りの具体的な加工処理段階(すなわち、脱油、脱水および脱塩段階)に従って、粗製グリセロールから製造することができる。
別の態様において、粗製グリセロールは、有機不純物を全体で約0.1パーセント〜約3パーセント;塩を約7パーセント〜約9パーセント(例えば、乾燥量基準による。バイオディーゼルプロセスに由来)または塩を約3パーセント(例えば、乾燥量基準による。脂肪分解プロセスに由来)含有し;かつ、微量レベルの重金属を含有する。以下の表1Aは、(バイオディーゼル製造の副生成物としての)粗製グリセロール組成物の一例を、その有機および無機混入物および不純物とともに示している。表1Aに列記されている不純物のほとんどは、グリセロールよりも沸点が高い。それらのうちいくつか、例えば、ボイラー内有機化学物質の1つである3-モノクロロプロパン-1,2-ジオール(3-MPCD)は、グリセロールと同程度の沸点を有する。有機酸および無機酸、ならびにメタノールおよび低分子量ジアセチルケトン(DAK)は、グリセロールおよび水よりも沸点が低い。
(表1A)粗製グリセロール組成の例
Figure 2019151659
粗製グリセロールにおける塩含有量(例えば、約3〜約9パーセント)は、多くの生きている微生物の塩耐性を上回る。加えて、粗製グリセロールは、重金属を含む混入物および不純物も含有する(前記の表1Aを参照)。それ故に、粗製グリセロールは、ほとんどの工業用微生物宿主に対する供給原料としては不適である。例えば、脂肪酸メチルエステル(FAME)を産生する発酵ブロス中の大腸菌に粗製グリセロールを与えると、大腸菌の活動は48時間以内に停止する(下記の表4参照)。逆に、油溶性有機不純物および塩が減少し、不純物がより少ない発酵グレードのグリセロールを供給原料として用いると、発酵の成績が改善する(下記の表4参照)。このことは、グリセロールを供給原料として用いる場合に、グリセロールにおける油溶性有機不純物および塩のレベルが生きている生物の発酵成績に影響を及ぼしうることを示している。1つの態様において、グリセロールは塩を約1〜約2パーセント含有し、その結果、発酵培養を介して生成物の良好な回収を達成することができる。例えば、グリセロールが塩を約1パーセント含有する場合には、培養下にある大腸菌を介したエステル産生は著しく改善した(下記の表3および実施例10を参照)。
多くの微生物では、2パーセントを上回る塩濃度で発育が阻害され始め、発育阻害は、微生物、培地のほかの構成成分および環境条件に応じて大なり小なり影響される。海洋生物(好塩性生物)は例外であり、海水(約3.5パーセント)の濃度を上回る塩濃度で生育することができる。1つの態様において、グリセロールが塩を約2〜3パーセント含有する場合に、培養下にある好塩性生物を介した脂肪酸誘導体産生は改善すると考えられる。ある種の微生物は、最大20〜25パーセントの塩濃度で生育しうるが、そのような高い塩含有量はほとんどの産業用途および/または発酵培養物にとって不適であると考えられる。
部分精製された廃グリセロールを製造するプロセス
本開示は、部分精製された廃グリセロールを最小限の環境コストで高収量に製造するための、新規かつ不純物の少ないプロセスを提供する。本プロセスは有機抽出および塩沈殿を必然的に伴う。この新たなプロセスの目標は、例えば、発酵を介した化学物質製造、動物飼料、環境に優しい自動車用冷却液などを含むさまざまな産業用途に用いうる、部分精製された廃グリセロールを製造することである。このプロセスの1つの利点は、部分精製された廃グリセロールがハイスループット性能で製造され、従来の分別蒸留法(前記)よりも費用がかからないことである。このプロセスの別の利点は、本プロセスがグリセロールの比較的わずかな損失下で進行し、疎水性溶媒および極性溶媒を再利用することから本プロセスによって生み出される廃棄物がより少なく、その結果環境に対する影響が軽減される。図1から5までは、部分精製された廃グリセロールの製造プロセスの流れ図を示している。1つの態様において、本プロセスは、当技術分野において公知のように混合タンク、液体-液体分離機および脱溶媒機(desolventizer)を介して実施することができる。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒、例えばトリアシルグリセリド(TAG)などの使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出、水分乾燥、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む(図2参照)。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒、例えば酢酸ブチルなどの使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出、水分乾燥、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒、例えばFAMEなどの使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出、水分乾燥、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒を蒸発させて(例えば、フラッシュ蒸発を通じて)再利用する、アルカン(例えば、ヘキサン)またはアルケン(例えば、ヘキセン)またはアセタート(例えば、酢酸ブチル、酢酸エチル)の使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出;水分乾燥、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む(図3参照)。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒(例えば、トリアシルグリセリド(TAG))の使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出、水分乾燥、任意でのグリセロール蒸発、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む(図4参照)。ここで、極性溶媒を添加する前にグリセロールを任意で蒸発させてもよい。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒を蒸発させて(例えば、フラッシュ蒸発を通じて)再利用する、アルカン(例えば、ヘキサン)またはアルケン(例えば、ヘキセン)またはアセタート(例えば、酢酸エチル)または脂肪酸アルコールエステル(例えば、FAME、FAEEおよび脂肪酸イソプロピルエステル)の使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出;水分乾燥、任意でのグリセロール蒸発、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む(図5参照)。同様に、極性溶媒を添加する前にグリセロールを任意で蒸発させてもよい。図3および5に見てとれるように、疎水性溶媒蒸発により、溶媒を系に戻して再利用することが可能になり、さらに油溶性有機不純物が分離される。1つの態様において、疎水性溶媒はTAGである。別の態様において、疎水性溶媒はヘキサンである。別の態様において、極性溶媒はイソプロパノール(IPA)であり、それはこのプロセスにおいて再利用することができる。
粗製グリセロール(例えば、バイオディーゼルおよび脂肪分解プロセスに由来)を利用して、部分精製された廃グリセロールを製造するために、粗製グリセロールの脱油、脱水および脱塩をいずれかの順序で行うことができる。図2〜5の流れ図において、グリセロールの脱油は疎水性溶媒による液体-液体抽出を包含し;グリセロールの脱水は水分乾燥を包含し;かつグリセロールの脱塩は、任意でのグリセロール蒸発、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を包含する。この系では疎水性溶媒および極性溶媒の両方が再利用可能であるため、廃棄物はあまり多くは生じない。グリセロールのわずかな損失は存在し、本プロセスは、トリアシルグリセリド(TAG)、酢酸ブチル、酢酸エチル、FAME、FAEE、脂肪酸イソプロピルエステル、ヘキサンなどを疎水性溶媒として用いることによってバイオディーゼル施設で実施することができる。加えて、あらゆる油溶性不純物または有機不純物をボイラー燃料として再利用することもできる。それ故に、本プロセスは再利用可能であり、コスト効果が高く、かつ環境に優しい。
より具体的には、塩含有性の発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールを製造することを目的として粗製グリセロールを処理するために、互換性のある2種類の工程経路を開発した。第1の工程経路は、疎水性溶媒による液体-液体抽出段階(例えば、TAG、酢酸ブチル、酢酸エチル、FAME、FAEE、脂肪酸イソプロピルエステルまたはヘキサンを介する)を通じて粗製グリセロールを脱油すること、および脱油されたグリセロールを水分乾燥を通じて脱水することを含む。脱油および脱水されたグリセロールは、極性溶媒に基づく塩沈殿段階(例えば、IPAを介する)を通じて脱塩を受ける(図2および4参照)。脱油、脱水および脱塩という基本的工程段階の順序は互換的である(図1Aおよび1B参照)。第2の工程経路は、疎水性または疎水性溶媒による液体-液体抽出段階(例えば、TAG、酢酸ブチル、酢酸エチル、FAME、FAEE、脂肪酸イソプロピルエステルまたはヘキサンを介する)を通じて粗製グリセロールを脱油すること、脱油されたグリセロールを水分乾燥を通じて脱水すること;ならびに脱油および脱水されたグリセロールを蒸発させて、その後に蒸発残留物の極性溶媒に基づく塩沈殿段階(例えば、IPAを介する)を行うことを含む(図3および5参照)。同様に、脱油、脱水および脱塩という基本的工程段階の順序は互換的である(図1Aおよび1B参照)。いずれの工程経路によっても、粗製グリセロールよりも油溶性有機不純物が少なくかつ塩含有量が少ない部分精製された廃グリセロールが得られる。最終グリセロール製品の塩濃度は、望ましい濃度の塩を含有する部分精製された廃グリセロールが製造されるように調整することができ、その結果、それは発酵を含む多くの産業用途のための適した供給原料となる。加えて、部分精製された廃グリセロールの塩含有量を微調整して、その製造用宿主に起因して特定の塩含有量を必要とする発酵のために特に適した供給原料(すなわち、発酵グレードのグリセロール)を得ることもできる。1つの態様において、塩の減少、塩の調整および/または塩の微調整は、両方の工程経路を使用することによって達成することができる。したがって、両方の工程経路は互換的に使用することができる。
例えば、極性溶媒をグリセロールに全く添加しなければ、最終的なグリセロール製品における塩は約8.2パーセントになると考えられる。これに対して、極性溶媒をグリセロールに重量比約2.1で添加すると、最終的なグリセロール製品における塩は約2パーセントになると考えられる。同様に、極性溶媒をグリセロールに約3.3の重量比で添加すると、最終的なグリセロール製品における塩は約1パーセントになると考えられる。このように、本プロセスは、グリセロール最終生成物における最終塩濃度を効果的に調整および微調整することができる(下記の実施例8参照)。このプロセスによって製造される部分精製された廃グリセロールの最終的な収量は通常、塩濃度に応じて約97パーセント〜約99パーセントの範囲にわたる。
本開示は、グリセロールの脱塩のためのハイブリッド工程段階をさらに包含する、グリセロール純化のためのプロセスを提供する(図4および5参照)。例えば、図4および5には、任意でのグリセロール蒸発(すなわち、部分的なグリセロール蒸発)により、処理されたグリセロールの回収が塩沈殿を伴わずに行えることが示されている。これは、グリセロールの約75パーセント(グリセロール蒸留物として)を部分蒸発に供し、続いて蒸発放出残留物の状態の残りのおよそ25パーセントのグリセロールを回収し、続いて、IPAなどの極性溶媒によってそれをさらに沈殿させることによって脱塩することによって実現される。すなわち、この系により、不純物の少ないグリセロールを部分蒸発によって直接的に回収することが可能になり、塩を含まず、純度が約97パーセント〜約99パーセントである部分精製された廃グリセロールが得られる。ここでは、部分的なグリセロール蒸発により、不純物が少なく、かつ塩を含まないグリセロールが約75パーセント生じ、一方、残ったグリセロール混合物の残りを塩飽和させて、極性溶媒(例えば、IPA)抽出に供する。蒸発によって得られる不純物の少ないグリセロールは、系に戻して供給することができる(または任意で最終生成物として用いる)。IPA抽出の前にグリセロールの塩飽和を行うことにより、最終グリセロール組成物の塩含有量の調整および微調整が可能になる。
I.粗製グリセロールの脱油
図1から5までに示されているような本開示のさまざまな態様においては、粗製グリセロールをまず、有機不純物の除去のための脱油段階に供する。しかし、他の態様において、脱油段階を、脱水段階の後、または脱塩段階の後、または脱水および脱塩の段階の完了後に行うこともできる。脱油は、図1Aおよび1Bに示されたプロセスにおいて第1の段階、第2の段階または最終段階のいずれとして行ってもよい。
粗製グリセロールは、グリセロールを約80パーセント〜約88パーセント、水を約6パーセント〜約10パーセント、塩(例えば、NaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4)を約6パーセント〜約8パーセント、有機物を約0.1パーセント〜約3パーセント、およびメタノールを約0.3パーセント未満含む。粗製グリセロール中に含有される有機性油溶性不純物および混入物には、グリセロールを使用する産業プロセスを停止または汚染する恐れのある毒素が含まれうる。これらの混入物のほとんどは疎水性である。本方法では、これらの有機混入物のほとんどを溶媒抽出を介して粗製グリセロールから除去するために、疎水性溶媒、例えば、ヘキサン、TAG、酢酸ブチル、酢酸エチル、FAME、FAEE、脂肪酸イソプロピルエステルなどを用いる。一部の混入物は、より極性が高いことがある。例えば、酸化された着色体は、それらが純ヘキサンには溶解しないものの、TAG、FAME、FAEEおよび脂肪酸イソプロピル(isoprophyl)エステルには少なくとも部分的に可溶性であり、酢酸ブチルおよび酢酸エチルへの可溶性は高いという点で極性を有する。1つの態様においては、より費用がかからないヘキサンが、中程度から低レベルの極性有機不純物を含有する粗製グリセロールの脱油のための疎水性溶媒である。別の態様においては、酢酸ブチルまたは酢酸エチルが、より高レベルの極性有機不純物を含有する粗製グリセロールの脱油のための疎水性溶媒である。
1つの態様において、疎水性溶媒は非揮発性であり、かつ/または油溶性有機不純物よりも沸点(bp)が低く、蒸発熱(ΔHv)が少なく、かつ熱容量(Cp)が小さい。疎水性溶媒の例には、非揮発性を有するTAG(図2および4参照);炭化水素鎖長がC6〜C10であるアルカンまたはそれらの混合物(例えば、ヘキサン;図3および5参照);炭化水素鎖長がC6〜C10であるアルケンまたはそれらの混合物(例えば、ヘキセン);ならびにアセタート、例えば、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなど、および脂肪酸アルコールエステル、例えば、FAME、FAEEまたは脂肪酸イソプロピルエステルなどが非限定的に含まれる。1つの態様において、溶媒は疎水性である。別の態様において、溶媒は非極性であるかまたは極性であり、水およびグリセロールと混和しない。別の態様において、溶媒は水よりも沸点が低く、蒸発熱が少ない。さらなる別の態様において、溶媒は、粗製グリセロール中に見いだされる油性有機不純物よりも沸点が高い。別の態様において、溶媒はグリセロールよりも低い密度を有する。疎水性溶媒のいずれかの抽出効率を、粗製グリセロールにおける約6パーセント〜約10パーセントの水の存在によって強化することができる。粗製グリセロール中に生じるほとんどの油溶性不純物および混入物は、さまざまな混入物の沸点にかかわらず、溶媒抽出を介してグリセロールから除去される。
本開示の1つの態様は、油溶性不純物および混入物の除去が、脱油された(DO)グリセロールを生成させるための疎水性溶媒による液体-液体抽出を介して実施される、粗製グリセロールを純化するためのプロセスを提示している図2に示されている。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールは、DOグリセロールを包含する。用いる溶媒の量は、粗製グリセロール中に存在する油溶性不純物の量に依存する。脱油がバイオディーゼル施設で実施される場合には、TAGは溶媒の1つであってよく、これは、消費されたTAGが、抽出物の脱油が完了した後にバイオディーゼル供給物として再利用できるためである(図2および4参照)。消費されたTAGは、TAGおよび抽出されたTAG可溶性有機不純物を含有する。これは、グリセロール純化プロセスにおいて生じる廃棄物をより少なくする。1つの態様において、約5パーセント〜約20パーセントのTAG(例えば、トウモロコシ油などの精製された植物油)を用いて、DOグリセロールを調製することができる。別の態様において、溶媒抽出は約20〜95℃で実施することができる。別の態様において、溶媒抽出は、約20〜95℃で、より好ましくは約40〜80℃で、激しく混合しながら約5分間〜約30分間実施することができる。別の態様において、溶媒抽出は約55〜65℃で実施することができる。別の態様において、溶媒抽出は約55〜65℃で、激しく混合しながら約5分間〜約30分間実施することができる。別の態様において、溶媒抽出は約60℃で実施することができる。別の態様において、溶媒抽出は約60℃で、激しく混合しながら約5分間〜約30分間実施することができる。別の態様においては、溶媒抽出に続いて、重力デカンテーション、液体サイクロン分離、および/または低速液体-液体遠心分離を行う。
バイオディーゼル施設から隔たっているかもしくは無関係の施設で脱油を実施する場合、または低レベルの極性有機不純物を含有する粗製グリセロールの純度を高める目的で異なる溶媒を用いることが望まれる場合に、用いられる利用可能な別の疎水性溶媒はアルカンである。1つの態様において、疎水性溶媒は酢酸ブチルなどのアセタートである。図3に示されているような別の態様において、有用な疎水性溶媒はヘキサンである。ヘキサンの沸点は69℃であり、蒸発熱(ΔHv)は145btu/lbであり、熱容量(Cp)は0.53btu/lb℃である。1つの態様においては、約5パーセント〜約20パーセントのヘキサンを用いて、DOグリセロールを調製することができる。抽出のために必要なヘキサンの量は、粗製グリセロール中に存在する油溶性不純物(例えば、極性および/または非極性油溶性不純物)の量に依存する。抽出された油溶性不純物は、蒸発器残留物としての疎水性溶媒のフラッシュ蒸発を通じて除去することができる。例えば、約5パーセントのヘキサンを粗製グリセロールの脱油のために用いる場合には、フラッシュ蒸発を通じてのヘキサンの回収に約22,000btu/mtの粗製グリセロールを必要とする。同様に、約10パーセントのヘキサンを粗製グリセロールの脱油のために用いる場合には、フラッシュ蒸発を通じてのヘキサンの回収に約44,000btu/mtの粗製グリセロールを必要とする。
ヘキサン、植物油およびグリセロールの密度は、それぞれ0.659 g/ml、0.88g/mlおよび1.26g/mlである。油溶性不純物および混入物を除去する目的で疎水性溶媒をグリセロールと混ぜ合わせる場合には、結果的に得られる混合物は、低gの力での重力分離によって、DOグリセロール相とヘキサン/混入物相に分離される。続いてヘキサン溶媒を、ヘキサン/混入物流からフラッシュ蒸発によって回収する。1つの態様において、低gの力での重力分離は、油溶性有機不純物および混入物を含有する疎水性溶媒部分を粗製グリセロール部分から分離するために用いられる。溶媒部分(不純物および混入物を含有する)とグリセロール部分との間で密度の違いが大きいことにより、低gの力でも2つの部分を効果的に分離するのに十分である。1つの態様においては、密度分離を約10〜約1000gの力で実施する。別の態様においては、密度分離を約25gの力で実施する。さらなる別の態様においては、密度分離を約20gの力で実施する(例えば、液体サイクロンを介して)。いくつかの態様においては、重力デカンテーション、液体サイクロン、および/または低速液体-液体遠心分離機(例えば、CINC L-L分離機)を、この種の分離のために用いることができる。密度分離の後に、疎水性溶媒をフラッシュ蒸発を通じて回収する。回収された溶媒を、続いて再利用のために再循環させる。油溶性有機不純物および混入物はボイラー燃料として用いることができる。この段階では、廃棄物がわずかしか、または全く生じない。
II.脱油されたグリセロールの脱水
図1から5までに示されているような本開示のさまざまな態様において、脱水段階は脱油段階のすぐ後に行われる。しかし、他の態様において、脱水段階を最初の段階として行ってもよい。脱油は、図1Aおよび1Bに示されたプロセスにおいて第1の段階、第2の段階または最終段階のいずれとして行ってもよい。
上記において生成されたDOグリセロール(前記)は、依然として水をある程度含有する。1つの態様において、それは水を約6パーセント〜約10パーセント含有する。DOグリセロールを水分乾燥(例えば、蒸発)を通じて脱水して、脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させることができる。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールは、DOWグリセロールを包含する。別の態様において、DOグリセロールは約60〜約130℃で脱水される。別の態様において、DOグリセロールは約90℃および約20〜約60torrで脱水され、その結果、含水量は約0.5パーセント未満となる。1つの態様において、DOグリセロールは約90℃および約60torrで脱水され、その結果、含水量は約0.5パーセント未満となる。別の態様において、DOグリセロールは約110℃および約60torrで脱水され、その結果、含水量は約0.5パーセント未満となる。さらなる別の態様において、DOグリセロールは約130℃および約60torrで脱水され、その結果、含水量は約0.5パーセント未満となる。図2から5までに水分乾燥段階として示されている、DOグリセロールの脱水の間に、沸点が低い不純物および微量レベルのメタノールが除去される。水分乾燥のための設備としてはあらゆる水蒸発器を本明細書において用いることができ、至適水分乾燥条件は製造元の提案(例えば、ASPEN modeling)に従って決定される。蒸発した水は冷却して凝縮水として捕捉する。この凝縮水はメタノールおよび少量の疎水性溶媒を含有する。水とは混和しない疎水性溶媒は重力デカンテーションによって回収する。デカンターの底部層にあるメタノール含有性廃水は、約6%〜約10%の粗製グリセロールである。
III.脱油および脱水されたグリセロールの脱塩
図1から5までに示されているような本開示のさまざまな態様において、脱塩段階は、生成物(部分精製された廃グリセロールまたは発酵グレードのグリセロール)の製造において行われる最終的な工程作業である。しかし、他の態様において、脱水段階を最初の段階として、または最初の段階に続いて行ってもよい。脱塩は、図1Aおよび1Bに示されたプロセスにおいて第1の段階、第2の段階または最終段階のいずれとして行ってもよい。
上記において生成されたDOWグリセロール(前記)は、グリセロールを約88パーセント〜約91パーセント、水を約0.5パーセント、および塩(例えば、NaCl)を約7パーセント〜約9パーセント、および微量の有機物を含有する。粗製グリセロールの脱油および脱水の後に、DOWグリセロールの脱塩を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを生成させるための、極性溶媒を介した(例えば、IPAもしくはブタノールなどのアルコールを介した;またはフェノールを介した)DOWグリセロールの脱塩(図2および3にも示されている);または任意でのDOWグリセロールの部分蒸発に続く、極性溶媒を介した(例えば、IPAもしくはブタノールなどのアルコールを介した;またはフェノールを介した)蒸発残留物の脱塩(図4および5に示されている)を含む、互換性のある2種類の方策によって実施することができる。すなわち、第2の方策では、脱塩グリセロールの脱塩のためのハイブリッド工程段階を想定している。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールはDOWSグリセロールを包含する。
より具体的には、脱塩の第1の方策は、(1)DOWグリセロールからの塩の極性溶媒沈殿、(2)低gの力での塩の密度分離、ならびに(3)極性溶媒-グリセロール混合物から、および溶媒塩混合物からの極性溶媒のフラッシュ蒸発を含む。脱塩の第2の方策は、(1)DOWグリセロールの部分蒸発、(2)蒸発残留物の極性溶媒沈殿、(3)低gの力での塩の密度分離、ならびに(4)極性溶媒-グリセロール混合物から、および溶媒塩混合物からの極性溶媒のフラッシュ蒸発を含む。用いうる極性溶媒には、例えば、IPAまたはブタノールなどのアルコール、およびフェノールがある。図4および5は、DOWグリセロールの脱塩のためにハイブリッド工程段階を利用する異なる態様を示した構成図を提示している。
図2および3に示されているような第1の方法では、DOWグリセロールを、結果的に得られる極性溶媒-グリセロール混合物から過飽和塩を沈殿させるための溶媒として作用する極性溶媒に添加する。これは約20〜約100℃の範囲にわたる温度で、より詳細には約40〜約80℃の範囲にわたる温度で実施される。別の態様において、温度は約50〜約70℃の範囲にわたる。1つの態様において、DOWグリセロールは、結果的に得られる極性溶媒-グリセロール混合物から過飽和塩を沈殿させるための溶媒として作用する極性溶媒に60℃で添加される。1つの別の態様において、極性溶媒はIPAである。別の態様において、極性溶媒はブタノールである。さらに別の態様において、極性溶媒はフェノールである。1つの態様において、密度分離は約10〜約50gの力で実施される。別の態様において、密度分離は約25gの力で実施される。さらなる別の態様において、密度分離は約20gの力で実施される。いくつかの態様においては、重力デカンテーションまたは液体サイクロンをこの種の分離のために用いることができ、それにより、グリセロールを含有する軽い相と、沈殿した塩を含有する重い相が得られる。1つの態様においては、塩が飽和した極性溶媒-グリセロール溶液(軽い相)を続いて約80℃および約60torrでフラッシュ蒸発させて、極性溶媒を回収する。別の態様においては、塩が飽和した極性溶媒-グリセロール溶液を約90〜約100℃および周囲圧力でフラッシュ蒸発させて、極性溶媒を回収する。
1つの態様は、その後に脱塩が続く初期の脱油工程段階を含む。別の態様は、初期の脱塩工程段階および脱油工程段階を含む。これらの態様のいずれにおいても、別々に脱水段階を行うことは不要である。これは、混合物から塩を沈殿させる働きをするIPAなどの極性溶媒を分離する必要性の結果として起こる。塩沈殿後に混合物から極性溶媒を分離するプロセスでは、溶媒を効果的に沸騰蒸発させるために、極性溶媒の沸点、例えば80℃またはそれを上回る熱、および改変された圧力、例えば60torrを利用する。つまり、蒸発が起こる圧力の改変によって有効温度を改変することができる。脱水段階が脱塩段階の前には行われない、図1Bに示されたような態様において、溶媒を蒸発させるために熱を加える蒸留による溶媒除去のプロセスは、グリセロール中の水を蒸発させるようにも働き、それにより、生成物の流れから水を効果的に除去する。しかし、溶媒を再利用するためには、グリセロールから蒸発した混合物を凝集させることによって回収するために、溶媒の流れから水を分離するためのさらなる段階が必要である。
結果として得られる蒸発器残留物相は、塩が減少したDOWグリセロールである。上述したように、脱油および脱水も行われている、塩が減少したグリセロールは、DOWSグリセロール(すなわち、脱油、脱水/乾燥および脱塩されたグリセロール)と称される。DOWSグリセロールにおける塩含有量は、極性溶媒とグリセロールとの比に依存する(前記)。したがって、DOWSグリセロールの塩含有量を、必要に応じて調整および微調整することができる。
図4および5に示されているような第2の方法では、約75パーセントのDOWグリセロール(グリセロール蒸留物として)を蒸発に供し、続いて蒸発放出残留物の状態の残りのおよそ25パーセントのグリセロール(これは続いて、前記の第1の方法に示されたように極性溶媒によってそれを沈殿させることによってさらに脱塩される)を回収することによって、DOWSグリセロールが生成される。これはハイブリッドプロセスであり、蒸発したグリセロールは一般に塩を含まない。続いて、極性溶媒-脱塩されたグリセロール組成物における塩含有量を、適切な比のグリセロールとIPAとを適用することによって調整して、部分精製された廃グリセロールまたは発酵グレードのグリセロールを最終生成物として生成させることができる。グリセロール蒸留物は、ほとんどがグリセロールであり、水を約0.5パーセント、およびある程度の微量レベルの有機物質を含有する、蒸発した物質である。
互換性のある2種類の脱塩段階(すなわち、部分的なグリセロール蒸発を含むまたは含まない)により、2種類の異なるプロセスの基盤が得られる。いずれのプロセスも(1)脱油、(2)脱水および(3)脱塩段階をいずれかの順序で含む。残留性の油溶性有機不純物は脱油の後に蒸発残留物に残るため、この2種類のプロセスの最後に残るいかなる油溶性有機不純物も同じである。互換性のある2種類の脱塩段階のいずれを使用した場合もグリセロール収量の損失は1%未満である。収量の損失が低いのは、極性溶媒沈殿後に塩マトリックス中に含有される極性溶媒とともに残ったいかなる残留性グリセロールも、極性溶媒洗浄によってさらに回収できるためである。塩相における残留性極性溶媒はすべて、脱溶媒を通じて回収して再利用することができる。この段階では、廃棄物はわずかしか、または全く生じない。
脱塩段階または塩除去を用いることで、除去された塩を、有機不純物およびグリセロールをほぼ含まない有用な副生成物として収集することができる。除去された塩は他のプロセスに再利用することができる。例えば、塩を産業プロセスのために、または工業製品に用いるために収集することができる。そのため、本明細書ではNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4などを含むさまざまな塩を想定している(例えば、以下の表1B参照)。1つの態様においては、動物栄養、軟水化、氷結防止などに用いるためにNaClを収集する。別の態様においては、農業用肥料として用いるためにKClまたはK2SO4を収集する。
(表1B)脱塩後に副生成物として生成される塩の例
Figure 2019151659
部分精製された廃グリセロールの使用
本開示は、産業用途に使用することができる、塩含有性の部分精製された廃グリセロールを含む、部分精製された廃グリセロールを提供する。部分精製された廃グリセロールの塩含有量は、さまざまな用途に合わせて調整することができる。1つの態様において、塩含有量のない部分精製された廃グリセロールを、さまざまな産業用途に用いることができる。別の態様において、約0.05パーセント〜約8.2パーセントの範囲にある特定の塩含有量を有する部分精製された廃グリセロールを、さまざまな産業用途に用いることができる。別の態様において、約0.05パーセント〜約3.5パーセントの範囲にある特定の塩含有量を有する部分精製された廃グリセロールを、より高度の塩耐性を有する微生物宿主(例えば、海洋生物)を使用する発酵において、発酵グレードのグリセロールとして用いることができる。別の態様において、約0.05パーセント〜約2パーセントの範囲にある特定の塩含有量を有する部分精製された廃グリセロールを、塩耐性がより低い微生物宿主(例えば、大腸菌)を使用する発酵において、発酵グレードのグリセロールとして用いることができる。さらに別の態様において、約0.05パーセント〜約8.2パーセント未満の範囲にある特定の塩含有量を有する部分精製された廃グリセロールを、より高度の塩耐性を有する微生物宿主を使用する発酵において、発酵グレードのグリセロールとして用いることができる。さらに別の態様において、約0.05パーセント〜約8.2パーセント未満の範囲内にある特定の塩含有量を有する部分精製された廃グリセロールを、天然の相当物よりもより高い塩濃度に耐えうるように改変された微生物宿主(例えば、大腸菌)を使用する発酵において、発酵グレードのグリセロールとして用いることができる。
別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、保湿剤、乳化剤および可塑剤として用いることができ、これは多種多様な材料および混合物に適合性である。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、可塑特性および浸透特性などを有する接着剤として用いることができる。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、噴霧剤、含浸液および洗浄剤などのために農業用に用いることができる。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、環境に優しい不凍液または自動車用冷却液として用いることができる。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、家庭、オフィスおよび自動車市場などにおいて洗浄剤またはつや出し剤として用いることができる。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、皮革(例えば、皮なめしおよび仕上げ)および繊維(例えば、印刷および染色を容易にすること;潤滑化および絡まり防止;帯電防止処理、防縮処理および防しわ処理;防水加工;防炎加工)などの材料の処理または改質のために用いることができる。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、酸洗い、焼き入れ、ストリッピング、電気めっき、亜鉛めっき、およびはんだ付けといった金属の加工処理のために用いることができる。さらなる別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、保湿剤、可塑剤、柔軟剤、およびバリア剤(例えば、グリースおよび溶媒に対するもの)として作用するなど、紙を処理するために用いることができる。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、湿潤剤および可塑剤として写真に用いることができる。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、エステルガム、ポリウレタン、およびエポキシを含む樹脂として用いることができる。さらに別の態様において、部分精製された廃グリセロールは洗剤中に用いることができる。
以下の実施例は、本開示をさらに例示するものであり、その範囲を限定するものとは決して解釈されるべきではない。
バイオディーゼル製造プロセスおよび他の脂肪分解プロセスに由来する粗製グリセロールを利用するには、多くの産業用途に適する部分精製された廃グリセロールを生成させるために、それを高いコスト効果で脱油、脱水および脱塩しなければならない。以下の実施例では、部分精製された廃グリセロールを製造するために開発したプロセスについて説明する。これらの実施例はまた、塩含有性グリセロールをどのようにして製造するかも示している。
実施例1:植物油を疎水性溶媒として用いて、脱油された(DO)グリセロールを製造するプロセス
粗製グリセロール(下記の表2参照)を、トリアシルグリセリド(TAG)を溶媒として用いる油溶性不純物の液体-液体抽出を通じて脱油した。植物油(トウモロコシ油)を疎水性溶媒として試験したが、これはそれが多くのバイオディーゼル施設に豊富にあるためである。この分離は、低いグリセロール粘度(60℃で81.3cp)の下で、疎水性溶媒(トウモロコシ油では0.88g/ml)とグリセロール(1.26g/ml)との間で密度が大きく異なることに基づいた。タンク攪拌機内でトウモロコシ油を粗製グリセロール(5:95 vol/vol)と混ぜ合わせ、60℃で5分間かけて十分に混合した。その結果得られた粗製グリセロール-トウモロコシ油混合物を、バケット遠心機を用いる20gの力による40℃で5分間の遠心処理によって、油相と脱油されたグリセロール相とに分離した。このg力を選択したのは、それが液体サイクロンによって達成されうるものと同程度であるためである。約1000gの力を有する低速液体-液体遠心分離機(CINC L-L)により、同程度のまたは有効な分離を得ることができる。以下の表2に示されているように、結果として得られたDOグリセロール中の有機不純物は顕著に減少した(394ppmから192ppm)。
(表2)粗製グリセロールと部分精製された廃グリセロール(DOグリセロール、DOWグリセロール、DOWSグリセロール)とを比較した場合のグリセロール諸段階の特徴
Figure 2019151659
実施例2:ヘキサンを疎水性溶媒として用いて、脱油された(DO)グリセロールを製造するプロセス
実施例1に示されたようにして、ヘキサンを、粗製グリセロールの脱油のための代替的な疎水性溶媒として用いることができる。ヘキサンの沸点は69℃であり、蒸発熱(ΔHv)は145btu/lbであり、熱容量(Cp)は0.53btu/lb℃である。脱油は、少量のヘキサンおよびフラッシュ蒸発装置を用いる疎水性溶媒による液体-液体抽出によって達成される。ヘキサンを粗製グリセロールと、5:95〜20:80(vol/vol)の比で周囲温度にて5〜30分間かけて十分に混合する。続いて、結果的に得られた混合物を、液体サイクロンまたは低速液体-液体遠心分離機を用いて、軽い有機相と重いグリセロール相とに分離する。抽出された有機不純物からフラッシュ蒸発によってヘキサンを回収し、再循環を行う。有機不純物を含有する蒸発器残留物は、有価物の回収および廃棄物の減少のために燃料として用いることができる。DOグリセロールは、有機不純物の減少に関して、植物油を用いて達成されるものと同程度であるか、またはより優れると予想される。
実施例3:DOグリセロールを脱水することによって、脱油および脱水された(DOW)グリセロールを製造するプロセス
DOグリセロール(実施例1による)は水を約12%含有していた。この水を除去するために、実験室規模のガラス製蒸発器を用いて、水分乾燥プロセスを100℃および60torrで実施した。表2(前記)に示されているように、結果として得られた脱油および脱水された(DOW)グリセロールの含水量(水)は0.5%未満であった。測定はしていないが、微量レベルのメタノールおよび低沸点種も、脱水プロセスの間に水とともにグリセロールから減少したものと予想される。DOWグリセロールは依然として塩を約7.25%含有していた。
実施例4:IPA沈殿によってDOWグリセロールを脱塩することによって、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを製造するプロセス
表2(前記)に示されているように、DOWグリセロールはNaClを7.25%含有していた。NaClの濃度を低下させるために、イソプロパノール(IPA)沈殿および密度分離による脱塩を実施した。混合タンク内で、IPAをDOWグリセロールと、IPA:DOWグリセロール(wt/wt)が3.2:1となるようにして60℃で30分間かけて十分に混合し、結果として得られた塩過飽和混合物を60℃で30分間かけて凝集させた。この温度(60℃)を選択したのは、それによって、IPAの沸点を下回る22.3℃という温度でほぼ完全な塩沈殿が可能となり、同時に、結果として得られた混合物が、微細結晶を含む結晶化NaClの迅速な沈降のために好都合な粘性を維持するためである。続いて固体を、バケット遠心機を20gの力で40℃で5分間用いる密度分離によって除去した。液体グリセロール-IPA混合物をデカントし、80℃および60torrでの蒸発によってIPAを除去した。表2(前記)に示されているように、結果として得られた脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールが含有していたNaCl(1.94%)は、DOWグリセロール(7.25%)よりも顕著に少なかった。表2中の試料をDOWS-2グリセロール(すなわち、塩を約2%含有するグリセロール)と称し、ここで1.94はDOWSグリセロールにおけるNaClの濃度(wt/wt)のことを指す。
実施例5:IPA沈殿および部分的グリセロール蒸発によってDOWグリセロールを脱塩することによって、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを製造するプロセス
DOWグリセロールの塩濃度をIPA沈殿によって低下させるための代替的な方策の1つは、実施例4に示したように、DOWグリセロール中のグリセロールの大半を蒸発させ、続いて蒸発残留物に残った塩をIPA沈殿によって除去することである。こうすることにより、沈殿における使用に必要なIPA量がより少なくなり、塩を含まないグリセロールを蒸発を通じて回収することができ、かつ、最終的に部分精製された廃グリセロールの塩含有量を、蒸発したグリセロールとIPAにより沈殿させたDOWグリセロールとの適切な配合によって調節することができる。DOWグリセロールをまず、グリセロールの75%が蒸発するまで、152.3℃の蒸気温度にて5torrで処理した。以下の表3に示されているように、蒸発したグリセロール(DOWS-0グリセロール)(すなわち、塩を約0%しか含有しないDOWSグリセロール)は顕著に純化されており、NaClを0.023%しか含有しなかった。混合タンク内で、塩過飽和グリセロール蒸発残留物をIPAと、IPA:DOWグリセロール蒸発残留物(wt/wt)が5.7:1となるようにして60℃で5分間かけて十分に混合し、結果として得られた混合物を60℃で30分間かけて凝集させた。20gの力を40℃で5分間適用することにより、固体をバケット遠心機において密度分離によって除去した。液体IPAグリセロール上清をデカントし、フラッシュ蒸発(前記)によってIPAを回収した。以下の表3(下記)に示されているように、蒸発残留物の状態の結果として得られたグリセロールはNaClを0.97%(wt/wt)含有しており、この試料をDOWS-1グリセロール(すなわち、塩を約1%含有するDOWSグリセロール)と称する。
(表3)DOWSグリセロール組成物を供給原料として用いた、脂肪酸メチルエステル(FAME)の製造
Figure 2019151659
実施例6:粗製グリセロール脱塩プロセス
脱油されていない脱塩された粗製グリセロールの品質を評価するために、粗製グリセロールを実施例3に示したようにIPA沈殿によって直接的に脱塩した。以下の表4に示されているように、結果として得られた脱塩された(DS)グリセロールはNaClを2%(wt/wt)含有していた(DS-2参照)。
(表4)FAME製造に関する発酵の比較
Figure 2019151659
実施例7:種々の精製されたグリセロール試料を配合することによる、NaClによって塩が調整されたDOWS組成物の調製のためのプロセス
部分精製された廃グリセロールにはさまざまな用途が存在するため、グリセロールが種々の塩濃度を有することによって恩恵が得られる可能性がある。0〜7.25%の範囲にわたるNaCl含有量を有する、さまざまなDOWSグリセロール組成物を作製した。これらの組成物は、IPA沈殿段階におけるIPAとグリセロールとの比を制御することによって調製した。IPAをDOWグリセロールとさまざまな比で十分に混合し、試料を実施例3(前記)に記載したようにして加工処理した。図6に示されているように、比が低いほど高い塩濃度がもたらされ、比が高いほど低い塩濃度がもたらされる。
実施例8:IPA沈殿プロセスにおいてIPAとグリセロールとの比を制御することによりNaClによって塩が調整されたDOWS組成物の調製のためのプロセス
部分精製された廃グリセロールの種々の用途は、グリセロール中の塩濃度がさまざまであることによって恩恵を受ける可能性があるため、0〜1%の範囲にわたるNaClを含有するDOWSグリセロール組成物を、蒸発したグリセロール(DOWS-0)とDOWS-1とを配合することによって調製した。表5(下記)に示されているように、この方法を用いてさまざまな試料を調製した。
(表5)塩が調整されたグリセロール組成物の例
Figure 2019151659
実施例9:Fame発酵における、さまざまな形態のグリセロールの試験
本実施例では、粗製グリセロールに対する耐性が十分でない生物を用いる発酵における唯一の炭素源としての、粗製グリセロール、DOグリセロール、DS-2グリセロール(塩が2%となるまで脱塩)、DOWS-2グリセロール(塩を約2%含有する)およびUSPグリセロールの使用について、比較した。代表的な一例として選んだ発酵は、操作された大腸菌生体触媒を用いて脂肪酸メチルエステル(FAME)を製造するものとした。各試料を上記の通りに調製し、各グリセロール試料の規格値および発酵においてそれらが炭素源としてどのような成績であったかは表4(前記)に示されている。これらのデータは、本明細書に記載の方法を用いた粗製グリセロールの部分精製により、効率的な発酵を支えるその能力が顕著に改善したことを実証している。特に、粗製グリセロールと比較して有機不純物および塩不純物がいずれも減少することにより、発酵成績が向上する。
実施例10:Fame発酵における、塩が調整されたDOWSグリセロール組成物の試験
本実施例では、DOWSグリセロール組成物が特別に調整された塩含有量を有し、油溶性有機不純物が減少している場合の発酵における、塩が調整されたDOWSグリセロールの実用可能性について調べる。粗製グリセロールから、DOWS 0グリセロール、DOWS 0.1グリセロール、DOWS 0.5グリセロール、およびDOWS-1グリセロールを、上記および実施例8に記載され、かつ表5に示されている通りに作製した。
発酵評価において、DOWSグリセロール試料は、USPグレードのグリセロールと比較して同等なFAME収量、生産性および力価(YPT)を立証し、かつFAME生成物を同程度の品質で産生した。しかし、表3(前記)に示されているように、これらの発酵において、DOWS-1はUSPグリセロールの成績を驚くほど上回った。これらのデータは、部分精製されたグリセロールが発酵供給原料としてUSPグリセロールよりも優れていること、および塩が調整されたDOWSが、廃グリセロールに由来する高性能発酵供給原料の製造のための有用なツールであることを示唆する。より明確に言えば、これらのデータは、発酵の阻害物であると従来は考えられてきた廃グリセロール中の塩不純物を発酵改善のために活用できることを実証するものである。
実施例11:発酵ブロスからのFAMEの回収に対する、塩が調整されたDOWSの影響の評価
供給原料における不純物は、発酵ブロスからの生成物の回収の効率に影響を及ぼす恐れがある。発酵ブロスからのFAME回収に対する、塩濃度が調整された種々のDOWSの影響を評価するために、実施例10に記載された各発酵物から油を回収した。表3(前記)に記載された発酵物のそれぞれからのブロスを、バケット遠心機を5000gの力で40℃にて15分間用いて重力により分離し、各試料からのFAMEを含有する軽い油相をデカンテーションによって回収した。ブロスからのFAME回収の効率は、遠心処理前のブロス中の総FAMEに対する回収されたFAMEのパーセントとして報告した。表3 (前記)に示されているように、DOWS-1の発酵ブロスからの回収の効率が最も高く、塩を有するものがそれに続いた。USPおよびDOWS-0からの回収の効率は最も低かった。このデータは、部分精製された廃グリセロール中に残存する不純物のレベルを調整することによって発酵および生成物の回収プロセスに恩恵が与えられること、ならびにDOWS-1が優れた発酵供給原料であることを示唆するものである。
当業者には明らかであろうが、上記の諸局面および諸態様のさまざまな改変物および変形物を、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく作製することができる。そのような改変物および変形物は本開示の範囲内にある。

Claims (55)

  1. 有機不純物を抽出するために疎水性溶媒を用いて脱油する段階;
    高温で乾燥させることによって脱水する段階;および
    塩を沈殿させるための極性溶媒を用いて脱塩する段階
    を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
  2. 粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
    脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
    を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
  3. 脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
  4. 極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
    極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
    をさらに含む、請求項3記載の方法。
  5. 純化されたDOWSグリセロールを生成させるために、前記軽い相から極性溶媒を除去する段階をさらに含む、請求項4記載の方法。
  6. DOWグリセロールを極性溶媒に供する前に、該DOWグリセロールを部分的に蒸発させる段階をさらに含む、請求項4記載の方法。
  7. 極性溶媒とDOグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOグリセロールに供し、極性溶媒とDOグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
    極性溶媒とDOグリセロールの混合物を、脱油および脱塩されたグリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
    をさらに含む、請求項2記載の方法。
  8. 脱油、脱塩および脱水された(DOWS)グリセロールを生成させるために、前記脱油および脱塩されたグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、請求項7記載の方法。
  9. DOWSグリセロールが発酵グレードグリセロールである、請求項5記載の方法。
  10. 疎水性溶媒が、トリアシルグリセリド、アルカン、アルケン、アセタート、および脂肪酸アルコールエステルからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
  11. トリアシルグリセリドが植物油である、請求項10記載の方法。
  12. アセタートが酢酸ブチルである、請求項10記載の方法。
  13. アルカンがヘキサンである、請求項10記載の方法。
  14. 有機不純物が油溶性である、請求項2記載の方法。
  15. DOグリセロールが約195ppm未満の油溶性有機不純物を含む、請求項2記載の方法。
  16. DOWグリセロールが約0.5パーセント未満の水を含む、請求項3記載の方法。
  17. 極性溶媒がアルコールである、請求項4記載の方法。
  18. アルコールがイソプロパノールまたはブタノールである、請求項17記載の方法。
  19. 極性溶媒を除去する段階がフラッシュ蒸発によって行われる、請求項5記載の方法。
  20. 発酵グレードのグリセロールが塩含有グリセロールである、請求項9記載の方法。
  21. 発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約8.2パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、請求項20記載の方法。
  22. 発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約3.5パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、請求項20記載の方法。
  23. 発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約1.0パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、請求項20記載の方法。
  24. 分離が、重力デカンテーション、液体サイクロン分離、および遠心分離の少なくとも1つによって起こる、請求項2記載の方法。
  25. 粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約20℃〜約95℃に加熱する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
  26. 粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約55℃〜約65℃に加熱する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
  27. 粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約5分間〜約30分間にわたって混合する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
  28. 乾燥が約60℃〜約130℃で起こる、請求項3記載の方法。
  29. 請求項2記載の方法によって製造される生成物。
  30. 請求項3記載の方法によって製造される生成物。
  31. 請求項5記載の方法によって製造される生成物。
  32. 天然脂肪および天然油の加工処理に由来する部分精製された廃グリセロールであって、粗製グリセロールと比較して塩および有機不純物の含有量が減少している、部分精製された廃グリセロール。
  33. 約0.05パーセント〜約8.2パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、請求項32記載の部分精製された廃グリセロール。
  34. 約0.05パーセント〜約3.5パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、請求項32記載の部分精製された廃グリセロール。
  35. 約0.05パーセント〜約2.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、請求項32記載の部分精製された廃グリセロール。
  36. 約0.05パーセント〜約1.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、請求項32記載の部分精製された廃グリセロール。
  37. 発酵グレードのグリセロールである、請求項32記載の部分精製された廃グリセロール。
  38. 脱水グリセロールを生成させるために粗製グリセロールを乾燥させる段階;
    脱水グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱水グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
    脱油され脱水された(DOW)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱水グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
    を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
  39. 極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
    極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
    をさらに含む、請求項38記載の方法。
  40. 脱水グリセロールを製造するために、粗製グリセロールを乾燥させる段階;
    極性溶媒と脱水グリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒を脱水グリセロールに供し、極性溶媒と脱水グリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
    極性溶媒と脱水グリセロールの混合物を、脱水および脱塩されたグリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
    を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
  41. 脱水および脱塩されたグリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱水および脱塩されたグリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
    脱水、脱塩および脱油された(DOWS)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱水および脱塩されたグリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
    をさらに含む、請求項40記載の方法。
  42. 極性溶媒と粗製グリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒を粗製グリセロールに供し、極性溶媒と粗製グリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
    極性溶媒と粗製グリセロールの混合物を、脱塩グリセロールおよび極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
    を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
  43. 脱塩グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱塩グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
    脱油され脱塩されたグリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱塩グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
    をさらに含む、請求項42記載の方法。
  44. 脱塩、脱油および脱水された(DOWS)グリセロールを生成させるために、前記脱油され脱塩されたグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、請求項43記載の方法。
  45. 有機不純物を除去し、脱油された(DO)グリセロールを生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;
    脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階;ならびに
    塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを生成させるために、極性溶媒をDOWグリセロールに供する段階
    を含む、粗製グリセロールを精製する方法。
  46. 粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;
    脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階;
    脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階;
    極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
    極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相に分離する段階
    を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
  47. DOWSグリセロールが発酵グレードのグリセロールである、請求項46記載の方法。
  48. DOWグリセロールが約0.5パーセント未満の水を含む、請求項46記載の方法。
  49. DOWグリセロールを極性溶媒に供する前に、該DOWグリセロールを部分的に蒸発させる段階をさらに含む、請求項46記載の方法。
  50. 純化されたDOWSグリセロールを生成させるために、DOWSグリセロールから極性溶媒を蒸発させる段階をさらに含む、請求項46記載の方法。
  51. 前記蒸発がフラッシュ蒸発を含む、請求項51記載の方法。
  52. 発酵グレードのグリセロールが塩含有グリセロールである、請求項47記載の方法。
  53. 有機不純物を除去し、脱油(DO)グリセロールを作り出すために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;
    脱油および脱水された(DOW)グリセロールを作り出すために、DOグリセロールを乾燥させる段階;
    DOWグリセロールの約75パーセントを、塩を伴わないグリセロール蒸留物として部分的に蒸発させる段階;
    蒸発放出残留物(evaporation discharge bottom)の状態のDOWグリセロールの残りの部分を回収する段階
    ;ならびに
    塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを作り出すために、極性溶媒を該蒸発放出残留物に添加する段階
    を含む、粗製グリセロールを精製する方法。
  54. 極性溶媒がIPAである、請求項53記載の方法。
  55. 請求項1記載の方法によって製造される生成物。
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