JP2019151659A - 部分精製された廃グリセロールの製造 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示は、種々の産業用途向けの部分精製された廃グリセロールを製造する新規なグリセロール純化プロセスに関する。本明細書において、本開示は、発酵グレードのグリセロールとして適する塩含有性の部分精製されたグリセロール組成物を包含する。
バイオディーゼルは、植物油および植物性脂肪から作られる、ディーゼルエンジン用の、天然かつ再生可能な家庭用燃料の代替的選択肢の1つである。それは非毒性かつ生分解性であることから、石油から作られる燃料に代わる有望な選択肢になってきている。バイオディーゼルは環境を汚染せずに燃焼する。このため、その結果として、スモッグおよび地球温暖化の一因となる汚染物質の種類が著しく少なくなる。バイオディーゼルが放出する発がん性作用物質は最大で85パーセント少なく、これは米国環境保護局(Environmental Protection Agency)(EPA)によって承認されている唯一の代替燃料である。これは大気浄化法のすべての健康影響試験に合格しており、カリフォルニア大気資源委員会(CARB)の要求基準を満たしている。しかしながら、バイオディーゼルは依然として製造に比較的コストがかかり、その副産物であるグリセロールを利用することは、バイオディーゼルの製造コストを埋め合わせる有望な選択肢の1つである。
本開示の1つの局面は、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造するプロセスであって、有機不純物を抽出するために疎水性溶媒を用いて脱油する段階;高温で乾燥させることによって脱水する段階;および、塩を沈殿させるための極性溶媒を用いて脱塩する段階、を含むプロセスを提供する。
[本発明1001]
有機不純物を抽出するために疎水性溶媒を用いて脱油する段階;
高温で乾燥させることによって脱水する段階;および
塩を沈殿させるための極性溶媒を用いて脱塩する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1002]
粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1003]
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1004]
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
をさらに含む、本発明1003の方法。
[本発明1005]
純化されたDOWSグリセロールを生成させるために、前記軽い相から極性溶媒を除去する段階をさらに含む、本発明1004の方法。
[本発明1006]
DOWグリセロールを極性溶媒に供する前に、該DOWグリセロールを部分的に蒸発させる段階をさらに含む、本発明1004の方法。
[本発明1007]
極性溶媒とDOグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOグリセロールに供し、極性溶媒とDOグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOグリセロールの混合物を、脱油および脱塩されたグリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1008]
脱油、脱塩および脱水された(DOWS)グリセロールを生成させるために、前記脱油および脱塩されたグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、本発明1007の方法。
[本発明1009]
DOWSグリセロールが発酵グレードグリセロールである、本発明1005の方法。
[本発明1010]
疎水性溶媒が、トリアシルグリセリド、アルカン、アルケン、アセタート、および脂肪酸アルコールエステルからなる群より選択される、本発明1002の方法。
[本発明1011]
トリアシルグリセリドが植物油である、本発明1010の方法。
[本発明1012]
アセタートが酢酸ブチルである、本発明1010の方法。
[本発明1013]
アルカンがヘキサンである、本発明1010の方法。
[本発明1014]
有機不純物が油溶性である、本発明1002の方法。
[本発明1015]
DOグリセロールが約195ppm未満の油溶性有機不純物を含む、本発明1002の方法。
[本発明1016]
DOWグリセロールが約0.5パーセント未満の水を含む、本発明1003の方法。
[本発明1017]
極性溶媒がアルコールである、本発明1004の方法。
[本発明1018]
アルコールがイソプロパノールまたはブタノールである、本発明1017の方法。
[本発明1019]
極性溶媒を除去する段階がフラッシュ蒸発によって行われる、本発明1005の方法。
[本発明1020]
発酵グレードのグリセロールが塩含有グリセロールである、本発明1009の方法。
[本発明1021]
発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約8.2パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1022]
発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約3.5パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1023]
発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約1.0パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1024]
分離が、重力デカンテーション、液体サイクロン分離、および遠心分離の少なくとも1つによって起こる、本発明1002の方法。
[本発明1025]
粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約20℃〜約95℃に加熱する段階をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1026]
粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約55℃〜約65℃に加熱する段階をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1027]
粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約5分間〜約30分間にわたって混合する段階をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1028]
乾燥が約60℃〜約130℃で起こる、本発明1003の方法。
[本発明1029]
本発明1002の方法によって製造される生成物。
[本発明1030]
本発明1003の方法によって製造される生成物。
[本発明1031]
本発明1005の方法によって製造される生成物。
[本発明1032]
天然脂肪および天然油の加工処理に由来する部分精製された廃グリセロールであって、粗製グリセロールと比較して塩および有機不純物の含有量が減少している、部分精製された廃グリセロール。
[本発明1033]
約0.05パーセント〜約8.2パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、本発明1032の部分精製された廃グリセロール。
[本発明1034]
約0.05パーセント〜約3.5パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、本発明1032の部分精製された廃グリセロール。
[本発明1035]
約0.05パーセント〜約2.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、本発明1032の部分精製された廃グリセロール。
[本発明1036]
約0.05パーセント〜約1.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、本発明1032の部分精製された廃グリセロール。
[本発明1037]
発酵グレードのグリセロールである、本発明1032の部分精製された廃グリセロール。
[本発明1038]
脱水グリセロールを生成させるために粗製グリセロールを乾燥させる段階;
脱水グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱水グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱油され脱水された(DOW)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱水グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1039]
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
をさらに含む、本発明1038の方法。
[本発明1040]
脱水グリセロールを製造するために、粗製グリセロールを乾燥させる段階;
極性溶媒と脱水グリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒を脱水グリセロールに供し、極性溶媒と脱水グリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒と脱水グリセロールの混合物を、脱水および脱塩されたグリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1041]
脱水および脱塩されたグリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱水および脱塩されたグリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱水、脱塩および脱油された(DOWS)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱水および脱塩されたグリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
をさらに含む、本発明1040の方法。
[本発明1042]
極性溶媒と粗製グリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒を粗製グリセロールに供し、極性溶媒と粗製グリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒と粗製グリセロールの混合物を、脱塩グリセロールおよび極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1043]
脱塩グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱塩グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱油され脱塩されたグリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱塩グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
をさらに含む、本発明1042の方法。
[本発明1044]
脱塩、脱油および脱水された(DOWS)グリセロールを生成させるために、前記脱油され脱塩されたグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、本発明1043の方法。
[本発明1045]
有機不純物を除去し、脱油された(DO)グリセロールを生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階;ならびに
塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを生成させるために、極性溶媒をDOWグリセロールに供する段階
を含む、粗製グリセロールを精製する方法。
[本発明1046]
粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;
脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階;
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階;
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相に分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。
[本発明1047]
DOWSグリセロールが発酵グレードのグリセロールである、本発明1046の方法。
[本発明1048]
DOWグリセロールが約0.5パーセント未満の水を含む、本発明1046の方法。
[本発明1049]
DOWグリセロールを極性溶媒に供する前に、該DOWグリセロールを部分的に蒸発させる段階をさらに含む、本発明1046の方法。
[本発明1050]
純化されたDOWSグリセロールを生成させるために、DOWSグリセロールから極性溶媒を蒸発させる段階をさらに含む、本発明1046の方法。
[本発明1051]
前記蒸発がフラッシュ蒸発を含む、本発明1051の方法。
[本発明1052]
発酵グレードのグリセロールが塩含有グリセロールである、本発明1047の方法。
[本発明1053]
有機不純物を除去し、脱油(DO)グリセロールを作り出すために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを作り出すために、DOグリセロールを乾燥させる段階;
DOWグリセロールの約75パーセントを、塩を伴わないグリセロール蒸留物として部分的に蒸発させる段階;
蒸発放出残留物(evaporation discharge bottom)の状態のDOWグリセロールの残りの部分を回収する段階
;ならびに
塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを作り出すために、極性溶媒を該蒸発放出残留物に添加する段階
を含む、粗製グリセロールを精製する方法。
[本発明1054]
極性溶媒がIPAである、本発明1053の方法。
[本発明1055]
本発明1001の方法によって製造される生成物。
簡単な概観
本開示は、塩含有性の発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールを製造するための、効率的でコスト効果の高いプロセスを提供する。産業環境において、グリセロールは、バイオディーゼル製造、ならびにバイオ燃料およびバイオ炭化水素を製造するための方法を含む他の脂肪分解プロセスの副生成物である。バイオディーゼルおよび脂肪分解プロセスに由来する粗製グリセロールは、有機不純物(すなわち、油溶性および水溶性の不純物)ならびに塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カリウム(K2SO4)などを含む塩などの無機不純物;重金属;ならびにグリセロールの源および使用するプロセスに応じたボイラー内無機化学物質を有する。原料物質または供給原料としての粗製グリセロール中にある不純物は、産業用途において、あらゆる具体的な最終生成物の成績に影響を及ぼす恐れがある。発酵用途の場合、成績には収量、生産性および力価が含まれる。したがって、本開示は、USPグリセロールの純度基準をさらに満たすことなくグリセロール中の有機不純物および無機不純物を実質的に減少させ、その結果、多くの産業用途に用いることが可能な、塩含有性の発酵グレードのグリセロールを含む部分精製された廃グリセロールが得られる、粗製グリセロールの純化プロセスを提供する。
「グリセロール」および「グリセリン(glycerin)」および「グリセリン(glycerine)」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、化学式CH2(OH)CH(OH)CH2OHに該当する分子のことを指す。グリセロールはまた、三価アルコール;プロパン-1,2,3-トリオール;1,2,3-プロパントリオール;1,2,3-トリヒドロキシプロパン;グリセリトール;グリセリン;および/またはグリシルアルコールとも称され、これらはすべて本明細書の範囲に含まれる。
グリセロールは三価アルコールの1つであり、すなわち、これは3つのアルコール基によって構成される。グリセロールの化学構造はCH2(OH)CH(OH)CH2OHである。これは透明で無臭の粘性液体であり、天然の甘味がある。グリセロールおよびグリセリンという用語はしばしば互換的に用いられるが、グリセロールはグリセリンの主な構成成分であり、例えば、グリセロールが約96パーセントであるものがグリセリンであることもある。グリセロールは沸点が高く、水およびアルコールに溶解しうるが、通常は油には溶解しない。粗製グリセロールは、脂肪および油の加工処理に由来する自然な副生成物である。例えば、これはバイオディーゼル製造プロセス(前記)のエステル交換反応に際して生成される。これに対して、USPグレードのグリセロール(USPグリセロール)は、純度の高い医薬品グレードのグリセロールと判断される。USPという略号は、米国薬局方(すなわち、1820年に最初に刊行され、医師によって標準的な参考資料として用いられている文書)のことである。今日では、USPは、ほとんどの有効成分に関する化学的記載、識別試験および純度試験を含んでいる。USPに列記されている材料はすべて、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)(FDA)要求基準の対象になると判断される。このため、USPグリセロールの場合のように製品または物質にUSPとラベル表示することは、それがFDAの要求基準に適合していることを意味する。USPグリセロールは特定の純度ガイドラインを満たす必要があるが、これはそれが医薬品、食品、パーソナルケア、化粧品、芳香剤および他の特殊用途のために用いられるためである。USPグリセロールの乾燥量基準での組成は99.7〜100パーセントの純度基準を満たさねばならず、いかなる微量の不純物もUSPの規格値を満たさなければならない。これは製品にとっては高い基準であり、製造コストに反映されることになる。USPグレードのグリセロールは主として分別蒸留(前記)によって製造される。グリセロールの別のカテゴリーは工業グレードのグリセロールであり、これはUSPグレードのグリセロールと同じ純度基準を満たす必要はないが、工業製品(例えば、塗料、コーティング剤、ゲル、接着剤など)に用いるのに適するように、粗製グリセロールよりも不純物が少なくなくてはならない。工業用グレードのグリセロールは、典型的には、その混入物の大半が除去される(すなわち、メタノールがなく、石鹸がなく、塩がない、など)ように純化される(例えば、純度約80〜約97パーセント)。その結果として、工業グレードのグリセロールは製造するのに費用がかかるが、これはUSPグレードのグリセロールと同様に、それが主として分別蒸留(前記)によって製造されるためである。
本開示は、グリセロールの新しい形態、例えば、部分精製された廃グリセロールなどを開示する。部分精製された廃グリセロールは粗製グリセロールよりも不純物が少ない新規組成を有するが、USPグリセロールまたは工業グレードのグリセロールよりも高度に純化されてはおらず、特にそれは、微量レベルの油溶性有機不純物および/または塩を含有しうる。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールは、塩をある程度含有する。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは塩を含まない。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、グリセロール製品の使用のために適合されている調整された塩濃度を含みうる。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールは、粗製グリセロールよりも不純物が少ないものの、微量レベルの油溶性有機不純物を含有する。別の態様において、部分精製された廃グリセロールは、粗製グリセロールよりも不純物が少ないものの、微量レベルの油溶性有機不純物および塩を含有する。さらに別の態様において、部分精製された廃グリセロールは粗製グリセロールよりも不純物が少ないものの、塩を含有する。1つの態様において、部分精製された廃グリセロールは0パーセント〜約8.2パーセントの塩濃度を有する。発酵グレードのグリセロールは、部分精製された廃グリセロールの一例である。1つの態様において、発酵グリセロールは、約0.05パーセント〜約2.0パーセントを含む、約0.05パーセント〜約8.2パーセント未満の塩濃度を有する。別の態様において、発酵グレードのグリセロールは、生きている生物が製造用宿主として用いられる発酵培養物中に用いるのに特に適する(例えば、米国特許第8,372,610号;第8,323,924号;第8,313,934号;第8,283,143号;第8,268,599号;第8,183,028号;第8,110,670号;第8,110,093号;および第8,097,439号を参照されたく、これらはすべて、参照により本明細書に組み入れられる)。
発酵グレードのグリセロールは、部分精製された廃グリセロールの一例であり、ここでグリセロール組成物の塩含有量は、発酵法に用いられる生物の必要性に合わせることができる。所望の化学物質(例えば、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、脂肪アルカン、脂肪アルケン、有機酸、二酸、テルペノイド、モノマー、ポリマーなど)を製造する目的で、微生物を発酵培養物における製造用宿主として用いることができる。これらの微生物または宿主細胞は、炭素源または供給原料を食物およびエネルギーの形態として用いる(例えば、グリセロールを含む炭素源が供給原料として用いられる発酵プロセスにおいて脂肪酸誘導体を産生する宿主細胞。例えば、米国特許第8,372,610号;第8,323,924号;第8,313,934号;第8,283,143号;第8,268,599号;第8,183,028号;第8,110,670号;第8,110,093号;および第8,097,439号を参照されたく、これらはすべて、参照により本明細書に組み入れられる)。
発酵手順では、毒性条件下では生存できない生きている生物を使用する。発酵環境は、培養下にある微生物の生育を支えるように調節される必要がある。グリセロールは発酵手順における供給原料として用いられるため、それは微生物の消費に適していなければならず、また、毒性のある副生成物をほとんど含まないものであるべきである。本開示は、有機抽出および塩沈殿を含むグリセロールの純化または精製のためのプロセスであって、微生物の生育を支えられるようグリセロール中の毒性不純物が減少し、その一方で微生物が生き延びるのに十分な塩は依然として残るプロセスを提供する。1つの態様において、本プロセスは、グリセロールからの油溶性有機不純物の除去を可能にする。別の態様において、本プロセスは、グリセロールからのある種の無機不純物の除去を可能にする。1つの態様において、不純物は、疎水性溶媒、例えば、アセタート(例えば、酢酸ブチル、酢酸エチル)、脂肪酸アルコールエステル(例えば、脂肪酸メチルエステル(FAME)、脂肪酸エチルエステル(FAEE)および脂肪酸イソプロピルエステル)、トリアシルグリセリド(TAG)(例えば、植物油)、アルカン(例えば、ヘキサン、イソヘキサンおよびオクタン)、アルケン(例えば、ヘキセンおよびオクテン)などを用いることによる抽出または脱油の手法を通じて除去される。その結果として、グリセロールの毒性は実質的に低下し、発酵中に起こる可能性のある混入が最小限に抑えられる。本明細書において記載されるような不純物の抽出は、低コストの動作環境で機能するハイスループットプロセスであってもよい。
本開示は、部分精製された廃グリセロールを最小限の環境コストで高収量に製造するための、新規かつ不純物の少ないプロセスを提供する。本プロセスは有機抽出および塩沈殿を必然的に伴う。この新たなプロセスの目標は、例えば、発酵を介した化学物質製造、動物飼料、環境に優しい自動車用冷却液などを含むさまざまな産業用途に用いうる、部分精製された廃グリセロールを製造することである。このプロセスの1つの利点は、部分精製された廃グリセロールがハイスループット性能で製造され、従来の分別蒸留法(前記)よりも費用がかからないことである。このプロセスの別の利点は、本プロセスがグリセロールの比較的わずかな損失下で進行し、疎水性溶媒および極性溶媒を再利用することから本プロセスによって生み出される廃棄物がより少なく、その結果環境に対する影響が軽減される。図1から5までは、部分精製された廃グリセロールの製造プロセスの流れ図を示している。1つの態様において、本プロセスは、当技術分野において公知のように混合タンク、液体-液体分離機および脱溶媒機(desolventizer)を介して実施することができる。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒、例えばトリアシルグリセリド(TAG)などの使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出、水分乾燥、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む(図2参照)。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒、例えば酢酸ブチルなどの使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出、水分乾燥、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒、例えばFAMEなどの使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出、水分乾燥、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒を蒸発させて(例えば、フラッシュ蒸発を通じて)再利用する、アルカン(例えば、ヘキサン)またはアルケン(例えば、ヘキセン)またはアセタート(例えば、酢酸ブチル、酢酸エチル)の使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出;水分乾燥、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む(図3参照)。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒(例えば、トリアシルグリセリド(TAG))の使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出、水分乾燥、任意でのグリセロール蒸発、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む(図4参照)。ここで、極性溶媒を添加する前にグリセロールを任意で蒸発させてもよい。別の態様において、本プロセスは、疎水性溶媒を蒸発させて(例えば、フラッシュ蒸発を通じて)再利用する、アルカン(例えば、ヘキサン)またはアルケン(例えば、ヘキセン)またはアセタート(例えば、酢酸エチル)または脂肪酸アルコールエステル(例えば、FAME、FAEEおよび脂肪酸イソプロピルエステル)の使用を通じての疎水性溶媒による液体-液体抽出;水分乾燥、任意でのグリセロール蒸発、極性溶媒抽出、極性溶媒蒸発、および極性溶媒の脱溶媒を含む(図5参照)。同様に、極性溶媒を添加する前にグリセロールを任意で蒸発させてもよい。図3および5に見てとれるように、疎水性溶媒蒸発により、溶媒を系に戻して再利用することが可能になり、さらに油溶性有機不純物が分離される。1つの態様において、疎水性溶媒はTAGである。別の態様において、疎水性溶媒はヘキサンである。別の態様において、極性溶媒はイソプロパノール(IPA)であり、それはこのプロセスにおいて再利用することができる。
図1から5までに示されているような本開示のさまざまな態様においては、粗製グリセロールをまず、有機不純物の除去のための脱油段階に供する。しかし、他の態様において、脱油段階を、脱水段階の後、または脱塩段階の後、または脱水および脱塩の段階の完了後に行うこともできる。脱油は、図1Aおよび1Bに示されたプロセスにおいて第1の段階、第2の段階または最終段階のいずれとして行ってもよい。
図1から5までに示されているような本開示のさまざまな態様において、脱水段階は脱油段階のすぐ後に行われる。しかし、他の態様において、脱水段階を最初の段階として行ってもよい。脱油は、図1Aおよび1Bに示されたプロセスにおいて第1の段階、第2の段階または最終段階のいずれとして行ってもよい。
図1から5までに示されているような本開示のさまざまな態様において、脱塩段階は、生成物(部分精製された廃グリセロールまたは発酵グレードのグリセロール)の製造において行われる最終的な工程作業である。しかし、他の態様において、脱水段階を最初の段階として、または最初の段階に続いて行ってもよい。脱塩は、図1Aおよび1Bに示されたプロセスにおいて第1の段階、第2の段階または最終段階のいずれとして行ってもよい。
本開示は、産業用途に使用することができる、塩含有性の部分精製された廃グリセロールを含む、部分精製された廃グリセロールを提供する。部分精製された廃グリセロールの塩含有量は、さまざまな用途に合わせて調整することができる。1つの態様において、塩含有量のない部分精製された廃グリセロールを、さまざまな産業用途に用いることができる。別の態様において、約0.05パーセント〜約8.2パーセントの範囲にある特定の塩含有量を有する部分精製された廃グリセロールを、さまざまな産業用途に用いることができる。別の態様において、約0.05パーセント〜約3.5パーセントの範囲にある特定の塩含有量を有する部分精製された廃グリセロールを、より高度の塩耐性を有する微生物宿主(例えば、海洋生物)を使用する発酵において、発酵グレードのグリセロールとして用いることができる。別の態様において、約0.05パーセント〜約2パーセントの範囲にある特定の塩含有量を有する部分精製された廃グリセロールを、塩耐性がより低い微生物宿主(例えば、大腸菌)を使用する発酵において、発酵グレードのグリセロールとして用いることができる。さらに別の態様において、約0.05パーセント〜約8.2パーセント未満の範囲にある特定の塩含有量を有する部分精製された廃グリセロールを、より高度の塩耐性を有する微生物宿主を使用する発酵において、発酵グレードのグリセロールとして用いることができる。さらに別の態様において、約0.05パーセント〜約8.2パーセント未満の範囲内にある特定の塩含有量を有する部分精製された廃グリセロールを、天然の相当物よりもより高い塩濃度に耐えうるように改変された微生物宿主(例えば、大腸菌)を使用する発酵において、発酵グレードのグリセロールとして用いることができる。
粗製グリセロール(下記の表2参照)を、トリアシルグリセリド(TAG)を溶媒として用いる油溶性不純物の液体-液体抽出を通じて脱油した。植物油(トウモロコシ油)を疎水性溶媒として試験したが、これはそれが多くのバイオディーゼル施設に豊富にあるためである。この分離は、低いグリセロール粘度(60℃で81.3cp)の下で、疎水性溶媒(トウモロコシ油では0.88g/ml)とグリセロール(1.26g/ml)との間で密度が大きく異なることに基づいた。タンク攪拌機内でトウモロコシ油を粗製グリセロール(5:95 vol/vol)と混ぜ合わせ、60℃で5分間かけて十分に混合した。その結果得られた粗製グリセロール-トウモロコシ油混合物を、バケット遠心機を用いる20gの力による40℃で5分間の遠心処理によって、油相と脱油されたグリセロール相とに分離した。このg力を選択したのは、それが液体サイクロンによって達成されうるものと同程度であるためである。約1000gの力を有する低速液体-液体遠心分離機(CINC L-L)により、同程度のまたは有効な分離を得ることができる。以下の表2に示されているように、結果として得られたDOグリセロール中の有機不純物は顕著に減少した(394ppmから192ppm)。
実施例1に示されたようにして、ヘキサンを、粗製グリセロールの脱油のための代替的な疎水性溶媒として用いることができる。ヘキサンの沸点は69℃であり、蒸発熱(ΔHv)は145btu/lbであり、熱容量(Cp)は0.53btu/lb℃である。脱油は、少量のヘキサンおよびフラッシュ蒸発装置を用いる疎水性溶媒による液体-液体抽出によって達成される。ヘキサンを粗製グリセロールと、5:95〜20:80(vol/vol)の比で周囲温度にて5〜30分間かけて十分に混合する。続いて、結果的に得られた混合物を、液体サイクロンまたは低速液体-液体遠心分離機を用いて、軽い有機相と重いグリセロール相とに分離する。抽出された有機不純物からフラッシュ蒸発によってヘキサンを回収し、再循環を行う。有機不純物を含有する蒸発器残留物は、有価物の回収および廃棄物の減少のために燃料として用いることができる。DOグリセロールは、有機不純物の減少に関して、植物油を用いて達成されるものと同程度であるか、またはより優れると予想される。
DOグリセロール(実施例1による)は水を約12%含有していた。この水を除去するために、実験室規模のガラス製蒸発器を用いて、水分乾燥プロセスを100℃および60torrで実施した。表2(前記)に示されているように、結果として得られた脱油および脱水された(DOW)グリセロールの含水量(水)は0.5%未満であった。測定はしていないが、微量レベルのメタノールおよび低沸点種も、脱水プロセスの間に水とともにグリセロールから減少したものと予想される。DOWグリセロールは依然として塩を約7.25%含有していた。
表2(前記)に示されているように、DOWグリセロールはNaClを7.25%含有していた。NaClの濃度を低下させるために、イソプロパノール(IPA)沈殿および密度分離による脱塩を実施した。混合タンク内で、IPAをDOWグリセロールと、IPA:DOWグリセロール(wt/wt)が3.2:1となるようにして60℃で30分間かけて十分に混合し、結果として得られた塩過飽和混合物を60℃で30分間かけて凝集させた。この温度(60℃)を選択したのは、それによって、IPAの沸点を下回る22.3℃という温度でほぼ完全な塩沈殿が可能となり、同時に、結果として得られた混合物が、微細結晶を含む結晶化NaClの迅速な沈降のために好都合な粘性を維持するためである。続いて固体を、バケット遠心機を20gの力で40℃で5分間用いる密度分離によって除去した。液体グリセロール-IPA混合物をデカントし、80℃および60torrでの蒸発によってIPAを除去した。表2(前記)に示されているように、結果として得られた脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールが含有していたNaCl(1.94%)は、DOWグリセロール(7.25%)よりも顕著に少なかった。表2中の試料をDOWS-2グリセロール(すなわち、塩を約2%含有するグリセロール)と称し、ここで1.94はDOWSグリセロールにおけるNaClの濃度(wt/wt)のことを指す。
DOWグリセロールの塩濃度をIPA沈殿によって低下させるための代替的な方策の1つは、実施例4に示したように、DOWグリセロール中のグリセロールの大半を蒸発させ、続いて蒸発残留物に残った塩をIPA沈殿によって除去することである。こうすることにより、沈殿における使用に必要なIPA量がより少なくなり、塩を含まないグリセロールを蒸発を通じて回収することができ、かつ、最終的に部分精製された廃グリセロールの塩含有量を、蒸発したグリセロールとIPAにより沈殿させたDOWグリセロールとの適切な配合によって調節することができる。DOWグリセロールをまず、グリセロールの75%が蒸発するまで、152.3℃の蒸気温度にて5torrで処理した。以下の表3に示されているように、蒸発したグリセロール(DOWS-0グリセロール)(すなわち、塩を約0%しか含有しないDOWSグリセロール)は顕著に純化されており、NaClを0.023%しか含有しなかった。混合タンク内で、塩過飽和グリセロール蒸発残留物をIPAと、IPA:DOWグリセロール蒸発残留物(wt/wt)が5.7:1となるようにして60℃で5分間かけて十分に混合し、結果として得られた混合物を60℃で30分間かけて凝集させた。20gの力を40℃で5分間適用することにより、固体をバケット遠心機において密度分離によって除去した。液体IPAグリセロール上清をデカントし、フラッシュ蒸発(前記)によってIPAを回収した。以下の表3(下記)に示されているように、蒸発残留物の状態の結果として得られたグリセロールはNaClを0.97%(wt/wt)含有しており、この試料をDOWS-1グリセロール(すなわち、塩を約1%含有するDOWSグリセロール)と称する。
脱油されていない脱塩された粗製グリセロールの品質を評価するために、粗製グリセロールを実施例3に示したようにIPA沈殿によって直接的に脱塩した。以下の表4に示されているように、結果として得られた脱塩された(DS)グリセロールはNaClを2%(wt/wt)含有していた(DS-2参照)。
部分精製された廃グリセロールにはさまざまな用途が存在するため、グリセロールが種々の塩濃度を有することによって恩恵が得られる可能性がある。0〜7.25%の範囲にわたるNaCl含有量を有する、さまざまなDOWSグリセロール組成物を作製した。これらの組成物は、IPA沈殿段階におけるIPAとグリセロールとの比を制御することによって調製した。IPAをDOWグリセロールとさまざまな比で十分に混合し、試料を実施例3(前記)に記載したようにして加工処理した。図6に示されているように、比が低いほど高い塩濃度がもたらされ、比が高いほど低い塩濃度がもたらされる。
部分精製された廃グリセロールの種々の用途は、グリセロール中の塩濃度がさまざまであることによって恩恵を受ける可能性があるため、0〜1%の範囲にわたるNaClを含有するDOWSグリセロール組成物を、蒸発したグリセロール(DOWS-0)とDOWS-1とを配合することによって調製した。表5(下記)に示されているように、この方法を用いてさまざまな試料を調製した。
本実施例では、粗製グリセロールに対する耐性が十分でない生物を用いる発酵における唯一の炭素源としての、粗製グリセロール、DOグリセロール、DS-2グリセロール(塩が2%となるまで脱塩)、DOWS-2グリセロール(塩を約2%含有する)およびUSPグリセロールの使用について、比較した。代表的な一例として選んだ発酵は、操作された大腸菌生体触媒を用いて脂肪酸メチルエステル(FAME)を製造するものとした。各試料を上記の通りに調製し、各グリセロール試料の規格値および発酵においてそれらが炭素源としてどのような成績であったかは表4(前記)に示されている。これらのデータは、本明細書に記載の方法を用いた粗製グリセロールの部分精製により、効率的な発酵を支えるその能力が顕著に改善したことを実証している。特に、粗製グリセロールと比較して有機不純物および塩不純物がいずれも減少することにより、発酵成績が向上する。
本実施例では、DOWSグリセロール組成物が特別に調整された塩含有量を有し、油溶性有機不純物が減少している場合の発酵における、塩が調整されたDOWSグリセロールの実用可能性について調べる。粗製グリセロールから、DOWS 0グリセロール、DOWS 0.1グリセロール、DOWS 0.5グリセロール、およびDOWS-1グリセロールを、上記および実施例8に記載され、かつ表5に示されている通りに作製した。
供給原料における不純物は、発酵ブロスからの生成物の回収の効率に影響を及ぼす恐れがある。発酵ブロスからのFAME回収に対する、塩濃度が調整された種々のDOWSの影響を評価するために、実施例10に記載された各発酵物から油を回収した。表3(前記)に記載された発酵物のそれぞれからのブロスを、バケット遠心機を5000gの力で40℃にて15分間用いて重力により分離し、各試料からのFAMEを含有する軽い油相をデカンテーションによって回収した。ブロスからのFAME回収の効率は、遠心処理前のブロス中の総FAMEに対する回収されたFAMEのパーセントとして報告した。表3 (前記)に示されているように、DOWS-1の発酵ブロスからの回収の効率が最も高く、塩を有するものがそれに続いた。USPおよびDOWS-0からの回収の効率は最も低かった。このデータは、部分精製された廃グリセロール中に残存する不純物のレベルを調整することによって発酵および生成物の回収プロセスに恩恵が与えられること、ならびにDOWS-1が優れた発酵供給原料であることを示唆するものである。
Claims (55)
- 有機不純物を抽出するために疎水性溶媒を用いて脱油する段階;
高温で乾燥させることによって脱水する段階;および
塩を沈殿させるための極性溶媒を用いて脱塩する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。 - 粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。 - 脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
- 極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
をさらに含む、請求項3記載の方法。 - 純化されたDOWSグリセロールを生成させるために、前記軽い相から極性溶媒を除去する段階をさらに含む、請求項4記載の方法。
- DOWグリセロールを極性溶媒に供する前に、該DOWグリセロールを部分的に蒸発させる段階をさらに含む、請求項4記載の方法。
- 極性溶媒とDOグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOグリセロールに供し、極性溶媒とDOグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOグリセロールの混合物を、脱油および脱塩されたグリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
をさらに含む、請求項2記載の方法。 - 脱油、脱塩および脱水された(DOWS)グリセロールを生成させるために、前記脱油および脱塩されたグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、請求項7記載の方法。
- DOWSグリセロールが発酵グレードグリセロールである、請求項5記載の方法。
- 疎水性溶媒が、トリアシルグリセリド、アルカン、アルケン、アセタート、および脂肪酸アルコールエステルからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
- トリアシルグリセリドが植物油である、請求項10記載の方法。
- アセタートが酢酸ブチルである、請求項10記載の方法。
- アルカンがヘキサンである、請求項10記載の方法。
- 有機不純物が油溶性である、請求項2記載の方法。
- DOグリセロールが約195ppm未満の油溶性有機不純物を含む、請求項2記載の方法。
- DOWグリセロールが約0.5パーセント未満の水を含む、請求項3記載の方法。
- 極性溶媒がアルコールである、請求項4記載の方法。
- アルコールがイソプロパノールまたはブタノールである、請求項17記載の方法。
- 極性溶媒を除去する段階がフラッシュ蒸発によって行われる、請求項5記載の方法。
- 発酵グレードのグリセロールが塩含有グリセロールである、請求項9記載の方法。
- 発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約8.2パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、請求項20記載の方法。
- 発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約3.5パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、請求項20記載の方法。
- 発酵グレードのグリセロールの塩含有量を、約0.05〜約1.0パーセントの塩に調整する段階をさらに含む、請求項20記載の方法。
- 分離が、重力デカンテーション、液体サイクロン分離、および遠心分離の少なくとも1つによって起こる、請求項2記載の方法。
- 粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約20℃〜約95℃に加熱する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
- 粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約55℃〜約65℃に加熱する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
- 粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を約5分間〜約30分間にわたって混合する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
- 乾燥が約60℃〜約130℃で起こる、請求項3記載の方法。
- 請求項2記載の方法によって製造される生成物。
- 請求項3記載の方法によって製造される生成物。
- 請求項5記載の方法によって製造される生成物。
- 天然脂肪および天然油の加工処理に由来する部分精製された廃グリセロールであって、粗製グリセロールと比較して塩および有機不純物の含有量が減少している、部分精製された廃グリセロール。
- 約0.05パーセント〜約8.2パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、請求項32記載の部分精製された廃グリセロール。
- 約0.05パーセント〜約3.5パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、請求項32記載の部分精製された廃グリセロール。
- 約0.05パーセント〜約2.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、請求項32記載の部分精製された廃グリセロール。
- 約0.05パーセント〜約1.0パーセントの塩化ナトリウム含有量を有する、請求項32記載の部分精製された廃グリセロール。
- 発酵グレードのグリセロールである、請求項32記載の部分精製された廃グリセロール。
- 脱水グリセロールを生成させるために粗製グリセロールを乾燥させる段階;
脱水グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱水グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱油され脱水された(DOW)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱水グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。 - 極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
をさらに含む、請求項38記載の方法。 - 脱水グリセロールを製造するために、粗製グリセロールを乾燥させる段階;
極性溶媒と脱水グリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒を脱水グリセロールに供し、極性溶媒と脱水グリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒と脱水グリセロールの混合物を、脱水および脱塩されたグリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。 - 脱水および脱塩されたグリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱水および脱塩されたグリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱水、脱塩および脱油された(DOWS)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱水および脱塩されたグリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
をさらに含む、請求項40記載の方法。 - 極性溶媒と粗製グリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒を粗製グリセロールに供し、極性溶媒と粗製グリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒と粗製グリセロールの混合物を、脱塩グリセロールおよび極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相とに分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。 - 脱塩グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、脱塩グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;ならびに
脱油され脱塩されたグリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、脱塩グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階
をさらに含む、請求項42記載の方法。 - 脱塩、脱油および脱水された(DOWS)グリセロールを生成させるために、前記脱油され脱塩されたグリセロールを乾燥させる段階をさらに含む、請求項43記載の方法。
- 有機不純物を除去し、脱油された(DO)グリセロールを生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階;ならびに
塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを生成させるために、極性溶媒をDOWグリセロールに供する段階
を含む、粗製グリセロールを精製する方法。 - 粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を生成させるために、粗製グリセロールを疎水性溶媒に供する段階;
脱油された(DO)グリセロールと、疎水性溶媒および有機不純物を含有する相とを生成させるために、粗製グリセロールと疎水性溶媒の混合物を分離する段階;
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを生成させるために、DOグリセロールを乾燥させる段階;
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を生成させるために極性溶媒をDOWグリセロールに供し、極性溶媒とDOWグリセロールの混合物から塩を沈殿させる段階;ならびに
極性溶媒とDOWグリセロールの混合物を、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールならびに極性溶媒を含有する軽い相と、塩を含有する重い相に分離する段階
を含む、有機不純物を含有する粗製グリセロールを精製することによって、部分精製された廃グリセロールを製造する方法。 - DOWSグリセロールが発酵グレードのグリセロールである、請求項46記載の方法。
- DOWグリセロールが約0.5パーセント未満の水を含む、請求項46記載の方法。
- DOWグリセロールを極性溶媒に供する前に、該DOWグリセロールを部分的に蒸発させる段階をさらに含む、請求項46記載の方法。
- 純化されたDOWSグリセロールを生成させるために、DOWSグリセロールから極性溶媒を蒸発させる段階をさらに含む、請求項46記載の方法。
- 前記蒸発がフラッシュ蒸発を含む、請求項51記載の方法。
- 発酵グレードのグリセロールが塩含有グリセロールである、請求項47記載の方法。
- 有機不純物を除去し、脱油(DO)グリセロールを作り出すために、粗製グリセロールを疎水性溶媒と混ぜ合わせる段階;
脱油および脱水された(DOW)グリセロールを作り出すために、DOグリセロールを乾燥させる段階;
DOWグリセロールの約75パーセントを、塩を伴わないグリセロール蒸留物として部分的に蒸発させる段階;
蒸発放出残留物(evaporation discharge bottom)の状態のDOWグリセロールの残りの部分を回収する段階
;ならびに
塩を沈殿させ、脱油、脱水および脱塩された(DOWS)グリセロールを作り出すために、極性溶媒を該蒸発放出残留物に添加する段階
を含む、粗製グリセロールを精製する方法。 - 極性溶媒がIPAである、請求項53記載の方法。
- 請求項1記載の方法によって製造される生成物。
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