JP2019150768A - ガス分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】除湿の程度を緩和すると同時に、PSAとしての性能を維持することを両立するガス分離方法を提案する。【解決手段】水分を含み、かつ少なくとも2種類以上のガス成分からなる混合ガスを吸着剤が充填された吸着塔に導入して、混合ガスに含まれる所定のガス成分を吸着剤に吸着させる所定ガス吸着工程と、吸着塔内の圧力を所定ガス吸着工程に比べて低減させることで吸着剤に吸着した所定のガス成分を脱着させる所定ガス脱着工程とを含む複数の工程から構成されるとともに、吸着剤が、水分に対する所定の温度での吸脱着等温線の測定において気相の水分分圧を増加させて測られる水分吸着等温線と、気相の水分分圧を低減させて測られる水分脱着等温線との間にヒステリシスを有する吸着剤である、混合ガス分離方法において、混合ガス中の水分量を、水分脱着等温線において水分分圧がゼロまで低減させたときの水分吸着量Wに相当する、水分吸着等温線における水分分圧以下となるように制御する。【選択図】図8

Description

本発明は、ガス分離方法に関する。
製鉄所においては、コークス炉、高炉、転炉等の設備から副生ガスと呼ばれるガスが発生する。この副生ガスには、水素(以下、「H2」とも言う。)、一酸化炭素(以下、「CO」とも言う。)、メタン(以下、「CH4」とも言う。)といった燃料として利用可能な成分のほかに、窒素(以下、「N2」とも言う。)、二酸化炭素(以下、「CO2」とも言う。)が含有されている。特に、高炉炉頂から排出される高炉ガスは、体積では製鉄所から排出される副生ガスの8割を占めるとともに、製鉄所から排出されるCO2の約4割がここに含まれている。
最近のCO2排出削減の要請から、CO2を分離回収する技術の開発が多方面で行われており、化学吸収法を筆頭として様々な手法が提案されている。その中でも圧力スイング吸着法(以下、「PSA法」とも言う。)は、分離回収に要する動力が比較的小さいこと、化学反応を利用した方法と異なり常温での運転が可能な場合が多いこと、時間当たりで数千Nm3程度の比較的大規模なガス処理も可能であることから、有用な技術の一つである(例えば、特許文献1参照)。
PSA法は、活性炭やゼオライトといった、上記のガス成分に対してそれぞれ異なる吸着性能を有する材料(吸着剤)を充填した吸着塔に、原料ガスを導入することにより、吸着剤に比較的吸着しやすいガス成分(通常複数のガス種である)と、比較的吸着しづらいガス成分(これも通常複数のガス種である)とを分離する方法である。通常は、原料ガスの導入を所定時間行うことによって、原料ガス中の吸着しやすいガス成分を吸着剤に吸着させ(以下、「吸着工程」と言う。)、その後に、上記のガス導入時よりも吸着塔内を減圧することによって吸着したガス成分を脱着させて回収するとともに、吸着剤のガス吸着性能の再生を行うこと(以下、「脱着工程」と言う。)により、ガスの分離操作を繰り返すことが可能となる。
ここで、分離したい原料ガスに含まれるガス成分の吸着剤への吸着性能にあまり差がない場合、例えば同じガス分圧での吸着量が数十倍程度の差しかない場合には、分離されたガスも、先述のように複数種のガス成分を含む混合ガスであることが多い。このため、高炉ガスを活性炭やゼオライトを吸着剤として用いてガス成分毎に分離させると、CO2を主成分として、COやN2も多少含んだガスと、それ以外のガスに分離される。
そのため、吸着工程と脱着工程の間に、脱着工程で得られたCO2ガス濃度の高いガスの一部を吸着塔に導入して、吸着剤に吸着したCOやN2を脱着させることによって、これらの成分を減少させる工程(以下、「洗浄工程」と言う。)を行うこともある。
特許第5069087号公報
ところで、高炉炉頂から排出された状態の高炉ガスは、ダスト等を含んでいるため、高炉ガスに対して湿式除塵を行ってダスト等を除去している。そのため、除塵された高炉ガスは多量の水分を含んでおり、その湿度はほぼ100%(露点=ガスの温度)である。
しかし、吸着剤として、CO2に対して高い吸着能力を有するゼオライトを使用する場合、ゼオライトは水分によりCO2を吸着する能力が低下することが多い。そのため、従来のガス分離方法においては、吸着塔に高炉ガスを導入するに先立って、高度の除湿(例えば、露点:−60℃)を行っている。
上記高炉ガスの除湿に要する動力は、ガス分離全体に要する動力の比較的大きな割合を占めており、その削減が課題となっている。上述のように、原料ガスの高度な除湿は、ゼオライトが水分を含むことによりCO2を吸着する能力が低下するのを防止するためである。一方、動力削減のために除湿の程度を低下させ、これによってゼオライトがCO2を吸着する能力が低下して、脱着ガスのCO2濃度や量(回収量)、必要動力といったPSAとしての性能が低下するのは好ましくない。
そこで本発明の目的は、除湿の程度を緩和すると同時に、PSAとしての性能を維持することを両立するガス分離方法を提案することにある。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は以下の通りである。すなわち、
(1)水分を含み、かつ、少なくとも2種類以上のガス成分からなる混合ガスを吸着剤が充填された吸着塔に導入して、混合ガスに含まれる所定のガス成分を前記吸着剤に吸着させる所定ガス吸着工程と、吸着塔内の圧力を前記所定ガス吸着工程に比べて低減させることで前記吸着剤に吸着した所定のガス成分を脱着させる所定ガス脱着工程とを含む複数の工程から構成されるとともに、前記吸着剤が、水分に対する所定の温度での吸脱着等温線の測定において気相の水分分圧を増加させて測られる水分吸着等温線と、気相の水分分圧を低減させて測られる水分脱着等温線との間にヒステリシスを有する吸着剤である、混合ガス分離方法において、
前記混合ガス中の水分量を、前記水分脱着等温線において水分分圧がゼロまで低減させたときの水分吸着量に相当する、前記水分吸着等温線における水分分圧以下となるように制御することを特徴とする、混合ガスの分離方法。
(2)前記所定ガス脱着工程における前記吸着塔内の到達圧力の下限値を5kPaとする、前記(1)に記載のガス分離方法。
(3)前記吸着剤はゼオライトである、前記(1)または(2)に記載のガス分離方法。
(4)前記所定ガス吸着工程において、水分の分圧が0.06kPa以上0.16kPa以下である原料ガスを前記吸着塔に導入する、前記(3)に記載のガス分離方法。
(5)前記所定ガス吸着工程において、水分の分圧が0.06kPa以上0.15kPa以下である原料ガスを前記吸着塔に導入する、前記(4)に記載のガス分離方法。
本発明によれば、水分を含む原料ガスを、水分によって影響を受ける吸着剤を用いて分離する方法において、所定ガスの分離に対する効率を下げることなく、原料ガス水分の除湿動力を削減することができる。
吸着塔内のガスの圧力と吸着剤へのガス成分の吸着量との関係を示す図である。 吸着塔内のガスの圧力と吸着剤へのガス成分の吸着量との関係を示す図である。 吸着剤への水分吸着量と吸着剤へのCO2の吸着量との関係を示す図である。 吸着剤への水分吸着量と吸着剤へのN2の吸着量との関係を示す図である。 吸着工程におけるガスの圧力を101kPa、脱着工程におけるガスの圧力を0kPaとした場合の、吸着剤への水分吸着量とCO2およびN2の有効吸着量との関係を示す図である。 吸着工程におけるガスの圧力を101kPa、脱着工程におけるガスの圧力を5kPaとした場合の、吸着剤への水分吸着量とCO2およびN2の有効吸着量との関係を示す図である。 吸着剤への水分吸着量と脱着ガスのCO2濃度および脱着ガスでのCO2の回収率を示す図である。 水分の分圧と吸着剤への水分吸着量との関係を示す図である。 実施例に用いたガス分離試験装置を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本発明によるガス分離方法は、水分を含み、かつ、少なくとも2種類以上のガス成分からなる混合ガスを吸着剤が充填された吸着塔に導入して、混合ガスに含まれる所定のガス成分を吸着剤に吸着させる所定ガス吸着工程と、吸着塔内の圧力を上記所定ガス吸着工程に比べて低減させることで吸着剤に吸着した所定のガス成分を脱着させる所定ガス脱着工程とを含む複数の工程から構成されるとともに、上記吸着剤が、水分に対する所定の温度での吸脱着等温線の測定において気相の水分分圧を増加させて測られる水分吸着等温線と、気相の水分分圧を低減させて測られる水分脱着等温線との間にヒステリシスを有する吸着剤である、混合ガス分離方法である。ここで、上記混合ガス中の水分量を、水分脱着等温線において水分分圧がゼロまで低減させたときの水分吸着量に相当する、水分吸着等温線における水分分圧以下となるように制御することを特徴とする。
本発明者らは、ガス分離に要する動力を削減する方途について検討する中で、吸着剤に吸着する水分量がガス分離に与える影響について詳細に調査した。その結果、従来、水分に弱いと考えられていた吸着剤(例えば、ゼオライト)であっても、吸着する水分量を適切に管理することにより、水分の含む原料ガスの除湿の程度を抑えるとともに、ガス分離性能を維持できることを発見した。以下、この発見に至った知見について説明する。
まず、図1はCO2とN2の各々単成分のガスの圧力と吸着剤(ゼオライト)へのガス成分の吸着量との関係を示している。なお、吸着剤へのガス成分の吸着量は、吸着剤1gに対する値である。この図に示すように、吸着剤へのCO2の吸着量は、0kPaからの圧力の増加とともに急激に増大し、ある程度吸着すると、それ以上に圧力が増加してもCO2の吸着量はあまり増加しない。こうしたことから、ゼオライトには、CO2が吸着しやすいサイト(以下、「強吸着サイト」とも言う。)と、吸着しにくいサイト(以下、「弱吸着サイト」とも言う。)が存在すると考えられる。
これに対して、吸着剤へのN2の吸着量は圧力にほぼ比例して増加し(図4も参照)、またCO2に比べて極めて小さい。例えば、ガスの圧力が100kPaの場合には、吸着剤へのCO2の吸着量は5.5mmolであるのに対して、N2の吸着量は0.4mmolである。その結果、吸着工程において、例えば吸着工程における吸着塔内の圧力を101kPaまで昇圧してCO2およびN2を吸着剤に吸着させ、脱着工程において、吸着塔内の圧力を0kPaまで減圧してCO2およびN2を吸着剤から脱着させると、脱着ガスのCO2濃度は、単成分の吸着等温線からの単純計算では5.5/(5.5+0.4)=93.2%と想定される。
ところで、脱着工程において、先述のように吸着塔内の圧力を0kPa近くにまで減圧するためには、極めて多くの動力や時間を要する。そのため、実際のガス分離においては、数kPa(例えば、5kPa)までの減圧に留める場合が多い。例えば、吸着工程において101kPaの圧力でCO2およびN2を吸着剤に吸着させ、脱着工程において吸着塔内を5kPaまで減圧してCO2ガスおよびN2ガスを脱着させる場合には、吸着剤への吸着量は、図2に示すように、CO2ガスは2.6mmol、N2ガスは0.4mmolとなる。このような、実際の分離工程で使用される、吸着工程におけるガスの圧力での吸着量と減圧工程におけるガスの圧力での吸着量の差は、「有効吸着量」と呼ばれる。上述の場合、排気された脱着ガスのCO2濃度は、2.6/(2.6+0.4)=86.7%となる。
ところで、先述したように原料ガスに水分が含まれるとともに、使用される吸着剤がゼオライトのような、いわゆる「水分に弱い」とされる吸着剤を使う場合には、原料ガスを除湿しなくてはならず、その除湿の程度を決めるには吸着剤への水分の影響を確認する必要がある。
図3および図4は、水分を吸着させたゼオライトの、CO2およびN2の分圧と吸着量との関係を示している。なお、吸着剤への水分吸着は、乾燥した吸着剤を吸着塔に導入し、吸着塔内に水蒸気を含むガスを導入することで行い、水分吸着前後の重量増の乾燥吸着剤の重量比を水分吸着量とした。
図3および図4から明らかなように、吸着水分量が増加すると、CO2およびN2吸着量は減少する。図5は、吸着工程におけるガスの圧力を101kPa、脱着工程におけるガスの圧力を0kPa(以下、「圧力スイングの圧力範囲が0〜101kPa」とも表記する。)とした場合の、吸着剤への水分吸着量とCO2およびN2の有効吸着量との関係を示している。この図から明らかなように、CO2およびN2のいずれの場合についても、有効吸着量は吸着剤への水分吸着量とともに減少する。
しかしながら、本発明者らが図3に示されたCO2の吸着量を詳細に検討した結果、脱着工程において吸着塔内の圧力を0kPaまで減圧せず、上述のように、例えば5kPaまでの減圧に留める場合には、CO2の有効吸着量は、水分吸着量が増加してもさほど変わらないことが判明した。吸着工程におけるガスの圧力を101kPa、脱着工程におけるガスの圧力を5kPa(以下、「圧力スイングの圧力範囲が5〜101kPa」とも表記する。)とした場合には、図6に示すように、CO2の有効吸着量は水分吸着量が増加しても変化せず、ほぼ一定であるのに対して、N2の有効吸着量は、水分吸着量が多いほど少なくなる。
そこで、本発明者らは水分を吸着させた吸着剤を使用してPSA運転を行い、製鉄所における高炉ガスを模した混合ガスからのガス分離試験を行った。試験の詳細条件は後述する。
図7は、吸着剤への水分吸着量と脱着ガスのCO2濃度および脱着ガスでのCO2の回収率を示している。なお、吸着剤としてはゼオライトを使用しており、圧力スイングの圧力範囲は5〜101kPaである。この図に示すように、吸着剤への水分吸着量が0g/g−吸着剤超え0.14g/g−吸着剤までの場合には、吸着剤が水分を含まない場合に比べて、脱着ガスのCO2濃度が高いことが分かる。また、吸着剤への水分吸着量が0.3g/g−吸着剤以上0.14g/g−吸着剤までの場合には、脱着ガスのCO2濃度が91%を超えるばかりでなく、吸着剤が水分を含まない場合に比べてCO2の回収率も向上することが分かる。
このように、従来は、ゼオライトに含まれる水分によってCO2の吸着量が低減するため、ゼオライトに含まれる水分は少ないほどよいと考えられており、原料ガスを高度に除湿していた。しかし、本発明者らの詳細な検討の結果、脱着工程において、吸着塔内の圧力を0kPaまで減圧せず、例えば5kPaまでの減圧に留める場合には、CO2の有効吸着量は、水分吸着量が増加しても変化せず、ほぼ一定となること、N2の有効吸着量は、水分吸着量の増加とともに減少することが判明した。その結果、水分を含む原料ガスを分離する際に、原料ガスの除湿の程度を適切な範囲で管理することによって、除湿を緩和すると同時に、CO2濃度やCO2の回収率といった分離性能を維持することが可能であると判明したのである。
こうした吸着剤への水分吸着量を適正範囲に管理することにより、CO2濃度が向上する機構については、必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、図8は、気相の水分分圧と吸着剤への水分吸着量との関係(吸脱着曲線)を示している。なお、測定温度は25℃であり、吸着剤としてはゼオライトを用いた。
図8における水分吸着段階(実線)での水分吸着量を見ると、CO2と同様に、水分の圧力の低い領域で吸着量が急増し、水分がある程度吸着すると、圧力を上げても吸着量はあまり増加しないことが分かる。一方、水分脱着段階(点線)での水分吸着量を見ると、水分分圧の高い領域では圧力を下げても吸着量はあまり減少しないが、圧力が0kPaに近くなると急激に減少することが分かる。しかし、圧力が0kPa近くまで減圧しても、全ての水分が完全に脱着しきらず、吸着剤に残ることが分かる。
本発明者らは、上記水分脱着段階において吸着剤に残った水分こそが、吸着剤の強吸着サイトに吸着した水分ではないかと考えた。この水分はサイトに強く吸着するため、図5における低圧領域でのCO2吸着を阻害する。一方で、ガス分離操作において圧力スイングの範囲が5〜101kPaの場合にはCO2の吸脱着に使用されるサイトは、前述のようにどちらかと言えば弱吸着サイトと考えられる。すなわち、水分の吸着が強吸着サイトに留まっていれば、5〜101kPaでのCO2の吸脱着に対する影響は少なく、有効吸着量も変化しない結果となったと考えられる。
図8に示した吸脱着等温線においては、水分脱着等温線における0Pa(吸脱着測定装置で使用される真空ポンプの平均的な到達減圧)での水分吸着量Wは、吸着剤1gに対して0.14gであり、これに対応する、水分吸着等温線の水分分圧Pは0.18kPaである。よって、吸着剤がゼオライトの場合には、吸着工程において、原料ガスに含まれる水分の分圧を0.18kPa以下とすることによって、5〜101kPaでのCO2の吸脱着に対する影響は小さくすることができる。
以上、ゼオライトを吸着剤として用いたCO2の分離を例として説明したが、本発明はこれに限定されず、水分の吸着に対して、図8に示したヒステリシスを示すような吸着剤を用いたガス分離についても拡張できることは明らかである。よって、吸着剤はゼオライトに限定されず、例えば、アルミナ、シリカゲル、活性炭等を用いることができる。原料ガスを高炉ガスのような製鉄所副生ガスとした場合には、吸着剤にはCO2と他のガスとの吸着量の差が比較的大きいゼオライトを用いることが好ましい。
高炉ガスを原料混合ガスとし、吸着剤にゼオライト(例:Na−13X型ゼオライト)を用いた場合、原料混合ガスを、吸着剤を充填した吸着塔に流通させる前に除湿を行い、ガスに含まれる水分の分圧を0.01kPa(露点−45℃相当)から0.6kPa(露点0℃相当)の範囲内とするのが好ましい。また、除湿方法は特に指定するものではないが、冷却水等によるガス冷却による凝縮と水分を吸着する剤による吸着による方法の組合せが好適である。分圧が0.01kPaとする場合には除湿に必要な動力が大きくなる他、より除湿能力の高い除湿装置が必要になる。また、分圧が0.6kPa以上では、吸着剤に水分の吸着した影響が大きくなり、目的とするCO2の吸着を阻害してしまう。
除湿した原料混合ガスは吸着剤を充填した吸着塔に流通させ、CO2等の成分を吸着させる。この場合の、吸着塔内の圧力は101kPa〜200kPaが好ましい、圧力が101kPaより低い場合には吸着剤へのCO2吸着が減少し効率が低下する。一方、200kPaを超えて圧力を挙げても必要な動力が増える割にはCO2の吸着量はあまり増えない。
吸着剤に吸着したCO2を脱着させるには、真空ポンプ等の排気手段を使用して吸着塔内の圧力を減圧する。減圧の到達圧力は5kPaから20kPaの範囲が好ましい。到達圧力を5kPaより低くすると動力がより多く必要になる。一方で20kPaに達しない場合にはCO2の脱着量が少なくなり、効率的でない。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に何ら限定されない。
(発明例1〜5)
図9に示したガス分離試験装置を用い、高炉ガスを模した模擬高炉ガスからCO2ガスを分離して回収する試験を行った。具体的には、まず、ガス分離試験装置の吸着塔160に、吸着剤(NaX型ゼオライト、東ソー(株)製、商品名:ゼオラム)を100g充填した。次いで、窒素ガスボンベ114からのガスを2つに分岐し、一方のガスを温度制御されたウォーターバス130の温浴中に置かれた洗浄ビン140中のイオン交換水(図示せず)中でバブリングさせ、湿分を付加させた。この湿分を付加した窒素ガスと、バブリングさせていない乾燥窒素ガスとを混合して、流量調整計124および125により加湿窒素ガスの水分を調整して吸着塔160に流通させ、吸着剤に水分を吸着させた。吸着剤への水分吸着量は、吸着剤1g当たり、0.03g(発明例1)、0.06g(発明例2)、0.09g(発明例3)、0.12g(発明例4)、0.14g(発明例5)とした。
続いて、水素ガスボンベ111、一酸化炭素ガスボンベ112、炭酸ガスボンベおよび窒素ガスボンベ114に接続された流量調節計121〜124により、高炉ガスを模した模擬高炉ガスを調製した。この模擬高炉ガスの組成は、水分を除いて、CO2:22体積%、CO:23体積%、N2:52体積%、H2:3体積%とした。模擬高炉ガスは、自動弁151、152を通して吸着塔10に充填された吸着剤に通気した。その際、模擬高炉ガスの流量は8NL/分、背圧弁170の設定は150kPaとし、吸着剤に吸着されなかったガス(オフガス)は、自動弁154、背圧弁170を通って、ガス捕集・分析装置(図示せず)に送られた。
模擬高炉ガスを100秒間通気後、自動弁152、154を一旦閉じ、自動弁152を通して、真空ポンプ180によって、吸着塔160内を減圧時間100秒で減圧し、吸着剤に吸着したガスを脱着させた。その際、減圧時の吸着塔内の到達圧力は6kPaとした。脱着ガスは、吸着塔160から排気され、ガス捕集・分析装置(図示せず)に送られた。
上記加湿ガス通気と真空ポンプによる減圧を一定時間毎に繰り返し、脱着ガスのCO2濃度および脱着ガスでのCO2の回収率を分析した。得られた結果を表1に示す。また、分析された脱着ガスのCO2濃度および脱着ガスでのCO2の回収率を図示すると、図7に示した通りである。
Figure 2019150768
(比較例1および2)
発明例1と同様に、図9に示したガス分離試験装置を用い、高炉ガスを模した模擬ガスからCO2ガスを分離して回収した。ただし、吸着剤への水分吸着量を、水分を吸着させない場合(比較例1)、および、水分吸着量を、吸着剤1g当たり0.15g(比較例2)とした。その他の条件は発明例1と全て同じである。脱着ガスのCO2濃度および脱着ガスでのCO2の回収率を分析した。得られた結果を表1に示す。また、分析された脱着ガスのCO2濃度および脱着ガスでのCO2の回収率を図示すると、図7に示した通りである。
<脱着ガスのCO2濃度およびCO2回収率の評価>
表1および図7から明らかなように、発明例1〜5の全てについて、脱着ガスのCO2濃度は比較例よりも高かった。また、発明例1〜4については、脱着ガスでのCO2の回収率についても比較例1および2よりも高かった。この結果から、吸着剤の水分吸着量が吸着剤1g当たり0.14g(水分分圧で0.18kPa=露点で−15℃)を超えないように原料混合ガスの水分を制御すればCO2の分離性能としては問題ないことが分かった。
本発明によれば、原料ガスから特定のガス成分を分離して回収する際に、動力を削減することができるため、製鉄業において有用である。
111 水素ガスボンベ
112 一酸化炭素ガスボンベ
113 炭酸ガスボンベ
114 窒素ガスボンベ
121〜125 流量調節計
130 ウォーターバス
140 洗浄ビン
151〜154 自動弁
160 吸着塔
170 背圧弁
180 真空ポンプ

Claims (5)

  1. 水分を含み、かつ、少なくとも2種類以上のガス成分からなる混合ガスを吸着剤が充填された吸着塔に導入して、混合ガスに含まれる所定のガス成分を前記吸着剤に吸着させる所定ガス吸着工程と、吸着塔内の圧力を前記所定ガス吸着工程に比べて低減させることで前記吸着剤に吸着した所定のガス成分を脱着させる所定ガス脱着工程とを含む複数の工程から構成されるとともに、前記吸着剤が、水分に対する所定の温度での吸脱着等温線の測定において気相の水分分圧を増加させて測られる水分吸着等温線と、気相の水分分圧を低減させて測られる水分脱着等温線との間にヒステリシスを有する吸着剤である、混合ガス分離方法において、
    前記混合ガス中の水分量を、前記水分脱着等温線において水分分圧がゼロまで低減させたときの水分吸着量に相当する、前記水分吸着等温線における水分分圧以下となるように制御することを特徴とする、混合ガスの分離方法。
  2. 前記所定ガス脱着工程における前記吸着塔内の到達圧力の下限値を5kPaとする、請求項1に記載のガス分離方法。
  3. 前記吸着剤はゼオライトである、請求項1または2に記載のガス分離方法。
  4. 前記吸着工程において、水分の分圧を0.06kPa以上0.16kPa以下である原料ガスを前記吸着塔に導入する、請求項3に記載のガス分離方法。
  5. 前記吸着工程において、水分の分圧が0.06kPa以上0.15kPa以下である原料ガスを前記吸着塔に導入する、請求項4に記載のガス分離方法。
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