JP2019148340A - バルブ、流体デバイス、流体制御方法及びバルブの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性に優れたバルブ、流体デバイス、流体制御方法及びバルブの製造方法を提供する。【解決手段】外筒部と内筒部とを有する筒状構造体と、内筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と、薄膜部の周縁を一周し、外筒部の内壁及び内筒部の外壁に沿って密着したアンカー部と、を有するダイアフラム部材と、を備えたバルブ。【選択図】図4A

Description

本発明は、バルブ、流体デバイス、流体制御方法及びバルブの製造方法に関する。
本願は、2014年7月7日に日本に出願された特願2014−140066号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、積層基板を構成する第一基板と第二基板との接合面に形成された流路における流体の流れを制御するバルブとして、第一基板と第二基板の界面に樹脂シートを挟んだ3層構造を備えたバルブが知られている(非特許文献1)。
従来の3層構造を有するバルブの断面を図1に示す。第一基板110の上面全体に樹脂シート111が積層され、更に第二基板112が積層されている。第二基板112の下面に溝が掘られており、その溝を覆うように第二基板112の下面に樹脂シート111が接合し、流路114が形成されている。図の右向きの矢印は紙面右方向に流路が延設されていること、及び流体が紙面右方向に流れることを表す。また、第一基板110には貫通孔113が設けられている。ここで、この貫通孔の内部から樹脂シート111に空気を送り込んで圧力をかけると、樹脂シート111が上方へ膨らみ、流路114を塞いで流体の流れを妨げる(図2参照)。また、空気圧を停止すると、樹脂シートは自身の弾性により、元の平坦な形状に戻る。このような圧力制御によって、樹脂シート111をバルブのダイアフラム部材として機能させている。
Zhang W. et al., PMMA/PDMS valves and pumps for disposable microfluidics, Lab Chip, 9, 3088-3094, 2009
しかしながら、例えば、上記3層構造のバルブを繰り返して動作させると、樹脂シート111が貫通孔113を中心として第一基板110の上面から徐々に剥離し、バルブのレスポンスが悪化する問題がある。この状態でさらに使用を継続すると、第一基板110と第二基板112との接合強度が弱まり、両基板を剥離させてしまう問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れたバルブ、流体デバイス、流体制御方法及びバルブの製造方法の提供を課題とする。
本発明の一実施態様は、下記[1]〜[8]を提供するものである。
[1]本発明の一実施態様におけるバルブは、外筒部と内筒部とを有する筒状構造体と、内筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と、薄膜部の周縁を一周し、外筒部の内壁及び内筒部の外壁に沿って密着したアンカー部と、を有するダイアフラム部材と、を備えたバルブが提供される。
[2]本発明の一実施態様におけるバルブは、流路に配設されるバルブであって、内径2(R+ΔR)の円筒形である外筒部と、内径2r、外径2Rの円筒形である内筒部と、を有する筒状構造体と、内筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と、薄膜部の周縁を一周し、外筒部の内壁及び内筒部の外壁に沿って密着したアンカー部と、を有するダイアフラム部材と、を備え、r及びΔRが下記式(a)を満たす。
ΔR<r …(a)
[3]本発明の一実施態様におけるバルブは、流路に配設されるバルブであって、流体に接する第一面に開口部を有する孔が設けられた第一部材と、前記開口部の内部に設けられた第二部材と、前記第二部材の一端を覆うように配置された薄膜部と、前記第二部材の形状に応じて設けられるアンカー部と、前記薄膜部と前記アンカー部との間に設けられて前記第二部材の一端の面に密着して固定されている接続部と、を有し、前記薄膜部と前記アンカー部と前記接続部とが一体的に形成されたダイアフラム部材と、を備える。
[4]本発明の一実施態様におけるバルブは、貫通孔を有し、少なくとも二重の筒状構造体と、前記筒状構造体の第一筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と、前記薄膜部と一体に形成され、前記筒状構造体の第二筒部の内壁と前記第一筒部の外壁との間に位置するアンカー部と、を有するダイアフラム部材と、を備える。
[5]本発明の一実施態様における流体デバイスは、上記のバルブと、バルブが配置された流路とを備える。
[6]本発明の一実施態様における流体デバイスは、上記のバルブを複数備え、複数のバルブのうち少なくとも1つは、他のバルブと薄膜部の高さが異なっている。
[7]本発明の一実施態様における流体デバイスは、上記のバルブを備え、第一面にダイアフラム部材が露出した第一基板と、流路が形成された第二面を有する第二基板と、を備え、第一面と第二面とを対向させて、流路がダイアフラム部材の直上を横断するように第一基板と第二基板とを貼り合わせた。
[8]本発明の一実施態様における流体制御方法は、上記の流体デバイスにおける流体制御方法であって、アンカー部は固定されたまま変形させず、薄膜部を流路の側又は流路と反対側に張り出すように変形させる。
[9]本発明の一実施態様における流体制御方法は、外筒部と内筒部とを有する筒状構造体と、内筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と、薄膜部の周縁を一周し、外筒部の内壁及び内筒部の外壁に沿って密着したアンカー部と、を有するダイアフラム部材と、を備えたバルブを流路に配設し、アンカー部は固定されたまま変形させず、薄膜部を流路の側又は流路と反対側に張り出すように変形させる。
[10]本発明の一実施態様におけるバルブの製造方法は、外筒部と、内筒部と、前記外筒部及び前記内筒部の相対的な位置を固定する保持部材とを備える筒状構造体の内部に、表面張力がγであり、前記筒状構造体に対する接触角がθであり、密度がρであるポリマー組成物を注入する工程と、前記ポリマー組成物が流動し、前記内筒部の一端を覆うように配置された、高さhを有する薄膜部と、前記薄膜部の周縁を一周し、前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁に密着し、高さHを有するアンカー部とを形成し、前記筒状構造体の軸方向に対して垂直な断面C1において、前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁によって囲まれる領域の面積S1、前記断面C1における前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁の長さの和L1、前記断面C1において前記内筒部の内壁によって囲まれる領域の面積S2、前記断面C1における前記内筒部の内壁の長さL2、前記h及び前記Hが、下記式(1)を満たした段階で前記ポリマー組成物の流動が停止する工程と、流動が停止した前記ポリマー組成物を硬化させる工程と、を含むことを特徴とする。
(γcosθ×L1)/S1−ρg×H=(γcosθ×L2)/S2−ρg×h …(1)
[式中、gは重力加速度を示す。]
[11]本発明の一実施態様におけるバルブの製造方法は、外筒部と内筒部とを有し、前記内筒部の第一端部は前記外筒部の第一端部よりも軸方向に奥側に配置された筒構造体の第一端部を蓋材で塞ぐ工程と、前記筒状構造体の第二端部からダイアフラム部材の原料を注入する工程と、前記原料を固化させることにより、前記内筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁に密着したアンカー部とから成るダイアフラム部材を形成する工程と、前記蓋材を取り外す工程と、を含む。
本発明によれば、耐久性に優れたバルブ、当該バルブを備えた流体デバイス、当該バルブを用いた流体制御方法及び耐久性に優れたバルブの製造方法を提供することができる。
従来の3層構造を有するバルブの断面図である。 従来の3層構造を有するバルブの断面図である。 一実施形態におけるバルブを備えた積層基板の斜視図である。 第一実施形態のバルブの断面図である。 図4AのC1−C1線断面図である。 図4AのC1−C1線断面図である。 図4AのC1−C1線断面図である。 図4AのC1−C1線断面図である。 第三実施形態のバルブの断面図である。 一実施形態における流体デバイスの断面図である。 一実施形態における流体デバイスの断面図である。 一実施形態における流体デバイスの断面図である。 一実施形態における流体デバイスの断面図である。 一実施形態における筒状構造体を示す斜視図である。 一実施形態におけるバルブの製造方法を説明する図である。 一実施形態における筒状構造体の断面図である。 一実施形態における流体デバイスの模式図である。 一実施形態における流体デバイスの模式図である。 一実施形態における流体デバイスの模式図である。 実験例1の結果を示すグラフである。 実験例2で用いた測定装置の模式図である。 実験例2の結果を示すグラフ及び写真である。 一実施形態における流体デバイスの模式図である。 実験例3の結果を示すグラフ及び写真である。 実験例4の結果を示すグラフ及び写真である。 一実施形態における流体デバイスの模式図である。 実験例5の結果を示すグラフである。 一実施形態における薄膜部の厚さの異なるバルブを備える流体デバイスの動作を説明する図である。 一実施形態における薄膜部の厚さの異なるバルブを備える流体デバイスの動作を説明する図である。 一実施形態における薄膜部の厚さの異なるバルブを備える流体デバイスの動作を説明する図である。 一実施形態における薄膜部の厚さの異なるバルブを備える流体デバイスの動作を説明する図である。
以下、本発明の第一実施態様であるバルブ、第二実施態様である流体デバイス、第三実施態様である流体制御方法、第四実施態様であるバルブの製造方法について、それぞれ好適な実施形態を説明する。
[バルブ]
図3は、本発明の第一実施態様であるバルブを備えた積層基板20の一例である。積層基板20の内部に設けられたトンネル状の流路21において、図中の矢印で示すX軸の正方向に液体、気体等の流体が流通する。流路21の途中には、流路21の内径が他の部分よりも小さくされた小径部21aが形成されている。本実施形態のバルブ1は、例えば、流路21の小径部21aの下方(図3におけるZ軸の負方向)、又は流路21の所定位置に配設されている。
また、本実施態様のバルブは、流路に配設されるバルブであって、第一面に開口部を有する孔が設けられた基板と、前記孔の壁面の少なくとも一部に固定された、少なくとも中央部が薄膜状のダイアフラム部材と、を備え、前記ダイアフラム部材を変形させることにより流路における流体の流れを制御するバルブであってもよい。
<第一実施形態>
図4Aは、第一実施形態のバルブ400のXZ面断面図(下記中心軸450を含む断面図)である。図4Aに示すバルブ400は、外筒部410と内筒部420とを有する筒状構造体と、内筒部420の一端423を覆うように配置された薄膜部430と、薄膜部430の周縁を一周し、外筒部410の内壁415及び内筒部420の外壁426に沿って密着したアンカー部440と、を有するダイアフラム部材と、を備える。
外筒部410と内筒部420は、互いに共通の中心軸450を有する筒状形状である。また、筒状構造体は、該中心軸450を有している。また、外筒部410の内壁415は、基板に開けられた孔の内壁であってもよい。つまり、外筒部410の内壁は基板と一体化していてもよい。
また、少なくとも二重(二層)の筒状構造体を構成する外筒部410及び内筒部420の形状は特に限定されず、例えば、円筒であってもよく、三角筒、四角筒、六角筒等の多角筒であってもよい。また、外筒部410と内筒部420は同じ形状であっても異なる形状であってもよい。
図4B〜図4Eは、図4AのC1−C1線断面図である(以下、C1−C1線断面のことを断面C1という場合がある。)。例えば、断面C1は、上記の中心軸450の軸方向と垂直な面を含み、筒状構造体とダイアフラム部材とのうち外筒部410、内筒部420及びアンカー部440を通る面である。図4Bは、外筒部410及び内筒部420が共に円筒である例を示す。図4Cは、外筒部410が円筒であり、内筒部420が四角筒である例を示す。図4Dは、外筒部410が四角筒であり、内筒部420が円筒である例を示す。図4Eは、外筒部410及び内筒部420が共に四角筒である例を示す。なお、ここで、円筒は、断面形状が円形又は楕円形である管状構造又は中空棒状構造を含む。また、三角筒、四角筒、六角筒は、それぞれ、断面形状が三角形、四角形、六角形である管状構造又は中空棒状構造を含む。また、例えば、断面C1において、外筒部の断面は内筒部の断面と相似形である。また、例えば、断面C1において、アンカー部の断面は外筒部の断面と内筒部の断面とのうち少なくとも一方の断面と相似形である。
また、ダイアフラム部材の材質は、弾性を有する材料であり、例えばエラストマーである。エラストマーとしては、高分子化合物からなるものが適用可能である。ダイアフラム部材を構成するエラストマー材料の一例として、PDMS(ポリジメチルシロキサン)やシリコーンエラストマーが挙げられる。
ダイアフラム部材のアンカー部440は、薄膜部430の周縁を一周しており、外筒部410の内壁415及び内筒部420の外壁426に沿って密着することにより、ダイアフラム部材のアンカー機能を有している。これにより、ダイアフラム部材は筒状構造体に強固に固定されている。また、ダイアフラム部材の薄膜部430は、内筒部420の内壁428と密着しており、ダイアフラム部材は、この密着部分において筒状構造体に固定されている。内筒部の内壁面、内筒部の外壁面、外筒部の内壁面は一連の連続する面である。内筒部の外壁面と接するアンカー部の面は、一連の面である。例えば、アンカー部の内筒部側の面は、内筒部の外壁面に沿って連続した1つの面である。外筒部の内壁面と接するアンカー部の面は、一連の面である。例えば、アンカー部の内筒部側の面は、内筒部の外壁面に沿って連続した1つの面である。アンカー部は、内筒部の外壁面を周方向に対して全て覆うように形成されている。
また、薄膜部430とアンカー部440とは繋がっており、連続して一体に形成されている。図4Aの例では、薄膜部430とアンカー部440との間に接続部435が存在している。そして、薄膜部430、接続部435及びアンカー部440は、同じ材質で一体的に形成されている。
また、薄膜部430が覆うように配置された内筒部420の一端423は、外筒部410の一端413よりも筒状構造体の軸方向に奥側に配置されている。また、内筒部420の一端423は、後述する流体デバイスの流路に露出するダイアフラム部材の部分に対して、外筒部410の一端413よりも筒状構造体の軸方向に離れて配置されている。図4Aに示すように、この配置によって生じた空間部分に、接続部435が形成されている。また、接続部435は、内筒部420の一端413の面に密着して固定されている。
内筒部420の他端は、ダイアフラム部材で覆われておらず大気開放されている。また、筒状構造体が後述する保持部材(外筒部及び内筒部の相対的な位置を固定する部材)を備える場合には、当該保持部材は、内筒部420の他端に配置される。また、本実施形態のバルブを別の基板に設けられた孔に嵌め込む場合には、内筒部420の他端は、当該孔の底面に接触する。
後述する実施例で示すように、本実施形態の構造を備えるバルブは、ダイアフラム部材が筒状構造体に強固に固定されているため、バルブを繰り返して動作させてもダイアフラム部材が剥離することがなく、非常に耐久性に優れている。
<第二実施形態>
図4A及び図4Bに示すように、第一実施形態のバルブ400において、薄膜部430は高さhを有しており、アンカー部440は高さHを有しており、上記のダイアフラム部材は、ポリマー組成物を硬化させることにより形成されたものであり、該ポリマー組成物は、表面張力がγであり、上記した筒状構造体に対する接触角がθであり、密度がρであり、筒状構造体の軸方向Z(中心軸450の軸方向)に対して垂直な断面C1(C1−C1線断面)において、外筒部410の内壁415及び内筒部420の外壁426によって囲まれる領域の面積S1、断面C1における外筒部の内壁415及び内筒部の外壁426の長さの和L1、断面C1において、内筒部420の内壁428によって囲まれる領域の面積S2、断面C1における内筒部420の内壁428の長さL2、薄膜部430の高さ(筒状構造体の軸方向Zにおける高さ、薄膜部の膜厚)h及びアンカー部440の高さ(筒状構造体の軸方向Zにおける高さ)Hが、下記式(1)を満たしていてもよい。なお、式(1)の技術的な意味については後述する。
(γcosθ×L1)/S1−ρg×H=(γcosθ×L2)/S2−ρg×h …(1)
[式中、gは重力加速度を示す。]
なお、図4Bに示す外筒部410及び内筒部420の形状は例示的なものである。本実施形態においても、第一実施形態と同様に、外筒部410及び内筒部420の形状は特に限定されず、例えば、円筒であってもよく、三角筒、四角筒、六角筒等の多角筒であってもよい。また、外筒部410と内筒部420は同じ形状であってもよく、相似の形状であってもよく、互いに異なる筒状形状であってもよい。
また、式(1)はモデル式であるため、実験による実測値から外れる可能性がある。本明細書において、「式(1)を満たす」とは、式(1)に基づいて算出されるH−hの値(理論値)及びH−hの実測値が、下記式(A1)を満たすことを意味する。例えば、式(A1)において、αは、20であることが好ましく、10であることがより好ましく、5であることが更に好ましい。
ここで、式(A1)を言い換えると次のようになる。まず、式(1)を変形すると式(A2)が得られる。
そこで、式(A2)を式(A1)に代入すると式(A3)が得られる。
例えば、第一実施形態のバルブ400において、薄膜部430は高さhを有しており、アンカー部440は高さHを有しており、上記のダイアフラム部材は、ポリマー組成物を硬化させることにより形成されたものであり、ポリマー組成物は、表面張力がγであり、上記の筒状構造体に対する接触角がθであり、密度がρであり、筒状構造体の軸方向Zに対して垂直な断面C1(C1−C1線断面)において、外筒部410の内壁415及び内筒部420の外壁426によって囲まれる領域の面積S1、断面C1における外筒部の内壁415及び内筒部の外壁426の長さの和L1、断面C1において、内筒部420の内壁428によって囲まれる領域の面積S2、断面C1における内筒部420の内壁428の長さL2、薄膜部430の高さ(筒状構造体の軸方向Zにおける高さ、薄膜部の膜厚)h及びアンカー部440の高さ(筒状構造体の軸方向Zにおける高さ)Hは、下記式(A3)を満たしていてもよい。下記式(A3)において、αは、20であることを含み、10であることを含み、5であることを含む。
[式中、gは重力加速度を示す。]
後述するように、本実施形態のバルブは容易に製造することができ、耐久性に優れている。
<第三実施形態>
第二実施形態のバルブにおいて、外筒部及び内筒部は、共に円筒形であってもよい。図5は、第三実施形態のバルブ500のXZ面断面図(筒状構造体の軸線を含む断面図)である。バルブ500において、内筒部520は、内径2r、外径2Rの円筒形であり、外筒部510は、内径2(R+ΔR)の円筒形であり、筒状構造体の軸方向Zに対して垂直な断面C1(C1−C1線断面)において、外筒部510の内壁515及び内筒部520の外壁526によって囲まれる領域の面積S1が、S1=π{(R+ΔR)−R}を満たし、前記断面C1における前記外筒部の内壁515及び前記内筒部の外壁526の長さの和L1が、L1=2π{(R+ΔR)+R}を満たし、前記断面C1において、前記内筒部520の内壁528によって囲まれる領域の面積S2が、S2=πrを満たし、前記断面C1における前記内筒部520の内壁528の長さL2が、L2=2πrを満たし、薄膜部530の高さ(筒状構造体の軸方向Zにおける高さ、薄膜部の膜厚)h及びアンカー部540の高さ(筒状構造体の軸方向Zにおける高さ)Hが、下記式(2)を満たしていてもよい。式(2)は、上記式(1)を、外筒部及び内筒部が円筒形である場合について変形したものである。
(γcosθ×2π{(R+ΔR)+R})/π{(R+ΔR)−R}−ρg×H=(γcosθ×2πr)/πr−ρg×h …(2)
[式中、gは重力加速度を示す。]
また、式(2)はモデル式であるため、実験による実測値から外れる可能性がある。本明細書において、「式(2)を満たす」とは、式(2)に基づいて算出されるH−hの値(理論値)及びH−hの実測値が、下記式(A1)を満たすことを意味する。式(A1)において、αは、20であることを含み、10であることを含み、5であることを含む。
ここで、式(A1)を言い換えると次のようになる。まず、式(2)を変形すると式(C7)が得られる。
そこで、式(C7)を式(A1)に代入すると式(A4)が得られる。
例えば、第三実施形態のバルブ500において、内筒部520は、内径2r、外径2Rの円筒形であり、外筒部510は、内径2(R+ΔR)の円筒形であり、筒状構造体の軸方向Zに対して垂直な断面C1(C1−C1線断面)において、外筒部510の内壁515及び内筒部520の外壁526によって囲まれる領域の面積S1が、S1=π{(R+ΔR)−R}を満たし、断面C1における外筒部の内壁515及び内筒部の外壁526の長さの和L1が、L1=2π{(R+ΔR)+R}を満たし、断面C1において、内筒部520の内壁528によって囲まれる領域の面積S2が、S2=πrを満たし、断面C1における内筒部520の内壁528の長さL2が、L2=2πrを満たし、薄膜部530の高さ(筒状構造体の軸方向Zにおける高さ、薄膜部の膜厚)h及びアンカー部540の高さ(筒状構造体の軸方向Zにおける高さ)Hは、下記式(A4)を満たしていてもよい。下記式(A4)において、αは、20であることを含み、10であることを含み、5であることを含む。
[式中、gは重力加速度を示す。]
<第四実施形態>
上記した第三実施形態のバルブは、流路に配設されるものであり、上記のr及び上記のΔRが下記式(a)を満たしていてもよい。
ΔR<r …(a)
式(a)は、上記式(2)を変形することにより得られるものである。また、式(2)は、次のように式(C7)に変形できる。
ここで、本実施形態のバルブは、H−h>0であってもよい。例えば、アンカー部540の高さHが薄膜部530の高さhよりも大きくてもよい。上記式(C7)より、H−h>0となる条件は、cosθ>0、例えば、ダイアフラム部材の材料であるポリマー組成物の、筒状構造体に対する接触角θが、0<θ<90度であること、及び下記式(C8)を満たすことであることがわかる。
上記式(C8)を変形すると、下記式(a)が得られる。例えば、本実施形態のバルブは、上記ΔRが上記rより小さい。なお、図5に示すように、ΔRは、外筒部510の内壁515から内筒部520の外壁526までの距離を示し、rは内筒部528の内壁528で形成される円の半径である。
ΔR<r …(a)
[流体デバイス]
本実施形態における流体デバイスは、上述したバルブを少なくとも1つ備えた流体デバイスである。なお、本実施形態における流体デバイスを構成する流路及びバルブは、マイクロメートルのスケールであっても、ミリメートルのスケールであってもよい。何れのスケールの流体デバイスについても、微細な流路を有するデバイスという意味において、「マイクロ流体デバイス」と呼ぶことができる。
流体デバイスは、例えば、上述したバルブを備え、第一面にダイアフラム部材が露出した第一基板と、流路が形成された第二面を有する第二基板と、該第一面と該第二面とを対向させて、該流路がダイアフラム部材の直上を横断するように該第一基板と該第二基板とを貼り合わせた流体デバイスである。
図6Aは一実施形態に係る流体デバイス600のXZ面断面図(筒状構造体の軸線を含む断面図)である。流体デバイス600は、第一基板660と第二基板670とを備え、第一基板660は、外筒部610と内筒部620とを有する筒状構造体と、薄膜部630とアンカー部640と接続部635とを有するダイアフラム部材とを有するバルブを備え、第一基板660の第一面665には該ダイアフラム部材が露出している。また、第二基板670は、流路680が形成された第二面675を有している。流体デバイス600は、第一面665と第二面675とを対向させて、流路680が、該ダイアフラム部材の真上を横断するように、第一基板660と第二基板670とを貼り合わせて形成されている。
本実施形態の流体デバイスは、上述したバルブを複数備え、複数の前記バルブのうち少なくとも1つは、他のバルブと比べて薄膜部の高さh(薄膜部の厚さ)が異なっていてもよい。
このような流体デバイスの一例として、例えば、図13に示す流体デバイスが挙げられる。図13において、52e、52f、52g、53d、53f、55a、60a、61a、62aは、上述したバルブである。
これらの各バルブは、薄膜部の厚さが全て同一でなくてもよい。これらの各バルブは、薄膜部の厚さが全て異なっていてもよく、一部のバルブの薄膜部の厚さが異なっていてもよい。
バルブの薄膜部の厚さをバルブ毎に異なる厚さとすることにより、それぞれサイズが異なる流路に設置された複数のバルブを、同じ圧力で制御することが可能になる。あるいは、バルブの薄膜部の厚さをバルブ毎に異なる厚さとすることにより、各バルブを同じ圧力で制御した場合に、流路を流れる流体の流量をバルブ毎に変化させることも可能である。
図20A〜図20Dは、薄膜部の厚さの異なるバルブを備える流体デバイスの動作を説明する図である。図20Aは、一実施形態に係るバルブT1を備える流体デバイスの図である。図20Aでは、流路に吸引力Sを印加することにより、流路内の流体を流速F1で移動させている。
ここで、図20Bに示すように、バルブT1の内筒部の内部(内部空間)に圧力Pを印加すると、バルブT1の薄膜部が変形する。この時のバルブ動作高A1は流路の高さと一致している。これにより、流路を完全に塞いで、流速F1で移動していた流体の移動を停止させることができる。
図20Cは、バルブT1よりも薄膜部の厚さが厚く、その他の条件はバルブT1と同様である、バルブT2を備える流体デバイスの図である。図20Cでは、流路に吸引力Sを印加することにより、流路内の流体を流速F1で移動させている。
ここで、図20Dに示すように、バルブT2の内筒部の内部(内部空間)に圧力Pを印加すると、バルブT2の薄膜部が変形する。ところが、バルブT2は、バルブT1よりも薄膜部の厚さが厚いため、バルブT2の薄膜部は、バルブ動作高A2まで変形するものの、流路を完全には塞がない。そして、流路壁面とバルブT2の薄膜部とで形成される微小空間を流体が通過するため、流体と壁面の界面で生じる摩擦力と表面張力によって圧力損失が生じ、吸引力Sは吸引力S’に減衰する。この結果、流路内の流体は、吸引力S’によって生じた流速F2で移動することになる。
このように、バルブT2の膜厚部の厚さを制御してバルブ動作高A2を調節することにより、流速F2を任意に設定することができる。また、吸引力Sと圧力Pをバルブごとに変更することなく、バルブT1は送液停止バルブとして、バルブT2は流速制御バルブとして、機能を分担させることができる。
<ポンプ機能>
本実施形態における流体デバイスは、複数のバルブを備え、該複数のバルブは流路に直列的に配設され、該複数のバルブの開閉により該流路中の流体に流れを起こすポンプとして機能するものであってもよい。
また、本実施形態における流体デバイスは、一例として、複数のバルブの開閉を互いに同期させて制御することにより、流路内の流体に波を起こして、その流体を所定方向(例、流体を流す一方向)に流すことができる。例えば、流路に直列的に配設された、好ましくは2個以上のバルブ、より好ましくは3個以上のバルブにおいて、各弁体(ダイアフラム部材)の変形のタイミングを所定間隔でずらして、各バルブの開閉を制御する、いわゆるペリスタルティック方式によって、流路中の流体を所定方向に送液することができる。バルブを3つ以上用いることにより、流体の送液方向を制御することが可能になる。流路に配設する個々のバルブの種類及び作動方式(ノーマリーオープン方式又はノーマリークローズ方式等)は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
<生体分子の検出>
ところで、エクソソーム(エキソソーム)と呼ばれる脂質小胞が知られており、近年注目されている。エクソソームは、例えば、細胞から分泌される、直径30〜100nm程度の脂質小胞であり、分泌元の細胞由来の生体分子、例えばタンパク質、核酸、miRNAなどを内包している。生体内に存在するがん細胞等の異常細胞は、その細胞膜の内部に特有のタンパク質や核酸、miRNAなどを発現している。
そのため、エクソソームに内包される生体分子を分析することでエクソソームの分泌元の細胞の異常を検出することができる。エクソソームに内包される生体分子を取り出す(抽出する)手段として、一例にはエクソソームの脂質二重膜の破砕などが挙げられる。
更に、エクソソームは、生体内で循環している血液、尿、唾液などの体液中で検出されるため、エクソソームを分析することで、バイオプシー検査をしなくとも、生体内の異常を検出することができる。
エクソソームの分析に上述した流体デバイスを使用することができる。例えば、前記流体デバイスは、試料中のエクソソームが内包する生体分子を検出する流体デバイスであってもよい。このような流体デバイスとしては、例えば、上記実施形態のバルブと、疎水性鎖と親水性鎖を有する化合物で修飾された層を有するエクソソーム精製部と、生体分子検出部と、を備えた流体デバイスが挙げられる。
本実施形態における流体デバイスの一例として、図11に示す流体デバイス51が挙げられる。流体デバイス51は、試料中のエクソソームが内包する生体分子を検出する流体デバイスであって、疎水性鎖と親水性鎖を有する化合物で修飾された層を有するエクソソーム精製部52と、生体分子精製部53と、生体分子検出部54と、エクソソーム精製部52と生体分子精製部53を繋ぐ第一の流路55と、生体分子精製部53と生体分子検出部54を繋ぐ第二の流路56と、各流路の所望の箇所に配設された上記実施形態のバルブとを備えている。
本実施形態の流体デバイス51は、血液から血球を除去した血漿を含むサンプルを得て、エクソソーム精製部52に供給されるサンプル中のエクソソームが内包する生体分子を検出するデバイスである。
本実施形態において、第一の流路55は、エクソソームの破砕液をエクソソーム精製部52から生体分子精製部53に送液する流路であり、第二の流路56は、精製された生体分子を含む溶液を生体分子検出部54に送液する流路である。
分析に用いるサンプルによる二次感染を防止する観点から、本実施形態の流体デバイス51は、一例として図12に示すように更に廃液槽57、58、59を備えていてもよい。なお、図12においては三つの廃液槽を示しているが一つ又は二つの廃液槽に集約しても構わない。
本実施形態の流体デバイス51における各構成の一例について、図13を参照して説明する。エクソソーム精製部52は、供給されたサンプルに含まれるエクソソームの固定と、エクソソームの破砕を行う部分であり、インレットと、疎水性鎖と親水性鎖を有する化合物で修飾された層を有するエクソソーム固定部52dを備える。図13に示すように、エクソソーム精製部52は、導入する試薬別にインレットを備えることが好ましい。例えば、エクソソーム精製部52は、サンプル導入用インレット52bと破砕液導入用インレット52cを備えることが好ましく、更に洗浄液導入用インレット52aを備えることがより好ましい。
本実施形態の流体デバイス51において、各部の液体の駆動は、外部吸引ポンプによってなされ、液体の流れは、本発明の第一態様のバルブの開閉によって制御されてもよい。
図13に示すように、エクソソームの分析において、まず上述したエクソソーム精製部において、サンプル導入用インレット52bに血漿を含むサンプルを注入し、流路52iのバルブ52fを開き、吸引によりサンプルをエクソソーム固定部52dに導入する。
エクソソーム固定部52dに導入されたサンプル中のエクソソームは、疎水性鎖と親水性鎖を有する化合物によって捕捉される。ここで、エクソソーム固定部52dにおける疎水性鎖と親水性鎖を有する化合物とは、脂質二重膜に結合するための疎水性鎖と、この脂質鎖を溶解するための親水性鎖を有する化合物である。係る化合物を用いることにより、エクソソーム固定部52d上に脂質二重膜を有するエクソソームを固定することができる。
なお、本明細書において、「エクソソーム固定部52d上にエクソソームを固定する」とは、エクソソーム固定部にエクソソームを吸着させることを含む。これによって、サンプルからエクソソームを単離することが可能である。
エクソソーム固定部52dとして用いられる基板としては、ガラス基板、シリコン基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられる。基板は、疎水性鎖と親水性鎖を有する化合物の親水性鎖と結合する物質を介して、前記化合物を基板表面に結合していてもよい。例えば、その物質としては、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、水酸基、アルデヒド基を有する物質が例示でき、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
なお、血漿中には、エクソソーム以外にもマイクロベシクルやアポトーシス小体等の細胞外小胞が含まれており、これら細胞外小胞もエクソソーム固定部52dに固定される可能性がある。エクソソーム固定部52dからこれらの細胞外小胞を除去する観点から、エクソソーム固定部52d上のエクソソームを洗浄することが好ましい。
次いで、エクソソーム固定部52dに固定されたエクソソームを破砕する。図13に示すように、流路52j上のバルブ52gを開き、破砕液導入用インレット52cに破砕液を注入し、吸引により破砕液をエクソソーム固定部52dへ導入する。破砕液としては、例えば細胞溶解に用いられる試薬が挙げられる。
破砕液がエクソソーム固定部52dを通ることにより、エクソソーム固定部52d上に捕捉されたエクソソームが破砕され、エクソソームに内包される生体分子が放出される。エクソソームから放出された生体分子は、バルブ55aを介して第一の流路55を通り生体分子精製部53へ送られる。
図13に示すように、生体分子精製部53は、生体分子回収液導入用インレット53bと、生体分子固定部53cとを備えることが好ましく、更に生体分子洗浄液導入用インレット53aを備えることがより好ましい。
本実施形態において、生体分子固定部53cが固定する生体分子はmiRNAであることが好ましい。生体分子固定部53cをエクソソーム破砕液が通過することにより、生体分子固定部53c上に生体分子が捕捉される。
次いで、生体分子固定部53cに固定された生体分子を溶出させる。図13に示すように、流路53gのバルブ53fを開け、生体分子回収液導入用インレット53bに生体分子回収液を注入し、生体分子回収液を生体分子固定部53cに導入する。
次いで、生体分子固定部53cから生体分子を回収する。生体分子は第二の流路56を通り、生体分子検出部54へ送られる。
生体分子検出部54は、一例として、生体分子に親和性を有する物質が固定されてなる基板を備えている。生体分子をmiRNAとする場合には、標的miRNAに相補的なプローブが固定されてなる基板54cを備えていることが好ましい。標的miRNAに相補的なプローブが固定された基板としては、例えばDNAチップ等が挙げられる。
図13に示すように、生体分子検出部54は、更に洗浄液導入用インレット54bを備えていることが好ましい。
生体分子が生体分子検出部54へ送られた後、バルブ54dを開け、検出プローブ導入用インレット54aに検出プローブ溶解液を注入する。
次いで、生体分子と検出プローブ溶解液を生体分子検出部内で循環させ、混合する。
次いで、捕捉プローブが固定された基板(図13における基板54c)を洗浄し、該基板上の非特異的吸着物を取り除くことが好ましい。
次いで、基板54c上に捕捉された生体分子の存在量を測定する。例えば、生体分子を標識物質で標識し、当該標識物質の存在量を測定することにより、サンプル中の生体分子を定量することができる。標識物質としては、蛍光物質、酵素等が挙げられる。例えば、標識物質は蛍光物質であってもよい。当該蛍光物質に励起光を照射したときに生じる蛍光の強度を測定することにより、生体分子を定量することができる。生体分子は予め蛍光物質で標識されていてもよい。あるいは、生体分子が基板54c上に捕捉された後に、例えば蛍光標識された抗体等を用いて染色してもよい。蛍光物質の蛍光強度の測定は、一例として、図示略の蛍光顕微鏡、光源及びパソコン等の制御部により行うことができる。
本実施形態によれば、例えば、従来は1日以上要したエクソソームの分析をわずか一時間程度で迅速に行うことができる。
本デバイスのエクソソーム精製部で上述のようにエクソソームを固定した後、エクソソーム精製部においてエクソソームの表面に存在する生体分子を検出してもよい。基板に固定されたエクソソームの表面に存在する生体分子の検出方法は、エクソソームの表面に存在する生体分子と該生体分子と特異的に結合する第1の分子とを相互作用させて複合体を形成し、基板上の複合体(第1の分子−エクソソーム複合体)を検出することを含む。
第1の分子−エクソソーム複合体を検出する方法は、例えば蛍光標識した第1の分子−エクソソーム複合体の蛍光を検出する工程である。また、ELISAによる検出方法を利用してもよい。
第1の分子とエクソソームの相互作用の一例として、例えば抗原−抗体反応といった結合反応が挙げられる。また、第1の分子としては、抗体に限られず、アプタマーも好適に用いられる。アプタマーの一例として、核酸アプタマーやペプチドアプタマーが挙げられる。
上記のようなエクソソームの表面に存在する生体分子の検出と、そのエクソソームに内包されるmiRNAの検出とを本デバイス上で行うことによって、エクソソームを二段階で分析することができる。
本実施形態の流体デバイスによれば、バイオプシー検査をしなくとも、一例として、生体内で循環している血液中のエクソソームを分析することで、生体内の異常を検出することができる。
[流体制御方法]
本実施形態における流体制御方法は、上述した実施形態の流体デバイスにおける流体制御方法であって、上述した実施形態のバルブのアンカー部は筒状構造体に固定されたまま変形させず、薄膜部を流路の側又は流路と反対側に張り出すように変形させるものである。
本実施態様の流体制御方法は、例えば、流体に接する第一面を有し、貫通孔が形成された基板と、該貫通孔の第一面の開口部に嵌め込まれた、少なくとも中央部が薄膜状の、弾性変形可能な弁体と、該弁体を該流路の軸線の垂直方向(流体が流路を流れる方向に垂直な方向)に変形させる駆動部と、を含む流体制御構造によって実現されてもよい。
上記の流体制御方法は、外筒部と内筒部とを有する筒状構造体と、該内筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と、該薄膜部の周縁を一周し、該外筒部の内壁及び該内筒部の外壁に沿って密着したアンカー部と、を有するダイアフラム部材と、を備えたバルブを流路に配設し、該アンカー部は筒状構造体に固定されたまま変形させず、該薄膜部を該流路の側又は該流路と反対側に張り出すように変形させるものである。
上記の流体制御方法は、上記のバルブを構成する外筒部と内筒部とのうち内筒部の内部に流体を外部装置から導入することにより、前記ダイアフラム部材の薄膜部を変形させるものであってもよい。流体としては、空気、窒素、水等が挙げられる。
上記の薄膜部を流路の側又は流路と反対側に張り出すように変形させるとは、例えば、薄膜部を、流路の軸線に対して垂直方向(バルブを構成する筒状構造体の軸方向)に変形させることを含む。
このような変形は、例えば、薄膜部を変形させるための駆動部によって行うことができる。その駆動部としては、例えば、ダイアフラム部材の薄膜部を変形させる動力となる空気等の流体を、バルブを構成する前記内筒部の内部に注入又は排出するポンプが挙げられる。
上記の流体制御方法は、上記の駆動部が薄膜部を流路の側又は流路と反対側に張り出すように膨らんで変形させることにより、流路中を流体が流れる開状態(流体が流通可能な状態)から、流路中の流体の流れをせき止めた状態とする閉状態(流体が流通不能な状態)へと変形させるものであってもよい。
図6A及び図6Bは、流体制御方法の一実施形態を説明する図である。図6Aは一実施形態に係る流体デバイス600のXZ面断面図(筒状構造体の軸線を含む断面図)である。流体デバイス600は、第一基板660と第二基板670とを備え、第一基板660は、外筒部610と内筒部620とを有する筒状構造体と、薄膜部630とアンカー部640と接続部635とを有するダイアフラム部材とを備えるバルブを備え、第一基板660の第一面665には前記ダイアフラム部材が露出している。また、第二基板670は、流路680が形成された第二面675を有している。流体デバイス600は、前記第一面665と前記第二面675とを対向させて、前記流路680が、前記ダイアフラム部材の真上を横断するように、前記第一基板660と前記第二基板670とを貼り合わせて形成されている。
図6Aは、流路680の内部を流体が流通可能(通過可能)な状態を示している。図6Bは、薄膜部630を前記流路680に向かって張り出すように変形させることにより、流路680の内部の流体の流れがせき止められ、流体が流通不能(通過不能)な状態を示している。
薄膜部630の変形は、バルブを構成する外筒部610と内筒部620とのうち内筒部620の内部に空気等の流体を注入(加圧)又は排出(減圧)し、内部の圧力を制御することにより行う。
また、薄膜部630が流路680側に張り出すように膨らんで変形しても、ダイアフラム部材はアンカー部640によって、筒状構造体に強固に固定されており、ダイアフラム部材が筒状構造体から剥離することはない。
以上、流体制御方法として、バルブを構成するダイアフラム部材の薄膜部が、孔の外側に膨らんで流路を塞ぐ場合(ノーマリーオープン方式)を一例として説明した。しかし、上記作動方式はこの場合に限定されず、バルブを構成するダイアフラム部材が、孔の内部(流路の反対側)に凹む(引っ込む)ことによって、それまで塞いでいた流路を開通する作動方式(ノーマリークローズ方式)を採用することもできる。この後者の作動方式について以下に説明する。
図7Aは一実施形態に係る流体デバイス700のXZ面断面図(筒状構造体の軸線を含む断面図)である。流体デバイス700は、第一基板760と第二基板770とを備え、第一基板760は、外筒部710と内筒部720とを有する筒状構造体と、薄膜部730とアンカー部740と接続部735とを有するダイアフラム部材とを備えるバルブを備え、第一基板760の第一面765には前記ダイアフラム部材が露出している。また、第二基板770は、流路780が形成された第二面775を有している。流体デバイス700は、前記第一面765と前記第二面775とを対向させて、前記流路780が、前記ダイアフラム部材の真上を横断するように、前記第一基板760と前記第二基板770とを貼り合わせて形成されている。
流路780には、分断部780bにおいて突起770hが設けられている。この突起770hが、対向するダイアフラム部材の薄膜部730と密着しているため、流路780は分断部780bにおいて塞がれた状態にある。この状態は、流路780の内部の流体の流れがせき止められ、流体が流通不能な状態(閉状態)を示している。
この状態において、バルブを構成する内筒部720の内部の空気等の流体を排出(減圧)すると、図7Bに示すように、ダイアフラム部材の薄膜部730が内筒部720の内部に引き込まれることにより、分断部780bが開通される。すなわち、この状態は、流路780の内部を流体が流通可能な状態(開状態)を示している。
また、薄膜部730が内筒部720の内部に引き込まれるように変形しても、ダイアフラム部材はアンカー部740によって、筒状構造体に強固に固定されており、ダイアフラム部材が筒状構造体から剥離することはない。
[バルブの製造方法]
本実施形態におけるバルブの製造方法は、外筒部と、内筒部と、前記外筒部及び前記内筒部の相対的な位置を固定する保持部材とを備える筒状構造体の内部に、表面張力がγであり、前記筒状構造体に対する接触角がθであり、密度がρであるポリマー組成物を注入する工程(工程A)と、前記ポリマー組成物が流動し、前記内筒部の一端を覆うように配置された、高さhを有する薄膜部と、前記薄膜部の周縁を一周し、前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁に密着し、高さHを有するアンカー部とを形成し、前記筒状構造体の軸方向に対して垂直な断面C1において、前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁によって囲まれる領域の面積S1、前記断面C1における前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁の長さの和L1、前記断面C1において前記内筒部の内壁によって囲まれる領域の面積S2、前記断面C1における前記内筒部の内壁の長さL2、前記h及び前記Hが、下記式(1)を満たした段階で前記ポリマー組成物の流動が停止する工程(工程B)と、流動が停止した前記ポリマー組成物を硬化させる工程(工程C)と、を含む。
(γcosθ×L1)/S1−ρg×H=(γcosθ×L2)/S2−ρg×h …(1)
[式中、gは重力加速度を示す。]
また、式(1)はモデル式であるため、実験による実測値から外れる場合がある。本明細書において、「式(1)を満たす」とは、式(1)に基づいて算出されるH−hの値(理論値)及びH−hの実測値が下記式(A1)を満たすことを意味する。式(A1)において、αは、20であることを含み、10であることを含み、5であることを含む。
これをいいかえると、前記工程Bにおいて、前記h及び前記Hは、下記式(A3)を満たしていてもよく、下記式(A3)において、αは、20であることを含み、10であることを含み、5であることを含む。
[式中、gは重力加速度を示す。]
本実施態様のバルブの製造方法は、基板の第一面に開口する貫通孔の第一端部を蓋材で塞ぐ工程と、前記貫通孔の第二端部からダイアフラム部材の原料を注入する工程と、前記原料を固化させることにより、少なくとも中央部が薄膜状であり、前記貫通孔の第一端部に嵌め込まれたダイアフラム部材を形成する工程と、前記蓋材を取り外す工程と、を有するバルブの製造方法であってもよい。
図8は、工程Aに供する筒状構造体800の一例を示す斜視図である。筒状構造体800は、外筒部810と、内筒部820と、前記外筒部810及び前記内筒部820の相対的な位置を固定する保持部材890とを備える。
図8に例示するように、外筒部810の内壁815は、基板860に開けられた孔の内壁であってもよい。例えば、外筒部810の外壁は基板860と一体化していてもよい。
また、保持部材890の形状及び個数は特に限定されず、外筒部810及び内筒部820の相対的な位置を固定することができればどのような形状及び個数であってもよい。図8の例においては、保持部材890は、外筒部810及び内筒部820を繋ぐ4本の柱状の構造体から構成されている。
筒状構造体800において、外筒部810の内壁815及び内筒部820の外壁826との間に存在する空間は、大気開放されている。また、内筒部820の高さは、外筒部810の高さよりも低くなっており、内筒部820は、外筒部810の底面まで到達していない。また、内筒部820と、外筒部810との上面の高さは揃っている。
なお、筒状構造体800においては、内筒部810及び外筒部820はいずれも円筒形であるが、上述したように外筒部及び内筒部の形状は特に限定されず、例えば、円筒であってもよく、三角筒、四角筒、六角筒等の多角筒であってもよい。また、外筒部と内筒部は同じ形状であっても異なる形状であってもよい。
(工程A)
図9は、バルブの製造方法を説明する図である。工程Aにおいて、外筒部910と、内筒部920と、前記外筒部910及び前記内筒部920の相対的な位置を固定する保持部材(図示せず)とを備える筒状構造体900の内部に、表面張力がγであり、前記筒状構造体に対する接触角がθであり、密度がρであるポリマー組成物mを注入する。ポリマー組成物mはダイアフラム部材の材料である。ポリマー組成物mは、外筒部910と内筒部920とのうち内筒部920の内部に注入される。
筒状構造体900を構成する材料は特に制限されず、例えば、樹脂(プラスチック)、ガラス、セラミックス、金属、半導体等の材料が適用できる。一例として、本実施例で製造したバルブをマイクロ流体デバイスに配設する場合、デバイスを流れる流体を外部から視認することが可能なように、樹脂、ガラス等の透明材料を基板材料として使用してもよい。
筒状構造体900の構成材料が、一例としてアクリル樹脂であり、筒状構造体900が基板960と一体化している場合、基板960の厚みは、例えば0.1〜5.0cm程度とすることができ、加工が容易である観点から、例えば0.5〜2.0cm程度とすることができる。
筒状構造体900の外筒部910の内径(外筒部の内壁915の内径)は、バルブを配設する流路の幅や高さ(深さ)によって適宜設定すればよく、一例として、1.0〜10mm程度とすることができる。
内筒部920、保持部材990等の構成を基板960に形成する方法は特に限定されず、一例として、市販の3D入出力装置を使用して、基板の表面を切削加工する方法が挙げられる。
ポリマー組成物mは、内筒部920の内部の圧力変化に応じて筒状構造体900の軸線方向に変形可能な材料であればよく、一例として、エラストマーが挙げられる。前記エラストマーは公知の高分子化合物からなるものが適用可能である。エラストマー材料の一例として、PDMSが挙げられる。
ポリマー組成物mを注入する前に、筒状構造体900の底面を塞ぐことが好ましい。例えば、蓋材Fを第一面910aに密着させることにより、筒状構造体900の底面を塞いでもよい。
蓋材Fは、筒状構造体900の底面を塞ぐことが可能で、後工程で取り除くことが可能な部材であれば特に制限されない。蓋材Fの一例として、樹脂製の離型フィルムが適用可能である。例えば、筒状構造体900が複数形成された基板960の第一面910aの全面に離型フィルムを貼付することにより、複数の筒状構造体900の底面を一時的に塞ぐことができる。
ダイアフラム部材の薄膜部の厚みは、適当な圧力で筒状構造体の軸線方向に変形させることが可能な厚みであれば特に制限されず、ダイアフラム部材の構成材料の種類や性質に応じて設定すればよい。一例として、ダイアフラム部材の構成材料がPDMSである場合、薄膜部の厚みは、例えば1〜1000μm程度とすることができる。メニスカスの形成等により薄膜部の厚みが均一でない場合、薄膜部の中心部の厚みが上記程度であればよい。この範囲の厚みであると、比較的少ない圧力変化で充分に変形させることができる。
また、本実施形態におけるバルブの製造方法は、ポリマー組成物mの注入量を調整することによって、ダイアフラム部材の薄膜部の厚みを調整することができる。この注入方法は特に制限されず、一例として、図9に示すように、ディスペンサーDのノズルを筒状構造体900の上方に位置させ、硬化前の液状のポリマー組成物mを注入する方法が挙げられる。
(工程B)
工程Bにおいて、ポリマー組成物mが流動し、前記内筒部の一端923を覆うように配置された、高さhを有する薄膜部930と、前記薄膜部930の周縁を一周し、前記外筒部910の内壁915及び前記内筒部920の外壁926に密着し、高さHを有するアンカー部940とを形成し、前記筒状構造体の軸方向に対して垂直な断面C1において、前記外筒部910の内壁915及び前記内筒部920の外壁926によって囲まれる領域の面積S1、前記断面C1における前記外筒部910の内壁915及び前記内筒部920の外壁926の長さの和L1、前記断面C1において、前記内筒部920の内壁928によって囲まれる領域の面積S2、前記断面C1における前記内筒部920の内壁928の長さL2、前記h及び前記Hが、下記式(1)を満たした段階で前記ポリマー組成物mの流動が停止する。
(γcosθ×L1)/S1−ρg×H=(γcosθ×L2)/S2−ρg×h …(1)
[式中、gは重力加速度を示す。]
ここで、式(1)について説明する。筒状構造体900にポリマー組成物mを注入すると、ポリマー組成物mが流動し、やがて平衡状態に到達した段階でポリマー組成物mの流動が止まる。
式(1)の左辺は、アンカー部にかかる単位面積当たりの表面張力とポリマー組成物mにかかる単位面積あたりの重力の和を表したものである。また、式(1)の右辺は、薄膜部における単位面積当たりの表面張力とポリマー組成物mにかかる単位面積あたりの重力の和を表したものである。ポリマー組成物mの流動が停止した状態では、アンカー部と薄膜部におけるポリマー組成物mにかかる力がつりあい、左辺=右辺となる。
なお、式(1)のL1は、ポリマー組成物mが、アンカー部において筒状構造体900の壁面と接する接触線の長さを意味する。また、L2は、ポリマー組成物mが薄膜部において筒状構造体900の壁面と接する接触線の長さを意味する。
(工程C)
工程Cにおいて、流動が停止した前記ポリマー組成物mを硬化させる。硬化は、筒状構造体の内部で行う。ポリマー組成物mを硬化させる方法は特に制限されず、使用するポリマー組成物mの特性に応じて、例えば加熱、紫外線照射等の常法が適用できる。また、一例として、ポリマー組成物mが、主剤と架橋剤(硬化剤)とを混合させた二液混合型の樹脂組成物であれば、注入後に一定時間経過すると、自然に硬化させることができる。
ポリマー組成物mの硬化後に、蓋材Fを除去することにより、目的のバルブが形成された基板960を得ることができる。一例として、蓋材Fが基板960の第一面910aに貼付された公知の離型フィルムである場合には、蓋材Fを簡単に剥離して取り外すことができる。
本実施態様にかかるバルブの製造方法により、複数のバルブを同時に製造することもできる。
ここで、筒状構造体の外筒部及び内筒部が共に円筒形である場合において、上述した工程Bで、ポリマー組成物mの流動が平衡状態に到達して止まった状態について説明する。
図10は、外筒部及び内筒部が共に円筒形である筒状構造体の軸線を含む断面を示す断面図である。図10に示すように、内筒部の内部において、平衡状態では、ポリマー組成物mが上昇しようとする力fγと、ポリマー組成物mにかかる重力fとがつりあっている(すなわち、fγ=f)。ここで、fγ及びfは、それぞれ下記式(C1)及び(C2)で示すことができる。
式(C1)において、γはポリマー組成物mの表面張力を示し、θはポリマー組成物mの、筒状構造体に対する接触角を示し、rは内筒部の内壁で形成される円の半径を示す。
式(C2)において、ρはポリマー組成物mの密度を示し、gは重力加速度を示し、rは式(C1)と同様であり、hはダイアフラム部材の薄膜部におけるポリマー組成物mの高さを示す。
また、外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁に囲まれた領域において、平衡状態では、ポリマー組成物mが上昇しようとする力Fγと、ポリマー組成物mにかかる重力Fとがつりあっている(すなわち、Fγ=F)。ここで、Fγ及びFは、それぞれ下記式(C3)及び(C4)で示すことができる。
式(C3)において、γ、θは式(C1)と同様であり、Rは内筒部の外壁で形成される円の半径を示す。
ΔRは外筒部の内壁から内筒部の外壁までの長さ(外筒部の内壁で形成される円の半径から上記Rを引いた長さ)を示す。
式(C4)において、ρ、gは式(C2)と同様であり、R、ΔRは式(C3)と同様であり、Hはダイアフラム部材のアンカー部におけるポリマー組成物mの高さを示す。
平衡状態では、下記式(C5)が成り立つ。そこで、式(C5)に上記式(C1)〜(C4)を代入して計算すると下記式(C6)が得られる。更に、下記式(C6)を変形すると下記式(C7)が得られる。
本実施形態のバルブでは、H−h>0であってもよい。上記式(C7)より、H−h>0となる条件は、cosθ>0、すなわち、ポリマー組成物mの筒状構造体に対する接触角θが、0<θ<90度であること、及び下記式(C8)を満たすことであることがわかる。
上記式(C8)を変形すると、下記式(a)が得られる。したがって、本発明の一実施形態に係るバルブは下記式(a)を満たす。
ΔR<r …(a)
また、上記式(1)、式(C7)等に基づいて、目的に応じたγ、θ、ρ等の物性を有するポリマー組成物mを選択すること、筒状構造体の形状及びサイズを設計すること、筒状構造体に注入するポリマー組成物mの量を調整すること等により、製造するバルブのH−hや薄膜部の膜厚を設計通りに製造することができる。
以下、実験例により本発明を説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
<実験例1>
図5に示すバルブを作製し、バルブの材料であるPDMSの高さ(図5におけるH及びh)を実測した。なお、第三実施形態のバルブは、外筒部及び内筒部が共に円筒形である。
100×80×5mmのサイズのポリ(メチルメタクリレート−コ−スチレン)製の基板(日本アクリエース社製)を、ミリングマシン(商品名「MDX−540」、ローランドDG社製)を用いて加工して、筒状構造体を形成した。内筒部の高さは外筒部の高さ(5mm)よりも0.5mm短くした。図5におけるrが1mmであり、R+ΔRが2.5mmであり、R−rが0.8mmであり、ΔRは0.7mmである筒状構造体と、図5におけるrが1.4mmであり、R+ΔRが2.5mmであり、R−rが0.4mmであり、ΔRは0.7mmである筒状構造体の、2種類の筒状構造体を作製した。
続いて、上記筒状構造体を形成した基板に、蓋材としてフィルム(商品名「SPV−P−6030」、日東電工社製)を貼り付けた。続いて、精密ディスペンサー(商品名「Nano Master SMP−III」、武蔵エンジニアリング社製)及びロボット(商品名「SHOTMASTER 200DS」、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、ポリマー組成物を筒状構造体の内部に35〜50μL注入した。ポリマー組成物としては、PDMS(主剤)と硬化剤(架橋剤)の15:1(v/v)混合物(Sylgard184、ダウコーニング社製)を用いた。
続いて、ポリマー組成物の流動が平衡状態に達するのに十分な時間である10分間放置後、オーブン内で80℃に加熱し、ポリマー組成物を硬化させた。その後、蓋材として使用したフィルムを剥がし、バルブを完成させた。
図14は、r=1mm及びr=1.4mmの各バルブに、35〜50μLのポリマー組成物を注入して製造したバルブのH−hの長さの実測値(N=3)を示すグラフである。r=1mmのバルブにおけるH−hの長さは、注入したポリマー組成物の量にかかわらず、1.87±0.0261mmでほぼ一定となった。また、r=1.4mmのバルブにおけるH−hの長さは、注入したポリマー組成物の量にかかわらず、2.49±0.0962mmでほぼ一定となった。
なお、PDMSの表面張力γは21.6dyn/cmであり、PDMSの筒状構造体に対する接触角θは20度であり、PDMSの密度ρは1.11g/cmであるため、式(C7)より、r=1mmのバルブにおけるH−hの長さの理論値は1.60mmであり、r=1.4mmのバルブにおけるH−hの長さの理論値は2.66mmである。。上記のH−hの実測値は、これらの理論値に近い値であった。
<実験例2>
(機械的強度の評価)
実験例1と同様のバルブ(r=1mm)を作製し、バルブの機械的強度を検討した。ダイアフラム部材の材質としてはPDMSを使用した。図15に示す装置を組み立て、バルブの内筒部の内部に窒素ガスを注入して加圧し、印加圧力とバルブの薄膜部の変形量を測定した。
図16は、印加圧力とバルブの薄膜部の変形量の関係を示すグラフ及びバルブの写真である。この結果から、本実験例のバルブで高さ500μmの流路を塞ぐためには、0.1MPa以上の印加圧力が必要であることが明らかとなった。
<実験例3>
(開閉試験)
図17Aに示すように、100×80×5mmのサイズの基板に、断面が0.5×2mmの長方形であり、導入口1780cと排出口1780dの直径が3mmである流路1780aと、当該流路に配設された実験例1と同様のバルブ(r=1mm)と、当該バルブの内筒部の内部に窒素を供給する流路1780bを備える流体デバイス1700を作製した。
蛍光物質であるスルホローダミンB(関東化学)の0.05w/w%水溶液で流路1780aを満たし、バルブの動作を観察した。流路1780aにおけるバルブの薄膜部1730に接する領域からの蛍光を測定した。スルホローダミンBの蛍光は、絞り(商品名「ID15/M」、ソーラボ社)及びレンズ(商品名「LA1805」、ソーラボ社)を通じてアバランシェフォトダイオード(APD、商品名「C5460」、浜松ホトニクス社)に導入した。APDからのアナログ信号は入力モジュール(商品名「NIUSB−6008」、ナショナルインスツルメンツ社)を用いてデジタル信号に変換した。
図17Bは、流路1780bを通じてバルブの内筒部の内部に供給した窒素ガスによる印加圧力と、測定された蛍光強度との関係を示すグラフ及び流体デバイスのバルブ付近の写真である。図17Bに示すように、バルブへの印加圧力が増加するにつれて蛍光強度が減少した。薄膜部の変形による蛍光強度の減少は印加圧力0.1MPaから観察され、バルブの完全な閉鎖は約0.2MPaの印加圧力で達成された。本実験例では、0.4MPaの印加圧力の条件下においてもバルブの薄膜部の損傷は認められなかった。
<実験例4>
(応答速度評価)
実験例3の流体デバイスを用いて、バルブ制御用電圧、バルブの開閉(薄膜部の変形量)、バルブへの印加圧力の時間的な関係を測定した。図18は、本実験例の結果を示すグラフである。その結果、バルブ制御用電圧を印加してから60ミリ秒でバルブを開閉できることが明らかとなった。
<実験例5>
(ペリスタルティックポンプの作製)
図19Aに示すように、流路上に実験例1と同様のバルブ(r=1mm)を3個直列に配置した流体デバイス(ペリスタルティックポンプ)を作製した。各バルブを1/2周期ごとに開閉させ、また、隣り合うバルブの動作に1/4周期ずつのずれを生じさせ、流路内の液体を送液した。駆動周波数を変化させて、送液流量を測定した。
図19Bは、上記のペリスタルティックポンプの駆動周波数と液体の送液流量との関係を示すグラフである。グラフに示すように、駆動周波数と液体の送液流量とは、単調増加の関係にあり、ペリスタルティックポンプが正常に動作することが示された。
本発明によれば、耐久性に優れたバルブ、当該バルブを備えた流体デバイス、当該バルブを用いた流体制御方法及び耐久性に優れたバルブの製造方法を提供することができる。
110,660,760…第一基板、665,765…第一基板の第一面、111…樹脂シート、112,670,770…第二基板、675,775…第二基板の第二面、113…貫通孔、21,52i,52j,114,680,780…流路、20…積層基板、21a…小径部、51…流体デバイス、52…エクソソーム精製部、52a…洗浄液導入用インレット、52b…サンプル導入用インレット、52c…破砕液導入用インレット、52d…エクソソーム固定部、53…生体分子精製部、53a…生体分子洗浄液導入用インレット、53b…生体分子回収液導入用インレット、53c…生体分子固定部、54…生体分子検出部、54a…検出プローブ導入用インレット、54b…洗浄液導入用インレット、54c,860,960…基板、55…第一の流路、56…第二の流路、57,58,59…廃液槽、52e,52f,52g,53d,53f,54d,55a,60a,61a,62a,400,500,600,700…バルブ、410,510,610,710,810,910…外筒部、413…外筒部の一端、415,515,815,915…外筒部の内壁、420,520,620,720,820,920…内筒部、423,923…内筒部の一端、426,526,926…内筒部の外壁、428,528…内筒部の内壁、430,530,630,730,930…薄膜部、435,535,635,735…接続部、440,540,640,740,940…アンカー部、450…中心軸、780b…分断部、770h…突起、800,900…筒状構造体、890,990…保持部材、910a…基板の第一面、D…ディスペンサー、F…蓋材、fγ,Fγ…力、f,F…重力、H,h…高さ、m…ポリマー組成物、R,r…半径。

Claims (26)

  1. 外筒部と内筒部とを有する筒状構造体と、
    前記内筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と、前記薄膜部の周縁を一周し、前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁に沿って密着したアンカー部と、を有するダイアフラム部材と、を備え、
    流路に配設され、前記薄膜部を変形させることにより、前記流路を流れる流体の流れを制御する、バルブ。
  2. 前記内筒部の外壁面は連続する面であり、
    前記内筒部の外壁面に密着した前記アンカー部の面は連続する面である、
    請求項1に記載のバルブ。
  3. 前記外筒部の内壁面は連続する面であり、
    前記外筒部の内壁面に密着した前記アンカー部の面は連続する面である、
    請求項1又は請求項2に記載のバルブ。
  4. 前記内筒部の内壁面は連続する面であり、
    前記内筒部の内壁面に密着した薄膜部の面は連続する面である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブ。
  5. 前記薄膜部と前記アンカー部とは、連続して一体に形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブ。
  6. 前記ダイアフラム部材は前記薄膜部と前記アンカー部との間に設けられた接続部を備え、前記接続部は前記内筒部の一端の面に密着して固定されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルブ。
  7. 前記筒状構造体において、前記外筒部の内壁と前記内筒部の外壁との間に存在する空間は開放されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のバルブ。
  8. 前記内筒部において、前記薄膜部が配置される一端とは異なる端部は開放されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のバルブ。
  9. 前記薄膜部は高さhを有し、
    前記アンカー部は高さHを有し、
    前記ダイアフラム部材は、ポリマー組成物を硬化させることにより形成されたものであり、
    前記ポリマー組成物は、表面張力がγであり、前記筒状構造体に対する接触角がθであり、密度がρであって、
    前記筒状構造体の軸方向に対して垂直な断面C1において、前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁によって囲まれる領域の面積S1、前記断面C1における前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁の長さの和L1、前記断面C1において前記内筒部の内壁によって囲まれる領域の面積S2、前記断面C1における前記内筒部の内壁の長さL2、前記h及び前記Hが、下記式(1)を満たす、請求項1〜8のいずれか一項に記載のバルブ。
    (γcosθ×L1)/S1−ρg×H=(γcosθ×L2)/S2−ρg×h …(1)
    [式中、gは重力加速度を示す。]
  10. 前記内筒部は、内径2r、外径2Rの円筒形であり、
    前記外筒部は、内径2(R+ΔR)の円筒形であり、
    前記S1が、S1=π{(R+ΔR)2−R2}を満たし、
    前記L1が、L1=2π{(R+ΔR)+R}を満たし、
    前記S2が、S2=πr2を満たし、
    前記L2が、L2=2πrを満たし、
    前記h及び前記Hが、下記式(2)を満たす、請求項9に記載のバルブ。
    (γcosθ×2π{(R+ΔR)+R})/π{(R+ΔR)2−R2}−ρg×H=(γcosθ×2πr)/πr2−ρg×h …(2)
    [式中、gは重力加速度を示す。]
  11. 流路に配設されるバルブであって、
    内径2(R+ΔR)の円筒形である外筒部と、内径2r、外径2Rの円筒形である内筒部と、を有する筒状構造体と、
    前記内筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と、前記薄膜部の周縁を一周し、前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁に沿って密着したアンカー部と、を有するダイアフラム部材と、を備え、
    前記薄膜部を変形させることにより、前記流路を流れる流体の流れを制御する、前記r及び前記ΔRが下記式(a)を満たす、バルブ。
    ΔR<r …(a)
  12. 流路に配設されるバルブであって、
    流体に接する第一面に開口部を有する孔が設けられた第一部材と、
    前記開口部の内部に設けられた第二部材と、
    前記第二部材の一端を覆うように配置された薄膜部と、前記第二部材の形状に応じて設けられるアンカー部と、前記薄膜部と前記アンカー部との間に設けられて前記第二部材の一端の面に密着して固定されている接続部と、を有し、前記薄膜部と前記アンカー部と前記接続部とが一体的に形成されたダイアフラム部材と、を備え、
    前記薄膜部を変形させることにより、前記流路を流れる流体の流れを制御する、バルブ。
  13. 前記第二部材は連続する面を有する部材である、請求項12に記載のバルブ。
  14. 貫通孔を有し、少なくとも二重の筒状構造体と、
    前記筒状構造体の第一筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と、前記薄膜部と一体に形成され、前記筒状構造体の第二筒部の内壁と前記第一筒部の外壁との間に位置するアンカー部と、を有するダイアフラム部材と、を備え、
    流路に配設され、前記薄膜部を変形させることで、前記流路における流体の流れを制御する、バルブ。
  15. 前記アンカー部は前記筒状構造体に固定され、
    前記薄膜部を前記流路の側又は前記流路と反対側に張りだすように変形させることで、前記流路における流体の流れを制御する請求項14に記載のバルブ。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のバルブと、前記バルブが配置された流路とを備えた流体デバイス。
  17. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のバルブを複数備え、複数の前記バルブのうち少なくとも1つは、他のバルブと前記薄膜部の高さが異なっている、流体デバイス。
  18. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のバルブを備え、第一面に前記ダイアフラム部材が露出した第一基板と、
    流路が形成された第二面を有する第二基板と、を備え、
    前記第一面と前記第二面とを対向させて、前記流路が前記ダイアフラム部材の直上を横断するように前記第一基板と前記第二基板とを貼り合わせた流体デバイス。
  19. 前記第二基板は、前記ダイアフラム部材と対向する位置に設けられた、前記流路を狭くする突起部を有し、前記突起部は前記ダイアフラム部材と接触可能な接触面を有する、
    請求項18に記載の流体デバイス。
  20. 流路に直列的に配設された複数の前記バルブを備え、前記複数のバルブの開閉により前記流路中の流体に流れを起こすポンプとして機能する、請求項18又は19に記載の流体デバイス。
  21. 請求項16〜20のいずれか一項に記載の流体デバイスにおける流体制御方法であって、
    前記アンカー部は固定されたまま変形させず、前記薄膜部を前記流路の側又は前記流路と反対側に張り出すように変形させる、流体制御方法。
  22. 外筒部と内筒部とを有する筒状構造体と、
    前記内筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と、前記薄膜部の周縁を一周し、前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁に沿って密着したアンカー部と、を有するダイアフラム部材と、を備えたバルブを流路に配設し、
    前記アンカー部は固定されたまま変形させず、前記薄膜部を前記流路の側又は前記流路と反対側に張り出すように変形させる、流体制御方法。
  23. 前記内筒部の内部に流体を導入することにより、前記薄膜部を変形させる、請求項21又は22に記載の流体制御方法。
  24. 外筒部と、内筒部と、前記外筒部及び前記内筒部の相対的な位置を固定する保持部材とを備える筒状構造体の内部に、表面張力がγであり、前記筒状構造体に対する接触角がθであり、密度がρであるポリマー組成物を注入する工程と、
    前記ポリマー組成物が流動し、前記内筒部の一端を覆うように配置された、高さhを有する薄膜部と、前記薄膜部の周縁を一周し、前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁に密着し、高さHを有するアンカー部とを形成し、前記筒状構造体の軸方向に対して垂直な断面C1において、前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁によって囲まれる領域の面積S1、前記断面C1における前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁の長さの和L1、前記断面C1において前記内筒部の内壁によって囲まれる領域の面積S2、前記断面C1における前記内筒部の内壁の長さL2、前記h及び前記Hが、下記式(1)を満たした段階で前記ポリマー組成物の流動が停止する工程と、
    流動が停止した前記ポリマー組成物を硬化させる工程と、
    を含む、流路に配設され、前記薄膜部を変形させることにより、前記流路を流れる流体の流れを制御する、バルブの製造方法。
    (γcosθ×L1)/S1−ρg×H=(γcosθ×L2)/S2−ρg×h …(1)
    [式中、gは重力加速度を示す。]
  25. 外筒部と内筒部とを有し、前記内筒部の第一端部は前記外筒部の第一端部よりも軸方向に奥側に配置された筒状構造体の第一端部を蓋材で塞ぐ工程と、
    前記筒状構造体の第二端部からダイアフラム部材の原料を注入する工程と、
    前記原料を固化させることにより、前記内筒部の一端を覆うように配置された薄膜部と前記外筒部の内壁及び前記内筒部の外壁に密着したアンカー部とから成るダイアフラム部材を形成する工程と、
    前記蓋材を取り外す工程と、
    を含む、流路に配設され、前記薄膜部を前記流路の軸線に対して垂直に変形させることにより、前記流路を流れる流体の流れを制御する、バルブの製造方法。
  26. 前記ダイアフラム部材の原料は、前記内筒部の第二端部から注入する、請求項25に記載のバルブの製造方法。
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