JP2019148193A - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アクチュエータの駆動負荷を低減することの可能な燃料噴射装置を提供する。【解決手段】燃料噴射装置FIは、制御弁28、直動ピストン27、及びスプリング33を備える。直動ピストン27は、制御弁28と一体となって初期位置から変位することにより、ノズルニードル13をリフト動作させる油圧力を制御室19に発生させる。制御弁28は、閉弁状態から開弁動作する際に、開弁動作の初期において直動ピストン27と独立して変位するとともに、開弁方向に更に変位して直動ピストン27に当接することにより直動ピストン27と一体的に変位し、開弁状態から閉弁動作する際に、直動ピストン27と独立して変位可能である。直動ピストン27は、制御弁28が閉弁動作する際に、スプリング33の付勢力により初期位置に戻る。【選択図】図1
Description
本開示は、燃料噴射装置に関する。
従来、燃料噴射装置には、ニードル直動式の燃料噴射装置と、油圧サーボ式の燃料噴射装置とがある。ニードル直動式の燃料噴射装置は、ピエゾ素子の積層体からなるアクチュエータを用いてノズルニードルを直接開閉動作させる構造からなる。油圧サーボ式の燃料噴射装置は、ノズルニードルの直上に設けられる制御室と、制御室及び低圧室を連通する連通路を開閉させる制御弁と、制御弁を開閉動作させるアクチュエータとを備えている。油圧サーボ式の燃料噴射装置は、制御弁の開閉動作に基づいて制御室内の燃料圧力を変化させることによりノズルニードルを開閉動作させる構造からなる。このような構造の違いにより、油圧サーボ式の燃料噴射装置よりも、ニードル直動式の燃料噴射装置の方が燃料噴射圧に依存せずにノズルニードルの挙動、すなわち噴射率をコントロールし易いという特徴を有している。しかしながら、ニードル直動式の燃料噴射装置は、油圧サーボ式の燃料噴射装置と比較すると、ノズルニードルの駆動に必要な負荷が大きくなるため、アクチュエータの駆動負荷が増加するという課題を有している。
そこで、下記の特許文献1に記載の燃料噴射装置では、油圧サーボ機構と直動機構とが併用されている。具体的には、特許文献1に記載の燃料噴射装置は、制御室と低圧室とを連通する連通路の途中に設けられる制御弁を備えている。燃料噴射装置には、制御弁が着座するシート座面が形成されている。制御弁は、シート座面に着座することにより、制御室及び低圧室の連通を遮断する閉弁状態になっている。シート座面には、制御弁が配置されるバルブ室から低圧室に貫通する挿通孔が形成されている。この挿通孔には、アクチュエータの駆動力を制御弁に伝達するための駆動伝達部材が挿通されている。
特許文献1に記載の燃料噴射装置では、アクチュエータの伸張によりその駆動力が駆動伝達部材を介して制御弁に伝達されると、制御弁がシート座面から離座して開弁状態になる。これにより、制御室が低圧室に連通されて制御室内の燃料圧力が低下するため、ノズルニードルが開弁する。特許文献1に記載の燃料噴射装置は、このような制御室の減圧に基づきノズルニードルを開弁させる油圧サーボ機構を有している。
また、特許文献1に記載の燃料噴射装置は、油圧力を介してアクチュエータの駆動力をノズルニードルに伝達する直動ピストンを備えている。具体的には、直動ピストンには、アクチュエータの駆動力が制御弁を介して伝達される。直動ピストンは、制御弁を介して伝達されるアクチュエータの駆動力に基づいて変位することにより、ノズルニードルを開弁動作させる油圧力を発生させる。このように、特許文献1に記載の燃料噴射装置は、アクチュエータの駆動力を直動ピストンの油圧力を介してノズルニードルに伝達することによりノズルニードルを開弁させる直動機構を有している。
特許文献1に記載の燃料噴射装置は、これらの油圧サーボ機構と直動機構とを有することにより、アクチュエータの負荷を低減しつつ、噴射率の自由度を向上させている。
ところで、特許文献1に記載の燃料噴射装置では、油圧サーボ機構で動作する際にノズルニードルの上昇に伴って直動ピストンを変位させる必要があるため、アクチュエータの駆動力として、制御弁を開弁させるために必要な駆動力だけでなく、直動ピストンを変位させるために必要な駆動力も必要となる。これが、アクチュエータの駆動負荷を大きくさせる要因となっている。
本開示は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクチュエータの駆動負荷を低減することの可能な燃料噴射装置を提供することにある。
上記課題を解決する燃料噴射装置(FI)は、本体(10,11,12)と、ノズルニードル(13)と、制御室(19)と、制御弁(28)と、アクチュエータ(14)と、直動ピストン(27)と、スプリング(33)と、を備える。本体は、高圧の燃料が流通する高圧燃料通路(16)、高圧燃料通路を流れる燃料よりも低圧の燃料が流通する低圧室(29)、及び高圧燃料通路を流通する燃料を噴射する噴射孔(121)を有する。ノズルニードルは、本体の内部に往復動可能に収容され、噴射孔を開閉する。制御室には、ノズルニードルに閉弁方向の圧力を付与する高圧の燃料が充填される。制御弁は、本体に設けられたシート座面(114)に着座して閉弁状態になることにより制御室及び低圧室の連通を遮断する。アクチュエータは、制御弁をシート座面から離座させて制御弁を開弁状態にすることにより制御室及び低圧室を連通させる。直動ピストンは、制御弁と一体となって初期位置から変位することにより、ノズルニードルをリフト動作させる油圧力を制御室に発生させる。スプリングは、直動ピストンを初期位置に戻す方向に付勢する。制御弁は、閉弁状態から開弁動作する際に、開弁動作の初期において直動ピストンと独立して変位するとともに、開弁方向に更に変位して直動ピストンに当接することにより直動ピストンと一体的に変位し、開弁状態から閉弁動作する際に、直動ピストンと独立して変位可能である。直動ピストンは、制御弁が閉弁動作する際に、スプリングの付勢力により初期位置に戻る。
この構成によれば、制御弁の開弁動作の初期においては制御弁が直動ピストンとは独立して変位するため、アクチュエータの駆動力として、直動ピストンを変位させるために必要な駆動力が必要ない。そのため、アクチュエータの駆動負荷を低減することができる。また、制御弁が閉弁動作する際に制御弁と直動ピストンとが独立して変位可能であれば、制御弁が閉弁状態になることにより直動ピストンに付与される油圧力を低下させた後に、スプリングの付勢力により直動ピストンを初期位置に戻すことができる。これにより、直動ピストンに付与される油圧力が低下するよりも前に直動ピストンを初期位置に戻す場合と比較すると、直動ピストンを初期位置に戻すために必要なスプリングの付勢力を小さくすることができる。よって、制御弁と共に直動ピストンを変位させる際にスプリングの付勢力に抗する力がアクチュエータに必要であることを考慮すると、スプリングの付勢力を小さくすることができれば、結果としてアクチュエータの駆動負荷を低減することができる。
なお、上記手段、特許請求の範囲に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本開示によれば、アクチュエータの駆動負荷を低減することの可能な燃料噴射装置を提供できる。
以下、燃料噴射装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
はじめに、燃料噴射装置の第1実施形態について説明する。
<第1実施形態>
はじめに、燃料噴射装置の第1実施形態について説明する。
図1に示されるように、本実施形態の燃料噴射装置FIは、インジェクタボディ10、オリフィスプレート11、ノズルボディ12、ノズルニードル13、及びアクチュエータ14等を備えている。オリフィスプレート11及びノズルボディ12はノズルリテーリングナット15によりインジェクタボディ10の下方に固定されている。本実施形態では、インジェクタボディ10、オリフィスプレート11、及びノズルボディ12により本体が構成されている。以下では、インジェクタボディ10からノズルボディ12に向かう方向を「下方」と称し、その逆の方向を「上方」と称する。
ノズルボディ12は、軸線m1を中心に略有底筒状に形成されている。ノズルボディ12の内部には、軸線m1を中心に略円柱状に形成されたノズルニードル13が収容されている。したがって、軸線m1はノズルニードル13の中心軸に相当する。ノズルボディ12の内部空間は、ノズルニードル13を収容するニードル収容孔120を構成している。ノズルニードル13は、ニードル収容孔120の内壁面に対して摺動可能に接することにより、軸線m1に沿った方向に往復動可能に支持されている。ニードル収容孔120は、ノズルボディ12の上面において開口している。ニードル収容孔120には、インジェクタボディ10の燃料通路101及びオリフィスプレート11の燃料通路110を通じて高圧の燃料が供給されている。以下では、これらの燃料通路101,110をまとめて「高圧燃料通路16」とも称する。
ノズルボディ12の先端部には、燃料が噴射される噴射孔121が形成されている。ノズルボディ12の先端部の内壁面には、円錐状の着座面122が形成されている。ノズルニードル13の先端部には、着座面122に着座するシート面130が形成されている。シート面130が着座面122に着座している場合、ノズルニードル13により噴射孔121が閉塞されているため、噴射孔121からの燃料の噴射が遮断された状態となる。シート面130が着座面122から離座すると、噴射孔121が開口して、ニードル収容孔120内の高圧の燃料が噴射孔121から噴射される。このように、ノズルニードル13は、軸線m1に沿った方向に往復動することにより噴射孔121を開閉する。
ニードル収容孔120の上方には、ノズルシリンダ17が収容されている。ノズルシリンダ17は、軸線m1を中心に円筒状に形成されている。ノズルシリンダ17は、ノズルボディ12の内部に収容されたスプリング18によりオリフィスプレート11の底面に向かって付勢されている。
ノズルシリンダ17の内部には、ノズルニードル13における先端部とは反対側の基端部が挿入されている。ノズルニードル13の基端部は、ノズルシリンダ17の内壁面に摺動可能に接することにより、軸線m1に沿った方向に往復動可能に支持されている。ノズルニードル13の上端面、ノズルシリンダ17の内壁面、及びオリフィスプレート11の底面により囲まれる空間によって制御室19が構成されている。制御室19には、ノズルニードル13に閉弁方向の圧力を付与するための高圧の燃料が充填されている。
オリフィスプレート11には、高圧ポート111、及び連通路112が形成されている。
高圧ポート111は、オリフィスプレート11の底面において制御室19に面する部分から高圧燃料通路16までオリフィスプレート11の内部を延びるように形成されている。したがって、制御室19には、高圧燃料通路16を流れる高圧の燃料が高圧ポート111を通じて流入可能となっている。高圧ポート111には、高圧燃料通路16から制御室19への高圧燃料の流入を規制するインオリフィス113が形成されている。
高圧ポート111は、オリフィスプレート11の底面において制御室19に面する部分から高圧燃料通路16までオリフィスプレート11の内部を延びるように形成されている。したがって、制御室19には、高圧燃料通路16を流れる高圧の燃料が高圧ポート111を通じて流入可能となっている。高圧ポート111には、高圧燃料通路16から制御室19への高圧燃料の流入を規制するインオリフィス113が形成されている。
連通路112は、オリフィスプレート11の底面において制御室19に面する部分から、オリフィスプレート11の上面に設けられるシート座面114までオリフィスプレート11の内部を延びるように形成されている。シート座面114は、制御弁28の下端面が当接する部分、すなわち制御弁28が着座する部分である。
インジェクタボディ10の内部には、軸線m2に沿って延びるように収容孔102が形成されている。軸線m2は、軸線m1に対して高圧燃料通路16が配置されている方向とは逆方向にずれて位置している。収容孔102には、アクチュエータ14、大径ピストン21、小径ピストン22、シリンダアッパ23、シリンダミドル25、及びシリンダロア26等が収容されている。本実施形態では、大径ピストン21が第1ピストンに相当し、小径ピストン22が第2ピストンに相当する。
アクチュエータ14は、電荷の充放電により軸線m2に沿った方向に伸縮するピエゾ素子を多数積層してなるピエゾ素子積層体と、ピエゾ素子積層体を保護する筒状の絶縁スリーブと、ピエゾ素子積層体の軸方向の両端に設けられる絶縁基板とを備えている。ピエゾ素子積層体への電圧の印加に基づきピエゾ素子積層体に電荷が充電されることにより、アクチュエータ14が軸線m2に沿って下方に伸張する。ピエゾ素子積層体が放電すると、アクチュエータ14が軸線m2に沿って上方に収縮する。アクチュエータ14の伸張変位及び収縮変位に応じた駆動力がスペーサ20を介して大径ピストン21に伝達されることにより、大径ピストン21が軸線m2に沿った方向に変位する。
シリンダアッパ23は、軸線m2を中心に円筒状に形成されている。シリンダアッパ23の内部には、大径ピストン21の中央から下方までの部分が収容されている。大径ピストン21は、シリンダアッパ23の内壁面に対して摺動可能に接することにより、軸線m2に沿った方向に往復動可能に支持されている。大径ピストン21の上部には、環状のリング部材212が固定されている。環状のリング部材212とシリンダアッパ23との間には、ピストンスプリング24が配置されている。ピストンスプリング24は、リング部材212を介して大径ピストン21を上方に付勢している。この大径ピストン21に付与されるピストンスプリング24の付勢力により、アクチュエータ14のピエゾ素子積層体にプリセット荷重が付与されている。
大径ピストン21は、軸線m2を中心に略有底円筒状に形成されている。大径ピストン21は、その開口部分が下方を向く姿勢でシリンダアッパ23により支持されている。大径ピストン21の下方の開口部分には、小径ピストン22の大径部220が挿入されている。大径ピストン21の内壁面、及び小径ピストン22の大径部220の上端面により囲まれる空間には、バルブスプリング37が収容されている。バルブスプリング37は、大径ピストン21の内部の上壁面に設けられたスペーサ30と、小径ピストン22の大径部220の上端面との間に圧縮された状態で配置されている。このバルブスプリング37の弾性力により小径ピストン22が下方に向かって付勢されている。
インジェクタボディ10の収容孔102の内部空間は、低圧室29となっている。低圧室29には、高圧燃料通路16を流通する高圧の燃料よりも低圧の燃料が流通している。大径ピストン21には、その内部空間210と低圧室29とを連通させる連通路211が形成されている。したがって、大径ピストン21の内部空間210には、低圧燃料が流通している。よって、低圧室29には大径ピストン21の内部空間210も含まれている。
小径ピストン22は、軸線m2を中心に円柱状に形成されている。小径ピストン22は、大径部220と、大径部220の外径よりも小さい外径を有する小径部221とを有している。小径部221は、大径部220の下端面から軸線m2に沿って下方に延びるように形成されている。図2に示されるように、大径部220及び小径部221のそれぞれの外径の違いにより、大径部220の下端面には段差面222が形成されている。
シリンダアッパ23の下方には、シリンダミドル25及びシリンダロア26がこの順で配置されている。すなわち、シリンダミドル25は、シリンダアッパ23とシリンダロア26とにより挟まれるようにして配置されている。シリンダミドル25は、軸線m2を中心に円筒状に形成されている。シリンダミドル25の内部には、小径ピストン22の小径部221が収容されている。小径ピストン22の小径部221は、シリンダミドル25の内壁面に対して摺動可能に接することにより、軸線m2に沿った方向に往復動可能に支持されている。シリンダミドル25の上面と小径ピストン22の段差面222との間には、所定の隙間が形成されている。シリンダミドル25の上面、小径ピストン22の段差面222、小径ピストン22の大径部220及び小径部221の外壁面、大径ピストン21の底面、並びにシリンダアッパ23の内壁面により囲まれる空間によって油密室31が形成されている。油密室31には、作動油としての燃料が充填されている。
シリンダロア26は、軸線m2を中心に略有底円筒状に形成されている。シリンダロア26の底壁部263の底面は、オリフィスプレート11の上面に当接している。シリンダロア26の内部は、円盤状の直動ピストン27が収容される直動ピストン収容室34を構成している。直動ピストン27は、シリンダロア26の内壁面に対して摺動可能に接することにより、軸線m2に沿った方向に往復動可能に支持されている。
直動ピストン収容室34には、スプリング33が収容されている。このスプリング33の弾性力により直動ピストン27がシリンダロア26の底壁部263に向かって付勢されることにより、直動ピストン27がシリンダロア26の底壁部263に当接した状態で保持されている。以下では、シリンダロア26の底壁部263に当接している直動ピストン27の位置をシリンダロア26の初期位置と称する。直動ピストン27には、軸線m2に沿ってその底面から上面に向かって貫通する挿通孔270が形成されている。挿通孔270には、制御弁28が挿通されている。挿通孔270の内壁面と制御弁28の外壁面との間には微少な隙間が形成されている。したがって、制御弁28は、直動ピストン27と独立して変位可能である。
シリンダロア26には、直動ピストン収容室34を低圧室29に連通させる連通路262が形成されている。したがって、直動ピストン収容室34には、低圧の燃料が流通している。
制御弁28の上端部は、小径ピストン22の小径部221の底面に形成された凹状の挿入穴223に圧入されている。したがって、制御弁28は、小径ピストン22と一体となって変位する。制御弁28の下端部には、他の部分よりも外径が大きい頭部280が形成されている。頭部280の外径は、直動ピストン27の挿通孔270の内径よりも大きい。頭部280の底面は、オリフィスプレート11のシート座面114に当接している。
制御弁28の上端部は、小径ピストン22の小径部221の底面に形成された凹状の挿入穴223に圧入されている。したがって、制御弁28は、小径ピストン22と一体となって変位する。制御弁28の下端部には、他の部分よりも外径が大きい頭部280が形成されている。頭部280の外径は、直動ピストン27の挿通孔270の内径よりも大きい。頭部280の底面は、オリフィスプレート11のシート座面114に当接している。
軸線m2に沿った方向において頭部280と直動ピストン27の底面との間には、隙間が形成されている。したがって、小径ピストン22と一体となって制御弁28が上方に変位する際には、まずは制御弁28が直動ピストン27とは独立して上方に変位する。その後、制御弁28が更に上方に変位することにより制御弁28の頭部280が直動ピストン27に接触すると、直動ピストン27が制御弁28の頭部280により上方に押圧される。そのため、それ以降は制御弁28及び直動ピストン27が一体となって上方に変位する。
シリンダロア26の底壁部263には、軸線m2に沿ってその底面から上面に貫通する貫通孔264が形成されている。貫通孔264の内部には、制御弁28の頭部280が配置されている。以下では、貫通孔264の内部空間を、減圧室32とも称する。減圧室32は、オリフィスプレート11に形成された連通路112の一端部に連通されている。
シリンダロア26には、減圧室32を低圧室29に連通させる低圧ポート260が形成されている。制御弁28がシート座面114に着座している場合、すなわち制御弁28が閉弁状態である場合、連通路112を介した制御室19と低圧ポート260との連通が遮断されている。制御弁28がシート座面114から離座して開弁状態になることにより、制御室19が連通路112を通じて低圧ポート260に連通される。
低圧ポート260には、アウトオリフィス261が形成されている。アウトオリフィス261は、連通路112から低圧ポート260への燃料の流通を規制している。
図1に示されるように、燃料噴射装置FIは、アクチュエータ14を駆動させる駆動部40を更に備えている。駆動部40は、電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)400や、電子駆動装置(EDU:Electronic Driving Unit)401等から構成されている。本実施形態では、ECU400が制御部に相当する。
図1に示されるように、燃料噴射装置FIは、アクチュエータ14を駆動させる駆動部40を更に備えている。駆動部40は、電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)400や、電子駆動装置(EDU:Electronic Driving Unit)401等から構成されている。本実施形態では、ECU400が制御部に相当する。
ECU400は、CPUやROM、RAM等を有するマイクロコンピュータを中心に構成されている。ECU400は、より上位のECUから受信した信号に基づいてROMに記憶されている制御プログラムを実行する。これにより、ECU400は、燃料噴射装置FIを駆動するための各種制御を実行する。例えば、ECU400は、アクチュエータ14の伸縮駆動を制御する制御信号をEDU401に送信する。
EDU401は、アクチュエータ14に印加させる高電圧を発生する高電圧発生回路と、複数のスイッチング素子とを有している。EDU401は、ECU400からの制御信号である噴射信号に基づいて複数のスイッチング素子のオン及びオフを切り替えることによりアクチュエータ14への電力供給を制御する。すなわち、ECU400からEDU401に送信される制御信号に基づいてアクチュエータ14の駆動が制御される。具体的には、ECU400が制御信号として開弁指令をEDU401に送信すると、EDU401からアクチュエータ14のピエゾ素子積層体に電圧が印加され、アクチュエータ14が伸張する。また、ECU400が制御信号として閉弁指令をEDU401に送信すると、EDU401がアクチュエータ14のピエゾ素子積層体を放電させる。これにより、アクチュエータ14が収縮する。
次に、本実施形態の燃料噴射装置FIの動作例について説明する。
ECU400からEDU401に対して閉弁指令が送信されている場合、EDU401がアクチュエータ14への電圧の印加を停止しているため、アクチュエータ14は収縮状態になっている。この場合、大径ピストン21、小径ピストン22、直動ピストン27、及び制御弁28は図1に示される位置に配置されている。すなわち、制御弁28は閉弁状態になっている。そのため、制御室19と低圧ポート260との連通が遮断されている。このとき、高圧燃料通路16を流通する高圧の燃料が制御室19に流入しているため、制御室19には高圧の燃料が充填されている。制御室19内の燃料圧力によりノズルニードル13が下方に押圧されることによりノズルニードル13が噴射孔121を閉塞している。すなわち、燃料噴射装置FIは閉弁状態になっている。
ECU400からEDU401に対して閉弁指令が送信されている場合、EDU401がアクチュエータ14への電圧の印加を停止しているため、アクチュエータ14は収縮状態になっている。この場合、大径ピストン21、小径ピストン22、直動ピストン27、及び制御弁28は図1に示される位置に配置されている。すなわち、制御弁28は閉弁状態になっている。そのため、制御室19と低圧ポート260との連通が遮断されている。このとき、高圧燃料通路16を流通する高圧の燃料が制御室19に流入しているため、制御室19には高圧の燃料が充填されている。制御室19内の燃料圧力によりノズルニードル13が下方に押圧されることによりノズルニードル13が噴射孔121を閉塞している。すなわち、燃料噴射装置FIは閉弁状態になっている。
この状態でECU400からEDU401に対して開弁指令が送信されると、EDU401がアクチュエータ14への電圧の印加を行うため、アクチュエータ14のピエゾ素子積層体が充電される。これによりアクチュエータ14が伸張すると、大径ピストン21が下方に変位するため、油密室31内の燃料が押圧される。その結果、図3に示されるように、油密室31内の燃料圧力が小径ピストン22の段差面222に対して上方に加わるため、小径ピストン22が上方に押圧される。したがって、小径ピストン22と一体となって制御弁28が上方に変位するため、制御弁28がオリフィスプレート11のシート座面114から離座して開弁状態になる。よって、制御室19内の燃料がオリフィスプレート11の連通路112を通じて減圧室32に流入する。減圧室32に流入した燃料は低圧ポート260を通じてアウトオリフィス261により減圧されつつ低圧室29に流入する。一方、図1に示されるように、高圧燃料通路16から制御室19への高圧燃料の流入は、高圧ポート111に形成されたインオリフィス113により規制される。燃料噴射装置FIでは、インオリフィス113を流通する燃料の流量が、アウトオリフィス261を流通する燃料の流量よりも小さくなるように、インオリフィス113及びアウトオリフィス261のそれぞれの絞り直径が設定されている。これにより、高圧ポート111から制御室19に流入する燃料の流量よりも、制御室19から低圧ポート260に流出する燃料の流量の方が多くなるため、制御室19内の燃料圧力が徐々に低下する。
制御室19内の燃料圧力が低下すると、制御室19内の燃料圧力とニードル収容孔120内の燃料圧力との差圧により、ノズルニードル13に上方の力が付与されるため、ノズルニードル13が上方にリフト動作する。よって、噴射孔121が開放されるため、噴射孔121から高圧の燃料が噴射される。すなわち、燃料噴射装置FIは開弁状態になる。図3に示される状態では、燃料噴射装置FIは、制御室19内の燃料圧力の低下に基づいてノズルニードル13を開弁方向にリフト動作させる油圧サーボ駆動で動作する。
以下では、図3に示されるように制御弁28を開弁させるために必要な動力をアクチュエータ14に発生させるためにアクチュエータ14の充電を行う制御を油圧サーボ制御と称する。本実施形態では、油圧サーボ制御が第1制御に相当する。
なお、図3に示されるように、大径ピストン21において油密室31の油圧力が作用する受圧面、すなわち大径ピストン21の下端面の面積を「S1」とし、小径ピストン22において油密室31の油圧力が作用する受圧面、すなわち小径ピストン22の段差面222の面積を「S2」とすると、本実施形態の燃料噴射装置FIでは、受圧面の面積S1よりも受圧面の面積S2の方が小さくなっている。これにより、大径ピストン21の変位量よりも小径ピストン22の変位量を大きくすることができる。本実施形態の燃料噴射装置FIでは、このような構造により、アクチュエータ14及び大径ピストン21の変位量よりも小径ピストン22及び制御弁28の変位量を大きくすることの可能な変位拡大機構が構成されている。
なお、図3に示されるように、大径ピストン21において油密室31の油圧力が作用する受圧面、すなわち大径ピストン21の下端面の面積を「S1」とし、小径ピストン22において油密室31の油圧力が作用する受圧面、すなわち小径ピストン22の段差面222の面積を「S2」とすると、本実施形態の燃料噴射装置FIでは、受圧面の面積S1よりも受圧面の面積S2の方が小さくなっている。これにより、大径ピストン21の変位量よりも小径ピストン22の変位量を大きくすることができる。本実施形態の燃料噴射装置FIでは、このような構造により、アクチュエータ14及び大径ピストン21の変位量よりも小径ピストン22及び制御弁28の変位量を大きくすることの可能な変位拡大機構が構成されている。
図3に示される状態から更にアクチュエータ14に電圧が印加され続けることによりアクチュエータ14が伸張して大径ピストン21が更に下方に変位すると、図4に示されるように小径ピストン22が更に上方に変位する。これにより、小径ピストン22と一体となって制御弁28が更に上方に変位することにより、制御弁28の頭部280が直動ピストン27に接触するとともに、制御弁28の頭部280が直動ピストン27を上方に押圧する。その結果、直動ピストン27は、制御弁28と一体となって上方に変位する。直動ピストン27が上方に変位することにより、減圧室32の容積が拡大する。減圧室32の容積の拡大に伴って制御室19内の燃料が減圧室32に流入するため、制御室19内の燃料が減少する。
制御室19内の燃料が減少することにより、ノズルニードル13には、上方に向かう方向の油圧力が作用するため、ノズルニードル13が上方に更に変位する。すなわち、ノズルニードル13が開弁方向に更にリフト動作するため、噴射孔121から噴射される燃料量が増加する。このように、直動ピストン27は、アクチュエータ14の伸張に基づいてノズルニードル13をリフト動作させる油圧力を発生させる。図4に示される状態では、燃料噴射装置FIは、アクチュエータ14の駆動力を制御室19の油圧力を介してノズルニードル13に伝達することによりノズルニードル13を開弁方向にリフト動作させる直動駆動で動作する。
以下では、図4に示されるように制御弁28と共に直動ピストンを開弁させるために必要な動力をアクチュエータ14に発生させるためにアクチュエータ14の充電を行う制御を直動制御と称する。本実施形態では、直動制御が第2制御に相当する。
その後、ECU400からEDU401に対して閉弁指令が送信されると、アクチュエータ14が収縮する。アクチュエータ14の収縮により大径ピストン21が上方に変位すると、油密室31内の油圧力により小径ピストン22が下方に変位する。そのため、図5に示されるように、制御弁28が、オリフィスプレート11のシート座面114に着座する閉弁状態になる。よって、制御室19と低圧ポート260との連通が遮断される。一方、高圧燃料通路16を流れる高圧の燃料が高圧ポート111を通じて制御室19に流入する。そのため、制御室19に高圧の燃料が充填される。これにより、制御室19内の燃料圧力によりノズルニードル13が下方に押圧されて噴射孔121を閉塞する。すなわち、燃料噴射装置FIは閉弁状態になる。
その後、ECU400からEDU401に対して閉弁指令が送信されると、アクチュエータ14が収縮する。アクチュエータ14の収縮により大径ピストン21が上方に変位すると、油密室31内の油圧力により小径ピストン22が下方に変位する。そのため、図5に示されるように、制御弁28が、オリフィスプレート11のシート座面114に着座する閉弁状態になる。よって、制御室19と低圧ポート260との連通が遮断される。一方、高圧燃料通路16を流れる高圧の燃料が高圧ポート111を通じて制御室19に流入する。そのため、制御室19に高圧の燃料が充填される。これにより、制御室19内の燃料圧力によりノズルニードル13が下方に押圧されて噴射孔121を閉塞する。すなわち、燃料噴射装置FIは閉弁状態になる。
また、図5に示される状態では、制御弁28が直動ピストン27と独立して変位するため、直動ピストン27は、減圧室32内の油圧力によりシリンダロア26の底壁部263から離間した状態となっている。制御弁28が閉弁状態になると、減圧室32内の燃料が低圧ポート260に流れることにより減圧室32内の燃料圧力が低下するため、直動ピストン27に付与される油圧力が減少する。直動ピストン27に付与されている油圧力がスプリング33の弾性力よりも小さくなると、直動ピストン27は、スプリング33の弾性力により下方に変位することにより、図2に示されるシリンダロア26の底壁部263に当接している状態、すなわち初期位置に復帰する。
次に、図6を参照して、ECU400によるアクチュエータ14の制御態様について説明する。
例えば時刻t10でECU400が図3に示される油圧サーボ制御を開始したとすると、図6(A)に示されるように、大径ピストン21の変位量が時刻t10から徐々に増加する。これに伴い、図6(B)に示されるように、油密室31の油圧力が徐々に上昇する。そして、時刻t11で油密室31の油圧力が所定値FH1まで上昇すると、図6(C)に示されるように制御弁28が変位して開弁する。その後、制御弁28は、開弁位置P1に保持される。開弁位置P1は、初期位置に保持されている直動ピストン27に制御弁28が当接する位置である。
例えば時刻t10でECU400が図3に示される油圧サーボ制御を開始したとすると、図6(A)に示されるように、大径ピストン21の変位量が時刻t10から徐々に増加する。これに伴い、図6(B)に示されるように、油密室31の油圧力が徐々に上昇する。そして、時刻t11で油密室31の油圧力が所定値FH1まで上昇すると、図6(C)に示されるように制御弁28が変位して開弁する。その後、制御弁28は、開弁位置P1に保持される。開弁位置P1は、初期位置に保持されている直動ピストン27に制御弁28が当接する位置である。
一方、制御弁28が開弁することにより、制御室19内の燃料が減圧室32に流入するため、制御室19内の燃料圧力が上昇する。この制御室19内の燃料圧力の上昇に基づいて直動ピストン27に上方の油圧力が作用するため、図6(D)に示されるように、直動ピストン27は、時刻t11以降、シリンダロア26の底壁部263から離間する方向に変位した後、スプリング33の付勢力により時刻t12で初期位置に戻る。
ECU400は、時刻t12以降の時刻t13で図4に示される直動制御を開始する。これにより、図6(A)に示されるように、大径ピストン21の変位量が時刻t13から増加するため、図6(B)に示されるように、油密室31の油圧力も増加する。そして、時刻t14で油密室31の油圧力が所定値FH2まで上昇すると、図6(C)に示されるように、制御弁28が開弁位置P1から更に変位し始める。そして、この制御弁28の変位に応じて、図6(D)に示されるように、直動ピストン27が時刻t14から変位し始める。
ところで、仮に直動ピストン27が初期位置に復帰するよりも前の時刻t20の時点でECU400が図4に示される直動制御を開始したとすると、図6(A)に二点鎖線で示されるように、大径ピストン21の変位量が時刻t20から増加する。このとき、直動ピストン27と制御弁28の頭部280との間の距離が広がっているため、制御弁28が開弁位置P1から所定距離Lだけずれた位置P2まで変位した時刻t21で直動ピストン27に接触する。その後、図6(C)に二点鎖線で示されるように、時刻t21から若干遅れた時刻t22から制御弁28が開弁位置P2から更に変位し始める。そして、この制御弁28の変位に応じて、図6(D)に二点鎖線で示されるように、直動ピストン27が時刻t22から変位し始める。
このように、直動ピストン27が初期位置に復帰するよりも前の時刻t20の時点でECU400が図4に示される直動制御を開始した場合、制御弁28を直動ピストン27に接触させるためには、制御弁28に空走距離Lが必要となる。これは、アクチュエータ14の駆動エネルギを増加させる要因となる。
これに対し、本実施形態の燃料噴射装置FIのように、直動ピストン27が初期位置に一旦戻った後にECU400が直動制御を開始すれば、制御弁28の空走距離Lを無くすことが可能であるため、アクチュエータ14の駆動エネルギを低減することができる。また、直動ピストン27が初期位置に一旦戻った後にECU400が直動制御を開始すれば、より的確に直動ピストン27の変位量を制御することができるため、結果的に燃料噴射装置FIの燃料噴射量をより高い精度で制御することが可能となる。
なお、ECU400は、直動制御を実行する必要がない場合には、油圧サーボ制御のみを実行する。
以上説明した本実施形態の燃料噴射装置FIによれば、以下の(1)〜(6)に示される作用及び効果を得ることができる。
以上説明した本実施形態の燃料噴射装置FIによれば、以下の(1)〜(6)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)制御弁28の開弁動作の初期においては制御弁28が直動ピストン27とは独立して変位するため、アクチュエータ14の駆動力として、直動ピストン27を変位させるために必要な駆動力が必要ない。そのため、アクチュエータ14の駆動負荷を低減することができる。また、制御弁28が閉弁動作する際に制御弁28と直動ピストン27とが独立して変位可能であれば、制御弁28が閉弁状態になることにより直動ピストン27に付与される油圧力を低下させた後に、スプリング33の付勢力により直動ピストン27を初期位置に戻すことができる。これにより、直動ピストン27に付与される油圧力が低下するよりも前に直動ピストン27を初期位置に戻す場合と比較すると、直動ピストン27を初期位置に戻すために必要なスプリング33の付勢力を小さくすることができる。具体的には、スプリング33により直動ピストン27に付与されている付勢力を、直動ピストン27に加わる油圧力の上限値よりも低い値に設定することができる。よって、制御弁28と共に直動ピストン27を変位させる際にスプリング33の付勢力に抗する力がアクチュエータ14に必要になることを考慮すると、スプリング33の付勢力を小さくすることができれば、結果としてアクチュエータ14の駆動負荷を低減することができる。
(2)本実施形態の燃料噴射装置FIでは、大径ピストン21の底面が、アクチュエータ14の伸張方向において油密室31の油圧力が作用する受圧面となっている。また、小径ピストン22の段差面222は、アクチュエータ14の伸張方向とは逆方向において油密室31の油圧力が作用する受圧面となっている。このような構成によれば、大径ピストン21及び小径ピストン22のそれぞれの線膨張係数の差に基づく各ピストン21,22の初期位置のばらつきを油密室31にて吸収することが可能となる。
(3)大径ピストン21の受圧面である底面の面積S1よりも、小径ピストン22の受圧面である段差面222の面積S2の方が小さい。これにより、大径ピストン21の変位量よりも小径ピストン22及び制御弁28の変位量を大きくすることが可能となる。
(4)シリンダロア26は、その内部に直動ピストン27及びスプリング33を収容するとともに、直動ピストン27を摺動可能に支持している。シリンダロア26の内部空間は、低圧室29に連通されている。これにより、直動ピストン27を初期位置から変位させる際の油圧力の増加を抑制することができるため、結果としてアクチュエータ14の駆動負荷を低減することができる。
(4)シリンダロア26は、その内部に直動ピストン27及びスプリング33を収容するとともに、直動ピストン27を摺動可能に支持している。シリンダロア26の内部空間は、低圧室29に連通されている。これにより、直動ピストン27を初期位置から変位させる際の油圧力の増加を抑制することができるため、結果としてアクチュエータ14の駆動負荷を低減することができる。
(5)ECU400は、直動制御の実行開始時期t13を、制御弁28の開弁後にシリンダロア26の減圧室32の燃料圧力により直動ピストン27が初期位置から一旦変位した後に初期位置に戻る時期t12よりも遅れた時期に設定している。これにより、制御弁28の空走が抑制されるため、アクチュエータ14の駆動エネルギを低減することができる。また、より的確に直動ピストン27の変位量を制御することができるため、結果的に燃料噴射装置FIの燃料噴射量をより高い精度で制御することが可能となる。
(6)ECU400は、直動制御を実行する必要がない場合には、油圧サーボ制御のみを実行する。これにより、アクチュエータ14の不要な駆動エネルギの増加を回避することができる。
(変形例)
次に、第1実施形態の燃料噴射装置FIの変形例について説明する。
(変形例)
次に、第1実施形態の燃料噴射装置FIの変形例について説明する。
図7に示されるように、本変形例の燃料噴射装置FIでは、小径ピストン22の小径部221の底面が円錐台状に形成されている。制御弁28の上端部は、小径ピストン22の小径部221の底面に溶接により固定されている。
このような構造からなる燃料噴射装置FIであっても、第1実施形態の燃料噴射装置FIと同一又は類似の作用及び効果を得ることができる。
このような構造からなる燃料噴射装置FIであっても、第1実施形態の燃料噴射装置FIと同一又は類似の作用及び効果を得ることができる。
<第2実施形態>
次に、燃料噴射装置FIの第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態の燃料噴射装置FIとの相違点を中心に説明する。なお、本実施形態では、制御弁28が第1制御弁に相当する。
次に、燃料噴射装置FIの第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態の燃料噴射装置FIとの相違点を中心に説明する。なお、本実施形態では、制御弁28が第1制御弁に相当する。
図8に示されるように、本実施形態の燃料噴射装置FIは、制御室19内に配置される圧力従動弁35を更に備えている。圧力従動弁35は、軸線m1を中心に円盤状に形成されている。圧力従動弁35は、制御室19内に配置されたスプリング36によりオリフィスプレート11に向かって付勢されている。本実施形態では、圧力従動弁35が第2制御弁に相当する。
圧力従動弁35の中央部には、軸線m1に沿って底面から上面に貫通する貫通孔351が形成されている。貫通孔351は、制御室19とオリフィスプレート11の連通路112とを連通させている。貫通孔351には、制御室19からオリフィスプレート11の連通路112への燃料の流通を規制するアウトオリフィス352が形成されている。圧力従動弁35は、オリフィスプレート11の底面に当接している場合、制御室19と高圧ポート111との連通を遮断する。圧力従動弁35がオリフィスプレート11の底面から離間することにより、制御室19と高圧ポート111とが連通される。
次に、本実施形態の燃料噴射装置FIの動作例について説明する。
本実施形態の燃料噴射装置FIでは、制御弁28が閉弁状態である場合、制御室19から低圧ポート260への燃料の流通が遮断されている。このとき、制御室19内の燃料の圧力が、高圧ポート111を流通する燃料の圧力よりも低い場合には、それらの差圧に基づく油圧力が圧力従動弁35に対して下方に作用する。この油圧力に基づいて圧力従動弁35がスプリング36の付勢力に抗してオリフィスプレート11の底面から離間することにより、高圧ポート111と制御室19とが連通される。これにより、制御室19に高圧の燃料が流入可能となるため、制御室19に高圧の燃料が充填される。この制御室19内の燃料圧力によりノズルニードル13が下方に押圧されることで、ノズルニードル13が噴射孔121を閉塞している。よって、燃料噴射装置FIは閉弁状態になっている。
本実施形態の燃料噴射装置FIでは、制御弁28が閉弁状態である場合、制御室19から低圧ポート260への燃料の流通が遮断されている。このとき、制御室19内の燃料の圧力が、高圧ポート111を流通する燃料の圧力よりも低い場合には、それらの差圧に基づく油圧力が圧力従動弁35に対して下方に作用する。この油圧力に基づいて圧力従動弁35がスプリング36の付勢力に抗してオリフィスプレート11の底面から離間することにより、高圧ポート111と制御室19とが連通される。これにより、制御室19に高圧の燃料が流入可能となるため、制御室19に高圧の燃料が充填される。この制御室19内の燃料圧力によりノズルニードル13が下方に押圧されることで、ノズルニードル13が噴射孔121を閉塞している。よって、燃料噴射装置FIは閉弁状態になっている。
アクチュエータ14の伸張に基づき制御弁28が開弁状態になると、制御室19内の燃料が圧力従動弁35の貫通孔351及びオリフィスプレート11の連通路112を通じて低圧ポート260に流入する。このとき、制御室19内の高圧の燃料がアウトオリフィス352を通過する際に減圧されるため、圧力従動弁35の底面に作用する燃料圧力よりも、圧力従動弁35の上面に作用する燃料圧力の方が小さくなる。そのため、圧力従動弁35には、制御室19からオリフィスプレート11に向かう方向の油圧力が作用する。この油圧力によって圧力従動弁35がオリフィスプレート11の底面に当接することにより、オリフィスプレート11の高圧ポート111が閉塞される。すなわち、圧力従動弁35は、制御室19内の燃料圧力の変化に基づいて高圧ポート111を閉塞する。高圧ポート111が閉塞されることにより高圧燃料通路16と制御室19との連通が遮断されるため、制御室19への高圧燃料の流入が規制される。このとき、制御室19内の燃料が圧力従動弁35の貫通孔351及びオリフィスプレート11の連通路112を通じて低圧ポート260に流出するため、制御室19内の燃料圧力が徐々に低下する。この制御室19内の燃料圧力の低下に基づいてノズルニードル13がリフト動作することにより、燃料噴射装置FIが開弁状態になる。
その後、アクチュエータ14の収縮に基づき制御弁28が閉弁状態になると、制御室19内の燃料の圧力と、高圧ポート111を流通する燃料の圧力との差に応じた油圧力が圧力従動弁35に対して下方に作用するため、圧力従動弁35がオリフィスプレート11の底面から離間する。これにより、高圧ポート111から制御室19に高圧の燃料が流入するため、制御室19に高圧の燃料が充填される。この制御室19内の燃料圧力によりノズルニードル13が下方に押圧されることで、ノズルニードル13が噴射孔121を閉塞する。よって、燃料噴射装置FIは閉弁状態になる。
以上説明した本実施形態の燃料噴射装置FIによれば、以下の(7)に示される作用及び効果を更に得ることができる。
(4)圧力従動弁35により高圧ポート111を遮断することができるため、第1実施形態の燃料噴射装置FIのように、インオリフィス113を流通する燃料の流量が、アウトオリフィス261を流通する燃料の流量よりも小さくなるように、インオリフィス113及びアウトオリフィス261のそれぞれの絞り直径を設定する必要がない。したがって、インオリフィス113及びアウトオリフィス261のそれぞれの絞り直径を独立して設定可能であるため、燃料噴射装置FIの設計の自由度を向上させることができる。
(4)圧力従動弁35により高圧ポート111を遮断することができるため、第1実施形態の燃料噴射装置FIのように、インオリフィス113を流通する燃料の流量が、アウトオリフィス261を流通する燃料の流量よりも小さくなるように、インオリフィス113及びアウトオリフィス261のそれぞれの絞り直径を設定する必要がない。したがって、インオリフィス113及びアウトオリフィス261のそれぞれの絞り直径を独立して設定可能であるため、燃料噴射装置FIの設計の自由度を向上させることができる。
<他の実施形態>
なお、各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・第2実施形態の燃料噴射装置FIの構成は、第1実施形態の変形例の燃料噴射装置FIにも適用可能である。
なお、各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・第2実施形態の燃料噴射装置FIの構成は、第1実施形態の変形例の燃料噴射装置FIにも適用可能である。
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
FI:燃料噴射装置
10:インジェクタボディ(本体)
11:オリフィスプレート(本体)
12:ノズルボディ(本体)
13:ノズルニードル
14:アクチュエータ
16:高圧燃料通路
19:制御室
21:第1ピストン
22:第2ピストン
26:シリンダロア
27:直動ピストン
28:制御弁、第1制御弁
29:低圧室
31:油密室
33:スプリング
35:圧力従動弁(第2制御弁)
111:高圧ポート
114:シート座面
121:噴射孔
400:ECU(制御部)
10:インジェクタボディ(本体)
11:オリフィスプレート(本体)
12:ノズルボディ(本体)
13:ノズルニードル
14:アクチュエータ
16:高圧燃料通路
19:制御室
21:第1ピストン
22:第2ピストン
26:シリンダロア
27:直動ピストン
28:制御弁、第1制御弁
29:低圧室
31:油密室
33:スプリング
35:圧力従動弁(第2制御弁)
111:高圧ポート
114:シート座面
121:噴射孔
400:ECU(制御部)
Claims (9)
- 高圧の燃料が流通する高圧燃料通路(16)、前記高圧燃料通路を流れる燃料よりも低圧の燃料が流通する低圧室(29)、及び前記高圧燃料通路を流通する燃料を噴射する噴射孔(121)を有する本体(10,11,12)と、
前記本体の内部に往復動可能に収容され、前記噴射孔を開閉するノズルニードル(13)と、
前記ノズルニードルに閉弁方向の圧力を付与する高圧の燃料が充填される制御室(19)と、
前記本体に設けられたシート座面(114)に着座して閉弁状態になることにより前記制御室及び前記低圧室の連通を遮断する制御弁(28)と、
前記制御弁を前記シート座面から離座させて前記制御弁を開弁状態にすることにより前記制御室及び前記低圧室を連通させるアクチュエータ(14)と、
前記制御弁と一体となって初期位置から変位することにより、前記ノズルニードルをリフト動作させる油圧力を前記制御室に発生させる直動ピストン(27)と、
前記直動ピストンを前記初期位置に戻す方向に付勢するスプリング(33)と、を備え、
前記制御弁は、
閉弁状態から開弁動作する際に、開弁動作の初期において前記直動ピストンと独立して変位するとともに、開弁方向に更に変位して前記直動ピストンに当接することにより前記直動ピストンと一体的に変位し、
開弁状態から閉弁動作する際に、前記直動ピストンと独立して変位可能であり、
前記直動ピストンは、
前記制御弁が閉弁動作する際に、前記スプリングの付勢力により前記初期位置に戻る
燃料噴射装置。 - 前記アクチュエータの駆動力が伝達されることにより、前記アクチュエータの伸張方向に変位する第1ピストン(21)と、
前記制御弁と一体となって変位する第2ピストン(22)と、を備え、
前記第1ピストン及び前記第2ピストンの間には、作動油が充填される油密室(31)が設けられ、
前記第1ピストンは、前記アクチュエータの伸張方向において前記油密室の油圧力が作用する受圧面を有し、
前記第2ピストンは、前記アクチュエータの伸張方向とは逆方向において前記油密室の油圧力が作用する受圧面を有する
請求項1に記載の燃料噴射装置。 - 前記ピストンの受圧面の面積よりも、前記制御弁の受圧面の面積の方が小さい
請求項2に記載の燃料噴射装置。 - 前記制御弁を第1制御弁とするとき、
前記高圧燃料通路から前記制御室に高圧の燃料を流入させる高圧ポート(111)と、
前記制御弁が開弁することに基づいて前記高圧ポートを閉塞する第2制御弁(35)と、を更に備える
請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。 - 前記第2制御弁は、前記制御室内の燃料圧力の変化に基づいて前記高圧ポートを閉塞する圧力従動弁である
請求項4に記載の燃料噴射装置。 - 前記直動ピストン及び前記スプリングが内部に収容され、前記直動ピストンを摺動可能に支持するシリンダ(26)を更に備え、
前記シリンダの内部空間は、前記低圧室に連通されている
請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。 - 前記スプリングにより前記直動ピストンに付与されている付勢力は、前記直動ピストンに加わる油圧力の上限値よりも低い値に設定されている
請求項6に記載の燃料噴射装置。 - 前記制御弁を開弁させるために必要な駆動力を前記アクチュエータに発生させるために前記アクチュエータの充電を行う第1制御と、前記制御弁と共に前記直動ピストンを変位させるために必要な駆動力を前記アクチュエータに発生させるために前記アクチュエータの充電を行う第2制御とを実行する制御部(400)を更に備え、
前記制御部は、前記第2制御の実行開始時期を、前記制御弁の開弁後に前記シリンダの内部空間の燃料圧力により前記直動ピストンが前記初期位置から一旦変位した後に前記初期位置に戻る時期よりも遅れた時期に設定している
請求項6又は7に記載の燃料噴射装置。 - 前記制御部は、前記第2制御を実行する必要が無い場合には、前記第1制御のみを実行する
請求項8に記載の燃料噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018032340A JP2019148193A (ja) | 2018-02-26 | 2018-02-26 | 燃料噴射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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-
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Patent Citations (6)
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