JP2019148034A - 下半身用衣類に好適な生地 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、本発明における下半身用衣類は男性用および女性用に限定されないことに加えて、少なくとも腹部と臀部とを被覆する下半身用衣類であればよく、脚部を備える場合には脚部を被覆する丈の長さには特に限定されるものではない。また、肌着用であってもスポーツ用であっても構わず、その用途は限定されるものではない。なお、腹部とは主として下腹部を指すものである。本発明はこのように限定されない下半身用衣類に好適な生地に関する。
このようなボクサーパンツにおいては、ウエスト側の履き口部に、他の部分よりも伸びにくくウエストを締め付けて身体からのボクサーパンツのズレ落ちを防止するために(ウエスト)バンドが設けられることが一般的である。たとえば、このようなバンドを備えたボクサーパンツが、本願出願人により出願された、特開2012−184526号公報(特許文献1)に開示されている。このようなバンドを備えることによりウエストを締め付けて身体からのボクサーパンツのズレ落ちを防止することができる点、および、着用時の伸長状態でもプリントされた柄等が鮮明に保持されるデザイン性の高いバンド部を衣類に具備できる点では好ましいのであるが、このバンドが肌に喰い込んで圧迫する点を好ましく感じない使用者が存在する可能性がある。
身頃の両側縁長さの中点P1,P2から中心線Cに達するまでのそれぞれの線長さL1とL2と、後身頃の両側縁長さの中点P3およびP4を結ぶ線長さL3とが略同じ長さとされ、前身頃上縁における中心線C上の点である前身頃上端中央点から後身頃上縁における中心線C上の点である後身頃上端中央点に達する中心線C上において、前身頃に当て布が接合もしくはモールド加工が施されている、または/および、クロッチにマチ生地が接合されていることを特徴とする。
すなわち、本発明に係る下半身用衣類に好適な生地は、ウエスト側の履き口部および足繰り側の足口部に伸縮性を付与するバンド部を備えない下半身用衣類に好適に用いられる生地であって、前記生地は、伸縮性を備えるとともに、その端部にヘム処理および縁かがりを必要としない切りっぱなし生地であって、前記下半身用衣類における前記履き口部および前記足口部は切りっぱなし状態であって、前記下半身用衣類における胴周り方向を前記生地についての測定方向として、前記生地の前記測定方向の伸長回復荷重が、伸張率20%で0.75N/mm2以上、かつ、伸張率60%で4.2N/mm2以下の範囲に含まれることを特徴とする。
さらに好ましくは、前記生地の前記測定方向の70N引張り伸度が、143%以上であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記生地を伸張率30%で伸長した後に前記伸長を開放する伸縮動
作を5000回繰り返す繰り返し動作前後における前記生地の前記測定方向の引張り強度の低下率を示すデマッチャー繰返し試験結果が、10%以下であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記デマッチャー繰返し試験結果が、6%以下であるように構成することができる。
なお、本発明に係る生地が好適に採用される下半身用衣類は、男性用のボクサーパンツに限定されるものではなく、主として腹部と臀部とを被覆する下半身用衣類であれば構わず、さらに脚部を被覆する下半身用衣類であっても構わず、脚部を備える場合には脚部を被覆する丈の長さには特に限定されるものではない。
(2)平面上に載置した下半身用衣類または下半身用衣類を着用した起立状態を、背中
側から見て第1の方向が上下方向、
(3)上記(1)または(2)において、腹側から見た第1の方向が下腹部における斜め方向、
(4)上記(1)、(2)または(3)において、背中側から見た第1の方向が、臀部における上下方向
である。
<1>ウエストラインWは、腹側において斜め方向(第1の方向)に伸びやすく縮みやすく、背中側においてウエスト周方向(第2の方向)に伸びにくいため、背中側が胴回り方向に伸びにくいのでウエスト部にゴム等でウエストバンド部を形成しなくてもよくなるとともに、腹部は斜め方向に伸びやすく縮みやすいので、下半身用衣類が身体からずれることを抑制することができる。
図1〜図3を参照して、本発明の対象である生地が好適に採用されるボクサーパンツ300について説明する。ここで、本発明に係る生地が好適に採用される下半身用衣類の一例であるボクサーパンツの構造(たとえば、編地片(パーツ片)の形状および個数ならびにそれらの接合方法)には様々なものがあり、本発明は特定の構造に限定されるボクサーパンツに好適に採用されるものではなく、後述する技術的特徴を備えたものであれば、どのようなボクサーパンツの構造であっても、ボクサーパンツを構成する編地の種類、編地の型紙(編地片(パーツ片)の形状および個数)およびその編地の接合方法がどのようなものであっても基本的には構わない。そのため、以下に示すボクサーパンツ300の構造自体は単なる例示でしかない。
での脚部を覆わない。
図3において、以下のように、編地310、中央部編地320および股部編地330が接合される。
編地310の点P(M3)と中央部編地320の点P(B3)とが重なり、かつ、編地310の点P(M4)と中央部編地320の点P(B4)とが重なるように(実線両矢印AL2)、
編地310の点P(M5)と股部編地330の点P(TH5)とが重なり、かつ、編地310の点P(M6)と股部編地330の点P(TH6)とが重なるように(実線両矢印AL3)、
中央部編地320の点P(B1)と股部編地330の点P(TH1)とが重なり、かつ、中央部編地320の点P(B2)と股部編地330の点P(TH2)とが重なるように(実線両矢印AL4)、
中央部編地320の点P(B3)と股部編地330の点P(TH3)とが重なり、かつ、中央部編地320の点P(B2)と股部編地330の点P(TH2)とが重なるように(実線両矢印AL5)、
編地310の点P(M1)と股部編地330の点P(TH1)とが重なり、かつ、編地310の点P(M7)と股部編地330の点P(TH7)とが重なるように(実線両矢印AL6)、
編地310の点P(M3)と股部編地330の点P(TH3)とが重なり、かつ、編地310の点P(M8)と股部編地330の点P(TH8)とが重なるように(実線両矢印AL7)、編地端どうしで接合されているとともに、編地110と中央部編地120と股部編地330が接合されて、図3において点線の両矢示で示すように胴回りおよび左右の太腿周りで筒状になるように接合されている。
次に、本発明に係る生地自体の特徴(以下において生地特性と記載する場合がある)、および、本発明に係る生地が好適に採用される下半身用衣類自体の特徴(以下において製品特性と記載する場合がある)について、図4〜図9を参照して説明する。
るための図である。より詳しくは、図4(A)は(立位)着圧とズレ量との関係を示す図で、図4(B)は図4(A)に示す関係を求めるに際して予め定められた回数だけ繰り返される屈伸動作を示す図で、図4(C)は応力伸張率曲線であって製品特性のズレないに対応する生地特性の伸長回復荷重を示す図である。
図7はボクサーパンツ300に好適に採用される生地に要求される生地特性である耐久性があることを説明するための図であって、ボクサーパンツ300に採用された生地のサンプルを伸張率30%で伸長した後に伸長を開放する伸縮動作を5000回繰り返す繰り返し動作前後における生地の測定方向(ボクサーパンツ300の胴周り方向)の引張り強度の低下率を示すデマッチャー繰返し試験(以下において洗濯デマッチャー試験と記載する場合がある)結果を示す図である。
図9は実施例および比較例を示す図であって、より詳しくは、図9(A)は本発明に係る生地および比較例に係る生地の組成および使用原糸を示す図で、図9(B)は本発明に係る生地および比較例に係る生地の生地特性に関係する生地試験結果(定量値)を示す図で、図9(C)は本発明に係る生地が好適に採用される下半身用衣類の一例であるボクサーパンツ300の製品特性に関係する着用試験結果(定性値)を示す図である。
[ズレないという製品特性およびこれを実現するための生地特性]
図4を参照して、ボクサーパンツ300に要求される第1の製品特性であるズレないこと、および、これを実現するための生地特性について説明する。
このズレないという製品特性を定量的に規定するに際しての手順については、より詳しくは、以下の通りである。
(2)各サイズのボクサーパンツを着用して、トレッドミルで時速5km(傾斜なし設定)に設定して3分間歩行した後に立位状態でのボクサーパンツ腰部の位置にマーキングをし、屈伸運動を3回行なう。
(3)屈伸運動3回後、マーキングの位置からボクサーパンツの腰部がどれだけずれたかを測定する。
(4)ずれ量測定後に、ボクサーパンツ腰位置より5cm下で接触圧測定器を用いてボクサーパンツの腰部への着圧を測定する。
(5)上記(1)〜(4)を試験1回として3回の平均によりずれ量と着圧とを算出する。
ン(胴周り)伸張率(%)がおおよそ20%を下回ると、棒グラフで示す(立位)着圧が4hPaを下回り着圧が明らかに不足して、折れ線グラフで示すズレ量も極端に増加してしまう。一方、ウエストライン(胴周り)伸張率(%)がおおよそ20%以上になると、(立位)着圧は単純に増加するものの、ズレ量は極端には減少しない。さらに、ズレ量を少なくするためには(立位)着圧を増加させることは容易に思い付くものの、(立位)着圧の増加に対して、ズレ量はさほど減少しないで、ウエストライン(胴周り)伸張率(%)がおおよそ60%を越えると、ウエストラインにカールが発生してしまい着心地および見栄えが好ましくなくなる。
次に、図5を参照して、ボクサーパンツ300に要求される第2の製品特性である締め付けないことについて説明する。
図5(A)および図5(B)に示すフィット圧は、たとえば、製品状態のボクサーパンツ300をオートグラフ(島津製作所製AGS−1kNG)にセットして、各サイズ(たとえば、3サイズ展開であればSサイズ、Mサイズ、Lサイズ)の下限寸法および上限寸法まで伸長するために必要とした荷重を測定した数値である。すなわち、Mサイズのボクサーパンツ300の二重生地で構成されている膨出部B以外(たとえばウエストラインである胴周り)の部分をオートグラフにセットして、別途規定されたMサイズの下限寸法(76cm)に伸長するために必要な荷重、および、同じように別途規定されたMサイズの上限寸法(84cm)に伸長するために必要な荷重を測定した。
め付けることなく、極めてソフトに身体を包み込むように着用することできるので、極めて着用感が好ましい。
次に、図6を参照して、ボクサーパンツ300に要求される第3の製品特性である着脱しやすいことについて説明する。
図6に示すウエスト部最大伸びは、たとえば、製品状態のMサイズのボクサーパンツ300のウエストラインである胴周りをオートグラフ(島津製作所製AGS−1kNG)にセットして、70Nの引張り荷重を付与したときの最大伸びであって、新品のボクサーパンツ300について測定した最大伸びと、洗濯品(1回洗濯)のボクサーパンツ300について測定した最大伸びである。
次に、図7を参照して、ボクサーパンツ300に要求される第4の製品特性であるダレないということについて説明する。なお、このダレないという第4の製品特性は、洗濯デマッチャー試験において生地サンプルを用いて特性を算出しているために、生地特性として説明する。
(1)縦10cm×周長60cmのボクサーパンツ300のウエストラインを模擬した試験生地サンプルを作成する。
(2)上記の試験生地サンプルについて洗濯を繰返し、洗濯10回(L10)、30回(L30)のサンプルを作成する。
(3)上記(2)の洗濯後の試験生地サンプルおよび新品の試験生地サンプルについて置き寸で横幅を測定する。
(4)デマッチャー試験機の形状の繰返し引張疲労試験機により5000回伸長と収縮とを繰り返す(伸張率は置き寸横幅の1.3倍)。
(5)5000回伸長と収縮とを繰り返した後の、置き寸横幅を測定する。
(6)(上記(5)の置き寸横幅)/(上記(3)の置き寸横幅)×100をダレ率(%)として算出する。
(7)上記(1)〜(6)を試験1回として3回の平均によりダレ率を算出する。
[実施例および比較例]
ボクサーパンツ300に要求される製品特性、および、この製品特性に関連して要求される生地特性またはこの製品特性に関連しないで要求される生地特性(ボクサーパンツ300に好適に採用される生地に要求される生地特性)を、実施例1、2、3および比較例1、2、3を用いて検証した。
いずれの実施例1、実施例2、実施例3も生地特性として、
伸張率20%で0.75N/mm2以上、かつ、伸張率60%で4.2N/mm2以下の範囲、さらに好ましくは、伸張率20%で1.2N/mm2以上、かつ、伸張率60%で3.8N/mm2以下の範囲を満足し、
70Nの荷重を付与したときに、ボクサーパンツ300の胴周り方向に対応する生地の70N引張り伸度が143%以上であることを満足し、
ダレ率10%以下、好ましくはダレ率6%であることを満足している。
そして、いずれの実施例1、実施例2、実施例3も製品特性として、
ズレないという製品特性を定量的に規定したズレ量がおおよそ10mm以下であることを満足し、
締め付けないことを定量的に規定した、サイズ毎に定められた下限寸法および上限寸法まで伸長したときの荷重が1.08N以上7.0N以下であることを満足し、
着脱しやすいという製品特性を定量的に規定した最大伸びがMサイズで61cm、Lサイズで66cmであることを満足しており、定量的なズレ量、定性的な評価結果から、いずれの実施例1、実施例2、実施例3も好ましい製品特性を実現できている一方、いずれの比較例1、比較例2、比較例3もこれらの製品特性の全てを満足しているものは存在しない。
310 編地
320 中央部編地(膨出部Bを形成)
330 股部編地(シック部THを形成)
Claims (6)
- ウエスト側の履き口部および足繰り側の足口部に伸縮性を付与するバンド部を備えない下半身用衣類に好適に用いられる生地であって、
前記生地は、伸縮性を備えるとともに、その端部にヘム処理および縁かがりを必要としない切りっぱなし生地であって、
前記下半身用衣類における前記履き口部および前記足口部は切りっぱなし状態であって、
前記下半身用衣類における胴周り方向を前記生地についての測定方向として、
前記生地の前記測定方向の伸長回復荷重が、伸張率20%で0.75N/mm2以上、かつ、伸張率60%で4.2N/mm2以下の範囲に含まれることを特徴とする、生地。 - 前記伸長回復荷重が、伸張率20%で1.2N/mm2以上、かつ、伸張率60%で3.8N/mm2以下の範囲に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の生地。
- 前記生地の前記測定方向の70N引張り伸度が、143%以上であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の生地。
- 前記生地を伸張率30%で伸長した後に前記伸長を開放する伸縮動作を5000回繰り返す繰り返し動作前後における前記生地の前記測定方向の引張り強度の低下率を示すデマッチャー繰返し試験結果が、10%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の生地。
- 前記生地を予め定められた回数だけ洗濯した後における前記デマッチャー繰返し試験結果が、10%以下であることを特徴とする、請求項4に記載の生地。
- 前記デマッチャー繰返し試験結果が、6%以下であることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の生地。
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