JP6672355B2 - 下半身用衣類 - Google Patents
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Description
しかし、身体を平面上に投影したような平面的なパターンに沿って裁断された生地片を縫製して立体形状に仕立て上げても、三次元の複雑な曲面形状を呈する人の腹部、臀部、脚部に対応するのは極めて困難であり、不快な着圧を回避するためにパターンを大きめに構成すると、だぶつきが生じて脚部が臀部側に引き上がったりして着心地が悪くなるばかりか美観が損なわれるという問題点があった。そのため、本願出願人により、この問題点を解決する肌着が開発されて、特開2016−050367号公報(特許文献1)に開示されている。この特許文献1に開示された肌着は、身頃部と、前立て部と、マチ部とを備え、身頃部と身頃部に形成された前刳りに接合される前立て部とで形成される胴部上縁に腰部緊締部材が設けられ、身頃部と身頃部に形成された股刳りに接合されるマチ部とで脚部を挿通する裾部が形成されている肌着であって、刳り深さ方向に沿って刳り幅が次第に大きくなり刳り幅が最大になる部位を備え、最大刳り深さが臀溝に対応する位置またはその近傍位置となる後股刳りが形成されている。
肌着のようにパターン図の形状を工夫するのではなく、従来のパターン図に第1の方向とこの第1の方向と略直交する第2の方向とで伸縮性が異なるという特性を備えた編地をその方向性を考慮して採用することに着目して開発を鋭意進めた。
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、主として腹部と臀部とを被覆する下半身用衣類に関し、下半身の動きに対して追従しやすく履き心地のよい下半身用衣類を提供することである。
すなわち、本発明のある局面に係る下半身用衣類は、第1の方向と前記第1の方向と略直交する第2の方向とで伸縮性が異なる編地を用いた下半身用衣類であって、前記第1の方向の伸縮性が前記第2の方向の伸縮性よりも大きく、前記第1の方向が前記第2の方向よりもよく伸びてよく縮み、平面上に載置した前記下半身用衣類を腹側から見た場合に少なくとも中央部以外は前記第1の方向が斜め方向であり、平面上に載置した前記下半身用衣類を背中側から見て前記第1の方向が上下方向であることを特徴とする。
さらに好ましくは、前記下半身用衣類は、下腹部および臀部を少なくとも被覆する下肢用衣類であって、1枚の編地の編地端どうしで接合されているように構成することができる。
このボクサーパンツ100は、第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)とこの第1の方向と略直交する第2の方向とで伸縮性が異なる編地を用いて形成されている。ここでは、第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)の伸縮性が第2の方向の伸縮性よりも大きく、第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)が第2の方向よりもよく伸びてよく縮む方向であるとする。
およびボクサーパンツ200の構造自体は単なる例示でしかない。
このボクサーパンツ100は、図1に示すように、ボクサーパンツ100を着用した起立状態を腹側から見た場合に少なくとも中央部以外(膨出部B以外)は第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)が斜め方向であり、ボクサーパンツ100を着用した起立状態を背中側から見て第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)が上下方向であることが技術的特徴である。ここで、このボクサーパンツ100の着用状態でない平面上に載置した状態(商品としてのボクサーパンツ100を広げて平面上に載置した状態)であっても、図2に示すように、ボクサーパンツ100を腹側から見た場合に少なくとも中央部以外(膨出部B以外)は第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)が斜め方向であり、背中側から見て第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)が上下方向である。
本実施の形態においては、この接合方法として縫合を採用しているが、本発明がこの縫合に限定されるものではない。すなわち、接合方法については特定の方法に限定されるものではなく、縫合(縫製による接合)であっても構わないし、接着であっても、さらに別の接合方法であっても構わない。ここでは、接合方法として縫合を用いて、図3に実線の
両矢印で示されるように編地を合わせて縫合することにより、このボクサーパンツ100が形成されている。
ここで、このボクサーパンツ100における第1の方向(伸びやすく縮みやすい:地の目と略直交する方向)および第2の方向(伸びにくく縮みにくい:地の目方向)について図4を用いて説明する。ここでは、膨出部Bを備えないボクサーパンツ200を代表させて説明するが、ボクサーパンツ100も膨出部B以外は同じである。
このため、ボクサーパンツ200においてウエストラインWにおける背中側は胴周り方向に伸びにくくなるのでウエスト部にゴム等でウエストバンド部を形成しなくてもよくなり、むやみにウエストを締め付けることにより履き心地が悪くなることを回避することができる。なお、本発明に係る下半身用衣類が、ウエスト部にゴム等のウエストバンド部を備えないものに限定されるわけではない。
ここで、これらのボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200を形成するヨコ編地は、限定されるものではないが、周縁を切りっぱなし仕様とされた編地で構成することも好ましい。また、周縁を切りっぱなし仕様とされたタテ編みの編地であっても構わない。本実施の形態に係るボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200では綿ベアフライス編みの編地のポリウレタンを溶着した切りっぱなし仕様のヨコ編地を採用している。このヨコ編地は、周縁を切りっぱなし仕様(状態)のままで使用するために、熱融着性繊
維(たとえば、ポリウレタン繊維等の比較的に低融点の熱融着性繊維が好ましくここでは上述したようにポリウレタン)と該繊維よりも高融点の他の繊維(たとえば、綿、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、キュプラ等の上述した熱融着性繊維よりも高融点の繊維が好ましくここでは上述したように綿)とを含み、予め、熱融着性繊維の融点以上で他の繊維の融点以下の温度で熱セットされて解れ止め処理されるのが好ましい。このように、解れないように周囲が周縁処理(パイピング処理)されていないために肌に直接触れても、履き心地がよいことに加えて、周縁処理のために形成された端部の折り返しの厚みがアウターの衣服に出てしまうこともない。
<第1の作用効果>
これらのボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200におけるウエストラインWは、腹側において斜め方向(第1の方向)に伸びやすく縮みやすく、背中側においてウエスト周方向(第2の方向)に伸びにくい。このため、背中側が胴周り方向に伸びにくいのでウエスト部にゴム等でウエストバンド部を形成しなくてもよくなるとともに、腹部は斜め方向に伸びやすく縮みやすいので、ボクサーパンツが身体からずれることを抑制することができる。
これらのボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200における背中側の臀部は上下方向に伸びやすく縮みやすい。このため、起立状態から着座した場合に、臀部において編地が突っ張ってしまうことが発生しないのでスムーズに着座動作できるようになる。
<第3の作用効果>
これらのボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200は、ボクサーパンツ100の膨出部Bを除けば腹側に接合部を備え背中側に接合部を備えない。このため、背中側に接合線が全く存在せず、また他の部位においても接合線が少ないので、肌に直接触れても、履き心地がよい。
編地片に切りっぱなし仕様の緯編地を採用した場合には、肌に直接触れても、履き心地がよいことに加えて(肌ストレスと着圧とを低減)、周縁処理のために形成された端部の折り返しの厚みがアウターの衣服に出てしまうこともない。さらに、接合方法として(縫合ではなく)接着テープを採用した場合には、縫合線がないので、肌に直接触れても、履き心地のよく、肌ストレスと着圧とをさらに低減することができる。
<変形例>
以下において、図5〜図7を参照して、本発明の実施の形態の変形例に係るボクサーパンツ300について説明する。なお、以下の説明においてはこの変形例に係るボクサーパンツ300について、上述したボクサーパンツ100またはボクサーパンツ200と同じ構成については同じ符号を付している。それらの構造および機能は同じであるため、それらについてのここでの詳細な説明は繰り返さない場合がある。
係る下半身用衣類に必須の構成要件ではなく、シック部THを設ける場合には伸縮性の大きい第1の方向が、仮想的に図示したストレッチラインSに沿った方向であっても構わないし、仮想的に図示したストレッチラインSに略直交する方向であっても構わないし、他の方向であっても構わない。
中央部編地320は、2枚の生地片である中央部第1編地320Aと中央部第2編地320Bとを1点鎖線の矢印で示すように合わせて縫合した後に白抜き矢印で折り返して二重折り返し部DLを形成する。この二重折り返し部DLは、ウエストラインWの一部を形成する。
編地310の点P(M0)と中央部編地320の点P(B0)とが重なり、かつ、編地310の点P(M1)と中央部編地320の点P(B1)とが重なるように(実線両矢印AL1)、
編地310の点P(M3)と中央部編地320の点P(B3)とが重なり、かつ、編地310の点P(M4)と中央部編地320の点P(B4)とが重なるように(実線両矢印AL2)、
編地310の点P(M5)と股部編地330の点P(TH5)とが重なり、かつ、編地310の点P(M6)と股部編地330の点P(TH6)とが重なるように(実線両矢印AL3)、
中央部編地320の点P(B1)と股部編地330の点P(TH1)とが重なり、かつ、中央部編地320の点P(B2)と股部編地330の点P(TH2)とが重なるように(実線両矢印AL4)、
中央部編地320の点P(B3)と股部編地330の点P(TH3)とが重なり、かつ、中央部編地320の点P(B2)と股部編地330の点P(TH2)とが重なるように(実線両矢印AL5)、
編地310の点P(M1)と股部編地330の点P(TH1)とが重なり、かつ、編地310の点P(M7)と股部編地330の点P(TH7)とが重なるように(実線両矢印AL6)、
編地310の点P(M3)と股部編地330の点P(TH3)とが重なり、かつ、編地310の点P(M8)と股部編地330の点P(TH8)とが重なるように(実線両矢印AL7)、編地端どうしで接合されているとともに、編地110と中央部編地120と股部編地330が接合されて、図7において点線の両矢示で示すように胴周りおよび左右の太腿周りで筒状になるように接合されている。
以上のようにして、本実施の形態に係るボクサーパンツによると、主として腹部と臀部とを被覆する下半身用衣類の一例であるボクサーパンツにおいて、下半身の動きに対して追従しやすく履き心地のよいボクサーパンツを提供することができる。
図される。
110 編地
120 中央部編地(膨出部を形成)
200 ボクサーパンツ(膨出部なしタイプ)
210 編地(1枚でボクサーパンツを形成する編地)
300 ボクサーパンツ(膨出部およびシック部ありタイプ)
310 編地
320 中央部編地(膨出部を形成)
330 股部編地(シック部を形成)
Claims (5)
- 第1の方向と前記第1の方向と略直交する第2の方向とで伸縮性が異なる編地を用いた下半身用衣類であって、
前記第1の方向の伸縮性が前記第2の方向の伸縮性よりも大きく、前記第1の方向が前記第2の方向よりもよく伸びてよく縮み、
平面上にウエストラインが略水平方向になるように載置した前記下半身用衣類を腹側から見た場合に、前記平面上に載置した前記下半身用衣類における左右のラインと前記ウエストラインとの交差部において前記第1の方向が斜め方向であり、
平面上にウエストラインが略水平方向になるように載置した前記下半身用衣類を背中側から見て、前記平面上に載置した前記下半身用衣類における前記ウエストラインの左右方向の中点において前記第1の方向が前記ウエストラインと略直交する方向であることを特徴とする、下半身用衣類。 - 第1の方向と前記第1の方向と略直交する第2の方向とで伸縮性が異なる編地を用いた下半身用衣類であって、
前記第1の方向の伸縮性が前記第2の方向の伸縮性よりも大きく、前記第1の方向が前記第2の方向よりもよく伸びてよく縮み、
前記下半身用衣類を着用した起立状態を腹側から見た場合に、前記下半身用衣類を着用した起立状態での前記下半身用衣類における左右のラインとウエストラインとの交差部において前記第1の方向が斜め方向であり、
前記下半身用衣類を着用した起立状態を背中側から見て、臀裂に沿った線と前記ウエストラインとの交差部において前記第1の方向がウエストラインと略直交する方向であることを特徴とする、下半身用衣類。 - 前記下半身用衣類は、下腹部および臀部を少なくとも被覆する下肢用衣類であって、
前記腹側から見た前記第1の方向が、前記下腹部における斜め方向であり、
前記背中側から見た前記第1の方向が、前記臀部における上下方向であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の下半身用衣類。 - 前記下半身用衣類は、下腹部および臀部を少なくとも被覆する下肢用衣類であって、
1枚の編地の編地端どうしで接合されていることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の下半身用衣類。 - 前記下半身用衣類は、前記1枚の編地に加えて、腹側から見た場合に臍の位置または臍の仮想位置と太腿の付け根位置または太腿の付け根仮想位置とを結んだ線を含む位置に男性の局部を収納するための膨出部を形成する中央部編地をさらに含み、前記1枚の編地の編地端どうしで接合されているとともに前記1枚の編地と前記中央部編地とが接合されていることを特徴とする、請求項4に記載の下半身用衣類。
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