JP7346840B2 - 下半身用衣類 - Google Patents
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Description
しかし、身体を平面上に投影したような平面的なパターンに沿って裁断された生地片を縫製して立体形状に仕立て上げても、三次元の複雑な曲面形状を呈する人の腹部、臀部、脚部に対応するのは極めて困難であり、不快な着圧を回避するためにパターンを大きめに構成すると、だぶつきが生じて脚部が臀部側に引き上がったりして着心地が悪くなるばかりか美観が損なわれるという問題点があった。そのため、本願出願人により、この問題点を解決する肌着が開発されて、特開2016-050367号公報(特許文献1)に開示されている。この特許文献1に開示された肌着は、身頃部と、前立て部と、マチ部とを備え、身頃部と身頃部に形成された前刳りに接合される前立て部とで形成される胴部上縁に腰部緊締部材が設けられ、身頃部と身頃部に形成された股刳りに接合されるマチ部とで脚部を挿通する裾部が形成されている肌着であって、刳り深さ方向に沿って刳り幅が次第に大きくなり刳り幅が最大になる部位を備え、最大刳り深さが臀溝に対応する位置またはその近傍位置となる後股刳りが形成されている(請求項1)。また、この特許文献1には、この肌着の身生地として、ヨコ編機で編成されたフライス編地やスムース編地等が好適に用いられ、その他天竺編み等の任意のヨコ編地やタテ編地を用いることもできることが開示されている(第0050段落)。
開示された肌着を形成すると、インクジェットプリンターにより鮮明に捺染された図柄が表現されたデザイン性の高い肌着を実現することができる。
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、主として腹部と臀部とを被覆する下半身用衣類に関し、(1)染色された編地を接合して形成された下半身用衣類において胴回りのウエストラインに染色された図柄を着用時において鮮明に表現する下半身用衣類を提供すること、(2)下半身の動きに対して追従しやすく履き心地のよい下半身用衣類を提供することである。
すなわち、本発明に係る下半身用衣類は、第1の方向と前記第1の方向と略直交する第
2の方向とで伸縮性が異なる編地を所定の形状の型紙に沿って少なくともウエストラインを含む編地片を切り出して前記編地片における所定の周縁部どうしを接合した下半身用衣類であって、前記第1の方向の伸縮性が前記第2の方向の伸縮性よりも大きく、前記第1の方向が前記第2の方向よりもよく伸びてよく縮み、平面上に載置した前記編地片において、前記ウエストラインの任意の位置における接線と前記第1の方向とが平行でないことを特徴とする。
さらに好ましくは、前記編地は捺染された編地であるように構成することができる。
上記目的(2)を達成するため、本発明に係る下半身用衣類は、上述した構成に代えて/加えて、以下の技術的手段を講じるようにしても構わない。
さらに好ましくは、前記下半身用衣類は、下腹部および臀部を少なくとも被覆する下肢用衣類であって、1枚の編地の編地端どうしで接合されているように構成することができる。
このボクサーパンツ100は、第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)とこの第1の方向と略直交する第2の方向とで伸縮性が異なる編地を用いて形成されている。ここでは、第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)の伸縮性が第2の方向の伸縮性よりも大きく、第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)が第2の方向よりもよく伸びてよく縮む方向であるとする。
になる。その結果、ストレッチラインSに沿った方向がタテ編地のタテ方向(第1の方向)でストレッチラインSに沿った方向と略直交する方向がタテ編地のヨコ方向(第2の方向)になる。
このボクサーパンツ100は、図1に示すように、ボクサーパンツ100を着用した起立状態を腹側から見た場合に少なくとも中央部以外(膨出部B以外)は第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)が斜め方向であり、ボクサーパンツ100を着用した起立状態を背中側から見て第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)が上下方向であることが技術的特徴である。ここで、このボクサーパンツ100の着用状態でない平面上に載置した状態(商品としてのボクサーパンツ100を広げて平面上に載置した状態)であっても、図2に示すように、ボクサーパンツ100を腹側から見た場合に少なくとも中央部以外(膨出部B以外)は第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)が斜め方向であり、背中側から見て第1の方向(ストレッチラインSに沿った方向)が上下方向である。
なるように接合されている。
本実施の形態においては、この接合方法として縫合を採用しているが、本発明がこの縫合に限定されるものではない。すなわち、接合方法については特定の方法に限定されるものではなく、縫合(縫製による接合)であっても構わないし、接着であっても、さらに別の接合方法であっても構わない。ここでは、接合方法として縫合を用いて、図3に実線の両矢印で示されるように編地を合わせて縫合することにより、このボクサーパンツ100が形成されている。
ここで、このボクサーパンツ100における第1の方向(伸びやすく縮みやすい:地の目と略直交する方向)および第2の方向(伸びにくく縮みにくい:地の目方向)について図4を用いて説明する。ここでは、膨出部Bを備えないボクサーパンツ200を代表させて説明するが、ボクサーパンツ100も膨出部B以外は同じである。
このため、ボクサーパンツ200においてウエストラインWにおける背中側は胴周り方向に伸びにくくなるのでウエスト部にゴム等でウエストバンド部を形成しなくてもよくなり、むやみにウエストを締め付けることにより履き心地が悪くなることを回避することができる。なお、本発明に係る下半身用衣類が、ウエスト部にゴム等のウエストバンド部を備えないものに限定されるわけではない。
ここで、これらのボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200を形成するヨコ編地は、限定されるものではないが、周縁を切りっぱなし仕様とされた編地で構成することも好ましい。また、周縁を切りっぱなし仕様とされたタテ編みの編地であっても構わない。本実施の形態に係るボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200では綿ベアフライス編みの編地のポリウレタンを溶着した切りっぱなし仕様のヨコ編地を採用している。このヨコ編地は、周縁を切りっぱなし仕様(状態)のままで使用するために、熱融着性繊維(たとえば、ポリウレタン繊維等の比較的に低融点の熱融着性繊維が好ましくここでは上述したようにポリウレタン)と該繊維よりも高融点の他の繊維(たとえば、綿、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、キュプラ等の上述した熱融着性繊維よりも高融点の繊維が好ましくここでは上述したように綿)とを含み、予め、熱融着性繊維の融点以上で他の繊維の融点以下の温度で熱セットされて解れ止め処理されるのが好ましい。このように、解れないように周囲が周縁処理(パイピング処理)されていないために肌に直接触れても、履き心地がよいことに加えて、周縁処理のために形成された端部の折り返しの厚みがアウターの衣服に出てしまうこともない。
このように形成され上述した技術的特徴を備えたこのボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200は、以下のような作用効果を発現することができる。
これらのボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200におけるウエストラインWは、腹側において斜め方向(第1の方向)に伸びやすく縮みやすく、背中側においてウエスト周方向(第2の方向)に伸びにくい。このため、背中側が胴周り方向に伸びにくいのでウエスト部にゴム等でウエストバンド部を形成しなくてもよくなるとともに、腹部は斜め方向に伸びやすく縮みやすいので、ボクサーパンツが身体からずれることを抑制することができる。
<第2の作用効果>
これらのボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200における背中側の臀部は上下方向に伸びやすく縮みやすい。このため、起立状態から着座した場合に、臀部において編地が突っ張ってしまうことが発生しないのでスムーズに着座動作できるようになる。
これらのボクサーパンツ100およびボクサーパンツ200は、ボクサーパンツ100の膨出部Bを除けば腹側に接合部を備え背中側に接合部を備えない。このため、背中側に接合線が全く存在せず、また他の部位においても接合線が少ないので、肌に直接触れても、履き心地がよい。
<第4の作用効果>
編地片に切りっぱなし仕様の緯編地を採用した場合には、肌に直接触れても、履き心地がよいことに加えて(肌ストレスと着圧とを低減)、周縁処理のために形成された端部の折り返しの厚みがアウターの衣服に出てしまうこともない。さらに、接合方法として(縫合ではなく)接着テープを採用した場合には、縫合線がないので、肌に直接触れても、履き心地のよく、肌ストレスと着圧とをさらに低減することができる。
以下において、図5~図7を参照して、本発明の実施の形態の第1の変形例に係るボクサーパンツ300について説明する。なお、以下の説明においてはこの変形例に係るボクサーパンツ300について、上述したボクサーパンツ100またはボクサーパンツ200と同じ構成については同じ符号を付している。それらの構造および機能は同じであるため、それらについてのここでの詳細な説明は繰り返さない場合がある。
る。これらの図5および図6において伸縮性の大きい第1の方向は、仮想的に図示したストレッチラインSに沿った方向である。さらに、図7はこのボクサーパンツ300の型紙を示す平面図(紙面表面が肌に当接する面)である。ここで、図5が図1に、図6が図2に、図7が図3に、それぞれ対応する。
中央部編地320は、2枚の生地片である中央部第1編地320Aと中央部第2編地320Bとを1点鎖線の矢印で示すように合わせて縫合した後に白抜き矢印で折り返して二重折り返し部DLを形成する。この二重折り返し部DLは、ウエストラインWの一部を形成する。
編地310の点P(M0)と中央部編地320の点P(B0)とが重なり、かつ、編地310の点P(M1)と中央部編地320の点P(B1)とが重なるように(実線両矢印AL1)、
編地310の点P(M3)と中央部編地320の点P(B3)とが重なり、かつ、編地310の点P(M4)と中央部編地320の点P(B4)とが重なるように(実線両矢印AL2)、
編地310の点P(M5)と股部編地330の点P(TH5)とが重なり、かつ、編地310の点P(M6)と股部編地330の点P(TH6)とが重なるように(実線両矢印AL3)、
中央部編地320の点P(B1)と股部編地330の点P(TH1)とが重なり、かつ、中央部編地320の点P(B2)と股部編地330の点P(TH2)とが重なるように(実線両矢印AL4)、
中央部編地320の点P(B3)と股部編地330の点P(TH3)とが重なり、かつ、中央部編地320の点P(B2)と股部編地330の点P(TH2)とが重なるように(実線両矢印AL5)、
編地310の点P(M1)と股部編地330の点P(TH1)とが重なり、かつ、編地310の点P(M7)と股部編地330の点P(TH7)とが重なるように(実線両矢印AL6)、
編地310の点P(M3)と股部編地330の点P(TH3)とが重なり、かつ、編地310の点P(M8)と股部編地330の点P(TH8)とが重なるように(実線両矢印AL7)、編地端どうしで接合されているとともに、編地110と中央部編地120と股部編地330が接合されて、図7において点線の両矢示で示すように胴周りおよび左右の太腿周りで筒状になるように接合されている。
以上のようにして、本実施の形態に係るボクサーパンツによると、主として腹部と臀部とを被覆する下半身用衣類の一例であるボクサーパンツにおいて、下半身の動きに対して追従しやすく履き心地のよいボクサーパンツを提供することができる。
以下において、染色された編地を接合して形成された下半身用衣類において胴回りのウエストラインWに染色された図柄を着用時において鮮明に表現することのできる下半身用衣類について、上述したボクサーパンツ100(膨出部ありタイプ)、ボクサーパンツ200(膨出部なしタイプ)およびボクサーパンツ300(膨出部およびシック部ありタイプ)を一例として詳しく説明する。
図8(A)に、図3(A)のボクサーパンツ100を接合する前にウエストラインWを含む編地片である編地110(以下において編地110を編地片110と記載する場合があるがこれらは符号の違いだけであって同一物である)を平面に載置した状態におけるウエストラインWの接線と第1の方向とを説明するための図を示す。
図9に、図5のボクサーパンツ300を接合する前にウエストラインWを含む編地片である編地310(以下において編地310を編地片310と記載する場合があるがこれらは符号の違いだけであって同一物である)を平面に載置した状態におけるウエストラインWの接線と第1の方向とを説明するための図を示す。
(1)染色された編地を接合して形成された下半身用衣類において胴回りのウエストラインに染色された図柄を着用時において鮮明に表現できる点、(2)下半身の動きに対して追従しやすく履き心地のよい点で特に好適である。
110 編地(ウエストラインWを含む編地片)
120 中央部編地(膨出部を形成)
200 ボクサーパンツ(膨出部なしタイプ)
210 編地(1枚でボクサーパンツを形成する編地であってウエストラインWを含む編地片)
300 ボクサーパンツ(膨出部およびシック部ありタイプ)
310 編地(ウエストラインWを含む編地片)
320 中央部編地(膨出部を形成)
330 股部編地(シック部を形成)
Claims (4)
- 第1の方向と前記第1の方向と略直交する第2の方向とで伸縮性が異なる編地を所定の形状の型紙に沿って、ウエストラインを含む1枚の第1の編地片を切り出して前記第1の編地片を接合した、または、ウエストラインの少なくとも一部を含む1枚の第2の編地片と腹側から見た場合に中央部に位置して膨出部を形成する中央部編地片とを切り出して前記第2の編地片と前記中央部編地片とを接合した、下腹部および臀部を少なくとも被覆する下半身用衣類であって、
前記第1の方向の伸縮性が前記第2の方向の伸縮性よりも大きく、前記第1の方向が前記第2の方向よりもよく伸びてよく縮み、
前記ウエストラインを形成する前記第1の編地片および前記第2の編地片において、腹側において中央部へ向かう斜め上方向が前記第1の方向に沿った方向であって、背中側における胴周り方向が前記第2の方向であって、
平面上に載置した前記第1の編地片および前記第2の編地片において、前記ウエストラインの任意の位置における接線と前記第1の方向とが平行でなく、
前記下半身用衣類は、前記第1の編地片の編地端が接合されて胴回りが形成され、または、前記第2の編地片の編地端が前記中央部編地片を挟んで接合されて胴回りが形成され、
前記胴回りである前記下半身用衣類のウエスト部は、前記第1の編地片、または、前記第2の編地片および前記中央部編地片で形成され、ゴム製のウエストバンド部を備えないことを特徴とする、下半身用衣類。 - 平面上に載置した前記第1の編地片および前記第2の編地片において、前記ウエストラインの任意の位置における接線と前記第1の方向とが交差する角度が30度以上であることを特徴とする、請求項1に記載の下半身用衣類。
- 前記編地は捺染された編地であって、
ゴム製のウエストバンドで形成されない前記ウエスト部が、下腹部および臀部を被覆する前記捺染された編地片で形成され、
平面上に載置した前記第1の編地片および前記第2の編地片において、前記ウエストラインの任意の位置における接線と前記第1の方向とが交差する角度が30度以上であることにより、前記ウエストラインの方向に前記第2の方向が沿って前記ウエストラインの方向へ伸びにくくなり、前記ウエストラインに沿った編地片の表面に捺染された図柄が鮮明に表現されないことを抑制することができる、請求項1に記載の下半身用衣類。 - 前記下半身用衣類は、シック部をさらに備え、前記第1の編地片または前記第2の編地片の編地端が前記シック部を形成するシック編地片を挟んで接合されて太腿回りが形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の下半身用衣類。
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