JP2019146369A - 電力変換装置 - Google Patents

電力変換装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2019146369A
JP2019146369A JP2018028700A JP2018028700A JP2019146369A JP 2019146369 A JP2019146369 A JP 2019146369A JP 2018028700 A JP2018028700 A JP 2018028700A JP 2018028700 A JP2018028700 A JP 2018028700A JP 2019146369 A JP2019146369 A JP 2019146369A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inductor
current
voltage
switch
value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018028700A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7109205B2 (ja
Inventor
裕太 大河内
Yuta Okochi
裕太 大河内
洋平 森山
Yohei Moriyama
洋平 森山
健 中原
Takeshi Nakahara
健 中原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rohm Co Ltd
Original Assignee
Rohm Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Rohm Co Ltd filed Critical Rohm Co Ltd
Priority to JP2018028700A priority Critical patent/JP7109205B2/ja
Publication of JP2019146369A publication Critical patent/JP2019146369A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7109205B2 publication Critical patent/JP7109205B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Dc-Dc Converters (AREA)

Abstract

【課題】センサレスでインダクタ電流を予測し電力変換装置を小型化・低コスト化する。【解決手段】電力変換装置1は、スイッチ素子11及び12をオン/オフさせてインダクタ13を駆動することにより入力電圧から出力電圧(昇圧型ならV1→V2、降圧型ならV2→V1)を生成して負荷に供給するスイッチ出力段10と、インダクタ13の両端間電圧VLを積分してインダクタ13に流れるインダクタ電流ILの予測値IL^を算出する積分器20と、インダクタ電流ILの予測値IL^を用いてスイッチ出力段10を駆動するコントローラ30と、を有する。積分器20は、インダクタ電流ILの予測値IL^を用いて算出される出力電圧の予測値と実測値との差分値に応じて積分器20の入力値を補正するオブザーバの一部として実装する。【選択図】図1

Description

本明細書中に開示されている発明は、電力変換装置に関する。
電力変換装置を高機能化するための手法として、電流モード制御コンバータや多相コンバータなどが知られている(例えば特許文献1を参照)。
特開2017−208976号公報 特開2004−208364号公報
しかしながら、電流モード制御コンバータや各相の電流平衡化を行う多相コンバータでは、いずれもインダクタ電流を検出する必要がある。このような電力変換装置は、インダクタ電流を検出するために電流センサを用いているが、大電流になればなるほど大型で高コストとなる。
なお、特許文献2には、電流センサを用いずに同期電動機の相電流の状態を検出して同期電動機への印加電圧を制御する同期電動機の電流センサレス制御方法および制御装置が提案されている。しかしながら、本従来技術は、あくまで同期電動機を適用対象とするものであって、相電流の状態検出処理に際して同期電動機の角速度信号が用いられており、これを単純に電力変換装置に適用し得るものではなかった。
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者らにより見出された上記の課題に鑑み、電流センサを用いずにインダクタ電流を予測することにより、電力変換装置の小型化や低コスト化に貢献するものである。
本明細書中に開示されている電力変換装置は、スイッチ素子をオン/オフさせてインダクタを駆動することにより入力電圧から出力電圧を生成して負荷に供給するスイッチ出力段と、前記インダクタの両端間電圧を積分して前記インダクタに流れるインダクタ電流の予測値を算出する積分器と、前記インダクタ電流の予測値を用いて前記スイッチ出力段を駆動するコントローラと、を有する構成(第1の構成)とされている。
なお、上記第1の構成から成る電力変換装置において、前記積分器は、前記インダクタ電流の予測値を用いて算出される前記出力電圧の予測値と実測値との差分値に応じて前記積分器の入力値を補正するオブザーバの一部である構成(第2の構成)にするとよい。
また、上記した第1または第2の構成から成る電力変換装置において、前記コントローラは、前記インダクタ電流の予測値を用いて電流モード制御を行う構成(第3の構成)にするとよい。
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る電力変換装置において、前記スイッチ出力段を昇圧型とし、前記入力電圧をViとし、前記出力電圧をVo(>Vi)とし、前記インダクタのインダクタンス値をLとし、前記スイッチ素子のオンデューティをDonとすると、前記インダクタ電流の予測値IL^は、次式で算出される構成(第4の構成)にするとよい。
Figure 2019146369
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る電力変換装置において、前記スイッチ出力段を降圧型とし、前記入力電圧をViとし、前記出力電圧をVo(<Vi)とし、前記インダクタのインダクタンス値をLとし、前記スイッチ素子のオンデューティをDonとすると、前記インダクタ電流の予測値IL^は、次式で算出される構成(第5の構成)にするとよい。
Figure 2019146369
また、上記した第1〜第3いずれかの構成から成る電力変換装置において、前記スイッチ出力段を昇圧型とし、前記入力電圧をViとし、前記インダクタの一端に現れるスイッチ電圧をVswとし、前記インダクタのインダクタンス値をLとすると、前記インダクタ電流の予測値IL^は、次式で算出される構成(第6の構成)にしてもよい。
Figure 2019146369
また、上記した第1〜第3いずれかの構成から成る電力変換装置において、前記スイッチ出力段を降圧型とし、前記出力電圧をVoとし、前記インダクタの一端に現れるスイッチ電圧をVswとし、前記インダクタのインダクタンス値をLとすると、前記インダクタ電流の予測値IL^は、次式で算出される構成(第7の構成)にしてもよい。
Figure 2019146369
また、上記した第6または第7の構成から成る電力変換装置において、前記スイッチ出力段の相数はn(ただしnは2以上の整数)であり、前記積分器は、各相のスイッチ電圧の実測値に基づいて各相のインダクタ電流それぞれの予測値を個別に算出する構成(第8の構成)にするとよい。
また、上記した第8の構成から成る電力変換装置において、前記コントローラは、前記各相のインダクタ電流それぞれの予測値を用いて電流平衡制御を行う構成(第9の構成)にするとよい。
また、上記第9の構成から成る電力変換装置において、前記電流平衡制御に際して、前記各相のインダクタ電流それぞれの予測値に応じた電流帰還信号とその平均値との誤差を導出し、各相毎に前記誤差の積分値を用いて前記電流帰還信号を調整する構成(第10の構成)にするとよい。
また、上記第8〜第10いずれかの構成から成る電力変換装置において、前記コントローラは、n相の前記スイッチ出力段を360°/nの位相差で駆動する構成(第11の構成)にするとよい。
また、上記第1〜第11いずれかの構成から成る電力変換装置において、前記負荷は、充電可能な二次電池である構成(第12の構成)にするとよい。
本明細書中に開示されている発明によれば、電流センサを用いずにインダクタ電流を予測することにより、電力変換装置の小型化や低コスト化に貢献することが可能となる。
電力変換装置の基本構成を示す回路図 電力変換装置の数学モデルを示すブロック線図 電力変換装置の第1実施形態(単相昇圧型)を示す回路図 第1実施形態におけるインダク電流のシミュレーション波形図 電力変換装置の第2実施形態(2相昇圧型)を示す回路図 第2実施形態における電力変換装置の数学モデルを示すブロック線図 第2実施形態におけるインダクタ電流のシミュレーション波形図 領域αの拡大図
<基本構成>
図1は、電力変換装置の基本構成を示す回路図である。本構成例の電力変換装置1は、スイッチ出力段10と、積分器20と、コントローラ30と、を有する。
スイッチ出力段10は、スイッチ素子11及び12(本図ではいずれもNMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor])と、インダクタ13とを含む。なお、スイッチ素子11及び12としては、PMOSFETを用いても構わない。また、大電流・高電圧領域で使用されるIGBT[insulated gate bipolar transistor]、ないしは、SiCパワートランジスタやGaNパワートランジスタなどのワイドバンドギャップ半導体素子を用いることもできる。
インダクタ13の第1端は、第1ノードn1(=第1電圧V1の印加端)に接続されている。インダクタ13の第2端は、第4ノードn4(=スイッチ電圧Vswの印加端)に接続されている。
スイッチ素子11のソース及びバックゲートは、いずれも第4ノードn4に接続されている。スイッチ素子11のドレインは、第2ノードn2(=第2電圧V2(>V1)の印加端)に接続されている。スイッチ素子11のゲートには、コントローラ30からゲート信号G11が入力されている。従って、スイッチ素子11は、G11=Hのときにオンして、G11=Lのときにオフする。なお、スイッチ素子11のドレイン・ソース間には、図示の極性で寄生ダイオードが付随している。また、スイッチ素子11としては、NMOSFETに代えてPMOSFET[P-channel type MOSFET]を用いてもよい。
スイッチ素子12のソース及びバックゲートは、いずれも第3ノードn3(=基準電位端)に接続されている。スイッチ素子12のドレインは、第4ノードn4に接続されている。スイッチ素子12のゲートには、コントローラ30からゲート信号G12が入力されている。従って、スイッチ素子12は、G12=Hのときにオンして、G12=Lのときにオフする。なお、スイッチ素子12のドレイン・ソース間には、図示の極性で寄生ダイオードが付随している。
本構成例のスイッチ出力段10は、スイッチ素子11及び12を相補的にオン/オフさせてインダクタ13を駆動することにより、入力電圧から出力電圧を生成して負荷(例えば充電可能な二次電池)に供給する。
例えば、スイッチ出力段10が昇圧型である場合、すなわち、第1電圧V1を入力電圧として第2電圧V2を出力電圧とする場合には、スイッチ素子12が出力スイッチとして機能し、スイッチ素子11が同期整流スイッチとして機能する。なお、スイッチ出力段10をダイオード整流方式とする場合には、スイッチ素子11として、アノードが第4ノードn4に接続されてカソードが第2ノードn2に接続されたダイオードを用いればよい。
一方、スイッチ出力段10が降圧型である場合、すなわち、第2電圧V2を入力電圧として第1電圧V1を出力電圧とする場合には、スイッチ素子11が出力スイッチとして機能し、スイッチ素子12が同期整流スイッチとして機能する。なお、スイッチ出力段10をダイオード整流方式とする場合には、スイッチ素子12として、アノードが第3ノードn3に接続されてカソードが第4ノードn4に接続されたダイオードを用いればよい。
積分器20は、インダクタ13の両端間電圧VLを積分してインダクタ13に流れるインダクタ電流ILの予測値IL^を算出する。インダクタ13の両端間電圧VLは、次の(1)式で示したように、インダクタ電流ILの微分値(dIL/dt)に比例する。なお、変数Lは、インダクタ13のインダクタンス値を示している。
Figure 2019146369
従って、上記(1)式の両辺をそれぞれ積分することにより、次の(2)式を導出することができる。
Figure 2019146369
このように、インダクタ13に流れるインダクタ電流ILについては、電流センサを用いてこれを実測せずとも、インダクタ13の両端間電圧VLを時間的に積分することで、その予測値IL^を算出することができる。なお、本明細書中において、演算処理により求められる予測値には、ハット記号「^」を付すことにより、これを実測値と区別する。
コントローラ30は、積分器20から入力されるインダクタ電流ILの予測値IL^を用いてゲート信号G11及びG12それぞれの生成制御を行うことにより、スイッチ出力段10を駆動する。なお、コントローラ30では、例えば、インダクタ電流ILの予測値IL^を用いて電流モード制御が行われる。
上記したように、本構成例の電力変換装置1であれば、電流センサを用いずにインダクタ電流ILを予測することができるので、小型化や低コスト化を図ることが可能となる。
ただし、上記の積分演算に用いられるパラメータに誤差が含まれていた場合には、その誤差が積分演算により累積されるので、インダクタ電流ILの予測値IL^が増加(または減少)し続けるおそれがある。以下では、このような不具合の回避策を提案する。
図2は、電力変換装置1の数学モデル(=制御工学における状態空間モデル)を示すブロック線図である。本図で示すように、電力変換装置1は、制御対象となる実回路100の数学モデルと、同一次元オブザーバ200(以下では、単にオブザーバ200と略称する)とを組み合わせて表現することができる。
実回路100の数学モデルにおいて、符号101〜104は、それぞれ、状態行列A、入力行列B、出力行列C、及び、直達行列Dを示している。また、符号105は、積分演算子を示しており、符号106及び107は、加算演算子を示している。
ここで、電力変換装置1を連続時間系の時不変モデルとすると、入力ベクトルu(t)と状態ベクトルx(t)との関係を示す状態方程式、並びに、状態ベクトルx(t)と出力ベクトルy(t)との関係を示す出力方程式は、それぞれ、次の(3a)式、及び(3b)式となる。
Figure 2019146369
なお、詳細は後述するが、入力ベクトルu(t)には、インダクタ13の両端間電圧VLが含まれており、状態ベクトルx(t)には、インダクタ電流ILが含まれている。
オブザーバ200は、実回路100の入力ベクトルu(t)と出力ベクトルy(t)から、状態ベクトルx(t)の予測値x^(t)を求めるものであり、マイコンなどの演算処理装置上で数学モデルとして実装される。オブザーバ200の数学モデルにおいて、符号201〜204は、それぞれ、状態行列A、入力行列B、出力行列C、及び、直達行列Dを示している。また、符号205は、積分演算子を示しており、符号206及び207は、加算演算子を示している。なお、これらの構成要素201〜207は、それぞれ、実回路100における構成要素101〜107に対応している。
さらに、オブザーバ200には、出力ベクトルy(t)とその予測値y^(t)との差分値(=y(t)−y^(t))に応じて、積分演算子205への入力値(=予測値x^(t)の微分値)を補正するための手段として、減算演算子208と補正行列209(=スカラー値とベクトル値のいずれでも可)が含まれている。
ここで、電力変換装置1を連続時間系の時不変モデルとすると、入力ベクトルu(t)と状態ベクトルx(t)の予測値x^(t)との関係を示す状態方程式、並びに、状態ベクトルx(t)の予測値x^(t)と出力ベクトルy(t)の予測値y^(t)との関係を示す出力方程式は、それぞれ、次の(4a)式及び(4b)式となる。
Figure 2019146369
なお、先述の通り、入力ベクトルu(t)には、インダクタ13の両端間電圧VLが含まれており、状態ベクトルx(t)には、インダクタ電流ILが含まれている。従って、インダクタ13の両端間電圧VLを積分することにより、状態ベクトルx(t)の予測値x^(t)、延いては、インダクタ電流ILの予測値IL^を算出することができる。
また、オブザーバ200を用いる構成であれば、上記の積分演算に用いられるパラメータに誤差が含まれていた場合であっても、その誤差が小さくなるように補正を掛けることができるので、インダクタ電流ILの予測値IL^を収束させることが可能となる。
なお、オブザーバ200の数学モデルのうち、本図の一点鎖線で囲まれた4つの構成要素は、図1の積分器20(=インダクタ電流ILの予測値IL^を算出するために必要最小限の構成要素)に相当する。すなわち、本図では、図1の積分器20をオブザーバ200の一部として理解することができる。
<第1実施形態>
図3は、電力変換装置の第1実施形態(単相昇圧型)を示す回路図である。本実施形態の電力変換装置1は、先出の基本構成(図1)をベースとしつつ、スイッチ出力段10がダイオード整流方式の単相昇圧型として具体化されている。
本図に即してより詳細に述べると、スイッチ出力段10は、第1ノードn1に入力されている入力電圧Viを昇圧して第2ノードn2から出力電圧Voを出力する。整流用のスイッチ素子11としては、アノードが第4ノードn4に接続されてカソードが第2ノードn2に接続されたダイオードが用いられている。インダクタ13には、直流抵抗14が付随している。第2ノードn2と第3ノードn3との間には、出力キャパシタ15が接続されている。出力キャパシタ15には、等価直列抵抗16が付随している。
先にも述べたように、インダクタ13に流れるインダクタ電流ILについては、先出の(2)式から、インダクタ13の両端間電圧VLを時間的に積分することで、その予測値IL^を算出することができる。
特に、単相昇圧型の電力変換装置1では、入力電圧をViとし、出力電圧をVo(>Vi)とし、インダクタ13のインダクタンス値をLとし、スイッチ素子12のオンデューティをDon(=Ton/T、ただし、Tonはスイッチ素子12のオン期間、Tはスイッチング周期)とすると、次の(5)式から、インダクタ電流ILの予測値IL^を算出することができる。
Figure 2019146369
このとき、先出の(3a)式及び(3b)式で表された状態方程式と出力方程式は、それぞれ、次の(6a)式及び(6b)式のように書き下すことができる。
Figure 2019146369
なお、両式中において、VCは出力キャパシタ15の充電電圧値、RLは直流抵抗14の抵抗値、Ronはスイッチ素子12のオン抵抗値、RCは等価直列抵抗16の抵抗値、Coは出力キャパシタ15の容量値、Ioは出力電流Ioの電流値、VDはスイッチ素子12として用いられているダイオードの順方向降下電圧をそれぞれ示している。
(6a)式は、(5)式に対して各素子の電圧降下や寄生成分も考慮したものであり、オブザーバを構成するときには、(6b)式の出力方程式も必要となる。すなわち、簡易的には、(5)式でインダクタ電流ILを予測することができるが、精度を上げるためには、各素子のパラメータを使用することが望ましく、さらに実用的には、オブザーバを使用することが望ましい。
(3a)式及び(3b)式と(6a)式及び(6b)式とをそれぞれ対比すれば明らかなように、単相昇圧型の電力変換装置1において、スイッチ電圧Vswを検出することなく、インダクタ電流ILの予測値IL^を算出する場合、状態行列A、入力行列B、出力行列C、直達行列D、入力ベクトルu(t)、状態ベクトルx(t)、及び、出力ベクトルy(t)は、それぞれ、次の(7a)〜(7g)式のように理解することができる。
Figure 2019146369
また、VL=Vi−Vswで求められることから、スイッチ電圧Vswを検出して、次の(8)式から、インダクタ電流の予測値IL^を算出することも可能である。
Figure 2019146369
このとき、先出の(3a)式及び(3b)式で表された状態方程式と出力方程式は、それぞれ、次の(9a)式及び(9b)式のように書き下すことができる。
Figure 2019146369
(3a)式及び(3b)式と(9a)式及び(9b)式とをそれぞれ対比すれば明らかなように、単相昇圧型の電力変換装置1において、スイッチ電圧Vswを検出してインダクタ電流ILの予測値IL^を算出する場合、状態行列A、入力行列B、出力行列C、直達行列D、入力ベクトルu(t)、状態ベクトルx(t)、及び、出力ベクトルy(t)は、それぞれ、次の(10a)〜(10g)式のように理解することができる。
Figure 2019146369
上記したように、スイッチ電圧Vswを検出してインダクタ電流ILの予測値IL^を算出する構成であれば、積分演算に用いられる状態変数の一部(Ron、VD)を削減することができる。従って、予測値IL^の算出精度を高めることが可能となる。
また、入力電圧Viと出力電圧Voを検出する構成では、スイッチ出力段10の多相化には対応することができないが、スイッチ電圧Vswを検出する構成であれば、スイッチ出力段10の多相化にも柔軟に対応することができる。この点については、後出の第2実施形態(図5)で詳細に説明する。
図4は、第1実施形態におけるインダクタ電流IL及びその予測値IL^のシミュレーション波形図(連続時間系)である。なお、シミュレーション条件は、次の通りである。
入力電圧Vi:5V
出力電圧Vo:12V
出力電力Po:15W
スイッチング周波数fs:100kHz
インダクタ平均電流IL(ave):1.5A
インダクタ電流リプル率k:0.3
本図から分かるように、オブザーバ200では、インダクタ電流ILの波形を模擬した予測値IL^が算出されており、いずれも負荷変動が生じてから所定のセトリング期間で収束している。
<第2実施形態>
図5は、電力変換装置の第2実施形態(2相昇圧型)を示す回路図である。本実施形態の電力変換装置1は、第1実施形態(図3)をベースとしつつ、スイッチ出力段10の相数を増やして、2相昇圧型のインターリーブコンバータとされている。以下では、第1実施形態(図3)との変更点を中心に説明する。
インダクタ13(1)及び13(2)それぞれの第1端は、いずれも、第1ノードn1(=入力電圧Viの入力端)に共通接続されている。インダクタ13(1)の第2端は、直流抵抗14(1)を介して第4ノードn4(1)(=スイッチ電圧Vsw1の印加端)に接続されている。インダクタ13(2)の第2端は、直流抵抗14(2)を介して第4ノードn4(2)(=スイッチ電圧Vsw2の印加端)に接続されている。
スイッチ素子11(1)のアノードとスイッチ素子12(1)のドレインは、いずれも第4ノードn4(1)に接続されている。スイッチ素子11(2)のアノードとスイッチ素子12(2)のドレインは、いずれも第4ノードn4(2)に接続されている。スイッチ素子11(1)及び11(2)それぞれのカソードは、いずれも第2ノードn2(=出力電圧Voの出力端)に共通接続されている。スイッチ素子12(1)及び12(2)それぞれのソースとバックゲートは、いずれも第3ノードn3(=基準電位端)に共通接続されている。また、第2ノードn2と第3ノードn3との間には、出力キャパシタ15が接続されている。なお、出力キャパシタ15には、等価直列抵抗16が付随している。
スイッチ素子12(1)のゲートには、コントローラ30からゲート信号G12(1)が入力されている。従って、スイッチ素子12(1)は、G12(1)=HのときにオンしてG12(1)=Lのときにオフする。一方、スイッチ素子12(2)のゲートには、コントローラ30からゲート信号G12(2)が入力されている。従って、スイッチ素子12(2)は、G12(2)=HのときにオンしてG12(2)=Lのときにオフする。
なお、上記構成要素のうち、スイッチ素子11(1)及び12(1)とインダクタ13(1)は、第1相のスイッチ出力段として機能する。一方、スイッチ素子11(2)及び12(2)とインダクタ13(2)は、第2相のスイッチ出力段として機能する。また、それぞれのカソードが共通接続されたスイッチ素子11(1)及び11(2)は、インダクタ13(1)及び13(2)それぞれに流れるインダクタ電流IL1及びIL2を足し合わせる出力加算部(出力整流部)として機能する。また、出力キャパシタ15は、スイッチ素子11(1)及び11(2)の加算出力を平滑化して最終的な出力電圧Voを生成する出力平滑部として機能する。すなわち、インダクタ電流IL1及びIL2を足し合わせた加算電流が出力キャパシタ15で出力電圧Voに変換されている。
積分器20は、スイッチ電圧Vsw1及びVsw2それぞれの実測値に基づいて、インダクタ13(1)の両端間電圧VL1(=Vi−Vsw1)と、インダクタ13(2)の両端間電圧VL2(=Vi−Vsw2)をそれぞれ積分することにより、インダクタ13(1)及び13(2)それぞれに流れるインダクタ電流IL1及びIL2それぞれの予測値IL1^及びIL2^を個別に算出する。
コントローラ30は、積分器20から入力されるインダクタ電流IL1及びIL2それぞれの予測値IL1^及びIL2^を用いてゲート信号G12(1)及びG12(2)それぞれの生成制御を行うことにより、スイッチ出力段10を駆動する。
その際、コントローラ30は、各相のスイッチ出力段を所定の位相差で駆動する。本図に即して述べると、コントローラ30は、2相のスイッチ出力段(具体的には、スイッチ素子12(1)及び12(2))を180°の位相差で駆動する。
このようなインターリーブ制御を行えば、インダクタ13(1)及び13(2)にそれぞれ流れるインダクタ電流IL1及びIL2のリップル成分を互いに打ち消し合うことができる。従って、出力キャパシタ15のストレス軽減などを実現することが可能となる。
なお、本図では、スイッチ出力段10の相数を2とした例を挙げたが、スイッチ出力段10の相数は何らこれに限定されるものではなく、相数を3以上としても構わない。これを踏まえて、インターリーブ制御の位相差について一般化すると、スイッチ出力段10の相数がn(ただしnは2以上の整数)であるときには、上記の位相差を360°/nとすることが望ましい。
上記したように、本実施形態の電力変換装置1であれば、電流モード制御や電流平衡制御(詳細は後述)に必要となる各相毎のインダクタ電流IL1及びIL2を個別に予測することができるので、2相分の電流センサを割愛することが可能となり、延いては、小型化や低コスト化を図ることが可能となる。
なお、2相昇圧型の電力変換装置1において、出力電圧制御(=出力電圧Voを目標値に維持する出力帰還制御)を行う場合、先出の(3a)式及び(3b)式で表された状態方程式と出力方程式は、それぞれ、次の(11a)式及び(11b)式のように書き下すことができる。
Figure 2019146369
なお、両式中において、VCは出力キャパシタ15の充電電圧値、RL1及びRL2は直流抵抗14(1)及び14(2)の抵抗値、L1及びL2はインダクタ13(1)及び1382)のインダクタンス値、Don1及びDon2はスイッチ素子12(1)及び12(2)のオンデューティ、RCは等価直列抵抗16の抵抗値、Coは出力キャパシタ15の容量値、Ioは出力電流Ioの電流値をそれぞれ示している。
(3a)式及び(3b)式と(11a)式及び(11b)式とをそれぞれ対比すれば明らかなように、2相昇圧型の電力変換装置1において、スイッチ電圧Vswを検出してインダクタ電流IL1及びIL2それぞれの予測値IL1^及びIL2^を算出する場合、出力電圧制御時における状態行列A、入力行列B、出力行列C、直達行列D、入力ベクトルu(t)、状態ベクトルx(t)、並びに、出力ベクトルy(t)は、それぞれ、次の(12a)〜(12g)式のように理解することができる。
Figure 2019146369
なお、電力変換装置1の負荷として二次電池(例えばリチウムイオン電池)が接続されている場合には、基本的に、電力変換装置1で出力電流制御(=出力電流Ioを目標値に維持する出力帰還制御)が行われる。その場合でも、出力電圧制御時と同じく、オブザーバ200では、出力電圧Voの予測値と実測値との差分値に応じた補正処理が行われる。
<電流平衡制御>
図6は、第2実施形態の電力変換装置1で電流平衡制御を行う場合の数学モデルを示すブロック線図である。本図で示すように、第2実施形態の電力変換装置1は、出力段301A及び301Bと、出力加算部302と、出力平滑部303と、帰還電圧生成部304と、差分入力部305と、制御器306と、駆動部307A及び307Bと、増幅器309A及び309Bと、信号調整部310A及び310Bと、加算器311と、1/2減衰器312と、減算器313A及び313Bと、補償器314A及び314Bと、信号調整部315A及び315Bと、を有する。
なお、上記構成要素のうち、例えば、差分入力部305、制御器306、駆動部307A及び307B、増幅器309A及び309B、信号調整部310A及び310B、加算器311、1/2減衰器312、減算器313A及び313B、補償器314A及び314B、並びに、信号調整部315A及び315Bは、コントローラ30に含めるとよい。
出力段301A(伝達関数:Gvd(s))は、駆動信号S12Aに応じて矩形波状のスイッチ電圧Vsw1を生成するパワー部である。出力段301Aとしては、図5のスイッチ素子12(1)及びインダクタ13(1)がこれに相当する。
出力段301B(伝達関数:Gvd(s))は、駆動信号S12Bに応じて矩形波状のスイッチ電圧Vsw2を生成するパワー部である。出力段301Bとしては、図5のスイッチ素子12(2)及びインダクタ13(2)がこれに相当する。
出力加算部302は、スイッチ電圧Vsw1及びVsw2をそれぞれ足し合わせて出力平滑部303に出力する。出力加算部302としては、図5のスイッチ素子11(1)及び11(2)がこれに相当する。
出力平滑部303は、出力加算部302の加算出力を平滑化して出力電圧Voを生成する。出力平滑部303としては、図5の出力キャパシタ16がこれに相当する。
帰還電圧生成部304(ゲイン:Kv)は、出力電圧Voに応じた帰還電圧Vfbを生成してコントローラ30に出力する。帰還電圧生成部304としては、例えば、出力電圧Voを分圧して帰還電圧Vfbを生成する抵抗分圧回路がこれに相当する。ただし、出力電圧Voがコントローラ30の入力ダイナミックレンジに収まっている場合には、帰還電圧生成部304を省略し、出力電圧Voをコントローラ30に直接入力してもよい。
差分入力部305は、帰還電圧Vfbと所定の参照電圧Vrefとの差分信号を制御器306に出力する。
制御器306(伝達関数:Gcv(s))は、差分入力部305から入力される差分信号に応じた電圧帰還信号S10を生成する。
なお、差分入力部305及び制御器306としては、例えば、エラーアンプや位相補償回路がこれに相当する。
駆動部307A(伝達関数:Fm)は、制御信号S11A(=調整電流帰還信号S25Aによる調整済みの電圧帰還信号S10に相当)に応じて駆動信号S12Aを生成する。駆動部307Aとしては、例えば、制御信号S11Aに応じたオンデューティのパルス幅変調信号を生成するPWM[pulse width modulation]発生回路がこれに相当する。
駆動部307B(伝達関数:Fm)は、制御信号S11B(=調整電流帰還信号S25Bによる調整済みの電圧帰還信号S10に相当)に応じて駆動信号S12Bを生成する。駆動部307Bとしては、例えば、制御信号S11Bに応じたオンデューティのパルス幅変調信号を生成するPWM発生回路がこれに相当する。
なお、上記構成要素のうち、差分入力部305、制御器306、並びに、駆動部307A及び307Bは、出力電圧Vo(ないしは帰還電圧Vfb)を検出して電圧帰還制御を行う電圧帰還制御部として機能する。
増幅器309A(ゲイン:Ki)は、電流検出信号S13Aを増幅して電流帰還信号S14Aを生成する。なお、電流検出信号S13Aとしては、積分部20で算出されたインダクタ電流IL1の予測値IL1^がこれに相当する。従って、インダクタ電流IL1を検出するための電流検出器(センス抵抗など)は不要である。
増幅器309B(ゲイン:Ki)は、電流検出信号S13Bを増幅して電流帰還信号S14Bを生成する。なお、電流検出信号S13Bとしては、積分部20で算出されたインダクタ電流IL2の予測値IL2^がこれに相当する。従って、インダクタ電流IL2を検出するための電流検出器(センス抵抗など)は不要である。
信号調整部310Aは、調整電流帰還信号S25Aに応じて電圧帰還信号S10を調整することにより、制御信号S11Aを生成する。信号調整部310Aとしては、例えば、電圧帰還信号S10から調整電流帰還信号S25Aを差し引いて制御信号S11Aを生成する減算器がこれに相当する。
信号調整部310Bは、調整電流帰還信号S25Bに応じて電圧帰還信号S10を調整することにより、制御信号S11Bを生成する。信号調整部310Bとしては、例えば、電圧帰還信号S10から調整電流帰還信号S25Bを差し引いて制御信号S11Bを生成する減算器がこれに相当する。
加算器311は、電流帰還信号S14A及びS14Bを足し合わせて加算電流帰還信号S21(=S14A+S14B)を生成する。
1/2減衰器312は、加算電流帰還信号S21を1/2に減衰して平均電流帰還信号S22(=(S14A+S14B)/2)を生成する。
すなわち、加算器311及び1/2減衰器312は、電流帰還信号S14A及びS14Bを平均して平均電流帰還信号S22を生成する平均部として機能する。
減算器313Aは、電流帰還信号S14Aから平均電流帰還信号S22を差し引いて差分電流帰還信号S23A(=S14A−S22)を生成する。
減算器313Bは、電流帰還信号S14Bから平均電流帰還信号S22を差し引いて差分電流帰還信号S23B(=S14B−S22)を生成する。
補償器314A(伝達関数:Ci(s))は、差分電流帰還信号S23Aの位相を補償して電流平衡信号S24Aを生成する。補償器314Aとしては、例えば、差分電流帰還信号S23Aを積分して電流平衡信号S24Aを生成する積分器がこれに相当する。
補償器314B(伝達関数:Ci(s))は、差分電流帰還信号S23Bの位相を補償して電流平衡信号S24Bを生成する。補償器314Bとしては、例えば、差分電流帰還信号S23Bを積分して電流平衡信号S24Bを生成する積分器がこれに相当する。
信号調整部315Aは、電流平衡信号S24Aに応じて電流帰還信号S14Aを調整することにより、調整電流帰還信号S25Aを生成する。信号調整部315Aとしては、例えば、電流帰還信号S14Aと電流平衡信号S24Aとを足し合わせて調整電流帰還信号S25A(=S14A+S24A)を生成する加算器がこれに相当する。
信号調整部315Bは、電流平衡信号S24Bに応じて電流帰還信号S14Bを調整することにより、調整電流帰還信号S25Bを生成する。信号調整部315Bとしては、例えば、電流帰還信号S14Bと電流平衡信号S24Bとを足し合わせて調整電流帰還信号S25B(=S14B+S24B)を生成する加算器がこれに相当する。
なお、先出の減算器313Aの入力極性を正負逆とし、平均電流帰還信号S22から電流帰還信号S14Aを差し引いて差分電流帰還信号S23A(=S22−S14A)を生成する場合には、信号調整部315Aとして、電流帰還信号S14Aから電流平衡信号S24Aを差し引いて調整電流帰還信号S25A(=S14A−S24A)を生成する減算器を用いればよい。
同様に、先出の減算器313Bの入力極性を正負逆とし、平均電流帰還信号S22から電流帰還信号S14Bを差し引いて差分電流帰還信号S23B(=S22−S14B)を生成する場合には、信号調整部315Bとして、電流帰還信号S14Bから電流平衡信号S24Bを差し引いて調整電流帰還信号S25B(=S14B−S24B)を生成する減算器を用いればよい。
なお、上記した種々の構成要素のうち、増幅器309Aと信号調整部310Aは、インダクタ電流IL1に応じて第1相の電流帰還制御を行う第1の電流帰還制御部として機能する。また、上記構成要素のうち、増幅器309Bと信号調整部310Bは、インダクタ電流IL2に応じて第2相の電流帰還制御を行う第2の電流帰還制御部として機能する。
すなわち、第2実施形態の電力変換装置1では、電流モード制御によるスイッチ出力段10の駆動制御が行われており、出力電圧Voに応じた電圧帰還制御だけでなく、インダクタ電流IL1及びIL2に応じた電流帰還制御が行われる。従って、電圧帰還制御のみを行う構成と比べて、出力帰還制御の安定性を向上することが可能である。
また、電圧帰還ループと電流帰還ループの双方を有する構成であれば、電圧帰還ループの二次遅れ系と電流帰還ループの二次遅れ系を相殺することができる。従って、電圧帰還ループの二次遅れ系に特有の共振ピークが減るので、位相の遅れが緩やかとなる。その結果、電圧帰還ループのみを有する構成と比べて、出力電流Io(延いてはインダクタ電流IL1及びIL2)が急変しても、意図しないオーバーシュートまたはアンダーシュートを生じにくくなる。
また、上記した種々の構成要素のうち、加算器311、1/2減衰器312、減算器313A及び313B、補償器314A及び314B、並びに、信号調整部315A及び315B)は、インダクタ電流IL1及びIL2の平均値を算出し、その算出結果を用いて電流帰還信号S14A及びS14Bをそれぞれ調整する電流平衡制御部として機能する。
すなわち、コントローラ30は、インダクタ電流IL1及びIL2それぞれの予測値IL1^及びIL2^を用いて各相の電流平衡制御を行う機能を備えている。
より具体的に述べると、コントローラ30は、上記の電流平衡制御に際して、インダクタ電流IL1及びIL2それぞれの予測値IL1^及びIL2^に応じた電流帰還信号S14A及びS14Bとその平均値(=平均電流帰還信号S22)との誤差(=差分電流帰還信号S23A及びS23B)を導出し、各相毎に上記誤差の積分値(=電流平衡信号S24A及びS24B)を用いて電流帰還信号S14A及びS14Bを調整する。
なお、IL1≠IL2である場合には、S23A≠0、S23B≠0となるので、上記の電流平衡制御が行われる。従って、インダクタ電流IL1及びIL2が定常偏差のない平衡状態となる。
一方、IL1=IL2(またはIL1≒IL2)である場合には、差分電流帰還信号S23A及びS23Bがゼロ値(またはほぼゼロ値)となるので、信号調整部315A及び315Bにそれぞれ入力される電流平衡信号S24A及びS24Bもゼロ値(またはほぼゼロ値)となる。その結果、電流平衡制御部が何ら機能していない状態となる。
ただし、電流平衡制御部が無効となっても、調整電流帰還信号S25A及びS25Bがゼロ値となるわけではなく、無調整の電流帰還信号S14A及びS14Bが調整電流帰還信号S25A及びS25Bとしてそのまま信号調整部310A及び310Bに入力される状態となる。従って、IL1=IL2(またはIL1≒IL2)であっても、各相独立の電流モード制御自体は、何ら支障なく継続される。
このように、コントローラ30は、各相独立の電流帰還ループを残しつつ、電流平衡制御部が別途追加された構成とされている。このような構成を採用すれば、IL1=IL2(またはIL1≒IL2)となり、電流平衡制御部が十全に機能しない状態となっても、出力電圧Voに応じた電圧帰還制御とインダクタ電流IL1及びIL2に応じた電流帰還制御を支障なく継続することができる。従って、出力電流Io(延いてはインダクタ電流IL1及びIL2)が急変しても、意図しないオーバーシュートまたはアンダーシュートを生じにくくなる。
特に、大電流・高電圧を取り扱う機器(民生機器、産業機器、または、車載機器など)の電源手段として、2相昇圧型の電力変換装置1を用いる場合には、電圧帰還ループの二次遅れ系に特有の共振ピークが大きくなりやすいので、上記構成のコントローラ30を採用することが望ましいと言える。
図7は、第2実施形態におけるインダクタ電流IL1及びIL2と、それぞれの予測値IL1^及びIL2^のシミュレーション波形図(連続時間系)である。また、図8は、図7中における領域αの拡大図である。なお、シミュレーション条件は次の通りである。
入力電圧Vi:5V
出力電圧Vo:12V
出力電力Po:15W
スイッチング周波数fs:100kHz
インダクタ平均電流IL1、IL2(ave):1.5A
インダクタ直流抵抗RL1、RL2:0.02Ω、0.07Ω
インダクタ電流リプル率k:0.3
図7から分かるように、スイッチ出力段10を2相に拡張した場合であっても、オブザーバ200では、インダクタ電流IL1及びIL2それぞれの波形を模擬した予測値IL1^及びIL2^が個別に算出されており、いずれも負荷変動が生じてから所定のセトリング期間で収束している。
また、図8で示したように、直流抵抗RL1及びRL2それぞれの抵抗値が互いに不一致であっても、インダクタ電流IL1及びIL2の平均電流値が一致していることから、先述の電流平衡制御が正しく働いていることが分かる。
<従来技術との対比>
これまでに説明してきたインダクタ電流ILの予測値算出手法と、特許文献2の従来技術との相違点は、次の通りである。(1)角速度信号を用いていない。(2)計算した電圧指令値ではなく実際の電圧値を用いている。(3)推定した電流値を用いて電流モード制御や電流平衡制御を行っている。(4)従来技術ではオブザーバ電流の目標値がある。
<降圧型への適用>
なお、上記の第1実施形態(図3)及び第2実施形態(図5)では、スイッチ出力段10が昇圧型である場合を例に挙げたが、これまでに説明してきたインダクタ電流ILの予測値算出手法は、スイッチ出力段が降圧型である場合にも適用することが可能である。
例えば、先出の図1において、V2=Viとし、V1=Vo(<Vi)とし、インダクタ13のインダクタンス値をLとし、スイッチ素子11のオンデューティをDonとすると、次の(13)式から、インダクタ電流ILの予測値IL^を算出することができる。
Figure 2019146369
また、スイッチ電圧Vswを検出する場合には、次の(14)式から、インダクタ電流ILの予測値IL^を算出することができる。
Figure 2019146369
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
本明細書中に開示されている発明は、例えば、二次電池の充電器に用いられる電力変換装置に利用することが可能である。また、本明細書中に開示されているインターリーブコンバータは、例えば、大電流・高電圧を取り扱う機器(民生機器、産業機器、または、車載機器など)の電源手段として、好適に利用することが可能である。
1 電力変換装置
10 スイッチ出力段
11、11(1)、11(2) スイッチ素子
12、12(1)、12(2) スイッチ素子
13、13(1)、13(2) インダクタ
14、14(1)、14(2) 直流抵抗
15 出力キャパシタ
16 等価直列抵抗
20 積分器
30 コントローラ
100 実回路
200 同一次元オブザーバ
101、201 状態行列A
102、202 入力行列B
103、203 出力行列C
104、204 直達行列D
105、205 積分演算子
106、206 加算演算子
107、207 加算演算子
208 減算演算子
209 補正行列L
301A、301B 出力段
302 出力加算部
303 出力平滑部
304 帰還電圧生成部
305 差分入力部
306 制御器
307A、307B 駆動部
309A、309B 増幅器
310A、310B 信号調整部
311 加算器
312 1/2減衰器
313A、313B 減算器
314A、314B 補償器
315A、315B 信号調整部
n1〜n4、n4(1)、n4(2) ノード

Claims (12)

  1. スイッチ素子をオン/オフさせてインダクタを駆動することにより入力電圧から出力電圧を生成して負荷に供給するスイッチ出力段と、
    前記インダクタの両端間電圧を積分して前記インダクタに流れるインダクタ電流の予測値を算出する積分器と、
    前記インダクタ電流の予測値を用いて前記スイッチ出力段を駆動するコントローラと、
    を有することを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記積分器は、前記インダクタ電流の予測値を用いて算出される前記出力電圧の予測値と実測値との差分値に応じて前記積分器の入力値を補正するオブザーバの一部であることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記コントローラは、前記インダクタ電流の予測値を用いて電流モード制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記スイッチ出力段を昇圧型とし、前記入力電圧をViとし、前記出力電圧をVo(>Vi)とし、前記インダクタのインダクタンス値をLとし、前記スイッチ素子のオンデューティをDonとすると、
    前記インダクタ電流の予測値IL^は、次式で算出されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
    Figure 2019146369
  5. 前記スイッチ出力段を降圧型とし、前記入力電圧をViとし、前記出力電圧をVo(<Vi)とし、前記インダクタのインダクタンス値をLとし、前記スイッチ素子のオンデューティをDonとすると、
    前記インダクタ電流の予測値IL^は、次式で算出されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
    Figure 2019146369
  6. 前記スイッチ出力段を昇圧型とし、前記入力電圧をViとし、前記インダクタの一端に現れるスイッチ電圧をVswとし、前記インダクタのインダクタンス値をLとすると、
    前記インダクタ電流の予測値IL^は、次式で算出されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
    Figure 2019146369
  7. 前記スイッチ出力段を降圧型とし、前記出力電圧をVoとし、前記インダクタの一端に現れるスイッチ電圧をVswとし、前記インダクタのインダクタンス値をLとすると、
    前記インダクタ電流の予測値IL^は、次式で算出されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
    Figure 2019146369
  8. 前記スイッチ出力段の相数はn(ただしnは2以上の整数)であり、
    前記積分器は、各相のスイッチ電圧の実測値に基づいて各相のインダクタ電流それぞれの予測値を個別に算出することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電力変換装置。
  9. 前記コントローラは、前記各相のインダクタ電流それぞれの予測値を用いて電流平衡制御を行うことを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。
  10. 前記コントローラは、前記電流平衡制御の際に、前記各相のインダクタ電流それぞれの予測値に応じた電流帰還信号とその平均値との誤差を導出し、各相毎に前記誤差の積分値を用いて前記電流帰還信号を調整することを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置。
  11. 前記コントローラは、n相の前記スイッチ出力段を360°/nの位相差で駆動することを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  12. 前記負荷は、充電可能な二次電池であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の電力変換装置。
JP2018028700A 2018-02-21 2018-02-21 電力変換装置 Active JP7109205B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018028700A JP7109205B2 (ja) 2018-02-21 2018-02-21 電力変換装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018028700A JP7109205B2 (ja) 2018-02-21 2018-02-21 電力変換装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019146369A true JP2019146369A (ja) 2019-08-29
JP7109205B2 JP7109205B2 (ja) 2022-07-29

Family

ID=67774056

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018028700A Active JP7109205B2 (ja) 2018-02-21 2018-02-21 電力変換装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7109205B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021095208A1 (ja) * 2019-11-14 2021-05-20 三菱電機株式会社 電力変換装置、モータ駆動装置、送風機、圧縮機及び空気調和機
JP2021182783A (ja) * 2020-05-18 2021-11-25 三菱電機株式会社 電力変換回路の制御装置
WO2023032354A1 (ja) * 2021-09-01 2023-03-09 株式会社日立パワーデバイス 駆動回路および電力変換装置
JP7408644B2 (ja) 2018-09-24 2024-01-05 ルノー エス.ア.エス. N個のスイッチングセルを有するブーストコンバータを制御するための方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000193687A (ja) * 1998-12-25 2000-07-14 Toyota Autom Loom Works Ltd 電流検出回路、およびその電流検出回路を備えたdc/dcコンバ―タ
US20100027301A1 (en) * 2008-07-31 2010-02-04 Motorola, Inc. Band-pass current mode control scheme for switching power converters with higher-order output filters
JP2010200517A (ja) * 2009-02-26 2010-09-09 Fujitsu Semiconductor Ltd 電源制御装置、電源制御方法および電子機器
JP2017508434A (ja) * 2014-03-12 2017-03-23 クゥアルコム・インコーポレイテッドQualcomm Incorporated 多相スイッチング電力コンバータの平均電流モード制御
JP2017192255A (ja) * 2016-04-15 2017-10-19 株式会社豊田中央研究所 電力変換装置
JP2017208976A (ja) * 2016-05-20 2017-11-24 ローム株式会社 インターリーブコンバータ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000193687A (ja) * 1998-12-25 2000-07-14 Toyota Autom Loom Works Ltd 電流検出回路、およびその電流検出回路を備えたdc/dcコンバ―タ
US20100027301A1 (en) * 2008-07-31 2010-02-04 Motorola, Inc. Band-pass current mode control scheme for switching power converters with higher-order output filters
JP2010200517A (ja) * 2009-02-26 2010-09-09 Fujitsu Semiconductor Ltd 電源制御装置、電源制御方法および電子機器
JP2017508434A (ja) * 2014-03-12 2017-03-23 クゥアルコム・インコーポレイテッドQualcomm Incorporated 多相スイッチング電力コンバータの平均電流モード制御
JP2017192255A (ja) * 2016-04-15 2017-10-19 株式会社豊田中央研究所 電力変換装置
JP2017208976A (ja) * 2016-05-20 2017-11-24 ローム株式会社 インターリーブコンバータ

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7408644B2 (ja) 2018-09-24 2024-01-05 ルノー エス.ア.エス. N個のスイッチングセルを有するブーストコンバータを制御するための方法
WO2021095208A1 (ja) * 2019-11-14 2021-05-20 三菱電機株式会社 電力変換装置、モータ駆動装置、送風機、圧縮機及び空気調和機
JPWO2021095208A1 (ja) * 2019-11-14 2021-05-20
JP7118288B2 (ja) 2019-11-14 2022-08-15 三菱電機株式会社 電力変換装置、モータ駆動装置、送風機、圧縮機及び空気調和機
JP2021182783A (ja) * 2020-05-18 2021-11-25 三菱電機株式会社 電力変換回路の制御装置
WO2023032354A1 (ja) * 2021-09-01 2023-03-09 株式会社日立パワーデバイス 駆動回路および電力変換装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP7109205B2 (ja) 2022-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7109205B2 (ja) 電力変換装置
KR101202582B1 (ko) 위상 전류를 분배하는 다상 스위칭 레귤레이터
US9455630B2 (en) Control circuit and control method of digital control power supply circuit, and digital control power supply circuit, electronic device and base station using the same
KR101840412B1 (ko) 벅 스위치 모드 파워 컨버터 큰 신호 천이 응답 최적화기
US10622914B2 (en) Multi-stage DC-AC inverter
JP6024188B2 (ja) 電源装置の制御回路
Qahouq et al. Power converter with digital sensorless adaptive voltage positioning control scheme
US8248041B2 (en) Frequency compression for an interleaved power factor correction (PFC) converter
US8437158B2 (en) Active rectification output capacitors balancing algorithm
Ghosh et al. Generalized feedforward control of single-phase PWM rectifiers using disturbance observers
WO1997012437A1 (fr) Regulateur destine a un convertisseur commande par modulation d'impulsions en largeur
JP2010088150A (ja) 充電装置
JP5226399B2 (ja) 電源装置及び電源装置の制御方法
JP2016067168A (ja) マトリクスコンバータ、発電システムおよび電力変換方法
TW201711367A (zh) 轉換裝置及其控制方法
TW201409906A (zh) 控制電路、時間計算單元及控制電路操作方法
US10320306B1 (en) Matrix converter system with current control mode operation
JP6716105B2 (ja) インターリーブコンバータ
JP3738015B2 (ja) 電源装置及びその制御装置
JP5115730B2 (ja) Pwmコンバータ装置
JP3070606B1 (ja) 電力変換装置
JP2018137841A (ja) 力率改善回路及び充電装置
JP5673168B2 (ja) 電力変換装置
JP5507417B2 (ja) 電源装置
JP4649940B2 (ja) コンバータの制御方法及びコンバータの制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220329

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220712

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220719

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7109205

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150