JP2021182783A - 電力変換回路の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力変換回路の状態急変時に、制御の安定性を確保しつつ、出力電圧の増加を抑制できる電力変換回路の制御装置を提供する。【解決手段】補正制御部51において、第2端子電圧の検出値V2senおよびリアクトル電流検出値ILsenに基づいて補正制御を行うか否かを判定し、補正制御を行うと判定した場合には、補正係数α1を設定し、その補正係数α1でもってフィードバック制御部41で演算した積分項前回値Dintg0を補正する。【選択図】図2

Description

本願は、電力変換回路の制御装置に関する。
出力電圧制御を行う電力変換回路は、負荷変動、入力電圧変動などの回路状態の急変が生じた場合に出力電圧が上昇し、同回路あるいはこれに並列接続された電装品が故障したり、また、過電圧保護により電力変換回路が停止したりする可能性がある。そのため、従来技術では、フィードバック制御部において、リアクトル電流値に応じて積分項を補正すること、具体的には、積分ゲインを変更して積分項を補正することによりデューティ比を補正し、これによって、電力変換回路を保護している(例えば、下記の特許文献1参照)。
特許第4557005号
しかし、定格負荷に対して軽負荷となる小電流の領域では、センサ誤差の割合が大きくなる。このため、特許文献1では、小電流領域での積分項補正を適切にできないことから、設計時の安定性を確保できず、電力変換回路が故障または動作停止する可能性がある。
加えて、特許文献1では、常時、積分項補正を行っている。そのため、マイコン処理の負荷が増大することに伴い、マイコン容量が増大する。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、電力変換回路の状態が急変した場合でも出力電圧の増大を抑制して制御の安定性を確保することができる電力変換回路の制御装置を提供することを目的とする。
本願に開示される電力変換回路の制御装置は、スイッチング素子のオン/オフにより第1端子と第2端子との間で電力変換を行う電力変換回路を制御するものであって、 前記電力変換回路に係る電気的情報を検出するセンサ部と、制御目標となる指令値および前記センサ部の検出値に基づいて、前記スイッチング素子をオン/オフ制御するデューティ比を算出するフィードバック制御部と、前記センサ部からの電気的情報に基づいて前記フィードバック制御部で算出されるデューティ比を補正する補正制御部と、前記デューティ比もしくは前記補正制御部により補正されたデューティ比に基づいて前記スイッチング素子をオン/オフ制御するスイッチング制御部とを備え、前記補正制御部は、前記第2端子に加わる第2端子電圧もしくは前記第2端子電圧と前記第2端子に対する第2端子電圧指令値との差が前記電気的情報に基づいて予め定めた出力電圧範囲を逸脱した場合、または、前記第2端子電圧もしくは前記第2端子電圧と前記第2端子電圧指令値との差が前記電気的情報に基づいて決定される第1の出力電圧範囲を超過した後に第2の出力電圧範囲内に収束されるまでの期間、あるいは、電流不連続モードの期間である場合に、前記フィードバック制御部で演算される積分項の前回値を補正する。
本願に開示される電力変換回路の制御装置によれば、電力変換回路の状態が急変した場合でも出力電圧の増大を抑制して制御の安定性を常に確保することができる。
実施の形態1に係る電力変換回路および制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る制御装置の構成図である。 実施の形態1に係るデューティ比に基づくスイッチング素子のオン/オフ制御を説明するためのタイムチャートである。 実施の形態1に係るデューティ比に基づくスイッチング素子のオン/オフ制御を説明するためのタイムチャートである。 比較例に係る負荷変動時の挙動を説明するタイムチャートである。 比較例に係る負荷変動時の挙動を説明するタイムチャートである。 比較例に係る負荷変動時の挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係る積分項前回値の補正処理を説明するフローチャートである。 実施の形態1に係る定常時の挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係る負荷変動による出力電圧増大時の補正処理の挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態2に係る制御装置の概略構成図である。 実施の形態2に係る積分項前回値の補正処理を説明するフローチャートである。 実施の形態2に係る負荷変動による出力電圧増大時の補正処理の挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態2に係る負荷変動による出力電圧増大時の補正処理の挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態2に係る負荷変動による出力電圧増大時の補正処理の挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態2に係る負荷変動による出力電圧増大時の補正処理の挙動を説明するタイムチャートである。 実施の形態3に係る制御装置の概略構成図である。 実施の形態3に係る積分項前回値の補正処理を説明するフローチャートである。
実施の形態1.
図1は、本願の実施の形態1に係る電力変換回路および制御装置の概略構成図である。
この実施の形態1に係る電力変換回路20は、2つのスイッチング素子203、204を備え、第1端子21と第2端子22との間で電力変換を行う。第1端子21には、電源71が接続され、第2端子22には負荷81が接続されている。電源71は、ここでは直流電源であり、各種の蓄電装置が用いられる。負荷81は、インバータ82およびモータ83で構成される。さらに、電力変換回路20の2つのスイッチング素子203、204をオン/オフ制御する制御装置10が設けられている。
上記の電力変換回路20は、ここでは直流電力を変換するDC−DCコンバータであって、第1端子21から第2端子22に直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路と、第2端子22から第1端子21に直流電圧を降圧する降圧チョッパ回路とが組み合わされた双方向チョッパ回路が採用されている。
従って、電力変換回路20は、直流電源71の直流電力を昇圧して、インバータ82およびモータ83に供給する昇圧機能、およびモータ83が発電した交流電力をインバータ82により直流電力に変換し、インバータ82の直流電力を降圧して直流電源71に供給する降圧機能を有する。
第2端子22の正極側と負極側との間には、2つのスイッチング素子203、204が直列接続されている。各々のスイッチング素子203、204には、ダイオードが逆並列接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、または逆並列接続されたダイオードの機能を有するMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等が用いられる。あるいは、スイッチング素子203、204には、SiC(Silicon Carbide)−MOSFET、GaN(Gallium Nitride)−FET、GaN−HEMT(High Electron Mobility Transistor)等の各種のスイッチング素子を用いることができる。
各々のスイッチング素子203、204のゲート端子には、制御装置10から出力されたゲート駆動信号Gt1、Gt2が入力され、各ゲート駆動信号Gt1、Gt2に従って、各スイッチング素子203、204がオン/オフされる。
第1端子21の正極側は、リアクトル202の電流を検出するためのセンサ部としての電流センサ32、およびリアクトル202を介して、2つのスイッチング素子203、204の接続点に接続されている。また、第1端子21の負極側は、第2端子22の負極側に接続されている。電流センサ32の出力信号は、制御装置10に入力される。
2つのスイッチング素子203、204よりも第2端子22側には、第2端子22と並列に平滑コンデンサ205が接続されている。また、電流センサ32およびリアクトル202よりも第1端子21側には、第1端子21と並列に平滑コンデンサ201が接続されている。
第2端子側の平滑コンデンサ205に対しては、その両端電圧を検出することで、第2端子22間の電圧を検出するためのセンサ部としての電圧検出回路31が備えられている。電圧検出回路31の出力信号は、制御装置10に入力される。
そして、この実施の形態1の場合、電力変換回路20に係る電気的情報は、第2端子22の電圧(以降、第2端子電圧V2と称す)を電圧検出回路31で検出した検出値(以降、この検出値を第2端子電圧検出値V2senと称す)、およびリアクトル202に流れるリアクトル電流を電流センサ32で検出した検出値(以降、リアクトル電流検出値ILsenと称す)とされている。
図2は、制御装置10を示す構成図である。
制御装置10は、電力変換回路20を制御するものであって、フィードバック制御部41、補正制御部51、およびスイッチング制御部61を備えている。以下、制御装置10の各部41、51、61の機能について詳細に説明する。
フィードバック制御部41は、第2端子22に対する電圧制御目標となる指令値(以降、第2端子電圧指令値V2refと称す)、および第2端子電圧検出値V2senに基づいて、制御装置10から出力されるゲート駆動信号Gt1、Gt2に対するデューティ比Dを算出する。なお、第2端子電圧指令値V2refは、制御装置10内で演算されてもよいし、制御装置10の外部から伝達されてもよい。
フィードバック制御部41の具体的な構成としては、第2端子電圧指令値V2refと第2端子電圧検出値V2senとの差を演算する減算器401を備える。減算器401の出力信号は、第2端子電圧エラー値V2err(=V2sen−V2ref)として比例制御部411および積分制御部412に入力される。
比例制御部411は、第2端子電圧エラー値V2errに対して比例演算を行い、比例デューティ比Dprpを出力する。また、積分制御部412は、第2端子電圧エラー値V2errに対して積分演算を行い、積分デューティ比Dintgを出力する。
すなわち、積分制御部412は、第2端子電圧エラー値V2errに対して増幅器402で積分ゲインKiを乗算し、次いで増幅器403で制御周期Tcntを乗算して積分項今回値Dintg1を算出する。次に、加算器405で積分項今回値Dintg1に対して、後述する補正された積分項前回値(以降、積分項前回補正値と称す)Dintg0crct1が加算されて積分デューティ比Dintg(=Dintg1+Dintg0crct1)として出力される。この積分デューティ比Dintgは、加算器408に入力されるとともに、Z変換器406にも入力される。
加算器408は、加算器405の出力である積分デューティ比Dintgと比例制御部411の出力である比例デューティ比Dprpとを加算し、これをデューティ比D(=Dprp+Dintg)として、スイッチング制御部61に出力する。
一方、加算器405の加算出力である積分デューティ比DintgがZ変換器406に入力されてZ変換されることで積分項前回値Dintg0が生成される。次いで、演算増幅器407で積分項前回値Dintg0に対して、後述する補正制御部51で演算される補正係数α1が乗算されて補正された積分項前回値Dintg0crct1が生成される。そして、前述のように、この積分項前回補正値Dintg0crct1が加算器405で積分項今回値Dintg1に加算されて積分デューティ比Dintgとして出力される。
なお、この実施の形態1では、フィードバック制御部41は、比例積分制御(PI制御)を行うようにしているが、PI制御の代わりに、比例積分微分制御(PID制御)などの演算を行う各種のフィードバック制御を用いることも可能である。また、フィードバック制御部41とスイッチング制御部61との間で、ダンピング制御、電流制御等の各種の制御が行われてもよい。ダンピング制御とは、例えば、特許第6230665号に記載のように、PI制御の演算結果から、電流検出値に基づく演算結果を減算することで、電流変動によるデューティ比の変動を抑制する制御である。
スイッチング制御部61は、フィードバック制御部41により算出されたデューティ比Dに基づいて、PWM(Pulse Width Modulation)制御により、各スイッチング素子203、204に対するオン/オフ制御用のゲート駆動信号Gt1、Gt2を生成する。
この実施の形態1では、デューティ比Dは、負極側のスイッチング素子203のオンデューティ比となり、正極側のスイッチング素子204のオフデューティ比となる。すなわち、負極側のスイッチング素子203がオンである場合は、正極側のスイッチング素子204がオフになる。2つのスイッチング素子203、204が同時にオンして正極側と負極側とが短絡するのを防ぐために、正極側のスイッチング素子204のオン期間と負極側のスイッチング素子203のオン期間との間には、双方ともオフになるデッドタイムが設けられている。
例えば、図3Aに示すように、スイッチング制御部61は、デューティ比Dとキャリア波Vcrとを比較し、図3Bに示すように、各スイッチング素子203、204のゲート駆動信号Gt1、Gt2を生成する。なお、ここでのキャリア波Vcrは、キャリア周波数で「0」から「1」の間を振動する三角波とされている。
スイッチング制御部61は、デューティ比Dがキャリア波Vcrよりも大きい場合は、負極側のスイッチング素子S203に対するゲート駆動信号Gt1をHighレベルにし、デューティ比Dがキャリア波Vcrよりも小さい場合は、ゲート駆動信号Gt1をLowレベルにする。
また、スイッチング制御部61は、デューティ比Dにデッドタイムに対応する値ΔDtを加算したデューティ比D+ΔDtがキャリア波Vcrよりも大きい場合は、正極側のスイッチング素子204に対するゲート駆動信号Gt2をLowレベルにし、加算後のデューティ比D+ΔDtがキャリア波Vcrよりも小さい場合は、ゲート駆動信号Gt2をHighレベルにする。
なお、キャリア波Vcrは、三角波に限らず、例えば逆のこぎり波を用いることもできる。
補正制御部51は、第1の補正制御ON/OFF判定部501、および第1の補正値演算部502を備えている。なお、補正制御部51を構成する各部501、502の詳細については後述する。
次に、この実施の形態1のように補正制御部51を設ける場合の優位性を明確にするため、比較例として、補正制御部51を設けない場合の第2端子電圧検出値V2senの挙動について説明する。
電力変換回路20の回路状態が急変すると、第2端子電圧検出値V2senが増大する可能性がある。その急変要因としては、例えば、負荷81が力行から回生へ変わる場合がある。負荷81が力行から回生へと変わると、電流がゼロを跨ぐため、電流不連続モードとなり、主回路状態が変わる。そのため、制御の応答性が悪化することにより、第2端子電圧検出値V2senが増大する。
図4は、補正制御部51が設けられていない場合において、負荷81が力行から回生に変わったときの挙動を説明するタイムチャートである。同図、図4Aは第2端子電圧検出値V2senと第2端子電圧指令値V2refの時間変化を、図4Bはリアクトル電流検出値ILsenの時間変化を、図4Cは積分項前回値Dintg0の時間変化を、それぞれ示している。
時刻T01で、リアクトル電流検出値ILsenが下がり始める。時刻T01までは、第2端子電圧検出値V2senは、第2端子電圧指令値V2refに一致しており、積分項前回値Dintg0およびリアクトル電流検出値ILsenは定常状態である。なお、図4では省略しているがリアクトル電流検出値ILsenには、PWM制御によるキャリア周波数の振動が含まれる。
時刻T02で第2端子電圧検出値V2senは最大となる。このとき、第2端子電圧検出値V2senが予め設定されている回路保護用の閾値以上になると、電力変換回路20が停止し、また定格を超過すると故障する可能性がある。
第2端子電圧検出値V2senの過剰な増加を低減するために、出力電力の低減、および、スイッチング素子203、204の耐圧増加などの対策を講じることも考えられるが、そうすると、出力電力の低減による電力高密度化の阻害、スイッチング素子203、204の耐圧増加による大型化、ならびに効率低下を招くなどの不具合が生じる。よって、このような不具合を生じることなく、電力変換回路20の回路状態の急変に伴う第2端子電圧検出値V2senの増大を防止する必要がある。
これに対して、この実施の形態1のように補正制御部51を設けた場合、第1の補正制御ON/OFF判定部501は、第2端子電圧検出値V2sen、リアクトル電流検出値ILsen、および第2端子電圧指令値V2refに基づき、補正制御を行うかどうかを判定する。そして、その判定結果を次段の第1の補正値演算部502に出力する。第1の補正値演算部502は、第1の補正制御ON/OFF判定部501の判定結果に基づき、補正係数α1を生成してフィードバック制御部41の演算増幅器407に向けて出力する。そして、この補正係数α1でもって積分項前回値Dintg0の補正を行う。
なお、後述するように、補正係数α1が「1」の場合には、積分項前回値Dintg0と補正された積分項前回値Dintg0crct1とは同一の値となり、補正制御はオフとなる。
この構成によれば、制御の応答性が足りないために、第2端子電圧検出値V2senが急に増加しても、積分項前回値Dintg0の補正を行うことで、補正制御がオンからオフになった直後にデューティ比Dの急峻な変化を抑制でき、また、一時的に制御の応答性を上げることができる。また、第2端子電圧検出値V2senの増加を抑制して回路の故障を回避することができる。さらに、積分項今回値Dintg1は変更しないため、設計時の安定性を確保できる。一方、第2端子電圧検出値V2senの正常時は、補正制御を行わないため(つまり、補正係数α1が「1」)、設計時の安定性を確保することができる。
次に、第1の補正制御ON/OFF判定部501および第1の補正値演算部502を合わせた補正制御部51全体の補正処理の内容について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図中、符号Sは各処理ステップを意味する。
S01で、補正制御部51は、第2端子電圧検出値V2senと第2端子電圧指令値V2refの差である第2端子電圧エラー値V2err(=V2sen−V2ref)を算出する。
S02で、第2端子電圧エラー値V2errが第1の電圧閾値Vth1から第2の電圧閾値Vth2の範囲内(Vth1≦V2err≦Vth2)にあるかどうかを判定する。
S02で、第2端子電圧エラー値V2errが第1の電圧閾値Vth1から第2の電圧閾値Vth2の範囲内(YES)と判定された場合には、S03で補正制御部51は補正制御をオフとする。次いで、S04で補正係数α1を「1」とし、補正制御を無効化する。
一方、S02で、第2端子電圧エラー値V2errが第1の電圧閾値Vth1から第2の電圧閾値Vth2の範囲内ではない(NO)と判定された場合には、S05でリアクトル電流検出値ILsenが第1の電流閾値Ith1から第2の電流閾値Ith2の範囲内(ILth1≦ILsen≦ILth2)にあるかどうかを判定する。
S05でリアクトル電流検出値ILsenが第1の電流閾値Ith1から第2の電流閾値Ith2の範囲外である(NO)と判定した場合には、S03に進む。そして、S03で補正制御部51は補正制御をオフとし。次いで、S04で補正係数α1を「1」として補正制御を無効化する。
一方、S05でリアクトル電流検出値ILsenが第1の電流閾値Ith1から第2の電流閾値Ith2の範囲内である(YES)と判定した場合にはS06に進み、S06で補正制御部51は補正制御をオンとする。次いで、S07で第2端子電圧エラー値V2errが第1の電圧閾値Vth1以上であるか否か(Vth1≦V2err)を判定する。
S07で、第2端子電圧エラー値V2errが第1の電圧閾値Vth1以上(YES)と判定された場合には、S08で補正係数α1を「1」より小さい値に設定する。
一方、S07で、第2端子電圧エラー値V2errが第1の電圧閾値Vth1未満である(NO)と判定された場合には、S09で補正係数α1を「1」より大きい値に設定する。
ここで、上記のフローチャートに示した補正処理において、補正制御部51が補正制御を行うかどうかを判定する基準となる第1、第2の電圧閾値Vth1、Vth2、および第1、第2の電流閾値Ith1、Ith2の設定、ならびに補正係数α1の設定の仕方について次に説明する。
第2端子電圧エラー値V2errに対して設定される第1の電圧閾値Vth1および第2の電圧閾値Vth2については、電力変換回路20の保護閾値、定格電圧、並列接続された機器の定格などに基づき、定常時に第2端子電圧エラー値V2errが上記の第1の電圧閾値Vth1から第2の電圧閾値Vth2の範囲を超過しない値に設定される。なお、第2端子電圧V2の定常時を考慮するとき、負荷81の脈動に伴う第2端子電圧V2の脈動も考慮する必要がある。
また、リアクトル電流検出値ILsenに対して設定される第1の電流閾値Ith1および第2の電流閾値Ith2については、電力変換回路20の定格電流によって決まる保護閾値に基づいて設定される。
補正処理の補正係数α1は、電力変換回路20に生じる回路急変の最大速度に対して1制御周期Tcnt当たりにデューティ比Dの変化の最大を超えない値(定数)に設定される。
例えば、第2端子電圧V2および第1端子電圧V1が一定の状態の下で負荷81が力行から回生に変化する場合、スイッチング素子203に関し、デューティ比DはデッドタイムΔDtの2倍減少する。また、負荷81が回生から力行に変化する場合、スイッチング素子203に関し、デューティ比DはデッドタイムΔDtの2倍増加する。1制御周期Tcntに2×ΔDt変化するとして積分項に換算し、補正係数α1の最大値を決定する。
一例として、第2端子電圧V2および負荷81が一定の状態の下で第1端子電圧V1が1制御周期Tcnt当たり最大速度Sv1で変化する場合、1制御周期Tcnt当たりのデューティ比Dの最大変化量Dvv1は次式で求めることができる。
Dvv1=|Sv1/V2ref|
Dvv1を積分項に換算し、補正係数α1の最大値を決定する。
また、他の一例として、第1端子電圧V1および負荷81が一定の状態の下で第2端子電圧V2が1制御周期Tcnt当たり最大速度Sv2で変化する場合、1制御周期Tcnt当たりのデューティ比Dの最大変化量Dvv2は次式で求めることができる。
Dvv2=|V1/V2ref×Sv2|
Dvv2を積分項に換算し、補正係数α1の最大値を決定する。
図6に、回路定常時の挙動を示す。図6Aは第2端子電圧検出値V2sen(実線)、および第2端子電圧指令値V2ref(一点鎖線)を示している。また、図6Bはリアクトル電流検出値ILsen(実線)を示している。図6Cは、積分項前回値Dintg0(実線)を示している。
このとき、第2端子電圧検出値V2senは、(Vth1+V2ref)と(Vth2+V2ref)との間に収まるように設定されている。そのため、補正制御はオフとなっている。
図7に、負荷81が急変した場合の制御挙動を示す。図7Aは第2端子電圧検出値V2senにつき補正制御がオフの場合(実線)とオンの場合(破線)、および第2端子電圧指令値V2ref(一点鎖線)を示している。また、図7Bはリアクトル電流検出値ILsenにつき補正制御がオフの場合(実線)とオンの場合(破線)を示している。図7Cは、積分項前回値Dintg0につき補正制御がオフの場合(実線)とオンの場合(破線)を示している。
時刻T11で負荷81が力行から回生に転じると、リアクトル電流検出値ILsenが減少を開始する。その直後に第2端子電圧検出値V2senが増加を始め、これに伴い、フィードバック制御部41のフィードバック制御により積分項前回値Dintg0は減少を始める。
時刻T12で第2端子電圧検出値V2senが第2の電圧閾値Vth2を超過すると、積分項補正制御がオンとなり、積分項前回値Dintg0をさらに減少させる。その結果、第2端子電圧検出値V2senは直ちに低下を始め、リアクトル電流検出値ILsenはアンダーシュートが発生する。リアクトル電流検出値ILsenが定格電流によって決まる保護閾値を超過すると、電力変換回路20が動作を停止するため、図5のステップS05で示したように、リアクトル電流検出値ILsenが第1、第2の電流閾値Ith1、Ith2の範囲内(Ith1≦IL≦Ith2)のときに補正制御をオンとする。
なお、積分項前回値Dintg0を補正により低減する回数は、演算周期内で1回だけ行ってもよいが、第2端子電圧エラー値V2errが第1の電圧閾値Vth1から第2の電圧閾値Vth2の範囲内になるまで、1演算周期内で1回の補正を複数回繰り返して行ってもよい。複数回行えば、制御精度を高めることができる。
以上のように、この実施の形態1に係る電力変換回路の制御装置は、出力電圧が増大した場合にはフィードバック制御の積分項の前回値を補正(具体的には積分項前回値Dintg0に対して補正係数α1を乗算)することによりデューティ比を補正し、これにより、出力電圧の増大を抑制して制御の安定性を常に確保することができるという効果が得られる。
実施の形態2.
図8はこの実施の形態2に係る電力変換回路の制御装置の構成図であり、実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同様の符合を付して説明を省略する。
この実施の形態2に係る電力変換回路の全体構成は、実施の形態1(図1)の場合に類似するが、制御装置10の構成が実施の形態1(図2)の場合と若干異なっている。
すなわち、この実施の形態2において、補正制御部51は、第2端子電圧検出値V2senおよびリアクトル電流検出値ILsenに基づき補正制御をオンにするか否かを判定する第2の補正制御ON/OFF判定部503、およびこの第2の補正制御ON/OFF判定部503の判定出力に基づき、積分項補正値α2を生成する第2の補正値演算部504を備える。そして、第2の補正値演算部504は、この積分項補正値α2をフィードバック制御部41の後述する加算器409に向けて出力する。
フィードバック制御部41は、2値の和を演算するための加算器409を有し、この加算器409は、Z変換器406から出力される積分項前回値Dintg0に対して積分項補正値α2を加算する。そして、この加算器409の出力信号は、補正された積分項前回値Dintg0crct2として出力され、加算器405に入力される。フィードバック制御部41のその他の構成は実施の形態1と同様である。
なお、積分項補正値α2がゼロの場合、積分項前回値Dintg0と補正された積分項前回値Dintgcrct2とは同一の値となり、補正制御はオフとなる。
次に、第2の補正制御ON/OFF判定部503および第2の補正値演算部504を合わせた補正制御部51全体の補正処理の内容について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。なお、補正制御を行うかどうかを判別するための補正制御フラグFgの初期値はゼロとする。また、図中、符号Sは各処理ステップを意味する。
また、ここでは、第3の電圧閾値Vth3と第4の電圧閾値Vth4との間の範囲を第1の出力電圧範囲と、また第5の電圧閾値Vth5と第6の電圧閾値Vth6との間の範囲を第2の出力電圧範囲と称する。なお、Vth3<Vth5<Vth6<Vth4である。
このように、第1の出力電圧範囲と第2の出力電圧範囲を設定するのは、補正制御部51において、第2端子電圧検出値V2senに基づき補正制御のオン/オフを判断する場合にヒステリシスをもたせるためである。
ステップS11で、第2端子電圧検出値V2senが第1の出力電圧範囲内(Vth3≦V2sen≦Vth4)にあるかどうかを判定する。
ステップS11で、2端子電圧検出値V2senが第1の出力電圧範囲内である(YES)と判定した場合は、ステップS12に進む。そして。ステップS12で、補正制御フラグFgがゼロであるか否かを判定し、ゼロである(YES)と判定した場合にはステップS13に進み、ステップS13で積分項補正値α2をゼロに設定し、補正制御はオフとなる。
先のステップS11で第2端子電圧検出値V2senが第1の出力電圧範囲外である(NO)と判定した場合、または、ステップS12で補正制御フラグFgがゼロでない(NO)と判定した場合にはステップS14に進む。
ステップS14では、第2端子電圧検出値V2senが第2の出力電圧範囲内(Vth5≦V2sen≦Vth6)にあるか否かを判定する。これは、第2端子電圧検出値V2senが第1の出力電圧範囲を超過してから、その後に第2の出力電圧範囲内に収束されているかどうかを判断することを意味する。
ステップS14で、第2端子電圧検出値V2senが第2の出力電圧範囲内である(YES)と判定した場合には、ステップS15に進む。そして、ステップS15で補正制御フラグFgをゼロとして補正制御をオフにし、ステップS13に進み積分項補正値α2をゼロに設定する。
一方、ステップS14で、第2端子電圧検出値V2senが第2の出力電圧範囲外である(NO)と判定した場合には、ステップS16に進む。これは、第2端子電圧検出値V2senが第1の出力電圧範囲を超過した後も、第2端子電圧検出値V2senが未だ第2の出力電圧範囲内に収束されていない状態にあることを意味する。
そして、ステップS16でリアクトル電流検出値ILsenが第3の電流閾値Ith3から第4の電流閾値Ith4の範囲内(Ith3≦ILsen≦Ith4)にあるか否かを判定する。
ステップS16で、リアクトル電流検出値ILsenが第3の電流閾値Ith3から第4の電流閾値Ith4の範囲外である(NO)と判定した場合にはステップS15に進む。そして、ステップS15で補正制御フラグFgをゼロとして補正制御をオフにし、ステップS13に進み積分項補正値α2をゼロに設定する。
一方、ステップS16で、リアクトル電流検出値ILsenが第3の電流閾値Ith3から第4の電流閾値Ith4の範囲内にある(YES)と判定した場合にはステップS17に進む。そして、ステップS17でリアクトル電流検出値ILsenが第5の電流閾値Ith5から第6の電流閾値Ith6の範囲内(Ith5≦ILsen≦Ith6)にあるか否かを判定する。なお、Ith3>Ith5<Ith6<Ith4である。
ステップS17で、リアクトル電流検出値ILsenが第5の電流閾値Ith5から第6の電流閾値Ith6の範囲外である(NO)と判定した場合にはステップS15に進む。そして、ステップS15で補正制御フラグFgをゼロとして補正制御をオフにし、ステップS13に進み積分項補正値α2をゼロに設定する。
一方、ステップS17で、リアクトル電流検出値ILsenが第5の電流閾値Ith5から第6の電流閾値Ith6の範囲内にある(YES)と判定した場合にはステップS18に進む。そして、ステップS18で補正制御フラグFgを「1」に設定して補正制御を有効にし、ステップS19に進む。
ステップS19で、第2端子電圧検出値V2senが第5の電圧閾値Vth5以下であるか否か(Vth5≧V2sen)を判定する。そして、第2端子電圧検出値V2senが第5の電圧閾値Vth5以下(YES)と判定した場合にはステップS20に進む。そして、ステップS20で積分項補正値α2を正の値(α2>0)に設定する。
一方、ステップS19で第2端子電圧検出値V2senが第5の電圧閾値Vth5以下ではない(NO)と判定した場合にはステップS21に進む。そして、ステップS21で積分項補正値α2を負の値(α2<0)に設定する。
なお、この場合、積分項補正値α2は、実施の形態1の補正係数α1を設定する場合と同様に、電力変換回路20に生じる回路急変の最大速度に対して1制御周期Tcnt当たりにデューティ比Dの変化の最大を超えない値(定数)に設定される。
図10に、負荷81が急変した場合の制御挙動を示す。図10Aは第2端子電圧検出値V2senにつき補正制御がオフの場合(実線)、補正制御がオンの場合(破線)、および第2端子電圧指令値V2ref(一点鎖線)をそれぞれ示している。また、図10Bはリアクトル電流検出値ILsenにつき補正制御がオフの場合(実線)、および補正制御がオンの場合(破線)をそれぞれ示している。図10Cは積分項前回値Dintg0につき補正制御がオフの場合(実線)、および補正制御がオンの場合(破線)をそれぞれ示している。また、図10Dは補正制御フラグFgの挙動を示している。
時刻T21で、負荷81が力行から回生に転じると、リアクトル電流検出値ILsenが減少を開始する。その直後に第2端子電圧検出値V2senが増加を始め、フィードバック制御部41のフィードバック制御により積分項前回値Dintg0は減少を始める。
時刻T22で第2端子電圧検出値V2senが第4の電圧閾値Vth4を超過すると、補正制御フラグFgがゼロから1となり、積分項補正制御がオンとなり、補正制御部51は積分項前回値Dintg0を減少させる。その結果、第2端子電圧検出値V2senは直ちに低下を始める。このとき、リアクトル電流検出値ILsenはアンダーシュートが発生する場合がある。
リアクトル電流検出値ILsenが第3の電流閾値Ith3を下回った場合、補正制御フラグFgはゼロとなり、補正制御部51は補正制御をオフとする。一方、リアクトル電流検出値ILsenが第5の電流閾値Lth5を上回った後に、補正制御を再開することが可能となる。
時刻T23で第2端子電圧検出値V2senが第6の電圧閾値Vth6を下回って第2の出力電圧範囲内に収束すると、補正制御フラグFgは「1」からゼロになり、補正制御はオフとなる。時刻T24で負荷81の減少が終了する。
以上のように、この実施の形態2に係る電力変換回路の制御装置は、出力電圧が増大した場合にはフィードバック制御の積分項の前回値を補正(具体的には積分項前回値Dintg0に対して積分項補正値α2を加減算)することによりデューティ比を補正し、これにより、出力電圧の増大を抑制して制御の安定性を常に確保することができるという効果が得られる。
実施の形態3.
図11は、この実施の形態3に係る電力変換回路の制御装置の構成図であり、実施の形態1と対応もしくは相当する構成部分には同様の符合を付して説明を省略する。
この実施の形態3に係る電力変換回路の全体構成は、実施の形態1(図1)の場合に類似するが、制御装置10の構成が実施の形態1(図2)の場合と若干異なっている。
すなわち、この実施の形態3において、補正制御部51は、リアクトル電流検出値ILsenを平滑処理する電流平滑化処理部508、および第2端子電圧検出値V2senを平滑処理する電圧平滑化処理部509を備える。
なお、電流平滑化処理部508および電圧平滑化処理部509で行われる平滑化処理は、一次遅れフィルタ、移動平均処理、高次のローパスフィルタ処理、加重移動平均処理等のいずれかの処理を用いることができる。平滑化処理の遮断周波数は、電力変換回路20のスイッチング素子のスイッチング周波数、負荷81の脈動周波数、または直結時の共振周波数に基づいて設定される。
なお、以降において、電流平滑化処理部508で平滑処理された出力をリアクトル電流検出平滑値ILsensmthと、また、電圧平滑化処理部509で平滑処理された出力を第2端子電圧検出平滑値V2sensmthと称する。
さらに、補正制御部51は、第2端子電圧指令値V2ref、第2端子電圧検出平滑値V2sensmth、およびリアクトル電流検出平滑値ILsensmthに基づいて、補正制御をオンにするか否かを判定する第3の補正制御ON/OFF判定部505を備える。また、この第3の補正制御ON/OFF判定部505の判定結果に基づき、積分項補正値α3を生成する第3の補正値演算部506を備える。そして、この第3の補正値演算部506で生成される積分項補正値α3をフィードバック制御部41の後述する積分項前回値変更部421に向けて出力する。
フィードバック制御部41は、積分項前回値変更部421を有し、この積分項前回値変更部421は、第3の補正制御ON/OFF判定部505による判定結果により補正制御がオンの場合、Z変換器406から出力される積分項前回値Dintg0を積分項補正値α3に変更する。そして、この積分項補正値α3を積分項前回補正値Dintg0crct3として加算器405に向けて出力する。
フィードバック制御部41のその他の構成は実施の形態1と同様である。
次に、第3の補正制御ON/OFF判定部505および第3の補正値演算部506を合わせた補正制御部51全体の補正処理の内容について、図12に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図中、符号Sは各処理ステップを意味する。
ステップS31で、第2端子電圧検出平滑値V2sensmthから第2端子電圧指令値V2refを引き、第2端子電圧エラー値V2err‘(=V2sensmth−V2ref)を算出する。
前述のように、負荷81が力行から回生へと変わると、電流がゼロを跨ぐため、電流不連続モードとなる。
そこで、ステップS32で、リアクトル202に流れる電流に関し、電流不連続モードか否かを判定する。このとき、電流不連続モードでない(NO)と判定した場合にはステップS33に進み、ステップS33で補正制御をオフにする。
一方、ステップS32で電流不連続モードである(YES)と判定した場合にはステップS34に進み、ステップS34で補正制御をオンにする。ステップS34で補正制御をオンにした後、ステップS35で第2端子電圧エラー値V2err‘が第1の電圧閾値Vth1以上(Vth1≦V2err‘)か否かを判定する。
ステップS35で、第2端子電圧エラー値V2err‘が第1の電圧閾値Vth1以上(YES)と判定した場合にはステップS36に進み、ステップS36で積分項補正値α3を積分項前回値Dintg0より小さい値に設定する。
一方、ステップS35で第2端子電圧エラー値V2err‘が第1の電圧閾値Vth1未満(NO)と判定した場合はステップS37に進み、ステップS37で積分項補正値α3を積分項前回値Dintg0より大きい値に設定する。
なお、積分項補正値α3は、実施の形態1で補正係数α1を設定する場合と同様に、電力変換回路20に生じる回路急変の最大速度に対して1制御周期Tcnt当たりにデューティ比Dの変化の最大を超えない値(定数)に設定される。
以上のように、この実施の形態3に係る電力変換回路の制御装置は、出力電圧が増大した場合にはフィードバック制御の積分項の前回値を補正(具体的には積分項前回値Dintg0を積分項補正値α3に置換)することによりデューティ比を補正し、これにより、出力電圧の増大を抑制して制御の安定性を常に確保することができるという効果が得られる。
その他の実施の形態.
本願のその他の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する各実施の形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施の形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の各実施の形態1〜3においては、電力変換回路20は、第1端子21から第2端子22に直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路と、第2端子22から第1端子21に直流電圧を降圧する降圧チョッパ回路とが組み合わされた双方向チョッパ回路の場合を例として説明した。
しかし、本願の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、電力変換回路20は、スイッチング素子を備え、第1端子21と第2端子22との間で電力変換を行う回路であれば、各種の電力変換回路が用いられてもよい。
例えば、電力変換回路20は、第1端子21から第2端子22に直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路であってもよく、第1端子21から第2端子22に直流電圧を降圧する降圧チョッパ回路であってもよい。あるいは、絶縁トランスを備えた、絶縁型の電力変換回路であってもよく、複数の電力変換回路の要素をインターリーブ配置または並列配置した電力変換回路であってもよい。
(2)上記の各実施の形態1〜3においては、第1端子21に直流電源71が接続され、第2端子22にインバータ82およびモータ83からなる負荷81が接続される場合を例として説明した。
しかし、本願の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、第1端子21に負荷81が、第2端子22に電源71が接続された場合であってもよい。この場合の電源71および負荷81には、各種の電源および負荷を用いることができる。
(3)上記の各実施の形態1〜3においては、フィードバック制御部41は、第2端子電圧指令値V2refおよび第2端子電圧検出値V2senに基づいて、デューティ比Dを算出する場合を例として説明した。
しかし、本願の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、フィードバック制御部41は、電力変換回路20に係る電気的情報であれば、他の電気的情報の指令値および検出値を用いてもよい。フィードバック制御部41は、例えば、第1端子21または第2端子22に入力または出力される電圧、電流、または電力を、電力変換回路20に係る電気的情報として用いてもよい。
(4)上記の実施の形態1では、負荷81の変化に伴う第2端子電圧エラー値V2errの変化を、実施の形態2では負荷81の変化に伴う第2端子電圧検出値V2senの変化を、実施の形態3では、負荷81の変化に伴う第2端子電圧エラー値V2err‘の変化を、それぞれ補正制御のオン/オフを判断する指標とした。
しかし、本願の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、電力変換回路20に係る電気的情報の検出値の変化に伴うデューティ比Dの変化を想定して、デューティ比Dの制限範囲を設定してもよい。例えば、実施の形態1、3では、負荷81の変化に伴う第2端子電圧検出値V2senの変化を補正制御のオン/オフを判断する指標とすることもできる。また、実施の形態2では、負荷81の変化に伴う第2端子電圧エラー値V2errの変化を補正制御のオン/オフを判断する指標とすることもできる。
(5)上記の各実施の形態1〜3においては、フィードバック制御部41によってスイッチング素子203、204のデューティ比Dが演算される場合を例として説明した。
しかし、本願の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、フィードバック制御部41によって電力変換回路20のいずれのスイッチング素子203、204の制御量が演算される場合に補正係数α1、あるいは積分項補正値α2、α3が設定されてもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態および実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
10 制御装置、20 電力変換回路、21 第1端子、22 第2端子、
203,204 スイッチング素子、31 電圧検出回路(センサ部)、
32 電流センサ(センサ部)、71 直流電源、81 負荷、
41 フィードバック制御部、411 比例制御部、412 積分制御部、
51 補正制御部、61 スイッチング制御部。

Claims (7)

  1. スイッチング素子のオン/オフにより第1端子と第2端子との間で電力変換を行う電力変換回路を制御する制御装置であって、
    前記電力変換回路に係る電気的情報を検出するセンサ部と、
    制御目標となる指令値および前記センサ部の検出値に基づいて、前記スイッチング素子をオン/オフ制御するデューティ比を算出するフィードバック制御部と、
    前記センサ部からの電気的情報に基づいて前記フィードバック制御部で算出されるデューティ比を補正する補正制御部と、
    前記デューティ比もしくは前記補正制御部により補正されたデューティ比に基づいて前記スイッチング素子をオン/オフ制御するスイッチング制御部と、
    を備え、
    前記補正制御部は、前記第2端子に加わる第2端子電圧もしくは前記第2端子電圧と前記第2端子に対する第2端子電圧指令値との差が前記電気的情報に基づいて予め定めた出力電圧範囲を逸脱した場合、または、前記第2端子電圧もしくは前記第2端子電圧と前記第2端子電圧指令値との差が前記電気的情報に基づいて決定される第1の出力電圧範囲を超過した後に第2の出力電圧範囲内に収束されるまでの期間、あるいは、電流不連続モードの期間である場合に、前記フィードバック制御部で演算される積分項の前回値を補正する、電力変換回路の制御装置。
  2. 前記補正制御部による積分項の前回値の補正は、1演算周期内に1回する補正を少なくとも1回以上行う、請求項1に記載の電力変換回路の制御装置。
  3. 前記補正制御部による積分項の前回値の補正は、前記フィードバック制御部で演算された積分項に前記電気的情報に基づいて決定される定数を乗算する、請求項1または請求項2に記載の電力変換回路の制御装置。
  4. 前記補正制御部による積分項の前回値の補正は、前記フィードバック制御部で演算された積分項に前記電気的情報に基づいて決定される定数を加減算する、請求項1または請求項2に記載の電力変換回路の制御装置。
  5. 前記補正制御部による積分項の前回値の補正は、前記フィードバック制御部で演算された積分項を前記電気的情報に基づいて決定される定数に変更する、請求項1または請求項2に記載の電力変換回路の制御装置。
  6. 前記補正制御部による積分項の前回値の補正は、前記第2端子電圧が前記指令値よりも高いときには前記フィードバック制御部で演算される積分項が減少し、前記第2端子電圧が前記指令値よりも低いときには前記フィードバック制御部で演算される積分項が増加する補正である、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。
  7. 前記電気的情報は、前記第1端子または前記第2端子に入力または出力される電圧、電流、または電力、または前記電力変換回路の構成部品に印加される電圧、または流入する電流である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電力変換回路の制御装置。
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