JP6484529B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直流電圧を所望の電圧に変換して電子機器に供給するためのスイッチング電源装置に関する。
従来から、入力電圧をスイッチング素子のオンオフにより断続電圧に変換し、これを整流・平滑することで直流の出力電圧を得ることができるスイッチング電源装置が広く用いられている。また、これらのスイッチング電源装置の高効率化の手段として同期整流が知られている。
(逆流電流抑制制御)
ところで、同期整流を用いたスイッチング電源装置は、スイッチング電源装置の出力電圧設定値よりも高い電圧を出力側に印加すると、出力側から入力側に逆流電流が流れてしまう。この逆流電流は、スイッチング電源装置の出力側に印加する電圧が高いほど大きくなる。逆流電流が大きいと、スイッチング素子にストレスを与え、スイッチング電源装置を故障させる原因になる。
同期整流を用いたスイッチング電源装置の逆流電流を抑制する方法として、例えば、図5に示す特許文献1に示すDC−DCコンバータを用いたスイッチング電源装置が知られており、図5は、後述の説明のために、一般的に知られているソフトスタート回路を追加した場合を示している。
図5に示すように、スイッチング電源装置100は絶縁型フォワードコンバータであり、トランス104の一次コイル104aの一端には入力電源102のプラス側が接続され、一次コイル104aの他端はMOS−FETから成るスイッチング素子106のドレイン側が接続され、スイッチング素子106のソース側には入力電源102のマイナス側が接続される。
トランス104の二次コイル104bの一端には、MOS−FETから成る整流側の同期整流素子108のゲート側、インバータ112の入力側、MOS−FETから成る転流側の同期整流素子110のドレイン側、及び平滑コンデンサ116の一端がそれぞれ接続されている。
また、二次コイル104bの他端側には、同期整流素子108のドレイン側が接続され、同期整流素子108のソース側は同期整流素子110のソース側に接続され、同期整流素子110のゲート側にはインバータ112の出力側が接続されている。
同期整流素子108,110のソース側の接続部にはチョークコイル114の一端が接続され、チョークコイル114の他端は平滑コンデンサ116の他端に接続される。
スイッチング制御部120には、絶縁型フォワードコンバータの出力電圧を安定化するためフィードバック制御回路122及びスイッチング素子制御回路124が設けられ、また逆流電流を抑制するため逆流電流検知手段128と逆流電流抑制手段130が設けられている。
フィードバック制御回路122は、誤差アンプ136と基準電圧源138を備え、誤差アンプ136は、抵抗132,134で分圧した出力比例電圧Vo1が基準電圧Vrefよりも大きいとデューティ制御信号電圧VFBが小さくなるように制御し、出力比例電圧Vo1が基準電圧Vrefよりも小さいとデューティ制御信号電圧VFBが大きくなるように制御する。
スイッチング素子制御回路124は、PWMコンパレータ140と三角波発生回路142を備え、三角波信号電圧Vtriがデューティ制御信号電圧VFBよりも小さい場合はスイッチング素子106をオンし、三角波信号電圧Vtriがデューティ制御信号電圧VFBよりも大きい場合はスイッチング素子106をオフする制御を行う。これによりデューティ制御信号電圧VFBが大きいときはスイッチング素子106のオンデューティが広くなり、デューティ制御信号電圧VFBが小さいときはスイッチング素子106のオンデューティが狭くなる。
入力電源102から供給された電圧Vinは、スイッチング素子制御回路124によるスイッチング素子106のオンオフで断続電圧に変換されてトランス104の1次側から2次側に送られ、同期整流素子108,110の相補的なオンオフにより同期整流された後に、チョークコイル114と平滑コンデンサ116で整流平滑されることで安定化された出力電圧Voに変換される。
このスイッチング電源装置100は、逆流電流検知手段128が逆流電流を検知すると、逆流電流抑制手段130がフィードバック制御回路122に対して、スイッチング電源装置100の出力電圧Voを上昇させるように働きかける。即ち、逆流電流検知手段128が逆流電流を検知すると、フィードバック制御回路122に対してデューティ制御信号電圧VFBを大きくするように動作する。この動作により、スイッチング電源装置100に逆流電流が流れた場合、スイッチング電源装置100の出力電圧が上昇する方向に制御され、逆流電流が抑制されることになる。
特開2001−169545号公報 特開2014−220862号公報
ところで、図5に示したスイッチング電源装置100にソフトスタート回路126を設けた場合は、スイッチング電源装置100の出力側に電圧を印加した状態で起動動作を行うと、大きな逆流電流が流れてしまうと言う問題を持つ。以下、理由を説明する。
ソフトスタート回路126によるソフトスタート動作は、スイッチング電源装置100を起動させる際に、スイッチング電源装置100の出力電圧Voを零ボルトから定常動作中の出力電圧設定値まで徐々に上昇させる動作である。
ソフトスタート回路126は、スイッチング電源装置100の起動時にNPNトランジスタ146をオフすることで、抵抗148を介してコンデンサ150の充電を開始し、PNPトランジスタ144をエミッターフォロワーで用いることで、デューティ制御信号電圧VFBをコンデンサ150の電圧にPNPトランジスタ144のベースエミッタ間電圧を加えた電圧でクランプし、コンデンサ150の電圧が徐々に上昇すると、クランプされているデューティ制御信号電圧VFBも徐々に上昇する。
この動作により、スイッチング電源装置100の起動直後はオンデューティを狭く制御し、徐々にオンデューティを広げることで出力電圧を上昇させる動作を行うことができる。
ところで、ソフトスタート動作中に、逆流電流検知手段128が逆流電流を検出し、逆流電流抑制手段130がフィードバック制御回路122に対して出力電圧を上昇させるためにデューティ制御信号電圧VFBを大きくするように動作したとしても、スイッチング電源装置100の出力電圧Voがソフトスタート回路126によって決定されているため、出力電圧を逆流電流に対して上昇させる動作を行うことができない。
従って、スイッチング電源装置100の出力側に電圧を印加した状態で起動動作を行うと、大きな逆流電流が流れてしまうと言う問題が発生することになる。大きな逆流電流が流れてしまうと、スイッチング素子として用いている半導体素子に大きなストレスを与えることになり、最悪の場合、スイッチング電源装置100を破壊させることになる。
(非安定型コンバータ)
一方、スイッチング電源装置を高効率化する手段として、図6に示すように、安定型コンバータ210に非安定型コンバータ212を組み合わせたスイッチング電源装置200が知られている。
図6に示すように、安定型コンバータ210は例えば降圧チョッパーであり、スイッチング素子224、インダクタンス228、ダイオード226及びコンデンサ230を備え、降圧チョッパーのスイッチング素子224は、誤差アンプ270及び基準電圧源272を備えたフィードバック制御回路250と、PWMコンパレータ274及び三角波発生回路276を備えた安定型コンバータスイッチング素子制御回路252によって制御されることで、安定化された所定の電圧を出力する。
非安定型コンバータ212は、例えば絶縁型フルブリッジコンバータを用いており、トランス236の1次側となるスイッチング回路はフルブリッジ接続したスイッチング素子231,234の組み合せとスイッチング素子232,233の組み合わせを非安定型コンバータスイッチング素子制御回路258により相補的にオンオフしている。
トランス236の2次側に設けた同期整流回路の同期整流素子244,246は、一次側のスイッチング素231,234の組み合わせがオンするときには、同期整流素子246がオンし、スイッチング素子232,233の組み合わせがオンするときには、同期整流素子244がオンすることで同期整流し、コンデンサ248で平滑することで出力電圧Voを生成している。
非安定型コンバータ212はスイッチング素子231〜234のオンデューティを約50%の固定デューティで動作させて用いる。これにより、トランス236の導通率をほぼ100%とすることが可能となり、トランス236の利用率を高めることで高効率を実現する。また、非安定型コンバータ212は、それ自身に出力電圧を制御する機能を持たせず、トランス236の1次側巻線238と2次側巻線240,242の巻数比で入力電圧を出力電圧に変換する。
また、スイッチング素子231〜234のオンデューティを約50%の固定デューティで動作させて用いることから、トランス236の2次側には、極わずかのオフ期間が存在するだけなので、出力側の平滑回路に平滑用のチョークコイルを設ける必要が無いため、若しくは、非常に小さなインダクタンスのチョークコイルで良いため、平滑回路の導通抵抗を低減することで高効率を実現する。
非安定型コンバータ212は、出力電圧を制御する機能を持たないため、スイッチング電源装置として用いる場合には、通常は、安定型コンバータ210と組み合わせて用いられる。
しかしながら、図6に示したスイッチング電源装置200は、出力電圧の制御を安定型コンバータ210である降圧チョッパーで行うことになるため、非安定型コンバータ212に対しては、図5に示した逆流電流検知手段128と逆流電流抑制手段130による逆流電流抑制機能を設けることができず、出力側から電圧を印加すると、非安定型コンバータ212には、大きな逆流電流が流れることになる。
また、図6に示したスイッチング電源装置200に図5に示したソフトスタート回路126を設けた場合、スイッチング電源装置200が起動する際のソフトスタート動作においても、逆流電流を抑制することができないため、この場合も非安定型コンバータ212には、大きな逆流電流が流れることになる。
このように非安定型コンバータ212に大きな逆流電流が流れてしまうと、スイッチング素子として用いた半導体素子に大きなストレスを与えることになり、最悪の場合、スイッチング電源装置を破壊させることになる。
本発明は、出力側に同期整流回路を設け、出力側から電圧を印加した場合に流れる逆流電流を抑止して信頼性を高めるようにしたスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
(スイッチング電源装置:安定型コンバータと非安定型コンバータの組合せ
本発明は、
所定の電圧を出力する入力側電源回路と、
入力側電源回路から入力された電圧を断続電圧に変換して出力するスイッチング回路と、
スイッチング回路から出力された断続電圧を同期整流素子により同期整流して出力する同期整流回路と、
同期整流回路に設けた同期整流素子のオンオフを制御する同期整流素子制御回路と
スイッチング回路に流れる電流を検出して電流情報を出力する電流検出回路と、
電流検出回路からの電流情報に基づき、スイッチング回路の入力側から出力側に電流が流れたことを判定した場合に、同期整流素子制御回路に同期整流動作許可信号を出力して同期整流回路の同期整流動作を開始させる電流方向判定回路と、
を設けた、出力側から入力側に逆流電流を流すことができるスイッチング電源装置であって、
入力側電源回路は、
出力電圧を所定電圧に安定化して出力する安定型コンバータと、
安定型コンバータに接続され、起動時に出力電圧を零電圧から所定の時定数に従って上昇させるソフトスタート回路と、
スイッチング回路と同期整流回路を組み合わせて構成され、自身の出力電圧を制御する機能を持たず、且つ出力側から入力側に逆流電流を流すことができる非安定型コンバータと、
を備え、
安定型コンバータの後段に非安定型コンバータを配置したことを特徴とする。
(ソフトスタートと同期整流許可の連携)
同期整流回路は、同期整流素子を寄生ダイオードを備えたMOS−FETを含む素子で構成したことで、出力側から入力側に逆流電流を流すことが可能であり
電流方向判定回路は、ソフトスタート回路による入力側電源回路の出力電圧の上昇によりスイッチング回路の入力側から出力側に電流が流れ始めた初期のタイミングを判定したときに同期整流動作許可信号を出力して同期整流回路の同期整流動作を開始させることで寄生ダイオードに流れる電流を抑制し、寄生ダイオードのリカバリー動作を防止する。
(スイッチング電源装置:同期整流動作の維持による回生機能)
本発明は、
所定の電圧を出力する入力側電源回路と、
入力側電源回路から入力された電圧を断続電圧に変換して出力するスイッチング回路と、
スイッチング回路から出力された断続電圧を同期整流素子により同期整流して出力する同期整流回路と、
同期整流回路に設けた同期整流素子のオンオフを制御する同期整流素子制御回路と、
スイッチング回路に流れる電流を検出して電流情報を出力する電流検出回路と、
電流検出回路からの電流情報に基づき、スイッチング回路の入力側から出力側に電流が流れたことを判定した場合に、同期整流素子制御回路に同期整流動作許可信号を出力して同期整流回路の同期整流動作を開始させる電流方向判定回路と、
を設けた、出力側から入力側に逆流電流を流すことができるスイッチング電源装置であって、
同期整流素子制御回路は、電流方向判定回路からの同期整流動作許可信号により同期整流回路の同期整流動作を開始させた場合、同期整流動作許可信号の如何にかかわらず同期整流回路の同期整流動作を継続させるラッチ機能を備えたことを特徴とする。
(ソフトスタートと同期整流許可の連携)
同期整流回路は、同期整流素子を寄生ダイオードを備えたMOS−FETを含む素子で構成したことで、出力側から入力側に逆流電流を流すことが可能であり、
入力側電源回路は、装置を起動した場合に出力電圧を零電圧から所定の時定数に従って上昇させるソフトスタート回路を備え、
電流方向判定回路は、ソフトスタート回路による入力側電源回路の出力電圧の上昇によりスイッチング回路の入力側から出力側に電流が流れ始めた初期のタイミングを判定したときに同期整流動作許可信号を出力して同期整流回路の同期整流動作を開始させることで寄生ダイオードに流れる電流を抑制し、寄生ダイオードのリカバリー動作を防止する。
(基本的な効果)
本発明は、所定の電圧を出力する入力側電源回路と、入力側電源回路から入力された電圧を断続電圧に変換して出力するスイッチング回路と、スイッチング回路から出力された断続電圧を同期整流素子により同期整流して出力する同期整流回路と、同期整流回路に設けた同期整流素子のオンオフを制御する同期整流素子制御回路とを設けたスイッチング電源装置に於いて、スイッチング回路に流れる電流を検出して電流情報を出力する電流検出回路と、電流検出回路からの電流情報に基づき、スイッチング回路の入力側から出力側に電流が流れたことを判定した場合に、同期整流素子制御回路に同期整流動作許可信号を出力して同期整流回路の同期整流動作を開始させる電流方向判定回路を設けるようにしたため、出力側に外部から電圧が印加されていても、電流方向判定回路によって同期整流動作を制御されているため、スイッチング電源装置の出力側から入力側に逆流電流が流れることが無く、逆流電流によるストレスでスイッチング電源装置が故障することを防止し、スイッチング電源装置の信頼性を向上することができる。
(ソフトスタートと同期整流許可の連携による効果)
また、同期整流回路の同期整流素子は、寄生ダイオードを備えたMOS−FETを含む素子であり、入力側電源回路は、装置を起動した場合に出力電圧を零電圧から所定の時定数に従って上昇させるソフトスタート回路を備え、電流方向判定回路は、ソフトスタート回路による入力側電源回路の出力電圧の上昇によりスイッチング回路の入力側から出力側に電流が流れ始めた初期のタイミングを判定し、同期整流動作許可信号を出力して同期整流回路の同期整流動作を開始させるようにしたため、スイッチング電源装置がソフトスタート動作をする際に、スイッチング電源装置の入力側から出力側に電流が流れ出した初期のタイミングで同期整流動作を開始するため、それまでの同期整流回路の動作を停止した状態でのスイッチング回路のオンオフ動作により、同期整流素子の寄生ダイオードにリカバリー動作を発生させることが無く、サージ電圧によるノイズの増大や半導体素子への電圧ストレスを引き起こすことを防止し、ノイズが小さく、故障の発生しない信頼性の高いスイッチング電源装置を作ることができる。
またスイッチング電源装置がソフトスタート動作をする際にも、スイッチング電源装置の出力側から入力側に逆流電流が流れることが無く、逆流電流によるストレスでスイッチング電源装置が故障することを防止し、スイッチング電源装置の信頼性を向上することができる。
(安定型コンバータと非安定型コンバータの組合せによる効果)
また、入力側電源回路は、出力電圧を所定電圧に安定化して出力する安定型コンバータを備え、スイッチング回路を非安定型コンバータで構成するようにしたため、非安定型コンバータのような出力電圧制御機能を持たないスイッチング電源装置においても、出力側から入力側に逆流電流が流れることが無く、逆流電流によるストレスでスイッチング電源装置が故障することを防止し、ノイズが小さく、故障の発生しない信頼性の高いスイッチング電源装置を作ることができる。
(同期整流動作の維持による回生機能による効果)
また、同期整流素子制御回路は、電流方向判定回路からの同期整流動作許可信号により同期整流回路の同期整流動作を開始させた場合、同期整流動作許可信号の如何にかかわらず同期整流回路の同期整流動作を継続させるラッチ機能を備えるようにしたため、逆流電流を防止する機能を備えたスイッチング電源装置に回生機能を付与することができる。
スイッチング電源装置の基本構成を示したブロック図 スイッチング電源装置の具体的な実施形態を示した回路ブロック図 図2の実施形態における各部の信号波形を示したタイムチャート 回生機能を可能とするスイッチング電源装置の具体的な実施形態を示した回路ブロック図 逆流電流抑制機能を備えた従来のスイッチング電源装置を示した回路ブロック図 安定型コンバータと非安定型コンバータで構成した従来のスイッチング電源装置を示した回路ブロック図
[スイッチング電源装置の基本構成]
図1はスイッチング電源装置の基本構成を示したブロック図である。図1に示すように、本実施形態のスイッチング電源装置は、入力側電源回路10、スイッチング回路12、同期整流回路14及び制御回路部20により構成され、制御回路部20には同期整流素子制御回路60、電流検出回路62及び電流方向判定回路64を設けている。
入力側電源回路10は所定の直流電圧V1を供給する。スイッチング回路12は、入力側電源回路10から供給された入力電圧V1から断続電圧を生成する。同期整流回路14は、同期整流素子を備えており、スイッチング回路12から供給された断続電圧を同期整流することで、出力側の負荷16に直流電圧を供給する。
同期整流素子制御回路60は、同期整流回路14内の同期整流素子のオンオフを制御する。電流検出回路62は、スイッチング電源装置内を流れる電流を検出して電流情報Eiを電流方向判定回路64に出力する。
電流方向判定回路64は、電流検出回路62からの電流情報Eiに基づき、同期整流素子制御回路60に対して同期整流動作許可信号E1を出力する。
即ち、電流方向判定回路64は、電流検出回路62からの電流情報Eiに基づき、スイッチング回路12の入力側から出力側に電流が流れたことを判定した場合に、同期整流素子制御回路60に同期整流動作許可信号E1を出力し、同期整流回路14の同期整流動作を開始させる。
このため、スイッチング電源装置に外部電圧が印加された状態、もしくは、同期整流回路14の出力側のコンデンサに電荷が残留した状態で、スイッチング電源装置を起動させた場合、スイッチング回路12からの入力側電圧が同期整流回路14側となる出力側電圧を超えるまでは、スイッチング回路12の入力側から出力側に電流が流れず、これにより電流方向判定回路64は同期整流素子制御回路60に対する同期整流動作許可信号E1の出力を禁止して同期整流回路14の同期整流動作を停止しており、同期整流動作の停止によりスイッチング回路12の出力側から入力側に逆流電流が流れることを阻止している。
スイッチング電源装置の起動により入力側電源回路10から供給する電圧がソフトスタート動作等により上昇し、スイッチング回路12の入力側から出力側に電流が流れ始めると、これを電流方向判定回路64が判定して同期整流素子制御回路60に同期整流動作許可信号E1を出力し、同期整流回路14の同期整流動作を開始させる。
このためスイッチング回路12の入力側から出力側に電流が流れ始めないと、同期整流回路14の同期整流動作が開始されないため、スイッチング電源装置に外部電圧が印加された状態、もしくは、同期整流回路14の出力側のコンデンサに電荷が残留した状態で、スイッチング電源装置を起動させても、出力側から入力側に向かって逆流電流が流れる現象が発生することが無く、半導体素子に大きなストレスを与えることを防止できる。
[スイッチング電源装置の具体的な実施形態]
図2はスイッチング電源装置の具体的な実施形態を示した回路ブロック図、図3は図2の実施形態における各部の信号波形を示したタイムチャートである。
本実施形態は、安定型コンバータと非安定型コンバータを組み合わせたスイッチング電源装置であり、入力側電源回路10、スイッチング回路12、同期整流回路14及び制御回路部20で構成され、制御回路部20には、フィードバック制御回路50、安定型コンバータスイッチング素子制御回路52、ソフトスタート回路56、非安定型コンバータスイッチング素子制御回路58、電流検出回路62、電流方向判定回路64及び同期整流素子制御回路60を設けている。ここで、入力側電源回路10は安定型コンバータで構成し、スイッチング回路12と同期整流回路14は非安定型コンバータで構成している。
(入力側電源回路)
入力側電源回路10は、入力電源22と安定型コンバータである降圧チョッパーで構成される。降圧チョッパーは、MOS−FETを用いたスイッチング素子24のドレイン側を入力電源22のプラス側に接続し、スイッチング素子24のソース側にインダクタンス28の一端とダイオードを用いた整流素子26のカソード側を接続している。インダクタンス28の他端は出力コンデンサ30の一端に接続され、出力コンデンサ30の他端と整流素子26のアノード側が入力電源22のマイナス側に接続される。
スイッチング素子24は、安定型コンバータスイッチング素子制御回路52およびフィードバック制御回路50によって制御されることで、安定化された所定の電圧V1を出力する。
(安定型コンバータスイッチング素子制御回路)
安定型コンバータスイッチング素子制御回路52は、PWMコンパレータ74と三角波発生回路76を持ち、PWMコンパレータ74には、三角波発生回路76から出力された三角波信号電圧Vtriとフィードバック制御回路50から出力されたデューティ制御信号電圧VFBが入力される。
PWMコンパレータ74は、三角波信号電圧Vtriがデューティ制御信号電圧VFBよりも小さい場合はスイッチング素子24をオンにし、三角波信号電圧Vtriがデューティ制御信号電圧VFBよりも大きい場合はスイッチング素子24をオフにする制御を行う。これにより、デューティ制御信号電圧VFBが大きいときはスイッチング素子24のデューティが広くなり、デューティ制御信号電圧VFBが小さいときは、スイッチング素子24のデューティが狭くなる。
入力電源22から供給された電圧Vinは、スイッチング素子24で断続電圧に変換され、この断続電圧はインダクタンス28と出力コンデンサ30で整流平滑されることで電圧V1に変換される。ここで、スイッチング素子24のオンデューティをdutyとすると、
V1=Vin・duty
の関係を持つ。
(フィードバック制御回路)
フィードバック制御回路50は、誤差アンプ70と基準電圧源72を持ち、誤差アンプ70には基準電圧Vrefと抵抗66,68で分圧されたスイッチング電源装置の出力比例電圧Vo1が入力される。
誤差アンプ70は、出力比例電圧Vo1が基準電圧Vrefよりも大きいとデューティ制御信号電圧VFBが小さくなるように制御し、出力比例電圧Vo1が基準電圧Vrefよりも小さいとデューティ制御信号電圧VFBが大きくなるように制御することで、このデューティ制御信号電圧VFBを安定型コンバータスイッチング素子制御回路52に出力してスイッチング素子24をオンオフ制御させることで、スイッチング電源装置の出力電圧Voを所定の電圧に制御する。
(ソフトスタート回路)
ソフトスタート回路56は、PNPトランジスタ78、NPNトランジスタ80、抵抗82及びコンデンサ84で構成しており、スイッチング電源装置の停止状態では起動信号E0がHレベルにあり、NPNトランジスタ80をオンすることによりコンデンサ84を放電リセットしている。スイッチング電源装置を起動すると起動信号E0がLレベルとなってNPNトランジスタ80がオフし、抵抗82を介してコンデンサ84の充電が開始され、コンデンサ84の電圧が所定の時定数で上昇する。
PNPトランジスタ78はエミッターフォロワーであり、フィードバック制御回路50から出力されたデューティ制御信号電圧VFBを
(コンデンサ84の電圧)+(PNPトランジスタ78のベースエミッタ間電圧)
でクランプする。コンデンサ84が抵抗82から供給される電流で充電されることで、コンデンサ84の電圧が徐々に上昇するため、クランプされているデューティ制御信号電圧VFBが徐々に上昇する。
このデューティ制御信号電圧VFBが徐々に上昇する動作により、安定型コンバータスイッチング素子制御回路52がスイッチング素子24のデューティを徐々に広げる動作を行うことが可能となり、ソフトスタート動作を行うことができる。
(スイッチング回路と非安定型コンバータスイッチング素子制御回路)
スイッチング回路12は、スイッチング素子31〜34をフルブリッジ接続したフルブリッジコンバータで構成された非安定型コンバータである。非安定型コンバータスイッチング素子制御回路58は、非安定型コンバータのスイッチング素子31,34の組み合わせとスイッチング素子32,33の組み合わせを約50%のデューティで相補的にオンオフすることで、入力側電源回路10から入力された電圧V1を断続電圧に変換し、断続電圧をトランス36に入力することで電圧変換を行う。
入力側電源回路10より出力された電圧V1はトランス36の一次巻線38の巻数N1と二次巻線40,42の巻数N2の巻数比(N1:N2)で変換された電圧となる。
(同期整流回路と同期整流素子制御回路)
同期整流回路14は、トランス36の二次巻線40,42から出力された電圧をMOS−FETを用いた同期整流素子44,46により整流し、平滑コンデンサ48により平滑する回路であり、電圧Voを出力する。ここで、出力電圧Voと入力電圧V1は、
Vo=(N2/N1)・V1
の関係を持つ。
同期整流素子制御回路60は、スイッチング回路12のスイッチング素子31〜34の組み合わせと同期整流素子44,46を相補的にオンオフする。スイッチング素31,34の組み合わせがオンするときには、同期整流素子46がオンする。スイッチング素子32,33の組み合わせがオンするときには、同期整流素子44がオンする。
(電流検出回路)
電流検出回路62は、スイッチング回路12に流れる電流を検出する回路であり、電流情報Eiを電流方向判定回路64へ出力する。本実施形態では、入力側電源回路10とスイッチング回路12の間のマイナス側ラインに低抵抗の電流検出抵抗62aを挿入接続し、スイッチング回路12の入力側の電流を検出することで、低損失でスイッチング回路12に流れる電流を検出する。
(電流方向判定回路)
電流方向判定回路64は、例えばオペアンプ90であり、電流検出回路62からの電流情報Eiに基づき、スイッチング回路12の入力側から出力側に電流が流れていないことを判定した場合、即ちスイッチング回路12に電流が流れていないか、或いはスイッチング回路12の出力側から入力側に逆流電流が流れて電流検出抵抗62aの両端電圧が零ボルト又はプラス電圧の場合は、オペアンプ90の出力がLレベルとなり、同期整流素子制御回路60に対する同期整流動作許可信号E1の出力を禁止し、同期整流回路14の同期整流動作を停止させる。
また、電流方向判定回路64は、電流検出回路62からの電流情報Eiに基づき、スイッチング回路12の入力側から出力側に電流が流れたことを判定した場合、即ち電流検出抵抗62aの両端電圧がマイナス電圧の場合は、オペアンプ90の出力がHレベルとなり、同期整流素子制御回路60に対して同期整流動作許可信号E1を出力し、同期整流回路14の同期整流動作を開始させる。
なお、電流方向判定回路64はオペアンプ90を使用した場合を例にとっているが、コンパレータを使用しても良い。
[スイッチング電源装置の起動動作]
次に、図2に示したスイッチング電源装置の出力側に電圧V2を印可して、スイッチング電源装置を起動した際の動作を図3のタイムチャートに示す期間A〜Dに分けて説明する。
ここで、出力側に印加する電圧V2は、スイッチング電源装置の定常時の出力電圧よりも低い電圧であるものとする。また、図3(A)は起動信号E0を示し、図3(B)はスイッチング回路12の入力側電圧を示し、図3(C)はPWMコンパレータ74の入力を示し、図3(D)はスイッチング素子24のゲートソース間電圧VGSを示し、図3(E)はスイッチング素子31およびスイッチング素子34のゲートソース間電圧VGSを示し、図3(F)はスイッチング素子32およびスイッチング素子33のゲートソース間電圧VGSを示し、図3(G)は同期整流動作許可信号E1を示し、図3(H)は同期整流素子44のゲートソース間電圧VGSを示し、図3(I)は同期整流素子46のゲートソース間電圧を示す。
(期間A)
図3の期間Aは、スイッチング電源装置が起動する前の状態であり、スイッチング電源装置の出力側に、電圧V2が印可されている状態となっている。
また、期間Aでは、スイッチング素子24がオフしており、起動信号E0はHレベルでソフトスタート回路56のNPNトランジスタ80のオンによりコンデンサ84が放電された状態となっている。
このとき、スイッチング電源装置の出力比例電圧Vo1が基準電圧Vrefよりも小さいため、フィードバック制御回路50は、デューティ制御信号電圧VFBを大きくするように制御しようとする。
しかし、ソフトスタート回路56によりデューティ制御信号電圧VFBは、
(コンデンサ84の電圧)+(PNPトランジスタ78のベースエミッタ間電圧)
でクランプされている。以降、説明をわかりやすくするため、PNPトランジスタ78のベースエミッタ間電圧を零ボルトとして考えることとすると、コンデンサ84はNPNトランジスタ80のオンにより放電されて零ボルトとなっているため、デューティ制御信号電圧VFBも零ボルトにクランプされている。
また、期間Aでは、スイッチング回路12のスイッチング素子31〜34がスイッチング動作を開始している。しかし、期間Aは、スイッチング回路12の入力側から出力側に電流が流れていないため、電流方向判定回路64からの同期整流動作許可信号E1はLレベルにあり、同期整流回路14の同期整流動作を停止した状態となっている。このため、スイッチング電源装置の出力側に電圧V2が印加されていても、スイッチング電源装置に逆流電流が流れることが無い。
(期間B)
期間Bは、スイッチング電源装置の起動によるソフトスタート動作で出力電圧Voが外部から印加された電圧V2よりも低い期間となる。
まず、スイッチング電源装置を起動させるために、期間Bの最初となる時刻t1で図3(A)に示すように、起動信号E0をLレベルとしてNPNトランジスタ80をオフする。NPNトランジスタ80をオフすると、抵抗82を介したコンデンサ84の充電が開始され、コンデンサ84の電圧が徐々に上昇する。コンデンサ84の電圧上昇に合せてクランプされているデューティ制御信号電圧VFBも、図3(C)に示すように、徐々に上昇する。
PWMコンパレータ74は、図3(C)に示すように、デューティ制御信号電圧VFBが三角波電圧Vtriよりも高いときに、図3(D)に示すように、スイッチング素子24をオンさせる動作を行う。デューティ制御信号電圧VFBが徐々に上昇するため、スイッチング素子24のオンパルス幅が徐々に広がる。スイッチング素子24のオンパルスが広くなると入力側電源回路10の出力電圧V1が上昇する。
スイッチング回路12は、図3(E)(F)に示すように、スイッチング素子31,34の組み合わせとスイッチング素子32,33の組み合わせがデューティ約50%で相補的にオンオフを繰り返しているため、スイッチング回路12の入力側電圧と同期整流回路14の出力側電圧は、トランス36の一次巻線38の巻数N1と二次巻線40,42の巻数N2に比例した関係を持つことになる。
同期整流回路14の出力側に電圧V2を印加すると、スイッチング回路12の入力側には、電圧{V2×(N1/N2)}が印加される状態となるはずであるが、期間Bは、同期整流回路14の同期整流動作が停止して同期整流素子44,46がオンしないため、スイッチング回路12の入力側に電圧{V2×(N1/N2)}が印加されることはない。
ただし、MOS−FET等を用いた同期整流素子44,46は、ソース・ドレイン間に寄生ダイオードが存在しているため、同期整流素子44,46がオフの状態では、同期整流回路14は寄生ダイオードを整流素子とした整流回路を構成している状態となり、スイッチング回路12の入力側が電圧{V2×(N1/N2)}以上になれば、スイッチング回路12の入力側から同期整流回路14の出力側に電流を流すことができるため、スイッチング回路12の入力側に電圧{V2×(N1/N2)}が印加されているのと等価な状態と考えることができる。
図3(B)の期間Bでは、入力側電源回路10の出力電圧V1がスイッチング回路12の入力側に加わる電圧{V2×(N1/N2)}よりも小さい状態であるので、スイッチング回路12の入力側から出力側に向かって電流が流れることができない。
従って、電流検出回路62からの電流情報Eiに基づき電流方向判定回路64はスイッチング回路12の入力側から出力側に電流が流れていないと判定し、同期整流動作許可信号E1をLレベルとして出力を禁止し、同期整流素子制御回路60による同期整流素子44,46の同期整流動作を停止した状態となっている。
このようにスイッチング電源装置は、スイッチング回路12の入力側から出力側へ電流が流れないソフトスタートによる起動動作の初期の期間Bは、同期整流回路14の同期整流動作が停止された状態となっているため、スイッチング電源装置の出力側に電圧V2が印加されていても逆流電流が流れることが無い。
(期間C)
期間Cは、スイッチング電源装置のソフトスタート動作により出力電圧Voが外部から印加された電圧V2よりも高くなる期間である。
期間Cの始まりとなる時刻t2では、ソフトスタート動作により上昇している入力側電源回路10の出力電圧V1がスイッチング回路12の入力側電圧{V2×(N1/N2)}よりも大きくなる。このように入力側電源回路10の出力電圧V1がスイッチング回路12の入力側電圧{V2×(N1/N2)}よりも大きくなるのは、スイッチング電源装置の出力電圧Voが外部印加された電圧V2よりも高くなった時であるため、スイッチング回路12の入力側から出力側に向かって電流が流れる。
電流方向判定回路64は、電流検出回路62からの電流情報Eiに基づき、スイッチング回路12の入力側から出力側に向かって電流が流れたことを判定すると、同期整流動作許可信号E1をHレベルとして出力し、同期整流素子制御回路60が動作して同期整流回路14の同期整流素子44,46の同期整流動作が開始される。
このような同期整流回路14の同期整流動作は、スイッチング回路12の入力側から出力側に向かって電流が流れ出した直後の電流が小さいときに開始される。
ここで、同期整流素子44,46にMOS−FET等の寄生ダイオードを備えた素子を使用している場合、スイッチング回路12の入力側から出力側に向かって流れる電流が大きくなっても同期整流動作を開始していないと、同期整流素子44,46にサージ電圧が発生し、ノイズが増大し、また、同期整流素子44,46に過大なストレスを与え、最悪の場合は同期整流素子44,46が故障する等の不具合が発生する。
更に、詳しく説明すると次のようになる。スイッチング回路12の入力側から出力側に向かって電流が流れている時に、同期整流素子44,46が同期整流動作を停止していると、電流は同期整流素子44,46のソース・ドレイン間の寄生ダイオードを通過する。一般的なMOS−FETの寄生ダイオードは、リカバリー特性が悪い。リカバリー動作は寄生ダイオードを流れる順方向の電流が大きいと顕著になる。
リカバリー特性の悪い寄生ダイオードに大きな順方向電流を流した後に、逆電圧を印加すると、大きなリカバリー電流(ダイオードの逆方向電流)が流れることになる。
従って、スイッチング素子31,34の組み合わせとスイッチング素子32,33の組み合わせのオンオフが入れ替わるタイミングで、同期整流素子44,46に逆電圧が印加されることになり、大きなリカバリー電流が流れる。リカバリー電流は、図示されていないが配線のインダクタンスやトランス36の漏れインダクタンスに大きなエネルギーを蓄えることになり、リカバリー動作終了のタイミングで同期整流素子44,46に大きなサージ電圧を発生させることになる。
これに対し本実施形態のスイッチング電源装置では、スイッチング回路12の入力側から出力側に向かって流れる初期のタイミングで、同期整流素子44,46の同期整流動作を開始させるため、同期整流動作を停止した状態で同期整流素子44,46の寄生ダイオードに対するリカバリー動作が発生せず、サージ電圧によるノイズの増大や半導体素子への電圧ストレスを引き起こすことを防止し、ノイズが小さく、故障の発生しない信頼性の高いスイッチング電源装置を作ることができる。
(期間D)
期間Dは、スイッチング電源の出力電圧Voが出力電圧設定値となる定常動作の期間となる。期間Dの始まりとなる時刻t3で、スイッチング電源装置の出力電圧Voがフィードバック制御回路50で決定される出力電圧設定値に達すると、出力電圧Voが一定になるようにフィードバック制御回路50がデューティ制御信号電圧VFBを制御する。
このときソフトスタート回路56のコンデンサ84の電圧はさらに上昇するが、PNPトランジスタ78はエミッタ―フォロワ―で用いられているため、コンデンサ84の電圧がデューティ制御信号電圧VFBを超えるとPNPトランジスタ78がオフとなり、デューティ制御信号電圧VFBがソフトスタート回路56によりクランプされることが無くなり、スイッチング電源装置は定常動作している状態となる。
[回生機能を備えたスイッチング電源装置]
図4は回生機能を可能とするスイッチング電源装置の具体的な実施形態を示した回路ブロック図である。
本実施形態の同期整流素子制御回路60は、電流方向判定回路64からの同期整流動作許可信号E1の出力より同期整流回路14の同期整流動作を開始させた場合、その後は、同期整流動作許可信号E1の如何にかかわらず、同期整流回路14の同期整流素子44,46のオンオフによる同期整流動作を継続させるように制御することで、スイッチング電源装置に回生機能を付与することを可能としている。
このため本実施形態の同期整流素子制御回路60は、制御部60aとラッチ機能60で構成している。ラッチ機能60は、電流方向判定回路64が電流検出回路62からの電流情報Eiに基づき、スイッチング回路12の入力側から出力側に向かって電流が流れたことを判定して、オペアンプ90の出力がLレベルからHレベルとなった場合、オペアンプ90のHレベル出力をラッチ機能60bでラッチして制御部60aに対する出力をHレベルに維持する。
制御部60aは、ラッチ機能60bの出力がLレベルの場合、同期整流回路14の同期整流素子44,46をオフにして同期整流動作を停止し、ラッチ機能60bの出力がHレベルの場合、スイッチング回路12のスイッチング素子31,34の組み合わせのオンに同期して同期整流素子44をオンし、スイッチング素子32,33の組み合わせのオンに同期して同期整流素子46をオンすることで同期整流動作を行わせる。
このため、スイッチング回路12の入力側から出力側に電流が流れなくなっても、同期整流素子制御回路60は同期整流回路14の同期整流動作を継続し、スイッチング電源装置に回生機能を付与する。
それ以外の構成及び動作は図2の実施形態と同じになることから、同じ符号を付して説明は省略している。
このような回生機能を備えたスイッチング電源装置は、例えばバッテリーの充放電試験装置等に利用できる。バッテリーの充放電試験では、スイッチング電源装置の出力側にバッテリーを接続する。バッテリーの電圧をV2とすると、スイッチング電源装置の出力電圧Voがバッテリー電圧V2よりも高いと、バッテリーを充電する動作となる。
放電試験のためスイッチング電源装置の出力電圧Voを決める出力電圧設定値をバッテリー電圧V2よりも低くなるように設定して制御を行うと、スイッチング回路12の出力側から入力側に逆流電流を流すことができる。逆流電流の大きさは、スイッチング電源装置の出力電圧Voを決める出力電圧設定値を制御する。
[本発明の変形例]
上記の実施形態のスイッチング回路12は、フルブリッジコンバータを例にとっているが、ハーフブリッジコンバータ等を用いても良い。
また、本発明は、上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含む。また上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:入力側電源回路
12:スイッチング回路
14:同期整流回路
16:負荷
20:制御回路部
22:入力電源
24,31,32,33,34:スイッチング素子
26:整流素子
28:インダクタンス
30:出力コンデンサ
36:トランス
44,46:同期整流素子
48:平滑コンデンサ
50:フィードバック制御回路
52:安定型コンバータスイッチング素子制御回路
56:ソフトスタート回路
58:非安定型コンバータスイッチング素子制御回路
60:同期整流素子制御回路
60a:制御部
60b:ラッチ機能
62:電流検出回路
64:電流方向判定回路
70:誤差アンプ
72:基準電圧源
74:PWMコンパレータ
76:三角波発生回路
78:PNPトランジスタ
80:NPNトランジスタ
82:抵抗
84:コンデンサ
90:オペアンプ

Claims (4)

  1. 所定の電圧を出力する入力側電源回路と、
    前記入力側電源回路から入力された電圧を断続電圧に変換して出力するスイッチング回路と、
    前記スイッチング回路から出力された断続電圧を同期整流素子により同期整流して出力する同期整流回路と、
    前記同期整流回路に設けた同期整流素子のオンオフを制御する同期整流素子制御回路と

    前記スイッチング回路に流れる電流を検出して電流情報を出力する電流検出回路と、
    前記電流検出回路からの前記電流情報に基づき、前記スイッチング回路の入力側から出力側に電流が流れたことを判定した場合に、前記同期整流素子制御回路に同期整流動作許可信号を出力して前記同期整流回路の同期整流動作を開始させる電流方向判定回路と、
    を設けた、出力側から入力側に逆流電流を流すことができるスイッチング電源装置であって、
    前記入力側電源回路は、
    出力電圧を所定電圧に安定化して出力する安定型コンバータと、
    前記安定型コンバータに接続され、起動時に出力電圧を零電圧から所定の時定数に従って上昇させるソフトスタート回路と、
    前記スイッチング回路と前記同期整流回路を組み合わせて構成され、自身の出力電圧を制御する機能を持たず、且つ出力側から入力側に逆流電流を流すことができる非安定型コンバータと、
    を備え、
    前記安定型コンバータの後段に前記非安定型コンバータを配置したことを特徴とするスイッチング電源装置。
  2. 請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、
    前記同期整流回路は、同期整流素子を寄生ダイオードを備えたMOS−FETを含む素子で構成したことで、出力側から入力側に逆流電流を流すことが可能であり
    前記電流方向判定回路は、前記ソフトスタート回路による前記入力側電源回路の出力電圧の上昇により前記スイッチング回路の入力側から出力側に電流が流れ始めた初期のタイミングを判定したときに前記同期整流動作許可信号を出力して前記同期整流回路の同期整流動作を開始させることで前記寄生ダイオードに流れる電流を抑制し、前記寄生ダイオードのリカバリー動作を防止することを特徴とするスイッチング電源装置。
  3. 所定の電圧を出力する入力側電源回路と、
    前記入力側電源回路から入力された電圧を断続電圧に変換して出力するスイッチング回路と、
    前記スイッチング回路から出力された断続電圧を同期整流素子により同期整流して出力する同期整流回路と、
    前記同期整流回路に設けた同期整流素子のオンオフを制御する同期整流素子制御回路と、
    前記スイッチング回路に流れる電流を検出して電流情報を出力する電流検出回路と、
    前記電流検出回路からの前記電流情報に基づき、前記スイッチング回路の入力側から出力側に電流が流れたことを判定した場合に、前記同期整流素子制御回路に同期整流動作許可信号を出力して前記同期整流回路の同期整流動作を開始させる電流方向判定回路と、
    を設けた、出力側から入力側に逆流電流を流すことができるスイッチング電源装置であって、
    前記同期整流素子制御回路は、前記電流方向判定回路からの同期整流動作許可信号により前記同期整流回路の同期整流動作を開始させた場合、前記同期整流動作許可信号の如何にかかわらず前記同期整流回路の同期整流動作を継続させるラッチ機能を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
  4. 請求項3記載のスイッチング電源装置に於いて、
    前記同期整流回路は、同期整流素子を寄生ダイオードを備えたMOS−FETを含む素子で構成したことで、出力側から入力側に逆流電流を流すことが可能であり、
    前記入力側電源回路は、装置を起動した場合に出力電圧を零電圧から所定の時定数に従って上昇させるソフトスタート回路を備え、
    前記電流方向判定回路は、前記ソフトスタート回路による前記入力側電源回路の出力電圧の上昇により前記スイッチング回路の入力側から出力側に電流が流れ始めた初期のタイミングを判定したときに前記同期整流動作許可信号を出力して前記同期整流回路の同期整流動作を開始させることで前記寄生ダイオードに流れる電流を抑制し、前記寄生ダイオードのリカバリー動作を防止することを特徴とするスイッチング電源装置。
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