JP2019145443A - エミッターの作製方法 - Google Patents

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宏範 守谷
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Abstract

【課題】エミッターの素材が種々多様な場合であっても、エミッターの先端を好ましい形状に成形することができるエミッターの作製方法を提供すること。【解決手段】エミッターの作製方法は、導電性のエミッター素材の先端部を電解研磨加工し、先端に向かって漸次縮径するように加工する工程と、当該工程により加工されたエミッター素材における加工部位に荷電粒子ビームを照射してエッチング加工を行い、先端を頂点とした角錐状の先鋭部を形成する工程と、当該工程により当該先鋭部が形成されたエミッター素材の表面をスパッタリング加工し、荷電粒子ビームによるエッチング加工の痕跡を取り除く工程と、当該工程により当該痕跡を取り除かれたエミッター素材の当該先鋭部における先端の結晶構造を電界イオン顕微鏡で観察しながら、当該先端を電界誘起ガスエッチング加工によりさらに先鋭化させ、その最先端を構成する原子数を一定数以下とさせる工程とを有する。【選択図】図5

Description

この発明は、電子又はイオン等を放出する放出源として用いられるエミッターの作製方法に関する。
従来、集束イオンビーム装置は、イオンを発生させるイオン源を備えており、イオン源で発生したイオンを集束させた集束イオンビームを照射する。例えば、イオン源として、電界電離型イオン源を備えている集束イオンビーム装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
電界電離型イオン源は、先端が原子レベルで先鋭化されたエミッターと、エミッターの周囲に窒素ガス、ヘリウムガス等のガスを供給するガス源と、エミッターを冷却させる冷却部と、エミッターの先端から離れた位置に配置された引出電極とを備えている。電界電離型イオン源は、ガス源によりエミッターの周囲にガスを供給した後、エミッターと引出電極との間に引出電圧を印加するとともにエミッターを冷却部により冷却する。これにより、電界電離型イオン源は、エミッターの先端における電界によってガスを電離させ、ガスイオンを生成する。生成されたガスイオンは、正の電位が印加されたエミッターから反発し、引出電極側に引き出される。集束イオンビーム装置は、引き出されたガスイオンを加速させるとともに集束させ、集束イオンビームを照射する。
電界電離型イオン源を備えた集束イオンビーム装置は、照射する集束イオンビームのビーム径を小さくすることができるとともに、当該集束イオンビームのエネルギーの拡がりを小さくすることができる。このため、当該集束イオンビーム装置は、ビーム径を小さく絞ったままの集束イオンビームを試料に照射することができる。その結果、当該集束イオンビーム装置は、集束イオンビームによる試料の観察における分解能が高い。また、当該集束イオンビーム装置は、集束イオンビームによる微細なエッチング加工の精度が高い。
特開平7−240165号公報
ところで、ビーム径の小さい集束イオンビームを発生させるためには、エミッターの先端の結晶構造をピラミッド状に成形し、できるだけ少ない数の原子が最先端に配列されていることが好ましい。こうすることで、電界電離型イオン源を備えた集束イオンビーム装置は、局所的にガスをイオン化してガスイオンにすることができ、ビーム径の小さい集束イオンビームを発生させることができる。
ここで、従来のエミッターの作製方法では、エミッターの先端は、導電性のエミッター素材の電解研磨によって、先端の大きさ(例えば、先端直径など)を100nm以下まで先鋭化が可能である。しかしながら、当該作製方法では、電解研磨によって先端をピラミッド状に形成することが困難なエミッター素材が存在する。このため、このようなエミッター素材を、集束イオンビームによるエッチング加工によって、先端の大きさを100nm以下まで先鋭化が可能である方法が知られている。
しかしながら、集束イオンビームによるエッチング加工によって先端の大きさを100nm以下まで成形されたエミッター素材には、表面に当該エッチング加工の痕跡が残る場合があった。当該痕跡は、当該エミッター素材の最先端を原子レベルで先鋭化させる際の加工精度を低下させる可能性があるだけではなく、当該エミッター素材の加工のうち当該エッチング加工の後に行われる加工を困難にさせる可能性があり、その結果、当該エミッター素材の加工における歩留まりを悪化させる可能性がある。更には、当該痕跡は、エミッター加工後に使用する際のイオン電流の安定動作や最先端構造の再生に悪影響を与える可能性もある。
そこで本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、エミッターの素材が種々多様な場合であっても、エミッターの先端を好ましい形状に成形することができるエミッターの作製方法を提供する。
(1)本発明の一態様に係るエミッターの作製方法は、先鋭化された針状のエミッターを作製する方法であって、導電性のエミッター素材の先端部を電解研磨加工し、先端に向かって漸次縮径するように加工する電解研磨工程と、前記電解研磨工程により加工された前記エミッター素材の前記加工部位に荷電粒子ビームを照射してエッチング加工を行い、先端を頂点とした角錐状の先鋭部を形成する第1エッチング工程と、前記第1エッチング工程により形成された前記先鋭部にイオン化ガスが希ガスである集束イオンビームを照射してスパッタリング加工を行うスパッタリング工程と、前記スパッタリング工程により加工された前記先鋭部の前記先端の結晶構造を電界イオン顕微鏡で観察しながら、当該先端を電界誘起ガスエッチング加工によりさらに先鋭化させ、前記先端を構成する原子数を一定数以下とさせる第2エッチング工程と、を含む。
(2)上記(1)に記載のエミッターの作製方法では、前記スパッタリング工程は、前記第1エッチング工程により形成された前記先鋭部のダメージ層及び残留不純物粒子のうち少なくとも何れかを除去してもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載のエミッターの作製方法では、前記スパッタリング工程は、前記スパッタリング加工の実行前後における前記エミッター素材の電界蒸発電圧の増加率が所定値以下になるように前記スパッタリング加工を行ってもよい。
(4)上記(1)から(3)の何れか1つに記載のエミッターの作製方法では、前記第1エッチング工程は、集束イオンビームの照射により、前記先鋭部の頂角が所定角度以下となるように前記エッチング加工を行ってもよい。
(5)上記(1)から(4)の何れか1つに記載のエミッターの作製方法では、前記エミッター素材は、タングステンであってもよい。
(6)上記(1)から(4)の何れか1つに記載のエミッターの作製方法では、前記エミッター素材は、イリジウムであってもよい。
(7)上記(1)から(6)の何れか1つに記載のエミッターの作製方法では、前記スパッタリング工程の加工範囲の大きさは、前記集束イオンビームの径以下に設定されてもよい。
(8)上記(1)から(6)の何れか1つに記載のエミッターの作製方法では、前記スパッタリング工程は、前記スパッタリング工程の加工範囲の大きさが前記集束イオンビームの径よりも大きく設定される場合、前記加工範囲を前記集束イオンビームにより走査してもよい。
(9)上記(7)又は(8)の何れか1つに記載のエミッターの作製方法では、前記スパッタリング工程は、前記集束イオンビームを針状の前記エミッター素材の軸方向から前記先鋭部に照射してもよい。
(10)上記(7)又は(8)の何れか1つに記載のエミッターの作製方法では、前記スパッタリング工程は、前記集束イオンビームを針状の前記エミッター素材の軸方向に交差する方向から前記先鋭部に照射するとともに、前記エミッター素材を中心軸の軸周りに回転させてもよい。
(11)上記(1)から(10)の何れか1つに記載のエミッターの作製方法では、前記イオン化ガスは、アルゴン又はキセノンであってもよい。
本発明によれば、エミッターの素材が種々多様な場合であっても、エミッターの先端を好ましい形状に成形することができるエミッターの作製方法を提供することができる。
本発明に係るエミッターを具備する集束イオンビーム装置の実施形態を示す全体構成図である。 図1に示すエミッターの拡大図である。 図2に示すエミッターの先端を原子レベルで拡大した図である。 図2に示すエミッターの先端を原子レベルで拡大した図である。 図2に示すエミッターの作製方法のフローチャートである。 エミッターを作製する際の一工程を示す図であって、電解研磨工程においてエミッター素材の先端部を電解研磨加工している状態を示す図である。 図6に示す電解研磨加工によって加工された、エミッター素材の先端部の拡大図である。 図7に示すA部分の拡大図である。 電解研磨加工後、電解研磨加工の加工部位を第1の集束イオンビームFIB1によりエッチング加工している状態を示す図である。 図9に示す第1の集束イオンビームFIB1によるエッチング加工により、先鋭化された先鋭部を形成するまでの流れを示した図である。 図9に示す第1の集束イオンビームFIB1によるエッチング加工により、エミッター素材の先端部に形成された先鋭部の拡大図である。 本発明の実施形態に係る第1エッチング工程及びスパッタリング工程においてエミッター素材を加工する荷電粒子ビーム装置の一例を示す全体構成図である。 スパッタリング工程における荷電粒子ビーム装置の第2の集束イオンビーム照射光学系とエミッター素材との相対的な配置関係の一例を示す図である。 第1エッチング工程において第1の集束イオンビームFIB1によりエッチング加工された状態のエミッター素材の断面を示す図である。 スパッタリング工程が終了した後のエミッター素材の断面を示す図である。 図11に示すエミッター素材を電解イオン顕微鏡にセットした状態を示す図である。
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、実施形態では、ガス電界電離型イオン源(GFIS:Gas Field Ion Source)を構成し、イオンビームの放出源として用いられるエミッターを例に挙げて説明する。
まず、図1を参照し、上記のガス電界電離型イオン源を有する集束イオンビーム鏡筒を備えた集束イオンビーム装置の構成について説明する。図1に示した集束イオンビーム装置1は、当該ガス電界電離型イオン源を有する集束イオンビーム鏡筒を備えた集束イオンビーム装置の一例である。
<集束イオンビーム装置の構成>
図1に示すように、集束イオンビーム装置1は、図示しないステージ上に載置された試料Sに対して、集束イオンビーム(FIB)を照射する集束イオンビーム鏡筒2と、集束イオンビーム(FIB)の照射によって発生した二次荷電粒子を検出する検出器4と、デポジション膜を形成するための原料ガスを供給するガス銃5と、検出された二次荷電粒子に基づいて画像データを生成するとともに当該画像データを図示しない表示部に表示させる制御部7と、を備えている。表示部は、例えば、液晶ディスプレイである。
上記のステージは、制御部7の指示に基づいて作動し、例えば5軸に変位することが可能である。これにより、集束イオンビーム装置1は、当該ステージを5軸に変位させ、集束イオンビーム(FIB)を所望の位置に向けて照射することができる。なお、当該ステージは、図示しない真空チャンバー内に収納されている。このため、集束イオンビーム装置1では、当該真空チャンバー内において集束イオンビーム(FIB)の照射や原料ガスの供給等が行われる。
集束イオンビーム鏡筒2は、エミッター10と、ガス源11と、冷却部12と、加熱部13と、引出電極14と、引出電源部15と、ビーム光学系16と、を備えている。
エミッター10は、図2に示すように先端が先鋭化された針状の導電性部材であり、イオンビームを放出する放出源である。このエミッター10は、後述する作製方法により作製される。エミッター10の先端は、原子レベルオーダーで先鋭化されている。より具体的には、当該先端は、結晶構造がピラミッド状になるように構成されており、例えば、図3に示すようにエミッター10の最先端に3原子A1が配列されている状態、又は図4に示すように最先端に1原子A2が配列されている状態に構成されている。
エミッター10は、図1に示すように、内部が高真空状態に維持されたイオン発生室20内に収容された状態で支持されている。ガス源11は、イオン発生室20に連通しているガス導入管11aを介して、エミッター10の周囲に微量のガス(例えば、ヘリウム(He)ガス)Gを供給する。加熱部13は、エミッター10の先端を局所的に加熱する。
加熱部13は、例えば、フィラメントである。加熱部13は、制御部7からの要求に応じて作動する電流源13aからの電流により所定温度までエミッター10の先端を局所的に加熱し、エミッター10を構成する原子の再配列を行わせる。
イオン発生室20の開口部には、引出電極14がエミッター10の先端から離間した状態で配設されている。引出電極14には、エミッター10の先端に対向する位置に開口部14aが形成されている。引出電源部15は、引出電極14とエミッター10との間に引出電圧を印加する電極である。引出電源部15は、引出電圧を印加することにより、エミッター10の最先端でガスGをイオン化させてガスイオンにさせた後、当該ガスイオンを引出電極14側に引き出させる役割を果している。
冷却部12は、液体ヘリウムや液体窒素等の冷媒によってエミッター10を冷却するものであり、引出電極14を含む空間Eの全体を冷却する。なお、冷却部12は、空間Eの全体を冷却する構成に代えて、空間Eのうちのエミッター10を含む一部の空間を冷却する構成等のエミッター10を冷却する他の構成であってもよい。すなわち、冷却部12は、エミッター10を冷却するための装置である。また、冷却部12は、空間Eの全体を冷却する方法として、冷凍機を使用する構成であってもよい。
ここで、エミッター10、ガス源11、加熱部13、引出電極14、引出電源部15、イオン発生室20は、ガスGからガスイオンを発生させるガス電界電離型イオン源21を構成している。
また、引出電極14の下方には、接地電位の陰極22が設けられている。加速電源部23は、陰極22とエミッター10との間に加速電圧を印加する。当該加速電圧は、引き出されたガスイオンにエネルギーを与えて加速させ、イオンビームにする。陰極22の下方には、イオンビームを絞り込む第1のアパーチャー24が設けられている。第1のアパーチャー24の下方には、イオンビームを集束して集束イオンビーム(FIB)にするコンデンサーレンズ25が設けられている。
コンデンサーレンズ25の下方には、水平方向に移動可能であり、集束イオンビーム(FIB)を更に絞り込む第2のアパーチャー26が設けられている。第2のアパーチャー26の下方には、試料S上で集束イオンビーム(FIB)を走査する偏向器27が設けられている。偏向器27の下方には、集束イオンビーム(FIB)の焦点を試料S上に合わせる対物レンズ28が設けられている。
ここで、陰極22、加速電源部23、第1のアパーチャー24、コンデンサーレンズ25、第2のアパーチャー26、偏向器27、対物レンズ28は、引き出されたガスイオンを集束イオンビーム(FIB)にした後に試料Sに照射させるビーム光学系16を構成している。また、ビーム光学系16には、図示していないが、従来の集束イオンビーム装置で使用されている非点補正器、ビーム位置調整機構も含まれる。
検出器4は、集束イオンビーム(FIB)が照射されたときに、試料Sから発せられる二次電子、二次イオン、反射イオンや散乱イオン等の二次荷電粒子を検出して、制御部7に出力している。
ガス銃5は、デポジション膜の原料となる物質(例えば、フェナントレン、プラチナ、カーボンやタングステン等)を含有した化合物ガスを原料ガスとして供給する。当該原料ガスは、集束イオンビーム(FIB)の照射と、当該照射によって発生した二次荷電粒子とによって分解され、気体成分及び固体成分に分離される。そして、当該気体成分及び当該固体成分のうち当該固体成分が堆積することで、デポジション膜が形成される。
なお、ガス銃5には、エッチングを選択的に加速させる物質(例えば、フッ化キセノン、塩素、ヨウ素、水)を使用することができる。例えば、試料SがSi系の場合にはフッ化キセノンが使用され、試料Sが有機系の場合には水が使用される。また、集束イオンビーム装置1は、当該物質をイオンビームと同時に照射することで、特定の材質のエッチングを進めることができる。
制御部7は、集束イオンビーム装置1の全体を総合的に制御するとともに、引出電圧、加速電圧、集束イオンビーム(FIB)のビーム電流等を変化させる。そのため、制御部7は、集束イオンビーム(FIB)のビーム径を自在に調整し、観察画像を取得するだけでなく、試料Sを局所的にエッチング加工(粗加工や仕上げ加工等)すること等ができる。
また、制御部7は、検出器4で検出された二次荷電粒子を輝度信号に変換して観察画像データを生成する。そして、制御部7は、生成した当該観察画像データに基づいて表示部に観察画像を表示させる。これにより、制御部7は、表示部を介して観察画像をオペレーターに提供することができる。
更に、制御部7には、オペレーターが入力可能な図示しない入力部が接続されており、当該入力部によって入力された信号に基づいて、集束イオンビーム装置1の全体を制御している。従って、オペレーターは、入力部を介して、所望する領域に集束イオンビーム(FIB)を照射して観察すること、所望する領域をエッチング加工すること、所望する領域に原料ガスを供給しながら集束イオンビーム(FIB)を照射してデポジション膜を堆積させたりすること等ができる。
<エミッターの作製方法>
次に、エミッター10の作製方法について、図5に示すフローチャートを参照しながら、2つのエミッター素材を例に挙げて説明する。エミッター素材は、エミッター10の材料となる素材のことである。
<エミッター素材がタングステン単結晶である場合>
はじめに、上記のエミッター素材の一例であるエミッター素材30の先端部を電解研磨加工し、先端に向かって漸次縮径するように加工する電解研磨工程を行う(ステップS10)。この一例において、エミッター素材30は、タングステン単結晶である。
具体的には、まず、図6に示すようにエミッター素材30として、例えば、結晶面(111)面を軸方向に有するタングステン単結晶からなるワイヤーを準備し、エミッター素材30の基端部を、例えば、固定用線材31を介して保持具32で保持する。
なお、エミッター素材30である上記ワイヤーとしては、例えば、直径が0.1〜0.3mm前後であり、長さが数mmのものが用いられる。また、固定用線材31は、エミッター素材30を支持することに加え、通電によりエミッター素材30を加熱させる役割を有している。
保持具32で保持されたエミッター素材30の先端部を、研磨槽33に貯留されている研磨溶液Wに浸漬させる。研磨溶液Wとしては、例えば、3mol/LのKOH(水酸化カリウム)溶液等が挙げられる。また、研磨槽33内には、陰極34が配設されている。
そして、エミッター素材30と陰極34との間に電圧印加部35によりエッチング電圧(例えば、DC3V)を所定のエッチング時間(例えば、400秒前後)の間印加して、エミッター素材30の先端部の電解研磨加工を行う。
これにより、図7に示すように、電解研磨工程(ステップS10)では、エミッター素材30の先端部を、先端に向かって漸次縮径するように概略先鋭化させることができる。この際、図8に示すように、加工目安として、先端直径R1が100nm以下、より詳細には30〜80nmで、先端頂角θ1が10〜30度程度になるまで上記の電解研磨加工を行う。
次いで、電解研磨工程(ステップS10)が終了した後、図9、図10、及び図11に示すように、電解研磨加工された加工部位に対して集束イオンビーム(例えば、後述する第1の集束イオンビームFIB1)を照射してエッチング加工を行う第1エッチング工程(ステップS20)を行う。以下では、一例として、当該集束イオンビームがガリウムイオンによって構成される集束イオンビームである場合について説明する。すなわち、第1エッチング工程において、後述する第1の集束イオンビームFIB1を照射する荷電粒子ビーム装置50は、上記の図1に示す集束イオンビーム装置1と異なる。
先ず、荷電粒子ビーム装置50の一例について説明する。図12は、本発明の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置50の構成図である。荷電粒子ビーム装置50は、図12に示すように、内部を真空状態に維持可能な試料室51と、試料室51の内部において試料を固定可能なステージ52と、ステージ52を駆動するステージ駆動機構53と、を備えている。荷電粒子ビーム装置50は、試料室51の内部における所定の照射領域(つまり走査範囲)内の照射対象に各集束イオンビームFIB1,FIB2を照射する第1の集束イオンビーム照射光学系54および第2の集束イオンビーム照射光学系55を備えている。さらに、荷電粒子ビーム装置50は、試料室51の内部における所定の照射領域内の照射対象に電子ビームを照射する電子ビーム照射光学系(図示略)を備えてもよい。
荷電粒子ビーム装置50は、各集束イオンビームFIB1,FIB2または電子ビームの照射によって照射対象から発生する二次荷電粒子(二次電子、二次イオン)Qを検出する検出器56を備えている。荷電粒子ビーム装置50は、照射対象の表面にガスGを供給するガス供給部57を備えている。ガス供給部57は具体的には外径200μm程度のノズルなどである。荷電粒子ビーム装置50は、検出器56によって検出された二次荷電粒子Qに基づく画像データなどを表示する表示装置61と、コンピュータ62と、入力デバイス63と、を備えている。
この実施形態に係る荷電粒子ビーム装置50は、照射対象の表面に各集束イオンビームFIB1,FIB2を走査しながら照射することによって、被照射部の画像化やスパッタリングによる各種の加工(掘削、トリミング加工など)と、デポジション膜の形成などが実行可能である。荷電粒子ビーム装置50は、照射対象の表面に各集束イオンビームFIB1,FIB2または電子ビームを走査しながら照射することによって、照射対象の表面の観察を実行可能である。
試料室51は、排気装置(図示略)によって内部を所望の真空状態になるまで排気可能であるとともに、所望の真空状態を維持可能に構成されている。
ステージ52は、試料を保持するホルダPが固定されるホルダ固定台52aを備えている。ホルダ固定台52aは複数のホルダPを搭載できる構造であってもよい。
ステージ駆動機構53は、ステージ52に接続された状態で試料室51の内部に収容されており、コンピュータ62から出力される制御信号に応じてステージ52を所定軸に対して変位させる。例えば、ステージ駆動機構53は、5軸の駆動機構と2軸の駆動機構とが着脱可能に組み合わされた7軸の駆動機構である。5軸の駆動機構は、少なくとも水平面に平行かつ互いに直交するX軸およびY軸と、X軸およびY軸に直交する鉛直方向のZ軸とに沿って平行にステージ52を移動させる移動機構53aを備えている。5軸の駆動機構は、ステージ52をX軸またはY軸周りに傾斜させる傾斜機構53bと、ステージ52をZ軸周りに回転させる回転機構53cと、を備えている。2軸の駆動機構は、5軸の駆動機構に搭載され、例えば、X軸およびY軸とは独立に水平面に平行かつ互いに直交する2軸の各軸周りにステージ52を傾斜させる第2の傾斜機構53dを備えている。
第1の集束イオンビーム照射光学系54は、試料室51の内部においてビーム出射部(図示略)を、照射領域内のステージ52の鉛直方向上方の位置でステージ52に臨ませるとともに、光軸U(FIB1)を鉛直方向に平行にして、試料室51に固定されている。これによって、ステージ52に載置された試料などの照射対象に鉛直方向の上方から下方に向かい第1の集束イオンビームFIB1を照射可能である。
第2の集束イオンビーム照射光学系55は、試料室51の内部においてビーム出射部(図示略)を、照射領域内のステージ52の鉛直方向に対して所定角度に傾斜した傾斜方向でステージ52に臨ませるとともに、光軸U(FIB2)を傾斜方向に平行にして、試料室51に固定されている。これによって、ステージ52に固定された試料などの照射対象に傾斜方向の上方から下方に向かい第2の集束イオンビームFIB2を照射可能である。
第1および第2の集束イオンビーム照射光学系54,55の各々は、イオンを発生させる各イオン源54a,55aと、各イオン源54a,55aから引き出されたイオンを集束および偏向させる各イオン光学系54b,55bと、を備えている。各イオン源54a,55aおよび各イオン光学系54b,55bは、コンピュータ62から出力される制御信号に応じて制御され、各集束イオンビームFIB1,FIB2の照射位置および照射条件などがコンピュータ62によって制御される。
第1の集束イオンビーム照射光学系54のイオン源54aは、例えば、液体ガリウムなどを用いた液体金属イオン源である。第2の集束イオンビーム照射光学系55のイオン源55aは、例えば、アルゴン又はキセノンなどの希ガスをイオン化ガスとして用いたガス電界電離型イオン源である。
各イオン光学系54b,55bは、例えば、コンデンサーレンズなどの第1静電レンズと、静電偏向器と、対物レンズなどの第2静電レンズと、などを備えている。
検出器56は、試料などの照射対象に各集束イオンビームFIB1,FIB2または電子ビームが照射された時に照射対象から放射される二次荷電粒子(二次電子および二次イオン)Qの強度(つまり、二次荷電粒子の量)を検出し、二次荷電粒子Qの検出量の情報を出力する。検出器56は、試料室51の内部において二次荷電粒子Qの量を検出可能な位置、例えば照射領域内の試料などの照射対象に対して斜め上方の位置などに配置され、試料室51に固定されている。
ガス供給部57は試料室51に固定されており、試料室51の内部においてガス噴射部57a(例えば、ノズルなど)を有し、ガス噴射部57aをステージ52に臨ませて配置されている。ガス供給部57は、各集束イオンビームFIB1,FIB2による試料のエッチングを試料の材質に応じて選択的に促進するためのエッチング用ガスと、試料の表面に金属または絶縁体などの堆積物によるデポジション膜を形成するためのデポジション用ガスなどを試料に供給可能である。例えば、シリコン系の試料に対するフッ化キセノンと、有機系の試料に対する水と、などのエッチング用ガスを、各集束イオンビームFIB1,FIB2の照射と共に試料に供給することによって、エッチングを材料選択的に促進させる。また、例えば、プラチナ、カーボン、またはタングステンなどを含有したデポジション用ガスを、各集束イオンビームFIB1,FIB2の照射と共に試料に供給することによって、デポジション用ガスから分解された固体成分を試料の表面に堆積(デポジション)させることができる。デポジション用ガスの具体例として、カーボンを含むガスとしてフェナントレンやナフタレンやピレンなど、プラチナを含むガスとしてトリメチル・エチルシクロペンタジエニル・プラチナなど、また、タングステンを含むガスとしてタングステンヘキサカルボニルなどがある。また、供給ガスによっては、電子ビームを照射することでも、エッチングまたはデポジションを行うことができる。
コンピュータ62は、少なくともステージ駆動機構53と、各集束イオンビーム照射光学系54,55と、ガス供給部57と、を制御する。
コンピュータ62は、試料室51の外部に配置され、表示装置61と、操作者の入力操作に応じた信号を出力するマウスおよびキーボードなどの入力デバイス63とが接続されている。
コンピュータ62は、入力デバイス63から出力される信号または予め設定された制御処理によって生成される信号などによって、荷電粒子ビーム装置50の動作を統合的に制御する。
コンピュータ62は、荷電粒子ビームの照射位置を走査しながら検出器56によって検出される二次荷電粒子Qの検出量を、照射位置に対応付けた輝度信号に変換して、二次荷電粒子Qの検出量の2次元位置分布によって照射対象の形状を示す画像データを生成する。コンピュータ62は、生成した画像データとともに、画像データの拡大、縮小、移動、および回転などの操作を実行するための画面を、表示装置61に表示させる。コンピュータ62は、自動的なシーケンス制御におけるモード選択および加工設定などの各種の設定を行うための画面を、表示装置61に表示させる。
以下に、荷電粒子ビーム装置50を用いて、エミッター素材30を照射対象の試料としてエッチング加工を行う動作について説明する。具体的には、図9及び10に示すように、電解研磨工程によるエミッター素材30の電解研磨加工された加工部位のうち、例えば、先端から50μm程度までの加工領域Hに亘って、エミッター素材30をその軸線O回りに間欠的に回転させながら第1の集束イオンビームFIB1を照射して、角錐状の先鋭部40を形成する。図示の例では、第1の集束イオンビームFIB1により角錐面41が6面現れるように加工し、6角錐状の先鋭部40を形成している。
この際、図11に示すように、先鋭部40の先端を頂点として、その頂角θ2が第1所定角度以下となるように先鋭部40を仕上げる。第1所定角度は、例えば、20度である。なお、第1所定角度は、20度より小さい角度であってもよく、20度より大きい角度であってもよい。ただし、第1所定角度は、小さい方が望ましい。第1所定角度は、所定角度の一例である。図示の例では、頂角θ2を約10度に仕上げている。
このように、本実施形態に係るエミッターの作製方法では、第1エッチング工程(ステップS20)により、ナノメートルオーダーで非常に先鋭化された六角錐状の先鋭部40を作製することができる。特に、当該作成方法は、第1の集束イオンビームFIB1を利用するので、加工ばらつきを抑制でき、先鋭部40を所望の形状に微細に作り込むことができる。しかし、第1エッチング工程(ステップS20)によって加工されたエミッター素材30の表面には、第1の集束イオンビームFIB1による加工の痕跡が残る(刻まれる)場合がある。当該痕跡には、例えば、当該表面に残留する粒子であって第1の集束イオンビームFIB1を構成する荷電粒子(この一例において、ガリウムイオン)による残留不純物粒子と、当該表面に形成された痕であって第1の集束イオンビームFIB1による加工痕から成るダメージ層とのうち少なくとも一方が含まれる。なお、当該痕跡には、これらに代えて、第1の集束イオンビームFIB1による加工に由来する他の痕が含まれる構成であってもよい。当該表面に当該痕跡が残されている(刻まれている)場合、当該痕跡は、エミッター素材30の最先端を原子レベルで先鋭化させる際の加工精度を低下させる可能性があるだけではなく、エミッター素材30の加工を困難にさせる可能性があり、その結果、エミッター素材30の加工における歩留まりを悪化させる可能性がある。更には、当該痕跡は、エミッター加工後に使用する際のイオン電流の安定動作や最先端構造の再生に悪影響を与える可能性もある。
そこで、本実施形態に係るエミッターの作製方法では、第1エッチング工程(ステップS20)が終了した後、第1エッチング工程(ステップS20)により先鋭部40が形成されたエミッター素材30の表面をスパッタリング加工し、第1の集束イオンビームFIB1によるエッチング加工の痕跡を取り除くスパッタリング工程を行う(ステップS25)。
具体的には、図13に示すように、第1エッチング工程(ステップS20)に続いて、荷電粒子ビーム装置50を用いて、エミッター素材30の軸線Oを第2の集束イオンビーム照射光学系55の光軸U(FIB2)と同軸に配置して、エミッター素材30の先端部を第2の集束イオンビーム照射光学系55のビーム出射口55cに臨ませる。そして、エミッター素材30の先端部のうち先鋭部40を含む加工対象部位に軸線O方向から第2の集束イオンビームFIB2を照射してスパッタリング加工を行う。
スパッタリング工程(ステップS25)の加工対象部位の大きさは、少なくとも第1エッチング工程(ステップS20)の加工領域Hの大きさよりも、狭く設定されている。例えば、スパッタリング工程(ステップS25)の加工対象部位の外径は、エミッター素材30の先鋭部40の最先端を中心とする半径十数μm程度の部位である。この加工対象部位に第2の集束イオンビームFIB2を照射する際に、例えば、第2の集束イオンビームFIB2の直径が加工対象部位の外径よりも小さい場合には、加工対象部位を第2の集束イオンビームFIB2により走査する。一方、第2の集束イオンビームFIB2の直径が加工対象部位の外径以上の場合には、第2の集束イオンビームFIB2による走査を不要とする。
第2の集束イオンビームFIB2を用いるスパッタリング工程(ステップS25)の加工レートは、ビーム電流および加速電圧に応じて変化するが、例えば電解研磨工程(ステップS10)のような電解研磨に比べて1〜3桁程度に小さい。これにより、例えば、電解研磨の表面処理時間が0.01〜数秒前後のように相対的に短時間であることに対して、スパッタリング工程(ステップS25)における第2の集束イオンビームFIB2の照射時間は十数〜数十分程度であり、照射時間つまり加工量の調整が容易である。なお、スパッタリング工程(ステップS25)における第2の集束イオンビームFIB2の加速電圧は、例えば、第1エッチング工程(ステップS20)における第1の集束イオンビームFIB1の加速電圧よりも低く設定されている。
スパッタリング工程(ステップS25)では、スパッタリング加工の実行前後におけるエミッター素材30の電界蒸発電圧の増加率が所定値以下になるようにスパッタリング加工を行う。例えば、所定値は、電界蒸発電圧の閾値に対する所定の電圧増加率であって、30%程度に設定されている。電界蒸発電圧の閾値は、例えば、エミッター素材30の先端表面の中心である{111}結晶面の周辺の所定結晶面が所望の清浄な結晶面となるための閾電圧である。
電界蒸発電圧の閾値は、エミッター素材30における先鋭部40の先端の先鋭度合いを示すパラメータに関連しており、例えば、先鋭度合いが低下することに伴い、増大傾向に変化する。先鋭部40の先端の先鋭度合いを示すパラメータは、例えば、先端の曲率半径、又は先端を頂点とする頂角の角度などである。すなわち、スパッタリング加工の実行前後におけるエミッター素材30の電界蒸発電圧の増加率を所定値以下に規制することにより、第1エッチング工程によって形成された先鋭部40の先端形状を、スパッタリング工程の実行後であっても、所望の許容変化範囲内で維持することができる。
なお、スパッタリング工程に対して設定される電界蒸発電圧の増加率に対する所定値は、例えば電解研磨工程(ステップS10)のような電解研磨に対して設定可能な電界蒸発電圧の増加率に対する所定値よりも小さく設定することができる。上述したように、電解研磨では、スパッタリング加工に比べて、相対的に詳細かつ精度の良い加工が難しいので、先鋭部40の先端形状の変化のばらつきが大きく、第1エッチング工程によって形成された先鋭部40の先端形状を、電解研磨の実行後に所望の許容変化範囲内で維持することができないおそれがある。例えば、電解研磨の実行前後におけるエミッター素材30の電界蒸発電圧の増加率が50%以上の過大な値となる場合があり、先鋭部40の先端形状を所望の許容変化範囲内で維持するために必要となる電界蒸発電圧の増加率に対する所定値を、適正に設定することができないおそれがある。このような問題に対して、スパッタリング加工では、電解研磨に比べて、相対的に詳細かつ精度の良い加工が容易であり、先鋭部40の先端形状の変化のばらつきが増大することを防ぎ、先鋭部40の先端形状を所望の許容変化範囲内で維持するために必要となる電界蒸発電圧の増加率に対する所定値を、適正に設定することができる。
これにより、スパッタリング工程(ステップS25)では、図14に示した第1エッチング工程(ステップS20)の加工領域Hの一部であって第1の集束イオンビームFIB1によるエッチング加工の痕跡を含む表面ELの最先端部ELaを、図15に示したように取り除くことができる。図14は、第1エッチング工程(ステップS20)において第1の集束イオンビームFIB1によりエッチング加工された状態のエミッター素材30の断面を示す図である。当該断面は、当該エミッター素材30の軸線Oに沿って当該エミッター素材30を切った場合の当該エミッター素材30の先端部の断面である。図15は、スパッタリング工程(ステップS25)が終了した後のエミッター素材30の断面を示す図である。当該断面は、当該エミッター素材30の軸線Oに沿って当該エミッター素材30を切った場合の当該エミッター素材30の先端部の断面である。図14に示した表面ELは、エミッター素材30の先端部において第1の集束イオンビームFIB1によるエッチング加工の痕跡が残されている(刻まれている)部分である。表面ELの厚さは、50nm程度である。また、図14及び図15に示した非研磨対象部分RMは、エミッター素材30の先端部において第1の集束イオンビームFIB1によるエッチング加工の痕跡が残されていない(刻まれていない)部分である。
次いで、上記のスパッタリング工程(ステップS25)が終了した後、先鋭部40における先端の結晶構造を電界イオン顕微鏡で観察しながら、当該先端を電界誘起ガスエッチング加工により、原子レベルオーダーでさらに先鋭化させる第2エッチング工程(ステップS30)を行う。
この工程について、詳細に説明する。
まず、図16に示すように、上記の電界イオン顕微鏡(FIM:Field Ion Microscope)70は、各種ガスが所定圧力で導入される図示しない真空チャンバーと、当該真空チャンバー内において、エミッター素材30の先鋭部40に対して間隔を開けて配置されたMCP(マイクロチャネルプレート)71と、当該MCP71によって増幅された先鋭部40の先端のFIM像(電界イオン像)を映し出す蛍光スクリーン72と、エミッター素材30を加熱させるヒーター等である加熱部73と、を備えている。
なお、図16では、エミッター素材30の先鋭部40における結晶構造を図示している。
このように構成された電界イオン顕微鏡70において、真空チャンバー内に不活性ガス、例えば、ヘリウムガス(He)を導入した状態でエミッター素材30に高電圧を印加すると、ヘリウムガスは、先鋭部40の先端を構成している原子の近傍で、強電界によりイオン化され、電気力線にしたがってMCP71側に移動する。すると、当該ヘリウムガスがイオン化されたヘリウムイオンは、MCP71で電子に変換され、増幅された後に蛍光スクリーン72に入射する。これにより、電界イオン顕微鏡70は、蛍光スクリーン72上に、先鋭部40の先端のFIM像を映し出すことができ、オペレーターに当該先端の結晶構造を提供することができる。
ここで、オペレーターによる先鋭部40の先端の結晶構造の観察中に、真空チャンバー内にヘリウムガスに加えて酸素と窒素とのうちいずれか一方又は両方を含む図示しない混合ガスを導入すると、混合ガスがタングステンの原子を奪うことでエッチングが行われる電界誘起ガスエッチング加工を行うことができる。
従って、第2エッチング工程(ステップS30)では、当該電界誘起ガスエッチング加工を行うことにより、先鋭部40の先端を徐々に削ることができる。その結果、当該作成方法では、当該先端を原子レベルオーダーで先鋭化させることができる。このとき、先鋭化するほど、先鋭部40は、最先端を構成する原子数が減る。このため、FIM像の輝点は、時間の経過とともに徐々に減少する。
そして、第2エッチング工程(ステップS30)では、電界イオン顕微鏡70による観察によって、最先端を構成する原子数(輝点数)が一定数以下(例えば数個〜数十個)になるまで加工が行われる。これにより、先鋭部40の形状を原子レベルオーダーで先鋭化させることができる。特に、先鋭部40の最先端を構成する原子数を一定数以下にすることができるので、従来のものに比べて遥かに少ない原子数で最先端を構成することができる。
次いで、第2エッチング工程(ステップS30)が終了した後、エミッター素材30を加熱して、先鋭部40の最先端を構成する原子をピラミッド状に配列させる加熱工程(ステップS40)を行う。
本実施形態では、エミッター素材30を図16に示す電界イオン顕微鏡70にセットしたまま、加熱工程(ステップS40)を行う。具体的には、真空チャンバー内からヘリウムガス及び混合ガスを排出するとともにエミッター素材30への電圧印加を停止した後、加熱部73によりエミッター素材30を例えば700度〜1200度の温度で5分程度加熱する。なお、加熱工程(ステップS40)では、エミッター素材30の加熱とともにエミッター素材30への電圧の印加(リモルディング)を行ってもよい。
これにより、加熱工程(ステップS40)では、エミッター素材30の最先端における原子の配列を行わせることができる。特に、最先端を構成する原子数が従来に比べて少ないので、これら少数の原子を理想的なピラミッド状に配列することができる。すなわち、加熱工程(ステップS40)において、図3及び図4に示すように、当該最先端の結晶構造を、例えば、3原子A1又は1原子A2が最先端に配置された結晶構造とすることができる。その結果、加熱工程(ステップS40)では、当該最先端の原子を当該結晶構造にすることができ、原子レベルオーダーで先鋭化された図2に示す針状のエミッター10を作製することができる。
なお、加熱工程(ステップS40)後、再度真空チャンバー内にヘリウムガスを導入した後、エミッター10に対して電圧を印加してFIM像を観察すると、3つ又は1つの輝点を観察することができ、最先端に3原子A1又は1原子A2が配置された結晶構造となっていることを確認することができる。
以上により、一連のエミッターの作製方法の動作を終了する。
図1に示すように、上記のように作製されたエミッター10を備えたガス電界電離型イオン源21は、イオンビームを小さいビーム径で、且つ高輝度で放出することができる。従って、このイオンビームを利用した集束イオンビーム(FIB)を利用して、当該ガス電界電離型イオン源21を備えた集束イオンビーム装置1は、試料Sの観察を行う場合において高分解能で試料Sの観察を行うことができ、試料Sの加工を行う場合において非常に微細且つ高精度な加工を試料Sに対して行うことができる。
また、エミッター10を備えたガス電界電離型イオン源21の使用に伴ってエミッター10の結晶構造が変化した場合、当該ガス電界電離型イオン源21を備えた集束イオンビーム装置1は、加熱によるトリートメントを行い、原子の再配列を行う。この場合、集束イオンビーム装置1は、本実施形態のエミッター10の最先端を構成する原子数が従来に比べて少ないため、これら少数の原子を効率良く再配列させることができる。よって、集束イオンビーム装置1は、エミッター10の最先端の結晶構造を再現性良く元のピラミッド状に戻すことができる。従って、集束イオンビーム装置1では、エミッター10に対する加熱再生の歩留まりを向上することができる。更に、集束イオンビーム装置1では、第1の集束イオンビームFIB1による加工の痕跡がエミッター10から除去されているため、再配列の再現性及び繰り返し回数の向上も期待できる。
また、少数の原子を効率良く再配列させることができるので、加熱時間を短くすることができ、エミッター10の先端の太径化を抑制することができる。従って、集束イオンビーム装置1では、従来のエミッターに比べて、トリートメント後の引出電圧の最適値の上昇を抑制でき、最適値を略一定にすることができる。その結果、集束イオンビーム装置1では、エミッター10の寿命を延ばすことができ、エミッター10を長く使用し続けることができる。
<エミッター素材がイリジウム210単結晶である場合>
以下では、エミッター素材がイリジウム210単結晶である場合について説明する。以下では、説明の便宜上、イリジウム210単結晶であるエミッター素材のことを、エミッター素材80と称して説明する。
ここで、エミッター素材80は、電解研磨工程(ステップS10)のみによって先端を100nm以下まで成型することが困難である。これは、エミッター素材80であるイリジウム210単結晶の結晶構造が、異方性(非対称性)を有するためである。しかし、上記において説明したエミッターの作製方法(図5に示したフローチャートにおいて説明した方法)は、イリジウム210単結晶のように結晶構造が異方性を有する素材をエミッター素材として用いた場合であっても、エミッターの先端を好ましい形状に成形することができる。
図5に示したフローチャートにおいて説明したエミッターの作製方法においてエミッター素材80を用いる場合、当該作成方法の説明は、上記の「エミッター素材がタングステン単結晶である場合」の説明における「エミッター素材30」を「エミッター素材80」に読み替えた説明となる。ただし、当該作成方法の説明は、各工程において以下の点で「エミッター素材がタングステン単結晶である場合」の説明と異なる。
電解研磨工程(ステップS10、図6参照)では、タングステン単結晶からなるワイヤーに代えて、イリジウム210単結晶からなるワイヤーを準備する。この際、当該ワイヤーは、直径が0.1〜0.3mm前後であり、長さが数mm〜10mmのものが用いられる。また、電解研磨工程(ステップS10)において、研磨溶液Wとしては、数mol/LのKOH(水酸化カリウム)溶液等が用いられる。これらにより、電解研磨工程(ステップS10)では、エミッター素材80の先端部を、先端に向かって漸次縮径するように概略先鋭化させることができる。この際、加工目安として、図8に示す先端直径R2が50μm以下になるまで電解研磨工程(ステップS10)における電解研磨加工を行う。なお、図8に示すように、エミッター素材30の先端部の先端直径R1に先端頂角θ1が対応するように、エミッター素材80の先端部の先端直径R2には先端頂角θ3が対応している。例えば、エミッター素材80の先端直径R2がエミッター素材30の先端直径R1よりも大きい場合、エミッター素材80の先端頂角θ3はエミッター素材30の先端頂角θ1よりも大きくなる。
第1エッチング工程(ステップS20、図9参照)では、電解研磨工程(ステップS10)によるエミッター素材80の電解研磨加工された加工部位のうち、例えば、先端から50μmまでの加工領域Hに亘って、エミッター素材80をその軸線O回りに間欠的に回転させながら第1の集束イオンビームFIB1を照射して、エミッター素材80の先鋭部90を角錐状に成形する。例えば図10に示すように、先鋭部90の外形は、6面の角錐面91を有する6角錐状に形成される。この際、図11に示すように、当該先鋭部90の先端を頂点として、その頂角θ4が第2所定角度以下となるように先鋭部90を仕上げる。第2所定角度は、例えば、30度である。なお、第2所定角度は、30度より小さい角度であってもよく、30度より大きい角度であってもよい。ただし、第2所定角度は、小さい方が望ましい。第2所定角度は、所定角度の一例である。
スパッタリング工程(ステップS25、図13参照)では、エミッター素材30と同様に、エミッター素材80の先端部のうち先鋭部90を含む加工対象部位に軸線O方向から第2の集束イオンビームFIB2を照射してスパッタリング加工を行う。この場合、スパッタリング加工の実行前後におけるエミッター素材80の電界蒸発電圧の増加率が所定値以下になるようにスパッタリング加工を行う。例えば、所定値は、電界蒸発電圧の閾値に対する所定の電圧増加率であって、30%程度に設定されている。電界蒸発電圧の閾値は、例えば、エミッター素材80の先端表面の中心である{210}結晶面の外側に接する{100}結晶面及び2つの{111}結晶面が所望の清浄な結晶面となるための閾電圧である。
加熱工程(ステップS40)では、真空チャンバー内からヘリウムガス及び混合ガスを排出するとともにエミッター素材80への電圧印加を停止した後、加熱部73によりエミッター素材80を例えば300〜700度前後の温度で1分程度加熱する。なお、加熱工程(ステップS40)では、エミッター素材80の加熱とともにエミッター素材80への電圧の印加(リモルディング)を行ってもよい。
このように、本実施形態に係るエミッターの作製方法は、エミッター素材がイリジウム210単結晶である場合であっても、エミッターの先端を好ましい形状に成形することができる。すなわち、当該作成方法は、エミッターの素材が種々多様な場合であっても、エミッターの先端を好ましい形状に成形することができる。
上述したように、本発明の実施形態によるエミッターの作製方法によれば、第1エッチング工程(ステップS20)の次に実行されるスパッタリング工程(ステップS25)を含むことにより、微小な加工対象部位において、不純物の発生を防ぎながら、詳細かつ精度の良い加工を行うことができる。スパッタリング工程では、第1エッチング工程により形成された各エミッター素材30,80の各先鋭部40,90に第2の集束イオンビームFIB2を照射してスパッタリング加工を行うので、例えば各先鋭部40,90に電解研磨を行う場合などに比べて、より小さな加工レートで微小領域を少量ずつ徐々に加工することができる。例えば電解研磨によれば、相対的に短時間の処理時間で広範な領域において加工量が増大し、各先鋭部40,90の先端において研磨が促進されることによって、各先鋭部40,90の先端形状を維持することが困難になるおそれがある。このような問題に対して、スパッタリング工程によれば、例えば、針状の各先鋭部40,90の先端における数十μm程度の微小領域であっても、相対的に長時間の処理時間でごく狭い領域ずつを均一に、詳細かつ精度の良い加工を行うことができ、第1エッチング工程によって形成された各先鋭部40,90の所望の先端形状を維持することができる。
また、例えば電解研磨によれば、加工対象物が特定の元素である場合に研磨溶液に溶け出した不純物が加工対象物に再付着するおそれがあり、各エミッター素材30,80の各先鋭部40,90から不純物を除去することが困難になるおそれがある。このような問題に対して、スパッタリング工程によれば、各エミッター素材30,80の各先鋭部40,90からスパッタリングにより除去した不純物の各先鋭部40,90への再付着を防ぐことができ、例えば第1エッチング工程の第1の集束イオンビームFIB1に起因するガリウムなどの残留不純物粒子を適正に除去することができる。
さらに、スパッタリング工程では、イオン化ガスが希ガスである第2の集束イオンビームFIB2を照射するので、相対的に反応性が低い希ガスによって、ビームに起因する不純物の発生を防ぐことができる。
また、スパッタリング工程では、真空中において加工を行うことができるとともに、荷電粒子ビーム装置50を用いることによって、第1エッチング工程から真空状態を維持することができ、外部からの不純物の侵入を防ぐことができる。
また、スパッタリング工程によれば、加工対象部位が相対的に増大することを防ぐことができるので、加工対象部位の増大に伴う不純物の発生を抑制することができる。
さらに、スパッタリング工程では、スパッタリング加工の実行前後における各エミッター素材30,80の電界蒸発電圧の増加率が所定値以下になるようにスパッタリング加工を行うので、第1エッチング工程によって形成された各先鋭部40,90の先端形状を、スパッタリング工程の実行後であっても、所望の許容変化範囲内で維持することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、ガス電界電離型イオン源21用のエミッター10として説明したが、この場合に限られず、例えば電子を放出して電子ビームにするための放出源として用いられるエミッターであってもよい。
また、第1エッチング工程(ステップS20)の際、第1の集束イオンビームFIB1を照射してエッチング加工を行ったが、第1の集束イオンビームFIB1に限られるものではなく、荷電粒子ビームであればよい。例えば電子ビーム等を利用してエッチング加工を行っても構わない。また、第1エッチング工程では、各先鋭部40,90の形状を六角錐状に形成したが、角錐状であればよく、例えば3角錐状、12角錐状、24角錐状、36角錐状に形成しても構わない。また、各先鋭部40,90の形状は、スパイラル加工等による円錐形状でもよい。これらの場合であっても、ナノメートルオーダーで先鋭化された各先鋭部40,90とすることができ、その後に行う第2エッチング工程(ステップS30)によって、最先端を構成する原子数を少なくすることができる。
また、加熱工程(ステップS40)の際、図16に示す電界イオン顕微鏡70にセットしたまま、当該電界イオン顕微鏡70を利用して各エミッター素材30,80を加熱したが、例えば第2エッチング工程(ステップS30)後に、各エミッター素材30,80を図1に示すガス電界電離型イオン源21にセットして加熱工程(ステップS40)を行っても構わない。この場合には、加熱工程(ステップS40)後に、直ちにガス電界電離型イオン源21を作動させることが可能である。
なお、上述した実施形態において、第1エッチング工程及びスパッタリング工程では、図12に示す荷電粒子ビーム装置50を用いるとしたが、これに限定されない。
例えば、第1エッチング工程において第1の集束イオンビームFIB1を照射する集束イオンビーム装置と、スパッタリング工程において第2の集束イオンビームFIB2を照射する集束イオンビーム装置とは、互いに独立した異なる装置であってもよい。
また、例えば、第1エッチング工程では、集束イオンビーム装置1のように、ガリウムイオンと異なるイオンによって構成される集束イオンビームを照射する集束イオンビーム装置を用いてもよい。この場合、スパッタリング工程と同様に、アルゴン又はキセノンなどの希ガスをイオン化ガスとして用いた集束イオンビーム装置であってもよく、第1エッチング工程及びスパッタリング工程を同一の集束イオンビーム装置を用いて実行してもよい。
なお、上述した実施形態において、スパッタリング工程では、第2の集束イオンビームFIB2を、針状の各エミッター素材30,80の軸線O方向から各先鋭部40,90に照射するとしたが、これに限定されない。
例えば、第2の集束イオンビームFIB2を、各エミッター素材30,80の軸線Oに交差する方向(例えば、軸線Oに垂直な方向など)から各先鋭部40,90に照射してもよい。この場合、各エミッター素材30,80を、相対的に第2の集束イオンビームFIB2に対して、軸線O(つまり中心軸)の軸周りに回転させてもよい。
なお、上記の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…エミッター
40,90…先鋭部
ステップS10…電解研磨工程
ステップS20…第1エッチング工程
ステップS25…スパッタリング工程
ステップS30…第2エッチング工程
ステップS40…加熱工程

Claims (11)

  1. 先鋭化された針状のエミッターを作製する方法であって、
    導電性のエミッター素材の先端部を電解研磨加工し、先端に向かって漸次縮径するように加工する電解研磨工程と、
    前記電解研磨工程により加工された前記エミッター素材の加工部位に荷電粒子ビームを照射してエッチング加工を行い、先端を頂点とした角錐状の先鋭部を形成する第1エッチング工程と、
    前記第1エッチング工程により形成された前記先鋭部にイオン化ガスが希ガスである集束イオンビームを照射してスパッタリング加工を行うスパッタリング工程と、
    前記スパッタリング工程により加工された前記先鋭部の前記先端の結晶構造を電界イオン顕微鏡で観察しながら、当該先端を電界誘起ガスエッチング加工によりさらに先鋭化させ、前記先端を構成する原子数を一定数以下とさせる第2エッチング工程と、
    を含むエミッターの作製方法。
  2. 前記スパッタリング工程は、前記第1エッチング工程により形成された前記先鋭部のダメージ層及び残留不純物粒子のうち少なくとも何れかを除去する、
    請求項1に記載のエミッターの作製方法。
  3. 前記スパッタリング工程は、前記スパッタリング加工の実行前後における前記エミッター素材の電界蒸発電圧の増加率が所定値以下になるように前記スパッタリング加工を行う、
    請求項1又は請求項2に記載のエミッターの作製方法。
  4. 前記第1エッチング工程は、集束イオンビームの照射により、前記先鋭部の頂角が所定角度以下となるように前記エッチング加工を行う、
    請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のエミッターの作製方法。
  5. 前記エミッター素材は、タングステンである、
    請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のエミッターの作製方法。
  6. 前記エミッター素材は、イリジウムである、
    請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のエミッターの作製方法。
  7. 前記スパッタリング工程の加工範囲の大きさは、前記集束イオンビームの径以下に設定される、
    請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のエミッターの作製方法。
  8. 前記スパッタリング工程は、前記スパッタリング工程の加工範囲の大きさが前記集束イオンビームの径よりも大きく設定される場合、前記加工範囲を前記集束イオンビームにより走査する、
    請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のエミッターの作製方法。
  9. 前記スパッタリング工程は、前記集束イオンビームを針状の前記エミッター素材の軸方向から前記先鋭部に照射する、
    請求項7又は請求項8に記載のエミッターの作製方法。
  10. 前記スパッタリング工程は、前記集束イオンビームを針状の前記エミッター素材の軸方向に交差する方向から前記先鋭部に照射するとともに、前記エミッター素材を中心軸の軸周りに回転させる、
    請求項7又は請求項8に記載のエミッターの作製方法。
  11. 前記イオン化ガスは、アルゴン又はキセノンである、
    請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載のエミッターの作製方法。
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