JP2019144224A - キャピラリホルダおよびx線回折測定方法 - Google Patents

キャピラリホルダおよびx線回折測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】キャピラリを用いたX線回折測定において分析精度および測定効率を向上させる。【解決手段】粉末試料を充填するための管状部と、管状部の開口に接続され、管状部に粉末試料を導入するための外側に向かって拡径する漏斗状部とを備えるキャピラリをX線回折装置に装着するためのキャピラリホルダであって、ホルダ本体部と、ホルダ本体部の厚さ方向に貫通して、キャピラリが挿入される挿入口およびキャピラリの管状部が挿出される挿出口を有する孔部と、を備え、孔部は、挿出口から挿入口に向かって径が大きくなるように形成されており、キャピラリを孔部に挿入させたときに、挿出口から管状部を突出させるとともに漏斗状部を孔部の内周面で係止させることでキャピラリを固定するように構成されている、キャピラリホルダである。【選択図】図1

Description

本発明は、キャピラリホルダおよびX線回折測定方法に関する。
X線回折装置は、X線源から放射されたX線を試料に照射したとき、試料から反射又は透過してくる回折X線を検出して、試料の結晶構造等を分析するための分析装置であり、各種物質の非破壊分析に広く用いられている。
粉末試料のX線回折測定においては、試料量が十分にある場合、平板のガラスなどのホルダの中央にある凹み部に粉末試料を入れ、ガラス平板を使って余分な試料を掻き取るという作業を、粉末試料の高さがガラスホルダの基準面と同じ高さとなるまで繰り返し行うことになる。ガラスホルダの基準面と粉末試料の高さを一致させることは回折ピークの角度ズレを防止する点で重要である。
ただし、この方法では、余分な粉末試料を擦り切るためにガラス板に加える力加減で粉末粒子がある結晶方位に揃ってしまうことがある。そのような粉末試料をX線回折測定すると一部の回折ピークの強度が強く検出されるなど粒子配向の影響が生じてしまう。この場合、定性分析の際、参照する結晶構造データベース(ICDD)に登録されている回折ピークの強度比が変わり、試料本来の結晶構造解析、定量分析に誤差が生じてしまうおそれがある。
そこで、粉末試料の調製時の粒子配向の問題を回避するため、粉末試料を例えばガラス製のキャピラリに充填し、無配向でX線回折測定する方法が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
具体的には、特許文献1に示すように、片端部が封止されたガラス製のキャピラリに微量の粉末試料を導入した後、キャピラリに振動を与え、粉末試料を充填し、キャピラリを適宜の長さに切断する。その後、切断したキャピラリを固定するために金属製などのマウント治具(キャピラリホルダ)に設けた孔部に挿入し、接着剤などによってマウント治具の孔部にキャピラリを固定し、これらを直接、X線回折装置のゴニオメータの試料装着部に配置して測定を行う。
X線回折装置ではキャピラリを回転させながら測定を行うことから、装置の光軸中心に対してキャピラリのX線が照射される部分(測定部)が偏心してしまうと粉末試料の回折ピーク位置がずれて検出されてしまう。そのため、キャピラリの角度調整をマウント治具に装着した後、もしくは装置の試料装着部に取り付けた後にキャピラリの角度調整を行っている。
特開2005−291817号公報
ところで、X線回折測定で取得できる回折パターンには、試料由来の回折パターンの他に、キャピラリの形成材料(例えば、ガラスなど)に由来するハローピークが検出されるため、これを補正する必要がある。この補正は、一般に、バックグラウンドを減算する方法が採用される。具体的には、粉末試料を充填していない空のキャピラリを測定し、その後、同一材質かつ同一寸法の別のキャピラリに粉末試料を充填してX線回折測定を行い、後者のX線回折パターンから前者のX線回折パターンを取り除くことで、バックグラウンド補正を行う。この補正により、キャピラリに由来するハローピークの影響を低減して、粉末試料のX線回折パターンを精度よく得ることができる。
しかし、キャピラリは同じ材質、同じ寸法でもその作製方法から肉厚、外径などの寸法に個体差があるため、バックグラウンドの測定と粉末試料の測定とで異なるキャピラリを使用することによって、それぞれの測定でX線の吸収の程度が変わってしまうことがある。これにより、バックグラウンド形状に個体差が生じることで、バックグラウンドをうまく減算できないことがある。つまり、補正をうまくできず、分析に誤差が生じることがある。
また、ひとつの粉末試料の測定に、少なくとも測定用と補正用で複数本のキャピラリを使用することになるので、キャピラリの角度調整や測定に時間がかかってしまう。つまり、測定効率が低くなる。
また、特許文献1に示す方法では、キャピラリを切断した時に生じる振動により、粉末試料の充填状態が変わることで分析に誤差が生じたり、試料が周囲に散らばるなど環境面で安全性が損なわたりすることがある。
このようにキャピラリを用いたX線回折測定方法では、分析精度や測定効率が低くなることがある。
そこで、本発明は、キャピラリを用いたX線回折測定において分析精度および測定効率を向上させる技術を提供することを一目的とする。
本発明の第1の態様は、
粉末試料を充填するための管状部と、前記管状部の開口に接続され、前記管状部に前記粉末試料を導入するための外側に向かって拡径する漏斗状部とを備えるキャピラリをX線回折装置に装着するためのキャピラリホルダであって、
ホルダ本体部と、
前記ホルダ本体部の厚さ方向に貫通して、前記キャピラリが挿入される挿入口および前記キャピラリの前記管状部が挿出される挿出口を有する孔部と、を備え、
前記孔部は、前記挿出口から前記挿入口に向かって径が大きくなるように形成されており、前記キャピラリを前記孔部に挿入させたときに、前記挿出口から前記管状部を突出させるとともに前記漏斗状部を前記孔部の内周面で係止させることで前記キャピラリを固定するように構成されている、
キャピラリホルダが提供される。
本発明の第2の態様は、第1の態様のキャピラリホルダにおいて、
前記挿出口は、前記管状部の径よりも大きく、かつ前記漏斗状部の径よりも小さな径を有し、前記挿入口は、前記漏斗状部の径よりも大きな径を有する。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様のキャピラリホルダにおいて、
前記孔部は、前記ホルダ本体部の厚さ方向の断面において、前記漏斗状部の外形と相似する形状を有する。
本発明の第4の態様は、第1又は第2の態様のいずれかのキャピラリホルダにおいて、
前記孔部は、前記ホルダ本体部の厚さ方向の断面において、テーパ形状を有する。
本発明の第5の態様は、
粉末試料を充填するための管状部と、前記管状部の開口に接続され、前記管状部に前記粉末試料を導入するための外側に向かって拡径する漏斗状部とを備えるキャピラリを用いて粉末試料のX線回折測定を行う方法であって、
ホルダ本体部と、前記ホルダ本体部の厚さ方向に貫通して、前記キャピラリが挿入される挿入口および前記キャピラリの前記管状部が挿出される挿出口を有し、前記挿出口から前記挿入口に向かって径が大きくなるように形成される孔部とを備えるキャピラリホルダを準備する準備工程と、
前記キャピラリホルダに対して、前記孔部に前記キャピラリを挿入させて、前記挿出口から前記管状部を突出させるとともに前記漏斗状部を前記孔部の内周面で係止させることで、前記キャピラリを固定する固定工程と、を有する、
粉末試料のX線回折測定方法が提供される。
本発明の第6の態様は、第5の態様の粉末試料のX線回折測定方法において、
前記挿出口は、前記管状部の径よりも大きく、かつ前記漏斗状部の径よりも小さな径を有し、前記挿入口は、前記漏斗状部の径よりも大きな径を有する。
本発明の第7の態様は、第5又は第6の態様の粉末試料のX線回折測定方法において、
前記孔部は、前記キャピラリホルダの厚さ方向の断面において、前記漏斗状部の外形と相似する形状を有する。
本発明の第8の態様は、第5又は第6の態様の粉末試料のX線回折測定方法において、
前記孔部は、前記キャピラリホルダの厚さ方向の断面において、テーパ形状を有する。
本発明の第9の態様は、第5〜第8の態様のいずれかの粉末試料のX線回折測定方法において、
前記挿出口から突出する前記管状部と、前記挿出口の周縁部とを、固着材で固着させる。
本発明の第10の態様は、第5〜第9の態様のいずれかの粉末試料のX線回折測定方法において、
前記キャピラリを前記キャピラリホルダに固定した後、前記管状部にX線を照射することで、前記キャピラリに由来するX線回折パターンを測定する第1の測定工程と、
前記キャピラリホルダに固定された状態の前記キャピラリに前記粉末試料を充填する充填工程と、
前記粉末試料が充填された前記管状部にX線を照射することで、前記キャピラリおよび前記粉末試料に由来するX線回折パターンを測定する第2の測定工程と、
前記第2の測定工程で得られた結果を前記第1の測定工程で得られた結果で補正して分析する分析工程と、を有する。
本発明によれば、キャピラリを用いたX線回折測定において分析精度および測定効率を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるキャピラリホルダの断面概略図である。 図2は、キャピラリをキャピラリホルダに固定したときを説明するための図である。 図3は、本発明の他の一実施形態にかかるキャピラリホルダの断面概略図である。 図4は、キャピラリをX線回折装置に導入したときを説明するための斜視図である。 図5は、キャピラリと光学系との位置関係を説明するための平面図である。 図6は、キャピラリへのX線の照射を説明するための図である。 図7は、キャピラリの斜視図である。
キャピラリは、例えば石英ガラス、リンデマンガラス、ボロシリケートガラス、ソーダガラスなどの材料から形成され、X線回折装置で微小量の粉末試料を測定するために使用される試料容器である。具体的には、図7に示すように、キャピラリ20は、粉末試料を充填するための一端が閉じた管状部21と、管状部21の他端の開口に接続され、管状部21に粉末試料を導入するための外側に向かって拡径する漏斗状部22とを備えて構成されている。径の広い漏斗状部22から粉末試料を供給することで、内径の細い(例えば0.1mmほど)管状部21へと粉末試料を導入することができ、キャピラリ20へ粉末試料を充填することができる。
従来、キャピラリ20を用いて粉末試料のX線回折測定を行う場合は、キャピラリ20のうち、漏斗状部22を切断により取り除き、管状部21のみをキャピラリホルダの孔部に挿通させて固定していた。この場合、キャピラリ20を切断するため、バックグラウンドの測定と、粉末試料の測定とで、異なる複数のキャピラリを使用する必要があった。その結果、分析精度や測定効率が低くなることがあった。
このことから、本発明者は、キャピラリを切断せずにX線回折装置に固定する方法について検討を行った。その結果、キャピラリを挿入固定するためのキャピラリホルダにおいて、その孔部を、キャピラリの漏斗状部を収容できるように構成するとよいことを見出した。これにより、キャピラリを切断することなく、キャピラリホルダの孔部に挿入して固定させることができるので、従来のキャピラリの切断にともなう課題を解決することができる。本発明は、このような発明者の知見に基づいて成されたものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について図を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるキャピラリホルダの断面概略図である。図2は、キャピラリをキャピラリホルダに固定したときを説明するための図である。なお、図1および図2は、キャピラリホルダ1を、孔部12を通るように厚さ方向に切断したときの断面を示す。
(キャピラリホルダ)
キャピラリホルダ1は、図1に示すように、ホルダ本体部11と、ホルダ本体部11の厚さ方向に貫通する孔部12を備えて構成されている。
ホルダ本体部11は、例えば、金属材料から形成され、ゴニオメータヘッド30に取り付けられるように構成されている。
ホルダ本体部11には、厚さ方向に貫通するように孔部12が形成されている。孔部12は、キャピラリ20を挿入固定できるように構成されている。具体的には、孔部12は、キャピラリ20が挿入される挿入口12aをホルダ本体部11の一方の主面側に、キャピラリ20の管状部21が挿出する挿出口12bをもう一方の主面側に、それぞれ有する。本実施形態では、孔部12は、挿出口12bから挿入口12aに向かって径が大きくなるように形成され、キャピラリ20を挿入したときに、挿出口12bから管状部21を突出させるとともに漏斗状部22を孔部12の内周面で係止させることでキャピラリ20を固定するように構成されている。つまり、孔部12は、孔径が挿入口12aから離れるにしたがって狭くなっており、キャピラリ20の漏斗状部22が孔部12の内部で引っ掛かるように構成されている。
孔部12において、挿入口12aおよび挿出口12bの径は、特に限定されないが、挿入口12aの径は漏斗状部22の径よりも大きく、挿出口12bの径は管状部21の径よりも大きく、かつ漏斗状部22の径よりも小さいことが好ましい。
孔部12の、ホルダ本体部11の厚さ方向における断面形状は、挿出口12bから挿入口12aに向かって径が大きくなっていれば特に限定されない。孔部12の断面形状は、図1に示すようなキャピラリ20の漏斗状部22の外形と相似する形状、図3に示すような孔径が連続して変化するようなテーパ形状、もしくは、孔径が段階的に変化するような形状であってもよい。キャピラリ20を孔部12に挿入したときに、キャピラリ20を安定して固定させる観点からは、漏斗状部22の外形と相似する形状であることが好ましい。
(X線回折測定方法)
続いて、上述したキャピラリホルダ1を用いて粉末試料のX線回折測定を行う方法について説明する。本実施形態の測定方法は、キャピラリホルダ1の準備工程と、キャピラリホルダ1に空のキャピラリ20を固定する固定工程と、空のキャピラリ20についてX線回折測定を行う第1の測定工程と、キャピラリ20に粉末試料を充填する充填工程と、粉末試料を充填したキャピラリ20についてX線回折測定を行う第2の測定工程と、第1および第2の測定工程の結果に基づいて粉末試料を分析する分析工程とを有する。
(準備工程)
まず、上述したキャピラリホルダ1を準備する。
(固定工程)
次に、空のキャピラリ20をキャピラリホルダ1に固定する。具体的には、図2に示すように、粉末試料を充填していない空のキャピラリ20を、管状部21側からキャピラリホルダ1の挿入口12aに挿入して、管状部21が挿出口12bから突き出て、漏斗状部22が孔部12の内周面に当たるまで挿入する。これにより、キャピラリ20をキャピラリホルダ1に挿入固定する。
キャピラリ20をキャピラリホルダ1により安定して固定させる観点からは、挿出口12bから突出する管状部21と、ホルダ本体部11における挿出口12bの周縁部とを、固着材13で固着させることが好ましい。固着材13としては、例えばワックス(ろう)、接着剤、粘土および熱収縮チューブのいずれかを用いることができる。ワックス(ろう)および粘土としては、取り扱いが容易なことから、手で触れたときに軟化変形できるような物を用いるとよい。この場合、ワックスや粘土を管状部21と周縁部との間に設けるとよい。熱収縮チューブとしては、その材質は特に限定されず、キャピラリ20の耐熱性に応じて適宜選択するとよい。熱収縮チューブを用いる場合は、熱収縮チューブを細い筒状に成形して管状部21と周縁部との間に設けた後に加熱するとよい。
(第1の測定工程)
次に、キャピラリ20を固定したキャピラリホルダ1をX線回折装置に導入し、粉末試料を充填していない空のキャピラリ20についてX線回折測定を行う。これは、キャピラリ20に由来するハローピークを検出し、バックグラウンド補正を行うためである。
キャピラリ20のX線回折装置への導入は以下のように行うことができる。
例えば図4に示すように、キャピラリ20を固定したキャピラリホルダ1を、ゴニオメータヘッド30に取り付ける。ゴニオメータヘッド30には、その頭頂部にキャピラリホルダ1を埋め込む孔部(図示略)と、キャピラリ20の管状部21の角度を調整するための角度調整ステージ(図示略)が設けられている。この角度調整ステージの位置を微調整することにより、キャピラリ20を回転させ、X線回折測定中にキャピラリ20のX線照射部が偏心しないように管状部21の角度を調整する。
管状部21の角度を調整した後、図5に示すように、ゴニオメータヘッド30をX線回折装置におけるゴニオメータ50の試料装着部40(いわゆる試料ステージ)に配置し、キャピラリ20をX線回折装置内に導入する。ゴニオメータ50には、第1のアーム51と第2のアーム52とが設けられている。第1のアーム51には、キャピラリ20にX線を照射するためのX線源60が配置され、第2のアーム52には、キャピラリ20で回折された回折X線を検出する検出器70が配置されている。なお、図5は、キャピラリ20の管状部21が突出する方向からゴニオメータ50を見たときの平面図を示している。
続いて、図5および図6に示すように、X線源60から管状部21に対してX線を照射する。そして、入射角度θと回折角度2θとの関係を維持するように、X線源60や受光スリット、検出器70の位置をゴニオメータ50で相対的に変化させることにより、X線回折測定を行う。ここでは、管状部21に粉末試料が充填されていないため、キャピラリ20に由来するハローピークが検出される。つまり、このX線回折測定で得られるX線回折パターンには、キャピラリ20の形成材料(例えばガラスなど)の結晶情報が含まれる。
(充填工程)
続いて、試料装着部40からゴニオメータヘッド30を取り外して、ゴニオメータヘッド30からキャピラリホルダ1を取り外す。そして、キャピラリホルダ1に固定された状態のキャピラリ20に漏斗状部22から粉末試料を供給することで、管状部21に粉末試料を充填させる。例えば、スパチュラなどを用いて粉末試料を少量ずつ漏斗状部22へ添加して、キャピラリ20をタッピングすることで粉末試料を管状部21へと導入することを、粉末試料がキャピラリ20の所定の位置まで充填されるまで、繰り返し行う。なお、粉末試料の充填は、キャピラリ20をキャピラリホルダ1から取り外して行ってもよい。
(第2の測定工程)
続いて、粉末試料が充填されたキャピラリ20に対して、第1の測定工程と同様にX線回折測定を行う。具体的には、粉末試料が充填されたキャピラリ20を固定するキャピラリホルダ1をゴニオメータヘッド30に取り付け、管状部21の角度調整を行う。そして、ゴニオメータヘッド30を試料装着部40に取り付け、管状部21に対してX線を照射する。これにより、X線回折パターンを取得する。このX線回折パターンには、キャピラリ20の形成材料と粉末試料の両方の結晶情報が含まれる。
(分析工程)
続いて、第1および第2の測定工程の結果に基づいて粉末試料の分析を行う。具体的には、第2の測定工程で得られたX線回折パターンの回折強度から、第1の測定工程で得られた、キャピラリ20のみに由来するX線回折パターンの回折強度を減算する。この処理により、粉末試料のみのX線回折パターンを得る。この回折パターンを分析することにより、粉末試料の結晶情報を取得する。
以上により、粉末試料のX線回折測定を行う。
なお、本実施形態では、キャピラリ20を管状部21が上方に向くようにゴニオメータヘッド30を取り付ける場合を説明したが、例えば、管状部21が水平方向に向くようにゴニオメータヘッド30を取り付けるようにしてもよい。また、固着材13は、キャピラリ20をキャピラリホルダ1で安定して挿入固定できれば設けなくてもよく、キャピラリ20を水平方向に取り付ける場合は固着材13による固定を省略してもよい。
また、キャピラリ20としては、充填した粉末試料が落ちないようにする観点からは管状部21の一端が閉じたものが好ましいが、管状部21の一端が開放されたものを用いてもよい。
なお、上述の実施形態では、キャピラリホルダ1をゴニオメータヘッド30に取り付けてX線装置に導入する場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、キャピラリ20を固定したキャピラリホルダ1をアタッチメントを介して試料装着部に配置した後、そのアタッチメントにより角度調整を行うようにしてもよい。
<本実施形態に係る効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
上述したように、これまでのキャピラリホルダは、その孔部にキャピラリ20の漏斗状部22までを収容できるように構成されていないので、キャピラリ20の漏斗状部22を取り除き、管状部21のみを固定することでX線回折測定を行っていた。この場合、バックグラウンドの測定と、粉末試料の測定とで、異なるキャピラリ20を使用する必要があるため、バックグラウンド補正の精度低下により、分析精度が悪くなるばかりか、測定効率が低くなることがあった。
これに対して、本実施形態のキャピラリホルダ1では、挿出口12bから挿入口12aに向かって径が大きくなるように孔部12が形成され、キャピラリ20を孔部12に挿入させたときに、挿出口12bから管状部21を突出させるとともに漏斗状部22を孔部12の内周面で係止させることでキャピラリ20を固定することができる。このようなキャピラリホルダ1によれば、キャピラリ20を、漏斗状部22を取り除くことなく、漏斗状部22を残した状態で、つまり非破壊で、X線回折装置に導入することができる。
このようなキャピラリホルダ1を用いて粉末試料のX線回折測定を行う場合、第1の測定工程にて、空のキャピラリ20にX線を照射してキャピラリ20に由来するX線回折パターンを取得した後、キャピラリホルダ1に固定した状態のキャピラリ20に粉末試料を充填し、第2の測定工程にて、粉末試料が充填されたキャピラリ20にX線を照射して粉末試料およびキャピラリ20に由来するX線回折パターンを取得する。そして、第2の測定工程で得られた結果を、第1の測定工程で得られた結果でバックグラウンド補正することにより、粉末試料のX線回折パターンを取得することができる。このようにキャピラリ20を非破壊とすることにより、バックグラウンドの測定と、粉末試料の測定とを、同じキャピラリ20を用いて行うことができる。しかも、キャピラリ20をキャピラリホルダ1に固定したまま粉末試料を充填できるので、キャピラリ20の固定操作の回数を減らすことができる。したがって、本実施形態のキャピラリホルダ1によれば、粉末試料をX線回折測定するときの分析精度を向上できるとともに、その測定効率を向上させることができる。
また、挿出口12bは、管状部21の径よりも大きく、かつ漏斗状部22の径よりも小さな径を有し、挿入口12aは、漏斗状部22の径よりも大きな径を有することが好ましい。このように孔部12を構成することにより、キャピラリ20をより安定して固定することができる。
また、孔部12は、ホルダ本体部11の厚さ方向の断面において、テーパ形状を有することが好ましく、漏斗状部22の外形と相似する形状を有することがさらに好ましい。孔部12がこのような形状を有することにより、キャピラリ20をより安定して固定することができ、分析精度をより高めることができる。
また、キャピラリホルダ1の挿出口12bから突出するキャピラリ20の管状部21と、挿出口12bの周縁部とを、固着材13で固着させることが好ましい。これにより、キャピラリホルダ1に対してキャピラリ20をより安定して固定させることができ、測定精度を高く維持することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
1 キャピラリホルダ
11 ホルダ本体部
12 孔部
12a 挿入口
12b 挿出口
13 固着材
20 キャピラリ
21 管状部
22 漏斗状部
30 ゴニオメータヘッド
40 試料装着部
50 ゴニオメータ
51 第1のアーム
52 第2のアーム
60 X線源
70 検出器

Claims (10)

  1. 粉末試料を充填するための管状部と、前記管状部の開口に接続され、前記管状部に前記粉末試料を導入するための外側に向かって拡径する漏斗状部とを備えるキャピラリをX線回折装置に装着するためのキャピラリホルダであって、
    ホルダ本体部と、
    前記ホルダ本体部の厚さ方向に貫通して、前記キャピラリが挿入される挿入口および前記キャピラリの前記管状部が挿出される挿出口を有する孔部と、を備え、
    前記孔部は、前記挿出口から前記挿入口に向かって径が大きくなるように形成されており、前記キャピラリを前記孔部に挿入させたときに、前記挿出口から前記管状部を突出させるとともに前記漏斗状部を前記孔部の内周面で係止させることで前記キャピラリを固定するように構成されている、
    キャピラリホルダ。
  2. 前記挿出口は、前記管状部の径よりも大きく、かつ前記漏斗状部の径よりも小さな径を有し、前記挿入口は、前記漏斗状部の径よりも大きな径を有する、
    請求項1に記載のキャピラリホルダ。
  3. 前記孔部は、前記ホルダ本体部の厚さ方向の断面において、前記漏斗状部の外形と相似する形状を有する、
    請求項1又は2に記載のキャピラリホルダ。
  4. 前記孔部は、前記ホルダ本体部の厚さ方向の断面において、テーパ形状を有する、
    請求項1又は2に記載のキャピラリホルダ。
  5. 粉末試料を充填するための管状部と、前記管状部の開口に接続され、前記管状部に前記粉末試料を導入するための外側に向かって拡径する漏斗状部とを備えるキャピラリを用いて粉末試料のX線回折測定を行う方法であって、
    ホルダ本体部と、前記ホルダ本体部の厚さ方向に貫通して、前記キャピラリが挿入される挿入口および前記キャピラリの前記管状部が挿出される挿出口を有し、前記挿出口から前記挿入口に向かって径が大きくなるように形成される孔部とを備えるキャピラリホルダを準備する準備工程と、
    前記キャピラリホルダに対して、前記孔部に前記キャピラリを挿入させて、前記挿出口から前記管状部を突出させるとともに前記漏斗状部を前記孔部の内周面で係止させることで、前記キャピラリを固定する固定工程と、を有する、
    粉末試料のX線回折測定方法。
  6. 前記挿出口は、前記管状部の径よりも大きく、かつ前記漏斗状部の径よりも小さな径を有し、前記挿入口は、前記漏斗状部の径よりも大きな径を有する、
    請求項5に記載の粉末試料のX線回折測定方法。
  7. 前記孔部は、前記キャピラリホルダの厚さ方向の断面において、前記漏斗状部の外形と相似する形状を有する、
    請求項5又は6に記載の粉末試料のX線回折測定方法。
  8. 前記孔部は、前記キャピラリホルダの厚さ方向の断面において、テーパ形状を有する、
    請求項5又は6に記載の粉末試料のX線回折測定方法。
  9. 前記挿出口から突出する前記管状部と、前記挿出口の周縁部とを、固着材で固着させる、
    請求項5〜8のいずれか1項に記載の粉末試料のX線回折測定方法。
  10. 前記キャピラリを前記キャピラリホルダに固定した後、前記管状部にX線を照射することで、前記キャピラリに由来するX線回折パターンを測定する第1の測定工程と、
    前記キャピラリホルダに固定された状態の前記キャピラリに前記粉末試料を充填する充填工程と、
    前記粉末試料が充填された前記管状部にX線を照射することで、前記キャピラリおよび前記粉末試料に由来するX線回折パターンを測定する第2の測定工程と、
    前記第2の測定工程で得られた結果を前記第1の測定工程で得られた結果で補正して分析する分析工程と、を有する、
    請求項5〜9のいずれか1項に記載の粉末試料のX線回折測定方法。
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