JP2019144179A - ガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法 - Google Patents

ガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】厚膜抵抗体に用いるガラス粉末と厚膜抵抗体に用いる導電粉末の濡れ性を評価する簡便な方法を提供する。【解決手段】基板の表面の少なくとも一部にガラス粉末を敷き詰めたガラス粉末層を形成し、前記ガラス粉末層の表面に導電粉末を敷き詰めた導電粉末層を形成して評価試料前駆体を準備する第1工程と、前記第1工程の後に前記評価試料前駆体を焼成してガラス粉末層をガラス層に変化させて評価試料を完成する第2工程と、前記第2工程の後、前記ガラス層のガラスによる前記導電粉末層への浸透した距離を測定する第3工程を経る。【選択図】なし

Description

本発明は、厚膜抵抗体用ペーストに用いるガラスと導電粉末の濡れ性の評価に関する。
厚膜抵抗体用ペーストは樹脂と溶剤からなるビヒクルとガラス粉末と導電粉末を主成分としている。厚膜抵抗体用ペーストから形成される厚膜抵抗体は、銀−パラジウム電極が形成されたアルミナなどの絶縁基板上に、この厚膜抵抗体用ペーストを印刷、乾燥、ピークが800℃〜900℃となる温度条件で焼成して形成される。得られた厚膜抵抗体の表面にガラス粉末ペーストを印刷し乾燥、ピークが500℃〜700℃となる温度条件で焼成してガラスコートした後に、抵抗値調整のためのレーザートリミング処理を行い、適宜側面電極の形成を行ってチップ抵抗器等として製造される。
厚膜抵抗体の電気特性を満たすために、鉛を含むガラス粉末とルテニウム酸化物等の導電粉末を用いた抵抗体が汎用されている。また、特許文献1には、鉛を含まないガラス粉末と、ルテニウム酸化物や酸化イリジウムといった導電粉末を用いて電気特性を満たすことができる抵抗体が提案されている。
厚膜抵抗体の材料設計では、二酸化ルテニウム等の導電粉末とガラス粉末の選択が重要になる。二酸化ルテニウムやパラジウムと銀の合金などの導電粉末とガラスの濡れ性が重要であることが特許文献2に開示されている。そして特許文献2には、焼成温度(800〜900℃)で溶融したガラスの接触角で濡れ性を評価することが開示されている。
特開2009−7199号公報 特開平4−12501号公報
本発明の課題とするところは、厚膜抵抗体に用いるガラス粉末と厚膜抵抗体に用いる導電粉末の濡れ性を評価する簡便な方法を提供することにある。
本発明の第1の発明は、基板の表面の少なくとも一部にガラス粉末を敷き詰めたガラス粉末層を形成し、前記ガラス粉末層の表面に導電粉末を敷き詰めた導電粉末層を形成して評価試料前駆体を準備する第1工程と、前記第1工程の後に前記評価試料前駆体を焼成してガラス粉末層をガラス層に変化させて評価試料を完成する第2工程と、前記第2工程の後、前記ガラス層のガラスによる前記導電粉末層への浸透した距離を測定する第3工程とからなることを特徴とするガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記2工程の焼成のピーク温度が800℃〜900℃であることを特徴とすることガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法である。
本発明の第3の発明は、第1、2の発明において、前記ガラス層の厚みが3μm〜30μmであって、前記導電粉末層の厚みが5μm〜30μmであることを特徴とするガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法である。
本発明の第4の発明は、第1〜3の発明において、前記ガラス粉末層の形成が、ガラス粉末と樹脂と溶剤からなるペーストまたはガラス粉末と溶剤からなるスラリーのいずれかを塗布した後に乾燥させて前記ガラス粉末層を形成することを特徴とするガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法である。
本発明の第5の発明は、第1〜4の発明において、前記導電粉末層の形成が、導電粉末と樹脂と溶剤からなるペースト、または導電粉末と溶剤からなるスラリーのいずれかを塗布した後に乾燥させて前記導電粉末層を形成することを特徴とするガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法である。
本発明の第6の発明は、第1〜5の発明において、前記導電粉末が、二酸化ルテニウム、ルテニウム複合酸化物であることを特徴とするガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法である。
本発明によれば、簡便な方法でガラス粉末と導電粉末の濡れ性を評価できる。
ガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法は、基板の表面の少なくとも一部にガラス粉末を敷き詰めたガラス粉末層を形成し、前記ガラス粉末層の表面に導電粉末を敷き詰めた導電粉末層を形成して評価試料前駆体を準備する第1工程と、前記第1工程の後に前記評価試料前駆体を焼成してガラス粉末層をガラス層に変化させ評価試料を完成する第2工程と、前記第2工程の後、前記ガラス層のガラスによる前記導電粉末層への浸透した距離を測定する第3工程とからなることを特徴とする。すなわち、本発明に係るガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法で、第1工程は評価試料前駆体を準備する工程であり、第2工程は焼成して評価試料を完成させる工程であり、第3工程は評価試料を測定し評価する工程である。本発明の構成を順に説明する。
(基板)
基板には、セラミック基板が好ましく、なかでもチップ抵抗体の製造に使用されるアルミナ基板が最も好ましい。基板の大きさは、ガラス粉末層や導電粉末層が形成可能な大きさで、第3工程の測定が容易な大きさであれば適宜選択でき、1cm四方以上もあればよい。
基板の厚みは、機械的強度から0.1mm以上もあればよい。基板の厚みは、2mm以下が望ましく、1.5mm以下がより望ましい。本発明に係るガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法で、導電粉末層にガラスが浸透した距離は、評価試料の断面観察を行うので、基板の厚みが2mmを超えると断面加工が困難になる。
(基板上のガラス粉末層)
(ガラス粉末層の形成)
ガラス粉末層を形成することは、評価試料前駆体を準備する第1工程の最初の作業である。ガラス粉末層は、基板の表面の少なくとも一部にガラス粉末を敷き詰めたガラス粉末層を形成する。
基板の表面の少なくとも一部にガラス粉末を敷き詰める方法としては、ガラス粉末と樹脂と溶剤からなるガラス粉末ペーストまたはガラス粉末と溶剤からなるガラス粉末スラリーのいずれかをスクリーン印刷機で印刷し、乾燥させて溶剤を除去することで、ガラス粉末が敷き詰められたガラス粉末層を簡単に形成できる。しかも、該ガラス粉末ペーストや該ガラス粉末スラリーを基板の表面にスクリーン印刷すると、ガラス粉末層の厚みもガラス粉末層の位置によらずほぼ均一な厚みになることと、厚みの値をスクリーン印刷機の調整で任意に調整することができる。また、該ガラス粉末ペーストや該ガラス粉末スラリー中でのガラス粉末はほぼ均一に分散しているので、印刷膜にも、均一にガラス粉末が充填される。結果的に、ガラス粉末を粉末自体で基板の表面に敷き詰めた場合よりも、該ガラス粉末ペーストや該ガラス粉末スラリーを経た場合の方がガラス粉末層のガラスの充填は向上する。ガラス粉末層の厚みが均一になったり、厚みを任意に調整できたり、ガラス粉末層の充填性が向上すれば、結果的に、第2工程で得られるガラス層の厚みや充填性に影響する。
ガラス粉末ペーストの樹脂はエチルセルロースなど一般的な樹脂であれば良く、溶剤は樹脂が溶解すればよくターピネオールなどで良い。溶剤からなるガラス粉末スラリーの溶剤もターピネオールなどで良い。また分散剤などペースト製造で知られた添加剤を加えても良く、ガラス粉末、樹脂、溶剤、添加剤は三本ロールなどで分散と混合ができれば、特に限定しない。
ガラス粉末と水からなる水スラリーでも形成することは可能であるが、水が気化しやすく、また平滑性を有した膜を形成することが困難な場合があるので留意が必要である。また、ガラス粉末の化学成分によっては、ガラス粉末が水に溶解することもある点も留意する必要がある。
基板上に該ガラス粉末ペーストまたは該ガラス粉末スラリーを印刷した後は、溶剤の沸点程度で乾燥すれば、溶剤は揮発し除去されるので、基板の表面にガラス粉末が敷き詰められたガラス粉末層が形成される。
(ガラス粉末層に使用できるガラス粉末)
本発明で評価されるガラス粉末は、厚膜抵抗体用ペーストに用いることができるガラス粉末である。厚膜抵抗体用ペーストに用いるガラス粉末は、珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス、鉛ガラスなどが良く、これらガラスにアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属の酸化物が添加されているガラスを用いることができる。ガラス粉末の粒度分布は、50%体積累計粒度で、0.5μm〜10μmが望ましく、粒度分布は、厚膜抵抗体用ペーストに用いる場合とそろえるようにして、都度選択すれば良い。
厚膜抵抗体用ペーストは、印刷、乾燥の後、ピークが800℃〜900℃となる温度条件で焼成されることから、ガラス粉末の熱的特性は、厚膜抵抗体用ペーストのガラス粉末の選択に影響する。ピークが800℃〜900℃となる温度条件で焼成する厚膜抵抗体用ペーストに用いることができるガラスの軟化点は、640℃以上で上限は焼成温度のピーク温度以下又は820℃の低い方の温度以下である。もちろん、軟化点ではなくガラス転移点でガラスの熱的特性を選択してもよい。
ここで軟化点は、ガラス粉末を示差熱分析法(TG−DTA)にて大気中で測定し、最も低温側の示差熱曲線の減少が発現する温度よりも高温側の次の示差熱曲線が減少するピークの温度である。また、ガラス転移点は、ガラス粉末を再溶融などして得られるロッド状の試料を熱機械分析法(TMA)にて大気中で測定し、熱膨張曲線の屈曲点を示す温度として測定される。
(ガラス粉末層上の導電粉末層)
(導電粉末層の形成)
導電粉末層を前記ガラス粉末層の表面に形成することは、評価試料前駆体を準備する第1工程の前記ガラス粉末層を形成する作業の次の作業である。
導電粉末層は、前記ガラス粉末層の表面を導電粉末で敷き詰めることで形成できる。ガラス粉末層の表面を導電粉末で敷き詰める方法としては、導電粉末と樹脂と溶剤からなる導電粉末ペーストまたは導電粉末と溶剤からなる導電粉末スラリーのいずれかをスクリーン印刷機で印刷し、乾燥させて溶剤を除去することで、導電粉末が敷き詰められた導電粉末層を簡単に形成できる。しかも、該導電粉末ペーストや該導電粉末スラリーを基板の表面にスクリーン印刷すると、導電粉末層の厚みも導電粉末層の位置によらずほぼ均一な厚みになることと、厚みの値をスクリーン印刷機の調整で任意に調整することができる。また、該導電粉末ペーストや該導電粉末スラリー中での導電粉末はほぼ均一に分散しているので、印刷膜にも、均一に導電粉末が充填される。結果的に、導電粉末を粉末自体で基板の表面に敷き詰めた場合よりも、該導電粉末ペーストや該導電粉末スラリーを経た場合の方が導電粉末層の導電粉末の充填は向上する。
導電粉末ペーストの樹脂はエチルセルロースなど一般的な樹脂であれば良く、溶剤は樹脂が溶解すればよくターピネオールなどで良い。溶剤からなる導電粉末スラリーの溶剤もターピネオールなどで良い。また分散剤などペースト製造で知られた添加剤を加えても良く、導電粉末、樹脂、溶剤、添加剤は三本ロールなどで分散と混合ができれば、特に限定しない。
導電粉末と水からなる水スラリーでも形成することは可能であるが、水が気化しやすく、また平滑性を有した膜を形成することが困難であるので留意が必要である。
基板上に導電粉末ペーストまたは溶剤からなる導電粉末スラリーを印刷した後は、溶剤の沸点程度で乾燥すれば、溶剤は揮発し除去されるので、ガラス粉末層の表面に導電粉末が敷き詰められた導電粉末層が形成される。ガラス粉末層と導電粉末層は積層された構造になっている。
基板の表面にガラス粉末層と前記ガラス粉末層の表面に導電粉末層が形成されると、評価試料前駆体を準備する第1工程が終了する。
(導電粉末層に使用できる導電粉末)
本発明で評価される導電粉末は、厚膜抵抗体用ペーストに用いることができる導電粉末である。厚膜抵抗体用ペーストに用いる導電粉末は、二酸化ルテニウム粉末、ルテニウム酸鉛粉末、ルテニウム酸カルシウム粉末などのルテニウム酸化物粉末、酸化イリジウム粉末や銀−パラジウム合金粉末が適している。特に本発明では、導電粉末にルテニウム酸化物を用いることが好適である。なお、ここでルテニウム酸化物とは、ルテニウム酸鉛やルテニウム酸カルシウムをはじめとするルテニウム複合酸化物や二酸化ルテニウムを含む概念である。
導電粉末にルテニウム酸化物粉末を用いる場合、その粒子径Dは、200nm以下が望ましく、5nm〜150nmが適している。粒径の規定は、TEM像から規定しても良いが、公知のBET法から求められる比表面積から算出することもできる。比表面積から算出される粒子径Dは(1)より算出できる。

D(nm)=6×10/(ρ・S) ・・・(1)

(1)式でSは比表面積(m/g)、ρは二酸化ルテニウムの密度で6.97g/cmとした。
(評価試料前駆体の焼成と評価試料の完成)
第1工程で準備がされた評価試料前駆体は、第2工程でピークが800℃〜900℃の温度条件で焼成され評価試料として完成する。ピークが800℃〜900℃の温度条件とする理由は厚膜抵抗体用ペーストの焼成温度であるためである。そして、ピーク温度の保持時間も基板上に形成された抵抗体が焼成される時間とすることが望ましい。また、焼成雰囲気は、厚膜抵抗体用ペーストと同様に大気中が望ましい。
一般的に厚膜抵抗体用ペーストは、基板に印刷され、乾燥により溶剤が除去された乾燥膜が、室温からピーク温度まで連続的に昇温し、一定時間ピーク温度を保持した後に、室温まで降温される温度変化のパターンで焼成され厚膜抵抗体となる。
本発明に係るガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法では、厚膜抵抗体用ペーストに使用するガラス粉末と導電粉末の濡れ性を評価するので、厚膜抵抗体用ペーストの焼成条件で焼成することが必要である。
なお、第2工程では、ガラス粉末層は焼成の過程でガラス粉末が溶融し、ガラス粉末同士が結着してガラス層を形成し、ガラスが導電層へ拡散し浸透する。
なお、導電粉末層は、導電粉末層だけで焼結することはない。
(評価試料のガラス層の厚みと導電粉末層の厚み)
評価試料のガラス層の厚みは、3μm〜30μmが望ましい。ガラス層の厚みが3μm未満では、ガラスの量が少なすぎて第2工程を経た後に導電粉末層へのガラスごとの浸透距離に差が発現し難くなり、本発明に係るガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法には不適当な場合がある。一方、ガラス層の厚みが30μmを超える場合は、ガラス層の厚みが厚くなり、基板とガラス層の熱膨張係数に違いにより、ガラス層の表面の導電粉末層の形態の保持が困難になる場合がある。
評価試料の導電粉末層の厚みは5μm〜30μmが望ましい。導電粉末層の厚みが5μm未満では、導電粉末層の厚みが薄すぎて第2工程を経た後に導電粉末層へのガラスごとの浸透距離に差が発現し難くなり、本発明に係るガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法本には不適当な場合がある。一方、導電粉末層の厚みが30μmを越えても、ガラスの違いによる導電粉末層への浸透の程度に差が生じることはない。
ガラス層と導電粉末層の厚みは、接触式の膜厚計や表面粗さ計、非接触式の膜厚計で測定することができる。
(ガラスの濡れ性の評価)
第1工程と第2工程を経て完成された評価試料は、第3工程で導電粉末層へのガラスの浸透性を評価される。
第1工程で準備が完了した評価試料前駆体は、第2工程で焼成される過程で、ガラス粉末層のガラスが導電粉末層に拡散し、浸透する。ガラス粉末層は焼成の過程でガラス粉末が溶融しガラス層を形成し、得られたガラス層は目視上の艶を備える。一方、導電粉末層のみでは、焼成により溶融したり、焼成後に艶を備えたりしない。しかし、ガラス粉末層と接した導電粉末層は、焼成によりガラスが拡散また浸透し、ガラスの溶融や目視上の艶を有することがある。
本発明に係るガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法は、ガラス層と導電粉末層の界面から浸透したガラスの浸透した距離を導電粉末層内のガラスの存在から判断する。焼成により得られた評価試料の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、導電粉末層に浸透したガラスを、SEM像から溶融し固化したガラスの存在や、走査型電子顕微鏡での観察の際の元素分析(SEM−EDX SEM−エネルギー分散型X線分析)により確認することができる。例えば元素分析を行うならば、ガラスが浸透することが無ければ、導電粉末層に存在するはずがない珪素の元素分析を行い、珪素が存在する範囲が、ガラス層と導電粉末層の界面から導電粉末層に浸透したガラスの範囲として浸透した距離を評価することができる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例で示す評価は、以下に示す通りである。
(1)導電粉末層へのガラスの拡散の確認
ガラス粉末層と導電粉末層とアルミナ基板に形成された準備が完了した評価試料前駆体をピーク温度850℃9分の温度条件のベルト型連続焼成炉で焼成して評価試料を完成させた。評価試料を切断して断面観察する加工を行った後に、導電粉末層のSEM像観察とSEM−EDXによる元素の検出を行った。導電粉末層にガラスが浸透している場合は、導電粉末層からガラス成分が検出される。
導電粉末層のうち、ガラス成分が検出される部分と検出されない部分をガラスが浸透した界面Iとして、ガラスと導電粉末の界面を界面IIとして、界面Iと界面IIの幅をガラスが浸透した距離と規定した。
(2)ガラス粉末の特性
ガラス粉末の粒子度分布は、50%体積累計粒度で測定した。測定にはマイクロトラックベル社のマイクロトラック(登録商標)を使用した。また、ガラスの軟化点は、ガラス粉末を示差熱分析法(TG−DTA)にて大気中で測定し、最も低温側の示差熱曲線の減少が発現する温度よりも高温側の次の示差熱曲線が減少するピークの温度とした。
(3)導電粉末の平均粒径
200℃で1時間脱気して吸着物を除去した後に、BET法にて比表面積を求め、その値から粒子径を定めた。
(実施例1)
エチルセルロース15質量%とターピネオール85質量%からなるビヒクル30質量%と、軟化点が807℃で50%体積累計粒度が1μmのカルシウムと亜鉛を含むアルミノ硼珪酸ガラス粉末A70質量%とを三本ロールにて混練して、ガラス粉末ペーストを作製した。
エチルセルロース15質量%とターピネオール85質量%からなるビヒクル60質量%と、平均粒径が20nmの二酸化ルテニウム粉末40質量%とを三本ロールにて混練して、導電粉末ペーストを作製した。
1インチ四方で厚み1mmのアルミナ基板に、スクリーン印刷機を用いてガラス粉末ペーストを印刷して乾燥してガラス粉末層を得た後に、該ガラス粉末層の表面に導電粉末ペーストを印刷して乾燥し、ガラス粉末層と導電粉末層を積層させた評価試料前駆体を得た。
その後、評価試料前駆体を850℃で焼成して評価試料を完成させた後に、評価試料の断面をSEM像観察とSEM-EDX分析を用いて導電粉末層へのガラス浸透距離を求めた。
なお、ガラス層の層厚は、アルミナ基板上にガラス粉末層を形成した後に導電粉末層を形成することなくピーク温度850℃9分の条件で焼成してガラス層を得た後、接触式の表面粗さ計でガラス層の膜厚を計測することを行って3μmであることを確認した。導電粉末層の厚みは、ガラス層および導電粉末層を形成して膜厚計で計測することを行って5μmであることを確認した。結果を表1に示す。
(実施例2)
ガラス層を30μm、導電粉末層を30μmとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
アルミノ硼珪酸ガラス粉末A70質量%とターピネオール30質量%からなるガラス粉末スラリーによってガラス層を3μmとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
アルミノ硼珪酸ガラス粉末A70質量%とターピネオール30質量%からなるガラス粉末スラリーによってガラス層を3μmとしたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
二酸化ルテニウム粉末40質量%とターピネオール60質量%からなる導電粉末スラリーを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
二酸化ルテニウム粉末40質量%とターピネオール60質量%からなる導電粉末スラリーを用いたこと以外は実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
アルミノ硼珪酸ガラス粉末A70質量%とターピネオール30質量%からなるガラス粉末スラリー、二酸化ルテニウム粉末40質量%とターピネオール60質量%からなる導電粉末スラリーを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
アルミノ硼珪酸ガラス粉末A70質量%とターピネオール30質量%からなるガラス粉末スラリー、二酸化ルテニウム粉末40質量%とターピネオール60質量%からなる導電粉末スラリーを用いたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
軟化点が650℃で50%体積累計粒度が1μmのアルミノ硼珪酸ガラス粉末Bとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
軟化点が650℃で50%体積累計粒度が1μmのアルミノ硼珪酸ガラス粉末Bとしたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
軟化点が650℃で50%体積累計粒度が1μmのアルミノ硼珪酸ガラス粉末Bとしたこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
軟化点が650℃で50%体積累計粒度が1μmのアルミノ硼珪酸ガラス粉末Bとしたこと以外は、実施例4と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例13)
軟化点が650℃で50%体積累計粒度が1μmのアルミノ硼珪酸ガラス粉末Bとしたこと以外は、実施例5と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例14)
軟化点が650℃で50%体積累計粒度が1μmのアルミノ硼珪酸ガラス粉末Bとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例15)
軟化点が650℃で50%体積累計粒度が1μmのアルミノ硼珪酸ガラス粉末Bとしたこと以外は、実施例7と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例16)
軟化点が650℃で50%体積累計粒度が1μmのアルミノ硼珪酸ガラス粉末Bとしたこと以外は、実施例8と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例17)
軟化点が700℃で50%体積累計粒度が1μmの鉛ガラス粉末Cとしたことと、二酸化ルテニウム粉末を粒子径20nmのルテニウム酸鉛粉末とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例18)
軟化点が700℃で50%体積累計粒度が1μmの鉛ガラス粉末Cとしたことと、二酸化ルテニウム粉末を粒子径20nmのルテニウム酸鉛粉末としたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例19)
軟化点が700℃で50%体積累計粒度が1μmの鉛ガラス粉末Cとしたことと、二酸化ルテニウム粉末を粒子径20nmのルテニウム酸鉛粉末としたこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例20)
軟化点が700℃で50%体積累計粒度が1μmの鉛ガラス粉末Cとしたことと、二酸化ルテニウム粉末を粒子径20nmのルテニウム酸鉛粉末としたこと以外は、実施例4と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例21)
軟化点が700℃で50%体積累計粒度が1μmの鉛ガラス粉末Cとしたことと、二酸化ルテニウム粉末を粒子径20nmのルテニウム酸鉛粉末としたこと以外は、実施例5と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例22)
軟化点が700℃で50%体積累計粒度が1μmの鉛ガラス粉末Cとしたことと、二酸化ルテニウム粉末を粒子径20nmのルテニウム酸鉛粉末としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例23)
軟化点が700℃で50%体積累計粒度が1μmの鉛ガラス粉末Cとしたことと、二酸化ルテニウム粉末を粒子径20nmのルテニウム酸鉛粉末としたこと以外は、実施例7と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例24)
軟化点が700℃で50%体積累計粒度が1μmの鉛ガラス粉末Cとしたことと、二酸化ルテニウム粉末を粒子径20nmのルテニウム酸鉛粉末としたこと以外は、実施例8と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(参考例1)
導電粉末層を2μmとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(参考例2)
導電粉末層を2μmとしたこと以外は、実施例9と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
参考例1と2では、導電粉末層の層厚が薄く、アルミノ硼珪酸ガラス粉末Aを用いた場合とアルミノ硼珪酸ガラス粉末Bを用いた場合の浸透の違いを確認することができなかった。

Claims (6)

  1. 基板の表面の少なくとも一部にガラス粉末を敷き詰めたガラス粉末層を形成し、前記ガラス粉末層の表面に導電粉末を敷き詰めた導電粉末層を形成して評価試料前駆体を準備する第1工程と、前記第1工程の後に前記評価試料前駆体を焼成してガラス粉末層をガラス層に変化させて評価試料を完成する第2工程と、前記第2工程の後、前記ガラス層のガラスによる前記導電粉末層への浸透した距離を測定する第3工程とからなることを特徴とするガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法。
  2. 前記2工程の焼成のピーク温度が800℃〜900℃であることを特徴とする請求項1に記載のガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法。
  3. 前記ガラス層の厚みが3μm〜30μmであって、前記導電粉末層の厚みが5μm〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載のガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法。
  4. 前記ガラス粉末層の形成が、ガラス粉末と樹脂と溶剤からなるペーストまたはガラス粉末と溶剤からなるスラリーのいずれかを塗布した後に乾燥させて前記ガラス粉末層を形成することを特徴とする請求項1から3に記載のガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法。
  5. 前記導電粉末層の形成が、導電粉末と樹脂と溶剤からなるペースト、または導電粉末と溶剤からなるスラリーのいずれかを塗布した後に乾燥させて前記導電粉末層を形成することを特徴とする請求項1から4に記載のガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法。
  6. 前記導電粉末が、二酸化ルテニウム、ルテニウム複合酸化物であることを特徴とする請求項1から5に記載のガラス粉末と導電粉末の濡れ性の評価方法。
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