JP2019142738A - セラミックス焼結体、ガラス成形品及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
α−Fe2−xAlxO3 (1)
[式中、xは0〜0.2である。]
で表されるアルミニウムで置換されていてもよいα−酸化鉄からなり、前記酸化鉄層におけるα−酸化鉄のc軸が前記セラミックス基材の表面に対して平行である、金属光沢を有するセラミックス焼結体を提供することによって解決される。
α−Fe2−xAlxO3 (1)
[式中、xは0〜0.2である。]
で表されるアルミニウムで置換されていてもよいα−酸化鉄からなり、前記酸化鉄層におけるα−酸化鉄のc軸が前記ガラス基材の表面に対して平行である、金属光沢を有するガラス成形品を提供することによっても解決される。
α−Fe2−xAlxO3 (1)
[式中、xは0〜0.2である。]
で表されるアルミニウムで置換されていてもよいα−酸化鉄からなり、前記酸化鉄層におけるα−酸化鉄のc軸が前記セラミックス基材の表面に対して平行である、金属光沢を有するセラミックス焼結体である。
α−Fe2−xAlxO3 (1)
[式中、xは0〜0.2である。]
で表されるアルミニウムで置換されていてもよいα−酸化鉄を主成分として含有する。前記酸化鉄層が前記α−酸化鉄の結晶の隙間にガラス相を含んでいてもよい。
α−Fe2−xAlxO3 (1)
[式中、xは0〜0.2である。]
で表されるアルミニウムで置換されていてもよいα−酸化鉄からなり、前記酸化鉄層におけるα−酸化鉄のc軸が前記ガラス基材の表面に対して平行である、金属光沢を有するガラス成形品である。前記セラミックス焼結体と同様に当該ガラス成形品においても、前記ガラス基材の表面に前記酸化鉄層が形成されることによって、金属光沢が得られる。
鉄元素をFe2O3換算で2.77質量%、ケイ素元素をSiO2換算で63.5質量%、アルミニウム元素をAl2O3換算で21.6質量%、カリウム元素をK2O換算で2.1質量%、チタン元素をTiO2換算で0.7質量%、マグネシウム元素をMgO換算で0.7質量%含む粘土を乳鉢にて粉砕・混合した後、篩を用いて分級して、粒子径が100μm以下の粉を得た。これを加圧成形して直径20mm、厚み2mmの円盤形状の未焼結のセラミックス基材を得た。アルミナルツボ内に磁性ルツボを伏せてセットし、磁性ルツボの上に前記基材を載置した。磁性ルツボの周囲に0.03gの炭酸カリウム(K2CO3)の粉を配置した後、このアルミナルツボを電気炉中にセットして大気中で、毎分2.5℃の速度で1230℃まで昇温した(第1工程)。
得られたセラミックス焼結体の外観写真を図1(b)に示す。当該セラミックス焼結体は黄金色の金属光沢を有しており、外観が極めて良好であった。
日本電子株式会社製電子顕微鏡「JEM−2800」を用いて得られたセラミックス焼結体断面の電子顕微鏡観察、元素マッピング及び電子回折測定を行った。図2の下段に、得られたセラミックス焼結体断面の電子顕微鏡写真(g)、当該断面の元素マップ(h:Fe、i:Al、j:Si、k:K、l:Fe+Al+Si)を示す。図3に、図2の電子顕微鏡写真gを拡大したものを示す。電子顕微鏡観察の結果から、基材の表面にガラス層1(厚み5μm)が形成され、ガラス層1の表面に酸化鉄層2(厚み100nm)が形成され、さらに酸化鉄層2の表面に複合体層3(厚み100nm)が形成されていることが確認された。そして、元素マップの結果から、ガラス層1の部分は、Si、Al、K等の元素が含まれていることが確認された。この結果から、ガラス層1はアルミニウム元素を含むアルカリケイ酸塩ガラスからなるものであると考えられる。図2及び3の電子顕微鏡写真g中の電子回折パターンは、酸化鉄層2の電子回折測定を行って得られたものである。当該電子回折パターン及び元素マッピングによる組成分析の結果から、酸化鉄層2は、下記式で示されるアルミニウム置換α−酸化鉄からなるものであることが確認された。さらに、電子回折測定の結果から、酸化鉄層2におけるα−酸化鉄のc軸がセラミックス基材に対して平行である(前記c軸が酸化鉄層2の厚み方向に対して直交する)ことが確認された。
α−Fe1.87Al0.13O3
コニカミノルタ社製分光測色計「CM−2600d」を用いて、得られたセラミックス焼結体(酸化鉄層2と複合体層3とが形成された部分)のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*、並びにクロマティクネス指数a*及びb*を測定した。JIS Z8722−2000に準拠し、測定条件をSCI(正反射光込み)方式とし、光源をCIE標準光源D65、視野角を10°、測定範囲を3mmφとして測定した。得られたセラミックス焼結体の明度指数L*は61.4であり、クロマティクネス指数a*は6.1であり、クロマティクネス指数b*は20.1であった。
図4に、作家が作製した金彩備前焼における、断面の電子顕微鏡写真(a)、当該断面の元素マップ(b:Fe、c:Al、d:Si、e:K、f:Fe+Al+Si)を示す。電子顕微鏡観察の結果から、基材の表面にガラス層(厚み2μm)が形成され、ガラス層の表面に複合体層(厚み100nm)が形成されていることが確認された。図4の電子顕微鏡写真a中の電子回折パターンは、複合体層の電子回折測定を行って得られたものである。この電子回折測定の結果から、複合体層中の板状体を形成しているα−酸化鉄のc軸がセラミックス基材に対して直交する(前記c軸と複合体層の厚み方向が平行)ことが確認された。
第3工程における処理温度を変更(実施例2:950℃、実施例3:850℃)したこと以外は実施例1と同様にしてセラミックス焼結体を得た。第3工程において950℃にて熱処理した場合(実施例2)、得られたセラミックス焼結体は赤味を帯びた金属光沢を有しており、外観が良好であった。また、色の測定を実施例1と同様にして行った結果、明度指数L*は59.7であり、クロマティクネス指数a*は3.6であり、クロマティクネス指数b*は11.3であった。850℃にて熱処理した場合(実施例3)、得られたセラミックス焼結体は黄褐色の金属光沢を有しており、外観が良好であった。また、色の測定を実施例1と同様にして行った結果、明度指数L*は54.7であり、クロマティクネス指数a*は2.2であり、クロマティクネス指数b*は10.5であった。このように、第3工程における処理温度を調整することにより、得られるセラミックス焼結体の色調をコントロールできることが確認された。
実施例1と同様にして、粒子径が100μm以下の粉(粘土)を得た。得られた粉1gと炭酸カリウム0.2gを混合して得られた粉末をルツボに入れて、電気炉中で1450℃にて1時間加熱した後、冷却することにより薄い緑色のガラスを得た。得られたガラスを粉砕して粉末を得た。得られた粉末をルツボに入れて、電気炉中にセットしたことと、炭酸カリウム(K2CO3)の粉を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、第1〜3工程を行うことにより、ガラス成形品を得た。当該ガラス成形品は黄金色の金属光沢を有しており、外観が極めて良好であった。
実施例1と同様にして得られた未焼結のセラミックス基材を電気炉中にセットして大気中、1230℃にて1時間焼成を行った。こうして得られたセラミックス焼結体を未焼結のセラミックス基材の代わりに用いたこと以外は実施例1と同様にして、第1〜3工程を行った。図7に、得られた熱処理(第1〜3工程)後のセラミックス焼結体[図7(b)]と熱処理前のセラミックス焼結体[図7(a)]の外観写真を示す。熱処理後のセラミックス焼結体[図7(b)]は黄金色の金属光沢を有しており、外観が極めて良好であった。
第2工程を行ってからアルミナルツボを900℃まで冷却した後、900℃にて2時間保持する第3工程を行うことなく、電気炉の電源を切り室温まで冷却したこと以外は実施例1と同様にしてセラミックス焼結体を得た。得られたセラミックス焼結体の外観写真を図1(a)に示す。当該セラミックス焼結体は光沢を有していたが、金属光沢ではなかった。色の測定を実施例1と同様にして行った結果、明度指数L*は60.9であり、クロマティクネス指数a*は−0.7であり、クロマティクネス指数b*は1.2であった。得られたセラミックス焼結体断面の電子顕微鏡観察、元素マッピング及び電子回折測定を実施例1と同様にして行った。図2の上段に、得られたセラミックス焼結体断面の電子顕微鏡写真(a)、当該断面の元素マップ(b:Fe、c:Al、d:Si、e:K、f:Fe+Al+Si)を示す。セラミックス焼結体の表面にはガラス層が形成されていたものの、ガラス層の表面には非常に薄いα−酸化鉄の層が形成されているのみであった。
2 酸化鉄層
3 複合体層
4 板状体
5、6 電子回折パターン
Claims (11)
- セラミックス基材の表面にガラス層及び酸化鉄層が形成されたセラミックス焼結体であって、
前記ガラス層の表面に前記酸化鉄層が形成されており、
前記酸化鉄層が下記式(1)
α−Fe2−xAlxO3 (1)
[式中、xは0〜0.2である。]
で表されるアルミニウムで置換されていてもよいα−酸化鉄からなり、
前記酸化鉄層におけるα−酸化鉄のc軸が前記セラミックス基材の表面に対して平行である、金属光沢を有するセラミックス焼結体。 - 前記ガラス層の厚みが1〜1000μmであり、かつ前記酸化鉄層の厚みが10〜500nmである、請求項1に記載のセラミックス焼結体。
- 前記酸化鉄層の表面にさらに複合体層が形成されており、
前記複合体層がガラスマトリックス中に上記式(1)で表されるアルミニウムで置換されていてもよいα−酸化鉄からなる板状体を含有し、
前記板状体の厚み方向がα−酸化鉄のc軸であり、かつ前記板状体におけるα−酸化鉄のc軸が前記セラミックス基材の表面に対して平行である、請求項1又は2に記載のセラミックス焼結体。 - 前記複合体層の厚みが10〜500nmである、請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
- xが0.05以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
- 前記ガラス層及び前記ガラスマトリックスがアルカリケイ酸塩ガラスからなるものである、請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックス焼結体からなる陶磁器。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックス焼結体からなる建材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックス焼結体の製造方法であって、
アルカリ金属元素を含むガス雰囲気中で、鉄元素をFe2O3換算で0.2〜5質量%含有するセラミックス基材を1100℃以上に加熱することにより、該セラミックス基材の表面に鉄イオンとアルカリ金属イオンを含有する溶融ガラス層を形成させる第1工程、
還元雰囲気中で、前記ガラス層が形成された前記セラミックス基材を1100℃以上で熱処理することにより、前記ガラス層中の鉄イオンを還元させる第2工程、及び
酸化雰囲気中で、前記セラミックス基材を800〜1000℃で熱処理することにより前記酸化鉄層を形成させる第3工程を有する、セラミックス焼結体の製造方法。 - ガラス基材の表面に酸化鉄層が形成されたガラス成形品であって、
前記酸化鉄層が下記式(1)
α−Fe2−xAlxO3 (1)
[式中、xは0〜0.2である。]
で表されるアルミニウムで置換されていてもよいα−酸化鉄からなり、
前記酸化鉄層におけるα−酸化鉄のc軸が前記ガラス基材の表面に対して平行である、金属光沢を有するガラス成形品。 - 請求項10に記載のガラス成形品の製造方法であって、
鉄元素をFe2O3換算で0.2〜5質量%含有するガラス原料を1100℃以上に加熱することにより、溶融ガラスを形成させる第1工程、
還元雰囲気中で、前記溶融ガラスを1100℃以上で熱処理することにより、前記溶融ガラス中の鉄イオンを還元させる第2工程、及び
酸化雰囲気中で、前記溶融ガラスを800〜1100℃で熱処理することにより前記酸化鉄層を形成させる第3工程を有する、ガラス成形品の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112683056A (zh) * | 2020-12-04 | 2021-04-20 | 曲靖云铝淯鑫铝业有限公司 | 一种加快高质量釉层形成的烘炉工艺 |
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---|---|---|---|---|
JPS589827A (ja) * | 1981-06-24 | 1983-01-20 | バスフ・アクチエンゲゼルシヤフト | 式AlxFe2−xO↓3の板状顔料及びその製法 |
JPS6330384A (ja) * | 1986-07-24 | 1988-02-09 | 福井県 | 光彩を有する陶磁器の製造方法 |
JPS63123818A (ja) * | 1986-10-23 | 1988-05-27 | メルク・パテント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング | 小片形状酸化鉄顔料 |
JP2015224166A (ja) * | 2014-05-29 | 2015-12-14 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 板状ヘマタイト及び針状ゲーサイトの製造方法 |
-
2018
- 2018-02-20 JP JP2018027803A patent/JP7138906B2/ja active Active
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